(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】調節装置及び切削装置
(51)【国際特許分類】
B23B 29/04 20060101AFI20221130BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B23B29/04 A
B23Q17/22 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515810
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020074269
(87)【国際公開番号】W WO2021047942
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019006414.3
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502140743
【氏名又は名称】ブルム‐ノヴォテスト・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】512178927
【氏名又は名称】コメット ドイチェラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング リットラー
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ホーエル
【テーマコード(参考)】
3C029
3C046
【Fターム(参考)】
3C029AA24
3C046PP03
(57)【要約】
改善されたコンパクトな設計を可能にすることでメイン駆動部、特に工具スピンドルの不安定性がより避けられ、加工スペースをより活用できるような、長手軸(2)の周りを回転して駆動可能な、切削工具を調節するための調節装置(1)であり、調節運動(6)を行うために支持された切削工具受容部(3)と、該切削工具受容部(3)を駆動するための駆動ユニット(13、13b)と、該駆動ユニット(13、13b)に面した表面領域を有し、前記駆動ユニット(13、13b)を制御するために設けられた少なくとも1つの電子制御回路(500、510、520、530)を形成するための回路キャリア部(200)とを含む調節装置(1)を提供するために、前記表面領域(220)の2つの表面点(600、610)が接続直線(620)によって前記回路キャリア部(200)の外部で接続されることができ、前記接続直線(620)の両端点が前記表面点(600、610)であることを提案する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(2)の周りを回転して駆動可能な、切削工具を調節するための調節装置(1)であり、調節運動(6)を行うために支持された切削工具受容部(3)と、該切削工具受容部(3)を駆動するための駆動ユニット(13、13b)と、該駆動ユニット(13、13b)に面した表面領域を有し、前記駆動ユニット(13、13b)を制御するために設けられた少なくとも1つの電子制御回路(500、510、520、530)を形成するための回路キャリア部(200)とを含み、
接続直線(620)によって前記回路キャリア部(200)の外部で接続されるように配置された、前記表面領域(220)の2つの表面点(600、610)を有し、前記接続直線(620)の両端点が前記2つの表面点(600、610)であることを特徴とする調節装置(1)。
【請求項2】
前記接続直線(620)が、前記駆動ユニット(13、13b)を横切るように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の調節装置(1)。
【請求項3】
前記駆動ユニット(13、13b)が、前記回路キャリア部(200)の凹部(230)を少なくとも部分的に通って延びるように配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の調節装置(1)。
【請求項4】
前記凹部(230)の境界が、前記回路キャリア部(200)の、周方向に閉じた縁(630)によって定められることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項5】
前記長手軸(2)と平行にとった、前記回路キャリア部(200)の最大長手寸法が、前記長手軸(2)と垂直方向の横軸と平行にとった、前記回路キャリア部(200)の最大横断寸法以下であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項6】
前記切削工具受容部(3)及び前記駆動ユニット(13、13b)と動的に結合される運動変換器(16)が、前記駆動ユニット(13、13b)の運動部(13b)の運動を前記調節運動(6)に変換するように設けられることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項7】
前記回路キャリア部(200)が、前記長手軸(2)の周りを回転可能な前記調節装置(1)の基体部(12)に、回転に関して固定されるように接続され、前記基体部(12)は工具スピンドルと接続するための接続部(8)を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項8】
前記駆動ユニット(13、13b)が、軸方向に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項9】
前記駆動ユニット(13、13b)と前記運動変換器(16)とが、互いに接続されて、前記回路キャリア部(200)とは別に軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第1のアセンブリ(13、13b、16)を形成することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項10】
前記駆動ユニット(13、13b)と、前記運動変換器(16)と、前記切削工具受容部(3)と、前記回路キャリア部(200)とが互いに接続されて、軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第2のアセンブリ(3、13、13b、16、200)を形成することを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項11】
前記回路キャリア部(200)が、前記切削工具受容部(3)とは反対の側で前記駆動ユニット(13、13b)とデータ通信をするように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項12】
前記調節運動(6)に割り当てられる調節距離を測定するために、前記回路キャリア部(200)に隣接する測定手段が設けられ、前記回路キャリア部(200)が、前記測定手段によって得られた測定データに基づいて制御信号を与えるように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項13】
前記駆動ユニット(13、13b)が、歯車(13b)と、該歯車(13b)と操作可能なように接続された電気モーター(13)とを含み、前記歯車(13b)のギアシャフト(13c)が、前記運動変換器(16)とかみ合うように構成され、前記回路キャリア部(200)が、前記ギアシャフト(13c)に割り当てられるギア軸(2)に対して垂直に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の調節装置(1)。
【請求項14】
切削工具と、該切削工具を調節するために該切削工具と操作可能なように接続された調節装置(1)と、前記切削工具の加工運動(2a)を与えるために、前記調節装置(1)と操作可能なように接続された回転駆動可能なメイン駆動部とを含む切削装置であって、前記調節装置(1)が請求項1から請求項13のいずれか一項に従って構成されることを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手軸の周りを回転して駆動可能な、切削工具を調節するための調節装置であり、調節運動を行うために支持された切削工具受容部と、該切削工具受容部を駆動するための駆動ユニットと、該駆動ユニットに面した表面領域を有し、前記駆動ユニットを制御するために設けられた少なくとも1つの電子制御回路を形成するための回路キャリア部とを含む調節装置に関する。
【0002】
本発明は更に、切削工具と、該切削工具を調節するために該切削工具と操作可能なように接続された調節装置と、前記切削工具の加工運動を与えるために、前記調節装置と操作可能なように接続された回転駆動可能なメイン駆動部とを含む切削装置に関する。
【背景技術】
【0003】
DE 44 31 845 A1の
