(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】液体で覆われた支持部材を清掃する為のデバイス
(51)【国際特許分類】
B08B 7/02 20060101AFI20221129BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20221129BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20221129BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B08B7/02
B60S1/62 110B
B60S1/62 120D
B60J1/00 Z
B60R1/06 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518882
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020076758
(87)【国際公開番号】W WO2021058662
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518202367
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド リール
(71)【出願人】
【識別番号】522111633
【氏名又は名称】セントラール リール アンスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】522111644
【氏名又は名称】ユニベルシテ ポリテクニーク オー-ド-フランス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】522111655
【氏名又は名称】インクレア オー ド フランス
(71)【出願人】
【識別番号】522111666
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デッスヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ペレ,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルターノル,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ボウデェイン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ボウ マタ-ラカーズ,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
3B116
3D053
3D225
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116BB83
3D053FF19
3D053GG01
3D053JJ19
3D053KK17
3D053KK18
3D225AA01
3D225AA04
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC18
3D225AD02
3D225AD13
3D225AD22
3D225AD30
(57)【要約】
電気音響デバイス(10)で覆われた支持部材を清掃する為のデバイスであって、該電気音響デバイス(10)が、支持部材(50)、前記支持部材に音響的に結合された少なくとも2つの波トランスデューサ、ここで、各波トランスデューサは、前記支持部材を通じて伝播する超音波表面波(W
a-h)を生成するように構成されており、前記トランスデューサによって生成される前記超音波表面波の伝播方向(P)がそれぞれ異なる、制御ユニット(40)を備えており、前記デバイスは、液体が前記支持部材と接触しているときに、該液体に施与されている外力の配向(OF
e)を推定するように構成された分析ユニット(35)を備えている、及び/又は、前記デバイスは、前記外力の前記配向の前記推定を受け取るように構成されており、前記制御ユニットは、前記外力の前記配向の前記推定に基づいて前記トランスデューサのうち少なくとも1つを制御し、従って、1以上の前記超音波表面波と前記液体との間の相互作用によって発生される、該液体に施与される音響力が、所定の向き(sense)に配向されるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響デバイス(10)であって、
支持体(50)、
前記支持体に音響的に結合された少なくとも2つの波トランスデューサ、ここで、各波トランスデューサは、前記支持体を通じて伝播する超音波表面波(W
a-h)を生成するように構成されており、前記トランスデューサによって生成される前記超音波表面波の伝播方向(P)がそれぞれ異なる、
制御ユニット(40)
を備えており、
前記デバイスは、液体が前記支持体と接触しているときに、該液体に施与されている外力の配向(OF
e)を推定するように構成された分析ユニット(35)を備えている、及び/又は、前記デバイスは、前記外力の前記配向の前記推定を受け取るように構成されており、
前記制御ユニットは、前記外力の前記配向の前記推定に基づいて前記トランスデューサのうち少なくとも1つを制御し、従って、1以上の前記超音波表面波と前記液体との間の相互作用によって発生される、該液体に施与される音響力が、所定の向き(sense)に配向されるように構成されている、
前記電気音響デバイス。
【請求項2】
前記制御ユニットが、前記支持体上での前記液体の変位を容易にする為に、前記支持体(OF
