(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】熱暴走現象の発生時に冷却水をバッテリーモジュールの内部に投入可能な構造を有するバッテリーパック、及びそれを含むエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20221128BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221128BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20221128BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20221128BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/204 401D
H01M10/613
H01M10/6567
H01M10/6561
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520273
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021000032
(87)【国際公開番号】W WO2021177585
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027903
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・イ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS01
5H040AY04
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、パックハウジングと、パックハウジング内に積層された複数のバッテリーモジュールと、複数のバッテリーモジュールに連結され、冷却水を貯蔵する水槽と、水槽に連結されるメイン管、メイン管とそれぞれのバッテリーモジュールとの間を連結する複数の供給管、及び複数の供給管のうち最上端に位置する供給管よりも上部地点と最下端に位置する供給管よりも下部地点とでメイン管に連結されるバイパス管を含む冷却水管と、パックハウジング内に設けられ、複数のバッテリーモジュールのうち少なくとも一部で発生した熱暴走現象を感知する少なくとも一つのセンサと、センサによって熱暴走現象が感知されれば、冷却水管を通して冷却水をバッテリーモジュールに流す制御信号を出力するコントローラと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックハウジングと、
前記パックハウジング内に積層された複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールに連結され、冷却水を貯蔵する水槽と、
前記水槽に連結されるメイン管、前記メイン管とそれぞれのバッテリーモジュールとの間を連結する複数の供給管、及び前記複数の供給管のうち最上端に位置する供給管よりも上部地点と最下端に位置する供給管よりも下部地点とで前記メイン管に連結されるバイパス管を含む冷却水管と、
前記パックハウジング内に設けられ、複数のバッテリーモジュールのうち少なくとも一部で発生した熱暴走現象を感知する少なくとも一つのセンサと、
前記センサによって熱暴走現象が感知された場合に、前記冷却水管を通して冷却水を前記バッテリーモジュールに流す制御信号を出力するコントローラと、
を含むバッテリーパック。
【請求項2】
前記バッテリーモジュールは、
複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体を収容するモジュールハウジングと、
前記セル積層体の積層方向の一側で前記モジュールハウジングを貫通して形成される空気入口と、
前記セル積層体の積層方向の他側で前記モジュールハウジングを貫通して形成される空気出口と、
を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記バッテリーモジュールは、
前記空気入口及び空気出口の内側に配置され、前記バッテリーモジュール内に流れ込んだ冷却水との接触によって膨張して前記空気入口及び空気出口を閉鎖する膨張パッドを含む、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記バッテリーモジュールは、
前記セル積層体の幅方向の一側及び他側にそれぞれ取り付けられる一対のバスバーフレームを含む、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記空気入口及び空気出口は、
前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空いた空間に対応する位置に形成される、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記供給管は、
前記セル積層体の積層方向の一側または他側から前記モジュールハウジングを貫通して前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空いた空間と連通する、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記バッテリーパックは、前記供給管内に設けられる複数のバルブを含み、
