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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ステント送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/95 20130101AFI20221128BHJP
【FI】
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520379
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 US2020054067
(87)【国際公開番号】W WO2021067804
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,786
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ローガン、ブレイディ スコット
(72)【発明者】
【氏名】ゴードロー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォート、イアン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘビッグ、タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクソン、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン、デレク ケネス
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェイソン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘッテル、ローワン オランド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB14
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB43
4C267CC08
4C267CC21
4C267CC23
4C267GG02
4C267GG21
4C267GG23
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
ステント送達システム、並びにステント送達システムを作製及び使用するための方法が開示されている。ある例のステント送達システム(10)は、近位端領域を有する展開シース(16)と、展開シース(16)に結合されたハンドル(14)と、ハンドルに結合されたロッド(36)であって、遠位端領域、近位端領域、及び遠位端領域から近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、ロッド(36)を展開シース(16)に結合するように構成された結合部材(46)であって、係合部分を有する結合部材(48)とを含み得る。さらに、ロッドの第1のねじ部分は、結合部材の係合部分(48)に係合するように設計され、且つロッドの回転は、ロッド(36)に沿って結合部材を移動させるように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント送達システムであって、
ステント収容領域を有する内側部材と、
前記ステント収容領域に沿って配置されるステントと、
前記内側部材に対して相対的に軸方向に摺動自在な展開シースであって、近位端領域を有する展開シースと、
前記展開シースに結合されたハンドルと、
前記ハンドルに結合されたロッドであって、遠位端領域、近位端領域、及び前記遠位端領域から前記近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、
前記ロッドを前記展開シースに結合するように構成された結合部材であって、係合部分を有する結合部材と
を備え、
前記ロッドの前記第1のねじ部分は、前記結合部材の前記係合部分に係合するように設計されており、
前記ロッドの回転は、前記ロッドに沿って前記結合部材を移動させるように設計されている、ステント送達システム。
【請求項2】
前記結合部材の前記係合部分は第2のねじ部分を含む、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項3】
前記第1のねじ部分は外ねじを含み、且つ前記第2のねじ部分は内ねじを含み、且つ前記外ねじは、前記内ねじと係合するように構成される、請求項2に記載のステント送達システム。
【請求項4】
前記結合部材の前記係合部分は、前記結合部材の外面から半径方向外向きに延びる少なくとも1つの突起を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項5】
前記第1のねじ部分は内ねじを含み、且つ前記結合部材の前記少なくとも1つの突起は、前記内ねじと係合するように構成される、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項6】
前記結合部材は、前記ロッドに沿って前記遠位端領域から前記近位端領域まで移動するように構成されており、且つ前記結合部材の前記移動によって、前記展開シースを近位側に引いて前記ステントを展開させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項7】
前記結合部材は、前記内側部材に対して相対的に移動するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項8】
前記結合部材はアパーチャを含み、且つ前記内側部材は、前記アパーチャ内に延びるように設計されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項9】
前記結合部材はフランジをさらに含み、前記ハンドルは、前記ハンドルの長手方向軸線に沿って延びるチャンネルを含み、且つ前記フランジは、前記チャンネルと係合するように設計されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項10】
前記結合部材は底面を含み、且つ前記底面は、前記ロッドの正中線と概ね整合している、請求項1~9のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項11】
