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特表2022-550987クワッド偏波アンテナモジュールアレイを用いてビームの空間-偏波分離を具現するアンテナ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】クワッド偏波アンテナモジュールアレイを用いてビームの空間-偏波分離を具現するアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20221129BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20221129BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01Q21/24
H04B7/0413 320
H01Q21/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521000
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2020012942
(87)【国際公開番号】W WO2021071140
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0123822
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0163933
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034821
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チャン ムン
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】イン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】オ ソン チェ
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA11
5J021AB00
5J021FA31
5J021JA05
5J021JA07
(57)【要約】
【課題】クワッド偏波アンテナモジュールアレイを用いてビームの空間-偏波分離を具現するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】ビーム(beam)の空間-偏波分離が可能なアンテナ装置は、互いに異なる偏波方向を有する放射素子の信号経路をカップリングした第1及び第2のクワッド(quad)偏波アンテナモジュールを含み、互いに異なる偏波を有する第1のビーム及び第2のビームを放射するクワッド偏波アンテナモジュールアレイと、前記第1のビーム及び前記第2のビームが空間上で分離するように信号間の位相を互いに異なるように設定する偏波/分離ビーム成形モジュールを含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム(beam)の空間-偏波分離が可能なアンテナ装置であって、
互いに異なる偏波方向を有する放射素子の信号経路をカップリングした第1及び第2のクワッド(quad)偏波アンテナモジュールを含み、互いに異なる偏波を有する第1のビーム及び第2のビームを放射するクワッド偏波アンテナモジュールアレイと、
前記第1のビーム及び前記第2のビームが空間上で分離するように、信号間の位相を互いに異なるように設定する偏波/分離ビーム成形モジュールを含み、
前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、
第1の放射素子、前記第1の放射素子に直交する偏波方向を有する第2の放射素子、前記第2の放射素子と45度の偏波方向差を有する第3の放射素子、及び前記第3の放射素子に直交する偏波方向を有する第4の放射素子を含み、
前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第1の放射素子と同じ偏波方向を有する第5の放射素子、前記第2の放射素子と同じ偏波方向を有する第6の放射素子、前記第3の放射素子と同じ偏波方向を有する第7の放射素子、及び前記第4の放射素子と同じ偏波方向を有する第8の放射素子を含む、アンテナ装置。
【請求項2】
前記偏波/分離ビーム成形モジュールは、
前記第1のビームと前記第2のビームが空間上で水平方向に分離するように、前記信号間の位相を水平方向に互いに異なるように設定する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記偏波/分離ビーム成形モジュールは、
前記第1のビームと前記第2のビームが空間上で垂直方向に分離するように、前記信号間の位相を垂直方向に互いに異なるように設定する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第3の放射素子を前記第1の放射素子及び前記第2の放射素子の上側又は下側に配置し、前記第4の放射素子を前記第1の放射素子及び前記第2の放射素子の右側又は左側に配置し、
前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第7の放射素子を前記第5の放射素子及び前記第6の放射素子の上側又は下側に配置し、前記第8の放射素子を前記第5の放射素子及び前記第6の放射素子の右側又は左側に配置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールの上側又は下側に配置し、
前記第8の放射素子は、
前記第4の放射素子を前記第1の放射素子及び前記第2の放射素子の右側に配置すると、前記第5の放射素子及び前記第6の放射素子の左側に配置し、前記第4の放射素子を前記第1の放射素子及び前記第2の放射素子の左側に配置すると、前記第5の放射素子及び前記第6の放射素子の右側に配置する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第1の放射素子を前記第3の放射素子及び前記第4の放射素子の左上側又は右下側に配置し、前記第2の放射素子を前記第3の放射素子及び前記第4の放射素子の右上側又は左下側に配置し、
前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールは、
前記第5の放射素子を前記第7の放射素子及び前記第8の放射素子の左上側又は右下側に配置し、前記第6の放射素子を前記第7の放射素子及び前記第8の放射素子の右上側又は左下側に配置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、
第1の交差点を基準に前記第1の放射素子と前記第2の放射素子を互いに交差するように配置し、第2の交差点を基準に前記第3の放射素子と前記第4の放射素子を互いに交差するように配置し、
前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールは、
第3の交差点を基準に前記第5の放射素子と前記第6の放射素子を互いに交差するように配置し、第4の交差点を基準に前記第7の放射素子と前記第8の放射素子を互いに交差するように配置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1の交差点は、
