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特表2022-550912ブレーキシステムを動作させる方法、ブレーキシステム、自動車及び記憶媒体
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  • 特表-ブレーキシステムを動作させる方法、ブレーキシステム、自動車及び記憶媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ブレーキシステムを動作させる方法、ブレーキシステム、自動車及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20221128BHJP
   B60T 8/40 20060101ALI20221128BHJP
   B60T 8/42 20060101ALI20221128BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B60T17/22 Z
B60T8/40 C
B60T8/42
B60T13/138 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520920
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020077923
(87)【国際公開番号】W WO2021069404
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019215360.7
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュタノイコフスキー・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB07
3D048CC18
3D048CC54
3D048DD02
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH38
3D048HH50
3D048HH68
3D049BB03
3D049CC02
3D049HH12
3D049HH20
3D049HH31
3D049HH39
3D049HH48
3D049HH51
3D049PP02
3D246BA02
3D246CA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB37
3D246HA43A
3D246HA44A
3D246KA15
3D246LA02Z
3D246LA04Z
3D246LA15Z
3D246LA31Z
3D246LA57Z
3D246LA60B
3D246LA61Z
3D246MA06
3D246MA16
3D246MA21
3D246MA23
(57)【要約】
本発明は、自動車のためのブレーキシステム10を動作させる方法であって、第1のブレーキ回路Iは、ポンプ50によって選択的に供給され、及び第2のブレーキ回路IIは、リニアアクチュエータ40によって選択的に作動される、方法に関する。本発明は、関連するブレーキシステム、関連する方法及び関連する記憶媒体に更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのブレーキシステム(10)を動作させる方法であって、
- 前記ブレーキシステム(10)は、
- リニアアクチュエータ(40)、
- ポンプ(50)、
- 複数の車輪接続部(R)、
- 関連する車輪接続部(R)が接続される第1のブレーキ回路(I)、
- 関連する車輪接続部(R)が接続される第2のブレーキ回路(II)
を有し、
- 前記方法は、
- 前記ポンプ(50)によって前記第1のブレーキ回路(I)に圧力を選択的に加えること、
- 前記リニアアクチュエータ(40)によって前記第2のブレーキ回路(II)に圧力を選択的に加えることを含む当該方法。
【請求項2】
- 前記ポンプ(50)は、ピストンポンプである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記第1のブレーキ回路(I)と前記第2のブレーキ回路(II)とは、少なくとも1つの回路分離弁(KTV)によって互いに切替可能に接続され、
- 前記回路分離弁(KTV)は、前記方法中に閉じられる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記ブレーキシステム(10)は、マスターブレーキシリンダ(20)を有し、
