(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】外傷性脳損傷の治療または予防のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/08 20060101AFI20221128BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20221128BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20221128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61K31/08
A61K31/05
A61K31/192
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520850
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 AU2020051056
(87)【国際公開番号】W WO2021062481
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522135042
【氏名又は名称】インカネックス・ヘルスケア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル,スダンシュ
(72)【発明者】
【氏名】レイサム,ジョエル・ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ブリークレイ,マーク・ロバート
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206CA23
4C206DA19
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA75
4C206MA79
4C206NA14
4C206ZA15
(57)【要約】
本開示は、外傷性脳損傷(TBI)を治療または予防するのに有用な方法、ならびにカンナビジオール(CBD)および揮発性麻酔薬、特にイソフルランを含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のカンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む負荷用量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、外傷性脳損傷(TBI)の治療または予防のための方法。
【請求項2】
1つまたは複数のCBDの維持用量を投与するステップをさらに含み、CBDの維持用量が負荷用量の投与後に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CBDの維持用量が負荷用量の投与の少なくとも1日後に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
CBDが合成化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
揮発性麻酔薬が、有機フッ素化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
有機フッ素化合物がイソフルランまたはメトキシフルランである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
有機フッ素化合物がイソフルランである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
負荷用量が、約0.01~約10の最小肺胞濃度(MAC)を目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
負荷用量が約0.1mg~約1000mgのCBDを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
維持用量が約0.1mg~約1000mgのCBDを含む、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
CBDの負荷用量が吸入、経口投与、経鼻投与、および非経口投与からなる群から選択される方法により対象に投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
CBDの負荷用量が吸入により対象に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
TBIが軽度のTBIまたは脳振盪である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
TBIが急性脳損傷である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
負荷用量が、頭部損傷が生じた約10分~約24時間後に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
CBDおよび揮発性麻酔薬の負荷用量が同時に投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
CBDおよび揮発性麻酔薬の負荷用量が逐次に投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビクロメン(CBC)、およびデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)からなる群から選択される1つまたは複数のカンナビノイドを投与するステップをさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【請求項20】
CBDが合成化合物である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
揮発性麻酔薬が、有機フッ素化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項19または請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
有機フッ素化合物がイソフルランまたはメトキシフルランである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
有機フッ素化合物がイソフルランである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
が単回用量で約0.01~約10のMACを目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を投与するように製剤化された、請求項19から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
吸入による投与のために製剤化された、請求項19から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤をさらに含む、請求項19から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
単回用量で約0.1mg~約1000mgのCBDを投与するために製剤化された、請求項19から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
CBG、CBN、CBDL、CBC、およびTHCからなる群から選択される1つまたは複数のカンナビノイドをさらに含む、請求項19から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
TBIの治療または予防における使用のための、請求項19から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
有効量の請求項19から28のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、TBIの治療または予防のための方法。
【請求項31】
TBIの治療または予防のための医薬の製造における、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は全般に外傷性脳損傷(TBI)の治療または予防に有用な組成物および方法に関する。
関連出願
