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特表2022-550974重合体を製品に変換するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】重合体を製品に変換するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
C10G1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520751
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 IB2020059231
(87)【国際公開番号】W WO2021064647
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】2019903756
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522133576
【氏名又は名称】ムラ テクノロジー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】リチャード デイリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ローランズ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC02
4H129BC03
4H129BC04
4H129BC05
4H129BC06
4H129BC35
4H129BC36
4H129BC37
4H129BC38
4H129NA01
4H129NA21
4H129NA43
(57)【要約】
本発明は、高分子材料を炭化水素製品に変換するための方法及び装置を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料を処理して炭化水素製品を製造する方法であって、前記方法は:
前記高分子材料及び水性溶媒を含む反応混合物を生成することと;
前記反応混合物中に存在する前記高分子材料の全て又は一部を流体製品流へ変換するのに適した時間にわたって反応温度及び反応圧において反応装置中で前記反応混合物を処理することと;
前記流体製品流を減圧することであって、
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも350度の温度及び少なくとも180bar(1.80×10Pa)の圧であり、
前記減圧は、フラッシュ槽において前記流体製品流の圧を25bar(2.5×10Pa)未満まで減圧し、それにより、前記流体製品流の少なくとも一部を気化させ、炭化水素製品、水蒸気、及びガスの構成成分を含む蒸気を生成することを含み、
前記気化させることは、前記蒸気を前記構成成分に分留することを促進するエネルギーを提供することと;
前記分留された蒸気を収集することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも:380℃、400℃、420℃、450℃、又は470℃の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも:200bar(2.00×10Pa)、220bar(2.20×10Pa)、240bar(2.40×10Pa)、260bar(2.60×10Pa)、280bar(2.80×10Pa)又は300bar(3.00×10Pa)の圧である、請求項1又は請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記フラッシュ槽は、集積装置と直接に連結しているか、前記集積装置の一体部分であるか、又は、1つ以上の段階的製品冷却器と直接連結している、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
400℃未満、450℃未満、500℃未満、550℃未満又は600℃未満の最大大気圧相当沸点を有する留分に前記蒸気を分留及び冷却すること、並びに400℃超、450℃、500℃、550℃又は600℃の最小大気圧相当沸点を有する残渣留分を収集すること、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記減圧された製品流からの固体フィラー及び/若しくは無機材料並びに/又は金属塩は、前記気化及び分留により製造される残渣マトリックス内に保持されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記減圧及び分留は、以下の温度:10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、又は60℃における低沸点炭化水素からの前記水性溶媒の分離を含む、前記炭化水素製品から前記水性溶媒を分離することを可能とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記低沸点炭化水素からの前記水性溶媒の分離を、9.8±0.1m/秒の有効重力下で行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分離された水性溶媒は、15,000mg/l未満、10,000mg/l未満、5000mg/l未満、2500mg/l未満、1000mg/l未満、又は500mg/l未満の全有機炭素含有量(TOC)を含む、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フラッシュ槽に水蒸気を注入すること及び前記流体製品流を前記水蒸気と接触させることを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応混合物の前記生成は:
前記高分子材料の溶融流を準備することと;
前記水性溶媒を前記高分子材料の溶融流に注入することと;
前記水性溶媒及び前記高分子材料の溶融流を機械的に混合することと、
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水性溶媒は、前記注入前に超臨界である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水性溶媒は、水又は実質的に水である、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的混合は、1つ以上の静止機械的混合機器を含むアセンブリにおいて溶媒分布グリッドの使用を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
いずれかの前記機械的混合機器により排出される流量は、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、又は約98%超の体積均一性を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記水性溶媒を、前記いずれかの前記混合機器及び溶媒分布グリッドの周縁にまたがる一連のノズルにより前記高分子材料の溶融流に注入する、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応混合物を生成する間に、2bar(2×10Pa)未満、5bar(5×10Pa)未満、10bar(1.0×10Pa)未満、20bar(2.0×10Pa)未満、又は30bar(3.0×10Pa)未満の前記混合機器にわたる圧力損失がある、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記超臨界水性溶媒を、前記流体製品流から放出されるガスにより燃料を供給されるバーナーを備えるボイラー装置において生成する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記超臨界水性溶媒を、天然ガスにより燃料を供給されるバーナーを備えるボイラー装置において生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記超臨界水性溶媒は、少なくとも450℃、少なくとも500℃、又は少なくとも550℃の温度において前記ボイラー装置を出る、請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ボイラー装置は、前記超臨界水性溶媒を生成する間に、少なくとも180bar(1.80×10Pa)、若しくは少なくとも200bar(2.00×10Pa)、若しくは少なくとも220bar(2.20×10Pa)、若しくは少なくとも240bar(2.40×10Pa)。若しくは少なくとも250bar(2.50×10Pa)、少なくとも270bar(2.70×10Pa)、又は290bar(2.90×10Pa)、又は310bar(3.10×10Pa)、若しくは330bar(3.30×10Pa)の圧において稼働する、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ボイラー装置中の前記流体製品流から放出される前記ガスを少なくとも2秒間、少なくとも850℃の温度まで加熱し、それにより、塩素化ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化ビフェニル及び環境に懸念される他のジオキシン様化合物のうちいずれか1つ以上を含むハロゲン化有機化合物を破壊することを含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記処理は、前記反応混合物を、前記生成又は処理の間に前記反応混合物と接触しているいずれかの金属面に存在するものに加えて、補足金属触媒と接触させることを含み、前記補足金属触媒は:
前記反応混合物に混合して前記流体及び前記補足金属触媒間の接触を促進する固体材料の成分、並びに/又は
いずれかの前記混合機器の成分
である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記補足金属触媒は、固体遷移金属触媒である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記補足金属触媒は、固体遷移金属触媒であり、前記遷移金属の酸化状態は、最初は形式原子価0の酸化状態である、請求項23又は請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記原子価0の金属は、原子価0の鉄及びニッケルのいずれかから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記補足金属触媒は、前記水性溶媒から前記高分子材料の前記処理から生じる前記炭化水素製品への水素原子の移動を触媒する、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記処理の間に前記反応混合物から固体材料を除去することを更に含み、
前記固体材料は、前記高分子材料内に存在する無機材料であり、
前記固体材料は、前記反応混合物内の流体より大きい密度を有し、前記処理の間に重力により前記反応混合物から分離し;及び
遠隔操作されるバルブによって前記処理の間に受け槽中にブローダウンすることによって前記処理を行い、前記固体材料を反応装置から除去する、
請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記無機材料は、前記方法を行う前に前記高分子材料内に存在するフィラー若しくは混入物であり;並びに/又は
前記無機材料は、前記水性溶媒及び/若しくは前記処理の間に副反応により少量生成された炭素に富む材料と反応した、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記固体材料を、前記炭化水素製品の一部、ワックス、高分子オリゴマー又は部分的に脱重合された材料と共に前記受け槽中にブローダウンする、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法を、
前記反応装置内のバルブ調節及び減圧槽における圧力レベルを試験するためのシステム、
前記反応装置の受け槽中にブローダウンされた材料を冷却するシステム、
最終収集ポットであって、前記ポット及び内容物の偶発的な離脱を防止するため、その蓋及び相互接続されたパイプ及びバルブと連結されたブローダウンされた材料のための着脱可能な蓋を備える、最終収集ポット、
前記処理中又は前記処理後に生成されるガスを放出するためのガス抜き、
窒素、アルゴン、二酸化炭素及び/又は他の不活性ガスを含む不活性雰囲気を供給して、前記降下ポット及び収集ポット内に含まれる材料の発火及び燃焼を防止すること、
前記反応装置において機械的衝撃を最小化するためのシーケンシングシステム、
のうちのいずれか1つ以上を備える反応装置において行う、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の熱交換器を使用して前記反応混合物を前記反応温度まで間接的に加熱し;
前記1つ以上の熱交換器は、膨張ベローズ集成装置を備えず;並びに
前記1つ以上の熱交換器は、前記水蒸気及び/又は反応混合物を間接的に加熱するために使用される水蒸気パイプ及び/又は電気発熱体内の水蒸気パイプを備える二重加熱プローブ型集成装置を備える、
請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
過熱炉を利用して、前記水蒸気を前記フラッシュ槽に注入する前に前記水蒸気を加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項34】
前記反応温度は、少なくとも380℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、又は少なくとも500℃である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記炭化水素製品は、10℃~210℃のAEBPで沸騰するナフサ成分を含み、前記ナフサ成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記炭化水素製品は、210℃~360℃のAEBPで沸騰する軽油成分を含み、前記軽油成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記炭化水素製品は、360℃~550℃のAEBPで沸騰する重質軽油成分を含み、前記重質軽油成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記反応混合物を生成するために使用される前記高分子材料は、溶融高分子材料押出物であり;
前記高分子材料押出物を、前記反応混合物を生成する前に収集槽に方向転換し;
前記収集槽は不活性雰囲気を備え、前記溶融高分子材料押出物の燃焼を避け;及び
前記収集槽を、1つ以上のラインにより反応装置と接続して、各ライン上に二重バルブアイソレーションを提供して前記反応器からの前記溶融高分子材料押出物の逆流を防止する、
請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
温度測定システムは、前記混合機器と接続した押出装置の方に向かう前記混合機器からの逆流の警告を提供して、アイソレーションバルブの操作を可能とし、こうして前記混合機器からの逆流を防止する、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項40】
前記反応装置は、連続流反応装置である、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記処理を、連続流の条件下で行う、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記高分子材料は:リグノセルロース物質、天然炭水化物ポリマー;リグニン;セルロース;ヘミセルロース;リグニン、セルロース、ヘミセルロースのいずれか2つの組合せ;亜炭(褐炭);亜歴青炭;これらのいずれかの組合せのうちいずれも1つ以上を含まない、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
高分子材料を処理するための連続流反応装置であって、
前記高分子材料の溶融流を含む押出物を製造するための押出機と;
前記押出物に超臨界水を製造及び添加するためのボイラー装置と;
前記押出物を前記超臨界水と混合し、それにより反応混合物を生成するために構成された機械的混合機器と;
前記機械的混合機器及び間接的加熱器と連通している反応ゾーンであって、前記反応ゾーンは、規定滞留時間、規定温度及び圧において前記反応混合物を処理し、それにより流体製品流を製造するためである、反応ゾーンと;
前記流体製品流を減圧するための減圧機器であって、前記減圧機器は、前記反応ゾーン及びフラッシュ槽と連通している、減圧機器と;
前記フラッシュ槽において生成される蒸気を分離するための分留装置と、
を備える、連続流反応装置。
【請求項44】
前記間接的加熱器は円周形でない、請求項43に記載の連続流反応装置。
【請求項45】
前記フラッシュ槽は、前記分留装置と直接連結しているか;又は
前記フラッシュ槽は、前記フラッシュ塔の一体部分であるか;又は
前記フラッシュ槽及び前記分留装置は、別々になった生成物冷却器である、
請求項43又は請求項44に記載の連続流反応装置。
【請求項46】
前記機械的混合機器は、静止機械的混合機器である、請求項43~45のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項47】
前記超臨界水を前記高分子材料の溶融流に注入及び分布するための前記機械的混合機器又はその一部の周縁にまたがる一連のノズルを備える、請求項43~46のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項48】
前記ボイラー装置は、ガスを受けるための前記分留装置(例えば、前記分留装置中の槽)と連通しているバーナーを備える、請求項43~47のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項49】
前記ボイラー装置は、天然ガス供給源と連通しているバーナーを備える、請求項43~48のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項50】
前記反応ゾーンの1つ以上の成分は、前記反応混合物のための金属触媒供給源を含む、請求項43~49のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項51】
前記金属触媒は、固体遷移金属触媒である、請求項50に記載の連続流反応装置。
【請求項52】
前記反応混合物を生成する前に前記溶融高分子材料押出物を収集するように構成された収集槽を、1つ以上のラインにより前記反応装置と接続し;
前記1つ以上のラインは、各ライン上に二重バルブアイソレーションを提供し、前記反応器からの逆流を防止し;
前記収集槽は、前記押出物の燃焼を避けるために不活性雰囲気を備える、
請求項43~51のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項53】
前記反応混合物から固体材料を除去するためのブローダウンコンポーネント、及び前記固体材料のための受け槽を備える、請求項43~52のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項54】
前記高分子材料の前処理及び/又は前記反応混合物の前記処理の間に生成された固体残留物及び/又は残液を分離する手段、並びに前記固体残留物及び/又は残液を前記フラッシュ槽中の前記流体製品流と混合し、それにより前記固体残留物及び/又は残液の揮発性成分を気化させる手段を備える、請求項43~53のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【請求項55】
