(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】心臓内カテーテル・デバイス及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/243 20210101AFI20221129BHJP
【FI】
A61B5/243
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520936
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2020059437
(87)【国際公開番号】W WO2021070094
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オガタ ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ウエムラ レイ
(72)【発明者】
【氏名】大島 史義
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA10
4C127HH13
(57)【要約】
装置は、近位端と遠位端とを有する長手方向部材を含む。長手方向部材は、患者の体内の組織領域付近に配置されるように構成される。測定デバイスは、長手方向部材の遠位端に近接して配置されるように構成、サイズ決定される。測定デバイスは、磁気センサを含み、磁気センサは、生体磁気を測定し、磁束データを出力するように構成される。信号処理デバイスは、磁気センサに結合され、出力磁束データを出力磁束データのデジタル表現に変換するように構成される。この装置を使用して電気活動を測定する方法も開示される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有する長手方向部材であって、患者の体内の組織領域付近に配置されるように構成される長手方向部材と、
前記長手方向部材の前記遠位端に近接して配置されるように構成、サイズ決定される測定デバイスを備える装置であって、
前記測定デバイスは、
生体磁気を測定し、磁束データを出力するように構成される磁気センサを備える測定デバイスと、
前記磁気センサに結合され、前記出力磁束データを、前記出力磁束データのデジタル表現に変換するように構成される信号処理デバイスと
を備える、装置。
【請求項2】
前記信号処理デバイスに通信可能に結合され、前記デジタル磁束データを受信する計算デバイスを更に備え、前記計算デバイスは、メモリに結合され、前記組織領域付近の電気活動に基づく磁束データを前記測定デバイスから受信し、前記磁束データに基づき前記組織領域に関する磁束分布を生成するための、前記メモリに格納されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記組織領域に関する磁束分布に基づいて磁束分布マップを生成し、前記組織領域に関する磁束分布マップを3次元表示する、前記メモリに格納された少なくとも1つの追加のプログラム命令を実行するように更に構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記受信磁束データは、3次元である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記受信磁束データは、リアルタイムで受信される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記磁束分布は、リアルタイムで生成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記長手方向部材は、カテーテル、又はマイクロ・カテーテル、又はガイドワイヤである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記磁気センサは、磁気信号を1ナノテスラ(nT)規模で測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記磁気センサは、磁気信号を1ピコテスラ(pT)規模で測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記長手方向部材が、患者の体内における前記長手方向部材の位置を測定するように構成された前記遠位端に近接して位置する位置センサを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記位置センサは、地磁気を測定するように構成される磁気センサである