IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-550796流体の流れを検出するためのデバイス、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】流体の流れを検出するためのデバイス、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221128BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61B1/00 550
A61B1/00 715
A61B1/00 650
G02B23/24 A
G02B23/24 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520061
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020053357
(87)【国際公開番号】W WO2021067325
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,844
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デュバル、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット
(72)【発明者】
【氏名】マクガバン、マイク
(72)【発明者】
【氏名】サヴィツキー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA00
2H040BA23
2H040CA03
2H040CA21
2H040DA12
2H040DA56
2H040GA02
2H040GA11
4C161AA01
4C161AA04
4C161BB00
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161HH51
4C161LL02
(57)【要約】
医療デバイスは、複数のプロングであって、プロングのそれぞれは、流体の流れを検出するように構成されたセンサを有する、複数のプロングと、複数のプロングの半径方向外側に配置されたスリーブとを含んでもよい。スリーブは、複数のプロングに対して近位に及び遠位に移動し、複数のプロングを収縮構成から拡張構成に移行させるように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロングであって、前記プロングのそれぞれは、流体の流れを検出するように構成されたセンサを有する、複数のプロングと、
前記複数のプロングの半径方向外側に配置されたスリーブと、
を含み、
前記スリーブは、前記複数のプロングに対して近位に及び遠位に移動し、前記複数のプロングを収縮構成から拡張構成に移行させるように構成されている、
医療デバイス。
【請求項2】
前記センサは、前記プロングの遠位端に配置されており、前記複数のプロングの前記遠位端は、前記拡張構成よりも前記収縮構成において互いにより接近している、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記複数のプロングのそれぞれは、ベースに取り付けられている、請求項1又は2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記複数のプロングのそれぞれは、ヒンジを介して前記ベースに取り付けられている、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記ベースは、環状又は管状である、請求項3又は4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記ベースは、前記ベースの開口部に内視鏡を摺動可能に受け入れるように構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記プロングの遠位端は、前記内視鏡の撮像デバイスを使用して、像上で視認できるように構成されている、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記センサは、超音波センサ又は光センサのうちの少なくとも一つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記拡張構成よりも前記収縮構成において、前記プロングの遠位端は、前記スリーブの中心長手方向軸線により接近している、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記スリーブを前記プロングに対して近位に移動させると、前記複数のプロングが前記収縮構成から前記拡張構成に移行する、