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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】プレスシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/20 20060101AFI20221130BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20221130BHJP
   B21D 43/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B21D22/20 H
B21D43/00 E
B21D43/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516682
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020078835
(87)【国際公開番号】W WO2021074185
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19382899.3
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517098527
【氏名又は名称】オートテック・エンジニアリング・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】Autotech Engineering, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】カスティーリャ,モレノ ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】キンタス,リアニョ イゴル
(72)【発明者】
【氏名】イグレシアス モラタ,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA30
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC01
4E137BC06
4E137CA09
4E137CA21
4E137CA26
4E137DA03
4E137DA05
4E137DA06
4E137EA01
4E137EA22
4E137EA23
4E137EA25
4E137EA36
4E137FA02
4E137FA15
4E137FA25
4E137GA03
4E137GB03
(57)【要約】
熱間成形構造部材を製造するためのプレス装置及び方法を提供する。装置は、冷却工具と、冷却工具より下流側に配置されたプレス工具と、ブランクを冷却工具からプレス工具へ搬送する搬送機構と、を備える。冷却工具は、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具と、固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具と、を備える。プレス装置は、上側本体に接続された上側プレス金型と、下側本体に接続された下側プレス金型とを備える、
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定下側本体と、移動上側本体と、移動上側本体が固定下側本体に対して上向き及び下向きに動くプレス工程を提供するように構成された機構とを備えた、熱間成形構造部材を製造するためのプレス装置であって、
プレス装置は、
予め加熱されたブランクを冷却するように構成された冷却工具と、
ブランクを延伸するように構成された、冷却工具よりも下流側に配置されたプレス工具と、
ブランクを冷却工具からプレス工具に搬送するブランク搬送機構と、
を備え、
冷却工具は、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具及び/または固定下側本体と接続された下側ガス冷却工具を有し、上側ガス冷却工具及び/または下側ガス冷却工具は、ブランクに当てる圧縮冷却ガスを提供するように構成され、
プレス工具は、移動上側本体に接続された上側プレス金型と、固定下側本体に接続された下側プレス金型とを備える、プレス装置。
【請求項2】
プレスサイクルにおいて、冷却時間が延伸時間より長いように構成された、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具を備える、請求項1または2に記載のプレス装置。
【請求項4】
1以上の上側付勢要素とともに移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具を備え、上側付勢要素は、上側ガス冷却要素を移動上側本体から離すように付勢する、請求項1または2に記載のプレス装置。