前記第2の交差点と同じ位置に位置し、
前記第3の交差点は、
前記第4の交差点と同じ位置に位置する、請求項7に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置に関し、より詳しくは時間-偏波分離が可能であるだけでなく、アンテナモジュールの面積効率性を向上させることができるクワッド偏波アンテナモジュールと、クワッド偏波アンテナモジュールアレイを用いてビームを空間-偏波分離するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記載した内容は単に本発明の背景情報を提供するだけで従来技術を構成するものではない。
【0003】
周波数分割デュプレックス(FDD:frequency-division duplex)方式と時間分割デュプレックス(TDD:Time-division duplex)方式が、一つの伝送線やアンテナを用いて送受信信号を共有する方法として活用されている。
【0004】
TDD方式を用いて送受信信号を共有する従来のアンテナ装置に関する一例を図1に示す。
【0005】
従来のTDD方式のアンテナ装置は、アンテナ(ANT)、フィルタ(Filter)、スイッチ(S/W)、パワーアンプ(Power Amplifier、PA)、低ノイズアンプ(Low Noise Amplifier、LNA)、ADコンバータ(図示せず)及び、デジタル信号プロセッサ(FPGA、図示せず)などを含んで成る。
【0006】
TDD方式のアンテナANDは、複数のアンテナモジュールがアレイの形態を有し、アンテナモジュールは、二重偏波アンテナの形態を有する放射素子(二重偏波アンテナモジュール)で構成される。
【0007】
図2に示すように、二重偏波アンテナモジュールは、互いに異なる偏波方向を有する(互いに異なる偏波方向に設定した)2つの放射素子で構成する。各矢印は放射素子を示し、矢印の方向は各放射素子の偏波方向を示し、実線ボックスはアンテナモジュールが占有する領域又は空間を示す。
【0008】
二重偏波アンテナモジュールは、スイッチ(S/W)が送信ライン(Txライン)とつながると信号の送信機能を果たし、スイッチ(S/W)が受信ライン(Rxライン)とつながると信号の受信機能を果たす。すなわち、二重偏波アンテナモジュール(さらに、従来のTDD方式のアンテナ装置)は、スイッチS/Wの選択的なスイッチング動作によりTDD機能を具現できる。
【0009】
しかしながら、スイッチング過程を介して送信信号(ダウンリンク信号)又は受信信号(アップリンク信号)で信号損失が発生する可能性があり、受信信号がケーブルを介して装置内の後段に伝達される過程でも信号損失が発生する可能性がある。このような信号損失は、ノイズ指数(Noise Figure、NF)を悪化させ、無線通信システムのアップリンクカバレッジ(coverage)拡張を制限する問題を引き起こす。
【0010】
前記の問題を解決するために、送信用アンテナモジュール(Txアンテナモジュール)と受信用アンテナモジュール(Rxアンテナモジュール)を物理的に区分したTDD方式の新しいアンテナモジュールを最近紹介した。
【0011】
新しいアンテナモジュールに関する一例を図3に示す。図3にて、左側に位置するアンテナモジュールは送信用(Tx1、Tx2)アンテナモジュールを表し、右側に位置するアンテナモジュールは受信用(Rx1、Rx2)アンテナモジュールを表し、実線ボックスは新しいアンテナモジュール全体が占有する領域又は空間を表す。新しいアンテナモジュールは、送信用と受信用を物理的に区分するため(送信ラインと受信ラインを別途構成するため)、従来のスイッチングによって発生する問題を一部解消する。
【0012】
しかしながら、信号の送信と信号の受信の両方を担っていた単一のアンテナモジュールが、新しいアンテナモジュールでは、互いに異なる2つの構成に物理的に分離される。したがって、新しいアンテナモジュールは、アンテナモジュール自体の面積が増加するという問題が発生する。
【0013】
一般に、アンテナ装置には、複数個のアンテナモジュールから構成されるアンテナモジュールアレイを適用する。さらに、マイモ(multiple-input multiple-output、MIMO)技術の具現のために、アンテナモジュールアレイに含まれるアンテナモジュールの個数が徐々に増加している。したがって、新しいアンテナモジュールのようにアンテナモジュール自体の面積が増加すると、アンテナモジュールアレイだけでなく、アンテナ装置全体の面積又はサイズが増加することになり、これはアンテナ装置を製造する過程はもちろん、設置する過程、又はメインテナンスする過程での困難が生じる。
【0014】
一方、移動通信のマイモアンテナモジュールは、多重経路によるフェージング(fading)効果を低減させ、偏波ダイバーシティ(diversity)機能を実行するために、複数個の二重偏波アンテナモジュール(二重偏波アンテナモジュールアレイ)として設計するのが一般的である。
【0015】
図4に示すように、フェージングとは電波の強度が時間とともに変化する現象を意味し、ダイバーシティとは電界強度又は信号出力対(vs.)ノイズ出力の比が互いに異なる複数個の受信信号を合成して単一の信号を得ることでフェージングの影響を低減させる方式を意味する。
【0016】
二重偏波アンテナモジュールアレイに関する一例を図5に示す。図5の二重偏波アンテナのそれぞれは、+45度の偏波方向を有する放射素子と-45度の偏波方向を有する放射素子で構成する。このような例を基準として二重偏波アンテナを介したビームフォーミング(ビームパターン)を示すと、図6のようになる。
【0017】
図6にて、TRx1及びTRx2の信号ラインにつながった二重偏波アンテナは破線波形のビームを放射し、TRx3及びTRx4の信号ラインにつながった二重偏波アンテナは二点鎖線波形のビームを放射することを示している。図6から分かるように、二重偏波アンテナから放射されるビームはワイドビーム形態を有し、ワイドビーム形態のビームは周囲環境によってSNR(signal to noise ratio)が低下し、遠い地点まで信号を転送しにくい限界がある。
【0018】
従来の方法は、二重偏波アンテナモジュールアレイ内の放射素子をカップリングして(信号経路を共有して)同じ周波数の信号(同じ偏波の信号)に対して空間(セクタ)を分離することによって、この問題を解決しようとした。
【0019】
例えば、従来の方法は、同じ周波数の信号を3つ(図7(a))又は6つ(図7(b))の空間に分離してビームフォーミングした。しかしながら、このような方法は、互いに異なる偏波を有するビームが隣接する位置に配置されているので、各ビーム間の相関関係が高くなり、通信品質が低下するという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の一実施例は、二重偏波アンテナモジュールを単一化してアンテナモジュールの面積を減少させ、単一化したアンテナモジュール内で送信用と受信用を区分することで、スイッチングによって発生する信号損失を解決する。4重偏波アンテナモジュールを提供することに主な目的がある。
【0021】
さらに、本発明の他の実施例は、放射素子間の信号経路をカップリングしてナロー(narrow)ビームを放射させることで、信号を相対的に遠い地点まで伝送するアンテナ装置を提供することに主な目的がある。
