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特表2022-550816抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221128BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221128BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221128BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20221128BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/28
A61K31/4745
A61K38/02
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K47/68
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520223
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020054037
(87)【国際公開番号】W WO2021067776
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,988
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】505314468
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー, スコット
(72)【発明者】
【氏名】リスキ, ライアン
(72)【発明者】
【氏名】クワン, バイロン フア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エプス, ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ウエイト, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084CA47
4C084DA35
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB26
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB01
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
新規な抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲート、ならびにがんを処置するためのそのような抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲートを使用する方法が提供される。抗PD-L1抗体およびPD-L1指向性抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、本明細書で提供される。特に、PD-L1指向性カンプトテシンADCおよびMMAE ADCが、本明細書で提供される。PD-L1発現障害を処置するために抗PD-L1指向性抗体およびADCを使用する方法も、本明細書で提供される。好ましい抗PD-L1抗体は、3nM~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体が、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す、請求項1または請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記全内在化が、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
前記全内在化が、FabFluor内在化アッセイによって決定される、請求項3に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、Ab1のx50よりも低いx50をさらに示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、3ng/mL~20ng/mLである、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、15ng/mL~55ng/mLである、請求項6に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、前記抗体が、前記CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
前記断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、前記抗体の前記重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項18】
前記重鎖定常領域が、IgG1アイソタイプのものである、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Citリンカーを含む、請求項22に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体が、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化19】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項20~23のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項25】
pが4である、請求項24に記載の抗体。
【請求項26】
pが8である、請求項24に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項20に記載の抗体。
【請求項28】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項27に記載の抗体。
【請求項29】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Lys-Glyリンカーを含む、請求項28に記載の抗体。
【請求項30】
前記抗体が、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化20】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項27~29のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項31】
pが4である、請求項30に記載の抗体。
【請求項32】
pが8である、請求項30に記載の抗体。
【請求項33】
治療有効量の請求項1~32のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項34】
対象におけるがんを処置する方法であって、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記対象が、ヒト対象である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、または子宮頸がんである、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1~33のいずれか一項によって定義される抗体をコードする核酸。
【請求項38】
請求項37に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項39】
請求項38に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項40】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項39に記載の宿主細胞。
【請求項41】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、請求項39または40に記載の宿主細胞を、前記抗体の産生に適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項42】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体薬物-コンジュゲートを産生する方法であって、請求項39または40に記載の宿主細胞を、抗体の産生に適した条件下で培養すること、および前記抗体を細胞傷害剤にコンジュゲートすることを含む、方法。
【請求項43】
前記細胞傷害剤が、MMAEまたはカンプトテシンである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、前記抗体が、前記CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項45】
前記抗体が、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、請求項44に記載の抗体。
【請求項46】
前記抗体が、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、請求項44または45に記載の抗体。
【請求項47】
前記抗体が、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す、請求項44~46のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項48】
前記全内在化が、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である、請求項47に記載の抗体。
【請求項49】
前記全内在化が、FabFluor内在化アッセイによって決定される、請求項48に記載の抗体。
【請求項50】
前記抗体が、Ab1のx50よりも高いx50をさらに示す、請求項44~49のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項51】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、3ng/mL~20ng/mLである、請求項50に記載の抗体。
【請求項52】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、15ng/mL~55ng/mLである、請求項50に記載の抗体。
【請求項53】
前記抗体が、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む、請求項44~52のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項54】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項44~53のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項55】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項44~54のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項56】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項44~55のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項57】
前記抗体が、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む、請求項44~56のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項58】
前記抗体が、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む、請求項44~57のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項59】
前記断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である、請求項44~58のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項60】
前記抗体が、前記抗体の前記重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する、請求項44~59のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項61】
前記重鎖定常領域が、IgG1アイソタイプのものである、請求項44~60のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項62】
前記抗体が、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項44~61のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項63】
前記抗体が、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている、請求項44~62のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項64】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている、請求項63に記載の抗体。
【請求項65】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている、請求項64に記載の抗体。
【請求項66】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Citリンカーを含む、請求項65に記載の抗体。
【請求項67】
前記抗体が、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化21】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項63~66のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項68】
pが4である、請求項67に記載の抗体。
【請求項69】
pが8である、請求項67に記載の抗体。
【請求項70】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項63に記載の抗体。
【請求項71】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項70に記載の抗体。
【請求項72】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Lys-Glyリンカーを含む、請求項71に記載の抗体。
【請求項73】
前記抗体が、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化22】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項70~72のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項74】
pが4である、請求項73に記載の抗体。
【請求項75】
pが8である、請求項73に記載の抗体。
【請求項76】
治療有効量の請求項44~75のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項77】
対象におけるがんを処置する方法であって、請求項44~76のいずれか一項に記載の抗体を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項78】
前記対象が、ヒト対象である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、または子宮頸がんである、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項80】
請求項44~76のいずれか一項によって定義される抗体をコードする核酸。
【請求項81】
請求項80に記載の核酸を含むベクター。
【請求項82】
請求項81に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項83】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項82に記載の宿主細胞。
【請求項84】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、請求項82または83に記載の宿主細胞を、前記抗体の産生に適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項85】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体薬物-コンジュゲートを産生する方法であって、請求項82または83に記載の宿主細胞を、抗体の産生に適した条件下で培養すること、および前記抗体を細胞傷害剤にコンジュゲートすることを含む、方法。
【請求項86】
前記細胞傷害剤が、MMAEまたはカンプトテシンである、請求項85記載の方法。
【請求項87】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項88】
前記抗体が、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、請求項87に記載の抗体。
【請求項89】
前記抗体が、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、請求項87または88に記載の抗体。
【請求項90】
前記抗体が、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す、請求項87~89のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項91】
前記全内在化が、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である、請求項90に記載の抗体。
【請求項92】
前記全内在化が、FabFluor内在化アッセイによって決定される、請求項91に記載の抗体。
【請求項93】
前記抗体が、Ab1のx50よりも高いx50をさらに示す、請求項87~92のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項94】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、3ng/mL~20ng/mLである、請求項93に記載の抗体。
【請求項95】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、前記x50が、15ng/mL~55ng/mLである、請求項93に記載の抗体。
【請求項96】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項87~95のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項97】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項87~96のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項98】
前記抗体が、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項87~97のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項99】
前記抗体が、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む、請求項87~98のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項100】
前記抗体が、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む、請求項87~99のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項101】
前記断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である、請求項87~100のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項102】
前記抗体が、前記抗体の前記重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する、請求項87~101のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項103】
前記重鎖定常領域が、IgG1アイソタイプのものである、請求項87~102のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項104】
前記抗体が、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項87~103のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項105】
前記抗体が、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている、請求項87~104のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項106】
前記抗体が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている、請求項105に記載の抗体。
【請求項107】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている、請求項106に記載の抗体。
【請求項108】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Citリンカーを含む、請求項107に記載の抗体。
【請求項109】
前記抗体が、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化23】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項105~108のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項110】
pが4である、請求項109に記載の抗体。
【請求項111】
pが8である、請求項109に記載の抗体。
【請求項112】
前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項105に記載の抗体。
【請求項113】
前記抗体が、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている、請求項112に記載の抗体。
【請求項114】
前記酵素切断可能なリンカー単位が、Val-Lys-Glyリンカーを含む、請求項113に記載の抗体。
【請求項115】
前記抗体が、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化24】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、
式中、Abは前記抗体を表し、pは2~10の範囲である、
請求項112~114のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項116】
pが4である、請求項115に記載の抗体。
【請求項117】
pが8である、請求項115に記載の抗体。
【請求項118】
治療有効量の請求項87~117のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項119】
対象におけるがんを処置する方法であって、請求項87~118のいずれか一項に記載の抗体を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項120】
前記対象が、ヒト対象である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、または子宮頸がんである、請求項119または120に記載の方法。
【請求項122】
請求項87~118のいずれか一項によって定義される抗体をコードする核酸。
【請求項123】
請求項122に記載の核酸を含むベクター。
【請求項124】
請求項123に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項125】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項124に記載の宿主細胞。
【請求項126】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、請求項124または125に記載の宿主細胞を、前記抗体の産生に適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項127】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体薬物-コンジュゲートを産生する方法であって、請求項124または125に記載の宿主細胞を、抗体の産生に適した条件下で培養すること、および前記抗体を細胞傷害剤にコンジュゲートすることを含む、方法。
【請求項128】
前記細胞傷害剤が、MMAEまたはカンプトテシンである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされて抗体-薬物コンジュゲートを形成し、前記抗体-薬物コンジュゲートが、構造:
【化25】
を有し、式中、
Abは抗PD-L1抗体であり、
yは1、2、3もしくは4であるか、または1もしくは4であり、かつ
zは2~12の整数であるか、または2、4、8、もしくは12であり、
かつpは1~16である、
抗体またはその抗原結合断片。
【請求項130】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、構造:
【化26】
を有する、請求項129に記載の抗体。
【請求項131】
pが2~10の範囲である、請求項129または130に記載の抗体。
【請求項132】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも大きい結合親和性を示す、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項133】
前記抗体が、2.7nMを超える結合親和性を示す、請求項132に記載の抗体。
【請求項134】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも小さいkassocを示す、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項135】
前記抗体が、ヒトPD-L1タンパク質に対して5×10-1-1未満であるkassocを示す、請求項134に記載の抗体。
【請求項136】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも大きいkdissocを示す、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項137】
前記抗体が、2×10-1より大きいヒトPD-L1タンパク質に対するkdissocを示す、請求項136に記載の抗体。
【請求項138】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、前記抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、前記抗体が、前記CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含み、前記抗体が、5nM~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示し、前記抗体が、MMAEにコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項139】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、前記抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、前記抗体が、前記CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含み、前記抗体が、5nM~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示し、前記抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月4日に出願された米国特許出願第62/910,988号の優先権を主張し、その全体において、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、新規な抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲート、ならびにがんを処置するためのそのような抗PD-L1抗体および抗体-薬物コンジュゲートを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PD-L1は、プログラム死リガンド1、B7-H1またはCD274としても知られており、様々ながん細胞において発現されることが示されているタンパク質である。PD-L1は、PD-1と相互作用し、T細胞を不活性化するための「オフ」スイッチとして作用することができる膜貫通タンパク質である。PD-L1は、一般に腫瘍細胞上で過剰発現され、PD-1に結合することにより腫瘍がT細胞免疫応答を回避することが可能になる。
【0003】
黒色腫を含む、PD-L1を発現するいくつかのがんがある。黒色腫は、最も危険なタイプの皮膚がんである。2015年には、活動性疾患を有する310万人が存在し、黒色腫は59,800人の死亡をもたらした。ステージIV疾患の5年生存率は、10%未満であり、生存の中央値はわずか6~12ヶ月である。したがって、黒色腫およびPD-L1を発現する他のがんのための改善された処置が必要とされている。PD-L1を発現するがんの処置の1つのタイプは、免疫療法として抗PD-L1抗体を投与することを含む。免疫腫瘍学は、がん処置の有望な分野であるが、現在の治療法には改善の余地がある。
【0004】
特許出願、特許公報、および科学文献を含む本明細書に引用されたすべての参考文献は、あたかも各個々の参考文献が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
抗PD-L1抗体およびPD-L1指向性抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、本明細書で提供される。特に、PD-L1指向性カンプトテシンADCおよびMMAE ADCが、本明細書で提供される。PD-L1発現障害を処置するために抗PD-L1指向性抗体およびADCを使用する方法も、本明細書で提供される。好ましい抗PD-L1抗体は、3nM~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。他の好ましい抗PD-L1抗体は、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、抗体が、CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含む。他の好ましい抗PD-L1抗体は、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む。
【0006】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。