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記位置センサから前記長手方向部材の位置データを受信し、前記組織領域の少なくとも一部の3次元モデル上に前記長手方向部材の位置を表示するために、前記メモリに格納された少なくとも1つの追加のプログラムされた命令を実行するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記測定デバイスは、前記長手方向部材の先端チップ内に封入されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記長手方向部材は、前記遠位端に近接して配置される永久磁石と、患者の体外に位置する磁気センサ・グリッドを備える位置センサとを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
電気活動を測定する方法であって、
前記方法は、
計算デバイスによって、近位端及び遠位端を有する長手方向部材上に位置する測定デバイスから磁束データを受信することであって、前記長手方向部材は、患者の体内の組織領域付近に配置されるように構成され、前記測定デバイスは、前記遠位端に近接して配置され、前記磁束データは、前記組織領域付近の電気活動に基づくものである、前記磁束データを受信することと、
前記計算デバイスによって、前記磁束データに基づき、前記組織領域に関する磁束分布を生成することとを含む、方法。
【請求項16】
前記組織領域に関する磁束分布に基づき、磁束分布マップを生成することと、
前記組織領域に関する磁束分布マップを3次元表現で表示することとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記受信磁束データは、3次元である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記受信磁束データは、リアルタイムで受信される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記磁束分布は、リアルタイムで生成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記磁気センサは、磁気信号を1ナノテスラ(nT)規模で測定するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記磁気センサは、磁気信号を1ピコテスラ(pT)規模で測定するように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記計算デバイスによって、前記遠位端に近接して配置される位置センサから前記長手方向部材の場所データを受信することであって、前記位置センサは、地磁気を測定するように構成される磁石である、前記場所データを受信することと、
前記組織領域の少なくとも一部分の3次元モデル上に前記長手方向部材の場所を表示することとを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記組織領域は、患者の心臓の一部分である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記測定デバイスは、前記長手方向部材の先端チップ内に封入されている、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月7日出願の米国仮特許出願第62/912,039号の利益を主張するものであり、当該出願の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の技術は、心臓内カテーテル・デバイス及びその使用方法に関し、より詳細には、磁気生理学を使用して心臓活動をマッピングする心臓内カテーテル・デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
心臓活動のマッピングは、不整脈等の心臓の状態を治療するために利用することができる。そのような心臓のマッピングを提供するため、様々な技法が利用されている。例えば、心電図(ECG)は、心臓の電気活動を測定するために電極を利用する。典型的なECG手順では、外部電極を患者の体表面上に置き、様々な角度から心臓の電気活動を測定する。
【0004】