図1に示される従来技術によると、上記のような切削装置は、長手軸12の周りを回転可能であり、下げることができ、ずらすことができるメイン駆動部14を含み、その工具受容部16には上記のような調節装置18が挟み込まれている。調節装置18は、切削工具受容部24を有し、切削工具受容部24は、両方向矢印22の方向にモーターによってずらすことができ、刃先プレート28が装着された切削工具30のための工具受容部26を有する。メイン駆動部14とともに調節装置18が長手軸12の周りを回転すると、刃先プレート28は、長手軸12と相対的に円軌道に沿って、モーターによって設定された径方向の調節に従って動く。これにより、例えば被加工体に穴を開ける又は穴を広げるために、刃先プレート28を被加工体と接触させることができる。円軌道の直径は通常、回転円直径と呼ばれる。調節運動を行うために切削工具受容部24を設置することにより、回転円直径を、モーターによって両方向矢印22の方向に変化させることができる。その後、径方向に異なる間隔のあいた、長手軸12に対して被加工体の内側及び/又は外側の領域を加工することができる。このように、例えば異なる口径を実現することができる。特に、切削工具受容部24の電動調節によって回転円直径を適切に調節することで所定の加工直径を維持するために、調節装置18によって切削ウェッジの摩耗を補償することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の調節装置18又は切削装置は、特に長手軸12に沿って、すなわち軸方向に比較的大きな設置スペースを必要とする。これは、メイン駆動部14、すなわち特に工具スピンドルの安定性が低下するため、また、特に静止して挟み込まれた被加工体の場合は加工スペースが低減するため不都合である。
【0005】
従って、本発明は、それぞれより良いコンパクトな設計を可能にすることで、メイン駆動部、特に工具スピンドルの不安定性をより防ぐことができ、加工用設置スペースをより活用することができる、上記のような調節装置及び上記のような切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
調節装置に関しては、この課題は、請求項1に係る調節装置によって解決される。更なる好ましい実施態様が従属項で示されている。
【0007】
この長手軸の周りを回転して駆動可能な、切削工具を調節するための調節装置は、調節運動を行うために支持された切削工具受容部と、該切削工具受容部を駆動するための駆動ユニットと、該駆動ユニットに面した表面領域を有し、前記駆動ユニットを制御するために設けられた少なくとも1つの電子制御回路を形成するための回路キャリア部とを含み、接続直線によって前記回路キャリア部の外部で接続されるように配置された、前記表面領域の2つの表面点を有し、前記接続直線の両端点は前記2つの表面点である。表面領域の2つの表面点を、該2つの表面点がその両端点である接続直線によって回路キャリア部の外部で接続することができるということは、回路キャリア部が駆動ユニットを、例えば駆動ユニットのギアボックスの領域で、及び/又は駆動ユニットのシャフト部及び/又は駆動ユニットのモーターのシャフト部の領域で、駆動ユニットの周方向に制御することができるということである。ここで、回路キャリア部は好ましくはプリント配線板、特に多層プリント配線板であり、ギアボックスは特に遊星ギアボックス又はスパーギアボックスであり、シャフト部は特にギアボックスシャフト部及び/又はモーターシャフト部であり、モーターは特に電気モーターである。従って、特に回路キャリア部が調節装置の筐体及び/又は基体部に配置されている場合、特に回路キャリア部の軸方向の寸法、従って調節装置の軸方向の寸法が低減される。その結果、特に、調節装置によってメイン駆動部、特に調節装置に接続できる工具スピンドルに作用する曲げモーメントが低減される。それ故に、工具スピンドルをより高速で操作することができ、その結果、加工時間が短縮され、加工操作の費用対効果が高くなる、すなわち除去性能が向上される。表面領域の2つの表面点を、該2つの表面点が両端点である接続直線によって回路キャリア部の外部で接続することができることで、対応して短縮された回路キャリア部の軸方向の構造により、特に回路キャリア部が調節装置の筐体及び/又は基体部内に配置されている場合、挟み込まれて固定された被加工体と調節装置との間の利用可能な最大のスペースが好ましく増加し、被加工体が挟み込まれた状態でとった被加工体の軸方向の寸法をより大きく選択することができる。それ故に、これに伴うより大きな加工スペースによって、特にマシニングセンタ内に調節装置が配置されている場合、異なるサイズの被加工体及びこのような被加工体の届きにくい被加工体輪郭をより良い方法で加工することができる。
【0008】
表面領域の2つの表面点が、両端点が該2つの表面点である接続直線によって回路キャリア部の外部で接続されることができることにより、特に凹部によって、回路キャリア部は長手軸の周りに曲がるように形成することもできる。これにより、調節装置の長手軸の周りの回転によって起こりうる不均衡が低減される、すなわち、両端点が2つの表面点である接続直線は回路キャリア部の外部に延びる。これは、表面領域の形状によって、回路キャリア部の質量を均一に、少なくともより均一に長手軸の周りに配置することができるためである。このように、駆動ユニットの周方向に対する回路キャリア部の質量分布が長手軸の周りにより均一に分布されることで、特に利益が得られる。従って、回路キャリア部は好ましくは空洞の円筒又は好ましくは板、特に凹部を有し、長手軸が空洞の円筒内又は凹部、特に穴内を部分的に通るプリント配線板として形成することができる。空洞の円筒の場合、両端点が上記2つの表面点である接続直線は例えば、空洞の円筒の内側の2つの正反対にある表面点を互いに結合する。板、すなわち特にプリント配線板の場合、両端点が上記2つの表面点である接続直線は例えば、径方向に凹部の境界を定める表面、すなわち特に回路キャリア部の穴の内壁の表面点である2つの表面点を接続する。これら二つの場合、調節装置の設置スペースの体積が特に簡単に低減され、同時に長手軸の周りを回転するときに回路キャリア部が引き起こしうる不均衡も低減される。
【0009】
表面領域の2つの表面点を、回路キャリア部の外部で、両端点が2つの表面点である接続直線によって接続することができることにより、調節装置の軸方向及び径方向のアクセスが改善される。それ故に、例えば調節装置を調節する際、又は駆動ユニット又はその部品等を交換する際に、調節装置を特に簡単かつ費用対効果高く提供することができる。
【0010】
表面領域の2つの表面点を、回路キャリア部の外部で、両端点が2つの表面点である接続直線によって接続することができるため、特に回路キャリア部が調節装置の筐体及び/又は基体部に配置される場合、調節装置の寸法及び材料を低減することができる。これは、機能を損なわずに筐体又は基体部を短くし、軽くすることができるためである。回路キャリア部の短縮された軸方向の構成により、調節装置の質量も同時に低減することができ、メイン駆動部、特に工具スピンドルの安定性に良い効果を与える。
【0011】
ここで、回路キャリア部は好ましくはモノリシックであることができることを明記する。回路キャリア部は例えば1つの、特に多層のベースプレートを含み、ベースプレートは特にプリント配線板として形成することができる。また、回路キャリア部は好ましくはモジュールであることができ、例えばいくつかの、互いに取り外し可能に接続されたベースプレート、特にプリント配線板を含むことができる。前者は曲げ強さのため好ましく、後者は設計の自由度のため好ましい。
【0012】
回路キャリア部が電子制御回路を形成するような形状であるため、回路キャリア部は、特に回路キャリア部の上及び/又は中に、例えば回路キャリア部の2層の回路キャリア部層の間に電気導体経路を設ける、及び/又は回路キャリア部には、回路によってマイクロチップ、電気抵抗素子、コンデンサ、又は誘導コイル等の少なくとも1つの電子部品が備え付け及び/又は装着可能であることが好適である。
【0013】
制御回路とは、特に駆動ユニットを、1つ以上の入力信号に基づいて所定の方法で作動させる、すなわち例えば駆動ユニットのモーター、特に電気モーターをエネルギーが流れる状態にするのに適した制御回路を意味する。
【0014】
好ましくは、回路キャリア部は既に制御回路を含んでいる。更に好ましくは、回路キャリア部は、例えば少なくとも1つの電気接続部を含む、上記の少なくとも1つの入力信号を受信する手段を有する。更に好ましくは、回路キャリア部は、例えば少なくとも1つのマイクロチップを含む、上記少なくとも1つの入力信号をデータに従って処理する手段を含む。更に好ましくは、回路キャリア部は上記少なくとも1つの入力信号を、データ処理された状態及び/又はデータ処理されていない状態で駆動ユニットに送信する手段を有する。
【0015】
駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域とは、好ましくは駆動ユニットの表面領域を回路キャリア部の表面領域に、両端点が駆動ユニットと回路キャリア部上に位置する方位線によって接続することができ、方位線は回路キャリア部の外部の、これら2つの異なる表面領域の間を通ることを意味する。方位線は、法線ベクトルが長手軸との方位角を含む方位面に位置してもよく、方位角は0°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、85°以上90°未満であってよい。方位角は好ましくは0°であり、この場合、方位面は長手軸に対して垂直の方向を向き、回路キャリア部によって引き起こされる不均衡を、具体的には、長手軸に対してそれぞれ径方向及び軸方向に、特に最適に低減することができる。