[0002]本出願は、2019年10月4日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2019903734号からの優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0003]外傷性脳損傷(TBI)は、急性の外部からの物理的力により引き起こされる脳の構造および機能の損傷から生ずる。硬膜下血腫および破壊的な脳損傷を含む急性脳損傷の場合、短期的な影響により死に至る可能性があるが、一方、軽度のTBI、または脳振盪は、肉眼的な脳の構造的損傷よりむしろ、機能障害および軸索損傷を引き起こす。TBIの程度は著しく変化し得るが、TBIが起こるメカニズムは、衝撃の瞬間に起こる一次傷害(すなわち、一次損傷、機械的損傷)の性質と、損傷の瞬間に開始され臨床症状が遅れて現れる連続した病理過程を表す二次傷害(二次損傷、遅延非機械的損傷)により決定される。
【0003】
[0004]TBIは、世界的に罹患率および致死率の主な原因として認識されている。TBIは、自動車事故、転倒、暴行が原因で、およびボクシング、総合格闘技、キックボクシング、サッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツに参加する個人において起こる。スポーツに関連する外傷での急性脳損傷は、脳振盪、亜脳振盪、出血、またはその他の構造的な脳損傷を引き起こす可能性がある。TBIの慢性的な結果として、慢性外傷性脳症(CTE)があり、これは一般に「パンチドランク」症候群とも呼ばれる神経変性疾患である。これにも関わらず、TBIの治療または予防のための効果的な薬理学的アプローチは現在存在しない。実際、TBIの臨床的管理は、主に減圧開頭術による外科的介入に限定されており、これは頭蓋内圧を下げるために頭蓋骨区分の除去を要する。したがって、TBIの治療または予防のための薬理学的アプローチの開発は、依然として急務である。
【発明の概要】
【0004】
[0005]本開示の態様では、有効量のカンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む負荷用量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、外傷性脳損傷(TBI)の治療または予防のための方法が提供される。
【0005】
[0006]本開示の別の態様では、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む組成物が提供される。
[0007]本開示の別の態様では、TBIの治療または予防における使用のための、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む組成物が提供される。
【0006】
[0008]本開示の別の態様では、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、TBIの治療または予防のための方法が提供される。
【0007】
[0009]本開示の別の態様では、TBIの治療または予防のための医薬の製造における、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0010]別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の材料および方法が、本発明を実施するために使用され得る。
【0009】
[0011]本明細書を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素もしくは整数または一群の要素もしくは整数を包含するが、任意の他の要素もしくは整数または一群の要素もしくは整数を排除しないことを含意すると理解されよう。
【0010】
[0012]句「からなる(consisting of)」は、句「からなる(consisting of)」の後に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。したがって、句「からなる(consisting of)」は、列挙された要素が必須または強制的であり、他の要素は存在し得ないことを示す。句「から本質的になる(consisting essentially of)」は、その句の後に列挙される任意の要素を含み、その列挙された要素に関する本開示で指定された活動または作用に干渉しないかまたは寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、句「から本質的になる(consisting essentially of)」は、列挙された要素が必須または強制的であるが、他の要素は任意選択であり、列挙された要素の活動または作用に影響を及ぼすかどうかに応じて、存在しても、または存在しなくてもよいことを示す。
【0011】
[0013]本明細書では、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数の側面も含む。したがって、例えば、「化合物(a compound)」という記載は1つの化合物ならびに2つ以上の化合物を含み、「薬剤(an agent)」という記載は1つの薬剤ならびに2つ以上の薬剤を含む、といった具合である。
【0012】
[0014]用語「約」は、当業者には理解され、それが使用される文脈に応じてある程度異なるであろう。用語が使用される文脈を考慮して、当業者にとって明らかではない用語の使用がある場合、「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味するものとする。
外傷性脳損傷(TBI)の治療
[0015]本開示は、少なくとも部分的には、本発明者の驚くべき発見を前提としており、これはカンナビジオール(CBD)および揮発性麻酔薬、例えばイソフルランの投与が、相乗的に外傷性脳損傷(TBI)に関連する二次免疫媒介損傷から脳を保護し、それによって頭部損傷後の神経保護効果を提供し得るというものである。この発見は、TBIの治療または予防のための方法の実践に還元された。
【0013】
[0016]したがって、本開示の態様では、有効量のCBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む負荷用量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、TBIの治療または予防のための方法が提供される。
【0014】
[0017]「カンナビジオール」または「CBD」はCannabis属の植物により産生されるカンナビノイドである。CBDは、CB1およびCB2受容体のアゴニストに対してアンタゴニスト活性を有する。
【0015】
[0018]CBDは、カンナビス植物中でカンナビジオール酸(CBDA)として合成され、これが脱炭酸してCBDとなる(表1)。植物内ではいくらかの脱炭酸が起こる可能性があるが、脱炭酸は通常収穫後に起こり、植物材料を熱にさらすことで増加する(SanchezおよびVerpoote、2008年、Plant and Cell Physiology、49(12):1767~82頁)。脱炭酸は通常植物材料を乾燥および/または加熱することにより達成される。当業者であれば、CBDAの脱炭酸が促進され得る方法に精通しており、その例示的な例としては、風乾、燃焼、気化、硬化、加熱および焼成などがある。脱炭酸されたCBDは、通常、CB1および/またはCB2を含むカンナビノイド受容体に直接または間接的に結合および/またはそれを刺激することになる。したがって、CBDはCB1およびCB2などのカンナビノイド受容体のリガンドとしての活性を示し、これらの受容体のインバースアゴニストとして作用することが示唆されている。
【0016】
【0017】
[0019]CBDは、葉、花、または茎を含む任意の適切な植物部分から抽出することができ、当業者に公知の任意の適切な手段によって製造することができる。例えば、CBD抽出物は、超臨界もしくは亜臨界CO2による抽出、または加熱ガスを用いた植物材料の揮発によって製造することができる。植物材料からCBDおよび他のカンナビノイドを抽出するために用いられる方法の例示的な例としては、米国特許第10189762およびWO2004/016277に記載されている方法などがある。
【0018】
[0020]好ましい実施形態では、本明細書に記載されるCBDは合成化合物である。合成されたCBDは、汚染物質をほとんど含まないため、医薬品開発に特に有用である。鎮痛作用および/または他の有益な特性を表す多数の合成カンナビノイドが、例えば、RahnおよびHohmann、2009年、Neurotherapeutics 6:713~37頁に記載されている。