前記反応混合物が流れる反応ゾーンを収容する前記反応装置中の槽に沿った複数のポイントにおいて前記反応混合物を前記規定温度まで間接的に加熱するための熱交換器と;
超臨界水蒸気発生器により生成される超臨界水蒸気を、前記熱交換器に供給する手段と、
を備える、請求項43~54のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照による援用
本願は、2019年10月4日に出願されたオーストラリア特許仮出願第2019903756号の優先権を主張し、その全文を相互参照することにより本明細書に援用されるものとする。
【0002】
技術分野
本発明は、概して、廃棄物処理の分野に関する。より詳細には、本発明は、プラスチックなどの高分子材料を炭化水素製品に変換するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチック製品の現在広まっている使い捨ての使用は持続不可能であり、環境を阻害している廃プラスチック問題を引き起こしている。プラスチック廃棄物は生分解性に乏しく、環境問題及び野生生物に対する害を増大させる。大部分のプラスチック廃棄物は今なお埋め立て地に廃棄されているが、これはかなりの量の処理原料及びエネルギーが失われる/利用されないことを意味する。
【0004】
原油埋蔵量は有限資源であるので、使い捨て使用のプラスチックを避け、リサイクルを増やし、埋め立て地へ単純に廃棄されているプラスチックを避けることによってプラスチックをより持続可能にすることは重要である。
【0005】
プラスチックを機械的リサイクルすることができる範囲には限度があるので、機械的リサイクルすることができないかなりの量の廃プラスチックが残る。事実、多くの種類の高分子廃棄物はリサイクルに適していない。
【0006】
現在、この廃プラスチックのための主要な廃棄の選択肢は焼却又は埋立てである。これは持続不可能であり汚染の可能性があるので、多くの国は埋め立て地を抑制している。例えば、高分子廃棄物のポリ塩化ビニル(PVC)含有物由来の少量の塩素が理由で焼却は比較的非効率的な条件で稼働しており、環境を汚染しないように大規模な燃焼排ガス処理を必要とする。一部のエネルギー回収を可能としているが、焼却は今なお有用な炭化水素原材料の損失をもたらす。
【0007】
この廃プラスチックのための更なる選択肢は、重合体の熱又は触媒クラッキングにより燃料又は化学物質を製造するための熱化学リサイクル(例えば、熱分解若しくは触媒熱分解又は気化)である。これらの方法は、熱を外側、廃プラスチックを含む槽の外側に印加する問題に悩まされており、したがって、チャー形成に悩まされる可能性があり、閉塞する高温面を有する。更に、一部のプラスチックは分解し、昇華して下流の装置を閉塞する化学物質を生成する。高分子集合体への熱伝達も問題であり、プラント中の閉塞をもたらす。触媒プロセスは、重合体供給における不純物として灰分、金属、セルロース(紙)、無機フィラー及び添加剤に敏感である可能性がある。これらの問題の結果として、商業的に稼働しようと試みたいくつかの廃プラスチック熱分解プラントは閉鎖した。
【0008】
高分子材料(例えば、プラスチック)を炭化水素原材料に変換することができ、この炭化水素原材料から新しいプラスチックを製造してプラスチックの完全循環型経済を創成することができる改良された方法及び/又は機器に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、従来技術に存在する1つ以上の問題を、廃プラスチックなどの高分子材料を有用な炭化水素製品及び/又は輸送燃料及び/又は他の化学物質に変換する改良された手段を提供することによって対処する。
【0010】
本明細書に記載されている方法を実行することにより、廃プラスチックの有用な化学成分を化学的リサイクルし、例えば、新しいプラスチックの製造を含む様々な応用において再利用することができる炭化水素製品を製造することができる。本発明は、プラスチック廃棄物の蓄積の問題に対する解決方法も提供し、有限な原油埋蔵量の消費を減らす。
【0011】
本明細書において、高分子材料を処理して炭化水素製品を製造するための方法及び装置を開示する。
【0012】
いくつかの実施形態では、処理下の高分子材料を、圧を高め、したがって、押出機を出るときに高分子材料の温度を上昇させ得る適切な押出機によって処理してよい。高分子材料を、押出機を出る時に超臨界水により更に加熱して、高分子材料、水及び必要に応じて他の成分を含み得る反応混合物を生成してよい。混合機を使用して反応混合物を更に混合してもよく、及び/又は加熱機を使用して反応混合機を更に加熱してもよい。高分子材料及び溶媒(例えば、水性溶媒)を含む反応混合物を、反応ゾーンを収容又は備える反応装置に受けて所定の反応温度及び/又は反応圧を与えることができる。反応混合物を反応混合物中に存在する高分子材料の全て又は一部を製品に変換するのに適した時間にわたって反応ゾーンにおいて処理してよく、製品は流体製品流の形態で反応ゾーンから出てよい。
【0013】
特定の実施形態では、高温高圧において反応ゾーンを出る流体製品流を、該流体製品流の大部分を気化させる様式でフラッシュ槽において急速に減圧して、炭化水素製品、水蒸気、及びガスを含む蒸気を生成してよく、該蒸気を集積装置に収集してよい。本発明者らは、蒸気の個々のガス含有成分への分留を、前述の、流体製品流の急速な減圧、及び蒸気エネルギーの利用によって増強することができることを有利に明らかにした。
【0014】
本発明の方法において、蒸気からのガスをエネルギーとして利用してよい。例えば、超臨界水を加熱するためのエネルギーを生成するためのボイラーなどの装置に、ガスを移動してよい。方法のいずれもの過程のために、ガスのエネルギーを使用してよい。
【0015】
以下により詳細に記載されているように、本発明が上記従来技術において未達の1つ以上に対処する手段としては次の特徴のいずれか1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
廃プラスチックなどの高分子材料を、適切な押出機による押出のための当技術分野において公知の手段によって容易に製造してよい。高圧において押出機から出る高分子材料押出物を加熱/加圧水性溶媒(過熱水)と混合して、高分子材料の押出なしで生成された同じ反応混合物と比較した場合に高濃度の高分子材料を含む混合物を提供してよい。過熱水相は、その高拡散性のおかげで高分子溶融物への効率的な熱伝達を提供し得、及び/又は水の存在はチャー形成を抑制し得る。反応混合物中に存在するハロゲン(例えば、塩素)は、無機ハロゲン化物として水相に大部分移動し、それによって、ジオキシン生成をめぐる問題を減らし得る。紙などのセルロース系不純物を大部分気化してもよく、あるいは油成分に変換してもよい。灰分様成分及び無機フィラーを方法を通じて大部分運搬してよく、当技術分野において公知の手段(例えば、分留)によって製品から分離することができる。押出機-反応器接続面及び/又は超臨界若しくは過加熱水性溶媒(例えば、水)を用いた希釈の混合界面の設計は、例えば、従来技術の方法に対して利点を提供することに対して少なくとも部分的に関与している
【0017】
本発明による1つ以上の収集装置を、様々な構成で提供してよい。方法の工程において相当なエネルギーを導入した場合、蒸気のエネルギーを使用して蒸気を成分に分留してよい。例えば、縦型槽は、これらのエネルギーが成分を特定のコンテナに着地するように槽内の様々な高さに該成分を推進するので、該成分を受ける縦割りに配置された様々なコンテナを備えてよい。コンテナは、更なる処理のため、成分をそれぞれのリザーバーに誘導するための収集パイプを伴ってよい。水は成分であり得、洗浄のために収集され得る。ガスは、方法におけるエネルギーとして利用される分留された蒸気の少なくとも1つの成分であり得る。
【0018】
蒸気の様々な成分に蓄積されたエネルギーに依存して、成分は別々に補足されるように自己分離し得る。自己分離する機会を有する成分の提供は、追加のエネルギー及び浪費される時間を要する製品の再加熱を必要とし得る追加の分離工程の必要性を回避する。 分留された蒸気の成分の自己分離は、例えば、硬質ワックス残渣であってよい。
【0019】
本明細書に記載されている方法及び装置を使用して、不純物と共に製造された所謂廃プラスチックを処理して様々な特徴を示し得る。不純物は、例えば、プラスチックを不透明及び着色させるかも知れない。これらの不純物は、例えば、TiO、CaCO、ZnO及び/又はNaClであるかも知れない。不純物の重さは、1つ以上の反応槽の底部にこれらが沈下することを可能にし、ここにおいてこれらの不純物を収集できる。後で、収集装置の様々なコンテナの1つは、ビチューメンとして有用な製品を備えてよい。方法及び装置は、安全廃棄のために1つ以上のビチューメン製品に不純物を添加するための手段を備えてよい。上記のように、分留された蒸気の水成分を洗浄してよく、不純物を収集して安全廃棄のためにビチューメンとして有用な製品に添加してよい。例えば、ビチューメンを、道路建設で使用してよい。
【0020】
本明細書に記載されているように、反応混合物中に存在する高分子材料の全て又は一部を流体製品流へ変換するのに適した様々な時間にわたって、様々な反応温度及び反応圧で、反応装置中において反応混合物を処理することは、分留された蒸気の究極最終製品を決定しうる。 利用可能な原材料及び所望の製品生産物に依存して、様々なパラメータを調整してよい。
【0021】
本発明の方法は、高圧及び高温のせいで実質的に過酷な条件を含み得る。したがって、槽及び配管鋼の適切な選択は有益である。選択された鋼に依存して、反応混合物は鋼と相互作用し、鋼は触媒として作用し得、様々な最終製品が特徴を有すようになる。所望の最終製品に依存して、例えば、反応装置の槽に追加の面を付加してよい。1つのかかる面は、例えば、ニッケルを含んでよく、特定の標的反応を開始させ得る。
【0022】
本発明は、以下の実施形態に少なくとも部分的に関する。
【0023】
実施形態1.
高分子材料を処理して炭化水素製品を製造する方法であって、前記方法は:
前記高分子材料及び水性溶媒を含む反応混合物を生成することと;
前記反応混合物中に存在する前記高分子材料の全て又は一部を流体製品流へ変換するのに適した時間にわたって反応温度及び反応圧において反応装置中の前記反応混合物を処理することと;
前記流体製品流を減圧することであって、
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも350℃の温度及び少なくとも180bar(1.80×10Pa)の圧であり、
前記減圧は、フラッシュ槽において前記流体製品流の圧を25bar(2.5×10Pa)未満まで減圧し、それにより、前記流体製品流の少なくとも一部を気化させて炭化水素製品、水蒸気、及びガスの構成成分を含む蒸気を生成することを含み、
前記気化させることは、前記蒸気を前記構成成分に分留することを促進するエネルギーを提供することと;
前記分留された蒸気を収集することと、
を含む方法。
【0024】
実施形態2.
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも:380℃、400℃、420℃、450℃、又は470℃の温度である、実施形態1に記載の方法。
【0025】
実施形態3.
前記流体製品流は、前記減圧直前において、少なくとも:200bar(2.00×10Pa)、220bar(2.20×10Pa)、240bar(2.40×10Pa)、260bar(2.60×10Pa)、280bar(2.80×10Pa)又は300bar(3.00×10Pa)の圧である、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
【0026】
実施形態4.
前記フラッシュ槽を集積装置と直接連結し、前記集積装置の一体部分であるか、又は1つ以上の段階的製品冷却器と直接連結している、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
実施形態5.
400℃未満、450℃未満、500℃未満、550℃未満又は600℃未満の最大大気圧相当沸点を有する留分に前記蒸気を分留及び冷却すること、並びに400℃超、450℃、500℃、550℃又は600℃の最小大気圧相当沸点を有する残渣留分を収集すること、を含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
実施形態6.
前記減圧製品流からの固体フィラー及び/若しくは無機材料並びに/又は金属塩は、前記気化及び分留により製造される残渣マトリックス内に保持されている、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
実施形態7.
前記減圧及び分留は、以下の温度:10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、又は60℃における低沸点炭化水素からの前記水性溶媒の分離を含む、前記炭化水素製品から前記水性溶媒を分離することを可能とする、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
実施形態8.
前記低沸点炭化水素からの前記水性溶媒の分離を、9.8±0.1m/秒の有効重力下で行う、実施形態7に記載の方法。
【0031】
実施形態9.
前記分離された水性溶媒は、15,000mg/l未満、10,000mg/l未満、5000mg/l未満、2500mg/l未満、1000mg/l未満、又は500mg/l未満の全有機炭素含有量(TOC)を含む、実施形態7又は実施形態8に記載の方法。
【0032】
実施形態10.
前記フラッシュ槽に水蒸気を注入すること及び前記流体製品流を前記水蒸気と接触させることを更に含む、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
実施形態11.
前記反応混合物の前記生成は:
前記高分子材料の溶融流を準備することと;
前記水性溶媒を前記高分子材料の溶融流に注入することと;
前記水性溶媒及び前記高分子材料の溶融流を機械的混合することと、
を含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
実施形態12.
前記水性溶媒は、前記注入前に超臨界である、実施形態11に記載の方法。
【0035】
実施形態13.
前記水性溶媒は、水又は実質的に水である、実施形態11又は実施形態12に記載の方法。
【0036】
実施形態14.
前記機械的混合は、1つ以上の静止機械的混合機器を含むアセンブリにおいて溶媒分布グリッドの使用を含む、実施形態11~13のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
実施形態15.
いずれかの前記機械的混合機器により排出される流量は、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、又は約98%超の体積均一性を有する、実施形態12に記載の方法。
【0038】
実施形態16.
前記水性溶媒を、前記いずれかの前記混合機器及び溶媒分布グリッドの周縁にまたがる一連のノズルにより前記高分子材料の溶融流に注入する、実施形態11~15のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態17.前記反応混合物を生成する間に、2bar(2×10Pa)未満、5bar(5×10Pa)未満、10bar(1.0×10Pa)未満、20bar(2.0×10Pa)未満、又は30bar(3.0×10Pa)未満の前記混合機器にわたる圧力損失がある、実施形態14~16のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
実施形態18.
前記超臨界水性溶媒を、前記流体製品流から放出されるガスにより燃料を供給されるバーナーを備えるボイラー装置において生成する、実施形態12~17のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
実施形態19.
前記超臨界水性溶媒を、天然ガスにより燃料を供給されるバーナーを備えるボイラー装置において生成する、実施形態18に記載の方法。
【0042】
実施形態20.
前記超臨界水性溶媒は、少なくとも450℃、少なくとも500℃、又は少なくとも550℃の温度において前記ボイラー装置を出る、実施形態18又は実施形態19に記載の方法。
【0043】
実施形態21.
前記ボイラー装置は、前記超臨界水性溶媒を生成する間に、少なくとも180bar(1.80×10Pa)若しくは少なくとも200bar(2.00×10Pa)若しくは少なくとも220bar(2.20×10Pa)若しくは少なくとも240bar(2.40×10Pa)若しくは少なくとも250bar(2.50×10Pa)、少なくとも270bar(2.70×10Pa)、又は290bar(2.90×10Pa)、又は310bar(3.10×10Pa)若しくは330bar(3.30×10Pa)の圧において稼働する、実施形態18~20のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
実施形態22.
前記ボイラー装置中の前記流体製品流から放出される前記ガスを少なくとも2秒間少なくとも850℃の温度まで加熱し、それにより、塩素化ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化ビフェニル及び環境に懸念される他のジオキシン様化合物のうちいずれか1つ以上を含むハロゲン化有機化合物を破壊することを含む、実施形態18~21のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
実施形態23.
前記処理は、前記反応混合物を、前記生成又は処理の間に前記反応混合物と接触しているいずれかの金属面に存在するものに加えて、補足金属触媒と接触させることを含み、前記補足金属触媒は:
前記反応混合物に混合して前記流体及び前記補足金属触媒間の接触を促進する固体材料の成分、並びに/又は
いずれかの前記混合機器の成分
である、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
実施形態24.
前記補足金属触媒は、固体遷移金属触媒である、実施形態23に記載の方法。
【0047】
実施形態25.
前記補足金属触媒は、固体遷移金属触媒であり、前記遷移金属の酸化状態は、最初は形式原子価0の酸化状態である、実施形態23又は実施形態24に記載の方法。
【0048】
実施形態26.
前記原子価0の金属は、原子価0の鉄及びニッケルのいずれかから選択される、実施形態25に記載の方法。
【0049】
実施形態27.
前記補足金属触媒は、前記水性溶媒から前記高分子材料の前記処理から生じる前記炭化水素製品への水素原子の移動を触媒する、実施形態23~26のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
実施形態28.
前記処理の間に前記反応混合物から固体材料を除去することを更に含み、
前記固体材料は、前記高分子材料内に存在する無機材料であり、
前記固体材料は、前記反応混合物内の流体より大きい密度を有し、前記処理の間に重力により前記反応混合物から分離し;及び
遠隔操作されるバルブによって前記処理の間に受け槽中にブローダウンすることによって前記処理を行い、前記固体材料を反応装置から除去する、
実施形態1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
実施形態29.
前記無機材料は、前記方法を行う前に前記高分子材料内に存在するフィラー若しくは混入物であり;並びに/又は
前記無機材料は、前記水性溶媒及び/若しくは前記処理の間に副反応により少量生成された炭素に富む材料と反応した、
実施形態28に記載の方法。
【0052】
実施形態30.