前記複数のバルブは、それぞれ、前記複数のバッテリーモジュールと隣接して設けられ、前記複数のバッテリーモジュールに流れ込む冷却水の流れを個別的に許容または遮断する、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記センサは、前記複数のバッテリーモジュールのそれぞれに設けられる、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記コントローラは、前記複数のバルブのうち、前記センサによって熱暴走現象が感知されたバッテリーモジュールと隣接して設けられたバルブを開放させる制御信号を出力する、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記バッテリーパックは、
前記供給管内に設けられる遮断膜を含む、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記遮断膜は、
基準温度以上で破断する、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から11のうちいずれか一項に記載のバッテリーパックを複数個含む、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱暴走現象が発生したとき、冷却水をバッテリーモジュールの内部に投入可能な構造を有するバッテリーパック及びそれを含むESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵システム)に関し、より具体的には、バッテリーパックを構成する複数のバッテリーモジュールのうち、二つ以上のバッテリーモジュールで熱暴走現象の発生危険が感知される場合、問題が発生したバッテリーモジュールの内部に冷却水を効率的に投入することで、熱暴走現象が隣接したバッテリーモジュールに拡散することを防止できる構造を有するバッテリーパック、及びそれを含むESSに関する。
【0002】
本出願は、2020年3月5日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0027903号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
複数のバッテリーセルを含む形態のバッテリーモジュールにおいて、一部のバッテリーセルで短絡が発生するなどの異常によって温度が上昇し続け、バッテリーセルの温度が臨界温度を超えるようになれば、熱暴走現象が発生する。このように一部のバッテリーセルで熱暴走現象が発生すれば、安全性の問題が生じることになる。
【0004】
一部のバッテリーセルで生じた熱暴走現象によって火炎などが発生すれば、これは隣接したバッテリーセルの温度を急激に上昇させ、これにより短時間で隣接したセルへと熱暴走現象が広がるおそれがある。
【0005】
結局、一部のバッテリーセルで発生した熱暴走現象に迅速に対処できないと、バッテリーセルよりも大きい容量の電池単位であるバッテリーモジュールやバッテリーパックの発火及び爆発などの災害につながり、これは財産的な被害だけでなく、安全性の問題までも引き起こすことになる。
【0006】
したがって、バッテリーモジュールの内部にある一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生する場合、バッテリーモジュール内部の温度を迅速に下げて火炎がさらに広がることを防止することが大事である。
【0007】
さらに、空冷式構造を採択しているバッテリーモジュールの場合、空気流路が存在するため、バッテリーモジュール内部の温度を下げて火炎を鎮火しようとして冷却水を投入しても、冷却水が内部に溜まらずに漏れてしまう。したがって、熱暴走現象が発生したバッテリーモジュールの内部に冷却水を投入したとき、このような空気流路を遮断可能な構造を有するバッテリーパック構造の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュールの内部にある一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生した場合、バッテリーモジュール内部の温度を迅速に下げて火炎がさらに広がることを防止することを目的とする。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は上記の課題に制限されず、その他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーパックは、パックハウジングと、パックハウジング内に積層された複数のバッテリーモジュールと、複数のバッテリーモジュールに連結され、冷却水を貯蔵する水槽と、水槽に連結されるメイン管、メイン管とそれぞれのバッテリーモジュールとの間を連結する複数の供給管、及び複数の供給管のうち最上端に位置する供給管よりも上部地点と最下端に位置する供給管よりも下部地点とでメイン管に連結されるバイパス管を含む冷却水管と、パックハウジング内に設けられ、複数のバッテリーモジュールのうち少なくとも一部で発生した熱暴走現象を感知する少なくとも一つのセンサと、センサによって熱暴走現象が感知された場合に、冷却水管を通して冷却水をバッテリーモジュールに流す制御信号を出力するコントローラと、を含む。
【0011】
バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルと、複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体を収容するモジュールハウジングと、セル積層体の積層方向の一側でモジュールハウジングを貫通して形成される空気入口(air inlet)と、セル積層体の積層方向の他側でモジュールハウジングを貫通して形成される空気出口(air outlet)と、を含み得る。
