(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】カラーフィルタを調製するための組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 299/00 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
C08F299/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519807
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2020075686
(87)【国際公開番号】W WO2021058320
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522123496
【氏名又は名称】アルタナ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フェザー
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヘルベ ゾイープ
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127BB041
4J127BB081
4J127BB151
4J127BC031
4J127BC151
4J127BD061
4J127BE111
4J127BE11Y
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BE341
4J127BE34Y
4J127BG051
4J127BG101
4J127BG10Z
4J127BG161
4J127BG16Z
4J127EA13
4J127FA30
(57)【要約】
本発明は、i)着色剤と、ii)ラジカル発生光開始剤と、iii)繰り返し単位の少なくとも40mol%が下記式(I)に従う単位である、ポリマーと(R
1は各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、R
2は、下記式(II)で示される基であり、Lは、連結基であり、nは、0又は1であり、Xは各々存在に対して独立して、O又はCH
2であり、R
3は各々存在に対して独立して、H、COOH、及び式(II)で示される基である)、iv)ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~10.0重量%の、1500g/mol未満の分子量を有する1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと、を含む組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)着色剤と、
ii)ラジカル発生光開始剤と、
iii)繰り返し単位の少なくとも40mol%が下記式(I)に従う単位である、ポリマーと:
【化1】
(ここで、
R
1は、各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、下記式(II)で示される基であり:
【化2】
(ここで、
Lは、連結基であり、nは、0又は1であり、Xは各々存在に対して独立して、O又はCH
2である)、
R
3は、各々存在に対して独立して、H、COOH、及び式(II)で示される基である)、
iv)前記ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~10.0重量%の、1500g/mol未満の分子量を有する1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~5.0重量%の、1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーを実質的に不含とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーiii)が、酸基をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸基が、カルボン酸基である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーiii)が、65~170mg-KOH/gの範囲内の酸価を有する、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸基が、少なくとも4個の炭素原子を有する連結基を介して前記ポリマーの主鎖に連結される、請求項4~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーiii)が、15,000~150,000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記着色剤が、顔料及び染色剤の少なくとも一方を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
多官能性チオールを実質的に不含とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記着色剤のための分散剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
1つ又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
i)20.0~60.0重量%の着色剤と、
ii)1.0~10.0重量%の光開始剤と、
iii)20.0~70.0重量%の、繰り返し単位の40.0~80.0mol%が下記式(I)に従う単位であり、65~170mg-KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリマーと:
