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特表2022-551038水素燃料ガスタービン発電システム及びその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】水素燃料ガスタービン発電システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/36 20060101AFI20221130BHJP
   C01B 3/12 20060101ALI20221130BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20221130BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
C01B3/36
C01B3/12
F02C7/22 B
F01K23/10 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022513663
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 NO2020050208
(87)【国際公開番号】W WO2021040528
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】20191038
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522076125
【氏名又は名称】セッグ パワー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラーヘイム、アーン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ジュリオ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】リェンゲン、キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】モウィル、フレドリック
【テーマコード(参考)】
3G081
4G140
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA14
3G081BC07
4G140EA03
4G140EA06
(57)【要約】
圧縮機(22)、燃焼器(24)、タービン(26)及び燃料供給装置(10)を備える水素燃料ガスタービン動力システム。燃料供給装置(10)は、吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)及び/又は合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)に基づく少なくとも1つの反応器(12)を有する水素ガス生成反応器システムの形態を有している。反応器(12)は、反応器(12)と再生器(14)との間でCO吸収剤を循環させて再生する再生器(14)に閉ループで接続されている。さらに、水素ガス生成反応器システム(10)の再生器(14)と、水素燃料ガスタービン(20)の燃焼器(24)の下流側端部及び水素燃料ガスタービンのタービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間に、閉じた熱交換ループ(21)が存在することにより、再生器(14)内の温度を上昇させると共に、水素燃料ガスタービン(20)のタービン(26)の上流側端部の温度を低下させる。また、その使用方法も企図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(22)、燃焼器(24)、タービン(26)及び燃料供給装置(10)を主要部とする水素燃料ガスタービン発電システムであって、
前記タービン(26)は、電気エネルギーの形態で発電するための補助手段への接続に適合しており、
前記燃料供給装置(10)は、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器、又はこれら2つの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの反応器(12)を有する水素ガス生成反応器システムの形態を有しており、
前記反応器(12)は、前記反応器(12)と再生器(14)との間でCO吸収剤を循環させて再生する前記再生器(14)に閉ループで接続されており、
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンのタービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間に、閉じた熱交換ループ(21)が存在することにより、前記再生器(14)内の温度を上昇させると共に、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記タービン(26)の上流側端部の温度を低下させることを特徴とする、
水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項2】
前記反応器(12)が、メタンリッチ供給源から、合成ガス供給源から、又はメタンリッチ供給源と合成ガス供給源との組み合わせから、ガスフローを受け取るように適合された入口導管を有する、請求項1に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項3】
前記反応器(12)が、蒸気の供給源を受け入れるように適合された入口導管を有する、請求項1又は請求項2に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項4】