【0016】
回路キャリア部の外部を通るとは、特に2つの表面点間の接続直線が、回路キャリア部の物質的に中空でない領域の外を通る又は通っていることを意味する。これは特に接続直線が回路キャリア部の凹部、好ましくは穴の中を通る又は通っている場合である。
【0017】
ここで、本開示の目的のために、「長手軸」という用語は、特に記載がない限り幾何学的な意味で理解すべきであることを明記する。特に好ましくは長手軸は、メイン駆動部、特に工具スピンドルの回転軸と方向が揃う又は揃えることができる。
【0018】
特に、調節装置は長手軸に沿って延びるように形成されている。好ましくは、長手軸は調節装置の内部に位置する。
【0019】
駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域は好ましくは回路キャリア部の1つ以上の湾曲した個々の表面領域で構成することができる。これの代わりに又は追加的に、駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域は、互いに例えばそれぞれ90°、95°、100°、105°、110°、115°、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°、170°又は175°の内部の表面角度による角度をなして配置される、いくつかの平坦な表面領域で構成することができる。平坦な表面の部分は好ましくはペアで配置することができ、それぞれ直角、すなわち90°の内面角をなす。駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域が、上記の湾曲した及び平坦な表面領域で構成されることも考えられ、可能である。
【0020】
駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域は好ましくは回路キャリア部内の凹部によって最初に形成される表面領域である。これは設置スペースを節約する、費用対効果の高い措置である。
【0021】
駆動ユニットから回路キャリア部を見た方向に、駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域は好ましくは回路キャリア部の凹面の表面領域として見える。この措置により、回路キャリア部によって引き起こされる不均衡が更に低減され、同時に調節装置の設置スペース体積が低減される。特に好ましくは、駆動ユニットに面した表面領域は駆動ユニットの方向に見ると、半球型に凹面である。
【0022】
本開示中の意味では、駆動ユニットは、切削工具受容部を駆動するように設定され、これにより調節運動を実行することができる。この目的のために、駆動ユニットは例えば、モーターシャフトを有するモーター、特に電気モーターを含む。更に好ましくは、モーターシャフトは、特にギア接続によってギアボックスに操作可能なように接続される。ギアボックスは特に好ましくはギアボックス出力シャフトを含む。ここで、ギアボックスが駆動されている状態におけるギアボックス出力シャフトの回転速度n1はモーターシャフトの回転速度n2より低い。従って、ギアボックスは減速ギアボックスとして設計される。これにより、切削工具受容部の特に精密な調節が可能である。好ましくは、モーターシャフトの速度n2は、ギアボックス出力シャフトの速度n1よりも少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000以上倍大きい。この措置によって、玩具の組み立ての分野等で使用されるコンパクトな高速回転電気モーターを特に好適に使用することができる。
【0023】
調節運動は、例えば穴を開けるのに特に便利であるため、直線的であることが好ましい。更に好ましくは、調節運動は更に直線的平行移動である。
【0024】
調節運動は好ましくは径方向を、すなわち特に長手軸を横切る方向を向いている又は向けることができる。好ましくは、調節運動には、対応する径方向の、特に可能な最大限の距離を割り当てることができる。該距離は、100mm、95mm、90mm、85mm、80mm、75mm、70mm、65mm、60mm、55mm、50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.25mm、0.2mm、0.15mm、0.1mm、500μm、400μm、300μm、100μm、50μm、25μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm又は0.25μm以下である。これらは金属製の被加工体を加工するのに特に便利な調節範囲である。
【0025】
好ましくは、駆動ユニットは、調節運動が10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm又は0.5μmの線形増分値で増加しながら行われるように配置される。これは、対応するギアシャフトの増加回転角度によって表すこともできる。
【0026】
駆動ユニットはセルフロック式の設計であることが好ましい。これにより、駆動ユニットが駆動されていない状態において、工具受容部の調節位置が好ましくは径方向に一定である。すなわち、特に工具受容部の長手軸に対する径方向の距離が一定に保たれる。これにより、切削工具が切削工具受容部に接続されているとき、調節装置によって精密なチップ除去加工が好適に提供される。
【0027】
切削工具受容部は、切削工具を可逆的に解放可能なように固定するように設計されることが好ましい。好ましくは、少なくとも1つの機械的固定部品、特にねじ要素が更に設けられ、機械的固定部品は、可逆的に解放可能なように切削工具受容部の少なくとも1つのねじを切った要素に接続することができる。この措置により、切削工具の交換が特に容易になる。
【0028】
回路キャリア部は好ましくは、少なくとも1つ以上の電気絶縁層、好ましくは少なくとも2つの絶縁層を有する。該絶縁層は、例えばプラスチック、特に硬化プラスチックを含む。少なくとも2つの絶縁層の場合、好ましくは銅又はその合金、金又はその合金又は銀又はその合金を含む1つ以上の電気導体経路が少なくとも2つの隣接する絶縁層の間に配置される及び/又は配置可能であることが好ましい。同様に、1つ又は複数の導体経路の素材は1つの絶縁層の場合にも選択することができ、この導体経路はその表面に配置される及び/又は配置可能である。
【0029】
更に好ましくは、回路キャリア部は配置凹部を有する。配置凹部は好ましくは穴であり、その中に電子制御回路を形成する1つ以上の部品の電気接点を、好ましくは少なくとも部分的に、形状がフィットするように配置することができる。これにより、この電気接点を、1つ以上の半田付によってこのように回路キャリア部及びその1つ又は複数の電気導体経路に接続することができる。
【0030】
回路キャリア部は、例えば回路キャリア部にマイクロチップが備え付けられることで、既に電子制御回路を有していることが好ましい。これは特に好都合な措置であり、これによれば駆動ユニットの制御が特に低コストで提供される。電子制御回路の形成のためには、少なくとも1つの電気抵抗素子、少なくとも1つのコンデンサ又は少なくとも1つの電気コイル、特に少なくとも1つの誘導コイルも代わりに又は追加に考えることができる。
【0031】
調節装置は、上記回路キャリア部を含む制御アセンブリを含むことが好ましい。より好ましくは、制御アセンブリは電子制御回路が形成された回路キャリア部を含む。制御アセンブリは、例えば回路キャリア部が受信及び信号処理手段を含むことにより、駆動ユニットを所定の方法で作動させるように配置されることが好ましい。
【0032】
切削工具受容部は、好ましくは板状であることができ、切削工具受容部の支持板が溝を備えた接触面を有することができる。この接触面は、特にU字型の、切削工具の切削ウェッジ受容部の接触面とかみ合う及び/又はかみ合わせることができる。この切削ウェッジ受容部の接触面は支持板と対応する形状をしている。調節装置に含まれてもよい切削ウェッジ受容部は、好ましくはU字型である。調節装置に含まれてもよい、対応する切削ウェッジは、少なくとも1つの刃とそこに割り当てられる逃げ面及びそこに割り当てられるすくい面を有する。これら切削ウェッジ受容部と切削ウェッジは切削工具を形成してもよく、該切削工具は、切削ウェッジ受容部の形状や切削ウェッジの構造によってフライス、ドリル、リーマー又はその他の切削工具であってもよい。いくつかの切削ウェッジが切削工具中及び/又は切削工具上にあることも考えられ、可能である。
【0033】