前記ハンドルは、前記ハンドル及び前記ロッドの双方に結合されたサムホイールをさらに備え、且つ前記サムホイールの作動は、前記ロッドを回転させるように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項12】
前記ハンドルは内室を含み、且つ前記ロッド及び前記結合部材の双方は、前記内室内に配置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【請求項13】
ステント収容領域を有する内側部材と、
前記ステント収容領域に沿って配置されるステントと、
前記内側部材に対して相対的に軸方向に摺動自在な展開シースと、
前記展開シースに結合されたハンドルと、
前記ハンドルに結合されたロッドであって、遠位端領域、近位端領域、及び前記遠位端領域から前記近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、
前記ロッドを前記展開シースに結合するように構成された結合部材であって、前記結合部材は、前記ロッドの前記第1のねじ部分に係合するように構成された第2のねじ領域を有し、前記ロッドの回転によって、前記結合部材を、前記展開シースが前記ステントを覆う第1の形態から、前記展開シースが前記ステントを露出させる第2の形態へとシフトさせるように設計されている、結合部材と
を備える、ステント送達システム。
【請求項14】
前記結合部材を前記第1の形態から前記第2の形態へシフトさせることは、前記ロッドに対して相対的に前記結合部材を近位側に引っ込めることを含む、請求項13に記載のステント送達システム。
【請求項15】
前記結合部材はアパーチャを含み、且つ前記内側部材は、前記アパーチャ内に延びるように設計されている、請求項13又は14に記載のステント送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置、及び医療装置の製造方法に関する。より詳細には、本開示は、他の構造に接続されたチューブ状部材を含む、長尺状の体内医療装置(intracorporeal medical devices)、並びにそのような装置を製造及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用に、例えば、脈管内で用いるために、多種多様な体内医療装置が開発されてきている。これらの装置のいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテルなどを含む。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、且つ様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。公知の医療装置及び方法について、それぞれ、いくつかの利点及び不都合な点を有する。代替的な医療装置、並びに医療装置を製造及び使用するための代替的な方法を提供することが継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置の設計、材料、製造方法、及び使用の代替例を提供する。ステント送達システムが開示されている。ステント送達システムは、ステント収容領域を有する内側部材と、ステント収容領域に沿って配置されるステントと、内側部材に対して相対的に軸方向に摺動自在な展開シースであって、近位端領域を有する展開シースと、展開シースに結合されたハンドルと、ハンドルに結合されたロッドであって、遠位端領域、近位端領域、及び遠位端領域から近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、ロッドを展開シースに結合するように構成された結合部材であって、係合部分を有する結合部材とを含む。加えて、ロッドの第1のねじ部分は、結合部材の係合部分に係合するように設計されており、且つロッドの回転は、ロッドに沿って結合部材を移動させるように設計されている。
【0004】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材の係合部分は第2のねじ部分を含む。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、第1のねじ部分は外ねじを含み、且つ第2のねじ部分は内ねじを含み、且つ外ねじは内ねじと係合するように構成される。
【0005】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材の係合部分は、結合部材の外面から半径方向外向きに延びる少なくとも1つの突起を含む。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、第1のねじ部分は内ねじを含み、且つ結合部材の少なくとも1つの突起は内ねじと係合するように構成される。
【0006】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材は、ロッドに沿って遠位端領域から近位端領域まで移動するように構成されており、且つ結合部材の移動によって、展開シースを近位側に引いてステントを展開させる。
【0007】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材は、内側部材に対して相対的に移動するように構成される。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材はアパーチャを含み、且つ内側部材は、アパーチャ内に延びるように設計されている。
【0008】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材はフランジをさらに含み、ハンドルは、ハンドルの長手方向軸線に沿って延びるチャンネルを含み、且つフランジはチャンネルと係合するように設計されている。
【0009】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材は底面を含み、且つ底面は、ロッドの正中線と概ね整合されている。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは、ハンドル及びロッドの双方に結合されたサムホイールをさらに備え、且つサムホイールの作動によって、ロッドを回転させるように構成される。
【0010】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは内室を含み、且つロッド及び結合部材の双方は、内室内に配置されている。
