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特表2022-550820球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池
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  • 特表-球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池 図1
  • 特表-球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/587 20100101AFI20221128BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221128BHJP
   C01B 32/21 20170101ALI20221128BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 C
C01B32/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520269
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2020013432
(87)【国際公開番号】W WO2021066584
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0123398
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-チョル・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン-ウク・ウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン-ジュ・イ
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AB02
4G146AB03
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AD25
4G146BA02
4G146BA22
4G146BB04
4G146BB05
4G146BC03
4G146BC04
4G146BC34B
4G146BC48
4G146CB09
4G146DA02
4G146DA04
5H050AA09
5H050AA13
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA09
(57)【要約】
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを混合及び球状化して球状化造粒粒子を用意する段階と、前記球状化造粒粒子を焼成する段階と、前記焼成された結果物にカーボンコーティングする段階と、前記カーボンコーティングされた結果物を熱処理する段階と、前記熱処理された結果物を解砕する段階と、を含む、球状化カーボン系負極活物質の製造方法が提示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを混合及び球状化して球状化造粒粒子を用意する段階と、
前記球状化造粒粒子を焼成する段階と、
前記焼成された球状化造粒粒子にカーボンコーティングする段階と、
前記カーボンコーティングされた球状化造粒粒子を熱処理する段階と、
前記熱処理された結果物を解砕する段階と、を含む、球状化カーボン系負極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記鱗片状黒鉛と;前記固相ピッチと液相ピッチとの混合物と;の重量比が92:8~98:2である、請求項1に記載の球状化カーボン系負極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記固相ピッチと前記液相ピッチとの重量比が50:50~90:10である、請求項1に記載の球状化カーボン系負極活物質の製造方法。
【請求項4】
球状化カーボン系負極活物質であって、
前記負極活物質の比表面積が1.0~2.5m/gであり、
前記負極活物質の総気孔体積が0.7e-2~1.8e-2/gであり、
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.2~0.6m/gである、球状化カーボン系負極活物質。
【請求項5】
前記負極活物質の比表面積が1.0~2.0m/gである、請求項4に記載の球状化カーボン系負極活物質。
【請求項6】
前記負極活物質の総気孔体積が0.8e-2~1.4e-2/gである、請求項4に記載の球状化カーボン系負極活物質。
【請求項7】
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.3~0.5m/gである、請求項4に記載の球状化カーボン系負極活物質。
【請求項8】
前記球状化カーボン系負極活物質の平均粒径が10~20μmである、請求項4に記載の球状化カーボン系負極活物質。
【請求項9】
前記球状化カーボン系負極活物質の球状化度が0.82~0.98である、請求項4に記載の球状化カーボン系負極活物質。
【請求項10】
集電体、及び前記集電体の少なくとも一面に位置した負極活物質層を含む負極であって、
前記負極活物質層が請求項4から9のうちいずれか一項に記載の球状化カーボン系負極活物質を含む、負極。
【請求項11】