【0012】
バッテリーモジュールは、空気入口及び空気出口の内側に配置され、バッテリーモジュール内に流れ込んだ冷却水との接触によって膨張して空気入口及び空気出口を閉鎖する膨張パッドを含み得る。
【0013】
バッテリーモジュールは、セル積層体の幅方向の一側及び他側にそれぞれ取り付けられる一対のバスバーフレームを含み得る。
【0014】
空気入口及び空気出口は、バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空いた空間に対応する位置に形成され得る。
【0015】
供給管は、セル積層体の積層方向の一側または他側からモジュールハウジングを貫通してバスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空いた空間と連通し得る。
【0016】
バッテリーパックは、供給管内に設けられる複数のバルブを含み、複数のバルブは、それぞれ、複数のバッテリーモジュールと隣接して設けられ、複数のバッテリーモジュールに流れ込む冷却水の流れを個別的に許容または遮断し得る。
【0017】
センサは、複数のバッテリーモジュールのそれぞれに設けられ得る。
【0018】
コントローラは、複数のバルブのうち、センサによって熱暴走現象が感知されたバッテリーモジュールと隣接して設けられたバルブを開放させる制御信号を出力し得る。
【0019】
バッテリーパックは、供給管内に設けられる遮断膜を含み得る。
【0020】
遮断膜は、基準温度以上で破断し得る。
【0021】
一方、本発明の他の一態様によるエネルギー貯蔵システム(ESS)は、本発明の一態様によるバッテリーパックを複数個含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールの内部にある一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生した場合、バッテリーモジュール内部の温度を迅速に下げて火炎がさらに広がることを防止することができる。
【0023】
また、本発明の一態様によれば、空冷式バッテリーモジュールを含むバッテリーパックにおいて、熱暴走現象が発生したバッテリーモジュールの内部に冷却水を投入したとき、冷却のための空気流路を遮断して冷却水がバッテリーモジュールの内部に溜まることができる構造を適用することで、効果的に熱暴走現象の伝播を防止することができる。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるESSを示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックにおいて、水槽とバッテリーモジュールとの間の連結構造及び水槽とコントローラとの関係を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーパックにおいて、センサとコントローラと水槽との関係を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールの内部構造を示した図である。
【
図7】本発明に適用される冷却水管の具体的な構造を示した図である。
【
図8】本発明に適用される冷却水管の具体的な構造を示した図である。
【
図9】本発明に適用される冷却水管の具体的な構造を示した図である。
【
図10】本発明に適用される冷却水管の具体的な構造を示した図である。
【
図11】本発明に適用される冷却水管の具体的な構造を示した図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに適用される膨張パッドを示した図である。
【
図13】バルブが適用された本発明の他の実施形態によるバッテリーパックを示した図である。
【
図14】熱によって開放される遮断膜が適用された本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵システム)は、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100を複数個含む。
【0028】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100は、パックハウジング110、バッテリーモジュール120、水槽130、コントローラ140、冷却水管150及びセンサ160を含む。
【0029】
パックハウジング110は、バッテリーパック100の外観を定義する略直方体状のフレームであって、その内部に複数のバッテリーモジュール120、水槽130、コントローラ140、冷却水管150及びセンサ160が設けられ得る空間を形成する。
【0030】
バッテリーモジュール120は、複数個備えられ、複数のバッテリーモジュール120は、パックハウジング110内で上下に積層されて一つのモジュール積層体を構成する。バッテリーモジュール120の具体的な構造については、
図4~
図6を参照して詳しく後述する。
【0031】
水槽130は、パックハウジング110内に備えられ、バッテリーモジュール120の熱暴走現象の発生時にバッテリーモジュール120に供給される冷却水が貯蔵される。水槽130は、迅速且つ円滑な冷却水の供給のため、モジュール積層体の上部に配置され得る。この場合、別途の冷却水ポンプを用いなくても、自由落下及び冷却水の水圧によって冷却水を迅速にバッテリーモジュール120に供給できる。勿論、より迅速且つ円滑に冷却水を供給するため、水槽130に別途の冷却水ポンプが適用されてもよく、この場合、冷却水ポンプの圧力が十分であれば、水槽130はモジュール積層体と同じ高さに配置されるか又はそれよりも低い位置に配置されてもよい。