別のステント送達システムは、ステント収容領域を有する内側部材と、ステント収容領域に沿って配置されるステントと、内側部材に対して相対的に軸方向に摺動自在な展開シースと、展開シースに結合されたハンドルと、ハンドルに結合されたロッドであって、遠位端領域、近位端領域、及び遠位端領域から近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、ロッドを展開シースに結合するように構成された結合部材であって、結合部材は、ロッドの第1のねじ部分に係合するように構成された第2のねじ領域を有し、ロッドの回転によって、結合部材を、展開シースがステントを覆う第1の形態から、展開シースがステントを露出する第2の形態へとシフトさせるように設計されている、結合部材とを含む。
【0011】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材を第1の形態から第2の形態へシフトさせることは、ロッドに対して相対的に結合部材を近位側に引っ込めることを含む。
【0012】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材はアパーチャを含み、且つ内側部材は、アパーチャ内に延びるように設計されている。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材はフランジをさらに含み、且つハンドルは、ハンドルの長手方向軸線に沿って延びるチャンネルを含み、且つフランジはチャンネルと係合するように設計されている。
【0013】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、結合部材は底面を含み、且つ底面は、ロッドの正中線と概ね整合されている。
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは、ハンドル及びロッドの双方に結合されたサムホイールをさらに備え、且つサムホイールの作動によって、ロッドを回転させるように構成される。
【0014】
上述の実施形態のいずれかの代わりに又はそれに加えて、ハンドルは内室を含み、且つロッド及び結合部材の双方は、内室内に配置されている。
ステントを展開するための例示的な方法は、ステント送達システムを標的部位へ前進させることを含み、ステント送達システムは、ステント収容領域を有する内側部材と、ステント収容領域に沿って配置されるステントと、内側部材に対して相対的に軸方向に摺動自在な展開シースであって、近位端領域を有する展開シースと、展開シースに結合されたハンドルであって、作動部材を含むハンドルと、ハンドルに結合されたロッドであって、遠位端領域、近位端領域、及び遠位端領域から近位端領域まで延びる第1のねじ部分を有するロッドと、ロッドを展開シースに結合するように構成された結合部材であって、結合部材に沿って配置された係合部分を有する、結合部材とを含み、ロッドの第1のねじ部分は、結合部材の係合部分に係合するように設計されている。方法はまた、作動部材を作動させることを含み、それにより、作動部材の作動によってロッドを回転させ、且つロッドを回転させることによって、結合部材をロッドに沿って移動させ、且つ結合部材を移動させることによって、展開シースを、ステントが覆われている第1の位置から、ステントが露出している第2の位置へとシフトさせる。
【0015】
いくつかの実施形態の上述の概要は、開示の各実施形態又は本開示の全ての実装例を説明するものではない。下記の図面及び詳細な説明は、より詳細に、これらの実施形態を例示する。
【0016】
本開示は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ある例のステント送達システムの側面図である。
図2】ある例のステント送達システムの一部分の透視図である。
図4】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図5】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図6】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図7】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図8】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図9】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図10】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
図11】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図12】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図13】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図14】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
図15】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、様々な修正例及び代替形態に適しているが、その詳細は、図面に例として示され、且つ詳細に説明される。しかしながら、説明される特定の実施形態に本開示を限定するものではないことを理解されるべきである。それどころか、本開示の趣旨及び範囲に入る全ての修正例、等価物、及び代替例を網羅するものとする。
【0019】
下記で定義する用語に関し、これらの定義は、異なる定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所で与えられない限り、適用される。
全ての数値は、本明細書では、明白に示されているか否かに関わらず、用語「約」によって修飾されると考えられる。用語「約」は、一般的に、当業者が、列挙した値と等価である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考える数字の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効桁に丸められた数字を含み得る。
【0020】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含む(例えば1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