【化3】
(ここで、
R
1は、各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、下記式(II)で示される基であり:
【化4】
(ここで、
Lは、連結基であり、nは、0であり、Xは、CH
2である)、
R
3は、Hである)、
iv)0.0~1.5重量%の、1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
v)5.0~20.0重量%の、着色剤のための分散剤と、
vi)0.0~4.0重量%の1種又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物と、
を含み、
前記重量%が前記組成物の非揮発分に基づいて計算されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
a)請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物を基材に塗布するステップと、
b)前記塗布された組成物の選択エリアを化学線への暴露により硬化して、前記塗布された組成物の硬化エリアと未硬化エリアのパターンを作製するステップと、
を含む、カラーフィルタを調製するための工程。
【請求項15】
アルカリ液処理剤での処理により前記塗布された組成物の前記未硬化エリアを溶解するステップc)を含む、請求項14に記載の工程。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の工程により得ることが可能なカラーフィルタ。
【請求項17】
請求項16に記載のカラーフィルタを含む、液晶ディスプレイ、液晶スクリーン、色解像デバイス、又はセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタを調製するのに適した組成物、カラーフィルタを調製するための工程、カラーフィルタ、及びカラーフィルタを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9075305号明細書は、カラーフィルタのための感光性樹脂組成物を記載する。その文書に記載された組成物は、ジシクロペンテニル官能性アクリル系樹脂及び低分子量エチレン性不飽和化合物、特にマレイミドを含有する。組成物中の低分子量マレイミドの量は、相対的に高い。幾つかの実施形態において、低分子量マレイミドの重量は、ジシクロペンテニル官能性アクリル系樹脂の重量を超えている。組成物の硬化の際の不完全な変換が、硬化された組成物中の遊離低分子量マレイミドを脱離する場合がある。低分子量マレイミドは、各ヒトの健康に望ましくない特性を有する。組成物中の低分子量エチレン性不飽和化合物の使用、及び該化合物への暴露を最小限にする必要がある。さらに、カラーフィルタを調製する組成物に典型的に用いられる溶媒へのイミドの溶解度が、限定される。
【0003】
国際公開第2017/085070号パンフレットは、電子デバイス内の誘電層のための架橋性ポリマーに関する。該ポリマーは、側鎖中のオレフィン性ジヒドロジシクロペンタジエニル官能性を有する。該ポリマーは、UV線を利用して架橋される。該架橋性ポリマーは、特に有機電界効果トランジスタのための、誘電層を調製するのに適する。
【0004】
米国特許出願公開第2012/0004341号明細書は、アルカリ可溶性樹脂ポリマー、及びそれを含む感光性樹脂組成物を記載する。該アルカリ可溶性樹脂は、アリルメタクリレートの共重合体である。該感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和重合性結合を有するモノマーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カラーフィルタ、特にパターニングされたカラーフィルタを調製するのに適した組成物を提供しよう努めている。該組成物は、低分子量エチレン性不飽和化合物を低含量だけ含有しなければならず、好ましくは該組成物は、そのような化合物を本質的に不含でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
i)着色剤と、
ii)ラジカル発生光開始剤と、
iii)繰り返し単位の少なくとも40mol%が下記式(I)に従う単位である、ポリマーと:
【化1】
(ここで、
R
1は、各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、下記式(II)で示される基であり:
【化2】
(ここで、
Lは、連結基であり、nは、0又は1であり、Xは各々存在に対して独立して、O又はCH
2である)、
R
3は、各々存在に対して独立して、H、COOH、及び式(II)で示される基である)、
iv)ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~10.0重量%の、1500g/mol未満の分子量を有する1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
を含む、組成物を提供する。
【0007】
本発明の組成物は、カラーフィルタ、特にパターニングされたカラーフィルタを調製するのに非常に適する。該組成物は、低分子量エチレン性不飽和化合物の添加を行わずに配合され得る。
【0008】