前記熱交換システム(21)のための熱交換媒体が、少なくとも1500℃までの温度を取り扱うことができる熱交換媒体の中から選択される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項5】
前記タービンから高温の排出ガスを受け取り、内部で生成された蒸気を蒸気タービン(32)に供給して追加的に発電するように構成された蒸気発生器(30)をさらに備える、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項6】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記タービンの上流側端部と実質的に同じ直径を有する中空リングの形状を有し、前記燃焼器(24)と前記タービン(26)との間に接続され、かつ前記燃焼器(24)と前記タービン(26)とを橋渡しするように配置された要素(28、28’、28”)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項7】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、交換可能である、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項8】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、共通の直径で異なる幅の一連のリングとして設けられる、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項9】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記タービン(26)に入る前に前記燃焼器(24)からの排出ガスを冷却するように配置された専用の熱交換器(78)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項10】
水素燃料ガスタービン発電プラントで発電するための方法であって、
メタンリッチガス及び合成ガスもしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるガスを、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器からなる群から選択される少なくとも1つの反応器を備える水素ガス生成反応器システムに、供給することと、
SE-SMR及びSE-WGSからなる群から選択される少なくとも1つの反応によって供給された前記ガスを水素に変換し、天然又は合成のCaO含有CO吸収剤によって前記反応器内でCOを回収することと、
少なくとも850℃の温度で純粋なCOを放出する再生ステップを介してCO吸収剤を再利用することと、
前記水素燃料ガス生成反応器システム内で生成された水素ガスを、圧縮空気と共にガスタービンの燃焼器に供給し、この組み合わされた燃料混合物を用いてタービンに動力供給することと、
を含み、
前記燃焼器と前記CO吸収剤の前記再生ステップとの間で熱交換を行うことにより、前記CO吸収剤の前記再生ステップにおける最低温度レベルを保証することを特徴とする、
方法。
【請求項11】
前記熱交換は、前記再生ステップにおいて少なくとも872℃の温度を保証する方法で制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応器12で発生した熱(11)が、外部目的のためのエネルギー源として使用される、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱(11)は、固体炭素質材料のガス化に使用される、請求項12に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の前文により示される水素燃料ガスタービン発電システムに関する。別の態様によれば、本発明は、請求項10に記載の前文により示される水素燃料ガスタービン発電プラントにおいて電力を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の回収・貯留(CCS:Carbon Capture and Storage)は、燃料の燃焼中に発生するCO(例えば、ガス、液体炭化水素、石炭、バイオマス)及びCO排出産業(鉄鋼、アルミニウム、シリコン、フェロシリコン、セメントなど)から発生するCOを分離することによって、人為的な気候変動の悪影響を緩和するために開発されている一連の技術を構成する。COの回収は、3つの主要な方法、即ち、燃焼後回収(post-combustion)、燃焼前回収(pre-combustion)、及びほぼ純粋な酸素中での燃焼によって行うことができる。分離されたCOは、利用することができ、及び/又は地層に封じ込めることができる。
【0003】
燃焼前回収の状況において、水素や水素リッチなガスは、従来のガスタービンには高すぎる燃焼温度になってしまうという歴史的経緯がある。
【0004】
しかしながら、燃料と空気のプレ混合、水素リッチ燃料用のバーナの開発、高温材料系(母合金/超合金、ボンドコート及び遮熱コーティング)の開発などの近年の技術開発により、水素燃料ガスタービンに使用するための燃焼前のCOの回収が可能となった。
【0005】
水素-燃料は、吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS:Sorption Enhanced Water Gas Shift 及び/又は吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR:Sorption Enhanced Steam Methane Reforming)として知られているプロセスにより、クリーンで脱硫された合成ガス(任意の起源の)から、或いは天然ガスと水とから効率的に(1つのプロセスステップで)製造することができる。上記プロセスは、吸収強化改質(SER:Sorption Enhanced Reforming)とも呼ばれ、CO吸収剤としてCaOを使用することを特徴とする(国際公開第2011/078681号、及び米国エネルギー省を参照)。また、上記プロセスは、燃焼後回収の場合は、カルシウムルーピング(Ca-looping, Dean at al.: 2011)とも呼ばれる(欧州特許出願公開第1495794号)。
