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特表2022-550844プラズマジェット機器構成を作動するためのシステム及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】プラズマジェット機器構成を作動するためのシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/30 20060101AFI20221128BHJP
   A61N 1/44 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H05H1/30
A61N1/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520396
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020077857
(87)【国際公開番号】W WO2021064242
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】19201495.9
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20161148.0
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517124837
【氏名又は名称】ライプニッツ-インスティトゥート ファー プラズマフォルシュング ウント テクノロジー イー ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(74)【代理人】
【識別番号】100181906
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 一乃
(72)【発明者】
【氏名】コールズ,レイク
(72)【発明者】
【氏名】ウェルトマン,クラウス-ディーター
(72)【発明者】
【氏名】トルスキー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】レンブケ,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ガーリング,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラデル ショルテン,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ステファン
【テーマコード(参考)】
2G084
4C053
【Fターム(参考)】
2G084AA24
2G084BB22
2G084BB37
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD25
2G084FF02
2G084FF12
2G084FF13
2G084FF23
2G084GG02
2G084GG07
2G084GG08
2G084GG30
2G084HH02
2G084HH09
2G084HH36
2G084HH56
4C053MM02
4C053MM05
(57)【要約】
本発明は、非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステム(1)に関するものであり、前記システム(1)は:- 作動ガスが第1の開口部(12)を介して導入可能である放電空間(10)であって、プラズマ(5)が放電空間(10)において発生可能であり、放電空間(10)は、プラズマ(5、6)が第2の開口部(14)を介して放電空間(10)から排出されることが可能であるように第2の開口部(14)を有する前記放電空間(10)と、 - 放電空間(10)にプラズマ(5)を発生させるために電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極(20)とを備える。第2の開口部(14)を通って排出されるプラズマ(5、6)は、システム(1)の流量コントローラ(40)によって制御され、この流量コントローラは、作動ガス源(50)から放電空間(10)へ第1の開口部(12)を通る作動ガスの体積流量(60)を設定するように形成されている。この場合、流量コントローラ(40)は、少なくとも第1の状態及び第2の状態を採用するようにさらに形成され、第1の状態では、作動ガス源(50)から放電空間(10)に作動ガスが供給されず、その結果、放電空間(10)に電磁場が発生しても第2の開口部(14)からプラズマ(5)が排出されないようになる。第2の状態では、作動ガス源(50)から放電空間(10)に作動ガスが供給され、放電空間(10)にプラズマ(5)が発生し、プラズマ(5、6)が第2の開口部(14)から排出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 作動ガスが第1の開口部(12)を通って導入可能である放電空間(10)であり、プラズマ(5)が放電空間(10)において発生可能であり、放電空間(10)は、プラズマ(5、6)が第2の開口部(14)を通って放電空間(10)から排出されることが可能であるように、第2の開口部(14)を有する、前記放電空間(10)と、
- 放電空間(10)内にプラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極(20)と、
を備える、非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)であって、
第2の開口部(14)を通って排出されるプラズマ(5、6)が、システム(1)の流量コントローラ(40)によって制御され、流量コントローラ(40)は、作動ガス源(50)から放電空間(10)へ第1の開口部(12)を通る作動ガスの体積流量(60)を設定するように形成され、ここで、流量コントローラ(40)は、少なくとも第1の状態及び第2の状態を採用するようにさらに形成され、第1の状態においては、作動ガス源(50)から放電空間(10)に作動ガスは供給されず、その結果、放電空間(10)において電磁波が発生しても、第2の開口部(14)からプラズマ(5)は排出されず、第2の状態においては、作動ガスは作動ガス源(50)から放電空間(10)に供給され、プラズマ(5)は放電空間(10)で発生し、プラズマ(5、6)は第2の開口部(14)から排出されることを特徴とする、
前記非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項2】
前記システム(1)は、少なくとも1つの接地電極(22)を有し、ここで少なくとも1つの高電圧電極(20)と、少なくとも1つの接地電極(22)とは、放電空間(10)において、プラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるために形成されることを特徴とする、請求項1に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項3】
前記システム(1)は、プラズマ(5)の調節を、作動ガスの体積流量(60)の対応する調節によって、特に独占的に作動ガスの体積流量(60)の対応する調節によって、かつ特に電磁場の調節によってではなく、達成するように構成され、特に前記システム(1)は、放電空間(10)に連続的な電磁場のみを発生させるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項4】
前記システム(1)は、流量コントローラー(40)を第1の状態から第2の状態に移行するように形成され、その結果、放電空間(10)において電磁場が発生する際に、プラズマ(5)が放電空間(10)において発生し、かつ第2の開口部(14)を通じて放電空間(10)から排出されるようになり、及び/又は、流量コントローラー(40)を第2の状態から第1の状態へ変更するように形成され、その結果、放電空間(10)において電磁場が発生する際に、放電空間(10)からプラズマ(5)が排出されないようになることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項5】
流量コントローラー(40)は、少なくとも第1の状態又は第2の状態を採用するように形成された能動アクチュエータ又は受動アクチュエータを有し、受動アクチュエータは、第1の状態から第2の状態へ移行させることが可能であり、特に作動ガスの体積流量(60)によって移行させることが可能であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項6】
前記システム(1)は、流量コントローラー(40)を制御するように形成された自動制御ユニット(70)を有し、その結果、自動制御ユニット(70)によって、流量コントローラー(40)は第1の状態及び第2の状態に自動的に設定可能であり、自動制御ユニット(70)は、作動ガスが放電空間(10)に導入される期間が設定可能であるように、流量コントローラー(40)を選択した期間だけ第2の状態に移行させるようにさらに形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項7】
前記システム(1)は、さらなるガスと作動ガスを混合し、その結果、得られたガスの混合物が放電空間(10)に導入可能なように形成される混合装置(54)を有し、特に、流量コントローラ(40)が混合装置(54)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項8】
前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)を有し、各放電空間(10、10a、10b、10c)は、作動ガスが各放電空間(10、10a、10b、10c)に導入可能な、それぞれの第1の開口部(12、12a、12b、12c)を有し、各放電空間(10、10a、10b、10c)は、プラズマがそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)から排出されることが可能な割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)を有し、さらに各放電空間(10、10a、10b、10c)には、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)にプラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極(20、20a、20b、20c)が割り当てられ、その結果、各放電空間(10、10a、10b、10c)において、他の放電空間(10、10a、10b、10c)とは独立して、プラズマ(5)が発生可能であり、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)を通って排出されるプラズマ(5、6)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)に割り当てられたシステム(1)の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)により制御され、各流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、作動ガス源(50、50a、50b)からそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの第1の開口部(12、12a、12b、12c)を通る作動ガスの体積流量(60)を制御するように形成され、それぞれの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は少なくとも第1の状態と第2の状態とを採用するようにさらに形成されており、第1の状態では、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスが、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に供給されず、その結果、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)では、プラズマがそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)において発生しても、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)からプラズマは排出されず、第2の状態において、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスがそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に供給されて、そこでプラズマ(5)が発生し、プラズマ(5、6)が、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)から排出される、請求項1~7のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの接地電極(22、22a、22b、22c)が各放電空間(10、10a、10b、10c)に割り当てられ、プラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極(20、20a、20b、20c)及び少なくとも1つの接地電極(22、22a、22b、22c)が、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項10】