概して該組成物は、ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~10.0重量%の、1500g/mol未満の分子量を有する1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーを含む。幾つかの実施形態において、該組成物は、アルコキシシラン基と、エチレン性不飽和重合性基と、を含む、接着改善添加剤を含んでいてもよい。それゆえ好ましい実施形態において、成分iv)の重量制限は、1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、エチレン性不飽和重合性モノマーに関する。好ましい実施形態において、該組成物は、ポリマーiii)の重量に基づいて計算されて0.0~5.0重量%であり、1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーを含む。組成物は、そのようなモノマーを不含、又は本質的に不含とすることが最も好ましい。本質的に不含は、該組成物が、1500g/mol未満の分子量を有し、アルコキシシラン基を有さない、エチレン性不飽和重合性モノマーを、組成物の特性に実質的に影響する量で含有しないことを意味する。幾つかの実施形態において、該組成物は、ポリマーiii)の調製からの少量の残留する非重合エチレン性不飽和モノマーを0.0~1.5重量%の量で含有していてもよい。そのような量のエチレン性不飽和重合性モノマーは、該組成物の特性に実質的に影響しない。
【0009】
エチレン性不飽和重合性モノマーiv)の例としては、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸又は多価カルボン酸と上記の脂肪族ポリヒドロキシ化合物及び芳香族ポリヒドロキシ化合物などの多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られたエステル、及び好ましくはポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させることにより得ることが可能な、ウレタン骨格を有するエチレン性不飽和化合物、いわゆるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0010】
具体的例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びグリセロール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルをはじめとする脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルである。エチレン性不飽和化合物iv)のさらなる例としては、1種又は複数のマレイミド基を有するマレイミドが挙げられる。そのようなマレイミドの例は、米国特許第9075305号明細書の6欄42行目~89欄40行目に記載される。
【0011】
カラーフィルタを調製するために、本発明の組成物は、着色剤を含む。着色剤i)は、少なくとも1種の顔料、又は少なくとも1種の染色剤、又は顔料の混合物、又は少なくとも1種の顔料と少なくとも1種の染色剤の混合物、又は染色剤の混合物であり得る。本発明の組成物中の着色剤としては、顔料が好ましい。有機及び/又は無機顔料が、用いられ得る。好ましいのは、有機顔料である。着色剤は、いわゆる分散染色剤をさらに含む。
【0012】
特定の適用において、染色剤の混合物は、青色に好ましく、顔料の混合物は、緑色に好ましく、顔料の混合物又は顔料と染色剤の混合物は、赤色に好ましい。
【0013】
カラーフィルタの色は通常、赤色、緑色又は青色であり、画素の周囲にブラックマトリクスを有する。非常に多くの顔料は、混合されて、特定の画素の色を実現する。例えば緑色の画素組成物は、グリーンシェード及びイエローシェードを有する顔料のブレンドを含有し得る。
【0014】
好ましい有機顔料は、ジケトピロロピロール顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、インダントレン顔料及びペリレン顔料である。顔料は、無機顔料でもあり得る。
【0015】
適切な着色剤の具体的例は、国際公開第2019/096891号パンフレットの9ページ30行~13ページ16行に記載される。
【0016】
着色剤として用いられる顔料(複数可)が、ISO13320:2009に従うレーザ回折による決定で1μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは50nm以下の平均粒子径中央値を有することが、好ましい。
【0017】
概して組成物中の着色剤の量は、組成物の非揮発分に基づいて計算されて20.0~60.0重量%の範囲内である。組成物中の着色剤の好ましい量は、着色剤のタイプに依存する。赤色着色剤は、組成物の非揮発分に基づいて計算されて、好ましくは30.0~35.0重量%の量で存在する。緑色着色剤は、組成物の非揮発分に基づいて計算されて、好ましくは40.0~50.0重量%の量で存在する。青色着色剤は、組成物の非揮発分に基づいて計算されて、好ましくは25.0~30.0重量%の量で存在する。
【0018】
該組成物は、ラジカル発生光開始剤をさらに含む。
【0019】
光開始剤は多くの場合、光重合開始剤と、必要に応じて添加される重合促進剤と、直接光を吸収して、又は感光されて、分解反応又は水素抽出反応を起こす成分と、の混合物として用いられ、重合活性ラジカルを発生させる機能を有する。異なる種類の光重合開始剤が、文献で周知されており、本発明の組成物は、本発明の組成物と組み合わせられる光重合開始剤の異なる種類の使用に関して制限されない。光重合開始剤の例としては、特開昭59-152396号公報及び特開昭61-151197号公報に記載されたチオキサントン誘導体、チタノセン誘導体;特開平10-300922号公報、特開平11-174224号公報及び特開2000-56118号公報に記載されたヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10-39503号公報に記載されたハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル-s-トリアジン誘導体、N-フェニルグリシンなどのN-アリール-α-アミノ酸、N-アリール-α-アミノ酸塩及びN-アリール-α-アミノ酸エステル、並びにα-アミノアルキルフェノン誘導体などのラジカル活性化剤;特開2000-80068号公報に記載されたオキシムエステルに基づく誘導体が挙げられる。高波長で、例えば365~405nmの範囲内で、活性である光重合開始剤を利用する傾向がある。