代替的に、カテーテル先端に取り付けられた電極を利用し、心内膜に接触させることによって心臓内測定をもたらすことができる。ECGを組み合わせた心臓外及び心臓内の心臓測定を利用し、心臓の電気活動を測定することもできる。ECGを使用すると、心臓の電気活動をマッピングし、例として不整脈等の異常の存在を決定することができる。しかし、電極を使用する測定は、体内の他の組織の電気活動によって影響を受け、概して、電極を組織と直接接触させることを必要とする。したがって、ECG技法は、心臓の微細な電気的興奮シーケンスを明らかにすることができず、治療に利用し得る異常箇所の詳細なデータを得ることができない。
【0005】
近年、カテーテルに取り付けた電極を使用する心臓内測定は、心臓外心磁図(MCG)と組み合わせられている。こうした技法は、治療において実用に移し得るほどの正確さレベルにまで、不整脈等の異常発生箇所のより正確な決定をもたらす。ECGと外部MCG測定とを同時に実施することによって、ECGのみを使用する方法と比較して、条件の種類に応じて診断成功率を平均50%上昇し得ることが報告されている。
【0006】
しかし、MCGの利用は、心臓活動がもたらすイオン電流によって生成される磁場の測定を伴う磁気生理学に依存するものである。しかし、体表面における磁場は弱い。こうした信号は、典型的には、地球磁場よりも7から9桁低い大きさであり、環境磁気ノイズよりも5桁低い大きさである。したがって、高感度磁気センサが必要とされる。
【0007】
SQUID(超伝導量子干渉計)を利用するセンサ等の超高感度磁気センサは、心筋興奮伝導異常の場所を3次元で決定するために利用されている。こうしたセンサは大型であるので、磁場を測定するには体外から使用しなければならない。更に、これらの弱い磁場は、遮蔽環境を外側に必要とし、SQUIDセンサは、窒素又はヘリウムの液体冷却を必要とする。したがって、MCGで利用される現在のシステムは、非常に高額で、複雑であり、使用が制限される。
【発明の概要】
【0008】
装置は、近位端と遠位端とを有する長手方向部材を含む。長手方向部材は、患者の体内の組織領域付近に配置されるように構成される。測定デバイスは、長手方向部材の遠位端に近接して配置されるように構成、サイズ決定される。測定デバイスは、磁気センサを含み、磁気センサは、生体磁気を測定し、磁束データを出力するように構成される。信号処理デバイスは、磁気センサに結合され、出力磁束データを出力磁束データのデジタル表現に変換するように構成される。
【0009】
電気活動を測定する方法は、計算デバイスによって、近位端と遠位端とを有する長手方向部材上に配置した測定デバイスから磁束データを受信することを含み、長手方向部材は、患者の体内の組織領域付近に配置されるように構成され、測定デバイスは、遠位端に近接して配置される。磁束データは、組織領域付近の電気活動に基づく。組織領域に関する磁束分布は、計算デバイスによって磁束データに基づき生成される。
【0010】
本技術は、カテーテルに装着することで、患者の体内の3次元磁束を、組織に直接触れることなく測定できる超小型・超高感度の3次元磁気センサを提供できるなど、多くの利点を備えています。例として、デバイスは、心内膜内の磁束分布を測定する心臓内処置において利用することができる。デバイスは、有利には、心内膜内の3次元磁束分布の変化をリアルタイムでマッピングし、この変化を空間輪郭と共に表示することができる。したがって、この技術は、不整脈源の同定を可能にする。また、カテーテルの位置は、地磁気や生体磁気を測定できる超小型の3次元磁気センサで測定し、異常箇所の特定精度を高めています。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な心臓内マッピング・システムを含む例示的な環境の図であり、心臓内マッピング・システムは、計算デバイスに結合される心臓内デバイスを含む。
【0012】
【
図2】電気活動を測定するため、患者の心臓内に配置された例示的な心臓内カテーテルの図である。
【0013】
【
図3】心臓内カテーテルで使用される磁気センサ・デバイスの図である。
【0014】
【
図4】
図1に示す計算デバイスのブロック図である。
【0015】
【
図5】心臓内カテーテル・デバイスを使用して心臓の活動をマッピングする例示的な方法のフローチャートである。
【0016】
【
図6】例示的な偏向可能カテーテルの図であり、偏向可能カテーテルは、遠位端上にバスケット構成を備え、本発明の技術の複数の磁気センサを備える。
【0017】
【
図7】遠位端に本発明の技術の複数の磁気センサを備える例示的なカテーテルの図である。
【0018】
【
図8】遠位端に本発明の技術の磁気センサを備える例示的なガイドワイヤの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
