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特表2022-550756インプラント輸送装置及びその内管コンポーネント、カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】インプラント輸送装置及びその内管コンポーネント、カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20221128BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20221128BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519537
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2020127488
(87)【国際公開番号】W WO2021129195
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911348433.5
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516127259
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MICROPORT CARDIOFLOW MEDTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】501 Newton Road, Z.J. Hi-Tech Park, Shanghai 201203,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 旭▲聞▼
(72)【発明者】
【氏名】▲梅▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】石 若▲リン▼
(72)【発明者】
【氏名】邱 ▲尭▼
(72)【発明者】
【氏名】桂 宝珠
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 国明
(72)【発明者】
【氏名】李 雨
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB04
4C097SB02
4C097SB06
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC19
4C267GG33
(57)【要約】
インプラント輸送装置及びその内管コンポーネント、カテーテル(100)であって、内管コンポーネントは、インプラント保護部品(1)、内管(3)、及び内管(3)に接続される固定ヘッド(2)を備え、インプラント保護部品(1)は、内管(3)または/及び固定ヘッド(2)に接続され、インプラント保護部品(1)は、インプラントと接触して設置されることによりインプラントを支持することに用いられ、保護体(11,11a,11b)は円環シート状または円弧シート状をなしている。提供されるインプラント輸送装置は、インプラント保護部品(1)が設けられるこれにより、弁膜ステント(5)の周方向に支持力が弱い非アンカーロッドを支持でき、装填過程における弁膜ステント(5)の傾斜、損傷および解放過程におけるねじれ、陥没を回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント輸送装置の内管コンポーネントであって、
前記内管コンポーネントは、インプラント保護部品、内管、及び前記内管に接続される固定ヘッドを備え、
前記インプラント保護部品は、前記内管または/及び前記固定ヘッドに接続され、
前記インプラント保護部品は、インプラントと接触して設置されることにより前記インプラントを支持することに用いられることを特徴とする内管コンポーネント。
【請求項2】
前記インプラント保護部品は、少なくとも1つの保護体を備え、
前記保護体は、円環シート状または円弧シート状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の内管コンポーネント。
【請求項3】
前記インプラント保護部品は前記内管に接続され、
前記インプラント保護部品は、接続部材と保護体を備え、
前記接続部材は前記内管に接続され、前記保護体は前記接続部材に接続されることを特徴とする請求項1に記載の内管コンポーネント。
【請求項4】
前記固定ヘッドは凹溝を備え、
前記凹溝と前記保護体とは、軸方向において対向して設置されることを特徴とする請求項3に記載の内管コンポーネント。
【請求項5】
前記インプラント保護部品は、互い接続される第1保護体と第2保護体を備え、
前記第1保護体と前記第2保護体との一方は、前記固定ヘッドに接続されることを特徴とする請求項1に記載の内管コンポーネント。
【請求項6】
前記内管コンポーネントは、第1インプラント保護部品と第2インプラント保護部品を備え、