請求項10に記載の負極を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池に関し、より詳しくは、内部気孔が減少し、球状化度が改善された球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2019年10月4日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0123398号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源としての二次電池の需要が急激に伸びている。このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使用されている。
【0004】
リチウム二次電池は、電極集電体上にそれぞれ活物質が塗布されている正極と負極との間に多孔性の分離膜が介在された電極組立体に、リチウム塩を含む電解質が含浸されている構造からなり、前記電極は活物質、バインダー及び導電材が溶媒に分散しているスラリーを集電体に塗布して乾燥及び圧延(pressing)して製造される。
【0005】
二次電池の負極としては、従来、リチウム金属が使用されたが、デンドライト(dendrite)の形成による電池短絡及びそれによる爆発の危険性が知られ、構造的及び電気的性質を維持しながら可逆的なリチウムイオンの挿入(intercalation)及び脱離が可能な炭素系化合物に代替されている。
【0006】
前記炭素系化合物は、標準水素電極電位に対して約-3Vの非常に低い放電電位を有し、グラフェン層(graphene layer)の一軸配向性による非常に可逆的な充放電挙動のため、優れた電極寿命特性(cycle life)を示す。また、Liイオンの充電時に電極電位が0V Li/Liであって、純粋なリチウム金属と殆ど類似した電位を示し得るため、酸化物系正極と電池を構成する際に、より高いエネルギーが得られるという長所がある。
【0007】
前記炭素系化合物としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンを含む多様な形態の炭素系材料が適用されている。そのうち、黒鉛が現在最も広く使用されている。
【0008】
前記黒鉛のうち天然黒鉛は、非可逆反応を減らし、電極の工程性を向上させるため、球状化過程などの後処理加工を通じて滑らかな表面形状に変えて使用する。さらに、熱処理を通じてピッチなどの低結晶性炭素をコーティングして表面を覆うことで、黒鉛のエッジ面がそのまま露出することを防止し、電解質による破壊を防止して非可逆反応を減少させる。球状の天然黒鉛に低結晶性炭素をコーティングして負極活物質を製造する方法は、殆どの負極材メーカーで使用する方法である。
【0009】
しかし、上記の方法で製造された負極活物質は、粒子が鱗片状である天然黒鉛を球状化して製造されたものであって、球状化黒鉛粒子の内部には多くの空隙が含まれている。このような空隙は負極活物質の密度を低下させて高密度の負極極板を製造し難く、集電体上の負極活物質層を高密度化する過程で低結晶性炭素被覆膜が破れて黒鉛のエッジ面が露出し、電解質による破壊及び非可逆反応の問題が生じる。
【0010】
また、天然黒鉛は、人造黒鉛に比べて電極のスウェリングが大きいという短所がある。さらに、天然黒鉛の球状化過程で生じた内部気孔が人造黒鉛に比べて大きく、多数の内部気孔のため、形成された被膜層で高温での副反応によってガスが発生し、高温保存性能が低下する問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するためのものであって、内部気孔が減少し、球状化度が改善された球状化カーボン系負極活物質、その製造方法、それを含む負極、及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記負極活物質を含む負極、及びそれを備えたリチウム二次電池を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の課題を解決するため、本発明の一態様は、下記の具現例による負極活物質とその製造方法、それを含む負極、及び二次電池を提供する。
【0014】
第1具現例によれば、
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを混合及び球状化して球状化造粒粒子を用意する段階と、
前記球状化造粒粒子を焼成する段階と、
前記焼成された球状化造粒粒子にカーボンコーティングする段階と、
前記カーボンコーティングされた球状化造粒粒子を熱処理する段階と、
前記熱処理された結果物を解砕する段階と、を含む、球状化カーボン系負極活物質の製造方法が提供される。
【0015】
第2具現例によれば、第1具現例において、
前記鱗片状黒鉛と;前記固相ピッチと液相ピッチとの混合物と;の重量比が92:8~98:2であり得る。
【0016】
第3具現例によれば、第1具現例または第2具現例において、
前記固相ピッチと液相ピッチとの重量比が50:50~90:10であり得る。
【0017】
第4具現例によれば、
球状化カーボン系負極活物質であって、
前記負極活物質の比表面積が1.0~2.5m/gであり、
前記負極活物質の総気孔体積が0.7e-2~1.8e-2/gであり、
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.2~0.6m/gである、球状化カーボン系負極活物質が提供される。
【0018】
第5具現例によれば、第4具現例において、
前記負極活物質の比表面積が1.0~2.0m/gであり得る。
【0019】
第6具現例によれば、第4具現例または第5具現例において、
前記負極活物質の総気孔体積が0.8e-2~1.4e-2/gであり得る。
【0020】
