(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】欠陥低減のための研磨用組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577442
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019045489
(87)【国際公開番号】W WO2021002880
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】マクドナフ、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】アルバラド、ソール
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA03
5F057AA16
5F057AA28
5F057BA15
5F057BA22
5F057BB23
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA08
5F057EA09
5F057EA16
5F057EA22
5F057EA25
5F057EA26
5F057EA27
(57)【要約】
化学機械研磨用組成物は、研磨剤、第1除去率向上剤、及び水を含み、前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定された場合、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤と、
第1除去率向上剤と、
水と、
を含む化学機械研磨用組成物であって、
前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定された場合、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有する、
化学機械研磨用組成物。
【請求項2】
前記第1除去率向上剤は、有機酸、及び有機酸塩、アミノ酸、カルボン酸、ポリアミン、アンモニア系化合物、第四級アンモニウム化合物、無機酸、カルボキシル官能基とアミノ官能基との両方を有する化合物、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、並びにそれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アゾール及びアゾール誘導体からなる群から選択される腐食防止剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アルミナ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、被覆粒子、チタニア、セリア、ジルコニア、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される研磨剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記研磨剤は、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の研磨剤の量は、少なくとも0.05重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
過酸化水素、過硫酸アンモニウム、硝酸銀、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、過酸、過酸基塩、オゾン水、フェリシアン化カリウム、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、臭素酸カリウム、三酸化バナジウム、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、硝酸第二鉄、KMnO
4、他の無機又は有機の過酸化物、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される酸化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
界面活性剤、第2除去率向上剤、殺生物剤、表面仕上げ剤、pH調整剤、欠陥低減剤、ディッシング低減剤、動的表面張力低減剤、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定される場合、粗大粒子数/重量%研磨剤を測定する前には濾過されない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定される場合、粗大粒子数/重量%研磨剤を測定する前に、配合後少なくとも3日間エージングされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
研磨剤と、
第1除去率向上剤と、
水と、
を含む化学機械研磨用組成物であって、
前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定される場合、粗大粒子数/重量%固形物の関係に関して50000未満の値を有する、
化学機械研磨用組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を基板に塗布するステップと、
研磨パッドで前記基板に圧力を加えて前記基板の表面の少なくとも一部を除去するステップと、
を含む、基板を研磨する方法。
【請求項13】
研磨用組成物を調製する方法であって、
前記研磨用組成物は、
研磨剤と、
第1除去率向上剤と、
水と、
を含み、
前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定された場合、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有し、
前記方法は、
前記値に一致するように前記研磨剤を選択するステップと、