【0006】
(使用する燃料に依存して)以下の反応が起きる。
a)水素は合成ガス(水素とCOの含有量が変化するガス)から生成され、吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)は、以下の反応によって例示される。
CaO+CO+H+HO=CaCO+2H
【0007】
b)水素は天然ガス(主にCH)から生成され、吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)は、以下の反応によって例示される。
CaO+CH+2HO=CaCO+4H
【0008】
c)水素は合成ガス及び天然ガス(又はメタンリッチなガス)の混合物から生成され、以下の「式」(バランスがとれていない)に従って発生する。
CaO+CO+H+CH+HO=CaCO+H
【0009】
すべての反応の温度は500℃~650℃である。これらの反応はわずかに発熱性であり、水を加えること、又は熱交換によって冷却する必要がある可能性がある。反応c)は、反応a)と反応b)の和を表す。CaO-CO吸収剤の量が反応中のすべての炭素を収容できるほど多い場合、すべての反応は、水素製造ユニットに導入される燃料混合物中の合成ガス及び天然ガスの割合にかかわらず、同じ生成物(炭酸カルシウム(calcite)及び水素)をもたらすであろう。
【0010】
水素製造ユニットには、CO吸収剤の再生器(カルサイナ(calciner))が含まれ、水素製造プロセスで発生した固体の炭酸カルシウム(CaCO)は、以下の反応に従って再生される。
CaCO=CaO+CO
【0011】
炭化水素燃料(又はCOを含有する燃料)を使用せずに、この高吸熱プロセス(約850~950℃が必要である)を実施する場合、COの総量は「純度100%」で回収され、利用及び/又は貯蔵され得る。
【0012】
この吸熱再生プロセスを、持続可能なコスト及びエネルギー効率で実施することが非常に重要である。これは、熱又は廃熱を提供することによって達成することができ、熱又は廃熱は、2つの異なる方法で、即ち、直接的又は間接的に伝達することができる。直接的な熱伝達は、燃料の酸素燃焼を伴うため、空気分離ユニット(ASU)の使用が必要である。間接的な熱交換では、再生装置に高温の熱交換器を組み込む必要がある。この熱は、高温燃料電池(SOFC)から取り出すことができる(国際公開第2011/078681号と同様)
【0013】
別の選択肢としては、国際公開第01/42132号に非常に簡単に示唆されているように、炭酸カルシウムを焼成するために高温発電装置を使用することが考えられる。しかしながら、この刊行物は、このような焼成をどのように実施すべきかに関しては言及していない。
【0014】
この技術分野におけるその他の刊行物は、米国特許出願公開第2008/155984 号、米国特許出願公開第2007/0130957号、米国特許出願公開第2008/0141643号、米国特許出願公開第2008/0161428号、及び米国特許第5490377号である。
【0015】
従来の天然ガスタービンは、温度が低すぎてCaO-CO吸収剤の再生反応が効率的に行われない可能性がある。一方、水素燃料ガスタービンでは、燃焼器端部及びタービン入口の温度が高温になるという問題があるが、効率的な熱交換ループによって生じる冷却の恩恵を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、持続可能な条件下で運転することができる、コスト効率及びエネルギー効率が高い水素燃料ガスタービン発電プラントを提供することである。また、水素燃料ガスタービンの燃焼器端部及び/又は入口における過度の温度の問題を緩和することが、派生的な目的である。
【0017】
さらに、このような発電プラントの運転方法を提供することが、派生的な目的である。
【0018】
本質的な目的は、COが非常に効果的に回収されるような発電プラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的は、第1の態様に係る請求項1により定義される水素燃料ガスタービン発電プラントで構成される本発明によって達成される
【0020】
別の態様によれば、本発明は、請求項10により定義される方法に関する。
【0021】
好ましい実施形態は、従属請求項によって開示される。
【0022】
持続可能性は、本発明が統合的なCO回収を可能にするという事実によって例示される全体的なプロセスのためのキーワードであり、共通項である。水素燃料ガスタービンの燃焼器の端部及び/又はタービンの入口である一方の側と、再生器(又は焼成器)である他方の側との間の熱伝達ループは、燃焼器の下流側端部又はタービンの入口にある中空リング状の区画を含んでいる。熱伝達媒体は、例えば、水素、水蒸気、CO、空気、ヘリウム、混合ガスや鉱物油などの流体、炭化水素、及び様々な種類の溶融塩とすることができる。
【0023】
したがって、本発明によれば、CaO吸収剤の再生に必要な高温は、温度が1800℃~1900℃に達する可能性のある水素燃料ガスタービンの燃焼器の下流側(高温)端部又はタービンの上流側端部と、CaO吸収剤の再生器との間の、特別に設計された熱交換ループによって保証される。
【0024】