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記プロングのそれぞれは、各々の前記センサが前記流体の流れを検出したかどうかを伝えるインジケータを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記インジケータはライトを含む、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記収縮構成又は前記拡張構成のうちの少なくとも一つにおいて、前記プロングの遠位端は円形を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記スリーブは更に、前記複数のプロングを前記拡張構成から部分拡張構成に移行させるように構成されており、前記複数のプロングの遠位端は、前記拡張構成よりも前記部分拡張構成において互いにより接近している、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記プロングのそれぞれの遠位端は、前記プロングの近位部分に対して半径方向内向きに角度を成した遠位先端を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、流体の流れを検出するためのデバイス、システム、及び方法に関し、具体的には、内視鏡処置中に流体の流れを検出するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡処置は、様々な状態を治療するために実施される場合がある。例えば、内視鏡処置は、血管に関する事象に対処するために使用される場合がある。このような事象は、単独で、又は内視鏡処置の副作用として生じる場合がある。活発に出血している又は非出血性の露出血管である上部消化管(Gl:gastrointestinal)の血管は、処置後の出血又は再出血のリスクを含むリスクを伴う可能性がある。したがって、血管の治療を容易にするために、血管内の流れを検出するためのシステム、装置、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一例では、医療デバイスは、複数のプロングであって、プロングのそれぞれは、流体の流れを検出するように構成されたセンサを有する、複数のプロングと、複数のプロングの半径方向外側に配置されたスリーブとを含んでもよい。スリーブは、複数のプロングに対して近位に及び遠位に移動し、複数のプロングを収縮構成から拡張構成に移行させるように構成されてもよい。
【0004】
本明細書に開示される医療デバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。センサは、プロングの遠位端に配置されてもよい。複数のプロングの遠位端は、拡張構成よりも収縮構成において互いにより接近していてもよい。複数のプロングのそれぞれは、ベースに取り付けられてもよい。複数のプロングのそれぞれは、ヒンジを介してベースに取り付けられてもよい。ベースは、環状又は管状であってもよい。ベースは、ベースの開口部に内視鏡を摺動可能に受け入れるように構成されてもよい。プロングの遠位端は、内視鏡の撮像デバイスを使用して、像上で視認できるように構成されてもよい。センサは、超音波センサ又は光センサのうちの少なくとも一つを含んでもよい。拡張構成よりも収縮構成において、プロングの遠位端は、スリーブの中心長手方向軸線により接近していてもよい。スリーブをプロングに対して近位に移動させると、複数のプロングは収縮構成から拡張構成に移行してもよい。プロングのそれぞれは、各々のセンサが流体の流れを検出したかどうかを伝えるインジケータを含んでもよい。インジケータはライトを含んでもよい。収縮構成又は拡張構成のうちの少なくとも一つにおいて、プロングの遠位端は、円形を形成してもよい。スリーブは更に、複数のプロングを拡張構成から部分拡張構成に移行させるように構成されてもよい。複数のプロングの遠位端は、拡張構成よりも部分拡張構成において互いにより接近していてもよい。各プロングの遠位端は、プロングの近位部分に対して半径方向内向きに角度を成した遠位先端を含んでもよい。
【0005】
別の例では、医療デバイスは、複数のプロングを含む検出デバイスを含んでもよく、プロングのそれぞれは、プロングの遠位端にセンサを有する。センサは、流体の流れを検出するように構成されてもよい。検出デバイスは、第一の構成から第二の構成に移行するように構成されてもよい。複数のプロングの遠位端は、第二の構成よりも第一の構成において互いに半径方向により接近していてもよい。医療デバイスは、内視鏡を更に含んでもよい。内視鏡の外部表面は、検出デバイスの開口部内に受け入れられてもよい。
【0006】
