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特表2022-550779ホログラフィック光学構造体用のガラス-ポリマー積層体を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ホログラフィック光学構造体用のガラス-ポリマー積層体を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/10 20060101AFI20221128BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C03C27/10 D
C03C3/091
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519734
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020053057
(87)【国際公開番号】W WO2021067180
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,680
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クロール,マーク フランシス
(72)【発明者】
【氏名】メーロトラ,カラン
【テーマコード(参考)】
4G061
4G062
【Fターム(参考)】
4G061AA02
4G061BA12
4G061CB05
4G061CB16
4G061CD02
4G062AA04
4G062BB01
4G062DA06
4G062DB04
4G062DC03
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
4G062EB01
4G062EC01
4G062ED03
4G062EE03
4G062EF03
4G062EG02
4G062EG03
4G062FA01
4G062FB01
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE02
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
(57)【要約】
ガラス積層体を形成する方法であって、ガラスシートを取得するステップと、ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップであって、ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップと、ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップと、を含む方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス-ポリマー積層体を形成する方法であって、
ガラスシートを取得するステップと、
前記ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップであって、前記ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)、応力、およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップと、
前記ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、
前記複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ガラスウェハが、
約61質量%~約62質量%のSiO
約18質量%~約18.4質量%のAl
約7.1質量%~約8.3質量%のB
約1.9質量%~約2.2質量%のMgO;
約6.5質量%~約6.9質量%のCaO;
約2.5質量%~約3.6質量%のSrO;
約0.6質量%~約1.0質量%のBaO;および
約0.1質量%~約0.2質量%のSnO
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスウェハが、約0.1mm~約1mmの厚さと、約589nmの光学波長での約1.5155~約1.5175の屈折率と、約57~約67のアッベ数(V)とを有する、請求項1から2までのいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
前記ガラスウェハが、形成時幾何学的特性として、
(a)約200mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラ;
(b)約200mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反り;および
(c)約0.1分角以下のウェッジ、
を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有するポリマー材料を含む表面を有し、
前記ポリマー材料が、表面レリーフ構造体を含む少なくとも1つの光学構造体、または光学ホログラフィック構造体、またはこれらの組み合わせを含み、
前記ガラス積層体は複数の交互のガラス層とポリマー材料層とを含み、
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がガラス物品層またはポリマー材料層である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ガラス-ポリマー積層体を形成する方法であって、
ガラスシートを取得するステップと、
前記ガラスシートの部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、
反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)およびウェッジのうちの少なくとも1つである適合するガラス特性を有する複数のガラスウェハを選択するステップと、
前記複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記ガラスウェハが、
約61質量%~約62質量%のSiO
約18質量%~約18.4質量%のAl
約7.1質量%~約8.3質量%のB
約1.9質量%~約2.2質量%のMgO;
約6.5質量%~約6.9質量%のCaO;
約2.5質量%~約3.6質量%のSrO;
約0.6質量%~約1.0質量%のBaO;および
約0.1質量%~約0.2質量%のSnO
