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特表2022-551052工具刃調整ヘッド、その操作方法及び工具刃の摩耗補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】工具刃調整ヘッド、その操作方法及び工具刃の摩耗補正
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/034 20060101AFI20221130BHJP
   B23B 27/10 20060101ALI20221130BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20221130BHJP
   B23B 27/00 20060101ALI20221130BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B23B29/034 Z
B23B27/10
B23Q11/10 D
B23B27/00 D
B23Q17/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515821
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020074261
(87)【国際公開番号】W WO2021047940
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019006466.6
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502140743
【氏名又は名称】ブルム‐ノヴォテスト・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】512178927
【氏名又は名称】コメット ドイチェラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール マイアー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハーシャー
(72)【発明者】
【氏名】トマス ブジカ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル レンツ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブース
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C046
【Fターム(参考)】
3C011EE05
3C029EE00
3C046LL00
3C046PP03
(57)【要約】
調整ヘッドはCNC機械の作業スペースで使用するためのものであり、CNC機械は計測プローブ又は穴計測マンドレルと情報交換する目的で設置される基地局を有し、基地局はCNC機械のコントローラと接続される。前記調整ヘッドは第1の機能モジュールと第2の機能モジュールとを含む。第1の機能モジュールは電源モジュールとデータ伝送モジュールとに分けられ、第2の機能モジュールは少なくとも1つの工具を受容するための加工モジュールを含む。加工モジュールは、コントローラの指定に基づいて工具を工具の径方向及び/又は軸方向及び/又は角度方向に調節するための工具調節装置を含み、電源モジュールは、データ伝送モジュール及び工具調節装置を含む調整ヘッドの構成要素に電力を供給し、データ伝送モジュールは、少なくとも調整ヘッドに格納された工具の調節に関する情報をCNC機械の作業スペース内の計測プローブ又はシリンダゲージの基地局と交換する目的で配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CNC機械のコントローラ(140)と接続された計測プローブ(120)又はシリンダゲージと情報交換をする目的で配置された基地局(130)を有するCNC機械の作業スペースで使用する目的で配置された調整ヘッド(100)であって、該調整ヘッド(100)は
第1の機能モジュール(150)と第2の機能モジュール(160)とを含み、前記第1の機能モジュール(150)は、
電源モジュール(152)と、
データ伝送モジュール(154)とに分けられ、前記第2の機能モジュールは、
少なくとも1つの工具(170)を受容するための加工モジュール(162)を含み、該加工モジュール(162)は、コントローラからの指示に基づいて前記工具(170)又はその刃(170a、b)を径方向及び/又は軸方向及び/又は前記工具(170)の角度方向に調節するための工具調節装置を含み、
前記電源モジュール(152)は前記データ伝送モジュール(154)及び前記工具調節装置を含む前記調整ヘッド(100)の構成要素に電力を供給し、
前記データ伝送モジュール(154)は少なくとも前記調整ヘッド(100)に格納された前記工具の調節に関する情報を前記CNC機械(140)の前記作業スペース内の前記計測プローブ(120)又はシリンダゲージの前記基地局(130)と交換する目的で配置される、調整ヘッド(100)。
【請求項2】
前記調整ヘッド(100)の前記データ伝送モジュール(154)及び基地局(130)が、無線双方向インタフェース又は無線双方向赤外線インタフェースを介して前記調整ヘッド(100)で受信された少なくとも前記工具(170)の調節に関する情報を交換する目的で配置される、
請求項1に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項3】
前記電源モジュール(152)及び前記データ伝送モジュール(154)が加工モジュールの少なくとも1つの加工点に冷却剤を通すための一体型冷却剤ダクトを有する、及び/又は
前記加工モジュール(162)における前記工具(170)のずれを検出するために一体型ずれ計測モジュールが設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項4】
前記加工モジュール(162)が、加工操作の最中に変化を可能にしないように、前記工具又はその刃を調節可能なスピンドル工具を受容するように構成される、又は
前記加工モジュール(162)が、加工の最中に前記工具(170)又はその刃(170a、b)を調節することを可能にする、又は
前記加工モジュール(162)が、加工の最中に前記工具(170)又はその刃(170a、b)の微調整を可能にするように、複数の刃を有するリーマー工具を受容するように構成される、又は
前記加工モジュール(162)が、ホーニング工具を受容するように構成され、加工の最中に前記ホーニング工具を調節するように構成され、前記加工モジュール(162)が、ホーニング工具を受容するように構成され、加工の最中に前記ホーニング工具のホーニング砥石を調節し、前記ホーニング工具の現在の直径のデータを前記データ伝送モジュール(154)を介して前記CNC機械のコントローラに送信することで、プログラムされた製造寸法に到達したときにコントローラによってホーニングプロセスの終了を引き起こすように構成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項5】
前記加工モジュール(162)における前記工具(170)又はその刃(170a、b)の調節が、例えば電気モーター又はピエゾドライブによって電気的に実施される、又は前記加工モジュール(162)における前記工具(170)又はその刃(170a、b)の調節が、加圧(冷却)流体によって液圧的に実施され、前記工具(170)又はその刃(170a、b)の調節は前記流体によって実施される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項6】