【0007】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す。いくつかの実施形態において、全内在化は、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である。いくつかの実施形態において、全内在化は、FabFluor内在化アッセイによって決定される。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1のx50よりも低いx50をさらに示す。いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、3ng/mL~20ng/mLである。
【0009】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、15ng/mL~55ng/mLである。
【0010】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、抗体は、CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である。
【0015】
いくつかの実施形態において、抗体は、抗体の重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1アイソタイプのものである。
【0017】
いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0018】
いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている。
【0019】
いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Citリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化1】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Lys-Glyリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化2】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0021】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、抗体は、CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含む、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗体は、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。いくつかの実施形態において、抗体は、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。
【0023】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す。いくつかの実施形態において、全内在化は、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である。いくつかの実施形態において、全内在化は、FabFluor内在化アッセイによって決定される。
【0024】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1のx50よりも高いx50をさらに示す。
【0025】
いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、3ng/mL~20ng/mLである。
【0026】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、15ng/mL~55ng/mLである。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗体は、抗体の重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1アイソタイプのものである。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0033】
いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Citリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化3】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0034】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Lys-Glyリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化4】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0035】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体が、配列番号13~15の重鎖CDR配列および配列番号16~18の軽鎖CDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【0036】
いくつかの実施形態において、抗体は、3~300nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。いくつかの実施形態において、抗体は、3~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示す。
【0037】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1の全内在化よりも高い全内在化をさらに示す。いくつかの実施形態において、全内在化は、Ab1のAUCに対してAUCの9%~155%の増加である。いくつかの実施形態において、全内在化は、FabFluor内在化アッセイによって決定される。
【0038】
いくつかの実施形態において、抗体は、Ab1のx50よりも高いx50をさらに示す。
【0039】
いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、3ng/mL~20ng/mLである。
【0040】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされ、MDA-MB-231細胞株において、x50は、15ng/mL~55ng/mLである。
【0041】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号11の重鎖可変領域配列および配列番号12の軽鎖可変領域配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号9の軽鎖と配列番号10の重鎖とを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、線状抗体、または一本鎖抗体断片である。
【0044】
いくつかの実施形態において、抗体は、抗体の重鎖においてL234A変異およびL235A変異を含有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1アイソタイプのものである。
【0046】
いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0047】
いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介して細胞傷害剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してMMAEにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Citリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してMMAEにコンジュゲートされ、以下の構造:
【化5】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0048】
いくつかの実施形態において、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、抗体は、酵素切断可能なリンカー単位を介してカンプトテシンにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態において、酵素切断可能なリンカー単位は、Val-Lys-Glyリンカーを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、リンカーを介してカンプトテシンにコンジュゲートされ、構造:
【化6】
を有する抗体-薬物コンジュゲートを形成し、式中、Abは抗体を表し、pは2~10の範囲である。いくつかの実施形態において、pが4である。いくつかの実施形態において、pが8である。
【0049】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、カンプトテシンにコンジュゲートされて抗体-薬物コンジュゲートを形成し、抗体-薬物コンジュゲートは、構造:
【化7】
を有し、式中、Abは抗PD-L1抗体であり、yは1、2、3もしくは4であるか、または1もしくは4であり、かつzは2~12の整数であるか、または2、4、8、もしくは12であり、かつpは1~16である、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。
【0050】
いくつかの実施形態において、抗体-薬物コンジュゲートは、構造:
【化8】
を有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、pが2~10の範囲である。
【0052】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも大きい結合親和性を示す、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、2.7nMを超える結合親和性を示す。
【0053】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも小さいkassocを示す、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に対して5×10-1-1未満であるkassocを示す。
【0054】
ヒトプログラム死リガンド1(PD-L1)タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に対して、Ab1よりも大きいkdissocを示す、抗体またはその抗原結合断片も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、抗体は、2×10-1より大きいヒトPD-L1タンパク質に対するkdissocを示す。
【0055】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、抗体が、CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含み、抗体が、5nM~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示し、抗体が、MMAEにコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。
【0056】
ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、抗体が、配列番号3~5の重鎖CDR配列および配列番号6~8の軽鎖CDR配列を含み、抗体が、CDRのうちの1またはそれより多くの中に1またはそれを超えるアミノ酸置換を含み、抗体が、5nM~15nMであるヒトPD-L1タンパク質に対する結合親和性を示し、抗体が、カンプトテシンにコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。
【0057】
治療有効量の本明細書に記載の抗体および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0058】
本明細書に記載の抗体のいずれかを対象に投与することを含む、対象のがんを処置する方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト対象である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、または子宮頸がん(cervical cancer)である。
【0059】
本明細書に記載の抗体のいずれかをコードする核酸も本明細書で提供される。
【0060】
本明細書に記載の核酸のいずれかを含むベクターも本明細書で提供される。
【0061】
本明細書に記載の核酸のいずれかを含む本明細書に記載の宿主細胞のいずれかも本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0062】
本明細書に記載の宿主細胞のいずれかを、抗体の産生に適した条件下で培養することを含む、ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法も本明細書で提供される。
【0063】
本明細書に記載の宿主細胞のいずれかを、抗体の産生に適した条件下で培養すること、および抗体を細胞傷害剤にコンジュゲートすることを含む、ヒトPD-L1タンパク質に特異的に結合する抗体薬物-コンジュゲートを産生する方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、細胞傷害剤は、MMAEまたはカンプトテシンである。
【0064】
がん(例えば、PD-L1発現に関連するがん)を処置のための医薬品の製造における使用のための本明細書に記載の抗PD-L1抗体のいずれかまたは任意の抗体薬物コンジュゲートの使用も本明細書で提供される。
【0065】
がん(例えば、PD-L1発現に関連するがん)の処置における使用のための本明細書に記載の抗PD-L1抗体または本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートも本明細書で提供される。
【0066】
医薬における使用のための本明細書に記載の抗PD-L1抗体または本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートも本明細書で提供される。
【0067】
PD-L1細胞の死滅を必要とする対象においてPD-L1細胞を死滅させる方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗PD-L1抗体のいずれかまたは本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートのいずれかを対象に投与することを含む方法も本明細書で提供される。
【0068】
PD-L1細胞の死滅を必要とする対象においてPD-L1細胞を死滅させるための医薬品の製造に使用するための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体のいずれかまたは本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートのいずれかの使用も本明細書で提供される。
【0069】
治療有効量の本明細書に記載の抗PD-L1抗体のいずれかまたは本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートのいずれかを対象に投与することを含む、対象の固形腫瘍(例えば、PD-L1固形腫瘍)の体積を減少させる方法も本明細書で提供される。
【0070】
対象の固形腫瘍(例えば、PD-L1固形腫瘍)の体積を減少させるための医薬品の製造における使用のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体のいずれかまたは本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートのいずれかの使用も本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、変異のために選択されたAb1の例示的なアミノ酸残基を示す。
【0072】
図2-1】図2A~2Fは、いくつかの細胞株においてSG-559-xx ADCの細胞傷害を示す。
図2-2】図2A~2Fは、いくつかの細胞株においてSG-559-xx ADCの細胞傷害を示す。
図2-3】図2A~2Fは、いくつかの細胞株においてSG-559-xx ADCの細胞傷害を示す。
【0073】
図3図3A~3Bは、コントロール抗体と比較して、SG-559-01およびSG-559-03の内在化を示す。
【0074】
図4図4A~4Bは、MDA-MB-231マウスモデルにおけるSG-559-xx ADCの抗腫瘍活性を示す。
【0075】
図5図5A図5Bは、BxPC3マウスモデルにおけるSG-559-xx ADCの抗腫瘍活性を示す。
【0076】
図6-1】図6A図6Bは、Karpas 299マウスモデルにおけるSG-559-01 LALA ADCの抗腫瘍活性を示す。
図6-2】図6A図6Bは、Karpas 299マウスモデルにおけるSG-559-01 LALA ADCの抗腫瘍活性を示す。
【0077】
図7図7は、Calu-1マウスモデルにおけるSG-559-01 LALA ADCの抗腫瘍活性を示す。
【0078】
図8-1】図8A図8Bは、EBC-1マウスモデルにおけるSG-559-01 LALA ADCの抗腫瘍活性を示す。
図8-2】図8A図8Bは、EBC-1マウスモデルにおけるSG-559-01 LALA ADCの抗腫瘍活性を示す。
【0079】
図9図9は、SG-559-01 LALA抗体およびADCのインビトロPD-1/PD-L1ブロッキング活性を示す。
【0080】
図10-1】図10A図10Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-01およびSG-559-01 LALA ADCの免疫毒性を示す。
図10-2】図10A図10Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-01およびSG-559-01 LALA ADCの免疫毒性を示す。
図10-3】図10A図10Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-01およびSG-559-01 LALA ADCの免疫毒性を示す。
図10-4】図10A図10Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-01およびSG-559-01 LALA ADCの免疫毒性を示す。
【0081】
図11-1】図11A図11Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-xx ADCの免疫毒性を示す。
図11-2】図11A図11Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-xx ADCの免疫毒性を示す。
図11-3】図11A図11Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-xx ADCの免疫毒性を示す。
図11-4】図11A図11Dは、ヒトAPCモデルにおけるSG-559-xx ADCの免疫毒性を示す。
【0082】
図12-1】図12A図12Dは、インビトロでのSG-559-01 ADC処理ヒトAPCのLPS刺激に対する免疫応答を示す。
図12-2】図12A図12Dは、インビトロでのSG-559-01 ADC処理ヒトAPCのLPS刺激に対する免疫応答を示す。
【0083】
図13-1】図13A図13Cは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCで処置したKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内免疫細胞浸潤を示す。
図13-2】図13A図13Cは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCで処置したKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内免疫細胞浸潤を示す。
【0084】
図14-1】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
図14-2】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
図14-3】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
図14-4】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
図14-5】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
図14-6】図14A図14Fは、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCによって処置されたKarpas 299腫瘍を有するマウスにおける腫瘍内炎症性サイトカイン応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
I.定義
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。本出願で使用される場合、本明細書で他に明示的に提供される場合を除き、以下の用語の各々は、以下に記載される意味を有するものとする。さらなる定義は、本出願を通して記載される。
【0086】
本明細書で使用される「および/または」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの用語で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB、」、「AまたはB、」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの用語で使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含することが意図されている。
【0087】
本明細書に記載の本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「を含む(comprising)」、「からなる(consisting)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を含むことが理解される。
【0088】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0089】
単位、接頭辞、および記号は、Systeme International de Unites(SI)で承認された形式で示されている。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。本明細書で提供される見出しは、全体として本明細書を参照することによって有することができる本開示の様々な態様の限定ではない。したがって、以下で定義される用語は、その全体が本明細書を参照することによってより完全に定義される。
【0090】
「PD-L1」、「CD274」、「B7-H1」および「プログラム細胞死リガンド1」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特に明記しない限り、一般に細胞によって発現されるか、またはPD-L1遺伝子をトランスフェクトされた細胞上で発現されるヒトPD-L1の任意の改変体、アイソフォームおよび種ホモログを含む。
【0091】
「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖、1対の軽(L)低分子量鎖および1対の重(H)鎖からなる構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指し、4つすべてがジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は、十分に特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい。簡潔には、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVまたはVHと略記する)および重鎖定常領域(CまたはCH)から構成される。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、C1、C2、およびC3から構成される。重鎖は、一般に、いわゆる「ヒンジ領域」においてジスルフィド結合を介して相互に連結されている。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVまたはVLと略記する)および軽鎖定常領域(CまたはCL)から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCから構成される。CLは、κ(カッパ)またはλ(ラムダ)アイソタイプであり得る。「定常ドメイン」および「定常領域」という用語は、本明細書では互換的に使用される。免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMを含むがこれらに限定されない一般的に知られているアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスもまた、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むがこれらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。
【0092】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗原への抗体の結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVおよびV)は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変の領域(または、配列および/または構造的に定義されたループの形態において超可変であり得る超可変領域)にさらに細分することができる。「超可変領域」または「HVR」と同義の「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗原特異性および/または結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の不連続配列を指すことが当技術分野で公知である。一般に、各重鎖可変領域(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)に3つのCDRが存在し、各軽鎖可変領域(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)に3つのCDRが存在する。「フレームワーク領域」および「FR」は、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが当技術分野で公知である。一般に、各全長重鎖可変領域(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)に4つのFRが存在し、各全長軽鎖可変領域(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)に4つのFRが存在する。各VおよびV内で、3つのCDRおよび4つのFRは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J.Mot.Biol.,195,901-917(1987)も参照されたい)。
【0093】
本発明の文脈における「抗体」(Ab)という用語は、典型的な生理学的条件下で、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間(h)、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間(h)、約24時間またはそれを超える、約48時間またはそれを超える、約3、4、5、6、7日間またはそれを超える、などの有意な期間、または任意の他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体結合に関連する生理学的応答を誘導、促進、増強および/または調節するのに十分な時間および/または抗体がエフェクター活性を動員するのに十分な時間)の半減期で抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片、またはそれらのいずれかの誘導体を指す。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域(Ab)は、免疫系の様々な細胞(エフェクター細胞など)および補体活性化の古典的経路における第1の成分であるC1qなどの補体系の成分を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。抗体はまた、二重特異性抗体、ダイアボディ、多重特異性抗体または類似の分子であり得る。
【0094】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、単一の一次アミノ酸配列を有する組換えで作製された抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスなどのトランスジェニックまたはトランス染色体(transchromosomal)非ヒト動物から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生され得る。
【0095】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、PD-L1に特異的に結合する単離された抗体は、PD-L1以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、PD-L1に特異的に結合する単離された抗体は、異なる種由来のPD-L1分子などの他の抗原に対して交差反応性を有することができる。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。一実施形態では、単離された抗体は、別の薬剤(例えば、小分子薬物)に結合した抗体コンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、単離された抗PD-L1抗体は、抗PD-L1抗体と小分子薬物(例えば、MMAEまたはMMAF)とのコンジュゲートを含む。
【0096】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、FRおよびCDRの両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、抗体が定常領域を含む場合、その定常領域もヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」という用語は同義的に使用される。
【0097】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含むように修飾された非ヒト可変ドメインとを含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、一緒になって抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって、達成することができる(国際公開第92/22653号および欧州特許第0629240号明細書を参照されたい)。親抗体の結合親和性および結合特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からヒトフレームワーク領域へのフレームワーク残基の置換(復帰変異)が必要とされ得る。構造相同性モデリングは、抗体の結合特性に重要なフレームワーク領域内のアミノ酸残基を同定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、主に、必要に応じて非ヒトアミノ酸配列に対する1またはそれを超えるアミノ酸復帰変異を含むヒトフレームワーク領域、および完全ヒト定常領域を含み得る。必要に応じて、必ずしも復帰変異ではないさらなるアミノ酸修飾を適用して、親和性および生化学的特性などの好ましい特徴を有するヒト化抗体を得ることができる。
【0098】