【0019】
[0021]用語「負荷用量」は、本明細書で使用される場合、薬剤または薬剤の組合せ、例えば、CBDおよび/または揮発性麻酔薬の初回または最初の用量を指す。
[0022]本明細書で使用される場合、用語「揮発性麻酔薬」または「VA」は、室温では液体であるが、吸入による投与のために容易に気化する麻酔薬のクラスを指す。揮発性麻酔薬はニューロンの興奮性閾値を上昇させ、その結果、頭部損傷後の神経興奮の程度を低下させる可能性がある。適切な揮発性麻酔薬は当業者に公知であり、その例示的な例としては、メトキシフルラン、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルランおよびデスフルランなどがある。
【0020】
[0023]ある実施形態では、揮発性麻酔薬はハロゲン化揮発性麻酔薬、またはその薬学的に許容される塩である。別の実施形態では、揮発性麻酔薬は有機フッ素化合物である。ある実施形態では、有機フッ素化合物はメトキシフルランまたはイソフルランである。好ましい実施形態では、有機フッ素化合物はイソフルランである。
【0021】
[0024]用語「外傷性脳損傷」または「TBI」は、当業者には、外部からの力により引き起こされる脳への損傷を意味するものとして理解されよう。一般的な原因には、転倒、交通事故、暴行、またはスポーツ中に物にぶつかることなどがある。対象が受ける頭部損傷の結果は、2つの実質的に異なるメカニズム:(i)衝撃時に起こる一次傷害(すなわち、一次損傷、機械的損傷);および(ii)衝撃時に開始され臨床症状が遅れて現れる連続した病理過程を表す二次傷害(二次損傷、遅延非機械的損傷)により決定される。一次傷害は、組織の直接的な損傷ならびに脳血流(CBF)および代謝の調節障害により特徴づけられる。この虚血様パターンは、嫌気性解糖による乳酸の蓄積、膜透過性の増加、および連続した水腫の形成をもたらす。二次傷害は様々な病態生理学的結果を広く包含し、これには例えば、末端膜の脱分極、興奮性神経伝達物質(例えば、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩)の放出、Ca2+および/またはNa2+を介した細胞内異化プロセス、および免疫調節物質(例えば、サイトカイン、プロスタグランジン、フリーラジカル、および補体)の活性化が含まれ得る。これらの事象が重なると、血管ならびに細胞構造の膜分解、および神経細胞死(例えば、ネクローシスの、またはアポトーシスの)をもたらす。
【0022】
[0025]ある実施形態では、本明細書に記載される方法は、TBIの二次傷害の間の神経細胞死を低減または予防するのに有用である可能性がある。特定の実施形態では、有効量のCBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む負荷用量が、頭部損傷(すなわち、一次傷害)が生じた約10分~約24時間後に対象に投与されると、神経興奮および/または炎症が減少することがあり、これに対応して脳酸素消費およびCBFが減少し、それにより神経保護をもたらす。
【0023】
[0026]TBIはその重症度にしたがって、軽度、中等度、または重度に分類される。分類はGlasgow Coma Scale(GCS)(Ghelichkhaniら、2018年、Emergency(Tehran)、6(1):e42)に基づいて臨床的に決定することができ、これは運動反応、言語反応、および開眼反応を評価するものである。TBIが軽度である対象は、GCSが13~15であり、TBIが中等度である対象はGCSが9~12であり、TBIが重度である対象は、GCSが9未満となる。臨床評価がない場合、30分より長い意識喪失および24時間より長く続く健忘があれば、TBIは中等度から重度とみなされる。これらの条件が満たされない場合、TBIは軽度と分類される。他の症状がない場合の脳振盪は、通常、軽度のTBIに分類される。
【0024】
[0027]ある実施形態では、TBIは軽度から重度である。別の実施形態では、TBIは中等度から重度である。
[0028]ある実施形態では、対象がコンタクトスポーツに参加している間にTBIを被ってしまう。
【0025】
[0029]用語「対象」は本明細書で使用される場合、家畜および他の農場動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、およびニワトリなど)、パフォーマンス動物(競走馬など)、コンパニオン動物(ネコおよびイヌなど)、実験動物、ならびにヒトを含む任意の哺乳動物を指す。ある実施形態では、対象はヒトである。ある実施形態では、対象は成人である。別の実施形態では、対象は小児である。
【0026】
[0030]本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、典型的には、1つまたは複数の有益なまたは所望の治療結果(例えば神経興奮の減少、神経炎症の減少、CBFの減少、脳酸素消費の減少、神経認知欠損からの回復の改善、運動機能欠損からの回復の改善)に影響を与えるのに十分なCBDおよび揮発性麻酔薬の量(それらの組合せを含む)を指す。前記有益なまたは所望の治療結果は、当技術分野で公知の臨床技術を使用して測定することができ、その例示的な例としては近赤外分光法を使用した脳ヘモグロビン流(CHbF)および脳静脈オキシヘモグロビン飽和度(CSVO2)の測定、Jainら(2010年、Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism、30(9):1598~1607頁)により記載されたような磁気共鳴画像法(MRI)による全脳酸素消費率の推定、炎症性メディエーターの存在の定量化(例えば、インターロイキン-1、TNF、TGF-βなど)、ミクログリア活性化のマーカー(すなわち、IBA1)、星状膠細胞反応のマーカー(すなわち、GFAP)ならびに神経喪失のマーカー(すなわち、NeuNまたはFlurojade)に対する免疫組織化学、脳波検査(EEG)、および神経認知テストバッテリー(例えば、ImPACT、Cogstate、など)などがある。「有効量」は1つまたは複数の投与で提供され得る。正確な必要量は、治療すべきTBIの性質および重症度、対象の年齢および全般的な健康状態、ならびに活性剤の投与形態などの要因に応じて変わる可能性がある。
【0027】
[0031]用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、「治療(treatment)」などは、本明細書において交換可能に使用され、対象においてTBIの重症度および/もしくは進行、またはその症状を緩和、低減、軽減、改善、またはそうでなければ阻害することを意味する。用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、「治療(treatment)」などは、本明細書で使用される場合、TBIの臨床的症状が除かれるか、またはもはや明らかでなくなるまで(例えば、神経興奮、神経炎症、CBF、脳酸素消費)、対象が治療されることを含意しないことが理解されるべきである。前記治療は、臨床的後遺症を伴う脳内神経損傷を予防することにより、TBIの重症度を低減することもできる。
【0028】
[0032]用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」などは、本明細書において交換可能に使用されて、対象においてTBIの発症および/もしくはTBIの進行、またはその症状を阻害、妨害、阻止、低減、またはそうでなければ遅延することを意味する。本開示の文脈では、用語「予防する(prevent)」およびその変形は特定の事象の完全な予防を必ずしもを含意しない。むしろ、予防は、所望の効果をもたらすのに十分な程度、および/または時間であってよい。予防は、事象、活性、または機能の阻害、阻止、低減、またはそうでなければ妨害であり得る。そのような予防的効果は、実際は大きさおよび/または時間的なものであってよい。
【0029】
[0033]本明細書に開示される方法にしたがって、CBDおよび揮発性麻酔薬は逐次的にまたは同時に、および同じ負荷用量の一部としてまたは別々の負荷用量の一部として(例えば、CBDを含む第1の負荷用量および揮発性麻酔薬を含む第2の負荷用量)投与されてもよい。
【0030】