前記固体材料を、前記炭化水素製品の一部、ワックス、高分子オリゴマー又は部分的に脱重合された材料と共に前記受け槽中にブローダウンする、実施形態28又は実施形態29に記載の方法。
【0053】
実施形態31.
前記方法を、
前記反応装置内のバルブ調節及び減圧槽における圧力レベルを試験するためのシステム、
前記反応装置の受け槽中にブローダウンされた材料を冷却するシステム、
最終収集ポットであって、前記ポット及び内容物の偶発的な離脱を防止するため、その蓋及び相互接続されたパイプ及びバルブと連結されたブローダウンされた材料のための着脱可能な蓋を備える、最終収集ポット、
前記処理中又は前記処理後に生成されるガスを放出するためのガス抜き、
窒素、アルゴン、二酸化炭素及び/又は他の不活性ガスを含む不活性雰囲気を供給して、前記降下ポット及び収集ポット内に含まれる材料の発火及び燃焼を防止すること、
前記反応装置において機械的衝撃を最小化するためのシーケンシングシステム、
のうちのいずれか1つ以上を備える反応装置において行う、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
実施形態32.
1つ以上の熱交換器を使用して前記反応混合物を前記反応温度まで間接的に加熱し;
前記1つ以上の熱交換器は、膨張ベローズ集成装置を備えず;並びに
前記1つ以上の熱交換器は、前記水蒸気及び/又は反応混合物を間接的に加熱するために使用される水蒸気パイプ及び/又は電気発熱体内の水蒸気パイプを備える二重加熱プローブ型集成装置を備える、
実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
実施形態33.
過熱炉を利用して、前記水蒸気を前記フラッシュ槽に注入する前に前記水蒸気を加熱することを含む、実施形態10に記載の方法。
【0056】
実施形態34.
前記反応温度は、少なくとも380℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、又は少なくとも500℃である、実施形態1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
実施形態35.
前記炭化水素製品は、10℃~210℃のAEBPで沸騰するナフサ成分を含み、前記ナフサ成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、実施形態1~34のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
実施形態36.
前記炭化水素製品は、210℃~360℃のAEBPで沸騰する軽油成分を含み、前記軽油成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、実施形態1~35のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
実施形態37.
前記炭化水素製品は、360℃~550℃のAEBPで沸騰する重質軽油成分を含み、前記重質軽油成分は:
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のオレフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のn-パラフィン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%のシクロアルカン若しくはシクロアルケン;及び/又は
10質量%超、20質量%、30質量%、40質量%の芳香族化合物
を含む、実施形態1~36のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
実施形態38.
前記反応混合物を生成するために使用される前記高分子材料は、溶融高分子材料押出物であり;
前記高分子材料押出物を、前記反応混合物を生成する前に収集槽に方向転換し;
前記収集槽は不活性雰囲気を備え、前記溶融高分子材料押出物の燃焼を避け;及び
前記収集槽を、1つ以上のラインにより反応装置と接続して、各ライン上に二重バルブアイソレーションを提供して前記反応器からの前記溶融高分子材料押出物の逆流を防止する、
実施形態1~37のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
実施形態39.
温度測定システムは、前記混合機器と接続した押出装置の方に向かう前記混合機器からの逆流の警告を提供して、アイソレーションバルブの操作を可能とし、こうして前記混合機器からの逆流を防止する、実施形態14又は実施形態15に記載の方法。
【0062】
実施形態40.
前記反応装置は、連続流反応装置である、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
実施形態41.
前記処理を、連続流の条件下で行う、実施形態1~40のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
実施形態42.
前記高分子材料は:リグノセルロース物質、天然炭水化物ポリマー;リグニン;セルロース;ヘミセルロース;リグニン、セルロース、ヘミセルロースのいずれか2つの組合せ;亜炭(褐炭);亜歴青炭;これらのいずれかの組合せのうちいずれも1つ以上を含まない、実施形態1~41のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
実施形態43.
高分子材料を処理するための連続流反応装置であって、
前記高分子材料の溶融流を含む押出物を製造するための押出機と;
前記押出物に超臨界水を製造及び添加するためのボイラー装置と;
前記押出物を前記超臨界水と混合し、それにより反応混合物を生成するために構成された機械的混合機器と;
前記機械的混合機器及び間接的加熱器と連通している反応ゾーンであって、前記反応ゾーンは、規定滞留時間、規定温度及び圧において前記反応混合物を処理し、それにより流体製品流を製造するためである、反応ゾーンと;
前記流体製品流を減圧するための減圧機器であって、前記減圧機器は、前記反応ゾーン及びフラッシュ槽と連通している、減圧機器と;
前記フラッシュ槽において生成される蒸気を分離するための分留装置と、
を備える、連続流反応装置。
【0066】
実施形態44.
前記間接的加熱器は円周形でない、実施形態43に記載の連続流反応装置。
【0067】
実施形態45.
前記フラッシュ槽は、前記分留装置と直接連結しているか;又は
前記フラッシュ槽は、前記フラッシュ塔の一体部分であるか;又は
前記フラッシュ槽及び前記分留装置は、別々になった生成物冷却器である、
実施形態43又は実施形態44に記載の連続流反応装置。
【0068】
実施形態46.
前記機械的混合機器は、静止機械的混合機器である、実施形態43~45のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0069】
実施形態47.
前記超臨界水を前記高分子材料の溶融流に注入及び分布するための前記機械的混合機器又はその一部の周縁にまたがる一連のノズルを備える、実施形態43~46のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0070】
実施形態48.
前記ボイラー装置は、ガスを受けるための前記分留装置(例えば、前記分留装置中の槽)と連通しているバーナーを備える、実施形態43~47のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0071】
実施形態49.
前記ボイラー装置は、天然ガス供給源と連通しているバーナーを備える、実施形態43~48のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0072】
実施形態50.
前記反応ゾーンの1つ以上の成分は、前記反応混合物のための金属触媒供給源を含む、実施形態43~49のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0073】
実施形態51.
前記金属触媒は、固体遷移金属触媒である、実施形態50に記載の連続流反応装置。
【0074】
実施形態52.
前記反応混合物を生成する前に前記溶融高分子材料押出物を収集するように構成された収集槽を、1つ以上のラインにより前記反応装置と接続し;
前記1つ以上のラインは、各ライン上に二重バルブアイソレーションを提供し、前記反応器からの逆流を防止し;
前記収集槽は、前記押出物の燃焼を避けるために不活性雰囲気を備える、
実施形態43~51のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0075】
実施形態53.
前記反応混合物から固体材料を除去するためのブローダウンコンポーネント、及び前記固体材料のための受け槽を備える、実施形態43~52のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0076】
実施形態54.
前記高分子材料の前処理及び/又は前記反応混合物の前記処理の間に生成された固体残留物及び/又は残液を分離する手段、並びに前記固体残留物及び/又は残液を前記フラッシュ槽中の前記流体製品流と混合し、それにより前記固体残留物及び/又は残液の揮発性成分を気化させる手段を備える、実施形態43~53のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0077】
実施形態55.
前記反応混合物が流れる反応ゾーンを収容する前記反応装置中の槽に沿った複数のポイントにおいて前記反応混合物を前記規定温度まで間接的に加熱するための熱交換器と;
超臨界水蒸気発生器により生成される超臨界水蒸気を、前記熱交換器に供給する手段と、を備える、
実施形態43~54のいずれか一項に記載の連続流反応装置。
【0078】
定義
本願で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明白に他の意味が示されない限り、複数を含む。例えば、用語「触媒」は、複数の触媒も示す。
【0079】
本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味する。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの単語「含む(comprising)」の変化形は、対応する変更された意味を有する。したがって、例えば、水を「含む(comprising)」溶媒は水から排他的になる場合もよく、1つ以上の追加の成分(例えば、アルコール)を含んでもよい。
【0080】
本明細書で使用されるとき、用語「重合体」及び「高分子材料」は、プレポリマー、オリゴマー、ホモ重合体(例えば、単一のモノマー化学種から製造された)、共重合体(例えば、少なくとも2つのモノマー化学種から製造された)、三元共重合体、グラフト重合体、プラスチック、エラストマー材、ゴム材、及びこれらの混合物を包含すると理解されるだろう。いくつかの実施形態では、高分子材料は、合成的に製造される。いくつかの実施形態では、高分子材料は、炭素-炭素骨格を有する天然材、例えば、天然ゴム及びその誘導体であってよい。本明細書で使用されるとき、用語「重合体」及び「高分子材料」は、リグノセルロース物質;天然炭水化物重合体;リグニン;セルロース;ヘミセルロース;リグニン、セルロース、ヘミセルロースのいずれか2つの組合せ;亜炭(褐炭);亜歴青炭;これらのいずれかの組合せのうちいずれも特に排除すると理解されるだろう。
【0081】
本明細書で使用されるとき、用語「連続流」は、原材料(並びに、例えば、水性溶媒、試薬、触媒添加剤及び/又は油添加剤のうちいずれか1つ以上、を含む混合物を:
(a)目標温度及び圧まで加熱及び加圧、
(b)規定時間(「滞留時間」)の間にわたる、目標温度及び圧における処理、並びに
(c)冷却及び減圧
に付し、
この間に、混合物を反応槽の所与の面の長さ(又は部分的長さ)に沿って連続式流れで維持するプロセス、に言及している。本明細書で意図される「連続流」は、加熱及び加熱の開始点(すなわち、上記(a))及び冷却及び減圧の終了点(すなわち、上記(c))により規定される。本明細書で意図される連続流は、連続運動の流れで維持されるという条件で混合物の流速又は相挙動に関して特に限定されないという意味を含む。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「廃プラスチック(end of life plastic)」又は「廃プラスチック(waste plastic)」は、例えば、少なくとも0.1%,少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%の非プラスチック材料などの非プラスチック混入物の少なくともある程度の割合を含有するプラスチック材料を意味すると理解されるだろう。かかる混入物の非限定的例としては、汚れ、紙、木、食品廃棄物、土壌、農業残渣、金属、腐敗しやすい材料、鉱物質、ボール紙、植物及び動物の物質、織物又は織物の繊維が挙げられる。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「超臨界」物質(例えば、超臨界溶媒)は、物質の臨界点より高い温度及び圧において存在する物質を表す。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「未臨界」物質(例えば、未臨界溶媒)は、物質の臨界点より低い温度及び/又は圧における物質を表す。したがって、物質は、その臨界点より低い温度且つその臨界点より高い圧、その臨界点より高い温度且つその臨界点より低い圧、又はその臨界点より低い温度及び圧において「未臨界」であり得る。
【0085】
本明細書で使用されるとき、用語「水性溶媒」は、溶媒の総重量に対して少なくとも1%の水を含む溶媒を表す。したがって、「水性溶媒」は、溶媒の総重量に対して1%~100%の水を含み得る。「水性溶媒」も、その範囲「水性アルコール」、「水性エタノール」、及び「水性メタノール」内に含むと理解されるだろう。
【0086】
本明細書で使用されるとき、用語「内因性触媒」は、本発明の方法により処理された反応混合物及び/又は方法の二次処理の材料(混合機、方法を行う反応装置の槽壁を含む)の1つ以上の他の成分中に生来存在する触媒、及び/又は方法の実施中にその場で生成する触媒であると理解されるだろう。
【0087】
本明細書で使用されるとき、「補足触媒」は、触媒化合物、内因的に存在する他の反応混合物成分(すなわち、「内因性触媒」を補足する)を補足する原材料流、溶媒流及び/又は反応混合物に含まれている触媒であり、個別/独立成分として反応混合物に別々に添加されるか又は接触させる。補足触媒は、反応混合物と接触させる装置内に位置する固定された固体触媒の形態であってよい。
【0088】
本明細書で使用されるとき、用語「反応器」、「反応装置」は互換的使用され、同じ意味を有する。各用語は、例えば、連続流反応器及びバッチ式反応器を含む本発明の方法を行うのに適したいずれもの装置を包含する。本明細書で使用されるとき、記載された数値に関して使用される場合の用語「約」は、記載された数値及び記載された値±10%内の数値を含む。
【0089】
本明細書で使用されるとき、数値の範囲に関して使用される場合の用語「between」は、範囲の各端点の数値を包含する。
【0090】
本明細書中の従来技術文書のいずれもの記載、又はこれらの文書から誘導若しくはこれらの文書に基づいた本明細書中の記載は、文書又は誘導された記載が関連技術の常識の一部であると認めるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
説明の目的のため、本明細書中参照された全文書は、特に明記されない限り、その全文を参照することにより本明細書に援用される。
【0092】
本発明の好ましい実施形態を、附属の図面を参照して、ほんの一例として説明する:
図1-1】本発明の実施形態による装置のプロセスフローダイヤグラムである。
図1-2】本発明の実施形態による装置のプロセスフローダイヤグラムである。
図2】本発明の実施形態による間接的加熱器設計を示す。
図3】加圧された反応槽から固体材料を除去するための集成装置を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図4】本発明の実施形態によるフラッシュ槽に進む冷却器工程を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図5】本発明の実施形態による分留塔と結合したフラッシュ槽を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図6】本発明の実施形態による分留塔及び追加の真空蒸留ユニットを備えるフラッシュ槽を示すプロセスフローダイヤグラムを示す。
図7】本発明の実施形態によるデミスタ装置を示す。