前記第1インプラント保護部品は、前記固定ヘッドに接続されて、第1保護体を備え、
前記第2インプラント保護部品は、前記内管に接続されて、接続部材と第2保護体を備え、前記接続部材が前記内管に接続され、前記第2保護体が前記接続部材に接続され、
前記第1保護体と前記第2保護体とは、軸方向において対向して設置されることを特徴とする請求項1に記載の内管コンポーネント。
【請求項7】
前記接続部材は、中間に穴が開けられた円柱体であり、
前記接続部材は、穴が開けられた箇所で周方向に前記内管に接続されることを特徴とする請求項3または6に記載の内管コンポーネント。
【請求項8】
前記第1保護体は円環シート状であり、
前記第2保護体は円弧シート状であることを特徴とする請求項5または6に記載の内管コンポーネント。
【請求項9】
前記インプラント保護部品と内管との間に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内管コンポーネント。
【請求項10】
インプラント輸送装置のカテーテルであって、
外管と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の内管コンポーネントと、
を備え、
前記内管コンポーネントは、前記外管に穿設されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項11】
ハンドルと、
外管と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の内管コンポーネントと、
を備え、
前記内管コンポーネントは、前記外管に穿設され、
前記ハンドルは、前記外管を前記内管コンポーネントに対して軸方向に運動させるように駆動することに用いられることを特徴とするインプラント輸送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント輸送システムに関し、特にインプラント輸送装置及びその内管コンポーネント、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
インプラント、例えば自己膨張式ステントは、装填と解放の過程において、特定の構造を有して形状適合またはワイヤ引張などの方法によって輸送器の対応する構造と固定される必要があり、一端で固定されてもよく、両端で固定されてもよい。これにより、インプラントに対する輸送器による安定な押圧把持と解放が実現される。インプラントのこの特定の構造は耳掛けと呼ばれ、輸送システムで対応する構造は固定ヘッドと呼ばれる。耳掛けは、ステントの上の任意のノードに設置されてもよく、単層ステントであれば、耳掛けはステントのある一端側に設置されることが多い。二層ステントであれば、耳掛けは内層又は外層ステントのある一端側に設置されることが多いが、二層ステントが押圧把持された後では、耳掛けは必ずしも先端に位置するとは限らなく、耳掛けは、ステント端側の周方向のノードのいずれにも設置されてもよく、一部のノードのみに設置されてもよく、残りの耳掛けが設置されていないノードが位置するステントロッドは、耳掛けなしロッドと呼ばれる。耳掛けがノードに設置されているか否かに応じて、耳掛けを有するステントロッドを、アンカーロッドと呼び、耳掛けが設置されていないステントロッドを、非アンカーロッドと呼んでもよい。二層ステントの場合、アンカーロッドと非アンカーロッドは異なるステント層に存在する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の輸送システムに以下の問題がある。弁膜ステントが周方向に対称なステントである場合、固定ヘッドにおける形状適合またはワイヤ引張のノードの数は、多くの場合、ステントにおけるアンカーロッドに対応するノードの数よりも少なくなり、これにより、装填中に耳掛けが凹溝の中に緊密に結合され、アンカーロッドがシース/装填ツールからの押圧把持および固定ヘッドから支持力を受ける一方、非アンカーロッドが押圧把持力のみを受けるとともに、軸方向の高さの差、すなわち耳掛け自体の高さまたはステント本体の端部に切欠きが設けられることによる高さの差によって、アンカーロッドと非アンカーロッドの力受けが一致していなく、非アンカーロッドが装填や解放中に内側に収縮しやすく、ステントにより力が直接フラップに加えられ、フラップに損傷を与えてプロテーゼの機能に影響を与えやすく、かつインプラントの力受けが不均一になることにより、インプラントの傾斜、損傷、さらには装填失敗やインプラントの使用不能を引き起こしやすい。この現象は、弁膜ステントが周方向に非対称なステント設計である場合、より深刻になり、例えば、ステントの一部の領域が他の領域よりも剛性が低く、または切欠きが非対称に設置される場合、弁膜ステントの力受けが不均一になり、装填や解放中に傾き、ねじれ、損傷がより生じやすく、その結果、装填の失敗またはインプラントの使用不能になる可能性がある。
【0004】