前記システム(1)は、プラズマ(5)が選択された放電空間(10、10a、10b、10c)のみにおいて発生し、そして選択された放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)のみから排出されるように、流量コントローラ(40、40a、40b、40c)が、独立して、少なくとも第1の状態又は第2の状態を採用できるように、システム(1)の複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を独立して制御するように形成される自動制御システム(72)を備えることを特徴とする、請求項8又は9に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項11】
自動制御システム(72)は、システム(1)の複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を互いに独立して制御するように形成され、その結果、複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の期間に第2の状態を採用し、かつ複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの他の全ての流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の状態を採用し、第1の期間の後に、複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの前記流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の状態を採用し、ここで複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの別の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第2の期間に第2の状態を採用し、ここで第1の期間と第2の期間とは連続しているか、又は一時的に重複していることを特徴とする、請求項10に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項12】
前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)が、共通の作動ガス源(50)に接続可能又は接続されるように形成されているか、又は前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の少なくとも1つの放電空間(10、10a、10b、10c)が、それ自体の作動ガス源(50a、50b)に接続可能又は接続されるように形成されていることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項13】
複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)は、同じ方向(R)を向いているか、又は複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)は、中心領域(Z)を向くように配置されるか、又は配置できることを特徴とする、請求項8~12のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)を通る体積流量(60)が連続的かつ個別に設定可能であるように連続的に制御可能であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)が比例弁であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項16】
前記システム(1)は、流量コントローラ(40、40a、40b、40c)によって、各放電空間(10、10a、10b、10c)における作動ガスの体積流量(60)を調節するように構成されており、体積流量(60)の調節が2つを超える調節状態を備え、特に体積流量(60)の調節が連続して設定できることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項17】
体積流量(60)がそれぞれの時間分解能で調節できるように、各流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、0.1ミリ秒~1秒の間の制御時間を有するように構成されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項18】
前記システム(1)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)に対して、プラズマパラメータを検出し、かつプラズマパラメータを示すセンサ信号を出力するように構成された少なくとも1つの関連するセンサを有し、ここで前記システムは、それぞれ割り当てられた放電空間(10、10a、10b、10c)に対して達成されるべきプラズマパラメータが体積流量の調節によって設定されるように、少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)をセンサ信号に基づいて制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項19】
前記システム(1)は、放電空間(10、10a、10b、10c)ごとに厳密に1つの高電圧電極と、2つ以下の接地電極とを有することを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項20】
前記システム(1)は、第1の開口部を介して供給される作動ガスにおいて、容量結合型、誘導結合型、及び/又はマイクロ波誘導型のプラズマを発生するように構成されることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項21】
それぞれの放電空間が、厳密に2つの開口部の、第1の開口部と第2の開口部とを有することを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項22】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム(1)を利用して、非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するための方法であって、以下の工程:
- 放電空間(10)内に電磁場を発生させる工程、
- 流量コントローラ(40)を第1の状態又は第2の状態に設定する工程であり、第1の状態では作動ガス源(50)から放電空間(10)に作動ガスは供給されず、その結果、放電空間(10)に電磁場が発生しても、放電空間(10)においてプラズマ(5)が放電空間(10)から排出されず、第2の状態では作動ガス源(50)から放電空間(10)に作動ガスが供給され、放電空間(10)にプラズマが発生し、プラズマ(5、6)が第2の開口部(14)から排出される、前記工程、
を有する前記方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、特に、請求項8~21のいずれか一項に記載のシステム(1)を使用する非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するための方法であって、以下の工程:
- 複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)内に電磁場を発生させる工程、
- 複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のそれぞれの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を第1の状態又は第2の状態に設定する工程であり、第1の状態においては、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスは、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)へ供給されず、その結果、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)では、電磁場が複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)に発生しても、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)からプラズマは排出されず、かつ第2の状態においては、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスは、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)へ供給され、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)でプラズマ(5)が発生し、プラズマ(5、6)が割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)から排出される、前記工程、
を含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非熱的大気圧プラズマは、とりわけ医療目的のために使用される。この応用分野は、「プラズマ医療」としても知られる。
【0003】
非熱的大気圧プラズマはまた、本願では、以下、プラズマとも呼ぶ。
【0004】
プラズマは、自由電子、ラジカル、イオン、及び中性粒子をある割合含んだ気体であると理解されている。作動ガスの種類に応じて、プラズマによって反応種、例えばオゾン(O)のような活性酸素が発生する。反応種は、抗菌効果を有する。そのため、プラズマによる治療は、創傷治癒に役立てることができる。
【0005】
プラズマは、例えば、プラズマジェット装置において発生可能である。この場合、電磁場中の放電空間においてプラズマが発生可能であり、このプラズマは、ガス流量により、装置、特に放電空間の外部にプラズマジェットの形態で輸送される。
【0006】
プラズマジェット装置は、先行技術で記載されている(Winter,J.,Brandenburg,R.,及びWeltermann,K.-D.(2015),”Atmospheric pressure plasma jets:an overview of devices and new directions”,Plasma Sources Sci.Technol.,24,064001)。このような装置は、特に小さい領域の治療に適している。
【0007】
プラズマ又はプラズマジェット装置のプラズマジェットの制御は、それぞれ印加された電磁場の電気的又は電子的制御を介して行われる。例えば、電磁場は、電気的又は電子的制御によって停止され、その結果、放電空間においてこれ以上プラズマが発生されず、したがって、プラズマがプラズマジェットとして放電空間から排出されないようになる。新たな電磁場を発生させることで、再びプラズマジェットを発生させることができる。
【0008】