第7具現例によれば、第4具現例~第6具現例のうちいずれか一具現例において、
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.3~0.5m/gであり得る。
【0021】
第8具現例によれば、第4具現例~第7具現例のうちいずれか一具現例において、
前記球状化カーボン系負極活物質の平均粒径が10~20μmであり得る。
【0022】
第9具現例によれば、第4具現例~第8具現例のうちいずれか一具現例において、
前記球状化カーボン系負極活物質の球状化度が0.82~0.98であり得る。
【0023】
第10具現例によれば、
集電体、及び前記集電体の少なくとも一面に位置した負極活物質層を含む負極であって、
前記負極活物質層が第4具現例~第9具現例のうちいずれか一具現例による球状化カーボン系負極活物質を含む、負極が提供される。
【0024】
第11具現例によれば、
第10具現例に記載の負極を含む、リチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一具現例によれば、従来の鱗片状黒鉛のみを適用して球状化を行うのではなく、鱗片状黒鉛に固相ピッチと液相ピッチとを混合して球状化を行うことで、球状化度が改善されて内部気孔が減少した球状化カーボン系負極活物質を提供することができる。このような負極活物質を二次電池の負極に適用する場合、内部応力が減少してスウェリング特性が改善され、高温保存時の容量維持率に優れた二次電池を提供することができる。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一具現例による球状化カーボン系負極活物質の製造方法のうち、球状化段階の模式図である。
図2】従来の球状化カーボン系負極活物質の製造方法のうち、球状化段階の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0029】
本発明の一態様による球状化カーボン系負極活物質の製造方法は、
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを混合及び球状化して球状化造粒粒子を用意する段階と、
前記球状化造粒粒子を焼成する段階と、
前記焼成された球状化造粒粒子にカーボンコーティングする段階と、
前記カーボンコーティングされた球状化造粒粒子を熱処理する段階と、
前記熱処理された結果物を解砕する段階と、を含む。
【0030】
従来、鱗片状黒鉛のみを適用して球状化を行った場合、球状化粒子で内部気孔が大きく発生し、このような内部気孔で副反応が起きる問題があった。このような問題点を解決しようとして、本発明では、鱗片状黒鉛を球状化するとき、固相ピッチ及び液相ピッチを混合して球状化を行うことで、内部気孔が減少し、電池の電極に使用する場合は、電極のスウェリング現象を抑制し、電池の高温保存時の性能が向上する球状化カーボン系負極活物質の提供を図る。
【0031】
以下、各段階毎に詳しく説明する。
【0032】
まず、鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを混合及び球状化して球状化造粒粒子を用意する。
【0033】
本段階は、鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを所定の重量比で用意した後、これらを混合し、球状化して球状化造粒粒子を製造する段階である。
【0034】
本段階では、前記鱗片状黒鉛と固相ピッチとが互いに接触して組み立てられる間に、前記鱗片状黒鉛同士の間に生じた空いた空間(空隙)に、前記鱗片状黒鉛よりも平均粒径が小さい固相ピッチが挿入されて満たされながら内部気孔が減少し、さらに減少した内部気孔に液相ピッチが染み込んで充填することで、内部気孔が著しく減少し、非常に緻密な球状化粒子を提供することができる。
【0035】
本段階では、鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとの混合物を原料物質として使用し、当業界に公知された通常の球状化方法、例えば衝撃圧縮、摩擦またはせん断力などの機械的処理を加える方法を適用し得る。前記機械的処理は、当業界に通常知られた球状化装置を用いて行い得、例えばカウンタジェットミル(ホソカワミクロン社製、日本)、ACMパルベライザ(ホソカワミクロン社製、日本)、カレントジェット(日清エンジニアリング製、日本)などの粉砕機、SARARA(川崎重工業製、日本)、GRANUREX(フロイント産業製、日本)、New-Graマシン(セイシン企業製、日本)、アグロマスター(ホソカワミクロン社製、日本)などの造粒機、加圧ニーダ(dispersion kneader)、2本ロールなどの混練機、メカノマイクロシステム、押出機、ボールミル、遊星ミル、メカノフュージョンシステム、ノビルタ(Nobilta)、ハイブリダイゼーション、回転ボールミルなどの圧縮せん断式加工装置などを用い得る。
【0036】
本発明の一具現例によれば、前記混合物を上述した機械的せん断力が加えられる球状化装置に投入して造粒粒子コアを形成し、前記造粒粒子コアの表面部に同心円方向に1層以上積層されて球形に結合された形態の表面層が形成された球状化造粒粒子を形成し得る。造粒粒子コア及び表面層の形成が同時に行われて球状化造粒粒子を形成するようになる。
【0037】
本発明の一具現例では、回転式加工機を使用して鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとの混合物を繰り返して加工処理して球状化造粒粒子が得られる。繰り返される回転運動の結果、加工機の内面と鱗片状黒鉛及び固相ピッチとの衝突による粉砕と摩擦加工、せん断応力によるせん断加工などによって、鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとが組み立てられ、最終的には球状化造粒粒子が得られる。このとき、粉砕時間及び粉砕速度は、投入される黒鉛の量によって適正範囲内で調節できる。