本明細書に開示される医療デバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。検出デバイスは、複数のプロングの半径方向外側に配置されたスリーブを更に含んでもよい。スリーブは、複数のプロングに対して近位に及び遠位に移動し、複数のプロングを第一の構成から第二の構成に移行させるように構成されてもよい。
【0007】
例示的な治療法は、検出を有する内視鏡を患者の体管腔内の治療部位に配置することと、検出デバイスの複数のプロングを収納構成から拡張構成に移行させることとを含んでもよい。複数のプロングの遠位端は、拡張構成よりも収納構成において互いに半径方向により接近していてもよい。当該方法はまた、検出デバイスを使用して、複数のプロングのうちの一つ以上の近傍に流体の流れがあるかどうかを判定することを含んでもよい。
【0008】
本明細書に開示される方法又はデバイスのいずれも、以下の特徴のいずれかを有し得る。複数のプロングのそれぞれの遠位端は、超音波センサ又は光センサを含んでもよい。検出デバイスを使用することは、超音波センサ又は光センサを使用することを含んでもよい。複数のプロングのそれぞれの遠位端は、超音波センサ又は光センサが流体の流れを検出したかどうかを伝えるインジケータを含んでもよい。
【0009】
前述の発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は両方とも、単なる例示及び説明であり、請求される発明を限定するものではないと理解され得る。本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語、又はその任意の他の変化形は、あるリストの要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に記載されていない又はそのようなプロセス、方法、物品若しくは装置に固有のものではない他の要素を含み得るように、非排他的な包含を含むことを意図している。「例示的な(exemplary)」という用語は、「理想(ideal)」というよりもむしろ「例(example)」の意味で使用される。本明細書で使用する場合、「近位(proximal)」という用語は、オペレータに近づく方向を意味し、「遠位(distal)」という用語は、オペレータから遠ざかる方向を意味する。「約(approximately)」という用語は、提供される値の10%以内の値を含む。本明細書では内視鏡について述べる場合があるが、本明細書に開示される態様は、十二指腸内視鏡、大腸内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡、及び/又は尿管鏡が挙げられるがこれらに限定されない各種デバイスと共に使用され得ることは理解されるであろう。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例を示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】例示的な検出デバイスを示す。
図1B】例示的な検出デバイスを示す。
図1C】例示的な検出デバイスを示す。
図1D】例示的な検出デバイスを示す。
図2A図1A図1Dの検出デバイスの利用時の例示的なオペレータビューを示す。
図2B図1A図1Dの検出デバイスの利用時の例示的なオペレータビューを示す。
図2C図1A図1Dの検出デバイスの利用時の例示的なオペレータビューを示す。
図2D図1A図1Dの検出デバイスの利用時の例示的なオペレータビューを示す。
図3】流体の流れを検出するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
内視鏡処置は、上部消化管を含む消化管の血管などの血管を治療するために用いられ得る。そのような処置中、オペレータは、血流を検出し、治療を施すことを望む場合がある。本明細書では血流及び血管について述べる場合があるが、以下の本開示の態様は、胃液又はその他の体液など他の種類の流体にも適用され得ることは理解されるであろう。しかしながら、検出及び治療を完遂するために、単一の内視鏡ワーキングチャネルに異なるツールを通さなければならない場合、血管が適切に治療されたことを確認することが困難な場合がある。更に、血流の停止又は制限において治療が効果的であったことを確認することが望ましい場合がある。本開示は、検出及び/又は治療中に検出デバイス及び治療機器の両方がオペレータによって視認され得るように、別個の内視鏡の外面上に装着され得る又は内視鏡に組み込まれ得る検出デバイスを含む。治療が成功したことを検出デバイスが確認することができるように、治療中及び治療後、検出デバイスは所定の位置にとどまってもよい。検出デバイスは、異なる処置段階時に用いられ得るいくつかの構成を有してもよい。
【0013】
