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特表2022-551021特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器
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  • 特表-特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器 図1
  • 特表-特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器 図2
  • 特表-特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器 図3
  • 特表-特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】特に超音波ガスメータ用の流れ湾曲部内ガス流れ調整器
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20221130BHJP
   F15D 1/04 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
F15D1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575971
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 IB2021055096
(87)【国際公開番号】W WO2021229554
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】PV2020-381
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521553195
【氏名又は名称】オイル アンド ガス メータリング エクイップメント エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ミカン, ジャロスラヴ
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CF01
(57)【要約】
特に超音波流量計における、流れ湾曲部(1)内ガス流れ調整器であって、少なくとも1枚の長手方向分割板(2)を、流れ湾曲部(1)の内部空間(5)に設けるガス流れ調整装置に関する。流れ湾曲部(1)は、好適には、入口曲線区間(6)、中間直線区間(7)、及び出口曲線区間(8)を備え、入口曲線区間(6)と出口曲線区間(8)の軸は、平行方向にあり、サイズDNの管開口部に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に超音波流量計における、流れ湾曲部(1)内ガス流れ調整器であって、少なくとも1枚の長手方向分割板(2)を、前記流れ湾曲部(1)の内部空間(5)に設ける
ことを特徴とするガス流れ調整器。
【請求項2】
前記流れ湾曲部(1)は、入口曲線区間(6)、中間直線区間(7)、及び出口曲線区間(8)を備え、前記入口曲線区間(6)と前記出口曲線区間(8)の軸は、平行方向にあり、サイズDNの管開口部に接続される
請求項1に記載のガス流れ調整器。
【請求項3】
少なくとも1枚の長手方向板(2)は、前記流れ湾曲部(1)の軸に対して、前記流れ湾曲部(1)において対称的に位置決めされる
請求項1または2に記載のガス流れ調整器。
【請求項4】
少なくとも1枚の長手方向板(2)は、前記流れ湾曲部(1)の軸に対して、前記流れ湾曲部(1)において非対称的に位置決めされる
請求項1または2に記載のガス流れ調整器。
【請求項5】
前記中間直線区間(7)の軸は、水平方向にある
請求項2ないし4のいずれかに記載のガス流れ調整器。
【請求項6】
前記中間直線区間(7)の軸は、垂直方向にある
請求項2ないし4のいずれかに記載のガス流れ調整器。
【請求項7】
DNサイズの管のレイノルズ数は、2,320より高い
請求項1ないし6のいずれかに記載のガス流れ調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術的解決手段は、流れ湾曲部内の、即ち、測定部分の上流または下流で、ガス流れ方向が湾曲するセグメント、円弧またはL型曲がり(elbow)等内のガス流れ調整器のことを指す。この解決手段は、特に天然ガス供給時における、超音波ガスメータを用いたガス測定に使用される。
【背景技術】
【0002】
すべてのガス流れ調整器は、現在、超音波ガスメータの上流で直管内に配設されている。超音波センサによる測定は、流れが安定した後に、この調整器から少し離れた所で、行われる。如何なる湾曲も、超音波ガスメータの測定精度に悪影響を与える流れの乱れの原因となる。
【0003】
ガス流れの湾曲部に配設できる超音波ガスメータ用調整器は、全く存在しない。
【0004】
既存の超音波ガスメータ用調整器の主な欠点として、直管路でのみ使用できる点や、超音波センサで測定する区間を、調整器から少し離れた下流に配置しなければならない点が挙げられる。既存の調整器は、著しい圧力損失を生じさせ、特にその小開口部内には、様々なゴミの粒子が詰まってしまう。既存の調整器に関して、その生産には、費用がかかり、通常、専用品(one-off)である。既存の調整器は、通常、直接メータ本体に配設されず、メータから一定の距離上流に、10DNまでで、配設される。流れ調整器と測定区間の間にある如何なる湾曲も、大きな流れの乱れ、即ち、測定の精度や範囲にマイナスの影響を与える渦生成の原因となる。
【0005】
超音波ガスメータ用に幾つかの流れ調整器の設計が存在し、最も一般的な設計は、超音波センサ測定区間から少し離れた上流に配設する多孔板調整器である。この調整器は、所謂「層状速度プロファイル」を生じさせる。この層状速度プロファイルは、大管径について、高圧で高流量率の測定に適している。層状プロファイルについて測定するように設計された超音波ガスメータは、多数の超音波センサを備えねばならない。かかる超音波ガスメータの設計は、高価であり、大管径にのみ適している。
【0006】
他の様々な種類の流れ調整器が、技術慣例から知られている。特に、これらは、Zankerの流れ調整器、Zankerの板流れ調整器、Sprekleの流れ調整器、Gallagherの流れ調整器、K-Lab NOVA 流れ調整器、NEL(Spearmanの)流れ調整器等を含む。上記の流れ調整器は、圧力損失が著しく、超音波ガスメータの直管上流に配設されねばならず、複雑で、製造費用が高い。