前記研磨剤、前記第1除去率向上剤、及び前記水を混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記研磨剤は、前記混合するステップの前に濾過されない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記研磨剤を前記値に一致するように化学的に処理するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記値に一致するように化学合成を経由して前記研磨剤を形成するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.開示の分野
本開示は、化学機械研磨用組成物に関する。より具体的には、本開示は所望の閾値を下回る粗大粒子数を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
銅は、半導体製造において相互接続を形成するために一般的に使用されている材料である。例えば、ダマシンプロセスによって銅インレイド構造が形成されると、インレイド線間の銅とバリア金属を研磨、除去することによってアイソレーション銅線が作られる。銅とバリア層のCMPは、銅とバリア層の研磨を含む。スループットを向上させるために、全体的な欠陥の数が少ないなどの好ましいウェハ特性を依然として維持しながら、材料の高い除去率でウェハを研磨することが望まれる。
【0003】
化学機械研磨又は化学機械平坦化(CMP)として知られるプロセスは、研磨パッドとスラリーを使用して半導体ウェハ上の様々な層を研磨/平坦化し、後続の層を構築する前に材料の余分な、又は不要な層を研磨して除く。銅は、半導体製造で相互接続を形成するために一般的に使用される材料である。銅のインレイド構造が、例えば、ダマシンプロセスによって指示されたパターンに従って銅を堆積するダマシンプロセスによって形成されると、アイソレーション銅線がインレイド配線間の銅とバリア金属を研磨し、除去することによって作られる。
【0004】
銅とバリア層のCMPは、研磨用スラリー又は複数の研磨用スラリーを使用して、半導体製造プロセスの次のステップに進むために必要な程度に銅とバリア層を除去することを含む。典型的な銅CMPプロセスは、3つのプロセスステップから成る。まず、電気メッキされた銅の過剰積層(テクノロジーノードによっては最大5μm以上の厚さになる場合がある)が比較的高いダウンフォースで急速に研磨され、堆積トポグラフィが完全に平坦化されるまで、ある程度の銅を残す。最初のステップで完全に平坦化した後の残りの銅の過剰積層は、より低いダウンフォースで研磨されてバリア層で停止する。スループットを向上させるために、平坦化効率及び低欠陥が組み合わされた高い除去率は、CMPプロセスの重要なニーズである。特に、銅のCMPステップからの望ましくない深いスクラッチは、その後のバリア研磨で除去されないほど十分な深さである場合、チップ製造の後の段階の間、持続する場合がある。これらのタイプのスクラッチは、最終的にデバイスのパフォーマンスを低下させ、デバイスが機能しなくなり、ダイの歩留まりが低下する可能性がある。
【0005】
CMPプロセスは、銅及び/又は誘電体材料以外の金属を含む(場合によっては更に銅を含む)基板を研磨するためにも同様に使用される。したがって、改善された研磨用組成物及びそれらの使用方法が、半導体産業において求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、請求された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図されておらず、請求された主題の範囲を制限する際の補助として使用されることも意図されていない。
【0008】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、研磨剤、第1除去率向上剤及び水を含む化学機械研磨用組成物に関し、前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定した場合、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有する。本開示はまた、前記組成物を用いて基板を研磨する方法を提供する。
【0009】
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、研磨剤、第1除去率向上剤、及び水を含む化学機械研磨用組成物に関し、前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定した場合、粗大粒子数/重量%固形物の関係に関して50000未満の値を有する。
【0010】
別の態様では、本開示は、研磨用組成物を調製する方法を提供し、前記研磨用組成物は、研磨剤、第1除去率向上剤、及び水を含む。前記研磨用組成物は、0.2μmのビンサイズを使用して測定した場合、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有する。前記方法は、前記の値に一致するように研磨剤を選択し、研磨剤、第1除去率向上剤、及び水を組み合わせるステップを含む。
【0011】
請求された主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付された請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】先行技術の未濾過スラリー(
図1~13では「標準スラリー」)、及び本開示に係る未濾過組成物(
図1~13では「低欠陥スラリー」)の0.56μmのビンサイズを使用したLPCの計数値を示す。
【
図2】1.01μmのビンサイズを使用した、先行技術の未濾過スラリー、及び本開示に係る未濾過組成物についてのLPCの計数値を示す。
【
図3】0.29μmのビンサイズを使用した、先行技術の未濾過スラリー、及び本開示に係る未濾過組成物についてのLPCの計数値を示す。
【
図4】0.2μmのビンサイズを使用した、先行技術の未濾過スラリー、及び本開示に係る未濾過組成物についてのLPCの計数値を示す。
【
図5】先行技術のスラリー及び本開示に係る組成物についての正規化された銅除去率の比較を示すプロットである。
