(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】バイアス電極を有する超コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 11/04 20130101AFI20221129BHJP
H01G 11/32 20130101ALI20221129BHJP
【FI】
H01G11/04
H01G11/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022520505
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020054138
(87)【国際公開番号】W WO2021067862
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522130999
【氏名又は名称】ウルビックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガゴパディヤイ パラシュ
【テーマコード(参考)】
5E078
【Fターム(参考)】
5E078AA04
5E078AB02
5E078BA13
5E078BA15
5E078BA26
5E078BA38
5E078BA47
5E078CA06
5E078DA13
(57)【要約】
正極、負極、及び正極と負極間に配置されたバイアス電極を有する非対称超コンデンサ。バイアス電極は、超コンデンサが充電している時に質量平衡等価量の電荷を蓄積し、バイアス電極に印加される独立電圧は、正極又は負極に電荷を強制的に通させて電荷2重層内の平衡を維持する。一実施形態では、作動電圧は、コインセル形状因子で約5.5-7.4Vである。正及びバイアス電極は、同じ材料で作られ、一実施形態では、活性炭及びグラフェンナノプレートレットで作られる。負極はまた、正極対負極の重量比が1:1でないように正極とは異なる量の活性炭及びグラフェンナノプレートレットを備えることができる。負極は、リチオ化グラファイトを備える場合もある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.正極、
b.負極、及び
c.前記正極と前記負極の間に配置されたバイアス電極、
を備えることを特徴とする超コンデンサ。
【請求項2】
前記バイアス電極に印加される第1の電圧が、前記正極及び負極の回路に電気的に接続されないことを特徴とする請求項1に記載の超コンデンサ。
【請求項3】
前記正極及びバイアス電極は、同じ材料を備えることを特徴とする請求項1に記載の超コンデンサ。
【請求項4】
前記正極は、第1の材料を備え、前記負極は、該第1の材料を備え、該正極対該負極の重量比が1:1でないように該正及び負極の各々で該第1の材料の量が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の超コンデンサ。
【請求項5】
前記第1の材料は、炭素同素体を備えることを特徴とする請求項4に記載の超コンデンサ。
【請求項6】
前記第1の材料は、活性炭及びグラフェンナノプレートレットを備えることを特徴とする請求項4に記載の超コンデンサ。
【請求項7】
前記負極は、前記第1の材料とは異なる第2の材料を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の超コンデンサ。
【請求項8】
前記負極内の前記第2の材料は、リチオ化グラファイトを備えることを特徴とする請求項7に記載の超コンデンサ。
【請求項9】
前記負極内の前記リチオ化グラファイトは、約10-40重量%であることを特徴とする請求項8に記載の超コンデンサ。
【請求項10】
前記リチオ化グラファイトの量は、4.5Vよりも高い作動電圧を生成するのに十分であることを特徴とする請求項8に記載の超コンデンサ。
【請求項11】
a.第1の印加電圧と電気連通する正極及び負極と、
b.前記正極と前記負極の間に配置されたバイアス電極であって、
i.前記バイアス電極が、第2の印加電圧と電気連通し、かつ
ii.前記第2の印加電圧が、前記第1の印加電圧に電気的に接続されない、
前記バイアス電極と、
を備えることを特徴とする超コンデンサ。
【請求項12】
前記正極は、第1の材料を備え、前記負極は、該第1の材料を備え、該正極対該負極の重量比が1:1でないように該正及び負極の各々で該第1の材料の量が異なっていることを特徴とする請求項11に記載の超コンデンサ。