【請求項5】
冷却工具が、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具と、固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具と、を備え、
上側ガス冷却要素を移動上側本体から離すように付勢する1以上の上側付勢要素とともに上側ガス冷却工具が移動上側本体に接続され、及び/または下側ガス冷却要素を固定下側本体から離すように付勢する1以上の下側付勢要素とともに下側ガス冷却工具が固定下側本体に接続された、請求項1または2に記載のプレス装置。
【請求項6】
プレスサイクルの最下点において、上側ガス冷却工具がブランクに対して所定の第1の距離に位置し、下側ガス冷却工具がブランクに対して所定の第2の距離に位置し、場合によって、所定の第1の距離が所定の第2の距離に等しい、請求項4または5に記載のプレス装置。
【請求項7】
冷却工具が、上側ガス冷却工具及びブランクの間の最小距離を維持するストッパを備える、請求項4から6の何れかに記載のプレス装置。
【請求項8】
ストッパが上側ガス冷却工具に備えられ、付勢要素と反対向きの力が生じるように、ストッパが下側ガス冷却工具と接する、請求項7に記載のプレス装置。
【請求項9】
付勢要素が1以上のバネを備える、請求項4から8の何れかに記載のプレス装置。
【請求項10】
上側ガス冷却工具及び/または下側ガス冷却工具が圧縮ガスのリザーバと接続された複数のスロットを備え、システムは、スロットを介するリザーバからのガス流れを制御する制御部を備える、請求項1から9の何れかに記載のプレス装置。
【請求項11】
スロットが、ブランクに対して実質的に垂直に向いている、請求項10に記載のプレス装置。
【請求項12】
プレス工具の上側プレス金型及び/または下側プレス金型が、冷却液または冷却空気を導く流路を備える、請求項1から11の何れかに記載のプレス装置。
【請求項13】
機械プレスまたはサーボ機械プレスである、請求項1から12の何れかに記載のプレス装置。
【請求項14】
更に、第1の後処理を行う第1後処理工具を備え、第1後処理工具は、プレス工具の下流側に配置され、上側及び下側第1後処理工具金具を備え、
上側第1後処理工具金具が移動上側本体に接続され、下側第1後処理工具金具が固定下側本体に接続され、
ブランク搬送装置が、更にブランクをプレス工具から第1後処理工具へ搬送するように構成されている、請求項1から13の何れかに記載のプレス装置。
【請求項15】
ブランクを熱間成形する方法であって、
請求項1から14の何れかに記載のプレス装置を提供するステップと、
亜鉛コーティングされた超高張力鋼(UHSS)からなるブランクを提供するステップと、
ブランクを加熱するステップと、
ブランクを冷却工具に配置するステップと、
移動上側本体に固定下側本体に対する下向きプレス工程を与える間に、ブランクを冷却するステップと、
移動上側本体の固定下側本体に対する上向きプレス工程を行うステップと、
ブランクをプレス工具に位置付けるステップと、
移動上側本体の固定下側本体に対する下向き及び上向きプレス工程を行うことにより、ブランクを延伸させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年10月14日に出願した欧州特許出願19382899.3の優先権の便宜を請求する。本発明は、熱間成形構造部材を製造するためのプレスシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の構造部では、軽量構造の基準を満たすため、軽量材料または部材の開発及び実装がますます重要になってきている。重量軽減の需要は、特にCO排出削減のゴールにより加速されている。エネルギ吸収の改善とともに、搭乗者の安全に対する増大する懸念により、衝突時に車の完全性を改善させる材料の採用に進んでいる。
【0003】
熱間成形ダイクエンチ(HFDQ:Hot Forming Die Quench)(熱間スタンプまたはプレス硬化とも称する)として知られる工程は、例えば、1500MPa、2000MPaまで、または2000MPaより大きな張力を有する超高張力鋼(UHSS)特性を有するスタンプ部材を作るため、ボロン鋼シートを用いる。他の材料に比べて強度が増すので、より薄いゲージの材料を用いることができ、その結果、従来の冷間スタンプ軟鋼部材に比べて重量削減が実現できる。
【0004】
鋼シートは、コーティングされている場合もコーティングされていない場合もある。しかし、熱間スタンプ工程の前、熱間スタンプ工程の間または熱間スタンプ工程の後に、腐食防止を改善するため、コーティングを施すことができる。例えば、アルミ-シリコンコーティングまたは亜鉛コーティングが知られている。
【0005】