【0020】
適切な光開始剤の具体的例としては、ベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、チオキサントン、2-、4-イソプロピルチオキサントン(異性体)、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-トリフルオロメチルチオキサントン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-メトキシスチリル-s-トリアジン、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾール、4-)-4’-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-4-モルホリノブチロフェノン)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル)エタノン1(O-アセチルオキシム)(OXE02)、2-(0-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(OXE01)、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、オリゴマー性1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン(Speedcure7010)、5-ジベンゾスベレノン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
必要に応じて用いられる重合促進剤の例としては、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N-ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール及び2-メルカプトベンゾイミダゾールなどの複素環を有するメルカプト化合物などのメルカプト化合物;又は脂肪族多官能性メルカプト化合物が挙げられる。
【0022】
光重合開始剤及び光重合促進剤は、単独で、又は組み合わせで用いられてもよい。
【0023】
該組成物は、繰り返し単位の少なくとも40mol%が下記式(I)に従う単位である、ポリマーiii)をさらに含む:
【化3】
(ここで、
R
1は、各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、下記式(II)で示される基であり:
【化4】
(ここで、
Lは、連結基であり、nは、0又は1であり、Xは各々存在に対して独立して、O又はCH
2である)、
R
3は、各々存在に対して独立して、H、COOH、及び式(II)で示される基である)。
【0024】
概して、ポリマーiii)中の繰り返し単位の40.0~80.0mol%は、式(I)に従う単位である。好ましい実施形態において、繰り返し単位の少なくとも45.0mol%は、式(I)に従う単位である。
【0025】
幾つかの実施形態において、式(II)において、nが0であることが好ましい。XがCH2であることも、好ましい。
【0026】
連結基Lは、式(II)で示される基をポリマーバックボーンに連結する。好ましい実施形態において、基Lは、エステル基を含む。幾つかの実施形態において、該連結基は、エステル基及びエーテル基を含む。該連結基Lは、多環系の中に突出した線により交差された結合の炭素原子のどれかを介して、式(II)で示される基の多環系に接続される。
【0027】
本発明に従って用いられるポリマーiii)は、エチレン性不飽和重合性モノマーの公知の重合工程を介して適切に調製される。重合工程の例としては、ラジカル開始剤でのフリーラジカル重合に加え、ATRP(原子移動ラジカル重合)、RAFT(可逆的付加開連鎖移動)又はNMP(ニトロキシド媒介重合)などの制御されたフリーラジカル重合が挙げられる。
【0028】
式(I)で示される繰り返し単位は適切には、式(II)で示される基を有するエチレン性不飽和重合性モノマーの重合によりポリマー内に組み込まれる。そのようなモノマーの例は、以下の構造により表される:
【化5】
【0029】
ポリマーiii)は概して、式(I)で示される繰り返し単位に加えて、他のエチレン性不飽和重合性モノマーに由来する他の繰り返し単位を含む。そのようなモノマーの例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドが挙げられる。本明細書において用語「(メタ)アクリル」は、メタクリル及びアクリルの両方を指す。同じことが同様に、メタクリレート及びアクリレートの両方を指す用語「(メタ)アクリレート」に適用される。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチル-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、ノナニル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピル-5-メチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートなどの1~22個、好ましくは1~12個、より好ましくは1~8個、最も好ましくは1~6個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが、挙げられてもよい。他の適切なモノマーは、フェニルアクリレートなどの、可能な追加的置換基を有さないアリール環が5~12個、好ましくは6~10個の炭素原子を含有する、アリール(メタ)アクリル酸エステル;及びベンジル(メタ)アクリレートなどの、アリールラジカル上に可能な追加的置換基を有さないアラルキルラジカルが6~11個、好ましくは7~11個の炭素原子を含有する、アラルキル(メタ)アクリル酸エステルである。他の共重合性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド及び無水マレイン酸が挙げられる。他の適切なモノマーは、スチレン及びビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物に加え、ビニルエステルである。