図8】本発明の実施形態によるボイラー及び間接的加熱器構成を示す。
図9】水性溶媒(下層)から容易に分離する本発明の実施形態によるナフサ製品(上層、黄色)を示す。
図10】分留塔と結合した完全な温度フラッシュから生じる製品のシミュレーションした製品沸点分布を図示するグラフである。
図11】分留塔と結合した完全な温度フラッシュから生じる製品のシミュレーションした製品沸点分布を図示する更なるグラフである。
図12】分留塔と結合した完全な温度フラッシュから生じる製品のシミュレーションした製品沸点分布を図示する更なるグラフである。
図13】本発明の実施形態によるパイプ混合器設計を示す。
図14】本発明の実施形態による2つの静止混合器エレメントを備えるパイプ混合器設計を示す。
図15】本発明の実施形態による4つの静止混合器エレメントを備えるパイプ混合器設計を示す。
図16】バーの位置を示す本発明の実施形態によるパイプ混合器設計を示す。
図17】本発明の実施形態による2つの混合器エレメントを備えるパイプ混合器設計を示す。
図18】本発明の実施形態による4つの混合器エレメントを備えるパイプ混合器設計を示す。
図19】本発明の実施形態による溶融プラスチックの体積留分の体積均一性を示す棒グラフである。
図20】混合器のない、超臨界水を本発明の実施形態による高分子材料と混合するための構成を図示する。
図21】2つの混合器エレメントを備える、超臨界水を本発明の実施形態による高分子材料と混合するための構成を図示する。
図22】2つの混合器エレメントを備える、超臨界水と本発明の実施形態による高分子材料との混合から得られる温度プロファイル(注入点の下流)を示す。
図23】本発明の実施形態による装置のプロセスフローダイヤグラムである。
図24】本発明の実施形態による減圧及び分留システムのフローダイヤグラムである。
図25】窒素雰囲気下の総合成原油サンプルの熱重量分析法(TGA)の結果を示すグラフである。
図26】本発明の実施形態による減圧/分留システムのパーツの集成装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明は、重合体又は高分子材料を製品に変換するための方法及び装置を提供する。
【0094】
非限定的な一例として、重合体又は高分子材料を押出装置を通過させて、高温及び高圧下、押出物を超臨界水性溶媒と混合することができる混合ゾーンに押し出してよい。必要に応じて、混合物を更に加熱してもよく、脱重合及び他の化学反応が起こるのに充分な滞留時間を有する反応ゾーンを備える1つ以上の反応器に通過させてもよい。次いで、得られた製品流混合物を急速に減圧することができ、例えば分留ユニット内において、製品を少なくとも部分的に構成部分へと気化させる。初めは製品流混合物内に保持されており気化により放出される熱エネルギーの少なくとも一部を使用して、混合物を異なる沸点範囲の留分に分留することができ、かつ/又は1若しくは複数の製品から超臨界水性溶媒を分離し回収することができる。必要に応じて、分留された物質の一部を再分留のためにリサイクルしてもよい。必要に応じて、触媒又は試薬を、方法のいずれかの工程で添加してもよい。必要に応じて、固体触媒を、装置内、特に、反応器内に含有させてもよい。混合機器、特に、静止混合器を、例えば、超臨界水性溶媒の注入後、必要に応じて使用してよい。溶媒も、製品を製造する化学反応に関与し得る。化学反応で生成されるガス及び濃縮されない蒸気は発熱性であり、例えば、合目的的に設計されたボイラー内で燃焼させてプロセスに熱エネルギーを供給し並びに/又は毒性及び/若しくは環境に懸念され得る化学物質を破壊し得る。反応混合物中に難溶性である又は難溶性になる固体材料をそのより高密度によって反応混合物からプロセス中重力によって分離し、必要に応じて装置底部のバルブによってプロセスから除去することができる。
【0095】
高分子材料
本発明の方法によれば、高分子材料原材料を処理することができる。高分子材料は、例えば、プラスチックを含む可能性がある。高分子材料は、物理的リサイクル法に不適である可能性がある。高分子材料は、現在、埋め立て地又は焼却にしか適していない可能性がある。高分子材料は、廃プラスチック(ELP)である可能性がある。高分子材料(例えば、プラスチック)は、これらに限定されないが、食品廃棄物、土壌、農業残渣、金属、腐敗しやすい材料、紙、ボール紙、植物及び動物の物質、織物又は織物の繊維のうち1つ以上を含む非プラスチック材料で汚染されている可能性がある。
【0096】
本発明の方法及び装置での使用に適した高分子材料の非限定的例としては、プレポリマー、オリゴマー、ホモ重合体、共重合体、三元共重合体、グラフト重合体、プラスチック、廃プラスチック、プラスチック廃棄物、エラストマー材、ゴム材が挙げられ、混合物は、原材料に含まれ、反応器内でクラッキングに付してよい。他の非限定的例としては、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリエチレンビニルアルコール(E/VAL)、ポリメラミン-ホルムアルデヒド(MF)、ポリフェノール-ホルムアルデヒド(PF)、エポキシ樹脂、ポリアセタール(アセタール樹脂)、ポリアクリレート(アクリル樹脂)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド-イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PEAK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリカーボネート(PC)、ポリジシクロペンタジエン(PDCP)、ポリケトン(PK)、縮合重合体、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、塩素化ポリエチレン(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PTA)、ポリスルホン(PSU)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロキシアルカン(PFA)、ポリシロキサン、シリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性重合体、天然ゴム、タイヤゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエン(ニトリル)ゴム、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、フルオロシリコーンゴム、シリコーンゴム、及び炭素-炭素骨格を有する共重合体、合成高分子材料、天然高分子材料、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
制限なく、高分子材料は、炭素、水素及び酸素以外の元素の低含有量を含む可能性がある。例えば、高分子材料は、高分子材料総重量のパーセンテージとして、約5重量%未満の窒素、約1重量%未満の窒素、約0.5重量%未満の窒素、約0.1重量%未満の窒素、又は約0.01重量%未満の窒素を含む可能性がある。
【0098】
更に又はあるいは、高分子材料は、高分子材料総重量のパーセンテージとして、約5重量%未満の全ハロゲン、約1重量%未満の全ハロゲン、約0.5重量%未満の全ハロゲン、約0.1重量%未満の全ハロゲン、約0.05重量%未満の全ハロゲン、又は約0.01重量%未満の全ハロゲンを含む可能性がある。
【0099】
更に又はあるいは、高分子材料は、高い炭素に対する水素のモル比(H/C)を含んでよい。例えば、H/Cモル比は、2.15より大きい、2.0より大きい、1.8より大きい、1.6より大きい、14より大きい、1.2より大きい、1.0より大きい又は0.8より大きくてよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、高分子材料は、混合又は分類された廃プラスチックの形態であり得、場合によっては、有機及び無機不純物で汚染されている可能性がある。プラスチック廃棄物は、本発明の方法により処理される前にいくつかの前処理を必要とする可能性がある。例えば、廃プラスチックは、研磨粒子を除去するために篩い分け又はスクリーニングを必要とする可能性がある。
【0101】
作用形態を限定することなく、本発明の方法により処理される重合体を、低沸点及び低融点を有する液体にクラッキングしてよく、及び/又はこれらは直接的若しくは間接的に水素源として働く可能性があり、製品液体に組み込む。
【0102】
非限定的一例として、本発明の方法により処理された反応混合物は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも98重量%の高分子材料(原材料及び/又は反応混合物の総重量のパーセンテージとして)を含み得る。
【0103】
非限定的一例として、本発明の方法により処理された反応混合物は、98重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の高分子材料(原材料及び/又は反応混合物の総重量の割合として)を含み得る。
【0104】
非限定的一例として、本発明の方法により処理された反応混合物は、約2重量%~約70重量%、約2重量%~約60重量%、約2重量%~約50重量%、約2重量%~約40重量%、約2重量%~約30重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約70重量%、約15重量%~約60重量%、約15重量%~約50重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約30重量%の高分子材料(原材料及び/又は反応混合物の総重量の割合として)を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、押出機及び/又は反応混合物に供給された原材料高分子材料は、乾燥基準(db)で、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のポリエチレンを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、押出機及び/又は反応混合物に供給された原材料高分子材料は、乾燥基準(db)で、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のポリプロピレンを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、押出機及び/又は反応混合物に供給された原材料高分子材料は、乾燥基準(db)で、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のポリスチレンを含む。
【0108】
非限定的一例として、本発明の方法に適した高分子材料は、ISO1133-1-2011プラスチック-メルトマスフローレイト(MFR)の決定に従って測定されるとき、0.05g/10分~20g/10分、又は0.1g/10分~10g/10分、又は0.01g/10分~5g/10分のメルトマスフローレイト(MFR)を有してよい。
【0109】
溶媒成分
本発明の方法により使用するための反応混合物は、例えば、水性溶媒などの溶媒を含んでよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、水性溶媒は、反応混合物の総重量の割合として、5重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、又は95重量%超の水を含む。いくつかの実施形態では、水性溶媒は、10重量%未満、20重量%未満、30重量%未満、40重量%未満、50重量%未満、60重量%未満、70重量%未満、80重量%未満、90重量%未満、又は95重量%未満の水(反応混合物の総重量のパーセンテージとして)を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明の水性溶媒において使用される水は、方法により前に処理された高分子材料を含む原材料の製品からリサイクルしてよい。例えば、所与の反応混合物の処理後に存在する一部の水を副流として取り出し、方法にリサイクルしてよい(押出高分子材料と接触された超臨界溶媒の分離流の一部又は全部として)。
【0112】
溶媒は、1つ以上の水性アルコールを含んでもよく、又はから成ってよい。適切なアルコールの非限定的例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキサノール、iso-ヘキサノール、及びそのいずれかの組合せが挙げられる。ほんの非限定的一例として、溶媒は、反応混合物の総重量の割合として、5重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、又は95重量%超のアルコールを含んでよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、10重量%未満、20重量%未満、30重量%未満、40重量%未満、50重量%未満、60重量%未満、70重量%未満、80重量%未満、90重量%未満、又は95重量%未満のアルコール(反応混合物の総重量のパーセンテージとして)を含んでよい。
【0113】
高分子材料の前処理
必要に応じて必要であり、必ずしも必要ではないが、高分子材料を、これに限定されないが、押出機において押出を行う前を含む、本発明による反応混合物を含有する前に前処理してよい。例えば、容易に押出する状態の材料を製造するため、混入物を除去するため、及び/又は特定の重合体を処理するように制御するため、この前処理を行ってよい。
【0114】
高分子材料の前処理は、物理的方法を含んでよく、この非限定的例としては、粉砕、ペレット化、顆粒化、フレーク化、粉化、破砕、ミル粉砕(例えば、振動ボールミル粉砕)、圧縮/発泡、撹拌、密度分離、洗浄、空気分級、ろ過、乾燥及び/又はパルス電場(PEF)処理が挙げられる。高分子材料は、例えば、シュレッダー、スクリーン及び/又は篩、金属を除去するための磁流及び過電流分離機、ドライクリーニング技術及び/又は、例えば、ポリ塩化ビニル及び他の塩素化若しくはハロゲン化重合体及び金属を除去するための光学的、赤外線、若しくは紫外線誘導選別を用いて前処理してよい。
【0115】
前処理プロセスは、湿式でもよく(すなわち、水又は別の溶媒を用いた洗浄を含む)、乾式でもよい。前処理としては、ガラスを除去するためのエアセパレーター、金属を除去するための磁流及び過電流分離機、食品廃棄物及び紙を除去するための乾式若しくは湿式洗浄、廃熱を用いたプラスチック乾燥並びに/又は、例えば、例えば、ポリ塩化ビニル及び他の塩素化若しくはハロゲン化重合体を除去するための光学的、赤外線、若しくは紫外線誘導選別を挙げることができる。本発明の特定の態様に不適である高分子材料の他の種類も、当技術分野で公知の選別技術によって除去してよい。除去してよい重合体の非限定的例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリアミドである。
【0116】
更に又はあるいは、高分子材料の前処理は、物理化学的方法を含んでよく、この非限定的例としては、熱分解、水蒸気爆発、アンモニア繊維破砕(AFEX)、アンモニア循環浸出(ARP)、及び/又は二酸化炭素爆発が挙げられる。例えば、水蒸気爆発は、高分子材料を含有環境において高圧水蒸気に爆発した後、得られた生成物を大気圧に爆発的に排出することを含む。水蒸気爆発を含む前処理は、高分子材料の撹拌を更に含み得る。
【0117】
更に又はあるいは、高分子材料の前処理は化学的方法を含んでよく、この非限定的例としては、オゾン分解、酸加水分解(例えば、HSO及び/又はHClを用いた希酸加水分解)、アルカリ性加水分解(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び/又は水酸化アンモニウムを用いた希アルカリ性加水分解)、並びに/又は酸化処理が挙げられる。
【0118】
高分子材料の押出
本発明の方法により処理された高分子材料を、主要な反応混合物を生成する前に押出に付してよい。高分子材料の押出を適切な押出機で行ってよく、この非限定的例としては、一軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機(例えば、二軸スクリュー押出機)、噛合スクリュー押出機、及びロール型押出プレスが挙げられる。多軸スクリュー押出機は、異方向でもよく、同方向でもよい。押出機は、ニーディングディスク及び/又は溶融物を混合若しくは分散するための他のスクリューエレメントを備えてよい。
【0119】
適切な押出機は、通常、約1メートル長~約50メートル長であり得、詳細には、押出機ガス抜きを備える又は備えない、一軸押出機工程又は多軸押出機工程のいずれかとして起こるプラスチックを成形し圧を上昇させて廃プラスチックを処理するために設計されていてよい。
【0120】