【0022】
さらに、本発明のまた別の実施例は、隣接する位置で放射するビーム間の偏波を互いに異なるように設定することで、ビーム間の相関関係を低減して通信品質を向上させることができるアンテナ装置を提供することに主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一実施例による、ビームの空間-偏波分離が可能なアンテナ装置であって、互いに等しい偏波方向を有する放射素子の信号経路をカップリングした第1及び第2のクワッド(quad)偏波アンテナモジュールを含み、互いに異なる偏波を有する第1のビーム及び第2のビームを放射するクワッド偏波アンテナモジュールアレイ、及び、第1のビーム及び第2のビームが空間上で分離されるように、信号間の位相を互いに異なるように設定する偏波/分離ビーム成形モジュールを含み、前記第1のクワッド偏波アンテナモジュールは、第1の放射素子、前記第1の放射素子に直交する偏波方向を有する第2の放射素子、前記第2の放射素子と45度の偏波方向差を有する第3の放射素子、及び前記第3の放射素子に直交する偏波方向を有する第4の放射素子を含み、前記第2のクワッド偏波アンテナモジュールは、前記第1の放射素子と同じ偏波方向を有する第5の放射素子、前記第2の放射素子と同じ偏波方向を有する第6の放射素子、前記第3の放射素子と同じ偏波方向を有する第7の放射素子、及び第4の放射素子と同じ偏波方向を有する第8の放射素子を含む、アンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によると、単一化したアンテナモジュール内で送信用と受信用を区分するので、スイッチングによる信号損失を低減する。
【0025】
また、本発明によると、物理的に区分した二重偏波アンテナモジュールを一つの4重偏波アンテナモジュールに単一化することで、面積の削減だけでなく、製作、設置、メンテナンスなどの利便性を提供する。
【0026】
さらに、本発明によると、ナロービームを放射することで、アンテナの利得を向上させることができ、ビームを空間上で様々な方向に分離することでカバレッジを広げることができ、ビームの偏波分離を介してビーム間の相関関係を減らすことができることで通信品質をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来のアンテナ装置の一例を説明するためのブロック図である。
図2】従来のアンテナモジュールを説明するための図である。
図3】従来のアンテナモジュールを説明するための図である。
図4】フェージング現象を説明するための図である。
図5】従来のアンテナモジュールアレイを説明するための図である。
図6】従来のアンテナモジュールアレイを介して放射されるビームを説明するための図である。
図7】従来のアンテナモジュールアレイを介して放射されるビームを説明するための図である。
図8】4重偏波アンテナモジュールに関する様々な例を説明するための図である。
図9】4重偏波アンテナモジュールに関する様々な例を説明するための図である。
図10】4重偏波アンテナモジュールに関する様々な例を説明するための図である。
図11】4重偏波アンテナモジュールを用いて時間-偏波を分離する一例を説明するための図である。
図12】4重偏波アンテナモジュールアレイに関する様々な例を説明するための図である。
図13】4重偏波アンテナモジュールアレイに関する様々な例を説明するための図である。
図14】4重偏波アンテナモジュールアレイに関する様々な例を説明するための図である。
図15】4重偏波アンテナモジュールアレイに関する様々な例を説明するための図である。
図16】水平方向の空間-偏波分離を説明するための図である。
図17】水平方向の空間-偏波分離を説明するための図である。
図18】水平方向の空間-偏波分離を説明するための図である。
図19】垂直方向の空間-偏波分離を説明するための図である。
図20】垂直方向の空間-偏波分離を説明するための図である。
【発明を具現するための形態】
【0028】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通して詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を追加する際には、同一の構成要素に対しては、他の図面に表示されても可能な限り同一の符号を有することに留意したい。なお、本発明の説明するにあたり、関連する公知の構成又は機能についての詳しい説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断した場合には、その詳しい説明は省く。
【0029】
また、本発明の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質、順番又は順序などが限定されない。本明細書全体にて、ある部分がある構成要素を「含む」、「具備」するとき、これは、特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。さらに、明細書に記載した「…部分」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能又は動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現する。
【0030】
本明細書では、1)時間-偏波分離を具現する4重(クワッド)偏波アンテナモジュールと、2)空間-偏波分離を具現するアンテナ装置を提案する。以下では、1)クワッド偏波アンテナモジュールに関する実施例と2)アンテナ装置に関する実施例を区別して説明する。
【0031】
実施例1
実施例1では、時間-偏波分離を具現するクワッド偏波アンテナモジュール800を提案する。
【0032】
図8ないし図10に示すように、クワッド偏波アンテナモジュール800は、第1の放射素子モジュール810及び第2の放射素子モジュール820を含んでなる。
【0033】
第1の放射素子モジュール810は、互いに直交又は垂直の偏波方向を有する2つの放射素子812、814を含んでなる。第2の放射素子モジュール820も、互いに直交又は垂直の偏波方向を有する2つの放射素子822、824を含んでなる。
【0034】
ここで、「直交」又は「垂直」とは、放射素子の偏波方向が正確に90度の角度差を有する場合と、90±θの角度差を有する場合のすべてを含む。θは、アンテナモジュールの作製工程における誤差、他のアンテナモジュールとの相関関係(correlation)程度、ビームフォーミング方向の調整必要性などに応じて可変である。
【0035】
第1の放射素子モジュール810に含まれる2つの放射素子812、814のうち、いずれか一方を第1の放射素子812と称し、他方を第2の放射素子814と称する。第2の放射素子814は、第1の放射素子812の偏波方向と直交又は垂直の偏波方向を有するように設定する。
【0036】
第2の放射素子モジュール820に含まれる2つの放射素子822、824のうち、いずれか一方を第3の放射素子822と称し、他方を第4の放射素子824と称する。第3の放射素子822は、第1の放射素子812の偏波方向と45度の偏波方向差を有するように設定する。
【0037】
