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特表2022-551010スプリット単一ギア段自動車動力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-06
(54)【発明の名称】スプリット単一ギア段自動車動力システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20221129BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20221129BHJP
   B60K 6/38 20071001ALI20221129BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20221129BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
B60K6/36
B60K6/38
B60K6/442
B60K17/04 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528649
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2020100318
(87)【国際公開番号】W WO2021098221
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911127073.6
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ、 ウェイジ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 シュアリャン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジャンウェン
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
【Fターム(参考)】
3D039AA03
3D039AA07
3D039AB01
3D039AB27
3D039AC07
3D039AC23
3D039AD06
3D202AA02
3D202EE13
3D202EE16
3D202EE23
3D202FF12
(57)【要約】
スプリット単一ギア段自動車動力システムであって、エンジン(1)と、ISGモータ(3)と、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータ(5)と、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、ISGモータ(3)と駆動モータ(5)とが異軸に設けられており、ISGモータ(3)が、エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又はエンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、電磁クラッチがエンジン伝動機構の伝動軸又は動力出力軸に設けられ、かつエンジン伝動機構のファイナルギアが動力出力軸の一端に設けられており、駆動モータ伝動機構のファイナルギアも動力出力軸に設けられている。TMモータ(5)、ISGモータ(3)及び電磁クラッチの位置を工夫することにより、少なくとも5つの作動モードを実現することができ、TMモータ(5)の3段伝動及びエンジン(1)の2段伝動により、自動車の動力出力が向上し、かつ、該動力システムは、構造が簡単で、製造コストが安い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリット単一ギア段自動車動力システムであって、
前記動力システムが、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、
前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、
前記ISGモータが前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又は、前記ISGモータが、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペアを介して前記伝動軸に接続されており、
前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、
前記駆動モータ減速機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられている、ことを特徴とするスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項2】
前記エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、前記エンジンの出力軸に前記ISGモータ、前記電磁クラッチ及び第1ギアが設けられており、前記第1ギアの前記電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ前記エンジン出力軸に遊嵌されており、
前記第1出力軸と前記動力出力軸とが同じ軸であり、前記第1出力軸に第2ギアが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の動力システム。
【請求項3】
