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特表2022-550791NCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法
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  • 特表-NCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】NCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20221128BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221128BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221128BHJP
【FI】
C01G53/00 A
H01M4/525
H01M4/505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520023
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2021110196
(87)【国際公開番号】W WO2022033351
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】202010795833.7
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522126132
【氏名又は名称】浙江▲ぱ▼瓦新能源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】張宝
(72)【発明者】
【氏名】王振宇
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050FA17
5H050FA19
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050GA29
5H050GA30
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA10
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、リチウムイオン電池の技術分野に属し、NCMA高ニッケル四元系前
駆体の湿式合成法を提供する。
【解決手段】かかる方法は、第一反応釜においてNCMA四元系前駆体中実微小結晶核を
合成し、第二反応釜において所定粒度になるまで前記四元系前駆体中実微小結晶核の持続
的成長を促進し、第一反応釜において上段フィード方式で前記NCMA四元系前駆体中実
微小結晶核を連続的に製造し、第二反応釜において上下2段フィード方式で前記NCMA
四元系前駆体中実微小結晶核の持続的成長を促進する。洗浄工程において、所定濃度の炭
酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのアルカリ混合液でNCMA四元系前駆体を洗浄するこ
とで、Naを50ppm以下に、硫黄を800ppm以下に洗浄することができる。本作
製方法で作製したNCMA四元系前駆体は、粒度分布が均一であり、球形度が良く、アル
ミニウムの添加により一次粒子間の境界強度が高まり、三元系前駆体材料の高エネルギー
密度を向上しながら、その安定性およびサイクル特性を高めることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一反応釜においてNCMA四元系前駆体中実微小結晶核を合成し、第二反応釜におい
て所定粒度になるまで前記四元系前駆体中実微小結晶核の持続的成長を促進し、
第一反応釜において上段フィード方式で前記NCMA四元系前駆体中実微小結晶核を連
続的に製造し、第二反応釜において上下2段フィード方式で前記NCMA四元系前駆体中
実微小結晶核の持続的成長を促進することを特徴とするNCMA高ニッケル四元系前駆体
の湿式合成法。
【請求項2】
以下の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体
の湿式合成法。
(1)溶液の調製:
錯化剤溶液A、沈殿剤溶液Bを調製し、
ニッケル、コバルト、マンガン塩の溶液Cを調製し、
メタアルミン酸ナトリウム溶液Dを調製する;
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)第一反応釜に蒸留水、溶液A、溶液Bを仕込んで反応釜ベース液Eを調製し、反応
釜ベース液Eの初期pH、温度、攪拌回転数及び錯化剤の濃度を制御し、不活性ガスを通
気して反応釜内の反応雰囲気を制御し、
(2)上段フィード方式で、攪拌下の第一反応釜に溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dを各
々の対応する送液管により連続的に仕込み、反応工程における反応系の攪拌回転数、温度
、pH値、錯化剤の濃度、固形物含有量、反応時間、スラリー上清の色及び遊離Niの濃
度を制御し、反応スラリーの粒度をリアルタイムで検出し、D50が2~10μmになる
と反応を停止し、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得る;
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)第二反応釜に蒸留水、溶液A、溶液Bを仕込んで所定のpH及び錯化剤濃度を有す
る反応釜ベース液Gを調製し、第二反応釜の温度、攪拌回転数及び気体雰囲気を制御し、
(2)第二反応釜において、工程(2)で作製したNCMA四元系前駆体微小結晶核を反
応釜ベース液Gに加え、均一に攪拌し、
(3)上下2段フィード方式で、第二反応釜に溶液A、溶液C、溶液Dを各々の上下2本
の送液管により仕込み、上段フィード方式で、第二反応釜に溶液Bを上段送液管により仕
込み、反応工程における攪拌回転数、反応温度、反応pH値、錯化剤の濃度、固形物含有
量、反応時間、スラリー上清の色、遊離Niの濃度及びスラリーの色を制御し、反応スラ
リーの粒度をリアルタイムで検出し、D50が3~16μmになると、反応を停止し、N
CMA高ニッケル四元系前駆体スラリーHを得る;
(4)前記NCMA高ニッケル四元系前駆体スラリーHをろ過し、ろ過物を洗浄、乾燥
、篩分け、除鉄し、NCMA高ニッケル四元系前駆体を得る。
【請求項3】
工程(1)において、
溶液A中の錯化剤の濃度は4~11mol/Lであり、前記錯化剤はアンモニア水、炭
酸水素アンモニウム、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸よりなる群から選択さ
れる少なくとも1種であり、
溶液B中の沈殿剤の濃度は1~11mol/Lであり、前記沈殿剤はNaOH、KOH
、Ba(OH)、NaCO、LiOHよりなる群から選択される少なくとも1種で
あり、
溶液C中のニッケル、コバルト、マンガン金属イオンの合計濃度は0.8~5.0mo
l/Lであり、前記ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩は硫酸塩、酢酸塩、ハロゲン塩
、硝酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
溶液D中のメタアルミン酸ナトリウムの濃度は0.01~5.0mol/Lであり、メ
タアルミン酸ナトリウム中のアルミニウムは硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、硫酸
アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種に由来することを特徴とする請求
項2に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項4】
工程(2)において、
前記反応釜ベース液Eの初期pHを11~14に制御し、錯化剤の濃度は6~15g/
Lであり、前記反応釜ベース液Eの体積は第一反応釜体積の1/6~1であり、
前記反応系の攪拌速度を300~1200rpmに、固形物含有量を150~400g
/Lに、温度を30~90℃に制御し、所定時間毎に少量のスラリーをとり、静置して上
清の色を観察し、スラリー上清が青色に現れず遊離Niの濃度が0~600ppmになる
