(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】アルツハイマー病を治療する薬物の調製
(51)【国際特許分類】
A61K 31/522 20060101AFI20221128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221128BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221128BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221128BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221128BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221128BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221128BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20221128BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20221128BHJP
C07D 473/18 20060101ALN20221128BHJP
C07J 5/00 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
A61K31/522
A61P25/28
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61P37/02
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P33/00
A61P31/22
C07D473/18
C07J5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544873
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2020119593
(87)【国際公開番号】W WO2021063408
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】201910942002.5
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522127380
【氏名又は名称】神農医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】蔡松烈
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA24
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4C076BB05
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4C076CC35
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4C086AA01
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4C086MA16
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4C086ZB33
4C086ZB35
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4C091BB03
4C091BB05
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4C091NN04
4C091PA03
4C091PA05
4C091PA09
4C091PB02
4C091QQ01
(57)【要約】
【課題】アルツハイマー病を治療する薬物の調製を提供する。
【解決手段】アルツハイマー病を治療する薬物の調製におけるアシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用であって、前記使用はアルツハイマー病患者の全ての症状、特に認知障害及び神経炎症を含み、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は相乗効果を有し、同時に抗炎症効果及び免疫調節効果を発揮して治療効果を達成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病を治療する薬物の調製におけるアシクロビルとデキサメタゾンの使用。
【請求項2】
前記薬物はアルツハイマー病患者の認知障害を治療する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬物はアルツハイマー病患者の神経炎症を治療する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記薬物はアルツハイマー病患者の免疫調節効果を促進する、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記薬物中のアシクロビル及びデキサメタゾンは同時に組み合わせて使用されるか、又は相次いで別々に使用される、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記薬物はアシクロビルによって引き起こされる可能性のある消化問題を緩和し得る、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記アシクロビル及びデキサメタゾンは複合医薬組成物に調製される、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記複合医薬組成物中のアシクロビルとデキサメタゾンの重量比は3000~200:10~0.1である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記重量比は500:1~5である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記重量比は500:1.5~2である、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記薬物は胃腸管、静脈内、筋肉内、皮下、口腔粘膜、舌下、口腔スプレー又は鼻腔スプレーによって投与され得る、請求項1~10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
前記薬物は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、経口液体、又はスプレー剤の形態の経口製剤として調製される、請求項1~10のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
前記経口製剤は500mgのアシクロビル及び1.5mgのデキサメタゾンを含む、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記経口製剤は1日2回投与される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記薬物は免疫系のバランス調節剤であり、脳の炎症及び自己免疫亢進を緩和し、したがって、脳に侵入した原生動物、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及び内因性神経、血管及び頭蓋に対して特定の治療抵抗性、保護及び修復能力を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項16】
前記薬物は単独成分を主薬とする副作用を低減させ得、他の支持成分であるアシクロビル及びデキサメタゾンを5:2又は6:3の通常の比率で使用することにより、薬効が高くて治療期間が短縮され、かつ安全性が向上する、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