【0030】
幾つかの実施形態において、式(I)で示される繰り返し単位は、既存のポリマーの修飾により、例えば市販のポリマーとヒドロキシジクロロペンタジエン(DCPD-OH)とのポリマー類似反応により、調製されてもよい。そのような反応に特に適したポリマーは、DCPD-OHでエステル化され得るカルボン酸又はカルボン酸無水物基を有するそれらのものである。
【0031】
本発明の一変形例において、これは、ポリ(スチレン-co-マレイン酸無水物)、ポリ(エチレン-co-マレイン酸無水物)、ポリ(ビニルメチルエーテル-co-マレイン酸無水物)、ポリ(オクタデセン-co-マレイン酸無水物)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを用いて実行される。カルボン酸無水物官能性ポリマーが、DCPD-OHと反応される場合、ジシクロペンタジエニル基が、エステル基を介してポリマーバックボーンに連結される。DCPD-OHとカルボン酸無水物官能性ポリマーとの反応では、概してカルボン酸基が形成され、ジシクロペンタジエニル基が、エステル基を介してポリマーバックボーンに連結される。この場合、式(I)におけるR3は、COOHである。反応が、より高温で実行される場合、水及び/又はカルボン酸無水物基に対してモル過剰のDCPD-OHの除去、形成されたカルボン酸基のさらなるエステル化が、起こり得る。この場合、式(I)におけるR3は、式(II)で示される基である。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中で用いられるポリマーiii)は、酸基を含む。ポリマー中の酸基は、ポリマーをアルカリ溶液中に可溶性にすることができる。この特性は、パターニングされたカラーフィルタを調製する工程において未硬化ポリマーを溶解することに関係する。適切な酸基の例は、カルボン酸基、リン酸基又は酸性リン酸エステル基、スルホン酸基、及びそれらの組み合わせである。これらの中では、カルボン酸基が、好ましい。
【0033】
適切にはポリマーiii)は、65~170mg-KOH/g、好ましくは75~155mg-KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【0034】
酸価は適切には、DIN EN ISO2114(June 2002)に従って決定され得る。
【0035】
幾つかの実施形態において、ポリマーiii)の酸基は、ポリマーの主鎖に直接接続される。好ましい実施形態において、酸基は、連結基を介してポリマー主鎖に連結されたペンダント基として存在する。連結基は概して、少なくとも4個の炭素原子を有する。適切には連結基は、4~30個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態において、連結基は、エステル基を含む。
【0036】
ポリマーiii)は適切には、15,000~150,000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する。好ましい実施形態において、重量平均分子量は、20,000~80,000g/molの範囲内である。重量平均分子量は適切には、溶離液としてのテトラヒドロフラン及び較正標準としてのポリスチレンを用いて、ゲル透過クロマトグラフィーにより決定される。
【0037】
エチレン性不飽和ポリマーを含む組成物中に多官能性チオールを含めてフリーラジカルで硬化を開始せることが、最先端技術で知られている。多官能性チオールは、2個以上のチオール基を有する有機化合物である。チオール及び多官能性チオールは、好適でない毒性及び臭覚的特性を有する。それゆえ本発明の組成物は、多官能性チオールを不含、又は本質的に不含とすることが好ましい。多官能性チオールを本質的に不含とは、組成物が、多官能性チオールを組成物の特性に実質的に影響する量で含有しないことを意味する。0.0~0.2重量%の量の多官能性チオールを含む組成物は概して、多官能性チオールを本質的に不含と見なされる。
【0038】
本発明の組成物は概して、23℃の温度では液体である。液体組成物を得るため、そして粘度を所望のレベルに調整するために、組成物は概して、揮発性有機溶媒を含む。
【0039】
有機溶媒は、好ましくは80~300℃の範囲内に標準圧(101.325kPa)での沸点、より好ましくは100~250℃の範囲内に沸点を有する。
【0040】
本発明の組成物の有機溶媒の含量は、好ましくは本発明の組成物の総重量の10~95重量%、より好ましくは60~90重量%である。
【0041】
そのような溶媒の例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル;エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートなどのグリコールアルキルエーテルアセテート;ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びグリセリンなどの一価又は多価アルコール;n-ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;トルエン、キシレン及びクメンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの直鎖状又は環状エステル;アセトニトリル及びベンゾニトリルなどのニトリル、又はそれらの混合物が挙げられる。同じく適切なのは、エトキシエチルプロピオネート、及びn-ブタノールを含有する溶媒ブレンド、例えばn-ブタノールとジメチルスルホキシドのブレンドである。