- 前記マスターブレーキシリンダ(20)は、前記方法中に前記ブレーキ回路(I、II)から油圧的に切り離される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
- 前記ブレーキシステム(10)は、シミュレータ(30)を有し、
- 前記マスターブレーキシリンダ(20)は、前記方法中に前記シミュレータ(30)にのみ油圧的に接続される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記第1のブレーキ回路(I)と前記第2のブレーキ回路(II)とは、前記方法中に互いに油圧的に分離される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
- 回路別圧力制御は、前記ポンプ(50)及び/又は前記リニアアクチュエータ(40)によって行われる請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記ブレーキシステム(10)は、少なくとも1つの第1のモジュール(12)及び前記第1のモジュール(12)から構造的に分離している1つの第2のモジュール(14)を有し、
- 前記リニアアクチュエータ(40)は、前記第1のモジュール(12)に配置され、及び前記ポンプ(50)は、前記第2のモジュール(14)に配置される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
- 前記ブレーキシステム(10)は、少なくとも1つの電子制御デバイス(16)を有し、
- 前記方法は、前記電子制御デバイス(16)の全面的な故障又は部分的な故障に応じて実行される請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
- 前記リニアアクチュエータ(40)は、前記第2のブレーキ回路(II)における能動的な減圧のためにも構成及び/又は使用される請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
- 前記ブレーキシステム(10)は、前記第1のブレーキ回路(I)にいくつかの1つ又は複数の弁を有し、
- 前記第1のブレーキ回路(I)における、前記ポンプ(50)及び関連する車輪接続部(R)間の前記弁のすべては、調節可能であり、及び/又は
- 前記ブレーキシステム(10)は、前記第2のブレーキ回路(II)にいくつかの1つ又は複数の弁を有し、
- 前記第2のブレーキ回路(II)における、前記リニアアクチュエータ(40)及び関連する車輪接続部(R)間の前記弁のすべては、調節可能である請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
- 前記ブレーキシステム(10)は、流体貯留部(60)を有し、
- 前記ポンプ(50)及び/又は前記リニアアクチュエータ(40)は、吸い込み側で前記流体貯留部(60)に接続される請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ブレーキシステム(10)であって、
- リニアアクチュエータ(40)、
- ポンプ(50)、
- 複数の車輪接続部(R)、
- 関連する車輪接続部(R)が接続される第1のブレーキ回路(I)、
- 関連する車輪接続部(R)が接続される第2のブレーキ回路(II)、
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される電子制御デバイス(16)を有するブレーキシステム(10)。
【請求項14】
自動車であって、
- 請求項13に記載のブレーキシステム(10)、
- 第1の前輪ブレーキ(B1)を有する第1の前輪及び第2の前輪ブレーキ(B2)を有する第2の前輪、
- 第1の後輪ブレーキ(B3)を有する第1の後輪及び第2の後輪ブレーキ(B4)を有する第2の後輪
を有し、
- 前記前輪ブレーキ(B1、B2)は、前記第1のブレーキ回路(I)に割り当てられた車輪接続部(R)に接続され、
- 前記後輪ブレーキ(B3、B4)は、前記第2のブレーキ回路(II)に割り当てられた車輪接続部(R)に接続される当該自動車。
【請求項15】