一般的な固定ヘッドは、典型的には、凹溝を有する円台または楔形状体であり、インプラントにおける耳掛けの外形は凹溝に適合し、形状適合によって接続される。臨床用途では、既存のインプラント装填手順は、インプラントが部分的に押圧把持された後、耳掛けを固定ヘッドの凹溝内に固定し、そしてカテーテルを駆動して前進させてインプラントを徐々に完全に包む。装填過程全体において、特に周方向に非対称なステントでは、力受け均一性が悪いため、インプラントの傾斜、損傷が発生しやすく、一方、自己膨張ステントの大きな支持力、短い軸方向の高さ、周方向に非対称であることなどは、いずれもステントの力受け均一性が悪いという問題を悪化させる。同時に、インプラントは、解放中にねじれたり、陥没したり、損傷したり、あるいは正常に使用できなくなったりすることもある。また、自己膨張式ステントのフラップのある端面とステント端面とが同じ高さ、あるいは高さが近い場合には、装填や解放中にステントがフラップを押圧することにより、フラップが損傷し、その使用に影響が与えられる。従来技術では、通常、輸送器カテーテル、インプラント、または装填ツールに対して改良を行っているが、方案が複雑で、周期が長く、コストが高く、また、固定ヘッドの役割は軽視されている。
【0005】
したがって、上記の問題を解決することができる、新規なインプラント輸送装置およびその内管コンポーネントを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、インプラントに支持力を提供して、輸送中のインプラントの陥没を回避することができるインプラント輸送装置およびその内管コンポーネント、カテーテルを提供することである。
【0007】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために採用される技術案は、インプラント輸送装置の内管コンポーネントを提供することであり、前記内管コンポーネントは、インプラント保護部品、内管、及び前記内管に接続される固定ヘッドを備え、前記インプラント保護部品は、前記内管または/及び前記固定ヘッドに接続され、前記インプラント保護部品は、インプラントと接触して設置されることにより前記インプラントを支持することに用いられる。
【0008】
好ましくは、前記インプラント保護部品は、少なくとも1つの保護体を備え、前記保護体は、円環シート状または円弧シート状をなしている。
【0009】
好ましくは、前記インプラント保護部品は前記前記内管に接続され、前記インプラント保護部品は接続部材と保護体を備え、前記接続部材は前記内管に接続され、前記保護体は前記接続部材に接続される。
【0010】
好ましくは、前記固定ヘッドには凹溝が備えられ、前記凹溝と前記保護体とは、軸方向において対向して設置される。
【0011】
好ましくは、前記インプラント保護部品は、互い接続される第1保護体と第2保護体を備え、前記第2保護体は前記第1保護体に接続され、前記第1保護体と前記第2保護体との一方は、前記固定ヘッドに接続される。
【0012】
好ましくは、前記内管コンポーネントは第1インプラント保護部品と第2インプラント保護部品を備え、前記第1インプラント保護部品は、前記固定ヘッドに接続されて、第1保護体を備え、前記第2インプラント保護部品は、前記内管に接続されて、接続部材と第2保護体を備え、前記接続部材が前記内管に接続され、前記第2保護体が前記接続部材に接続され、前記第1保護体と前記第2保護体とは、軸方向において対向して設置される。
【0013】
好ましくは、前記接続部材は、中間に穴が開けられた円柱体であり、前記接続部材は、穴が開けられた箇所で周方向に前記内管に接続される。
【0014】
好ましくは、前記第1保護体は円環シート状であり、前記第2保護体は円弧シート状である。
【0015】
好ましくは、前記インプラント保護部品と内管との間に空隙が形成されている。
【0016】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために採用される他の技術案は、外管と、前記外管に穿設される前記内管コンポーネントとを備えるインプラント輸送装置のカテーテルを提供することである。
【0017】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために採用されるさらに他の技術案は、ハンドルと、外管と、前記外管に穿設される前記内管コンポーネントとを備えるインプラント輸送装置を提供することであり、前記ハンドルは、前記外管を前記内管コンポーネントに対して軸方向に運動させるように駆動することに用いられる。
[有益な効果]
【0018】