本明細書及び特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、複数の指示対象を含む。本明細書及び特許請求の範囲では、用語「又は」は、全体的に、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0021】
本明細書では、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明する実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを指摘することに留意されたい。しかしながら、そのような言及は、必ずしも、全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを意味しない。さらに、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明されるとき、そのような特徴、構造、及び/又は特性はまた、明白に説明されるか否かに関わらず、特段の記載が明白にない限り、他の実施形態に関連して使用され得ることが理解されるべきである。
【0022】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面では、異なる図面において、同様の要素に同じ符号が付されている。必ずしも縮尺通りではない図面は、説明に役立つ実施形態を示しており、且つ本開示の範囲を限定するものではない。
【0023】
図1は、ある例のステント送達システム10を示している。システム10は、長尺状シャフト12と、シャフト12に結合されたハンドル14とを含み得る。シャフト12は、内側シャフト又はライナー(図1には示さず、図2に示す)、展開シース16、及び外側シャフト18を含み得る。概して、システム10は、患者の体管腔内の対象領域へステント、グラフト、体内補綴物などを送達するために使用され得る。体管腔は、心臓の近くに(例えば、心臓血管内に又はその近くに)、末梢血管内に、神経学的血管(neurological vessel)内に、又は任意の他の好適な箇所に位置する血管とし得る。ステントの展開は、ステントを送達している最中にステントの上に重なるか又は他の方法でステントを覆うように設計された展開シース16を近位側へ引っ込ませることを含み得る。展開シース16を引っ込ませることは、一般的にハンドル14に配置されている作動部材20の作動を含み得る。図1に示す例では、作動部材20は、展開シース16の近位側への引っ込みを成し遂げるために、臨床医によって回転され得るサムホイールである。多数の他の作動部材が考えられる。
【0024】
システム10の他の特徴のいくつかが図2に示されている。例えば、システム10は内側部材22を含み得る。内側部材22は、ガイドワイヤルーメンを画成し得、且つステント28が配置され得るステント収容領域24を含み得る。少なくともいくつかの場合には、ステント28は、自己拡張型ステントであり、且つニッケル-チタン合金などの好適な材料から作製され得る。遠位チップ26が、内側部材22の遠位端に取り付けられ得るか又は他の方法で配置され得る。遠位チップ26は、一般的に、システム10に全体的に非外傷性の遠位端を提供する、丸みを帯びた又は滑らかな形状を有し得る。バンパーシャフト又は部材30が内側部材22の周りに配置され得る。バンパーシャフト30はバンパー領域32を含み得る。概して、バンパー領域32は、ステント28を展開する最中の、近位バンパーの機能を果たし得る。図2には、展開シース16が拡大遠位セクション34を含み得ることも示されている。場合によっては、システム10は、米国特許第8,784,468号明細書、同第9,084,692号明細書、及び同第9,220,619号明細書(その開示全体を参照することにより本書に援用する)に開示するシステムの特徴を含み得る。
【0025】
ステント送達システムは、一般に、ガイドワイヤ(例えば、一般に、ガイドワイヤの上側に被さって通されるシステム)と一緒に使用される。臨床医が、システムに対する(例えば、ハンドルに対する)ガイドワイヤの位置を維持することが望ましいとし得る。例えばハンドルに隣接する箇所でガイドワイヤがキンクしてしまう可能性を低下させることも望ましいとし得る。本明細書で開示するシステムは、臨床医が、ハンドルに対するガイドワイヤの位置を維持し、ハンドルに隣接するガイドワイヤのキンクの可能性を低下させることなどができるように設計される。他の特徴も考えられる。
【0026】
図3に示すように、展開シース16は、結合部材46を介してねじロッド36に結合され得る(下記で詳細に説明される)。例えば、展開シース16の近位端は、結合部材46に結合され得る(例えば、固定して取り付けられる)。さらに、結合部材46は、ねじロッド36の外ねじに係合する係合部分(例えば、内ねじ)を含み得、それにより、展開シース16をねじロッド36に係合する。
【0027】
さらに、図3は、システム10が、内側シャフト23(例えば、ハイポチューブ(hypotube))をさらに含み得ることを示す。内側シャフト23は、展開シース16のルーメン及び結合部材46のアパーチャの双方内に延び得る。例えば、下記で詳細に説明するように、内側シャフト23は、結合部材46に隣接する位置において、展開シース16のルーメンから出て、それにより、内側部材は、その後、結合部材46のアパーチャ(下記で説明する)を通過し、且つハンドル14の近位端領域42まで延びる。さらに、いくつかの例では、内側シャフト23は内側部材22に取り付けられ得る。しかしながら、さらに他の例では、内側シャフト23及び内側部材22は、モノリシックな構成要素とし得る。換言すると、いくつかの例では、内側シャフト23及び内側部材22は、それぞれ、ハイポチューブに取り付けられたシャフトを含み得る。しかしながら、他の例では、内側シャフト23及び内側部材22は、単一のモノリシックなチューブ状構成要素とし得る。
【0028】
上述の通り、ねじロッド36は、ロッドの第1の端領域38からロッドの第2の端領域40までらせん状に延びる外ねじを含み得る。概して、ねじロッド36は、ねじロッド36がハンドル14内に留まりつつ回転することをハンドル14が許容するように(例えば、初期すなわち第1の形態においても、ステント28を展開するために展開シース16が引っ込められた形態を含む他の形態においても、ハンドル14から出ないようにした状態で)、ハンドル14内に配置され得る。この配置構成は、(例えば、且つハンドル14の近位端42から出て)システム10を通って延びるガイドワイヤへのアクセスをより簡単にし、且つ臨床医が、システム10に対するガイドワイヤの位置を維持し、且つガイドワイヤのキンクを低下させる/回避することを可能にし得る。