ap)にかけられる前記音響力の配向と、前記支持体(OF
ep)にかけられる前記外力の前記推定される配向との間の角度を最小にするように、1以上の前記トランスデューサを制御するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、前記分析ユニットに接続され且つ少なくとも1つの物理量を測定するように構成されているところの少なくとも1つの測定ユニット(55;65)を備えており、前記物理量は、例えば、所与の基準系に相対的な支持体の速度と、所与の基準系における前記支持体の位置及び/又は配向とから選択される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、リモートデータサーバと通信するように且つ前記データサーバから気象情報、例えば、基準系における、特には絶対的な基準系における、前記支持体の位置に相対的な及び/又は前記配向に相対的な風の平均速度及び/又は平均方向、を受け取るように構成されているところの通信モジュール(70)を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記分析ユニットが、前記物理量と、任意的に前記気象情報とを入力データとする数値推定モデルを用いて、前記外力の該配向を推定するように構成されている、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
分析ユニットを備えており且つ請求項1に記載されたところの少なくとも1つの他のリモートデバイスと通信するように、且つ
前記他のデバイスの前記分析ユニットから前記外力の前記配向の前記推定を受け取るように
構成されている通信モジュールを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも3つ、又は少なくとも4つさえ、の波トランスデューサ、好ましくは、前記支持体の1つの面に対して垂直な軸の周りに規則的に分散された波トランスデューサ、を備えている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トランスデューサのうちの少なくとも1つによって生成される前記超音波表面波の基本周波数は、0.1MHz~1000MHz、好ましくは10MHz~100MHz、であり、例えば40MHzに等しい、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記支持体が、透明又は半透明である、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記支持体が、圧電材料、ポリマー、特に熱可塑性物質、ガラス、金属、及びセラミックのうちから選択される材料からなる、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記支持体が、
自動車両の表面、例えば車両のフロントガラス、若しくはバックミラーの板ガラスの中から選択される自動車両の表面、
ヘルメットのバイザー、
建物の窓、
光学デバイスの表面、例えば、カメラのレンズ、眼鏡のレンズ、及びセンサ、特にプローブ、例えばピトー・プローブ、の中から選択される光学デバイスの表面、並びに
そのような光学デバイスの為の保護要素
によって形成される群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記トランスデューサが、前記支持体と、又は前記支持体上に配置された中間層、例えば接着剤で形成された中間層、と直接接触している、請求項1~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記トランスデューサは、第1のコーム(115)及び第2のコーム(120)をそれぞれ形成する第1の電極1及び第2の電極を備えており、前記第1のコーム及び第2のコームは、互いに櫛形にかみ合って配置され、前記支持体と直接接触して、及び/又は前記支持体と接触している中間基板(100)、特に前記支持体上に配置された中間基板(100)、と接触して、配置されており、ここで、前記基板は圧電材料、特に、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、ジルコン酸チタン酸鉛、酸化亜鉛、及びそれらの混合物によって形成される群から選択される圧電材料、からできている、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
車、バス、オートバイ、及びトラックの中から選択される自動車両(5)であって、請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイスを備えている前記自動車両。
【請求項15】
車両速度センサと、電気音響デバイスとを備えている自動車両であって、前記電気音響デバイスが、
支持体(50)、
前記支持体に音響的に結合された少なくとも2つの波トランスデューサ(15
a-h)、ここで、各波トランスデューサは、前記支持体を通じて伝播する超音波表面波(W
a-h)を生成するように構成されており、前記トランスデューサによって生成される前記超音波表面波の伝播方向(P)がそれぞれ異なる、及び、
液体が前記支持体上に配置されたときに、1以上の前記超音波表面波と前記液体との間の相互作用によって発生する前記音響力が所定の向き(sense)に配向されるように、前記車両の速度を用いて前記トランスデューサのうち少なくとも1つを制御するように構成されている制御ユニット