心臓の活動を測定し、マッピングする為の例示的なシステム11を含む例示的な環境10を
図1~
図4に示す。システム11は、心臓内カテーテル・デバイス12を含み、心臓内カテーテル・デバイス12は、測定デバイス18及び位置センサ20を上に配設した長手方向部材16と、計算デバイス14とを含むが、システム11は、他の種類及び/若しくは他の数のデバイス、構成要素、並びに/又は撮像デバイス若しくはサーバ・デバイス等の他の構成内の他の要素を含むことができる。この例示的な技術は、異常の同定及び治療で使用するための、心臓の活動を測定し、マッピングするより効率的な方法の提供を含め、いくつかの利点をもたらす。
【0020】
図1及び
図2をより詳細に参照すると、システム11は、近位端(図示せず)と遠位端22との間に延在する長手方向部材16を含む。長手方向部材16は、患者の体内に進められ、組織領域付近に配置されるように構成される。この例では、長手方向部材16は、心臓内に配置するようにサイズ決定され、構成されるが、長手方向部材16は、ほんの例として、様々な導管、若しくは管、若しくは血管等の他の器官、体腔又は空洞等、患者の他の組織領域内に置くために利用することができる。長手方向部材16は、逆方向及び順方向の進入法等、様々な進入法及び向きを使用して組織領域付近に置くことができる。この例では、長手方向部材16は、カテーテルであるが、ほんの例として、ガイドワイヤ、マイクロ・カテーテル、膨張カテーテル又はプローブ等、体内に挿入し得る他の種類及び/又は他の数の長手方向部材を利用してよい。
【0021】
長手方向部材16は、長手方向部材16の遠位端22付近に配置される測定デバイス18を含むが、以下で説明するように、長手方向部材は、永久磁石、位置センサ、更なる磁気センサ、圧力センサ、温度センサ、圧覚センサ、トルク・センサ若しくは回転センサ、又はジャイロスコープ及び加速度計を含む運動センサ等、遠位端22付近に配置される他のデバイスを含むこともできる。一例では、測定デバイス18は、長手方向部材の先端チップ24上に配置される。測定デバイス18をカテーテル内に組み込むと、例として、測定デバイス18を心臓内に置き、例えば、信号源付近でより強い信号を測定することが可能になるが、測定デバイス18は、例えば、血管内の血流の測定、又は組織の特性(生体磁気)に基づく磁場強度の差を識別することによる様々な組織の種類の特徴付けを含め、他の用途で使用することができる。
【0022】
次に、
図3を参照すると、測定デバイス18が示される。この例では、測定デバイス18は、信号処理デバイス28に結合された磁気センサ26を含み、信号処理デバイス28は、例として、計算デバイス14によって使用される、磁気センサ26からのアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された集積回路30を含むが、測定デバイス18は、他の種類及び/若しくは他の数のデバイス、要素並びに/又は構成要素を含むことができる。測定デバイス18は、患者の体内に進められる長手方向部材16上に配置されるようにサイズ決定される。例として、測定デバイス18は、アブレーション手術のためにカテーテル上で典型的に利用される電極と同様のサイズとし得る。一例では、測定デバイス18は、約1.2mm×1.2mm×0.5mmの寸法を有するが、例として、心臓内での用途等、測定デバイス18を患者の体内で使用可能にする他の測定デバイス寸法を利用することができる。測定デバイス18は、例えば、Honkura、「The Development of ASIC Type GSR Sensor Driven by GHz Pulse Current」、SENSORDEVICES 2018年: The Ninth International Conference on Sensor DeviceTechnologies and Applications (2018年)で開示されるGSRセンサ等のデバイスとすることができ、この開示は、全体が参照として本明細書内に組み込まれる。
【0023】
一例では、測定デバイス18の磁気センサ26は、例えば、1ピコテスラ規模で生物学的磁場を測定するように構成される超高感度磁気センサである。磁気センサ26は、SQUIDデバイスがもたらす感度に近い超高感度をもたらす。例として、一例の磁気センサ26は、マイクロ・コイルを含み、マイクロ・コイルは、約450マイクロメートルの素線長、約66回のコイル巻数、及び20マイクロメートルの厚さを有するが、磁気センサ26に対し、他の寸法及びコイル巻数構成を使用してよい。この例では、磁気センサ26は、磁気センサ26近傍領域内の電流から生成された磁束を検出するように構成される3軸磁気センサである。したがって、磁気センサ26は、磁束を3次元で測定するように構成される。3軸磁気センサは電流の方向を検出することができるため、電流の方向にかからわず、信号を検出することができる。したがって、磁気センサ26は、ほんの例として、心臓活動を測定する際、磁束を通じて、不整脈等の異常源を電流内で検出するのに有用である。磁気センサ26は、電流からの磁束をリアルタイムで測定するように構成される。