【0032】
コントローラ140は、センサ160及び水槽130と接続され、センサ160のセンシング信号に応じて水槽130を開放させる制御信号及び/または冷却水ポンプを作動させる制御信号を出力し得る。また、コントローラ140は、このような機能の外にも、バッテリーモジュール120のそれぞれと接続されて充/放電を管理するBMS(Battery Management System、バッテリー管理システム)としての機能をさらに果たし得る。
【0033】
コントローラ140は、複数のバッテリーモジュール120のうち少なくとも一つで発生した熱暴走現象によって、バッテリーパック100の内部でガスが感知されるか又は基準値以上の温度上昇が感知される場合、水槽130を開放させる制御信号を出力することで、冷却水がバッテリーモジュール120に供給されるようにする。
【0034】
コントローラ140の制御信号によって水槽130が開放される場合、冷却水は上部に位置するバッテリーモジュール120から下部に位置するバッテリーモジュール120へと順次に供給される。したがって、バッテリーモジュール120内部の火炎の鎮火及びバッテリーモジュール120の冷却が行われ、これにより熱暴走現象がバッテリーパック100の全体に拡散することを防止することができる。
【0035】
冷却水管150は、水槽130とバッテリーモジュール120との間を連結し、水槽130から供給される冷却水をバッテリーモジュール120に移送する通路として機能する。このような機能を果たすため、冷却水管150の一端は水槽と連結され、他端はバッテリーモジュール120の個数だけ分岐して複数のバッテリーモジュール120にそれぞれ連結される。冷却水管150の具体的な構造については、
図7~
図11を参照して詳しく後述する。
【0036】
センサ160は、上述したように、複数のバッテリーモジュール120のうち少なくとも一部で熱暴走現象が発生する場合、温度の上昇及び/またはガスの噴出を感知して感知信号をコントローラ140に伝送する。このような機能を果たすため、センサ160は、温度センサまたはガス感知センサであり得、温度センサとガス感知センサとを組み合わせた形態であってもよい。
【0037】
センサ160は、バッテリーパック100内部の温度上昇またはガス発生を感知するため、パックハウジング110の内部に設けられる。センサ160は、バッテリーモジュール120の温度及び/またはバッテリーモジュール120から発生するガスを迅速にセンシングするため、複数のバッテリーモジュール120の内側または外側にそれぞれ取り付けられ得る。
【0038】
以下、
図4~
図6及び
図12を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100に適用されるバッテリーモジュール120についてより詳しく説明する。
【0039】
図4~
図6及び
図12を参照すると、バッテリーモジュール120は、複数のバッテリーセル121、バスバーフレーム122、モジュールハウジング123、空気入口124及び空気出口125を含む形態で具現され得る。また、
図12を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール120は、膨張パッド126をさらに含み得る。
【0040】
バッテリーセル121は、複数個備えられ、複数のバッテリーセル121は積層されて一つのセル積層体を構成する。バッテリーセル121としては、例えばパウチ型バッテリーセルが適用され得る。バッテリーセル121は、長手方向の両側にそれぞれ引き出される一対の電極リード121aを備える。
【0041】
バスバーフレーム122は、一対で備えられ、それぞれのバスバーフレーム122は、セル積層体の幅方向の一側及び他側を覆う。バッテリーセル121の電極リード121aは、バスバーフレーム122に形成されたスリットを通して引き出され、折り曲げられてバスバーフレーム122上に溶接などによって固定される。すなわち、複数のバッテリーセル121同士はバスバーフレーム122によって電気的に接続され得る。
【0042】
モジュールハウジング123は、略直方体状を有し、内部にセル積層体を収容する。モジュールハウジング123の長手方向の一面及び他面には空気入口124及び空気出口125が形成される。
【0043】
空気入口124は、セル積層体の積層方向の一側、すなわちバッテリーモジュール120の長手方向の一側に形成され、モジュールハウジング123を貫通する孔状で形成される。空気出口125は、セル積層体の積層方向の他側、すなわちバッテリーモジュール120の長手方向の他側に形成され、モジュールハウジング123を貫通する孔状で形成される。
【0044】
空気入口124と空気出口125とは、バッテリーモジュール120の長手方向に沿って対角線上の反対側に位置する。
【0045】
一方、バスバーフレーム122とモジュールハウジング123との間には空いた空間が形成される。すなわち、モジュールハウジング123の六つの面のうちバッテリーセル121の長手方向の一側及び他側に対面する面とバスバーフレーム122との間にはバッテリーセル121の冷却のための空気が流動可能な空いた空間が形成される。該空いた空間は、バッテリーモジュール120の幅方向の両側にそれぞれ形成される。
【0046】