調節装置の更なる実施形態によれば、上記接続直線は駆動ユニットの中を貫く。その結果、駆動ユニットを特に密接に回路キャリア部によって少なくとも部分的に接線方向に囲むことができる。これにより、調節装置の設置スペースの体積が特に軸方向に更に低減され、回路キャリア部によって引き起こされる不均衡も更に低減される。貫くとは、好ましくは、接続直線が駆動ユニットのある点から幾何学的な意味で入り、駆動ユニットの別の点から幾何学的な意味で出ることを意味する。この2点は互いに正反対に向き合っていることが好ましい。好ましくは、接続直線は、例えば駆動ユニットのギアボックス、特に遊星ギアボックスやスパーギアボックス及び/又は駆動ユニット及び/又は駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのシャフト部、特にギアボックスシャフト部及び/又はモーターシャフト部の領域で、駆動ユニットを貫く。
【0034】
接続直線は、例えば駆動ユニットのギアボックス、特に遊星ギアボックスやスパーギアボックス及び/又は駆動ユニット及び/又は駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのシャフト部、特にギアボックスシャフト部及び/又はモーターシャフト部の領域で、駆動ユニットの接線であることが考えられ、可能である。これは接続直線が駆動ユニットを貫く境界の例である。これは、設置スペースを節約する別の手段である。しかし、この境界の例が適用されないことも考えられ、可能である。
【0035】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットは少なくとも部分的に回路キャリア部の凹部内で実施されるように配置される。これによると、回路キャリア部は、例えば穴あけ及び/又はフライス削りによって得られる凹部を有する。ここで、駆動ユニットに面した回路キャリア部の表面領域は、凹部、すなわち特に穴の内壁の径方向の境界を定める回路キャリア部の表面の表面領域である。その結果、駆動ユニットは接線方向に、少なくとも部分的に回路キャリア部によって更に密接に囲まれることができる。これにより、設置スペースの体積及び回路キャリア部によって引き起こされる不均衡が更に低減される。凹部は好ましくは、連絡するように互いに結合され、長手軸が部分的に通る、回路キャリア部の2つの開口部に割り当てられる。開口部は円形又は多角形の形状であることが好ましい。
【0036】
ここで、回路キャリア部の凹部は、例えば長手軸と平行な供給方向の穴あけ及び/又はフライス削りによって得られるように、環状に閉じていることができる、又は例えば長手軸と平行で横切る供給方向の穴あけ及び/又はフライス削りによって得られるように、径方向に開いていることができることを明記する。環状に閉じた凹部であれば、回路キャリア部によって引き起こされる不均衡を特に効果的に低減することができる。径方向に開いた凹部であれば、駆動ユニットの上に横から押すことで、回路キャリア部の径方向の設置が特に効果的に実現できる。
【0037】
特に好ましくは、本開示中での意味で、凹部は、中心の座標が回路キャリア部の、特に回路のない状態での、好ましくは2次元の重心の座標と対応する円形である。これにより、回路キャリア部によって引き起こされる不均衡が、特に最適な方法で低減される。
【0038】
好ましくは、凹部に隣接する回路キャリア部の平坦な表面部分には、長手軸と平行な方向を向いた法線ベクトルを割り当てることができる。これによると、回路キャリア部は少なくとも表面部分の領域では長手軸に対して垂直な方向を向いており、設置スペースの体積が節約される。
【0039】
調節装置の更なる実施形態によれば、凹部は、回路キャリア部の周方向に閉じた縁によって境界を定められる。これによると、周方向に閉じた、好ましくは環状の凹部が提供されることが好ましい。これにより、回路キャリア部はこのように駆動ユニットを、周方向に閉じるように、駆動ユニットの周方向に囲む。この囲みは例えば、駆動ユニットのギアボックス、特に遊星ギアボックスやスパーギアボックス及び/又は駆動ユニット及び/又は駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのシャフト部、特にギアボックスシャフト部及び/又はモーターシャフト部の領域にある。周方向に閉じた縁は、特に回路キャリア未加工体の穴あけ及び/又はフライス削りによって得られる。これによって設置スペース体積及び回路キャリア部によって引き起こされる不均衡が更に低減される。これは、特に回路キャリア部を長手軸の周りに回転対称に配置することができるためである。周方向に閉じた縁は更に、長手軸を対応する回転対称軸として回転対称であることが好ましい。周方向に閉じた縁は好ましくは円形又は多角形、すなわち好ましくは正方形、長方形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形又は十角形であることができる。好ましくは、多角形の凹部の場合、角、すなわち2つの隣接する表面領域の間の切替部分は、有限の曲率半径によって特徴付けられ、これらの切替部分は連続した形状である。多角形の凹部は等辺形であることが更に好ましい。
【0040】
回路キャリア部の重心は好ましくは凹部内に配置される。その結果、回路キャリア部は釣り合う又は少なくとも実質的に釣り合い、調節装置の可動性が効果的に向上される。
【0041】
回路キャリア部は板状に形成されることが好ましい。これは、設置スペースの体積が更に低減されるため、特に好都合な措置である。また、回路キャリア部は、好ましくは円形の、特に多層のプリント配線板として、更に好ましくはその外周に沿って設計される。回路キャリア部が板状に形成されていれば、好ましくは一定である板厚を割り当てることができ、これにより、回路キャリア部を組み立てる際の衝突の恐れが低減され、同時に設置スペースの体積が節約される。
【0042】
調節装置の更なる実施形態によれば、長手軸と平行にとった、回路キャリア部の最大長手寸法は、長手軸に対して垂直な方向を向いた横軸と平行にとった、回路キャリア部の最大横断寸法以下である。これにより、設置スペースの体積が、特に長手軸方向に低減される。回路キャリア部が板状に設計されている場合、これは、回路キャリア部が長手軸に対して、対応して傾く又は、更に好ましくは長手軸に対して垂直な方向を向いていることで実現することができる。
【0043】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットの運動部の運動を調節運動に変換するために、切削工具受容部及び駆動ユニットと動的に結合することができる運動変換器が設けられる。これにより、駆動ユニットによって得られる運動部の運動、例えば回転運動を好適に、特には直線的で長手軸を横切る方向を向いた調節運動に変換することができる。ここで、運動部は例えば、駆動ユニットのギアボックス、特に遊星ギアボックスやスパーギアボックスのギア出力シャフト及び/又は駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのモーターシャフト、例えばピニオンあってもよい。特に好ましくは、運動変換器は偏芯ギアとして設計され、これにより、駆動ユニット及び/又は駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのモーターシャフト、例えばピニオンのギア、特に遊星ギアやスパーギアのギア出力シャフトの回転運動を、特に直線的かつ長手軸を横切る方向を向いた調節運動に変換することができる。特に好ましくは、調節装置のコンパクトさを更に向上させるため、運動変換器は回路キャリア部に隣接して設置される。
【0044】
運動変換器は、運動変換器が駆動されていない状態のときの切削工具受容部の調節位置が、好ましくは径方向に、すなわち長手軸を横切る方向に一定に保たれるように駆動ユニットと動的に結合されることが好ましい。これにより、切削工具が切削工具受容部に接続されているときに、調節装置によって精密なチップ除去加工が有利に提供される。このように提供されたセルフロックは特に駆動ユニットのギア、特に遊星ギアやスパーギアによって、このギアが減速ギアとして設計される場合、実現することができる。
【0045】