本明細書で使用される「キメラ抗体」という用語は、可変領域が非ヒト種(例えば、げっ歯類に由来する)に由来し、定常領域がヒトなどの異なる種に由来する抗体を指す。キメラ抗体は、抗体工学によって生成され得る。「抗体工学」は、抗体の異なる種類の修飾に一般的に使用される用語であり、当業者に周知のプロセスである。特に、キメラ抗体は、Sambrookら、1989、Molecular Cloning:A laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press,Ch.15に記載されているような標準的なDNA技術を使用して生成することができる。したがって、キメラ抗体は、遺伝的にまたは酵素的に操作された組換え抗体であり得る。キメラ抗体を生成することは当業者の知識の範囲内であり、したがって、本発明によるキメラ抗体の生成は、本明細書に記載された以外の方法によって行われ得る。治療適用のためのキメラモノクローナル抗体は、抗体免疫原性を低下させるために開発されている。それらは、典型的には、目的の抗原に特異的な非ヒト(例えばマウス)可変領域、ならびにヒト定常抗体の重鎖ドメインおよび軽鎖ドメインを含み得る。キメラ抗体の文脈で使用される「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の両方のCDRおよびフレームワーク領域を含む領域を指す。
【0099】
「抗抗原抗体」は、抗原に結合する抗体を指す。例えば、抗PD-L1抗体は、抗原PD-L1に結合する抗体である。
【0100】
抗体の「抗原結合部」または抗原結合断片は、抗体全体によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1またはそれを超える断片を指す。抗体断片(例えば、抗原結合断片)の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);および抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化するその能力を反映する残留「Fc」断片と、を作製する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)断片が得られる。
【0101】
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を達成するために配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。例えば、所与のアミノ酸配列Aの所与のアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対する%配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bと、所与のアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対して特定の%配列同一性を有するかまたは含む所与のアミノ酸配列Aと言い換えることができる)は、次のように計算される。
割合X/Yの100倍
式中、Xは、AおよびBのプログラムのアラインメントにおける配列によって同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、AのBに対する%配列同一性は、BのAに対する%配列同一性と等しくないことが理解されよう。
【0102】
本明細書で使用される場合、所定の抗原への抗体の結合に関連して「結合すること」、「結合する」または「特異的に結合する」という用語は、典型的には、リガンドとして抗体及び分析物として抗原を使用するOctet HTX機器において、例えばバイオレイヤー干渉法(BLI)技術によって決定される場合、約10-6Mまたはそれ未満、例えば、10-7Mまたはそれ未満、例えば約10-8Mまたはそれ未満、例えば約10-9Mまたはそれ未満、約10-10Mまたはそれ未満又は約10-11Mまたはさらにはそれ未満のKに対応する親和性での結合であり、抗体は、例えば、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合のKの高くても1/10、例えば高くても1/100、例えば高くても1/1,000、例えば高くても1/10,000、例えば高くても1/100,000であるKに対応する親和性で所定の抗原に結合する。結合のKがより低い量は、抗体のKに依存するので、抗体のKが非常に低い場合、抗原への結合のKが非特異的抗原への結合のKよりも低い量は、高くても1/10,000であり得る(すなわち、抗体は高度に特異的である)。
【0103】
本明細書で使用される「K」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。本明細書で使用される親和性とKは逆の関係にあり、すなわち、より高い親和性はより低いKを指すことを意図し、より低い親和性はより高いKを指すことを意図する。
【0104】
「ADC」という用語は、抗体-薬物コンジュゲートを指し、本発明の文脈では、本出願に記載の薬物部分(例えば、MMAEまたはMMAF)に結合した抗PD-L1抗体を指す。
【0105】
略語「vc」および「val-cit」は、ジペプチドリンカーのバリン-シトルリンを指す。
【0106】
略語VKGは、トリペプチドリンカーのバリン-リジン-グリシンを指す。
【0107】
略語「MC」は、ストレッチャーのマレイミドカプロイルを指す:
【化9】
【0108】
略語「MP」は、ストレッチャーのマレイミドプロピオニルを指す:
【化10】
【0109】
本明細書で使用される「PEG単位」は、反復エチレンオキシサブユニット(PEGまたはPEGサブユニット)から構成される有機部分であり、多分散、単分散または不連続(discrete)(すなわち、不連続数のエチレン-オキシサブユニットを有する)であり得る。多分散PEGは、サイズおよび分子量の不均一な混合物であるが、単分散PEGは、典型的には不均一な混合物から精製され、したがって、単一の鎖長および分子量を提供する。好ましいPEG単位は、重合プロセスを介さずに段階的に合成される化合物である不連続PEGを含む。不連続PEGは、定義された特定の鎖長を有する単一分子を提供する。
【0110】
本明細書で提供されるPEG単位は、1または複数のポリエチレングリコール鎖を含み、それぞれが互いに共有結合した1またはそれを超えるエチレンオキシサブユニットから構成される。ポリエチレングリコール鎖は、例えば、直鎖状、分枝状または星形の構成で互いに連結することができる。典型的には、カンプトテシンコンジュゲートに組み込む前のポリエチレングリコール鎖のうちの少なくとも1つは、メチレンカルバメート単位(すなわち、Rの例を表す)のカルバメート窒素への共有結合のために求電子基で置換されたアルキル部分で一端が誘導体化されている。典型的には、リンカー単位の残りの部分への共有結合に関与しない各ポリエチレングリコール鎖中の末端エチレンオキシサブユニットは、PEGキャップ形成単位、典型的には-CH、CHCHまたはCHCHCOHなどの必要に応じて置換されたアルキルで修飾される。好ましいPEG単位は、2個~24個の-CHCHO-サブユニットが直列に共有結合し、一端がPEGキャップ形成単位で終結した単一のポリエチレングリコール鎖を有する。
【0111】
「がん」は、体内の異常細胞の制御されない増殖を特徴とする広範な群の様々な疾患を指す。「がん」または「がん組織」は、腫瘍を含み得る。未制御の細胞分裂および増殖は、隣接組織に侵入し、リンパ系または血流を介して身体の遠位部分に転移することもできる悪性腫瘍の形成をもたらす。転移後、遠位腫瘍は、転移前腫瘍である「由来する」と言うことができる。
【0112】
「抗体依存性細胞傷害」またはADCCという用語は、抗体でコーティングされた標的細胞と溶解活性を有する免疫細胞(エフェクター細胞とも呼ばれる)との相互作用に依存する細胞死を誘導する機構である。そのようなエフェクター細胞には、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージおよび好中球が含まれる。エフェクター細胞は、それらの抗原結合部位を介して標的細胞に結合したIgのFcエフェクタードメインに結合する。抗体でコーティングされた標的細胞の死は、エフェクター細胞活性の結果として起こる。
【0113】
「抗体依存性細胞食作用」またはADCPという用語は、抗体でコーティングされた細胞が、IgのFcエフェクタードメインに結合する食作用性免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球および樹状細胞)によって全体的または部分的に内在化されるプロセスを指す。
【0114】
「補体依存性細胞傷害」またはCDCという用語は、標的結合抗体のFcエフェクタードメインが一連の酵素反応を活性化して、最終的に標的細胞膜における穴の形成に至る、細胞死を誘導する機構を指す。典型的には、抗体でコーティングされた標的細胞上のものなどの抗原-抗体複合体は、補体成分C1qに結合してこれを活性化し、補体成分C1qは次いで補体カスケードを活性化して標的細胞死をもたらす。補体の活性化はまた、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)に結合することによってADCCを促進する補体成分の標的細胞表面上の沈着をもたらし得る。
【0115】
「細胞増殖抑制効果」は、細胞増殖の阻害を指す。「細胞増殖抑制剤」は、細胞に対して細胞増殖抑制作用を有し、それによって細胞の特定のサブセットの増殖および/または拡大増殖(expansion)を阻害する薬剤を指す。細胞増殖抑制剤は、抗体にコンジュゲートさせることができ、または抗体と組み合わせて投与することができる。
【0116】
対象の「処置」または「治療」は、疾患に関連する症状、合併症、状態または生化学的徴候(biochemical indicia)の発症、進行、発生、重症度または再発を逆転、緩和、改善、阻害、減速または予防することを目的として、対象に対して行われる任意の種類の介入もしくはプロセス、または対象への活性剤の投与を指す。いくつかの実施形態では、疾患はがんである。
【0117】
「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。「対象」および「患者」および「個体」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0118】
薬物または治療剤の「有効量」または「治療有効量」または「治療有効投与量」は、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて使用される場合、疾患の発症に対して対象を保護するか、または疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の苦痛による機能障害もしくは能力障害の予防によって証明される疾患の退縮を促進する任意の量の薬物である。疾患退縮を促進する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける効力の予測的な動物モデル系において、またはインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによってなど、当業者に公知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0119】
腫瘍の処置のための例として、治療有効量の抗がん剤は、未処置対象(例えば、1またはそれより多い未処置対象)と比較して、処置対象(例えば、1またはそれより多い処置対象)において、細胞成長または腫瘍成長を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%阻害する。いくつかの実施形態では、治療有効量の抗がん剤は、未処置対象(例えば、1またはそれより多い未処置対象)と比較して、処置対象(例えば、1またはそれより多い処置対象)において細胞成長または腫瘍成長を100%阻害する。
【0120】
本開示の他の実施形態では、腫瘍退縮を観察し、少なくとも約20日間、少なくとも約30日間、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、または少なくとも約60日間継続することができる。
【0121】
治療有効量の薬物(例えば、抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲート)には、がん(例えば、前悪性状態を有する対象)を発症するリスクがあるかまたはがんの再発に罹患するリスクがある対象に単独でまたは抗がん剤と組み合わせて投与した場合に、がんの発生または再発を阻害する任意の量の薬物である「予防的有効量」が含まれる。いくつかの実施形態では、予防的有効量は、がんの発生または再発を完全に予防する。がんの発生または再発を「阻害すること」とは、がんの発生または再発の可能性を低くすること、またはがんの発生または再発を完全に防止することのいずれかを意味する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「治療量以下の用量」は、過剰増殖性疾患(例えば、がん)の処置のために単独で投与される場合の治療化合物の通常のまたは典型的な用量よりも低い治療化合物(例えば、抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲート)の用量を意味する。
【0123】
「免疫関連応答パターン」は、がん特異的免疫応答を誘導することによって、または天然の免疫プロセスを改変することによって抗腫瘍効果を生じる免疫療法剤で処置されたがん患者においてしばしば観察される臨床応答パターンを指す。この応答パターンは、腫瘍負荷の初期増加または新しい病変の出現に続く有益な治療効果を特徴とし、これは伝統的な化学療法剤の評価では疾患進行として分類され、薬物不全と同義である。したがって、免疫療法剤の適切な評価は、標的疾患に対するこれらの薬剤の効果の長期モニタリングを必要とし得る。
【0124】
例として、「抗がん剤」は、対象におけるがんの退縮を促進する。いくつかの実施形態では、治療有効量の薬物は、がんを排除する点までがん退縮を促進する。「がん退縮を促進すること」とは、有効量の薬物を単独でまたは抗がん剤と組み合わせて投与することにより、腫瘍の成長もしくは大きさの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度および期間の増加、または疾患の罹患による機能障害もしくは能力障害の予防がもたらされることを意味する。さらに、処置に関する「有効」および「有効性」という用語は、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性は、患者におけるがん退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性は、薬物の投与から生じる細胞、器官および/または生物レベルでの毒性または他の有害な生理学的効果のレベル(有害作用)を指す。
【0125】
「持続応答」は、処置の停止後の腫瘍成長の減少に対する持続的な効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与段階の開始時のサイズと比較して同じまたは小さいままであり得る。いくつかの実施形態では、持続応答は、処置期間と少なくとも同じであるか、または処置期間よりも少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍もしくは3倍長い期間を有する。
【0126】
本明細書中で使用されるとき、「完全奏効」または「CR」とは、すべての標的病変の消失を指す。「部分奏効」または「PR」は、ベースラインSLDを参照として、標的病変の最長径(SLD)の合計の少なくとも30%の減少を指す。「安定病態」または「SD」は、処置開始後の最小SLDを参照として、PRに適格となるのに十分な標的病変の縮小も、PDに適格となるのに十分な増加もささない。
【0127】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存」または「PFS」は、処置中および処置後に、処置されている疾患(例えば、がん)が悪化しない時間の長さを指す。無増悪生存は、患者が完全奏効または部分奏効を経験した時間の長さ、ならびに患者が安定病態を経験した時間の長さを含み得る。
【0128】
本明細書で使用される場合、「全奏効率」または「ORR」は、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率との和を指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、「全生存」または「OS」は、特定の期間後に生存している可能性が高い群の個体のパーセンテージを指す。
【0130】
「薬学的に許容され得る」という語句は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分および/またはそれで処置される哺乳動物と化学的および/または毒性学的に適合性でなければならないことを示す。
【0131】
表現「薬学的に許容され得る塩」は、本明細書中で使用されるとき、本発明の化合物の薬学的に許容され得る有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシラート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、4,4’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容され得る塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの別の分子の包含を含み得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容され得る塩は、その構造中に1つを超える荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容され得る塩の一部である場合、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容され得る塩は、1もしくはそれを超える荷電原子および/または1もしくはそれを超える対イオンを有することができる。
【0132】
「投与すること」または「投与」は、当業者に公知の様々な方法および送達系のいずれかを使用した、対象への治療剤の物理的導入を指す。抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートの例示的な投与経路には、例えば注射または注入(例えば、静脈内注入)による静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常は注射による経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボ電気穿孔を含むが、これらに限定されない。治療剤は、非経口経路を介して、または経口的に投与することができる。他の非経口経路としては、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣、直腸、舌下または局所的な投与が挙げられる。投与は、例えば、1回、複数回、および/または1またはそれを超える長期間にわたって行うこともできる。
【0133】
本明細書で互換的に使用される「ベースライン」または「ベースライン値」という用語は、治療(例えば、本明細書に記載のような抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲート)の投与前または治療の投与開始時の症状の測定または特徴づけを指すことができる。ベースライン値を参照値と比較して、本明細書で企図されるPD-L1関連疾患(例えば、がん)の症状の軽減または改善を決定することができる。本明細書で互換的に使用される「参照」または「参照値」という用語は、治療(例えば、記載の抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲート)の投与後の症状の測定または特徴づけを指すことができる。参照値は、投与レジメンもしくは処置サイクル中に1回またはそれより多くまたは投与レジメンもしくは処置サイクルの完了時に測定することができる。「参照値」は、絶対値、相対値、上限および/もしくは下限を有する値、値の範囲、平均値(average value)、中央値、平均値(mean value)、またはベースライン値と比較した値であってもよい。
【0134】
同様に、「ベースライン値」は、絶対値、相対値、上限および/または下限を有する値、値の範囲、平均値、中央値、平均値、または参照値と比較した値であってもよい。参照値および/またはベースライン値は、1つの個体、2つの異なる個体、または個体群(例えば、2、3、4、5またはそれを超える個体の群)から得ることができる。
【0135】
本明細書で使用される「単剤療法」という用語は、抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが処置サイクル中に対象に投与される唯一の抗がん剤であることを意味する。しかしながら、他の治療剤を対象に投与することができる。例えば、抗炎症剤、またはがんを有する対象に投与されて、がんに関連する症状(例えば炎症、疼痛、体重減少および全身倦怠感)を含むを処置するが、、根底にあるがん自体は処置しない他の薬剤を、単剤療法の期間中に投与することができる。
【0136】
本明細書で使用される「有害事象」(AE)は、医学的処置の使用に関連する任意の好ましくなく一般的に意図されていない、または望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医療処置は、1またはそれを超える関連AEを有することができ、各AEは、同じまたは異なるレベルの重症度を有する場合がある。「有害事象の変化」可能な方法への言及は、異なる処置レジメンの使用に関連する1またはそれを超えるAEの発生率および/または重症度を減少させる処置レジメンを意味する。
【0137】
本明細書で使用される「重篤な有害事象」または「SAE」は、以下の基準の1つを満たす有害事象である。
・ 致死的または生命を脅かす(重篤な有害事象の定義で使用される場合、「生命を脅かす」とは、その事象の時点で患者が死亡する危険性があった事象を指す。より重度であれば、仮説的に死を引き起こした可能性がある事象を指すものではない。
・ 持続的または有意な能力障害/無能力をもたらす
・ 先天異常/出生時欠損を構成する
・ 医学的に重要である、すなわち、患者を危険にさらす、または上に列挙した転帰の1つを防ぐために医学的または外科的介入を必要とし得る事象として定義される。AEが「医学的に重要」であるかどうかを判断する際には、医学的および科学的判断を行使しなければならない。
・ 1)状態の悪化を伴わない、基礎疾患の日常的な処置またはモニタリング、2)研究中の適応症とは無関係であり、インフォームドコンセントに署名してから悪化していない既存の状態に対する選択的または事前に計画された処置、3)社会的理由および患者の全身状態の悪化がない場合のレスパイトケア、を除く、入院患者の入院または既存の入院の延長を必要とする。
【0138】
代替形態(例えば、「または」)の使用は、代替形態のいずれか、両方、またはそれらの任意の組合わせを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」または「an」は、「1またはそれを超える」列挙されたまたは数え上げられた構成要素を指すと理解されるべきである。
【0139】
「約(about)」または「から本質的に構成される(comprising essentially of)」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成について許容され得る誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの制限に部分的に依存するであろう。例えば、「約」または「から本質的に構成される」は、当技術分野の慣例に従って、1標準偏差以内または1標準偏差を超えることを意味することができる。あるいは、「約」または「から本質的に構成される」は、最大20%の範囲を意味することができる。さらに、特に生物学的な系またはプロセスに関して、これらの用語は、1桁または5倍までの値を意味し得る。特定の値または組成物が本出願および特許請求の範囲に提供される場合、特に明記しない限り、「約」または「から本質的に構成される」の意味は、その特定の値または組成物について許容され得る誤差範囲内にあると仮定すべきである。
【0140】
本明細書における値またはパラメータ「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」を包含して記述する。
【0141】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲、または整数範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合はその一部(1/10および整数の100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0142】
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
【0143】
II.一般
本発明は、PD-L1に特異的に結合する抗体およびADCを提供する。本発明は、PD-L1に標的化されたMMAE抗体-薬物コンジュゲートおよびカンプトテシン抗体-薬物コンジュゲートを含む抗体-薬物コンジュゲートが、PD-L1+発現細胞を死滅させるのに特に有効であるという発見に部分的に基づく。PD-L1は、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、および子宮頸がんを含む様々ながんにおいて発現することが示されている。
【0144】
III.標的分子
別段示されない限り、PD-L1は、ヒトPD-L1を指す。例示的なヒトタンパク質配列には、UniProt ID NO.Q9NZQ7が割り当てられる。
【0145】
IV.本発明の抗体
以前は、がんを処置するために既に使用されている選択抗体は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を作製するために、配列修飾なしで細胞傷害剤にコンジュゲートされていた。これらのADCは、腫瘍細胞を死滅させる際に非コンジュゲート抗体よりも有効またはより有効であることがしばしば証明されている。以前は、抗体に対する修飾がADCを調製するプロセス中に企図された場合、いくつかの可能な修飾は、抗体の結合親和性を増加させるため、またはADCCなどの抗体作用を増加させるためであった。しかしながら、少なくともいくつかの状況において、例えば、その結合親和性を低下させることまたはそのADCC活性を低下させることによってADC抗体を修飾または調整することにより、未修飾抗体を有するADCと比較してADCの有効性が改善されることが見出された。このいくつかの例には、抗体を修飾することによって、例えば、それらの結合親和性を低下させることによって驚くほど最適化される抗PD-L1抗体(Ab1など)を有するADCが含まれる。例えば、いくつかの場合、抗PD-L1 ADCは、細胞傷害剤にコンジュゲートした抗体の結合親和性が低下した場合、インビトロで腫瘍細胞を死滅させるのにより有効である。別の例では、いくつかの場合、抗PD-L1 ADCは、細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗体の結合親和性が低下した場合、インビトロおよびインビボで腫瘍細胞を死滅させるのにより有効である。
【0146】
本発明は、3nM~300nMの結合親和性でPD-L1に結合する抗体、例えばヒト化抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、約3nM~300nM(例えば、約3nM~約275nM、約3nM~約250nM、約3nM~約225nM、約3nM~約200nM、約3nM~約175nM、約3nM~約150nM、約3nM~約125nM、約3nM~約100nM、約3nM~約90nM、約3nM~約80nM、約3nM~約70nM、約3nM~約60nM、約3nM~約50nM、約3nM~約40nM、約3nM~約30nM、約3nM~約20nM、約3nM~約10nM、約10nM~約300nM、約10nM~約275nM、約10nM~約250nM、約10nM~約225nM、約10nM~約200nM、約10nM~約175nM、約10nM~約150nM、約10nM~約125nM、約10nM~約100nM、約10nM~約90nM、約10nM~約80nM、約10nM~約70nM、約10nM~約60nM、約10nM~約50nM、約10nM~約40nM、約10nM~約30nM、約10nM~約20nM、約20nM~約300nM、約20nM~約275nM、約20nM~約250nM、約20nM~約225nM、約20nM~約200nM、約20nM~約175nM、約20nM~約150nM、約20nM~約125nM、約20nM~約100nM、約20nM~約90nM、約20nM~約80nM、約20nM~約70nM、約20nM~約60nM、約20nM~約50nM、約20nM~約40nM、約20nM~約30nM、約30nM~約300nM、約30nM~約275nM、約30nM~約250nM、約30nM~約225nM、約30nM~約200nM、約30nM~約175nM、約30nM~約150nM、約30nM~約125nM、約30nM~約100nM、約30nM~約90nM、約30nM~約80nM、約30nM~約70nM、約30nM~約60nM、約30nM~約50nM、約30nM~約40nM、約40nM~約300nM、約40nM~約275nM、約40nM~約250nM、約40nM~約225nM、約40nM~約200nM、約40nM~約175nM、約40nM~約150nM、約40nM~約125nM、約40nM~約100nM、約40nM~約90nM、約40nM~約80nM、約40nM~約70nM、約40nM~約60nM、約40nM~約50nM、約50nM~約300nM、約50nM~約275nM、約50nM~約250nM、約50nM~約225nM、約50nM~約200nM、約50nM~約175nM、約50nM~約150nM、約50nM~約125nM、約50nM~約100nM、約50nM~約90nM、約50nM~約80nM、約50nM~約70nM、約50nM~約60nM、約60nM~約300nM、約60nM~約275nM、約60nM~約250nM、約60nM~約225nM、約60nM~約200nM、約60nM~約175nM、約60nM~約150nM、約60nM~約125nM、約60nM~約100nM、約60nM~約90nM、約60nM~約80nM、約60nM~約70nM、約70nM~約300nM、約70nM~約275nM、約70nM~約250nM、約70nM~約225nM、約70nM~約200nM、約70nM~約175nM、約70nM~約150nM、約70nM~約125nM、約70nM~約100nM、約70nM~約90nM、約70nM~約80nM、約80nM~約300nM、約80nM~約275nM、約80nM~約250nM、約80nM~約225nM、約80nM~約200nM、約80nM~約175nM、約80nM~約150nM、約80nM~約125nM、約80nM~約100nM、約80nM~約90nM、約90nM~約300nM、約90nM~約275nM、約90nM~約250nM、約90nM~約225nM、約90nM~約200nM、約90nM~約175nM、約90nM~約150nM、約90nM~約125nM、約90nM~約100nM、約100nM~約300nM、約100nM~約275nM、約100nM~約250nM、約100nM~約225nM、約100nM~約200nM、約100nM~約175nM、約100nM~約150nM、約100nM~約125nM、約125nM~約300nM、約125nM~約275nM、約125nM~約250nM、約125nM~約225nM、約125nM~約200nM、約125nM~約175nM、約125nM~約150nM、約150nM~約300nM、約150nM~約275nM、約150nM~約250nM、約150nM~約225nM、約150nM~約200nM、約150nM~約175nM、約175nM~約300nM、約175nM~約275nM、約175nM~約250nM、約175nM~約225nM、約175nM~約200nM、約200nM~約300nM、約200nM~約275nM、約200nM~約250nM、約200nM~約225nM、約225nM~約300nM、約225nM~約275nM、約225nM~約250nM、約250nM~約300nM、約250nM~約275nM、または約275nM~約30nM)(例えば、リン酸緩衝食塩水においてバイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定される場合)のKでPD-L1に結合する.