を備えている、前記自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に動いている、支持体上の液体、特に、滴(drop)、液溜まり、又は液体の膜、を、超音波表面波(an ultrasonic surface wave)によって変位させる為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、表面上への液体の蓄積に関係する影響を克服する必要がある。
【0003】
液体の滴(the drops of a liquid)を表面から除去する為に該滴を回転させることは既知の慣行である。しかしながら、そのような技術は、面積が数平方センチメートルより大きい表面には好適でない。
【0004】
表面の疎水性を制御する為の電界の実装がまた、例えば韓国公開特許第2018-0086173(A1)号公報から知られている。頭字語EWOD(エレクトロウェッティング・オン・デバイス(electrowetting on device)を表す)によって既知であるこの技術は、該表面を親水性にする為に2つの電極の間に電位の差を加えることで該表面を電気的に分極させ、それにより、滴を該表面から剥離することからなる。分極の場所を制御することにより、該滴が変位されることができる。しかしながら、この技術は、特定の物質にしか実施されることができず、特には、濡れ性を制御することが望まれる表面全体にわたる該電極の正確な位置決めを必要とする。
【0005】
また、例えば自動車両のフロントガラス上のフロントガラスワイパーを使用して、液体に機械力を加えることがまた周知の慣行である。しかしながら、フロントガラスワイパーは、運転者にとって利用可能な視野を制限する。また、それは、該フロントガラスの表面に堆積された油分の多い粒子を広げてしまう。加えて、ワイパートリムは、定期的に新しくされる必要がある。
【0006】
更に、自律自動車両は、道路に存在する他の車両からの距離及びそれらの速度を決定する為に、多数のセンサを有する。そのようなセンサ、例えばライダー、がまた、悪天候や泥の跳ねにさらされ、頻繁な清掃を必要とする。しかしながら、ワイパーは、そのようなセンサの小さい面積を清掃する為には好適でない。
【0007】
超音波表面波の生成と支持体を通るその伝播とを伴う、該支持体上に蓄積する液体を除去する為の方法が既知である。特に、国際公開第2012/095643(A1)号パンフレットは、超音波による蒸発を通じてフロントガラスから雨滴を除去する為の方法を記載している。該フロントガラス上に落ちる雨滴が該フロントガラスの表面の振動運動のゾーンに入ると直ちに蒸発されるように、振動の振幅及び周波数が選択される。しかしながら、液体の滴、液溜まり、又は膜を蒸発させる為に、支持体を振動させるのに必要とされる電力レベルは高く、そのことが、特に自律デバイスの開発に関して、実際的な実装を制限する。また、蒸発がまた、支持体上の滴を変位させる為に要求されるものよりも高いエネルギーレベルを必要とすることが周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液体によって被覆された支持体からの該液体の除去を改良する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、この必要性を満たすことを目的とし、電気音響デバイスを提案することによってそれを達成し、該電気音響デバイスは、
支持体、
該支持体に音響的に結合された少なくとも2つの波トランスデューサ、ここで、各波トランスデューサは、該支持体を通じて伝播する超音波表面波(Wa-h)を生成するように構成されており、該トランスデューサによって生成される該超音波表面波の伝播方向がそれぞれ異なる、
制御ユニット
を備えており、
該デバイスは、液体が該支持体と接触しているときに、該液体に施与されている外力の配向を推定するように構成された分析ユニットを備えている、及び/又は、該デバイスは、該外力の該配向の該推定を受け取るように構成されており、
該制御ユニットは、該外力の該配向の該推定に基づいて該トランスデューサのうち少なくとも1つを制御し、従って、1以上の該超音波表面波と該液体との間の相互作用によって発生される、該液体に施与される音響力が、所定の向き(sense)に配向されるように構成されている。
【0010】
本発明は、該外力の効果と該音響力の効果とを組み合わせることにより、該支持体上の該液体の変位を促進する。
【0011】
「外力」(external force)によって意味されるのは、該音響力以外の任意の力である。該液体の重量、又は該液体上を流体が流れることによって引き起こされる動的空気力が、外力の例である。
【0012】
当業者は、トランスデューサによって生成される表面波によって引き起こされる、支持体上に配置された液体に加えられる該音響力の配向を容易に決定することができる。平面表面波の場合、該音響力は、該平面波に関連する波ベクトルに沿って方向付けされている。集束表面波の場合、該液体は、該トランスデューサの焦点に向かう方に変位される。該液体の該変位の原点における効果は、非線形でありうる。それ故に、該音響力は、放射される音響波の強度と、該トランスデューサに電力を供給する電流の強さとに実質的に比例しうる。
【0013】
該制御ユニットは特に、
該音響力の配向の上記セットと、該トランスデューサを制御する為の関連する該電流の特性とが、例えば表の形態で、記録されている、記憶モジュール、例えばフラッシュメモリ、及び
推定された該外力の該配向を、該モジュールに記録された該音響力の配向の該セットと比較し、関連する電気制御電流を該トランスデューサに供給するように構成された合成モジュール、を備えうる。
【0014】
好ましくは、該制御ユニットは、該支持体上での該液体の該変位を容易にする為に、該支持体にかけられる該音響力の配向と、該支持体にかけられる該外力の推定される配向との間の角度を最小にするように、1以上の該トランスデューサを制御するように構成される。従って、該支持体の面からの該液体の除去が加速される。