調節装置の更なる実施形態によれば、運動変換器は駆動部を有する。この駆動部は、運動変換器が駆動されている状態では、回転軸の周りを回り、回転軸とは異なる方向を向いた切削工具受容部の駆動部ガイドとかみ合わせることができ、切削工具受容部は駆動部ガイドを有する。これにより、特にスペースを節約可能な偏芯機構が提供され、これにより、特に調節運動を強固に実現することもできる。好ましくは、回転軸は長手軸と方向が揃い、設置スペースの体積が軸方向に更に節約される。駆動部は好ましくは結合部の、軸方向の突起、例えばシャフトジャーナル、好ましくは円筒形シャフトジャーナルとして形成される。この結合部は、調節装置の基体部及び/又は筐体に対して回転可能なように設置され、例えばディスク状に形成することができる。このとき、結合部は、例えば転動体又はスライド体上に取り付けられることで、例えば長手軸の周りを回転することができる。これは特に費用対効果が高く、また、機械的に強固な措置である。駆動部は偏芯ピンと呼ぶこともできる。駆動部ガイドは長手軸を横切る方向を向いていることが好ましい。駆動部ガイドは好ましくは切削工具受容部の凹部、好ましくは長手溝として形成され、その中に駆動部がかみ合わせられる。これは特に駆動部との相互作用に関して、特に費用対効果が高く、かつ機械的に強固な措置である。長手軸を横切るとは、例えば、長手軸に対して垂直である突起面への駆動部ガイドの直交突起の突出の面積が、長手軸に対して平行である突起面への駆動部ガイドの直交突起の突出の面積よりも大きいことを意味しても良い。駆動部ガイドは長手軸に対して径方向であることが好ましい。運動変換部は好ましくは、駆動部のポジティブ及び/又は非ポジティブ受容のための凹部を有する。結合部は好ましくは駆動ユニットの運動部に回転に関して固定されるように接続される。このとき、運動部は駆動ユニットのギアボックス、好ましくは遊星ギアボックスやスパーギアボックスのギアシャフト、特にギア出力シャフト及び/又は駆動ユニットモーター、好ましくは電気モーターのモーターシャフト、特にピニオンであってもよい。その後、駆動ユニットは結合部を回転駆動することができ、これにより、駆動部は長手軸の周りを回る。すなわち、駆動部は長手軸から径方向に非ゼロの距離をおいて位置し、長手軸の周りを好ましくは円軌道で回る。
【0046】
調節装置の更なる実施形態によれば、運動変換器は軸受箱内に取り付けられ、駆動ユニットは可逆的に取り外し可能に軸受箱の片側に接続される。この措置により、特に簡単に調節装置を組み立てる又は分解することができる。軸受箱内では、特に、上記駆動部を特に軸方向の突起、例えばシャフトジャーナル、好ましくは円筒形のシャフトジャーナルの形で有する結合部を転がり軸受又は滑り軸受に配置することができる。特に駆動ユニットのギアボックス、特に遊星ギアボックス又はスパーギアボックスの設置板及び/又は駆動ユニットのモーター、好ましくは電気モーターに接続された設置用支柱を軸受箱に配置することができる。軸受箱は回転不能なように調節装置の筐体及び/又は基体部に接続されることが好ましい。
【0047】
調節装置の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのスライド部が、駆動部ガイドの中及び/又は上を滑るために設けられ、駆動部は操作可能にスライド部に接続される。これにより、駆動部ガイド内を滑るために最適な措置が提供され、特に運動変換器の効率、従って有効性が向上させる。これにより、調節装置の効率、従って有効性が向上させる。好ましくは、スライド部は、駆動部ガイドが長手方向の溝として形成される場合、構造がそのような溝の形状に適合されるスライダーとして形成され、摩擦抵抗が更に低減される。スライド部は駆動部を受けるための凹部を有することが好ましい。好ましくは、スライド部はスライド部の駆動部ガイド、特に長手方向の溝内でのスライド方向への自由最大スライド距離がスライド部の、径方向にとった長さよりも短いように形成される。この措置により、駆動部ガイド内におけるスライド部の特に安定した誘導が提供される。
【0048】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動部は、転がり軸受及び/又は滑り軸受内のスライド部内及び/又はスライド部上に設置される。これにより、運動変換器、従って調節装置の効率が更に向上される。これは、この更なる実施形態によれば、スライド部と駆動部との間の摩擦が低減されるためである。スライド部が転動体上に取り付けられる場合、スライド部は少なくとも1つの針軸受及び/又は少なくとも1つの玉軸受によって取り付けられることが好ましい。これは、摩擦を低減させるのに特に有用な措置である。
【0049】
調節装置の更なる実施形態によれば、回路キャリア部は、長手軸の周りを回転可能な調節装置の基体部に、回転に関して固定されるように接続される。ここで、基体部は工具スピンドルと接続するための接続部を有する。これにより、調節装置のコンパクトさが更に向上される。これは、基体部が、一方では回路キャリア部を固定する役割を果たし、他方では回路キャリア部を工具スピンドルに接続させる役割を果たし、基体部が回転する際に、回路キャリア部が基体部又は工具スピンドルの回転速度で回転するためである。この回転に関して固定された接続は直接的に又は間接的に実現することができる。接続を直接的に実行する場合、回路キャリア部は回転に関して固定されるように、例えば回路キャリア部を固定するための少なくとも1つのねじが基体部のねじ部内に配置されるねじ要素接続によって基体部と直接接続される。接続を間接的に実行する場合、回路キャリア部は、回転に関して固定されるように基体部とは異なる筐体に接続され、回転に関して固定されるように、回路キャリア部を固定するための少なくとも1つのねじが筐体のねじ部内に配置され、基体部に接続される。接続部は特に基体部、従って調節装置を回転防止装置及び/又は基体部の軸方向のプレテンション手段と接続するように設計される。
【0050】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットは軸方向に配置される。これにより、調節装置が長手軸の周りを回転する際に、駆動ユニットによって引き起こされる不均衡が、特に効果的に低減される。更に、互いに相対的に可動な部材の摩擦を低減されるために駆動ユニットが含んでもよい1種以上の潤滑剤の場合、これら部材の遠心が避けられ、駆動ユニットの、従って調節装置の使用寿命が改善される。互いに相対的に可動な部材は例えば駆動ユニットの電気モーターのモーターシャフトと対応する軸受及び/又は駆動ユニットのギアボックスのギアシャフトと対応する軸受及び/又は駆動ユニットのギアボックス、例えば遊星ギアボックスやスパーギアボックスの2つ以上のかみ合う歯車であってもよい。更に、長手軸が、駆動ユニットのモーター、特に電気モーターのモーターシャフト及び/又は駆動ユニットのギアボックス、例えば遊星ギアボックスやスパーギアボックスのギア出力シャフトと方向が揃うことが特に好ましい。
【0051】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットと運動変換器とは、互いに接続されて、回路キャリア部とは別に軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第1のアセンブリを形成する。これにより、調節装置の、例えばメンテナンスの際の分解、及び例えば組み立ての際の組み立てが増加する。これは、それぞれの場合で、必要とされる時間が低減され、同時に第1のアセンブリを事前に組み立てることが可能であるためである。このように、駆動ユニットは、特にギアを含む場合、少なくとも1つのねじ要素によって、運動変換器が回転可能なように設置された軸受箱に可逆的に解放可能なように固定されてもよい。これにより、駆動ユニットと運動変換器は軸受箱によって互いに接続され、軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第1のアセンブリを形成する。軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能であることにより、第1のアセンブリは特に調節装置の片側、例えば前側からアクセスすることができ、これは簡単な取り外し又は取り付けに更に貢献する。回路キャリア部とは別に軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能であるとは、特に第1のアセンブリを取り外す際又は取り付ける際に、回路キャリア部は調節装置の筐体又は基体部の中及び/又は上に留まるということを意味する。
【0052】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットと、運動変換器と、切削工具受容部と、回路キャリア部とが互いに接続されて、軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第2のアセンブリを形成する。これにより、調節装置の、例えばメンテナンスの際の分解、及び例えば組み立ての際の組み立てが更に増加する。これは、それぞれの場合で、必要とされる時間が低減され、同時に第2のアセンブリを事前に組み立てることが可能であるためである。このように、駆動ユニットは、特にギアを含む場合、少なくとも1つのねじ要素によって、運動変換器が回転可能なように設置された軸受箱に可逆的に解放可能なように固定されてもよい。これにより、駆動ユニットと運動変換器とを組み立てて軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第1のサブアセンブリを少なくとも1つのねじ要素によって形成することができる。駆動ユニットと運動変換器とは軸受箱の助けを借りて互いに接続され、軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能な第1のサブアセンブリを形成する。軸受箱は、特に少なくとも1つのねじ要素によって調節装置の筐体の中及び/又は上に可逆的に解放可能なように固定される。筐体は切削工具受容部をスライドさせるためにスライド面を有する。切削工具受容部は、筐体に可逆的に解放可能なように接続された筐体カバーによって、特に少なくとも1つのねじ要素によって軸方向にロックされる。第2のサブアセンブリは例えばこのようにして形成される。軸方向に分解可能又は軸方向に組み立て可能であることにより、第2のアセンブリは特に調節装置の片側、例えば前側からアクセスすることができ、これは簡単な取り外し又は取り付けに更に貢献する。