本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。本発明に提供されるインプラント輸送装置及びその内管コンポーネント、カテーテルは、インプラント保護部品が固定ヘッドまたは内管に設けられるこれにより、弁膜ステントの周方向支持力が弱い領域、例えば非アンカーロッドや切欠きを支持でき、装填過程における弁膜ステントの傾斜、損傷および解放過程におけるねじれ、陥没を回避する。特に、インプラント保護部品と内管との間に径方向に肉抜きの内部空間が形成され、前記肉抜きの内部空間はフラップを収容することに用いられるため、前記インプラント保護部品により弁膜ステントとフラップとが区切され、フラップへの押圧を回避し、装填、解放過程においてステントがフラップを押圧するという問題を効果的に解決し、フラップの疲労性能を確保できる。インプラント保護部品を構成する保護体の材質が軟性材料である場合、軟性材料は、ある程度の支持力を提供する一方で、ステントまたは弁膜への損傷をさらに低減することもできる。ステント研究技術の発展に伴い、心臓の生来の生理学的構造に基づいて設計された切欠きを有するステントまたは他のタイプの不規則なステントがますます多くなり、当該インプラント保護部品の適用範囲がますます広くなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明の実施例におけるインプラント輸送装置の概略構造図である。
図1b】本発明の実施例におけるインプラント輸送装置の内管コンポーネントの概略構造図である。
図1c】本発明の実施例におけるインプラント輸送装置の内管コンポーネントの断面概略図である。
図2a】本発明の実施例における保護体の複数の異なる形状の概略図である。
図2b】本発明の実施例における保護体の複数の異なる形状の概略図である。
図2c】本発明の実施例における保護体の複数の異なる形状の概略図である。
図2d】本発明の実施例における保護体の複数の異なる形状の概略図である。
図3a】本発明の実施例におけるカテーテルの横断面を等分した断面概略図である。
図3b】本発明の実施例におけるカテーテルの横断面を等分した断面概略図である。
図3c】本発明の実施例におけるカテーテルの横断面を等分した断面概略図である。
図3d】本発明の実施例におけるカテーテルの横断面を等分した断面概略図である。
図3e】本発明の実施例におけるカテーテルの横断面を等分した断面概略図である。
図4a】本発明の実施例における保護体の分布概略図であり、図4b、図4cは、複数の保護体が非対称に設置された概略図である。
図4b】本発明の実施例における保護体の分布概略図であり、図4b、図4cは、複数の保護体が非対称に設置された概略図である。
図4c】本発明の実施例における保護体の分布概略図であり、図4b、図4cは、複数の保護体が非対称に設置された概略図である。
図5】本発明の実施例におけるインプラント輸送装置の複数の保護体が非対称的に設置された概略図である。
図6】本発明の実施例におけるインプラント保護部品と内管とが接続される概略構造図である。
図7】本発明の実施例におけるインプラント保護部品と固定ヘッドとが接続される概略構造図である。
図8】本発明の実施例における2つのインプラント保護部品がそれぞれ内管、固定ヘッドに接続される概略構造図である。
図9】本発明の実施例におけるステントがインプラント保護部品に接触するまでシースに圧縮された概略構造図である。
図10a】それぞれ、本発明の実施例におけるステントの端部に切欠きがあり、中部に切欠きがあり、および流入路が非対称に設置された概略構造図である。
図10b】それぞれ、本発明の実施例におけるステントの端部に切欠きがあり、中部に切欠きがあり、および流入路が非対称に設置された概略構造図である。
図10c】それぞれ、本発明の実施例におけるステントの端部に切欠きがあり、中部に切欠きがあり、および流入路が非対称に設置された概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を、添付の図面および実施例を参照して以下にさらに説明する。
【0021】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明は、当業者には明らかであるように、これらの具体的な詳細なしで実施することができる。したがって、具体的な詳細の説明は単なる例示であり、具体的な詳細は、本発明の精神および範囲から変更することができ、本発明の精神および範囲内にあると考えられる。
【0022】
要素は、他の要素に「固定されている」と呼ばれる場合、他の要素に直接固定されてもよいし、中間要素を介して固定され、すなわち、要素は当該中間要素を介して他の要素に間接的に固定されてもよい。要素は、他の要素に「接続されている」と考えられる場合、他の要素に直接接続されてもよいし、中間要素を介して接続され、すなわち、要素は当該中間要素を介して他の要素に間接的に接続されてもよい。本発明の構造的特徴をより明確に説明するために、「近位端」、「遠位端」、「軸方向」を方向の用語として使用し、「近位端」は、手術中に操作者に近い方の端部を表し、「遠位端」は、操作者から遠い方の端部を表し、軸方向は、内管の軸線が位置する方向を表す。「または」という用語は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般に、「および/または」を含む意味で使用される。
【0023】
