(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】表面硬化被覆を備えた軌道チェーン構成要素
(51)【国際特許分類】
C23C 28/00 20060101AFI20221129BHJP
C21D 1/06 20060101ALI20221129BHJP
C23C 8/22 20060101ALI20221129BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20221129BHJP
B23K 26/342 20140101ALI20221129BHJP
B62D 55/21 20060101ALI20221129BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20221129BHJP
C22C 38/18 20060101ALN20221129BHJP
C22C 38/60 20060101ALN20221129BHJP
【FI】
C23C28/00 A
C21D1/06 A
C23C8/22
C23C26/00 E
B23K26/342
B62D55/21 Z
C22C38/00 301N
C22C38/18
C22C38/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520440
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020051188
(87)【国際公開番号】W WO2021067041
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラソッド、チャンドラセーン アール.
(72)【発明者】
【氏名】レッカー、ロジャー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ピカリル、ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー、ダグラス ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ソードレット、ダニエル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4E168
4K028
4K044
【Fターム(参考)】
4E168BA32
4K028AA01
4K028AB01
4K044AA02
4K044AB10
4K044BA01
4K044BB01
4K044BC01
4K044CA41
(57)【要約】
軌道ブッシング(204)などの鋼製軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)は、浸炭部分(404)、表面硬化部分(412)、及びコア部分(410)で形成されてもよい。コア部分(410)は、浸炭部分(404)よりも軟らかくてもよく、結果的に、浸炭部分(404)は表面硬化部分(412)よりも軟らかくてもよい。構成要素(162、164、166、168、202、204)の種々の部分のこの構成により、構成要素(162、164、166、168、202、204)の比較的高い耐摩耗性とともに靭性を可能にし得る。コア部分(410)は主にフェライト結晶構造であってもよく、一方、浸炭部分(412)及び表面硬化部分(412)はマルテンサイト及び/又はオーステナイト結晶構造を含んでもよい。浸炭部分(412)は、加熱されたカーボンリッチ環境で軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)を浸炭することによって形成されてもよい。表面硬化部分(412)は、浸炭部分(404)の少なくとも一部分の上に表面硬化合金を溶接することによって形成されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)の製造方法であって、
前記軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)の浸炭部分(404)を形成するために軌道チェーン(160)の表面の粗い構成要素を浸炭する工程であって、前記表面の粗い構成要素が約0.4重量%未満の炭素含有量を有する鋼から形成され、前記鋼が実質的にフェライト結晶構造を有する、工程と、
前記軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)の表面硬化部分(412)を形成するために前記浸炭部分(404)の少なくとも一部の上に表面硬化合金を析出する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記鋼が、0.25重量%未満の炭素含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記浸炭部分(404)が、前記軌道チェーン構成要素のコア部分(410)よりも硬く、前記表面硬化部分が前記コア部分よりも硬い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記浸炭部分(404)が、少なくとも58HRCの硬度を有し、コア部分(410)が52HRC未満の硬度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記表面硬化合金を析出する工程は、(i)前記表面硬化合金に粉末レーザークラッド溶接を施す工程;(ii)前記表面硬化合金にホットワイヤ・レーザー溶接を施す工程;(iii)前記表面硬化合金にプラズマ移行性アーク(PTA)溶接を施す工程;(iv)前記表面硬化合金にタングステン不活性ガス(TIG)溶接を施す工程;(v)金属不活性ガス(MIG)溶接を施す工程;又は(vi)サブマージアーク溶接(SAW)を施す工程のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記表面の粗い構成要素を浸炭する工程の前に、前記軌道チェーン構成要素(162、164、166、168、202、204)にアンダーカットを形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ブッシング(204)であって、
外表面(402)及び内表面(406)であって、前記内表面(406)が前記外表面(402)に対向しており、前記内表面(406)が、実質的に一定の直径を有するチャネルを画定し、前記チャネルが、前記ブッシング(204)の第1の端(206)から、前記第1の端(206)の反対側の前記ブッシング(204)の第2の端(208)まで前記ブッシング(204)を貫通して略中心方向に延在する、外表面(402)及び内表面(406)と、
前記内表面(406)を含む内側部分(408)と、
前記外表面(402)を含む外側部分(404)と、
前記外表面(402)の上に少なくとも部分的に横たわっている表面硬化部分(412)と、
前記内側部分(408)と前記外側部分(404)との間に配設されたコア部分(410)と、を備え、
前記コア部分(410)が、前記内側部分(408)及び前記外側部分(404)よりも軟らかく、
前記コア部分(410)が、前記表面硬化部分(412)よりも軟らかい、ブッシング(204)。
【請求項8】
前記内側部分(408)が、少なくとも55HRCの硬度を有し、
前記外側部分(404)が、少なくとも55HRCの硬度を有し、
前記表面硬化部分(412)が、少なくとも65の硬度を有し、
前記コア部分(410)が、52HRC未満の硬度を有する、請求項7に記載のブッシング(204)。
【請求項9】