【0053】
調節装置の更なる実施形態によれば、回路キャリア部は、切削工具受容部とは反対の側で駆動ユニットとデータ通信するように設計される。これにより、例えば第1の及び/又は第2のアセンブリの構成要素であってもよい駆動ユニットを、特に簡単に回路キャリア部から分離する又は回路キャリア部に接続することができるため、組み立て及び分解がより容易になる。回路キャリア部が切削工具受容部とは反対の側で駆動ユニットとデータ通信するように設計されるということは、好ましくは少なくとも1つのプラグインコンタクトが、導電手段、特に多芯電源ケーブルと接続するために設けられ、この導電手段が好ましくは駆動ユニットの電気モーターのプリント配線板に接続されることを意味する。
【0054】
調節装置の更なる実施形態によれば、回路キャリア部は、回路の規格に沿った組み立てのために、切削工具受容部とは反対側の方及び/又は切削工具受容部の方を向いた機能表面を有する。切削工具受容部とは反対側の方を向いた機能表面の場合は、機能表面は、回路キャリア部に回路に応じて電子制御回路の少なくとも1つの部品が備え付けられている又は備え付けられる、装備された状態においては、少なくとも1つの高い部分を有するため、回路キャリア部を特に効果的に切削工具受容部に接近して位置することができる。切削工具受容部の方を向いた機能表面の場合は、組み立ての際に機能表面が対応する組み立て工の方を向いているため、組み立て工が組み立てを状況に応じて監視することができ、機能表面の組み立て関連の損傷の恐れが最小化される。
【0055】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットとのデータ通信のためにデータ伝達手段が設けられ、駆動ユニットに面した表面領域は少なくとも部分的にデータ伝達手段に面している。これにより、調節装置の特に単純な構造が提供される。データ伝達手段は、多芯電源ケーブル、特に回路キャリア部の凹部に通される平坦な設計の多芯電源ケーブルとして設計されることが好ましい。データ伝達手段の一端が、プラグコンタクトの意味で回路キャリア部と接続されることが好ましく、データ伝達手段の他端が別のプラグコンタクトの意味で、好ましくはパワーエレクトロニクス又は対応するように設計された回路を有する第2の回路キャリア部と接続されることが好ましい。第2の回路キャリア部は長手軸に対して垂直に配置されることが好ましい。第2の回路キャリア部はプリント配線板として構成されることが好ましい。好ましくは、第2の回路キャリア部は操作可能なように駆動ユニットのモーター、好ましくは電気モーター、すなわち特に電気モーターの1つ以上の固定子巻線に接続される。データ通信は好ましくは、制御又はフィードバック信号と呼ぶこともできる電気信号の単方向性又は二方向性の送信であることができる。データ通信は好ましくは、第2の回路キャリア部に対して第1の回路キャリア部と呼ぶことができる回路キャリア部の制御回路によって提供される、制御又はフィードバック信号と呼ぶことができる電気信号の単方向性又は二方向性の送信であることができる。これにより、駆動ユニットは切削工具受容部を、好ましくは駆動ユニットのギア及び/又は運動変換器によって所定の方法で駆動し、好ましくは直線的で好ましくは長手軸を横切る方向の調節運動を実行することができる。
【0056】
調節装置の更なる実施形態によれば、調節運動に割り当てられる調節距離を測定するために、回路キャリア部に隣接する測定手段が設けられ、回路キャリア部は測定手段によって得られた測定データに基づいて制御信号を与えるように設計される。これは、切削工具が特に1つ以上の切削ウェッジの領域で摩耗するという側面から特に、予め定義された調節運動が維持されているか確認することができるため、有益である。測定手段は、回路に応じて回路キャリア部に備え付けられている又は備え付けることができる、測定手段によって得られた測定データを処理するための電子データ処理手段を含むことが好ましい。測定手段は、誘導性及び/又は抵抗性及び/又は容量性及び/又は光学的な原理に従ってずれを検出するように設計されたずれ測定装置を含むことが好ましい。更に好ましくは、切削工具受容部は、少なくとも1つのスケールを有し、調節運動を実行できるように基体部及び/又は筐体と相対的に切削工具受容部が設置される、調節装置の基体部及び/又は筐体は、スケールを感知することができるセンサを有する、又はその逆である。
【0057】
調節装置の更なる実施形態によれば、駆動ユニットは、歯車と、該歯車と操作可能なように接続された電気モーターとを含み、歯車のギアシャフトを運動変換器とかみ合わせることができ、回路キャリア部が、ギアシャフトに割り当てられるギア軸に対して垂直に配置される。対応するギアの数、配置、又はサイズに応じて、特にギア出力シャフトの形のギアシャフトの複数の異なる速度を、遊星ギア伝導装置及び/又はスパーギア伝導装置であってもよい歯車伝導装置によって、電気モーターのモーターシャフトの予め定義された駆動速度で与えることができるため、これは特に好都合な措置である。回路キャリア部が、例えば回路キャリア部の表面部分の法線ベクトルをギア軸に対して平行に配置することで、ギア軸に対して垂直に配置されることによって設置スペースの体積を低減させることもできる。
【0058】
調節装置の更なる実施形態によれば、調節装置は冷却剤流路システムを含み、該冷却剤流路システムは切削工具受容部の冷却剤流路システムと連絡するように接続され、回路キャリア部はこれらのうち少なくとも1つの冷却剤流路システムと隣接して配置される。これにより、これら2つの冷却剤流路システムを冷却剤で満たすことにより、2つの冷却剤流路システムによって切削工具をチップ除去状態で冷却することができ、除去されたチップを例えば穴の内壁から搬送することができるため、切削工具の使用寿命を延ばすように調節装置が最適化される。切削工具受容部の冷却剤流路システムは冷却剤流路開口部を含むことが好ましく、これにより、冷却剤が切削工具受容部から出ることができる。好ましくは、冷却剤漏れの対策として、切削工具受容部と、切削工具受容部が相対的に可動なように設置することができる又は設置される調節装置の筐体及び/又は基体部との間の境界面を密閉するために密閉手段が設けられる。
【0059】
調節装置の更なる実施形態によれば、調節装置は工具スピンドルと接続するように設計される。これにより、調節装置を工具スピンドルに効果的に接続することができ、このようにして、工具スピンドルの回転運動を調節運動に、従って切削工具受容部に伝達することができる。調節装置は、工具スピンドル又は工具スピンドルと接続するための中空テーパーシャンクを有することが好ましい。これは、対応する形状の工具スピンドルとの非ポジティブ及びポジティブ接続を提供する、特に実用的な措置である。
【0060】
調節装置の更なる実施形態によれば、調節装置は切削工具含み、切削工具は可逆的に解放可能で操作可能なように切削工具受容部に接続され、これにより、駆動ユニットが作動している状態において、切削工具は調節運動を実行する。ここで、切削工具は、チップ除去のために少なくとも1つの切削ウェッジを有する。これにより、調節装置が不均衡を引き起こさない、又は少なくとも不均衡はより低い程度であるため、また、コンパクトな設計であるため、比較的速い速度で長手軸の周りを回転駆動するができる、調節可能な切削工具が効果的に提供される。この更なる実施形態によれば、調節装置は面削りヘッド及び/又は中ぐりヘッドとして設計されることが好ましい。切削工具は好ましくは切削工具、穴あけ工具、フライス工具、又はリーマー工具等であってもよい。この更なる実施形態に従って調節装置に測定手段を設ける場合、特に切削ウェッジの、穴の内壁との接触によって口径を測定することができる測定工具を設けることが好ましい。
【0061】
本発明の更なる効果的な側面によれば、本発明はここに記載される請求項1から13のいずれか一項に記載された調節装置及び/又は調節装置の実施形態及び/又は更なる実施形態を使用して切削工具を、好ましくは径方向に、すなわち長手軸を横切る方向に調節することに向けられる。
【0062】