【0147】
いくつかの実施形態では、結合親和性は、一価結合親和性である。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、完全ヒト抗PD-L1抗体Ab1の点変異体である。Ab1は、配列番号3~5および配列番号6~8のCDR領域、配列番号1および2の可変領域、ならびに配列番号86および87の重鎖および軽鎖によって定義される。さらなる実施形態では、点変異は、CDR領域で見出される。いくつかの実施形態では、点変異体は、Ab1と比較して、低下した結合親和性ならびに/または増加した細胞傷害および/もしくは内在化速度を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビトロで低下した結合親和性および増加した細胞傷害を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビボで低下した結合親和性および増加した細胞傷害を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビトロおよびインビボの両方で、低下した結合親和性および増加した細胞傷害を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビトロで低下した結合親和性および増加した内在化速度を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビボで低下した結合親和性および増加した内在化速度を示す。いくつかの実施形態では、点変異体は、インビトロおよびインビボの両方で、低下した結合親和性および増加した内在化速度を示す。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、配列番号3~5の重鎖CDRおよび配列番号6~8の軽鎖CDRの6つのCDRのセットにおいて1つまたは2つの総アミノ酸置換を有することができ、かつ3nM~300nMのKDでPD-L1に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、配列番号3~5の重鎖CDRおよび配列番号6~8の軽鎖CDRの6つのCDRのセットにおいて1つのアミノ酸置換を有することができ、かつ3nM~300nMのKDでPD-L1に結合する。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、配列番号3に1つのアミノ置換を有する重鎖CDR1、配列番号4の重鎖CDR2、配列番号5の重鎖CDR3、配列番号6の軽鎖CDR1、配列番号7の軽鎖CDR2、および配列番号8の軽鎖CDR3を有することができ、3nM~300nMのKDでPD-L1に結合する。いくつかの実施形態では、配列番号3における1つのアミノ酸置換は、配列番号3のアミノ酸位置2にある。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからアラニンへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからセリンへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからグリシンへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからトレオニンへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからバリンへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、配列番号3のアミノ酸位置2における1つのアミノ酸置換は、チロシンからシステインへのアミノ酸置換である。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、3nM~300nM(または本明細書に記載のこの範囲の部分範囲のいずれか)のKでグリコシル化PD-L1および非グリコシル化PD-L1の両方に結合する。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、増加したインビトロおよび/またはインビボのPD-L1+細胞の細胞傷害を有する示す(例えば、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも40%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも60%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも80%の増加、少なくとも90%の増加、少なくとも100%の増加、少なくとも120%の増加、少なくとも140%の増加、少なくとも160%の増加、少なくとも180%の増加、少なくとも200%の増加、少なくとも220%の増加、少なくとも240%の増加、少なくとも260%の増加、少なくとも280%の増加、少なくとも300%の増加、or 5%の増加~300%の増加、5%の増加~280%の増加、5%の増加~260%の増加、5%の増加~240%の増加、5%の増加~220%の増加、5%の増加~200%の増加、5%の増加~180%の増加、5%の増加~160%の増加、5%の増加~140%の増加、5%の増加~120%の増加、5%の増加~100%の増加、5%の増加~80%の増加、5%の増加~60%の増加、5%の増加~40%の増加、5%の増加~20%の増加、5%の増加~10%の増加、10%の増加~300%の増加、10%の増加~280%の増加、10%の増加~260%の増加、10%の増加~240%の増加、10%の増加~220%の増加、10%の増加~200%の増加、10%の増加~180%の増加、10%の増加~160%の増加、10%の増加~140%の増加、10%の増加~120%の増加、10%の増加~100%の増加、10%の増加~80%の増加、10%の増加~60%の増加、10%の増加~40%の増加、10%の増加~20%の増加、20%の増加~300%の増加、20%の増加~280%の増加、20%の増加~260%の増加、20%の増加~240%の増加、20%の増加~220%の増加、20%の増加~200%の増加、20%の増加~180%の増加、20%の増加~160%の増加、20%の増加~140%の増加、20%の増加~120%の増加、20%の増加~100%の増加、20%の増加~80%の増加、20%の増加~60%の増加、20%の増加~40%の増加、40%の増加~300%の増加、40%の増加~280%の増加、40%の増加~260%の増加、40%の増加~240%の増加、40%の増加~220%の増加、40%の増加~200%の増加、40%の増加~180%の増加、40%の増加~160%の増加、40%の増加~140%の増加、40%の増加~120%の増加、40%の増加~100%の増加、40%の増加~80%の増加、40%の増加~60%の増加、60%の増加~300%の増加、60%の増加~280%の増加、60%の増加~260%の増加、60%の増加~240%の増加、60%の増加~220%の増加、60%の増加~200%の増加、60%の増加~180%の増加、60%の増加~160%の増加、60%の増加~140%の増加、60%の増加~120%の増加、60%の増加~100%の増加、60%の増加~80%の増加、80%の増加~300%の増加、80%の増加~280%の増加、80%の増加~260%の増加、80%の増加~240%の増加、80%の増加~220%の増加、80%の増加~200%の増加、80%の増加~180%の増加、80%の増加~160%の増加、80%の増加~140%の増加、80%の増加~120%の増加、80%の増加~100%の増加、100%の増加~300%の増加、100%の増加~280%の増加、100%の増加~260%の増加、100%の増加~240%の増加、100%の増加~220%の増加、100%の増加~200%の増加、100%の増加~180%の増加、100%の増加~160%の増加、100%の増加~140%の増加、100%の増加~120%の増加、120%の増加~300%の増加、120%の増加~280%の増加、120%の増加~260%の増加、120%の増加~240%の増加、120%の増加~220%の増加、120%の増加~200%の増加、120%の増加~180%の増加、120%の増加~160%の増加、120%の増加~140%の増加、140%の増加~300%の増加、140%の増加~280%の増加、140%の増加~260%の増加、140%の増加~240%の増加、140%の増加~220%の増加、140%の増加~200%の増加、140%の増加~180%の増加、140%の増加~160%の増加、160%の増加~300%の増加、160%の増加~280%の増加、160%の増加~260%の増加、160%の増加~240%の増加、160%の増加~220%の増加、160%の増加~200%の増加、160%の増加~180%の増加、180%の増加~300%の増加、180%の増加~280%の増加、180%の増加~260%の増加、180%の増加~240%の増加、180%の増加~220%の増加、180%の増加~200%の増加、200%の増加~300%の増加、200%の増加~280%の増加、200%の増加~260%の増加、200%の増加~240%の増加、200%の増加~220%の増加、220%の増加~300%の増加、220%の増加~280%の増加、220%の増加~260%の増加、220%の増加~240%の増加、240%の増加~300%の増加、240%の増加~280%の増加、240%の増加~260%の増加、260%の増加~300%の増加、260%の増加~280%の増加、または280%の増加~300%の増加)。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、PD-L1+細胞による内在化速度を増加させた(例えば、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも40%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも60%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも80%の増加、少なくとも90%の増加、少なくとも100%の増加、少なくとも120%の増加、少なくとも140%の増加、少なくとも160%の増加、少なくとも180%の増加、少なくとも200%の増加、少なくとも220%の増加、少なくとも240%の増加、少なくとも260%の増加、少なくとも280%の増加、少なくとも300%の増加、または5%の増加~300%の増加(または本明細書に記載のこの範囲の部分範囲のいずれか))。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、哺乳動物への投与時に免疫細胞浸潤を増加させた(例えば、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも40%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも60%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも80%の増加、少なくとも90%の増加、少なくとも100%の増加、少なくとも120%の増加、少なくとも140%の増加、少なくとも160%の増加、少なくとも180%の増加、少なくとも200%の増加、少なくとも220%の増加、少なくとも240%の増加、少なくとも260%の増加、少なくとも280%の増加、少なくとも300%の増加、または5%の増加~300%の増加(または本明細書に記載のこの範囲の部分範囲のいずれか))。
【0154】
いくつかの実施形態では本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、哺乳動物への投与時に炎症性サイトカイン産生(例えば、本明細書に記載のサイトカインのいずれかのうちの1またはそれより多く)を増加させた(例えば、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも40%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも60%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも80%の増加、少なくとも90%の増加、少なくとも100%の増加、少なくとも120%の増加、少なくとも140%の増加、少なくとも160%の増加、少なくとも180%の増加、少なくとも200%の増加、少なくとも220%の増加、少なくとも240%の増加、少なくとも260%の増加、少なくとも280%の増加、少なくとも300%の増加、または5%の増加~300%の増加(または本明細書に記載のこの範囲の部分範囲のいずれか))。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、PD-L1+細胞による細胞内消化を増加させた(例えば、少なくとも5%の増加、少なくとも10%の増加、少なくとも20%の増加、少なくとも30%の増加、少なくとも40%の増加、少なくとも50%の増加、少なくとも60%の増加、少なくとも70%の増加、少なくとも80%の増加、少なくとも90%の増加、少なくとも100%の増加、少なくとも120%の増加、少なくとも140%の増加、少なくとも160%の増加、少なくとも180%の増加、少なくとも200%の増加、少なくとも220%の増加、少なくとも240%の増加、少なくとも260%の増加、少なくとも280%の増加、少なくとも300%の増加、または5%の増加~300%の増加(または本明細書に記載のこの範囲の部分範囲のいずれか))。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗PD-L1抗体は、Ab1と比較して、哺乳動物への投与時に好中球および/または血小板数の10%未満の変化(例えば、8%未満の変化、6%未満の変化、4%未満の変化、2%未満の変化、または1%未満の変化)を有する。
【0157】
本発明のPD-L1抗体の結合親和性(すなわち、解離定数K)は、好ましくはAb1の結合親和性を超える。好ましいPD-L1抗体は、同じエピトープに結合し、および/またはヒトPD-L1への結合についてAb1と競合する。一実施形態では、本発明のPD-L1抗体の結合親和性は、2.7nM超である。さらなる実施形態において、本発明のPD-L1抗体の一価結合親和性は、2.7nM超である。別の実施形態では、kassoc(またはオンレート(on rate))は、Ab1のそれ未満である。さらなる実施形態では、kassocは、5.5×10-1-1未満である。別の実施形態では、kdissoc(またはオフレート(off rate))は、Ab1のkdissoc(またはオフレート)を超える。さらなる実施形態では、kdissocは、1.50×10-1超である。
【0158】
本発明の抗PD-L1抗体はまた、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に対するそれらの結合親和性に関して記載または指定され得る。いくつかの実施形態では、好ましい結合親和性には、2.7nM超、5nM超、6nM超、7nM超、8nM超、9nM超、10nM超、15nM超、20nM超、25nM超、30nM超、40nM超、50nM超、60nM超、70nM超、80nM超、90nM超、100nM超、110nM超、120nM超、130nM超、140nM超、150nM超、200nM超、250nM超、300nM超、400nM超または500nM超の解離定数またはKを有するものが含まれる。いくつかの実施形態では、好ましいPD-L1抗体は、3nM~300nM、3nM~200nM、3nM~100nM、3nM~50nM、3nM~40nM、3nM~20nM、3nM~15nM、5nM~300nM、および5nM~15nMの結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、好ましいPD-L1抗体は、Ab1の結合親和性よりも少なくとも2倍、3倍、3.7倍、4倍または5倍大きい結合親和性を有する。上記の実施形態のいくつかにおいて、結合親和性は、一価結合親和性である。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体の結合は、pH依存性であり、そのため、抗体は、pH勾配にわたって異なる結合を示す。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、約4のpH~約10のpHで最大結合を示す。いくつかの実施形態では、最大結合は、約6のpH~約9のpHである。いくつかの実施形態では、最大結合は、約6.5のpH~約8のpHである。
【0160】
本発明の好ましい抗体は、動物モデルまたは臨床試験において、培養中に増殖するがん性細胞上に示されるようにがん(例えば、細胞の成長、転移および/または生物への致死)を阻害する。動物モデルは、PD-L1発現ヒト腫瘍細胞株を適切な免疫不全げっ歯類系統、例えば無胸腺ヌードマウスまたはSCIDマウスに移植することによって形成することができる。これらの腫瘍細胞株は、免疫不全げっ歯類宿主において、皮下注射による固形腫瘍として、または静脈内注射による播種性腫瘍として確立することができる。
【0161】
宿主内で確立されると、これらの腫瘍モデルを適用して、実施例に記載されるような抗PD-L1抗体またはそのコンジュゲート形態の治療効力を評価することができる。
【0162】
一般に、本開示の抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートは、PD-L1、例えばヒトPD-L1に結合し、がん細胞などの悪性細胞に対して細胞増殖抑制作用および細胞傷害作用を発揮する。未処理細胞と比較して生存度の50%低下、またはx50、またはIC50をもたらすのに必要な濃度は、抗PD-L1抗体および/または抗PD-ADCの細胞傷害を測定する1つの方法である。本発明の好ましい抗体および/またはADCは、Ab1抗体および/またはADCのものと比べて増加した細胞傷害およびx50を示す。一実施形態では、本発明のvcMMAEにコンジュゲートした抗PD-L1抗体は、BXPC3細胞株において10ng/mL~30ng/mLまたは15ng/mL~25ng/mLのx50を示す。別の実施形態では、本発明のvcMMAEにコンジュゲートした抗PD-L1抗体は、MDA-MB-231細胞株において15ng/mL~55ng/mLまたは20ng/mL~50ng/mLのx50を示す。別の実施形態では、本発明のvcMMAEにコンジュゲートした抗PD-L1抗体は、KARPAS 299細胞株において1ng/mL~7ng/mLまたは2ng/mL~5ng/mLのx50を示す。別の実施形態では、本発明のvcMMAEにコンジュゲートした抗PD-L1抗体は、L540CY細胞株において、15ng/mL~40ng/mL、または20ng/mL~35ng/mLのx50を示す。一実施形態では、本発明のカンプトテシンにコンジュゲートされた抗PD-L1抗体は、BXPC3細胞株において12ng/ml~70ng/ml、または15ng/ml~65ng/mlのx50を示す。別の実施形態では、本発明のカンプトテシンにコンジュゲートされた抗PD-L1抗体は、MDA-MB-231細胞株において3ng/mL~20ng/mLまたは5ng/mL~17ng/mLのx50を示す。別の実施形態では、本発明のカンプトテシンにコンジュゲートされた抗PD-L1抗体は、KARPAS 299細胞株において1ng/mL~18ng/mLまたは3ng/mL~15ng/mLのx50を示す。別の実施形態では、本発明のカンプトテシンにコンジュゲートされた抗PD-L1抗体は、L540CY細胞株において1ng/mL~20ng/mLまたは1ng/mL~15ng/mLのx50を示す。
【0163】
一般に、本開示の抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートは、がん細胞などの細胞に内在化される。内在化を測定する1つの方法は、細胞ベースのアッセイにおいて内在化時に蛍光シグナルを放出するpH感受性抗体コンジュゲートを利用することである。抗体のこの全内在化は、経時的な蛍光シグナルの曲線下面積(またはAUC)によって定量することができる。FabFluor(IncuCyte(登録商標))内在化アッセイをこの定量化のために使用することができる。本発明の好ましい抗体および/またはADCは、Ab1および/またはADCの全内在化と比較して増加した全内在化を示す。一実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、Ab1のAUCに対して9%~155%のAUCの増加を示す。別の実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、786-O細胞株で試験した場合、Ab1のAUCに対して40%~130%、または40%~50%のAUCの増加を示す。別の実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、A375細胞株で試験した場合、Ab1のAUCに対して90%~100%、または90%~95%のAUCの増加を示す。別の実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、BXPC3細胞株で試験した場合、Ab1のAUCに対して85%~155%、または85%~90%のAUCの増加を示す。別の実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、ES-2細胞株で試験した場合、Ab1のAUCに対して9%~40%、または9%~13%のAUCの増加を示す。別の実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体またはADCは、MDA-MB-231細胞株で試験した場合、Ab1のAUCに対して75%~145%、または75%~80%のAUCの増加を示す。
【0164】
本開示の抗PD-L1抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって作製される断片、および上記のいずれかのPD-L1結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体は、PD-L1に特異的に結合する。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体は、IgG1型である。
【0165】
本開示の一定の実施形態では、抗PD-L1抗体が、本明細書に記載のような抗原結合断片(例えば、ヒト抗原結合断片)であり、限定されないが、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)ならびにVドメインまたはVドメインのいずれかを含む断片が挙げられる。一本鎖抗体を含む抗原結合断片は、可変領域を単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全体もしくは一部と組み合わせて含み得る。ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインを有する可変領域の任意の組合わせを含む抗原結合断片も本開示に含まれる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、マウス(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科動物、ウマまたはニワトリである。
【0166】
本開示の抗PD-L1抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより大きな多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、PD-L1の異なるエピトープに特異的であり得るか、またはPD-L1と異種タンパク質の両方に特異的であり得る。例えば、PCT公報WO93/17715、同WO92/08802、同WO91/00360、同WO92/05793、Tuttら、1991、J.Immunol.147:60 69、米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、同第5,601,819号、Kostelnyら、1992、J.Immunol.148:1547 1553を参照されたい。
【0167】
本開示の抗PD-L1抗体は、それらが含む特定のCDRに関して記載または指定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabatら(1991),’’Sequences of Proteins of Immunological Interest,’’5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikaniら、(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallumら、J.Mol.Biol.262:732-745(1996),’’Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,’’J.Mol.Biol.262,732-745.’’(「Contact」ナンバリングスキーム);Lefranc MPら、’’IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,’’Dev Comp Immunol,2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);Honegger A and Plueckthun A,’’Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,’’J Mol Biol,2001 Jun 8;309(3):657-70,(「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartinら、’’Modeling antibody hypervariable loops:a combined algorithm,’’PNAS,1989,86(23):9268-9272,(「AbM」ナンバリングスキーム)によって記載されたものを含む多くの周知スキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。所与のCDRの境界は、識別に使用されるスキームに応じて異なり得る。いくつかの実施形態では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」もしくは「相補性決定領域」または個々の特定のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかによって定義されるような(または特定の)CDRを包含すると理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が所与のVまたはV領域アミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含むと述べられている場合、そのようなCDRは、上述のスキームのいずれかによって定義されるように、可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有すると理解される。特定の1つまたは複数のCDRを同定するためのスキームは、Kabat、Chothia、AbMまたはIMGT法によって定義されるようなCDRなど、指定されてもよい。