前記内側部分(408)及び前記外側部分(404)が、前記コア部分(410)の第2の炭素含有量よりも多い第1の炭素含有量を有する、請求項7に記載のブッシング(204)。
【請求項10】
前記ブッシング(204)が、アンダーカットをさらに備え、前記表面硬化部分(412)が前記アンダーカットの上に実質的に横たわっている、請求項7に記載のブッシング(204)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面硬化被覆(hardface overlay)を備えた軌道チェーン構成要素に関する。より具体的には、本開示は、改善された磨耗寿命を達成するためのハードフェースを備えた軌道チェーン構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道型機械は、建設、鉱業、林業、及びその他の同様の産業で広く使用されている。そのような軌道型機械のアンダーキャリッジは、車輪ではなく軌道アセンブリを利用して、地面係合推進力を提供する。そのような軌道アセンブリは、上記に特定された産業で頻繁に見つけられるような、十分な牽引力を生み出すことが問題となる環境で好まれる可能性がある。具体的には、軌道型機械は、作業面を横切って車輪で走る代わりに、地面係合軌道シューをサポートする外表面を画定する結合された軌道リンクの無限ループと、例えば、駆動スプロケット、アイドラ、テンショナー、ローラーなど、1つ以上の回転可能な軌道係合要素の周りを移動する内表面を含む1つ以上の軌道アセンブリを利用する。
【0003】
典型的な軌道チェーンアセンブリの設計には、一対のチェーンリンクに固定的に又は回転可能に接続された軌道ピンと、リンク同士間及び軌道ピンの周りに回転可能に位置決めされたブッシングが含まれる。そのような軌道チェーンアセンブリは、軌道ジョイントが水、土、砂、岩、又はその他の鉱物元素又は化学元素のさまざまな研磨混合物に曝される可能性がある非常に劣悪な環境で動作することができる。軌道ピンとブッシングとの間の軸受境界面は、かじり不具合につながる高い接触応力に遭遇する可能性がある。かじりは軌道チェーンアセンブリの主要な不具合モードであり、且つ多数の用途において軌道チェーンアセンブリの寿命を制限させる可能性がある。付加的に、軌道チェーンアセンブリの動作により、ブッシング、スプロケット、アイドラなどの軌道チェーンの構成要素が磨耗する可能性がある。
【0004】
動作中、軌道ブッシング及び/又は軌道チェーンアセンブリの他の構成要素に過度の荷重が印加される場合がある。軌道ブッシングの異なる表面、例えば、内径、エンドリングの表面などは、軌道ブッシングに印加される可能性のある荷重に耐えるために、強度と靭性を高めた耐摩耗性を必要とする場合がある。同様に、軌道チェーンの他の構成要素も高レベルの磨耗を起こしやすく、高荷重に耐えるように作製されている場合がある。結果として、軌道チェーンアセンブリの構成要素は、使用中の磨耗の量を減らすために、硬い外側部分を有するように製造されてもよい。ただし、これらの軌道構成要素の生産は、時間と労力を要し、コストのかかるプロセスになる可能性がある。さらに、ブッシングなどの最終構成要素は、従来の方法で生産した場合、十分な耐摩耗性と靭性を発揮できない可能性がある。
【0005】
軌道チェーン構成要素を生産する例は、米国特許第7,657,990号(以下、「‘990参考」と呼ぶ)に記載されている。ここで、材料は、鉄ベース合金の表面又はアンダーカット又はチャネル内部にプラズマ移行性アーク(PTA)溶接される。例えば、硬質金属合金のスラリーは、表面上又はアンダーカット内部又はチャネル内に配設され、次に融合されて、鉄ベース合金と冶金学的結合を形成する。ただし、これには、アンダーカット処理、次いで、金属合金スラリーの塗布など、追加の処理ステップが必要である。具体的には、‘990では、表面溶接の前に、浸炭された金属が除去される。したがって、‘990参考に記載されているように、スラリーの塗布と溶融のプロセスは、鋼の硬化層及び/又は浸炭層では実行されない。これにより、外層の厚さが制限される場合がある。
【0006】
本開示の例示的な実施形態は、上記の欠陥を克服することを目的としている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の1つの例示的な実施形態では、軌道チェーンアセンブリの構成要素の製造方法は、軌道チェーン構成要素の浸炭部分を形成するために表面の粗い構成要素を浸炭する工程を含む。表面の粗い構成要素は、炭素含有量が0.4重量%未満の低炭素鋼から形成される。さらに、低炭素鋼は実質的にフェライト結晶構造を有している。方法はさらに、軌道チェーン構成要素の表面硬化部分を形成するために浸炭部分の少なくとも一部の上に表面硬化合金を析出する工程を含む。
【0008】
本開示の別の例示的な実施形態では、ブッシングは外表面及び内表面であって、内表面が、外表面に対向しており、内表面が実質的に一定の直径を有するチャネルを画定し、チャネルが、ブッシングの第1の端から、第1の端の反対側のブッシングの第2の端までブッシングを貫通して略中心方向に延在する、外表面及び内表面を含む。ブッシングはさらに、内表面を含む内側部分と、外表面を含む外側部分と、外表面の上に少なくとも部分的に横たわっている表面硬化部分と、内側部分と外側部分との間に配設されたコア部分と、を有する。このブッシングでは、コア部分は、内側部分よりも軟らかく、コア部分は、外側部分よりも軟らかい。さらに、コア部分は表面硬化部分よりも軟らかい。
【0009】
本開示のさらに別の例示的な実施形態では、軌道チェーンアセンブリは、複数の軌道シュー、複数のリンク、及び複数のブッシングを含む複数の構成要素を備える。構成要素のうちの少なくとも1つは、コア部分、コア部分の上に横たわる浸炭部分、及び浸炭部分の上に横たわる表面硬化部分を含む。コア部分は、浸炭部分よりも軟らかく、コア部分は、表面硬化部分よりも軟らかい。さらに、浸炭部分と表面硬化部分との組み合わせは、厚さが少なくとも4mmである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に従って形成された1つ以上の構成要素を備えた軌道型機械を含む例示的なシステムの概略図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、
図1に示されるような例示的な軌道型機械のアンダーキャリッジのための軌道チェーンアセンブリの例示的な部分の概略図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、
図2に示される軌道チェーンの部分の例示的なブッシングの概略図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、例示的なブッシングの断面図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、特定のブッシングの別の断面図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、
図2の軌道チェーンアセンブリの例示的な構成要素を形成するための例示的な方法を示すフローダイアグラムである。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、
図2の軌道チェーンアセンブリの例示的な構成要素を形成するための別の例示的な方法を示すフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
可能な限り、図面全体にかけて同一の参照番号が、同一又は類似の部分を指すために使用されるであろう。
【0012】