非限定的な一例として、高分子材料を加熱するために押出機が必要とするエネルギーを、押出機における材料の摩擦及び/若しくはせん断、並びに/又は加熱エレメントによって供給することができる。押出機は、1系列又は多系列の加熱ゾーンを備えてもよい。
【0121】
押出機において、高分子材料を、材料が溶融及び流動するのに充分な温度まで加熱してよい。例えば、押出機において、高分子材料を、50℃超まで、75℃超まで、100℃超まで、150℃超まで、200℃超まで、250℃超まで、300℃超まで、350℃超まで、又は400℃超まで加熱してよい。したがって、押出機において、高分子材料を、例えば、約250℃~約350℃まで、約275℃~約375℃まで、約300℃~約400℃まで、約50℃~約350℃まで、約50℃~約300℃まで、約50℃~約200℃まで、約50℃~約150℃まで、約80℃~約300℃まで、約80℃~約200℃まで、又は約80℃~約150℃まで加熱してよい。
【0122】
押出機における高分子原材料の滞留時間は、例えば、約30秒~約20分、約2分~約6分、又は約3分~約5分であってよい。
【0123】
押出機に、高分子材料を押出機に印加するために適切な供給機器(例えば、ホッパー、圧縮機、カッター圧縮機)を装着してもよい。
【0124】
更に又はあるいは、押出機に、背圧の発生を促進するためのダイを装着してもよい。
【0125】
高分子材料の溶融流は、所望の温度及び圧で押出機を出てよい。例えば、押出機を出る材料の流れは、約150℃~約400℃の温度且つ約200bar(2.00×10Pa)~350bar(3.50×10Pa)の圧;約250℃~約350℃の温度且つ約250bar(2.50×10Pa)~350bar(3.50×10Pa)の圧;又は約220℃~約280℃の温度且つ約200bar(2.00×10Pa)~350bar(3.50×10Pa)の圧であってよい。
【0126】
高分子材料と水性溶媒との混合
本発明によれば、高分子材料(例えば、高分子材料を含む又はからなる押出物)を溶媒(例えば、水性溶媒)と混合して反応混合物を生成してよい。溶媒は、高分子材料と接触する前に、加熱及び/又は加圧されていてよい。いずれかの適切な手段を用いて、溶媒を加熱及び/又は加圧してよい。
【0127】
例えば、本発明の方法で使用される水性溶媒は、押出高分子材料との接触前及び接触時に、未臨界状態又は超臨界状態であり得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、水性溶媒は、水又は水蒸気(例えば、超臨界水、過加熱水蒸気、又は未臨界水)である。
【0129】
超臨界水性溶媒を押出高分子材料と接触させることは、水性溶媒において超臨界相を未臨界相にし得る(すなわち、溶媒の温度及び/又は圧がその臨界点を下回るとき、超臨界状態に至らせる)。相変化は、エネルギー放出を引き起こすことができ、次に、水性溶媒を押出高分子材料と上手く混合するのを助けることができる。
【0130】
あるいは、超臨界水性溶媒と押出高分子材料との接触は、水性溶媒において超臨界相を未臨界相にしないかも知れない。
【0131】
ほんの非限定的一例として、水性溶媒は超臨界(例えば、超臨界水)であってよく、押出高分子材料と接触している時間において、約375℃~約800℃、約375℃~約600℃、約375℃~約550℃、約375℃~約500℃、又は約375℃~約450℃の温度であってよい
【0132】
独立して加熱/加圧溶媒(例えば、水などの水性溶媒)と本発明の方法による押出高分子材料との混合は、例えば、(i)独立して加熱/加圧水性溶媒の当量を用いた前述の押出プロセスに付していない高分子材料の当量を混合することによって;及び/又は(ii)水性溶媒の当量を用いた前述の押出プロセスに付していない高分子材料の当量を混合して、この混合物を同レベルまで加熱/加圧することによって、達成できるより高濃度の押出高分子材料を含む反応混合物を生成する手段を提供し得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、例えば、水などの水性超臨界溶媒を含む超臨界溶媒を、押出機から出るポイント及び/又は例えば、反応器(例えば、水熱反応器、連続流水熱反応器)の静止混合槽又は反応ゾーンを含む別の装置又はそのコンポーネントに押出機を接続する槽の長さに沿った複数の注入ポイントにおいて高分子材料押出物に適用してよい。かかる集成装置を使用して、高分子材料押出物の更なる混合を促進し及び/又は押出物を高温に維持し得る。
【0134】
混合
押出物を水性溶媒と最初に接触させた後、押出物及び水性溶媒の混合を、必要に応じて、静止混合機器を用いることによって改善してよい。
【0135】
したがって、本明細書に記載されている方法は:高温溶媒の密接な接触により高分子材料の急速加熱を促進し、並びに/又は改良された流動特性により全体的システム圧損失を低減し、並びに/又は押出機を通過した材料により遮断されない広いチャネルを備え、並びに/又はノズルの設計及び溶媒分布システムによりパイプ壁において高応力を避け、並びに/又は触媒材料選択により脱重合反応の開始を促進し得る。加えて又はあるいは、設置は、高分子材料の凝固を避けるための僅かな加熱を含んでよい。
【0136】
加圧及び加熱
本発明による高分子材料(例えば、高分子材料の押出物)及び溶媒(例えば、水などの水性溶媒)を含む反応混合物を、当技術分野において公知の手段を用いて加熱及び加圧してよい。
【0137】
例えば、本発明による装置内の加圧を、押出高分子材料と接触させる前に水性溶媒を加圧するために使用される押出機及び/又はポンプにより起こしてよい。連続流システムでは、概して、押出機及び/又はポンプを横切るためにかかる時間の間に(すなわち、ほぼ瞬時)、大気圧から目的の圧まで圧は変化するだろう。
【0138】
いくつかの実施形態では、反応混合物を、約30秒~約30分の時間で目標温度及び/又は圧にし得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、反応混合物を、約15分未満、約10分未満、約5分未満、又は約2分未満の時間で目標温度及び/又は圧力にし得る。
【0140】
特定の実施形態では、反応混合物を、実質的に瞬時に又は約30秒~約30分の時間にわたって目標圧力にし得、且つ約20分未満、約10分未満、又は約5分未満、2分未満で目標温度にし得る。
【0141】
他の実施形態では、反応混合物を、実質的に瞬時に目標圧力にし得、且つ約2分未満で目標温度にし得る。他の実施形態では、反応混合物を、実質的に瞬時に目標圧力にし得、且つ約1分~約2分、又は20秒未満で目標温度にし得る。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態では、反応混合物を、必要に応じて、溶媒(例えば、超臨界水性溶媒)との混合後1つ以上の間接的加熱器を用いて更に加熱してよい。間接的加熱器は、例えば、更に10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、120℃より高く又は約更に150℃、130℃、110℃、90℃、70℃、50℃未満反応混合物の温度を上昇させ得る。間接的加熱は、約380℃から約450℃まで又は約400℃から約460℃まで反応混合物の平均温度を増加し得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、間接的加熱器は円周形でない。
【0144】
いくつかの実施形態では、間接的加熱器は、プロセスボイラーからの過加熱水蒸気又は超臨界水を用いて反応混合物に熱エネルギーを供給する。図2は、かかる加熱器設計の一例を示す。限定されることなく、この設計の利点として、水蒸気をプロセスガスの燃焼から容易に製造することができること、及び入ってくる水蒸気温度を容易に制御することができ、それにより、プラスチック混合物の過剰炭化を引き起こす金属温度上昇過大を避けることが挙げられる。プロセスに最終的に供給される水蒸気を用いることによって、各加熱器エレメントにわたる圧力降下は最小であり、いずれの内管リークもプロセスへの小さい水蒸気流になるだろう。
【0145】
いくつかの実施形態では、反応混合物の更なる間接的加熱は、電気加熱エレメント、及び/又は流体熱交換器及び/又は、例えば、熱量調整用ガスの燃焼により加熱されたイルメナイトの流動床によるものであってよい。いくつかの実施形態では、加熱エレメントは円周形でない。いくつかの実施形態では、かかる熱量調整用ガスは、プロセスガス及び高分子材料の脱重合により生成された蒸気を含み得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、電気加熱エレメントは円周形でない。
【0147】
反応パラメータ
独立して加熱/加圧された水性溶媒を押出高分子材料と混合した後、そのように製造した反応混合物を、必要に応じて、更に加熱及び/又は加圧して所望の温度及び/又は圧レベルの達成及び/又は維持することができる。
【0148】
例えば、反応混合物を、反応器(例えば、水熱反応器、連続流水熱反応器)に供給してよく、この反応器において、高分子材料を所定時間所定レベルの温度及び圧に付して、変換前の高分子材料より低い平均分子量の1又は複数の炭化水素製品への変換を、促進する。
【0149】
したがって、本発明の方法によれば、押出高分子材料及び水性溶媒を含む反応混合物を、規定時間(「保持時間」又は「滞留時間」)の間、目標温度(又は目標温度範囲内)及び目標圧力(又は目標圧力範囲内)で処理して製品を製造してよい。
【0150】
平均滞留時間又は保持時間を、押出物及び/又は水性溶媒の流速により決定又は測定又は制限してよい。
【0151】
所与の反応混合物のための最適反応温度及び/又は圧力は、利用される温度及び/又は圧力並びに製品の収率及び/又は品質の分析によってのみ異なる一連の反応を準備及び実行することによって当業者が容易に決定し得る。
【0152】
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される水性溶媒を、反応器内での処理の間に、その臨界温度を超えて及び/又はその臨界圧を超えて(すなわち、溶媒の「臨界点」を超えて)加熱及び加圧してよい。したがって、溶媒は、水性溶媒の「臨界点」を超えて加熱及び加圧する場合、「超臨界」水性溶媒であってよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明の方法により処理される押出高分子材料を含む反応混合物における水性溶媒(例えば、水)を、その臨界温度及び圧より高い(すなわち、水性溶媒の「臨界点」より高い)レベルまで加熱及び加圧してよい。したがって、混合物は、方法を実施する場合、「超臨界」水性溶媒を含んでよい。
【0154】
他の実施形態では、本発明の方法により処理される押出高分子材料を含む反応混合物における水性溶媒(例えば、水又は過加熱水蒸気)を、その臨界温度及び圧より低い(すなわち、水性溶媒の「臨界点」より低い)レベルまで加熱及び加圧してよい。したがって、混合物は、方法を実施する場合、「未臨界」水性溶媒を含んでよい。例えば、「未臨界」溶媒を、溶媒の「臨界点」に接近するレベルまで(例えば、臨界温度より約10℃~約50℃低い及び/又はその臨界圧より10bar(1.0×10Pa)~50bar(5.0×10Pa)低い)加熱及び/又は加圧してよい。
【0155】
更に他の実施形態では、本発明の方法により処理される押出高分子材料を含む反応混合物における水性溶媒(例えば、水)を、その臨界温度及び圧より高い及び低い両方のレベルまで加熱及び加圧してよい(すなわち、異なる時間において溶媒の「臨界点」より高い及び低い両方まで加熱及び/又は加圧する)。したがって、混合物の水性溶媒は、方法を実施する場合、「未臨界」及び「超臨界」状態間を変動してよい。
【0156】
特定の実施形態では、押出高分子材料、水性溶媒(例えば、水)、及び必要に応じて:(i)補足触媒、及び/又は(ii)油(これらのどれも高分子原材料、水性溶媒、又は処理を行う反応装置の壁から誘導されず、これらのうちどれも反応混合物の製造及び/又は処理中その場で生成される生成物でない)のいずれかの1つ以上を含む反応混合物の処理を:370℃超の温度且つ20bar(2.0×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ40bar(4.0×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ60bar(6.0×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ80bar(8.0×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ100bar(1.00×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ120bar(1.20×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ140bar(1.40×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ160bar(1.60×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ180bar(1.80×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ200bar(2.00×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ220bar(2.20×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ240bar(2.40×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ260bar(2.60×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ280bar(2.80×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ300bar(3.00×10Pa)超の圧;370℃超の温度且つ350bar(3.50×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ20bar(2.0×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ40bar(4.0×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ60bar(6.0×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ80bar(8.0×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ100bar(1.00×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ120bar(1.20×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ140bar(1.40×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ160bar(1.60×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ180bar(1.80×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ200bar(2.00×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ220bar(2.20×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ240bar(2.40×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ260bar(2.60×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ280bar(2.80×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ300bar(3.00×10Pa)超の圧;400℃超の温度且つ350bar(3.50×10Pa)超の圧;374℃超の温度且つ221bar(2.21×10Pa)超の圧;375℃超の温度且つ225bar(2.25×10Pa)超の圧;370℃~550℃の温度且つ20bar(2.0×10Pa)~400bar(4.00×10Pa)の圧;374℃~500℃の温度且つ221bar(2.21×10Pa)~400bar(4.00×10Pa)の圧;374℃~550℃の温度且つ221bar(2.21×10Pa)~400bar(4.00×10Pa)の圧;375℃~550℃の温度且つ221bar(2.21×10Pa)~400bar(4.00×10Pa)の圧;375℃~550℃の温度且つ221bar(2.21×10Pa)~400bar(4.00×10Pa)の圧において行ってよい。