第4の放射素子824は、第3の放射素子822の偏波方向と直交又は垂直の偏波方向を有するように設定する。第2の放射素子814は、第1の放射素子812と直交又は垂直の偏波方向関係を有し、第1の放射素子812は、第3の放射素子822及び第4の放射素子824と45度の偏波方向関係を有し、第4の放射素子824が第3の放射素子822と直交又は垂直の偏波方向関係を有する。したがって、第4の放射素子824は、第1の放射素子812及び第2の放射素子814と45度の偏波方向関係を有する。
【0038】
ここで、「45度の偏波方向関係」とは、放射素子が正確に45度の偏波方向差を有する場合と、45±θの偏波方向差を有する場合をすべて含む。θは、アンテナモジュールの作製工程における誤差、他のアンテナモジュールとの相関関係の程度、ビームフォーミング方向の調整の必要性などに応じて可変である。
【0039】
実施形態により、放射素子812、814、822、824の偏波方向は多様である。例えば、第1の放射素子812と第2の放射素子814のそれぞれが+45度と-45度の偏波方向を有し、第3の放射素子822と第4の放射素子824のそれぞれが 垂直方向(vertical)そして水平方向(horizontal)の偏波方向を有する。別の例として、第1の放射素子812と第2の放射素子814のそれぞれは、垂直方向と水平方向の偏波方向を有し、第3の放射素子822と第4の放射素子824のそれぞれが+45度と-45度の偏波方向を有する。
【0040】
第1の放射素子モジュール810は送信ラインTx1、Tx2につながって信号の送信に用いられ、第2の放射素子モジュール820は受信ラインRx1、Rx2につながって信号の受信に用いられる。逆に、第1の放射素子モジュール810が受信ラインRx1、Rx2につながって信号の受信に用いられ、第2の放射素子モジュール820が送信ラインTx1、Tx2につながって信号の送信に用いられてもよい。
【0041】
このように、本発明のクワッド偏波アンテナモジュール800は、信号の送信に用いられる放射素子モジュールと信号の受信に用いられる放射素子モジュールが互いに区別されるため、スイッチ動作によって発生する従来技術の問題点(信号損失)を解決できる。
【0042】
また、クワッド偏波アンテナモジュール800は、第1の放射素子モジュール810と第2の放射素子モジュール820のうちの一方を送信用に用い、他方を受信用に用いるため、時間-偏波分離(信号の送受信と偏波の分離)を具現できるようになる。
【0043】
クワッド偏波アンテナモジュール800を用いて具現する時間-偏波分離に関する一例を図11に示す。
【0044】
図11にて、パターンで示した領域Txは送信用に用いる第1の放射素子モジュール810を介して信号が送信される時間区間を表し、パターンで示されない領域Rxは受信用に用いられる第2の放射素子モジュール820を介して信号が受信される時間区間を表す。
【0045】
ここで、第1の放射素子モジュール810内の2つの放射素子812、814は、±45度の偏波方向差(±45°Pol.)を有し、第2の放射素子モジュール820内の2つの放射要素822、824は、垂直方向の偏波方向と 水平方向の偏波方向(V / H Pol.)を有する。
【0046】
以下では、クワッド偏波アンテナモジュール800の面積効率性を向上させることができる実施例について説明する。下の実施例で、第1の放射素子モジュール810が送信ラインにつながって信号の送信に用いられ、第2の放射素子モジュール820が受信ラインにつながって信号の受信に用いられると仮定する。
【0047】
実施例1-1
実施例1-1は、第3の放射素子822及び第4の放射素子824が第1の放射素子モジュール810の周辺に配置する実施例である。
【0048】
図8に示すように、第1の放射素子812と第2の放射素子814は、直交又は垂直の偏波方向差を有してもよい。第1の放射素子812と第2の放射素子814は、送信ラインTx1、Tx2とつながって信号の送信に用いられる。
【0049】
第3の放射素子822は、第1の放射素子モジュール810の上側(上側周辺)に配置するか(図8(a)及び(b))、第1の放射素子モジュール810の下側(下側周辺) )に配置する(図8(c)及び(d))。
【0050】
第1の放射素子モジュール810の上側又は下側に配置した第3の放射素子822は、第1の放射素子812及び第2の放射素子814と±45度の偏波方向差を有し、受信ラインRx1につながって信号の受信に用いられる。
【0051】
第4の放射素子824は、第1の放射素子モジュール810の左側(左側周辺)に配置するか(図8(a)及び(c))、第1の放射素子モジュール810の右側(右側周辺)に配置する(図8(b)及び(d))。
【0052】
第1の放射素子モジュール810の左側又は右側に配置した第4の放射素子824は、第3の放射素子822と直交又は垂直の偏波方向差を有し、第1の放射素子812及び第2の放射素子814と±45度の偏波方向差を有する。第4の放射素子824は受信ラインRx2につながって信号の受信に用いられる。
【0053】
実施例1-2
実施例1-2は、第1の放射素子812及び第2の放射素子814が第2の放射素子モジュール820の周辺に配置する実施例である。
【0054】
図9に示すように、第3の放射素子822と第4の放射素子824は、直交又は垂直の偏波方向差を有してもよい。第3の放射素子822と第4の放射素子824は、受信ラインRx1、Rx2につながって信号の受信に用いられる。
【0055】
第1の放射素子812は、第2の放射素子モジュール820の左上側(左上側周辺)に配置するか(図9(a)及び(b))、第2の放射素子モジュール820の右下側(右下側周り)に配置する(図9(c)及び(d))。
【0056】
第2の放射素子モジュール820の左上側又は右下側に配置した第1の放射素子812は、第3の放射素子822及び第4の放射素子824と±45度の偏波方向差を有し、送信ラインTx1につながって信号の送信に用いられる。
【0057】
第2の放射素子814は、第2の放射素子モジュール820の左下側(左下側周辺)に配置するか(図9(a)及び(c))、第2の放射素子モジュール820の右上側(右上側周辺)に配置する(図9(b)及び(d))。
【0058】
第2の放射素子モジュール820の左下側又は右上側に配置した第2の放射素子814は、第1の放射素子812と直交又は垂直の偏波方向差を有し、第3の放射素子822及び第4の放射素子824と±45度の偏波方向差を有する。第2の放射素子814は送信ラインTx2につながって信号の送信に用いられる。
【0059】
実施例1-1及び1-2で説明したように、本発明のクワッド偏波アンテナモジュール800は、第1の放射素子モジュール810が占有する領域(図8の実線ボックス)内に第3の放射素子822及び第4の放射素子824を配置するように構成するか、又は第2の放射素子モジュール820が占有する領域(図9の実線ボックス)内に第1の放射素子812及び第2の放射素子814を配置するように構成する。
【0060】
したがって、実施例1-1及び1-2によると、送信用アンテナモジュールと受信用アンテナモジュールを物理的に区分した2つの領域に配置する従来方法に比べ、より向上した面積効率性を提供する。また、面積効率性の向上は、製作、設置、メンテナンスなどの利便性につながる。
【0061】