【請求項13】
前記第1の材料は、炭素同素体であることを特徴とする請求項12に記載の超コンデンサ。
【請求項14】
前記第1の材料は、活性炭及びグラフェンナノプレートレットを備えることを特徴とする請求項12に記載の超コンデンサ。
【請求項15】
前記負極は、4.5Vよりも高い作動電圧を生成するのに十分な量のリチオ化グラファイトを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の超コンデンサ。
【請求項16】
a.正極、
b.負極、及び
c.前記正極と前記負極の間に配置されたバイアス電極であって、該バイアス電極に印加される第1の電圧が、該正極及び負極に印加される第2の電圧とは独立である前記バイアス電極、
を備えることを特徴とする超コンデンサ。
【請求項17】
a.前記正極及びバイアス電極の各々が、
i.50-70重量%の範囲で活性炭、及び
ii.20-40重量%の範囲でグラフェンナノプレートレット、
を備え、
b.前記負極は、
i.20-40重量%の範囲で活性炭、
ii.10-30重量%の範囲でグラフェンナノプレートレット、及び
iii.10-40重量%の範囲でリチオ化グラファイト、
を備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の超コンデンサ。
【請求項18】
前記正極及びバイアス電極の各々が、60重量%活性炭及び30重量%グラフェンナノプレートレットを備えることを特徴とする請求項16に記載の超コンデンサ。
【請求項19】
前記負極は、30重量%活性炭、20重量%グラフェンナノプレートレット、及び10-40重量%リチオ化グラフェンを備えることを特徴とする請求項18に記載の超コンデンサ。
【請求項20】
a.前記正極及びバイアス電極の各々が、
i.約60重量%での活性炭、及び
ii.約30重量%でのグラフェンナノプレートレット、
を備え、
b.前記負極は、
i.約30重量%での活性炭、
ii.約20重量%でのグラフェンナノプレートレット、及び
iii.望ましい作動電圧に応じて約10-40重量%でのリチオ化グラファイト、
を備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の超コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2019年10月4日出願で現在特許出願中の米国仮特許出願第62/910,872号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、超コンデンサに関する。本発明は、特に、正極又は負極の電荷をバイアスしてパック内の超コンデンサを能動的に均衡させることを助けるように使用することができる第3の電極を有する超コンデンサに関する。
【背景技術】
【0003】
超コンデンサは、従来のコンデンサと比較したそれらの高いエネルギ密度及びバッテリと比較した高い電力密度に起因して有望なエネルギ貯蔵デバイスである。電気エネルギを効率的に貯蔵して電気エネルギを急速に放出するそれらの機能は、ハイブリッド電気自動車、回生制動、及び携帯電子機器に対するメモリバックアップのための電力のような大量のエネルギを繰返し貯蔵して一気に送出する必要がある用途に対してそれらを理想的に適するものにする。
【0004】
超コンデンサは、電解質と電極を互いに電気的に隔離したままに保ちながらイオンの移動を可能にするセパレータとによって分離された2つの電極、すなわち、正極及び負極から従来的に構成される電気化学デバイスである。電解質は、水性、有機性、又はイオン性液体である場合がある。電極の面は、多孔質材料で作られ、無孔質材料よりも電極面でより高い表面積をもたらす。電圧が超コンデンサに印加された時に、電解質溶液内のイオンは、反対電荷の電極の孔隙の中に拡散する。電荷は、電極と電解質の間の界面で蓄積し、極度に小さい分離距離を有する2つの荷電層を形成する。
【0005】
キャパシタンスが表面積の増加及び2つのプレート間の距離の減少と共に増加することを考えると、超コンデンサは、極度に大きい表面積及び2重電荷層の間の極度に小さい分離によって従来のコンデンサを改良する。
【0006】