【
図6】先行技術のスラリー及び本開示に係る組成物を使用して、様々なCuパターン(すなわち、線幅/密度)を有するウェハを研磨した後に観察されたディッシングの比較を示すプロットである。
【
図7】先行技術の研磨用スラリーと比較した、本開示の組成物についての正規化された総欠陥数を示す。
【
図8】先行技術の研磨用スラリーと比較した、本開示の組成物についてのスクラッチの正規化された総数を示す。
【
図9】0.2μmのビンサイズを使用した、10種類の研磨用組成物についてのエージング0日目、3日目、及び7日目のLPCの計数値を示す。
【
図10】0.29μmのビンサイズを使用した、10種類の研磨用組成物についてのエージング0日目、3日目、及び7日目のLPCの計数値を示す。
【
図11】0.56μmのビンサイズを使用した、10種類の研磨用組成物についてのエージング0日目、3日目、及び7日目のLPCの計数値を示す。
【
図12】1.01μmのビンサイズを使用した、10種類の研磨用組成物についてのエージング0日目、3日目、及び7日目のLPCの計数値を示す。
【
図13】0.1μmのデプスフィルターを使用して濾過された後、先行技術の研磨用スラリー及び本開示の組成物について0.2μmのビンサイズを使用して11日間にわたって測定されたLPCの計数値のプロットを示す。
【
図14】配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.2μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%シリカを示す。
【
図15】配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.29μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%シリカを示す。
【
図16】配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.2μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%固形物を示す。
【
図17】配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.29μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%固形物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される実施形態は、既知のCMP組成物と比較された場合に、欠陥、特にマイクロスクラッチを最小化することができる化学機械研磨用組成物を提供する。本開示の組成物は、規定レベル未満に特に制限される粗大粒子数(LPC)を有する研磨剤を含む。それにより、本開示の組成物を使用する場合、同じ又はより高い程度の研磨活性を維持しながら、より高いレベルのLPCの有害な影響(例えば、高レベルの欠陥)が回避又は最小化される。
【0014】
本開示の組成物は、ある粗大粒子数(LPC)を有し、これは特定のサイズよりも大きく、特定の閾値よりも小さい粒子の数を指す。CMP分野では、組成物のLPCと研磨面の欠陥(例えば、スクラッチ)の数との間に明確な相関関係が見られないままである。本発明者らは、驚くべきことに、組成物のLPCの数値が、組成物中の研磨剤(又は固形物)の量に関して特定の量未満に保たれる場合に、明らかに改善された効果があることを見出した。
【0015】
CMPスラリー中のLPCは、スラリー中で使用される研磨剤、又はスラリー配合中に固形物として加えられる他の成分に由来する場合があるが、当該他の成分は、経時的に溶解する可能性があり、その溶解はゆっくりと、且つ/又は不完全であり得る(例えば、腐食防止剤、除去率向上剤など)。本願において更に詳細に説明されるように、本発明者らは、800000LPC/重量%研磨剤未満(すなわち、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満のLPCの数値)を含む研磨用組成物を使用することにより、LPCが0.2μmのビンサイズを使用して測定された場合(すなわち、LPCが0.2μmより大きい粒子として分類される場合)、同じ又はより高い研磨率を維持しながら、スクラッチ又は欠陥が研磨中に最小限に抑えられ得ることを見出した。さらに、関連して、LPCが0.2μmのビンサイズを使用して測定される場合、50000未満のLPC/重量%固形物(すなわち、配合中に固形物として加えられた成分の粗大粒子数/重量%の関係に関して50000未満のLPCの値)を有する研磨用組成物は、より高いLPC/重量%固形物の読み取り値を有する組成物に比べて少ないウェハ欠陥及びスクラッチも達成する。固形物の%は、配合の間に固形の形態で加えられるすべての成分を含み、その一部がエージングにより最大限溶解する又は部分的に溶解する可能性がある点で研磨剤の%とは異なることが意図される。発明者らが多種多様な組成物(例えば、0.08重量%から10重量%の研磨剤を有する組成物)でより多くのスクラッチがよく見られることを観察したように、上記の範囲外のLPCの計数値がある場合は、LPCの計数値を重量%研磨剤又は重量%固形物のいずれかに標準化することにより、それらの全体的な組成に関係なく、組成物の直接比較が可能になる。
【0016】
以下でより詳細に議論されるように、本開示で述べた利点は、本明細書で特定した閾値よりも従来の高い閾値を用いてLPCを測定した場合には現れなかったので、驚くべきものであった。請求された比率の利点は、以下で説明する、より小さなビンサイズを使用してLPCを測定する場合にのみ現れる。さらに、CMP組成物の除去率向上剤がLPCと欠陥に大きく寄与すると以前は考えられていたが、本開示は、研磨剤がスクラッチ欠陥の最大の原因であることを示す。これが、本開示の比率が、組成物中の研磨粒子を包含する指向性のより強い、より小さなLPC閾値を使用する理由である。後述されるように、組成物が請求された比率の制限を満たす場合には著しい利点が生じる。
【0017】