ように維持することを特徴とする請求項2に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿
式合成法。
【請求項5】
工程(3)において、
反応釜ベース液Gの体積は第二反応釜体積の1/2~1であり、初期pHを10~13
に制御し、錯化剤の濃度は6~15g/Lであり、
1リットルあたりの反応釜ベース液Gに20~220gのNCMA四元系前駆体微小結
晶核を加え、
反応系の攪拌速度を300~1200rpmに制御し、固形物含有量は300~100
0g/Lであり、反応温度は30~90℃であり、
スラリー上清が青色に現れず遊離Niの濃度が0~700ppmになるように維持する
ことを特徴とする請求項2に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項6】
前記第二反応釜において、攪拌翼は上段攪拌翼と下段攪拌翼に設置され、溶液A、溶液
C、溶液Dを送液する上端フィード管と、溶液Bを送液する送液管は、上段攪拌翼におけ
る同一水平位置に設置され、溶液A、溶液C、溶液Dを送液する下端フィード管は、下段
攪拌翼における同一水平位置に設置されることを特徴とする請求項2に記載のNCMA高
ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項7】
工程(2)および工程(3)において、
前記溶液Aの流量または合計流量は1~80mL/minであり、溶液Bの流量は20
~100mL/minであり、溶液Cの流量または合計流量は10~1000mL/mi
nであり、溶液Dの流量または合計流量は5~60mL/minであり、
前記溶液Aの上下2本の送液管内の溶液の流量比は1:(0.1~10)であり、前記
溶液Cの上下2本の送液管内の溶液の流量比は1:(0.1~20)であり、前記溶液D
の上下2本の送液管内の溶液の流量比は1:(0.1~8)であることを特徴とする請求
項6に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項8】
工程(4)において、ろ過時にろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環
させて結晶核の製造プロセスを継続することを特徴とする請求項2に記載のNCMA高ニ
ッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項9】
第二反応釜と第一反応釜との体積比は4~12:1であることを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
【請求項10】
工程(4)における前記洗浄では、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を洗
浄液とし、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのモル濃度比は1~10:1であることを
特徴とする請求項1に記載のNCMA高ニッケル四元系前駆体正極材料の湿式合成法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン電池の技術分野に属し、具体的にリチウムイオン電池正極材料
四元系前駆体の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高ニッケルNCM三元系前駆体は、放電容量が高いが、容量維持率、サイクル安
定性、熱安定性が劣る。NCMA高ニッケル四元系前駆体は、Alを宿主構造に結合して
誘導するより強い結合により構造安定性を向上し、陽イオン混合を低減し、サイクル過程
における層状相のスピネル状相への望ましくない相転移を阻害し、ひいては容量維持率、
サイクル特性、熱安定性を向上する。従来のニッケル・コバルト・マンガンまたはアルミ
ニウム前駆体は、1本の送液管を用いて、塩、アルカリ、アンモニア等の原料を反応釜の
上端から反応系に注入するフィード方式が主流であるが、原料を均一に混合することがで
きず、局所的に金属イオンが過飽和になり、pHが高く、大量の結晶核(または極小粒子
)が形成する。アンモニア水を錯化剤として使用すると、NH・HOはNi2+、C
2+と錯化し、反応速度を制御し、反応時のpHが極めて小さな範囲で変動するが、A
3+はアンモニア水と錯化しにくいため、より速く沈殿し、大量の小粒子が形成し、ひ
いては粒子の成長が遅れて且つNCA製品の元素分布が均一でなくなる。また、Al元素
は、両性の特性を有する。従来のNCM三元系前駆体の洗浄プロセスでは、洗浄液として
使用するNaOHは、硫酸アンモニウム複合塩の結晶と反応して複合塩の構造を破壊する
ため、硫酸イオンが放出され、溶液におけるNaOHの濃度が高くなるほどSO 2-
溶出により有利であるが、濃度が高くなるとAl(OH)が溶解され、完成品の主成分
の含有量にバラツキが生じ、粒子形態が変化するおそれがある。
【0003】
従来のNCMAOHまたはNCAOHの作製方法では、従来の上段フィード方式および
NaOHの強いアルカリ溶液による洗浄方法の欠陥により、作製した水酸化ニッケル・コ
バルト・マンガンまたはアルミニウム物質の粒度が均一でなく、一次粒子の形態がバラバ
ラであり、微細な粉末や異形球が多く、正極前駆体材料中の高すぎるSO 2-とNa
がリチウム電池の安全性およびサイクル寿命を低下させる。NCMAOHまたはNCAO
H製品がNa、Sを多く含有する原因は、主に下記のものである。(1)硫酸塩原料を使
用することから、NCMAOH表面に不可避にナトリウムイオンNaおよび硫酸イオン
SO 2-或いは硫酸アンモニウム複合塩結晶の一部が付着する;(2)NCMAOHに
おいてAl3+は層中のNi2+とCo2+の位置を占めたため、層が一部の正電荷を持
ち、中性を維持するためにSO 2-が層間に挿入される。(3)焼結温度は一般に80
0℃以下であるため、SO 2-を完全に分解させることができない。(4)我々は、製
造プロセスについて検討・研究したところ、反応工程における遊離Niの濃度が高く、ス
ラリーの老化時間が長く、またはスラリーが濃褐色に酸化された場合、この製品の洗浄効
果が低いと見出した。よって、NCMAOH四元系正極材料前駆体に適する作製プロセス
及びその洗浄方式の開発が求められている。
【0004】
公開番号CN106785177Aの特許には、使用済みのニッケル・コバルト・マン
ガン三元系リチウムイオン電池から四元系正極材料を回收、作製する方法が開示されてい
る。この発明では、使用済みの三元系リチウムイオン電池を人工分解、磁気選択、破砕、
有機溶液による浸漬、篩分け、硫酸による浸出し、Cu2+、Fe2+、Al3+、Ni
2+、Co2+、Mn2+含有浸出液を得て、さらに不純物除去、一次沈殿、二次沈殿等
を経てAlドープ四元系前駆体を得る。この方法は、故障を効果的に処理し、リチウムイ
オン電池を総合的に利用できるが、人工分解のコストが高く、浸出液による不純物除去の
プロセスが複雑で且つ多量の有機溶媒を使用し、沈殿工程ではNaOHを用いてAl3+
、Ni2+、Co2+、Mn2+の4種類溶液の混合溶液を沈殿させ且つ従来のフィード
方式を使用するため、Al3+の沈殿速度がNi2+、Co2+、Mn2+の沈殿速度よ
りも遥かに高く、作製した前駆体は、形態が悪く、微細な粉末が多く、リチウムイオン電
池の電気化学性能へ悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する前記欠陥を克服するために、NCMA高ニッケル四元系
前駆体の湿式合成法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記課題を解決するための技術手段は、下記の通りである。
第一反応釜においてNCMA四元系前駆体中実微小結晶核を合成し、第二反応釜におい
て所定粒度になるまで前記四元系前駆体中実微小結晶核の持続的成長を促進し、
第一反応釜において上段フィード方式で前記NCMA四元系前駆体中実微小結晶核を連
続的に製造し、第二反応釜において上下2段フィード方式で前記NCMA四元系前駆体中
実微小結晶核の持続的成長を促進することを特徴とするNCMA高ニッケル四元系前駆体
の湿式合成法。
【0007】
具体的に、以下の工程を含むNCMA高ニッケル四元系前駆体の湿式合成法。
(1)溶液の調製:錯化剤を蒸留水と混合し、濃度を調整し、溶液Aを得る;沈殿剤を
蒸留水と混合し、濃度を調整し、溶液Bを得る;可溶性のニッケル塩、コバルト塩および