【0042】
好ましくは有機溶媒は、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテル、グリコールアルキルエーテルアセテート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。グリコールアルキルエーテルアセテートが、より好ましい。最も好ましいのは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。グリコールアルキルエーテルアセテートは、単独で、又は他の溶媒と組み合わせて用いられてもよい。
【0043】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、着色剤のための分散剤を含む。分散剤は概して、結合剤親和性セグメント及び1つ又は複数の顔料親和性基を含有する。顔料親和性基の例としては、アミン基、第四級アンモニウム基、アミン基の塩、カルボン酸基、及びリン酸基が挙げられる。適切な分散剤の例は、数多くの特許公開に記載される。特開2009-25813号公報は、80mg-KOH/g~150mg-KOH/gの範囲内のアミン値を有する、着色レジストの調製のためのアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルからなるアミン系ブロック共重合体の使用を記載する。米国特許第5,272,201号明細書は、グループトランスファー重合を利用して調製され、1つのブロック内にアミン系モノマーを、そして他のブロック内に酸性モノマーを湿潤剤及び分散剤として含む、メタクリレートブロック共重合体の使用を記載する。欧州特許第2589614号明細書には、1つのブロック内に顔料親和性基としての少なくとも1つの第三級アミノ基及び/又は第四級アンモニウム塩基を、他のブロック内にカルボン酸基を含有する最大10mol%のモノマーを含有する、ABジブロック共重合体分散剤を有する顔料系UV感受性配合剤が記載される。特開2013053231号公報は、1つのブロック内のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、他のブロック内の少なくとも1つのアミノ基を担うアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、からなるモノマーから形成されたグループトランスファー重合を利用したABジブロック共重合体を調製する工程を記載する。適切な市販の分散剤の例は、BYK-Chemie GmbHから商品名DISPERBYKとして入手できる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、1つ又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物を含む。アルコキシシラン基は、構造R-O-Si(Rは、アルキル基を表す)を有する。好ましい実施形態において、Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。好ましい実施形態において、1つ又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物は、少なくとも1つのさらなる官能基を有する。さらなる官能基は適切には、エポキシド基、第一級又は第二級アミン基、及びエチレン性不飽和重合性基から選択される。1つ又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0045】
好ましい実施形態において、該組成物は、
i)20.0~60.0重量%の着色剤と、
ii)1.0~10.0重量%の光開始剤と、
iii)20.0~70.0重量%の、繰り返し単位の40.0~80.0mol%が下記式(I)に従う単位であり、65~170mg-KOH/gの範囲内の酸価を有するポリマーと:
【化6】
(ここで、
R
1は、各々存在に対して独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、下記式(II)で示される基であり:
【化7】
(ここで、
Lは、連結基であり、nは、0であり、Xは、CH
2である)、
R
3は、Hである)、
iv)0.0~1.5重量%の、1500g/mol未満の分子量を有する1種又は複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと、
v)5.0~20.0重量%の、着色剤のための分散剤と、
vi)0.0~4.0重量%の1種又は複数のアルコキシシラン基を有する化合物と、
を含み、
重量%は、組成物の非揮発分に基づいて計算されている。
【0046】
本発明の組成物は、カラーフィルタを調製するのに非常に適する。それゆえ本発明はまた、カラーフィルタを調製するための工程に関する。該工程は、
a)本発明による組成物を基材に塗布するステップと、
b)塗布された組成物の選択エリアを化学線への暴露により硬化して、塗布された組成物の硬化エリアと未硬化エリアのパターンを作製するステップと、
を含む。
【0047】
化学線は、化学反応を惹起することが可能な放射線である。化学線の例は、UV線及び電子ビーム線である。好ましい実施形態において、該工程は、アルカリ液処理剤での処理により塗布された組成物の未硬化エリアを溶解するステップc)をさらに含む。
【0048】
本発明はさらに、本発明の工程により得ることが可能なカラーフィルタに加え、カラーフィルタを含む液晶ディスプレイ、液晶スクリーン、色解像デバイス(color resolution device)、又はセンサに関する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