前記薬物は免疫バランスの原理に基づいて、該アルツハイマー病に対する標的薬物の共同使用をサポートし、相乗的な治療及び修復並びに免疫系の細胞及び因子の自然調節性における相乗的な治療及び修復の治療効果を達成し、それにより治療に必要な時間が短縮され、より安全になり、後遺症が少なくなる、請求項1に記載の使用。
【請求項18】
前記薬物は妊婦、新生児、乳児及び若齢、成人及び高齢者に使用され、特にヒト単純ヘルペスウイルス及び近源性水ぼうそうウイルスに感染して生じた致命的な脳感染に使用され、治療後の免疫記憶保護効果を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項19】
前記薬物は脳卒中、振盪、偶発的な損傷、手術によるpTauの突然上昇による頭痛及び記憶喪失後遺症などの直接的又は間接的な脳外傷に対して免疫及び修復能力を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項20】
前記薬物はアシクロビルの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)、デキサメタゾンの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)であり得、例えばファムシクロビル(famciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、フルオシノニド(fluocinonide)及びそれらの塩であり得る、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の新しい使用に関し、特にアルツハイマー病を治療する薬物の調製におけるアシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、世界で最も一般的な慢性で不可逆的な神経変性疾患である。世界の高齢化率が増加し続けるにつれて、アルツハイマー病は世界最大の医療課題の1つとなっている。しかし、この疾患の効果的な治療はまだ不足している。アルツハイマー病患者の認知障害は、コリン作動性変性及び興奮毒性に関連している。したがって、ドネペジル、リバスチグミン及びガランタミンを含むコリンエステラーゼ阻害剤、並びにNMDA受容体拮抗薬メマンチンは、アルツハイマー病を治療するために臨床的に使用されているが、これらの薬物は、該疾患の症状を緩和するだけで、アルツハイマー病の進行を阻止又は遅延させ得ない。
【0003】
アシクロビル(グアノシン類似体)は、単純ヘルペス脳炎を治療するための抗ウイルス薬として使用されている。従来の研究では、アシクロビルがインビトロとインビボの両方でトリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ活性を阻害し得、セロトニン及び5-ヒドロキシインドール酢酸のレベルを上昇させることが示されている1。アシクロビルは、単純ヘルペス脳炎患者のうつ病の臨床症状を軽減し得ることが証明されている1。また、アシクロビルの使用はアルツハイマー病による死亡の発生率に関連していると報告されているが、アシクロビルが神経保護効果を有するか否かは知られていない2。
【0004】
デキサメタゾンは合成糖質コルチコイドであり、アレルギー反応及び炎症性皮膚の治療に臨床的に使用されている3。デキサメタゾンは、中枢神経系において、遺伝子転写の調節及びシナプス構造の調節などの幅広い効果を有する4。デキサメタゾンによる長期治療は、tauの病理学的変化を誘発し、Aβの発現を増強し得るが、デキサメタゾンが認知障害を改善し得るか否かは知られていない5。しかし、デキサメタゾンによる短期治療は、アルツハイマー病に関連する神経炎症を阻害し、かつ認知障害を予防し得る4。興味深いことに、母体にデキサメタゾンを使用すると、アルツハイマー病遺伝子改変マウスの子孫の認知障害を改善し得、これは、アルツハイマー病の予防に対するデキサメタゾンの有益な効果を示している4。
【0005】
近年、単純ヘルペス脳炎の初期にアシクロビルとデキサメタゾンを組み合わせて使用することで、神経症状を効果的に緩和し、マウスの生存率を向上させ得る6。しかし、アシクロビルとデキサメタゾンの併用療法がアルツハイマー病に関連する認知障害を予防し得るか否かはほとんど知られていない。
【0006】
本発明者らは、アルツハイマー病によるAβオリゴマー処置マウスにおける神経炎症、シナプスタンパク質発現及び認知に対するアシクロビルとデキサメタゾンの併用療法の保護効果を評価した。
【0007】
本研究では、本発明者らは、アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がアルツハイマー病によるβ-アミロイド(Aβ)オリゴマーによる空間認知障害を予防し得ることを初めて発見した。また、アシクロビル及びデキサメタゾンは、Aβオリゴマー誘発性のミクログリア及びアストロサイトの過剰活性化、並びに炎症性サイトカインの過剰発現を予防し得、これは、薬物併用療法による抗アルツハイマー病効果が、少なくとも部分的には、神経炎症を阻害する効果及び免疫調節効果によって達成される可能性があることを示している。また、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβオリゴマー誘発性のPSD95の発現の低下を阻止し得、これは、薬物の組み合わせの使用がシナプスに対する保護効果を持っていることを示している。
【0008】
そのため、本発明は、薬物を組み合わせて使用してアルツハイマー病を治療する方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、アルツハイマー病を治療する薬物の調製におけるアシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下のことを発見した。
デキサメタゾンは、アシクロビル誘発性のAβオリゴマーマウスの体重減少を改善し得る。
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、aβオリゴマー誘発性の空間認知障害を有意に軽減し得る。
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性の炎症性サイトカインの過剰発現を有意に減少させ得る。
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性のミクログリアとアストロサイトの活性化を有意に減少させ得る。
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβ誘発性のPSD-95の発現の低下を有意に減少させ得る。
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性のpTauの発現を有意に減少させ得る。
【0011】
上記の発見は、本発明がアルツハイマー病を治療する新しい代替療法、すなわちアルツハイマー病を治療する薬物の調製におけるアシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用を開発したことを示している。
【0012】
本発明に記載の使用は、アルツハイマー病患者の全ての症状、特に認知障害及び神経炎症を含む。
【0013】
本発明はさらに、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用が相乗効果を有することを発見し、本発明は、デキサメタゾンがアシクロビル誘発性の体重減少を改善し、同時に抗炎症効果及び免疫調節効果を発揮し得ることを発見した。
【0014】
その薬学的に許容される塩を含む本発明に記載のアシクロビルは、その薬学的に許容される形態のいずれかで、好ましくは錠剤、カプセル剤、顆粒剤のような経口製剤の形態で使用し得る。
【0015】
酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウムなどの、その薬学的に許容される塩を含む本発明に記載のアシクロビルは、その薬学的に許容される形態のいずれかで、好ましくは錠剤、カプセル剤、顆粒剤のような経口製剤の形態で使用し得る。