水素燃料ガスタービンを含むガスタービンは、多数の異なる構成及び全体設計を包含し、本発明はこれらのすべての構成及び設計に適応可能であることに言及する価値がある。例えば、ガスタービンの燃焼器チャンバ(複数可)に関して、1つ又は複数の燃焼器チャンバは、いくつかの実施形態において、圧縮機とタービンとの間の環状チャンバとして形成され、圧縮機及びタービンの軸と共通の軸を有することができる。他の実施形態では、燃焼器チャンバは、2つ以上の別々の燃焼器チャンバに分割することができ、燃焼器チャンバの各々は、圧縮機及びタービンの軸からオフセットして配置される。したがって、2つ、3つ又は4つの別々の容器(can)である燃焼器チャンバは、圧縮機とタービンとを接続する軸の周りに並列に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の第1の実施形態を示す概略図である。
図2a図2aは、本発明の第2の実施形態を示す概略図である。
図2b図2bは、本発明の第2の実施形態の変形例を示す概略図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態を示す概略図である。
図4図4は、本発明の第4の実施形態を示す概略図である。
図5図5は、本発明の第5の実施形態を示す概略図である。
図6a図6aは、本発明の細部の2つの変形例を示す断面図である。
図6b図6bは、本発明の細部の2つの変形例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の第6の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の様々な実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0027】
さて、図1を参照すると、発電システムは一般に、水素燃料ガスタービン20と燃料供給装置10とによって構成されている。燃料供給装置10は、主として、i)水(HO)3と、図1の実施形態ではメタン(CH)又はメタンリッチガスであるベース燃料1とを受け入れるように配置された反応器又は改質器12と、ii)再生器14とから構成されている。水素燃料ガスタービン20は、主要部品である、i)圧縮機22と、ii)反応器12からの水素(H)17のフローと、圧縮機22からの圧縮空気23とを受け取るように構成された燃焼器24(端部に熱交換用の円筒形の区画を有する。)と、iii)燃焼器24から高温燃焼ガス25を受け取り、それによって電気29を生成するように構成されたタービン26とから構成されている。タービンは、電気エネルギーの生成に加えて、様々な目的のために機械装置を推進することもできる。
【0028】
更に図1を参照すると、燃料改質装置10は、水素製造のSE-SMR(又はSER)法に基づくものであり、CO燃焼前の状況に配置されている。CaO含有CO吸収剤(CaO containing CO2-absorbent)の再生器14と、水素燃料ガスタービン燃焼器24の高温(下流側)端部とCO吸収剤の再生器14との間の間接的な熱伝達システム21とは、COの放出に必要な熱を供給し、再生器14から実質的に純粋なCOのフロー19が排出されることを可能にする。
【0029】
間接的な熱伝達システム21によって伝達された熱は、燃焼器24の下流側端部のリング状部材28によって集められ、再生器14の熱交換器内で放出されて、水素ガス生成反応システム(10)の再生器(14)と、水素燃料ガスタービン(20)の燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンのタービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間に、閉じた熱交換ループ(21)を形成している。
【0030】
CH燃料フロー1は、燃料を改質し、改質プロセスSE-SMR(又はSER)で放出されるCOを、CaO含有吸収剤によって処理するように構成された水素-燃料供給システムの一部である反応器12に供給される。図1の実施形態では、燃料がメタン又は天然ガスなどのメタンリッチガスである。実質的に純粋な水素17のガスが改質器ユニットから出る。反応器12において、改質のプロセスは、燃料(CH)、水(水蒸気)及びCaOの間の反応を含み、CaOは発熱反応においてCaCOに変換される。改質プロセスでCOから生成されたCaCOは、次に、説明する吸熱プロセスでCaOに再生される。また、反応器12には、気化した状態の水3が供給される。
【0031】
実質的に純粋な水素ガス17は、改質器を出て、水素燃料ガスタービンの燃焼器24(又は燃焼器領域)に供給される。水素燃料ガスタービン20の圧縮機22からの圧縮空気23も、燃焼器24に供給される。水素ガス17と圧縮空気23とは、燃焼器24に供給される前に、予め混合されていてもよい(図示せず)。混合物は、高温、典型的には約1800℃~1900℃の温度で燃焼される。
【0032】
タービン26に入る高温高圧ガスのストリーム25は、タービン内で膨張して電気を発生させる。
【0033】
上述したように、改質器ユニット内で生成されたCaCO13は反応器12内でCO捕捉剤(CO2 capturing agent)として再利用するために、CaO15に再生される必要がある。これは、水素-燃料供給装置10の第2の部分を形成する再生器14で行われる。
【0034】
CaCOの再生は、効率的に運転するために約850℃~950℃の温度を必要とする。これは、エネルギーを消費する吸熱プロセスである。常圧では、このプロセスは約870℃以上の温度で実施される。したがって、これは好ましい実施形態である。このプロセスに必要なエネルギー、即ち、熱は、本発明によれば、水素燃料ガスタービンの燃焼器24によって提供される。閉じた熱ループは、例えば水素を熱媒体とし、燃焼器24の高温端部と、燃料供給装置システムのエネルギーが必要な再生器14との間を循環する。この熱ループは、以下の2つの機能を有する。
【0035】