【0038】
また、本段階では、前記球状化造粒粒子に含まれた鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとの間の接触性が向上できるように、製造された球状化造粒粒子を等方的に加圧する段階をさらに含み得る。
【0039】
このとき、等方的な加圧とは、前記球状化造粒粒子を3次元的に均一に加圧することを意味し、球状化造粒粒子の等方的加圧のために、室温で水またはアルゴンなどを媒体として使用するか、または、室温で等方的に加圧する冷間等方加圧処理などを使用し得る。
【0040】
さらに、前記球状化造粒粒子を等方的に加圧するための圧力は、特に制限されないが、50気圧~100気圧が望ましく、100気圧~200気圧がさらに望ましい。
【0041】
前記鱗片状黒鉛とは、粒子の形状が鱗片状である天然黒鉛を意味し、鱗片状、板状、破砕状、タブレット状などの天然黒鉛を目的とする粒子の大きさに粉砕して製造したものであり得る。
【0042】
前記固相ピッチは、一般に使用するピッチを適用可能であって、例えばコールタールピッチ、石油系ピッチ、合成ピッチ、ウッドタールピッチなどを粉砕して得られる。前記液相ピッチは、液相の樹脂または固相のピッチを溶媒に溶解してコーティングした後、炭化して製造し得る。このとき、溶媒は、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、キノリン、N-メチルピロリドン(NMP)、エタノールなどが使用され得る。
【0043】
本発明の一具現例において、前記鱗片状黒鉛の平均粒径は、30~100μmまたは50~80μmである。前記固相ピッチは、前記鱗片状黒鉛の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、前記固相ピッチの平均粒径は2~10μmまたは3~5μmであり得る。前記鱗片状黒鉛及び固相ピッチの平均粒径がこのような範囲を満足する場合、内部空隙の減少及び球状化工程の面で有利である。
【0044】
本発明の一具現例において、前記鱗片状黒鉛と;前記固相ピッチと液相ピッチとの混合物と;の重量比は、92:8~98:2または94:6~96:4であり得る。前記鱗片状黒鉛とピッチの混合物(固相ピッチと液相ピッチとの混合物)との重量比がこのような範囲を満足する場合、内部空隙減少の面で有利である。
【0045】
また、本発明の一具現例において、前記固相ピッチと液相ピッチとの重量比は、50:50~90:10または75:25~87:13であり得る。前記固相ピッチと液相ピッチとの重量比がこのような範囲を満足する場合、内部空隙を減少できるという点で有利である。
【0046】
本発明の一具現例による図1を参照すると、鱗片状黒鉛110と固相ピッチ120と液相ピッチ130とを混合し、上述した球状化工程を経て球状化造粒粒子100が得られる。このとき、球状化造粒粒子100では、鱗片状黒鉛110同士の間に生じた空間に固相ピッチ120が充填され、さらに液相ピッチ130が染み込むことで、内部空隙がほとんど存在しなくなる。
【0047】
一方、従来技術による図2を参照すると、鱗片状黒鉛210のみを使用して球状化工程を行えば、球状化造粒粒子200は得られるが、このときの球状化造粒粒子200では鱗片状黒鉛210同士の間に生じた空間が相変らず維持され、内部空隙220が非常に大きいことが分かる。
【0048】
次いで、前記球状化造粒粒子を焼成する。
【0049】
本焼成段階は、上述した段階で得られた球状化造粒粒子を800~1,800℃または1,000~1,400℃の温度で加熱し、球状化造粒粒子を構成する固相ピッチ及び液相ピッチを炭素化することができる。その結果、球状化造粒粒子の鱗片状黒鉛同士の間を連結及び固定し、球状化造粒粒子の内部空隙を埋め、鱗片状黒鉛の表面に被覆された固相ピッチ及び液相ピッチを非晶質カーボン形態に変えて、球状化造粒粒子をより緻密に結着させることができる。
【0050】
その後、前記焼成された球状化造粒粒子にカーボンコーティングする。
【0051】
本カーボンコーティング段階は、焼成された球状化造粒粒子をカーボンコーティング材料と均質に混合することで、焼成された球状化造粒粒子の表面にカーボンコーティング材料を付着させた後、これを炭化処理して焼成された球状化造粒粒子の表面にカーボンコーティング層を形成する段階である。このようなカーボン材料は、焼成された球状化造粒粒子の表面にコーティング層を形成し、焼成された球状化造粒粒子を構成する鱗片状黒鉛と固相ピッチ及び液相ピッチとをさらに結合させることで、充放電が繰り返されることで生じ得る球状化造粒粒子の安定性低下を防止することができる。
【0052】
このようなカーボンコーティング材料としては、スクロース、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂または塩化ビニル樹脂、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、ポリ塩化ビニル、メソフェースピッチ、タール、ブロック共重合体(block-copolymer)、低分子量重質油、またはこれらの混合物を含むカーボン前駆体から製造されたものであり得る。
【0053】