【0016】
本発明に記載のアシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせは、同時に使用することも、相次いで別々に使用することも含み、使用量はいずれも有効量であり、例えば、1日に500mgのアシクロビル及び1.5mgのデキサメタゾンであり、1日2回であり、薬用コールドクリーム基剤のクリーム1gごとに、インビボで同時に作用するように、20mgのアシクロビル及び0.25mgのデキサメタゾンを含む必要がある。インビボで同時に作用するように、必要に応じて、薬物代謝の違いにより、代謝の遅い薬物を最初に投与し、吸収された後、代謝の速い薬物を投与し得る。したがって、本発明は集合包装を含み、一方の包装はアシクロビル製剤であり、他方のパッケージはデキサメタゾン製剤である。
【0017】
本発明に記載の組み合わせはさらに、前記アシクロビルとデキサメタゾンを複合医薬組成物に調製し、すなわち2種類の薬物を同じ製剤に入れることを含み、該製剤が服用される時に2種類の薬物は同時に服用される。
【0018】
複合医薬組成物については両者の重量比を規定する必要があり、両者の重量比は3000~200:10~0.1、好ましくは500:1~5、最も好ましくは500:1.5~2である。
【0019】
前記複合医薬組成物は胃腸管投与、静脈内投与、筋肉内注射、皮下注射、口腔又は鼻腔粘膜投与などの任意の投与経路、好ましくは胃腸管投与によって人体に摂取され得る。任意の薬学的に服用可能な剤形、好ましくは経口製剤に調製され得る。本発明の複合医薬組成物は、必要に応じて、薬学的に許容される担体を添加し得、例えば、その中の薬物活性成分の製剤中に占める重量パーセントは0.1~99.9%であり得、残りは薬学的に許容される担体である。
【0020】
本発明の経口製剤は任意の薬学的に許容される剤形であり得、これらの剤形には、錠剤、カプセル剤、内服液、トローチ剤、顆粒剤、沖剤、丸剤、散剤、懸濁剤、粉剤、滴剤、滴丸剤、マイクロスフェア剤が含まれる。本発明の製剤は、好ましくは経口剤形であり、例えば、カプセル剤、錠剤、内服液、顆粒剤又はスプレー剤などである。
【0021】
本発明の経口製剤、その経口投与の製剤は、結合剤、充填剤、希釈剤、打錠剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤及び湿潤剤のような一般的に使用されている賦形剤を含み得、必要に応じて錠剤をコーティングし得る。
【0022】
本発明の経口製剤は、1用量当たり500mgのアシクロビル及び1.5mgのデキサメタゾンを含み得、1日2回服用される。
【0023】
本発明の経口製剤は、1用量当たり500mgのアシクロビル及び2.0mgのデキサメタゾンを含み得、1日2回服用される。
【0024】
適切な充填剤には、セルロース、マンニトール、ラクトース及び他の同様の充填剤が含まれる。適切な崩壊剤には、デンプン、ポリビニルピロリドン、及びデンプン誘導体、例えばデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。適切な潤滑剤には、例えばステアリン酸マグネシウムが含まれる。適切な薬学的に許容される湿潤剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。固形経口組成物は、混合、充填、打錠などの一般的に使用されている方法によって調製され得る。繰り返し混合することにより、大量の充填剤を使用した組成物全体に活性物質を分布させ得る。
【0025】
経口液体製剤は、例えば水性又は油性の懸濁液、溶液、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形態であり得、又は使用前に水又は他の適切な担体で再度配合し得る乾燥生成物であり得る。このような液体製剤には、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル又は水素化食用脂肪のような懸濁剤と、レシチン、ソルビタンモノオレエート又はアラビアゴムのような乳化剤と、アーモンド油、分別ヤシ油、グリセリンのエステルような油性エステル、プロピレングリコール又はエチルアルコールのような非水性担体(食用油が含まれ得る)と、パラオキシ安息香酸メチル又はパラオキシ安息香酸プロピル又はソルビン酸のような防腐剤と、必要に応じて、通常の香味剤又は着色剤と、のような通常の添加剤が含まれ得る。
【0026】
本発明の経口製剤は、薬剤に調製される場合、適切な薬学的に許容される担体を選択的に添加し得、前記薬学的に許容される担体は、マンニトール、ソルビトール、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩酸システイン、チオグリコール酸、メチオニン、ビタミンC、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウムナトリウム、一価アルカリ金属の炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩又はその水溶液、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸、アミノ酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸ナトリウム、キシリトール、マルトース、グルコース、フルクトース、デキストラン、グリシン、デンプン、スクロース、ラクトース、マンニトール、ケイ素誘導体、セルロース及びその誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、グリセリン、ポリソルベート80、寒天、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、界面活性剤、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、リン脂質類材料、カオリン、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどから選択される。
【0027】
本発明の複合医薬組成物は、医薬製剤に調製される場合、製剤学の従来技術を用いて調製し得、例えば活性成分を原料とし、一定量の薬学的に許容される担体を添加し、均一に混合し、剤形の特性に応じて錠剤、カプセル、顆粒剤などに調製する。
【0028】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は免疫系のバランス調節剤であり、脳の炎症及び自己免疫亢進を緩和し、したがって、脳に侵入した原生動物、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及び内因性の神経、血管及び頭蓋骨に対して特定の治療抵抗性、保護及び修復能力を有する。
【0029】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は単独成分を主薬とする副作用を低減させ得、他の支持成分であるアシクロビルとデキサメタゾンを5:2又は6:3の通常の比率で使用することにより、薬効が高くて治療期間が短縮され、かつ安全性が向上する。
【0030】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は免疫バランスの原理に基づき、該アルツハイマー病に対する標的薬物の共同使用をサポートし得、相乗的な治療及び修復、並びに免疫系細胞及び因子の自然調節性における相乗的な治療及び修復の治療効果を達成し、それにより治療に必要な時間が短縮され、より安全で、後遺症が少なくなる。
【0031】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は妊婦、新生児、乳児及び若齢、成人及び高齢者に使用され、特にヒト単純ヘルペスウイルス及び近源性水ぼうそうウイルスに感染して生じた致命的な脳感染に使用され、治療後の免疫記憶保護効果を有する。