実施例1-1で、第1の放射素子812と第2の放射素子814は様々な形態で配置する。例えば、第1の放射素子812と第2の放射素子814は互いに交差するように配置してもよい。また、第1の放射素子812と第2の放射素子814は、それぞれの中心が互いに交差するように配置してもよい。このような場合、第1の放射素子モジュール810が占有する領域(図8の実線ボックス)の面積が最小となり、面積効率性がさらに向上する。
【0062】
実施例1-2で、第3の放射素子822と第4の放射素子824を様々な形態で配置する。例えば、第3の放射素子822と第4の放射素子824は互いに交差するように配置してもよい。また、第3の放射素子822と第4の放射素子824は、それぞれの中心が互いに交差するように配置してもよい。このような場合、第2の放射素子モジュール820が占有する領域(図9の実線ボックス)の面積が最小となり、面積効率性がさらに向上する。
【0063】
実施例1-3
実施例1-3は、第1の放射素子812及び第2の放射素子814が互いに交差するように配置し、第3の放射素子822及び第4の放射素子824も互いに交差するように配置する実施例である。
【0064】
図10に示すように、第1の放射素子812と第2の放射素子814は互いに交差するように配置してもよい。第1の放射素子812と第2の放射素子814が互いに交差する地点又はポイントを「第1の交差点1010」と称する。
【0065】
図10に示すように、第3の放射素子822と第4の放射素子824は互いに交差するように配置してもよい。第3の放射素子822と第4の放射素子824が互いに交差する地点又はポイントを「第2の交差点1020」と称する。
【0066】
クワッド偏波アンテナモジュール800が占める面積(図10の実線ボックス)は、第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離に応じて決定する。第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離が増加するにつれ、クワッド偏波アンテナモジュール800が占める面積が増加し、第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離が減少するにつれ、クワッド偏波アンテナモジュール800が占める面積が減少する。
【0067】
従来の方法(送信用アンテナモジュールと受信用アンテナモジュールを物理的に区分した2つの領域に配置)に比べてさらに向上した面積効率性を提供するためには、第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離が放射素子1つの長さ以下であることが好ましい。
【0068】
第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離が放射素子1つの長さ以下であると、第1の交差点1010と第2の交差点1020との間の距離は設計者の意図やアンテナモジュールアレイを構成する他のアンテナモジュールとの配置関係などに応じて様々に設定する。
【0069】
面積効率性を最大化するためには、第1の交差点1010と第2の交差点1020が互いに同じ位置にあってもよい。すなわち、第1の放射素子812と第2の放射素子814がそれぞれの中心が互いに交差(第1の交差点)するように配置し、第3の放射素子822と第4の放射素子824もそれぞれ中心が互いに交差(第2の交差点)するように配置し、第1の交差点1010と第2の交差点1020が互いに同じ位置にあると、面積効率性が最大化する。
【0070】
実施例2
実施例2では、空間-偏波分離を具現するアンテナ装置を提案する。
【0071】
前述のように、従来の二重偏波アンテナモジュールアレイから放射されるビームは、低いアンテナ利得を有するワイドビームの形態で現れるので、遠い地点まで信号を伝送することは困難である。アンテナモジュールをアレイ形態に配置し、放射素子の信号経路をカップリングさせると、ナロービーム形態を導出することができ、遠い地点までの信号伝送が可能であるが、下のような問題が発生する。
【0072】
1)サイズ増加 - ナロービーム形態を導出するために複数個の放射素子又は複数個のアンテナモジュールを配置しなければならないため、アンテナのサイズが増加し、面積効率性が低下する。
【0073】
2)隣接するビーム間に重なりが生じ、ビームの偏波間の相関関係が高くなり通信品質が低下する。
【0074】
本明細書では、前記のような従来のアンテナ装置の問題をすべて解決できる新しいアンテナ装置を提案する。
【0075】
図12に示すように、本発明に係るアンテナ装置は、クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200及び偏波/分離ビーム成形モジュール1230(又は位相設定モジュール)を含んでなる。
【0076】
クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200は、それ自体に含まれる放射素子を用いて複数個のビームを放射する構成に該当する。クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200を介して放射されるビームは、ナロービームの形態を有し、これらのビームの中で互いに隣接する2つのビームは互いに異なる偏波方向を有する。
【0077】
クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200は、複数個のクワッド偏波アンテナモジュールを含んでなる。本明細書では、クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200が2つのクワッド偏波アンテナモジュールを含んで構成するものと仮定し、そのうちの一方を第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210と称し、他方を第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220と称する。
【0078】
第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210は、実施例1で説明したように、第1ないし第4の放射素子1212、1214、1216、1218を含んでなる。
【0079】
第2の放射素子1214は第1の放射素子1212に直交する偏波方向を有し、第3の放射素子1216は第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の偏波方向と45度の偏波方向差を有し、第4の放射素子1218は、第3の放射素子1216に直交する偏波方向を有する。第3の放射素子1216と第4の放射素子1218は互いに直交する偏波方向を有するので、第4の放射素子1218も第3の放射素子1216と同様に第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の偏波方向と45度の偏波方向差を有する。
【0080】
第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220は、実施例1で説明したように、第5ないし第8の放射素子1222、1224、1226、1228を含む。
【0081】
第5の放射素子1222は第1の放射素子1212と同じ偏波方向を有し、第6の放射素子1224は第2の放射素子1214と同じ偏波方向を有し、第7の放射素子1226は第3の放射素子1216と同じ偏波方向を有し、第8の放射素子1228は第4の放射素子1218と同じ偏波方向を有する。