元の鋼材の成分により、高い張力を得るため焼き入れ(例えば、急速な冷却)が必要な場合がある。焼き入れは、使用する材料の臨界の冷却速度(例えば、概略30℃/秒)より大きな冷却速度を有することを意味する。他の鋼材は、比較的低い冷却速度を有することができる。室温で、比較的低い冷却速度で空冷して硬化させることができる鋼材の例が知られている。
【0006】
例えば、熱間スタンプ工程を促進するように強度を下げるため、例えば、炉システムにより、熱間加工されるブランクを、オーステナイト化温度以上の所定の温度に加熱するような態様で、熱間スタンプ工程が行われる。熱間成形されるブランクは、ブランクに比べて低温(例えば、室温)のプレスシステム及び温度制御により成形される。よって、形成工程及び熱処理を、温度の差を用いて行うことができる。
【0007】
熱間成形要素を製造するために、複数段階プレスシステムを用いることが知られている。複数段階プレスシステムは、ブランクに異なる工程を同時に行うように構成された複数の工具を備えることができる。このような構成により、それぞれのストロークで複数段階プレスシステムを形成する工具を用いて、複数のブランクでは、異なる製造ステップを同時に実施することができる。このような複数段階プレスシステムを用いる態様により、製造出力を高くすることができる。
【0008】
複数段階プレスシシテムは、加熱されたブランクを、ブランクをプレスするように構成されたプレス工具へ搬送するコンベアまたは搬送装置を含むことができる。更に、工具は、複数段階プレスシステム中に含まれ、例えば、穿孔工具、校正工具、切断工具、トリミング工具、第2プレス工具等の何れかであることができる。更に、複数段階プレスシステムまたは装置より上流側に、熱間成形されるブランクを加熱して軟化させる炉システムを備えることができる。
【0009】
一般的に、このようなシステムでは、熱間成形されるブランクを予め冷却するため、外部の事前冷却工具が用いられる。例えば、亜鉛コーティングされた鋼製ブランクは、一般的に、微細割れのような問題を最小化するため、熱間成形工程の前に冷却する必要がある。一度、ブランクが冷却されると、ブランクが外部の事前冷却工具から複数段階プレス装置またはシステムに搬送される。
【0010】
特許文献1は、熱間成形構造部材を製造するためのプレスシステムを開示している。このシステムは、固定下側本体と、移動上側本体と、移動上側本体が固定下側本体に対して上向き及び下向きに動くプレス工程を提供する機構と、を備える。このシステムは、更に、予め加熱されたブランウを冷却するように構成された冷却工具を備える。冷却工具は、対となる上側及び下側金型、つまり1以上の下側付勢要素とともに下側本体に接続された下側金型、及び/または上1以上の上側付勢用磯とともに上側本体に接続された上側金型を備える。このシステムは、更に、ブランクを延伸させるように構成されたプレス工具を備え、プレス工具は、冷却工具より下流側に配置されている。
【0011】
特許文献1に記載のシステムでは、製造工程のスピーヅアップが図れる。これを確実にするため、冷却工具は、ブランクを速やかに十分に冷却できるようになっている。プレス工具が閉じる前にブランクと接した上側及び下側冷却金型に力を加える付勢要素により、プレス工具が閉となる前に、冷却工具が”閉”となる。同じプレスで工具を一体化することにより、冷却工具から延伸工具へ搬送時間を減じることができ、よって、ブランクに割れ等を生じさせることなく、満足のいく成形性を有しながら、工程を最適化して、生産性を改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許EP3067128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、接触プレートを備える冷却工具は厳密な保守を要する。更に、製造中に均一な一定の冷却を与えることは複雑なものとなる。特に、例えば、新しい製品のバッチが開始したときや、稼働日の開始時のような、中断の後で生産を開始したとき、所望の冷却が安定して実施される前に比較的多くの時間(対応する製品の損失)を要する。
【0014】
本開示では、複数段階工程及びシステムにおける改善を模索する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様では、熱間成形構造部材を製造するためのプレス装置が提供される。プレス装置は、固定下側本体と、移動上側本体と、移動上側本体が固定下側本体に対して上向き及び下向きに動くプレス行程を提供するように構成された機構とを備える。装置は、更に、既に加熱されたブランクを冷却するように構成され冷却工具と、ブランクを延伸させるように構成され、冷却工具よりも下流側に配置されたたプレス工具と、ブランクを冷却工具からプレス工具へ搬送するように構成されたブランク搬送機構と、を備える。
【0016】
ここで、冷却工具は、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具及び/または固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具を備える。プレス工具は、上側本体に接続された上側プレス金型と、下側本体に接続された下側プレス金型と、を備える。