空気入口124はバッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成される空いた空間に対応する位置に形成され、空気出口125はバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成される空いた空間に対応する位置に形成される。
【0047】
バッテリーモジュール120において、空気入口124を通って内部に流れ込んだ空気は、バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成された空いた空間からバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成された空いた空間に移動しながらバッテリーセル121を冷却させた後、空気出口125から流れ出る。すなわち、バッテリーモジュール120は空冷式バッテリーモジュールに該当する。
【0048】
図12を参照すると、膨張パッド126は、空気入口124及び空気出口125の内側に配置され、空気入口124及び空気出口125の開放面積よりも小さいサイズを有する。膨張パッド126は、バッテリーモジュール120の正常な使用状態では空気入口124及び空気出口125を通る空気の流れを円滑にするため、空気入口124及び空気出口125の開放面積に対比して約30%未満のサイズを有することが望ましい。
【0049】
膨張パッド126は、バッテリーモジュール120の内部に流れ込んだ冷却水と接触することで膨張して空気入口124及び空気出口125を閉鎖する。膨張パッド126は、水分を吸収したとき非常に大きい膨張率を示す樹脂を含み、十分な量の水分が提供される場合、初期の体積に比べて少なくとも約2倍以上体積が増加する樹脂を含む。膨張パッド126に用いられる樹脂としては、例えばポリエステル短繊維(polyester staple fiber)が挙げられる。
【0050】
膨張パッド126の適用により、少なくとも一部のバッテリーモジュール120で熱暴走現象が発生してバッテリーモジュール120の内部に冷却水が流れ込む場合、空気入口124及び空気出口125は閉鎖される。このように空気入口124及び空気出口125が閉鎖されると、バッテリーモジュール120の内部に流れ込んだ冷却水が外部に流れずにバッテリーモジュール120の内部に溜まることで、バッテリーモジュール120で発生した熱暴走現象を迅速に解消することができる。
【0051】
以下、
図2、
図6とともに
図7~
図11を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーパック100に適用される冷却水管150についてより詳しく説明する。
【0052】
図2、
図6とともに
図7~
図11を参照すると、冷却水管150は、メイン管151、複数の供給管152及びバイパス管153を含む。また、冷却水管150は、少なくとも一つのサブバイパス管154をさらに含み得る。
【0053】
メイン管151は、水槽130と直接連結される。メイン管151は、水槽130からモジュール積層体の積層方向に沿って下方に延びた形態を有する。
【0054】
複数の供給管152は、メイン管151から分岐してバッテリーモジュール120同士の間を連結する。供給管152は、バッテリーモジュール120の個数と同じ個数で備えられる。供給管152は、セル積層体の積層方向の一側または他側からモジュールハウジング123を貫通してバスバーフレーム122とモジュールハウジング123との間に形成される空いた空間と連通する。すなわち、供給管152は、モジュールハウジング123の六つの面のうち、空気入口124が形成された面または空気出口125が形成された面と同じ面を貫通して挿入され得る。
【0055】
したがって、供給管152を通ってバッテリーモジュール120の内部に流れ込んだ冷却水は、
図4及び
図5に示されたように、バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成された空いた空間からバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成された空いた空間側に流れてバッテリーモジュール120の内部に満たされる。
【0056】
バイパス管153は、メイン管151と連結される。バイパス管153は、メイン管151の長手方向の一側と他側との間を連結する。すなわち、バイパス管153とメイン管151とは二つの地点で連結される。第1連結地点はモジュール積層体の積層方向に沿って最上端に位置する供給管152よりも上部に位置し、第2連結地点はモジュール積層体の積層方向に沿って最下端に位置する供給管152よりも下部に位置する。バイパス管153によって、本発明によるバッテリーパック100は、モジュール積層体の上部及び下部から同時に冷却水を供給可能であるため、複数のバッテリーモジュール120に対する冷却水供給量がばらつくことを最小化することができる。
【0057】
一方、サブバイパス管154は、バイパス管153の両端の間でバイパス管153とメイン管151とを連結する。複数の供給管152を上部から下部に向かう方向に沿って複数の供給管グループに分け、それぞれのグループに少なくとも二つ以上の供給管152が含まれるようにしたとき、サブバイパス管154は互いに隣接した供給管グループの間毎に連結され得る。
【0058】
図8を参照すると、上部から下部に向かう方向に沿って六つの供給管152を一つの供給管グループに分け、二つの供給管グループ同士の間にサブバイパス管154が連結される形態が示されている。
【0059】
図9を参照すると、上部から下部に向かう方向に沿って四つの供給管152を一つの供給管グループに分けて三つの供給管グループを形成し、互いに隣接した供給管グループ同士の間毎にサブバイパス管154が連結される形態が示されている。