【0082】
したがって、第6の放射素子1224は第5の放射素子1222に直交する偏波方向を有し、第7の放射素子1226は第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の偏波方向と45度の偏波方向差を有し、第8の放射素子1228は、第7の放射素子1226に直交する偏波方向を有する。第7の放射素子1226と第8の放射素子1228は互いに直交する偏波方向を有するので、第8の放射素子1228も第7の放射素子1226と同様に第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の偏波方向と45度の偏波方向差を有する。
【0083】
クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200に含まれる放射素子のうち、互いに等しい偏波方向を有する放射素子は、信号経路をカップリングする。例えば、第1の放射素子1212と第5の放射素子1222は信号経路TRx1をカップリングし、第2の放射素子1214と第6の放射素子1224も信号経路TRx2をカップリングする。また、第3の放射素子1216と第7の放射素子1226は信号経路TRx3をカップリングし、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228も信号経路TRx4をカップリングする。信号経路をカップリングした放射素子を介して放射されるビームは、ナロービームの形態を有する。
【0084】
信号経路TRx1、TRx2、TRx3、TRx4のうち、同じ信号経路に沿って伝送される信号の周波数は、互いに同じでも異なってもよい。例えば、同じ信号経路に沿って伝送される信号が互いに異なる周波数を有する場合、互いに異なる周波数を用いて通信事業者を区別することができる。別の例として、同じ信号経路に沿って伝送される信号が互いに同じ周波数を有する場合、互いに同じ周波数を用いて同じ通信事業者に様々な方向のビーム(ビームパターン)を提供することができる。後者の場合、様々な方向のビームがカバレッジ全体で複数個のセクタをカバーすることができ、結果としてカバレッジを増加させる効果が得られる。
【0085】
放射素子を介して放射されるビームは、自身を放射した放射素子の偏波方向(自身を放射した放射素子に設定されている偏波方向)を有する。例えば、TRx1を共有する第1の放射素子1212と第5の放射素子1222を介して放射されるビームは、+45度の偏波方向を有し、TRx2を共有する第2の放射素子1214と第6の放射素子1224を介して放射されるビームは、-45度の偏波方向を有する。また、TRx3を共有する第3の放射素子1216と第7の放射素子1226を介して放射されるビームは、水平方向の偏波方向を有し、TRx4を共有する第4の放射素子1218と第8の放射素子(1228)を介して放射されるビームは、垂直方向の偏波方向を有する。
【0086】
ここで、±45度の偏波方向を有するビームを第1のビームと称し、垂直方向の偏波方向を有するビームと水平方向の偏波方向を有するビームを第2のビーム(V/H)と称する。
【0087】
偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200を介して放射されるビームが空間上で分離するように、入力された信号(又は送信信号)間の位相を互いに異なるように設定する。偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、フェーズシフター(phase shifter)などを用いて具現する。
【0088】
偏波/分離ビーム整形モジュール1230を介して位相が互いに異なるように設定した信号は、カップリングした信号経路TRx1、TRx2、TRx3、TRx4を介してクワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200に入力され、設定した位相にしたがい、空間上で分離されてビーム形態で放射される。このとき、ビームは自身を放射した放射素子の偏波方向を有する状態で放射されるので、空間上で互いに隣接する2つのビームは互いに異なる偏波を有する。
【0089】
実施例2-1:面積効率性の向上(アンテナサイズ減少)
実施例2-1は、放射素子を効率的に配置してクワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200のサイズを減少させることで面積効率性を向上させる方法である。面積効率性を向上させる方法として、実施例1で説明したクワッド偏波アンテナモジュールの面積効率性向上方法を適用する。
【0090】
例えば、図12に示すように、第3の放射素子1216を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の上側に配置し、第4の放射素子1218を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の右側又は左側に配置する。これに対応し、第7の放射素子1226を第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の上側に配置し、第8の放射素子1228を第5の放射素子1222及び第2の 6放射素子1224の右側又は左側に配置する。
【0091】
別の例として、第3の放射素子1216を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の下側に配置し、第4の放射素子1218を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の右側又は左側に配置する。これに対応し、第7の放射素子1226を第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の下側に配置し、第8の放射素子1228を第5の放射素子1222及び第5の 6放射素子1224の右側又は左側に配置してもよい。
【0092】
また別の例として、図14に示すように、第1の放射素子1212を第3の放射素子1216及び第4の放射素子1218の左上側に配置し、第2の放射素子1214を第2の放射素子1214 3放射素子1216及び第4の放射素子1218の右上側又は左下側に配置する。これに対応し、第5の放射素子1222を第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228の左上側に配置し、第6の放射素子1224を第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228の右上側又は左下側に配置する。
【0093】
また別の例として、第1の放射素子1212を第3の放射素子1216及び第4の放射素子1218の右下側に配置し、第2の放射素子1214を第3の放射素子1216及び第4の放射素子1218の右上側又は左下側に配置する。これに対応し、第5の放射素子1222を第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228の右下側に配置し、第6の放射素子1224を第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228の右上側又は左下側に配置してもよい。