前記エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、前記エンジン出力軸に前記ISGモータ及び第1ギアが設けられており、前記第1出力軸と前記動力出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられ、かつ前記第1出力軸に第2ギアが設けられており、前記第2ギアの前記電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ前記電磁クラッチが前記動力出力軸に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の動力システム。
【請求項4】
前記ISGモータが、前記エンジン出力軸と異軸であり、ギアペアを介して前記エンジン出力軸に接続されている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の動力システム。
【請求項5】
前記電磁クラッチが電磁クラッチインナー及び電磁クラッチコイルを含み、前記電磁クラッチコイルが前記電磁クラッチインナー内に設けられており、前記電磁クラッチインナーの端面に結合歯が設けられている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の動力システム。
【請求項6】
前記駆動モータ伝動機構が駆動モータ出力軸、中間軸及び第2出力軸を含み、かつ前記第2出力軸と前記動力出力軸とが同じ軸であり、
前記駆動モータ出力軸に第7ギアが設けられており、前記中間軸に第8ギア及び第5ギアが設けられており、前記第2出力軸に第6ギアが設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載の動力システム。
【請求項7】
前記エンジン出力軸及び前記駆動モータ出力軸がそれぞれ前記動力出力軸の両側に設けられ、かつ前記中間軸と前記エンジン出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられている、ことを特徴とする請求項6に記載の動力システム。
【請求項8】
前記ISGモータの出力軸がダンパーを介して前記エンジンの出力軸に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の動力システム。
【請求項9】
前記駆動モータがTMモータである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の動力システム。
【請求項10】
前記動力出力軸の中間部位に第3ギアが設けられており、前記第3ギアが第4ギアを介して差動装置を回転駆動する、ことを特徴とする請求項9に記載の動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車動力分野に関し、具体的に、スプリット単一ギア段自動車動力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在一般的に使用されている燃料エンジン自動車には様々な弊害があり、世界各国で環境保護の改善への声が高まるに伴い、様々な電気自動車が現れている。将来は電気自動車の世界であるという考えが普遍的であるが、電池技術の問題が電気自動車の適用を妨げている。電池のエネルギー密度がガソリンと比較して数百倍劣っており、人々から要求される数値に遥かに達しておらず、電気自動車がまだ燃料エンジン自動車に取って代わることができないので、ハイブリッド動力装置による自動車が登場した。このようなハイブリッド動力装置は、エンジンの長い持続作動時間という利点を発揮しながら、汚染排出の削減にも役立つ。
【0003】
自動車動力システムが単一動力からハイブリッド動力になったため、自動車の変速機構造も変わった。現在、ハイブリッド動力を実現するために、自動車動力システムは、エンジンと電動機との2段伝動設置とするが、このような設置では、自動車の十分な動力を保証することができず、あるいは、自動車動力システムは、2段伝動及び3段伝動の複合設置とし、それに合わせて1つ又は複数の従来型クラッチを備えるが、シフト時に車両全体の動力システムの減衰が大きく、明らかなショック感が生じるといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、上記の既存の問題を解消するか、又は少なくとも部分的に解決するために、スプリット単一ギア段自動車動力システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明は、スプリット単一ギア段自動車動力システムを提供しており、前記動力システムは、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、
前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、
前記ISGモータが前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又は、前記ISGモータが、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペアを介して前記伝動軸に接続されており、
前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、
前記駆動モータ減速機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられている。
【0007】
また、前記エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、前記エンジンの出力軸に前記ISGモータ、前記電磁クラッチ及び第1ギアが設けられており、前記第1ギアの前記電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ前記エンジン出力軸に遊嵌されており、