図1は、本開示の例示的な実施形態に従って形成された1つ以上の構成要素を備えた軌道型機械100を含む例示的なシステムの概略図である。機械100の例示的な実施形態は、軌道付きアンダーキャリッジ120を含む。機械100はまた、本明細書では、「軌道型機械」100及び/又は「機械」100と交換可能に言及されてもよい。他の実施形態では、機械100は、ドーザ、ローダー、パワーショベル、タンク、バックホー、掘削機、トレンチャー、又は任意の他のオンハイウェイ又はオフハイウェイ車両などの、軌道付きアンダーキャリッジ120を備えた任意の適切な機械であってもよい。
【0013】
機械100は、その第1の側110に配設された第1の軌道チェーンアセンブリ160と、その第2の側(図示せず)に配設された第2の軌道チェーンアセンブリ(図示せず)とを有するフレーム140を含む。第2の側は、第1の側110に対して対向の関係にある。軌道アセンブリが共に、地面又は他の表面と係合して、機械100を後方及び/又は前方方向に推進するように適合されている。
【0014】
機械100の軌道アセンブリは類似していてもよく、さらに、互いの鏡像を表していてもよいことを認識すべきである。したがって、本明細書では、第1の軌道チェーンアセンブリ160のみを説明する。第1の軌道チェーンアセンブリ160の説明は、第2の軌道チェーンアセンブリにも適用可能であってもよいことを理解されたい。本開示に従って、他の実施形態は、2つを超える軌道チェーンアセンブリを含んでもよい。したがって、本明細書に開示される、装置、システム、及び方法は、任意の適切な軌道型機械、又はその変形例に適用される。さらに、軌道型機械100の開示された構成要素及びその形成の機構は、本明細書で論じられるように、非軌道型機械及び/又は他の機械的システムなどの他のシステムにも適用されてもよい。
【0015】
図1を引き続き参照すると、第1の軌道チェーンアセンブリ160は、駆動スプロケット162、フロントアイドラ164、リアアイドラ166、及び複数の軌道ローラー168などの複数の回転要素の周りに延在する。軌道チェーンアセンブリ160は、地面又は他の表面に係合し、機械100を推進するための複数の地面係合軌道シュー170を含む。
【0016】
アンダーキャリッジ120の典型的な動作中、駆動スプロケット162は、例えば、エンジンによって、前方回転方向FRに駆動されて、軌道チェーンアセンブリ160、したがって機械100を前方方向Fに、そして逆回転方向RRに駆動されて、軌道チェーンアセンブリ160、したがって機械100を逆方向Rに駆動する。アンダーキャリッジ120の駆動スプロケット162は、機械100の向きを変えるために単独に操作することができる。
【0017】
アンダーキャリッジ120及び軌道チェーンアセンブリ160は、本明細書に記載されるように、種々の他の構成要素を含んでもよい。過酷な動作環境及び軌道チェーンアセンブリ160の種々の構成要素に印加される荷重に起因して、軌道チェーンアセンブリ160の種々の構成要素の材料特性を改善して、それらの構成要素の使用可能寿命を改善することが望ましい。
【0018】
機械100は、軌道型機械の文脈で示されているが、本開示はそれによって限定されず、軌道を有する多種多様な他の機械もまた、本文脈内で企図されることが理解されよう。例えば、他の実施形態では、軌道チェーンアセンブリ160は、回転要素間でトルクを伝達するための軌道として、又は当業者に知られている任意の他の用途で、コンベヤシステムに含めることができる。付加的に、軌道のない機械は、本明細書に開示されるような、構成要素を含んでもよい。
【0019】
本開示の例示的な実施形態によれば、機械100及びその軌道チェーンアセンブリ160の種々の構成要素は、それらの全体的な靭性を維持及び/又は改善しながら、それらの耐摩耗性を改善する方法で形成されてもよい。本明細書に開示される機構は、改善された表面耐摩耗性、構成要素間のかじりの低減、及び高い靭性を提供するためにそれらの構成要素内のより軟らかいコア領域を維持しながら、それらの構成要素の表面硬度を高めるために、本明細書に開示される任意の種々の軌道チェーンアセンブリ構成要素に適用されてもよい。
【0020】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、
図1に示されるような例示的な軌道型機械100のアンダーキャリッジのための軌道チェーンアセンブリ160の例示的な部分200の概略図である。上述したように、動作際には、軌道型機械100の駆動スプロケット162は、機械100の動きを容易にするために、フロントアイドラ164、リアアイドラ166、及び複数の軌道ローラー168などの1つ以上のアイドラ又は他のガイド構成要素の周りに軌道アセンブリ160を回転させてもよい。
【0021】
軌道アセンブリ160は、横方向に配設された軌道ブッシング204によって互いに結合されてもよい一連のリンク202をさらに含んでもよい。図示されるように、リンク202は、オフセットリンクであってもよい。すなわち、リンク202のそれぞれは、内向きにオフセットされた端部206及び外向きにオフセットされた端部208を有してもよい。リンク202の各々の内向きにオフセットされた端部206は、隣接するリンクの各々の対応外向きにオフセットされた端部208に結合されている。さらに、リンク202の各々の内向きにオフセットされた端部206は、対向するリンクの内向きにオフセットされた端部206に結合されてもよい、且つリンク202の各々の外向きにオフセットされた端部208は、軌道ブッシング204によって対向するリンクの外向きにオフセットされた端部208に結合されてもよい。ただし、リンク202はオフセットリンクである必要はないことが理解されるべきである。むしろ、いくつかの実施形態では、リンク202は、内側リンク及び外側リンクを含んでもよい。そのような実施形態では、当技術分野で知られているように、内側リンクの各対向する対の両端部は、対向する外側リンクの端部間に位置決めされる。
【0022】
いくつかの態様では、本開示の少なくとも一部は、軌道ブッシング204、駆動スプロケット162、フロントアイドラ164、リアアイドラ166、軌道ローラー168、リンク202、軌道チェーンアセンブリのシュー、及び/又は機械100の他の構成要素などの軌道チェーンアセンブリ160の構成要素の形成、生産、及び/又は製造に関する。さらに、軌道チェーンアセンブリ160の構成要素を形成するための機構は、他の機械の他の構成要素及び/又は機械100の他の部分に適用されてもよい。
【0023】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、例示的なブッシング204の概略図である。軌道ブッシング204は、本明細書で論じられる機構に従って製造されてもよい軌道チェーンアセンブリ160の構成要素の例として使用される。本明細書の開示は、軌道ブッシング204に限定されず、代わりに、本開示は、軌道チェーンアセンブリ160の任意の適切な構成要素及び/又は機械100の他の任意の構成要素に適用可能であることが理解されるべきである。
【0024】
軌道ブッシング204は、内表面302と外表面304とを含み、両者間の軌道ブッシング204の厚さ「TT」を規定する、概して中空の円筒形を有してもよい。図示されるように、内表面302及び外表面304は、軌道ブッシング204の丸い形状を画定するために曲率を有してもよい。軌道ブッシング204はまた、軌道ブッシング204の長さ「L」を規定する第1のエンドリング306及び第2のエンドリング308を有する。
【0025】