図1A図1Dは、異なる構成の例示的な検出デバイス10を示す。検出デバイス10は、センサアレイ12を含む。センサアレイ12は、複数のプロング14を含んでもよい。例えば、図1A図1Dに示すように、センサアレイ12は、六つのプロング14を有してもよい。しかしながら、図1A図1Dに示すプロング14の数は単なる例示であり、任意の適切な数のプロング14を用いてもよい。プロング14は、環状形状又は任意の他の適切な形状(例えば、楕円形、半円形、矩形、正方形、又はその他の形状)に配置されてもよい。更に、センサアレイ12はプロング14を備えて示されるが、別の構造が使用されてもよい。例えば、センサアレイ12は、プロング14の代わりに、環状又は半環状構造を含んでもよい。各プロング14は、一つ以上のセンサ16を有してもよい。例えば、各プロング14は、一つのセンサ16を有するものとして図1A図1Dに示されるが、複数のセンサを含む他の数のセンサ16が各プロング14で使用されてもよい。センサ16の更なる詳細については以下に記載する。
【0014】
収縮構成において、各プロング14は、検出デバイス10の長手方向軸線に概ね沿って延びてもよい。プロング14は、ベース18に取り付けられていてもよい(図1C図1Dを参照)。ベース18は、管状又は環状形状を有してもよく、且つ開口部を形成する中空中心を有してもよい。プロング14は、ベース18の周りに配置されてもよく、例えば、ベース18の周りに等距離に配置されてもよい。例えば、各プロング14の近位端は、ベース18に(例えば、ベース18の近位部分又はベース18の遠位部分などベース18の別の部分に)取り付けられてもよい。プロング14とベース18は、別個の部品であってもよく、又は単一の一体構造を形成してもよい。プロング14は、ベース18に対して半径方向内向き及び外向きに移動可能であってもよい。例えば、プロング14は、プロング14が半径方向内向き及び/又は外向きに移動することを可能にし得るヒンジ(例えば、リビングヒンジ又は別の種類のヒンジ)などの構造体を介してベース18に取り付けられてもよい。各プロング14は、ベース18及び/又はデバイス10の長手方向軸線などの検出デバイス10のその他の部分に対して所望の設定角度をとるように付勢され得る。例えば、プロング14が拘束されていないとき、プロング14は、プロング14がベース18に対して0度~90度の角度をとるように付勢され得る。プロング14は、ベース18との接続部(例えば、ヒンジ)によって又はプロング14の材料によって付勢されてもよい。例えば、プロング14は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製されてもよく、デバイス10の長手方向軸線に対して設定角度を有するように構成されてもよい。各プロング14は、他のプロング14と同じ角度をとるように付勢されてもよい。プロング14及び/又はベース18(又はスリーブ30など検出デバイス10の別の部分、以下で説明する)は、プロング14が中立の非拘束位置を越えて半径方向外向きに拡張することを阻止されるように構成されてもよい。プロング14もまた、所望の設定位置(例えば、ベース18に対して0度)を越えて半径方向内向きに折り畳まれることを阻止され得る。例えば、ベース18の外部表面は、プロング14の半径方向内向きの動きを制限し、プロング14がベース18の表面の半径方向内側に移動することを阻止し得る。プロング14のサイズ及び形状は、使用用途に応じて異なり得る。例えば、プロング14の長さは、特定の種類の状態又は解剖学的構造の部分を治療するように選択され得る。
【0015】
プロング14は、プロング14の遠位端に角度付きの遠位先端20を有してもよい。例えば、プロング14の遠位先端20は、プロング14の近位の長手方向アーム部分22から検出デバイス10及び/又はベース18の中心長手方向軸線に向かって半径方向内向きに突出してもよい。プロング14の長手方向アーム部分22に対するプロング14の遠位先端20の角度は、約90度であってもよい。遠位先端20の表面は、検出デバイス10の中心長手方向軸線の方向に沿って遠位に面してもよい。センサ16は、概ね遠位に面した遠位先端20の表面上に配置されてもよい。センサ16は、追加的に又は代替的に、概ね近位に面した遠位先端20の表面上にセンサ16が配置されるように、遠位先端20を通って長手方向に延びてもよい。遠位先端20は、円形又はほぼ円形(図1Bを参照)を形成してもよい。プロング14は、それぞれ、同じ形状を有してもよく、又は互いに異なる形状を有してもよい。
【0016】