個々のプラズマジェット装置は、集束したプラズマジェットを放射し、それ故スポット的な治療を提供するため、火傷患者の創傷治療などより広い領域を治療する場合はこれらの適用は不十分である。
【0009】
広い領域のプラズマ治療を可能にするために、先行技術において様々な解決策が開示されている。米国特許出願公開第2009/0188626号(A1)は、複数の電極が共通の誘電容器内に配置される装置を開示している。米国特許出願公開第2004/0123803号(A1)は、複数のノズルからのガスが2つの電極間の空間に連続的に導入され、さらにこの空間に別のガスをパルスで供給することができる装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0188626号(A1)明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0123803号(A1)明細書
【0011】
【非特許文献1】Winter,J.,Brandenburg,R.,及びWeltermann,K.-D.(2015),”Atmospheric pressure plasma jets:an overview of devices and new directions”,Plasma Sources Sci.Technol.,24,064001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
並んで配置された複数の個々のプラズマジェットは、本願の文脈ではプラズマジェットアレイとも呼ばれる。プラズマジェットアレイの個々のプラズマジェット装置の同時動作の場合、個々のプラズマジェット装置のそれぞれの電磁場は、それらの電磁場を適切に遮蔽しなければ互いに影響し合うことになる。したがって、適切に遮蔽するために多大な努力が必要となり、そのため、プラズマジェットアレイのそのような装置は、製造において非常に複雑であり費用がかかる。
【0013】
単純かつ簡単に使えるようにするためには、発生するプラズマ及び/又は排出されるプラズマジェットの制御が容易であり、例えば、簡単な方法で切り替えをオン及び/又はオフにすることができるプラズマジェットアレイが注目される。さらに、制御が容易であり、製造が安価であるプラズマジェットアレイが注目される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの課題は、請求項1によるシステム及び請求項13による方法によって解決される。本装置の有利な実施形態は、従属請求項において述べられている。これらの実施形態及びさらなる実施形態は以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】流量コントローラが第1の状態を採用している放電空間を有する本発明によるシステムの一実施形態を示す概略図である。
図2図1のシステムであり、流量コントローラが第2の状態を採用している図である。
図3】流量コントローラが第2の状態である本発明によるシステムの概略図である。
図4】流量コントローラが第1の状態を採用しているシステムの概略図である。
図5】流量コントローラが第1の状態である本発明によるシステムの一実施形態を示す概略図である。
図6】流量コントローラが第1の状態を採用している本発明によるシステムの概略図である。
図7abcdef】複数の放電空間を有するシステムの携帯機器の異なる視点の図である。
図8】割り当てられた流量コントローラが第1の状態を採用している3つの放電空間を有する本発明によるシステムの一実施形態を示す概略図である。
図9】流量コントローラが第2の状態を採用している図8のシステムの概略図である。
図10】1つの流量コントローラが第1の状態を採用し、もう1つの流量コントローラが第2の状態を採用している、2つの放電空間を有する本発明によるシステムの概略図であり、このシステムは1つの作動ガス源を有する。
図11】1つの流量コントローラが第1の状態を採用し、もう1つの流量コントローラが第2の状態を採用している、2つの放電空間を有するシステムの概略図であり、このシステムは2つの作動ガス源を有する。
図12】1つの流量コントローラが第1の状態を採用し、もう1つの流量コントローラが第2の状態を採用している、混合装置と2つの放電空間とを有する本発明によるシステムの概略図である。
図13】複数の第2の開口部が中央領域を向いている複数の放電空間を有するシステムの正面図である。
図14図13のシステムの断面図である。
図15】複数の第2の開口部が中央領域を向いている複数の放電空間を有するシステムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の側面は、非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステムに関するものである。このシステムは、第1の開口部を介して作動ガスが導入可能な放電空間を有する。プラズマは、放電空間において、特に導入された作動ガスから発生可能である。放電空間は第2の開口部を有し、そのためプラズマはこの第2の開口部を通して放電空間から排出されることが可能である。
【0017】
このシステムは、放電空間において、プラズマ、特に作動ガスから着火したプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極を有している。
【0018】
第2の開口部を通って排出されるプラズマは、システムの流量コントローラによって制御され、この流量コントローラは、作動ガス源から放電空間へ第1の開口部を通る作動ガスの体積流量を設定するように形成されている。この流量コントローラは、少なくとも第1の状態及び第2の状態を採るようにさらに形成される。第1の状態では、作動ガス源から放電空間へ作動ガスが供給されないため、放電空間において発生した、特に高電圧電極によって発生した電磁場があっても第2の開口部からプラズマが排出されることはない。つまり、第1の状態では、作動ガス源から放電空間へ作動ガスが供給されないため、放電空間に電磁場が存在しても第2の開口部からプラズマが排出されないということである。第2の状態では、作動ガス源からの作動ガスが放電空間に供給される。放電空間ではプラズマが発生し、プラズマは第2の開口部から排出される。特に、プラズマは、高電圧電極により発生する電磁場によって、直ちに第1の開口部から供給される作動ガスの体積流量から発生する。したがって、流量コントローラによって体積流量を制御することにより、第2の開口部から排出されるプラズマジェットを直接かつ即時に制御することができ、2次プラズマを点火するために1次プラズマを連続的に発生させる必要がない。
【0019】
この種類のコントロールにより、特に、放電空間での一次プラズマの発生や持続的な維持が不要になるため、システムの技術面において大幅に簡素化される。
【0020】
本発明は、作動ガスの体積流量の調節が、流量コントローラを用いていかに有利な方法で達成されるかということを記載し、したがって、特に迅速に制御できる流量コントローラによって、体積流量の正確な投入(dosing)、すなわち時間分解及び位置分解(複数の放電空間の場合)された投入を可能にすることを記載する。体積流量の調節は、特に、単純な「オン」と「オフ」の切り替えだけでなく、作動ガスの体積流量を介して第2の開口部から排出されるプラズマジェットの標的制御にも関連する。同様のことが作動ガスへの微量の投入可能な混合にも当てはまる。
【0021】
本発明の利点は、マルチジェット装置、すなわち多数の放電空間を有する本発明によるシステムにおいて特に明らかである。
【0022】
電気エネルギーがプラズマジェットの動作/調節に使用される場合、これは、一方では高電圧源の制御による、他方ではプラズマ自体による電磁干渉を常に伴っている。複数のプラズマジェットのアレイでは、常にそれらの間に相互干渉が発生し、これらは適切な動作や所望の/必要とされるプラズマパラメータの設定に影響を与える。現在のところ、相当な技術的努力なしにはこの電磁干渉の悪影響を排除することはおろか、低減することもできない。作動ガスの供給及び任意に組成を選択的に調節する本発明のアプローチは、簡単かつ経済的に優位な成果を実現できる。高電圧発生の電子制御における技術的複雑さが低減される一方で流体力学的複雑さが付加される。しかしながら、特にアレイにおいては、システムの全体的な複雑さは依然として軽減され、より多くの問題が解決される。
【0023】
非熱プラズマは、本出願の文脈では、低温プラズマ又は冷温プラズマとも呼ばれる。また、第2の開口部を介して放電空間の外へ、ガス流量、特に作動ガスの体積流量によって輸送されるプラズマは、本明細書の文脈では、プラズマジェット又はプラズマビームとも呼ばれる。
【0024】
放電空間は、壁によって区画されてもよい。その壁は、第1の開口部を区画してもよい。本発明によれば、その壁は、第2の開口部を区画してもよい。壁は誘電体として形成されてもよい。
【0025】
放電空間は、特にプラズマが発生可能な容積(volume)を備える。
【0026】
高電圧電極に電圧が印加されると電磁場が発生する。この発生した電磁場を、本願では既存電磁場とも呼ぶ。この発生した電磁場又は既存電磁場を用いて、非熱的大気圧プラズマを発生させることができる。
【0027】
プラズマは、レーザー又はイオンビームによって発生することもできる。しかし、温度、漏れ電流、又は種発生(species generation)といったプラズマのパラメータはかなり制御が難しく、本発明の原理と比較して技術的な労力が増すことになる。
【0028】
一実施形態によれば、高電圧電極が放電空間内に配置されている。
【0029】
放電空間は、第1の開口部を介して作動ガス源に流体的に接続することが可能である。つまり、作動ガス源からの作動ガスは、第1の開口部を介して放電空間に導入可能である。
【0030】
作動ガスは、以下のいずれかのガスを含むか、又はそのいずれかであってもよい:水素、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、ネオン、クリプトン、又は二酸化炭素。作動ガスは、以下のガスのうちの少なくとも1つを含むガスの混合物であってもよい:水素、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、ネオン、クリプトン、又は二酸化炭素。特に、作動ガスは、アルゴンを含んでもよいし、又はアルゴンであってもよい。
【0031】
流量コントローラは、少なくとも第1の状態及び第2の状態を採ることができる。流量コントローラの第1の状態においては、放電空間に作動ガスが導入されないように流量コントローラは構成されている。すなわち、第2の状態においては、放電空間へのガス供給(特に、作動ガスの供給)が遮断されることを意味する。第1の開口部から放電空間を通って第2の開口部に向かって作動ガスが流入することはない。さらに、作動ガスは、第1の開口部から第2の開口部に向かっては流入せず、放電空間から排出されない。放電空間内には、作動ガスの体積流量は存在しない。プラズマが、体積流量によりプラズマジェットの形態で第2の開口部の外へ輸送されることはない。
【0032】
放電空間からプラズマジェットが排出されないように、放電空間に作動ガスが導入されない場合、放電空間から作動ガスが排出されることはない。したがって、作動ガスが放電空間を通って放電空間から連続的に流出する先行技術の装置と比較して、作動ガスの消費は有利に低減される。
【0033】
このシステムは、第1の状態において、放電空間にプラズマが発生しないように構成してもよい。
【0034】
流量コントローラの第2の状態においては、作動ガスが放電空間に導入されるように形成されている。特に、作動ガスは、第1の開口部から放電空間に流入し、放電空間を通って第2の開口部の方向に流れるように導入される。特に、導入された作動ガスは、第1の開口部から第2の開口部に向かって流れ、放電空間の外の第2の開口部の外へ流れる。
【0035】
作動ガスの体積流量により、放電空間で発生したプラズマは、第2の開口部を介してプラズマジェットとして放電空間から排出される。
【0036】
流量コントローラを制御することにより、プラズマがプラズマジェットとして放電空間から排出されるか否かを設定することができる。つまり、本発明によるシステムでは、放電空間からのプラズマの排出の流体力学的な制御が実現されることを意味する。つまり、プラズマジェットの流体力学的な制御を実行することが可能であるということである。したがって、簡単な方法で、電磁場のいずれの制御又は調節を行うことなく、プラズマジェットを制御することができ、特に、放電空間からプラズマジェットが排出されるか否かを制御することができる。電気的及び/又は電子的なシステムの複雑さは有利に低減される。システムの全体的な複雑さは低減される。