軌道ブッシング204の形状及び寸法は、用途によって異なってもよい。例えば、より大きな軌道チェーンアセンブリ160は、より小さなサイズの軌道チェーンアセンブリ160よりも大きなサイズの軌道ブッシング204を含んでもよい。軌道ブッシング204の種々の部分(例えば、硬化した表面層、より軟らかいコア部分など)の厚さもまた、軌道ブッシング204の用途に応じて異なってもよい。
【0026】
本開示の例示的な実施形態によると、軌道ブッシング204は、低炭素鋼、低炭素合金鋼、及び/又は本明細書に開示されるような追加の処理を伴う中炭素鋼から作製されてもよい。形成されたまま及び、浸炭、焼入れ、及び/又は焼戻し処理前の、軌道ブッシング204などの構成要素の炭素含有量は、約0.05重量%~約0.7重量%の範囲であってもよい。他の例示的な実施形態では、形成されたまま及び浸炭、焼入れ、及び/又は焼戻し処理前の軌道ブッシング204などの構成要素の炭素含有量は、約0.1重量%~約0.3重量%の炭素範囲であってもよい。例えば、構成要素は、約0.16重量%及び約0.25重量%の範囲内の炭素含有量を有する15B21鋼から形成されてもよい。別の例として、10B23などのホウ素添加鋼を使用して、約0.22重量%及び約0.28重量%の範囲の炭素含有量を有する構成要素を形成することができる。代替の実施形態では、軌道ブッシング204は、本明細書に開示されるような追加の処理を伴う高炭素鋼で作製されてもよい。
【0027】
軌道ブッシング204などの軌道チェーンアセンブリ160の構成要素は、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、シリコン(Si)、クロム、及び/又は他の物質などの他の元素をさらに含み得る鋼から形成されてもよい。例えば、浸炭、焼入れ、及び/又は焼戻し処理前の鋼は、約0.1重量%~0.6重量%のMn、約0重量%~0.1重量%のP、約0重量%~0.1重量%のS、約0.1重量%~0.5重量%のSi、及び/又は約0.6重量%~3重量%のCrを含んでもよい。鋼中に存在する他の元素は、ホウ素(B)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、それらの組み合わせなどを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0028】
表面の粗いブッシングの形成中に、軌道ブッシング204鋼は、フェライト、パーライト、セメンタイト、マルテンサイト、及び/又はオーステナイトなどの任意の適切な結晶構造であってもよい。初期の低炭素鋼又は中炭素鋼は、比較的軟らかく、延性があり、軌道ブッシング204又は他の構成要素の形成を容易にすることが可能である。例えば、鋼は、約40ロックウェル硬度スケールC(HRC)~約52HRCの範囲の初期硬度を有してもよい。例示的な実施形態では、開始鋼が十分に軟らかくない場合、焼戻しプロセスを実行してもよい。例示的な実施形態では、焼戻しプロセスは、表面の粗いブッシング及び/又は他の構成要素を形成する前に、炭素鋼共晶温度以下において数時間の焼きなましが実施されてもよい。例えば、軌道ブッシング204を粗形成する前に、鋼を200℃で3時間保持して鋼を焼き戻してもよい。ここで、及び本開示全体を通して、温度及び/又は時間範囲は例であり、本開示の例示的な実施形態に従って、より短い又はより長い温度及び期間を使用してもよい。
【0029】
本開示の例示的な実施形態によれば、粗形成後の軌道ブッシング204は、アンダーカットの形成、浸炭プロセス、及び/又は表面硬化プロセスなどの種々の熱的処理、除去処理、及び/又は析出処理を受けてもよい。例えば、アンダーカットは、表面の粗い軌道ブッシングの一部分から鋼を除去し、その後にカーボンリッチ焼きなまし環境で浸炭プロセスが続いて、その後に表面の粗い軌道ブッシング又は他の構成要素の浸炭面に表面硬化材料を適用することによって形成されてもよい。
【0030】
例示的な実施形態では、アンダーカットを形成する際に除去される鋼の量は、表面硬化及び/又は浸炭による質量増加後の軌道ブッシング204又は他の構成要素の意図された最終厚さ(TT)を見込んでおくように設計されてもよい。浸炭プロセスは、十分な量の炭素が構成要素の鋼の表面に拡散することを可能にするために、時間及び温度に関して実行されてもよい。例えば、軌道ブッシング204を用いて、浸炭は軌道ブッシング204の内表面302又は内径(ID)、及び/又は軌道ブッシング204の外表面304又は外径(OD)の一方又は両方の上に約0.25mm~約4mmの深さで比較的高炭素のゾーンを形成してもよい。軌道ブッシング204の浸炭された外表面304の一部分の上にハードフェースを析出してもよい。
【0031】
本明細書に記載の浸炭プロセスは、拡散が制限されたプロセスである。そこで、比較的厚い浸炭外層を形成することは、時間的及び/又は熱的に高価である。したがって、加工の観点から、比較的厚い浸炭層を形成することは望ましくない場合がある。しかしながら、本明細書に開示される構造及び機構は、浸炭プロセスと表面硬化プロセスとの組み合わせによる比較的厚い焼入れ鋼外層の形成を可能にさせる。そこで、外表面304などの比較的厚い外層は、浸炭又は表面硬化のみによって達成されてもよいものと比較して、軌道ブッシング204又は他の構成要素のより大きな耐摩耗性を可能にさせ得る。
【0032】
構成要素の表面が焼き入れされている間、構成要素の靭性を提供するためにより軟らかいコア領域が、構成要素の表面(例えば、内表面302及び/又は外表面304)から離して配設されてもよい。言い換えれば、本明細書に開示される機構は、軌道ブッシング204の外表面304及び内表面302の両方に近い領域で焼入れ鋼の形成をもたらす可能性があり、一方、コア領域は、より軟らかく、より延性があり、耐摩耗性と靭性の向上につながる。そこで、本明細書で説明するように、軌道ブッシング204の外側部分(例えば、内表面302近傍のブッシング204内部への特定の深さ及び外表面304近傍のブッシング内部への特定の深さ)は、比較的カーボンリッチであり、主にマルテンサイト系及び/又はオーステナイト系構造であり、一方、内表面302及び外表面304からさらに離れた、軌道ブッシング204の内側部分は大部分がフェライト系セメンタイト及び/又はパーライトの結晶構造を有してもよい。
【0033】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、例示的なブッシング400の断面図である。この例示的なブッシング400の断面は、湾曲した内表面302を示さずに、セクショニングの露出面区間が示されている、軌道ブッシング204の直径を通る例示的なセクショニングであってもよい。上で論じたように、ブッシング400は、ここに示されるように、軌道チェーンアセンブリ160の他の構成要素を代表し得る。言い換えれば、他の構成要素とは駆動スプロケット162、フロントアイドラ164、リアアイドラ166、軌道ローラー168、リンク202、軌道チェーンアセンブリのシュー、及び/又は機械100の他の構成要素を指す。
【0034】
図示のように、ブッシング400は、ボアホール直径THとともに全厚TTを有してもよい。ボアホールは、ブッシング400を貫通して略中心方向に延在する実質的に一定の直径を有するチャネルであってもよい。ブッシング400は、外表面304と同様の外表面402と、ブッシング204の内表面302と同様の内表面406とを有してもよい。ブッシング400は、境界面416から外表面402及び/又は境界面418までの厚さTOの外側部分404、及び境界面420から内表面406までの厚さTIの内側部分408を有してもよい。内側部分408と外側部分404との間に、厚さTCのコア部分410を配設してもよい。コア部分410及び外側部分404は、境界面416で合流することができ、内表面406及び内側部分408は、境界面420で合流することができる。ブッシング400は、外側部分404上に配設された厚さTHFを有する表面硬化部分412をさらに含んでもよい。図示されるように、表面硬化部分412は、外側部分404のセグメント上に外側部分404上に積層されてもよい。表面硬化部分412は、境界面418において外側部分404と接触していてもよい。