このとき、前記カーボンコーティング材料は、焼成された球状化造粒粒子100重量部を基準にして1~10重量部、または3~6重量部で使用され得る。前記コーティング層の含量がこのような範囲を満足する場合、形成されたコーティング層が厚過ぎて重量当り容量が減少し、非可逆性によって初期効率が減少する問題、または、形成されたコーティング層が薄過ぎて活物質の比表面積が増加して副反応が増加し、充放電過程でコーティング層が剥離されて寿命効率が低下する問題を防止することができる。また、初期SEI層の形成に役立って、充放電の繰り返しに伴う球状化造粒粒子の安定性問題を改善することができる。
【0054】
まず、焼成された球状化造粒粒子をカーボンコーティング材料と均質に混合する方法は、特に制限されず、当業界に公知された通常の方法を適用し得る。例えば、2本ロールなどの混練機、ブレード(blade)、メカノマイクロシステム、押出機、ボールミル、遊星ミル、メカノフュージョンシステム、ノビルタ(Nobilta)、ハイブリダイゼーション、回転ボールミルなどの機械化学的方法を使用するか、または、噴霧乾燥法(spray dry)、乳化法などを使用し得る。
【0055】
このようにカーボンコーティング材料と焼成された球状化造粒粒子とを均質に混合した後、900~1,300℃の温度で12~48時間炭化処理して前記焼成された球状化造粒粒子にカーボンコーティング層を形成し得る。形成されたカーボンコーティング層は、非晶質または結晶質炭素からなり得る。前記炭化処理条件を満足する場合、カーボンコーティング材料の安定化が十分に行われ、カーボンコーティング材料内の不純物が完璧に除去され、過度な高温でカーボンコーティング材料の被覆された表面特性が変性することを防止することができる。
【0056】
次いで、前記カーボンコーティングされた球状化造粒粒子を熱処理する。
【0057】
本熱処理段階は、上述した炭化処理によって球状化造粒粒子の表面に形成されたカーボンコーティング層の表面性を向上させ、球状化造粒粒子を構成する黒鉛材料の結晶性及び均質性を向上させることができる。
【0058】
本発明の一具現例では、上述した段階で得られたカーボンコーティングされた球状化造粒粒子を1,100℃~1,600℃の温度または1,200℃~1,400℃の温度で、3~24時間または6~12時間熱処理し得る。その後、前記熱処理結果物を解砕する。
【0059】
上述した前記球状化造粒粒子をカーボンコーティングする段階での炭化処理、及び前記カーボンコーティングされた球状化造粒粒子の熱処理を経ることで、得られた球状化造粒粒子同士が凝集した形態で存在することがあるため、凝集した粒子を互いに分離する解砕工程を行う。
【0060】
前記解砕工程では、得られた成形体に若干のせん断力を加えるだけで、成形体を容易に解砕可能である。前記解砕工程は、特に限定されないが、例えば、撹拌翼を備える撹拌機を用いて行われ得、通常のジェットミル、振動ミル、ピンミル、ハンマーミルなどの公知の粉砕機などを使用し得る。
【0061】
本発明の他の一態様による球状化カーボン系負極活物質は、
前記負極活物質の比表面積が1.0~2.5m/gであり、
前記負極活物質の総気孔体積が0.7e-2~1.8e-2/gであり、
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.2~0.6m/gである。
【0062】
本発明の一具現例によれば、前記球状化カーボン系負極活物質は、上述した球状化カーボン系負極活物質の製造方法によって製造され得る。
【0063】
前記負極活物質の比表面積は1.0~2.5m/gであり、本発明の一具現例によれば、1.0~2.0m/gまたは1.5~1.7m/gであり得る。前記負極活物質の比表面積がこのような範囲を満足する場合、電解液との副反応を減少できるという点で有利である。
【0064】
「比表面積」は、BET法によって測定したものであって、具体的にはベルジャパン社製のBELSORP-mino IIを用いて液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出し得る。
【0065】
前記負極活物質の総気孔体積は、0.7e-2~1.8e-2/gであり、本発明の一具現例によれば、0.8e-2~1.4e-2/g、または1.09e-2~1.25e-2/gであり得る。前記負極活物質の総気孔体積がこのような範囲を満足する場合、電解液との副反応の減少によって高温保存性能の面で有利である。
【0066】
このとき、前記負極活物質の総気孔体積は、上述した比表面積の測定と同様に、BET法によって測定し得、比表面積の測定と同じ装置を用いて測定し得る。
【0067】
また、前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.2~0.6m/gであり、本発明の一具現例によれば、0.3~0.5m/g、または0.39~0.44m/gであり得る。前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積がこのような範囲を満足する場合、電解液との副反応を減少させる点で有利である。
【0068】
前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積は、比表面積の測定と同様にBET法で測定し得、比表面積の測定と同じ装置を用いて測定し得る。
【0069】
特に、前記負極活物質の比表面積が1.0~2.5m/gであり、前記負極活物質の総気孔体積が0.7e-2~1.8e-2/gであり、前記負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積が0.2~0.6m/gである条件を全て満足することは、非可逆性が減少して副反応が抑制され、長期間の寿命でガス発生によるスウェリング増加を抑制できるという面で重要である。