【0024】
磁気センサ26は、信号処理デバイス28に結合される。この例では、信号処理デバイス28は、集積回路30を含み、集積回路30は、磁気センサからのアナログ磁束信号を磁束信号のデジタル表現をもたらすデジタル信号に変換するアナログ‐デジタル変換器として働くように構成され、このデジタル表現は、例えば、計算デバイス14によって処理される。更に、いくつかの例では、集積回路30は、磁気センサ26からの磁束信号を表示のために配置させる等、以下で説明する処理機能の一部を実施するマイクロコントローラを含むこともできる。一例では、集積回路30は、特定用途向け集積回路(ASIC)であるが、他の種類及び/又は他の数の信号処理デバイスを利用することができる。集積回路30は、公知の技法を使用して磁気センサ26に結合される。集積回路30は、この例では、磁気センサ26で使用する電極サイズを小型化し得る電子制御回路を生成するように、MEMS技術を使用して形成される。このことにより、磁気センサ26と信号処理デバイス28とを含む測定デバイス18が、例えば心臓内測定で利用できる範囲内にサイズ決定される一方で、生体磁気の測定に必要な感度を有することも可能にする。
【0025】
図1及び
図2を再度参照すると、任意で、長手方向部材16は、いくつかの例では、長手方向部材16の遠位端22に近接して配置される位置センサ20を含むこともできる。一例では、位置センサ20は、地磁気を測定するように構成される磁気位置センサであるが、他の位置特定技法を使用する他の位置センサを利用してよい。例えば、位置センサ20は、トルク・センサ若しくは回転センサ、又はジャイロスコープ若しくは加速度計等の変位センサとし得る。位置センサ20は、患者の体内で、カテーテル等の長手方向部材16の位置を決定する3次元コンパスとして働く。位置センサ20は、計算デバイス14に結合され、例として、カテーテル等の長手方向部材16の位置に関するデータを提供する。別の例では、位置センサ20は、永久磁石を備えることができ、永久磁石は、長手方向部材16上に配置され、患者の体外に置かれる磁気センサ・グリッドと共に使用される。
【0026】
次に、
図6を参照すると、システム11内で長手方向部材16として利用し得る例示的なカテーテル160が図示される。この例では、カテーテル160は、偏向可能カテーテルであり、遠位端220上に、複数の拡張可能リブ164(1)~164(5)を有するバスケット状構成162を含むが、バスケット状構成は、他の数の拡張可能リブを有することができる。
図6に示すように、遠位端220は、第1の位置と第2の位置との間で偏向可能である。複数の拡張可能リブ164(1)~164(5)は、圧縮状態で体内に送出し、次に、拡張させてバスケット構成162を体内の管内に置くことができる。この例では、バスケット状構成162は、磁気センサを含む複数の測定デバイス180(1)~180(7)を含む。測定デバイス180(1)~180(5)は、拡張可能リブ164(1)~164(5)上にそれぞれ位置するが、測定デバイス180(6)は、カテーテル160の先端チップ240に位置し、測定デバイス180(7)は、バスケット状構成162の基部に位置する。他の例では、更なる測定デバイスが他の位置に位置してよい。測定デバイス180(1)~180(7)の磁気センサは、上記した磁気センサ26と構造及び動作が同じである。この例では、カテーテル160は、位置センサ20に関して上記したものと構造及び動作が同じである位置センサ200等の更なるセンサも含むが、他の種類及び/又は他の数の更なるセンサを本発明の技術に従ってカテーテル160上で利用してよい。
【0027】
次に、