[0034]ある実施形態では、負荷用量は、頭部損傷が生じた約10分~約24時間後(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60分;または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間)に投与される。したがって、ある実施形態では、負荷用量は、頭部損傷が生じた約10分後、好ましくは約11分後、好ましくは約12分後、好ましくは約13分後、好ましくは約14分後、好ましくは約15分後、好ましくは約16分後、好ましくは約17分後、好ましくは約18分後、好ましくは約19分後、好ましくは約20分後、好ましくは約21分後、好ましくは約22分後、好ましくは約23分後、好ましくは約24分後、好ましくは約25分後、好ましくは約26分後、好ましくは約27分後、好ましくは約28分後、好ましくは約29分後、好ましくは約30分後、好ましくは約31分後、好ましくは約32分後、好ましくは約33分後、好ましくは約34分後、好ましくは約35分後、好ましくは約36分後、好ましくは約37分後、好ましくは約38分後、好ましくは約39分後、好ましくは約40分後、好ましくは約41分後、好ましくは約41分後、好ましくは約42分後、好ましくは約43分後、好ましくは約44分後、好ましくは約45分後、好ましくは約46分後、好ましくは約47分後、好ましくは約48分後、好ましくは約49分後、好ましくは約50分後、好ましくは約51分後、好ましくは約52分後、好ましくは約53分後、好ましくは約54分後、好ましくは約55分後、好ましくは約56分後、好ましくは約57分後、好ましくは約58分後、好ましくは約59分後、またはより好ましくは約60分後に投与される。別の実施形態では、負荷用量は、頭部損傷が生じた約1時間後、好ましくは約2時間後、好ましくは約3時間後、好ましくは約4時間後、好ましくは約5時間後、好ましくは約6時間後、好ましくは約7時間後、好ましくは約8時間後、好ましくは約9時間後、好ましくは約10時間後、好ましくは約11時間後、好ましくは約12時間後、好ましくは約13時間後、好ましくは約14時間後、好ましくは約15時間後、好ましくは約16時間後、好ましくは約17時間後、好ましくは約18時間後、好ましくは約19時間後、好ましくは約20時間後、好ましくは約21時間後、好ましくは約22時間後、好ましくは約23時間後、またはより好ましくは約24時間後に投与される。
【0031】
[0035]本明細書の他の箇所に記載されるように、CBDおよび揮発性麻酔薬は同じ負荷用量に製剤化されてもよく(例えば、同時投与のために)、またはそれらは逐次的投与のために異なる負荷用量として製剤化されてもよい。「逐次的」投与とは、CBDと揮発性麻酔薬の投与の間に間隔があることを意味する。逐次的投与の間隔は、数秒、数分、数時間、または数日であってもよい。ある実施形態では、CBDと揮発性麻酔薬の逐次的投与の間隔は約30分~約2時間である。逐次的投与は、どのような順番でもよい。
【0032】
[0036]CBDおよび揮発性麻酔薬の負荷用量が逐次的に投与される場合、CBDが最初に投与され、その後に揮発性麻酔薬が投与されてもよく、その逆もまた同様である。特定の実施形態では、CBDの負荷用量は、頭部損傷が生じた約15分~約30分後に対象に投与されてもよく、揮発性麻酔薬の負荷用量は、頭部損傷が生じた約1時間~約2時間後に対象に投与されてもよい。
【0033】
[0037]ある実施形態では、CBDおよび揮発性麻酔薬の負荷用量は、TBIに関連する症状の改善に適した1つまたは複数の他の薬剤と共投与されてもよく、その例示的な例としては、抗不安薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、筋弛緩薬および刺激薬などがある。
【0034】
[0038]ある実施形態では、方法は、カンナビゲロール(CBG)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビクロメン(CBC)、およびデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)からなる群から選択される1つまたは複数のカンナビノイドを投与するステップをさらに含む。
【0035】
[0039]本明細書に開示される方法にしたがって、揮発性麻酔薬は吸入により対象に投与される。吸入の場合、揮発性麻酔薬は任意の適切な送達システムを使用して投与することができ、その例示的な例としては、液体送達システム、定量吸入器(MDI)システム、ネブライザー、噴霧剤システム、およびそれらの組合せなどがある。
【0036】
[0040]ある実施形態では、揮発性麻酔薬は蒸気の形態で投与される。気化して投与する場合、活性剤は、組成物中の活性剤を安定化するために乳化剤、香味増強剤、および酸化防止保存剤を含む適切な担体、希釈剤、および賦形剤を含む液体として製剤化することができる。揮発性麻酔薬の投与のための適切なプロトコルは当業者に公知であろうが、その例示的な例としては、Solowijらによって記載された方法(2014年、BMC Pharmacology and Toxicology、15)、BlairおよびFramptonによって記載された方法(2016年、Clinical Drug Investigation、36(12):1067~1073頁)、およびWO2016001922に記載された方法などがある。
【0037】
[0041]いくつかの実施形態では、所望の治療効果を得るために、活性剤の定期的な再投与(例えば、逐次的または共投与のいずれか)が必要とされる場合がある。CBDおよび揮発性麻酔薬の正確な用量および投与速度は、多くの要因に依存し、その例は本明細書の他の箇所に記載され、例えば対象者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事要件、ならびに組成物の投与と組み合わせて、または同時に使用される任意の薬物または薬剤などである。複数回に分けた用量が必要な場合、時間単位の、日単位の、週単位の、月単位の、または他の適切な期間の間隔でこれらは投与されてよく、または用量は状況の必要性に応じて比例的に減らすことができる。
【0038】
[0042]用語「維持用量」は、本明細書では、最初の負荷用量の後の1つまたは複数のCBDおよび/または揮発性麻酔薬の後続用量を指す。
[0043]本明細書に開示されるある実施形態では、対象は1つまたは複数のCBDの維持用量を投与され、CBDの維持用量は負荷用量の投与後に投与される。
【0039】
[0044]対象に投与されるCBDの維持用量の投与回数および投与頻度は多くの要因に依存し、その例は本明細書中の他の箇所に記載され、例えば対象の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事要件、ならびに負荷用量に対する対象の反応性などである。
【0040】
[0045]ある実施形態では、維持用量は、負荷用量の投与の少なくとも1日後に投与される。
[0046]ある実施形態では、維持用量は毎日投与される。
【0041】
[0047]ある実施形態では、維持用量は、負荷用量の投与後、連続して3日間にわたり投与される。別の実施形態では、維持用量は、負荷用量の投与後、連続して5日間にわたり投与される。さらに別の実施形態では、維持用量は、負荷用量の投与後、連続して6日間にわたり投与される。
【0042】
[0048]別の実施形態では、維持用量は、負荷用量の投与後に長期にわたり投与される。
[0049]ある実施形態では、負荷用量は約0.1mg~約1000mgのCBD(例えば、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、590mg、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg、790mg、800mg、810mg、820mg、830mg、840mg、850mg、860mg、870mg、880mg、890mg、900mg、910mg、920mg、930mg、940mg、950mg、960mg、970mg、980mg、990mg、または1000mg)を含む。