前記工具(170)又はその刃(170a、b)の液圧による調節の変形において、
前記CNC機械のコントローラから前記データ伝送モジュール(154)に送信されたデータは、流体バルブを制御することによって加工操作の最中に、一体型ずれ計測モジュールとともに、前記CNC機械のコントローラからの前記データに従って前記工具(170)又はその刃(170a、b)の調節を実施する、
請求項5に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項7】
前記データ伝送モジュールが、前記調整ヘッド(100)から前記CNC機械のコントローラへ生データ信号又はプロセスステータス信号を送信する目的で配置される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項8】
前記加工モジュール内に位置する工具の1つ以上の刃の、例えば温度、振動、工具切削状態又は前記工具(170)又はその刃(170a、b)の切削力等を含む操作用パラメータを検出し、該操作用パラメータを前記データ伝送モジュールを介して生データ信号として又はプロセスステータス信号として前記CNC機械のコントローラに送信することを目的とする少なくとも1つのセンサを前記加工モジュール(162)に備える、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項9】
前記電源モジュール(152)にタービンが設けられ、該タービンは加圧(冷却)流体によって回転され、
前記タービンは、変換されたエネルギーを中間貯蓄のために電池及び/又はコンデンサに供給する発電機に操作可能なように連結される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項10】
前記データ伝送モジュール(154)に追加的に又はその代わりに、作動ピン、光又は(超)音源、永久又は電磁石等を含む形態の接触又は非接触外部送信機によって1つ以上の手動の入力を検出して処理する目的のために設定されたインタフェースモジュールが設けられることによって、前記工具(170)又はその刃(170a、b)の(微)調節、(収縮又は延長された)端位置の想定、又は予め定められた基準位置等の意味で前記加工モジュールに信号を送る、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項11】
前記インタフェースモジュールが、
行われた入力のフィードバック用の視覚、聴覚、及び/又は触覚式出力ユニットを有し、
電気モーター、ピエゾドライブ、又は流体バルブ等の形態のアクチュエータの対応する制御によるそれぞれの入力によって前記加工モジュール(162)内に位置する工具(170)又はその刃(170a、b)の異なる位置決めシーケンスを引き起こすことで位置する前記工具(170)又はその刃(170a、b)の調節を引き起こす目的で設定される、
請求項10に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項12】
前記データ伝送モジュール(154)及び前記インタフェースモジュールが、前記加工モジュール内に位置する工具(170)又はその刃(170a、b)の手動の調節又は無線データリンクを介して予め決められた調節を選択的に行うための前記調整ヘッド(100)の起動及び/又はメッセージを受信する目的で配置される、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の調整ヘッド(100)。
【請求項13】
加工スペース(112)を含み、被加工体(WS)を加工する目的で設定されたCNC機械(110)であって、
前記CNC機械(110)のスピンドル(114)に格納された少なくとも1つの工具を有し、前記スピンドル(114)及び前記被加工体(WS)はCNCコントローラ(140)の制御によって互いに相対的に動かすことができ、前記スピンドル(114)はまた、計測プローブ(120)を格納する目的で設定され、該計測プローブ(120)は前記被加工体(WS)を接触又は非接触式にスキャンし、前記CNC機械(110)のコントローラ又はコントロールコンピュータと接続される前記計測プローブ(120)と基地局(130)との間の通信のために無線で対応する計測信号を出力する目的で構成され、前記スピンドル(114)は前記被加工体(WS)を加工するための工具及び調整ヘッド(100)のためにも構成され、前記調整ヘッド(100)も基地局(130)との無線通信のために構成され、前記調整ヘッド(100)は好ましくは請求項1から請求項11の1つ以上の特徴を有する、CNC機械(110)。
【請求項14】
CNC機械(110)の加工スペース(112)で使用するための、前記CNC機械(110)のスピンドル(114)に格納された少なくとも1つの工具を有し、被加工体(WS)を加工する目的で設定された前記CNC機械(110)のコントローラ又はコントロールコンピュータと接続された基地局(130)であって、
前記スピンドル(114)は計測プローブ(120)を格納する目的で設定され、該計測プローブ(120)は前記被加工体(WS)を非接触又は接触式にスキャンし、対応する計測信号を前記基地局(130)に無線で出力する目的で設定され、前記スピンドル(114)は前記被加工体(WS)を加工するための工具として、調整ヘッド(100)を格納する目的のためにも設定され、該調整ヘッド(100)は前記基地局(130)との無線通信のためにも構成され、前記調整ヘッド(100)は好ましくは請求項1から請求項11の1つ以上の特徴を有する、基地局(130)。
【請求項15】
装置の請求項1から請求項11の1つ以上の特徴を有する調整ヘッドの前記加工モジュール中の前記工具又はその刃を調節する方法であって、
前記加工モジュール内に位置する工具による被加工体のチップ除去加工の最中、前記工具の刃の摩耗は、前記CNCコントローラ中の、前記加工モジュール内に位置する前記工具の工具データに対してオフセットされ、前記CNCコントローラは、被加工体の加工の最中に前記工具の刃の位置を摩耗に応じて補正することで前記工具の刃の摩耗を補償する方法。
【請求項16】
前記被加工体上の実際の寸法をセンサ又は計測ヘッドによって検出し、補正値が前記CNCコントローラにおいて前記実際の寸法及び調整ヘッドに提供される前記被加工体の基準寸法から定められるずれに基づいて決定され、前記工具又はその刃の調節が前記アクチュエータの対応する制御によって引き起こされ、前記補正値は、前記調整ヘッドにデータリンクを介して通信され、前記調整ヘッドのデータメモリーに保存される、請求項15に記載の調整ヘッドの前記加工モジュール中の前記工具又はその刃を調節する方法。
【請求項17】
前記工具の刃のゼロポジション及び現在の位置が前記調整ヘッドのデータメモリーに保存され、ティーチインステップにおいて、前記調整ヘッドに保存された「ゼロポジション」及び「前記工具の刃の現在の位置の情報は前記データ伝送モジュールによって前記CNCコントローラによって交換される、
請求項15又は16に記載の調整ヘッドの前記加工モジュール中の前記工具又はその刃を調節する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イントロダクション
ここでは工具刃調整ヘッド及びその操作方法及び工具刃摩耗の補正方法が記載される。また、工具刃調整ヘッド等の対応する装置構成要素及び例えば加工工具のNCコントローラとの通信のための対応する送信機/受信機を説明する。工具刃調整ヘッドは作動工具とも呼ばれる。この詳細は請求項で定義する。しかしながら、本明細書は構造及び操作の方式、また方法及びシステム又は装置構成要素の変形に関連する情報も含む。
【背景技術】
【0002】
背景、技術の状態