電極に印加することができる最大電圧は、電解質の分解電圧及び超コンデンサ内の2つの電極間の電位差によって制限される。典型的に、非対称超コンデンサは、デバイス内の最大セル作動電圧を増大する正及び負極の異なる電気化学窓を十分に利用するように2つの異種電極材料を使用して組み立てられる。これは、エネルギ密度を有意に高める。今日の超コンデンサの標準構成は、活性電極材料として活性炭及び電解質として有機溶媒を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
公知の設計の超コンデンサは、僅か約1-3.4Vまでの狭い作動電圧の弱点がある。より高い作動電圧を達成するために、単一セル超コンデンサは、直列に組み合わされるか又は積み重ねられる。しかし、公知の超コンデンサは、キャパシタンス、抵抗、及び漏れ電流での±20%ほども多くの分散を有する。これらの差は、単一セル超コンデンサが積み重ねられる時に累積され、セル電圧の不均衡及び潜在的な過電圧を生じる。この不均衡を管理するために、外部平衡回路が、一般的に、正極-負極回路内のスタックと平行に置かれる。残念ながら、外部バイアス回路は、平衡回路と超コンデンサ間の内部抵抗及び結果的な電圧降下に起因して深刻なエネルギ損失を受ける。一部のセルアセンブリは、内部電流コレクタを使用し、これは、次に、不均衡を制御するために接地を可能にする又はMOSFETSに接続する第3の電極に接続する。より高い作動電圧を有してエネルギ損失のないより単純な超コンデンサが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正極、負極、及び本明細書でバイアス電極と呼ぶ第3の電極を有する超コンデンサである。バイアス電極は、正極と負極の間に物理的に配置される。
【0009】
バイアス電極に印加される電圧は、正極及び負極に印加される電圧とは独立している。すなわち、バイアス電極回路は、正極及び負極の回路に電気的に接続されない。バイアス電極は、超コンデンサが充電している時に質量平衡等価量の電荷を蓄積して貯蔵する。バイアス電極は正極-負極回路の一部ではないので、この収集電荷は、通常放電サイクル中に枯渇しない。正極及び負極が枯渇すると、バイアス電極に印加された独立電圧は、超コンデンサ内の電荷をより劣化した正極又は負極、典型的には正極に強制的に通させて電荷2重層の平衡を維持する。この電荷の安定性は、電極の安定性の改良及び作動電圧の増加に等しい。一実施形態では、この超コンデンサは、コインセル形状因子での約5.5-7.4Vの作動電圧を有する。
【0010】
バイアスダイオードを有するコインセル超コンデンサを作る方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の単一セル超コンデンサの断面の概略図である。
【
図2】本発明のスタック式超コンデンサの断面の概略図である。
【
図3A】従来技術の従来型対称超コンデンサの電極電位、電圧、及び電荷間の関係を示すグラフである。
【
図3B】本発明の非対称超コンデンサの電極電位、電圧、及び電荷間の関係を示すグラフである。
【
図4】0.01V/sでの本発明の代表的超コンデンサの循環ボルタモグラムの図である。
【
図5】異なる一定電流速度での
図4の超コンデンサの充電-放電のグラフである。
【
図6A】電気2重層コンデンサ(「EDLC」)電極及びデバイスに対するナイキストプロットの一般物理解釈を示す従来技術のグラフである。
【
図6B】
図4の超コンデンサのナイキストプロットの図である。
【
図8】異なる電荷状態での電気化学的インピーダンススペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、正極、負極、及び本明細書でバイアス電極と呼ぶ第3の電極を有する超コンデンサである。
図1及び2を参照されたい。これらの図では、正極及びバイアス電極は、異なるハッチングを使用して描かれて機能を区別するが、ほとんどの実施形態では、それらは同じ材料で作られる。本明細書に使用する場合に、電極のための「材料」は、単一成分又は成分の組合せを備える場合がある。バイアス電極は、正極と負極の間に物理的に存在し、かつ電流コレクタ及びエネルギ貯蔵電極として作用する。バイアス電極に印加される電圧は、正及び負極に印加される電圧とは独立であり、かつ正又は負のいずれかとすることができる。すなわち、バイアス電極回路は、正極及び負極の回路に電気的に接続されない。これは、共通ソースからの電圧がスタック内の中間正及び負極の各々に印加される従来技術のスタック式コンデンサとは対照的である。
【0013】