【0157】
特定の実施形態では、本発明の方法を用いた押出高分子材料及び水性溶媒(例えば、水)を含む混合物の処理を:400℃~550℃の温度且つ100bar(1.00×10Pa)~300bar(3.00×10Pa)の圧において行ってよい。
【0158】
特定の実施形態では、反応混合物を、370℃~500℃、370℃~480℃、374℃~500℃、380℃~500℃、380℃~450℃、400℃~480℃、440℃~480℃の温度において処理してよく;圧は100bar(1.00×10Pa)超であってよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、反応混合物を、約350℃より高い、約360℃より高い、約370℃より高い、約380℃より高い、約390℃より高い、約400℃より高い、約410℃より高い、約420℃より高い、約430℃より高い、約440℃より高い、約450℃より高い、約460℃より高い、約470℃より高い、又は約480℃より高い温度において処理してよい。いくつかの実施形態では、反応混合物を、この段落で言及された温度のいずれか1つ且つ約180bar(1.80×10Pa)より高い、約200bar(2.00×10Pa)より高い、約220bar(2.20×10Pa)より高い、約240bar(2.40×10Pa)より高い、約260bar(2.60×10Pa)より高い、約280bar(2.80×10Pa)より高い、約300bar(3.00×10Pa)より高い、又は約320bar(3.20×10Pa)より高い圧において処理する。
【0160】
特定の実施形態では、高分子材料溶融流/押出物、超臨界水性溶媒、及び/又は反応混合物のpHは、例えば、塩基の添加によって、6より高い、7「より高い、8より高い、9より高い、10より高い又は11より高いpHを維持してよい。これは、方法中、アルカン、特に、1-アルカンの酸触媒異性化及び/又は水和反応を最小化する働きをし得る。pHを、製品流の減圧後に測定してよい。pHを、製品流を100℃未満の温度まで冷却後に測定してよい。
【0161】
保持時間
製品を得るための高分子材料(例えば、高分子材料の押出物)及び溶媒(例えば、水性溶媒)を含む本発明の反応混合物を目標温度及び圧において処理してよい特定の時間(すなわち、「保持時間」)は、例えば、処理下の高分子材料の種類及び反応混合物中の成分の相対的比率若しくは種類(例えば、水性溶媒、添加剤触媒、及び/又は他の添加剤成分)、及び/又は方法を実施する装置の種類を含む多数の異なる因子に依存する可能性がある。これら及び他の因子を、特定の製品の収率を最大化及び/又は処理時間を短縮するための所与の方法を最適化するように変更してよい。好ましくは、保持時間は、原材料として使用される実質的に全ての高分子材料を炭化水素製品に変換するのに充分である。
【0162】
特定の実施形態では、保持時間は、約60分未満、45分、30分、25分、20分、15分、10分又は約5分未満である。特定の実施形態では、保持時間は、約60分超、45分、30分、25分、20分、15分、10分又は約5分超である。他の実施形態では、保持時間は、約1分~約60分である。更なる実施期間では、保持時間は、約5分~約45分、約5分~約35分、約10分~約35分、又は約15分~約30分である。更なる実施形態では、保持時間は、約20分~約30分である。
【0163】
本明細書に記載されている反応条件の所与のセットのための最適保持時間を、保持時間によってのみ異なる一連の反応を準備及び実行すること、並びに生成された改良製品の収率及び/又は品質を分析することによって当業者が容易に決定し得る。
【0164】
平均滞留時間又は保持時間を、押出物及び/又は水性溶媒の流速により決定又は測定又は制限してよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、反応温度において高分子材料から誘導された水+油の理想的混合物の密度を用いて流体のプラグ流れを仮定して算出された反応器内の保持時間は、約30秒、約1分、約2分、約5分、5分~10分、10分~20分、20分~30分、30分~40分、40分超、又は約60分未満である。
【0166】
固体の除去
本発明の1つの非限定的利点は、反応温度及び圧において固体である材料をプロセス流から除去するための手段を提供することができることである。限定されることなく、固体は、フィラー、レオロジー調整剤及び同様のものなど、高分子原材料内に含まれる鉱物質であり得る。固体は、灰分であり得る。固体は、例えば、ガラス、小石、金属粒子、又は金属箔片などの原材料中の混入物であり得る。固体は、方法における化学反応中に生成された炭素含有物質であり得る。固体は、概して、反応温度及び圧においてプロセス流体より高密度を有し、(縦型反応器において)固体粒子は、重力下で、粒子沈降速度が流動速度より大きい条件下で沈降するだろう。
【0167】
非限定的一例として、本発明者らは、2700kg/mの物質密度(例えば、炭酸カルシウム)及び約20ミクロンより大きい径を有する粒子は、約450℃及び約200bar(2.00×10Pa)において本明細書に記載されている方法に付し、約40質量%の水を含む約60質量%ポリオレフィンプラスチック供給材料を用いた場合、約2.5mm/秒の沈降速度を有する。
【0168】
反応流体の上向き流速は、例えば、底部から供給される縦型反応器管中1~1000mm/秒の範囲であってよい。約10又は20又は50ミクロン径より大きい径、約1000kg/mより大きい密度の粒子は、方法の条件下縦型反応器において沈降すると予想され、上向き流速及び流れ様式の性質(例えば、乱流又は層流条件)に依存する。(縦型)反応器の下方部分に沈降する固体粒子は、必要に応じて、周期的又は間欠的であり得、制御された方法で要求に応じて、槽底部においてブローダウンバルブの短時間操作によって反応器底部から排出してよい。
【0169】
固体除去システムの1つの非限定的操作を示す単純化したダイヤグラムを図3に示す。図3に示されているスキームでは、システム設計は、反応器の減圧を防止し、除去しようとする量を定量する手段を提供するために、密封加圧キャッチポットに規定量を排出することである。次いで、密封ポットは、通気系統に圧抜きし、それから、更なる処理のために不活性ガスで不活性化された最終ポットに出して空にする。目的は、除去された固体に伴う炭化水素油が、例えば、空気中その自然発火温度より高い場合に着火しないように防ぐことである。例えば、最終ポットは、蓋を有する金属スキップであってよい。キャッチポット上のインターロックを、シークエンスの一部として弁の完全性を試験するように設計してよい。キャッチポットは、減圧される場合にのみ、最終ポットに流入するだろう。かかる設計のいくつかの実施形態では、全てのドレインはダブルアイソレーションを有し、これは各反応器の底部においてパイプ上のアイソレーションバルブ、加えてキャッチポット及び最終ポットの前に共通のアイソレーションバルブを有することによって達成されるだろう。通常運転では、反応器の内容物は、製品油の自然発火温度より高いだろう。加えて、蒸気の相当量は放出される可能性がある-下流系を、適用可能リスクを軽減するように設計する。固体を除去するこの方法を用いないで、減圧バルブを備える下流装置は、急速なファウリングをもたらし得、プラントの運転を非経済的にする頻度における洗浄操作を必要とする。必要に応じて、この方法で除去される固体を、製品の分留からの残渣と混合し、ビチューメン及びアスファルトのブレンドストック又は添加物として使用してよい。必要に応じて、この方法で除去される固体を、更に精製して、当技術分野において公知の手段によって金属を回収してよい。
【0170】
減圧及び分留
本発明の実施形態によれば、反応混合物を、反応温度におけるフラッシュ減圧の手段によって減圧することができる製品流に変換してよい。フラッシュ減圧は、熱回収の形態を構成してよく、例えば、フラッシュ減圧ユニットと直接接続された蒸留塔を用いて、減圧中に放出される熱エネルギーを使用して製品を少なくとも2つの異なる沸点範囲に分留してよい。さもなければ、分留プロセスは、例えば、真空蒸留ユニットにおいて真空下で後に製品流を加熱することを必要とし、エネルギーインプットを必要とするだろう。
【0171】
特定の実施形態では、反応混合物を、少なくとも350℃、375℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃又は少なくとも460℃の温度及び200bar(2.00×10Pa)、220bar(2.20×10Pa)、240bar(2.40×10Pa)、260bar(2.60×10Pa)、280bar(2.80×10Pa)、300bar(3.00×10Pa)の絶対圧から25bar(2.5×10Pa)未満、20bar(2.0×10Pa)、15bar(1.5×10Pa)、10bar(1.0×10Pa)、8bar(8×10Pa)、6bar(6×10Pa)、4bar(4×10Pa)、2bar(2×10Pa)、1.5bar(1.5×10Pa)、1.2bar(1.2×10Pa)の絶対圧までフラッシュ減圧してよい。
【0172】
特定の実施形態では、フラッシュ減圧を、1つ以上のバルブを用いて調節してよい。
【0173】
本発明では、減圧流を、減圧-分留槽又は流れを少なくとも3沸点範囲の留分+ガス流及び/又は蒸気流に分留する槽に誘導する。それにより、プロセス流体におけるエネルギーの一部が使用され、製品流を製品留分、例えば、ガス/蒸気、ナフサ、中間留分又は軽油、重質軽油、重質ワックス残渣に分留する。
【0174】
特定の実施形態では、減圧-分留装置は、図4に例示されているように直列にフラッシュ槽及び2つ以上の冷却器を備えてよい。2つの冷却器を使用する場合、第一冷却器を使用して、約200℃~400℃AEBPの範囲、又は450℃又は500℃AEBPで沸騰する流出物を冷却してよく、第二冷却器を使用して、約20℃~200℃AEBPの範囲で沸騰する流出物を冷却してよく、約400℃又は450℃又は500℃AEBPより高い沸点を有する留分をフラッシュ槽の底部に保持し、周期的又は連続的に貯蔵槽に排出してよい。水を、デカンテーションによって第二冷却器のアウトプットから分離してよく、水はより高濃度となり液体製品と混和する。
【0175】
特定の実施形態では、減圧-分留装置は、図5に例示されているように直列にフラッシュ槽及び分留塔を備える。特定の実施形態では、分留塔を備える槽も、フラッシュ槽の機能を果たし得る(すなわち、分留塔はそれ自体フラッシュ槽である)。分留塔を使用して、製品留分を少なくとも3つの沸点範囲に分離してよい。沸点範囲は、例えば、約20℃~約200℃AEBP、約200℃~約360℃AEBP、約360℃~約400℃AEBP、約360℃~約450℃AEBP、又は約360℃~約500℃AEBPであってよい。一次冷却器により凝縮されないガス及び蒸気を、ボイラー及び/又は燃焼するためのフレアに誘導してよい。水を、分離機を用いて最も低い沸点の液体留分(例えば、約20℃~約200℃AEBPの沸点を有する留分)又は他の液体留分から分離してよい。分離機は、例えば、重力プレートセパレータ、API分離機、静電式分離機であってよい。あるいは又は加えて、分離機を、高重力分離機、例えば、遠心機、デカンター遠心機、又はハイドロサイクロンであってよい。約500℃AEBPより高い沸点の留分を、フラッシュ槽底部に保持し、周期的又は連続的に貯蔵槽に排出してよい。
【0176】
特定の実施形態では、水蒸気又は過加熱水蒸気又は超臨界水を、液体製品の分留を促進するために減圧槽に更に導入してよい。
【0177】
加熱/加圧及び冷却/減圧並びに分留の方法を、連続流システムで行うことができる(「連続流」と題した下記項目参照)。
【0178】
分留塔は、凝縮された液体製品を分離するための蒸留トレイを備えてよい。
【0179】
分留塔は、製品流を異なる沸点範囲に分留し得る。本明細書に記載されているように、沸点は、特に明記されない限り、大気圧相当沸点(AEBP)を意味すると理解されるだろう。例えば、分留塔は沸点範囲により、製品流を約70℃~約210℃AEBPの沸点のナフサ留分及び約210℃~約360℃AEBPAEBPの沸点の軽油留分留出物及び約360℃~約400℃AEBP、約360℃~約450℃AEBP、又は360℃~約500℃AEBPの沸点の重質軽油留分に分離してよい。軽油及び重質軽油留分は、25℃において全体的又は部分的にワックス状固体であり得る。塔内で凝縮されないガス及び蒸気は、底沸点油(ナフサ留分)を凝縮し得る冷却器を通過してよい。ナフサ留分及び他の凝縮留分を、分留塔に全体的又は部分的にリサイクルしてよい。冷却器を通過するガス及び蒸気をボイラーに誘導してよく、ボイラーでは、必要に応じて天然ガスなどの追加燃料ガスを追加してガスが燃焼して超臨界水性溶媒を生成してよい。燃焼はガスからエネルギーを回収し得、燃焼プロセスにおいて環境に懸念されるいずれもの化合物を破壊することができる。必要に応じて、ガス及び蒸気の一部又は全部をフレアに誘導してよい。フレアは、密閉フレアであってよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、例えば、>500℃の沸点を有する製品流の蒸留できない部分(重質ワックス残渣)を、減圧槽(分留塔の底部に位置する)の底部から連続的又は間欠的に除去してよい。
【0181】
分留塔を、製品留分の所望の沸点範囲を提供する場において公知の方法で運転してよいことは、当業者に明白であろう。
【0182】
いくつかの実施形態では、フラッシュ槽及び/又は分留塔からの非蒸留残留物を、真空蒸留ユニットにおいて必要に応じて蒸留して、図6に示されている真空軽油留分及び重質残留物を得てよい。VGO留分の沸点範囲は、例えば、360℃~650℃AEBPであってよい。
【0183】
本発明のいくつかの実施形態では、フラッシュ塔の下部はデミスタであり得る。特に限定なく、非常に高い圧からほとんど大気圧まで減圧された後のフラッシュ塔に入る混合物は、主に、エアロゾルを含む高沸点炭化水素の液滴を含む気相であってよい。したがって、フラッシュ塔の最下部の設計はデミスタの機能を果たし、ガス混合物から鋼沸点炭化水素液滴を分離する。
【0184】
塔に入ると、製品ガス流を、仕切り板により強制的に急旋回させ、ガスが戻る間に、液滴の運動量は、液滴が凝集してフラッシュ塔の底部に液体として下方に流れる仕切り板に影響を与えることを意味する。方法に適した装置の非限定的例を、図7に示す。
【0185】
フラッシュ塔底部は、塔のその部分内の非常に低い上方速度を確保するのに充分に大きい径を有してよい。塔底部における径を、気相により運搬される最大液滴が約50ミクロン径又は約40ミクロン径又は約30ミクロン径又は約20ミクロン径又は約10ミクロン径又は約5ミクロン径になるように選択してよい。おおよそこの径より大きい液滴は上方に輸送されないかも知れず、塔底部において液体残留物に降下する。
【0186】
プロセスガスの燃焼
本発明のいくつかの態様では、本明細書に記載されている方法のガス生成物(凝縮されない蒸気を含む)を燃焼して、例えば超臨界流体ボイラーにおいて、超臨界水性溶媒の生成のためのエネルギーを得てよい。超臨界流体ボイラーを、環境に懸念される汚染物質の量を破壊する温度でプロセスガスを燃焼する目的のために特に設計してよい。かかる汚染物質としては、例えば、硫化物、ハロアルカン、ハロ芳香族炭化水素、ハロアルケン、及び/又はポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシンを挙げることができる。
【0187】
上記化学種の破壊を保証するため、燃焼ガスを、過剰酸素の存在下850℃以上の温度において2秒を超える滞留時間保持しなければならないことは、当技術分野において公知であり、特定の権威(例えば、UK、EU、欧州産業排出指令)における環境規制に定められている。
【0188】
本発明のいくつかの実施形態では、空気及びボイラー排ガスからのリサイクル燃焼排ガスに加えてプロセスガスを、第二チャンバー、例えば、非冷却耐火性ライニングチャンバー内で燃焼してよく、該チャンバーは、850℃超の燃焼排ガスと共に2秒の滞留時間を得るのに充分に大きい。耐火物は、バーナー火炎に近い酸化還元性雰囲気サイクルの厳しい腐食性の可能性がある環境からボイラーの金属を切り離し得る。酸化条件及び還元条件間のサイクルは、鋼の塩化物腐食速度を増大することが当技術分野において知られている。リサイクル燃焼排ガスを使用して、チャンバーの過加熱を避け、窒素酸化物(NOx排出)の産出を最小化することができる。これは、燃焼排ガスがボイラー管の列に提示される場合、より低い金属温度(したがって低腐食速度)もまたもたらし得る。必要な体積を得るため、特注ボイラー設計は、ボイラー壁に影響を与えないでバーナー火炎を完了させるのに充分長い非冷却水平耐火ライニング部を備える。次いで、より大きい縦型に配置されたボイラー部がある。必要に応じて又は加えて、このシステムを、NOxを制御するための選択的接触還元システムと組み合わせてよく、プラントはガス燃焼ボイラーに適用可能な厳格なエミッション限度値を達成することができることを意味する。