上記のように、CMPステップからの望ましくない深いスクラッチが、後続の任意の研磨ステップで除去されないほど十分に深い場合、チップ製造の後の段階で残る可能性がある。これらのタイプのスクラッチは、最終的にデバイスのパフォーマンスを損ない、そして深いスクラッチの背後にある潜在的な原因の1つは、CMPスラリーに存在する粗大な望ましくない粒子である可能性がある。これらの望ましくない粒子の存在は、通常、光散乱技術によってモニターされてLPCを決定し、通常は約0.5マイクロメートル(μm)及び/又は約1.0μmを超える直径の選択された閾値を有する粒子の濃度が溶液中で定量化される。従来選択されていたサイズの閾値(例えば、0.5μm及び/又は1.0μm)は、通常、溶液中の目的の粒子(例えば、研磨剤)の粒径分布の99パーセンタイル値をはるかに上回っているため、スラリー中のLPCに寄与する粒子が望ましくない(例えば、汚染物質)か、又は望ましいかどうかに関する混乱を防ぐ。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、約0.2μmを超える研磨剤粒子の部分が、スクラッチの増加と高度に相関していることを見出した。したがって、満足のいく除去率と全体的な研磨性能とを達成する必要があるために望ましいと一般に考えられている研磨剤の一部は、実際には有害であり、研磨の過程で非常に望ましくないスクラッチに大きく寄与している。
【0018】
本開示の後半に提示される実施例で示されるように、本発明者らはLPCが0.2μmのビンサイズを使用して測定された場合、LPC/重量%研磨剤を800000未満に制御することにより、LPCが0.2μmのビンサイズを使用して測定されたより高いLPC/重量%研磨剤を有する同様に配合された研磨用組成物と比較して、ウェハの欠陥/スクラッチの低減を達成する研磨用組成物をもたらすことを見出した。理論にとらわれることなく、本発明者らは、上記LPC制限を遵守した場合、LPC制限により、硬度や大きさからスクラッチを生じやすい組成物中の粗大な研磨剤の相対量が減少することにより、欠陥/スクラッチの低減が達成されると考えている。実際、米国特許第9914852号明細書の背景のセクションでは、約0.5μmを超える粒子は潜在的なスクラッチの問題を示すと考えられているが、研磨中の欠陥/スクラッチを減らすために0.2μmを超える粒子を制限することの重要性については、本願で示されるような言及は何もない。
【0019】
研磨用スラリーでは、0.2μmのビンサイズで測定した場合、LPCは、研磨剤によって支配されるが、研磨剤成分は、研磨用組成物に使用された研磨剤に使用される代表的なサイズ選択のために、より大きなビンサイズ(例えば、約0.5μmと約1μm)を使用する測定では、はるかに少なく示される。研磨用組成物に使用される研磨剤は、2種類の異なる研磨剤が類似又は同じ平均粒径を有していても、合成方法又は合成プロセスのパラメーターに応じて大幅に異なる可能性がある粒径分布を有する。例えば、それぞれが60nmの平均粒径を有する2種類の研磨剤源を使用すると、一方の研磨剤源は、狭い粒径分布を有する他方の研磨剤源よりも、より広い粒径分布を有し、且つ200nmを超える(すなわち、0.2μmのビンサイズを超える)粒子の割合がより大きくなる可能性がある。結果として、より広い分布の研磨剤源のLPCは、それらが同じ平均粒径を有するとしても、0.2μmのビンサイズで測定された場合、より狭い分布の研磨剤源よりも高くなる(そして潜在的に本開示での言及の範囲外になる)。
【0020】
前の段落で論じた考察が、現在入手可能なスラリー又は組成物が本開示の特性を有すると仮定できない理由の1つである。現在のスラリーは、平均して類似の粒径を有している可能性があるが、これも記述されたビンサイズで同じLPCの計数値を有することを意味するものではない。さらに、本明細書で先に説明したように、より大きいビンサイズで違いはまったく明らかではなかったため、現在利用可能なものと比較して、本組成物のLPCの計数値にそのような相違があり得る、或いはあるであろうという兆候はない。本開示の研磨剤は、それらが所望のLPCの計数値と比率を達成するように選択されるべきである。本開示の初期に確立されたように、スラリーの濾過でさえ、必ずしもLPCが本開示の閾値レベルに低減されることを意味するわけではない。本開示の研磨剤はまた、それらが所望のLPC特性を満たすことを確実にするために、化学的に処理又は特定の化学合成により形成され得る。
【0021】
実際には、製品又はスラリー製剤から特定のサイズよりも大きい粒子を除去することを試みるために濾過プロセスが使用され得る。ただし、濾過を使用しても、LPCをスクラッチ又は欠陥が最小限に抑えられるレベルまで下げるのに必ずしも効果的ではない場合がある。例えば、本開示の後半に提示される実施例に示されるように、0.1μmデプスフィルターは、LPCを800000LPC/重量%研磨剤又は50000LPC/重量%固形物の閾値未満に低減するのに効果的ではない。細孔径0.1μmの濾過器であれば、0.2μmより大きい粒子を含む0.2μmのビンサイズでの計数の原因となる粒子の発生を大幅に低減できると予想されるので、これは直感的なものではない。ただし、デプスフィルターは細孔径の分布が広く、定格値よりも大きい成分の少なくとも一部がフィルターを通過できるようになっている。したがって、1つ又は複数の実施形態では、本開示の研磨用スラリーは、配合後に濾過されない、且つ/又は研磨用スラリーに使用される研磨成分は、配合前に濾過されない。例えば、研磨剤が供給業者から提供される場合、研磨剤は通常、溶液内に分散され、その後、他の成分と混合されてスラリーを形成する。したがって、いくつかの実施形態では、供給業者によって提供される分散研磨剤溶液は、研磨用スラリーに配合される前には濾過されない。
【0022】