前記第1出力軸と前記動力出力軸とが同じ軸であり、前記第1出力軸に第2ギアが設けられていてもよい。
【0008】
また、前記エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、前記エンジン出力軸に前記ISGモータ及び第1ギアが設けられており、前記第1出力軸と前記動力出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられ、かつ前記第1出力軸に第2ギアが設けられており、前記第2ギアの前記電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ前記電磁クラッチが前記動力出力軸に設けられていてもよい。
【0009】
また、前記ISGモータが、前記エンジン出力軸と異軸であり、ギアペアを介して前記エンジン出力軸に接続されていてもよい。
【0010】
また、前記電磁クラッチが電磁クラッチインナー及び電磁クラッチコイルを含み、前記電磁クラッチコイルが前記電磁クラッチインナー内に設けられており、前記電磁クラッチインナーの端面に結合歯が設けられていてもよい。
【0011】
また、前記駆動モータ伝動機構が駆動モータ出力軸、中間軸及び第2出力軸を含み、かつ前記第2出力軸と前記動力出力軸とが同じ軸であり、
前記駆動モータ出力軸に第7ギアが設けられており、前記中間軸に第8ギア及び第5ギアが設けられており、前記第2出力軸に第6ギアが設けられていてもよい。
【0012】
また、前記エンジン出力軸及び前記駆動モータ出力軸がそれぞれ前記動力出力軸の両側に設けられ、かつ前記中間軸と前記エンジン出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられていてもよい。
【0013】
また、前記ISGモータが、エンジン出力軸に固定されて同軸に設けられているか、又は、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペアを介して接続されていてもよい。
【0014】
また、前記ISGモータの出力軸がダンパーを介して前記エンジンの出力軸に接続されていてもよい。
【0015】
また、前記駆動モータがTMモータであってもよい。
【0016】
また、前記動力出力軸の中間部位に第3ギアが設けられており、前記第3ギアが第4ギアを介して差動装置を回転駆動してもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記スプリット単一ギア段自動車動力システムを用いることは下記の利点を有する。
【0018】
本発明は、TMモータ、ISGモータ及び電磁クラッチの位置を工夫することにより、少なくとも5つの作動モードを実現することができ、ISGモータとTMモータとを異軸に設けて、TMモータを3段減速とすることで、車両に十分な動力を提供し、エンジンを2段伝動出力とすることで、車両の高速走行時にエンジンが高効率作動領域にあるようにし、ISGモータがエンジンに直接接続されるか又はギアペアを介して接続されることにより、伝達損失が効果的に減少され、発電効率が高くなり、本動力システムによれば、自動車のシフト時に車両全体の動力衰減が少なくなり、ショック感がなく、かつ、本動力システムは、構造が簡単であり、製造コストが安い。
【0019】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解するために、以下、特に本発明の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものに過ぎず、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0021】
図1図1は、本発明の一実施例におけるスプリット単一ギア段自動車動力システムの構造模式図を示している。
図2図2は、本発明のもう1つの実施例におけるスプリット単一ギア段自動車動力システムの構造模式図を示している。
図3図3は、本発明の他の一実施例におけるスプリット単一ギア段自動車動力システムの構造模式図を示している。
図4図4は、本発明のさらなる一実施例におけるスプリット単一ギア段自動車動力システムの構造模式図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現されてもよく、ここに記載の実施例によって制限されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供されるものである。
【0023】
本発明の実施例は、スプリット(シリアル・パラレル)単一ギア段自動車動力システムを提供している。図1~4に示すように、該動力システムは、エンジン1と、ISGモータ3と、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータ5と、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、ISGモータ3と駆動モータ3とが異軸に設けられており、ISGモータ3がエンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか(図1及び図4を参照)、又は、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペア16を介して前記伝動軸に接続されており(図2及び図3を参照)、図2及び図3図1の変形であり、その相違点が、主に、ISGモータの設置位置が図1におけるものと異なることにある。
【0024】