を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスウェハが、約0.1mm~約1mmの厚さと、約589nmの光学波長での約1.5155~約1.5175の屈折率と、約57~約67のアッベ数(V)とを有する、請求項6から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスウェハが、形成時幾何学的特性として、
(a)約200mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラ;
(b)約200mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反り;および
(c)約0.1分角以下のウェッジ、
を有する、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有するポリマー材料を含む表面を有し、
前記ポリマー材料が、表面レリーフ構造体を含む少なくとも1つの光学構造体、または光学ホログラフィック構造体、またはこれらの組み合わせを含み、
前記ガラス積層体は複数の交互のガラス層とポリマー材料層とを含み、
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がガラス物品層またはポリマー材料層である、
請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第120条のもと、2019年10月1日に出願された米国仮特許出願第62/908680号の優先権の利益を主張し、その内容に依拠するものであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、ガラスシートおよびガラス基板に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、光導波体ベースの拡張現実用光学デバイス用のガラスウェハまたはガラスパネルと、光導波体ベースのモバイルデバイス用のバックライトとに関する。
【背景技術】
【0003】
光導波体ベースの拡張現実用光学デバイス、およびモバイルデバイス用の光導波体ベースのバックライトなどの多数の新たな用途では、薄い平面形状(例えば薄いガラスウェハまたは薄いガラスパネル)を有し、さらに従来の光学ガラスと同様の屈折率属性を有するガラス物品(例えばガラスウェハまたはガラスパネル)が要求されている。このような用途では、平面性および平滑性に関して厳格な幾何学的属性も求められ、また、付加的な光学機能(例えば、レンズアレイ、表面レリーフ格子、ホログラム、ホログラフィック格子など)を実現する媒体としてポリマーが使用される場合に適切な光学ポリマーに適合化されたガラス屈折率も必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当該技術分野では、従来の光学ガラスと同様の屈折率属性を有するガラス物品であって、薄い平面形状を有しつつ、他の有利な特質および特性も有するガラス物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ガラス積層体を形成する方法であって、ガラスシートを取得するステップと、ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップであって、ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)、およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップと、ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップとを含む、方法。
【0006】
ガラス-ポリマー積層体を形成する方法であって、ガラスシートを取得するステップと、ガラスシートの部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)およびウェッジのうちの少なくとも1つである適合するガラス特性を有する複数のガラスウェハを選択するステップと、複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップとを含む、方法。
【0007】
本開示の他の実施形態および変形形態につき、以下に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
上で簡潔にまとめ、以下でより詳細に論じる本開示の実施形態は、添付の図面に示す開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。添付の図面は開示の典型的な実施形態のみを示しており、当該開示には他の等しく効果的な実施形態も認められうるため、範囲を限定するものと見なされるべきではない。
図1】本開示の幾つかの実施形態によるガラス-ポリマー積層体を示す概略図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態による光学構造体を有するガラス-ポリマー積層体を示す概略図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態による光学構造体を有するガラス-ポリマー積層体を示す概略図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態による光学構造体を有するガラス-ポリマー-ガラス積層体を示す概略図である。
図5】フュージョンドロープロセスにおいて精密シートを作製するために使用される成形マンドレルを示す概略図である。
図6】位置6に沿って図1の成形マンドレルを示す断面図である。
図7】反りの定義を説明するために使用される例示的なガラスウェハを示す概略図である。
図8】全体厚みムラ(TTV)の定義を説明するために使用される例示的なガラスウェハを示す概略図である。
図9】本開示の幾つかの実施形態によるガラス積層体を形成する方法を示すフロー図である。
図10】本開示の幾つかの実施形態によるガラス積層体を形成する方法を示すフロー図である。
【0009】