【0035】
境界面416、418、420は、例示の目的で鋭い境界面として示されているが、外側部分404とコア部分410との間の遷移部分、内側部分408とコア部分410との間の遷移部分は、及び/又は外側部分404及び表面硬化部分412からの遷移部分は、段階的及び/又は傾斜的であってもよいことが理解されるべきである。厚さ寸法は、本明細書で論じられるように、ブッシング400を貫通して略中心方向に延在するチャネルから半径方向にある。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態では、T
Tは約7mm~約20mmの範囲にあってもよく、T
Oは約0.5mm~約5mmの範囲にあってもよく、T
Cは約2mm~約12mmの範囲にあってもよく、TIは約0.5mm~約5mmの範囲にあってもよく、T
Hは約30mm~約80mmの範囲にあってもよい。他の例示的な実施形態では、T
Tは約10mm~約15mmの範囲にあってもよく、T
Oは約1mm~約4mmの範囲にあってもよく、T
Cは約4mm~約9mmの範囲にあってもよく、T
Iは約1mm~約4mmの範囲にあってもよく、T
Hは約40mm~約60mmの範囲にあってもよい。これらの範囲は例であり、例示的な実施形態によれば、範囲は、ここで論じられる量よりも大きい場合も小さい場合もある。ブッシングの全厚T
T、ボアホール直径T
H、外側部分厚さT
O、内側部分厚さT
I、コア部分厚さT
Cの寸法例を本明細書では
図5に示す。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態では、全体の厚さに対する外側部分の厚さの比(TO:TT)は、約1:20~約1:3の範囲であってもよい。全体の厚さに対する内側部分の厚さの比(TI:TT)は、約1:20~約1:3の範囲であってもよい。全体の厚さに対するコア部分の厚さの比(TC:TT)は、約1:5~約2:3の範囲であってもよい。全体の厚さに対する表面硬化部分の厚さの比(THF:TT)は、約1:10~約1:3の範囲であってもよい。これらの範囲は例であり、例示的な実施形態によれば、範囲は、ここで論じられる量よりも大きい場合も小さい場合もある。
【0038】
例示的な実施形態によれば、ブッシング400の内側部分408及び外側部分404は、結晶構造において実質的にマルテンサイト及び/又はオーステナイトであってもよい。他方、コア部分410は、結晶構造において実質的にフェライト及び/又はパーライトであってもよい。ブッシング400の内側部分408及び外側部分404は、本明細書に開示されるように、ブッシング400のコア部分410よりも硬くてもよい。表面硬化部分412は、実質的にマルテンサイト及び/又はオーステナイトであってもよい。
【0039】
いくつかの例示的な実施形態では、内側部分408及び外側部分404は、約55HRC~約64HRCの範囲の硬度を有してもよく、コア部分410は、約39HRC~約53HRCの範囲の硬度を有してもよい、また表面硬化部分412は、約58HRCか~約68HRCの範囲の硬度を有してもよい。他の例示的な実施形態では、内側部分408及び外側部分404は、約58HRC~約62HRCの範囲の硬度を有ししてもよく、コア部分410は、約40HRC~約45HRCの範囲の硬度を有してもよく、また表面硬化部分412は、例えば、約60~67HRCの範囲など、55HRCを超える硬度を有してもよい。これらの範囲は例であり、例示的な実施形態によれば、範囲は、ここで論じられる量よりも大きい場合も小さい場合もある。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態では、ブッシング400は、エッジ414によって画定されるように、アンダーカットを有してもよい。アンダーカットは、表面の粗いブッシング上の鋼の一部分を取り除くことによって形成されてもよい。例えば、アンダーカットは、表面の粗いブッシング浸炭し且つ/又は任意の表面硬化加工前など、他の加工前に形成されてもよい。表面硬化プロセスは、ブッシング400に質量及び/又は体積を増やす。結果として、アンダーカット、及びエッジ414の対応付けられた長さは、ブッシング400の意図された厚さを達成するように実装されてもよく、この場合、表面硬化部分412によって増やされた体積は、アンダーカットと組み合わせて、ブッシング400の長さLに沿って意図された厚さを達成する。他の例示的な実施形態では、他の加工前に表面の粗いブッシングのアンダーカットがなくてもよい。これらの実施形態では、表面硬化プロセスによってブッシングに増やされる体積は、ブッシング400の最終的な厚さがブッシングの長さLに沿って意図された通りになるように設計されてもよい。
【0041】
ブッシング400は、低炭素鋼(例えば、0.4重量%未満の炭素)を使用して表面の粗いブッシングを形成することによって製造されてもよい。代替的に、中炭素鋼を使用してもよい。本明細書で使用されるような、表面の粗いブッシングとは、任意の後続の熱処理、焼入れ、焼戻し、浸炭、表面硬化などの前に、低炭素鋼の製造開始時の材料(starting material)でブッシングを形成することを指す。フェライト結晶構造を持つ低炭素鋼は、焼入れ炭素鋼などの他の材料よりも簡単に加工され得る。いくつかの例示的な実施形態では、アンダーカットは、金属旋盤又は他の金属機械加工装置を使用するなどの任意の適切な機構によって表面の粗いブッシングの表面から鋼を除去することによってなど、表面の粗いブッシングにおいて形成され得る。
【0042】
表面の粗いブッシングは、カーボンリッチ環境での熱拡散プロセスなどの浸炭プロセスの対象となる場合がある。この浸炭プロセスは、誘導炉又はガス炉などの任意の適切な炉で実施されてもよい。場合によっては、この浸炭プロセスは、機械100の1つより多い表面の粗いブッシング及び/又は他の構成要素が同時に浸炭されてもよいバッチプロセスであってもよい。任意選択の焼戻しプロセスが、浸炭プロセスの後などに実行されてもよい。浸炭プロセスの結果として、表面の粗いブッシングの表面は、焼き入れしたマルテンサイト及び/又はオーステナイトの結晶構造を有する可能性がある。浸炭プロセスは、ブッシング400の内側部分408及び外側部分404を形成することができる。
【0043】
浸炭プロセスは、拡散制限されたプロセスであってもよい。例えば、浸炭プロセスは、フィック型(Fickian)プロセス(例えば、フィックの第二法則によって定義される)であってもよく、ここでプロセスは、約3mm~約6mmなどの或る特定の厚さのカーボンリッチ層の形成を超えてプロセスを熱的に及び/又は時間的に非効率的にする、実質的に自己制限的なものである。結果として、浸炭プロセスの自己制限的な性質により、浸炭プロセスのみによって、より大きな耐摩耗性及び/又はかじりを低減するために望まれるように、比較的厚い外側部分404を形成することが困難である可能性がある。
【0044】