【0094】
また別の例として、図15に示すように、第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214を互いに交差するように配置し、第3の放射素子1216及び第4の放射素子1218を互いに交差するように配置する。これに対応し、第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224を互いに交差するように配置し、第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228を互いに交差するように配置する。
【0095】
ここで、第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214が互いに交差する地点又はポイントを第1の交差点1512と称し、第3の放射素子1216及び第4の放射素子1218が互いに交差する地点又はポイントを第2の交差点1514と称する。また、第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224が互いに交差する地点又はポイントを第3の交差点1522と称し、第7の放射素子1226及び第8の放射素子1228が互いに交差する地点又はポイントを第4の交差点1524と称する。
【0096】
実施例1-3と同様に、第1の交差点1512と第2の交差点1514との間の距離が最小の場合に第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210が占める面積の効率性が最大となり、第3の交差点1522と第4の交差点1524との間の距離が最小である場合に、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220が占める面積の効率性は最大となる。したがって、面積効率性を最大化するためには、第1の交差点1512と第2の交差点1514が互いに同じ位置に位置し、第3の交差点1522と第4の交差点1524も互いに同じ位置に位置する。
【0097】
一方、第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210と第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220は、様々な位置に配置してもよい。例えば、クワッド偏波アンテナモジュール1210、1220は、水平方向(horizontal、横方向)、垂直方向(vertical、縦方向)、又は対角線方向に配置する。
【0098】
クワッド偏波アンテナモジュール1210、1220を水平方向に配置する場合、第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210を左側に配置し、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220を右側に配置する、又は第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210を右側に配置し、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220を左側に配置する。
【0099】
クワッド偏波アンテナモジュール1210、1220を垂直方向に配置する場合、第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210を上側に配置し、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220を下側に配置する、又は第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210を下側に配置し、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220を上側に配置する。この場合、放射素子1212、1214、1216、1218、1222、1224、1226、1228のうち、垂直方向に配列した放射素子は、水平方向を基準に互いに異なる位置に配置してもよい。
【0100】
例えば、図13に示すように、第1のクワッド偏波アンテナモジュール1210を上側に配置し、第2のクワッド偏波アンテナモジュール1220を下側に配置すると、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228を垂直方向に配置する。この場合、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228は、垂直方向を基準に互いに異なる位置(互いに反対の位置)に配置してもよい。すなわち、第4の放射素子1218を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の左側に配置し、第8の放射素子1228を第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の右側に配置するか、第4の放射素子1218を第1の放射素子1212及び第2の放射素子1214の右側に配置し、第8の放射素子1228を第5の放射素子1222及び第6の放射素子1224の左側に配置する。
【0101】
垂直方向に配列した放射素子を垂直方向に対して互いに異なる位置に配置する理由は、十分な利得を有するナロービーム(予め設定した放射角度を有するナロービーム)を形成するためである。
【0102】
ビームの利得は放射素子の水平方向長さに依存するが、第3の放射素子1216と第7の放射素子1218の場合には水平方向に配列され、それ自体で十分な利得を有するナロービームを放射できる。しかしながら、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228は垂直方向に配列され、水平方向の長さが非常に短く、十分な利得を有するナロービームを放射しにくい。
【0103】
したがって、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228を互いに対称なる位置に配置し、第4の放射素子1218と第8の放射素子1228との間の距離差を放射素子の水平方向長さとして活用すれば、十分な利得を有するナロービームを形成する。
【0104】
実施例2-2:ビーム間の相関関係の改善(空間-偏波分離)
実施例2-2は、ビーム間の相関関係を改善するためにビームを空間上で分離して放射し(空間分離)、空間上で分離したビームの中で互いに隣接するビーム間の偏波を異なるように設定(偏波分離)する方法である。
【0105】
偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、ビームが空間上で互いに分離するように、入力信号の位相又は角度を設定する。例えば、偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、入力した信号のうち、TRx1及びTRx2に入力する信号の位相と、TRx3及びTRx4に入力する信号の位相を互いに異なるように設定する。
【0106】