【0189】
プロセスガス及び蒸気及び/又は天然ガス又は他の熱量調整用ガスを燃焼及び本発明の方法による反応混合物に熱エネルギーを供給する手段のための適切なボイラー間接的加熱器構成の非限定的例を、図8に示す。ここで、高分子材料の脱重合からのプロセスガス及び蒸気並びに必要に応じて他の熱量調整用ガスを、バーナーを用いて燃焼する。高温燃焼生成物を、850℃の最小温度において最小2秒の滞留時間、耐火性ライニングチャンバー内に保持する。高温ガスは、プロセスガスをゆっくり冷却する水壁耐火性ライニング箱型炉内の管中の加圧水性溶媒を加熱する。これにより、水性溶媒を、374℃を超え約600℃未満の温度まで加熱し、これにより、超臨界水性溶媒流を生成する。超臨界水性溶媒を混合機に供給し、高分子原材料と混合し、必要に応じて又は加えて1つ以上の間接的加熱器に供給して反応混合物を更に加熱する。水蒸気が間接的加熱器を通過すると、冷たい水蒸気はボイラーに戻り再加熱される。水蒸気はボイラーの第二通路内に位置する対流熱移送管を通過し、ボイラーからの高温ガスは水蒸気を過熱する。ひとたび再加熱すると、もう一度再加熱される前に、間接的加熱器の次の対内で水蒸気を再度使用する。多くの再加熱相を使用して、高分子材料+水性溶媒混合物、例えば、4相に必要な熱伝達を得ることができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、間接的加熱器への水蒸気供給は、より低圧力、例えば、2bar(2×10Pa)、5bar(5×10Pa)、10bar(1.0×10Pa)若しくは20bar(2.0×10Pa)、又は50bar(5.0×10Pa)若しくは100bar(1.00×10Pa)、221bar(2.21×10Pa)未満において、混合機への超臨界水性溶媒を供給する別々の循環であってよい。ボイラーから出る水蒸気温度は、少なくとも450℃、少なくとも470℃、少なくとも500℃、520℃未満、550℃未満であってよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、間接的加熱器は、円周形でない。
【0192】
水性溶媒の分離
本明細書に記載されている分留塔は、水性溶媒を製品から分離する手段を提供し得る。この分留なしでは、製品からの水性溶媒の分離は難しい又は不可能であるかも知れない。
【0193】
限定なく、プラスチック原材料物質の脱重合製品は、かなりなワックス留分を含み得、及び/又は環境温度(例えば、25℃)において高粘度を有し得る。水性溶媒を、ワックス状製品に物理的に混入する可能性があり、したがって、遠心分離又は補充的重力デカンテーションと組み合わせた解乳化化学物質は、水性溶媒を分離するのに必要であり得る。本発明の1つの利点は、水性溶媒は、図9に例証されている分留後の低沸点(ナフサ)製品留分から容易に分離する。水性溶媒は、製品留分より高密度であり、製品留分に難溶性であり、デカンテーションなどの当技術分野において公知の手段によって正規重力下容易に分離し得る。本発明の更なる利点は、このように分離された水性溶媒は、低濃度の懸濁固体及び金属並びに可溶性有機化合物を含むことであり得る。欧州規格EN1484法に従って測定された全有機炭素含有量(TOC)含有量は、10,000mg/l未満、5000mg/l未満、2500mg/l未満、1000mg/l未満、500mg/l未満であり得る。分離された水性溶媒の低有機含有量は、水性溶媒を環境への排出のために容易に処理することができることを意味する。限定なく、水性溶媒を、環境に排出してもよく、溶媒としてリサイクルしてもよい。
【0194】
連続流
本発明による方法を、連続流の条件下で行う。
【0195】
連続流の条件下での本発明の方法の実施は、いくつかの効果を提供し得る。例えば、連続流は、実施加速化並びに/又は反応混合物に印加される熱及び/若しくは圧の除去を促進し得る。これは、所望の質量及び熱伝達速度、加熱/冷却並びに/又は加圧/減圧の達成の助けとなり得る。連続流は、滞留時間を厳密に制御することも可能とし得る。行為の特定様式に限定することなく、滞留時間を厳密に調節する能力に加えて連続流条件により促進される加熱/冷却及び/又は加圧/減圧の速度増加は、反応混合物が加熱/加圧及び/又は冷却/減圧するとき、望ましくない副反応(例えば、再重合、チャー形成)の発生を防止する助けとなる。連続流は、乳化に役立つと考えられる混合及びせん断力発生によって高分子材料の炭化水素製品への変換に寄与する反応を増強すると考えられる。
【0196】
したがって、本発明の方法を、連続流の条件下で行う。本明細書で使用されるとき、用語「連続流」は:
(i)反応混合物前駆体(例えば、押出を行う高分子材料、水性溶媒、及び必要に応じて触媒、及び/又は油流)を、反応装置への連続運動の流れで維持することと;
(ii)反応混合物を、反応装置を通過する連続運動の流れで維持することと;
(iii)製品流を、反応装置から出る連続運動の流れで維持することと、
の方法を表す
【0197】
したがって、連続流システムでは、反応混合物を、反応器に入るポイントから反応器を出るポイントまで反応装置の所与の面の長さ(又は部分的長さ)に沿った連続運動の流れで維持する。
【0198】
本明細書で意図される連続流は、連続運動の流れで維持されるという条件で反応混合物の流速に関して特に限定されないという意味を含む。
【0199】
連続流条件を、例えば、適切な反応装置における本発明の方法を行うことによって促進してよい。適切な反応装置は、概して、反応混合物の連続流を維持する加熱/冷却、加圧/減圧及び反応成分を備えるだろう。
【0200】
適切な流速(連続流の条件下)の使用は、反応混合物が立ち去る特定面(例えば、反応装置の槽壁)の長さに沿ったスケール形成の防止並びに/又は反応混合物への及び反応混合物内の効率的熱伝達のための効果的混合レジメの作成に有利であり得る。
【0201】
追加の試薬及び触媒
必要に応じて、追加(すなわち、補足)試薬及び/又は触媒をプロセスに添加してよい。
【0202】
いくつかの実施形態では、補足試薬及び/又は触媒は室温に置いて固体であってよく、高分子材料が押出機に入る前に高分子原材料と混合してよい。いくつかの実施形態では、添加剤は室温に置いて固体であってよく、高分子材料が押出機に入る前に高分子原材料と混合してよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、補足触媒は酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウムから選択される固体カルシウム塩であってよい。いくつかの実施形態では、補足触媒は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化バリウム及び水酸化バリウムから選択される固体塩基であってよい。
【0204】
行為の様式を限定することなく、添加剤は有機ハロゲン化物又はハロゲン含有化学種、例えば、塩化水素と反応して、無機ハロゲン化物を生成してよい。無機ハロゲン化物を、水熱反応器でブローダウンにより固体として除去してよい。
【0205】
行為の様式を限定することなく、添加剤は、高分子原材料中に存在するポリエチレンテレフタレートの分解又は脱重合から生成されたテレフタル酸(TPA)及び/又は安息香酸(BA)などの化合物の分解を加速し得る。TPA及びBPAを、これに限定されないが、ベンゼン、トルエン、ベンゾフェノン及びベンズアルデヒドを含む他の芳香族化合物に分解してよい。添加剤をブローダウンにより固体として除去してよく、添加剤の形態は前記除去前に化学反応により変化していてよい。
【0206】
いくつかの実施形態では、補足試薬及び/又は触媒を液体(例えば、水溶液)で添加してよい。液体を、高圧投薬ポンプ又は同様な手段を用いて添加してよい。液体を、減圧工程前のプロセスのいずれかの工程で添加してよい。液体を、押出機と超臨界水性流体添加ポイントの間、超臨界水性流体添加ポイント後だが存在する場合追加加熱工程前、又は反応層のいずれか前、又は減圧工程前に押出機に添加してよい。
【0207】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基を高分子材料溶融流/押出物、水性溶媒流及び/又は反応混合物中に含まれていてよい。使用してよい塩基の種類若しくは形態又は塩基を導入してよいプロセスにおけるポイントに特に制限はない。非限定的一例として、塩基を、例えば、高分子材料と共に押出機に同時供給される固体として及び/又は押出工程後のいずれかのポイントにおける液体として(例えば、押出物/溶融流に、水性溶媒流に、及び/又は反応混合物に直接)導入してよい。本発明の方法の連続又は半連続バージョンでは、少なくともいくつかの塩基を、最終反応器レグ(leg)前に添加してよい。
【0208】
この目的のために適した塩基の非限定的例は、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、I族及びII族金属の酸化物並びにその有意量を含む物質(例えば、黒液、白液、緑液、赤泥、石灰石、方解石)である。
【0209】
本発明の方法により使用するための反応混合物は、所望の製品の生成を増強し得る触媒を含んでよい。
【0210】
触媒は、反応混合物自体の他の成分由来(例えば、高分子材料、水性溶媒、他の反応混合物成分から)の「内因性触媒」であってよく、本発明の方法により反応混合物の処理中その場で生成すると理解され、及び/又は反応混合物を処理する反応装置の混合機材料及び壁由来である。例えば、触媒は、反応混合物、高分子材料中の化合物及び/又は反応層壁からの遷移金属/貴金属中の水のヒドロニウムイオン/水酸化イオンであってよい。本発明の方法により処理された廃プラスチック重合体は、触媒活性を有する混入物を有する可能性がある。
【0211】
加えて又はあるいは、触媒は、反応混合物自体の他の成分由来でなく、本発明の方法による反応混合物の処理中にその場で生成されず、反応混合物を処理する反応装置の構成又は壁の材料由来でない「補足触媒」であってよい。むしろ、補足触媒は、個別の/独立した成分として反応混合物に別々に添加し、したがって、反応混合物中に存在する内因性触媒に追加する。
【0212】
補足触媒の添加は特定の環境において有利であり得るが、当業者は、本発明の方法を、補足触媒を用いないで行ってもよいと認識するだろう。
【0213】
本明細書で意図されている補足触媒は、本発明の方法を用いた高分子材料原材料からの燃料及び化学物質などの所望の炭化水素製品の生成を増強するいずれかの触媒であってよく、この非限定的例としては、塩基触媒、酸触媒、アルカリ金属水酸化物触媒、遷移金属水酸化物触媒、アルカリ金属ギ酸塩触媒、遷移金属ギ酸塩触媒、反応性カルボン酸触媒、遷移金属触媒、スルフィド触媒、貴金属触媒、水性ガス転化触媒、窒素ドープ炭素材担持金属、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0214】
理論に限定されることなく、補足塩基触媒は、製品生成を促進しpHも制御し得ることに関して多面的役割を果たし得、反応器金属成分における腐食速度を低下さえるために有利であり得、超臨界水に不溶性又は難溶性である金属ハロゲン化物として原材料に含まれるハロゲンの沈殿を促進し得る。冷却及び減圧により、金属ハロゲン化物は水相に再溶解することができる。ハロゲン、特に塩素は気相及び/又は油相から効率的に除去し得るので、この行為は有利である。塩素は、その後のプロセスで不完全に燃焼した場合にジオキシン及び他の環境汚染物質を最終的に生成するので、塩素は気相及び油相において望ましくない。
【0215】
いくつかの実施形態では、水性ガス転化(WGS)反応を促進すると当技術分野において公知である補足触媒を反応混合物に含有して、水素の水から油製品への転移を促進してよい。当技術分野において公知のいずれものWGS触媒又は水素転移触媒を利用してよい。限定することなく、触媒は、押出機供給に添加される微細分散固体の形態であってよい。加えて又はあるいは、触媒は、固定床の形態であってよい。加えて又はあるいは、未臨界条件及び/又は超臨界条件下反応流(例えば、水性溶媒、高分子材料押出物、及び/又は反応混合物)中に存在する場合、触媒は均一系であってよい。
【0216】
理論に束縛されることなく、WGS及び/又は水素転移触媒の添加は、製品中の炭化水素の飽和度を増加させ得る。製本中の中間留分のセタン価が増加し得、製品中のワックス留分におけるn-パラフィンの割合も増加しその高純度及びシャープかつ分離した融点範囲によって有用なワックスを製造し得るので、これは望ましいかも知れない。
【0217】
固体金属触媒
本発明のいくつかの実施形態では、固体金属触媒を、反応流と接触させる。
【0218】
いくつかの実施形態では、固体金属触媒は、反応像内の固定金属面である。固体金属触媒は、例えば、ワイヤー、メッシュ、箔、及びラシヒリングなど、当技術分野において公知の形状であってよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、固体金属触媒は、ニッケルを含む。いくつかの実施形態では、ニッケルは、形式0酸化状態である。ニッケルは、他の金属との合金、例えば、ステンレス鋼310又は316として存在してよい。
【0220】
理論に束縛されることなく、ニッケルは、水性溶媒から高分子供給原料の脱重合製品への水素の転移を促進し得る。
【0221】
大ざっぱに説明されている本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に開示されている本発明に多数の変化形及び/又は変更を行うことができると当業者は認識するだろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例証であり制限するものでないと見做されるべきである。
【実施例
【0222】
本発明を、特定の実施例を参照して説明するが、決して限定するものではないと解釈すべきである。
【0223】
実施例1
分留塔と結合したフラッシュ減圧の挙動を以下のように実証した。2つの広範な種類の使用済みプラスチックを押出用に準備した。PTT(ポット、タブ及びトレイ、例えば、食品容器、個人衛生製品容器、玩具、洗濯物かご、ミルクカートンクレート)として公知の使用済み収集からの硬質プラスチックをおよそ1~20mmの大きさに細断又は切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により大部分除去した。細断PTTプラスチックを、遠心分離により脱水し、押出用準備で袋詰にした。フィルムとして知られている軟質プラスチック(例えば、LDPE使い捨てプラスチック袋、プラスチック袋、食品ラッピング、その他)を切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により大部分除去した。切り裂いたフィルムプラスチックを遠心分離により脱水し、凝集/造粒により圧縮した。必要に応じて、凝集物を押し出し、スクリーンフィルターを通過させて、例えば、アルミ箔の小片を除去し、次いで、押出物をペレットに刻んだ。フィルムペレット/凝集物を、処理用準備で袋詰にした。
【0224】
PTT及びフィルム材料を、表1に記載されているように様々な割合で混合し、押出機、超臨界水注入ゾーン、一連の加熱器、3又は4反応器、クーラー、減圧工程、及び1つ以上の製品タンクから直列になる連続流反応器で脱重合した。実験条件を、表1に示す。脱重合製品は、合成原油であった。合成原油のサンプルを実験室で乾燥して水を除去し、これらの沸点範囲はASTM D7169の方法に従った蒸留シミュレーション及びASTM D1160の方法に準じた真空蒸留を特徴とした。蒸留シミュレーション結果を、表2~4に示す。蒸留粗シミュレーション曲線を使用して、分留塔への完全反応温度及び圧からのフラッシュ減圧における合成原油のフラッシュ蒸留及び分留挙動のモデルを構築した。AspenTechのHYSYSソフトウェアを用いてシミュレーションを行った。得られた4留分の沸点分布を、図10、11及び12にモデル化した3つの場合で示す。モデリングは、3893kg/時の反応器及び1.2m径の分留塔から出るマスフローを仮定した。
【0225】
【表1】
【0226】
【表2】
【0227】
【表3】
【0228】
【表4】
【0229】
実施例2