【0070】
本発明の一具現例によれば、前記球状化カーボン系負極活物質の平均粒径は、10~20μmまたは11~18μmであり得る。
【0071】
前記平均粒径D50とは、粒径に応じた粒子個数累積分布の50%地点での粒径を意味する。例えば、D90は粒径に応じた粒子個数累積分布の90%地点での粒径を、D10は粒径に応じた粒子個数累積分布の10%地点での粒径である。
【0072】
前記平均粒径は、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定し得る。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、マイクロトラックS3500)に導入し、粒子がレーザービームを通過するとき、粒子の大きさに応じた回折パターンの差を測定して粒度分布を算出できる。測定装置における粒径に応じた粒子個数累積分布の10%、50%及び90%になる地点での粒子直径を算出することで、D10、D50及びD90を測定することができる。
【0073】
前記球状化カーボン系負極活物質の球状化度は、0.82~0.98または0.88~0.92であり得る。
【0074】
前記球状化度は、前記負極活物質を投影したとき、投影されたイメージと同一面積の円の円周を投影されたイメージの円周長で割った値であり、具体的には、下記の数式1で表し得る。前記球状化度は、粒子形状分析機、例えばマルバーン社製のシスメックスFPIA3000などの粒子形状分析機を用いて測定し得る。
【0075】
球状化度=活物質を投影したイメージと同一面積の円の円周/投影されたイメージの円周長 … 数式1
【0076】
本発明のさらに他の一態様によれば、前記負極活物質を含む負極が提供される。
【0077】
具体的には、本発明の一具現例による負極は、集電体、及び前記集電体の少なくとも一面に本発明による負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0078】
前記負極は、本発明による負極活物質、バインダー及び導電材を溶媒に分散して得た負極活物質層用スラリーを集電体の少なくとも一面にコーティングした後、乾燥及び圧延して製造し得る。
【0079】
前記集電体は、電池に化学的変化を誘発せず導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。前記集電体の厚さは特に制限されないが、通常適用される3~500μmの厚さを有し得る。
【0080】
前記負極活物質は、負極スラリー組成物の全体重量を基準にして80重量%~99重量%で含まれ得る。
【0081】
前記バインダーは、導電材と活物質との結合、または集電体への結合を補助する成分であって、通常、負極スラリー組成物の全体重量を基準にして0.1~20重量%で含まれる。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HEP)、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、スチレンブチレンゴム(SBR)、リチウム-置換されたポリアクリレート(lithium polyacrylate、Li-PAA)などが挙げられる。中でも、特にリチウム-置換されたポリアクリレート(Li-PAA)は、活物質中のケイ素含量が80%程度と高い負極に使用される場合、他のバインダー、例えばSBS/CMCに比べて優れた接着力を付与することができ、このような特徴のため、Si系負極に適用されて充放電時に高い容量維持率を達成できるという面で有利である。
【0082】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フルオロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。前記導電材は、負極スラリー組成物の全体重量を基準にして0.1~20重量%で添加され得る。
【0083】
前記分散媒は、水またはNMP(N-メチル-2-ピロリドン)などの有機溶媒を含み得、前記負極スラリーが負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材などを含むとき好適な粘度になる量で使用すればよい。
【0084】
また、前記負極スラリーのコーティング方法は、当分野で通常使われる方法であれば特に限定されない。例えば、スロットダイを用いたコーティング法が使用され、その他にもマイヤーバーコーティング法、グラビアコーティング法、浸漬コーティング法、噴霧コーティング法などが使用され得る。
【0085】
本発明のさらに他の一態様は、前記負極を含むリチウム二次電池に関する。具体的には、前記リチウム二次電池は、正極、上述した負極、及びその間に介在されたセパレータを含む電極組立体にリチウム塩含有電解質を注入して製造され得る。
【0086】
前記正極は、正極活物質、導電材、バインダー及び溶媒を混合してスラリーを製造した後、これを金属集電体に直接コーティングするか、または、別途の支持体上にキャスティングし、支持体から剥離した正極活物質フィルムを金属集電体にラミネートして製造し得る。
【0087】
正極に使用される活物質は、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiFePO及びLiNi1-x-y-zCoM1M2(M1及びM2は、互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択されたいずれか一つであり、x、y及びzは、互いに独立した酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、0<x+y+z<1)からなる群より選択されたいずれか一つの活物質粒子またはこれらのうち2種以上の混合物を含み得る。