1)CaO含有CO吸収剤の再生に必要な約900℃の十分な熱を供給することと、2)タービンへの希釈空気の必要性を減らすことにより、水素燃料ガスタービンの長期安定使用に対して許容できるレベルまで、関連するタービン部分の冷却を助けること。
【0036】
閉ループの熱交換媒体は、燃焼器24で経験される温度を取り扱うことができる任意の媒体とすることができ、好ましくは、約1800℃~1900℃の温度を取り扱うことができるべきである。
【0037】
この燃焼前CO回収プロセスからのCO総量は、再生器から放出され、回収され、貯蔵され、及び/又は利用される。
【0038】
500℃を超える温度でタービン26から排出される高品質の排出ガス27(N、HO、及びO)は、任意選択で、様々な目的に使用することができる。発熱性のSE-SMR反応からの熱11も、同様に、任意の用途を有する。熱11は、例えば、ガス化プラントにおいて使用されて、固体炭素質材料を合成ガスや天然ガスなどのより容易に利用可能なガスに変換することができる、或いは、圧縮機22からの空気を予め加熱するために使用されてもよい。
【0039】
次に、発電プラントを示す図2に注目すると、この発電プラントでは、水素燃料ガスタービンは、CO燃焼前の状況に配置された合成ガスに基づく燃料改質装置(即ち、水素製造のSE-WGS法)と組み合わされている。CaO含有CO吸収剤の再生器14と、水素燃料ガスタービンの燃焼器24とCO吸収剤の再生器14との間の間接的な熱交換システム21とは、吸収剤再生のための熱を供給し、COの回収、貯蔵、及び/又は利用のためにCO19を放出する。
【0040】
図2aの構成要素のほとんどは、図1の構成要素と同じである。図1図2との違いは、主に、水素ガス燃料供給装置に供給される燃料1’が合成ガスであることである。さらに、熱伝達システム21のリング状部材28’は、図1に示すリング状部材28よりも幾分幅が広く、燃焼器24から出る高温の燃焼ガス25との接触面積が広くなり、それによって、より高い熱伝達率を可能にする。
【0041】
図2bは、本質的に図2aと同じであるが、その違いは、熱伝達システムのリング状部材28”が、一部が燃焼器24の下流側領域を、一部がタービン26の上流側端部を覆うか又は構成し、それによって高温燃焼ガス25との接触表面積をさらに増加させていることである。
【0042】
合成ガスが燃料である実施形態について示されているが、リング状部材28、28’及び28”の異なる実施形態は、燃料としての天然ガス又は2種類の燃料の組合せについても同様に機能することを理解されたい。
【0043】
次に、発電プラントを示す図3に注目すると、ここでは、水素燃料ガスタービンで使用するために、燃焼前の状況にある水素が、SE-SMR水素製造法によって製造されている。この実施形態では、タービンから出る高温の排出ガスからの熱は、蒸気タービン32によって追加の電力/電気29’を生産するための高圧蒸気発生用に回収される。
【0044】
図3の構成要素のほとんどは、図1の構成要素と同じである。図1図3との違いは、主に、蒸気タービン32によって追加の電力が生成されることであり、コンバインドサイクルと呼ばれる構成である。この目的のために、タービン26から出る高温の排出ガスを使用して蒸気発生器30で蒸気を発生させ、発生した蒸気が蒸気タービン32に供給される。
【0045】
次に、発電プラントを示す図4に注目すると、ここでは、水素燃料ガスタービンで使用するために、SE-WGS水素製造法において、燃焼前の状況にある水素が合成ガスから製造されている。この実施形態では、タービン26から出る高温の排出ガス27からの熱は、蒸気タービンによって追加の電力/電気を生産するための高圧蒸気発生用に回収される。
【0046】
図4の構成要素の大部分は、図2a及び図2bの構成要素と同じである。図2bと図4との違いは、図3を参照して既に説明したように、主に、蒸気タービン32と組み合わせた蒸気発生器30によって追加の電力29’が生成されることであり、コンバインドサイクルと呼ばれる構成である。
【0047】
本明細書に記載されるすべての実施形態は、図3及び図4を参照して説明される発電の追加のステップを包含し得ることが強調されるべきである。
【0048】
次に、発電プラントを示す図5に注目すると、ここでは、水素燃料ガスタービンで使用するために、燃焼前の状況にある水素を、SE-SMR水素製造方法によって天然ガス(又はメタン)の供給源から、又はSE-WGS水素製造方法によって合成ガスの供給源から、又はそのような供給源の任意の組合せから代替的に製造することができる。先の実施形態を参照して説明したように、CaO含有CO吸収剤の再生器14と、水素燃料ガスタービンの燃焼器24とCO吸収剤の再生器14との間の間接加熱伝達システム21とは、CaOの再生と、回収、貯蔵及び/又は利用のためのCOの放出とに熱を供給する。CO回収のためのシステムは、先のすべての実施形態で説明したものと同じである。
【0049】
図5では、共通の反応器/改質器12が2種類の原料ガスを受け入れるように図示されている。これは、SE-SMR改質反応とSE-WGS反応とが、同じ反応器中で同じ条件下で同時に行われることを意味する。これは問題を構成しないことが見出された。代替案として、CH及び合成ガスの各原料ガスに対して、別々の反応器/改質器が使用されてもよい。そのような場合、2つの反応器が、共通の再生器に接続されてもよいし、又は別々の再生器に接続されてもよい。しかしながら、最もシンプルな構成は、図示された構成である。
【0050】
図5はまた、外部利用のための別のHのフロー16を示しており、本発明の方法及び装置により電気、熱及び高品質水素の形態でエネルギーを同時に生産できるという事実を図示している。
【0051】
CaO含有吸収剤は、単に天然の岩石/鉱物から得られたCaOをベースとするものであってもよいが、例えば、国際公開第2011/005114号に記載されている種類の、合成的に製造されたCaO含有吸収剤であってもよい。このような合成吸収器の利点は、大きな吸収能力を失うことなく、多数回の再生サイクルに耐えることである。