プログラムコードが格納される、不揮発性のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムコードの実行中、プロセッサは、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行する当該不揮発性のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのブレーキシステムを動作させる方法に関する。本発明は、関連するブレーキシステム、関連する自動車及び関連する記憶媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車には、自動車を狙いどおりに減速させるためにブレーキシステムが使用される。一般に、ブレーキシステムは、1つのブレーキ回路が故障した場合に利用できる冗長性を有するように、複数のブレーキ回路に分割される。現在のブレーキシステムは、一般に、運転者が直接油圧による圧力を発生させ得るマスターブレーキシリンダだけでなく、リニアアクチュエータ又はポンプなどの電気的圧力発生器も更に有する。
【0003】
ブレーキシステムの部品が故障した場合、ブレーキシステムがその機能を少なくとも部分的にどの程度維持し得るかという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、既知の設計に代わるか又は既知の設計よりも優れた設計のものである、自動車のためのブレーキシステムを動作させる方法を提供することである。本発明の更なる目的は、関連するブレーキシステム、関連する自動車及び関連する記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これは、それぞれの主要な請求項に係る方法、ブレーキシステム、自動車及び記憶媒体によって達成される。有利な実施形態は、例えば、それぞれの従属請求項において見出すことができる。請求項の内容は、明示的に参照することにより本明細書の内容に組み込まれる。
【0006】
本発明は、自動車のためのブレーキシステムを動作させる方法に関する。ブレーキシステムは、リニアアクチュエータとポンプとを有する。前記ブレーキシステムは、複数の車輪接続部を有する。ブレーキシステムは、関連する車輪接続部が接続される第1のブレーキ回路を有する。ブレーキシステムは、関連する車輪接続部が接続される第2のブレーキ回路を有する。
【0007】
本方法は、
- ポンプによって第1のブレーキ回路に圧力を選択的に加えること、
- リニアアクチュエータによって第2のブレーキ回路に圧力を選択的に加えること
を有する。
【0008】
本発明による方法を実行することにより、2つのブレーキ回路に対して、互いに独立して、それぞれポンプ又はリニアアクチュエータによって圧力を加えることができる。これにより、ブレーキシステムの構成要素が部分的に故障した場合でも、純粋に電気的に圧力を加えることができ、2つのブレーキ回路を別々に作動させることができる。特に、2つのブレーキ回路に同時に圧力を加えることができる。
【0009】
したがって、特に制御が難しいマスターブレーキシリンダによってブレーキ回路の一方に圧力を加える必要性を回避することが可能になる。
【0010】
リニアアクチュエータは、特に、ブレーキフルードで満たされ、その後、ブレーキフルードを制御しながら放出し得る断続搬送デバイスであり得る。ポンプは、特にピストンポンプであり得、例えば連続搬送ポンプであり得る。
【0011】
例えば、2つの車輪接続部が各ブレーキ回路に接続され得る。しかしながら、1つの車輪接続部又は3つ以上の車輪接続部をそれぞれのブレーキ回路に接続することも可能である。
【0012】
第1のブレーキ回路に関連する車輪接続部は、例えば、前車軸に割り当てられ得る。第2のブレーキ回路に関連する車輪接続部は、例えば、後車軸に割り当てられ得る。これにより、ブレーキシステムの前方/後方の分割が可能になる。しかしながら、ここでは、他の実施形態、特に対角分割も可能である。
【0013】
第1のブレーキ回路と第2のブレーキ回路とは、特に少なくとも1つの回路分離弁によって互いに切替可能に接続され得る。回路分離弁は、特に本方法中に閉じられ得る。これにより、2つのブレーキ回路の分離は、それぞれの圧力が相互に独立して上昇及び設定され得るように可能になる。しかしながら、他の動作モードで2つのブレーキ回路を接続する必要がある場合、回路分離弁を開くことができる。
【0014】
好ましくは、ブレーキシステムは、マスターブレーキシリンダを有し、更に好ましくは、マスターブレーキシリンダは、本方法中にブレーキ回路から油圧的に切り離される。このようなマスターブレーキシリンダにより、例えば、運転者のブレーキ要求を検出し、それに応じてブレーキ圧を上昇させることが可能になる。このようなマスターブレーキシリンダを使用して、すべての電気的構成要素が故障した場合の縮退運転も実施され得る。しかしながら、本方法の実行中、通常、マスターブレーキシリンダによる圧力の上昇は必要ない。