【0037】
一実施形態によれば、このシステムは、少なくとも1つの接地電極を備える。少なくとも1つの高電圧電極及び少なくとも1つの接地電極は、放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるために形成されてもよい。
【0038】
これにより、特にプラズマの発生が治療対象の表面の距離に依存しないことが保証され、そうでない場合は治療対象の表面は対電極として作用し、プラズマの特性に大きな影響を与える。
【0039】
一実施形態では、このシステムでは放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極と少なくとも1つの接地電極とを有する。
【0040】
第2の開口部を通って排出されるプラズマは、システムの流量コントローラによって制御され、この流量コントローラは、作動ガス源から放電空間へ第1の開口部を通る作動ガスの体積流量を設定するように形成されている。流量コントローラは少なくとも第1の状態及び第2の状態を採るようにさらに形成される。第1の状態では、作動ガス源から放電空間へ作動ガスが供給されず、その結果、放電空間内の電磁場が発生しても、特に接地電極及び高電圧電極によって発生しても、第2の開口部からプラズマが排出されることはない。つまり、第1の状態では、作動ガス源から放電空間に作動ガスが供給されず、その結果、放電空間に電磁場が存在しても、第2の開口部からプラズマが排出されることはない。第2の状態では、作動ガス源から放電空間に作動ガスが供給される。放電空間ではプラズマが発生し、プラズマは第2の開口部から排出される。
【0041】
電圧が印加される場合、高電圧電極と接地電極との間に電磁場が発生可能である。この発生した電磁場を本願では既存電磁場とも呼ぶ。この発生電磁場又は既存電磁場を利用して、非熱的大気圧プラズマを発生させることができる。
【0042】
一実施形態では、放電空間に接地電極が配置される。
【0043】
接地電極を有する実施形態の利点は、電磁場の発生及び/又は設定をより正確に行うことができることである。これにより、発生するプラズマの特性もより精密に設定することができる。
【0044】
一実施形態において、このシステムは、プラズマの調節を、作動ガスの体積流量の対応する調節によって、特に独占的に作動ガスの体積流量の対応する調節によって、かつ特に電磁場の調節によってではなく、達成するように構成され、特にこのシステムは、放電空間において連続的な電磁場のみを発生するように構成される。一実施形態において、このシステムは、特にプラズマの調節の間、放電空間において連続的な電磁場のみを発生するように形成される。
【0045】
プラズマの調節は、特にプラズマジェットの変化(バリエーション)を意味する。プラズマの調節は、プラズマが、特にプラズマジェットとして放電空間から排出される状態から、放電空間から排出されない、すなわち放電空間からもはやプラズマジェットが排出されない別の状態に変換されることを意味してもよい。プラズマの調節は、プラズマジェットが第2の開口部を通って放電空間から排出される距離を変化させるようなものであってもよい。この距離は、特に最短距離まで短縮されてもよい。距離が最短距離より短くなる場合、プラズマは放電空間から排出されない。代わりにこの距離を長くすることもできる。
【0046】
一実施形態は、プラズマの調節が、作動ガスの体積流量の対応する調節によって達成されることを特徴とする。作動ガスの体積流量が発生しない場合、放電空間からプラズマジェットが排出されることはない。作動ガスの体積流量が存在する場合、プラズマジェットを、放電空間の第2の開口部を介して排出することができる。
【0047】
作動ガスの体積流量はパルス化することができる。パルス状の作動ガス体積流量は、経時的に量が変化する非連続的な体積流量である。
【0048】
作動ガスの体積流量を調節することによってプラズマを調節することができる。さらに、作動ガスの消費量を制御することができる。一実施形態において、作動ガスの消費は調節される。本発明による実施形態では、漏れ電流の持続時間及び/又は効果が制御される。プラズマ(プラズマジェット)が表面と接触すると、漏れ電流が発生する可能性がある。プラズマジェットが放電空間から排出されない場合、表面への漏れ電流は発生しない。
【0049】
連続的な電磁場は、特に、作動ガスの体積流量が放電空間を通過していないときでさえ、連続的にスイッチが入り、存在し続ける電磁場であると理解される。この意味で、「連続的」という用語はまた、(電磁場の電気部分及び磁気部分の変化による電磁場の暗黙の時間依存性は別にして)永久的又は不断的であるともみなされる。
【0050】
一実施形態において、電磁場は連続的な電磁場である。特に、電磁場は電磁場強度の振幅に関して連続的である。一実施形態において電磁場は時間平均的に一定である。
【0051】
一実施形態では、連続的な電磁場が直流電圧を利用して発生することを特徴とする。本発明によれば、プラズマの調節を実現するために印加される直流電圧が調節されることはない。
【0052】
別の実施形態では、電磁場は交流電圧を使用して発生する。プラズマを調節するために、印加される交流電圧が調節されることはない。
【0053】
電磁場は、プラズマを発生させるためにのみ使用される。本発明によれば、電磁場は、プラズマを調節するために使用されることはない。特に、電磁場は、プラズマを調節するために調節されることはない。特に、電磁場は、放電空間からのプラズマ(プラズマジェット)の排出を達成するため、及び/又は放電空間からのプラズマの排出を終結するために調節されることはない。放電空間からのプラズマジェットの排出は、作動ガス体積流量によって制御することができる。
【0054】
さらなる実施形態によれば、流量コントローラは作動ガスの体積流量を調節するように形成されている。
【0055】
一実施形態では、作動ガスの体積流量は流量コントローラを用いて設定可能である。
【0056】
流量コントローラは、個別の方向制御弁として形成されてもよい。個別の方向制御弁は、第1の状態(閉)と第2の状態(開)との間で個別に切り替えられる。
【0057】
代替の実施形態では、流量コントローラは比例弁である。比例弁は、弁の開口の連続的な移行を可能にする。すなわち、比例弁は、作動ガスの流れの正確な投入が可能になるように部分的な開口及び/又は閉口を行う。
【0058】
作動ガスの体積流量の調節は、流量コントローラを制御することによって行うことができる。例えば、流量コントローラを第1の状態から第2の状態に移行させることで、プラズマがプラズマジェットとして放電空間から排出されることを可能にする放電空間内の作動ガスの体積流量をもたらすことができる。別の調節は、流量コントローラを第2の状態から第1の状態に変換することで可能になる。流量コントローラを第2の状態から第1の状態に移行することで、プラズマがそれ以上放電空間から排出されないように放電空間内の作動ガスの体積流を停止させることができる。
【0059】
つまり、流量コントローラは、作動ガスの体積流量を制御するために使用することができる。作動ガスの体積流量は、放電空間からのプラズマの排出を制御するために使用することができる。流量コントローラは、プラズマの流体力学的制御を可能にする。特に、プラズマは、電磁場を制御することなく調節可能である。したがって、放電空間からのプラズマの排出は、印加される電磁場を変えることなく簡単な方法で可能となる。
【0060】
作動ガスを正確に投入することにより、プラズマジェットが放電空間から排出される距離を精密に設定及び/又は変化させることができる。
【0061】
一実施形態において、流量コントローラは電子的に制御される。一実施形態において、流量コントローラは電気的に制御される。これは、プラズマの流体力学的制御が、流量コントローラの電気的又は電子的制御によって実現されることを意味する。
【0062】
一実施形態は、流量コントローラが短い切り替え時間を有することを特徴とする。切り替え時間が短いとは、流量コントローラが個々の状態を迅速に切り替えることができることを意味する。
【0063】
一実施形態において、システムは、放電空間に電磁場が発生するとき、放電空間にプラズマが発生し、第2の開口部を通って放電空間から排出されるように、流量コントローラを第1の状態から第2の状態に移行させるように形成される。一実施形態において、システムは放電空間に電磁場が発生した状態で、プラズマが放電空間から排出されないように、流量コントローラを第2の状態から第1の状態に移行させるように形成されている。一実施形態において、システムは、流量コントローラを第1の状態から第2の状態に移行させるとともに、流量コントローラを第2の状態から第1の状態に移行させるように形成されている。
【0064】
言い換えれば、流量コントローラは、プラズマジェットをオンに切り替えるように形成され、すなわち、プラズマは、以前にプラズマが放電空間から排出されていなかったがその後にプラズマジェットとして放電空間から排出される。一実施形態では、システムは、プラズマジェットをオフに切り替えるように構成される。これは、プラズマジェットが以前に放電空間から排出されていたがその後にプラズマジェットが放電空間から排出されないことを意味する。
【0065】
一実施形態は、流量コントローラが少なくとも第1の状態又は第2の状態を採るように形成された能動アクチュエータを有することを特徴とする。
【0066】
能動アクチュエータは、例えば、弁、特に電磁弁である。能動アクチュエータは電気的に制御することができる。
【0067】
能動アクチュエータは、第1の状態又は第2の状態を採る個別の方向制御弁として形成されてもよい。一実施形態では、能動アクチュエータは比例弁として形成される。
【0068】
能動アクチュエータはピエゾバルブ(piezo valve)であり得る。ピエゾバルブにより、作動ガスの流量を迅速かつ正確に投入することができる。ピエゾバルブのエネルギー消費量はごくわずかである。この場合、電池が長持ちし、電池交換や充電の回数が少なくて済むため、システムを携帯機器として使用する場合に特に有利である。これにより、システムの利便性と可能な応用範囲が広がり、特にシステムの携帯使用の可能性が高まる。
【0069】
一実施形態において、作動ガス源は作動ガスを常時(経時的に均一に)供給する。能動アクチュエータを用いて、時間の経過に対してパルス化された作動ガスの体積流量を放電空間に導入することができる。
【0070】
一実施形態において、流量コントローラは、第1及び第2の状態の少なくとも一方を採るように形成された受動アクチュエータを備え、受動アクチュエータは、特に作動ガスの体積流量によって第1の状態から第2の状態に移行することができる。
【0071】
受動アクチュエータには、フラッターバルブ(flutter valve)又はチェックバルブ(check valve)にすることができる。
【0072】
能動及び/又は受動のアクチュエータは、マイクロバルブとすることができる。マイクロバルブは、有利には、流量コントローラを省スペースで設置することを可能にする。つまり、システムに必要なスペースを小さく保つことができる。これは、システムが携帯機器として使用される場合に特に有利である。
【0073】
さらなる実施形態によれば、システムは、流量コントローラを有する作動ガス源を有する。
【0074】
作動ガス源は、例えば、作動ガスが作動ガス源から流出するか否かを設定するために使用することができる制御要素を有することができる。一実施形態において、作動ガスの流出量、ひいては作動ガスの体積流量は、制御要素を用いて投入される。一実施形態において、システムは、パルス状の作動ガスの体積流量が作動ガス源から排出され、そして放電空間に流入するように構成されている。
【0075】
一実施形態では、システムは、流量コントローラを制御するために形成された自動制御ユニットを有する。自動制御ユニットを用いて、流量コントローラは、第1の状態又は第2の状態に自動的に設定することができる。さらに、一実施形態において、自動制御ユニットは選択した期間、流量コントローラを第2の状態に移行させるように形成され、その結果、作動ガスが放電空間に導入される期間を設定することができる。
【0076】
自動制御ユニットを用いて、作動ガスが放電空間に流れることができるか否かを制御することができる。一実施形態では、自動制御ユニットは作動ガスの体積流量を制御する。