高電力貯蔵システムでは、バイアス電極は、小さいフィードバックループ電圧を印加することによって能動平衡回路としても使用することができる。電圧(正又は負)は、セルレベルでの過又は不足電圧を調節し、かつ外部バイアスよりも効率的であるセルの内部バイアスを可能にすることができる。
【0014】
正極及びバイアス電極は、好ましくは、単層での活性炭及びグラフェンナノプレートレット(「GNP」)の組合せで作られる。表1を参照されたい。負極は、好ましくは、活性炭、GNP、及びリチオ化グラファイトの組合せで作られる。一部の場合では、本明細書で炭素同素体と呼ぶ多孔質炭素、カーボンナノチューブ、多層グラフェン、及び酸化グラフェンのような他の炭素ベースの材料は、電極/電解質界面でのそれらの高い表面積及び静電気電荷-貯蔵機構によって電極に使用することができる。金属酸化物も電極に使用することができる。
【0015】
【0016】
当業者は、表1に与えた重量パーセントが望ましい作動パラメータ及び費用に応じて±10重量%だけ変化する場合があることを認識するであろう。
【0017】
本発明の単一コインセルを作るための処理の一実施形態は、一般的に、リチウムイオンバッテリからリチオ化グラファイトを採取する段階と、グラファイトからその後に望ましい電解質に浸されるコインを作る段階とを伴う。このようにして、追加の電解質がセルアセンブリ中に追加される従来の処理とは対照的に、電解質は、電極の中に吸収される。
【0018】
リチウムイオンバッテリからリチオ化グラファイトを採取するために、リチウムイオンバッテリは、それを繰返し充電して少なくとも24時間にわたってその公称充電設定値でそれを充電したままに留めることによって完全に充電される。銅電流コレクタ上のグラファイト電極は、分離され、イソプロピルアルコールで洗浄され、かつ不活性ガス流れ下で乾燥させられる。乾燥した状態で、リチオ化グラファイトは、銅電流コレクタから擦り落とすことができる。
【0019】
超コンデンサのための電極は、乾燥成分を測定して混合することによって調製される。次に、スラリは、結合剤とポリ酢酸ビニル(PVA)及びセルロースのような増粘剤とを有する混合乾燥成分を溶媒溶液内で混合することによって調製される。典型的には、溶媒溶液は、アセトン:水:エチルアルコール溶液であるが、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチルケトン、及びその混合物のような他の溶液で十分である場合がある。例えば、100gの固体は、アセトン:水:エチルアルコール溶液の25:5:70混合物と混合される。
【0020】
超コンデンサの好ましい実施形態は、重力測定的に非対称であり、実質的に非対称の超コンデンサで公知である各電極での異なる材料とは対照的に、正及び負極の各々で異なる量のグラフェンを有する。これは、正極:負極の重量比を調整することを可能にする。この非対称設計の重要な利点の1つは、2つの電極の重量比を調整することにより、特に、負極の重量を低減することにより、それが用途に適する場合に作動電圧を低減してキャパシタンスを増大することができることである。
図3A及び
図3Bを参照されたい。例えば、一部の実施形態では、負極は、7.5V超コンデンサに対して40重量%リチオ化グラファイト、5.65V超コンデンサに対して25%リチオ化グラファイト、及び~4.5V超コンデンサに対して10%リチオ化グラファイトを含む。
【0021】
スラリは、不活性ガス流れ下で乾燥させて溶媒を蒸発させ、一貫したドウを形成する。ドウは、押圧されるか又は圧延されて平坦なシートにされて乾燥させたままに留まる。乾燥した状態で、ドウは、それをローラに通すことによって圧縮される。電極は、乾燥したドウから2430及び2032コインセル形状因子の丸いコインのような望ましい形状に切断されて浸されるか又は他に24時間にわたって電解質中に接触状態にされる。電解質は、イオン液体を望ましい割合で混合することによって作られる。表1は、30重量%テトラシアノボレートN-ブチル-N-メチルピペリジニウム(Pip1,4)B(CN4)、40重量%l-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス-(トリフルオロメチルスルホニル)-イミド(EMI:TFSI)、及び30重量%1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)の電解質を開示している。他のイオン溶液も十分であることになる。
【0022】
電極は、
図1及び