【0168】
本明細書に記載の抗PD-L1抗体および抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートのCDR配列は、Kabatら、(1991)、’’Sequences of Proteins of Immunological Interest,’’5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDに記載されるようなKabatナンバリングスキームに従う。
【0169】
一態様では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートであって、重鎖可変領域が、(i)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、ならびに/または軽鎖可変領域が、(i)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、抗PD-L1抗体のCDRが、Kabatナンバリングスキームによって定義されている、抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。
【0170】
一態様では、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、かつ配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。一態様では、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。一定の実施形態では、配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入または欠失を含み、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に結合する能力を保持する。一定の実施形態では、配列番号11において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。一定の実施形態では、置換、挿入または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)において生じる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列の翻訳後修飾を含む配列番号11の重鎖可変ドメイン配列を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。一定の実施形態では、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入または欠失を含み、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に結合する能力を保持する。一定の実施形態では、配列番号12において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。一定の実施形態では、置換、挿入または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)において生じる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列の翻訳後修飾を含む配列番号12の軽鎖可変ドメイン配列を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。一定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入または欠失を含み、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に結合する能力を保持する。一定の実施形態では、配列番号1において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。一定の実施形態では、重鎖は、配列番号1に対して1つの点変異を含む。さらなる実施形態では、1つの点変異は、CDR領域に位置する。
【0174】
いくつかの実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗PD-L1抗体および/または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートが、本明細書で提供される。一定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入または欠失を含み、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に結合する能力を保持する。一定の実施形態では、配列番号2において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。一定の実施形態では、軽鎖は、配列番号2に対して1つの点変異を含む。さらなる実施形態では、1つの点変異は、CDR領域に位置する。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートの抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。
【0176】
免疫グロブリンには5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる重鎖を有する。γおよびαクラスは、さらにサブクラスに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2を発現する。IgG1抗体は、アロタイプ(Jefferis and Lefranc 2009.mAbs Vol 1 Issue 4 1-7に概説されている)と呼ばれる複数の多型改変体に存在することができ、そのいずれも本明細書の実施形態の一部での使用に適している。ヒト集団における一般的なアロタイプ改変体は、文字a、f、n、zまたはそれらの組合せによって指定されるものである。本明細書の実施形態のいずれかでは、抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる実施形態では、ヒトIgG Fc領域は、ヒトIgG1を含む。
【0177】
抗体はまた、共有結合が抗体がPD-L1に結合すること、または細胞増殖抑制作用もしくは細胞傷害作用を細胞に及ぼすことを妨げないように、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾された誘導体を含む。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾された抗体が含まれる。多くの化学修飾のいずれかが、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む公知の技術によって行われ得る。さらに、誘導体は、1またはそれを超える非古典的アミノ酸を含有し得る。
【0178】
ヒト化抗体
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体由来のCDRが、ヒト「アクセプター」抗体配列中に移植されている遺伝子操作された抗体である(例えば、Queen、米国特許第5,530,101号および同第5,585,089号;Winter、米国特許第5,225,539号;Carter、米国特許第6,407,213号;Adair、米国特許第5,859,205号;およびFoote、米国特許第6,881,557号参照)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、このような配列の複合物、ヒト抗体配列のコンセンサス配列または生殖系列領域配列であり得る。重鎖の好ましいアクセプター配列は、生殖細胞系VエクソンV1-2(文献ではHV1-2とも呼ばれる)(Shinら、1991、EMBO J.10:3641~3645)であり、そしてヒンジ領域(J)については、エクソンJ-6(Mattilaら、1995,Eur.J.Immunol.25:2578-2582)である。軽鎖の場合、好ましいアクセプター配列は、エクソンVK2-30(文献ではKV2-30とも呼ばれる)であり、そしてヒンジ領域については、エクソンJK-4(Hieterら、1982、J.Biol.Chem.257:1516-1522)である。したがって、ヒト化抗体は、完全にまたは実質的にドナー抗体に由来する一部または全部のCDRと、存在する場合、ヒト抗体配列に完全にまたは実質的に由来する可変領域フレームワーク配列および定常領域とを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体重鎖に由来する少なくとも1つ、2つ、通常は全ての3つのCDRと、存在する場合、ヒト重鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する重鎖可変領域フレームワーク配列および重鎖定常領域とを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体軽鎖に由来する少なくとも1つ、2つ、通常は全ての3つのCDRと、存在する場合、ヒト軽鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する軽鎖可変領域フレームワーク配列および軽鎖定常領域とを有する。ナノボディおよびdAb以外、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を含む。(Kabatによって定義されるところにより)対応する残基の少なくとも60%、85%、90%、95%または100%が各CDR間で同一である場合に、ヒト化抗体中のCDRは、非ヒト抗体中の対応するCDRに由来する。Kabatによって定義される対応する残基の少なくとも85%、90%、95%または100%が同一である場合に、抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、それぞれ、ヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に実質的に由来する。いくつかの実施形態では、本発明のPD-L1抗体は、ヒト化抗体である。
【0179】
ヒト化抗体は、多くの場合、マウス抗体に由来する全ての6つのCDR(好ましくは、Kabatの定義による)を組み入れるが、全てのCDRより少ない(例えば、少なくとも3、4または5の)マウス抗体由来のCDRを用いて、ヒト化抗体を作製することもできる(例えば、Pascalisら、J.Immunol.169:3076,2002;Vajdosら、Journal of Molecular Biology,320:415-428,2002;Iwahashiら、Mol.Immunol.36:1079-1091,1999;Tamura et al.,Journal of Immunology,164:1432-1441,2000)。
【0180】
定常領域の選択
ヒト化抗体の重鎖および軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも一部に連結することができる。定常領域の選択は、1つには、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、抗体依存性細胞食作用および/または補体依存性細胞傷害が望まれるかどうかに依存する。例えば、ヒトイソタイプIgG1およびIgG3は、強力な補体依存性細胞傷害を有し、ヒトイソタイプIgG2は、弱い補体依存性細胞傷害を有し、ヒトIgG4は、補体依存性細胞傷害を欠如する。ヒトIgG1およびIgG3は、ヒトIgG2およびIgG4より強力な細胞媒介性エフェクター機能も誘導する。軽鎖定常領域は、λまたはκであり得る。抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含有する四量体として、別々の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvとして、または重鎖および軽鎖可変ドメインがスペーサーを通じて連結されている一本鎖抗体として、発現され得る。
【0181】
ヒト定常領域は、異なる個体間でのアロタイプの多様性およびイソアロタイプの多様性を示す、すなわち、定常領域は、1またはそれを超える多型位置において、異なる個体で異なり得る。イソアロタイプは、イソアロタイプを認識する血清が1またはそれを超える他のイソタイプの非多型領域に結合する点でアロタイプとは異なる。
【0182】
重鎖のC末端リジンなど、軽鎖および/または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端の1つまたはいくつかのアミノ酸は、分子の一部または全部において、欠損してもよく、または誘導体化されてもよい。補体媒介性細胞傷害もしくはADCCなどのエフェクター機能を低下もしくは増加させるために、(例えば、Winterら、米国特許第5,624,821号;Tsoら、米国特許第5,834,597号;およびLazarら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA103:4005,2006参照)、またはヒトでの半減期を延長するために(例えば、Hintonら、J.Biol.Chem.279:6213,2004参照)、定常領域中に置換を施すことができる。
【0183】
例示的な置換としては、天然アミノ酸のシステイン残基へのアミノ酸置換が、ヒトIgGlアイソタイプのアミノ酸位置234、235、237、239、267、298、299、326、330または332、好ましくはS239C変異に導入されることが挙げられる(米国特許出願公開第20100158909号明細書)。追加のシステイン残基の存在は、鎖間ジスルフィド結合の形成を可能とする。このような鎖間ジスルフィド結合の形成は、立体障害を引き起こすことができ、それにより、Fc領域-FcyR結合相互作用の親和性を低下させる。IgG定常領域のFc領域中またはその近傍に導入されたシステイン残基(複数可)は、治療剤へのコンジュゲーションのための部位としての役割も果たすことができる(すなわち、薬物のマレイミド誘導体などのチオール特異的試薬を用いて細胞傷害薬物をカップリングする。治療剤の存在は立体障害を引き起こし、それにより、Fc領域-FcyR結合相互作用の親和性をさらに低下させる。位置234、235、236および/または237のいずれかにおける他の置換は、Fey受容体、特にFcyRI受容体に対する親和性を低下させる(例えば、米国特許第6,624,821号明細書、米国特許第5,624,821号明細書を参照されたい)。
【0184】
抗体のインビボ半減期はまた、そのエフェクター機能に影響を及ぼし得る。抗体の半減期は、その治療活性を改変するために増加または減少され得る。FcRnは、β2-ミクログロブリンと非共有結合的に会合するMHCクラスI抗原に構造的に類似する受容体である。FcRnは、組織にわたるIgGの異化およびそれらのトランスサイトーシスを調節する(Ghetie and Ward,2000,Annu.Rev.Immunol.18:739-766;Ghetie and Ward,2002,Immunol.Res.25:97-113)。IgG-FcRn相互作用はpH6.0(細胞内小胞のpH)で起こるが、pH7.4(血液のpH)では起こらない。この相互作用は、IgGを循環に戻して再利用することを可能にする(Ghetie and Ward,2000,Ann.Rev.Immunol.18:739-766;Ghetie and Ward,2002,Immunol.Res.25:97-113)。FcRn結合に関与するヒトIgGl上の領域が、マッピングされている(Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276:6591-604)。ヒトIgGlのPro238、Thr256、Thr307、Gln311、Asp312、Glu380、Glu382、またはAsn434の位置でのアラニン置換は、FcRn結合を増強する(Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276:6591-604)。これらの置換を有するIgGl分子は、より長い血清半減期を有する。その結果、これらの修飾されたIgGl分子は、修飾されていないIgGlと比較して、より長期間にわたってそれらのエフェクター機能を実行することができ、したがってそれらの治療効力を発揮することができる。FcRnへの結合を増加させるための他の例示的な置換としては、位置250のGinおよび/または位置428のLeuが挙げられる。EUナンバリングは、定常領域内のすべての位置に使用される。
【0185】
保存されたAsn297に共有結合したオリゴ糖は、IgGのFc領域がFcyRに結合する能力に関与する(Lundら、1996、J.Immunol.157:4963-69;Wright and Morrison,199’、Trends Biotechnol.15:26-31)。IgG上でのこのグリコフォームの操作は、IgG媒介ADCCを有意に改善することができる。このグリコフォームへの二分(bisecting)N-アセチルグルコサミン修飾(Umanaら、1999、Nat.Biotechnol.17:176-180;Davies et al,2001,Biotech.Bioeng.74:288-94)の追加またはこのグリコフォームからのフコース(Shieldsら、2002、J.Biol.Chem.277:26733-40;Shinkawaら、2003、J.Biol.Chem.278:6591-604;Nivaら、2004,Cancer Res.64:2127-33)の除去は、IgG FcとFcyRの結合を改善し、それによりIg媒介ADCC活性を増強するIgG Fc操作の2つの例である。
【0186】
ヒトIgG1 Fc領域の溶媒曝露アミノ酸の体系的置換により、FcyR結合親和性が変化したIgG改変体が産生された(Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276:6591-604)。親IgG1と比較した場合、Alaに対するThr256/Ser298、Ser298/Glu333、Ser298/Lys334またはSer298/Glu333 Lys334での置換を含むこれらの改変体のサブセットは、FcγRに対する結合親和性とADCC活性の両方の増加を示す(Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276:6591-604;Okazakiら、2004、J.Mol.Biol.336:1239-49)。
【0187】
抗体の補体固定活性(C1q結合およびCDC活性の両方)は、Lys326およびGlu333での置換によって改善することができる(Idusogieら、2001、J.Immunol.166:2571-2575)。ヒトIgG2骨格上の同じ置換は、C1qにあまり結合せず、補体活性化活性が著しく欠損している抗体アイソタイプを、C1qに結合し、かつCDCを媒介することができるものに変換することができる(Idusogieら、2001、J.Immunol.166:2571-75)。抗体の補体固定活性を改善するために、いくつかの他の方法も適用されている。例えば、IgGのカルボキシル末端へのIgMの18アミノ酸カルボキシル末端尾部片のグラフトは、それらのCDC活性を大幅に増強する。これは、通常は検出可能なCDC活性を有しないIgG4でも観察される(Smithら、1995、J.Immunol.154:2226-36)。また、IgG1重鎖のカルボキシ末端近くに位置するSer444をCysで置換することで、IgG1のテールツーテール(tail-to-tail)二量体化が誘導され、単量体IgGlよりもCDC活性が200倍増加した(Shopesら、1992、J.Immunol.148:2918-22)。さらに、C1qに対する特異性を有する二重特異性ダイアボディ構築物もCDC活性を付与する(Kontermannら、1997、Nat.Biotech.15:629-31)。
【0188】
重鎖のアミノ酸残基318、320および322のうちの少なくとも1つを、Alaなどの異なる側鎖を有する残基に変異させることによって、補体活性を低下させることができる。Gly、LeuまたはValなどの他のアルキル置換非イオン性残基、または3つの残基のいずれか1つの代わりにPhe、Tyr、TrpおよびProなどの芳香族非極性残基も、C1q結合を低減または消失する。Ser、Thr、CysおよびMetは、C1q結合活性を低減または消失させるために、残基320および322で使用することができるが、318では使用することができない。
【0189】
極性残基による318(Glu)残基の置換は、C1q結合活性を改変し得るが、消失しない。残基297(Asn)をAlaで置換することが、溶解活性の除去につながるが、C1qに対する親和性はわずかに低下する(約3倍弱い)だけである。この変化は、グリコシル化部位および補体活性化に必要な炭水化物の存在を破壊する。この部位における任意の他の置換も、グリコシル化部位を破壊する。以下の変異およびそれらの任意の組合わせもC1q結合を減少させる:D270A、K322A、P329AおよびP31 IS(WO06/036291を参照されたい)。L234A/L235A変異(またはLALA変異)はまた、C1q結合ならびにFcyR結合を減少させる。一実施形態では、本発明の抗PD-L1抗体は、L234A/L235A変異を含む。
【0190】
ヒト定常領域への言及は、任意の天然アロタイプを有する定常領域、または天然アロタイプにおいて多型位置を占める残基の任意の並べ替えを含む。また、Fcガンマ受容体結合を減少させるため、またはFcRNへの結合を増加させるために、天然のヒト定常領域、例えば上に示したものに対して、最大1、2、5または10個の変異が存在し得る。
【0191】
V.組換え抗体の発現
ヒト化抗体は、通例、組換え発現によって作製する。組換えポリヌクレオチド構築物は、典型的には、天然に付随するまたは異種のプロモーター領域などの、抗体鎖のコード配列に機能的に連結された発現調節配列を含む。好ましくは、発現調節配列は、真核宿主細胞を形質転換または形質移入することができるベクター中の真核プロモーター系である。ベクターが適切な宿主中に取り込まれたら、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現ならびに交さ反応する抗体の収集および精製に適した条件下に維持される。
【0192】
哺乳動物細胞は、免疫グロブリンまたはその断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現するための好ましい宿主である。Winnacker,From Genes to Clones,(VCH Publishers,NY,1987)参照。完全な状態の異種タンパク質を分泌することができる多数の適切な宿主細胞株が本分野において開発されており、CHO細胞株(例えば、DG44)、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、HEK293細胞、L細胞ならびにSp2/0およびNS0を含む非抗体産生骨髄腫が含まれる。好ましくは、細胞は、非ヒトである。これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサー(Queenら、Immunol.Rev.89:49(1986))などの発現調節配列ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列などの必要なプロセシング情報部位を含むことができる。好ましい発現調節配列は、内在性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルスなどに由来するプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照。
【0193】
発現されたら、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などの本分野の標準的な手技にしたがって抗体を精製することができる(一般的に、Scopes,Protein Purification(Springer-Verlag,NY,1982)参照)。
【0194】
VI.核酸
本発明は、さらに、本明細書に記載されているヒト化重鎖および軽鎖のいずれかをコードする核酸を提供する。典型的には、該核酸は、成熟した重鎖および軽鎖可変領域に融合されたシグナルペプチドもコードする。核酸上のコード配列は、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナルなどの、コード配列の発現を確実にするための制御配列と機能的に連結され得る。重鎖および軽鎖をコードする核酸は、単離された形態で存在し得、または1もしくはそれを超えるベクター中にクローニングされ得る。核酸は、例えば、固相合成または重複するオリゴヌクレオチドのPCRによって合成することができる。重鎖および軽鎖をコードする核酸は、例えば、発現ベクター内に1つの連続する核酸として連結することができ、または別々とすることができる、例えば、それぞれがその独自の発現ベクター中にクローニングされ得る。
【0195】
いくつかの態様では、本明細書に記載のような抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸も本明細書で提供される。本明細書に記載のような抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを、本明細書でさらに提供する。本明細書に記載のような抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を発現する宿主細胞を、本明細書でさらに提供する。本明細書に記載のような抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む宿主細胞を、本明細書中でさらに提供する。
【0196】
本明細書に記載の抗PD-L1抗体は、周知の発現ベクター系および宿主細胞を使用する周知の組換え技術によって調製され得る。一実施形態では、抗体は、De la Cruz Edmundsら、2006、Molecular Biotechnology 34;179-190、欧州特許第216846号、米国特許第米国特許第5,981,216号、WO87/04462、欧州特許第323997号、米国特許第5,591,639号明細書、米国特許第5,658,759号明細書、欧州特許第338841号明細書、米国特許第5,879,936号明細書および米国特許第第5,891,693号に開示されているように、GS発現ベクターシステムを使用してCHO細胞で調製される。
【0197】