【0077】
一実施形態では、自動制御ユニットはマイクロコントローラ及び高電圧コイルを備える。
【0078】
自動制御ユニットは、流量コントローラが選択された期間、第2の状態であることを制御することができる。つまり、自動制御ユニットは、選択された期間、放電空間内の作動ガスの体積流量の存在を制御することができる。
【0079】
一実施形態において、自動制御ユニットは、プラズマジェットのスイッチを入れることを制御する。自動制御ユニットは、プラズマジェットがどれだけの期間、スイッチを入れるかを制御することができる。さらに、一実施形態において、自動制御ユニットはプラズマジェットが第2の開口部を通って放電空間から排出される距離を制御する。一実施形態において、自動制御ユニットはプラズマジェットのスイッチを切ることを制御する。自動制御ユニットはプラズマジェットが以前に別の期間だけスイッチを入れていたがその後、ある期間プラズマジェットのスイッチを切るように構成されてもよい。一実施形態において、自動制御ユニットはプラズマジェットが以前に別の選択された期間スイッチを切られていたがその後、選択された期間プラズマジェットのスイッチを入れるように構成されている。
【0080】
自動制御ユニットの一実施形態は、例えば比例弁を制御することにより、放電空間に流れる作動ガスを精密に投入するように形成されている。
【0081】
自動制御ユニットはプログラムすることができる。
【0082】
本実施形態の利点は、プラズマジェットが放電空間からいつ、どのくらいの時間(すなわち、期間)排出されるかを自動的に制御することである。したがって、例えばプラズマジェットによる治療の時間を自動的に制御することができる。
【0083】
一実施形態において、自動制御ユニットは、作動ガスの体積流量を調節するように構成される。一実施形態において、システムは、調節のためのフィードバック機構を有する。
【0084】
有利には、フィードバック機構は、例えば作動ガスの体積流量を調節することによって、プラズマのいずれの変動(制御値からの逸脱)を自動的に検出し、かつ相殺する。変動は、均一なプラズマジェットが経時的に排出されるように相殺される。
【0085】
一実施形態によれば、システムは混合装置を備え、さらなるガスを作動ガスと混合するように形成され、結果として生じるガスの混合物が放電空間に導入可能になる。特に、システムは流量コントローラが混合装置を有するように形成される。
【0086】
一実施形態において、混合装置は複数のガスを作動ガスと混合するように構成される。一実施形態では、作動ガスと混合されるガスの混合物、特に混合装置において混合されるガスの混合物が提供される。
【0087】
さらなるガスは、特に以下のガスのうちの1つである:水素、酸素、窒素、水蒸気、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、又は二酸化炭素。混和ガスの混合物は、特に以下のガスのうちの1つを含む:水素、酸素、窒素、水蒸気、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、又は二酸化炭素。混和ガスの混合物は、空気、特に大気中の空気であってもよい。一実施形態において、混和ガスの混合物は加湿ガスである。特に、混和ガスの混合物は、水蒸気、並びに以下のガスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい:水素、酸素、窒素、水蒸気、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、又は二酸化炭素。
【0088】
したがって、放電空間に作動ガスとは異なるガスの混合物が導入可能であり、そこで他の反応種を発生させることができる。
【0089】
一実施形態において、システムは、選択された時間、さらなるガスを作動ガスと混和するように配置される。したがって、放電空間に導入されるガス又はガスの混合物の組成は、時間分解的な様式に設定することができる。一実施形態では、放電空間に導入されるガス又はガスの混合物の組成を時間分解的に制御することができる。
【0090】
一実施形態では、システムは容量結合プラズマを発生させるように形成される。一実施形態では、誘導結合プラズマを発生させるように形成されていることを特徴とする。一実施形態では、システムは、マイクロ波誘導プラズマを発生させるように形成される。別の実施形態では、システムは、誘電妨害放電(dielectrically hindered discharge)を用いてプラズマを発生させるように形成される。
【0091】
さらなる実施形態では、システムは、複数の放電空間を有し、各放電空間は、作動ガスがそれぞれの放電空間に導入可能なそれぞれの第1の開口部を備え、各放電空間は、プラズマがそれぞれの放電空間から排出されることができる割り当てられた第2の開口部を備える。それぞれの放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極がそれぞれの放電空間に割り当てられ、その結果、それぞれの放電空間において、他の放電空間とは独立してプラズマが発生することができるようになる。割り当てられた第2の開口部を通って排出されるプラズマは、それぞれの放電空間を有するシステムの流量コントローラによって制御され、それぞれの流量コントローラは、作動ガス源からそれぞれの放電空間へそれぞれの放電空間のそれぞれの第1の開口部を通る作動ガスの体積流量を設定するように形成される。さらに、それぞれの流量コントローラは、少なくとも第1の状態及び第2の状態を採るように形成されている。第1の状態では、作動ガス源からそれぞれの放電空間へ作動ガスが供給されないので、それぞれの放電空間においてプラズマが発生しても、それぞれの放電空間の割り当てられた第2の開口部からプラズマが排出されることはない。第2の状態において、作動ガス源からの作動ガスが複数の放電空間のそれぞれの放電空間に供給され、そこでプラズマが発生し、プラズマがそれぞれの第2の開口部から排出される。
【0092】
さらなる実施形態において、システムは複数の放電空間を有し、複数の放電空間の各放電空間は、作動ガスが複数の放電空間のそれぞれの放電空間に導入可能なそれぞれの第1の開口部を有する。複数の放電空間のそれぞれの放電空間は、複数の放電空間のそれぞれの放電空間からプラズマが排出されることができる割り当てられた第2の開口部を有する。さらに、複数の放電空間のそれぞれの放電空間は、複数の放電空間のそれぞれの放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるためのそこに割り当てられた少なくとも1つの高電圧電極を有する。プラズマは、複数の放電空間のそれぞれの放電空間において、複数の放電空間の他の放電空間から独立して発生可能であり、割り当てられた第2の開口部を介して排出されるプラズマは、複数の放電空間のそれぞれの放電空間が割り当てられたシステムの複数の流量コントローラのうちの1つの流量コントローラによって制御される。複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、作動ガス源から複数の放電空間のそれぞれの放電空間へ複数の放電空間のそれぞれの放電空間のそれぞれの第1の開口部を通る作動ガスの体積流量を設定するように形成され、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、少なくとも第1の状態と第2の状態とを採用するようにさらに形成されている。第1の状態では、複数の放電空間のそれぞれの放電空間において、電磁場が発生しても、プラズマが割り当てられた第2の開口部から排出されないように、作動ガス源から複数の放電空間のそれぞれの放電空間へ作動ガスが供給されることはない。第2の状態において、作動ガス源からの作動ガスが、複数の放電空間のそれぞれの放電空間に供給されて、そこにプラズマが発生し、プラズマは、それぞれ、第2の開口部から排出される。
【0093】
(複数の放電空間の)各放電空間には、(複数の放電空間の)それぞれの放電空間においてプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極が割り当てられ、特に、(複数の放電空間の)各放電空間においてプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極が、(複数の放電空間の)各放電空間に配置され、その結果、(複数の放電空間の)他の放電空間とは独立して、(複数の放電空間の)各放電空間にプラズマが発生可能になる。
【0094】
特に、高電圧電極は、互いに短絡させることができる。
【0095】
一実施形態では、複数の放電空間の放電空間は同様に形成されている。別の実施形態では、複数の放電空間の少なくとも1つの放電空間は、他の放電空間と異なっている。
【0096】
複数の放電空間を持つシステムの有利な点は、システム及び/又は治療対象物を移動させることなく、対象物の表面など、より広い領域をプラズマで治療することができることである。
【0097】
このようなシステムは、大面積の表面の治療、特に感熱性の表面の治療に使用することができる。
【0098】
複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、電気的又は電子的に制御することができる。割り当てられた流量コントローラの制御は、それぞれの放電空間における作動ガスの体積流量を制御し、したがってプラズマを制御し、特にプラズマジェットの形態のプラズマがそれぞれの放電空間から排出されるか否かを制御することである。これは、プラズマ、特にプラズマジェットの流体力学的制御が、それぞれの流量コントローラの電気的又は電子的制御を通じて行われることを意味する。
【0099】
これにより、複数の放電空間を持つシステムにおいて、プラズマを制御するための技術的な複雑さを低減することができる。システムの完璧な操作が簡単な方法で可能になる。
【0100】
一実施形態は、各放電空間に少なくとも1つの接地電極が割り当てられていることを特徴とする。一実施形態において、少なくとも1つの高電圧電極及び少なくとも1つの接地電極は、それぞれの放電空間においてプラズマを発生させるための電磁場を発生させるために配置される。それによって、システムは高電圧電極の電磁場によって直ちに、特に作動ガスの体積流量において、プラズマを点火するように構成されている。
【0101】
一実施形態では、システムは複数の放電空間を有し、複数の放電空間の各放電空間は、複数の放電空間のそれぞれの放電空間に作動ガスが導入可能な、それぞれの第1の開口部を有する。複数の放電空間のそれぞれの放電空間は、複数の放電空間のそれぞれの放電空間からプラズマが排出されることができる割り当てられた第2の開口部を有する。さらに、複数の放電空間のそれぞれの放電空間には、複数の放電空間のそれぞれの放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための、そこに割り当てられた少なくとも1つの高電圧電極と、少なくとも1つの接地電極とを有する。複数の放電空間のそれぞれの放電空間において、プラズマは複数の放電空間の他の放電空間とは独立して発生可能であり、割り当てられた第2の開口部を介して排出されるプラズマは、複数の放電空間のそれぞれの放電空間に割り当てられたシステムの、複数の流量コントローラのうちの1つの流量コントローラによって制御される。複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、作動ガス源から複数の放電空間のそれぞれの放電空間へ、複数の放電空間のそれぞれの放電空間のそれぞれの第1の開口部を通る作動ガスの体積流量を設定するように形成され、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、少なくとも第1の状態と第2の状態とを採るようにさらに形成されている。第1の状態では、複数の放電空間のそれぞれの放電空間に電磁場が発生しても、複数の放電空間のそれぞれの放電空間における割り当てられた第2の開口部からプラズマが排出されないように、作動ガス源から複数の放電空間のそれぞれの放電空間へ作動ガスが供給されない。第2の状態において、作動ガス源からの作動ガスが、複数の放電空間のそれぞれの放電空間に供給され、そこでプラズマが発生し、プラズマがそれぞれの第2の開口部から排出される。
【0102】