本発明の更なる効果的な側面によれば、本発明は切削工具を調節するための、長手軸の周りを回転駆動することができる調節装置を製造する方法に向けられる。該方法は少なくとも以下の工程を含む。a)調節運動を行うための切削工具受容部を支持する工程。b)切削工具受容部を駆動するための駆動ユニットを設ける工程。c)任意に切削工具受容部を駆動ユニットの運動部の運動を調節運動に変換するための運動変換器と動的に結合し、任意に運動部を運動変換器と動的に結合する工程。d)駆動ユニットを制御するために設けられた少なくとも1つの電子制御回路を形成するために回路キャリア部を設ける工程。e)回路キャリア部の表面領域が駆動ユニットに面するように回路キャリア部を配置する工程。f)表面領域の2つの表面点を、両端点が該2つの表面点である接続直線によって回路キャリア部の外部で接続することが可能であるように、回路キャリア部を配置する工程。このようにして、設置スペースの体積が低減された調節装置が製造され、調節装置は同時に、それによって引き起こされる不均衡を低減するように設計される。工程d)の前及び/又は最中、例えば穴あけ及び/又はフライス削りによって回路キャリア部の中及び/又は上に凹部を形成しても良く、工程f)において、駆動ユニットは少なくとも部分的に、特に凹部が穴である場合、凹部内で実施されるように配置されても良い。
【0063】
課題は更に請求項14に係る切削装置によって解決される。
【0064】
切削装置は、切削工具と、該切削工具を調節するために該切削工具と操作可能なように接続された調節装置と、切削工具の加工運動を与えるために、調節装置と操作可能なように接続された回転駆動可能なメイン駆動ユニット部とを含み、調節装置はここに記載される請求項1から14のいずれか一項及び/又は調節装置の実施形態及び/又は更なる実施形態に従って設計される。これにより、特に調節装置の領域で設置スペースの体積を低減するように設計され、同時に調節装置によって引き起こされる不均衡を低減するように設計される切削装置が提供される。この切削装置によれば、メイン駆動ユニット部を好ましくは比較的高い回転速度で操作することができ、それ故に、所定の輪郭を形成するために被加工体からチップを除去するために、被加工体は切削工具に特に接近して位置することができる。更に、長手軸は、例えばマシニングセンタに操作可能なように接続されても良い工具スピンドル等、メイン駆動ユニット部の長手軸であることが好ましい。調節運動は好ましくは長手軸を横切る方向を向き、直線的である。
【0065】
本開示の更なる効果的な側面によれば、本開示はここに記載される請求項14に記載された切削装置及び/又は切削装置の実施形態及び/又は更なる実施形態を使用して、好ましくは金属製の、被加工体を切削することに向けられる。
【0066】
本発明の更なる効果及び有用性が、付随する図面を参照して以下の実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】調節装置を斜め右上から見た、一つの実施形態に係る調節装置の概略斜視図を示す。
【
図2】
図1における調節装置の、
図1中の矢印IIの方向に見た正面の概略図を示す。
【
図3】
図1における調節装置の、
図2中の断面線IIIに沿った、
図2で断面線IIIに割り当てられた矢印の方向に見た概略断面図を示す。
【
図4】
図1における調節装置の、
図3中の断面線IVに沿った、
図3で断面線IVに割り当てられた矢印の方向に見た概略断面図を示す。
【
図5】
図1における調節装置の、
図1中の矢印Vの方向に見た背面の概略図を示す。
【0068】
図1~5において、同一の、同様の又は同様に機能する要素には同一の参照符号が割り当てられ、これらの要素の繰り返しの説明は、重複を避けるために下記の説明において一部省略する。
【0069】
図1は、調節装置1を斜め右上から見た、一つの実施例に係る調節装置1の概略斜視図を示す。調節装置1は、長手軸2の周りを回転方向2aのいずれの方向にも回転することができる。これにより、不図示の切削工具が受容板3と接続され、調節装置1が不図示のスピンドルによって長手軸2の周りを回転されると、切削工具は長手軸2の周りを回転する。この目的のために、調節装置1は可逆的に解放可能なように基体部12の接続部8にスピンドルによって固定され、切削工具は可逆的に解放可能なように、受容板3のねじ穴5にかみ合わせることができる不図示のねじによって不図示の工具受容部を介して受容板3の溝を設けた表面4に固定される。表面4の溝は工具受容部の対応する溝とかみ合う。これにより、溝の筋を横切る方向に形状がフィットし、工具受容部の位置決めは溝の筋と平行な方向に誘導される。受容板3、従って切削工具は、モーターによって長手軸に対して径方向を向いた方向6に調節可能である。これにより、例えば、回転円直径に対応した直径で被加工体に穴をあけるために、切削工具を回転円直径の調節に従って長手軸2の周りを運動させることができる。方向6、すなわち回転円直径を調節するための前後運動の一方への受容板3の調節は調節装置1の長手軸2の周りの回転から切り離されている。そのため、回転円直径は長手軸2の周りの調節装置1の回転に割り当てられる回転速度から独立している。方向6の一方への受容板3の最大調節は、長手軸2を横切る方向に測定したとき、例えば0.25mmである。しかし、受容板3の異なる調節量も考えられ、可能である。
【0070】
図1においては、受容板3が、
図3を参照してより詳細に検討する冷却剤流路システムと接続される穴7を有することも分かる。穴7は更に、ピン7aによって穴7内に挿入された状態で偏ってロックされた、工具受容部のアンカー部用のアンカーとして機能する。
【0071】
図1は、受容板3がカバープレート9の開口部9aから突き出すことで、開口部9aは、その境界を定めるカバープレート9の壁に沿って受容板3の径方向のストップを形成するということも示す。カバープレート9は、対応するねじ山を有する筐体11に、カバープレート9の穴9b(見えている穴9bとは反対側の同様な穴9bの図は受容板7の図に隠れており、
図2の平面図において見ることができる)に挿入される又は挿入可能な不図示のねじ付ボルトによってねじで留められる。これにより、カバープレート9は長手軸2に対して中心があり、接線方向にロックされ、受容板3は軸方向にロックされる。筐体11とカバープレート9との間で、アルミニウム合金(各場合、アルミニウム合金の代わりにガラス又は鋼鉄が考えられ、可能である)からなるケーシングリング10に軸方向に圧縮応力を与え、これにより、カバープレート9と筐体11との間の切替領域が密閉される。
【0072】
カバープレート9及び筐体11は、カバープレート9の対応する穴9c(
図2の平面図で全て見ることができる)に挿入される又は挿入可能な別のより大きな不図示のねじ付ボルトによって、対応するねじ山を有する筐体11にねじで留められる。これにより、ねじ付ボルトを緩めたり締めたりすることで軸方向に分解又は軸方向に組み立てることのできるアセンブリが形成される。このようにして、ねじ付ボルトを緩めたり締めたりすることで軸方向に分解又は軸方向に組み立てることができ、受容板3と、カバープレート9と、ケーシングリング10と、筐体11と、とともに
図1では見られない、筐体11に取り付けられた電動調節機構とを含むアセンブリが形成される。電動調節機構は、
図3を参照してより詳細に説明する。
【0073】
筐体11は円周上に、ねじ付ボルトを固定するためのねじ穴11aが設けられる。このねじ付ボルトは必要に応じて調節装置の不均衡を補償し、この目的のためにねじ穴11に異なる深さまでねじ込むことで調節装置1の重心がこのように長手軸2上に位置するようにすることができる。
【0074】
筐体11はねじ付ボルトによって調節装置1の基体部12に接続される。このねじ付ボルトは、基体部12内の対応する穴を部分的に通るように配置される又は配置可能である。ここで、筐体11は対応するねじ穴を有する。
【0075】
図2は、調節装置1の、
図1中の矢印IIの方向に見た正面の概略図を示す。
図2においては、方向6が長手軸2に対して径方向を向いていることが特によく分かる。
【0076】
図3は、調節装置1の、
図2中の断面線IIIに沿った、
図2で断面線IIIに割り当てられた矢印の方向に見た概略断面図を示す。
図3では、調節装置1の内部構造が特に明確である。
図3より、電気モーター13が調節装置1内で片持ち設置されていることが分かる。電気モーター13は更に、長手軸2の周りに配置されるため、調節装置1が長手軸2の周りを回転するときに電気モーター13は実質的に(すなわち電気モーター13が回転対称である限り)バランスがとれている。これは、電気モーター13の軸方向の配置と呼ぶこともできる。電気モーター13が、例えば不図示の誘導装置によって例えば電流がその不図示の固定子巻線に流れることで作動された場合、回転不能なように電気モーター13のモーターシャフトと接続された、電気モーター13のピニオン13aが長手軸2の周りを回転する。ここで、ピニオン13aは長手軸2と方向が揃っている。ピニオン13aが多段式スパーギア13bとかみ合うことで、ピニオン13aの比較的高い速度、例えば1000回転毎分がスパーギア13bの出力シャフト13cの比較的低い速度、例えば1回転毎分に低減される。ここで、ピニオン13aを含む電気モーター13は、ギア出力シャフト13cを含むスパーギア13bとともに駆動ユニットを形成することを明記する。
【0077】