【0052】
図6a及び図6bは、図2a及び図5に示すリング状部材28’の2つの代替的な構成を示す。図6aに示す構成では、リング状部材28’への入口281とリング状部材28’からの出口282とが互いに隣接しており、熱伝達流体は、リング状部材内部の空隙全体にわたって、一方向に略一周して流れる。リング状部材28’aの内部には、燃焼器24からタービン26に向かう途中で高温の燃焼ガス25が接触する表面積を増大させる役割を果たすリブ283が設けられていてもよいし、リブ283が設けられていなくてもよい。圧縮機及びタービンを通るガスフローの方向において、そのようなリブは、リング状部材の延長部に対応するか、又はそれよりも小さい延長部を有することができる。リブ283が存在する場合、リブ283のサイズ及びプロファイルは、利用可能なスペースに適合されることになる。リブ283の半径方向の延長部は、リブ283のサイズだけでなく、リブ283の空気力学的特性を最適化するために、その厚さと同様にその長さに沿って変化し得る。任意選択で、リブは、通過するガスフローとの接触を増大させるために、その長さに沿ってわずかに湾曲させることもできる。リブの少なくとも一部は、その断面の一部を占める羽根(vanes)が存在しないタービンの長手方向の領域に配置することができる。
【0053】
図6bにおいて、リング状部材28’bへの入口281及びリング状部材28’bからの出口282は、それぞれの反対側に位置しており、入口からリング状部材28’b内の空隙に入った熱伝達流体は、2つの部分流に分岐されて、各部分流はリング状部材28’bの反対側の出口に向かって半円を描いて流れる。
【0054】
示されたすべての実施形態について、リング状部材28、28’及び28”は、示された構成のいずれかにおいて、さらには他の構成においても、入口及び出口を有することができる。さらに、リング状部材は、例えば、ネジ等で燃焼器24及びタービン26に接続可能な構成とする等、摩耗した場合に交換可能となるように設計及び構成されていてもよい。
【0055】
リング状部材28、28’及び28”は、水素燃料ガスタービンに組み付けられると、その一部となり、燃焼器24の下流側端部、タービン26の上流側端部、又はこれら2つの間の接続部材と見なすことができる。
【0056】
リング状部材28、28’及び28”の材料は、許容可能な熱伝導率と、高温に対する許容可能な耐性とを兼ね備えた材料の中から選択される。したがって、上述したような燃焼器やタービンの壁に対して一般的に選択される材料は、有望な候補である。
【0057】
図7は、燃焼器に関して、これまでの実施形態とは異なる本発明の実施形態を示しており、図7の実施形態では、燃焼器は、圧縮機22とタービン26との間で軸からオフセットされた2つの別々の燃焼器チャンバ24a、24bによって構成されている。また、先に特徴28、28’及び28”として表されている熱交換要素は、圧縮機22とタービン26との間で軸からオフセットされた熱交換器78によって置き換えられている。前記軸線からオフセットされた熱交換器78の配置は、タービンの長さ寸法の増大に寄与しないことを意味し、様々なタイプ及びサイズの熱交換要素の使用を可能にし、したがってシステムの汎用性を大幅に向上させる。この組み合わせにより、再生器14に伝達される熱の微調整を可能にする方法でシステムを設計することが容易となる。図7では、高温ガス25aが燃焼器24aから熱交換器78に導かれ、同じガスが熱交換器78から若干低い温度でガスフロー25bとして排出され、次いでタービン26に導かれる。当然ながら、燃焼器24a、24bから熱交換器78を通り、さらにタービン26へと至る流路は、許容可能なほど低い圧力降下を伴う、高速で効率的なガスフローに対応するように、その形状及び寸法が決められなければならない。
【0058】
本発明のすべてのバージョンでは、例えば、要素28、28’及び28”又は78によって達成されるものよりも高温の部分を冷却するために、説明され、図示され、及び/又は特許請求されたものに対して追加の熱交換要素を設置することができる。
【0059】
タービン設計には安全対策が不可欠であり、本明細書では説明しないが、タービンが速度超過になるのを防止するために、例えば、負荷遮断時や緊急停止中に即座に燃料を遮断する対策など、主にこの技術分野の標準に従うことになる。通常運転中に熱交換器に蓄積されるエネルギー量が大きいため、このような状況でタービンが速度超過にならないように、追加の安全対策を講じることができる。
【0060】
本発明は、燃焼器から取り出された熱を、温度要件が(また)課題であるCO吸収体用の再生器において最も効率的な方法で利用する方法で、水素燃料ガスタービン発電プラントの燃焼器とタービンの改良された温度制御を可能にする、独特な技術の組み合わせである。これは、このような発電所でCOを回収する最も効率的な方法であるCOの燃焼前回収システムで実現される。従来技術に対する利点のこの独特の組み合わせにより、本発明の方法及びシステムは、相乗効果のある発明の好適な例となる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(22)、燃焼器(24)、タービン(26)及び燃料供給装置(10)を主要部とする、燃焼前CO 回収型の水素燃料ガスタービン発電システムであって、
前記タービン(26)は、電気エネルギーの形態で発電するための補助手段への接続に適合しており、
前記燃料供給装置(10)は、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器、又はこれら2つの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの反応器(12)を有する水素ガス生成反応器システムの形態を有しており、