【0015】
該制御ユニットは、該支持体にかけられる該外力に近い向きに配向されている超音波表面波を生成するトランスデューサを選択するように構成されうる。「近い向き」によって意味されるのは、該外力の方向と、該波の伝播の向きとの間の角度が、90°よりも小さい、又は更には45°よりも小さいことである。該制御ユニットは、対応するトランスデューサによって生成される波の音響エネルギーが、該支持体にかけられる該外力と、該波の伝播の該向きとの間の角度に比例するように、上記のように選択された該トランスデューサの各々を制御するように構成されうる。
【0016】
好ましくは、該制御ユニットは、該支持体にかけられる該音響力の配向が、該支持体にかけられる該外力の配向と実質的に平行になるよう、該1以上のトランスデューサを制御するように構成される。
【0017】
該制御ユニットは、対応するトランスデューサの為の電力供給回路を電気的に開閉するように各々が構成された複数のスイッチを備えうる。
【0018】
該制御ユニットは、該トランスデューサのうち1つに供給されている電流を増幅するように構成された電気増幅デバイスを備えうる。特に、該制御ユニットは、該トランスデューサのうち少なくとも2つが異なる振幅の表面超音波を生成するように構成されうる。
【0019】
該支持体の表面上での該液体の最適な変位を保証する為に、該トランスデューサのうちの少なくとも1つ、又は更には該トランスデューサの各々、によって生成される該超音波表面波の基本周波数は好ましくは、0.1MHz~1000MHz、好ましくは10MHz~100MHz、であり、例えば40MHzに等しい。
【0020】
該トランスデューサのうちの少なくとも1つ、又は更には該トランスデューサの各々、によって生成される該表面超音波の該振幅は、1ピコメートル~500ナノメートルでありうる。それは特に、該波の該基本周波数に依存しうる。それは、該超音波表面波が伝播する該支持体の面の垂直方向への変位に対応し、レーザ干渉測定を使用して測定されうる。
【0021】
該超音波表面波は、レイリー波又はラム波でありうる。特に、該支持体が該超音波表面波の波長よりも大きい厚みを有する場合、それはレイリー波でありうる。レイリー波は、該波のエネルギーが、それが伝播する該支持体の面に集中し、よって該液体に効率的に伝達されうる為、好ましい。
【0022】
該分析ユニットは、液体が該支持体上に配置されたときに、該液体に施与される該外力の該配向を推定するように構成される。
【0023】
好ましくは、該デバイスは、該分析ユニットに接続され且つ少なくとも1つの物理量を測定するように構成されているところの測定ユニットを備えている。それは、特に、1Hzよりも高い、又は更には10Hzよりも高い、例えば50Hzに等しい、周波数で、該物理量を受け取るように構成される。
【0024】
該物理量は、該支持体を特徴付けうる。例えば、該物理量は、基準系(a frame of reference)に相対的な該支持体の速度と、基準系における該支持体の位置(the position)及び/又は配向(the orientation)とから選択されうる。例えば、該物理量は、該電気音響デバイスを備えている自動車両の速度である。
【0025】
該基準系は、絶対的な基準系(an absolute frame of reference)でありうる。「絶対的な基準系」によって意味されるのは、地球上の物体の場所が曖昧さなく定められうる測地線基準系である。該絶対的な基準系は、Reseau Geodesique Francais1993(RGF93)、世界測地系(World Geodetic System)(WGS84)、国際地球回転事業(International Terrestrial Rotational Service:ITRS)、及び欧州地球基準系(European Terrestrial Reference System:ETRS)の中から選択されうる。
【0026】
該測定ユニットは、電気ケーブルによって該分析ユニットに接続されうる。一つの変形例として、該測定ユニットと該分析ユニットとの間の接続は、電磁波を介したリンクによってなされうる。
【0027】
該電気音響デバイスは、該測定ユニットを備えうる。別の変形例によれば、該測定ユニットは、該デバイスからリモート(remote)にありうる。
【0028】
例えば、該支持体は自動車両の表面であり、該測定ユニットは、変速機内に配置され、モータ/エンジンシャフト速度を車両速度に変換するように構成されるか、又は該車両の車輪内に配置され、該車輪の回転速度を測定し、それを該車両の速度に変換するように構成される。
【0029】
該測定ユニットは、該支持体の位置及び/又は配向を測定するように構成されたGPSトランシーバでありうる。
【0030】
該物理量は、該液体を特徴付けうる。例えば、それは、該支持体を覆っている該液体の面積又は該液体の厚みでありうる。
【0031】
それはまた、該支持体の環境を特徴付けうる。例えば、該支持体が基準系内で可動である場合、該物理量は、該支持体の周りを流れる流体、例えば空気、の速度でありうる。該流体の該速度を測定することが可能な測定ユニットは、例えば該支持体に搭載されうるピトー・プローブ又はMEMSセンサである。
【0032】
好ましくは、上記のように、該デバイスは複数の測定ユニットを備えている。
【0033】