回転できないようにピニオン13の領域の外で電気モーター13にねじで留められるギア13bは、ねじ14によって軸受カバー15に接続される。出力シャフト13cは軸受カバー15を通るように配置され、転がり玉軸受17によって長手軸2の周りを回転可能なように軸受カバー15内に設置されたジャーナルキャリアホイール16に、回転不能なように接続される。転がり玉軸受17の径方向に内側のリング17aは、ジャーナルキャリアホイール16にねじで留められたねじ付リング17bによって軸方向に事前に負荷を加えられる。これにより、リング17aは、ジャーナルキャリアホイール16の径方向に突き出る止め部に押しつけられる。転がり玉軸受17の径方向に外側のリング17cは、リテーニングプレート17dによって筐体11に対して軸方向に事前に負荷を加えられる。ここで、リテーニングプレート17dは筐体11にねじで留められている。定義された予荷重を設定するために、リテーニングプレート17dと軸受カバー15とは接線方向の円周方向の隙間によって間隔があけられている。ここで、リテーニングプレート17dは、筐体カバー15、従ってその中に設置されたジャーナルキャリアホイール16の筐体11との接続を確保する。これにより、ジャーナルキャリアホイール16を、ギア出力シャフト13cを介して電気モーター13によって駆動することができる。このような駆動された状態において、ジャーナルキャリアホイール16にモノリシック接続された偏芯ピン18は長手軸2の周りを円軌道で回る。これは、偏芯ピン18の回転対称軸が長手軸2に対して径方向にオフセットされているためである。
【0078】
電気モーター13と、ギア13bと、軸受カバー14と、ジャーナルキャリアホイール16とは、特にギア13及びジャーナルキャリアホイール16は記載のようにそれぞれ軸受カバー15に接続されているため、更なるアセンブリを形成する。このアセンブリは、プリント配線板200の中を通される。これにより、このアセンブリは、プリント配線板200をこのために分解したり組み立てたりすることなく軸方向に組み立てたり軸方向に分解したりすることができる(プリント配線板200は下記でより詳細に検討する)。これは特にリテーニングプレート17bを筐体11と可逆的に解放可能なように接続するねじを締める又は緩めることで行う。
【0079】
偏芯、すなわち偏芯ピン18の回転対称軸と長手軸2との間の径方向の距離は例えば0.25mmである。これによれば、調節装置1は微調節装置又は微調節ヘッドと呼ぶこともできる。円筒形である偏芯ピン18は、針軸受19によって、スライダー20内に回転可能なように設置される。スライダー20は、
図3の描画面に対して垂直に延びる受容板3の長手方向の溝21にスライドするように設置される。偏芯ピン18が駆動されるとき、スライダー20は偏芯ピン18の、長手軸2に対する、従ってピニオン13aの長手軸に対する偏芯によって長手方向の溝21に沿ってスライドする。一方、
図3で見られるポジティブフィットにより、受容板3は、ギア出力シャフト13c、従ってジャーナルキャリアホイール16が長手軸2の周りを完全な1回転するとき、長手軸2、従ってピニオン13aの長手軸に対して方向6に筐体カバー9と筐体リング6との間で平行移動する。方向6の一方への受容板3の、電気モーター13の電源のない状態においてはギア13bのセルフロックによってロックされる一定のずれを設定するために、ギア出力シャフト13cは従って、ギア13b及び電気モーター13によって長手軸2の周りを完全な1回転の一部回転される。
【0080】
図3は、電子部品を含む制御回路を有するプリント配線板200が調節装置1内で受容板3とは反対を向いた機能表面210上に設けられることを更に特に良く示している。これにより、電気モーター13、従ってピニオン13a、ジャーナルキャリアホイール16、そして受容板3を、1つ以上の、入力信号とも呼ぶことのできる測定信号に基づいて制御する(測定信号は例えば、所定の口径又は所定の口径からのずれに関する情報と対応してもよい)。プリント配線板200はプリント配線板200の対応する穴230を円形に閉じて中心点が長手軸2上にあるように囲む円筒形の表面220を有する。これにより、プリント配線板200は制御回路のない状態で長手軸2の周りの回転に関してバランスされている(プリント配線板200が回転対称に形成されている限り)。プリント配線板200が回転に関して固定されるように固定ねじ240(その上面図が
図4に示される)によって筐体11に接続されるため、調節装置1が長手軸2の周りを回転する場合、プリント配線板200は長手軸2の周りを回転する。ここで、ねじ240はスリーブ240a内に部分的に配置され、プリント配線板200がそのようにスリーブ240の上に載せられる。ねじ240は筐体11にねじ込まれる。
【0081】
プリント配線板200又はその制御回路は、不図示の導電手段等によって、より詳しくは示されないパワーエレクトロニクスを設けられた別のプリント配線板300とデータ通信するように直接的又は間接的に接続することができる。これにより、導電手段を穴230内に部分的に通すことで受容板3に面した側、すなわち機能表面210の反対側でプラグコンタクトと接続することができる。プリント配線板300はこれにより、電気モーター13の固定子巻線と電気的に接続される。
【0082】
図3より、第1の冷却剤ダクトシステムが筐体11及び基体部12内に形成されることも特によく分かる。このシステムは、接続部8及び基体部12内に長手軸2と平行に配置されて基体部12の端領域にねじ込まれた冷却剤パイプ400と、長手軸2に対して傾いて、すなわち平行でなく配置された基体部12のダクト穴410と、長手軸2と平行に配置された基体部12のダクト穴420と、長手軸2と平行で部分的にダクト穴420内に配置された筐体11の冷却剤パイプ430と、長手軸2と平行に配置された筐体11のダクト穴440とからなる。冷却剤パイプ430は部分的にダクト穴420及び長手軸2と平行に配置された筐体11のダクト穴440に挿入され、長手軸2と平行に配置される。また、受容板3内に長手軸2に対して傾いて配置された受容板3のダクト穴450からなる第2の冷却剤流路システムが受容板の側面に形成される。従って、2つの冷却剤流路システムが互いに連絡するように接続されることにより、冷却剤パイプ400から入る冷却剤はダクト穴450から出て、このようにして、穴7の特定の領域で満たす。その後、不図示の切削工具及び/又は被加工体中の不図示の穴の壁に冷却剤が供給される。
【0083】
図3は、ボルト5100が、長手軸2を横切る方向に、接続部8の穴5000に配置されることも特によく示す。このボルトは、スピンドルアダプター部とポジティブ連結することができるため、工具スピンドルから調節装置1へトルクを伝達することができる。
【0084】
また、
図3から特に明らかなように、基体部12から受容板3までの、参照符号1000が割り当てられた軸方向の長さは、参照符号1100が割り当てられて接続部8の寸法を示す軸方向の長さの3.4倍の長さである。これは、調節装置1のコンパクトさの相互的な尺度に相当する。この係数は、より小さい値(<3.4)、例えば3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1又は2.0が考えられ、可能である。
【0085】
更に、プリント配線板200が電気モーター13よりも軸方向に短く、電気モーター13の周りに接線方向に配置されるため、長さ1000はプリント配線板200の寸法に依存しないことが
図3から分かる。
【0086】
図4は、調節装置1の、
図3中の断面線IVに沿った、断面線IVに割り当てられた
図3中の矢印の方向に見た概略断面図を示す。
図4では、プリント配線板200が特に良く見える。従って、制御回路は特にプリント配線板200内を通る導体経路によって互いに接続された電子部品500、510、520及び530からなる。ここで、部品530は別のプリント配線板と接続するための電子コネクタとして設計される。これにより、制御回路は入力信号を受信し、所定の方法で受容板3を調節するために、制御回路によって計算された、対応する出力信号を出力することができる。表面220の2つの表面点600及び610は、
図4に示すように接続直線620によって接続することができる。接続直線620は、電気モーター13と交差する又は電気モーター13を貫く。電気モーター13、ピニオン13a、及びギア13bが部分的に配置された穴230は、
図4に示される円形の縁630によって環状に囲まれ、長手軸2は穴230又は縁630の回転対称軸である。穴230、すなわち縁630を境界とする円の中心が、蝶形の外縁640を境界とするプリント配線板200の2次元の重心座標と関連することが容易に分かる。重心座標は、幾何学的な意味で長手軸2上の点でもある。
【0087】
図4は更に、筐体11がねじ穴1500aを有し、該ねじ穴1500aには、基体部12を筐体11と接続するために、対応するねじ付ボルトをそれぞれのねじ穴の領域でねじ込むことができることを示す。
【0088】
図5は、調節装置1の、
図1中の矢印Vの方向に見た背面の概略図を示す。従って、
図1~
図5の概要より、長手軸2に沿ってコンパクトに形成され、長手軸2の周りの回転に関して不均衡を低減する調節装置1が概略的に示される。
【0089】
最後に、
図5では、基体部12が、ねじ穴1500a(これらは
図4において平面図で示す)によって基体部12を筐体11と接続するために不図示のねじ付ボルトを通すことができる又は通す穴1500を有することが分かる。
【国際調査報告】