マンガン塩を水と混合し、完全に溶解するまで攪拌し、溶液Cを得る;アルミニウム塩を
脱イオン水に溶解し、アルカリでpH値を調整し、メタアルミン酸ナトリウム溶液Dを得
る。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)第一反応釜において、先に蒸留水、溶液A、溶液Bを送液管により反応釜に仕込ん
で反応釜ベース液Eを調製し、次に不活性ガスを気体質量流量計により反応釜に通気して
反応釜内の反応雰囲気を制御する。
(2)攪拌下の恒温反応釜に溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dを各々の対応する送液管に
より連続的にポンピングして反応させ、反応工程における反応系の攪拌回転数、反応温度
、pH値、錯化剤の濃度、スラリー上清の色、遊離Niの濃度、固形物含有量および反応
時間を制御し、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムで検出し、D50が2~10μm
になれば、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得る。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)第二反応釜に蒸留水、溶液A、溶液Bを上段送液管により仕込んで反応釜ベース液
Gを調製し、工程(2)で作製したNCMA四元系前駆体微小結晶核を反応釜ベース液G
に投入し、均一に攪拌し、反応釜の攪拌回転数、初期pHおよび温度を制御し、さらに不
活性ガスを通気して反応釜内の反応雰囲気を制御する。
(2)攪拌下の恒温反応釜に溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dを各々の対応する送液管に
より連続的にポンピングして、NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続的に成長させる。
前記溶液A、溶液C、溶液Dはそれぞれ各々の上下2本の送液管により第二反応釜に仕込
まれ、前記溶液Bは上段フィード方式で上段送液管により第二反応釜に仕込まれる。反応
工程における攪拌回転数、反応温度、反応pH値、錯化剤の濃度、固形物含有量、反応時
間、スラリー上清の色、遊離Niの濃度及びスラリーの色を制御し、反応スラリーの粒度
をリアルタイムで検出し、D50が3~16μmになると、反応を停止し、NCMA高ニ
ッケル四元系前駆体スラリーHを得る。
(3)粒度要求を満たす前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過管を通過し、粒度分布が均
一な固形生成物を得る。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環させ、結
晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現する。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:遠心分離機中に、所定濃度の炭酸ナトリウムと水
酸化ナトリウムの混合液Iを用いて、工程(3)で作製された固形生成物を洗浄する。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を乾燥、篩分け、除鉄し、NCMA高ニッ
ケル四元系前駆体を得る。
【0008】
さらに、工程(1)において、溶液A中の錯化剤の濃度は4~11mol/Lであり、
好ましくは6~10mol/Lである;溶液B中の沈殿剤の濃度は1~11mol/Lで
あり、好ましくは6~10.8mol/Lである;溶液C中のニッケル、コバルト、マン
ガン金属イオンの合計濃度は0.8~5.0mol/Lであり、好ましくは1.5~3.
5mol/Lである;溶液D中のメタアルミン酸ナトリウムの濃度は0.01~5.0m
ol/Lであり、好ましくは0.5~2.5mol/Lである。
【0009】
さらに、工程(1)において、前記錯化剤はアンモニア水、炭酸水素アンモニウム、エ
チレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸よりなる群から選択される少なくとも1種であ
る;前記沈殿剤はNaOH、KOH、Ba(OH)、NaCO、LiOHよりなる
群から選択される少なくとも1種である;前記可溶性のニッケル塩、コバルト塩、マンガ
ン塩は硫酸塩、酢酸塩、ハロゲン塩、硝酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種で
ある;メタアルミン酸ナトリウム中のアルミニウム源は硝酸アルミニウム、炭酸アルミニ
ウム、硫酸アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種である。
【0010】
さらに、工程(2)において、前記原材料のフィード方式はすべて上端送液であり、調
製した反応釜ベース液Eの初期pHは11~14であり、好ましくは11.2~12.5
である;錯化剤の濃度は6~15g/Lであり、好ましくは6.5~12g/Lである;
反応釜ベース液Eの体積は反応釜体積の1/6~1であり、好ましくは1/2~1である

さらに、工程(2)において、前記反応系の攪拌速度は300~1200rpmであり
、好ましくは400~800rpmである;固形物含有量は150~400g/Lであり
、好ましくは200~300g/Lである;前記反応温度は30~90℃であり、好まし
くは50~65℃である;所定時間毎に少量のスラリーをとり、反応系上清の色を観察し
、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が0~600ppm、好ましくは0~300ppm
になるように維持する。
【0011】
さらに、工程(2)および工程(3)において、前記溶液Aの流量または合計流量は1
~80mL/minであり、溶液Bの流量は20~100mL/minであり、溶液Cの
流量または合計流量は10~1000mL/minであり、溶液Dの流量または合計流量
は5~60mL/minである。
【0012】
さらに、前記不活性ガスは窒素ガスである。反応工程において、第一反応釜および第二
反応釜内の酸素濃度は0~10%であり、好ましくは0~4%である。
【0013】
さらに、第二反応釜と第一反応釜との体積比は4~12:1であり、好ましくは6~1
0:1である。
【0014】
さらに、工程(3)において、前記溶液A、溶液Cおよび溶液Dの第二反応釜へのフィ
ード方式は上下両端送液であり、第二反応釜における攪拌翼は上段攪拌翼と下段攪拌翼に
設置され、溶液A、溶液C、溶液Dを送液する上端フィード管と、溶液Bを送液する送液
管は、上段攪拌翼における同一水平位置に設置され、溶液A、溶液C、溶液Dを送液する
下端フィード管は下段攪拌翼における同一水平位置に設置され、前記溶液Aの上下2本の
送液管内の溶液の流量比は1:(0.1~10)であり、溶液Cの上下2本の送液管内の
溶液の流量比は1:(0.1~20)であり、前記溶液Dの上下2本の送液管内の溶液の
流量比は1:(0.1~8)である。
【0015】
さらに、工程(3)において、調製した反応釜ベース液Gの体積は反応釜体積の1/2
~1であり、好ましくは1/2~2/3である;反応釜ベース液Gの初期pHを10~1
3、好ましくは10.5~12.5に制御する;1リットルあたりの反応釜ベース液Gに
NCMA四元系前駆体微小結晶核を20~220g、好ましく50~100g仕込む;反
応工程において、反応系における錯化剤の濃度は6~15g/Lであり、好ましくは10
~12g/Lである;攪拌速度は300~1200rpmであり、好ましくは600~1
000rpmである;固形物含有量は300~1000g/Lであり、好ましくは300
~800g/Lである;反応温度は30~90℃であり、好ましくは60~75℃である
;所定時間毎に少量のスラリーをとり、上清の色を観察し、上清が青色に現れず遊離Ni
の濃度が0~700ppm、好ましくは0~200ppmになるように維持する。
【0016】
さらに、工程(4)において、前記炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液のモル
濃度は0.5~5.0mol/Lであり、好ましくは0.8~2.0mol/Lである;
炭酸ナトリウム:水酸化ナトリウムのモル比は1~10であり、好ましくは1.0~5.