【0050】
ポリマーiii)の調製
ポリマーP1~P8の調製のための基本手順
溶媒PGMEAは、窒素雰囲気下で反応容器に入れられ、100°に加熱された。
【0051】
PGMEA 2gに溶解されたモノマー混合物及び開始剤が、別々に120分にわたり計量された。計量の後、反応はさらに60分間継続され、PGMEA 1gに溶解された第二の開始剤分量が滴加された。180分のさらなる反応の後、反応混合物が室温に冷却された。調製されたポリマーが、以下の表1に概説される。
【0052】
【0053】
ポリマーP1~P8の光架橋層の調製及び評価
ポリマー溶液が、30分間、撹拌されながら光開始剤及びPGMEAと混合された。溶液は、予め洗浄された1’’ガラス基材上に1000rpmで回転塗布された。ホットプレート上でのプリベーク(90℃、2分)の後、基材がUV光に暴露された(100mJ/cm2、i線)。基材はその後、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムと共に0.5%NaOH溶液を含有するビーカに60秒間入れられて、脱イオン水で洗浄された。薄膜保持率(film retention)は、顕色浴への浸漬前と後の乾燥薄膜の層厚の比率から決定された。層厚は、表面形状測定装置(Surface Profiler 150 Veeco)の助力を得て、薄膜をスクラッチすること、及びステップ高さを決定すること、により測定された。30mol%DCPD繰り返し単位を含有する比較用ポリマーP8の光架橋層は、極わずかの被膜保持率を呈し、ポリマーの不充分な架橋を示した。
【0054】
【0055】
本発明による組成物の調製
組成物1
ミルベースMB1の調製
Irgaphor Red BT-CF 7.5g、ポリマー溶液P2 10.0g、LPN21169 5.6g、PGMEA 24.4g及びn-ブタノール2.5gが、一緒にガラス瓶に入れられた。Zirconoxビーズ 100gが添加され、分散工程がLAU分散機DA S200により40℃で4時間の期間にわたり実施された。
【0056】
MB1 20.0g、P2 20.0g及び光開始剤TAZ-110 0.32gが2時間、撹拌されながら混合されて、1~2μm孔径シリンジフィルタで濾過された。
【0057】
組成物2
ミルベースMB2の調製
Irgaphor Red BT-CF 7.5g、ポリマー溶液P5 12.5g、LPN21169 5.6g、PGMEA 21.9g及びn-ブタノール2.5gが、一緒にガラス瓶に入れられた。Zirconoxビーズ 100gが添加され、分散工程がLAU分散機DA S200により40℃で4時間の期間にわたり実施された。
【0058】
MB2 20.0g、P5 20.0g及び光開始剤TAZ-110 0.32gが2時間、撹拌されながら混合されて、1~2μm孔径シリンジフィルタで濾過された。
【0059】
組成物3
ミルベースMB3の調製
Irgaphor Red BT-CF 7.5g、ポリマー溶液P4 12.5g、LPN21169 5.6g、PGMEA 21.9g及びn-ブタノール2.5gが、二重壁ステンレス鋼コンテナ内で撹拌されながら混合された。Zirconoxビーズ 100gが添加され、分散工程が溶解機Dispermat LC30(VMA-Getzmann)を用いて40℃で10時間の期間にわたり実施された。
【0060】
MB3 20.0g、P4 20.0g、Dynasilane Glymo 0.16g及び光開始剤OXE02 0.32gが2時間、撹拌されながら混合されて、1~2μm孔径シリンジフィルタで濾過された。
【0061】
カラーフィルタの調製
カラーフィルタ1
組成物1が、予め洗浄された1’’ガラス基材上に1000rpmで回転塗布された。ホットプレート上でのプリベーク(150℃、2分)の後、基材がシャドウマスクで覆われて(USAF1951分解能ターゲット)、UV光に暴露された(100mJ/cm2、i線)。基材はその後、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムと共に0.5%NaOH溶液を含有するビーカに120秒間入れられて、脱イオン水で洗浄された。そして、フォトパターニングされた基材が、120℃で5分間焼成された。膜厚1.3μmで7μmの最小線幅分解能が、得られた。
【0062】
カラーフィルタ2
組成物2が、予め洗浄された1’’ガラス基材上に2000rpmで回転塗布された。ホットプレート上でのプリベーク(120℃、5分)の後、基材がシャドウマスクで覆われて(USAF1951分解能ターゲット)、UV光に暴露された(200mJ/cm2、i線)。基材はその後、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムと共に0.5%NaOH溶液を含有するビーカに150秒間入れられて、脱イオン水で洗浄された。そして、フォトパターニングされた基材が、120℃で5分間焼成された。膜厚1.6μmで8μmの最小線幅分解能が、得られた。
【0063】
カラーフィルタ3
組成物3が、予め洗浄された1’’ガラス基材上に1500rpmで回転塗布された。ホットプレート上でのプリベーク(90℃、2分)の後、基材がシャドウマスクで覆われて(USAF1951分解能ターゲット)、UV光に暴露された(200mJ/cm2、i線)。基材はその後、0.2%ドデシル硫酸ナトリウムと共に0.5%NaOH溶液を含有するビーカに100秒間入れられて、脱イオン水で洗浄された。そして、フォトパターニングされた基材が、120℃で5分間焼成された。膜厚1.5μmで10μmの最小線幅分解能が、得られた。
【0064】
本発明の組成物が実質的量の低分子量エチレン性不飽和重合性モノマーを用いずにカラーフィルタを調製するのに非常に適することが、実証された。
【国際調査報告】