理解を容易にするために、各図に共通する同じ要素を示すことが可能な場合には同じ参照番号を用いている。各図は縮尺通りには描かれておらず、明確にするために簡略化したところがある。本明細書において開示する任意の実施形態の任意の要素および特徴は、さらなる言及なしで他の実施形態に有意に組み込むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面全体を通して、同じまたは類似の部材を指すために同じ参照番号を使用する。ただし、本開示は多くの異なる形態で具体化されうるものであり、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書では、範囲は、特定の1つの“およそ”の値からかつ/または特定の別の“およそ”の値までとして表すことができる。このような範囲が表現されるとき、別の実施形態には、特定の1つの値からかつ/または特定の別の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表現される場合には、先行詞“約”の使用により、特定の値が別の実施形態を成すことが理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他方の端点に関連してもまた他方の端点から独立しても重要であることが理解されるであろう。
【0012】
本明細書で使用する方向に関する用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部、垂直、水平)は、描かれている図に関して用いられるのみであり、絶対的な方向を示唆することを意図するものではない。
【0013】
別段の明示的な言明がない限り、本明細書に記載する任意の方法は、その各ステップを特定の順序で実行することを要求するものと解釈されることも、任意の装置によって特定の方向が要求されるものと解釈されることも意図しない。したがって、方法の請求項がその各ステップの従うべき順序に実際に言明されていない場合、または任意の装置の請求項が個々の構成要素についての順序または方向に実際に言及していない場合、またはそれ以外にも各ステップの特定の順序への限定もしくは装置の構成要素についての特定の順序または方向の言及が特許請求の範囲または説明に具体的に記載されていない場合、いかなる点からも順序または方向が推定されることを意図しない。このことは、各ステップの配置、動作の流れ、構成要素の順序もしくは構成要素の方向に関する論理的事項;文法的編成または句読点から導出される明白な意味;および本明細書において説明する実施形態の数またはタイプ、を含む、解釈のための任意の可能な非明示的根拠に当てはまる。
【0014】
本明細書で使用される単数形(“a”,“an”,“the”)は、文脈が明らかに別の事項を示さない限り、複数に関する言及を含む。したがって、例えば「ある」構成要素への言及は、文脈が明らかに別の事項を示さない限り、2つ以上のこのような構成要素を有する態様を含む。
【0015】
本明細書で用いられる全ての数値範囲は当該範囲内の全ての整数値を明示的に含み、当該範囲内の特定の数値の選択は特定の用途に応じて考慮される。
【0016】
図1は、本開示の幾つかの実施形態によるガラス-ポリマー積層体100の概略図を示している。ガラス-ポリマー積層体100は、ガラス物品102と、当該ガラス物品の表面上のポリマー材料104とを含む。幾つかの実施形態では、ガラス物品102はガラスシートでありうる。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、本明細書において説明するガラス製造装置を使用して形成されるフュージョンガラスシートであってよい。ガラス物品102は、第1の主面110と、第1の主面110の反対側の第2の主面112と、第1の主面110と第2の主面112との間に延在するエッジ面114とを有する。
【0017】
幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体は、第1のガラスシートが第2のガラスシート上に積層されるロールツーロールプロセスで形成されうる。幾つかの実施形態では、ポリマー材料は、第1のガラスシートおよび/または第2のガラスシートに適用することができる。幾つかの実施形態では、ポリマー材料は、例えばスロットダイコーティングプロセスによって、圧延中にガラスシートに取り付けられる。幾つかの実施形態では、第1のガラスシートおよび第2のガラスシートは、実質的に同様のガラス特性(例えば、反り値、TTV値、湾曲度値、および/またはウェッジ値)を有する。本明細書で使用される場合、「実質的に同様のガラス特性」とは、相互に1%以内、または相互に5%以内、または相互に10%以内、または相互に15%以内、または相互に20%以内である値を指す。
【0018】
幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体100は方法900によって形成される。図9は、本開示の幾つかの実施形態によるガラス積層体を形成する方法900のフロー図を示している。幾つかの実施形態では、方法900は、ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップ902と、ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップ904と、複数のガラスウェハを積層してガラスを形成するステップ906とを含む。幾つかの実施形態では、方法900は、ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップ902と、ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップ904と、複数のガラスウェハを積層してガラスを形成するステップ906とから成る(または実質的にこれらのステップから成る)。
【0019】
幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体100は方法1000により形成される。図10は、本開示の幾つかの実施形態によるガラス積層体を形成する方法1000のフロー図を示している。幾つかの実施形態では、方法1000は、ガラスシートの部分から複数のガラスウェハを切り出すステップ1002と、適合するガラス特性を有する複数のガラスウェハを選択するステップ1004であって、当該ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップ1004と、複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップ1006とを含む。幾つかの実施形態では、方法1000は、ガラスシートの部分から複数のガラスウェハを切り出すステップ1002と、適合するガラス特性を有する複数のガラスウェハを選択するステップ1004であって、当該ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)、およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップ1004と、複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップ1006とを含む(または実質的にこれらのステップから成る)。