検出デバイス10はまた、スリーブ30を含んでもよい。スリーブ30は、センサアレイ12の半径方向外側に配置されてもよい。例えば、スリーブ30の中心長手方向軸線は、センサアレイ12(ベース18を含む)の中心長手方向軸線と同軸であってもよい。スリーブ30は、センサアレイ12に対して移動可能であってもよい。例えば、スリーブ30は、センサアレイ12に対して長手方向に移動可能であってもよい。追加的に又は代替的に、スリーブ30は、センサアレイ12に対して回転可能に移動可能であってもよい。例えば、スリーブ30及びセンサアレイ12の一つ又は両方は、作動機構(図示せず)を介して移動可能であってもよい。スリーブ30をアレイ12に対して近位に移動させる任意の適切な作動機構が使用されてもよい。以下で更に詳述するように、スリーブ30は、プロング14が検出デバイス10の長手方向軸線にほぼ平行に延びる(図1Aを参照)ように、スリーブ30がプロング14を拘束するように配置され得る。プロング14がスリーブ30の遠位に延びるようにスリーブ30が近位に移動すると、プロング14はそれらの中立の非拘束構成を自由にとることができ、検出デバイス10の中心長手方向軸線から半径方向に遠ざかる方に延びる(図1C及び図1Dを参照)。スリーブ30は、対象物へのスリーブ30の挿入を容易にするための平滑な表面及び/又は非侵襲的な遠位側縁部などの特徴を含んでもよい。
【0017】
検出デバイス10は、医療デバイス52のシース50の外面上に配置されてもよい。例えば、シース50は、スリーブ30、ベース18、及び/又はプロング14を通過してもよい。医療デバイス52は、例えば、内視鏡、十二指腸内視鏡、気管支鏡、尿管鏡、大腸内視鏡、腹腔鏡、カテーテル、切開刀、又はその他のデバイスであってもよい。シース50は、検出デバイス10に永久的に又は取り外し可能に取り付けられてもよい。例えば、シース50及び検出デバイス10は、単一の一体ユニットを形成してもよい。或いは、検出デバイス10は、シース50から取り外し可能であってもよい。検出デバイス10は、様々なシース50との使用に対応し得る。例えば、検出デバイス10のサイズは様々であり得、異なる大きさのシース50がそれらと共に使用され得る。
【0018】
シース50は、患者の体管腔に挿入することができ、シース50の遠位部分を操舵するための関節ジョイント(図示せず)などの特徴を有してもよい。シース50は遠位先端54を有し得、遠位先端54は、カメラ56及び/又は光源58などの光学特徴を含んでもよい。光源58は、例えば、光ファイバ、発光ダイオード(LED)、又は他の種類の照明デバイスであってもよい。カメラ56の代わりに、別の種類の撮像デバイス(例えば、光ファイバ及び/又はレンズ)が、患者の体管腔からオペレータに画像を送信するために使用されてもよい。カメラ56は、画像及び/又はビデオ捕捉特徴を有してもよい。カメラ56(又は別の可視化デバイス)からの出力は、オペレータが、例えばディスプレイモニタ(図示せず)を使用して内視鏡像により見ることができる。医療デバイス52は、医療デバイス52の近位部分に動作部分(図示せず)を含んでもよい。
【0019】
シース50はまた、シース50の近位端(図示せず)から遠位先端54まで延びる内腔であり得るワーキングチャネル60を含んでもよい。一つ以上のツールが医療デバイス52の動作中にワーキングチャネル60を通過し得る。ワーキングチャネル60を通過させる医療ツールとしては、クリップ、縫合デバイス、ステープラ、鉗子、スネア、アブレーションデバイス、ニードルナイフ、切開刀、止血薬送達デバイスなどが挙げられ得る。シース50は、吸引、灌注などを含む、内視鏡処置において有用な任意の他の所望の特徴及び機能を含んでもよい。
【0020】
シース50は、検出デバイス10に対して移動可能(例えば摺動可能)であってもよい。例えば、シース50は、検出デバイス10に対して長手方向に及び/又は回転可能に移動することができる。上記のように、検出デバイス10のセンサアレイ12及びスリーブ30は、互いに対して移動可能であってもよい。各センサアレイ12、スリーブ30、及びシース50は、互いに対して移動可能であってもよい。センサアレイ12、スリーブ30、及びシース50のうちの一つ以上を他の構成要素の一つ以上に対して選択的にロックするためにロック機構(図示せず)が使用されてもよい。
【0021】
処置中、シース50及び検出デバイス10は、異なる処置段階時に、異なる構成へと操作されてもよい。図3は、医療方法100の例示的な工程を示す。工程110において、周りに検出デバイス10が配置されたシース50が、体管腔を通して処置部位にナビゲートされ得る。工程110において、検出デバイス10及びシース50は、図1Aに示される第一の構成となり得る。図1Aの構成において、スリーブ30は、プロング14がスリーブ30の内面によって拘束されるように、プロング14の周りに配置され得る。例えば、スリーブ30は、スリーブ30の遠位端がプロング14の遠位端と長手方向に位置合わせされる又はほぼ長手方向に位置合わせされるように配置されてもよい。プロング14は、プロング14がスリーブ30の中心長手方向軸線に平行である又はほぼ平行であるように、ベース18に対して拘束されてもよい。シース50は、シース50の遠位先端54がスリーブ30及びプロング14の遠位端と長手方向に位置合わせされる又はほぼ長手方向に位置合わせされるように配置されてもよい。図1Aの構成は、流線化構成においてシース50及び検出デバイス10の挿入を容易にすることができ、例えばカメラ56による処置部位の可視化も可能にすることができる。