本実施例におけるインプラントは、弁膜ステントを例に挙げて説明する。本発明に提供されるインプラント輸送装置およびその内管コンポーネント、カテーテルでは、固定ヘッドまたは/および内管にインプラント保護部品が設けられ、これにより、装填過程における弁膜ステントの傾斜、損傷および解放過程におけるねじれ、陥没を回避する。
【0024】
図1aは、インプラント輸送装置の概略構造図である。図1aに示すように、インプラント輸送装置は、弁膜プロテーゼを担持することに適用することにより、心臓人工弁(例えば大動脈人工弁)の装填、輸送、解放、回収などの操作を行うことができ、当該装置は、カテーテル100と、当該カテーテル100の近位端に接続される制御ハンドル200とを含むことができ、上記のカテーテル100は、順次にスリーブ接続された外管、内管コンポーネントなどを含むことができる。
【0025】
図1bおよび図1cを参照すると、本実施例に提供されるインプラント輸送装置の内管コンポーネントは、インプラント保護部品1と、固定ヘッド2と、内管3と、テーパヘッド4とを備え、固定ヘッド2およびテーパヘッド4は、いずれも内管3に接続され、内管3は、近位内管31および遠位内管32を備え、近位内管31、固定ヘッド2、遠位内管32、およびテーパヘッド4は、近位端から遠位端まで順次に接続され、内管3は、ガイドワイヤを通すように貫通する内腔を有する。具体的な実施例において、インプラント保護部品1は、固定ヘッド2に接続されてもよいし、内管3に固定接続されてもよく、固定方法については、一体的に接続されてもよいし、溶接、接着等によって接続されてもよく、本実施例は特に限定されない。インプラント保護部品1は、主として押圧把持された状態の弁膜ステントの非アンカーロッドに接触して、支持する役割を果たすものである。輸送システムにおいて、固定ヘッド2の数は1つであっても複数であってもよく、当業者であれば、ステントの端部支持力の要求に応じてインプラント保護部品1を設置して、インプラント保護部品1を1つの固定ヘッド、複数の固定ヘッド、内管に設置する、または固定ヘッドと内管の両方に設置することを選択することができ、インプラント保護部品1の数は、設置位置によって1つまたは複数に設置することができることが理解されるであろう。
【0026】
インプラント保護部品1は、少なくとも1つの保護体11を含む。本発明の実施例では、保護体11は、円環シート状または円弧シート状をなしている。保護体11が円環シート状をなすとは、保護体11の周方向における投影が円環状であることをいい、例えば図7における第2保護体112とする。保護体11が円弧シート状をなすとは、保護体11の周方向における投影が円弧状であることをいい、例えば図4a~図4c、図5に示すようになる。
【0027】
保護体11は、周方向に展開された平面形状が図2a~図2dに示されるような様々な形態をとることができるが、勿論、保護体11は、図2a~図2dに示される4つの形状に限定されず、その軸方向の長さ、半径方向の幅は、その支持対象の弁膜ステントの非アンカーロッドの位置および構造に応じて決定され、保護体11が弁膜ステントのフレームワークの先端の非アンカーロッドと接触して、ステントの陥没を防止する支持力を提供することが保証されればよく、この構造は特に、ステントのフレームワークの先端が完全な対称ではない構造、例えば、切欠きを有する弁膜ステントの装填および解放に適している。
【0028】
インプラント保護部品1の配列は、インプラント保護部品1を構成する保護体11が基本ユニットの二次元平面に位置するように説明し、前記基本ユニットとは、カテーテルの横断面を等分した断面図であり、図3a~3eに示すように、好ましくは1~8個の基本ユニット、より好ましくは2~6個の基本ユニットとする。
【0029】
保護体11は、図4aに示されるように1つの基本ユニットに設けられてもよく、図4b及び図4cに示されるように複数の基本ユニットに設けられてもよい。異なる基本ユニットにおける保護体11の形状は、同一であっても異なっていてもよい。保護体11を異なる基本ユニットに設置する場合、対称的に設置しても、非対称的に設置されてもよい。図4(b)における2つの保護体11、図4(c)における3つの保護体11は、いずれも対称に設置されるものであり、非対称に設置されることは、主に弁膜ステントの本体端部が非対称である場合に対応する。
【0030】
1つの基本ユニットには、2つまたは2つ以上の保護体11を同時に設置してもよく、図5に示すように、2つの保護体11aと11bを含む。もちろん、異なる基本ユニットに設置される保護体11の形状は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