【0020】
方法900または方法1000の幾つかの実施形態では、コーティングが、切り出されたガラスウェハおよび/またはガラスシートの1つ以上の表面上に適用される。幾つかの実施形態では、コーティングは、反射防止コーティング、反射コーティングまたは部分反射コーティングであってよい。幾つかの例示的な実施形態では、コーティングは、MgFまたはAlである。
【0021】
幾つかの実施形態では、ガラス特性は、反り、全体厚みムラ(TTV)、湾曲度、およびウェッジのうちの少なくとも1つである。本明細書で使用される場合、「適合するガラス特性を選択するステップ」とは、最終的なガラス積層体の幾何学的平坦度値を最大化する反り値、TTV値、湾曲度値および/またはウェッジ値を有するガラス部分を選択することをいう。幾つかの実施形態では、適合するガラス特性を選択するステップは、最終的なガラス積層体の幾何学的平坦度値を最大化する第2のガラス特性を有するガラスシートの選択された第2の部分が補償されるよう、第1のガラス特性を有するガラスシートの第1の部分を選択するステップを含むことができる。適合するガラス特性を選択するステップの一例は、最終的なガラス積層体の幾何学的平坦度値を最大化するために、凸状に湾曲したプロフィルを有するガラスシートの選択された第2の部分に適合するよう、凹状に湾曲したプロフィルを有するガラスシートの第1の部分を選択するステップを含みうる。
【0022】
反りは、平面からの逸脱によって特徴付けられるガラスシートの欠陥である。図7を参照すると、反りの説明に使用されるガラスウェハ702の概略図が示されており、この反りは、それぞれ、最高点708からガラスウェハ702の形状に適用された最小2乗焦点面710(破線)までの間で測定される最大距離704の絶対値と、最低点712から最小2乗焦点面710(破線)までの間で測定される最大距離706の絶対値の合計として定義される。最高点708と最低点712とは共にガラスウェハ702の同一面に対するものである。最小2乗焦点面710は、クランプされていない(自由状態にある)ガラスウェハ702の形状に適用されている。最小2乗焦点面710は次の方法によって決定される。平面が式z=A+Bx-Cyによって決定される。次に、平面からの実データの偏差の2乗の合計の行列最小化によって、最小2乗平面のフィッティングが決定される。当該方法により、最小2乗値A、BおよびCが見いだされる。行列は、
【0023】
【数1】
【0024】
として決定される。A、BおよびCについてこの式を解くことにより、最小2乗フィッティングが完了する。
【0025】
図8を参照すると、クランプされていない(自由状態にある)ガラスウェハ802の全面808上の最大厚さ(Tmax)の隆起部804と最小厚さ(Tmin)の隆起部806との間の差として定義されるTTVを説明するために用いられるガラス802の概略図が示されている。
【0026】
「湾曲度」は、厚さのばらつきにかかわらず、ウェハの中心から測定されたウェハの凹量または変形量として定義される。
【0027】
ある例示的な実施形態では、ガラス物品102は、約1mm未満の厚さ(すなわち、第1の主面110から第2の主面112までの距離)を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約0.1mm~約1mm、または約0.2mm~約1mm、または約0.3mm~約1mm、または約0.4mm~約1mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.6mm~約1mm、または約0.7mm~約1mm、または約0.8mm~約1mm、または約0.9mm~約1mmの厚さを有する。
【0028】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約0.1mm~約0.9mm、または約0.1mm~約0.8mm、または約0.1mm~約0.7mm、または約0.1mm~約0.6mm、または約0.1mm~約0.5mm、または約0.1mm~約0.4mm、または約0.1mm~約0.3mm、または約0.1mm~約0.2mmの厚さを有する。
【0029】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約61質量%~約62質量%のSiO、約18質量%~約18.4質量%のAl、約7.1質量%~約8.3質量%のB、約1.9質量%~約2.2質量%のMgO、約6.5質量%~約6.9質量%のCaO、約2.5質量%~約3.6質量%のSrO、約0.6質量%~約1.0質量%のBaO、および約0.1質量%~約0.2質量%のSnOを含む(またはこれらから成る、またはこれらから実質的に成る)。
【0030】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約67.8モル%~約68.2モル%のSiO、約11.6モル%~約11.9モル%のAl、約6.7モル%~約7.8モル%のB、約3.1モル%~約3.6モル%のMgO、約7.0モル%~約7.6モル%のCaO、約1.6モル%から約2.3モル%のSrO、約0.3モル%~約0.4モル%のBaO、および約0.05モル%~約0.2モル%のSnOを含む(またはこれらから成る、またはこれらから実質的に成る)。
【0031】
本明細書において説明しているガラス組成物では、SiOが基本的なガラス形成剤として機能する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約55質量%~約68質量%、または好ましくは約61質量%~約62質量%のSiOを含む。
【0032】
Alは、本明細書において説明しているガラスを製造するために使用される別のガラス形成剤である。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約16質量%~約20質量%のAlを含む。
【0033】
は、ガラス形成剤であると共に、溶融を補助して溶融温度を下げる融剤でもある。これは、液相温度および粘度の両方に影響を与える。ガラスの液相粘度を上げるために、Bの増量を使用することができる。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約6質量%~約9.5質量%の、または好ましくは約7.1質量%~約8.3質量%のBを含む。