図2に示すように、必要に応じて単一セル又はスタック式セル配置で組み立てられ、各電極間にセパレータを有する。各セパレータは、短絡を防止するように電極間に物理的障壁を提供し、理想的には、高い孔隙率を示して充電及び放電のための電解質の流れを可能にする。セパレータ材料は、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びセルロース、更に通常は白色のプリンタ用紙のような微多孔膜を含む。
【0023】
構成要素は、典型的にはポリマー積層アルミニウム又はアルミニウム合金で作られた保護金属ケーシングに封入される。電極及び金属ケーシング間のより良好な電子移動に関して、金属ケーシングの内側は、印刷、ブラッシング、ローリング、又はスプレー塗装によってアセンブリインクの薄膜で被覆される。薄膜は、インクジェット印刷に対して乳酸エチル、酢酸エチル、及びエチレングリコールの溶液内で結合剤及びGNPの懸濁液であり、又はスプレーコーティングに対してアセトン及び乳酸エチルの溶液である。組み立てた状態で、ケーシング縁部は、互いに圧着されて超コンデンサを仕上げる。
【0024】
超コンデンサの性能を特徴付けるのに評価される全てのパラメータは、取りわけ、化学組成、孔隙構造、質量、厚み、構成及び特性技術、手段、及プロトコルのような多数の因子に依存する。
図4、5、6B、8、及び表2は、本発明のデバイスの1組の代表的データを列挙し、この非対称性準ハイブリッドシステム内の容量的貯蔵のその充電放電特性及び時間依存的進展を強調している。
【0025】
従来技術のいずれの急速充電対称炭素-炭素超コンデンサとも異なり、本発明の重力測定的非対称超コンデンサでは、拡散による又はヘルムホルツ層内の充電及び放電中の電荷の再分配は、高度に動的であり、かつ超コンデンサの設計パラメータを理解して最適化するのに重要な役割を果たす。
図4、5、6B、及び表2に示す全てのデータは、2-電極測定値として超コンデンサコインセルから直接に収集され、かつキャパシタンス及び等価直列抵抗(「ESR」)値を計算するために相応に処理される。
図8に示す電気化学的インピーダンス分光データは、3-端子(正、負、及びバイアス電極)コインセル測定値から収集され、本発明の非対称性セルでの静止時及び充電処理の異なる状態での相互作用の動的性質を示している。
【0026】
図6Bに示すナイキストプロットの低周波テールは、実数インピーダンス軸Z’から45°~90°にあり、これは、デバイスがEDLC機構及び擬似容量性機構の両方に基づいて電荷を貯蔵することを示している。
図6Bの半円の直径は、電極-電解質界面での電荷移動抵抗に対応する。
図6Bのデバイスに対して電荷移動抵抗は、約1.0Ωである。高周波では、半円及び実数インピーダンス軸の交点は、電極材料、ケーシング及び電極の接触抵抗、ケーシング抵抗を含むデバイスの固有抵抗を示している。
図6B及び8は、観察された固有抵抗が3.0-5.0Ωの範囲でデバイス間でかなり一貫性があることを示している。
図8は、電極-電解質界面での電荷形成及び電荷移動の変化を示している。拡散層の急勾配(静止時にV=0.0V)は、電圧印加時により低くなり、イオンが電極面の上に急速に拡散することを示している。5.5Vでは、拡散層の傾斜はほとんど0であり、イオンが電極面を完全に占有していることを意味する。より高い外部電圧が印加される時に、半円(静止時のデバイス、V=0.0V)の直径は増加し、単一半円は、2つの半円の重畳画像に変形し、2つの異なる抵抗電荷移動ゾーンを示している。これらの超コンデンサの作動温度は、-40から70度Cの範囲内である。
【0027】
【0028】
以下は、超コンデンサの製造を説明する。
【0029】
超コンデンサ組成:
【0030】
リチオ化グラファイト:完全に充電された4.2Vのリチウムイオンバッテリアノード(NMC-グラファイト)から採取された。A7Ah、4.2V NMC-グラファイトバッテリは、カソード材料のLi/Gの0.05G及び電解質のリチウム/Gの~8Gを有することになり、一般的に、カソードの(平均)70G及びグラファイトの24Gを含有することになる。収穫前に、バッテリ(セル)は、繰返し充電されて24時間にわたってその公称充電設定で充填したままにしなければならない。充電済バッテリを分解する時に注意しなければならない。この処理中にバッテリ電極を短絡させることなくオーバーヘッド不活性ガス流れを使用する。安全に取り外した状態で、グラファイト電極(電流銅コレクター上)を分離し、正の不活性ガス流れ下で乾燥させる前にIPAで洗浄する。銅から及び各バッテリからリチオ化グラファイトを擦り落としてリチオ化グラファイトの~15Gを集めることができるはずである。この多くのリチオ化グラファイトは、~10超コンデンサに対して十分である。