本実施例で示された結果は、溶融高分子押出物及び超臨界水性溶媒間の良好な混合を得るための静的混合機の使用の重要性を実証する。これは、融解した高分子より高温である超臨界水性溶媒からの良好な熱伝達を得るために重要であり、更に、溶媒及び高分子材料を均質に混合し、それにより、溶媒から脱重合製品に水素転移を可能とすることを含む、溶媒が重合の間に高分子材料の反応経路に影響を与えることを可能とするために重要である。2つの異なるシナリオの混合プロファイル(反復1:図13~15;反復2:図16~17)を、計算流体力学(CFD)モデリングにより検討した。超臨界水性溶媒を、500℃における超臨界水(SCW)としてモデル化した。他のモデリングパラメータは以下の通りであった:
-溶融プラスチック入口:
マスフローレート:2782kg/時、温度:350℃
-SCW入口:
4入口にわたるマスフローレート:1762kg/時、温度:500℃
-パイプ壁:
断熱性。
【0230】
表5、6及び7:モデリングに使用した流体特性
【0231】
【表5】
【0232】
【表6】
【0233】
【表7】
【0234】
反復1(図13~15)は、単一面における放射4方向10mm径SCW入口を有する6インチ(152mm)径パイプをモデル化し、反復を0、2及び4静的混合機エレメントを用いてモデル化した。
【0235】
反復2(図16~19)は、50mm離れた2面における4方向10mm径SCW入口及びSCW入口のちょうど上流の三角バーを有する6インチ(152mm)パイプをモデル化し、反復を0、2及び4静的混合機エレメントを用いてモデル化した。
【0236】
アセンブリの部分としてモデル化された静的混合機エレメントの形状は、NOV,Process and Flow Technologies,Mixing Technologies,5870 Poe Ave,Dayton,Ohio 45414により提供されている設計であった。
【0237】
モデリングの発見は、静的混合機は、SCW及び融解高分子の混合を増強することであった。SCW注入ポイントから約9パイプ径の距離における混合均質性を図19に示す。混合均質性は、SCWから高分子材料へのより良好な熱伝達も示す。
【0238】
静的混合機エレメントにより誘導される圧力降下は、モデリングによれば、エレメント当たり約2.5bar(2.5×10Pa)である。この圧力降下は、約4混合機(10bar(1.0×10Pa))以下に対して機能的に扱いやすい。
【0239】
混合機構成の実施は、附属チャートに例証する。第一に、図20は、混合機がない場合、超臨界水と高分子材料との混合不良になり、パイプ長にわたって2相流になることを示す。
【0240】
様々な混合機設計に関する計算流体力学モデリング(CFDモデリング)の実行は、図21に示されている結果に例証されている良好な混合を行う標準的工業用混合機設計を用いた超臨界流体分配器を備える利点を示した。
【0241】
良好な混合を、如何に冷たい(青色)流体が過熱されるか、及び如何に超臨界流体(赤色)温度が冷却されて均質な混合温度に急速に到達するかを示す高分子材料の温度プロファイルに反映される(図22)。
【0242】
実施例3
この実験で示されている結果は、本発明の方法が、必要がなく脱重合製品、例えば、脱乳化化学物質からの超臨界水性溶媒の容易な分離又は遠心機/デカンターなどの重力法の促進を可能とする。
【0243】
分留塔と結合したフラッシュ減圧の挙動を以下のように実証した。2つの広範な種類の使用済みプラスチックを押出用に準備した。PTT(ポット、タブ及びトレイ、例えば、食品容器、個人衛生製品容器、玩具、洗濯物かご、ミルクカートンクレート)として公知の使用済み収集からの硬質プラスチックをおよそ1~20mmの大きさに細断又は切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により除去した。細断PTTプラスチックを、遠心分離により脱水し、押出用準備で袋詰にした。フィルムとして知られている軟質プラスチック(例えば、LDPE使い捨てプラスチック袋、プラスチック袋、食品ラッピング、その他)を切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により除去した。切り裂いたフィルムプラスチックを遠心分離により脱水し、凝集/造粒により圧縮した。必要に応じて、凝集物を押し出し、スクリーンフィルターを通過させて、例えば、アルミ箔の小片を除去し、次いで、押出物をペレットに刻んだ。フィルムペレット/凝集物を、処理用準備で袋詰にした。
【0244】
PTT及びフィルム材料を、質量基準で3:1の割合で混合し、押出機、超臨界水注入ゾーン、一連の加熱器、3又は4反応器、クーラー、減圧工程、及び1つ以上の製品タンクから直列になる連続流反応器で脱重合した。 脱重合製品は、本来ワックス状であり、混入水としてその質量の約30%含有する合成原油であった。油及び水の目で見える分離は観察されないので、分離混入水を、デカンテーションなどの単純な手段によりワックス状合成原油から95℃未満の温度で物理的に分離することができなかった。
【0245】
本発明の製品分留方法を、合成原油の低沸点留分の常圧蒸留によりシミュレートした。水性溶媒からの粗原料及び水の低沸点留分、又はナフサ(沸点約40~210℃)は共留出し、一緒になって濃縮した。水及びナフサ(図9)は自然に相分離し、低い相互溶解性を有し、デカンテーションなどの当技術分野において公知の手段又は簡単なバルブ出口の手段によって環境温度で容易に分離することができた。
【0246】
水相の分析は、低有機含有率及び低金属含有率を有することを示し、そうであるから、排出又は再利用のために容易にリサイクル又は処理することができた。
【0247】
【表8】
【0248】
【表9】
【0249】
【表10】
【0250】
【表11】
【0251】
【表12】
【0252】
【表13】
【0253】
比較により、ワックス状合成原油から水性溶媒(水)を除去するため、おおよそ1000ppmのレベルにおいて化学エマルジョンビーカー(SUEZのPROSOLV AI8565)及び高温(約90℃)における遠心機を加える必要があった。
【0254】
実施例4
本発明の方法により処理された使用済み高分子材料からの脱重合製品の化学組成物を、下表9に詳述している。
【0255】
【表14】
【0256】
実施例5
この実施例で示されている結果は、反応器から固体材料のブローダウンの原理を実証する。
【0257】
2つの広範な種類の使用済みプラスチックを押出用に準備した。PTT(ポット、タブ及びトレイ、例えば、食品容器、個人衛生製品容器、玩具、洗濯物かご、ミルクカートンクレート)として公知の使用済み収集からの硬質プラスチックをおよそ1~20mmの大きさに細断又は切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により除去した。細断PTTプラスチックを、遠心分離により脱水し、押出用準備で袋詰にした。フィルムとして知られている軟質プラスチック(例えば、LDPE使い捨てプラスチック袋、プラスチック袋、食品ラッピング、その他)を切り裂いた。金属を、磁気及び渦電流分離によって除去した。水より高密度のプラスチック(例えば、PVC、PET)を、水に対する浮力により除去した。切り裂いたフィルムプラスチックを遠心分離により脱水し、凝集/造粒により圧縮した。必要に応じて、凝集物を押し出し、スクリーンフィルターを通過させて、例えば、アルミ箔の小片を除去し、次いで、押出物をペレットに刻んだ。フィルムペレット/凝集物を、処理用準備で袋詰にした。
【0258】
PTT及びフィルム材料を、様々な割合で混合し、押出機、超臨界水注入ゾーン、一連の加熱器、直列配置された3水平面指向反応管、クーラー、減圧工程、及び1つ以上の製品タンクから直列になる連続流反応器で脱重合した。典型的実験条件冷を表10に示す。脱重合製品は、合成原油であった。
【0259】
【表15】
【0260】
実験後、水平管状反応器を開けて点検し、実験の過程において流動相から沈殿及び反応管底部において重力沈降により蓄積した残留固体材料を含むことが分かった。固体を分析し、表11に示されている以下の組成物を有することが分かった。
【0261】
【表16】
【0262】
分析は、固体の大部分は無機灰分であり、少量の成分としてトルエン可溶重質ワックスも存在することを示した。表11の反応器サンプル1及び2は、表12の分析No.1及び2に対応する。
【0263】
【表17】
【0264】
【表18】
【0265】
元素分析は、灰分(表13)が大部分、例えば、プラスチック配合物においてフィラー、添加剤、乳白剤、改質剤、その他として通常見られるSi、Ti、Fe、Ca、alなどの金属から成ることを示し、これらが重合中プラスチックから析出して超臨界相に不溶になったことを実証している。
【0266】
実施例6
この実験で示された結果は、完全反応温度又は完全反応温度の50℃以内、及び完全反応圧から、大気圧から僅かに高い圧までフラッシュ減圧の追加を実証する。
【0267】
使用された実験構成を図23に示す。規格外調味料瓶(約68%)、紙製ペレット(約20%)、リサイクルPET(約10%)及び廃棄されたネオプレンウェットスーツ(約2%)からのポリエチレンを含む産業廃棄及び使用済みプラスチックを押出するために準備した。混合原材料を、押出機、超臨界水注入ゾーン、一連の加熱器、3又は4反応器、冷却器、減圧工程、及び1つ以上の製品タンクから直列になる連続流反応器で脱重合した。還流冷却器を備えた1つの製品タンクを、フラッシュ槽として使用した。製品流を、キャピラリーパイプを通って約420℃の温度及び約240bar(2.40×10Pa)の圧において前記フラッシュ槽に放圧した。キャピラリーの端部を、フラッシュ槽に最初に存在する水に必要に応じて浸し、フラッシュ槽周囲の外側ウォータジャケットによって必要に応じて冷却した。必要に応じて及びあるいは、キャピラリー出口を水に浸さなかった。フラッシュ槽の出口は、ほとんど大気圧(例えば、絶対圧1.1bar(1.1×10Pa)又は1.2(1.2×10Pa)barの1bar(1×10Pa))であり、揮発性製品は還流冷却器を通過し、次いで、フレアを通過して燃焼した。
【0268】
製品炭化水素を、水と混合されたワックス状合成原油製品としてフラッシュ槽内に収集した。PETの加水分解からのテレフタル酸又は他の不溶性材料の析出は、冷却上でも減圧/製品収集系の他の場所でもなかった。
【0269】
実施例7
実施例6と同様だが規格外調味料瓶(約80%)及びリサイクルPET(約20%)の原材料組成物で、減圧キャピラリーの端部を、フラッシュ槽における少量の水の面より数センチメートル高く垂直下方に方向づけた。この場合、テレフタル酸及び他のPET加水分解生成物の析出を、フラッシュ槽の上面で検出した。
【0270】
実施例8
ペレット状のPET(20重量%)を、廃PEペレット(80重量%)と混合した。混合物を、電気加熱エレメントを備えた一軸スクリュー押出機に供給し、高分子混合物を、押出機出口のポイントまでに約240bar(2.40×10Pa)まで加圧し約330~340℃まで加熱した。押出物を圧下混合ゾーンに供給し、約490℃及び240bar(2.40×10Pa)において超臨界水と混合した(接触させた)。それから、流体混合物は、直列の3トリマヒーターにより440℃~450℃の反応温度まで上昇した。それから、流体は、水平に直列配置された3つの30リットル310ステンレス鋼管状反応器に移動し、反応ゾーンは、ガス吹き出し箱型エンクロージャによって反応温度に維持した。反応ゾーン中の滞留している間に、高分子混合物は脱重合して油製品を生成した。重合体のマスフローレートは33kg/時であり、超臨界水のマスフローレートは27kg/時であり、総マスフローレートは60kg/時であり、水に対するプラスチックのマスフローレート比は約55:45であった。
【0271】
それから、高温流体を400℃~440℃の温度及び240bar(2.40×10Pa)において、大気圧より僅かに高い圧における第一フラッシュ槽に放圧した。フラッシュ槽は、凝縮物の収集のために第二槽と接続した。フラッシュ槽の温度を観察し、最初約70℃まで上昇し、次いで、実験時間、約165分の間に21℃まで上昇した。凝縮物槽を通るガス及び蒸気を冷却し、回転体積流量計を用いて計量した。この方法では、反応器を出る製品流体を重質、年質、ワックス状炭化水素油留分に分留しフラッシュ槽に保持し;低粘度及び水より低密度の軽質炭化水素油+水に分留し凝縮槽に保持し、並びにガス-蒸気分画に分留した。ガス-蒸気留分を、第二冷却/分留槽工程に更に通過させ、少量(1.1kg)のナフサ及び水を冷却し分離した。第二冷却器工程を通過したガス/蒸気の組成物を、グラブサンプルからGCによりオフラインで分析した。フラッシュ槽は、約20kgの水及び53.5kgの重質油を含み、凝縮物タンクは、実行後約54kgの水及び12.5kgの軽油を含んだ。凝縮物タンク中の軽油は、重力下水から容易に分離した。約11.1kgのガス及び凝縮物は、組成物をベースとする混合ガス及び蒸気の推定密度に基づいて対応する期間で製造されたと推定した。
【0272】
使用された減圧及び分留系は、図24において図表で例証する。
【0273】
フラッシュ槽で保持される重質ワックス状油の真空蒸留は、約10torr(7.50×10-2Pa)において115℃の初期沸点又は約240℃AEBPを示し、製品のナフサ沸点範囲部分は凝縮物槽に効率的に分留したことを示した。総合成原油(凝縮物及び比例して再結合されたフラッシュ槽重質ワックス状油サンプル)の熱重量分析法(TGA)を図25に示し、重質ワックス状油の蒸留分析と一致する。
【0274】
ガス-蒸気の組成分析を表14に示す。
【0275】
【表19】
【0276】
実施例9
ラジアータパイン木をポリプロピレンペレット(PP)と混合し、混合物をペレット化して混合木-PPペレットを製造した。供給混合物の組成は:29重量%の乾燥基準木粉、2重量%の木粉と関連する水、及び69重量%のポリプロピレン乾燥基準であった。混合物を、電気加熱エレメントを備えた一軸スクリュー押出機に供給し、混合物を、押出機出口のポイントまでに約230~240bar(2.30×10Pa~2.40×10Pa)まで加圧し約315℃まで加熱した。押出物を圧下混合ゾーンに供給し、約440℃及び240bar(2.40×10Pa)において超臨界水と混合した(接触させた)。流体混合物は、それにより、約390~400℃の標的反応温度を達成した。それから、流体は、2つの水平に直列配置された30リットル310ステンレス鋼管状反応器に移動し、反応ゾーンは、ガス吹き出し箱型エンクロージャによって反応温度に維持した。反応ゾーン中の滞留している間に、原材料混合物は脱重合して油製品を生成した。原材料押出物マスフローレートは29~32kg/時であり、超臨界水マスフローレートは34kg/時であり、総マスフローレートは63~66kg/時であった。
【0277】
それから、高温流体を380℃~400℃の温度及び240bar(2.40×10Pa)において、大気圧より僅かに高い圧における第一フラッシュ槽に放圧した。フラッシュ槽は、凝縮物の収集のために第二槽と接続した。配置を、図26に部分的に示す。第一フラッシュ槽を、MBT標識化する。凝縮物槽を通るガス及び蒸気を冷却し、回転体積流量計を用いて計量した。この方法では、反応器を出る製品流体を重質、年質、ワックス状炭化水素油留分に分留しフラッシュ槽に保持し;低粘度及び水より低密度の軽質炭化水素油+水に分留し凝縮槽に保持し、並びにガス-蒸気分画に分留した(図26の標識化NCG)。ガス-蒸気留分を、第二冷却工程に更に通過させ、少量のナフサ及び水を冷却した。第二冷却器工程を通過したガス/蒸気の組成物を、グラブサンプルからGCにより分析した。
【0278】
実施例10
リサイクルポリエチレン(PE)ペレットを、15kg/時及び押出機出口において275℃、240~260bar(2.40×10Pa~2.60×10Pa)で連続流水熱反応器に押し出し、押出物を、SCW及び溶融PEの良好な混合を得るらせん状静的混合機エレメントが置かれた混合ゾーンにおいて22.5kg/時の流速及び420co、240~260bar(2.40×10Pa~2.60×10Pa)で超臨界水と接触させ、それにより、クラッキング反応がプロセスのその後の工程において効率的に起こることを可能とした。混合ゾーンにおける流体の温度は、約400℃であった。混合ゾーン通過後、流体は、直列に配置された3つの30リットル反応管に到達する前に温度が420℃~450℃に上昇した2つの加熱器を通過した。反応器を、405℃~415℃に維持した。反応器中に滞留している間に、PEを合成原油に脱重合した。製品流体を約150℃まで冷却し、次いで、大気圧まで製品タンクに放圧した。製品タンクに還流冷却器を取り付け、冷却器を通過する非凝縮ガス及び蒸気を、グラブサンプルからGCによりオフラインで分析した。
【0279】
実施例11
廃プラスチック原材料を実施例1に記載されている方法により処理した。得られた合成原油生成物の原材料及びナフサ沸点範囲分画の組成を下表15に要約する。
【0280】
【表20】
図1-1】
図1-2】
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【国際調査報告】