【0007】
超音波ガスメータの原理は、超音波の速度、即ち、ガス流れの方向及び反対方向の信号を測定することに基づいている。超音波センサは、管軸に斜めに配置され、信号の送信機と受信機間の流動時間が測定される。超音波信号は、流動するガスによって加速または減速される。異なる時間から、平均のガス流速または流量率または流量が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】チェコ共和国特許出願PV2019-161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の欠点を、主に、本発明による、特に超音波流量計における、セグメント、円弧、またはL型曲がり等の流れ湾曲部内のガス流れ調整器によって解消する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その要点は、少なくとも1枚の長手方向分割板を、流れ湾曲部の内部空間に設けることである。
【0011】
流れ湾曲部は、好適には、入口曲線区間、中間直線区間、及び出口曲線区間を備え、入口曲線区間と出口曲線区間の軸は、平行方向にあり、呼び径DNの管開口部に接続される。
【0012】
少なくとも1枚の長手方向板は、流れ湾曲部の軸に対して、流れ湾曲部において対称的に配設される、または流れ湾曲部の軸に対して、非対称的に配設される。中間直線区間の軸は、水平方向または垂直方向に位置決めされてもよい。DNサイズの配管のレイノルズ数は、2,320より高い。
【0013】
本発明の要点は、流れ調整器のための新たな解決手段を提案することであり、この解決手段は、乱流を引き起こし、渦等の流れの乱れを無くし、圧力損失を低減する、1~n枚の曲面板から成る。
【0014】
乱流では、速度プロファイルは極めて平坦で、ガスは、流れ断面図の大部分で殆ど同じ速度で流れる。発生した流れの種類は、所謂レイノルズ数Reで判定される。レイノルズ数は、無次元数であり、理論限界値は、2,320とされている。この値未満を、層流といい、この値超を、乱流という。本発明の解決手段は、ReDの値、即ちDNサイズの管に対するレイノルズ数を、理論限界値よりかなり高くなるようにすることを目指す。
【0015】
板の数、形状、及び位置決めは、数値シミュレーション法と粒子画像速度測定法(PIV:Particle Image Velocimetry)による測定に基づいて行われる。この方法は、板を配設するのに適切な場所、及び理想的な板厚を示すであろう。板数は、運転条件や顧客仕様に応じて変えることができる。
【0016】
本発明による解決手段の利点は、主として、ガスメータの配管上流で発生する大小さまざまな乱れの影響を無くす点にある。この解決手段は、ガスが流れる方向が変化する配管の区間に使用するのに適している。超音波センサで測定する区間を、この調整器の略直後に配設してもよい。設計された調整器は、圧力損失を低減する。大きな利点は、使用する開口部が十分に大きいため、調整器が様々な不純物で詰まらない点である。
【0017】
この調整器は、容易に且つ安価に、大量生産でも製造できる。この調整器は、コンパクトな超音波ガスメータ内部に配設するのに適しており、その結果、必要な施工長さ、即ちフランジ間寸法を、達成できる。この解決手段は、湾曲部で起こる流れの乱れを無くし、その結果、確実に超音波センサで高精度で広い範囲を測定できる。この調整器は、摩耗、断裂、腐食を受けないアルミニウムまたはプラスチック等の材料で設計されているので、メンテナンスを全く必要としない。この調整器の形状では、ゴミは蓄積できない。調整器の寿命は、超音波ガスメータと同じである;そのため、メータの所有コストは、全く増加しない。調整器は、単一材料で作製でき、ガスメータから取外しできるため、調整器の寿命が来たときに分離し、その後リサイクルするのがかなり簡単になる。
【0018】
本発明による流れ調整器について、添付図を参照しながら特定の例示の実施形態で更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】特に天然ガス用の、例示的な流れ調整器を、不等角投影図で示している。
図2】調整器を備えたセグメントを、断面図と平面図で示している。
図3】特に天然ガス用の、流れ調整器のより長い実施形態を、不等角投影図で示している。
図4】超音波ガスメータの縦断面を表して、曲面板を有する調整器の具体的な使用について示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2に示した例示的な湾曲セグメント内流れ調整器は、3枚の長手方向板2、3及び4を有する湾曲セグメント1を含む。このセグメントは、最大180°の流れ方向における変化、即ち、セグメントの上流の流れ方向は、セグメントの下流の流れ方向と逆になることを、可能にするように形成される。セグメントは、2本の平行な管、即ち、2つの平行な円形開口部に嵌合される。管間の距離は、任意に選択できる;管間の距離は、流れ調整器の機能に影響を与えない-図3
【0021】
板2、3、4は、セグメントの湾曲部1の形状に従い形成され、3つの区間-入口曲線区間6、中間直線区間7、及び出口曲線区間8から成る。曲線の半径は、所望する速度プロファイルを生成するように選択する。
【0022】
板2、3、4の位置は、一定の比率を保つ場合がある、または板2、3、4を、最適な速度プロファイルを達成するために、片方により密に配設する。調整器は、水平方向と垂直方向の両方に配設できる。調整器は、異なるDNサイズの管に使用できる。板2、3、4の数は、DNサイズに依存する。最小サイズには、1または2枚の板を存在させ;サイズが大きくなると、板の数を、例えば、3からn枚に、増加させる。
【0023】
調整器は、様々な材料、例えば、プラスチック、金属等で作成できる。可能な製造技術には、プラスチックや金属の3D印刷、金属溶接、プラスチックの射出成形等がある。使用する材料及び技術は、常に、特定のマーケットの要件に依存する。板の位置は、ガスメータの必要な測定範囲によって決定される。
【0024】
この流れ調整器は、コンパクトな超音波ガスメータ内に配設する。チェコ共和国特許出願第PV2019-161(特許文献1)参照。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に従よる流れ調整器は、特に家庭、庁舎、工業用建物等での天然ガス供給時のガス測定において、超音波流量計内で主にその利用が見られる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】