前記反応器(12)は、前記反応器(12)と再生器(14)との間でCaO含有CO吸収剤を循環させて再生する前記再生器(14)に閉ループで接続されており、
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンのタービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間に、閉じた熱交換ループ(21)が存在することにより、前記再生器(14)内の温度を約900℃に上昇させると共に、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記タービン(26)の上流側端部の温度を低下させて、関連するタービン(20)の部分を前記水素燃料ガスタービンの長期安定使用に対して許容できるレベルまで冷却することを特徴とする、
水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項2】
前記反応器(12)が、メタンリッチ供給源から、合成ガス供給源から、又はメタンリッチ供給源と合成ガス供給源との組み合わせから、ガスフローを受け取るように適合された入口導管を有する、請求項1に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項3】
前記反応器(12)が、蒸気の供給源を受け入れるように適合された入口導管を有する、請求項1又は請求項2に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項4】
前記熱交換システム(21)のための熱交換媒体が、少なくとも1500℃までの温度を取り扱うことができる熱交換媒体の中から選択される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項5】
前記タービンから高温の排出ガスを受け取り、内部で生成された蒸気を蒸気タービン(32)に供給して追加的に発電するように構成された蒸気発生器(30)をさらに備える、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項6】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記タービンの上流側端部と実質的に同じ直径を有する中空リングの形状を有し、前記燃焼器(24)と前記タービン(26)との間に接続され、かつ前記燃焼器(24)と前記タービン(26)とを橋渡しするように配置された要素(28、28’、28”)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項7】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、交換可能である、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項8】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、共通の直径で異なる幅の一連のリングとして設けられる、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項9】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記タービン(26)に入る前に前記燃焼器(24)からの排出ガスを冷却するように配置された専用の熱交換器(78)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項10】
燃焼前CO 回収を伴う水素燃料ガスタービン発電プラントで発電するための方法であって、
メタンリッチガス及び合成ガスもしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるガスを、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器からなる群から選択される少なくとも1つの反応器を備える水素ガス生成反応器システムに、供給することと、
SE-SMR及びSE-WGSからなる群から選択される少なくとも1つの反応によって供給された前記ガスを水素に変換し、天然又は合成のCaO含有CO吸収剤によって前記反応器内でCOを回収することと、
少なくとも850℃の温度で純粋なCOを放出する再生ステップを介してCO吸収剤を再利用することと、
前記水素燃料ガス生成反応器システム内で生成された水素ガスを、圧縮空気と共にガスタービンの燃焼器に供給し、この組み合わされた燃料混合物を用いてタービンに動力供給することと、
を含み、
前記燃焼器と前記CO吸収剤の前記再生ステップとの間で熱交換を行うことにより、前記CO吸収剤の前記再生ステップにおける最低温度レベルを保証することを特徴とする、
方法。
【請求項11】
前記熱交換は、前記再生ステップにおいて少なくとも872℃の温度を保証する方法で制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応器12で発生した熱(11)が、外部目的のためのエネルギー源として使用される、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱(11)は、固体炭素質材料のガス化に使用される、請求項12に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(22)、燃焼器(24)、タービン(26)及び燃料供給装置(10)を主要部とする、燃焼前CO回収型の水素燃料ガスタービン発電システムであって、
前記タービン(26)は、電気エネルギーの形態で発電するための補助手段への接続に適合しており、
前記燃料供給装置(10)は、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器、又はこれら2つの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの反応器(12)を有する水素ガス生成反応器システムの形態を有しており、