ISGモータ3がエンジン1に直接又は間接的に接続されており、ISGモータ3の発電効率が向上し、ISGモータ3が、エンジン1を起動したり、自動車電池に充電したりするために利用可能であり、電磁クラッチがエンジン伝動機構の伝動軸又は動力出力軸に設けられており、電磁クラッチの状態がギア段に入っている状態とギア段に入っていない状態とに分けられ、エンジン1が自動車を駆動する状態にあるか否かは、電磁クラッチの状態変更によって制御される。電磁クラッチがギア段に入っている場合、エンジン1が車両に駆動動力を提供し、電磁クラッチがギア段に入っていない場合、エンジン1が車両に駆動動力を提供せず、かつ、エンジン伝動機構のファイナルギアが動力出力軸の一端に設けられており、前記駆動モータ減速機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられている。
【0025】
本発明における動力システムがエンジン1と駆動モータ5との2つの動力装置を含み、2つの動力装置が独立して作動し、それぞれエンジン伝動機構及び駆動モータ伝動機構によって車両の駆動を実現する。
【0026】
下記表1を参照して、該動力システムは、純電気モード、シリアルモード、パラレルモード、エンジン直接駆動モード及び制動回収モードの5つの駆動モードを提供することができる。駆動モードが純電気モードである場合、エンジン1及びISGモータ3が作動せず、電磁クラッチがギア段に入っていない状態にあり、駆動モータ5が作動し、駆動モータ5のみで動力を提供して車両を駆動する。駆動モードがシリアルモードである場合、ISGモータ3が作動し、その同時に、ISGモータ3がエンジン1を起動してエンジン1を作動させ、電磁クラッチがギア段に入っていない状態にあり、駆動モータ5が作動し、このとき、エンジン1がISGモータ3を駆動して発電させて自動車電池に供給し、駆動モータ5が車両に動力を提供する。駆動モードがパラレルモードである場合、エンジン1が作動し、ISGモータ3が作動し又は作動せず、電磁クラッチがギア段に入っている状態にあり、駆動モータ5が作動し、このとき、エンジン1が駆動モータ5とともに動力を提供して車両を駆動し、ISGモータ3が発電又は非発電状態にある。駆動モードがエンジン直接駆動である場合、エンジン1が作動し、ISGモータ3が作動せず、電磁クラッチがギア段に入っている状態にあり、駆動モータ5が作動せず、このとき、エンジン1が動力を提供して車両を駆動し、駆動モータ5が空転状態にある。駆動モードが制動回収である場合、エンジン1及びISGモータ3が作動せず、電磁クラッチがギア段に入っていない状態にあり、駆動モータ5が作動し、このとき、駆動モータ5が車両を逆方向に引きずって制動し、車両に対して制動を行い、駆動モータ5が車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して自動車電池に格納する。
【0027】
【表1】
【0028】
一実施例において、図1~4によれば、エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、エンジンの出力軸にISGモータ3、電磁クラッチ及び第1ギア4が設けられており、第1ギア4の電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつエンジン出力軸に遊嵌されており、第1ギア4の側辺における結合歯が電磁クラッチインナー12の端面における結合歯と噛み合うことが可能であり、第1出力軸と動力出力軸とが同じ軸であり、第1出力軸に第2ギア6が設けられている。エンジン1がエンジン出力軸を回転駆動する時、電磁クラッチインナー12が従動して回転し、第1ギア4がエンジン出力軸に遊嵌されているため、電磁クラッチがギア段に入っていない場合、第1ギア4がエンジン出力軸の回転に伴って回転せず、電磁クラッチがギア段に入っている場合、第1ギア4の側辺における結合歯が電磁クラッチインナー12の端面における結合歯と噛み合い、さらに、電磁クラッチインナー12に連れられて第1ギア4が回転し、そして、エンジン出力軸が第1ギア4と第2ギア6との噛み合いによって第1出力軸を回転駆動する。
【0029】
一実施例において、エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、エンジン出力軸にISGモータ3及び第1ギア4が設けられており、第1出力軸と動力出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられ、かつ第1出力軸に第2ギア6が設けられており、第2ギア6の電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ電磁クラッチが動力出力軸に設けられており、第2ギア6上の結合歯が電磁クラッチインナー12上の結合歯と噛み合うことが可能である。エンジン1が作動時にエンジン出力軸を回転駆動し、エンジン出力軸が第1ギア4と第2ギア6との噛み合いによって第1出力軸を回転駆動し、第1出力軸と動力出力軸とが間隔をあけて設けられており、動力出力軸が第1出力軸の回転に伴って直接回転することはなく、電磁クラッチがギア段に入っている場合に限り、第2ギア6上の結合歯が電磁クラッチインナー12上の結合歯と噛み合い、第1出力軸が動力出力軸を回転駆動することを実現する。
【0030】
一実施例において、前記ISGモータが、前記エンジン出力軸と異軸であり、ギアペアを介して前記エンジン出力軸に接続されている。その具体的な接続形態については、図2及び図3を参照してもよい。
【0031】
図2に示すように、ISGモータ3が駆動モータ5とは同じ側に設けられてもよく、かつ、前記2つのモータの出力軸の向きが同じであり、ISGモータ3の出力軸がギアペア16を介してエンジン出力軸(又はエンジン出力軸の延長軸)に接続されており、このとき、駆動モータ伝動機構における第8ギア14及び第5ギア13が前記エンジン出力軸(延長軸)に外装されている。
【0032】