更に、該外力の該配向の推定を向上させる為に、該デバイスは、リモートデータサーバと通信するように且つ該データサーバから気象情報、例えば該支持体の位置に相対的な及び/又は配向に相対的な風の平均速度及び/又は平均方向、を受け取るように構成されているところの通信モジュールを備えうる。該通信モジュールは特に、該データサーバと通信する為に、リモート通信手段、特にセルラー通信手段(cellular telecommunication means)、を備えうる。
【0034】
好ましくは、該分析ユニットは、該物理量と、該水平に対する該支持体の該配向と、任意的に、該通信モジュールによって提供される該気象情報と、を入力データとして採る数値推定モデルを用いて、該外力の該配向を推定するように構成されている。
【0035】
一つの変形例として又は追加的に、該通信モジュールは、該液体に施与される該外力の該配向を推定するように構成された分析ユニットを備えている少なくとも1つの他のリモートデバイスと通信するように構成され得、該通信モジュールは更に、該他のデバイスの該分析ユニットから該外力の該配向の該推定を受け取るように構成されている。
【0036】
該デバイスと該他のデバイスとは、1m超離れている、若しくは更には5m超、及び/又は1km未満、若しくは更には100m未満、離れうる。
【0037】
例えば、該デバイスは、1つの自動車両に搭載され、該他のデバイスは、別の自動車両に搭載される。それら該車両は、共通の経路に従い得、該経路上で上流側の該車両に搭載された該デバイスは、該外力の該推定を、下流側の該車両に搭載された該デバイスに送信しうる。
【0038】
当業者は、そのような推定モデルをどのように開発するかを当然のこととして知っている。例えば、該支持体が車両によって担持されるか又は車両の表面である一つの変形例において、該当業者は、決められた速度で移動している車両の包絡面の様々な領域における空気流の軌道を、風洞内での空力性能試験に基づいて決定しうる。当業者はまた、上記領域の各々における該空気流の局所速度を決定し、よって、該領域の各々で該液体に加えられる力の推定を計算しうる。
【0039】
例えば、該分析ユニットは、支持体の外部面、例えばフロントガラス又は車両のセンサの為の保護部材、の上で液体、例えば雨滴、に加えられる該外力の該配向を、該車両の速度の測定、GPSトランシーバによって送信される該車両の配向、並びに該データサーバから得られる風の平均速度及び平均方向から推定しうる。
【0040】
該超音波表面波によって引き起こされる該液体の変位は、特に、音響ストリーミング効果から、及び/又は該1以上の超音波表面波によって引き起こされる放射圧効果から生じうる。
【0041】
該液体は、少なくとも1つの滴の形態、又は、それぞれ異なる大きさを有しうる複数の滴の形態を取りうる。該液体は、連続的又は非連続的でありうる、少なくとも1つの膜の形態を取りうる。「膜」によって意味されるのは、該支持体上に形成された薄膜である。該液体は、液溜まりの形態を取りうる。
【0042】
該液体は、水性でありうる。特に、それは雨水又は露水でありうる。雨水及び/又は露水は特に、油分の多い粒子を含有しうる。露水は、支持体の表面に霧を形成する。それは、蒸気の形態で空気中に保持されている水が、好適な圧力及び温度条件下で、該支持体上に結露する結果生じる。
【0043】
該デバイスは、該支持体上の該液体の存在を検出するように構成された検出ユニットを備えうる。例えば、該検出ユニットは、カメラによって取得された画像のストリームを処理し、該カメラが液体によって見えなくされたときにそのことを検出するように構成されうる。該検出ユニットは、該液体によって引き起こされるLiDAR範囲の減少を検出する為に、LiDARからの情報ストリームを処理するように構成されうる。
【0044】
更に、該検出ユニットは、該支持体と接触している該液体の存在を検出する為に、該トランスデューサのうち少なくとも1つによって発される表面波を測定及び分析するように構成されうる。例えば、該検出ユニットは、該トランスデューサのうち該支持体上に互いの反対側に配置された2つのトランスデューサの間で送信される波を測定するように構成されうる。別の例によれば、該デバイスは、該トランスデューサの1つが、パルス、例えば方形波又はディラックパルス、の形態の超音波を生成し、該液体が該支持体と接触している場合に、該液体と該パルスとの間の相互作用を通じて応答波が発生するかどうかを測定するように構成されうる。
【0045】
最後に、該表面波トランスデューサはそれ自体、互いと対向して位置する2つのトランスデューサ間の信号の送信を測定することにより、又は、パルスを送出し、該液体によるその波の反射によって生成されるエコーを測定することにより、該支持体上の液体の存在を検出する為に使用されうる。
【0046】
該支持体は、超音波表面波を伝播することが可能な任意の材料からなりうる。好ましくは、それは、該材料中での該超音波表面波に対する吸収長が該支持体の面積の少なくとも10倍超、又は更には少なくとも100倍超である、材料からなる。
【0047】
長手方向の表面波が伝播する該支持体の面は、平面でありうる。それはまた、該面の曲率半径が該超音波表面波の該波長よりも大きければ、湾曲しうる。
【0048】
該面は、粗面でありうる。それは、該波長よりも低い粗さRaを有しうる。
【0049】
該支持体は特に、平坦な板、又はある方向に少なくとも1つの湾曲を有する板の形態を取りうる。該板の厚みは、10cmよりも小さい、又は1cmよりも小さい、又は更には1mmよりも小さい厚みでありうる。該板の長さは、1cmよりも長い、又は10mよりも長い、又は更には1mよりも長い長さでありうる。
【0050】
「該支持体の厚み」によって意味されるのは、該超音波が伝播する表面に対して直角の方向に測定される該支持体の最も小さい寸法である。
【0051】