【0034】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は3つのアルカリ土類酸化物、MgO、CaO、SrO、およびBaOを含む。アルカリ土類酸化物は、溶融、清澄化、成形、および最終用途にとって重要な様々な特性をガラスに付与する。
【0035】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約1質量%~約3質量%、または好ましくは約1.9質量%~約2.2質量%のMgOを含む。
【0036】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約5.5質量%~約8質量%、または好ましくは約6.5質量%~約6.9質量%のCaOを含む。
【0037】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約1.5質量%~約4.5質量%、または好ましくは約2.5質量%~約3.6質量%のSrOを含む。
【0038】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約0.1質量%~約2質量%、または好ましくは約0.6質量%~約1.0質量%のBaOを含む。
【0039】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約0.01質量%~約0.5質量%、または好ましくは約0.1質量%~約0.2質量%のSnOを含む。
【0040】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有する。屈折率はn=c/vと定義され、ここで、cは真空中の光速であり、vは対象となる媒体中での光の位相速度である。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約589nmの光学波長において約1.516~約1.517の屈折率を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約589nmの光学波長において約1.5155~約1.5175の屈折率を有する。
【0041】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約57~約67のアッベ数(V)を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約60~約64のアッベ数(V)を有する。ここで使用しているように、アッベ数(V)は、V数または透明材料の収斂性としても知られており、材料分散の尺度(波長に対する屈折率の変動量)である。材料のアッベ数は、
【0042】
【数2】
【0043】
として定義され、ここで、n、nおよびnは、フラウンホーファーのDスペクトル線、Fスペクトル線およびCスペクトル線の波長(それぞれ589.3nm、486.1nm、および656.3nm)における材料の屈折率である。
【0044】
幾つかの実施形態では、本明細書において説明しているガラス物品は、平坦度および粗面性について評価される際の幾つかの測定基準によって特徴付けられる。このような測定基準としては、以下に限定されるものではないが、全体厚みムラ(TTV)、反り、およびウェッジを挙げることができる。
【0045】
上述したように、全体厚みムラ(TTV)は、定義された間隔ν、典型的にはガラスシートの幅全体にわたるガラスシートの最大厚さと最小厚さとの間の差をいう。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約200mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラの形成時幾何学的特性を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約300mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラの形成時幾何学的特性を有する。
【0046】
上で論じたように、反りは、(図1内に)ガラス物品102の118で示された負の面外最大値と、ガラス物品102の116で示された正の面外最大値との差である。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約200mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反りの形成時幾何学的特性を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約300mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反りの形成時幾何学的特性を有する。
【0047】
幾つかの実施形態では、構成要素とは、(例えば、200mmまたは300mmの直径の)ガラス物品102を形成する規定のサイズのガラスシート(またはその一部)をいう。幾つかの実施形態では、構成要素は、より大きな直径のガラスシート(例えば直径200mmまたは300mm)から切り出されたガラス物品102をいう。
【0048】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約0.1分角以下のウェッジの形成時幾何学的特性を有する。本明細書で使用される場合、ウェッジとは、ガラス物品の外縁によって規定されるガラス物品の「機械的軸線」と光学面によって規定される光軸との間の非対称性をいう。
【0049】
幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、円形、長方形、正方形、三角形、または自由形状(例えば円形、長方形、正方形、三角形ではない任意の形状)を有する。平坦なガラス構成要素の形状は、平坦なガラス構成要素の製造に使用されるガラス成形技術/ガラス切り出し技術によってのみ制限される。
【0050】
幾つかの実施形態では、図1に示したように、ポリマー材料104は、ガラス物品102の第1の主面110上に(すなわち直接に接触するように)配置される。幾つかの実施形態では、ポリマー材料104は、ガラス物品102と同様の屈折率特性を有する。幾つかの実施形態では、ポリマー材料104は、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有する。幾つかの実施形態では、ポリマー材料104は、約589nmの光学波長に約1.516~約1.517の屈折率を有する。幾つかの実施形態では、ガラス物品102は、約589nmの光学波長に約1.5155~約1.5175の屈折率を有する。