マシニングセンターにおいて、1つ以上のスピンドルが被加工体を加工するために使用される。マシニングセンターは、(金属製、木製又はプラスチック製の)被加工体の完全な加工のためにCNCコントローラによる自動操作のために装備される加工工具である。工具又は被加工体は各スピンドルに取り付けることができる。スピンドルは位置を固定してもよく、マシニングセンターの作業スペース内で、例えば3つの直交する方向X、Y、Zに移動及び駆動されてもよい。マシニングセンターは通常、CNCコントローラに促されるとこのスピンドルによって加工された被加工体を計測するためにも計測プローブをそれぞれのスピンドルに挿入及び交換することができる自動工具及び被加工体交換機を有する。計測プローブはこの目的のためにCNCコントローラと通信する。加工の最中、工具刃は絶え間ない摩耗に晒される。この摩耗は、被加工体への工具の供給を補正することによりある程度は補償することができる。フライス削り及び旋盤の操作のためには、摩耗はCNCコントローラに保存された工具データによってCNCコントローラでオフセットすることができる。被加工体の加工の最中、工具の摩耗はそこで工具半径の補正を作動することで補償することができる。
【0003】
穴あけ及び中ぐり工具においては、工具の摩耗は刃の調整により補償する他ない。たいていのこの種の工具においては、調整は機械オペレーターによって機械の内部又は外部において手動で行われる。その他の工具は電動化された調整が可能である。これらは例えば調整スライド上の直接計測システム、サーボギアモーター、及び赤外線送信/受信エレクトロニクスを統合し、外部電源が非接触である微調整ヘッドKomet-042を含む。通常、計測及び補正によってマイクロメートル領域で裕度を得るには、穴の精密な加工のために、製造工程中の人の介入が必要である。
【0004】
微調整ヘッドKomet-042によって自動化された全体プロセスで計測及び補正が可能である。微調整ヘッドKomet-042によれば、閉じた制御ループでμmステップで刃を調整することができる。この目的のために、微調整ヘッドKomet-042は外部計測コンピュータによって制御される。
【0005】
別の解決策は自動で交換可能な工具システムKOMET KomTronic(登録商標)U軸システムである。この配置により、旋削、バック旋削、面取り及び被加工体にCNCコントロールされた輪郭を形成することが可能である。回転対称でない構成要素であっても、付属工具及びスローアウェイチップとともに1つの操作で種々の内部及び外部の輪郭を形成することができる。
【0006】
更に、機械室(加工スペース)において工具又は被加工体の表面、縁又は先端をスキャンするためにCNCコントロール加工工具と通信する非接触又は接触式計測プローブが知られている。各検出された特徴に対して接触/非接触プローブは、対応する計測データをコンピュータプログラムを含んでもよいCNC機械コントローラに送信する。CNCコントローラからの機械位置データとともに、接触式プローブデータは、数値制御が工具又は被加工体の寸法の正確な状況を定めることを可能にする。
【0007】
DE 2010200 Aは、後者によって加工工具上に回転可能なように設置された物体と相対的に径方向にずらすことができる運搬体上に工具が設置される工具保持装置に関連する。多相ステッピングモーターが物体上に設置され、相対的な径方向の運動を実施するように配置される。ステッピングモーターのシャフトはこの物体の回転軸と同軸である。該シャフトには、1つ以上のベアリングによって支持される円筒部と運搬体に取り付けられたナットに連結されたねじを切った部分との間の第2のシャフトの中心部に接続されたウォームホイールと連結されたウォームスクリューが取り付けられている。
【0008】
EP 491 724 B1及びEP 719 195 B1は更なる技術的背景を含む。そこで示される、加工工具において使用するための工具ヘッドは、回転軸の周りを回転する基体部を有する。この回転軸を横切る方向に基体部と相対的に調整可能なスライダーは、切削工具を備えることができる。更に、基体部に対するスライダーの調整経路用の計測装置及び経路計測結果を評価及び表示するための装置が備えられる。
【0009】
切削工具の位置を調節可能にするために、スライダーの筐体に対する調整経路を光学走査によって直接測定することがDE-OS 35 26 712より知られている。変位計測結果の読み取りは固定設置を必要とする。工具ヘッドの使用はこの設備を含む加工工具に限られる。
【0010】
公知の解決手段はデータ転送の伝送媒体として赤外線を使用する(例えば、微調整ヘッドM042)。この目的のため、赤外線送信機/受信機モジュールが、各微調整ヘッドと通信するCNC機械の作業領域に備え付けられている。双方向データ線がこの送信機/受信機モジュールから制御ユニットへ延びる。一体型のディスプレイ及びBluetooth(登録商標)技術を有する微調整ヘッドKOMET MicroKom BluFlex (登録商標)2によって携帯端末(スマートフォン、タブレット等)へのデータ送信が可能であるが、CNC機械にはBluetooth(登録商標)を介してこの微調整ヘッドと直接接続する設備がない。微調整ヘッドM042においては、切削工具のスライダーの調節は一体型サーボモーター及び双方向赤外線インタフェースを介した制御及び操作によって可能である。これは、微調整ヘッドはスピンドルで調節することもできることを意味する。スライダーの位置は計測システムによって検出される。調節は外部操作装置によって行われる。データ交換及びエネルギー供給はスピンドルを通して永久設置された接続を介して行われる。
【0011】
微調整ヘッドMicroKom BluFlex (登録商標)2は中ぐり及び転倒のみのためのものである。微調整ヘッドMicroKom BluFlex(登録商標) 2は、この目的のために設計された加工工具のみに設置し、操作することができる。この微調整ヘッドに可能な速度は使用される工具(質量、種類)及びスライドコントロールに依存する。速度は加工及びその条件に従って適応させる必要がある。
【0012】
公知の工具切削微調整ヘッドは、一方にカットオフポイントを有する筐体を有し(ABS (登録商標)32、ABS (登録商標)50)、他方に工具インタフェースを有する(例えばABS (登録商標)32、ABS (登録商標)50又はDIN 1835-Aによる円筒型シャンクを有する中ぐり棒用の容器等)。その他の構成要素(電力及びデータのためのインタフェース、赤外線送信/受信モジュール、プレセット装置、サーボモーター等)もまたこの筐体に収納される。通信のために、専用の赤外線又はBluetooth(登録商標)送信/受信モジュールが機械室に必要とされ、スペースを取り、制御システムに設置及び接続する必要がある。
【0013】
EP 0 907 444 A1より、加工工具で使用するための、基体部と、基体部の先まで軸方向に突き出て機械スピンドルに連結することができる工具シャンクと、基体部軸を横切る方向に調節可能で端面に工具保持部を有する運動スライドと、基体部に配置された調節モーターとを有する工具ヘッドが知られている。基体部内のギア手段は、基体部軸と同心的に回転することができる駆動ピニオンを有する出力シャフトを有する。運動スライド側のギアは駆動ピニオンとかみ合い、運動スライドと連結された本体内でガイドされる中間ギア要素上に配置される。可変容量形モーター及びギアは少なくとも部分的に径方向及び軸方向に入れ子になっている。運動スライド及び必要に応じて補償スライドを受容するためのスライドアセンブリと、可変容量形モーター及びギアを受容するための駆動アセンブリと、工具シャンクを含む接続アセンブリとが取り外し可能なように互いに軸方向の分離点で接続される。
【0014】