【0088】
一方、導電材、バインダー及び溶媒は、前記負極の製造に使用されるものを同様に使用し得る。
【0089】
前記セパレータは、セパレータとして従来使用される通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを、単独でまたはこれらを積層して使用し得る。また、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄膜を使用し得る。前記セパレータは、セパレータの表面にセラミック物質が薄くコーティングされた安定性強化セパレータ(SRS、safety reinforced separator)を含み得る。他にも、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用し得るが、これらに制限されることはない。
【0090】
前記電解液は、電解質としてリチウム塩及びそれを溶解させるための有機溶媒を含む。
【0091】
前記リチウム塩は、二次電池用電解液に通常使用されるものであれば制限なく使用可能であって、例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F、Cl、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN 及び(CFCFSOからなる群より選択される1種を使用し得る。
【0092】
前記電解液に含まれる有機溶媒としては、通常使用されるものであれば制限なく使用可能であって、代表的にはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビニレンカーボネート、スルホラン、γ-ブチロラクトン、プロピレンサルファイト及びテトラヒドロフランからなる群より選択される1種以上を使用し得る。
【0093】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高くて電解質内のリチウム塩をよく解離させるため望ましく使用可能であり、このような環状カーボネートにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な比率で混合して使えば、高い電気伝導率を有する電解液を製造できてより望ましい。
【0094】
選択的に、本発明によって使用される電解液は、通常の電解液に含まれる過充電防止剤などのような添加剤をさらに含み得る。
【0095】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極と負極との間にセパレータを配置して電極組立体を形成し、前記電極組立体を、例えば、パウチ、円筒型電池ケースまたは角形電池ケースに収納した後、電解質を注入することで完成され得る。または、前記電極組立体を積層した後、これを電解液に含浸させ、得られた結果物を電池ケースに収納して密封することでリチウム二次電池が完成され得る。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、前記リチウム二次電池は、積層型、巻取型、積層/折畳み型、またはケーブル型であり得る。
【0097】
本発明によるリチウム二次電池は、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用可能であるだけでなく、複数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても望ましく使用され得る。前記中大型デバイスの望ましい例としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電力貯蔵用システムなどが挙げられ、特に高出力が要求される領域であるハイブリッド電気自動車及び新再生エネルギー貯蔵用バッテリーなどに有用に使用可能である。
【0098】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0099】
実施例1
(球状化カーボン系負極活物質の製造)
平均粒径が70μmである鱗片状黒鉛と平均粒径が5μmである固相ピッチと液相ピッチとを95:4:1の重量比で用意し、これをボールミルを用いて混合し、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン社製、日本)を用いて球状化して球状化造粒粒子を得た。得られた球状化造粒粒子100重量部とカーボンコーティング材料である固相ピッチ5重量部とをボールミルを用いて1,150℃の温度条件で24時間炭化処理してカーボンコーティングされた球状化造粒粒子を得た。
【0100】
その後、カーボンコーティングされた球状化造粒粒子を1、350℃の温度条件で12時間熱処理した。
【0101】
次いで、熱処理された結果物を解砕処理して球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0102】
(負極の製造)
製造された球状化カーボン系負極活物質、導電材としてSuper C65、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を96.6:1:1.3:1.1の重量比で混合し、水を添加してスラリーを製造した。製造されたスラリーを銅ホイルに塗布し、約130℃で10時間真空乾燥して1.4875cmの負極を製造した。このとき、負極のローディングは3.61mAh/cmになるように製造した。
【0103】
(コイン型二次電池の製造)