図3に示すように、ISGモータ3が駆動モータ5とは他方側に設けられてもよく、好ましくは、前記ISGモータ3と動力出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられており、同様に、前記ISGモータ3及び駆動モータ5の出力軸の向きが図3の左側方向であり、ISGモータ3の出力軸がギアペア16を介してエンジン出力軸(又はエンジン出力軸の延長軸)に接続されており、このとき、駆動モータ伝動機構における第8ギア14及び第5ギア13が前記エンジン出力軸(延長軸)に外装されている。かつ、図3において、前記駆動モータ伝動機構が電磁クラッチの左側に位置し、エンジン伝動機構が電磁クラッチの右側に位置し、このような配置は、図1、2、4におけるものとは反対である。
【0033】
一つの好ましい実施例において、電磁クラッチが電磁クラッチインナー12及び電磁クラッチコイル11を含み、電磁クラッチコイル11が電磁クラッチインナー12内に設けられており、電磁クラッチコイル11及び電磁クラッチインナー12の周囲には、電磁クラッチコイル11と電磁クラッチインナー12とが相対的に移動するのに十分な空間があり、電磁クラッチコイル14がエンジン伝動機構の伝動軸又は動力出力軸に対して動かずに固定されており、電磁クラッチインナー12の端面に結合歯が設けられている。
【0034】
一実施例において、駆動モータ伝動機構が、駆動モータ出力軸、中間軸及び第2出力軸を含み、かつ第2出力軸と動力出力軸とが同じ軸であり、駆動モータ出力軸に第7ギア15が設けられており、中間軸に第8ギア14及び第5ギア13が設けられており、第2出力軸に第6ギア10が設けられている。駆動モータ5が作動する時、駆動モータ出力軸が回転し、駆動モータ出力軸が第7ギア15と第8ギア14との噛み合いによって中間軸を回転駆動し、中間軸が第5ギア13と第6ギア10との噛み合いによって第2出力軸を回転駆動する。駆動モータ伝動機構が3段減速であり、この構造は、車両の強力な動力を保証するのに十分なトルクを提供することができる。
【0035】
一実施例において、エンジン出力軸及び駆動モータ出力軸がそれぞれ動力出力軸の両側に設けられ、かつ中間軸とエンジン出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられている。
【0036】
一実施例において、ISGモータ3の出力軸とエンジンの出力軸とがダンパー2を介して接続されており、該ダンパー2がねじりダンパーであり、エンジンクランク軸と伝動系との接合部分のねじり剛性を低減できることにより、伝動系のねじり振動の固有周波数を低減し、伝動系のねじり減衰を増やし、ねじり共振に対応する振幅を抑制するとともに、衝撃による一過性のねじり振動を減衰し、変速機のアイドル騒音とメイン減速機、変速機のねじり振動及び騒音を除去し、クラッチの接合円滑性を改善している。
【0037】
さらに、駆動モータ5がTMモータであり、TMモータが大トルクモータであり、車両に十分な動力を提供することができる。
【0038】
さらに、動力出力軸の中間部位に第3ギア7が設けられており、第3ギア7が第4ギア8を介して差動装置9を回転駆動する。
【0039】
要約すると、本発明に開示されたスプリット単一ギア段自動車動力システムは、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、前記ISGモータが、前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又はエンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、前記駆動モータ減速機構のファイナルギアが前記動力出力軸の他端に設けられている。本発明は、TMモータ、ISGモータ及び電磁クラッチの位置を工夫することにより、少なくとも5つの作動モードを実現することができ、TMモータの3段伝動及びエンジンの2段伝動により、自動車の動力出力が向上し、かつ、該動力システムは、構造が簡単で、製造コストが安いといった利点を有する。
【0040】
上記したのは、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれらに限定されず、当分野に詳しい当業者であれば、本発明に開示された技術範囲内で誰でも容易に想到され得る変化、置換又は改良は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0041】
1 エンジン、2 ダンパー、3 ISGモータ、4 第1ギア、5 駆動モータ、6 第2ギア、7 第3ギア、8 第4ギア、9 差動装置、10 第6ギア、11 電磁クラッチコイル、12 電磁クラッチインナー、13 第5ギア、14 第8ギア、15 第7ギア、16 ギアペア。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリット単一ギア段自動車動力システムであって、
前記動力システムが、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、
前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、
前記ISGモータが前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又は、前記ISGモータが、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペアを介して前記伝動軸に接続されており、
前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、
前記駆動モータ減速機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられており、