前記反応器(12)は、前記反応器(12)と再生器(14)との間でCaO含有CO吸収剤を循環させて再生する前記再生器(14)に閉ループで接続されており、
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンのタービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間に、閉じた熱交換ループ(21)が存在することにより、前記再生器(14)内の温度を900℃に上昇させると共に、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記タービン(26)の上流側端部の温度を低下させて、関連するタービン(20)の部分を前記水素燃料ガスタービンの長期安定使用に対して許容できるレベルまで冷却することを特徴とする、
水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項2】
前記反応器(12)が、メタンリッチ供給源から、合成ガス供給源から、又はメタンリッチ供給源と合成ガス供給源との組み合わせから、ガスフローを受け取るように適合された入口導管を有する、請求項1に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項3】
前記反応器(12)が、蒸気の供給源を受け入れるように適合された入口導管を有する、請求項1又は請求項2に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項4】
前記熱交換ループ(21)のための熱交換媒体が、少なくとも1500℃までの温度を取り扱うことができる熱交換媒体の中から選択される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項5】
前記タービンから高温の排出ガスを受け取り、内部で生成された蒸気を蒸気タービン(32)に供給して追加的に発電するように構成された蒸気発生器(30)をさらに備える、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項6】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記タービンの上流側端部と実質的に同じ直径を有する中空リングの形状を有し、前記燃焼器(24)と前記タービン(26)との間に接続され、かつ前記燃焼器(24)と前記タービン(26)とを橋渡しするように配置された要素(28、28’、28”)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項7】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、交換可能である、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項8】
中空リング状の前記要素(28、28’及び28”)は、共通の直径で異なる幅の一連のリングとして設けられる、請求項6に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項9】
前記水素ガス生成反応器システム(10)の前記再生器(14)と、前記水素燃料ガスタービン(20)の前記燃焼器(24)の下流側端部及び前記水素燃料ガスタービンの前記タービン(26)の上流側端部の少なくとも一方との間の前記閉じた熱交換ループ(21)が、
前記タービン(26)に入る前に前記燃焼器(24)からの排出ガスを冷却するように配置された専用の熱交換器(78)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水素燃料ガスタービン発電システム。
【請求項10】
燃焼前CO回収を伴う水素燃料ガスタービン発電プラントで発電するための方法であって、
メタンリッチガス及び合成ガスもしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるガスを、i)メタンの吸収強化水蒸気メタン改質(SE-SMR)をサポートすることができる反応器、及びii)合成ガスの吸収強化水性ガスシフト(SE-WGS)をサポートすることができる反応器からなる群から選択される少なくとも1つの反応器を備える水素ガス生成反応器システムに、供給することと、
SE-SMR及びSE-WGSからなる群から選択される少なくとも1つの反応によって供給された前記ガスを水素に変換し、天然又は合成のCaO含有CO吸収剤によって前記反応器内でCOを回収することと、
少なくとも850℃の温度で純粋なCOを放出する再生ステップを介してCO吸収剤を再利用することと、
前記水素ガス生成反応器システム内で生成された水素ガスを、圧縮空気と共にガスタービンの燃焼器に供給し、この組み合わされた燃料混合物を用いてタービンに動力供給することと、
を含み、
前記燃焼器と前記CO吸収剤の前記再生ステップとの間で熱交換を行うことにより、前記CO吸収剤の前記再生ステップにおける最低温度レベルを保証することを特徴とする、
方法。
【請求項11】
前記熱交換は、前記再生ステップにおいて少なくとも872℃の温度を保証する方法で制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応器12で発生した熱(11)が、外部目的のためのエネルギー源として使用される、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱(11)は、固体炭素質材料のガス化に使用される、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】