スライドアセンブリは運動スライドの基体部に対する変位を直接計測するための計測装置を含む。スライダーアセンブリ及び/又は駆動アセンブリは調節モーターを制御するために、計測装置に接続された計測及び制御エレクトロニクスを含む。接続アセンブリは誘導電源及びデータ送信のためのインタフェースを含む。可変容量形モーターの筐体は基体部軸と同軸の基体部の凹部に配置され、冷却剤を供給することができるモーター冷却のための間隙を残す。電源インタフェースは間隙を介して外側に冷却剤を供給することができる筐体内に位置する。出力シャフト用の、軸方向に突き出る軸受けスリーブを有する駆動アセンブリはスライダーアセンブリの軸方向に開いた凹部とかみ合う。軸受けスリーブは補償スライドの長い穴とかみ合う。運動スライド側のギアプレート又は駆動ピニオンは、互いに相対的に移動又は回転することができ、互いに堅く接続することができる歯付きの2つの軸方向に別々の部分に分けられる。運動スライドは工具保持部に接続され、本体に固定される冷却剤ラインと接続するために調節方向にと平行に設けられた径方向の穴を有する。基体部に固定された冷却剤ラインはスライド可能及び液体が漏れないように径方向の穴にはめ込まれるプラグインチューブを有する。スライドアセンブリは基体部にカバー部を介して挟み込まれたジャケットパイプを有する。基体部はスライドアセンブリの領域にガルバニック電源及びデータ送信用のインタフェースを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これに基づいて、上記のような工具ヘッドは例外なく適応可能で、購入及び操作が安価であり、かつ低故障であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、請求項1で示される特徴の組み合わせを提案する。更なる効果的な実施形態及び更なる改善は従属項で定義され、以下で検討する。
【0017】
提供される解決手段は特に、上記のような計測プローブは無線光又はラジオ接続を介してCNCコントローラ又は計測PCと通信するマシニングセンター又はその他のCNC機械で使用されることの理解に基づく。
【0018】
ここで提案される調整ヘッドはCNC機械のコントローラと接続され、計測プローブ又は穴計測マンドレルと情報交換をする目的で設置された基地局を有するCNC機械の作業スペースで使用する目的で設置される。前記調整ヘッドは第1の機能モジュールと第2の機能モジュールとを含む。ここで、第1の機能モジュールは電源モジュールとデータ伝送モジュールとに分けられる。第2の機能モジュールは、少なくとも1つの工具を受容するための加工モジュールを含む。該加工モジュールは、コントローラの指定に基づいて工具の径方向及び/又は軸方向及び/又は角度方向に工具を調節するための工具調節装置を含む。電源モジュールは、データ伝送モジュール及び工具調節装置を含む調整ヘッドの構成要素に電力を供給する。データ伝送モジュールは少なくとも調整ヘッドに格納された工具の調節に関する情報をCNC機械の作業スペース内の計測プローブ又はシリンダゲージの基地局と交換する目的で配置される。
【0019】
一方の少なくとも1つの調整ヘッド及び他方の計測プローブには(固定)基地局が1つしか必要でないため、全体の構成の入手、設置、及び操作の費用が削減される。この場合、基地局は、CNC機械のコントローラからの対応する指令に応じてCNC機械の作業領域内の各調整ヘッドかつ各計測プローブ又はシリンダゲージをアドレスし、作動を止め/作動させ、各調整ヘッドにその刃の調節タスクを与え、対応するフィードバック信号を受信してCNC機械のコントローラに転送し、各計測プローブ又はシリンダプラグゲージに計測タスクを与え、対応するフィードバック信号を受信してその信号をCNC機械のコントローラに転送する目的で設置される。
【0020】
変形、効果、特性
調整ヘッドの一変形において、データ伝送モジュール及び基地局は無線双方向インタフェース又は無線双方向赤外線インタフェースを介して少なくとも調整ヘッドに格納された工具の調節に関する情報を交換する目的で設置される。
【0021】
調整ヘッドの一変形において、第1の機能モジュールと第2の機能モジュールのみ、すなわち3つのサブアセンブリではなく2つのみが設けられる。ここで、サブアセンブリの第1及び第2の機能モジュールへの分解(電源、データ伝送モジュール、加工モジュール、工具調節装置、…)は、電源とデータ送信が一方、機械が他方に明確に分離される、という概念に従う。
【0022】
2つの機能モジュールは堅くきつく接続されている(ねじで留められている)が互いに容易に分離することができるため、種々のモジュールを非常に単純に組み合わせることができる。例えば、調整ヘッドは異なるエネルギー供給(Ultracapと誘導エネルギー結合又は外部充電式電池)及びデータ伝送モジュール(赤外線又は無線)又は第2の機能モジュール内のその他の加工モジュールや種々の工具保持部で容易に構成することができる。
【0023】
調整ヘッドの一変形において、電源モジュール及びデータ伝送モジュールは加工モジュールの少なくとも1つの加工点に冷却剤を通すための一体型冷却剤ダクトの部分を有する。一方では電源モジュール及びデータ伝送モジュール内の冷却剤ダクト、他方では加工モジュール内の冷却剤ダクトの2つの部分が互いに接続され、冷却滑剤を電源モジュール又はデータ伝送モジュールの側面の入口から加工モジュールに割り当てられた出口へ誘導する。一体型ずれ計測モジュールは工具又はその刃の加工モジュール内での変位を検出するために用いられる。
【0024】
調整ヘッドの一変形において、加工モジュールは、加工操作の最中に変化を可能にしないように、工具又はその刃を調節可能なスピンドル工具を受容又は形成するように構成される。調整ヘッドの更なる変形において、加工モジュールは、被加工体の加工の最中に工具又はその刃を調節可能なように構成される。調整ヘッドの更なる変形において、加工モジュールは、加工の最中に工具又はその刃の微調節を可能にするいくつかの刃を有するリーマー工具を受容又は形成するように構成される。調整ヘッドの更なる変形において、加工モジュールはホーニング工具を受容又は形成するように構成され、加工の最中にホーニング工具のホーニング砥石を調節し、データ伝送モジュールを介してホーニング工具の現在の直径のデータをCNC機械のコントローラに送信することで、コントローラによってプログラムされた製造寸法に到達したときにホーニングプロセスの終了を引き起こす又は制御するように構成される。
【0025】
調整ヘッドの更なる変形において、加工モジュール内に位置する工具の1つ以上の刃の位置を、例えば電気モーター又はピエゾドライブによって電気的に変更することができる、又は加工モジュールにおける工具又はその刃の調節を、加圧(冷却)流体によって液圧的に実施することができる。これにより、工具又はその刃の調節はこの流体によって(例えばダイアフラムやピストンによって)実施することができる。
【0026】
刃の位置の液圧調節の変形において、CNC機械のコントローラからデータ伝送モジュールに伝送されたデータは、切削操作の最中にCNC機械のコントローラからのデータに従って、一体型経路計測モジュールとともに工具又はその刃の調節を実施するように流体バルブを制御するために用いられる。
【0027】
調整ヘッドの更なる変形において、加工モジュール内に位置する工具の1つ以上の刃の操作用パラメータ、例えば温度、振動、工具刃の状態(後者は例えば適用される切削力又は切削プロセス中に聴覚的に検出されたサインから定められる)等を検出し、これらをデータ伝送モジュールを介して生データ信号として又はプロセスステータス信号としてCNC機械のコントローラに送信することを目的として1つ以上のセンサが加工モジュールに備えられる。
【0028】