【0032】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は脳卒中、振盪、偶発的な損傷、手術によるpTauの突然上昇による頭痛及び記憶喪失後遺症のような直接的又は間接的な脳外傷に対して免疫及び修復能力を有する。
【0033】
本発明に記載の使用であって、前記薬物はアシクロビルの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)、デキサメタゾンの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)であり得、例えばファムシクロビル(famciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、フルオシノニド(fluocinonide)及びそれらの塩であり得る。
【0034】
以下、動物実験により本発明の作用及び効果をさらに説明する。
【0035】
材料及び方法
【0036】
化学物質及び試薬
【0037】
アシクロビルは四川科倫製薬有限公司(中国四川)から提供された。デキサメタゾンは浙江仙居製薬有限公司(中国浙江)によって調製された。ドネペジル(Donepezil)はSanta Cruz Biotechnology(中国上海)によって調製された。Aβ1-42ペプチドはGL Biochem(中国上海)から合成された。
【0038】
Aβオリゴマーの調製
【0039】
以前に説明されたように、Aβオリゴマーを得た7。簡単に言えば、Aβをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP,Sigma,St.Louis,Mo,USA)に添加して、Aβモノマーを形成した。Aβモノマーを10%のヘキサフルオロイソプロパノール溶液中で回転真空にした。次に、ヘキサフルオロイソプロパノールを蒸発させてAβ溶液を得た。Aβ溶液を撹拌しながら25℃で2日間インキュベートし、14000g、4℃で15分間遠心分離した。上清は主に可溶性Aβオリゴマーを含んでいた。上清をBCAで分析(収集及び定量化)した。
【0040】
動物研究薬物療法
【0041】
本発明者らは、寧波大学動物研究諮問委員会の動物の使用とケアに関するガイドラインに従った。浙江省医学科学院(浙江)は体重約25gのICRマウスを提供した。動物を22±2℃で12時間の明/暗サイクル(湿度:50±10%)に供し、水及び標準的な食餌を与えた。アシクロビル、デキサメタゾン及びドネペジルを水に溶解した。マウスを対照群、Aβオリゴマー、Aβ+500mg/kgのアシクロビル、Aβ+2mg/kgのデキサメタゾン、Aβ+500mg/kgのアシクロビル及び2mg/kgのデキサメタゾンという10匹ずつの6群にランダムに分けた。マウスをペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、定位固定装置(中国深セン瑞沃徳)に入れた。
【0042】
1日目に、Aβオリゴマーを両側の脳室領域に注射した。微量の薬物(1μl/側)を5分間以上注射した。逆流を減少させるために、カニューレを元の位置に5分間保持した。従来の研究では、ICRマウスの脳腔に注射されたAβオリゴマーは認知障害を引き起こす可能性があることをが発見されている7,8。マウスを実験なしで3日間回復させた。4日目に、実験群及び陽性対照群のマウスに13日間強制経口投与した(1日2回、1日0.2ml)。対照群には生理食塩水を13日間投与した。
【0043】
オープンフィールド実験
【0044】
動物の運動活動及び探索行動を分析するために、動物を白色のベニヤ板壁及び褐色の床のあるオープンフィールド(50×50×39cm)に置いた。オープンフィールドを等しい長さの4つの正方形(25×25cm)に分割した9。動物を箱の中央に1匹ずつ置き、5分間手探りさせた。4足の交差線の数及び給餌回数を手持ち式計数器及びストップウォッチで記録し、これらは運動活動及び探索行動をマークするために使用された。独立した研究者がマウスにおける薬物効果を単盲検でモニタリングした。尿液や糞便による動物への妨害を回避するために、2つの実験の間に、10%のアルコール溶液及び乾いたタオルでオープンフィールドをきれいにした。
【0045】
水迷路試験
【0046】
モリス(Morris)水迷路テストにより空間記憶を評価した10。水迷路は、23±2℃で水で満たされた円形プール(直径110cm)であり、プラットフォームがある。最終日を除いて、このプラットフォームは、常に北西の象限の中央に置かれた。遊泳軌跡は、コンピュータに接続されたビデオレコーダによって記録された。各マウスは、4日間の試験中にポジショニングプラットフォームの訓練を受け、学習状況は4日間連続して毎日評価された。本発明者らは、隠されたプラットフォームに入るのに必要な時間を測定した。最終日に、本発明者らはプラットフォームを取り外し、プロービング実験のためにマウスを90秒間泳がせるように訓練した。プールの4つの象限の遊泳時間を記録した。プラットフォームの前に占有された象限に現れる傾向は、空間記憶能力を示す。
【0047】
脳組織収集
【0048】
水迷路試験の翌日、動物を深く麻酔し、氷冷した生理食塩水を経心的に灌流した。脳を迅速に解剖した。ウエスタンブロッティング(Western blotting)試験(1群あたり4匹のマウス)及び酵素結合免疫吸着測定法(ELISA、1群あたり3匹のマウス)を使用する前に、海馬タンパク質を抽出し、-80℃で保存した。免疫組織化学(IHC)を使用して染色する前に、無傷の脳組織(1群あたり3匹のマウス)をホルマリン溶液中で-80℃で保存した。
【0049】
酵素結合免疫吸着測定法
【0050】
新たに調製した脳組織を使用して、マウス海馬におけるインターロイキン-6(IL-6)及び腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の濃度を測定した。脳試料を0.1Mリン酸緩衝液中でホモジナイズした。次に、脳抽出液を4℃で2000gまで遠心分離し、15分間持続した。製造業者のプロトコールに従って、酵素結合免疫吸着測定キット(Excell Bio、中国上海)を使用してIL-6及びTNF-αの濃度を測定した。吸光度を読み取った。
【0051】
ウェスタンブロット分析
【0052】
以前に説明されたように、ウェスタンブロット分析を行った11。簡単に言えば、海馬の脳組織を溶解緩衝液中で1分間抽出し、16000gで10分間遠心分離した。上清中のタンパク質レベルをBradford分析により推定し、SDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離し、次にポリフッ化ビニリデン膜に電気的に転写した。TBST中で5%脱脂乳で2hインキュベートした後、対応する抗体Tau、IL-17(中国上海サンタクルーズバイオテクノロジーカンパニー)、pSer396-Tau、PSD-95及びβ-アクチン(米国マサチューセッツ州ビバリー市セルシグナリングテクノロジーカンパニー)で12時間インキュベートした。試料をTBSTで3回洗浄した後、膜を二次抗体でインキュベートした。続いて、化学発光結合キット(英国アリスバーリーアマシャムバイオテクノロジーカンパニーリミテッド)で膜を現像し、シグナルをオートラジオグラフフィルムに露光した。全てのデータは、3つの独立した実験を表す。データは、対照群と比較した光学密度(OD)と統計分析の比率として表される。
【0053】
免疫組織化学(IHC)染色
【0054】
IHC染色は以前に報告されたプロトコールに従って行われた11。簡単に言えば、水迷路テストの後、脳を解剖し、4%のパラホルムアルデヒドで1日間インキュベートした。脳標本を脱水し、パラフィン包埋し、4μm厚さの切片に切った。次に、海馬切片を脱パラフィンし、再水和した。3%のH2O2で10分間処理して、細胞性ペルオキシダーゼ活性を阻害した。切片をCD45抗原及びグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の一次抗体と共に4°Cで一晩インキュベートした。次に、切片を洗い流し、二次抗体で37℃で30分間インキュベートした。切片をDABで標識し、比色分析を行った。Image Pro 6.0(Media Cybernetics Inc.,MD,USA)は、領域の平均光学密度(OD)を分析するために使用された。これらのデジタル画像は後続の半自動化分析のために使用された。カラーデコンボリューション分析はここで適用された。陽性面積及び光学密度は、各スライドのランダムに選択された顕微鏡視野での測定から決定された。IHC指数の定義:平均OD=光学密度×陽性面積/総面積12,13。