本明細書に記載のモノクローナル抗PD-L1抗体は、例えばKohlerら、Nature,256,495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clacksonら、Nature,352,624-628(1991)およびMarksら、JMol,Biol.,222(3):581-597(1991)に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。モノクローナル抗体は、任意の適切な供給源から得ることができる。したがって、例えば、モノクローナル抗体は、目的の抗原で免疫化されたマウスから得られたマウス脾臓B細胞から調製されたハイブリドーマから、例えば、表面上で抗原を発現する細胞の形態で、または目的の抗原をコードする核酸から得ることができる。モノクローナル抗体はまた、免疫化されたヒトまたはラット、イヌ、霊長類などの非ヒト哺乳動物の抗体発現細胞に由来するハイブリドーマから得ることができる。
【0198】
抗体-薬物コンジュゲート
抗PD-L1抗体を細胞傷害性部分または細胞増殖抑制性部分(その薬学的に適合性の塩を含む)にコンジュゲートして、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成することができる。抗体へのコンジュゲーションに特に適した部分は、細胞傷害剤(例えば、化学療法剤)、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体もしくは化合物または毒素(これらの部分は、治療剤と総称される)である。例えば、抗PD-L1抗体は、化学療法剤などの細胞傷害剤または毒素(例えば、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素などの細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤)にコンジュゲートすることができる。
【0199】
抗PD-L1抗体は、プロドラッグ変換酵素にコンジュゲートさせることができる。プロドラッグ変換酵素は、抗体に組換え融合され得るか、または公知の方法を使用して抗体に化学的にコンジュゲートされ得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、β-グルクロニダーゼ、ペニシリン-V-アミダーゼ、ペニシリン-G-アミダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼおよびカルボキシペプチダーゼAである。
【0200】
治療剤をタンパク質、特に抗体にコンジュゲートさせるための技術は、周知である。(例えば、Arnonら、’’Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy,’’in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy(Reisfeld et al.eds.,Alan R.Liss,Inc.,1985);Hellstromら、’’Antibodies For Drug Delivery,’’in Controlled Drug Delivery(Robinson et al.eds.,Marcel Dekker,Inc.,2nd ed.1987);Thorpe,’’Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review,’’in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications(Pinchera et al.eds.,1985);’’Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy,’’in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy(Baldwin et al.eds.,Academic Press,1985);およびThorpeら、1982,Immunol.Rev.62:119-58を参照されたい。例えば、PCT公報WO89/12624も参照されたい。)
【0201】
治療剤は、(例えば、加水分解によって、抗体分解によって、または切断剤によって)抗体が切除されなければ、その活性を低下させるようにコンジュゲートすることができる。PD-L1を発現するがん細胞によって内部に取り込まれたときにコンジュゲートが抗体から切断されるように(例えば、エンドソーム中で、または例えばpH感受性もしくはプロテアーゼ感受性によって、リソゾームの環境中で、またはカベオラ(caveolear)の環境中で)、PD-L1を発現するがん細胞の細胞内環境中で切断に対して感受性であるが、細胞外環境に対しては実質的に感受性でない切断可能なリンカーを用いて、そのような治療剤を抗体に結合させる。
【0202】
典型的には、ADCは、治療剤と抗PD-L1抗体の間にリンカー領域を含む。上記のように、典型的には、リンカーの切断が細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)において抗体から治療剤を放出するように、リンカーは細胞内条件下で切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含む細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。典型的には、ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断剤には、カテプシンBおよびDならびにプラスミンが含まれ得る(例えば、DubowchikおよびWalker、1999、Pharm.Therapeutics83:67-123を参照されたい)。最も典型的なものは、PD-L1-発現細胞に存在する酵素によって切断可能なペプチジルリンカーである。例えば、がん性組織で高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼカテプシンBによって切断可能なペプチジルリンカーを使用することができる(例えば、Phe-LeuまたはGly-Phe-Leu-Glyペプチドを含むリンカー)。他のこのようなリンカーは、例えば、米国特許第6,214,345号に記載されている。特定の実施形態では、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカーは、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysジペプチドを含む(例えば、Val-Citリンカーを用いたドキソルビシンの合成を記載する米国特許第6,214,345号を参照されたい)。治療剤の細胞内タンパク質分解性放出を使用することの1つの利点は、薬剤が典型的にはコンジュゲートされたときに弱毒化され、コンジュゲートの血清安定性が通常高いことである。
【0203】
切断可能なリンカーは、pH感受性、すなわち特定のpH値での加水分解に感受性であり得る。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニット酸アミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用することができる。(例えば、米国特許第5,122,368号明細書、同第5,824,805号明細書;同第5,622,929号明細書;DubowchikおよびWalker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67-123;Nevilleら、1989、Biol.Chem.264:14653-14661を参照されたい。)そのようなリンカーは、血液中のものなどの中性pH条件下で比較的安定であるが、リソソームのおおよそのpHであるpH5.5または5.0未満では不安定である。一定の実施形態では、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療剤に結合したチオエーテルなど(例えば、米国特許第5,622,929号明細書を参照されたい。))である。
【0204】
他のリンカーは、還元条件下(例えば、ジスルフィドリンカー)で切断可能である。ジスルフィドリンカーには、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成することができるものが含まれる{例えば、Thorpeら、1987、Cancer Res.47:5924-5931;Wawrzynczakら、In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987.米国特許第4,880,935号も参照されたい)を参照されたい。
【0205】
リンカーはまた、マロン酸リンカー(Johnsonraら、1995、Anticancer Res.15:1387~93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1299-1304)または3’-N-アミド類似体(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1305-12)であり得る。リンカーはまた、マロン酸リンカー(Johnsonraら、1995、Anticancer Res.15:1387~93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1299-1304)または3’-N-アミド類似体(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1305-12)であり得る。
【0206】
リンカーはまた、治療剤(例えば、薬物)に直接結合しているマレイミド-アルキレン-またはマレイミド-アリールリンカーなどの切断不可能なリンカーであり得る。活性な薬物-リンカーは、抗体の分解によって放出される。
【0207】
典型的には、リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性ではない、すなわち、ADCが細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する場合、ADCのサンプル中のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、さらにより典型的には約5%以下、約3%以下、または約1%以下が切断される。
【0208】
リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性でないかどうかは、例えば、(a)ADC「ADCサンプル」および(b)等しいモル量の非コンジュゲート抗体または治療剤「コントロールサンプル」の両方を、血漿と独立して所定の期間(例えば、2、4、8、16、または24時間)インキュベートし、次いで、ADCサンプル中に存在する非コンジュゲート抗体または治療剤の量を、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定した場合にコントロールサンプル中に存在するものと比較することによって、決定することができる。
【0209】
リンカーはまた、細胞内在化を促進することができる。リンカーは、治療剤にコンジュゲートした場合(すなわち、本明細書に記載のようなADCまたはADC誘導体のリンカー-治療剤部分の環境において)、細胞内在化を促進することができる。あるいは、リンカーは、治療剤と抗PD-L1抗体の両方にコンジュゲートした場合(すなわち、本明細書に記載のようなADCの環境において)、細胞内在化を促進することができる。
【0210】
抗PD-L1抗体は、抗体のヘテロ原子を介してリンカーにコンジュゲートすることができる。これらのヘテロ原子は、その天然の状態で抗体上に存在することができるか、または抗体に導入することができる。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、リジン残基の窒素原子を介してリンカーにコンジュゲートされるであろう。他の態様では、抗PD-L1抗体は、システイン残基の硫黄原子を介してリンカーにコンジュゲートされるであろう。システイン残基は、天然に存在するもの、または抗体に操作されたものであり得る。リンカーおよび薬物-リンカーを、リジンおよびシステイン残基を介して抗体にコンジュゲートする方法は、当技術分野で公知である。
【0211】
例示的な抗体-薬物コンジュゲートとしては、アウリスタチンベースの抗体-薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分はアウリスタチン薬物である)が挙げられる。アウリスタチンは、チューブリンに結合し、微小管動態ならびに核および細胞分裂を妨害することが示されており、抗がん活性を有する。典型的には、アウリスタチンベースの抗体-薬物コンジュゲートは、アウリスタチン薬物と抗PD-L1抗体の間にリンカーを含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー、炭水化物リンカー)または切断不可能なリンカー(例えば、抗体の分解によって放出されるリンカー)であり得る。アウリスタチンとしては、アウリスタチンT、MMAFおよびMMAEが挙げられる。例示的なアウリスタチンの合成および構造は、米国公報第7,659,241号、同第7,498,298号、同第2009-0111756号、同第2009-0018086号および同第7,968,687号に記載されており、これらの各々は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
例示的な抗体-薬物コンジュゲートには、カンプトテシンベースの抗体-薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分はカンプトテシン薬物である)も含まれる。カンプトテシンは、抗がん活性を有することが示されているトポイソメラーゼ阻害剤である。典型的には、カンプトテシンベースの抗体-薬物コンジュゲートは、カンプトテシン薬物と抗PD-L1抗体の間にリンカーを含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー、炭水化物リンカー)または切断不可能なリンカー(例えば、抗体の分解によって放出されるリンカー)であり得る。例示的なカンプトテシン薬物-リンカーの合成および構造は、PCT/US19/025968(2019年4月5日出願)に記載されており、これらは、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
他の例示的な抗体-薬物コンジュゲートとしては、マイタンシノイド抗体-薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分はマイタンシノイド薬物である)およびベンゾジアゼピン抗体薬物コンジュゲート(すなわち、薬物成分はベンゾジアゼピン(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体(PBD二量体)、インドリノベンゾジアゼピン二量体、およびオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)である)が挙げられる。
【0214】
例示的な抗体薬物コンジュゲートとしては、以下のvcMMAEおよびmcMMAF抗体薬物コンジュゲート(式中、pは薬物負荷を表し、Abは抗PD-L1抗体を表す)、
【化11-1】
【化11-2】
またはその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
【0215】
例示的な抗PD-L1抗体薬物コンジュゲートとしては、以下のカンプトテシン抗体薬物コンジュゲート(式中、pは薬物負荷を表し、Abは抗PD-L1抗体を表す)が挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態では、カンプトテシンADCは、式(IC):
【化12】
またはその薬学的に許容され得る塩
(式中、
Abは抗PD-L1抗体であり、
yは1、2、3もしくは4であるか、または1もしくは4であり、かつ
zは2~12の整数であるか、または2、4、8、もしくは12であり、
かつ、pは1~16である)
を有する。
【0217】
これらの実施形態のいくつかの態様では、pは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの態様では、pは2、4または8である。
【0218】
いくつかの実施形態では、カンプトテシンADCは、式:
【化13】
またはその薬学的に許容され得る塩
(式中、pは2、4、または8であり、好ましくは、pは8である)を有する。
【0219】
いくつかの実施形態では、カンプトテシンADCは、式:
【化14】
またはその薬学的に許容され得る塩
(式中、pは2、4、または8であり、好ましくは、pは8である)を有する。
【0220】
いくつかの実施形態では、カンプトテシン薬物-リンカーは、式:
【化15】
またはその薬学的に許容され得る塩
(式中、
yは1、2、3もしくは4であるか、または1もしくは4であり、かつ
zは2~12の整数であるか、または2、4、8もしくは12である)を有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、カンプトテシン薬物-リンカーは、式:
【化16】
を有する。
【0222】
いくつかの実施形態では、カンプトテシン薬物-リンカーは、式:
【化17】
を有する。
【0223】
いくつかの実施形態では、カンプトテシン薬物-リンカーは、式:
【化18】
を有する。
【0224】
PD-L1標的化抗体-薬物コンジュゲートを参照すると、下付き文字pは、薬物負荷を表し、文脈に応じて、個々の抗体分子に結合した薬物-リンカー分子の分子数を表すことができ、したがって整数値であるか、または平均薬物負荷を表すことができ、したがって整数または非整数値であり得るが、典型的には非整数値である。平均薬物負荷は、集団中の抗体あたりの薬物-リンカー分子の平均数を表す。常にではないが、多くの場合、抗体、例えばモノクローナル抗体を指す場合、抗体分子の集団を指す。抗体-薬物コンジュゲート分子の集団を含む組成物において、平均薬物負荷は、標的細胞に送達され得る薬物の量を決定するので、重要な品質属性である。組成物中の非コンジュゲート抗体分子のパーセンテージは、平均薬物負荷値に含まれる。
【0225】
本発明の好ましい態様では、抗体-薬物コンジュゲート化合物の集団を含む組成物に言及する場合の平均薬物負荷は、1~約16、好ましくは約2~約14、より好ましくは約2~約10である。
【0226】
MMAE ADCおよびカンプトテシンADC(例えば、本明細書中に例示されるADCなど)の場合、好ましい平均薬物負荷は、約2、4または8であり、特に好ましい平均薬物負荷は、約8である。一実施形態では、MMAE ADCの好ましい平均薬物負荷は、2または4である。一実施形態では、カンプトテシンADCの好ましい平均薬物負荷は、4または8である。例示的な実施形態では、薬物-リンカーは、還元型鎖間ジスルフィドのシステイン残基にコンジュゲートされる。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲート化合物の集団中の個々の抗体分子の実際の薬物負荷は、1~10(または6~10または6~8)であり、優勢な薬物負荷は、8である。例えば、鎖間ジスルフィドの他に、(EUインデックスにしたがって、位置239に導入されたシステイン残基などの)導入されたシステイン残基に薬物-リンカーがコンジュゲートしている場合には、より高い薬物負荷を達成することができる。
【0227】
薬物リンカーのPEG(ポリエチレングリコール)部分は、2~36の範囲であり得る。全ての上記実施形態における下付き文字zは、好ましくは2~12、4~12、8~14、8~12、10~12または10~14であり、より好ましくは2、4、8または12であり、最も好ましくは8である。
【0228】
多分散PEGS、単分散PEGSおよび不連続PEGを使用して、本発明のPEG化抗体薬物コンジュゲートを作製することができる。多分散PEGは、サイズおよび分子量の不均一な混合物であるが、単分散PEGは、典型的には不均一な混合物から精製され、したがって、単一の鎖長および分子量を提供する。好ましいPEG単位は、重合プロセスを介さずに段階的に合成される化合物である不連続PEGである。不連続PEGは、定義された特定の鎖長を有する単一分子を提供する。下付き文字「p」と同様に、抗体-薬物コンジュゲートの集団に言及する場合、下付き文字「n」の値は、平均数であってよく、整数または非整数であり得る。
【0229】
抗PD-L1抗体にコンジュゲートするのに有用なクラスの細胞傷害剤としては、例えば、抗チューブリン剤、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、化学療法増感剤などが挙げられる。細胞傷害剤の他の例示的なクラスとしては、アントラサイクリン、アウリスタチン、カンプトテシン、デュオカルマイシン、エトポシド、マイタンシノイドおよびビンカアルカロイドが挙げられる。いくつかの例示的な細胞傷害剤としては、アウリスタチン(例えば、アウリスタチンT、アウリスタチンE、AFP、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、親油性モノメチルアウリスタチンF、モノメチルアウリスタチンE(MMAE))、DNA副溝結合剤(例えば、エンジインおよびレキシトロプシン)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPTi)、チューブリシンM、ドキソルビシン、モルホリノ-ドキソルビシン、およびシアノモルホリノ-ドキソルビシンが挙げられる。
【0230】
細胞傷害剤は、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、マイトマイシンCまたはエトポシドなどの化学療法剤であり得る。薬剤はまた、CC-1065類似体、カリケアマイシン、メイタンシン、ドラスタチン10、リゾキシンまたはパリトキシンの類似体であり得る。
【0231】
細胞傷害剤はまた、アウリスタチンであり得る。アウリスタチンは、例えば、アウリスタチンEとケト酸の間に形成されるエステルであるアウリスタチンE誘導体であってよい。例えば、アウリスタチンEをパラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれAEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なアウリスタチンとしては、アウリスタチンT、AFP、MMAFおよびMMAEが挙げられる。種々のアウリスタチンの合成および構造は、例えば、米国特許出願公開第2005-0238649号明細書および米国特許出願公開第2006-0074008号明細書に記載されている。
【0232】
細胞傷害剤は、DNA副溝結合剤であり得る。(例えば、米国特許第6,130,237号明細書を参照されたい。)例えば、副溝結合剤は、CBI化合物またはエンジイン(例えば、カリケアマイシン)であり得る。
【0233】
細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、抗チューブリン剤であり得る。抗チューブリン剤の例としては、タキサン(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル))、T 67(Tularik)、ビンカアルキロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、およびアウリスタチン(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が挙げられる。例示的なアウリスタチンを、以下の式III~XIIIに示す。他の適切な抗チューブリン剤としては、例えば、バッカチン誘導体、タキサン類似体(例えば、エポチロンAおよびB)、ノコダゾール、コルヒチンおよびコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、コンブレタスタチン、ディスコデルモイド(discodermoide)およびエリュトロビン(eleuthrobin)が挙げられる。
【0234】
細胞傷害剤は、マイタンシノイド、抗チューブリン剤の別の群(例えば、DM1、DM2、DM3、DM4)であり得る。例えば、マイタンシノイドは、メイタンシンまたはDM-1もしくはDM-4(ImmunoGen,Inc.;Chariら、1992、Cancer Res.)などの薬物リンカーを含むメイタンシンであり得る。
【0235】
VIII.治療適用
本発明の抗体は、単独で、またはその抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートとして、がんを処置するために使用することができる。いくつかのそのようながんは、タンパク質(例えば、例示された抗体のうちの1つを使用するイムノアッセイによって)またはmRNAレベルのいずれかで測定された検出可能なレベルのPD-L1を示す。いくつかのそのようながんは、好ましくは同じ患者由来の同じタイプの非がん性組織と比較して上昇したレベルのPD-L1を示す。処置に適したがん細胞上のPD-L1の例示的なレベルは、細胞あたり5000~500,000個のPD-L1分子であるが、より高いまたはより低いレベルを処置することができる。必要に応じて、がんにおけるPD-L1のレベルは、処置を行う前に測定される。
【0236】
PD-L1発現に関連し、処置に適したがんの例としては、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、および子宮頸がんが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、黒色腫を処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、NSCLCを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、SCLCを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、頭頸部がんを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、TNBCを処置する方法において使用される。トリプルネガティブ乳がんは、検出可能なエストロゲンおよびプロゲステロン受容体を欠き、HER2/neuの過剰発現を欠くがんの技術用語である。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、卵巣がんを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、尿路上皮がんを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、HCCを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、胃がんを処置する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、子宮頸がんを処置する方法において使用される。処置は、これらの種類の原発性または転移性腫瘍を有する患者に適用することができる。処置はまた、従来の処置に対して難治性である患者、またはそのような処置に対する応答後に再発した患者に適用することができる。
【0237】