したがって、ある実施形態では、負荷用量は約0.1mg、好ましくは約0.2mg、好ましくは約0.3mg、好ましくは約0.4mg、好ましくは約0.5mg、好ましくは約0.6mg、好ましくは約0.7mg、好ましくは約0.8mg、好ましくは約0.9mg、好ましくは約1mg、好ましくは約2mg、好ましくは約3mg、好ましくは約4mg、好ましくは約5mg、好ましくは約6mg、好ましくは約7mg、好ましくは約8mg、好ましくは約9mg、好ましくは約10mg、好ましくは約20mg、好ましくは約30mg、好ましくは約40mg、好ましくは約50mg、好ましくは約60mg、好ましくは約70mg、好ましくは約80mg、好ましくは約90mg、好ましくは約100mg、好ましくは約110mg、好ましくは約120mg、好ましくは約130mg、好ましくは約140mg、好ましくは約150mg、好ましくは約160mg、好ましくは約170mg、好ましくは約180mg、好ましくは約190mg、好ましくは約200mg、好ましくは約210mg、好ましくは約220mg、好ましくは約230mg、好ましくは約240mg、好ましくは約250mg、好ましくは約260mg、好ましくは約270mg、好ましくは約280mg、好ましくは約290mg、好ましくは約300mg、好ましくは約310mg、好ましくは約320mg、好ましくは約330mg、好ましくは約340mg、好ましくは約350mg、好ましくは約360mg、好ましくは約370mg、好ましくは約380mg、好ましくは約390mg、好ましくは約400mg、好ましくは約410mg、好ましくは約420mg、好ましくは約430mg、好ましくは約440mg、好ましくは約450mg、好ましくは約460mg、好ましくは約470mg、好ましくは約480mg、好ましくは約490mg、好ましくは約500mg、好ましくは約510mg、好ましくは約520mg、好ましくは約530mg、好ましくは約540mg、好ましくは約550mg、好ましくは約560mg、好ましくは約570mg、好ましくは約580mg、好ましくは約590mg、好ましくは約700mg、好ましくは約710mg、好ましくは約720mg、好ましくは約730mg、好ましくは約740mg、好ましくは約750mg、好ましくは約760mg、好ましくは約770mg、好ましくは約780mg、好ましくは約790mg、好ましくは約800mg、好ましくは約810mg、好ましくは約820mg、好ましくは約830mg、好ましくは約840mg、好ましくは約850mg、好ましくは約860mg、好ましくは約870mg、好ましくは約880mg、好ましくは約890mg、好ましくは約900mg、好ましくは約910mg、好ましくは約920mg、好ましくは約930mg、好ましくは約940mg、好ましくは約950mg、好ましくは約960mg、好ましくは約970mg、好ましくは約980mg、好ましくは約990mg、またはより好ましくは約1000mgのCBDを含む。
【0043】
[0050]ある実施形態では、負荷用量は、少なくとも0.01(例えば、0.01、0.02、0.03、など)の最小肺胞濃度(MAC)を目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を含む。
【0044】
[0051]ある実施形態では、負荷用量は、約0.01~約10のMAC(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10)を目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を含む。したがって、ある実施形態では、負荷用量は約0.01、好ましくは約0.02、好ましくは約0.03、好ましくは約0.04、好ましくは約0.05、好ましくは約0.06、好ましくは約0.07、好ましくは約0.08、好ましくは約0.09、好ましくは約0.1、好ましくは約0.2、好ましくは約0.3、好ましくは約0.4、好ましくは約0.5、好ましくは約0.6、好ましくは約0.7、好ましくは約0.8、好ましくは約0.9、好ましくは約1、好ましくは約1.5、好ましくは約2、好ましくは約2.5、好ましくは約3、好ましくは約3.5、好ましくは約4、好ましくは約4.5、好ましくは約5、好ましくは約5.5、好ましくは約6、好ましくは約6.5、好ましくは約7、好ましくは約7.5、好ましくは約8、好ましくは約8.5、好ましくは約9、好ましくは約9.5、または好ましくは約10のMACを目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を含む。
【0045】
[0052]ある実施形態では、揮発性麻酔薬はメトキシフルランであり、負荷用量は0.3のMACを目標とするのに有効な量のメトキシフルランを含む。
[0053]別の実施形態では、揮発性麻酔薬はイソフルランであり、負荷用量は1.5のMACを目標とするのに有効な量のイソフルランを含む。
【0046】
[0054]ある実施形態では、維持用量は、約0.1mg~約1000mgのCBD(例えば、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、590mg、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg、790mg、800mg、810mg、820mg、830mg、840mg、850mg、860mg、870mg、880mg、890mg、900mg、910mg、920mg、930mg、940mg、950mg、960mg、970mg、980mg、990mg、または1000mg)を含む。したがって、ある実施形態では、維持用量は約0.1mg、好ましくは約0.2mg、好ましくは約0.3mg、好ましくは約0.4mg、好ましくは約0.5mg、好ましくは約0.6mg、好ましくは約0.7mg、好ましくは約0.8mg、好ましくは約0.9mg、好ましくは約1mg、好ましくは約2mg、好ましくは約3mg、好ましくは約4mg、好ましくは約5mg、好ましくは約6mg、好ましくは約7mg、好ましくは約8mg、好ましくは約9mg、好ましくは約10mg、好ましくは約20mg、好ましくは約30mg、好ましくは約40mg、好ましくは約50mg、好ましくは約60mg、好ましくは約70mg、好ましくは約80mg、好ましくは約90mg、好ましくは約100mg、好ましくは約110mg、好ましくは約120mg、好ましくは約130mg、好ましくは約140mg、好ましくは約150mg、好ましくは約160mg、好ましくは約170mg、好ましくは約180mg、好ましくは約190mg、好ましくは約200mg、好ましくは約210mg、好ましくは約220mg、好ましくは約230mg、好ましくは約240mg、好ましくは約250mg、好ましくは約260mg、好ましくは約270mg、好ましくは約280mg、好ましくは約290mg、好ましくは約300mg、好ましくは約310mg、好ましくは約320mg、好ましくは約330mg、好ましくは約340mg、好ましくは約350mg、好ましくは約360mg、好ましくは約370mg、好ましくは約380mg、好ましくは約390mg、好ましくは約400mg、好ましくは約410mg、好ましくは約420mg、好ましくは約430mg、好ましくは約440mg、好ましくは約450mg、好ましくは約460mg、好ましくは約470mg、好ましくは約480mg、好ましくは約490mg、好ましくは約500mg、好ましくは約510mg、好ましくは約520mg、好ましくは約530mg、好ましくは約540mg、好ましくは約550mg、好ましくは約560mg、好ましくは約570mg、好ましくは約580mg、好ましくは約590mg、好ましくは約700mg、好ましくは約710mg、好ましくは約720mg、好ましくは約730mg、好ましくは約740mg、好ましくは約750mg、好ましくは約760mg、好ましくは約770mg、好ましくは約780mg、好ましくは約790mg、好ましくは約800mg、好ましくは約810mg、好ましくは約820mg、好ましくは約830mg、好ましくは約840mg、好ましくは約850mg、好ましくは約860mg、好ましくは約870mg、好ましくは約880mg、好ましくは約890mg、好ましくは約900mg、好ましくは約910mg、好ましくは約920mg、好ましくは約930mg、好ましくは約940mg、好ましくは約950mg、好ましくは約960mg、好ましくは約970mg、好ましくは約980mg、好ましくは約990mg、またはより好ましくは約1000mgのCBDを含む。
【0047】
[0055]ある実施形態では、CBDの負荷用量は、吸入、経口投与、経鼻投与、および非経口投与(例えば、注射)からなる群から選択される方法により対象に投与される。
[0056]ある実施形態では、CBDの負荷用量は、非経口投与により対象に投与される。
【0048】
[0057]ある実施形態では、CBDの負荷用量は、吸入により対象に投与される。
[0058]ある実施形態では、CBDの維持用量は、吸入、経口投与、経鼻投与、および非経口投与(例えば、注射)からなる群から選択される方法により対象に投与される。
【0049】
[0059]ある実施形態では、CBDの維持用量は、非経口投与により対象に投与される。
[0060]ある実施形態では、CBDの維持投与用量量は、吸入により対象に投与される。別の実施形態では、CBDの維持用量は、経口的に対象に投与される。