【0055】
データ分析と統計
【0056】
結果は平均値±標準偏差として表される。一元配置分散分析及びTukey検定により群間の差を比較した。P<0.05は統計的に有意であると見なされた。
【0057】
結果
【0058】
デキサメタゾンは、アシクロビル誘発性のAβオリゴマーマウスの体重減少を改善する。
【0059】
動物実験の全過程は
図1に示される。簡単に言えば、1日目に、Aβオリゴマーをマウス海馬の両側に注射した。マウスを3日間回復させた。4~16日目に、マウスを13日間の様々な治療に供した。17日目に、オープンフィールド実験によりマウスの運動機能を検出した。18~24日目に、水迷路テストにより空間認知能力をテストした。25日目に、生化学的研究のためにマウスを犠牲にした。
【0060】
消化障害は、アシクロビルの一般的な副作用の1つである。アシクロビルによる長期治療は、消化不良及び栄養不良を引き起こし、体重減少につながる可能性がある。したがって、本発明者らは、実験中に2~3日ごとにマウスの体重を測定した。二元配置反復測定分散分析は、時間効果[二元配置分散分析、F(10,385)=567.5、P<0.001]、治療効果[二元配置分散分析、F(5,385)=274.8、P<0.001]及び治療×時間相互作用[二元配置分散分析、F(50,385)=8.4、P<0.001、
図2]が有意な影響があることを示した。実験の最終日に、ドネペジル療法は、対照群に比べて、体重を変化させ得なかった(P>0.05、
図2)。しかし、アシクロビル及びアシクロビル+デキサメタゾン療法は、対照群に比べて、体重を有意に減少させ、これは、アシクロビルがマウスの体重減少につながる可能性があることを示している(p<0.05、
図2)。興味深いことに、アシクロビル+デキサメタゾン群の体重はアシクロビル群よりも有意に高く、これは、デキサメタゾンがアシクロビル誘発性のAβオリゴマー処置マウスの体重減少を改善する可能性があることを示している。
【0061】
アシクロビル及びデキサメタゾンは、マウスの運動機能に有意な影響を与えなかった。
【0062】
アシクロビル又はデキサメタゾンが動物の運動機能に影響を与えるか否かをさらに研究するために、オープンフィールド実験によりその運動活性を評価した。
図3に示すように、立つ回数又は線を横切る回数には有意差がなく、これは、アシクロビル及びデキサメタゾン療法がマウスの運動機能を有意に変化させなかったことを示している[立つ回数、一元配置分散分析、f(5,13)=0.1182、p>0.05、
図3a、線を横切る回数、f(5,13)=0.1937、p>0.05、
図3b]。
【0063】
アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、aβオリゴマー誘発性の空間認知障害を有意に軽減し得る。
【0064】
二元配置反復測定分散分析は、時間効果[二元配置分散分析、F(3,244)=163.2、P<0.001、
図4A]、治療効果[二元配置分散分析、F(5,244)=27.84、P<0.001、
図4A]及び治療×時間相互作用[二元配置分散分析、F(15,244)=7.502、P<0.001、FI
図4A]が水迷路訓練に有意な影響を与えることを示した。訓練の最終日に、Aβ群のマウスは、対照群に比べて、隠れたプラットフォームを発見するのに有意に時間がかかった(p<0.001、
図4A)。また、アシクロビル+デキサメタゾン群及びドネペジル群のマウスは、Aβ群に比べて、隠れたプラットフォームを発見するのに有意に時間が短縮された(p<0.001、
図4A)。同じ条件下では、アシクロビル又はデキサメタゾン群のマウスは、Aβ群のマウスに比べて、より良好な成績を示さなかった(p>0.05、
図4A)。これらの結果は、アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβオリゴマー誘発性の空間学習障害を軽減し得ることを示している。
【0065】
本発明者らはまた、実験中にマウスが標的領域にいた時間を記録した。異なる群間には有意差がある[一元配置分散分析、F(5,54)=5.653、P<0.01、
図4B]。Aβ群のマウスは、対照群に比べて、標的領域にいた時間が有意に少なかった(p<0.01、
図4B)。アシクロビル+デキサメタゾン群及びドネペジル群のマウスは、Aβ群に比べて、標的領域にいた時間が有意に長かった(p<0.05、
図4B)。同じ条件下では、アシクロビル又はデキサメタゾン群のマウスは、Aβ群に比べて、より良好な成績を示さなかった(p>0.05、
図4B)。これらの結果は、アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβオリゴマー誘発性のマウスの空間記憶障害を軽減し得ることを示している。
【0066】
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性の炎症性サイトカインの過剰発現を有意に減少させ得る。
【0067】
本発明者らはさらに、炎症性サイトカインのマウス海馬における発現を評価した。酵素結合免疫吸着測定法によりマウス海馬におけるTNF-α及びIL-6の含有量を測定した。Aβ群のTNF-α及びIL-6の発現は、対照群よりも有意に高かった(P<0.01、
図5A及び5B)。アシクロビル+デキサメタゾン療法は、Aβ誘発性のTNF-α及びIL-6の発現の増加を有意に減少させた(p<0.01、
図5A及び5B)。アシクロビル単独ではIL-6の産生を有意に減少させ得ず、これは、デキサメタゾンが併用療法において主に抗炎症効果を発揮する可能性があることを示している(p>0.05、
図5A)。同じ条件下では、ドネペジル療法は、Aβ群に比べて、IL-6の発現を変化させ得なかった(p>0.05、
図5A)。
【0068】
ウェスタンブロッティングにより炎症性サイトカインIL-17の発現を検出した。Aβ群のIL-17の発現は、対照群よりも有意に高かった(P<0.01、
図5C及び5D)。デキサメタゾン及びアシクロビル+デキサメタゾンは、Aβ誘発性のIL-17の発現の増加を減少させた(p<0.05、
図5C及び5D)。同じ条件下では、アシクロビルはマウス海馬におけるIL-17の発現を減少させ得ず、デキサメタゾンが併用療法において主に抗炎症薬として作用する可能性があることをさらにサポートした(p>0.05、
図5D)。同じ条件下では、ドネペジル療法は、Aβ群に比べて、IL-17の発現を変化させ得なかった(p>0.05、
図5D)。
【0069】
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性のミクログリア及びアストロサイトの活性化を有意に減少させ得る。
【0070】
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβオリゴマー誘導性のアストログリオーシスに影響を与えるか否かをさらに研究するために、本発明者らは、アストロサイトのバイオマーカーであるGFAPについてIHC染色を行った。Aβオリゴマーは、海馬のgfapの平均ODを有意に増加させた(p<0.001、
図6)。アシクロビル+デキサメタゾン、アシクロビル及びデキサメタゾンは、Aβ誘発性のgfapの平均ODの増加を有意に減少させ、これは、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性のアストログリオーシスを有意に減少させ得ることを示している(p<0.001、
図6)。同じ条件下では、アシクロビル療法及びドネペジル療法はいずれも、Aβ群に比べて、GFAPの平均ODを変化させ得なかった(p>0.05、
図6)。
【0071】
同様に、Aβオリゴマーは、海馬の活性化ミクログリアのバイオマーカーであるCD45の平均ODを有意に増加させた(p<0.001、