単独でのまたはそのコンジュゲートとしてのヒト化抗体などの本発明の抗体は、がんの発症を遅らせ、重症度を低下させ、さらなる悪化を阻害し、および/または少なくとも1つの徴候または症状を改善する投与量、投与経路および投与頻度を意味する有効なレジメンで投与される。患者が既にがんに罹患している場合、このレジメンは、治療的に有効なレジメンといわれ得る。患者が一般集団と比較してがんのリスクが高いが、まだ症状を経験していない場合、レジメンは予防的に有効なレジメンといわれ得る。いくつかの例では、治療的または予防的効力は、歴史的なコントロールまたは同じ患者の過去の経験と比較して、個々の患者で観察することができる。他の例では、治療的または予防的効力は、未処置患者のコントロール集団と比較して、処置患者の集団における前臨床または臨床試験で実証することができる。
【0238】
モノクローナル抗体の例示的な投与量は、患者の体重1kgあたり0.1mg~50mgであり、より典型的には1mg~30mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、または1mg~10mg 1、または2mg~30mg、2mg~20mg、2mg~15mg、2mg~12mg、または2mg~10mg、または3mg~30mg、3mg~20mg、3mg~15mg、3mg~12mg、または3mg~10mgである。モノクローナル抗体またはその抗体薬物コンジュゲートの例示的な投与量は、対象の体重1kgあたり1mg~7.5mg、もしくは2mg~7.5mg、もしくは3mg~7.5mg、または0.1~20、もしくは0.5~5mg体重(例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10mg)、または固定投与量として10~1500もしくは200~1500mgである。いくつかの方法では、患者に少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kgまたは少なくとも3mg/kgの用量を投与し、3週間またはそれを超えるごとに1回投与する。投与量は、他の要因の中でも、投与の頻度、患者の状態および以前の処置に対する応答(存在する場合)、処置が予防的であるか治療的であるか、および障害が急性であるか慢性であるかに依存する。
【0239】
投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内または筋肉内であり得る。投与は、腫瘍内に直接局在化することもできる。静脈内または皮下投与による全身循環への投与が好ましい。静脈内投与は、例えば、30~90分などの期間にわたる注入または単回ボーラス注射によるものであり得る。
【0240】
投与の頻度は、他の要因の中でもとりわけ、循環中の抗体またはコンジュゲートの半減期、患者の状態および投与経路に依存する。頻度は、毎日、毎週、毎月、年に4回または患者の状態もしくは処置されているがんの進行の変化に応じて不定期の間隔であり得る。静脈内投与のための例示的な頻度は、処置の継続する過程にわたって、週に2回から年に4回の間であるが、より高いまたは低い頻度の投与も可能である。静脈内投与のための他の例示的な頻度は、処置の継続する過程にわたって、毎週または4週間ごとに3回の間であるが、より高いまたは低い頻度の投与も可能である。皮下投与については、例示的な投与頻度は毎日~毎月であるが、より高いまたは低い頻度の投与も可能である。
【0241】
投与される投与量の数は、がんの性質(例えば、急性症状を呈するか慢性症状を呈するか)および処置に対する障害の応答に依存する。急性障害または慢性障害の急性増悪については、1~10回の用量で十分であることが多い。場合によっては、単回ボーラス用量は、必要に応じて分割形態で、急性障害または慢性障害の急性増悪に十分である。急性障害の再発または急性増悪に対して処置を繰り返すことができる。慢性障害の場合、抗体は、一定の間隔で、例えば、少なくとも1、5もしくは10年間、または患者の生涯にわたって、毎週、2週間ごと、毎月、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとに投与することができる。
【0242】
非経口投与用の医薬組成物は、好ましくは、無菌であり、実質的に等張であり、GMP条件下で製造される。医薬組成物は、単位剤形で(すなわち、単回投与用の投薬量)で与えることができる。医薬組成物は、1またはそれを超える、生理的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を用いて製剤化することができる。製剤は、選択された投与の経路に依存する。注射のために、抗体は、水溶液中に、好ましくは、(注射の部位における不快感を軽減するために)ハンクス液、リンゲル液などの生理的に適合的な緩衝液、または生理的食塩水または酢酸緩衝液中に製剤化され得る。溶液は、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。または、抗体は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない無菌水で構成するための凍結乾燥された形態であり得る。液体製剤中の抗体の濃度は、例えば、10mg/mLなど1~100mg/mLであり得る。
【0243】
本発明の抗体での処置は、化学療法、放射線、幹細胞処置、手術、処置されている当該障害に対する標準的治療を含む、処置されている障害に対して有効なその他の処置と組み合わせることができる。本明細書に記載のようなPD-L1に対する抗体および抗体-薬物コンジュゲートと共に投与することができる他の薬剤の有用なクラスとしては、例えば、がん性細胞上に発現される他の受容体に対する抗体、抗チューブリン剤(例えば、アウリスタチン)、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金錯体、例えばシスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)および三核白金錯体およびカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、葉酸代謝拮抗剤、代謝拮抗剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、予備形成化合物、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが挙げられる。
【0244】
抗PD-L1抗体または抗体-薬物コンジュゲートを、必要に応じて単独でまたは抗体薬物コンジュゲートとして記載される他の薬剤またはレジメンのいずれかと組み合わせて用いる処置により、特に再発性または難治性の場合に、腫瘍を有する患者(例えば、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、および子宮頸がん)の無増悪生存期間または全生存期間の中央値を、単独でのまたはコンジュゲートとしての抗PD-L1抗体を用いないが同じ処置(例えば、化学療法)と比較して、少なくとも30%または40%、好ましくは50%、60%~70%またはさらには100%またはそれより長く増大させることができる。加えて、または、代替的に、抗PD-L1抗体単独またはコンジュゲートとして含む処置(例えば、標準化学療法)は、腫瘍を有する患者の完全奏効率、部分奏効率または客観的奏効率(完全+部分)を、抗PD-L1抗体を単独でまたはコンジュゲートとして用いないが同じ処置(例えば、化学療法)と比較して、少なくとも30%または40%、好ましくは50%、60%~70%またはさらには100%増大させることができる。
【0245】
典型的には、臨床試験(例えば、第II相、第II/III相または第III相試験)では、標準的治療単独(またはプラセボを加えて)を受けている患者のコントロール群と比較して、標準的治療に加えて単独でのまたはコンジュゲートとしての抗PD-L1抗体で処置された患者の無増悪生存中央値および/または奏効率の前述の増加は、統計的に有意であり、例えば、p=0.05もしくは0.01またはさらには0.001のレベルである。完全奏効率および部分奏効率は、例えば、米国国立がん研究所および/または米国食品医薬品局によって列挙または承認されているように、がんの臨床試験で一般的に使用される客観的基準によって決定される。
【0246】
IX.製造品およびキット
別の態様では、本明細書に記載の抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートを含む製造品またはキットが提供される。製造品またはキットは、本発明の方法において本明細書に記載の抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートを使用するための指示をさらに含み得る。したがって、一定の実施形態では、製造品またはキットは、有効量の本明細書に記載の抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートを対象に投与することを含む、対象のがん(例えば、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、および子宮頸がん)を処置するための方法における本明細書に記載の抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートの使用のための指示を含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0247】
製造品またはキットは、容器をさらに含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(単一または二重チャンバーシリンジなど)および試験管が含まれる。いくつかの実施形態では、容器はバイアルである。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、製剤を保持する。
【0248】
製造品またはキットは、ラベルまたは添付文書をさらに含んでいてもよく、このラベルまたは添付文書は、容器上にあるか、または容器に関連付けられ、製剤の再構成および/または使用のための指示を示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が、対象のがん(例えば、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、尿路上皮がん、肝細胞癌(HCC)、胃がん、および子宮頸がん)を処置するための皮下、静脈内(例えば、静脈内注入)、または他の投与様式に有用であるかまたは意図されていることをさらに示し得る。製剤を保持する容器は、再構成された製剤の反復投与を可能にする単回使用バイアルまたは複数回使用バイアルであり得る。製造品またはキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器をさらに含み得る。製造品またはキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、および使用のための指示を含む添付文書を含む、商業的、治療的、および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
【0249】
本明細書の製造品またはキットは、必要に応じて、第2の医薬品を含む容器をさらに含み、抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートは、第1の医薬品であり、その物品またはキットは、有効量で第2の医薬品で対象を処置するためのラベルまたは添付文書上の指示をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬品は、1またはそれを超える有害事象を排除するかまたはその重症度を低下させるためのものである。
【0250】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体-薬物コンジュゲートは、凍結乾燥粉末として容器中に存在する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末は、バイアル、アンプルまたはサシェなどの密封容器内にあり、活性剤の量を示す。医薬が注射によって投与される場合、成分を投与前に混合することができるように、例えば、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを、必要に応じてキットの一部として提供することができる。そのようなキットは、当業者には容易に明らかであるように、所望であれば、例えば、1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体を含む容器、追加の容器など、1またはそれを超える様々な従来の薬学的成分をさらに含むことができる。投与される成分の量、投与のための指針、および/または成分を混合するための指針を示す、インサートまたはラベルとしての印刷された指示も、キットに含めることができる。
【0251】
X.その他の適用
ヒト化抗PD-L1抗体などの本明細書に記載の抗PD-L1抗体は、臨床診断や処置の文脈で、または研究でPD-L1を検出するために使用することができる。がんにおけるPD-L1の発現は、がんが本発明の抗体での処置に適しているという指標を提供する。抗体はまた、PD-L1を有する細胞および様々な刺激に対するそれらの応答を検出する際の実験研究のための研究試薬として販売され得る。そのような使用では、モノクローナル抗体は、蛍光分子、スピン標識分子、酵素または放射性アイソタイプで標識することができ、PD-L1のアッセイを実施するために必要な全ての試薬と共にキットの形態で、提供され得る。本明細書に記載の抗体は、PD-L1タンパク質発現を検出し、がんがPD-L1 ADCによる処置に適しているかどうかを決定するために使用することができる。
【0252】
上記または下記に引用されるすべての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、受入番号などは、各個々の項目が参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが異なる時点で受入番号と関連付けられる場合、本出願の有効出願日における受入番号と関連付けられるバージョンを意味する。有効出願日とは、実際の出願日または該当する場合には受入番号に言及する優先権出願の出願日のうち早い方を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時期に公開されている場合、特に明記しない限り、出願の有効出願日において最も最近に公開されたバージョンを意味する。本発明の任意の特徴、ステップ、要素、実施形態または態様は、具体的に別段の記載がなければ、他のいずれとも組み合わせて使用することができる。明確性および理解のために、例示および例によって、いくぶん詳しく本発明を記載してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲内で、ある種の変更および改変を実施し得ることは自明である。
【実施例
【0253】
以下の実施例で記載されている細胞株は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)またはドイツ微生物細胞培養保存機関GmbH、Braunschweig、Germany(DMSZ)によって指定された条件に従ってまたは他の方法で知られているとおり培養で維持した。
【0254】
方法
抗体産生
PD-L1に指向されたSG-559-xx抗体は、親和性を低下させるために完全ヒトAb1のCDRに点変異を導入することによって産生された。簡潔には、PD-L1結合エピトープに近接するCDR中の残基を、異なるアミノ酸に変異させた。4つの選択された例示的残基を図1に示す。最初のスクリーニング目的のために、HEK293細胞における一過性トランスフェクションを使用してATUM bioでSG-559-xx抗体を作製した。
【0255】
追跡研究のために、抗体を以下のプロトコルに従って社内で作製した。抗体可変ドメイン配列および定常ドメイン配列を、非鋳型PCRを使用して合成した。手短に言えば、仮想遺伝子配列を、Genewizのバイオインフォマティクスツールを使用してオリゴヌクレオチド配列に変換した。オリゴヌクレオチドを合成し、プールし、PCRを用いて増幅した。PCR反応からの完全長アンプリコンをベクターにクローニングし、次いで産物を大腸菌に形質転換し、ユニークコロニーを単離した。コロニーを液体培地中で一晩成長させ、プラスミドDNAを単離し、精製し、サンガー配列決定を用いて配列を検証した。軽鎖および重鎖を、pcDNA3.4ベクターにクローニングした。
【0256】
1:1の比の抗体重鎖および軽鎖ベクターを、ExpiFectamine CHOトランスフェクション試薬を含むThermoFisher OptiPRO SFM培地に希釈した。次いで、DNA/トランスフェクション試薬をThermoFisher ExpiCHO発現培地中のExpiCHO培養物に添加し、1日目にExpiCHOエンハンサーを添加し、1および2日目にExpiCHOフィードを添加して9日間培養した。培養物を、遠心分離および0.2um濾過によって、またはMillipore X0HCおよびD0HCポッドを使用する深層濾過、続いて0.2um濾過によって収穫した。
【0257】
GE HiTrap mAb Select SuReカラムを各IgGの精製に使用した。溶出の前に、樹脂を5CV PBS+0.1% Triton、5CV PBS+0.5M NaCl、および7.5CVのPBSで洗浄した。100 mM酢酸pH3緩衝液を用いてIgGを溶出した。26/60 HiPrep脱塩カラムを使用して、サンプルをPBSに緩衝液交換した。サンプルは、PBS中で実行されるHiPrep Superdex 200 26/600カラムの最終の磨き工程を受けた。次いで、サンプルを濾過滅菌した後、特徴づけのためにサンプルを採取した。特徴づけには、A280濃度、aSEC HPLC、aHIC HPLC、および還元PLRP-MS(QToF)が含まれる。
【0258】
バイオレイヤー干渉法
Octet Red 384システム(ForteBio)を使用してバイオレイヤー干渉法を実施して、SG-559-xx抗体の結合親和性を決定した。抗ヒトFab-CH1(FAB2G)バイオセンサー(ForteBio)に、4μg/mLのSG-559-xx抗体を100秒間負荷した。その後のベースライン化(baselining)工程の後、500nM~0.69nM(1%カゼイン、0.2% Tween-20を含む1×PBS pH7.4)の範囲の濃度のヒトPD-L1(Acro Biosciences)を、会合工程のために負荷したプローブと共に150秒間インキュベートした。これに続いて、ヒトPD-L1を欠く同じ緩衝液中で1000秒間解離工程を行った。kassociationおよびkdissociationを、確立された方法に従って得られた結合曲線に当てはめた。
【0259】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の産生
SG-559-xx抗体を、米国特許出願公開第20180092984号明細書に記載されたように、8の平均薬物:抗体比(DAR)でMDpr-PEG(12)-gluc-MMAEにコンジュゲートした。SG-559-xx抗体を、米国特許出願公開第20050238649号明細書に記載されたように、4の平均DARでvc-MMAEにコンジュゲートした。SG-559-xx抗体を、PCT/US2019/025968(2019年4月5日出願)に記載されたように、8の平均DARでMP-PEG8-VKG-カンプトテシンにコンジュゲートした。
【0260】
インビトロ細胞傷害アッセイ
細胞株を抗体-薬物コンジュゲート(ADC)処理の24時間前に播種して、細胞を馴化させた。示される場合、500IU/mLのインターフェロン-γも、PD-L1発現を誘導するためにこの時点で加えた。次いで、細胞を示された用量のADCで処理し、37℃で96時間インキュベートした。他のPD-L1指向性抗体およびアイソタイプコントロールを比較のためのADCとして含めた。細胞株の細胞生存度を、製造者の指示に従ってCellTiter-Glo(Promega Corporation,Madison,WI)を使用して測定した。手短に言えば、細胞をCellTiter-Glo試薬と共に室温で30分間インキュベートし、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用して発光を測定した。結果をx50(未処理細胞と比較して生存度の50%の低下をもたらすのに必要な化合物の濃度)として報告する。
【0261】
内在化アッセイ
PD-L1指向性抗体の内在化を、Incucyte(Sartorius)上のFabFluor pH感受性コンジュゲートを使用して行った。抗体を、pHが細胞表面からエンドソーム/リソソーム区画に低下するにつれて蛍光シグナルが増加するpH感受性色素にコンジュゲートさせた。接着細胞を、これらのコンジュゲートとのインキュベーションの24時間前に(PD-L1発現を誘導するために500IU/mLのインターフェロン-γと共に)プレートした。懸濁細胞を、これらのコンジュゲートとのインキュベーションの3時間前に播種した。次いで、細胞に0.5μg/mLの示された色素-抗体コンジュゲートを与え、48時間インキュベートした。Incucyte S3ソフトウェア(Sartorius)を使用して、蛍光シグナルの総積分強度を、時点あたりのウェルあたりのコンフルエンス%に対して正規化した。結果は、正規化積分強度対時間の曲線下面積として報告される。
【0262】
インビボ活性研究
ヌードマウスに、5.0×10個のBxPC3膵臓腺癌細胞または1.0×10個のEBC-1 NSCLC細胞を皮下接種した。NSGマウスに、5.0×10個のMDA-MB-231トリプルネガティブ乳がん細胞を皮下接種した。SCIDマウスに、1.0×10個のKarpas 299 ALCL細胞または1.0×10個のCalu-1 NSCLC細胞を皮下接種した。腫瘍成長をノギスでモニターし、平均腫瘍体積を式(0.5×[長さ×幅])を用いて計算した。平均腫瘍体積が約100mmに達したとき、マウスは未処置であるか、またはADCで示されるように腹腔内投与された。非コンジュゲート抗体およびvc-MMAE ADCを、合計3用量について週1回投与した。MP-PEG8-VKG-カンプトテシンADCを、1回のみ投与した。マウスを、腫瘍体積がおよそ750mmに達したときに安楽死させた。Karpas 299を有する動物における免疫特徴づけ研究のために、平均腫瘍体積を200mmに到達させた。次いで、これらのマウスを単回用量の非コンジュゲート抗体またはADCで処置し、6日後に安楽死させた。腫瘍は免疫組織化学およびサイトカイン分析によってエクソビボで特徴づけた(Luminex)。全ての動物の取り扱いは、実験動物管理評価・認定協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)によって認証された施設内動物管理使用委員会によって承認されたプロトコールに基づいて行った。
【0263】
PD-L1遮断
PD-L1遮断のインビトロ評価を、製造者の指示に従って、PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイ(Promega Corporation)を使用して行った。簡潔には、PD-L1+aAPC/CHO-K1細胞を播種し、16時間馴化させた。次いで、示された濃度の抗体またはADCを播種細胞に添加し、続いてPD-1+エフェクター細胞を添加する。PD-1/PD-L1シグナル伝達の非存在下では、aAPC/CHO-K1細胞とエフェクター細胞の間の相互作用は、生物発光シグナルをもたらす。したがって、PD-1/PD-L1相互作用のより効果的な阻害は、未処理細胞に対する倍数誘導(fold induction)として定量される、より高い発光シグナルをもたらす。PD-1結合抗体(Promega Corporation)をポジティブコントロールとして含め、非結合アイソタイプ抗体をネガティブコントロールとして含めた。
【0264】
IFNγで刺激してPD-L1を上方制御するヒトAPCモデルにおける免疫毒性
インビトロでのヒト抗原提示細胞に対する抗体またはADC免疫毒性を、インターフェロン-γ(IFNγ)で刺激した後、本明細書に記載の抗体またはADCのいずれかで処理したヒト抗原提示細胞(APC)を使用して測定した。ヒトAPCを、500IU/mLのIFNγ(R&D Systems)で24時間インビトロ刺激して、SG-559-xx ADCで処理する前にPD-L1を上方制御した。免疫毒性を、異なる抗体濃度またはADC濃度での未処理APCの生存度のパーセンテージとして計算した。
【0265】
ヒトAPCモデルにおける免疫応答阻害
免疫応答阻害は、リポ多糖(LPS)で刺激した後、本明細書に記載の抗体またはADCのいずれかで処理したヒト抗原提示細胞(APC)を使用して測定した。ヒトAPCを、500IU/mLのIFNγ(R&D Systems)で24時間インビトロ刺激して、PD-L1を上方制御した。次いで、ヒトAPCを、示されるようにSG-559-xx ADCで24時間処理した。次いで、ヒトAPCを、100ng/mLのLPS(Sigma Aldrich)で48時間インビトロ刺激した。LPSに対する応答を、MHCクラスIIおよびCD86(Biolegend)のフローサイトメトリー染色によって測定した。免疫機能の強度を、異なる抗体またはADC濃度でのAPCにおけるLPS刺激に応答したMHCクラスIIまたはCD86の倍数変化として計算した。
【0266】
PNGase Fを用いたヒトPD-L1の脱グリコシル化
脱グリコシル化hPD-L1を産生するために、ヒトPD-L1を、変性プロトコルと組み合わせたPNGase F酵素(New England Biolabs)で処理した。PNGase Fは、N-結合型糖タンパク質由来の高マンノース型オリゴ糖、ハイブリッド型オリゴ糖および複合型オリゴ糖の最も内側のGlcNAc残基とアスパラギン残基との間のN-結合型オリゴ糖の切断を触媒する。ヒトPD-L1を、PNGase Fの非存在下で変性プロトコルに供して、反応コントロールを得た。脱グリコシル化プロトコルには、ヒトPD-L1(Acro Biosciences)をRapid PNGase F緩衝液と組み合わせること、ヒトPD-L1を75℃で5分間加熱すること、変性したヒトPD-L1を氷上で冷却すること、PNGase Fを添加すること、および37℃で一晩インキュベートすることが含まれた。グリコシル化状態を質量分析で確認した。
【0267】
Octet Red 384システム(ForteBio)を使用してバイオレイヤー干渉法を実施して、グリコシル化または脱グリコシル化PD-L1に対するSG-559-xx抗体またはADCの結合親和性を決定した。後続のベースライン化工程の後、500nM~0.69nM(1% BSA、0.2% Tween-20を含む1×PBS pH7.4)の範囲の濃度のグリコシル化ヒトPD-L1および脱グリコシル化ヒトPD-L1を、会合工程のために負荷プローブと共に150秒間インキュベートした。これに続いて、ヒトPD-L1を欠く同じ緩衝液中で1000秒間解離工程を行った。kassociationおよびkdissociationを、確立された方法に従って得られた結合曲線に当てはめた。
【0268】
結果
実施例1:SG-559-xx抗体の設計および特徴づけ
方法に記載されているように、親Ab1抗体から17個のSG-559-xx抗体を産生した。これらの抗体の変異を含むCDRを表1に示す。これらの抗体のうちの16個を、Ab1と比較して、バイオレイヤー干渉法によってhPD-L1に対するそれらの一価結合親和性について評価した(表2)。SG-559-xx抗体の測定された親和性は、ほぼ二桁の範囲におよび、K値は4nM~297nMである。