互いに異なる位相に設定した信号は、放射素子1212、1214、1216、1218、1222、1224、1226、1228を介して放射され、このとき、各放射素子に設定した偏波方向を有するビームの形態で放射される。
【0107】
例えば、TRx1に入力した信号は、第1の放射素子1212及び第5の放射素子1222によって+45度の偏波方向を有するビームで放射され、TRx2に入力した信号は第2の放射素子1214及び第6の放射素子1224によって-45度の偏波方向を有するビームで放射される(第1のビーム)。また、TRx3に入力した信号は、第3の放射素子1216及び第5の放射素子1226によって水平方向の偏波方向を有するビームで放射され、TRx4に入力した信号は第4の放射素子1218及び第8の放射素子1228によって垂直方向の偏波方向を有するビームで放射される(第2のビーム)。
【0108】
水平方向空間-偏波分離
偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、入力した信号の位相を水平方向に互いに異なるように設定する。信号の位相が水平方向に互いに異なるように設定すると、クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200を通って放射されるビームを空間上で水平方向に分離する。
【0109】
ビームの水平方向空間-偏波分離に関する一例を図16に示す。±45度の偏波方向を有するビームは第1のビームを表し、V/Hの偏波方向を有するビームは第2のビームを表す。図16を見ると、本発明のアンテナ装置により、互いに異なる偏波又は偏波方向を有するビーム(第1のビーム及び第2のビーム)が空間上で水平方向に分離して放射されることが分かる。
【0110】
本発明のアンテナ装置によって空間-偏波分離したビームと従来のアンテナ装置によるビームとの比較を図17に示す。
【0111】
図17にて、点線の波形は従来のアンテナ装置によるビームを表し、実線の波形のうち、パターンで表されていない波形は本発明のアンテナ装置による第1のビーム(±45度)を表し、パターンで表された波形は、本発明のアンテナ装置による第2のビーム(V/H)を表す。
【0112】
図17を参照すると、本発明のアンテナ装置によると、ビームの水平方向空間-偏波分離を具現することができ、従来の方法と比べてさらに向上したアンテナ利得を導出することが分かる。また、本発明のアンテナ装置によると、セクタ(空間)が分離されるので、カバレッジを増加させる効果を提供できることが分かる。
【0113】
さらに、本発明のアンテナ装置によって放射されるビーム間にもオーバーラップ(overlap)する領域が存在するが、ビーム間の偏波が互いに互いに異なるため(偏波分離)、信号間の相関問題が解消されることが分かる。偏波分離による効果をさらに詳しく説明する図が図18に示されている。
【0114】
左側から右側に向かう方向を基準に、1番目のビームは±45度の偏波方向を有し、2番目のビームはV/Hの偏波方向を有するため、2つのビーム間の相関は十分に小さくなる。このような特性は、2番目のビームと3番目のビームとの間、3番目のビームと4番目のビームとの間にも成立する。
【0115】
1番目のビームと3番目のビームはどちらも±45度の偏波方向を有するが、空間分離によって距離が十分に離れているため(離間しているため)、2つのビーム間の相関関係も十分に小さくなる。このような特性は、2番目のビームと4番目のビームの間にも成立する。
【0116】
垂直方向空間-偏波分離
偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、入力した信号の位相を垂直方向に互いに異なるように設定する。信号の位相を垂直方向に互いに異なるように設定すると、クワッド偏波アンテナモジュールアレイ1200を介して放射されるビームを空間上で垂直方向に分離する。
【0117】
ビームの垂直方向空間-偏波分離に関する一例を図19に示す。±45度の偏波方向を有するビームは第1のビームを表し、V/Hの偏波方向を有するビームは第2のビームを表す。
【0118】
垂直方向に空間的に分離したビーム間にもオーバーラップ(overlap)する領域が存在するが、ビーム間の偏波が互いに異なるので(偏波分離)、信号間の相関関係問題が解消される。
【0119】
水平方向及び垂直方向空間-偏波分離
水平方向空間-偏波分離と垂直方向空間-偏波分離は、互いに独立して具現することも、一緒に具現することもできる。
【0120】
後者の場合、偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、入力した信号の位相を垂直方向と水平方向で互いに異なるように設定する。例えば、偏波/分離ビーム成形モジュール1230は、入力した信号の水平方向位相をa(aは2以上の自然数)個だけ互いに異なるように設定し、入力した信号の垂直方向位相をb(bは1以上の自然数)個だけ互いに異なるように設定する。
【0121】
このように、信号の位相が水平方向にa個だけ異なるように設定し、水平方向にb個だけ互いに異なるように設定すると、水平方向空間-偏波分離と垂直方向空間-偏波分離を同時に具現する。
【0122】
水平方向空間-偏波分離と垂直方向空間-偏波分離が同時に具現される一例を図20に示す。
【0123】
a個のセクタの各々に対してa個の水平方向に空間分離したビームを形成することができ、a個のセクタのそれぞれに対してb個だけ垂直方向に空間分離したビームを形成することができる。図20では、各セクタの全てに同じ個数(b個)のビームが垂直方向に空間分離されているとして表しているが、垂直方向に空間分離されるビームの個数は、各セクタごとに互いに同じでも異なっていてもよい。
【0124】
セクタaに発生したビーム(垂直方向に分離したビーム)のうち、±45度の偏波方向を有するビームとV/Hの偏波方向を有するビームは互いに異なる偏波方向を有するため、2つのビーム間の相関関係は十分に小さい。また、セクタaの±45度の偏波方向を有するビームとセクタa-1のV/Hの偏波方向を有するビームは互いに異なる偏波方向を有するため、2つのビーム間の相関関係も十分小さい。さらに、セクタaの±45度の偏波方向を有するビームとセクタ4の±45度の偏波方向を有するビームは互いに等しい偏波方向を有するが、水平方向空間分離によって距離が十分に離れているので(離間しているので)ビーム間の相関関係も十分に小さい。
【0125】
上で説明したように、本発明のアンテナ装置は、空間上で互いに隣接して位置するナロービーム間の偏波を互いに異なるように構成できるので、偏波間相関関係を改善して偏波の効率を完全に再利用できる偏波再利用(polarization reuse)を具現する。
【0126】
上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0127】
[関連出願の参照]
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2019年10月7日付で韓国に出願した特許出願番号第10-2019-0123822号、2019年12月10日付で韓国に出願した特許出願番号第10-2019-0163933号、及び2020年3月23日付で韓国に出願した特許出願番号第10-2020-0034821号に対して優先権を主張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】