【0015】
ブレーキシステムは、特にシミュレータを有し得、好ましくは、マスターブレーキシリンダは、本方法中にシミュレータにのみ油圧的に接続される。このようにして、マスターブレーキシリンダによって発生した圧力をシミュレータに迂回させることができるため、運転者にフィードバックを提供することができる。
【0016】
第1のブレーキ回路と第2のブレーキ回路とは、特に、本方法中に互いに油圧的に分離され得る。これにより、有利には、圧力設定を別々に行うことが可能となる。
【0017】
回路別圧力制御がポンプ及び/又はリニアアクチュエータによって行われ得る。したがって、2つのブレーキ回路のそれぞれに別個の圧力を設定することができる。ブレーキ回路がそれぞれの車軸に割り当てられている場合、回路別圧力制御は、車軸別圧力制御でもあり得る。
【0018】
ブレーキシステムは、少なくとも1つの第1のモジュール及び第1のモジュールから構造的に分離している1つの第2のモジュールを有し得る。例えば、リニアアクチュエータが第1のモジュールに配置され得、及びポンプが第2のモジュールに配置され得る。これにより、好都合には、2つのモジュールへの分割を行うことができ、ポンプを備えたモジュールは、例えば、高度自律走行用モジュールであり得る。しかしながら、構成要素の他の配置、例えばすべての構成要素を1つのモジュールに配置することも可能である。モジュールは、例えば、ブロックとして理解され得る。
【0019】
好ましい一実施形態では、ブレーキシステムは、少なくとも1つの電子制御デバイスを有し、本方法は、電子制御デバイスの全面的な故障又は部分的な故障に応じて実行される。このようにして、そのような故障に適切に対応することができる。特に、本発明による方法により、機能の一部分を維持することができ、これにより、両方のブレーキ回路における別々の圧力制御及び自動圧力発生が少なくとも可能になる。
【0020】
リニアアクチュエータは、第2のブレーキ回路における能動的な減圧のためにも構成及び/又は使用され得る。これにより、圧力を上昇させるだけでなく、能動的に低下させることも可能になる。この目的のために、例えば、ブレーキフルードが第2のブレーキ回路からリニアアクチュエータに引き込まれ得る。
【0021】
一実施形態では、ブレーキシステムは、第1のブレーキ回路にいくつかの1つ又は複数の弁を有する。第1のブレーキ回路における、ポンプ及び関連する車輪接続部間の弁のすべては、例えば、調節可能であり得る。これにより、圧力制御を行うことができる。単純な場合、前記弁は、例えば、一定期間にわたって開いていることもできる。
【0022】
一実施形態では、ブレーキシステムは、第2のブレーキ回路にいくつかの1つ又は複数の弁を有する。第2のブレーキ回路における、リニアアクチュエータ及び関連する車輪接続部間の弁のすべては、例えば、調節可能であり得る。これにより、個別の圧力制御を行うことができる。単純な場合、前記弁は、開いていることもできる。
【0023】
好ましくは、ブレーキシステムは、流体貯留部を有し、好ましくは、ポンプ及び/又はリニアアクチュエータは、吸い込み側で流体貯留部に接続される。これにより、吸い込みによってブレーキフルードの補充が簡素化され、そのブレーキフルードを圧力上昇に利用することができる。
【0024】
本発明は、ブレーキシステムに更に関する。ブレーキシステムは、リニアアクチュエータと、ポンプと、複数の車輪接続部とを有する。前記ブレーキシステムは、関連する車輪接続部が接続される第1のブレーキ回路を有する。前記ブレーキシステムは、関連する車輪接続部が接続される第2のブレーキ回路を有する。更に、前記ブレーキシステムは、本発明による方法を実行するように構成される電子制御デバイスを有する。本方法について、本明細書で説明するすべての実施形態及び変形形態を参照することができる。
【0025】
ブレーキシステムについて、特に可能な変形形態及び機能に関して既に上述した実施形態を参照されたい。
【0026】
本発明は、自動車に更に関する。自動車は、直前に記載のブレーキシステムを有する。これに関連して、本明細書で説明するすべての実施形態及び変形形態を参照することができる。
【0027】