(複数の放電空間の)各放電空間には、(複数の放電空間の)それぞれの放電空間においてプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極と少なくとも1つの接地電極とが割り当てられ、特に、(複数の放電空間の)それぞれの放電空間にプラズマを発生させるための電磁場を発生させるための少なくとも1つの高電圧電極及び少なくとも1つの接地電極は、(複数の放電空間の)他の放電空間とは独立してプラズマが(複数の放電空間の)それぞれの放電空間で発生可能であるように、(複数の放電空間の)それぞれの放電空間に配置されている。
【0103】
一実施形態では、システムは、自動制御システムを有する。自動制御システムは、プラズマが選択された放電空間においてのみ発生し、かつ選択された放電空間の第2の開口部からのみ排出されるように流量コントローラが少なくとも第1の状態又は第2の状態を独立して採れるように、システムの複数の流量コントローラを独立して制御するように形成されている。
【0104】
自動制御システムは、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラを個別に制御することができる。つまり、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、他の流量コントローラから独立して制御することができる。
【0105】
一実施形態において、自動制御システムは、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラが残りの流量コントローラから独立して制御可能であるように、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラを個別に制御するように形成されている。
【0106】
一実施形態において、自動制御システムは、それぞれの割り当てられた放電空間のプラズマジェットが選択された時間的パターン、すなわち、プラズマジェットがそれぞれの割り当てられた放電空間から排出される段階とプラズマジェットが排出されない他の段階との選択された順序を示すように複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラが制御されるように構成される。
【0107】
一実施形態によれば、自動制御システムは、システムの複数の流量コントローラの流量コントローラを互いに独立して制御するように形成され、その結果、複数の流量コントローラの選択された流量コントローラが第1の期間、第2の状態を採用し、かつ複数の流量コントローラの他の全ての流量コントローラが第1の状態を採り、そして第1の期間の後、第2の期間、複数の流量コントローラの選択された流量コントローラが第1の状態を採り、かつ複数の流量コントローラの別の選択された流量コントローラが第2の状態を採るようになり、ここで第1及び第2の期間は連続するか、又は一時的に重複する。
【0108】
自動制御システムは、プラズマジェットが選択されたどの放電空間から排出されるかを制御することができる。特に、自動制御システムは、プラズマジェットが、複数の放電空間のうちの選択された放電空間から任意の時点で排出されるように形成される。
【0109】
一実施形態において、自動制御システムは、第1の期間と第2の期間とが途切れることなく互いに続くように、複数の流量コントローラのそれらの流量コントローラを制御するように構成されている。つまり、一実施形態において、自動制御システムは、任意の時点において、プラズマジェットが複数の放電空間のうちの正確に1つの放電空間から排出されるように、複数の流量コントローラのこれらの流量コントローラを制御するように構成されている。
【0110】
別の実施形態において、自動制御システムは、第1の期間と第2の期間とが一時的に重複するように複数の流量コントローラのうちのそれらの流量コントローラを制御するように構成され、ここで特に、第1の期間と第2の期間とは完全には重複しない。これは、一実施形態において、第1の期間と第2の期間との重複する期間において1つのプラズマジェットがそれぞれの2つの放電空間(その流量コントローラ及び他の流量コントローラが割り当てられる)のからそれぞれ排出されるように、システムが構成されていることを意味する。一実施形態は、重複期間が短く、特に1秒より短いことを示す。
【0111】
一実施形態では、複数の放電空間の各放電空間が共通の作動ガス源に接続可能又は接続されるように形成されている。
【0112】
それぞれの放電空間では、同じ反応種が発生可能である。
【0113】
この実施形態は、プラズマを用いた大面積の治療に用いる場合特に有利であり、ここで同一種がこの全領域にわたり作用する。
【0114】
さらなる実施形態によれば、複数の流量コントローラのうちの少なくとも1つの流量コントローラは、さらなるガスが作動ガスと混合される混合装置を有し、結果として生じるガス混合物が複数の放電空間のそれぞれの放電空間に導入可能である。これは、さらなるガスが、空間的に分解された様式で、例えば、システムの他の放電空間に対して選択された位置に配置された放電空間で、作動ガスと混合することができることを意味する。したがって、このプラズマの有効性は、空間的に分解された様式で、例えば選択された局所領域で、特定の要件、例えば広範囲の創傷の治療に適合することができる。
【0115】
さらなる実施形態において、システムは、専用の作動ガス源に接続可能又は接続された複数の放電空間のうちの少なくとも1つの放電空間を有するように形成されている。
【0116】
他の放電空間で形成することができる活性種とは異なる活性種を少なくとも1つの放電空間に形成することができる。
【0117】
この実施形態は、システムがプラズマによる大領域の治療に使用される場合に特に有利であり、ここでこの領域は、他の放電空間で生じる反応種とは異なる少なくとも1つの反応種が作用する少なくとも1つの副領域を有している。言い換えれば、これは、少なくとも1つの副領域の治療のために、要件を満たすようにプラズマの効力を適合させることができることを意味する。
【0118】
一実施形態は、複数の放電空間の第2の開口部が同一方向を向いていることを特徴とする。
【0119】
特に、複数の第2の開口部の表面法線は同一方向を向いている。
【0120】
このような配置の利点は、このようなシステムを用いて、プラズマジェットをある表面へ向けることができることである。
【0121】
さらなる実施形態によれば、複数の放電空間の第2の開口部は、中央領域を向くように位置づけするか、又は位置づけ可能である。
【0122】
特に、複数の第2の開口部の表面の法線は、中央領域を向いている。
【0123】
一実施形態では、複数の放電空間の第2の開口部は、共通の容積の方向を向いている。
【0124】
このようなシステムを用いて、プラズマジェットを様々な方向から対象物の表面に向けることができる。
【0125】
一実施形態では、複数の放電空間の第2の開口部は、共通の平面上に配置されている。
【0126】
一実施形態では、複数の放電空間の第2の開口部は、共通の平面上に配置され、複数の放電空間の第2の開口部は、少なくとも10cm、特に少なくとも50cm、特に少なくとも100cmの領域をカバーする。
【0127】
さらなる実施形態によれば、システムは、少なくとも2個の放電空間、特に少なくとも5個の放電空間、特に少なくとも10個の放電空間、特に少なくとも20個の放電空間を有する。
【0128】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの流量コントローラは、各放電空間を通る体積流量が連続的かつ個別に設定可能であるように、連続的に制御可能である。
【0129】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの流量コントローラは、比例弁である。
【0130】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、流量コントローラによって各放電空間における作動ガスの体積流量を調節するように構成され、体積流量の調節は、2つを超える調節状態を有し、特に体積流量の調節は、連続的に設定可能である。
【0131】
本発明のさらなる実施形態によれば、各流量コントローラは、0.1ミリ秒~1秒の間の制御時間を有するように構成され、その結果、体積流量をそれぞれの時間分解で調節することができる。
【0132】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、各放電空間に対して少なくとも1つの関連するセンサを備え、このセンサは、プラズマパラメータを検出し、プラズマパラメータを示すセンサ信号を出力するように構成され、システムは、達成すべきプラズマパラメータをそれぞれ割り当てられた放電空間に対して設定するように、センサ信号に基づいて少なくとも1つの流量コントローラを制御するように構成されている。
【0133】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、放電空間ごとに厳密に1つの高電圧電極と2つ以下の接地電極とを備える。
【0134】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、第1の開口部を通して供給される作動ガスの体積流量において、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、及び/又はマイクロ波誘導プラズマを発生させるように構成されている。
【0135】
本発明のさらなる実施形態によれば、各放電空間は、厳密に2つの開口部である、第1の開口部と第2の開口部とを有する。
【0136】
本発明の別の側面は、本発明によるシステムを利用して非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するための方法に関するものである。それにより、本方法は、以下の工程:
- 放電空間に電磁場を発生させる工程、
- 流量コントローラを第1の状態又は第2の状態に設定する工程であり、第1の状態では作動ガス源から放電空間に作動ガスが供給されず、その結果、放電空間に電磁場が発生しても、放電空間からプラズマが排出されず、かつ第2の状態では作動ガス源から放電空間に作動ガスが供給されて、放電空間にプラズマが発生し、プラズマが第2の開口部から排出されるようになる、前記工程、
を含む。
【0137】
一実施形態では、プラズマが調節される。
【0138】
本方法の一実施形態は、以下の工程:
- 複数の放電空間のそれぞれの放電空間に電磁場を発生させる工程、
- 複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラを第1の状態又は第2の状態に設定する工程であり、第1の状態では、作動ガス源からの作動ガスが複数の放電空間のそれぞれの放電空間に供給されず、その結果、複数の放電空間のそれぞれの放電空間では、電磁場が複数の放電空間のそれぞれの放電空間に発生しても、それぞれの放電空間からプラズマが排出されず、かつ第2の状態では、作動ガス源からの作動ガスが複数の放電空間のそれぞれの放電空間に供給されて、複数の放電空間のそれぞれの放電空間にプラズマが発生し、プラズマが割り当てられた第2の開口部から排出されるようになる、前記工程、
を有する。
【0139】
一実施形態では、放電空間又は複数の放電空間のうちの選択された放電空間に供給される作動ガスの体積流量を調節して、放電空間又は複数の放電空間のうちの選択された放電空間において連続電磁場を発生させながらプラズマの調節を達成することを特徴とする。
【0140】
一実施形態によれば、複数の流量コントローラのうちの1つの流量コントローラは、第1の期間、第2の状態を採用するように制御され、かつ複数の流量コントローラのうちの他の全ての流量コントローラは、第1の状態を採用するように制御され、そして第1の期間の後、複数の流量コントローラのうちの前記流量コントローラが第1の状態に変換され、かつ複数の流量コントローラのうちの別の流量コントローラが第1の期間と連続して又は重複して第2の状態に変換されて第2の期間、第2の状態を採用するが、一方では複数の流量コントローラの残りの他の流量コントローラは第1の状態のままである。
【0141】
これは、複数の放電空間のうち選択された放電空間からプラズマジェットが排出されるが、一方で他の放電空間からはプラズマジェットが排出されないということを意味する。
【0142】