生データ信号が送信される変形において、生データはCNC機械のコントローラで処理及び評価される。調整ヘッドで処理及び評価されたセンサデータ(例えば第1の機能モジュールのプロセッサによって)は、プロセスステータス信号としてCNC機械コントローラに伝送される。例えば、センサデータはプロセッサによって調整ヘッドに保存された限界値と比較され、これを超える場合、メッセージ又はエラー信号がCNC機械のコントローラに伝送される。例えば、切削力が突然増加した場合、刃の損傷を意味する。更なる実施形態において、調整ヘッドがホーニング工具を備える場合、調整ヘッドに保存されたホーニングすべき直径の寸法への到達はプロセスステータス信号としてCNC機械のコントローラに送信することができる。
【0029】
調整ヘッドの更なる変形において、エネルギー供給モジュールにタービンが設けられ、該タービンは、調整ヘッドに供給される加圧(冷却)流体によって回転される。タービンは、変換されたエネルギーを中間貯蓄のために電池及び/又はコンデンサに供給する発電機に操作可能なように連結される。
【0030】
調整ヘッドの更なる変形において、データ伝送モジュールに追加的に又は代わりに、インタフェースモジュールが設けられ、該インタフェースモジュールは、作動ピン、光又は(超)音源、永久又は電磁石等の形態の接触又は非接触の外部送信機によって1つ以上の手動の入力を検出して処理する目的のために設定される。これにより、加工モジュールに位置する工具の1つ以上の刃の位置の(微)調節、(収縮又は延長された)端位置の想定、予め定められた基準位置等の意味で加工モジュールに信号を送る。
【0031】
調整ヘッドの更なる変形において、インタフェースモジュールは、入力に成功した場合のフィードバックのために、視覚(例えばLED(配列)、聴覚(ビーパー)及び/又は触覚(ブザーや振動機)出力ユニットを有する。インタフェースモジュールは、電気モーター、ピエゾドライブ又は流体バルブの対応する制御によってそれぞれの入力によって、加工モジュール内に位置する工具の異なる位置決めシーケンスを実施することで加工モジュールにおける工具又はその刃の調節を実行する目的で設置される。
【0032】
調整ヘッドの更なる変形において、データ伝送モジュール及びインタフェースモジュールは加工モジュール内に位置する工具の手動の調節又は無線データリンクを介して特定された調節を選択的に行うための調整ヘッドの起動及び/又はデータ交換による応答を受信する目的で設置される。
【0033】
更に、調整ヘッドの加工モジュール中の工具又はその刃を調節する方法をここで説明する。この方法により、加工モジュール内に位置する工具による被加工体のチップ除去加工の最中、工具の刃の摩耗は、CNCコントローラ中にある加工モジュール内に位置する工具の工具データに対してオフセットされ、CNCコントローラは、刃被加工体の加工の最中に工具の刃の位置を摩耗に応じて補正することで工具の刃の摩耗を補償する。
【0034】
工具の刃の調節は外部の計測コンピュータによってではなく、機械コントローラ自体の機能によって計算及び実行される。同時に、全ての可能な調節が行われるのではなく、コントローラの工具データによって必要/可能な調節のみが行われる。補正値は、直接の計測から又は被加工体の下流の計測から、又は機械コントローラへの手動での入力により調整ヘッドに転送することができる。
【0035】
補正値は、公知のシステムにおいては外部の計測コンピュータを介しての入力のみが可能であるのに対し、ここでは、調整ヘッドへの直接の手動入力によって加工プロセスに導入される。基準とCNCコントローラ中の実際の値とのずれを直接定めることも公知のシステムにおいては不可能である。
【0036】
調整ヘッドの加工モジュール中の工具又はその刃を調節する方法の更なる変形において、工具の刃のゼロポジション及び現在の位置が調整ヘッドのデータメモリーに保存され、ティーチインステップにおいて、調整ヘッドに保存された工具の刃の情報「ゼロポジション」及び「現在の位置」又は「実際の位置」はデータ伝送モジュールによってCNCコントローラに伝送される。これにより、調整ヘッドは種々のマシニングセンターやその他のCNC機械で非常に容易に使用することができるようになる。
【0037】
ここで提示する手順及び調整ヘッドによれば、工具刃の摩耗の自動補正が単純化される。ここで提示する手順によれば、刃が自動的に調節される。これに対して、従来の手順は、計測コンピュータがCNC機械によって送信された座標値から補正値を計算することに基づく。計算された補正値は、それに応じた工具の調節を引き起こすために追加の制御ユニットに送信される。この制御ユニットはここで提示する手順においては不要である。
【0038】
コントロールループはマシニングセンター内の計測装置による実際の寸法の目標の生成によって、また次の加工操作のための目標の寸法を得るために制御パラメータに従って機械によって設定された工具の補正によって閉じている。
【0039】
同時に、刃の最大の調節は刃の交換の必要性に関する情報を提供することもできる。調整ヘッドは、調節はもはや可能ではないという信号を送る、又はコントローラがゼロポジション及び実際の位置によって前回の調節値を定め、刃の交換が必要であるという信号を送る。
【0040】
ここで提示する方法は切り込みを補正することにより、工具の刃の摩耗を補償する。例えば、加工操作(フライス削り、旋削等)において、摩耗を工具データに対してオフセットすることで摩耗を補償することができる。穴あけ及び中ぐり工具においては、刃を調節することによって摩耗を補償することができる。ここで提案する方法によれば、調整ヘッドの刃の調節を機械コントローラ自体で直接行うことができる。調整ヘッドはゼロポジション及び現在の位置のためのメモリーユニットを含む。
【0041】
従来は必要であった、機械コントローラからの変数によって補正する位置を補正する外部の計測コンピュータは、このように、もはや必要ではない。計測コンピュータは異なるマシニングセンター間で相互交換可能ではない。ここで提示される解決手段は計測コンピュータを必要としないため、上記システムはいくつかの機械で容易に操作可能であり、実際の位置及びゼロポジションを保存することにより、各機械は調整ヘッドの値を知ることができる。
【0042】
ここで提示する調整ヘッドの加工モジュール内の工具又はその刃を調節する方法によれば、被加工体の実際の寸法が検出又は計測ヘッドによって検出され、補正値は、実際の寸法及び調整ヘッドに提供される被加工体の基準寸法から定めたずれに基づいてCNCコントローラにおいて定められる。工具又はその刃の調節は工具内のアクチュエータの対応する制御によって引き起こされる。これにより、補正値はデータリンクを介して調整ヘッドに通信される。好ましくは、補正値は調整ヘッドのデータメモリーにも保存される。
【0043】
ここで提示する方法及び調整ヘッドにより、CNCコントローラで補正値を計算することができ、その後に調整ヘッド内の工具の刃の情報「ゼロポジション」及び「現在の位置」を保存することができる。これにより、加工の最中のサイクルタイムの削減、より高い寸法の精度及び統合の労力の削減が可能になる。
【0044】
例えば、DE 102 62 188 A1は、X、Y軸受面及びそれに垂直である計測プローブの中心軸Zを定義する環状の支持軸受が形成された筐体を有する多方向計測プローブに関する。スタイラス容器が、スタイラスを受容するように支持体上の中央に配置される。送信機が、支持体の置かれた場所からの偏りを直線運動に変換するために、中心軸Zに沿って筐体内で移動可能なように誘導される。センサが送信機の運動を計測信号に変換する。計測プローブから固定基地局への計測信号の伝送は光(例えば赤外線)信号又は無線信号によって無線で行われる。通常、マシニングセンターにおいて、被加工体の計測のためにそれぞれのスピンドルに挿入可能なスピンドルの数によって固定基地局と通信する計測プローブも設けられる。これにより、より新しい設計では1つの計測シーケンスで同時に加工された被加工体を同時に測定することもできる。
【0045】