【0029】
いくつかの例では、ねじロッド36の回転は、展開シース16の動きを生じ得る(例えば、この動きは、展開シース16の近位側への引っ込み及び/又はステント28の展開を含み得る)。具体的には、ねじロッド36の回転によって、結合部材46を遠位側から近位側への方向に(結合部材46の内ねじとのロッド36の外ねじのかみ合いによって)移動させ得る。さらに、展開シース16は結合部材46に取り付けられているため、結合部材46の遠位側から近位側への移動は、展開シース16を遠位側から近位側への方向に「引き」得る。さらに、ねじロッド36を回転させる(及び上述の通り展開シース16を近位側に引っ込める)ために、ねじロッド36の外ねじは、作動部材20(例えば、サムホイール)に結合された歯車44にかみ合い得る。従って、作動部材20の回転によって、結合部材46の近位側への引っ込み、及び展開シース16の近位側への引っ込みを生じ得る。
【0030】
図3は、ハンドル14が、第1のハンドル部材14A及び第2のハンドル部材14Bをさらに含み得ることを示している。第1のハンドル部材14Aは、第2のハンドル部材14Bと対となるように接合され(mate)て、ハンドル14を形成するように設計され得ることが認識され得る。換言すると、第1のハンドル部材14Aは、クラムシェル形態で第2のハンドル部材14Bと組み合わせて(例えば、かみ合って)、ハンドル14を形成し得る。
【0031】
図3から、ハンドル14は、医療装置システム10の様々な構成要素を収納する内室を含み得ることがさらに認識され得る。例えば、第1のハンドル部材14Aが第2のハンドル部材14Bと組み合わせられると、ねじロッド46及び結合部材46は、ハンドル14の内室内に位置決めされ得る。さらに、上記の説明から、ねじロッド36の回転、及びねじロッドに沿った結合部材46の移動は、完全に、ハンドル14の内室内で発生し得ることが認識され得る。
【0032】
図4図6は、上述したような、ねじロッド36に沿った結合部材46の遠位側から近位側への移動を示す断面図を示す。例えば、図4は、ねじロッド36の遠位端領域38に隣接して位置決めされた結合部材46を示す。さらに、図4は、シャフト12の内側ルーメンを通って延びる展開シース16であって、それにより、展開シース16の近位端が結合部材46に取り付けられる展開シースを示す(展開シース16の一部分は図4では見えず、これは、図面では、ねじロッド36の「背後」に位置決めされているためであることに留意されたい)。
【0033】
図4は、展開シースがステントを覆っている第1の形態に展開シース16があるとき(上述の通り)、結合部材46が歯車44(これは、上述の通り作動部材20に係合されている)の遠位側に位置決めされ得ることをさらに示す。下記で説明するように、作動部材20が作動される(例えば、サムホイール20が回転される)と、歯車44はねじロッド36を回転させる。さらに、ねじロッド36の回転によって、結合部材46を遠位側から近位側への方向へ移動させ、それにより、結合部材46は、ねじロッド36の近位端領域40の方へ移動し得る。
【0034】
図5は、結合部材46がねじロッド36に沿って遠位側から近位側への方向に移動された後の、図4に示すシステム10を示す。具体的には、図5は、結合部材46が歯車44(作動部材20とかみ合わされている)に隣接して位置決めされるように、遠位側から近位側への方向に移動された結合部材46を示す。換言すると、図5から、臨床医が作動部材20を作動させる(例えば、サムホイール20を回転させる)と、歯車44(作動部材20にかみ合っている)がねじロッド36にかみ合い且つそれを回転させることが認識され得る。さらに、ねじロッド36の回転によって、ねじロッド36の遠位端領域38に隣接する位置から、ねじロッド36の近位端領域40の方へ向かって結合部材46を移動させ得る。さらに、上述の通り、結合部材46の遠位側から近位側への移動によって、展開シース16を遠位側から近位側への方向に引いて、ステントを部分的に露出させ得る(例えば、部分的に展開する)(図4のように、展開シース16の一部分は図5では見えず、これは、図面では、ねじロッド36の「背後」に位置決めされているためであることに留意されたい)。
【0035】
図6は、結合部材46がねじロッド36に沿って遠位側から近位側への方向へさらに移動された後の、図4図5に示すシステム10を示す。具体的には、図6は、結合部材46が歯車44(作動部材20とかみ合わされている)の近位側に位置決めされるように、遠位側から近位側への方向へ移動された結合部材46を示す。換言すると、図6から、臨床医が、作動部材20をさらに作動させると(図5と比べて)、歯車44(作動部材20とかみ合わされている)がねじロッド36とかみ合い且つそれを回転させることが認識され得る。さらに、ねじロッド36の回転によって、結合部材46を、歯車44に隣接する位置から、ねじロッド36の近位端領域40の方へさらに向かって移動させ得る。さらに上述の通り、結合部材46の遠位側から近位側への移動は、展開シース16を遠位側から近位側への方向へ引いて、ステントを完全に露出させ得る(例えば、完全に展開する)(図4図5のように、展開シース16の一部分は図6では見えず、これは、図面では、ねじロッド36の「背後」に位置決めされているためであることに留意されたい)。
【0036】
図7は、図3図6に関して上記で説明した結合部材46の斜視図を示す。図7に示すように、結合部材46は係合部分48を含み得る。係合部分48は、結合部材46の底面56から延びる1つ以上の内ねじ50を含み得る。上述の通り、内ねじ50は、ねじロッド36の外ねじと係合するように設計され得る。
【0037】
図7は、結合部材46がさらにアパーチャ52をさらに含み得ることを示す。アパーチャ52は、結合部材46の全長「L」を貫通し得る。上述の通り、アパーチャ52は、内側シャフト23がそこを通って延び得るように、設計され得る。換言すると、アパーチャ52の直径は、内側シャフト23の外径よりも大きくなるようなサイズにされ得る。
【0038】