【0060】
図10を参照すると、上部から下部に向かう方向に沿って三つの供給管152を一つの供給管グループに分けて四つの供給管グループを形成し、互いに隣接した供給管グループ同士の間毎にサブバイパス管154が連結される形態が示されている。
【0061】
図11を参照すると、上部から下部に向かう方向に沿って2個の供給管152を一つの供給管グループに分けて六つの供給管グループを形成し、互いに隣接した供給管グループ同士の間毎にサブバイパス管154が連結される形態が示されている。
【0062】
図8~
図11に示された例示は、それぞれの供給管グループが同じ個数の供給管152からなる場合のみを示しているが、本発明はここに限定されず、それぞれの供給管グループに相異なる個数の供給管152が含まれている場合も含まれる。
【0063】
以下、
図13を参照して、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックを説明する。
【0064】
本発明の他の実施形態によるバッテリーパックは、上述した本発明の一実施形態によるバッテリーパック100と比べて、供給管152内にバルブ170が設けられている点で異なるだけで、他の構成要素は実質的に同一である。
【0065】
したがって、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの説明においては、バルブ170について重点的に説明し、上述した実施形態と重なる説明は省略する。
【0066】
バルブ170は、バッテリーモジュール120の個数ほど複数個が備えられ、それぞれのバルブ170は複数のバッテリーモジュール120と隣接して設けられて複数のバッテリーモジュール120に流れ込む冷却水の流れを個別的に許容または遮断する。
【0067】
このように、複数のバルブ170を独立的に動作させるため、センサ160は、それぞれのバッテリーモジュール120毎に少なくとも一つ以上備えられ得る。このようにセンサ160がそれぞれのバッテリーモジュール120毎に備えられる場合、熱暴走現象が発生した一部のバッテリーモジュール120のみに冷却水を投入することが可能になる。
【0068】
すなわち、コントローラ140は、一部のセンサ160から感知信号を受信すれば、感知信号を送出したセンサ160が取り付けられたバッテリーモジュール120で熱暴走現象が発生したと判断し、複数のバルブ170のうち熱暴走現象が発生したバッテリーモジュール120に隣接して設けられたバルブ170を開放して冷却水を投入する。
【0069】
以下、
図6とともに
図14を参照して、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックを説明する。
【0070】
本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーパックは、上述した本発明の他の実施形態によるバッテリーパック100と比べて、供給管152内にバルブ170が設けられる代わりに遮断膜180が設けられている点で異なるだけで、他の構成要素は実質的に同一である。
【0071】
したがって、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの説明においては、遮断膜180について重点的に説明し、上述した実施形態と重なる説明は省略する。
【0072】
遮断膜180は、複数の供給管152の内部にそれぞれ設けられ、バッテリーパック100及びESSの正常な使用状態ではバッテリーモジュール120に冷却水が供給されることを遮断する。遮断膜180は、バッテリーモジュール120の温度が上昇して基準温度以上になったときに破断して、供給管152を通してバッテリーモジュール120の内部に冷却水が供給されるようにする。
【0073】
遮断膜180は、樹脂フィルムからなり得、バッテリーモジュール120に含まれたバッテリーセル121の容量及び個数などを考慮してその厚さ及び具体的な材質が決定され得る。
【0074】
上述したように、本発明によるバッテリーパックは、バッテリーモジュール120に熱暴走現象が発生する場合、バッテリーモジュール120の内部に冷却水を投入することで、熱暴走現象が隣接したバッテリーモジュール120に拡散することを防止することができる。特に、本発明によるバッテリーパックは、バイパス管153を適用することで、複数のバッテリーモジュール120で熱暴走現象が発生した場合、それぞれのバッテリーモジュール120に均等に冷却水を供給でき、これにより水槽130から相対的に遠く離れているバッテリーモジュール120に対する冷却力が弱くならないようにする。また、本発明によるバッテリーパックは、空冷式バッテリーモジュール120に冷却水が投入された場合、冷却水が内部に満たされるように空気入口124及び空気出口125を閉鎖可能な構造を有することで、より効果的に熱暴走現象の拡散を防止することができる。
【0075】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
100 バッテリーパック
110 パックハウジング
120 バッテリーモジュール
121 バッテリーセル
121a 電極リード
122 バスバーフレーム
123 モジュールハウジング
124 空気入口
125 空気出口
126 膨張パッド
130 水槽
140 コントローラ
150 冷却水管
151 メイン管
152 供給管
153 バイパス管
154 サブバイパス管
160 センサ
170 バルブ
180 遮断膜
【国際調査報告】