1つ又は複数の実施形態では、研磨用組成物は、アルミナ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、被覆粒子、チタニア、セリア、ジルコニア、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される研磨剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、研磨剤は、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では、研磨用組成物は、有機酸及び有機酸塩からなる群から選択される除去率向上剤を含む。より具体的な実施形態では、除去率向上剤は、アミノ酸、カルボン酸、ポリアミン、アンモニア系化合物、第四級アンモニウム化合物、無機酸、カルボキシル官能基とアミノ官能基との両方を有する化合物、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0024】
1つ又は複数の実施形態では、研磨用組成物は、アゾール、アゾール誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される腐食防止剤を含む。より具体的な実施形態では、腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、トリルトリアゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、研磨用組成物は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、硝酸銀、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、過酸、過酸基塩、オゾン水、フェリシアン化カリウム、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、臭素酸カリウム、三酸化バナジウム、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、硝酸第二鉄、KMnO4、その他の無機又は有機過酸化物、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される酸化剤を含む。
【0026】
1つ又は複数の実施形態では、研磨用組成物は、界面活性剤、第2除去率向上剤、殺生物剤、表面仕上げ剤、pH調整剤、欠陥低減剤、ディッシング低減剤、動的表面張力低減剤、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0027】
1つ又は複数の実施形態では、本明細書に記載の研磨用組成物は、塩(例えば、ハロゲン化物塩)、ポリマー(例えば、カチオン性若しくはアニオン性ポリマー、又はディッシング低減剤以外のポリマー)、界面活性剤(例えば、銅腐食防止剤以外のもの)、可塑剤、酸化剤、腐食防止剤(例えば、非アゾール腐食防止剤)、及び/又は特定の研磨剤(例えば、セリア若しくはアルミナ研磨剤又は非イオン性研磨剤)などの特定の成分の1つ又は複数を実質的に含まなくてもよい。研磨用組成物から除外され得るハロゲン化物塩には、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化カリウム)又はハロゲン化アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム)が含まれ得て、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であり得る。本明細書で使用される場合、研磨用組成物を「実質的に含まない」成分とは、研磨用組成物に意図的に加えられていない成分を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の研磨用組成物は、研磨用組成物を実質的に含まない上記成分の1つ又は複数の最大で約1000ppm(例えば、最大で約500ppm、最大で約250ppm、最大で約100ppm、最大で約50ppm、最大で約10ppm、又は最大で約1ppm)を含むことができる。いくつかの実施形態では、記載された研磨用組成物は、1つ又は複数の上記成分を完全に含まなくてもよい。
【実施例】
【0028】
以下に示す実施例では、0.2μm、0.29μm、0.56μm、及び1.01μmのビンサイズの参照LPC測定値を、Particle Measuring Systems社(Boulder、コロラド州)のLiquilazS02液中光学式粒子計測器付きのCelerity(Tualatin、オレゴン州)スラリー粒子測定カートモデルAD10300-01を使用して経時的に測定した。計数値をS02粒子計測器に適したレベルにするために、すべてのサンプルをカート内で0.04μmの濾過された脱イオン水で500~1000倍に希釈した。報告されたLPCは、すべての希釈を考慮に入れている(
図1~4)。さらに、特定の実施例では、結果は%シリカ負荷(
図15及び
図16)と%固形分負荷(
図17及び
図18)によって正規化された。
【0029】
(実施例1)
この実施例では、11日間にわたるLPCの計数値の変動が、先行技術のスラリーと本開示に係る組成物との両方について、複数のビンサイズで測定された。先行技術の研磨用スラリーは、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を超えるLPCの計数値を有する。逆に、本開示の研磨用組成物は、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を下回るLPCの計数値を有する。2種類の研磨用スラリーの成分は化学的に同じであり、各組成物内で同じ量で使用された。
【0030】
研磨用組成物を配合するとき、最初に2種類の固形物材料が加えられてもよい。1つのタイプは、例えば研磨剤のように、組成物中に固形物のままである固体であり、別のタイプの成分は、組成物中にある期間にわたって溶解する固形物である。経時的に固形物のままである固体は、スラリーのLPCの計数値で安定した存在を維持するが、一旦溶解すると、溶解する固形物は、スラリーのLPCの計数値で存在感が減少し、研磨中にウェハをスクラッチする心配もない。従来の考え方ならば、より粗大な粒子では、研磨時にスクラッチが生じると想定されているため、LPC値は、通常0.56μm及び/又は1.01μmのビンサイズを使用して測定され、そして報告される。すなわち、約0.56μm及び/又は1.01μmを超える粒子のLPCの計数値を測定し、研磨用スラリー中の粒子の存在を最小限に抑えるようにするのが一般的な方法である。