【0050】
[0061]当業者であれば、負荷用量と維持用量の投与方法が同じである必要はないことを理解するであろう。したがって、本開示の方法は、例えば、非経口投与によるCBDの負荷用量、および経口投与によるCBDの維持用量の投与を意図する。
【0051】
[0062]本明細書に開示される他の実施形態では、CBDおよび揮発性麻酔薬は投与のための別々の単位剤形として製剤化される。単位剤形は、吸入器、ネブライザー、アトマイザー、MDI、または気化器に適していてもよい。ある実施形態では、単位剤形は気化器に適している。当業者であれば、CBDおよび/または揮発性麻酔薬を含む単位剤形が同じ種類である必要はないことを理解するであろう。したがって、本開示の方法は、例えば、気化器によるCBDの投与、およびMDIによる揮発性麻酔薬の投与を意図する。
組成物
[0063]また本明細書では、CBDまたはその薬学的に許容される塩、および揮発性麻酔薬またはその薬学的に許容される塩を含む組成物も提供される。
【0052】
[0064]ある実施形態では、CBDは合成化合物である。
[0065]ある実施形態では、揮発性麻酔薬は有機フッ素化合物である。
[0066]ある実施形態では、有機フッ素化合物はイソフルランまたはメトキシフルランである。他の実施形態では、有機フッ素化合物はイソフルランである。
【0053】
[0067]吸入の場合、組成物は、当業者に知られている任意の適切な送達システムによる投与のために製剤化することができ、その例示的な例としては、乾燥粉末エアゾール、液体送達システム、MDI、ネブライザー、噴霧剤システムなどがある。ある実施形態では、組成物は蒸気の形態で投与するために製剤化される。
【0054】
[0068]ある実施形態では、組成物は総重量で約0.1%~約90%、好ましくは約0.1%~約89%、好ましくは約0.1%~約88%、好ましくは約0.1%~約87%、好ましくは約0.1%~約86%、好ましくは約0.1%~約85%、好ましくは約0.1%~約84%、好ましくは約0.1%~約83%、好ましくは約0.1%~約82%、好ましくは約0.1%~約81%、好ましくは約0.1%~約80%、好ましくは約0.1%~約79%、好ましくは約0.1%~約78%、好ましくは約0.1%~約77%、好ましくは約0.1%~約76%、好ましくは約0.1%~約75%、好ましくは約0.1%~約74%、好ましくは約0.1%~約73%、好ましくは約0.1%~約72%、好ましくは約0.1%~約71%、好ましくは約0.1%~約70%、好ましくは約0.1%~約69%、好ましくは約0.1%~約68%、好ましくは約0.1%~約67%、好ましくは約0.1%~約66%、好ましくは約0.1%~約65%、好ましくは約0.1%~約64%、好ましくは約0.1%~約63%、好ましくは約0.1%~約66%、好ましくは約0.1%~約65%、好ましくは約0.1%~約64%、好ましくは約0.1%~約63%、好ましくは約0.1%~約62%、好ましくは約0.1%~約61%、好ましくは約0.1%~約60%、好ましくは約0.1%~約59%、好ましくは約0.1%~約58%、好ましくは約0.1%~約57%、好ましくは約0.1%~約56%、好ましくは約0.1%~約55%、好ましくは約0.1%~約54%、好ましくは約0.1%~約53%、好ましくは約0.1%~約52%、好ましくは約0.1%~約51%、好ましくは約0.1%~約50%、好ましくは約0.1%~約49%、好ましくは約0.1%~約48%、好ましくは約0.1%~約47%、好ましくは約0.1%~約46%、好ましくは約0.1%~約45%、好ましくは約0.1%~約44%、好ましくは約0.1%~約43%、好ましくは約0.1%~約42%、好ましくは約0.1%~約41%、好ましくは約0.1%~約40%、好ましくは約0.1%~約39%、好ましくは約0.1%~約38%、好ましくは約0.1%~約37%、好ましくは約0.1%~約36%、好ましくは約0.1%~約35%、好ましくは約0.1%~約34%、好ましくは約0.1%~約33%、好ましくは約0.1%~約32%、好ましくは約0.1%~約31%、好ましくは約0.1%~約30%、好ましくは約0.1%~約29%、好ましくは約0.1%~約28%、好ましくは約0.1%~約27%、好ましくは約0.1%~約26%、好ましくは約0.1%~約25%、好ましくは約0.1%~約24%、好ましくは約0.1%~約23%、好ましくは約0.1%~約22%、好ましくは約0.1%~約21%、好ましくは約0.1%~約20%、好ましくは約0.1%~約19%、好ましくは約0.1%~約18%、好ましくは約0.1%~約17%、好ましくは約0.1%~約16%、好ましくは約0.1%~約15%、好ましくは約0.1%~約14%、好ましくは約0.1%~約13%、好ましくは約0.1%~約12%、好ましくは約0.1%~約11%、好ましくは約0.1%~約10%、好ましくは約0.1%~約9%、好ましくは約0.1%~約8%、好ましくは約0.1%~約7%、好ましくは約0.1%~約6%、好ましくは約0.1%~約5%、好ましくは約0.1%~約4%、好ましくは約0.1%~約3%、好ましくは約0.1%~約2%、または好ましくは約0.1%~約1%の濃度のCBDを含む。
【0055】
[0069]ある実施形態では、組成物は、単回用量で約0.1mg~約1000mg(例えば、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、590mg、700mg、710mg、720mg、730mg、740mg、750mg、760mg、770mg、780mg、790mg、800mg、810mg、820mg、830mg、840mg、850mg、860mg、870mg、880mg、890mg、900mg、910mg、920mg、930mg、940mg、950mg、960mg、970mg、980mg、990mg、または1000mg)のCBDを投与するために製剤化される。したがって、ある実施形態では、組成物は単回用量で約0.1mg、好ましくは約0.2mg、好ましくは約0.3mg、好ましくは約0.4mg、好ましくは約0.5mg、好ましくは約0.6mg、好ましくは約0.7mg、好ましくは約0.8mg、好ましくは約0.9mg、好ましくは約1mg、好ましくは約2mg、好ましくは約3mg、好ましくは約4mg、好ましくは約5mg、好ましくは約6mg、好ましくは約7mg、好ましくは約8mg、好ましくは約9mg、好ましくは約10mg、好ましくは約20mg、好ましくは約30mg、好ましくは約40mg、好ましくは約50mg、好ましくは約60mg、好ましくは約70mg、好ましくは約80mg、好ましくは約90mg、好ましくは約100mg、好ましくは約110mg、好ましくは約120mg、好ましくは約130mg、好ましくは約140mg、好ましくは約150mg、好ましくは約160mg、好ましくは約170mg、好ましくは約180mg、好ましくは約190mg、好ましくは約200mg、好ましくは約210mg、好ましくは約220mg、好ましくは約230mg、好ましくは約240mg、好ましくは約250mg、好ましくは約260mg、好ましくは約270mg、好ましくは約280mg、好ましくは約290mg、好ましくは約300mg、好ましくは約310mg、好ましくは約320mg、好ましくは約330mg、好ましくは約340mg、好ましくは約350mg、好ましくは約360mg、好ましくは約370mg、好ましくは約380mg、好ましくは約390mg、好ましくは約400mg、好ましくは約410mg、好ましくは約420mg、好ましくは約430mg、好ましくは約440mg、好ましくは約450mg、好ましくは約460mg、好ましくは約470mg、好ましくは約480mg、好ましくは約490mg、好ましくは約500mg、好ましくは約510mg、好ましくは約520mg、好ましくは約530mg、好ましくは約540mg、好ましくは約550mg、好ましくは約560mg、好ましくは約570mg、好ましくは約580mg、好ましくは約590mg、好ましくは約700mg、好ましくは約710mg、好ましくは約720mg、好ましくは約730mg、好ましくは約740mg、好ましくは約750mg、好ましくは約760mg、好ましくは約770mg、好ましくは約780mg、好ましくは約790mg、好ましくは約800mg、好ましくは約810mg、好ましくは約820mg、好ましくは約830mg、好ましくは約840mg、好ましくは約850mg、好ましくは約860mg、好ましくは約870mg、好ましくは約880mg、好ましくは約890mg、好ましくは約900mg、好ましくは約910mg、好ましくは約920mg、好ましくは約930mg、好ましくは約940mg、好ましくは約950mg、好ましくは約960mg、好ましくは約970mg、好ましくは約980mg、好ましくは約990mg、またはより好ましくは約1000mgのCBDを投与するために製剤化される。