図7を参照すると、長手方向部材16としてシステム11内で利用し得る別の例示的なカテーテル260が図示される。この例では、カテーテル260は、遠位端220付近に編組部分262を含み、編組部分262は、より多大な可撓性をカテーテル260のシャフトにもたらし、操縦性を改善するが、カテーテル260は、患者の体内へのカテーテル260の配置を支援する他の構造及び/又は構成を有することができる。カテーテル260は、均等に離間する両極対をもたらすように均等に離間する電極リング264も含む。この例では、カテーテル260は、複数の測定デバイス280を含み、それぞれの測定デバイス280は、カテーテル260の遠位端に近接して位置する磁気センサを含む。磁気センサは、上記した磁気センサ26と構造及び動作が同じである。カテーテル260は、例えば、位置センサとし得る更なるセンサ300も含む。カテーテル260は、先端チップに加えられる力を測定する力覚センサ240も含む。この例では、光ファイバ・ケーブル266を使用してセンサに接続させるが、ワイヤレス通信等の他の技法を利用してよい。
【0028】
図8は、システム11内で長手方向部材16として利用し得る例示的なガイドワイヤ360である。ガイドワイヤ360は、遠位端320付近に位置するコイル362を含み、患者の体内へのガイドワイヤ360の配置を支援し、ガイドワイヤの送出及び操縦を支援する。別の例では、コイル362は、更に、磁気センサ要素自体のコイルとして働き、磁気センサ26として働くことができる。ガイドワイヤ360は、測定デバイス380を含み、測定デバイス380は、ガイドワイヤ360の先端チップ340付近に位置する磁気センサを含む。磁気センサは、上記した磁気センサ26と構造及び動作が同じである。ガイドワイヤは、位置センサ20に対して上記した構造及び動作が同じである位置センサ400等の更なるセンサも含むが、他の種類及び/又は他の数の更なるセンサを本発明の技術に従ってガイドワイヤ360上で利用してよい。
【0029】
更に、磁気センサ26及び/又は測定デバイス18のサイズのために、磁気センサ26及び/又は測定デバイス18を任意の数の治療デバイス内に容易に組み込むことができることは当業者にはかなり明らかであろう。治療デバイスは、限定はしないが、PTA及びPTCAバルーン・カテーテル、薬剤被覆バルーン・カテーテル、アブレーション・カテーテル、アテレクトミー・カテーテル、レーザー・カテーテル、超音波カテーテル等を含み、治療処置を更に案内又は支援する。更に、磁気センサ26は、限定はしないが、ステント、ペースメーカ、植込み型心臓デバイス(ICD)等を含む植込み可能デバイスに組み込むことができる。特に、植込み可能デバイスと共に使用する際、カテーテルで使用される有線接続ではなく、ワイヤレス接続を利用し得る。そのようなワイヤレス接続は、植込みデバイスをリアルタイムで、必要に応じて一定期間にわたり監視可能にする。
【0030】
次に、
図1及び
図4を参照すると、計算デバイス14は、集積回路30及び通信ネットワークを通じて測定デバイス18に結合される。計算デバイス14は、バス39又は他のリンクによって一緒に結合される少なくとも1つのプロセッサ32と、メモリ34と、通信インターフェース35と、ユーザ入力デバイス36と、表示インターフェース38とを含むが、他の種類及び/若しくは他の数のシステム、デバイス、構成要素、部品並びに/又は他の構成及び場所内の他の要素を使用し得る。
【0031】
計算デバイスのプロセッサ32は、本明細書で例として例示、説明する任意の数の機能又は他の動作のためにメモリ内に記憶したプログラム命令を実行することができ、プログラム命令には、測定デバイス18から受信した磁束データに基づく磁束マップの生成を含む。計算デバイス14のプロセッサ32は、例えば、1つ若しくは複数のCPU、又は1つ若しくは複数の処理コアを有する汎用プロセッサを含むことができるが、他の種類のプロセッサ(複数可)を使用し得る。
【0032】
計算デバイス14のメモリ34は、本明細書で例示し、説明する本発明の技術の1つ又は複数の態様のためのプログラム命令を記憶するが、プログラム命令の一部又は全部を他の場所に記憶してよい。ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、フラッシュ・メモリ、又はプロセッサ(複数可)32に結合される磁気システム、光学システム若しくは他の読出し書込みシステムによって読み出され、書き込まれる他のコンピュータ可読媒体等の様々な異なる種類のメモリ記憶デバイスをメモリ34のために使用し得る。
【0033】
したがって、計算デバイス14のメモリ34は、実行可能命令を含み得るアプリケーション(複数可)を記憶することができ、実行可能命令は、計算デバイス14によって実行すると、計算デバイス14は、測定デバイス18から磁束信号を受信し、心臓の電気活動に基づき磁束マッピングを生成する等の動作を実施する。アプリケーション(複数可)は、他のアプリケーション(複数可)のモジュール又は構成要素として実装し得る。更に、アプリケーション(複数可)は、オペレーティング・システムの拡張機能、モジュール、プラグイン等として実装し得る。