ここで提示する調整ヘッドとCNCコントローラ又は計測PCとの間のデータ通信を、微調整ヘッド及び機械室で別々の赤外線又はBluetooth(登録商標)送信/受信モジュールを介して扱う代わりに、ここで提示する調整ヘッドは、計測プローブのデータ伝送モジュールと対応するデータ伝送モジュールを有するようにモジュール化される。これにより、ここで提示する調整ヘッドのデータ通信は、既に機械室に存在する無線光又は無線リンク基地局を介して行うこともできる。
【0046】
この目的のために、一つの変形においては、調整ヘッドは計測プローブやシリンダゲージ等の光又は無線接続モジュールを備える。同様に、一つの変形においては、調整ヘッドは計測プローブ又はシリンダゲージの電源モジュールと対応する電源モジュールを備える。ここで提示する調整ヘッドの設計により、利用可能な資源(計測プローブのCNCコントローラとの通信のために機械室に備えられた無線光又は無線リンク基地局)を多目的で使用することができる。
【0047】
また、調整ヘッドと計測プローブ又はシリンダゲージとの共通の部分(光又は無線接続モジュール、電源モジュール、変位計測システム等)の割合を増やすことができる。これにより、在庫管理、取得、及びメンテナンスのコストを削減することができる。加工工具における光又は無線リンク基地局は、操作中に一方では計測プローブ及び/又は穴計測ヘッド、他方では調整ヘッドに同様に使用されるため、配置においては比較的低い投資コスト及び低減された設置労力で効率的で正確な加工プロセスが実現可能である。この配置はより低コストのマシニングセンター及びレトロフィットにも好適である。
【0048】
使用においては、調整ヘッドはより正確でもある。これは、高速回転加工工具の操作の特性を考慮して直接変位計測のための一体型ずれ計測モジュール及びその計測及び評価エレクトロニクスが一体型ずれ計測モジュールの内側に再配置されるためである。特に、回転する部品においては、部品に作用する加速及び遠心力が互いに補償し、長さの測定において速度によるエラーが発生しないことを保証する必要がある。
【0049】
電源、データ伝送及び一体型ずれ計測モジュールのモジュール設計は、調整ヘッドの様々な加工モジュールと互換性のある、多目的で費用対効果の高い方法で使用することができる。調整ヘッドの一変形において、電源及び/又はデータ伝送モジュール及び/又はそれぞれの加工モジュールは各モジュールが1つ又は2つ以上の平面で不均衡になり再調節されるように設計されているという点で静的に及び/又は動的に釣り合う。これは、顧客の要求に応じて調整ヘッドを構成するために個々のモジュールを所望のように組み合わせることができることを意味する。
【0050】
また、加工スペースを有するCNC機械をここで開示する。CNC機械はCNC機械のスピンドルに受容された少なくとも1つの工具を有し、被加工体を加工する目的で配置される。スピンドル及び被加工体は、CNCコントローラの制御によって互いに相対的に動かすことができる。また、スピンドル又はスピンドルの1つは計測プローブを受容するように設計される。計測プローブは被加工体を接触又は非接触でスキャンし、CNC機械又はコントロールコンピュータのコントローラに接続された計測プローブと基地局との間の通信のために対応する計測信号を無線で出力するように設計される。スピンドルは、また、基地局との無線通信のために設計された調整ヘッドを、被加工体を加工する工具として受容するように構成される。調整ヘッドは上記で説明した構成を1つ以上有することが好ましい。
【0051】
CNC機械の機械室で使用するための基地局もここで開示する。基地局はCNC機械又はコントロールコンピュータのコントローラに接続される。CNC機械は、CNC機械のスピンドルに受容される少なくとも1つの工具で被加工体を加工するように設計される。スピンドルは被加工体を接触又は非接触でスキャンし、対応する計測信号を無線で基地局に出力するように配置された計測プローブを受容するように構成される。スピンドルはまた、被加工体を加工するための工具として調整ヘッドを受容するように設計される。スピンドルは基地局との無線通信のためにも設計される。調整ヘッドは上記で説明した構成を1つ以上有することが好ましい。
【0052】
調整ヘッド/計測プローブの電源モジュール及び/又はデータ伝送モジュールは用途が広く、工具の製造業者が様々なアクチュエータやインテリジェント工具を低コストで製造することが可能になる。
【0053】
各計測プローブ/調整ヘッドの初期化/(不)活性化のために、変形によれば、実際の情報が送信される前に起動信号がそれぞれの計測プローブ/調整ヘッドに送信され、実際の情報が送信された後に不活性信号が送信される。
【0054】
一つの変形によれば、各計測プローブ/調整ヘッドは、各計測プローブ/調整ヘッドのための専用起動信号によって起動することができる。別の変形によれば、各計測プローブ/調整ヘッドは、一つの基地局に割り当てられる全ての計測プローブ/調整ヘッドのための共通起動信号によって起動することができる。
【0055】
マシニングセンターのシステムアーキテクチャ及びコントロールコンセプト次第で、起動信号はマシニングセンターの受信部及び/又は数値制御によって、例えば受信機を介したCNC機械の追加的関与又は制御によっても伝送することができる。
【0056】
一つの変形によれば、計測プローブ/調整ヘッドは、起動後に所定の時間間隔で一つの基地局にデータ電信を伝送することができる。一つの変形によれば、特に動作モード「通常動作」においては、各計測プローブ/調整ヘッドは、上記一つの基地局を、途切れない通信があるか及び/又は「計測プローブ/調整ヘッドの電池は良好」という状態が「計測プローブ/調整ヘッドの電池は空」と変わっているか監視する。このような場合には、一つの変形によれば、この場合に特有の警告信号を基地局が発するようにすることができる。
【0057】
更に、変形によれば、データ電信の伝送時間が全ての計測プローブの全てのデータ電信において少なくともおおよそ同一であるようにすることができる。
【0058】
最後に、マシニングセンターにおいてともに記録される情報を計測プローブ/調整ヘッドと交換する基地局もここで提示する。基地局は、計測プローブ/調整ヘッドからそれぞれのデータ電信が受信されたか決定し、そしてこれをコントローラに転送するように設定される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
更なる目的、構成、効果及び可能な応用がいくつかの実施形態及び関連する図面の下記説明から得られる。この状況で、説明及び/又は描写される構成は全て、個別に又はいかなる組み合わせでも、また明細書又は図面における組み合わせや請求項又はその参照におけるグループ分けに関わらずここで開示される目的を構成する。
【0060】
図1a】CNC機械の同じスピンドルに交互に格納された計測プローブ及び調整ヘッドを有するCNC機械の作業スペースを概略的に示す。
図1b】CNC機械の同じスピンドルに交互に格納された計測プローブ及び調整ヘッドを有するCNC機械の作業スペースを概略的に示す。
図1c】CNC機械の異なるスピンドルに同時に格納された計測プローブ及び調整ヘッドを有するCNC機械の作業スペースを概略的に示す。
図2図1における調整ヘッドの変形を概略的に示す。
【0061】
図面の詳細な説明
図1a、1bは作業又は加工スペース112を有するCNC機械110の形態のマシニングセンターを概略的に示す。ここで、マシニングセンターの動作中には、スピンドル114が、挟み込まれた被加工体WSを加工(フライス削り、穴あけ等)している。マシニングセンターはCNCコントローラ140を有する。ここで、スピンドル114は、被加工体WSと相対的にマシニングセンターの加工スペース112内で3つの直交する方向X、Y、Zに運動及び駆動することができる。1つのスピンドルを有するマシニングセンターにおいては、交互にここで示すように被加工体WSに対して作業を行い、計測することができる。ここで示される状況では、計測プローブ120と調整ヘッド100とが交互に更に図示されない自動工具交換機によってスピンドル114に挿入され、加工された被加工体WSを計測又は加工するためにCNCコントローラ140によって指示される。