【0022】
方法100の工程120において、検出デバイス10は、図1B図1Dに示すように展開及び配置され得る。図1B及び図1Cに示すように、スリーブ30は、例えば、センサアレイ12に対して近位にスリーブ30を移動させることにより引き込まれ得る。スリーブ30が近位に引き込まれると、プロング14は、ベース18及び/又はシース50に対して半径方向外向きに拡張することができる。プロング14は、スリーブ30がベース18又はベース18の遠位部分の近位に移動した後に、例えば、半径方向に拡張することができる。半径方向外向きに延びるプロング14の量は、シース50を異なる長手方向位置に配置することにより調節可能であり得る。例えば、プロング14は、スリーブ30の遠位端がプロング14とベース18との間の接続部と長手方向に位置合わせされる若しくはプロング14とベース18との間の接続部の近位にある(例えば、プロング14をベース18に接続するヒンジと長手方向に位置合わせされる又はプロング14をベース18に接続するヒンジの近位にある)ときに、及び/又はスリーブ30の遠位端がプロング14の最近位部分と長手方向に位置合わせされる若しくはプロング14の最近位部分の近位にあるときに、完全に半径方向に拡張され得る。スリーブ30がプロング14(及び/又はベース18)に対してより遠位に配置される場合、プロング14は、スリーブ30によっていくらか拘束され得、完全に拡張することはできない。例えば、プロング14が完全に拡張していないとき、プロング14は、スリーブ30及び/又はシース50に対してより小さな角度を有し得る。プロング14の拡張半径(即ち、プロング14の遠位先端20とアレイ12の中心長手方向軸線との距離)は、異なる大きさの目的の標的領域に対して調節され得る。スリーブ30、プロング14、及び/又はベース18は、スリーブ30の位置決めに関する情報をオペレータに提供するためのフィードバック特徴を有してもよい。例えば、スリーブ30、プロング14、及び/又はベース18上の突起又は窪みは、オペレータに触覚フィードバックを提供し得る。スリーブ30、プロング14、及び/又はベース18は、スリーブ30が最大所望位置よりも近位に又は遠位に移動することを阻止する又は制限するための停止部又は他の特徴も含んでよい。
【0023】
図1Dに示すように、その後、シース50は、検出デバイス10に対して(即ち、プロング14、ベース18、及びスリーブ30に対して)近位に移動させることができる。例えば、シース50は、遠位先端54がベース18の遠位端と長手方向に位置合わせされる又はほぼ長手方向に位置合わせされるように、近位に移動させることができる。検出デバイス10に対して近位方向にシース50を引き込むと、(例えば、カメラ56を使用した)目的の部位の可視化を補助することができる。シース50は、作動機構(図示せず)を使用して、又はシャフト50全体を近位に単に引くことによって近位に移動させることができる。
【0024】
図1Dに示す構成では、オペレータは、プロング14の遠位先端20(センサ16を含む)を例えばカメラ56により可視化することができ得る。上記のように、センサ16は、遠位先端20の近位対向表面へと延び得る。代替的に、遠位先端20は、センサ16の可視化を可能にするために、透明又は半透明であってもよい。センサ16は、センサ16又はセンサ16の構成要素若しくは一部の可視化を可能にするのに適した任意の手法で構成されてもよい。例えば、図2A図2Dは、検出デバイス10及びシース50が図1Dの構成にある間の、オペレータの内視鏡像(例えば、カメラ56を介した)を示し得る。図2Aに示すように、遠位先端20を含むプロング14の部分が、ディスプレイ(図示せず)上に示され得る内視鏡像の周辺部に見える場合がある。プロング14は、目的領域の周囲に配置され得る。例えば、図2A図2Dは、選択した組織、例えば、盲腸ポリープ切除後誘発潰瘍X疑いの周囲に配置されたプロング14を示す。しかしながら、プロング14は、非出血性の露出血管、静脈瘤出血、又は活動性出血などの様々な状態と共に使用されてもよい。
【0025】
工程130において、検出デバイス10を用いて、出血又は血流が存在するかどうか及び/又は検出されたかどうかを判定することができる。センサ16は任意の適切な技術を用いて、出血が存在するかどうかを判定することができる。センサ16は、血流が存在するかどうかを判定することができ、血流の方向又は血流の量を示すように構成され得る。このような情報は、患者にどの種類の治療を施すかを決定するのに有用な場合がある。
【0026】