【0051】
幾つかの実施形態では、ポリマー材料は、少なくとも1つの光学構造体を含む。図2図3は、本開示の幾つかの実施形態による少なくとも1つの光学構造体106を有するガラス-ポリマー積層体100の概略図を示している。幾つかの実施形態では、光学構造体106は、ナノ複製技術およびホログラフィック技術などの技術を使用して形成することができる。図2は、表面レリーフ光学構造体を有するガラス-ポリマー積層体100を示している。幾つかの実施形態では、表面レリーフ光学構造体は格子である。幾つかの実施形態では、光学構造体106は光学ホログラフィック構造体である。図3は、ポリマーのボリューム内に格子および光学ホログラフィック構造体(またはホログラム)などの複数の光学構造体を有するガラス-ポリマー積層体100を示している。幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体100のポリマー材料104の層に複数のホログラムを記録することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体は、図1図3に示されているような単一のガラス物品102の層および単一の光学材料104の層に限定されない。幾つかの実施形態では、ガラス-ポリマー積層体は、複数のガラス物品102の層および/または複数の光学材料104の層を含むことができる。幾つかの実施形態では、複数のガラスポリマー層(例えば、ガラス-ポリマー-ガラス、またはガラス-ポリマー-ガラス-ポリマー)を積層して、ホログラフィックに規定される複数の光学構造体を積層体の別個の異なる物理的層内に作製することができる。例えば、図4は、本開示の幾つかの実施形態による光学構造体を有するガラス-ポリマー-ガラス積層体の概略図を示している。
【0053】
本明細書において説明している本開示の実施形態は、本明細書において説明している組成および属性を有するガラス物品を有利に提供する。任意の形状のガラス物品を作製する能力と組み合わされるこれらの属性は、例えば光導波体ベースの拡張現実用光学デバイスおよびモバイルデバイス向けの光導波体ベースのバックライトのような用途のための明らかな利点である。ガラスの光学属性と有利なガラス物品の形成時幾何学的属性とを組み合わせる能力により、積層体を出る光線の全てがその相対位置を維持するようにガラスプレート内部の光線角度を維持する導波体ソリューションへの最小コストでの道筋が得られる。
【0054】
一実施形態では、例示のガラスは、フュージョンプロセスによってシートへと製造される。フュージョンドロープロセスにより、高解像度TFTバックプレーンおよびカラーフィルタのための、表面媒介歪みが低減されかつファイアポリッシングされた無垢なガラス面を得ることができる。図5は、非限定的なフュージョンドロープロセスにおける成形マンドレルまたはアイソパイプの概略図である。図6は、図5の位置506付近のアイソパイプの概略的な断面図である。ガラスは、入口501から導入され、堰壁509により形成されたトラフ504の底部に沿って圧縮端部502へ流れる。ガラスは堰壁509を越えてアイソパイプの一方側へ流れ(図6を参照)、ガラスの2つの流れは基部510で合流または融合する。アイソパイプの一方端のエッジディレクタ503は、ガラスを冷却してビードと称される厚いストリップをエッジに形成するために使用される。圧延ロールを引くことによってビードが引き下ろされ、これにより高粘度でのシート形成が可能となる。シートがアイソパイプから引き離される速度を調節することにより、フュージョンドロープロセスを使用して、固定の溶融速度できわめて広範な範囲の厚さを生じさせることができる。
【0055】
ダウンドローシートドロープロセス、および特に参照により援用される米国特許第3338696号明細書および米国特許第3682609号明細書(共に整理番号)に記載のフュージョンプロセスを本明細書において使用することができる。何らかの特定の動作理論に拘束されるものではないが、フュージョンプロセスは研磨を必要としないガラス基板を作製可能であると考えられる。現行のガラス基板の研磨は、原子間力顕微鏡法によって測定される約0.5nm(Ra)より大きい平均粗面度を有するガラス基板を作製することができる。フュージョンプロセスによって作製されるガラス基板は、原子間力顕微鏡法により測定される0.5nm未満の平均粗面度を有する。基板はまた、150psi(約1034kPa)以下の、光学リタデーションによって測定される平均内部応力を有する。当然ながら、本明細書に添付している特許請求の範囲は、これに限定されるものではないがフロート成形プロセスなどの他の成形プロセスにも同様に適用可能であるため、本明細書において説明している実施形態としてのフュージョンプロセスに限定されるべきではない。
【0056】
一実施形態では、例示のガラスは、フュージョンプロセスを使用してシート形態へと製造される。例示のガラスはフュージョンプロセスとの適合性を有するが、異なる製造プロセスによってシートまたは他の物品に製造することもできる。このようなプロセスには、スロットドロー、フロート、圧延、および当業者に公知の他のシート形成プロセスが含まれる。
【0057】
ガラスシートを作製するためのこれらの代替的方法と比べて、上述したフュージョンプロセスは、きわめて薄く、きわめて平坦であり、きわめて均一かつ無垢な表面を有するシートを作製することができる。スロットドロー法では、無垢な表面を得ることはできるものの、経時的なオリフィス形状の変化、オリフィス-ガラス界面における揮発性のデブリの蓄積、および真に平坦なガラスの供給のためのオリフィスの作製困難性のために、スロットドローされたガラスの寸法均一性および表面品質は概してフュージョンドローされたガラスに劣る。フロートプロセスは、きわめて大きく均一なシートを提供することはできるが、一方側がフロートバスに接触し、他方側がフロートバスからの凝縮生成物に曝されることで、実質的には表面が損なわれる。これは、高性能ディスプレイ用途での使用のためにフロートガラスが研磨されなければならないことを意味する。
【0058】