複数の流量コントローラは、選択された異なる流量コントローラがそれぞれの第1の状態からそれぞれの第2の状態に連続して変換するように制御することができる。これは、プラズマジェットが異なる選択された放電空間から連続的に排出されることが可能であることを意味し、ここでプラズマジェットは、特に一度に複数の放電空間のうちの1つの選択された放電空間からのみ排出される。
【0143】
一実施形態によれば、自動制御システムは、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラが、複数の流量コントローラの他の流量コントローラから独立して、選択された順序で第1の状態と第2の状態との間及び/又は第2の状態と第1の状態との間を切り換えるように、複数の流量コントローラを制御する。
【0144】
複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、他の流量コントローラから独立して制御することが可能である。特に、複数の流量コントローラのそれぞれの流量コントローラは、プラズマジェットがそれぞれの放電空間から排出されるように(第2の状態)、又はプラズマジェットが排出されないように(第1の状態)、他の流量コントローラから独立して制御することが可能である。これにより、自動制御システムは、プラズマジェットが、任意の所与の時間で、複数の放電空間のうちの選択された放電空間のみから排出されるように、複数の流量コントローラを制御することができる。
【0145】
本発明によるシステムによって、プラズマジェットを簡単な様式で制御することができる。システムの一実施形態は、複数のプラズマビームが協調的な様式で制御及び/又は調節されるように構成されている。システムの電気的及び/又は電子的な複雑さは、先行技術のシステムと比較して有利に低減される。本発明によりシステムの全体的な複雑さを低減することができる。これにより、このようなシステムの製造コストを削減することができ、そのため経済的に有利になる。
【0146】
以下では、図を参照して本発明の実施形態並びに特徴及び利点を説明する。
【0147】
図の説明
図1及び図2は、放電空間10及び流量コントローラ40を有する非熱的大気圧プラズマ(プラズマ)を発生させ、かつ制御するためのシステム1を示し、流量コントローラ40は、それぞれ第1の状態(図1)及び第2の状態(図2)を採る。図3では、さらなる実施形態が示されており、流量コントローラ40が第2の状態であることが示されている。図4図6は、それぞれの流量コントローラがプラズマジェットを排出しないような第1の状態を採用しているさらなる実施形態を示している。
【0148】
放電空間10は、第1の開口部12と第2の開口部14とを有する。本発明による一実施形態では、放電空間10は、誘電体30によって区画されている(図1図2図3)。誘電体30は、円筒状のシェル状に形成されていてもよい。
【0149】
放電空間10は、縦軸Aに沿って延びる。図示の実施形態では、第1の開口部12は、第2の開口部14と反対側に位置する。
【0150】
図示のシステム1は、放電空間10内に配置された高電圧電極20を有する(図1図4)。接地電極22は、誘電体30にて放電空間10の外側に配置され、接地電極22は、第2の開口部14の近くに配置される(図1図4)。高電圧電極20と接地電極22により、電圧を適用する際、放電空間10に電磁場が発生する(図1図4)。
【0151】
実施形態では、高電圧電極20及び接地電極22は、誘電体30にて放電空間10の外側に配置されている(図5)。
【0152】
システム1は、マイクロ波発生器202とマイクロ波共振器200とを有していてもよい(図6)。
【0153】
放電空間10は、導管要素52によって、特にガス導管要素によって、作動ガス源50に接続されてもよい。導管要素52は、一方が放電空間10に、他方が作動ガス源50に流体的に接続することができる(図1図2図5図6)。特に、導管要素52は、作動ガス源50からの作動ガスが導管要素52を通って第1の開口部12から放電空間10に導入可能であるように配置されている。一実施形態では、作動ガス源50は導管要素52によって流量コントローラ40に接続され、さらに流量コントローラ40は別の導管要素52によって放電空間10に接続されている(図3図4)。
【0154】
流量コントローラ40は、放電空間10における作動ガスの体積流量60を制御するために用いることができる。第1の状態において、流量コントローラ40は、第1の開口部12を介して放電空間10に作動ガスが流入しないように配置されている(図1図4図5図6)。第2の状態において、作動ガス源50からの作動ガスは、第1の開口部12を介して放電空間10に流入することができる。作動ガスは、第1の開口部12から放電空間10を通って第2の開口部14に向かって流れる(図2図3)流量コントローラ40は、ピエゾバルブ(図4)とすることができる。
【0155】
図5に示すシステム1は、混合装置54を有し、ここではコントローラ40が混合装置54を有する。さらに、システム1は、さらなるガス源51を有する。さらなるガス源51は、混合装置54に接続されてもよい。特に、混合装置54は、作動ガス源50からの作動ガスをさらなるガス源51からのさらなるガスと混合するように構成され、その結果ガス混合物が形成される。流量コントローラは、結果として生じるガス混合物が放電空間10に供給されるように形成される。
【0156】
放電空間10に電磁場が発生すると、放電空間10にプラズマ5が発生し、作動ガスの体積流量60を介して放電空間10から第2の開口部14を通ってプラズマジェット6の形態で放出される(図2図3)。
【0157】
本発明による一実施形態では、流量コントローラ40は、自動制御ユニット70を用いて制御される(図1図2図5図6)。特に、流量コントローラ40の状態は、自動制御ユニット70を用いて設定することができ、すなわち、自動制御ユニット70は、流量コントローラ40を第1の状態又は第2の状態にあるように制御することができる。このように、自動制御ユニット70を用いることで、プラズマジェットが放電空間から排出されるか否かを制御することができる。
【0158】
図7図15は、複数の放電空間を有する非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステム1の本発明による実施形態を示す。
【0159】
図7のa)~f)において、携帯機器120の形態のシステム1の実施形態が異なる視点で示されている。図示された携帯機器120は、手動又はロボットで操作することができる。図7のd)~f)は、携帯機器120を正面図(d)、側面図(e)、並びに透視図(f)で示したものである。図示の携帯機器120は、ハウジング122を有する。携帯機器は、ハンドル140並びにヘッドピース130を有する。ヘッドピース130は、複数の凹部132を有してもよい。
【0160】
図7のa)~c)は、4つの放電空間10a、10b、10c、10dの配置を正面図(a)、断面図(b)、及び透視図(c)で示したものである。
【0161】
4つの第2の開口部14a、14b、14c、14dは、共通の平面上に配置されている。それらは共通の方向Rを向いており、個々の凹部132と第2の開口部14a、14b、14c、14dは、それぞれの第2の開口部14a、14b、14c、14dのそれぞれのプラズマジェットがそれぞれの凹部132を通って排出されることが可能なように、互いに関連して配置されてもよい。
【0162】
図8図12は、複数の放電空間10a、10b、10cを有するシステム1の実施形態を示す。図示のそれぞれの放電空間10a、10b、10cは、それぞれの第1の開口部12a、12b、12cと、それぞれの第2の開口部14a、14b、14cとを有する。放電空間10a、10b、10cのそれぞれには、高電圧電極20a、20b、20cが配置されている。
【0163】
それぞれの放電空間10a、10b、10cの縦軸Aa、Ab、Acは、互いに平行に配置されていてもよい(図8に示す)。
【0164】
図示のそれぞれの例示的なシステム1の第2の開口部14a、14b、14c(図8図12)は、それぞれ共通の平面Eに配置されている。それぞれの第2の開口部14a、14b、14cは、同じ方向Rを向いている。特に、表面法線Na、Nb、Ncは、同じ方向Rを向いている(図8図11)。縦軸Aa、Ab、Acは、表面法線Na、Nb、Ncの方向に延びることができる。
【0165】
図8及び図9は、3つの放電空間10a、10b、10cを有する非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステム1を示す。放電空間10a、10b、10cは、それぞれの導管要素52a、52b、52cを介して共通の作動ガス源50に接続されている。システム1は、流量コントローラ40a、40b、40cを有し、これによって、作動ガス源50から各放電空間10a、10b、10cへの作動ガスの導入が制御される。
【0166】
図8及び図9に示すシステム1は、それぞれの第2の開口部14a、14b、14cの直径Da、Db、Dcが同一である3つの放電空間10a、10b、10cを備える(図8)。
【0167】
図8は、3つの流量コントローラ40a、40b、40cの全てが第1の状態であるシステム1の配置を示す図である。これは、3つの放電空間10a、10b、10cのいずれにおいても、作動ガス源50からの作動ガスがそれぞれの第1の開口部12a、12b、12cを介して導入されないことを意味する。
【0168】
図9は、選択された流量コントローラ40bがその第2の状態にある配置を示す。他の2つの流量コントローラ40a、40cは、それぞれ第1の状態である。この構成では、ガスの供給が選択された流量コントローラ40bを用いて制御される選択された放電空間10bに作動ガスが導入される。プラズマ5は、選択された放電空間10bで発生し、割り当てられた第2の開口部14bから作動ガスの体積流量60によりプラズマジェット6として排出される。
【0169】
図10図12は、2つの放電空間10a、10bを備える非熱的大気圧プラズマを発生させ、かつ制御するためのシステム1を示し、図示された放電空間10a、10bのそれぞれの関連する第2の開口部14a、14bは、異なる直径Da、Dbを有する。
【0170】
図10は、プラズマジェット6がそれぞれの放電空間10bの第2の開口部14bから排出されるように選択された流量コントローラ40bが第2の状態にあるシステム1の配置を示す。流量コントローラ40a、40bは、いずれも自動制御システム72に接続されていてもよい。自動制御システム72は、流量コントローラ40a、40bの両方を制御してもよい。特に、自動制御システム72は、流量コントローラ40a、40bが第1の状態又は第2の状態となるように制御する。
【0171】
図11は、放電空間10a、10bがそれぞれの導管要素52a、52bを介して異なる作動ガス源50a、50bに接続されている配置を示す。すなわち、システムは複数の作動ガス源50a、50bを有している。流量コントローラ40a、40bは、共通の自動制御システム72によって制御されてもよい。
【0172】
図12に示すシステム1は、放電空間10a、10bの両方に接続された作動ガス源50に加えて、別のガス源51を有する。さらに、図示されたシステム1は、混合装置54bを有する。流量コントローラ40bが、混合装置54bを有していてもよい。
【0173】
さらなるガス源51は、混合装置54bに接続することができる。混合装置54bを用いることで、作動ガス源50からの作動ガスは、さらなるガス源51からのさらなるガスと混合される。このガス混合物は、(流量コントローラ40bを制御することにより)放電空間10bへ供給される。
【0174】
図13図14及び図15は、複数の放電空間10を有するシステム1の例示的な配置を示し、複数の放電空間10の複数の第2の開口部14は、中心領域Zを向いている。複数の放電空間10は、共通の作動ガス源50に接続されている。複数の流量コントローラ40を用いて、複数の放電空間10のそれぞれにおいて作動ガスの流量が独立して制御される。
【0175】
図13及び図14は、複数の放電空間10が立方体状の容積に配置される例示的な配置の正面図(図13)及び断面図(図14)を示す。第2の開口部14は、この立方体の方向を向いている。一実施形態では、放電空間10は、この立方体の4つの面に配置されている(図13)。2つの対向する表面には、放電空間10が配置されていない(図14)。これらの形成された入口90、92を介して、移動方向Bに沿って中央領域Zに対象物100を供給することができる(図14)。
【0176】