【0056】
[0070]ある実施形態では、組成物は総重量で約1%~約99.9%、好ましくは約2%~約99.9%、好ましくは約3%~約99.9%、好ましくは約4%~約99.9%、好ましくは約5%~約99.9%、好ましくは約6%~約99.9%、好ましくは約7%~約99.9%、好ましくは約8%~約99.9%、好ましくは約9%~約99.9%、好ましくは約10%~約99.9%、好ましくは約11%~約99.9%、好ましくは約12%~約99.9%、好ましくは約13%~約99.9%、好ましくは約14%~約99.9%、好ましくは約15%~約99.9%、好ましくは約16%~約99.9%、好ましくは約17%~約99.9%、好ましくは約18%~約99.9%、好ましくは約19%~約99.9%、好ましくは約20%~約99.9%、好ましくは約21%~約99.9%、好ましくは約22%~約99.9%、好ましくは約23%~約99.9%、好ましくは約24%~約99.9%、好ましくは約25%~約99.9%、好ましくは約26%~約99.9%、好ましくは約27%~約99.9%、好ましくは約28%~約99.9%、好ましくは約29%~約99.9%、好ましくは約30%~約99.9%、好ましくは約31%~約99.9%、好ましくは約32%~約99.9%、好ましくは約33%~約99.9%、好ましくは約34%~約99.9%、好ましくは約35%~約99.9%、好ましくは約36%~約99.9%、好ましくは約37%~約99.9%、好ましくは約38%~約99.9%、好ましくは約39%~約99.9%、好ましくは約40%~約99.9%、好ましくは約41%~約99.9%、好ましくは約42%~約99.9%、好ましくは約43%~約99.9%、好ましくは約44%~約99.9%、好ましくは約45%~約99.9%、好ましくは約46%~約99.9%、好ましくは約47%~約99.9%、好ましくは約48%~約99.9%、好ましくは約49%~約99.9%、好ましくは約50%~約99.9%、好ましくは約51%~約99.9%、好ましくは約52%~約99.9%、好ましくは約53%~約99.9%、好ましくは約54%~約99.9%、好ましくは約55%~約99.9%、好ましくは約56%~約99.9%、好ましくは約57%~約99.9%、好ましくは約58%~約99.9%、好ましくは約59%~約99.9%、好ましくは約60%~約99.9%、好ましくは約61%~約99.9%、好ましくは約62%~約99.9%、好ましくは約63%~約99.9%、好ましくは約64%~約99.9%、好ましくは約65%~約99.9%、好ましくは約66%~約99.9%、好ましくは約67%~約99.9%、好ましくは約68%~約99.9%、好ましくは約69%~約99.9%、好ましくは約70%~約99.9%、好ましくは約71%~約99.9%、好ましくは約72%~約99.9%、好ましくは約73%~約99.9%、好ましくは約74%~約99.9%、好ましくは約75%~約99.9%、好ましくは約76%~約99.9%、好ましくは約77%~約99.9%、好ましくは約78%~約99.9%、好ましくは約79%~約99.9%、好ましくは約80%~約99.9%、好ましくは約81%~約99.9%、好ましくは約82%~約99.9%、好ましくは約83%~約99.9%、好ましくは約84%~約99.9%、好ましくは約85%~約99.9%、好ましくは約86%~約99.9%、好ましくは約87%~約99.9%、好ましくは約88%~約99.9%、好ましくは約89%~約99.9%、好ましくは約90%~約99.9%、好ましくは約91%~約99.9%、好ましくは約92%~約99.9%、好ましくは約93%~約99.9%、好ましくは約94%~約99.9%、好ましくは約95%~約99.9%、好ましくは約96%~約99.9%、好ましくは約97%~約99.9%、好ましくは約98%~約99.9%、好ましくは約99%~約99.9%、好ましくは約99.1%~約99.9%、好ましくは約99.2%~約99.9%、好ましくは約99.3%~約99.9%、好ましくは約99.4%~約99.9%、好ましくは約99.5%~約99.9%、好ましくは約99.6%~約99.9%、好ましくは約99.7%~約99.9%、または好ましくは約99.8%~約99.9%の濃度の揮発性麻酔薬を含む。
【0057】
[0071]ある実施形態では、組成物は、単回用量で約0.01~約10(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10)のMACを目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を投与するように製剤化される。したがって、ある実施形態では、組成物は単回用量で約0.01、好ましくは約0.02、好ましくは約0.03、好ましくは約0.04、好ましくは約0.05、好ましくは約0.06、好ましくは約0.07、好ましくは約0.08、好ましくは約0.09、好ましくは約0.1、好ましくは約0.2、好ましくは約0.3、好ましくは約0.4、好ましくは約0.5、好ましくは約0.6、好ましくは約0.7、好ましくは約0.8、好ましくは約0.9、好ましくは約1、好ましくは約1.5、好ましくは約2、好ましくは約2.5、好ましくは約3、好ましくは約3.5、好ましくは約4、好ましくは約4.5、好ましくは約5、好ましくは約5.5、好ましくは約6、好ましくは約6.5、好ましくは約7、好ましくは約7.5、好ましくは約8、好ましくは約8.5、好ましくは約9、好ましくは約9.5、またはより好ましくは約10のMACを目標とするのに有効な量の揮発性麻酔薬を含む。
【0058】
[0072]本明細書に記載の組成物は、任意の適切な添加剤、担体、追加の治療薬、生体利用性促進剤、副作用抑制成分、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、保存剤、または組成物の有効性を損なわない他の成分をさらに含むことができる。
【0059】
[0073]ある実施形態では、組成物は1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤をさらに含む。
[0074]別の実施形態では、組成物は1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含む。適切な追加の治療薬は当業者に公知であり、その例示的な例としては、抗不安薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、筋弛緩薬および刺激薬などがある。
【0060】
[0075]ある実施形態では、組成物は、CBG、CBN、CBDL、CBC、およびTHCからなる群から選択される1つまたは複数のカンナビノイドをさらに含む。
[0076]本明細書に開示される組成物は、医薬および栄養補助食品産業で周知の従来方法、例えば、適切な賦形剤、希釈剤、および充填剤を使用してRemington’s Pharmaceutical Handbook(Mack Publishing Co.、NY、USA)に記載の方法にしたがって調製されてもよい。例示的な追加の成分としては、少なくとも1つの乳化剤(例えば、ポリエチレングリコール400(PEG-400)、プロピレングリコール、ベジタブルグリコール)、ブチル化ヒドロキシトルエン(E321)などがある。一般に、吸入による投与のために製剤化された組成物は、MDI、DPI、ネブライザー溶液、気化器溶液、懸濁液、および鼻腔スプレー(例えば、水性、粉末および噴霧剤駆動)により送達される。
【0061】
[0077]組成物、例えば、吸入による投与に適した組成物は、個別の単位(すなわち、剤形)であって、それぞれが組成物の各成分の所定量を粉末、顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、またはエマルジョンとして含有する単位として提示されてもよい。
【0062】
[0078]本明細書の他の箇所に記載されるように、組成物は投与のための別々の単位剤形として製剤化されてもよい。単位剤形は吸入器、ネブライザー、アトマイザー、MDI、または気化器に適していてもよい。
【0063】