【0034】
計算デバイス14の通信インターフェース35は、1つ又は複数の通信ネットワーク(複数可)によって一緒に結合される計算デバイス14と信号処理デバイス28の集積回路30との間で動作可能に結合し、通信するが、他のデバイス及び/又は要素への他の種類及び/若しくは他の数の接続並びに/又は構成を使用し得る。ほんの例として、通信ネットワーク(複数可)は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、若しくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、及び/又はワイヤレス・ネットワークを含み得るが、他の種類及び/若しくは他の数のプロトコル並びに/又は通信ネットワーク(複数可)を使用し得る。
【0035】
計算デバイス14内のユーザ入力デバイス36は、例として、マッピング工程に関連する1つ又は複数のパラメータ等の選択を入力するために使用し得るが、ユーザ入力デバイス36は、他の種類の要求及びデータの入力に使用してよい。ユーザ入力デバイス36は、1つ又は複数のキーボード、キーパッド、又はタッチ・スクリーンを含み得るが、他の種類及び/又は他の数のユーザ入力デバイスを使用し得る。
【0036】
計算デバイス14の表示インターフェース38は、データ及び情報をユーザに示すために使用し得る。例として、表示インターフェース38は、画像データから生成した3次元モデルに基づき、患者の体に対する長手方向部材16の位置を示すことができ、画像データは、以下で説明する1つ又は複数の撮像デバイスから得られる。別の例では、表示インターフェース38は、測定デバイス18によって測定した磁束をリアルタイムで示すことができる。表示インターフェース38は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置、発光ダイオード(LED)表示装置、又は計算デバイスと共に使用されるあらゆる他の種類の表示インターフェースとすることができる。表示インターフェース38は、タッチペン又は人の手等の物体からの入力を受信するように構成したタッチ・スクリーンも含み得る。
【0037】
計算デバイス14の一例を本明細書で説明、例示しているが、計算デバイスは、あらゆる適切なコンピュータ装置又は計算デバイス上に実装し得る。当業者には了解されるように、例を実施するために使用される特定のハードウェア及びソフトウェアの多くの変形形態が可能であるため、本明細書で説明する例の装置及びデバイスは、例示的な目的のためであることは理解されよう。
【0038】
更に、例のデバイスのそれぞれは、当業者には了解されるように、本明細書で説明、例示する例の教示に従ってプログラムされた1つ又は複数の汎用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ及びマイクロコントローラを使用して、好都合に実装することができる。
【0039】
例は、本明細書で例として説明、例示する本発明の技術の1つ又は複数の態様のための命令を中に記憶させた1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体として具現化することもでき、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書で説明、例示する例の方法を実施するのに必要なステップを実行させる。
【0040】
図1を再度参照すると、計算デバイス14は、ほんの例として、CTスキャナ、X線機械、若しくはMRIデバイス等の1つ又は複数の撮像デバイス40からデータを受信するように結合、構成される。例えば、計算デバイス14は、1つ又は複数の通信ネットワークによって1つ又は複数の撮像デバイス40に結合される。計算デバイス14は、1つ又は複数の撮像デバイス40からデータを受信し得るが、代替的に、計算デバイスは、1つ又は複数の撮像デバイス40に結合した他のサーバ・デバイス等、他のソースからのデータを受信し得る。データは、以下で説明するマッピングを実施すべき患者の身体部分に関連するCT、MRI又はX線画像データ等の画像データを含み得る。例として、画像データは、心臓活動のマッピングを実施するための患者の心臓に関連し得るが、他の組織又は器官に関する画像データを利用し得る。
【0041】
次に、本発明の技術のシステムを使用する心臓マッピングに関する例示的な方法を
図1~
図5を参照しながら説明する。長手方向部材16は、
図6~