図15は、複数の放電空間10がシリンダジャケットに沿って配置された、正面からの例示的な配置を示す。第2の開口部14は、中央領域Zの方向を向いている。放電空間10は、周方向Uに互いに等距離に配置することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7abcdef
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)であって
前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)を有し、各放電空間(10、10a、10b、10c)は、作動ガスが各放電空間(10、10a、10b、10c)に導入可能な、それぞれの第1の開口部(12、12a、12b、12c)を有し、各放電空間(10、10a、10b、10c)は、プラズマがそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)から排出されることが可能な割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)を有し、さらに各放電空間(10、10a、10b、10c)には、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)にプラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極(20、20a、20b、20c)が割り当てられ、その結果、各放電空間(10、10a、10b、10c)において、他の放電空間(10、10a、10b、10c)とは独立して、プラズマ(5)が発生可能であり、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)を通って排出されるプラズマ(5、6)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)に割り当てられたシステム(1)の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)により制御され、各流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、作動ガス源(50、50a、50b)からそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの第1の開口部(12、12a、12b、12c)を通る作動ガスの体積流量(60)を設定するように形成され、それぞれの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は少なくとも第1の状態と第2の状態とを採用するようにさらに形成されており、第1の状態では、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスが、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に供給されず、その結果、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)では、電磁場がそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)において発生しても、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)からプラズマは排出されず、第2の状態において、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスがそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に供給されて、そこでプラズマ(5)が発生し、プラズマ(5、6)が、割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)から排出され、前記システム(1)は、第1の開口部を介して供給される作動ガスにおいて、容量結合型、誘導結合型、及び/又はマイクロ波誘導型のプラズマを発生するように構成されることを特徴とする、前記非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの接地電極(22、22a、22b、22c)が各放電空間(10、10a、10b、10c)に割り当てられ、プラズマ(5)を発生させるための電磁場を発生させるための、少なくとも1つの高電圧電極(20、20a、20b、20c)及び少なくとも1つの接地電極(22、22a、22b、22c)が、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)に構成されていることを特徴とする、請求項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項3】
前記システム(1)は、プラズマ(5)が選択された放電空間(10、10a、10b、10c)のみにおいて発生し、そして選択された放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)のみから排出されるように、流量コントローラ(40、40a、40b、40c)が、独立して、少なくとも第1の状態又は第2の状態を採用できるように、システム(1)の複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を独立して制御するように形成される自動制御システム(72)を備えることを特徴とする、請求項又はに記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項4】
自動制御システム(72)は、システム(1)の複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を互いに独立して制御するように形成され、その結果、複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の期間に第2の状態を採用し、かつ複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの他の全ての流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の状態を採用し、第1の期間の後に、複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの前記流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第1の状態を採用し、ここで複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のうちの別の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、第2の期間に第2の状態を採用し、ここで第1の期間と第2の期間とは連続しているか、又は一時的に重複していることを特徴とする、請求項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項5】
前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)が、共通の作動ガス源(50)に接続可能又は接続されるように形成されているか、又は前記システム(1)は、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の少なくとも1つの放電空間(10、10a、10b、10c)が、それ自体の作動ガス源(50a、50b)に接続可能又は接続されるように形成されていることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項6】
複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)は、同じ方向(R)を向いているか、又は複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の第2の開口部(14、14a、14b、14c)は、中心領域(Z)を向くように配置されるか、又は配置できることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)を通る体積流量(60)が連続的かつ個別に設定可能であるように連続的に制御可能であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)が比例弁であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項9】
前記システム(1)は、流量コントローラ(40、40a、40b、40c)によって、各放電空間(10、10a、10b、10c)における作動ガスの体積流量(60)を調節するように構成されており、体積流量(60)の調節が2つを超える調節状態を備え、特に体積流量(60)の調節が連続して設定できることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項10】
体積流量(60)がそれぞれの時間分解能で調節できるように、各流量コントローラ(40、40a、40b、40c)は、0.1ミリ秒~1秒の間の制御時間を有するように構成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項11】
前記システム(1)は、各放電空間(10、10a、10b、10c)に対して、プラズマパラメータを検出し、かつプラズマパラメータを示すセンサ信号を出力するように構成された少なくとも1つの割り当てられたセンサを有し、ここで前記システムは、それぞれ割り当てられた放電空間(10、10a、10b、10c)に対して達成されるべきプラズマパラメータ設定されるように、少なくとも1つの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)をセンサ信号に基づいて制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項12】
前記システム(1)は、放電空間(10、10a、10b、10c)ごとに厳密に1つの高電圧電極と、2つ以下の接地電極とを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項13】
それぞれの放電空間が、厳密に2つの開口部の、第1の開口部と第2の開口部とを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するためのシステム(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム(1)を利用して、非熱的大気圧プラズマを発生及び制御するための方法であって、以下の工程
- 複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)内に電磁場を発生させる工程、
- 複数の流量コントローラ(40、40a、40b、40c)のそれぞれの流量コントローラ(40、40a、40b、40c)を第1の状態又は第2の状態に設定する工程であり、第1の状態においては、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスは、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)へ供給されず、その結果、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)では、電磁場が複数の放電空間(10、10a、10b、10c)の各放電空間(10、10a、10b、10c)に発生しても、それぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)からプラズマは排出されず、かつ第2の状態においては、作動ガス源(50、50a、50b)からの作動ガスは、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)へ供給され、複数の放電空間(10、10a、10b、10c)のそれぞれの放電空間(10、10a、10b、10c)でプラズマ(5)が発生し、プラズマ(5、6)が割り当てられた第2の開口部(14、14a、14b、14c)から排出される、前記工程、
を含む前記方法。
【国際調査報告】