好ましくは、自動車は、第1の前輪ブレーキを有する第1の前輪及び第2の前輪ブレーキを有する第2の前輪を有する。好ましくは、自動車は、第1の後輪ブレーキを有する第1の後輪及び第2の後輪ブレーキを有する第2の後輪を更に有する。好ましくは、前輪ブレーキは、第1のブレーキ回路に関連する車輪接続部に接続される。好ましくは、後輪ブレーキは、第2のブレーキ回路に関連する車輪接続部に接続される。
【0028】
このような自動車により、ブレーキシステムの機能は、特に好都合に使用され得る。この場合、前車軸の圧力と後車軸の圧力とは、互いに独立して電気的に発生させることができ、これらの圧力を互いに独立して設定することもできる。しかしながら、他の接続構成、特に対角分割も可能であることを理解されたい。
【0029】
本発明は、プログラムコードが格納される、揮発性のコンピュータ可読記憶媒体であって、プログラムコードの実行中、プロセッサは、本発明による方法を実行する、不揮発性のコンピュータ可読記憶媒体に更に関する。本方法について、本明細書で説明するすべての実施形態及び変形形態を参照することができる。
【0030】
本発明による方法により、例えばマスターブレーキシリンダがブレーキ回路の一方における圧力上昇のために使用される場合、限られた踏力のみが得られるという問題に対処することが可能である。ペダル回路とブレーキ回路とは、最終的に互いに分離され得る。ペダル感覚は、変化しないままである。電子的制動力配分機能が提供される。
【0031】
添付の図面を参照しながら以下に説明する例示的な実施形態を読むことで、更なる特徴及び利点が当業者に明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】圧力発生器及びブレーキ回路の概略構成を示す。
図2】ブレーキシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるブレーキシステム10の構成要素を純粋に概略的に示す。更なる構成要素を図2に示す。
【0034】
ブレーキシステム10は、リニアアクチュエータ40とポンプ50とを有する。リニアアクチュエータ40は、断続搬送システムを構成する。ポンプ50は、連続搬送ピストンポンプとして構成される。リニアアクチュエータ40とポンプ50との両方は、それぞれ専用のモータMによって駆動される。
【0035】
ブレーキシステム10は、第1のブレーキ回路Iと第2のブレーキ回路IIとを有する。図示のように、この場合、第1のブレーキ回路Iは、ポンプ50に接続される。一方、第2のブレーキ回路IIは、リニアアクチュエータ40に接続される。図示の回路構成では、2つのブレーキ回路I、II間に接続がない。合計4つの車輪ブレーキ、すなわち第1の車輪ブレーキB1、第2の車輪ブレーキB2、第3の車輪ブレーキB3及び第4の車輪ブレーキB4がブレーキシステム10に接続される。第1の車輪ブレーキB1及び第2の車輪ブレーキB2は、第1のブレーキ回路Iに接続される。第3の車輪ブレーキB3及び第4の車輪ブレーキB4は、第2のブレーキ回路IIに接続される。このようにして、第3のブレーキB3及び第4のブレーキB4とは独立して、第1のブレーキB1及び第2のブレーキB2の個々の圧力を設定することができ、又は換言すれば、それぞれに接続された車輪ブレーキBを有する2つのブレーキ回路I、IIにおいて、それぞれの個々の圧力を純粋に電気的に発生させ、設定することができる。
【0036】
図2は、ブレーキシステム10をより詳細に且つ更なる構成要素と共に示す。
【0037】
図示のように、ブレーキシステム10は、第1のモジュール12と第2のモジュール14とに分割される。モジュール12、14は、ブロックとも呼ばれ得る。ブレーキシステム10の制御のために、本発明による方法を実行するように構成される電子制御デバイス16が設けられる。更なる制御タスクも制御デバイス16によって行われる。第2のモジュール14は、MK100 HBE ECUと呼ばれる独立した制御デバイスを更に有する。
【0038】
第1のモジュール12は、単独でも使用できる標準的なブレーキシステムである。第2のモジュール14は、高度自律走行のための追加モジュールであり、第1のモジュール12の構成要素の故障時でもブレーキシステム10の動作を少なくとも部分的に確保する追加ポンプ50が設けられる。
【0039】