【0062】
ここで示される計測プローブ120は接触によって機能する。計測プローブ120は(被加工体)表面と接触したときにそれを検出する。各検出された特徴に関して、接触式プローブ120は対応する計測信号を発信する。出願人のこのような接触式プローブは例えばここで内容を参照するDE 102 62 188 A1に記載されている。エンジンルーム112に配置された計測プローブ120と基地局130との間の通信は、光信号又は無線信号によって無線で行われる。計測信号は計測プローブ120から基地局130へ出力され、制御コマンドは基地局130から計測プローブ120へ出力される。
【0063】
図1cは作業又は加工スペース112を有するCNC機械110の形態のマシニングセンターを概略的に示す。ここで、マシニングセンターの動作中には、2つのスピンドル114、116が、挟み込まれた被加工体WSを加工(フライス削り、穴あけ等)している。マシニングセンターはCNCコントローラ140を有する。ここで、2つのスピンドル114、116は、被加工体WSと相対的にマシニングセンターの加工スペース112内で3つの直交する方向X、Y、Zに運動及び駆動することができる。2つのスピンドルを有するマシニングセンターにおいては、例えば2つの被加工体を同時に加工したり、ここで示すように両方のスピンドルが被加工体WSに同時に作業を行ったりすることができる。ここで示される状況では、計測プローブ120及び調整ヘッド100が既に更に図示されない自動工具交換機によってそれぞれのスピンドル116、114に挿入されている。また、自動工具交換機は加工された被加工体WSを計測又は加工するためにCNCコントローラ140によって初期化される。
【0064】
ここで示される計測プローブ120もまた接触によって機能する、すなわち、図1bの計測プローブと対応する。
【0065】
ここで示す1つの又はここには示されないいくつかの計測プローブ120と固定基地局130との間の信号伝送の手順の詳細は出願人のDE 10 2013 008 182 A1における変形でも開示されており、その内容をここで参照する。そこに記載された信号伝送の手順によれば、いくつかの構成要素が同じ無線伝送チャネルを使用することが可能である。伝送チャネルが(赤外線)ライトパスである場合、計測プローブ120は同じ波長及び変調スキームの光信号を使用する。伝送チャネルが例えばISMバンド(例えば2.4GHz)の無線リンクである場合、計測プローブ120は同じキャリア周波数及び変調スキームを使用する。これにより、複数の計測プローブ120が伝送チャネルを介して同一の固定基地局130と通信することが可能になる。
【0066】
上記で説明したように、被加工体WSはCNC機械110によって、より正確には、CNC機械のスピンドル114に受容された工具によって加工される。スピンドル114及び被加工体はCNCコントローラ140の制御によって互いに相対的に動かすことができる。スピンドル114、116はプローブ120を受容してもよい。図1で示されるプローブ120は、被加工体WSを接触によって感知し、CNC機械110のコントローラ140に接続されたプローブ120と基地局130との間の通信のために、対応した計測信号を無線で出力するのに使用される。1つのスピンドル又はスピンドル114、116の一方は被加工体WSを加工するための工具として調整ヘッド100を格納する。この調整ヘッド100又はここでは示されない別の調整ヘッド100は基地局130との無線通信のためにも配置される。調整ヘッド100は以下で説明する特徴の1つ以上を有することが好ましい。
【0067】
基地局130はCNC機械110又はコントロールコンピュータのコントローラ140と接続される。基地局130はCNC機械110のスピンドル114、116に受容された少なくとも1つのプローブ120と通信し、同様にCNC機械110のスピンドル114、116に受容された調整ヘッド100と交互に又は(準)同時に通信するために使用される。
【0068】
図1において使用中の状況で概略的に示された調整ヘッド100は、図2により詳しく示すように、第1の機能モジュール150と第2の機能モジュール160とに分けられるおおよそ円形・円筒形の基体部を含む。第1の機能モジュール150は電源モジュール152とデータ伝送モジュール154とに分けられる。第2の機能モジュール160は少なくとも1つの工具を受容するための加工モジュール162を有する。加工モジュール162は、CNCコントローラからの入力に基づいて工具を径方向に調節するための工具調節装置164を有する。電源モジュールは電池158を有し、調整ヘッド100の構成要素、すなわちデータ転送モジュール154、工具調節装置164、及び下記でより詳しく説明する調整ヘッド100のその他の構成要素に電力を供給する。
【0069】
データ通信モジュール154は、少なくとも調整ヘッドに受容される工具の運動に関する情報をCNC機械110のコントローラ140を有するCNC機械110の作業スペース121内のプローブ120又はシリンダゲージの基地局130と交換することが可能であり、そのようにプログラムされ、配置される。言い換えると、CNC機械110の作業スペース121内の調整ヘッド100と計測プローブ120又はシリンダプラグゲージ(より詳しくは示さない)はともに基地局130を介してCNC機械110のコントローラ140と双方向的に通信する。この目的のために、調整ヘッド100は、データ伝送モジュール154の外周上に沿って均等に分布した赤外線送信機/受信機ダイオード182を使用し、それを介してデータ伝送モジュール154は、基地局130の対応する赤外線送信機/受信機ダイオードと通信する。このようにして、無線双方向赤外線インタフェース180bが実現する。これは、不図示の別の変形において無線双方向インタフェース180aによって実現する。
【0070】
より具体的には、調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154は、特に調整ヘッド100に収容される工具170の調節に関する情報を図に示す無線双方向赤外線インタフェース180bを介して基地局130に送信し、基地局130を介してCNC機械110のコントローラ140に送信する。また、調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154は、基地局130を介してCNC機械110のコントローラ140から、調整ヘッド100に格納された工具170の調節のための情報又は指令(工具170の1つ/全ての刃のパス/アングル情報)を受信する。
【0071】
調整ヘッドの一つの変形においては、電源モジュール152及びデータ伝送モジュール154は冷却剤を通すための一体型冷却剤ダクト155の第1のセクションを有し、加工モジュール162は加工モジュール162の少なくとも1つの加工位置に続く一体型冷却剤ダクト165の第2のセクションを有する。加工モジュール162中の一体型ずれ計測モジュール200は、加工モジュール162内での工具170の変位を検出するために使用される。
【0072】
図2に示すように、加工モジュール162に位置する工具170の切削位置は、この場合はピエゾドライブ210によって、電気的に変更することができる。変更の程度は、基地局130及び無線双方向赤外線インタフェース180bを介して調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154に伝送されるCNCコントローラ140からの指令によって定められる。そこで指令はピエゾドライブ210のために対応する制御信号に変換され、その結果、刃170a、170bの配列が調節される。加工モジュール162中の一体型ずれ計測モジュール200は、加工モジュール162中の工具170の調節を検出し、無線双方向赤外線インタフェース180bを介して調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154を通して対応する値を、基地局130を介してCNCコントローラ140に送信し返す。