【表1】
【表2】
【0269】
実施例2:インビトロ細胞傷害
786-O、BxPC3、ES-2、MDA-MB-231、Karpas 299およびL540CYを含む、PD-L1を発現するがん細胞株に対する方法に記載されているように、ADCとしてのSG-559-xx抗体の細胞傷害を評価した。いくつかの実験では、SU-DHL-4(PD-L1ネガティブがん細胞株)をコントロールとして含めた。MDpr-PEG(12)-gluc-MMAEペイロード(DAR8)を用いた15個のSG-559-xx ADC(最も低い親和性を有する2つを含まない)の初期スクリーニングは、いくつかのSG-559-xx抗体が親Ab1よりも有意に改善された細胞傷害を示したことを実証した(図2A~2F)。
【0270】
初期スクリーニングで一貫して最高の効力を示した4つのSG-559-xx抗体を、それらの効力についてvc-MMAEおよびMP-PEG8-VKG-カンプトテシンADC(表3)としてさらに特徴付けた。試験したほとんどの細胞株において、これらのADCは、Ab1よりも有意に強力であった。それらはまた、抗原ネガティブ細胞株(SU-DHL-4)において活性を有さず、これが非特異的結合によるものではなかったことを示唆した。
【表3】
【0271】
実施例3:内在化
細胞傷害の結果を裏付けるために、SG-559-01およびSG-559-03の内在化を、方法に記載されているようにIncucyteイメージングシステムおよびpH感受性色素コンジュゲートを使用してさらに調べた。SG-559-01およびSG-559-03の内在化は、試験したほとんどの細胞株にわたって、一貫して高かった。これを、正規化積分強度の曲線下面積(AUC)の経時的な増加パーセントによって測定した(表4)。例示的な曲線をMDA-MB-231(図3A)およびKarpas 299(図3B)について示す。
【表4】
【0272】
実施例4:インビボ抗腫瘍活性
インビトロスクリーニングのために特徴付けられた4つのSG-559-xx抗体もまた、2つのマウス異種移植モデルにおいて抗腫瘍効力について試験した。MDA-MB-231モデルでは、ADCとしてのSG-559-xx抗体は、2つの薬物リンカーで有意な抗腫瘍活性を示した(図4A~4B)。BxPC3モデルでは、ADCとしてのSG-559-xx抗体は、中程度の抗腫瘍活性を示した(図5A~5B)。ほとんどすべての場合において、SG-559-xx ADCはAb1 ADCよりも有効であり、観察されたインビトロ表現型が、インビボ設定に変換されることを示唆した。
【0273】
抗腫瘍効力は、Fcエフェクター機能低下改変体(SG-559-01 LALA)として本発明者らの最も有望な抗体の1つを使用した追加のモデルでさらに観察された。ADCとしてのSG-559-01 LALA抗体は、Karpas 299(図6A~6B)、Calu-1(図7)、およびEBC-1(図8A~8B)モデルにおいて、1つまたは2つの薬物リンカーで有意な抗腫瘍活性を示した。この活性は、非コンジュゲートSG-559-01 LALA抗体の活性とは異なることに留意されたい。
【0274】
実施例5:PD-L1遮断
SG-559-01 LALAを、インビトロでPD-1/PD-L1チェックポイントをブロックする能力についてさらに特徴付けた。PD-1抗体コントロールと比較して、SG-559-01は、PD-1/PD-L1シグナル伝達をより有効に阻害することができる。さらに、非コンジュゲートSG-559-01 LALAは、2つの薬物リンカーにコンジュゲートしたSG-559-01 LALAと同等であり、コンジュゲーションが、PD-1/PD-L1ブロッキングに影響を及ぼさないことを実証した(図9)。
【0275】
実施例6:インビトロでのヒトAPCに対する免疫毒性
SG-559-01およびSG-559-01 LALAを、APCに対する免疫毒性について評価した(例えば、マクロファージおよび樹状細胞(DC))。APCをIFNγで刺激して、方法に記載されるように処理前にPD-L1を上方制御した。SG-559-01 LALA ADCは、マクロファージおよびDCの両方において、アイソタイプコントロールと類似するか、または1桁以内の大きさのヒトAPCに対する免疫毒性を示した(図10A~10D)。
【0276】
インビトロスクリーニングのために特徴付けられた4つのSG-559-xx抗体もまた、APCに対する免疫毒性について試験した(すなわち、樹状細胞およびマクロファージ)。ヒトAPCに対する免疫毒性は、SG-559-xx ADCのそれぞれと類似したか、SG-559-xx ADCのそれぞれについて1桁以内であった(図11A~11D)。
【0277】
実施例7:免疫応答阻害
SG-559-01 ADCを、LPSで処理したヒトAPCにおける免疫応答阻害を測定することによってさらに特徴付けた。方法に記載されているように、ADC処理後にインビトロヒトAPCをLPSで刺激し、その後のMHCクラスIIおよびCD86の上方制御を免疫応答の尺度として定量した。SG-559-01 ADCによる処理は、MHCクラスII(図12A-12B)およびCD86(図12C~D)によって測定した場合に、DCおよびマクロファージの両方において、同様の様式で、またはアイソタイプコントロールの1桁以内で免疫応答阻害をもたらした。
【0278】
実施例8:免疫浸潤の増加
SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCを、Karpas 299腫瘍を有するマウスにおける免疫浸潤を評価することによってさらに特徴付けた。腫瘍を有するマウスを、示されるように処置し、腫瘍を6日後に特徴づけた。未処置コントロールおよびSG-559-01抗体の両方と比較して、SG-559-01 vc-MMAE ADCは、Karpas 299腫瘍を有するマウスにおいて免疫浸潤を誘導した(図13A~C)。図13Aは、mCD45+細胞(汎白血球マーカー)の増加を示す。図13Bは、mCD11c+細胞(樹状細胞およびマクロファージのサブセットのマーカー)の増加を示す。図13Cは、mF4/80+細胞(マクロファージマーカー)の増加を示す。
【0279】
実施例9:炎症性サイトカイン応答
SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCを、腫瘍微小環境(TME)において炎症性サイトカインの産生を誘導する能力についてさらに特徴付けた。未処置コントロールおよびSG-559-01 LALA抗体の両方と比較して、SG-559-01 LALA vc-MMAE ADCは、エオタキシン(好酸球のためのケモカイン、図14A)、MIP1a(炎症促進性マクロファージサイトカイン、図14B)、MIP1b(炎症促進性マクロファージサイトカイン、図14C)、MIG/CXCL9(IFNγによって誘導され、免疫細胞の遊走および分化に影響を及ぼす、図14D)、MCP1(単球/マクロファージのためのケモカイン、図14E)およびRantes(単球、T細胞および好酸球のためのケモカイン、図14F)の腫瘍内濃度によって測定されるように、TMEにおいて炎症性サイトカインを誘導する。
【0280】
実施例10:グリコシル化PD-L1および脱グリコシル化PD-L1に対する結合親和性
SG-559-01を、PD-L1のグリコシル化形態および脱グリコシル化形態に対する結合親和性について評価した。方法に記載されているように、Octet Red 384システム(ForteBio)でバイオレイヤー干渉法を使用して結合親和性を評価した。PNGase F酵素および変性プロトコルを使用して、方法に記載のようにPD-L1を脱グリコシル化した。SG-559-01を、脱グリコシル化PD-L1およびコントロールグリコシル化PD-L1(方法に記載されているように、同じ処理条件であるがPNGase F処理は行わない)に対する結合親和性について評価した。グリコシル化PD-L1と比較して、脱グリコシル化PD-L1に対するSG-559-01結合親和性に約2倍の差が見られた(表5)。質量分析を使用して、PD-L1のグリコシル化状態を検証した。
【表5】
【0281】
非公式な配列表
配列番号1-Ab1重鎖可変領域-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号2-Ab1軽鎖可変領域-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK
配列番号3-Ab1重鎖CDR1-タンパク質
TYAIS
配列番号4-Ab1重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAHYAQKFQG
配列番号5-Ab1重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSPFGMDV
配列番号6-Ab1軽鎖CDR1-タンパク質
RASQSVSSYLA
配列番号7-Ab1軽鎖CDR2-タンパク質
DASNRAT
配列番号8-Ab1軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNWPT
配列番号9-SG-559-01 LALA hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTAAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10-SG-559-01カッパ軽鎖-タンパク質
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配列番号11-SG-559-01重鎖可変領域-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTAAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号12-SG-559-01軽鎖可変領域-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK
配列番号13-SG-559-01重鎖CDR1-タンパク質
TAAIS
配列番号14-SG-559-01重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAHYAQKFQG
配列番号15-SG-559-01重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSPFGMDV
配列番号16-SG-559-01軽鎖CDR1-タンパク質
RASQSVSSYLA
配列番号17-SG-559-01軽鎖CDR2-タンパク質
DASNRAT
配列番号18-SG-559-01軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNWPT
配列番号19-SG-559-02 LALA hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号20-SG-559-02カッパ軽鎖-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSALAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号21-SG-559-02重鎖可変領域-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号22-SG-559-02軽鎖可変領域-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSALAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK
配列番号23-SG-559-02重鎖CDR1-タンパク質
TYAIS
配列番号24-SG-559-02重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAHYAQKFQG
配列番号25-SG-559-02重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSPFGMDV
配列番号26-SG-559-02軽鎖CDR1-タンパク質
RASQSVSSALA
配列番号27-SG-559-02軽鎖CDR2-タンパク質
DASNRAT
配列番号28-SG-559-02軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNWPT
配列番号29-SG-559-03 LALA hIgG1重鎖-タンパク質
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配列番号30-SG-559-03カッパ軽鎖-タンパク質
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配列番号31-SG-559-03重鎖可変領域-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号32-SG-559-03軽鎖可変領域-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNLPTFGQGTKVEIK
配列番号33-SG-559-03重鎖CDR1-タンパク質
TYAIS
配列番号34-SG-559-03重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAHYAQKFQG
配列番号35-SG-559-03重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSPFGMDV
配列番号36-SG-559-03軽鎖CDR1-タンパク質
RASQSVSSYLA
配列番号37-SG-559-03軽鎖CDR2-タンパク質
DASNRAT
配列番号38-SG-559-03軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNLPT
配列番号39-SG-559-04 LALA hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSGFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号40-SG-559-04カッパ軽鎖-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号41-SG-559-04重鎖可変領域-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSGFGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号42-SG-559-04軽鎖可変領域-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK
配列番号43-SG-559-04重鎖CDR1-タンパク質
TYAIS
配列番号44-SG-559-04重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAHYAQKFQG
配列番号45-SG-559-04重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSGFGMDV
配列番号46-SG-559-04軽鎖CDR1-タンパク質
RASQSVSSYLA
配列番号47-SG-559-04軽鎖CDR2-タンパク質
DASNRAT
配列番号48-SG-559-04軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNWPT
配列番号49-SG-559-05重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIAGKAHYAQKFQG
配列番号50-SG-559-06重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGAAHYAQKFQG
配列番号51-SG-559-07重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGRAHYAQKFQG
配列番号52-SG-559-08重鎖CDR2 -タンパク質
GIIPIFGKAAYAQKFQG
配列番号53-SG-559-09重鎖CDR2-タンパク質
GIIPIFGKAFYAQKFQG
配列番号54-SG-559-10重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGAPFGMDV
配列番号55-SG-559-11重鎖CDR3-タンパク質
KFHFVSGSPAGMDV
配列番号56-SG-559-12軽鎖CDR3-タンパク質
QQASNWPT
配列番号57-SG-559-13軽鎖CDR3-タンパク質
QQKSNWPT
配列番号58-SG-559-14軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSAWPT
配列番号59-SG-559-15軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSQWPT
配列番号60-SG-559-16軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNAPT
配列番号61-SG-559-17軽鎖CDR3-タンパク質
QQRSNFPT
配列番号62-SG-559-01 hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTAAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号63-SG-559-02 hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号64-SG-559-03 hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号65-SG-559-04 hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSGFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号66-SG-559-01可変重鎖領域-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcaccgccgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctca
配列番号67-SG-559-01可変軽鎖領域-核酸
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggccgacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号68-SG-559-02可変重鎖領域-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctca
配列番号69-SG-559-02可変軽鎖領域-核酸
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagcagcgccttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggccgacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号70-SG-559-03可変重鎖領域-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctca
配列番号71-SG-559-03可変軽鎖領域-核酸
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaacctgccgacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号72-SG-559-04可変重鎖領域-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagcggcttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctca
配列番号73-SG-559-04可変軽鎖領域-核酸
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggccgacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号74-SG-559-01 LALA hIgG1重鎖-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcaccgccgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatctgtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagctgccctgggctgcctggtcaaggactacttccctgaacctgtgacagtgtcctggaactcaggagccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagctgctgggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtttacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号75-SG-559-01カッパ軽鎖-核酸
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggccgacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgt
配列番号76-SG-559-01 hIgG1重鎖-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcaccgccgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatctgtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagctgccctgggctgcctggtcaaggactacttccctgaacctgtgacagtgtcctggaactcaggagccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号77-SG-559-02 LALA hIgG1重鎖-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatctgtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagctgccctgggctgcctggtcaaggactacttccctgaacctgtgacagtgtcctggaactcaggagccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagctgctgggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtttacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号78-SG-559-02カッパ軽鎖-核酸
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配列番号79-SG-559-02 hIgG1重鎖-核酸
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配列番号80-SG-559-03 LALA hIgG1重鎖-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagccccttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatctgtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagctgccctgggctgcctggtcaaggactacttccctgaacctgtgacagtgtcctggaactcaggagccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagctgctgggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtttacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号81-SG-559-03カッパ軽鎖-核酸
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配列番号82-SG-559-03 hIgG1重鎖-核酸
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配列番号83-SG-559-04 LALA hIgG1重鎖-核酸
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配列番号84-SG-559-04カッパ軽鎖-核酸
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配列番号85-SG-559-04 hIgG1重鎖-核酸
caggtccagctggtgcagtctggggctgaggtgaagaagcctgggtcctcggtgaaggtctcctgcaagacttctggagacaccttcagcacctatgctatcagctgggtgcgacaggcccctggacaagggcttgagtggatgggagggatcatccctatatttggtaaagcacactacgcacagaagttccagggcagagtcacgattaccgcggacgaatccacgagcacagcctacatggagctgagcagcctgagatctgaggacacggccgtgtatttttgtgcgagaaagtttcactttgtttcggggagcggcttcggtatggacgtctggggccaagggaccacggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatctgtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagctgccctgggctgcctggtcaaggactacttccctgaacctgtgacagtgtcctggaactcaggagccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号86-Ab1 hIgG1重鎖-タンパク質
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号87-Ab1カッパ軽鎖-タンパク質
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図14-6】
【配列表】
2022550816000001.app
【国際調査報告】