図7)。アシクロビル+デキサメタゾン及びデキサメタゾンは、Aβ誘発性CD45の平均ODの増加を有意に減少させ、これは、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性のミクログリア活性化を弱め得ることを示している(p<0.001、
図7)。
【0072】
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβ誘発性のPSD-95の発現の低下を有意に減少させ得る。
【0073】
本発明者らはさらに、ウェスタンブロッティングによりマウス海馬におけるシナプス後タンパク質PSD-95の発現を分析した。Aβオリゴマー群のPSD-95の発現は、対照群よりも有意に低かった(P<0.01、
図8)。また、アシクロビル+デキサメタゾンは、Aβ群に比べて、マウス海馬におけるPSD-95の発現を有意に増加させた(P<0.05、
図8)。しかし、Aβ群に比べて、アシクロビル、デキサメタゾール又はドネペジル単独では、PSD-95の発現を変化させ得なかった(p>0.05、
図8)。これらの結果は、アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性のPSD-95の発現を有意に軽減し得ることを示している。
【0074】
アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβオリゴマー誘発性のpTauの発現を有意に減少させ得る。
【0075】
本発明者らはさらに、ウェスタンブロッティングによりTauとpTauの発現を分析した。Tauタンパク質の過剰リン酸化はADの特徴であり、Aβ群のpTauの発現は、対照群より有意に高かった(P<0.001、
図9)。また、アシクロビル+デキサメタゾンは、Aβ群に比べて、Aβ誘発性のマウス海馬におけるpTauの発現の増加を弱め得る(p<0.01、
図9)。しかし、デキサメタゾン単独では、Aβ群に比べて、pTauの発現を変化させ得ず、これは、アシクロビルが併用療法においてpTauの阻害剤として作用する可能性があることを示している(p>0.05、
図9)。
【0076】
議論
【0077】
この研究では、本発明者らは、アシクロビル又はデキサメタゾン単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせがマウスの運動機能に影響を与えることなく、Aβオリゴマー誘発性の空間認知障害を有意に予防することを発見した。また、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用は、Aβ誘発性の神経炎症を有意に軽減させ得、デキサメタゾンは主に抗炎症効果を発揮する。
【0078】
アシクロビルは、血液脳関門を通過して脳に入り、効果を発揮し得る。従来の研究では、アシクロビルがADに関連する毒性を予防するのに役立つ可能性があることが示されている14。HSV-1は、AD病理に関連する毒素であると考えられている。アシクロビル療法は、HSV-1誘発性のAβ蓄積を70%減少させ、HSV-1感染細胞において異常tauリン酸化をほぼ100%阻害し得る14。本発明者らのAβ処置マウスにはHSV-1感染がなかったが、アシクロビルは、同様のメカニズムを介して、ADに関連する神経毒性を予防する可能性がある。また、アシクロビルは、神経毒性のトリプトファン代謝物であるキノリン酸の産生を阻害し得ると報告されている。トリプトファン代謝異常はADにおいて広く観察されており、キノリン酸(NMDA受容体の興奮剤)の形成につながる。キノリン酸は、皮質ニューロンにおけるtauの過剰リン酸化をさらに増加させ、神経毒性を引き起こし得る。アシクロビルはインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO-1)及びトリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ2(TDO-2)の活性を直接阻害し得、この2つの重要な酵素はトリプトファン代謝の役割を果たすため、キノリン酸誘発性の神経毒性を予防し得る1。本発明者らは、アシクロビルがAβ誘発性のpTauの発現の増加を有意に弱め得ることを発見し、これは、アシクロビルがインビトロでのAβ及びpTauの蓄積を有意に減少させ得るという従来の研究と一致している15。本発明者らは、アシクロビルがIDO-1及びTDO-2の活性を阻害することにより、PTAUの蓄積を阻害する可能性があると推測している。しかし、本発明者らの研究では、アシクロビル単独では、マウスの神経炎症を有意に改善しなかった。アシクロビルは脳内のHSV-1の複製を阻害し得るが、HSV-1誘発性の炎症反応を阻害し得ないと報告されており、これは、アシクロビルが抗神経炎症効果を発揮するのに十分ではない可能性があることを示している16,17。これらの研究は、アシクロビルがAβマウスの神経炎症を有意に減少させ得ないという本発明者らの発見と一致している。
【0079】
糖質コルチコイドは脳内の炎症反応を阻害し、予後を改善し、神経系疾患の死亡率を低下させ得る。したがって、本発明者らは、デキサメタゾンの添加がAβマウスの神経炎症を阻害することに役立つと推測している。アシクロビル及びデキサメタゾンは臨床で一般的に使用されている薬物である。それらの毒性、吸収及び薬物動態学の研究は良好であり、多くの安全上の問題がない。従来の研究では、単純ヘルペス脳炎ウイルスに感染した初期のマウスの治療におけるアシクロビルと糖質コルチコイドの併用療法は、単純ヘルペスウイルスに感染したマウスの神経症状を効果的に緩和し得ることが示されている。本発明者らの研究結果は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性の認知障害及び神経炎症を効果的に予防し得ることを示し、これはさらに、アシクロビルと糖質コルチコイドとの組み合わせの使用がAD及び他の神経変性疾患の治療に効果的であることを証明している。
【0080】
アシクロビルの最も一般的な副作用は、非特異的炎症による腎不全であり、急性腎不全につながる可能性がある。デキサメタゾンは、非特異的炎症を効果的に阻害し、アシクロビルによる急性腎不全に臨床的に使用され得る。これは、本発明者らの研究ではアシクロビルとデキサメタゾンの併用療法を使用する別の原因である。従来の研究では、アシクロビルは体重減少を引き起こし得、これは腎機能障害に関連する可能性があることが示されている。本発明者らの研究では、デキサメタゾンがアシクロビル誘発性の体重減少を改善し得ることが発見され、これは、デキサメタゾンがアシクロビル誘発性の副作用も逆転させ得ることを示している。
【0081】
ミクログリアはマクロファージであり、脳のすべての細胞の約10%を占め、細胞が脳損傷を防御する第1防御線を構成する20。従来の研究では、ミクログリアの活性化がADの進行に関連することが示されている21。活性化されたミクログリアは、炎症性サイトカインを産生し、ニューロン損傷を引き起こし得る。また、活性化されたアストロサイトは、IL-6、IL-17及びTNF-αのような様々な炎症性サイトカインを分泌することによって神経毒性に関与し得る22。また、アストロサイトは、ミクログリアと相互作用し、相互活性化を引き起し得る23。本発明者らは、アシクロビルがミクログリアの活性化を阻害し得るが、アストロサイトの活性化を阻害し得ないことを発見し、これは、アシクロビルの抗ヘルペス誘導体であるガンシクロビルがミクログリアの活性化を阻害し得るが、アストロサイトの活性化を阻害し得ないという従来の研究と一致している24。デキサメタゾンは、糖質コルチコイド受容体経路を介してアストロサイトの活性化を阻害し得ると報告されている25
。また、デキサメタゾンは、単純ヘルペスのミクログリア反応を弱め得る26。本発明者らの研究の結果は、デキサメタゾンがアストロサイト及びミクログリアの活性化を阻害し得ることを示し、これは、これらの報告と一致している。したがって、このような併用薬は、抗炎症効果と免疫調節効果を同時に発揮し得る。
【0082】