該支持体は、水平に対して平らに配置されうる。一つの変形例として、それは、該水平に対して、10°よりも大きい、又は20°よりも大きい、又は更には45°よりも大きい、又は更には70°よりも大きい、角度αだけ傾斜されうる。それは垂直方向に配置されうる。
【0052】
該支持体は、特に可視範囲の光に対して、光学的に透明でありうる。よって、該方法は、その場合、特には該支持体を通して周囲状況を観察するユーザの視覚的快適さの向上が求められる用途に好適である。
【0053】
該支持体は、圧電材料、ポリマー、特に熱可塑性物質、特にポリカーボネート、ガラス、金属、及びセラミックのうちから選択される材料からなりうる。
【0054】
好ましくは、該支持体は、圧電材料以外の材料からなる。
【0055】
好ましくは、該支持体は、
自動車両の表面、例えば車両のフロントガラス、若しくはバックミラーの板ガラスの中から選択される自動車両の表面、又は
ヘルメットのバイザー、
建物の窓、
光学デバイスの表面、例えば、カメラのレンズ、眼鏡のレンズ、及びセンサ、特にプローブ、例えばピトー・プローブ又はライダー、の中から選択される光学デバイスの表面、並びに
そのようなセンサの為の保護要素
によって形成される群から選択される。
【0056】
該支持体は、航空機の構造要素、例えば翼、胴体、又は尾翼、でありうる。
【0057】
該デバイスは、少なくとも2つのトランスデューサを備えている。該音響力の配向を更に正確に定める為に、該デバイスは好ましくは、好ましくは支持体の1つの面に対して垂直な軸の周りに規則的に分散された、少なくとも3つ、又は少なくとも4つさえ、更に良くは少なくとも8つの、波トランスデューサを備えている。
【0058】
好ましくは、該デバイスは、少なくとも2対、又は更には少なくとも3対、更に良くは少なくとも4対の、トランスデューサを備え、1つの同じ対のトランスデューサは、同じ方向に、しかし異なる向きに伝播する超音波表面波を生成するように配置される。好ましくは、1つの同じ対のトランスデューサは、それらが生成しうる波の伝播の方向に互いと対向して配置される。
【0059】
該デバイスは、偶数個のトランスデューサを有しうる。
【0060】
該トランスデューサは、該支持体に取り付け、好ましくは接着、されうる。特に、それらは、該支持体の端部に配置されうる。
【0061】
該トランスデューサは、該支持体、特に該液体が載る該支持体の面、を少なくとも部分的に覆いうる。
【0062】
該トランスデューサのうちの少なくとも1つ、又は更には該トランスデューサの各々が、該超音波表面波を直接生成しうる。代替的には、該トランスデューサのうち少なくとも1つ、又は更には該トランスデューサの各々が、超音波誘導波を生成し得、それは、該支持体と該トランスデューサとの界面において伝播し、次いで上記トランスデューサからある距離に配置された該支持体の部分に沿って該超音波表面波に変換される。
【0063】
該トランスデューサのうち少なくとも1つ、又は更には各トランスデューサが、該支持体と、又は該支持体上に配置された中間層、例えば接着剤によって形成された中間層、と直接接触しうる。
【0064】
好ましくは、該トランスデューサのうち少なくとも1つ、好ましくは各トランスデューサ、が、第1のコーム及び第2のコームをそれぞれ形成する第1の電極及び第2の電極を備えており、ここで、該第1のコーム及び第2のコームは、櫛形であり、該支持体上に配置されている、及び/又は、該支持体と直接接触して、及び/又は、該支持体と接触している中間基板、特に該支持体上に配置された中間基板、と接触して、配置されており、ここで、該基板は圧電材料からなる。
【0065】
該圧電材料は、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、ジルコン酸チタン酸鉛、酸化亜鉛、及びそれらの混合物によって形成される群から選択されうる。該圧電材料は、可視範囲の光に対して不透明でありうる。
【0066】
一つの変形例として、該支持体は、該圧電材料から形成され、該トランスデューサのうち少なくとも1つが、該支持体を含む。そして、該第1のコーム及び第2のコームは好ましくは、該支持体と接触して配置される。
【0067】
別の変形例として、該支持体は、圧電材料以外の材料からなり、該電極は、該中間基板上に配置される。
【0068】
該第1の電極及び第2の電極は、フォトリソグラフィを使用して、該支持体上に及び/又は該基板上に堆積されうる。
【0069】
該第1の電極及び第2の電極は、該支持体と該基板との間に挟まれ得、該基板は好ましくは、該超音波誘導波の基本波長の少なくとも1倍、又は更には少なくとも2倍大きい厚みを有する。代替的には、該基板は、該支持体と該第1の電極及び第2の電極との間に挟まれ得、好ましくは、該超音波誘導波の該基本波長よりも小さい厚みを有する。
【0070】
該第1のコーム及び第2のコームは好ましくは、指状物(finger)の列がそこから延びる基部を含み得、該指状物は好ましくは、互いと平行である。該指状物は、該超音波表面波の該波長の8分の1~上記波長の2分の1の幅を有し得、好ましくは上記波長の4分の1に等しい。該指状物の幅は、該超音波表面波の該基本周波数を部分的に決定する。
【0071】
更に、該第1のコーム又は該第2のコームそれぞれの列のうち2つの連続して隣接する指状物の間の間隔は、該超音波表面波の該波長の8分の1~上記波長の2分の1であり得、好ましくは上記波長の4分の1に等しい。
【0072】
該第1のコームの該指状物の列及び/又は該第2のコームの該指状物の列は各々、3本以上の指状物、又は更には11本以上の指状物、又は更には41本以上の指状物を備えうる。指状物の数を増すと、該トランスデューサの品質係数が増大する。
【0073】