図6を参照すると、一実施形態では、インプラント保護部品1は内管3に接続され、インプラント保護部品1は、接続部材12と、保護体11とを備え、好ましい実施例では、接続部材12は、中間に穴が開けられた円柱体であり、接続部材12は、穴が開けられた箇所で周方向に内管3に接続され、且つ内管3と同軸に設置され、保護体11は接続部材12に接続される。本発明は、接続部材12の形状について、保護体11をステントにおける固定支持が必要とされる位置に接続し、かつそのサイズがステントの装填、解放などの操作に影響を与えない限り、特に限定しない。好ましいのは、固定ヘッド2における凹溝21と保護体11とは軸方向に対向して設置され、すなわち、凹溝21の開口方向と、保護体11の接続部材12における軸方向に沿う設置方向とは反対的であり、このような設置は、耳掛けと切欠きが異なる端部に存在するステントに適用でき、これによって、ステントの一端の耳掛けが凹溝21とマッチングして設置され、ステントの他端の切欠きが保護体11とマッチングして接触して設置され、耳掛けと切欠きが異なるステントの端部に存在する場合、ステントのねじれまたは陥没の問題がより発生しやすいため、インプラント保護部品1を内管3に設置し、切欠きに支持力を提供することにより、ステントのねじれまたは陥没を効果的に回避することができる。インプラント保護部品1が内管3に接続される場合、その数は、1つまたは複数であってもよく、より好ましくは1つまたは2つであってもよく、内管3への設置形態は、ステントが押圧把持される時に、被覆対象のステントの周方向の支持力が弱い位置、例えば非アンカーロッドの位置に応じて決定され、すなわち、固定ヘッド2に対しては、保護体11は固定ヘッド2の両側に設けられてもよく、この場合、少なくとも2つの保護体11が必要である。少なくとも2つの保護体11は、固定ヘッド2の片側に、ステントの周方向の支持力が弱い位置を被覆できるように設けられてもよく、切欠きを有するステントを例にとると、保護体11は、切欠きが位置する非アンカーロッドを被覆するように構成される。
【0032】
他の実施形態では、図1b、図1cおよび図7に示すように、インプラント保護部品1は、固定ヘッド2に直接接続される。固定ヘッド2は、ベース22と凹溝21を備え、ベース22にはインプラント保護部品1が接続され、図1bおよび図1cに示すインプラント保護部品1は、複数の円弧シート状の保護体11を備える。図7に示すインプラント保護部品1は、互いに接続された第1保護体111および第2保護体112を備え、好ましくは、第1保護体111は、数が1つまたは複数であり、円弧シート状をなしている。第2保護体112は、数が1つであり、円環シート状をなし、第2保護体112は固定ヘッド2に接続され、第1保護体111と第2保護体112とは接続されている。この構造は、耳掛けおよび切欠きが同じ端部に存在する弁膜ステントの装填および解放に適用することができ、切欠きおよび非アンカーロッドの両方に支持力を提供することができ、ステントの力受けの均一化に有利である。
【0033】
さらに他の実施形態では、図8を参照すると、内管コンポーネントは、第1インプラント保護部品1aおよび第2インプラント保護部品1bを備え、好ましくは、第2インプラント保護部品1bは、円環シート状の第2保護体112を備え、第2保護体112は固定ヘッド2に接続される。第1インプラント保護部品1aは、接続部材12と少なくとも1つの第1保護体111を備え、接続部材12は内管3に接続され、接続部材12は、好ましくは、中間に穴が開けられた円柱体であり、接続部材12は、穴が開けられた箇所で周方向に内管3に接続され、且つ内管3と同軸に設置され、第1インプラント保護部品1aは接続部材12に接続され、第1保護体111は円弧シート状をなし、且つ第1保護体111と第2保護体112とは、軸方向に対向して設置され、即ち、接続部材12における第1保護体111の軸方向に沿う設置方向と、固定ヘッド2における第2保護体112の軸方向に沿う設置方向とは反対である。当該構造の内管コンポーネントは、同時にステントの両端の非アンカーロッドに支持力を提供することができ、ステントの力受けの均一化により有利である。
【0034】
本発明では、インプラント保護部品1はステントのフレームワークの一端に接触し、ことにより、インプラント保護部品1の軸方向の一部が弁膜ステントと重なり合い、弁膜ステントを支持する役割を果たす。インプラント保護部品1と、ステントとが重なり合う接触面の軸方向の長さは、ステントの非アンカーロッドの位置に応じて決定され、非アンカーロッドを被覆する長さは、5mm未満であることが好ましく、1~2mmであることがより好ましい。
【0035】
インプラント保護部品1の材質は限定されず、材質が硬い金属材料であっても、軟性材料であってもよい。軟性材料は、ステントにある程度の支持力を提供する一方で、弁膜ステントまたは弁膜への損傷をさらに低減することができる。
【0036】