[0079]当業者であれば、本明細書に記載される発明が具体的に記載される以外の変形および修飾を受けやすいことを認識するであろう。本発明は、趣旨および範囲内に属するこのような変形および修飾をすべて含むことを理解されたい。本発明はまた、本明細書で個別にまたはまとめて言及または示されたすべてのステップ、特徴、組成物および化合物、ならびに2つ以上の上記ステップまたは特徴の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0064】
[0080]別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
[0081]本明細書で言及されたすべての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
[0082]本明細書で可能となる様々な実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0066】
実施例1-TBIの治療のための例示的組成物
[0083]本開示による例示的組成物は以下の成分を有する。
活性成分
合成CBD: 20mg
メトキシフルラン: 0.3の最小肺胞濃度(MAC)を目標に、1:500を3mL
任意選択の追加の賦形剤
乳化剤
ブチル化ヒドロキシトルエン(E321)
実施例2-TBIの治療のための例示的方法
[0084]本開示によるTBIの治療のための例示的方法は以下の通りである。
実施例1の組成物:中等度から重度の頭部損傷の直後(すなわち、30分以内)の、液体の気化性組成物の吸入による対象への投与。
【0067】
[0085]CBDは脂溶性が高く、中枢神経系(CNS)組織にすばやく浸透して、吸入後2分以内に顕著な濃度に達する。メトキシフルランも同様に、吸入後2分以内に顕著なCNS濃度に達し得る脂溶性が高い揮発性麻酔薬である。
【0068】
実施例3-in vivoでのTBIの治療のためのCBDおよび揮発性麻酔薬
材料および方法
モデルの確立
[0086]イソフルラン療法と組み合わせたカンナビジオール(CBD)の効果を、制御皮質衝撃(CCI)により誘発したTBIのラットモデルを使用して評価した。簡潔に述べると、Sprague-Dawley(SD)ラットを3%ペントバルビタールナトリウムで麻酔した後、頭部を定位固体枠に固定した。開頭術を行った後、IMP-3000 TBI Impactorを用いて、直径5.0mm、深さ2.5mm、滞留時間100ms、および速度5m/sで挫傷損傷(CCI)を誘発した。対照ラットには開頭術を含む同様の外科的処置を行い、CCIは行わなかった。
群分けと治療
[0087]動物は、群平均体重が同様になるように無作為化により治療群に割り当てた。無作為化された群の詳細を表2に示す。
【0069】
【0070】
行動試験
[0088]CCI後の行動転帰を、CCI損傷後の認知障害を評価するモリス水迷路(MWM)(例えば、Nunez、2008年、Journal of Visualized Experiments、897参照)、および運動機能の変化を評価するロータロッド試験(例えば、Shiotsukiら、2010年、Journal of Neuroscience Methods、189:180~185頁参照)を使用して評価した。
結果
[0089]CBDとイソフルランの組合せ神経保護効果を、TBIのラット制御皮質衝撃モデルを使用して評価した。簡潔に述べると、はじめに開頭術で頭蓋骨から小さい円盤状の骨を取り除き、それから空気圧式ロッドを使用して露出した脳に直接的に衝撃を与えることでラットに頭部損傷を誘発する。本試験で使用された制御皮質衝撃(CCI)パラメーターは深さ2.5mm、速度5m/s、滞留時間100msであった。シャム対照動物には開頭術を含む同一の外科的処置を行ったが、CCI損傷は行わなかった。
【0071】
[0090]動物はCBD(20mg/kg)およびイソフルラン(1.5%)で、単独と組合せの両方で治療した(表2)。CBDおよびイソフルランを含む負荷用量を、CBDは損傷後15~30分、イソフルランは損傷後1~2時間に逐次的に投与した。CBDの1日維持用量は負荷用量の投与後6日間連続で投与した。
【0072】
[0091]CBDとイソフルランの組合せに伴う神経保護効果を評価するために、空間学習および記憶の調査のために十分確立されたアッセイであるMWM(Nunez、2008年、上記を参照;D’Hoogeら、2001年、Brain Research Reviews、36:60~90頁)、および運動協調性をモニターするために使用される装置であるロータロッド(Deacon、2013年、Journal of Visualized Expreiments、e2609~e2609;Shitosukiら、2010年、上記を参照)を頭部損傷後7日目に使用した。予測されるCBDとイソフルランの組合せ効果をブリス独立性の原理を使用して次の式で算出した:
Epred A+B=(EA+EB)-(EAEB)
[0092]この式の組合せの活性は次のように算出した:
(X-プラセボ)/(シャム-プラセボ)
[0093]2つの薬剤の相乗作用は、組み合わせた薬剤の観察された活性の差が予測された活性よりも大きい場合に生じる。これらの尺度から、CBDとイソフルランの組合せは、相乗作用によりin vivoで空間学習および記憶、ならびに運動協調性を改善させると考えられる。
【0073】
[0094]MWMでは、ラットを数日間かけて水槽内のプラットフォームの位置を認識するように訓練する。ラットはそれから水槽内に放たれ、プラットフォームを探し出せるかモニターする。プラットフォームを探し出せないのは、空間記憶の神経認知欠損を示す。CBDとイソフルランの組合せは、プラットフォームに位置するマウス(表3)とプラットフォームをうまく探し出せたマウスの数(表4)の両方の実例に関して、空間記憶の改善において相乗効果を発揮した。
【0074】
【0075】
【0076】
[0095]ロータロッドアッセイでは、マウスは回転する円筒上に乗せ、マウスが落ちるまでにかかる時間、すなわち待ち時間をモニターする。待ち時間が短いのは、運動機能の欠損を示す。CBDおよびイソフルランは、CCI TBIを受けたラットで待ち時間の増加において相乗効果を発揮した。
【0077】
【0078】
[0096]CBDで7日間治療(すなわち、負荷用量+6回連続維持用量)した場合に、負荷用量のみと比較して有益かどうかを決定するために、損傷の日のみにイソフルランを1.5%ならびにCBDを20mg/kgで投与される治療群も含まれた。負荷用量の投与のみでもTBIの症状を改善するのに十分であったが、7日間の治療によりMWMおよびロータロッドアッセイの両方でよりよい成果が得られた(表6)。
【0079】
【0080】
結論
[0097]本明細書に示されたデータは、CBDと揮発性麻酔薬、例えば、イソフルランの組合せが、相乗作用により頭部損傷後のTBIの症状の発現を効果的に治療または予防することを実証するものである。
【0081】
[0098]CBDおよび揮発性麻酔薬の単回負荷用量の投与は、確立されたTBIのin vivoモデルにおいて空間記憶および運動機能を改善するのに十分である。CBDおよび揮発性麻酔薬の単回負荷用量の投与後に観察された運動機能の改善は、最初の負荷用量に続く6回連続の維持用量の投与でさらに改善された。以上のことから、これらのデータは、TBIの治療または予防のための方法ならびにCBDおよび揮発性麻酔薬を含む組成物の実現を可能にする。
参考文献目録
・Blair and Frampton, 2016, Clinical Drug Investigation, 36(12): 1067-1073;
・Deacon, 2013, Journal of Visualized Expreiments, e2609-e2609;
・D’Hooge et al., 2001, Brain Research Reviews, 36: 60-90;
・Ghelichkhani et al., 2018, Emergency (Tehran), 6(1): e42;
・Jain et al., 2010, Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism, 30(9): 1598-1607;
・Nunez, 2008, Journal of Visualized Experiments, 897;
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・Solowij et al., 2014, BMC Pharmacology and Toxicology, 15;
・US Patent No. 10189762;
・WO 2004/016277; and
・WO 2016/001922.
【国際調査報告】