さらに、いくつかの例では、アパーチャ52は、展開シース16の近位端の一部分をその内部に位置決めできるようなサイズにされ得る。展開シース16の近位端は、様々な方法で結合部材46に固定して取り付けられ得る。例えば、展開シース16の近位端は、結合部材46に接着接合され得る。さらに、展開シース16の近位端は、結合部材との干渉ロック(interference lock)を生じ得る1つ以上の追加的な構成要素を使用して結合部材46に固定して取り付けられ得ることが認識され得る。結合部材46に展開シース16の近位端を取り付ける例示的な方法論が、米国特許出願第[XXXX]号明細書に開示されており、その全体を参照することにより援用する。
【0039】
図7は、結合部材46が結合部材46の表面から突出するフランジ54をさらに含み得ることをさらに示す。下記で詳細に説明するように、フランジ54は、結合部材46をハンドル14及び医療システム10の追加的な構成要素に対して特定の配置構成で方向を定めて配置する(orient)ために用いられ得る。
【0040】
図8は、アパーチャ52、かみ合い領域48(内ねじ50を含む)及びフランジ54を含む、結合部材46の前面図を示す。さらに、図8の前面図は、かみ合い領域48が半月形状に似るように設計され得ることを示す。かみ合い領域48の半月形状は、結合部材46がねじロッド36とかみ合わされるときに、結合部材46の底面がねじロッド36の正中線と概ね整合するように設計され得る。図8及び上記の説明から、ねじロッド36を部分的にのみ取り囲むようにかみ合い領域48を設計することによって、結合部材46が、ねじロッド36に沿って移動するときに、歯車44(又はシステム10の他の構成要素)の上方を通過することができるようにし得ることが認識され得る。
【0041】
図9は、第2のハンドル部材14Bに隣接して位置決めされた結合部材46の前面図を示す(第2のハンドル部材14Bは、図9では断面図で示されている)。上述の通り、場合によっては、フランジ54を、第2のハンドル部材14Bの壁内に形成されたチャンネル56内に位置決めすることが望ましいとし得る。チャンネル56内へのフランジ54の位置決めによって、結合部材46を、図9に示す位置に方向を定めて配置することが認識され得る。換言すると、チャンネル56内にフランジ54を配置することによって、結合部材36を適所に維持し、それにより、上述の通り、かみ合い領域48はねじロッド36のねじ山と係合する。チャンネル56は、第2のハンドル部材14Bの全長に沿って延びてもよいことがさらに認識され得る。しかしながら、これは限定を意図するものではない。むしろ、チャンネル56は、第2のハンドル部材14Bの一部分に沿ってのみ延びてもよいことがさらに認識され得る。
【0042】
図10は、別の例のステント送達システム110を示す。システム110は、形及び機能が、上述のステント送達システム10と同様とし得る。例えば、システム110は、第1のハンドル部材114A内に配置された作動部材120を含み得る。さらに、第2のハンドル部材114Bが第1のハンドル部材114Aと結合されて、ハンドル114を形成し得る。図10は、ステント送達システム110がさらに内ねじロッド136をさらに含み得ることを示す。内ねじロッド136は、複数の受容体160(作動部材120に沿って配置されている)との複数の突起158(内ねじロッド136の外面から半径方向に離れるように延びる)のかみ合いによって、作動部材120に結合され得る。
【0043】
下記で詳細に説明するように、内ねじロッド136は、内ねじロッド136の遠位端領域138から内ねじロッド136の近位端領域140まで延び得る、内部雌型ねじ部分を含み得る。さらに、結合部材162(図10には示されていないが、図11では見える)が、内ねじロッド136内に配置され得る。結合部材162は、シャトルの外面から半径方向に離れるように延びる複数の突起166(図10には示されていないが、図11では見える)を含み得る。突起166は、内ねじロッド136の内ねじとかみ合い得る。従って、内ねじロッド136の回転(作動部材120の作動による)によって、シャトル162を内ねじロッド136に沿って移動させ得る。
【0044】
上述のシステム10と同様に、図10は、システム110が、ハンドル114に結合されたシャフト112を含み得ることを示す。シャフト112は、形及び機能が上述のシャフト12と同様とし得る。さらに、図10では見えないが(しかし、図11では見える)、シャフト112は、その内部に延びるルーメンを含み得、そこを通って、展開シース116(図11に示す)が延び得る。展開シース116は、形及び機能が、上述の展開シース16と同様とし得る。さらに、図10は、システム110が、内ねじロッド136、展開シース116及び/又はシャフト112を通って延びる内側シャフト123(例えば、ハイポチューブ)を含み得ることを示す。
【0045】
図11は、例示的なステントシステム110の部分断面図を示す。具体的には、図11は、内ねじロッド136の部分断面を示す。さらに、図11の詳細な図は、内ねじロッド136内に配置された結合部材162を示す。図11は、内ねじ(internal (female) thread)164内に配置された、外向きに延びる突起166をさらに示す。図11から、内ねじロッド136が回転するとき、内ねじ164が結合部材162の突起166にかみ合っているため、結合部材162は移動され得ることが認識され得る。
【0046】
図11の詳細な図は、結合部材116の遠位端に取り付けられた展開シース116をさらに示す。加えて、図11の詳細な図は、展開シース116のルーメン内に延びる内側シャフト123をさらに示す。さらに、図11の詳細な図は、内側シャフト123が、結合部材162内に位置するアパーチャ170を通って延び得ること(図12により明白に示す)をさらに示す。内側シャフト123は、アパーチャ170を通って延び且つハンドル114の近位端領域に取り付けられ得る。
【0047】
図11は、システム110が、内ねじロッド136の遠位端領域138から内ねじロッド136の近位端領域140まで延びる方向決めロッド174を含み得ることをさらに示す。方向決めロッド174の断面形状(例えば、輪郭)は、四角形とし得る(図12は、四角形のプロファイルを有する方向決めロッド用の開口172を示す)が、これは限定を意図するものではない。むしろ、断面形状は、長方形、卵子形(ovular)、三角形、多角形、又は任意の他の好適な幾何学的形状とし得る。
【0048】
方向決めロッド174の位置決めによって、結合部材162を、図11に示す位置に方向を定めて配置することが認識され得る。換言すると、方向決めロッド174は、上述の通り内ねじロッド136に沿って移動するときに、結合部材162が回転する能力を制限し得る。方向決めロッド174は、ハンドル部材114の全長に沿って延びてもよいことがさらに認識され得る。しかしながら、これは限定を意図するものではない。むしろ、方向決めロッド174は、第2のハンドル部材114の一部分に沿ってのみ延びてもよいことがさらに認識され得る。