【0031】
活性炭:活性炭は購入した状態で使用された。
【0032】
グラフェン添加剤:グラフェンは、膨張グラファイトから剥離され、GNP及び多層グラフェンの両方を電極に使用することができる。
【0033】
電極混合物:正及びバイアス電極:活性炭:GNP:部分加水分解PVA(低分子量):メチルセルロース:60:30:4:6(60:35:3:2も機能する)。
【0034】
負極:活性炭:GNP:リチオ化グラファイト:部分加水分解PVA(低分子量):メチルセルロース:30:20:40:4:6(リチオ化グラファイトの%は、調整最終電圧まで10-40%の間で調整することができる)。リチオ化グラファイトの40重量%が、7.5V超コンデンサに使用され、25%リチオ化グラファイトが、5.65V超コンデンサに使用され、10%リチオ化グラファイトが~4.5V超コンデンサに使用された。
【0035】
スラリ:真空混合物を使用してアセトン:水:エチルアセテート(又はラクテート)の25:5:70混合物中で固体の~100Gのスラリを調製する。最大rpmで、少なくとも3時間にわたってスラリを混合する。一貫したドウを得ことができるまで溶媒を蒸発させる。それを押圧して滑らかな平面を形成し、ドウを湿らす。それを乾かす。
【0036】
圧縮機:それをローラに通して130℃で望ましい厚み(~1mmのターゲット厚み)を得る。これは、比較的平坦なシートを提供するはずであり、それを完全には乾燥させない。得られる材料のシートは、湿ったゴム状の粘性度を保持するはずある。縁部を切り取り、シートを使用して電極を切断する。切断した状態で、直ちに電極を電解質の中に浸す。
【0037】
電解質:(Pip1,4)B(CN)4:EMI:TFSI:EMIBF4::30:40:30。よく混ぜる。湿った電極及びセパレータは、これらを24時間にわたって電解質中に浸すことによって噴き出る。形成中に追加の電解質を追加する必要はない。
【0038】
セパレータ:通常白色(染色されていない、青色でない)印刷用紙が、セパレータとして使用された。
【0039】
アセンブリインク:溶媒混合物(印刷):エチルラクテート、エチルアセテート及びエチレングリコールアセテート:70:20:10。
【0040】
溶媒混合物(スプレー又は他のコーティング方法):アセトン、エチルラクテート:80:20。
【0041】
結合剤:メチルセルロース又はニトロセルロース。注釈:メチルセルロースは、より良好な結合特性を有するが、ニトロセルロースはより良好な伝導性を提供する。
【0042】
GNPの用途及びサイズに依存してグラフェン2.5-30重量%。超コンデンサに対して10-15重量%が確実に機能する。
【0043】
粉末セルロース結合剤(メチルセルロースが全ての超コンデンサに使用された)を10mG/mL濃度としてIPA中に分散させ、最大rpmで2時間にわたって真空混合する。150mG/mLのグラフェン(GNP)をこれに加えて、最大rpmで4時間にわたって真空混合する。これは、均一な懸濁液を提供するはずであり、それを沈降させて濾過する。懸濁液が沈殿しない場合に、塩化ナトリウム溶液(15%wt/wt)を使用して濾過前に希釈する。乾燥させ、粉末を採取し、乳鉢と乳棒内ですり潰す(又は製粉機を使用する)。製粉機を使用している場合に、粉砕媒体として15重量%乾燥エタノールを使用する。
【0044】
乾燥粉末を選択した溶媒混合物の中に追加し、最大rpmで4時間にわたって真空混合する。アセンブリインクを使用して金属ケーシングの適切な側部を被覆する。小さいペイントブラシが、被覆するのに使用された。アセンブリインクが完全に乾燥する前に電極を設置する。
【0045】
形成:圧着機を使用して超コンデンサを組み立てる。バイアス電極を有する超コンデンサに必要である場合に、金属ケーシングを半田付けする。
【0046】
本発明の好ましい実施形態であると現在考えられるものを例示して説明したが、様々な変更及び修正を行うことができ、本発明の真の範囲から逸脱することなくこれらの要素を均等物で置換することができることは当業者に理解されるであろう。従って、本発明は、開示する特定の実施形態に限定されないこと、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲に該当する全ての実施形態を含むことを意図している。
【国際調査報告】