【0031】
図1及び
図2は、それぞれ、0.56μm及び1.01μmのビンサイズでの、未濾過の先行技術のスラリーと未濾過の本開示の研磨用組成物のLPCの計数値を示す。これらのプロットが示すのは、両方のスラリーに対するこれらのビンサイズ内のLPCは、最初は高く、その後、経時的に低く、実質的に同じ値で安定することである。この結果は、2種類のビンサイズ内のLPCは、主に経時的に溶解する成分によって支配され、経時的に溶解しない固形の研磨用成分によるものではないことを示している。さらに、その値はほぼ同じ値で安定するため、先行技術の組成物と比較した場合の欠陥を低減する低欠陥組成物の能力(
図7及び
図8に示される)は、これらの2種類のサイズ範囲のLPC値によっては説明されない。
【0032】
図3は、0.29μmのビンサイズ(すなわち、0.29μmより大きいサイズの粒子を計測する)での、先行技術の未濾過スラリー及び本開示の未濾過研磨用組成物のLPCの計数値を示す。0.56μm及び1.01μmのビンサイズの結果と同様に、
図3の結果は、両方のスラリーのこれらのビンサイズ内のLPCが最初は高く、その後、経時的に低く、実質的に同じ値で安定することを示している。したがって、このビンサイズ内の粒子も、経時的に溶解する成分によって支配されており、先行技術の組成物と比較した場合の低欠陥組成物の欠陥低減能力(実施例4で後述され、
図7及び
図8に示される)を説明するものではない。
【0033】
図4は、0.2μmのビンサイズでの、未濾過の先行技術のスラリーと未濾過の本開示のスラリーの研磨用組成物のLPCの計数値を示す(すなわち、0.2μmより大きいサイズの粒子を計数する)。ここで、2種類の異なるスラリーのLPCの計数値は、大きな相違を示す。具体的には、LPCの計数値はテストされた期間にわたって比較的安定しており、このことは、その値が主に非溶解性の研磨剤成分によって支配されていることを示している。次に、先行技術の組成物について得られた値は、本開示の研磨用組成物について得られた計数値の2倍値より大きい。実施例4で後に議論され、
図7及び
図8に示される結果と合わせたこの結果は、予想外にも、0.2μmを超えるサイズを有する粒子の量を特に制御することによって、研磨されたウェハ上のスクラッチ/欠陥の低減が達成され得ることを示唆している。
【0034】
(実施例2)
実施例2において、先行技術の研磨用スラリーの銅ブランケット除去率は、2つの異なるダウンフォース値での本開示の研磨用組成物の銅除去率と比較される。先行技術の研磨用スラリーは、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を超えるLPCの計数値を有する。逆に、本開示の研磨用組成物は、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を下回るLPCの計数値を有する。2種類の研磨用スラリーの成分は化学的に同じであり、各組成物内で同じ量で使用された。
【0035】
図5に提示された結果は、各ダウンフォース値での各スラリーの銅除去率が、通常のウェハ間のプロセス変動内で同等であることを示している。
【0036】
(実施例3)
実施例3では、先行技術の研磨用スラリーでウェハを研磨した後に観察されたディッシングが、本開示の研磨用組成物で研磨した後に観察されたディッシングと比較される。先行技術の研磨用スラリーは、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を超えるLPCの計数値を有する。逆に、本開示の研磨用組成物は、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を下回るLPCの計数値を有する。2種類の研磨用スラリーの成分は、各組成物内で同じ化学成分を使用した。また、各組成物を使用した場合の研磨条件は同じであった。
【0037】
図6に提示された結果は、観察されたディッシングの量が、様々なCuパターン(すなわち、線幅/密度)を有するウェハ上で2種類のスラリーを使用した後に同等であることを示している。
【0038】
(実施例4)
この実施例では、先行技術の研磨用スラリーで研磨されたブランケット銅ウェハに見られる欠陥の総数及び欠陥のタイプが、本開示の研磨用組成物で研磨されたブランケット銅ウェハに見られるものと比較された。先行技術の研磨用スラリーは、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を超えるLPCの計数値を有する。逆に、本開示の研磨用組成物は、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を下回るLPCの計数値を有する。2種類の研磨用スラリーの成分は化学的に同じであり、各組成物内で同じ量で使用された。また、各組成物を使用した場合の研磨条件は同じであった。
【0039】
図7は、データが正規化された場合、本開示の研磨用組成物の総欠陥数が、先行技術の研磨用スラリーで研磨したときに観察されたものよりも著しく少ないことを示している。
図8は、データが正規化された場合、本開示の研磨用組成物のスクラッチの総数が、先行技術の研磨用スラリーで研磨したときに観察されたものよりも著しく少ないことを示している。さらに、本開示の研磨用組成物を用いて得られたスクラッチに対する
図8で得られた値と、欠陥の総数に対する
図7で示された値とにおける強い相関関係のため(すなわち、正規化された値は約0.6で類似している)、研磨されたウェハ上で観察された欠陥の大部分はスクラッチであり、汚れ、有機残留物、腐食などではないと結論付けられる。結果はまた、本開示の研磨用組成物で研磨する場合、スクラッチが約40%低減され得ることを示している。
【0040】
(実施例5)
この実施例では、実施例1で詳述されたビンサイズの選択に応じたLPCの計数値の傾向の普遍性が、それぞれが異なる成分及び/又は成分量を有する10種類の異なる研磨用組成物のバープロットを示すことによって立証される。