0である;洗浄温度は50~80℃であり、好ましくは60~70℃である。
【0017】
さらに、工程(5)において、前記乾燥温度は100~300℃であり、乾燥時間は1
0~20hであり、篩分けの篩は100~400メッシュの篩であり、好ましくは200
メッシュの篩である。
【0018】
本発明の原理は下記の通りである。
第一に、メタアルミン酸ナトリウム溶液を調製する。メタアルミン酸イオンは徐々に加
水分解してAl3+を放出し、Al3+の沈殿速度を減らすため、Ni2+、Co2+
Mn2+、Al3+を共沈させる目的が達成する。第二に、第一反応釜において、上段フ
ィード方式で、粒子径の分布が均一で凝集が少ないNCMA四元系前駆体微小結晶核を製
造し、第二反応釜において、上下2段フィード方式で、所定濃度の錯化剤を用いて結晶粒
の持続的成長を促進し、NHと金属イオンとの錯化作用を高めることで共沈系における
金属イオンの飽和度を減らし、結晶核の核形成速度が大幅に低下し、結晶核の成長速度が
加速し、沈殿生成物の粒子径が徐々に成長し、球状粒子の表面が滑らかになり、球形度、
緻密度および分散性も良くなり、元で生成した微細な沈殿物粒子が溶解しやすくなり、大
粒子の表面に再び沈殿・析出する。また、反応工程において低濃度の遊離Niをリアルタ
イムでモニタリング・制御し、スラリー酸化度などのプロセスパラメータを低減し、作製
工程においてNa、Sの混入を低減し、プロセスパラメータを洗浄効果に関連付ける。反
応後に、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液でNCMA四元系前駆体を洗浄する
。所定濃度の水酸化ナトリウムは、NCMAOH前駆体に混入した硫酸アンモニウム複合
塩の結晶構造を破壊し、SO 2-の放出、溶出を促進する。炭酸イオンと硫酸イオンの
交換能力はCO 2->SO 2-であることから、所定濃度のNaCOはSO 2-
を交換する作用を有し、水酸化ナトリウム溶液の濃度を減らしてもよい。洗浄工程では、
炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合液は、Alを溶解せず、且つ洗浄効果が単独の
NaCOまたはNaOH溶液よりも優れている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、下記の有益な効果を奏する。
本発明は、反応釜分級方式を用い、前駆体の製造工程を結晶核の製造工程と結晶核の成
長工程に分け、特に、反応工程における反応pH値、スラリー上清の色、遊離Niの濃度
、スラリーの酸化度(またはスラリーの色)等のプロセスパラメータの洗浄効果への影響
を考慮してこれらをリアルタイムでモニタリング・制御する項目とする。作製したNCM
A四元系前駆体は、粒度分布が均一であり、球形度が良い。NaCOとNaOHの混合
溶液でNCMA四元系前駆体を洗浄し、この洗浄方式は、洗浄工程では、強いアルカリで
ある水酸化ナトリウムが水酸化アルミニウムを溶解することによる主成分の含有量にバラ
ツキが生じることを回避するとともに、炭酸ナトリウムを単独で使用することによるマン
ガン含有物質のSO 2-を洗浄により除去するのが困難であることを防ぎ、高ニッケル
NCMA四元系前駆体中のNaを50ppm以下、硫黄を800ppm以下に洗浄するこ
とができる。本発明で作製した製品をリチウム電池の正極材料に使用することで、Alの
置換やNa、Sの低濃度化により、正極材料は、良好な構造安定性、容量維持率や倍率特
性、低い電気化学抵抗などの利点を示しており、高ニッケル三元系正極材料のサイクル倍
率特性、熱安定性の悪さや、NCA電池鼓腸などの問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の一部を構成する図面は、本発明をより理解させるためのものである。本発明の
例示性の実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不当に限
定するものではない。
図1】実施例1で作製した12.5μmのNCMA88060303ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系前駆体の1000倍および3000倍のSEM図。
図2】実施例2で作製した10.0μmのNCMA90060202ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム四元系前駆体の1000倍、5000倍のSEM図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明を詳しく説明するが、この部分の記載は例示・解釈す
るためのものであり、本発明の保護範囲を制限するものではない。また、当業者は、本願
の記載に基づいて、本願実施例中のまたは異なる実施例中の特徴を組み合わせることがで
きる。
【実施例
【0022】
本願実施例で使用する化学試薬は、特に説明のない場合、いずれも市販から入手したも
のである。
実施例1
本実施例は、以下の工程を含む。
(1)溶液の調製:25%の工業用アンモニア水200Lをとり、溶液Aを得た。32
%の工業用水酸化ナトリウムを蒸留水と混合し、8.0mol/Lの溶液Bを体積400
L調製した。395.36kgの硫酸ニッケル六水和物、29.14kgの硫酸コバルト
七水和物、8.70kgの硫酸マンガン一水和物を熱い純水と十分混合し溶解させ、80
0Lの溶液Cを調製した。79.150kgの硫酸アルミニウム十八水和物を8.0Lの
32%の水酸化ナトリウム溶液に加えた後、100Lにメスアップし、2.3754mo
l/Lのメタアルミン酸ナトリウム溶液Dを調製した。ニッケル、コバルト、マンガン、
アルミニウムのモル比は、Ni:Co:Mn:Al=8.8:0.6:0.3:0.3で
あった。溶液A、B、C、Dを恒温35℃に保持した。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)第一反応釜(体積60L)において、先に第一反応釜の1/2になるまで熱い純水
を加え、反応釜の温度を60℃に、攪拌回転数を650rpmに制御した後、第一反応釜
の対応する上段送液管により溶液A、溶液Bをそれぞれ順次に加え、アンモニア水の濃度
を8.0g/Lに、初期pHを11.9に制御して反応釜ベース液Eを調製し、精密流量
計をオンにして窒素ガスを通気し、気体流量を60L/minとし、反応釜内の酸素濃度
を0.3%とした。
(2)溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dの流量をそれぞれ10mL/min、25mL/
min、50mL/min、7mL/minに設定し、上段送液方式で各々の対応する送
液管により攪拌下の第一反応釜に連続的にポンピングして反応を行った。間欠濃縮プロセ
スにより、800rpmの攪拌回転数下で、反応釜内のアンモニア水の濃度が8.0g/
Lになるように溶液Aの流量を調整し、反応系のpH値が11.5~11.7になるよう
に溶液Bの流量を調整し、2h毎に40mLのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清
が青色に現れず遊離Niの濃度が200ppm未満になるように維持し、固形物含有量が
150~200g/Lになるように上清の量を制御し、反応時間を20hとし、反応器中
の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が6.0μmになると、NCM
A四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得た。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)熱い純水、溶液A、溶液Bを上段送液管により第二反応釜(体積640L)に加え