【0049】
図12は、結合部材162の斜視図を示す。上述の通り、図12は、結合部材162の外面168から離れるように延びる2つの突起166をさらに示す。図12は、外面168から離れるように延びる2つの突起166を示すが、限定を意図するものではない。むしろ、結合部材162は、2個、3個、4個、5個、6個又はそれを上回る突起を含んでもよいことが認識され得る。
【0050】
図12は、アパーチャ170(そこを通って展開シース及び/又は内側部材が延び得る)、及び方向決めロッドが延び得る開口172をさらに示す。上述の通り、方向決めロッド174は、四角形の断面形状を有し得る。
【0051】
図13は、図11の線13-13に沿って取ったシステム110の断面である。図13は、内ねじロッド136内に位置決めされた結合部材162を示す。さらに、図13は、ロッド136の外面から離れるように延びる突起158を示す。さらに、図13は、アパーチャ170を通って延びる展開シース116及び内側部材122を示す。図13はまた、内ねじ164内に位置決めされた突起166、及び結合部材162内に延びる方向決めロッド174(上述の通り四角形である)を示す。
【0052】
上述の例は、シャフト(例えば、システム10内の展開シース16)が遠位側から近位側への方向へ引っ込められて、その遠位端から近位端へステントを露出し且つ展開するステント送達システムを示すが、他の展開形態が考えられる。例えば、上述の機構のうちの1つ以上が、近位側から遠位側へステントを展開するために用いられ得る。換言すると、上述の機構のうちの1つ以上は、展開シースを近位側から遠位側への方向に前進させるために用いられ得、それにより、ステントをその近位端からその遠位端まで展開させる。ステントがその近位端からその遠位端まで展開されるステント送達システムの例は、米国特許出願公開第2016/0128857号明細書に開示されており、その全体を参照することにより援用する。
【0053】
その目的で、図14は、別の例示的なステントシステム210を示す。ステントシステム210は、結合部材246(図6の結合部材46と同様)がねじロッド236(図6のねじロッド36と同様)の近位端領域240に沿って位置決めされるハンドルシステム(図6に示すハンドルシステムと同様)を示す。ねじロッド236は、作動部材220(作動部材20と同様)を作動させることによって回転され得、それにより、作動部材220は、歯車244を介してねじロッド236に結合されることが認識され得る。図15に示すように、作動部材220を介したねじロッド236の回転によって、結合部材246を近位側から遠位側への方向に、ねじロッド236の近位端領域240から遠位端領域238の方へ向かって移動させ得る。
【0054】
図14は、システム210が、先端部材213に当接する任意の外側シース212を含み得ることをさらに示す。シース212の遠位端が先端部材213の近位端に当接する箇所は、図14において参照符号217で示されている。さらに、図14に示すように、先端部材213は、拡張性ステント215を覆うように構成され得る。さらに、図14は、シース212のルーメンを通って延び得る展開シャフト216を示す。展開シース216の遠位端は先端部材213に結合され得、且つ展開シース216の近位端は結合部材246に結合され得る。
【0055】
図15は、ねじロッド236が回転するように作動部材220が作動され、且つ結合部材246がねじロッド236の近位端領域240から遠位端領域236の方へ向かって移動された後の、システム210を示す。上述の説明から認識され得るように、結合部材246は、ねじロッド236近位端領域240から遠位端領域238の方へ向かって移動するときに、歯車244の上方を真っすぐに通過し得る。
【0056】
さらに、図15は、結合部材246の近位側から遠位側への移動によって、展開シャフト216を近位側から遠位側への方向にシフトさせ得ることを示す。さらに、展開シャフト216の近位側から遠位側への移動によって、矢印219によって示すように、先端部材213を近位側から遠位側への方向に移動させ得る。先端部材213の近位側から遠位側への移動によって、最初に、ステント215の近位端を露出させて展開し、それに続いて、近位側から遠位側への方向にステント215を漸進的に展開し得る。
【0057】
システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の様々な構成要素に使用され得る材料は、医療装置に一般に関連付けられるものを含み得る。しかしながら、説明は、本明細書で開示する他の構成要素、装置、又はシステムにも当てはまり得るため、これは、本明細書で説明する装置及び方法に限定されるものではない。
【0058】
システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を下記で開示する)、金属-ポリマー複合材、セラミックス、これらの組み合わせなど、又は他の好適な材料から作製され得る。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル(polyether block ester)、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A(Polyurethane 85A))、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングマテリアルズ(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル若しくはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標))、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)、又はエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーのポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で市販されている)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えばレクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(poly paraphenylene terephthalamide)(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えばEMSアメリカン・グリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などを含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドされ得る。例えば、混合物は、LCPを約6パーセントまで含有し得る。