図9は、0.2μmのビンサイズを使用した10種類の研磨用組成物についての0日間、3日間、及び7日間のエージングでのLPCの計数値を示している。
図10は、0.29μmのビンサイズを使用した10種類の研磨用組成物についての0日間、3日間、及び7日間のエージングでのLPCの計数値を示している。
図11は、0.56μmのビンサイズを使用した10種類の研磨用組成物についての0日間、3日間、及び7日間のエージングでのLPCの計数値を示している。
図12は、1.01μmのビンサイズを使用した10種類の研磨用組成物についての0日間、3日間、及び7日間のエージングでのLPCの計数値を示している。重要なことに、各スラリー組成が異なっていても、LPCの計数値が比較され得るように、示されるLPCの計数値は、各組成物(すなわち、研磨剤を含むすべての固形成分、及び最初の配合中に固形物として加えられた任意のその他の成分)を形成するために最初に加えられた固形物の%で正規化されている。
【0041】
小さいビンサイズから大きいビンサイズ(すなわち、
図9~
図12)から見た場合、LPCの計数値は、
図9(0.2μmのビンサイズを使用)のすべてのスラリーについて比較的安定しているが、
図10~12に示すように、3種類のより大きなビンサイズで測定された場合、その計数値は、すべてのスラリーについて、0日目から3日目まで有意に減少する。この証拠は、実施例1で議論した結論の普遍性を補強するもので、研磨剤は、主に0.2μmのビンサイズのLPCの計数値を制御することが示され、可溶性固形成分は、経時的にLPCの計数値が著しく減少することにより、より大きくて、より従来法で測定されているビンサイズのLPCの計数値を制御することが示された。さらに、データは、LPCの計数値を0.56μm及び/又は1.01μmのビンサイズで制御する必要があるという従来の考えが、現実世界の応用での欠陥/スクラッチの削減と十分に相関していない理由の説明も示している。具体的には、スクラッチは主に研磨剤によって引き起こされ、0.56μm及び/又は1.01μmのビンサイズは、非溶解性研磨剤からの問題のあるLPCの計数値を適切に特徴付けるには不十分である。
【0042】
(実施例6)
この実施例では濾過の使用が調べられ、デプスフィルターによる濾過が、CMP産業で一般的に使用される慣行であり、先行技術の研磨用スラリー及び本開示の研磨用組成物のLPCの計数値にどのような影響を与える可能性があるかを決定した。先行技術の研磨用スラリーは、濾過前に、本開示に係る研磨用組成物のために教示された制限を超えるLPCの計数値を有する。逆に、本開示の研磨用組成物は、濾過前に、本開示に係る研磨用スラリーのために教示された制限を下回るLPCの計数値を有する。2種類の研磨用スラリーの成分は化学的に同じであり、各組成物内で同じ量で使用された。
【0043】
図13は、0.2μmのビンサイズを使用して、0.1μmのデプスフィルターを用いて濾過された後の先行技術の研磨用組成物及び本開示の研磨用組成物について11日間にわたって測定されたLPCの計数値のプロットを示す。プロットが示すように、0.1μmのデプスフィルターを使用する濾過は、先行技術と本開示との研磨用組成物の両方のLPCの計数値をわずかに減少させるが、先行技術の研磨用組成物のLPCの計数値は、本開示の研磨用組成物について得られたレベルに決して近づかない。
【0044】
(実施例7)
この実施例では、本願に従って配合されたスラリー及び本願に従って配合されていない比較スラリーは、比較されたスラリーに使用された重量%シリカ研磨剤あたりのそれらのLPCの計数値を有する。スラリー1~4及び6は、本発明に従って配合され、一方、スラリー5及び7~10は、本発明に従って配合されなかった比較スラリーである。すべてのスラリーは、わずかに異なる配合を有するが、主な違いの1つは、各配合で使用される特定のシリカ製品である。以下の表1は、スラリーをまとめたものである。
【0045】
【0046】
図14は、配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.2μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%シリカを示している。スラリー1~4及び6は、0.2μmのビンサイズで測定した場合に適切なレベルのLPC/重量%シリカ(すなわち、800000未満のLPC/%シリカ)をもたらすが、スラリー5及び7~10は、800000のLPC/重量%シリカを超えるLPC/重量%シリカをもたらすシリカ製品を使用している。スラリー1~4及び6で研磨されたウェハは、比較スラリー5及び7~10で研磨されたウェハで観察されたよりも少ないスクラッチを示した。
【0047】
図15は、配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.29μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%シリカを示している。意義深いことに、比較スラリー(すなわち、スラリー5及び7~10)は、より少ないスクラッチを生成する本開示に従って配合されたスラリー1~4及び6よりも、このビンサイズで平均してより少ないLPCの計数値を示す。この結果は更に、ビンサイズ0.29μm以上で測定されたLPCの計数値は、研磨中のスクラッチ/欠陥を低減するスラリーとは十分に相関されていないことを示している。
【0048】
(実施例8)
この実施例では、本願に従って配合されたスラリー及び本願に従って配合されなかった比較スラリーは、比較スラリーに使用される重量%固形物(すなわち、研磨性の固形物及び溶解性の固形物)あたりのそれらのLPCの計数値を有する。スラリー1~4及び6は、本発明に従って配合され、一方、スラリー5及び7~10は、本発明に従って配合されなかった比較スラリーである。この実施例で使用されるスラリーは、実施例7で使用されるスラリーと同じであるが、
図16~17に示されるLPCの計数値は、その代わりに重量%固形物に正規化される。
【0049】