該基板は、例えば該支持体上への化学気相成長により、又はスパッタリングにより、堆積された薄層でありうる。一つの変形例として、該基板は自己支持型である、すなわち、自重下で屈曲しないないだけの剛性を有しうる。該自己支持型の基板は、該支持体に取り付け、例えば接着、されうる。
【0074】
該トランスデューサから最も遠い該液体の部分は、該支持体中での該表面波の減衰長の数倍に対応する距離に配置されうる。
【0075】
更に、該デバイスは、各トランスデューサに電力を供給する為に、発電機、例えばバッテリ、を備えうる。該発電機は、該制御ユニットに接続されうる。それは、該分析ユニットに電力を供給しうる。
【0076】
該発電機は、該トランスデューサのうち少なくとも1つ、又は更には該トランスデューサの各々に、10ミリワット~50ワットの電力を送出しうる。
【0077】
最後に、本発明はまた、車、バス、オートバイ、及びトラックの中から選択される自動車両に関し、該車両は、本発明によるデバイスを備えている。
【0078】
好ましくは、該車両は、シャーシを備え、該デバイスは該シャーシに対して固定されている。
【0079】
本発明はまた、デバイス、特に本発明によるデバイス、を用意することを含む方法に関し、該デバイスは、液体によって覆われた表面と、支持体に音響的に結合され、該支持体を通じて伝播する超音波表面波を生成するように各々が構成された、少なくとも2つの波トランスデューサと、を備えており、各該トランスデューサによって生成される該超音波表面波の伝播方向はそれぞれ異なり、
該方法は、該液体に施与される外力の配向を推定し、上記推定に基づいて、1以上の超音波表面波と該液体との間の相互作用によって発生する、該液体に施与される音響力が所定の向き(sense)に配向されるように、該1以上の超音波表面波を該支持体を通して伝播させる為に、該トランスデューサのうちの少なくとも1つに電力を供給することを含む。
【0080】
好ましくは、該デバイスは、自動車両に搭載され、該外力の該推定は、該車両の速度の測定を包含する。
【0081】
最後に、本発明は、車両速度センサと、特に本発明による、電気音響デバイスとを備えている自動車両であって、該電気音響デバイスは、
支持体、
該支持体に音響的に結合された少なくとも2つの波トランスデューサ、ここで、各波トランスデューサは、該支持体を通じて伝播する超音波表面波を生成するように各々が構成されており、該トランスデューサによって生成される該超音波表面波の伝播方向がそれぞれ異なる、及び、
液体が該支持体上に配置されたときに、1以上の該超音波表面波と該液体との間の相互作用によって発生する、該液体に施与される音響力が所定の向き(sense)に配向されるように、該車両の速度を用いて該トランスデューサのうち少なくとも1つを制御するように構成されている制御ユニット
を備えている、上記自動車両に関する。
【0082】
本発明は、その実施の非制限的な例についての以下の詳細な説明を読み、以下の添付図面を考察すると、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、本発明によるデバイスの1つの例を備えている自動車両を斜視図で示す。
【
図2】
図2は、本発明による該デバイスの一部分を示す、
図1のクローズアップである。
【
図3】
図3は、実施例1からの該デバイスの模式表現である。
【
図4】
図4は、作動させるトランスデューサを選択する為の方法の1つの例を説明する。
【
図5】
図5は、例示的デバイスからのトランスデューサの1つの実施態様を示す。
【
図6】
図6は、例示的デバイスからのトランスデューサの別の実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図の構成要素は、分かりやすさの為に実際の縮尺では示されていない。
【0085】
図1は、本発明によるデバイス10の一つの例を含んでいる自動車両5を示す。
【0086】
該デバイスは、複数の超音波表面波トランスデューサ15a~hと、支持体20とを備えており、該支持体は、ライダー用の保護ケース30に作られた窓25の中に装着された丸窓によって画定され、その上に該トランスデューサが配置される。該デバイスは、分析ユニット35と、該トランスデューサの制御ユニット40とを更に備え、両方とも該車両内に収容されている。
【0087】
該丸窓(porthole)は、可視光に対して透明であり、例えばガラス又はポリカーボネートからなる。
【0088】
該保護ケース内にライダーが収容されており、該車両の環境内に位置する障害物45、歩行者、及び他の車両を検出する為に、該丸窓を通してレーザ光線Lを発する。図示される該例において、該丸窓は平面状であるが、一つの変形例として、それは湾曲しうる。
【0089】
該トランスデューサは、該丸窓の外側面50の周部に配置されており、風及び雨にさらされる。それらは更に、該丸窓の中心Cを通り、該面に対して直角である、軸Xを中心として規則的に配置されている。よって、例えば15a及び15eと参照される、該中心に対して対称に配置された該トランスデューサ同士が対を形成し、一つの対の各トランスデューサは、他方の対のトランスデューサによって発される波、例えばWe、の向きに対して反対の向きで、超音波表面波、例えばWa、を発する。
【0090】
図1に示されている該例において、各トランスデューサは、実質的に該中心Cに向かって方向付けされている超音波表面波W
a~eを伝播するように構成されている。よって、該支持体にかけられる該外力の推定される配向がどうであれ、該デバイスの該トランスデューサのうち少なくとも1つは、該支持体にかけられる成分が該かけられる外力に対して実質的に平行に方向付けされている音響力を発生させることが可能な表面波を生成するように、制御されることができる。
【0091】