て反応釜ベース液Gを調製し、アンモニア水の濃度を9.0g/L、初期pHを11.8
、熱い純水の量を1/2反応釜に制御し、反応釜ベース液Gに工程(2)で作製したNC
MA四元系前駆体微小結晶核を1リットルあたりの反応釜ベース液Gに対して120gで
投入して均一に攪拌し、窒素ガスを通気し、気体流量を60L/minとし、反応釜内の
酸素濃度を0.5%とした。
(2)溶液Aの合計流量は15mL/minであり、その反応釜の上下2段送液管内の溶
液の流量比は1:0.5であり、溶液Cの合計流量は500mL/minであり、その上
下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.5であり、溶液Bは160mL/minの流量
で上端フィード管により反応釜に仕込まれ、溶液Dの合計流量は20mL/minであり
、その上下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.4であった。連続濃縮プロセスにより
、700rpmの攪拌回転数下で、CNH3が9.0g/L、反応pH値が11.77~
11.8になるように溶液A、Bの流量を調整し、第二反応釜の温度を65℃とし、固形
物含有量が400g/L~500g/Lになるように上清の量を制御し、2h毎に40m
Lのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が150p
pm未満になるように維持した。NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続的に成長させ、
反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が12.5μmになる
と、NCMA四元系前駆体スラリーHを得た。
(3)粒度要求を満たした前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過ウェブを通過し、粒度分
布が均一な固形生成物を得た。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環さ
せ、結晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現した。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:精密ろ過ウェブ上の固形生成物を遠心分離機に移
し、先に65℃の0.8mol/LのNaCOと0.2mol/LのNaOHのアル
カリ混合液で20min洗浄し、アルカリ混合液のモル濃度を1.0mol/Lとし、高
速で15min遠心分離し、アルカリ混合液の量を遠心分離機内の固形生成物重量の6倍
とした。次に65℃の熱い純水で10min洗浄し、高速で10min遠心分離し、熱い
純水の量を遠心分離機内の固形生成物重量の20倍とし、この水洗を5回繰り返した。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を140℃のオーブンに入れ12h乾燥さ
せ、200メッシュの篩で篩分けし、除鉄、包装し、前記NCMA高ニッケル四元系前駆
体を得た。
図1は、実施例1で作製した12.5μmのNCMA88060303ニッケル・コバ
ルト・マンガン・アルミニウム四元系前駆体の1000倍および3000倍のSEM図で
ある。かかる製品は、球形度が良く、粒度の分布が均一であり、微細粉末が少なかった。
洗浄後の製品は、主成分の含有量が合格であり、それぞれNi 87.97mol%、C
o 5.97mol%、Mn 2.97mol%、Al 3.09mol%であり、製品
中の不純物のうち、Na、Sの含有量が合格であり、それぞれ58ppm、519ppm
であり、且つNCMAOHの粒度分布、マイクロ形態および結晶構造へ明らかな影響はな
かった。
【0023】
実施例2
本実施例は、以下の工程を含む。
(1)溶液の調製:25%の工業用アンモニア水280Lをとり、溶液Aを得た。32
%の工業用水酸化ナトリウムを蒸留水と混合し、6.0mol/Lの溶液Bを体積300
L調製した。601.75kgの硫酸ニッケル六水和物、43.23kgの硫酸コバルト
七水和物、8.86kgの硫酸マンガン一水和物を熱い純水と十分混合し溶解させ、12
00Lの溶液Cを調製した。89.1390kgの硫酸アルミニウム十八水和物に水を入
れ溶解させた後、過剰のアルカリを加えてメタアルミン酸ナトリウム溶液を調製し、pH
を約13.6に調整した後、80Lにメスアップし、3.3439mol/Lのメタアル
ミン酸ナトリウム溶液Dを調製した。ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムのモ
ル比は、Ni:Co:Mn:Al=9.0:0.6:0.2:0.2であった。溶液A、
B、C、Dを恒温30℃に保持した。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)第一反応釜(体積50L)において、先に反応釜上端のオーバーフロー口まで第一
反応釜に熱い純水を加え、第一反応釜の温度を65℃に、攪拌回転数を600rpmに制
御した後、第一反応釜の対応する上段送液管により溶液A、溶液Bをそれぞれ順次に加え
、アンモニア水の濃度を8.0g/Lに、初期pHを11.8に制御して反応釜ベース液
Eを調製し、精密流量計をオンにして窒素ガスを通気し、気体流量を60L/minとし
、第一反応釜内の酸素濃度を0.1%とした。
(2)溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dの流量をそれぞれ15mL/min、35mL/
min、45mL/min、6mL/minに設定し、上段送液方式で各々の対応する送
液管により攪拌下の第一反応釜に連続的にポンピングして反応を行った。間欠濃縮プロセ
スにより、600rpmの攪拌回転数下で、第一反応釜内のアンモニア水の濃度が8.5
g/Lになるように溶液Aの流量を調整し、反応系のpH値が11.8~11.9になる
ように溶液Bの流量を調整した。2h毎に30mLのスラリーを取り、上清の色を観察し
、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が180ppm未満になるように維持した。固形物
含有量が100~200g/Lになるように上清の量を制御し、反応時間を15hとし、
反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が5.8μmになると
、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得た。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)熱い純水、溶液A、溶液Bを上段送液管により第二反応釜(体積600L)に加え
て反応釜ベース液Gを調製し、反応釜ベース液G中のアンモニア水の濃度を8.0g/L
、初期pHを11.6に制御した。反応釜ベース液Gの体積は第二反応釜体積の2/3で
あった。反応釜ベース液Gに工程(2)で作製したNCMA四元系前駆体微小結晶核を1
リットルあたりの反応釜ベース液Gに対して200gで投入して均一に攪拌し、窒素ガス
を通気し、気体流量を40L/minとし、反応釜内の酸素濃度を0.2%とした。
(2)溶液Aの合計流量は30mL/minであり、その第二反応釜の上下2段送液管内
の溶液の流量比は1:1であり、溶液Cの合計流量は800mL/minであり、その上
下両端送液管内の溶液の流量比は1:1であり、溶液Bは120mL/minの流量で上
端フィード管により第二反応釜に仕込まれ、溶液Dの合計流量は20mL/minであり
、その上下両端送液管内の溶液の流量比は1:1であった。連続濃縮プロセスにより、5