加えて、浸炭プロセスは拡散プロセス(例えば、低炭素鋼及び/又は合金鋼への炭素の拡散)であるため、外側部分404及び/又は内側部分408の炭素含有量は、それらの厚さ、それぞれTO、TI、全体にわたって均一ではない可能性がある。例えば、炭素濃度は、外表面402で最大であり、外側部分404の境界面416に近づくにつれて次第に低くなる可能性がある。浸炭後、外表面402の近傍では、炭素濃度は、約0.5重量%~約1.6重量%の範囲にあってもよく、一方、境界面416の近傍では、炭素濃度は、約0.20%~約1重量%の範囲にあってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、境界面416での炭素濃度は、開始低炭素及び/又は合金鋼の炭素濃度に実質的に類似してもよく、且つ/又はさらに、コア部分410における炭素濃度に実質的に類似してもよい。外表面402と同様に、浸炭後、内表面406の近傍では、炭素濃度は、約0.5重量%~約1.6重量%の範囲にあってもよく、一方、境界面420の近傍では、炭素濃度は、約0.20重量%~約1重量%の範囲にあってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、境界面420での炭素濃度は、開始低炭素及び/又は合金鋼の炭素濃度に実質的に類似してもよく、且つ/又はさらに、コア部分410における炭素濃度に実質的に類似してもよい。
【0045】
表面硬化部分412は、外側部分404の一部、あるいは全体に表面硬化合金を溶接することによって形成されてもよい。表面硬化合金は、高炭化物合金鋼などの任意の適切な表面硬化材料であってもよい。表面硬化合金は、約60重量%を超える鉄濃度を含んでもよい。表面硬化合金はまた、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、及び/又は他の材料を含んでもよい。いくつかの例示的な表面硬化合金は、例えば、OERLIKON METCO 8224 ワイヤ、HOGANS ROCK IT 600及び/又は607粉末、VECALLOY 600、ROCK IT 606などを含んでもよいが、これらに限定されない。他の例示的な実施形態では、外側部分404上を表面硬化させるために非鋼合金を使用してもよい。
【0046】
表面硬化合金は、ワイヤ又は粉末の形態であってもよく、粉末レーザークラッド溶接、ホットワイヤ・レーザー溶接、PTA溶接、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、サブマージアーク溶接(SAW)、それらの組み合わせなど任意の適切な溶接機構を使用して、ブッシング400又は他の構成要素に塗布されてもよい。場合によっては、単一のパスを使用して表面硬化合金を析出して表面硬化部分412を形成してもよく、他の場合には、複数のパスを使用して表面硬化合金を析出して表面硬化部分412を形成してもよい。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態では、表面硬化部分412は、図示されるように、ブッシング204の長さLの一部のみにまたがることができる。他の例示的な実施形態では、表面硬化部分412は、ブッシング204の長さLの全体にまたがることができる。場合によっては、表面硬化部分412は、図示されるように、表面の粗いブッシングにおいて、エッジ414によって画定されるように、実質的にアンダーカットの範囲内に形成されてもよい。他の場合には、アンダーカットを表面の粗いブッシングに形成することはできず、表面硬化部分412は、ブッシングの半径方向に実質的に均一に配設された外側部分404に積層されてもよい。場合によっては、表面硬化部分412は、図示されるように、テーパー状のエッジを有してもよい。他の場合には、表面硬化部分412は、テーパー状のエッジを持たなくい場合があるか、あるいは
図4に示されるものとは異なるテーパーの角度を有する場合がある。
【0048】
拡散制限された浸炭プロセスは、特定の浸炭臨界厚さを超える時間及び/又は温度の観点から、法外に高価になる可能性があることに留意されたい。臨界厚さは、耐摩耗性の考慮から外側硬化層の所望の厚さよりも少なくてもよい。同時に、高応力を受ける厚い表面硬化層は亀裂を引き起こす可能性がある。しかしながら、2つのプロセスの組み合わせは、過度の処理時間及び/又はコストを伴わずに、又は亀裂が生じやすい厚い硬化面を伴わずに、十分に厚い外側硬化層を提供する結果となる可能性がある。
【0049】
軌道ブッシング400は、軌道チェーンアセンブリ160及び/又は機械100の代表的な構成要素として使用されるが、駆動スプロケット162、フロントアイドラ164、リアアイドラ166、軌道ローラー168、リンク202、軌道チェーンアセンブリのシュー、及び/又は機械100の他の構成要素は、本明細書の開示に従って製造されることができ、且つブッシング400に関して本明細書で論じられるような断面プロファイルを有してもよい。例えば、駆動スプロケットは、硬い表面硬化領域が比較的硬い浸炭鋼層に積層され、それが結果的に、より軟らかい低炭素鋼領域に積層されるように製造されてもよい。
【0050】
図5は、本開示の例示的な実施形態による特定のブッシング500の別の断面図である。このブッシング500の断面は、軌道ブッシング204の直径を通る例示的なセクショニングであってもよい、この場合、湾曲した内表面302を示さずに、セクショニングの露出面区間が示されている。本明細書で論じられる寸法及びパラメータ範囲は例であり、決して限定することを意味するものではない。
【0051】
ブッシング500は、49mmのボアホール直径を備えた12.8mmの総厚さを有してもよい。ボアホールは、ブッシング500の内側部分506によって規定されるように、ブッシング500を貫通して略中心方向に延在するチャネルである。表面硬化部分が配設されている場所で測定されたブッシング500の厚さは、15.3mmであってもよい。ブッシング500は、ブッシング500内の1.2mmのアンダーカットをまたがる厚さ3mmの外側部分502を有してもよい。内側部分506はまた、3mmの厚さを有してもよい。内側部分506と外側部分502との間にコア部分504を配設してもよく、アンダーカットが作製されない場合は6.8mmの厚さを有し得、アンダーカット及び/又は表面硬化部分508の下に横たわって5.6mmの厚さを有し得る。図示されるように、コア部分は、浸炭プロセス中に浸炭されるエッジを有してもよい。表面硬化部分508は、3.7mmの厚さを有することができ、そのうちの2.5mmは、外側部分502を超えて延在する。これらの値は例であり、例示的な実施形態によれば、厚さは、ここで論じられている量よりも多い場合も少ない場合もある。
【0052】
例示的な実施形態では、内側部分506及び外側部分502は、約58HRC~約62HRCの範囲の硬度を有し得、コア部分504は、約40HRC~約52HRCの範囲の硬度を有し得る。表面硬化部分508は、約65HRC~約67HRCの範囲の硬度を有してもよい。これらの値は例であり、例示的な実施形態によれば、硬度は、ここで論じられている量よりも多い場合も少ない場合もある。ブッシング500の種々の領域502、506、508の厚さ、並びにそれらの相対比は、
図4のブッシング400を参照して開示された範囲内にある。
【0053】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、
図2の軌道チェーンアセンブリの例示的な構成要素を形成するための例示的な方法を示すフローダイアグラムである。方法600は、本明細書で論じられるように、低炭素鋼、中炭素鋼のホウ素鋼などを使用して実施することができる。例示的な実施形態では、開始鋼は、10B21鋼、又は他の同様の低炭素鋼及び/又は合金鋼であってもよい。代替的に、中炭素鋼を使用してもよい。
【0054】