無論、該トランスデューサの他の構成が構想されうる。同様に、トランスデューサの数は制限的ではなく、減少又は増加されうる。
【0092】
該分析ユニットは、該車両内の、例えば前部ボンネットの下方又は客室内に、収容されている。それは、該車両の車輪60内に配置された車両速度測定ユニット55に電気ケーブル53によって接続されており、該車輪の回転速度を測定し、それを該車両の速度に変換するように構成されている。該分析ユニットは、GPSトランシーバ65にも接続されており、該GPSトランシーバ65は、該車両の位置及び配向を測定し、また該車両の該速度も推定しうる。
【0093】
よって、例えば1Hzよりも高い、又は更には10Hzよりも高い、例えば50Hzに等しい、所定の取得周波数に従って、該分析ユニットは、該車両の該速度、該配向及び該位置を受け取ることができる。
【0094】
更に、該分析ユニットは、リモートの気象データサーバに問合せをし、該サーバから該車両の該位置に対する風の方向及び速度を受け取る為に、セルラー通信モジュール70に接続されている。
【0095】
該分析ユニットは、該車両の該速度、該位置及び該配向並びに気象情報を入力データとする数値推定モデルを用いて、該外力の該配向を推定する。該推定モデルは、液体の重量に関係する成分を推定する為に、水平に対する該丸窓の位置をまた考慮に入れる。
【0096】
従って、例えば雨天時に、該丸窓の面で液体88が検出されると、該分析ユニットは、該外力の配向OFeを推定し、且つそれを該制御ユニット40に送信することができる。
【0097】
該制御ユニットは、該分析ユニットと多チャネル電流発生器75とに電気的に接続されている。該電流発生器の各チャネル80a~hは、トランスデューサに電力を供給する為に、対応するトランスデューサ15a~hに電気的に接続されている。該制御ユニットは、複数のスイッチ85a~hを更に備えており、各々は、該電流発生器と該トランスデューサとの間に電気的に配置されている。
【0098】
該制御ユニットは、合成モジュール90を更に備えている。該合成モジュールは、該デバイスのトランスデューサのセットの中から、該支持体にかけられる該外力の配向OF
epに対して90°未満の角度αを有する超音波表面波を生成するトランスデューサを選択する。例えば、
図3において、該トランスデューサ15d、15
e、及び15fが、90°未満の角度α
d~fを有する為、選択される。該制御ユニットは次いで、該選択されたトランスデューサに対する電力供給回路のスイッチを開位置にし、その他のスイッチを閉位置にする。それは次いで、該選択されたトランスデューサ各々に送信される電流の強さが該角度αに比例するように、該電流発生器を制御する。よって、該選択されたトランスデューサの音響波と該液体との間の相互作用によって生成され、該支持体にかけられる該音響力OF
apは、該支持体にかけられる該外力と実質的に平行になり、それと同じ向きに配向される。そして、該液体は、該外力単独よりも高い強さの力を受け、それがその剥離及び該支持体に対する変位を促進する。
【0099】
図5は、
図1に示されている該例からの該支持体上への該トランスデューサの1つの例示的配置を示す。
【0100】
該トランスデューサは基板100を備えており、その上に第1の電極105及び第2の電極110が配置されている。該基板は、例えば、128°でカットされたニオブ酸リチウムからなる。
【0101】
該電極は、フォトリソグラフィを使用して堆積される。それらは、チタンから形成され20nmに等しい厚みを有する、該中間基板に取り付ける為の結合層と、100nmの厚みを有する金の導電層と、から構成される。
【0102】
該第1の電極及び第2の電極は、第1のコーム115及び第2のコーム120を形成する。各コームは、基部125、130と、該基部から互いと平行に延びる指状物の列135、140とを有する。該第1のコーム及び第2のコームは櫛形である。
【0103】
該指状物の間の間隔は、当業者がどのように決定するかを容易に知っている該トランスデューサの共振周波数を決定する。
【0104】
該第1の電極及び第2の電極の交流の電力供給は、該第1のコーム及び第2のコームの2つの連続した指状物の間に配置された圧電材料中で機械的な反応を誘発し、その結果、超音波表面波Wが生成されて、該第1のコーム及び第2のコームの該指状物に直角な伝播の向きPに該支持体を通じて伝播する。
【0105】
図6は、該支持体上への該トランスデューサの別の配置を示す。
【0106】
該トランスデューサは、自己支持型の支持基板100を備えており、第1の電極105及び第2の電極110は、該支持体100に接合された基板50の面に堆積されている。電流が該第1の電極及び第2の電極を通過する時、該トランスデューサは、超音波誘導波Gを生成し、それは該支持体と該基板との間を伝播する。該誘導波がその伝播方向に沿って該基板の端150に到達すると、それは超音波表面波Wに変換され、該超音波表面波Wは、該誘導波と実質的に同じ伝播方向に、該基板から離れた該支持体の部分160を通って伝播する。該誘導波の表面波への変換は、該支持体の該部分内の2つの固体の間に界面が存在しないことによって引き起こされる。
【0107】
図6に示されている該トランスデューサの配置は、該第1の電極及び第2の電極を保護するという利点を有する。例えば、液体88は、該電極の上を流れてそれらを酸化させることができない。更に、任意的に、
図4に示されている該デバイスが、該トランスデューサの為の筐体を該支持体と共に画定する保護部材155を備えうる。これは、該デバイスにぶつかる物体が該トランスデューサを損傷することを防止する。
【0108】
言うまでもなく、本発明は、例として提示された実施態様及び例に制限されない。
【国際調査報告】