50rpmの攪拌回転数下で、CNH3が9.0g/L、反応pH値が11.5~11.
6になるように溶液A、Bの流量を調整し、第二反応釜の温度を65℃とした。2h毎に
40mLのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が1
00ppm未満になるように維持した。固形物含有量が500g/L~600g/Lにな
るように上清の量を制御し、NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続的に成長させ、反応
器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が10.0μmになると、
NCMA四元系前駆体スラリーHを得た。
(3)粒度要求を満たした前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過ウェブを通過し、粒度分
布が均一な固形生成物を得た。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環さ
せ、結晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現した。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:精密ろ過ウェブ上の固形生成物を遠心分離機に移
し、先に65℃の0.6mol/LのNaCOと0.4mol/LのNaOHのアル
カリ混合液で20min洗浄し、アルカリ混合液のモル濃度を1.0mol/Lとし、高
速で15min遠心分離した。アルカリ混合液の量を遠心分離機内の固形生成物重量の6
倍とした。次に65℃の熱い純水で10min洗浄し、高速で10min遠心分離し、熱
い純水の量を遠心分離機内の固形生成物重量の20倍とし、この水洗を5回繰り返した。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を160℃のオーブンに入れ8h乾燥させ
、200メッシュの篩で篩分けし、除鉄、包装し、前記NCMA高ニッケル四元系前駆体
を得た。
図2は、実施例2で作製した10.0μmのNCMA90060202ニッケル・コバ
ルト・マンガン・アルミニウム四元系前駆体の1000倍、5000倍のSEM図である
。結晶核の大きさが5.8μmのNCMA90060202であった。得られる製品は、
粒子が比較的均一であり、球形度が良く、球体表面が滑らかであり、粒子流動性が良く、
粒度分布が均一であった。洗浄後の製品は、主成分の含有量が合格であり、それぞれNi
90.02mol%、Co 5.98mol%、Mn 1.97mol%、Al 2.
03mol%であり、前駆体Alが溶解せず、製品中の不純物のうち、Na含有量が43
ppm、S含有量が448ppmであった。NaOHとNaCOの混合溶液での洗浄効
果は、NaOHまたはNaCO3溶液よりも優れ、工業的に連続製造に適する。
【0024】
実施例3
本実施例は、以下の工程を含む。
(1)溶液の調製:25%の工業用アンモニア水を蒸留水と混合して6.5mol/L
の溶液Aを体積100L調製した。32%の工業用水酸化ナトリウムを蒸留水と混合し、
10.0mol/Lの溶液Bを体積160L調製した。171.09kgの硫酸ニッケル
六水和物、21.07kgの硫酸コバルト七水和物、18.88kgの硫酸マンガン一水
和物を熱い純水と十分混合し溶解させ、400Lの溶液Cを調製した。38.4838k
gの硫酸アルミニウム十八水和物に30.0Lの32%の水酸化ナトリウム溶液を加えた
後、40Lにメスアップし、2.5872mol/Lのメタアルミン酸ナトリウム溶液D
を調製した。ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムのモル比は、Ni:Co:M
n:Al=7.0:0.8:1.2:0.5であった。溶液A、B、C、Dを恒温25℃
に保持した。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)先に30Lの第一反応釜に1/2体積の熱い純水を加え、第一反応釜の温度を60
℃に、攪拌回転数を580rpmに制御した後、第一反応釜の対応する上段送液管により
溶液A、溶液Bをそれぞれ順次に加え、アンモニア水の濃度を6.0g/Lに、初期pH
を12.4に制御して反応釜ベース液Eを調製し、精密流量計をオンにして窒素ガスを通
気し、気体流量を25L/minとし、反応釜内の酸素濃度を0.1%とした。
(2)溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dの流量をそれぞれ10mL/min、25mL/
min、20mL/min、6mL/minに設定し、上段送液方式で各々の対応する送
液管により攪拌下の第一反応釜に連続的にポンピングして反応を行った。間欠濃縮プロセ
スにより、600rpmの攪拌回転数下で、第一反応釜内のアンモニア水の濃度が6.0
g/Lになるように溶液Aの流量を調整し、反応系のpH値が11.8~11.9になる
ように溶液Bの流量を調整した。1.5h毎に50mLのスラリーを取り、上清の色を観
察し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が200ppm未満になるように維持した。固
形物含有量が200~300g/Lになるように上清の量を制御し、反応時間を35hと
し、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が2.9μmにな
ると、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得た。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)熱い純水、溶液A、溶液Bを上段送液管により第二反応釜(体積200L)に加え
て反応釜ベース液Gを調製し、反応釜ベース液G中のアンモニア水の濃度を6.8g/L
、初期pHを12.2に制御した。反応釜ベース液Gの体積は第二反応釜体積の2/3で
あった。反応釜ベース液Gに工程(2)で作製したNCMA四元系前駆体微小結晶核を1
リットルあたりの反応釜ベース液Gに対して240gで投入して均一に攪拌し、窒素ガス
を通気し、気体流量を40L/minとし、反応釜内の酸素濃度を0.1%とした。
(2)溶液Aの合計流量は24mL/minであり、その第二反応釜の上下2段送液管内
の溶液の流量比は1:0.8であり、溶液Cの合計流量は160mL/minであり、そ
の上下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.8であり、溶液Bは40mL/minの流
量で上端フィード管により反応釜に仕込まれ、溶液Dの合計流量は12mL/minであ
り、その上下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.8であった。連続濃縮プロセスによ
り、550rpmの攪拌回転数下で、CNH3が7.0~7.5g/L、反応pH値が1
2.0~12.1になるように溶液A、Bの流量を調整し、第二反応釜の温度を60℃と
した。1.5h毎に50mLのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清が青色に現れず
遊離Niの濃度が200ppm未満になるように維持した。固形物含有量が450g/L
~500g/Lになるように上清の量を制御し、NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続
的に成長させ、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が4.