シナプスは、記憶の形成と保存に関与している可能性がある27。PSD-95は、シナプスの構造的及び機能的完全性を決定する主要な足場タンパク質である28。シナプス喪失は、ADの進行における主要な病理学的事象であると考えられている29。本発明者らの研究では、本発明者らは、薬物単独ではなく、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がPSD-95の喪失を有意に阻害することを発見し、これは、薬物の組み合わせの使用がシナプス部分に作用することによってAβ誘発性の認知障害を予防し得ることを示している。
【0083】
高レベルの糖質コルチコイドによる長期治療は、糖質コルチコイド耐性を生じさせ、脳における糖質コルチコイド受容体機能を損ない、ADの進行における認知障害を悪化させ得ることに注目すべきである4。しかし、糖質コルチコイドに対する反応は、刺激の持続時間と強度を含むいくつかの要因に依存する。病理学的条件下では、糖質コルチコイドは、抗炎症分子として作用し得る30。生理学的条件下では、糖質コルチコイドは、炎症促進効果を発揮し得る。本発明者らの研究では、デキサメタゾンは、抗炎症効果を発揮し、Aβ誘発性のIL-6及びTNF-αの発現の増加を減少させ得る。本発明者らは、マウスを短期間の低濃度のデキサメタゾンで治療したためであり得ると推測している。興味深いことに、高レベルの糖質コルチコイドによる長期治療は、トリプトファンの代謝産物であるキノリン酸を増加させることによって神経毒性を引き起こし得る。したがって、キノリン酸阻害剤であるアシクロビルはまた、高レベルの糖質コルチコイド誘発性の認知機能障害に対抗し得、アシクロビルとデキサメタゾンを組み合わせてADを治療するという利点をさらにサポートする4。
【発明の効果】
【0084】
要約すると、本発明者らは、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用が神経炎症、シナプス損傷、tau過剰リン酸化、並びにアストロサイト及びミクログリアの活性化を減少させることによってAβ誘発性の認知機能障害を予防し得ることを初めて発見した。アシクロビル及びデキサメタゾンは一般的に使用される臨床薬であるため、本研究は、先導薬物又は補助薬物としてのADの臨床治療のための新しい方案を提供する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】
図1は、行動テスト全体の実験設計を示す図である。簡単に言えば、1日目に、Aβをマウス海馬に注射した。マウスを3日間回復させた。4日目に、マウスに薬物を13日間投与した。17日目に、オープンフィールド実験によりマウスの運動機能を検出した。18~24日目に、水迷路テストにより空間認知能力をテストした。2~3日ごとに体重を測定した。25日目に、生化学的研究のためにマウスを犠牲にした。
【0086】
【
図2】
図2は、アシクロビル及びアシクロビル+デキサメタゾン群のマウスの体重が対照群よりも有意に低かったことを示す図である。実験中に、2~3日ごとにマウスの体重を測定した。データは平均値±標準偏差(n=10)を表し、25日目の対照群に比べて、
#p<0.05であり、
###p<0.001である(一元配置分散分析及びTukey検定)。
【0087】
【
図3】
図3は、各群のマウスの運動機能に有意な変化がなかったことを示す図である。オープンフィールド実験において、各群の立つ回数及び線を横切る回数はそれぞれ
図3A及び
図3Bに示すとおりである。データは平均値±標準偏差(n=10)として表される。
【0088】
【
図4-1】
図4は、水迷路試験によって示されるように、アシクロビルとdxmtとの組み合わせの使用がAβ誘発性の空間認知障害を有意に減少させ得ることを示す図である。
図4Aは、訓練終了後のアシクロビル及びアシクロビル+dxmt群の潜伏期がAβ群よりも有意に短かったことを示す図である。
図4Bは、試験中、アシクロビル+dxmt群の標的領域にいたマウスの持続時間がAβ群よりも有意に長かったことを示す図である。試験におけるマウスの代表的な遊泳軌跡は
図4C~4Dに示される。データは平均値±標準偏差(n=10)を表し、対照群に比べて、
##p<0.01であり、
###p<0.001であり、Aβ群に比べて、
*p<0.05であり、
***p<0.001である(一元配置分散分析及びTukey検定)。
図4Cは、訓練期間中のマウスの代表的な遊泳軌跡を示す図である。
図4Dは、潜伏期中のマウスの代表的な遊泳軌跡を示す図である。
【0089】
【
図5-1】
図5は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性の炎症性サイトカインの過剰発現を有意に減少させ得ることを示す図である。酵素結合免疫吸着測定法により各群の海馬抽出液中の
図5AのTNF-α及び
図5BのIL-6の含有量を測定した。
図5Cは、ウェスタンブロッティングによりマウス海馬抽出液中のIL-17及びβ-アクチンの発現を検出したことを示す図である。IL-17レベルの定量分析は
図5Dに示される。データは平均値±標準偏差(
図5A及び5Bのn=4、
図5Dのn=3)を表し、対照群に比べて、
##p<0.01であり、
###p<0.001であり、
*はAβ群に比べて、
*p<0.05であり、
**p<0.01である(一元配置分散分析及びTukey検定)。
【0090】
【
図6】
図6は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性のマウス海馬におけるアストロサイトの過剰活性化を有意に減少させ得ることを示す図である。
図6Aは、各群の海馬におけるGFAP染色の代表的な画像である。GFAP染色の平均ODの定量分析は
図6Bに示される。データは平均値±標準偏差(n=3)を表し、対照群に比べて、
###p<0.001であり、Aβ群に比べて、
***p<0.001である(一元配置分散分析及びTukey検定)である。縮尺は30μmである。
【0091】
【
図7】
図7は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβによるマウス海馬のミクログリアの過剰活性化を有意に減少させ得ることを示す図である。
図7Aは、各群の海馬におけるCD45染色の代表的な画像である。CD45染色の平均ODの定量分析は
図7Bに示される。データは平均値±標準偏差(n=3)を表し、対照群に比べて、
###p<0.001であり、Aβ群に比べて、
**p<0.01であり、
***p<0.001である(一元配置分散分析及びTukey検定)。縮尺は30μmである。
【0092】
【
図8】
図8は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβ誘発性のマウス海馬におけるPSD-95の発現の低下を有意に減少させ得ることを示す図である。
図8Aは、ウェスタンブロッティングによりPSD-95及びβ-アクチンの発現を検出したことを示す図である。PSD-95の発現の定量分析は
図8Bに示される。データは平均値±標準偏差(n=4)を表し、対照群に比べて、
##p<0.01であり、Aβ群に比べて、
*p<0.05である(一元配置分散分析及びTukey検定)。
【0093】
【
図9】
図9は、アシクロビルとデキサメタゾンとの組み合わせの使用がAβオリゴマー誘発性のマウス海馬におけるpTauの発現の増加を減少させ得ることを示す図である。
図9Aは、ウェスタンブロッティングによりTau及びpTauの発現を分析したことを示す図である。pTauの発現の定量分析は
図9Bに示される。データは平均値±標準偏差(n=4)を表し、対照群に比べて、
###p<0.001であり、Aβ群に比べて、
*p<0.05であり、
***p<0.001である(一元配置分散分析及びTukey検定)。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明を限定するものではない。
【0095】
実施例1
【0096】
アシクロビル及びデキサメタゾン顆粒剤
【0097】