図8に示す例示的なカテーテルのいずれかとし得ることを理解されたい。心臓マッピングを説明するが、本発明の技術のシステムは、他の組織又は器官等、患者の他の身体部分の電気活動をマッピングするために利用し得ることを理解されたい。
図5をより詳細に参照すると、ステップ500において、長手方向部材16は、患者の体内に挿入され、組織領域付近に配置される。組織領域は、ほんの例として、様々な導管、若しくは管、若しくは血管等の他の器官、体腔又は空洞等、患者の組織のあらゆる部分であってよい。一例では、長手方向部材16の遠位端22は、患者の心内膜付近に配置されるが、長手方向部材16の遠位端22を心臓内の他の場所に配置してよい。長手方向部材16は、様々な進入法及び向きを使用して組織領域に対して、及び組織領域付近に置くことができる。この例では、位置センサ20は、地球磁場又は外的に生成した磁場、及び1つ若しくは複数の撮像デバイス40からの画像データから生成した患者の体の3次元モデルに基づき、長手方向部材16の3次元位置を決定するために使用されるが、他の測位技法を利用してよい。
【0042】
次に、ステップ502において、測定デバイス18の磁気センサ26は、測定デバイス18の近傍の磁束を決定する。他の例では、更なる磁気センサを利用してよい。例えば、測定デバイス18の磁気センサ26は、心臓活動から得た磁束を得ることができる。一例では、測定デバイス18は、心臓興奮の間に患者の心臓から生じた磁場を測定する。測定デバイス18の磁気センサ26は、磁束を3次元で測定するように構成される。磁気センサ26は、磁束の変化をリアルタイムで測定するようにも構成される。
【0043】
ステップ504において、磁束測定値を、信号処理デバイス28を通じて計算デバイスに出力する。一例では、信号処理デバイス28は、集積回路30を含み、集積回路30は、例えば、計算デバイス14によって処理するためにアナログ磁気信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器として働くように構成されるが、変換は、他の場所で行ってもよく、信号処理デバイス28は、ほんの例として増幅又はフィルタ処理等、他の磁束信号処理をもたらすように構成した他の集積回路を含んでよい。一例では、信号処理デバイス28は、磁束信号のデジタル表現に対して何らかの処理を行うマイクロコントローラを含んでもよい。
【0044】
次に、ステップ506において、計算デバイス14は、表示インターフェース38上に磁束マップを表示する。計算デバイス14は、磁気分布のマッピングをもたらすように磁束の指向性及び強度を決定する。例として、磁気分布は、3次元で表示し得る。一例では、測定デバイス18からの磁束は、ECG等の1つ又は複数の撮像デバイス40からのデータと組み合わせ、ECGからの結果上に磁束を表示させることができる。このことにより、心臓活動のマッピングに使用する際、心臓断面上に磁束の分布を同時に表示することを可能にする。磁気分布は、心臓等の監視組織の電気活動と相関させることができる。
【0045】
ステップ508において、磁束シーケンスは、ほんの例として、不整脈等の異常のため、計算デバイス14によって経時的に監視される。磁束の変化は、リアルタイムで監視される。3次元磁束データは、不整脈の場所を決定するために利用することができる。不整脈源は、上記シーケンス、及び磁束分布内で異常な性質をもつ頻脈から診断することができる。この場合、異常箇所のデータは、個別のカテーテル・デバイスを使用するアブレーション等によって異常の治療に利用することができる。
【0046】
したがって、本明細書で例として上記で例示、説明したように、本技術は、磁気生理学を使用して心臓活動をマッピングする心臓内カテーテル・デバイス及びその使用方法を提供する。
【0047】
本発明の基本概念をこのように説明してきたが、上記の詳細な開示は、ほんの例として提示することを意図し、限定するものではないことが当業者にはかなり明らかであろう。本明細書では明示的に述べていないが、当業者には様々な代替形態、改良形態、及び修正形態が想起され、意図されるであろう。こうした代替形態、改良形態及び修正形態は、本明細書によって示唆されることを意図し、本発明の趣旨及び範囲内にある。更に、処理要素の列挙した順序若しくはシーケンス、又はそのための数字、文字、若しくは他の名称の使用は、特許請求の範囲内に特定し得るものを除き、請求する方法をいかなる順序にも限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲及びこれに対する等価物のみによって限定される。
【国際調査報告】