0μmになると、NCMA四元系前駆体スラリーHを得た。
(3)粒度要求を満たした前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過ウェブを通過し、粒度分
布が均一な固形生成物を得た。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環さ
せ、結晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現した。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:精密ろ過ウェブ上の固形生成物を遠心分離機に移
し、先に70℃の0.5mol/LのNaCOと0.5mol/LのNaOHのアル
カリ混合液で15min洗浄し、アルカリ混合液のモル濃度を1.0mol/Lとし、高
速で15min遠心分離した。アルカリ混合液の量を遠心分離機内の固形生成物重量の5
倍とした。次に65℃の熱い純水で15min洗浄し、高速で8min遠心分離し、熱い
純水の量を遠心分離機内の固形生成物重量の15倍とし、この水洗を5回繰り返した。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を120℃のオーブンに入れ10h乾燥さ
せ、200メッシュの篩で篩分けし、除鉄、包装し、前記NCMA高ニッケル四元系前駆
体を得た。
【0025】
実施例4
本実施例は、以下の工程を含む。
(1)溶液の調製:25%の工業用アンモニア水を蒸留水と混合して8.6mol/L
の溶液Aを体積260L調製した。32%の工業用水酸化ナトリウムを蒸留水と混合し、
9.0mol/Lの溶液Bを体積340L調製した。1082.98kgの硫酸ニッケル
六水和物、87.09kgの硫酸コバルト七水和物、249.66kgの硫酸マンガン一
水和物を熱い純水と十分混合し溶解させ、2800Lの溶液Cを調製した。113.74
63kgの硫酸アルミニウム十八水和物に82.0Lの32%の水酸化ナトリウム溶液を
加えた後、100Lにメスアップし、3.14836mol/Lのメタアルミン酸ナトリ
ウム溶液Dを調製した。ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムのモル比は、Ni
:Co:Mn:Al=6.7:0.5:2.4:0.4であった。溶液A、B、C、Dを
恒温32℃に保持した。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)先に100Lの第一反応釜に1/2体積の熱い純水を加え、第一反応釜の温度を6
0℃に、攪拌回転数を480rpmに制御した後、第一反応釜の対応する上段送液管によ
り溶液A、溶液Bをそれぞれ順次に加え、アンモニア水の濃度を6.3g/Lに、初期p
Hを12.2に制御して反応釜ベース液Eを調製し、精密流量計をオンにして窒素ガスを
通気し、気体流量を45L/minとし、第一反応釜内の酸素濃度を0.2%とした。
(2)溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dの流量をそれぞれ20mL/min、45mL/
min、90mL/min、15mL/minに設定し、上段送液方式で各々の対応する
送液管により攪拌下の第一反応釜に連続的にポンピングして反応を行った。間欠濃縮プロ
セスにより、480rpmの攪拌回転数下で、第一反応釜内のアンモニア水の濃度が6.
3g/Lになるように溶液Aの流量を調整し、反応系のpH値が12.1~12.2にな
るように溶液Bの流量を調整した。2h毎に60mLのスラリーを取り、上清の色を観察
し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が240ppm未満になるように維持した。固形
物含有量が280~340g/Lになるように上清の量を制御し、反応時間を48hとし
、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が3.9μmになる
と、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得た。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)熱い純水、溶液A、溶液Bを上段送液管により第二反応釜(体積800L)に加え
て反応釜ベース液Gを調製し、反応釜ベース液G中のアンモニア水の濃度を7.0g/L
、初期pHを12.0に制御した。反応釜ベース液Gの体積は第二反応釜体積の3/4で
あった。反応釜ベース液Gに工程(2)で作製したNCMA四元系前駆体微小結晶核を1
リットルあたりの反応釜ベース液Gに対して300gで投入して均一に攪拌し、窒素ガス
を通気し、気体流量を80L/minとし、反応釜内の酸素濃度を0.2%とした。
(2)溶液Aの合計流量は40mL/minであり、その第二反応釜の上下2段送液管内
の溶液の流量比は1:3であり、溶液Cの合計流量は720mL/minであり、その上
下両端送液管内の溶液の流量比は1:3であり、溶液Bは200mL/minの流量で上
端フィード管により反応釜に仕込まれ、溶液Dの合計流量は22mL/minであり、そ
の上下両端送液管内の溶液の流量比は1:3であった。連続濃縮プロセスにより、350
rpmの攪拌回転数下で、CNH3が7.2~7.8g/L、反応pH値が12.0~1
2.1になるように溶液A、Bの流量を調整し、第二反応釜の温度を60℃とした。2h
毎に60mLのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度
が240ppm未満になるように維持した。固形物含有量が450g/L~520g/L
になるように上清の量を制御し、NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続的に成長させ、
反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が5.6μmになると
、NCMA四元系前駆体スラリーHを得た。
(3)粒度要求を満たした前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過ウェブを通過し、粒度分
布が均一な固形生成物を得た。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環さ