好ましくは、保護体11は、シート状であり、内管との間に径方向に肉抜きの内部空間を形成し、すなわち、保護体と内管との間に空隙が形成され、肉抜きの内部空間は、フラップを収容するために使用され、インプラント保護部品1により、弁膜ステントとフラップとが区切され、フラップが押圧損傷から保護され、フラップの疲労性能を保証する。図9を参照すると、弁膜ステント5は、非アンカーロッド51とアンカーロッド52とを備え、装填中に、押圧把持力を受けるステント5が内部のフラップを押圧する可能性があり、インプラント保護部品1によっては、非アンカーロッド51の内側への移動が阻止される。解放中に、従来技術では、まだシース6内に位置している非アンカーロッド51は、シース6の外にあるステントロッドの外向きの支持力の作用によって変形して、ステントの内部に向かって収縮してフラップを押圧する。一方、インプラント保護部品1によっては、シース6内の非アンカーロッド51に支持力が与えられ、フラップへの押圧が避けられる。ステントの軸方向に向かう自由スカートがステントに設けられている場合には、インプラント保護部品1と内管との間に形成される空隙は、当該自由スカートを収納することにも用いられ、これにより、自由スカートの押圧が回避される。ステントが二層ステントである場合には、当該空隙は二層ステントの内層ステントを収納することにも用いられ、内層ステントに対する押圧が回避される。また、保護体と内管との間に空隙が形成されている場合、保護体は、ステントが装填または解放される時、ある程度の緩衝作用も果たし、ステントの緩やかな押圧把持または解放により有利である。
【0037】
図10aは、僧帽弁弁膜置換ステントを示し、ステント本体構造は、耳掛け8、流入路901、移行部902、流出路903、および切欠き7を含み、切欠き7と耳掛け8は、それぞれステントの両端に設置され、当該ステントの軸方向の高さは短く、かつ切欠きが存在するので、装填中にはステントの力受けの均一性が悪く、ステントの傾斜、ねじれ、陥没、さらには損傷が非常に起こりやすい。輸送システムの内管コンポーネントにおいて切欠き7に対応する位置にインプラント保護部品1を設置する時、装填中に、切欠き7におけるメッシュはインプラント保護部品1に接触し、ステントの流出路903の力受けのバランスを確保することができ、ステントの傾斜、ねじれ、陥没などの状況の発生が回避される。
【0038】
図10bは、他の種類のステントを示し、支持本体構造の中央部に切欠き7が設けられ、輸送システムの内管コンポーネントにおいて切欠き7に対応する位置にインプラント保護部品1を設置し、インプラント保護部品1は、切欠きの周囲の少なくとも一部のメッシュに接触して支持力を提供することによって、ステントの力受けのバランスを確保し、ステントの傾斜、ねじれ、陥没などの状況の発生が回避される。
【0039】
図10cは、他の種類のステントの平面図を示し、ステントの流入路901は異形領域9011を有し、非対称な設置とされている。輸送システムの内管コンポーネントにおいて異形領域9011に対応する位置にインプラント保護部品1を設置し、インプラント保護部品1はステントの異形領域9011に接触することにより、流入路901の力受けのバランスを確保することができ、ステントの傾斜、ねじれ、陥没などの状況の発生が回避される。
【0040】
従って、本実施例に提供されるインプラント輸送装置は、その内管コンポーネントにインプラント保護部品1が設置され、その中の保護体11により、自己膨張ステントの大きな支持力、短い軸方向の高さ、非対称などによる力受けの均一性が悪いという問題が解決され、人工弁の病変部位への高品質な解放を実現できる。本発明はまた、ステントが周方向に非対称なステントである場合にも適用可能であり、例えば、ステントの一部の領域が他の領域よりも剛性が低く、または切欠きが非対称に設置される場合、ステントの力受けが不均一になり、装填や解放中に傾き、ねじれ、損傷がより生じやすく、その結果、装填の失敗またはインプラントの使用不能になる。この一部の領域に対応する内管コンポーネントに保護体を設けることによって、ステントに支持力を提供し、その装填および解放を保証することができる。さらに、ステントの種類の多様化に伴い、例えば、分割型ステントの場合、各部分のステントの支持力に対する要求も異なり、各部分の要求に応じて異なるインプラント保護部品を選択することも可能である。
【0041】
本発明は、好ましい実施例に関して上記で開示されているが、本発明を限定するようには意図されておらず、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、いくつかの修正および改良を行うことができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0042】
1:インプラント保護部品、2:固定ヘッド、3:内管、4:テーパヘッド、1a:第1インプラント保護部品、1b:第2インプラント保護部品、11,11a,11b:保護体、111:第1保護体、112:第2保護体、12:接続部材、21:耳掛け凹溝、22:ベース、31:近位内管、32:遠位内管、5:ステント、6:シース、7:切欠き、8:耳掛け、901:流入路、902:移行部、903:流出路、9011:異形領域、51:非アンカーロッド、52:アンカーロッド、100:カテーテル、200:ハンドル。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
【国際調査報告】