本明細書で論じられるように、表面の粗い構成要素が形成される低炭素鋼は、実質的にフェライト結晶構造であってもよい。フェライト構造は軟らかく延性があり、軌道ブッシング204のより容易な形成を可能にする。例示的な実施形態では、開始低炭素鋼がフェライト構造にない場合、任意選択で、方法600を開始する前に焼戻しプロセスを実行してもよい。例示的な実施形態では、焼戻しプロセスは、数時間の焼きなましのために、約250℃などの特定の温度で実施することができる。例えば、鋼は、軌道ブッシング204などの構成要素を粗形成する前に鋼を焼き戻しするために、150℃~600℃の間の温度範囲で1~10時間保持されてもよい。他の場合には、フェライト、セメンタイト、及び/又はパーライトの結晶構造を確立するために鋼を約1100℃~約1500℃の範囲に加熱し、ゆっくりと冷却してもよい。
【0055】
ブロック602において、構成要素は鋼から形成されてもよい。上で論じたように、鋼は、構成要素を形成するときにフェライト結晶構造を有する低炭素及び/又は合金鋼であってもよい。この形態の低炭素鋼及び/又は合金鋼は、比較的軟らかく、延性があり、したがって、機械加工に適している。構成要素(この場合は表面の粗い構成要素)の形成には、構成要素の形成に適した任意の種々の機械加工技術が含まれる場合がある。例えば、任意のタイプの成形、旋削、フライス盤、穴あけ、研削、チゼル、及び/又は他の機械加工技術を使用して、表面の粗い構成要素を形成することができる。
【0056】
ブロック604において、構成要素の表面は浸炭されてもよい。浸炭プロセスは、拡散プロセス及び/又は拡散プロセスのサイクルを伴うことがあり得、この場合、構成要素は、カーボンリッチ環境において拡散温度で保持される。例えば、構成要素は、炉内に炭素含有ガスを流しながら、高温の炉内に保持されてもよい。
【0057】
表面を浸炭するための炉プロセスは、任意の適切な温度及び時間で実施することができる。例えば、炉プロセスは、約850℃~約1200℃の温度で、約3時間~約24時間の時間範囲で実施することができる。いくつかの例示的な実施形態では、炉プロセスは、約950℃~約1100℃の温度範囲で、約14時間~約18時間の時間範囲で実施することができる。炉プロセスを実行した後、いくつかの例示的な実施形態では、表面の粗いブッシングは、油中などで急冷されてもよい。代替的に、急冷プロセスは、塩浴、空気、及び/又は水などの任意の適切な媒体中で行うことができる。任意選択の焼戻しプロセスは、浸炭プロセスの後に実行してもよい。
【0058】
炉プロセス中に、炭素含有ガスを炉内に流入させて、カーボンリッチ雰囲気を提供し、そこから炭素が表面の粗い構成要素の表面領域に拡散する可能性がある。例えば、液化石油ガス(LPG)は、表面の粗い構成要素の表面領域を浸炭するために適切な流量で炉に流入されてもよい。他の炭素源には、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、他の炭素含有分子、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で論じられるように、浸炭プロセスは、拡散制限プロセスであってもよい。例えば、浸炭プロセスは、フィック型プロセス(例えば、フィックの第二法則によって定義される)であってもよく、ここでプロセスは、約3mm~約6mmなどの或る特定の厚さのカーボンリッチ層の形成を超えてプロセスを熱的に及び/又は時間的に非効率的にする、実質的に自己制限的なものである。結果として、浸炭プロセスの自己制限的な性質により、浸炭されつつある構成要素上に比較的厚いケーシング領域を形成することは困難である可能性がある。
【0060】
浸炭プロセスは拡散プロセス(例えば、低炭素鋼及び/又は合金鋼への炭素の拡散)であるため、浸炭された構成要素の表面から離れるにつれて炭素含有量が減少する可能性があることにも留意されたい。例えば、炭素濃度は構成要素の表面で最大になり、表面から離れるほど徐々に低くなる可能性がある。構成要素の表面での炭素濃度は、約0.5重量%~約1.6重量%の範囲であってもよく、また炭素濃度が構成要素のバルク炭素濃度と実質的に同等になるまで、構成要素の表面から離れるにつれて単調に減少する可能性がある。構成要素のこのバルク炭素濃度は、低炭素鋼及び/又は合金鋼の開始炭素濃度と実質的に同等であってもよい。
【0061】
浸炭プロセスの後、ブッシング400の場合、外側部分404及び/又は内側部分408などの表面の粗い構成要素上にカーボンリッチ表面領域を形成することができる。カーボンリッチ表面領域は、硬化したマルテンサイト、オーステナイト、及び/又はベイナイト構造を持っている可能性がある。言い換えれば、表面の粗い構成要素は、この時点で、その表面近傍で炭素含有量が比較的高いために、その表面領域に硬化したケーシングを有する可能性がある。浸炭プロセスの結果として、表面領域の硬度は、約55HRC~約64HRCの範囲にある可能性がある。例えば、表面領域は浸炭プロセス後に約60HRCになる可能性がある。硬化したマルテンサイトカーボンリッチ鋼は、高い耐摩耗性と緩いかじりレベルを提供するが、一般に脆く、延性に欠ける。そこで、構成要素の表面のケーシングとして硬化カーボンリッチ鋼を制限することにより、耐摩耗性及びかじりの観点からの利点が提供され、構成要素のより軟らかい内側部分が構成要素の靭性を可能にする。
【0062】
ブロック606において、表面硬化合金は構成要素の浸炭面に塗布されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、表面硬化合金は、構成要素の浸炭面の一部にのみ塗布されてもよい。この一例が
図4に示されていて、そこにはブッシング400の長さの一部を、その上に配設された表面硬化部分412が占めている。他の例示的な実施形態では、表面硬化合金は、構成要素の浸炭面全体に塗布されてもよい。
【0063】
表面硬化合金は、ワイヤ又は粉末の形態であってもよく、粉末レーザークラッド溶接、ホットワイヤ・レーザー溶接、PTA溶接、TIG溶接、MIG溶接、SAW、それらの組み合わせなどの任意の適切な溶接機構を使用して、ブッシング400などの構成要素に塗布されてもよい。場合によっては、単一のパスを使用して浸炭面に表面硬化合金を析出することができ、他の場合には、複数のパスを使用して浸炭面に表面硬化合金を析出することができる。
【0064】
方法600の運用のいくつかは、追加の要素を使用して、及び/又はいくつかの要素を使用せずに、提示された順序から外れて実行されてもよいことに留意されたい。方法600の運用のいくつかは、実質的に同時に行われる可能性があり、したがって、上記の運用の順序とは異なる順序で終了する可能性がある。
【0065】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、
図2の軌道チェーンアセンブリの例示的な構成要素を形成するための別の例示的な方法を示すフローダイアグラムである。方法700は、本明細書で論じられるように、低炭素鋼、中炭素鋼のホウ素鋼などを使用して実施することができる。例示的な実施形態では、開始鋼は、10B21鋼、又は他の同様の低炭素鋼及び/又は合金鋼であってもよい。代替的に、中炭素鋼を使用してもよい。
【0066】
ブロック702において、構成要素は鋼から形成されてもよい。上で論じたように、鋼は、構成要素を形成するときにフェライト結晶構造を有する低炭素及び/又は合金鋼であってもよい。この形態の低炭素鋼及び/又は合金鋼は、比較的軟らかく、延性があり、したがって、機械加工に適している。構成要素(この場合は表面の粗い構成要素)の形成には、構成要素の形成に適した任意の種々の機械加工技術が含まれる場合がある。例えば、任意のタイプの成形、旋削、フライス盤、穴あけ、研削、チゼル、及び/又は他の機械加工技術を使用して、表面の粗い構成要素を形成することができる。