図示のように、ブレーキシステム10は、ブレーキペダル25が接続されたマスターブレーキシリンダ20を有する。これにより、運転者は、ブレーキ要求を伝えることができ、油圧系の縮退レベル状況下でブレーキ圧を上昇させることもできる。ブレーキシステム10は、シミュレータ弁SVを介してマスターブレーキシリンダ20に接続されるシミュレータ30を有する。マスターブレーキシリンダ20及びシミュレータ30は、分離弁TVを介して他の油圧式構成要素に接続される。通常のブレーキモードでは、マスターブレーキシリンダ20がシミュレータ30にのみ接続され、したがって運転者がシミュレータ30の発生する力を感じるように、シミュレータ弁SVは、開いており、分離弁TVは、閉じられる。直接の油圧作用がない代わりに、運転者のブレーキ要求は、設置された走行センサU/s及び/又は圧力センサU/pによって検出される。その後、運転者のブレーキ要求は、自動的に実施され、具体的にはリニアアクチュエータ40及びポンプ50によって実施される。
【0040】
2つのブレーキ回路I、IIは、回路分離弁KTVによって互いに接続される。これにより、回路分離弁KTVが開いているときに均圧化することができ、回路分離弁KTVが閉じられているときに2つのブレーキ回路を分離することができる。第2のブレーキ回路IIは、シーケンス弁ZVを介してリニアアクチュエータ40に接続される。
【0041】
ブレーキシステム10は、従来のブレーキフルード容器として構成される流体貯留部60を更に有する。流体貯留部60は、特に回収部として使用され、且つ流体を消費する構成要素への供給のために使用される。これらは、既知の実施形態であるため、これ以上詳細に論じない。
【0042】
第1の車輪ブレーキB1及び第2の車輪ブレーキB2は、第2のモジュール14の第1の車輪接続部R1及び第2の車輪接続部R2に接続される。車輪接続部R1、R2は、第1のモジュール12の入口弁E1、E2及び出口弁A1、A2に接続される。したがって、車輪接続部R1、R2は、第1のモジュール12から作動させることができ、且つ車輪接続部R1、R2に第2のモジュール14のポンプ50によって圧力を加えることができる。第2のモジュール14には、合計6つの弁V1、V2、V3、V4、V5、V6も存在するが、ここでは、これらについてこれ以上詳細に論じない。
【0043】
一方、第3の車輪ブレーキB3及び第4の車輪ブレーキB4は、第1のモジュール12の第3の車輪接続部R3及び第4の車輪接続部R4に直接接続され、具体的には図示のようにそれぞれの入口弁E3、E4及び出口弁A3、A4に直接接続される。
【0044】
ブレーキ回路I、IIの両方に互いに独立して電気的に圧力を加える場合、運転者によって発生された圧力がその先に直接伝わることを防ぐために、分離弁TVがまず閉じられ得る。回路分離弁KTVは、同様に、2つのブレーキ回路I、II間の均圧化を防ぐために閉じられる。
【0045】
第1のブレーキ回路Iに対して、ポンプ50によって圧力が加えられる。この目的のために、第2のモジュール14の弁V1、V2、V3、V4、V5、V6が適切に切り替えられる。第2のブレーキ回路IIに対して、リニアアクチュエータ40によって圧力が加えられる。したがって、2つのブレーキ回路I、IIに対して、互いに独立して電気的に圧力が加えられる。対応する圧力設定も可能である。
【0046】
この動作モードは、特にブレーキシステム10の構成要素の部分的な故障時、この動作モードに必要な構成要素が依然として利用可能である場合に選択され得る。したがって、例えば、第1の車輪ブレーキB1及び第2の車輪ブレーキB2は、第3の車輪ブレーキB3及び第4の車輪ブレーキB4と異なる車軸に関連する場合、車軸別設定が可能である。回路別設定は、他に説明され得る。これにより、例えば、ブレーキシステム10の部分的な故障時でも電子的制動力配分の機能を維持することが可能となる。
【0047】
本発明による方法の上述のステップは、示した順序で実行され得る。しかしながら、技術的に適切であれば、それらは、異なる順序で実行され得る。その実施形態の1つにおいて、例えばステップの特定の組み合わせにより、本発明による方法は、更なるステップが実行されないような方法で実行され得る。しかしながら、原則として、言及していないステップであっても、更なるステップを実行することもできる。
【0048】
例えば、理解を容易にするために、特許請求の範囲及び本明細書の記述において、各特徴が組み合わされて記述されることがあるが、これらを互いに別々に用い得ることに留意されたい。このような特徴は、互いに独立して、他の特徴又は特徴の組み合わせと組み合わされ得ることも当業者に認識されるであろう。
【0049】
従属請求項における依存関係の参照は、それぞれの特徴の好ましい組み合わせを特徴付けることができるが、他の特徴の組み合わせを除外するものではない。
図1
図2
【国際調査報告】