せ、結晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現した。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:精密ろ過ウェブ上の固形生成物を遠心分離機に移
し、先に60℃の0.9mol/LのNaCOと0.3mol/LのNaOHのアル
カリ混合液で10min洗浄し、アルカリ混合液のモル濃度を1.2mol/Lとし、高
速で12min遠心分離した。アルカリ混合液の量を遠心分離機内の固形生成物重量の4
倍とした。次に63℃の熱い純水で12min洗浄し、高速で10min遠心分離し、熱
い純水の量を遠心分離機内の固形生成物重量の25倍とし、この水洗を4回繰り返した。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を110℃のオーブンに入れ16h乾燥さ
せ、200メッシュの篩で篩分けし、除鉄、包装し、前記NCMA高ニッケル四元系前駆
体を得た。
【0026】
実施例5
本実施例は、以下の工程を含む。
(1)溶液の調製:25%の工業用アンモニア水を蒸留水と混合して6.0mol/L
の溶液Aを体積160L調製した。32%の工業用水酸化ナトリウムを蒸留水と混合し、
8.0mol/Lの溶液Bを体積240L調製した。158.77kgの硫酸ニッケル六
水和物、3.56kgの硫酸コバルト七水和物、1.06kgの硫酸マンガン一水和物を
熱い純水と十分混合し溶解させ、300Lの溶液Cを調製した。6.2038kgの硫酸
アルミニウム十八水和物に18.0Lの32%の水酸化ナトリウム溶液を加えた後、60
Lにメスアップし、0.3103mol/Lのメタアルミン酸ナトリウム溶液Dを調製し
た。ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムのモル比は、Ni:Co:Mn:Al
=9.6:0.2:0.1:0.1であった。溶液A、B、C、Dを恒温38℃に保持し
た。
(2)NCMA四元系前駆体微小結晶核の作製:
(1)先に30Lの第一反応釜に1/2体積の熱い純水を加え、第一反応釜の温度を65
℃に、攪拌回転数を600rpmに制御した後、第一反応釜の対応する上段送液管により
溶液A、溶液Bをそれぞれ順次に加え、アンモニア水の濃度を7.0g/Lに、初期pH
を12.0に制御して反応釜ベース液Eを調製し、精密流量計をオンにして窒素ガスを通
気し、気体流量を25L/minとし、第一反応釜内の酸素濃度を0.3%とした。
(2)溶液A、溶液B、溶液C、溶液Dの流量をそれぞれ20mL/min、35mL/
min、40mL/min、10mL/minに設定し、上段送液方式で各々の対応する
送液管により攪拌下の第一反応釜に連続的にポンピングして反応を行った。間欠濃縮プロ
セスにより、600rpmの攪拌回転数下で、第一反応釜内のアンモニア水の濃度が7.
0g/Lになるように溶液Aの流量を調整し、反応系のpH値が11.9~12.0にな
るように溶液Bの流量を調整した。2h毎に300mLのスラリーを取り、上清の色を観
察し、上清が青色に現れず遊離Niの濃度が280ppm未満になるように維持した。固
形物含有量が200~290g/Lになるように上清の量を制御し、反応時間を36hと
し、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が3.8μmにな
ると、NCMA四元系前駆体微小結晶核のスラリーFを得た。
(3)NCMA四元系前駆体微小結晶核の持続的成長:
(1)熱い純水、溶液A、溶液Bを上段送液管により第二反応釜(体積300L)に加え
て反応釜ベース液Gを調製し、3/4体積の熱い純水を加えてから、アンモニア水の濃度
を8.0g/L、初期pHを11.8に制御した。反応釜ベース液Gに工程(2)で作製
したNCMA四元系前駆体微小結晶核を1リットルあたりの反応釜ベース液Gに対して1
80gで投入して均一に攪拌し、窒素ガスを通気し、気体流量を60L/minとし、反
応釜内の酸素濃度を0.3%とした。
(2)溶液Aの合計流量は15mL/minであり、その第二反応釜の上下2段送液管内
の溶液の流量比は1:0.6であり、溶液Cの合計流量は250mL/minであり、そ
の上下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.6であり、溶液Bは60mL/minの流
量で上端フィード管により反応釜に仕込まれ、溶液Dの合計流量は18mL/minであ
り、その上下両端送液管内の溶液の流量比は1:0.6であった。連続濃縮プロセスによ
り、600rpmの攪拌回転数下で、CNH3が8.0~9.0g/L、反応pH値が1
1.7~11.8になるように溶液A、Bの流量を調整し、第二反応釜の温度を65℃と
した。2h毎に30mLのスラリーを取り、上清の色を観察し、上清が青色に現れず遊離
Niの濃度が280ppm未満になるように維持した。固形物含有量が350g/L~4
50g/Lになるように上清の量を制御し、NCMA四元系前駆体微小結晶核を持続的に
成長させ、反応器中の懸濁液の粒度をリアルタイムでモニタリングし、D50が7.2μ
mになると、NCMA四元系前駆体スラリーHを得た。
(3)粒度要求を満たした前駆体スラリーHを排出し、精密ろ過ウェブを通過し、粒度分
布が均一な固形生成物を得た。ろ過された微細な結晶核および母液を第一反応釜に循環さ
せ、結晶核の製造プロセスを継続し、母液循環を実現した。
(4)NCMA四元系前駆体の洗浄:精密ろ過ウェブ上の固形生成物を遠心分離機に移
し、先に70℃の2.5mol/LのNaCOと0.5mol/LのNaOHのアル
カリ混合液で5min洗浄し、アルカリ混合液のモル濃度を3.0mol/Lとし、高速
で10min遠心分離した。アルカリ混合液の量を遠心分離機内の固形生成物重量の8倍
とした。次に75℃の熱い純水で8min洗浄し、高速で12min遠心分離し、熱い純
水の量を遠心分離機内の固形生成物重量の16倍とし、この水洗を8回繰り返した。
(5)工程(4)で洗浄合格後の固形生成物を100℃のオーブンに入れ20h乾燥さ
せ、200メッシュの篩で篩分けし、除鉄、包装し、前記NCMA高ニッケル四元系前駆
体を得た。
【0027】
上記したのは、本発明の好ましい実施態様に過ぎず、当業者であれば、本発明の要旨を
逸脱しない範囲で適宜改良や変更することができ、これらの改良や変更も本発明の保護範
囲に含まれるものであるとみなされるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】