フュージョンプロセスは、ガラスの高温からの急速冷却を含む場合があり、高い仮想温度Tが生じる。ここで、仮想温度とは、ガラスの構造状態と、関心対象の温度で完全に緩和している場合に想定される状態との間の差を表現していると考えることができる。ガラス転移温度Tを有するガラスをプロセス温度Tへ再加熱すると、T<T≦Tがガラスの粘度によって影響を受ける可能性がある。T<Tのガラスの構造状態はTで平衡状態から外れ、ガラスはTの平衡状態にある構造状態へ向かって自発的に応力緩和する。当該緩和速度は、Tでのガラスの有効粘度に反比例し、よって、高い粘度では低い緩和速度が生じ、低い粘度では高い緩和速度が生じる。有効粘度は、ガラスの仮想温度に対して反比例にて変化し、よって、ガラスの低い仮想温度では高い粘度が生じ、高い仮想温度では比較的低い粘度が生じる。したがって、Tでの緩和速度はガラスの仮想温度に正比例する。高い仮想温度を導入するプロセスでは、ガラスをTで再加熱する際に比較的高い緩和速度が生じる。
【0059】
における緩和速度を低下させる1つの手段は、その温度におけるガラスの粘度を上昇させることである。ガラスのアニール点は、ガラスの粘度が1013.2P(約1012.2Pa・s)となる温度を表す。温度がアニール点を下回ると、過冷却溶融物の粘度が増大する。T未満の固定の温度では、アニール点が高いガラスは、アニール点が低いガラスよりも粘度が高い。したがって、アニール点を高めれば、Tにおける基板ガラスの粘度を上げることができる。一般的に、アニール点を高めるために必要な組成の変更は、他の全ての温度での粘度も増大させる。非限定的な実施形態では、フュージョンプロセスによって製造されるガラスの仮想温度は、約1011~1012P(約1010Pa・s~1011Pa・s)の粘度に相当するので、フュージョンに適合性を有するガラスのアニール点の上昇は、一般的にその仮想温度も上昇させる。形成プロセスに関係なく、所与のガラスについて、仮想温度が高いほどT未満の温度での粘度が低くなり、したがって、仮想温度を高めることは、そうでない場合にアニール点を高めることにより得られる粘度上昇に抗するように作用する。Tにおける緩和速度を大きく変更するには、一般的に、アニール点を比較的大きく変更しなければならない。例示のガラスの一態様は、約790℃、約795℃、約800℃または約805℃以上のアニール点を有することである。何らかの特定の動作理論に拘束されるものではないが、このような高いアニール点は、低温TFT処理中、例えば典型的には低温ポリシリコンの急速サーマルアニールサイクル中の熱緩和速度を許容可能に低くすると考えられる。
【0060】
仮想温度への影響に加えて、アニール点の上昇は、溶融および形成システム全体の温度、特にアイソパイプ上の温度も上昇させる。例えば、EagleXG(登録商標)ガラスおよびLotus(商標)ガラス(Corning Incorporated, Corning, NY)は、約50℃異なるアニール点を有し、これらがアイソパイプに供給される温度も約50℃異なる。約1310℃より高い温度で長時間保持すると、アイソパイプを形成するジルコン耐火物が熱クリープを示し、この熱クリープがアイソパイプ自体の重量とアイソパイプ上のガラスの重量との加算によって加速されうる。例示のガラスの第2の態様は、それぞれの供給温度が約1350℃、または約1345℃、または約1340℃、または約1335℃、または約1330℃、または約1325℃、または約1320℃、または約1315℃、または約1310℃以下である。このような供給温度により、アイソパイプを交換する必要なしに製造活動を延長することができ、またはアイソパイプ交換の間の時間を延長することができる。
【0061】
特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な修正形態および変形形態が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本明細書では、本明細書に記載の様々な実施形態の修正形態および変形形態も、当該修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に該当する限り包含されることを意図している。
【0062】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0063】
実施形態1
ガラス-ポリマー積層体を形成する方法であって、
ガラスシートを取得するステップと、
前記ガラスシートのうち適合するガラス特性を有する複数の部分を選択するステップであって、前記ガラス特性は、反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)、応力、およびウェッジのうちの少なくとも1つである、ステップと、
前記ガラスシートの選択された部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、
前記複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップと
を含む、方法。
【0064】
実施形態2
前記方法が、切り出された前記ガラスウェハの1つ以上の表面上にコーティングを適用するステップをさらに含み、前記コーティングは、反射防止コーティング、反射コーティング、または部分反射コーティングである、実施形態1記載の方法。
【0065】
実施形態3
前記ガラスウェハが、
約61質量%~約62質量%のSiO
約18質量%~約18.4質量%のAl
約7.1質量%~約8.3質量%のB
約1.9質量%~約2.2質量%のMgO;
約6.5質量%~約6.9質量%のCaO;
約2.5質量%~約3.6質量%のSrO;
約0.6質量%~約1.0質量%のBaO;および
約0.1質量%~約0.2質量%のSnO
を含む、実施形態1から2までのいずれか1つ記載の方法。
【0066】
実施形態4
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0067】
実施形態5
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.516~約1.517の屈折率を有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の方法。
【0068】
実施形態6
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.5155~約1.5175の屈折率を有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0069】
実施形態7
前記ガラスウェハが、約57~約67のアッベ数(V)を有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0070】