【0059】
好適な金属及び金属合金のいくつかの例は、ステンレス鋼、例えば304V、304L、及び316LVのステンレス鋼;軟鋼;ニッケル-チタン合金、例えば線形弾性及び/又は超弾性のニチノール(nitinol);他のニッケル合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばインコネル(INCONEL)(登録商標)625、UNS:N06022、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)、UNS:N10276、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えばモネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイB2(ALLOY B2)(登録商標))、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など);白金富化ステンレス鋼(platinum enriched stainless steel);チタン;これらの組み合わせ;他;又は任意の他の好適な材料を含む。
【0060】
少なくともいくつかの実施形態では、システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素の複数の部分又は全てはまた、放射線不透過性材料をドープされ得る、それで作製され得る、又はそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に、X線透視検査スクリーン上に又は別の撮像技術で比較的明るい画像を生じることができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素のユーザが、その位置を判断するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定されるものではないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が入っているポリマー材料などを含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルがまた、システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素の設計に組み込まれて、同じ結果を達成し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)の互換性が、システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)に与えられる。例えば、システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素は、画像を実質的に歪ませたり、実質的なアーチファクト(例えば、画像内の間隙)を生じさせたりしない材料で作製され得る。いくつかの強磁性材料は、例えば、MRI画像にアーチファクトを生じさせ得るため、好適ではないかもしれない。システム10(及び/又は本明細書で開示する他のシステム)の構成要素、又はそれらの部分はまた、MRI機械が撮像できる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニチノールなど、及び他のものを含む。
【0062】
本開示は、多くの点で、説明にすぎないことを理解すべきである。本発明の範囲を超えることなく、詳細において、特に、形状、サイズ、及びステップの配置に関して、変更がなされ得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態において使用されている例示的な一実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲で表される言葉で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
前記結合部材は底面を含み、且つ前記底面は、前記ロッドの正中線と整合している、請求項1~9のいずれか1項に記載のステント送達システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図1】ある例のステント送達システムの側面図である。
図2】ある例のステント送達システムの一部分の透視図である。
図3ある例のステント送達システムの分解斜視図である。
図4】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図5】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図6】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図7】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図8】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図9】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図10】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
図11】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図12】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図13】ある例のステント送達システムの一部分を示す。
図14】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
図15】別の例のステント送達システムの一部分を示す。
【国際調査報告】