作用電極(working electrode)として上記のように製造された負極を、対電極(counter electrode)として1.7671cmのLi-金属を使用し、前記作用電極と対電極との間にポリエチレン分離膜を介在して電極組立体を製造した。エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:4の体積比で混合し、混合溶媒に非水電解液添加剤としてビニレンカーボネート(VC)0.5wt%と1MのLiPFを添加して非水電解液を製造した。前記電極組立体をコイン型ケースに収納し、製造された非水電解液を注入してコイン型のハーフセル二次電池を製造した。
【0104】
実施例2
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを96:3:1の重量比で用意した点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0105】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0106】
実施例3
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを94:5:1の重量比で用意した点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0107】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0108】
実施例4
鱗片状黒鉛と固相ピッチと液相ピッチとを95:3:2の重量比で用意した点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0109】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0110】
比較例1
鱗片状黒鉛のみを使用し、固相ピッチ及び液相ピッチは使用していない点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0111】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0112】
比較例2
鱗片状黒鉛と固相ピッチとを96:4の重量比で使用し、液相ピッチは使用していない点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0113】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0114】
比較例3
鱗片状黒鉛と固相ピッチとを95:5の重量比で使用し、液相ピッチは使用していない点を除き、実施例1と同じ方法で球状化カーボン系負極活物質を製造した。
【0115】
また、このようにして製造した負極活物質を使用した点を除き、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0116】
評価方法及び結果
負極初物質の比表面積、負極活物質の総気孔体積、負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積
実施例1~3、及び比較例1~3の負極活物質の比表面積、負極活物質の総気孔体積、及び負極活物質において24nm以上の大きさを有する気孔の比表面積をBET法によって測定した。具体的には、ベルジャパン社製のBELSORP-mino IIを用いて液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出した。
【0117】
負極活物質の平均粒径
実施例1~3、及び比較例1~3の負極活物質を分散媒である水に分散させた後、レーザー回折粒度測定装置(マイクロトラックS3500)に導入し、負極活物質がレーザービームを通過するとき、粒子の大きさに応じた回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。測定装置における粒径に応じた粒子個数累積分布の50%になる地点での粒子直径を算出することで、平均粒径であるD50を測定した。
【0118】
負極活物質の球状化度
実施例1~3、及び比較例1~3の負極活物質の球状化度は、下記の数式1で定義され、前記球状化度は粒子形状分析機であるマルバーン社製のシスメックスFPIA3000を用いて測定した。
【0119】
球状化度=活物質を投影したイメージと同一面積の円の円周/投影されたイメージの円周長 … 数式1
【0120】
スウェリング特性
実施例1~3、及び比較例1~3の二次電池に対し、0.1C充放電電流と5mV~1.5Vの充放電電圧条件で30回(サイクル)充放電後のスウェリング比率を測定して下記の表1に示した。
【0121】
このとき、スウェリング比率(%)は、下記の数式2で定義される。
【0122】
スウェリング比率(%)=[(充放電後の電極厚さ-初期電極の厚さ)/(初期電極の厚さ)]×100 … 数式2
【0123】
高温保存特性
実施例1~3、及び比較例1~3の二次電池に対し、60℃でSOC100%で4週間保管した後、常温で0.1C充放電電流と5mV~1.5Vの充放電電圧条件で充放電し、容量維持率を測定して下記の表1に示した。
【0124】
このとき、容量維持率(%)は、下記の数式3で定義される。
【0125】
容量維持率(%)=[(高温保存後の容量)/(初期容量)]×100 … 数式3
【0126】
【表1】
【0127】
表1を参照すると、実施例1~3の負極活物質を採用した二次電池のスウェリング特性及び高温保存容量維持率特性が何れも比較例1~3の負極活物質を採用した二次電池よりも優れた結果を見せることが分かる。
図1
図2
【国際調査報告】