実施形態8
前記ガラスウェハが、約60~約64のVを有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0071】
実施形態9
前記ガラスウェハが、形成時幾何学的特性として、
(a)約200mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラ;
(b)約200mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反り;および
(c)約0.1分角以下のウェッジ、
を有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0072】
実施形態10
前記ガラスウェハが、約0.1mm~約1mmの厚さを有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0073】
実施形態11
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有するポリマー材料を含む表面を有する、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0074】
実施形態12
前記ポリマー材料が少なくとも1つの光学構造体を含む、実施形態11記載の方法。
【0075】
実施形態13
前記光学構造体が表面レリーフ構造体を含む、実施形態12記載の方法。
【0076】
実施形態14
前記表面レリーフ構造体が格子を含む、実施形態13記載の方法。
【0077】
実施形態15
前記光学構造体が光学ホログラフィック構造体を含む、実施形態14記載の方法。
【0078】
実施形態16
前記光学構造体が、格子および光学ホログラフィック構造体を含む、実施形態15記載の方法。
【0079】
実施形態17
前記ガラス積層体は複数の交互のガラス層とポリマー材料層とを含む、実施形態11記載の方法。
【0080】
実施形態18
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がガラス物品層である、実施形態17記載の方法。
【0081】
実施形態19
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がポリマー材料層である、実施形態17記載の方法。
【0082】
実施形態20
ガラス-ポリマー積層体を形成する方法であって、
ガラスシートを取得するステップと、
前記ガラスシートの部分から複数のガラスウェハを切り出すステップと、
反り、湾曲度、全体厚みムラ(TTV)およびウェッジのうちの少なくとも1つである適合するガラス特性を有する複数のガラスウェハを選択するステップと、
前記複数のガラスウェハを積層してガラス積層体を形成するステップと
を含む、方法。
【0083】
実施形態21
前記方法が、切り出された前記ガラスウェハの1つ以上の表面上にコーティングを適用するステップをさらに含み、前記コーティングは、反射防止コーティング、反射コーティング、または部分反射コーティングである、実施形態20記載の方法。
【0084】
実施形態22
前記ガラスウェハが、
約61質量%~約62質量%のSiO
約18質量%~約18.4質量%のAl
約7.1質量%~約8.3質量%のB
約1.9質量%~約2.2質量%のMgO;
約6.5質量%~約6.9質量%のCaO;
約2.5質量%~約3.6質量%のSrO;
約0.6質量%~約1.0質量%のBaO;および
約0.1質量%~約0.2質量%のSnO
を含む、実施形態20から21までのいずれか1つ記載の方法。
【0085】
実施形態23
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有する、実施形態20から22までのいずれか1つ記載の方法。
【0086】
実施形態24
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.516~約1.517の屈折率を有する、実施形態20から23までのいずれか1つ記載の方法。
【0087】
実施形態25
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.5155~約1.5175の屈折率を有する、実施形態20から24までのいずれか1つ記載の方法。
【0088】
実施形態26
前記ガラスウェハが、約57~約67のアッベ数(V)を有する、実施形態20から25までのいずれか1つ記載の方法。
【0089】
実施形態27
前記ガラスウェハが、約60~約64のVを有する、実施形態20から26までのいずれか1つ記載の方法。
【0090】
実施形態28
前記ガラスウェハが、形成時幾何学的特性として、
(a)約200mmの構成要素直径にわたる約5μm以下の全体厚みムラ;
(b)約200mmの構成要素直径にわたる約20μm以下の反り;および
(c)約0.1分角以下のウェッジ、
を有する、実施形態20から27までのいずれか1つ記載の方法。
【0091】
実施形態29
前記ガラスウェハが、約0.1mm~約1mmの厚さを有する、実施形態20から28までのいずれか1つ記載の方法。
【0092】
実施形態30
前記ガラスウェハが、約589nmの光学波長に約1.515~約1.517の屈折率を有するポリマー材料を含む表面を有する、実施形態20から29までのいずれか1つ記載の方法。
【0093】
実施形態31
前記ポリマー材料が少なくとも1つの光学構造体を含む、実施形態30記載の方法。
【0094】
実施形態32
前記光学構造体が表面レリーフ構造体を含む、実施形態31記載の方法。
【0095】
実施形態33
前記表面レリーフ構造体が格子を含む、実施形態32記載の方法。
【0096】
実施形態34
前記光学構造体が光学ホログラフィック構造体を含む、実施形態33記載の方法。
【0097】
実施形態35
前記光学構造体が格子およびホログラムを含む、実施形態33記載の方法。
【0098】
実施形態36
前記ガラス積層体が、複数の交互のガラス層とポリマー材料層とを含む、実施形態30記載の方法。
【0099】
実施形態37
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がガラス物品層である、実施形態36記載の方法。
【0100】
実施形態38
前記ガラス-ポリマー積層体の最終層がポリマー材料層である、実施形態36記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】