例えば、センサ16は、ドップラー超音波などの超音波技術を用いてもよい。各センサ16は、超音波デバイスを含んでもよい。例えば、センサ16は、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT:capacitive micromachined ultrasound transducer)又は圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT:piezoelectric micromachined ultrasound transducer)を含んでもよい。例えば、超音波デバイスは、超音波を発することができ、超音波は、超音波が接触する、移動する赤血球によって散乱する。ドップラー効果によって変化した周波数を有する超音波は受信機に戻り得る。血流が存在するかどうかを判定するために、プラグフローアルゴリズム又は任意の他の適切なアルゴリズムを用いてもよい。
【0027】
追加的に又は代替的に、センサ16は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/522,168号明細書に記載されているものなどの光学的灌流センサを用いてもよい。例えば、約530ナノメートル又は約420ナノメートルの波長が使用され得る。なぜなら、これらの波長は、デオキシヘモグロビン及びオキシヘモグロビンの光吸収が最大になる波長だからである。530ナノメートルの緑色光は、組織を深く貫通し、腸の筋層に到達することができる。530ナノメートルの緑色光はまた、高い信号対雑音比を有し得、他の波長と比較するとアーチファクトを比較的発生させない可能性がある。センサ16は、照明デバイス(例えば、530ナノメートルの緑色光を発するLED)及び受信機デバイス(例えば、フォトダイオード)を含んでもよい。センサ16は、血流の時間グラフを示すことができるプレチスモグラフの拍動表示を提供してもよい。例えば、センサ16は、照明デバイスによって発せられた光波が目的領域のヘモグロビンによってどのように吸収及び反射されるかを測定してもよい。
【0028】
灌流指標は、センサ16からのデータに基づいて決定され得る。灌流指標は、センサ16によって測定された全部の光(直流(DC)成分であり得る)の量に対する、センサ16によって測定された拍動光(交流(AC)成分であり得る)の量の比率を含み得る。例えば、灌流指標は、以下の式に従って計算され得る。
【0029】
【数1】
【0030】
2%未満の灌流指標は、低灌流であることを示し得る。2%~4%の灌流指標は、中程度の灌流であることを示し得る。4%~8%の灌流指標は、十分な灌流であることを示し得る。8%を超える灌流指標は、高灌流であることを示し得る。上記式は単なる例示である。消化管の組織内の灌流量を計算するために任意の他の適切な方法を用いてもよい。上記範囲も単なる例示である。範囲は、患者、部位、測定ツール、使用する式、又はその他の要因に基づいて異なり得る。灌流指標が提供されるが、血流が存在するかどうかを判定するために別の測定値又はアルゴリズムが用いられてもよい。
【0031】
各センサ16(遠位先端20にあり得る)は、インジケータ200を含んでもよい。インジケータ200は、遠位先端20上に配置され、カメラ56を介して見えるように近位に面した、例えば、LEDライトなどのライトであってもよい。インジケータ200は、センサ16が血流を検出した場合に作動され得る。例えば、インジケータ200は、点灯し得る又は異なる色に変化され得る(例えば、血流を検出していないインジケータが黄色、白色、別の色である場合は、緑色、又はオフにされる)。例えば、センサ16が超音波センサ(例えば、CMUT又はPMUT)を含む場合、プラグフローアルゴリズムなどのアルゴリズムが使用されてもよい。血流が検出された場合、インジケータ200が作動され得る。センサ16が灌流センサを含む場合、インジケータ200は、(例えば、上記のパラメータを使用して)中程度の灌流、十分な灌流、又は高灌流が検出された場合に作動され得る。例えば、インジケータ200は、センサ16が2%以上の灌流指標を示す場合に作動され得る。インジケータ200は、バイナリであってもよく、血流が検出されたか否かのみを示してもよい。追加的に又は代替的に、インジケータ200は、例えば、センサ16のLEDライトの色変化を使用して灌流のグラデーションを示してもよい。
【0032】