【0067】
ブロック704において、アンダーカットが構成要素に形成されてもよい。これは任意選択のプロセスである可能性がある。アンダーカットは、ブッシング400など、製造されつつある構成要素の所望の最終的な厚さに対応するように作製されることができる。場合によっては、金属旋盤又は他の金属機械加工装置を使用するなどの任意の適切な機構によって構成要素の表面から鋼を除去することによって、構成要素にアンダーカットを形成することができる。他の場合には、アンダーカットの形成は、ブロック702のプロセスと実質的に同時に実行されてもよい。換言すれば、表面の粗い構成要素は、アンダーカットとともに製造されてもよい。
【0068】
ブロック706で、構成要素は浸炭されてもよい。浸炭プロセスは、拡散プロセス及び/又は拡散プロセスのサイクルを伴うことがあり得、この場合、構成要素は、カーボンリッチ環境において拡散温度で保持される。例えば、本明細書に記載されるように、炭素含有ガスを炉内に流しながら、構成要素を高温の炉内に保持することができる。
【0069】
ブロック708において、表面硬化合金は、構成要素の浸炭面の少なくとも一部分に塗布されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、表面硬化合金は、構成要素の浸炭面の一部にのみ塗布されてもよい。この一例が
図4に示されていて、そこにはブッシング400の長さの一部を、その上に配設された表面硬化部分412が占めている。他の例示的な実施形態では、表面硬化合金は、構成要素の浸炭面全体に塗布されてもよい。場合によっては、表面硬化合金は、ブロック704のプロセスによって形成されたアンダーカットの実質的に範囲内及び/又はその上に横たわって塗布されてもよい。
【0070】
表面硬化合金は、ワイヤ又は粉末の形態であってもよく、粉末レーザークラッド溶接、ホットワイヤ・レーザー溶接、PTA溶接、TIG溶接、MIG溶接、SAW、それらの組み合わせなどの任意の適切な溶接機構を使用して、ブッシング400などの構成要素に塗布されてもよい。場合によっては、単一のパスを使用して浸炭面に表面硬化合金を析出することができ、他の場合には、複数のパスを使用して浸炭面に表面硬化合金を析出することができる。
【0071】
ブロック710で、構成要素を焼き入れしてもよい。この焼入れは、ガス炉又は誘導炉などの炉で実行されてもよい。この焼入れ処理は、ブッシング204などの構成要素を共晶温度よりも高く加熱することによって実行されてもよい。場合によっては、この直接焼入れプロセスは、バッチプロセスであってもよく、ここで、1つより多い構成要素が同時に焼き入れされてもよい。
【0072】
炉プロセスは、任意の適切な温度及び時間で実行されてもよい。例えば、炉プロセスは、800℃を超える温度で所定の時間実行されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、炉プロセスは、約800℃~約1000℃の温度範囲で、約30分~約3時間の時間範囲で実行されてもよい。例えば、焼入れの炉加熱プロセスは、850℃で60分間実行されてもよい。炉プロセスを実行した後、構成要素を油中などで急冷してもよい。代替的に、急冷プロセスは、塩浴、空気、及び/又は水などの任意の適切な媒体中で行うことができる。任意選択の焼戻しプロセスは、焼入れプロセスの後に実行されてもよい。
【0073】
焼入れプロセス後、構成要素の浸炭面領域は、焼き入れされたマルテンサイト、オーステナイト、及び/又はベイナイト構造であってよい。焼入れプロセスの結果として、浸炭面領域の硬度は、約55HRC~から約64HRCの範囲にあってよく、表面硬化領域は、約65HRC~約67HRCの範囲にあってもよい。浸炭面からさらに離れた構成要素の領域及び/又は比較的低レベルの炭素が存在する表面硬化領域は、実質的にフェライト及び/又はパーライトの結晶構造であってもよく、したがって、浸炭領域及び/又は表面硬化領域よりも比較的軟らかい可能性がある。
【0074】
方法700の運用のいくつかは、追加の要素を使用して、及び/又はいくつかの要素を使用せずに、提示された順序から外れて実行されてもよいことに留意されたい。方法700の運用のいくつかは、実質的に同時にさらに行われる可能性があり、したがって、上記の運用の順序とは異なる順序で終了する可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、軌道型機械100の構成要素などの構成要素の耐摩耗性及び靭性を改良するためのシステム、構造、及び方法を説明する。これらの改良された構成要素は、機械100の軌道チェーンアセンブリ160で使用されるブッシング204を含んでもよい。本明細書に開示されるようなブッシング204などの構成要素は、硬くて耐摩耗性の表面部分、並びに軟らかいコア部分を有してもよい。軟質のコア部分は構成要素の高レベルの靭性に対応する一方、硬質の表面部分は高レベルの耐摩耗性及び動作中のかじり軽減に対応する。ブッシング204などの構成要素、及び構成要素を形成する手順は、軌道型機械及びそれらの軌道型機械のアンダーキャリッジの文脈で説明されているが、同じものを形成する機構は、さまざまな構成要素の改良された耐摩耗性から利益を受けることができるあらゆる機械的システムなど、多様な各種機械的システムにわたって適用可能であることを認識すべきである。
【0076】
本明細書に記載のシステム、装置、及び方法の結果として、ブッシングなどの機械の消耗部分は、より長い寿命を有する可能性がある。例えば、本明細書に記載の軌道ブッシング204は、本明細書に記載の機構によって形成されない従来のブッシング204よりも長いサーボス寿命を有する可能性がある。場合によっては、ブッシング204などの構成要素は、軌道型機械100の消耗部分の磨耗寿命を25%~400%改善することを可能にし得る。これにより、現場のダウンタイムが減少し、修理やメンテナンスの頻度が減少し、軌道型機械100などの重機のコストが全体的に削減される。信頼性の向上と現場レベルのダウンタイムの削減により、ユーザーエクスペリエンスも向上し、これにより機械100は、より長い時間、且つ全体としてその寿命のより長い割合で、意図された目的に集中できるようになる。機械100の稼働時間の改善と計画保守の削減により、リソースのより効率的な展開(例えば、建設現場でのより少ない台数であるが、より信頼性の高い機械100)を可能にし得る。そこで、本明細書に開示される技術は、プロジェクトリソース(例えば、建設リソース、鉱業リソースなど)の効率を改善し、プロジェクトリソースのより長い稼働時間を提供し、そしてプロジェクトリソースの財務パフォーマンスを改善する。
【0077】
本開示の態様は、上記の実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、当業者には、開示される内容の精神と範囲から逸脱することなく開示された機械、システム、及び方法の修正によって、様々な追加の実施形態が企図され得ることが理解される。そのような実施形態は、特許請求の範囲及びその任意の同等物に基づいて決定される本開示の範囲内にあると理解されるべきである。
【0078】
本明細書における値の範囲の引用は、単に、本明細書に別段に明示されない限り、当該範囲内に属するそれぞれの個別値を個別に指す速記法として機能することが意図され、それぞれの個別値は、本明細書に個別に引用されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書に別段の記載がない限り、任意の適切な順序で実施することができる。
【国際調査報告】