図16は、配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.2μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%固形物を示している。前述のように、スラリー1~4及び6は、比較スラリー5及び7~10と比較した場合、研磨後の減少した欠陥を示している。したがって、
図16に示されるデータに基づいて、50000未満のLPC/重量%固形物の値は、研磨中の欠陥/スクラッチを低減するためのスラリーの有効な制限となろう。
【0050】
図17は、配合後0日目、3日目、及び7日目でのスラリー1~10について、0.29μmのビンサイズで測定されたLPC/重量%固形物を示している。図示されているように、5つの最低LPC/重量%固形物のうち4つは、実際にはスラリー6~9であり、許容できない/増加したスクラッチレベルを示す比較スラリーである。したがって、0.29μm以上のビンサイズで測定されたLPCの計数値は、研磨中のスクラッチ/欠陥を低減するスラリーとは十分に相関されていない。
【0051】
少数の例示的な実施形態のみが上記にて詳細に説明されてきたが、当業者は本発明から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのようなすべての変更は、以下の特許請求の範囲で規定されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤と
、
水と、
を含む化学機械研磨用組成物であって、
前記研磨用組成物は
、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有
し、
前記粗大粒子数は、0.2μmより大きいサイズの粒子の総数である、
化学機械研磨用組成物。
【請求項2】
前記研磨用組成物は、有機酸、及び有機酸塩、アミノ酸、カルボン酸、ポリアミン、アンモニア系化合物、第四級アンモニウム化合物、無機酸、カルボキシル官能基とアミノ官能基との両方を有する化合物、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、並びにそれらの任意の混合物からなる群から選択される
第1除去率向上剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アゾール及びアゾール誘導体からなる群から選択される腐食防止剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記研磨剤は、アルミナ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、被覆粒子、チタニア、セリア、ジルコニア、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記研磨剤は、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の研磨剤の量は、少なくとも0.05重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
過酸化水素、過硫酸アンモニウム、硝酸銀、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、過酸、過酸基塩、オゾン水、フェリシアン化カリウム、重クロム酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、臭素酸カリウム、三酸化バナジウム、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、硝酸第二鉄、KMnO
4、他の無機又は有機の過酸化物、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される酸化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
界面活性剤、第2除去率向上剤、殺生物剤、表面仕上げ剤、pH調整剤、欠陥低減剤、ディッシング低減剤、動的表面張力低減剤、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、
前記粗大粒子数/重量%研磨剤を測定する前には濾過されない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、
前記粗大粒子数/重量%研磨剤を測定する前に、配合後少なくとも3日間エージングされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記研磨用組成物は
、粗大粒子数/重量%固形物の関係に関して50000未満の値を有
し、
前記粗大粒子数は、0.2μmより大きいサイズの粒子の総数である、
請求項1に記載の化学機械研磨用組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を基板に塗布するステップと、
研磨パッドで前記基板に圧力を加えて前記基板の表面の少なくとも一部を除去するステップと、
を含む、基板を研磨する方法。
【請求項13】
研磨用組成物を調製する方法であって、
前記研磨用組成物は、
研磨剤と
、
水と、
を含み、
前記研磨用組成物は
、粗大粒子数/重量%研磨剤の関係に関して800000未満の値を有し、
前記粗大粒子数は、0.2μmより大きいサイズの粒子の総数であり、
前記方法は、
前記値に一致するように前記研磨剤を選択するステップと、
前記研磨剤
、及び前記水を混合するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記研磨剤は、前記混合するステップの前に濾過されない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記研磨剤を前記値に一致するように化学的に処理するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記値に一致するように化学合成を経由して前記研磨剤を形成するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】