図2Bに示すように、インジケータ200は作動し、血流の経路、ゆえに、血管を伝える(例えば、示す又は示唆する)。例えば、図2Bでは、内視鏡像の上下にあるインジケータ200が作動し(例えば、点灯し)、図2Bに示す内視鏡像の垂直方向に走行する非出血性血管(又は別の特徴)の存在を示唆する。このような血管Yは、図2Bに点線で示される。代替的に、ライト以外の機構が使用されてもよい。例えば、オペレータが視認できるディスプレイは、検出デバイス10の一部分の(例えば、遠位先端20又はプロング14のその他の部分の)図を含んでもよく、この図は、どのセンサ16が血流を示すかを示してもよい。このような例では、遠位先端20自体は物理的なインジケータ200を含まなくてもよく、その代わりに、血流は、ディスプレイ上に仮想的に示されてもよい。バーチャルインジケータが使用される場合では、ディスプレイデバイスは、また、血管と疑われるものを(例えば、図2Bに血管Yを示すように点線を使用して)マッピングしてもよい。追加的に又は代替的に、検出デバイス10の一部分から患者の組織上に光を投影し、血管の位置を示してもよい。追加的に又は代替的に、検出デバイス10が、血管と疑われるものの経路を明示的に示さずに、検出デバイス10のオペレータがインジケータ200に基づいて血管の位置を推測してもよい。図2Bは、作動された二つのインジケータ200を示すが、一つのインジケータ200又は二つを超えるインジケータ200が作動されてもよい。このような場合、検出デバイス10は、より多くの情報を得るために位置変更されてもよく、及び/又は作動されたインジケータ200から血流の経路が推測され得る。
【0033】
工程130において血流が検出された場合、工程140において治療が施され得る。例えば、図2Cに示すように、ワーキングチャネル60を通してツール210を進め、ワーキングチャネル60の遠位開口部から出してもよい。図2Cに示すように、ツール210はクリップであってもよい。代替的に、ツール210は、以下、即ち、縫合デバイス、ステープラ、鉗子、スネア、アブレーションデバイス、ニードルナイフ、切開刀、止血薬送達デバイスなどのうちの一つ以上であってもよい。ワーキングチャネル60を通して一つより多いツール210を同時に進めてもよい。ツール210は、インジケータ200によって示唆された血管と疑われるものに向けてナビゲートしてもよい。例えば、図2Cに示すように、クリップが血管上に配置されてもよい。工程130における治療中、検出デバイス10は、センサ16及び/又はインジケータ200によって示された出血又は血流をオペレータが視認し続けることができるように、所定の位置にとどまってもよい。例えば、治療中、インジケータ200は作動し続けてもよい。検出デバイス10はシース50上に配置されているため、ツール210は、検出デバイス10を変位することなく、又はワーキングチャネル60の可用性を低減させることなく操作され得る。
【0034】
工程130の最中、シース50は、検出デバイス10に対して近位に及び/又は遠位に移動させることができる。例えば、シース50は、図1Cに示される構成と図1Dに示される構成との間で、又はシース50が検出デバイス10に対して異なるように配置されるその他の構成に作動させることができる。シース50のこのような移動により、オペレータが(例えば、カメラ56を介して)異なる像を得ること又はツール210を望むとおりに使用することを可能にすることができる。
【0035】
工程140において治療が施された後、工程150において、検出デバイス10を用いて、出血又は血流が効果的に治療された及び/又は排除されたかどうかを判定することができる。図2Dに示すように、工程130において、治療される領域上にクリップ220などのデバイスが配置されてもよい。工程130及び工程140の最中、センサ16及び/又はインジケータ200は、継続的に動作していてもよい。工程130及び/又は工程140を実施する過程の最中にセンサ16及び/又はインジケータ200が作動停止される場合、センサ16及び/又はインジケータ200は、工程150の最中に再作動されてもよい。インジケータ200が血流を示さない(例えば、点灯しない又は色を変化させない又はそうでなければセンサ16によって検出された血流を示さない)場合、処置により出血又は血流が効果的に制限された又は排除されたため、工程160において処置は終了してもよい。インジケータ200が血流を示す場合、工程140において、更なる治療が施され得る。
【0036】
上記の方法100の工程は排他的なものではなく、追加の工程が用いられてもよく、又は特定の工程が省略されてもよい。方法100の工程は、別の順序で実施されてもよく、且つ繰り返されてもよい。図1A図1Dに示される特定の構成は単なる例示であり、検出デバイス10及びシース50の構成要素は、処置の目的を達成するために、代替的に配置されてもよい。
【0037】
本開示の原理は、特定の用途の例示を参照して本明細書に記載されているが、本開示はそれに限定されないことは理解すべきである。当該技術分野における通常の技量を有し、本明細書に提供される教示へのアクセスを有する者であれば、追加の修正形態、用途、及び均等物の代替物が全て、本明細書に記載される例の範囲内にあることを認識するであろう。したがって、本発明は、前述の記載によって限定されるものとみなされない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
【国際調査報告】