【0073】
図示されない変形において、加工モジュール162中の工具又はその刃は加圧冷却流体によって液圧的に調節される。流体は工具170又はその刃170a、170bを調節するために間接的に又は直接的に使用することができる。
【0074】
加工モジュール162中の一体型ずれ計測モジュール200は、刃又は工具の位置の計測を行う。刃の構造、刃の状態及びその他の加工パラメータの特に精密な制御のために、加工モジュール162に、一体型ずれ計測モジュール200に加えて又は代わりに、加工モジュール162内に位置する工具170の刃の操作用パラメータを検出するための1つ以上のセンサを設けてもよい。これらは温度、振動、工具の刃の状態を、例えば要した切削力を検出することで検出するセンサ212を含む。データ伝送モジュール154はこれらのセンサ212からの信号を受信し、生データ信号として又はプロセスステータス信号として双方向赤外線インタフェース180bを介して調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154を通して、CNCコントローラ140に基地局130を介して送信する。
【0075】
図1及び2に係る調整ヘッド100の変形において、インタフェースモジュール240が例えば接触点240a…dの形で、いくつかのセンサを有する磁気アクチュエータピンMAGの形態の外部のエンコーダによって提供された手動の入力を検出して処理するために、データ伝送モジュール154に追加的に設けられる。これらの入力に基づき、加工モジュール162に位置する工具170の刃の(微)調節、(収縮又は延長された)端位置の想定、調整ヘッド100のデータメモリー保存された予め定義された設定位置等の意味で加工モジュール162に信号が送られる。示された変形において、いくつかの接触点240a…dが設けられ、磁気アクチュエータピンMAGが接近するとき、それぞれが予め定義された指令の実行を引き起こす。これらの指令は基地局130を介してCNCコントローラ140から調整ヘッド100のデータ伝送モジュール154に送信することができる。そこで指令はデータメモリーに保存される。代わりに又は追加的に、磁気作動ピンMAGが接触点240a…dのそれぞれに接近すると、対応する機能を実行することができる又は工具170又はその刃170a、170bの位置決め位置等の値を呼び出す又は変更することができる。これらのそれぞれの実行された機能や値はディスプレイ244にも出力される。
【0076】
このように、それぞれの接触点240a…dの選択されたシーケンスによって、例えば工具170又はその刃170a、170bの目標位置に手動で接近するために、種々の位置決めシーケンスを開始することができる。最終的に、インタフェースモジュールを利用して、加工モジュールに位置する工具又はその刃170a、170bの種々の位置決めシーケンスをそれぞれの手動の入力に従って、基地局130を介して無線双方向ラジオ又は赤外線インタフェース180による制御から独立して又は追加的にアクチュエータ(電気モーター、ピエゾドライブ又は流体バルブ)の対応する制御により実行することができる。
【0077】
これらの手動で起動可能な機能は、対応する補正値の無線伝送によってCNC機械中の調整ヘッド100に行うこともできる。例えば、磁気ピンMAGによる調整ヘッド100の起動が対応する接触点240a…dで検出されると、調整ヘッド100が起動される。しかし、無線双方向ラジオ又は赤外線インタフェース180は起動されないままである。磁気ピンMAGとの非接触の相互作用を通して工具170又はその刃170a、170bの所望の目標位置に接近することができる。
【0078】
ここで提示する調整ヘッド100は、手動の調節と無線データリンクを介して特定された工具170又はその刃170a、170bの調節の両方が可能である、電池で操作される電動化された調節可能な微調整ヘッドである。
【0079】
これにより、追加のハードウエアを有するプレセット装置が不必要となる。これにより、取得コスト、追加のコスト、及びメンテナンスコストが排除される。
【0080】
ここで示される調整ヘッド100の場合、インタフェースモジュールは、完了した入力のフィードバックのための出力ユニットとしてLED(配列)を有する。
【0081】
調整ヘッドの加工モジュールにおける工具170又はその刃170a、bを調節するために、調整ヘッド100による被加工体の加工の最中に起こる工具の刃の摩耗はCNCコントローラで取得可能な、加工モジュールに位置する工具の工具データで計算される。刃の摩耗の自動補正の方法によれば、計測プローブ(又は計測ヘッド)によって定められた、加工された被加工体の基準寸法からのずれにより、CNCコントローラで定められた補正値を調整ヘッドに提供することで、工具170の刃の調節が行われる。このようにして、更なる加工は被加工体の寸法の精度につながる。補正値はデータリンクを介して調整ヘッドに通信される。CNCコントローラは補正値を算出し、該補正値は調整ヘッドに伝えられ、そこでメモリーに保存される。計測及び補正は必ずしも一つの同一の被加工体の加工の最中に行われなくてもよい。連続の製造において、被加工体寸法はこのように、次々に製造される同一の被加工体に対しても非常に狭い許容限界内に保たれる。
【0082】
次に、CNCコントローラはこれに従って工具の刃の位置を補正することによって、被加工体の加工の最中に起こる工具の刃の摩耗を補償する。この目的のために、対応する指令がCNCコントローラ140から調整ヘッド100に、無線インタフェース130を介して送信され、後者は逆方向に計測データをCNCコントローラ140に供給する。
【0083】
調整ヘッド100の加工モジュールにおける工具又はその刃を調節するために、工具の刃のゼロポジション及び現在の位置が調整ヘッドのデータメモリーに保存されている。ティーチインステップにおいて、調整ヘッド100のデータメモリーに保存された情報「ゼロポジション」及び「工具の刃の現在の位置」がデータ伝送モジュールによってCNCコントローラに伝送される。
【0084】
上記の方法及び装置の変形は、構造、動作の様態及び提示された解決手段の特性のより良い理解を提供するためのものに過ぎず、本開示をこれらの変形に限定するものではない。図は概略であり、必須の特徴及び効果が示され、機能、動作原理、技術的実施形態及び構成を説明するために著しく拡大されている場合がある。この文脈で、図中又は文中で開示された動作の様態、原理、技術的設計及び構成は、自由に任意に、本開示に含まれる又はそこから得られる結果の全ての請求項、文中の及び他の図中の構成、他の動作の様態、原理、技術的設計及び構成と組み合わせることができ、考えられる全ての組み合わせが上記説明された解決手段に属する。文中の全ての個々の実施形態間の組み合わせ、すなわち本明細書の各セクション中、請求項中、及び文中、請求項中、及び図面中の種々の変形間の組み合わせも含まれる。
【0085】
上記で説明した装置及びプロセスの詳細は文脈で示されている。しかし、互いに独立して使用することもでき、任意に互いに組み合わせることができる。図面で示される個々の部品とその部分との関係及びこれらの寸法及び比率は限定的に理解するべきではない。むしろ、個々の寸法及び比率は示されるものから異なってもよい。
【0086】
また、請求項は本開示を限定せず、従って、全ての記載された特徴の可能な組み合わせも限定されない。開示された全ての特徴は、ここで個別に、及び他の全ての特徴と組み合わせて明示的に開示されている。
図1a
図1b
図1c
図2
【国際調査報告】