アシクロビル100g、デキサメタゾン0.75g、ラクトース、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ60メッシュのふるいにかけ、配合量に応じて秤量し、ミキサーに入れて30分間混合し、適量の接着剤を加えて軟質材料に調製し、20メッシュで造粒し、乾燥させ、18メッシュで整粒し、混合粉末を得て、整粒された顆粒に処方量のステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、混合粉末を分注して顆粒剤に調製した。
【0098】
実施例2
【0099】
アシクロビル及びデキサメタゾンカプセル剤
【0100】
アシクロビル100g、デキサメタゾン0.75g、ラクトース、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ60メッシュのふるいにかけ、配合量に応じて秤量し、ミキサーに入れて30分間混合し、適量の接着剤を加えて軟質材料に調製し、20メッシュで造粒し、乾燥させ、18メッシュで整粒し、混合粉末を得て、整粒された顆粒に処方量のステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、混合粉末をカプセル充填機に入れてカプセルに充填した。
【0101】
実施例3
【0102】
アシクロビル及びデキサメタゾン錠剤
【0103】
アシクロビル100g、デキサメタゾン0.75g、ラクトース、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ60メッシュのふるいにかけ、配合量に応じて秤量し、ミキサーに入れて30分間混合し、適量の接着剤を加えて軟質材料に調製し、20メッシュで造粒し、乾燥させ、18メッシュで整粒し、混合粉末を得て、整粒された顆粒に処方量のステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、均一に混合した後に適量の顆粒の含有量を測定し、測定された含有量に基づいて錠剤の重量を計算し、打錠し、フィルムコーティングした。
【0104】
引用文献:
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【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明に記載の使用であって、前記薬物は単独成分を主薬とする副作用を低減させ得、他の支持成分であるアシクロビルとデキサメタゾンを500:2又は600:3の通常の比率で使用することにより、薬効が高くて治療期間が短縮され、かつ安全性が向上する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明者らは、寧波大学動物研究諮問委員会の動物の使用とケアに関するガイドラインに従った。浙江省医学科学院(浙江)は体重約25gのICRマウスを提供した。動物を22±2℃で12時間の明/暗サイクル(湿度:50±10%)に供し、水及び標準的な食餌を与えた。アシクロビル、デキサメタゾン及びドネペジルを水に溶解した。マウスを対照群、Aβオリゴマー、Aβ+500mg/kgのアシクロビル、Aβ+2mg/kgのデキサメタゾン、Aβ+500mg/kgのアシクロビル及び2mg/kgのデキサメタゾン、並びにAβ+2.5mg/kgのドネペジルという10匹ずつの6群にランダムに分けた。マウスをペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、定位固定装置(中国深セン瑞沃徳)に入れた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシクロビル、又はデキサメタゾン、又はアシクロビルとデキサメタゾンを含むアルツハイマー病を治療する薬物
であって、アシクロビルとデキサメタゾンを組み合わせて使用
することを特徴とする薬物。
【請求項2】
前記薬物はアルツハイマー病患者の認知障害を治療
することを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項3】
前記薬物はアルツハイマー病患者の神経炎症を治療
することを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項4】
前記薬物はアルツハイマー病患者の免疫調節効果を促進
することを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項5】
前記薬物中のアシクロビル及びデキサメタゾンは同時に組み合わせて使用されるか、又は相次いで別々に使用される
ことを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項6】
前記薬物はアシクロビルによって引き起こされる可能性のある消化問題を緩和し得る
ことを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項7】
前記アシクロビル及びデキサメタゾンは複合医薬組成物に調製される
ことを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【請求項8】
前記複合医薬組成物中のアシクロビルとデキサメタゾンの重量比は3000~200:10~0.1である
ことを特徴とする請求項7に記載の
薬物。
【請求項9】
前記重量比は500:1~5である
ことを特徴とする請求項8に記載の
薬物。
【請求項10】
前記重量比は500:1.5~2である
ことを特徴とする請求項8に記載の
薬物。
【請求項11】
前記薬物は胃腸管、静脈内、筋肉内、皮下、口腔粘膜、舌下、口腔スプレー又は鼻腔スプレーによって投与され得る
ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の
薬物。
【請求項12】
前記薬物は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、経口液体、又はスプレー剤の形態の経口製剤として調製される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の
薬物。
【請求項13】
前記経口製剤は500mgのアシクロビル及び1.5mgのデキサメタゾンを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の
薬物。
【請求項14】
前記経口製剤は1日2回投与される
ことを特徴とする請求項13に記載の
薬物。
【請求項15】
前記薬物は免疫系のバランス調節剤であり、脳の炎症及び自己免疫亢進を緩和し、したがって、脳に侵入した原生動物、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫及び内因性神経、血管及び頭蓋に対して特定の治療抵抗性、保護及び修復能力を有し、又は、前記薬物は単独成分を主薬とする副作用を減少させ得、他の支持成分であるアシクロビル及びデキサメタゾンを500:2又は600:3の通常の比率で使用することにより、薬効が高くて治療期間が短縮され、かつ安全性が向上し、又は、前記薬物は免疫バランスの原理に基づいて、該アルツハイマー病に対する標的薬物の共同使用をサポートし、相乗的な治療及び修復並びに免疫系の細胞及び因子の自然調節性における相乗的な治療及び修復の治療効果を達成し、それにより治療に必要な時間が短縮され、より安全になり、後遺症が少なくなり、又は、前記薬物は妊婦、新生児、乳児及び若齢、成人及び高齢者に使用され、特にヒト単純ヘルペスウイルス及び近源性水ぼうそうウイルスに感染して生じた致命的な脳感染に使用され、治療後の免疫記憶保護効果を有し、又は、前記薬物は脳卒中、振盪、偶発的な損傷、手術によるpTauの突然上昇による頭痛及び記憶喪失後遺症などの直接的又は間接的な脳外傷に対して免疫及び修復能力を有し、又は、前記薬物はアシクロビルの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)、デキサメタゾンの誘導体又はそのプロドラッグ(prodrugs)であり得、例えばファムシクロビル(famciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、フルオシノニド(fluocinonide)及びそれらの塩であり得る
ことを特徴とする請求項1に記載の
薬物。
【国際調査報告】