前記エンジン伝動機構がエンジン出力軸及び第1出力軸を含み、前記エンジン出力軸に前記ISGモータ及び第1ギアが設けられており、前記第1出力軸と前記動力出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられ、かつ前記第1出力軸に第2ギアが設けられており、前記第2ギアの前記電磁クラッチに近い側に結合歯が設けられ、かつ前記電磁クラッチが前記動力出力軸に設けられている、ことを特徴とするスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項2】
前記ISGモータが、前記エンジン出力軸と異軸であり、ギアペアを介して前記エンジン出力軸に接続されている、ことを特徴とする請求項に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項3】
前記電磁クラッチが電磁クラッチインナー及び電磁クラッチコイルを含み、前記電磁クラッチコイルが前記電磁クラッチインナー内に設けられており、前記電磁クラッチインナーの端面に結合歯が設けられている、ことを特徴とする請求項に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項4】
前記駆動モータ伝動機構が駆動モータ出力軸、中間軸及び第2出力軸を含み、かつ前記第2出力軸と前記動力出力軸とが同じ軸であり、
前記駆動モータ出力軸に第7ギアが設けられており、前記中間軸に第8ギア及び第5ギアが設けられており、前記第2出力軸に第6ギアが設けられている、ことを特徴とする請求項に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項5】
前記エンジン出力軸及び前記駆動モータ出力軸がそれぞれ前記動力出力軸の両側に設けられ、かつ前記中間軸と前記エンジン出力軸とが間隔をあけて同軸に設けられている、ことを特徴とする請求項に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項6】
前記ISGモータの出力軸がダンパーを介して前記エンジンの出力軸に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項7】
前記駆動モータがTMモータである、ことを特徴とする請求項1に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【請求項8】
前記動力出力軸の中間部位に第3ギアが設けられており、前記第3ギアが第4ギアを介して差動装置を回転駆動する、ことを特徴とする請求項に記載のスプリット単一ギア段自動車動力システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、スプリット単一ギア段自動車動力システムを提供しており、前記動力システムは、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、
前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、
前記ISGモータが前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又は、前記ISGモータが、エンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、ギアペアを介して前記伝動軸に接続されており、
前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、
前記駆動モータ伝動機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
ISGモータ3がエンジン1に直接又は間接的に接続されており、ISGモータ3の発電効率が向上し、ISGモータ3が、エンジン1を起動したり、自動車電池に充電したりするために利用可能であり、電磁クラッチがエンジン伝動機構の伝動軸又は動力出力軸に設けられており、電磁クラッチの状態がギア段に入っている状態とギア段に入っていない状態とに分けられ、エンジン1が自動車を駆動する状態にあるか否かは、電磁クラッチの状態変更によって制御される。電磁クラッチがギア段に入っている場合、エンジン1が車両に駆動動力を提供し、電磁クラッチがギア段に入っていない場合、エンジン1が車両に駆動動力を提供せず、かつ、エンジン伝動機構のファイナルギアが動力出力軸の一端に設けられており、前記駆動モータ伝動機構のファイナルギアも前記動力出力軸に設けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
要約すると、本発明に開示されたスプリット単一ギア段自動車動力システムは、エンジンと、ISGモータと、エンジン伝動機構と、電磁クラッチと、駆動モータと、駆動モータ伝動機構と、動力出力軸とを含み、そのうち、前記ISGモータと前記駆動モータとが異軸に設けられており、前記ISGモータが、前記エンジン伝動機構の伝動軸に設けられているか、又はエンジン伝動機構の伝動軸と異軸であり、前記電磁クラッチが前記エンジン伝動機構の前記伝動軸又は前記動力出力軸に設けられ、かつ前記エンジン伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の一端に設けられており、前記駆動モータ伝動機構のファイナルギアが前記動力出力軸の他端に設けられている。本発明は、TMモータ、ISGモータ及び電磁クラッチの位置を工夫することにより、少なくとも5つの作動モードを実現することができ、TMモータの3段伝動及びエンジンの2段伝動により、自動車の動力出力が向上し、かつ、該動力システムは、構造が簡単で、製造コストが安いといった利点を有する。
【国際調査報告】