【0017】
本実施態様によれば、複数段階プレス装置は、冷却工具とプレス工具とが組み合わされて提供される。これにより、生産工程のスピードアップが図られ、高い出力が可能となる。同じプレスにおける工具の一体化により、冷却工具から延伸工具への搬送時間を削減することができる、よって、ブランクに割れ等を生じさせない満足な成形性を有しながら、工程が最善化され、生産性が改善される。
【0018】
ガス冷却を用いることにより、比較的少ないメンテナンスですむ。ガス冷却により、一定な均一な冷却工程を比較的容易に実現できる。例えば、ガス冷却は、接触板を用いるときの不利益を被ることがない。
【0019】
複数段階プレス装置でガス冷却を提供することにより、汎用性を提供することもできる。例えば、比較的薄いブランクに対して、下側ガス冷却工具のみを用いることができる。より厚みの増したブランクで同じ工程を行う場合、上側ガス冷却工具を加えることができる。その場合、サイクル時間を依然として短く保つことができる。必要に応じて、ここで開示した冷却工具により、冷却時間、冷却ガス温度、冷却流量等を含む冷却パラメータについて、柔軟性を得ることができる。
【0020】
ある例では、1つの冷却工具を備える。例えば、下側本体に接続された下側冷却工具のみを備えることができる。この場合、プレス装置は、信頼性が増し、費用的にも有利である。他の例では、移動上側本体に接続された上側冷却工具のみを備えることができる。この場合、上側冷却工具は、付勢要素を用いて移動上側本体と接続でき、付勢要素は、上側冷却工具に対して固定下側本体に向けて力を加える。
【0021】
付勢要素により、プレス工具により延伸/プレスを実施する前に冷却されたブランクに対して、上側ガス冷却工具を適切な位置に到達させることができる。よって、同じプレス装置の中の1つのストロークの中で、冷却サイクルを延伸サイクルより長くできる。
【0022】
更なる例では、上側ガス冷却工具が移動上側本体に接続され、下側ガス冷却工具が固定下側本体に接続されている。このような場合、1以上の付勢要素により、移動上側本体を上側ガス冷却工具に接続することができる。上側付勢要素は、上側ガス冷却工具を移動上側本体から離すように付勢することができる。下側ガス冷却工具は、1以上の下側付勢要素とともに固定下側本体と接続でき、下側付勢要素は、下側ガス冷却工具を固定下側本体から離すように付勢することができる。
【0023】
ある例では、プレスサイクルの底部において、上側ガス冷却工具が、ブランクに対して所定の第1の距離に位置し、下側ガス冷却工具が、ブランクに対して所定の第2の距離に位置する。ブランクに対して所定の距離の範囲から空気をブランクに吹き付けるとき、効果的で最も予測できるガス冷却が実現できる。プレスサイクルの底部において、冷却工具及びブランクの間で距離を維持する必要がある。
【0024】
ブランクの上側及び下側表面に実質的に同等な冷却を提供できるように、所定の第1の距離を所定の第2の距離と等しくすることができる。
【0025】
ある例では、冷却工具は、上側ガス冷却工具及びブランク(またはブランクを支持する下側ガス冷却工具)の間の最小距離を維持するストッパを備えることができる。
【0026】
ある例では、冷却工具は、ストッパを上側ガス冷却工具に提供することができ、付勢要素と反対向きの力を生成するため、ストッパは下側ガス冷却工具(または固定下側本体)に接することができる。このような付勢要素と反対向きの力により、プレスストロークが継続する間に確実に距離を維持することができる。移動上側本体が固定下側本体に向けて移動を継続するとき、付勢要素は圧縮され、ガス冷却工具及びブランクの間の距離を維持できる。
【0027】
ある例では、ストッパは、ロッドまたはバーであることができる。
【0028】
ある例では、上側ガス冷却工具及び下側ガス冷却工具の間の最小距離に達したとき、冷却サイクルを開始するように装置を構成することができる。もし、両側からの空気流れが実質的に等しく、同じ距離から来るのであれば、両側における均一な冷却が実現できる。例えば、比較的厚いブランク用の増強した冷却を、上側及び下側冷却工具により実現できる。これらの例における冷却サイクルを断続的にすることもできる。このような断続的な冷却サイクルは、下側ガス冷却工具のみまたは上側ガス冷却工具のみを提供する例で用いることができる。ブランクが位置付けられると、すぐに冷却サイクルを実施することができる。
【0029】
他の例では、冷却は実質的に連続して行うことができる。例えば、冷却ガスの流れは一定であり、よって、ブランクが冷却工具に搬送されると、すぐに冷却を開始できる。1つのガス冷却工具を用いる場合も、2つのガス冷却工具を用いる場合も、これを実行することができる。
【0030】
ある例では、付勢要素が1以上のバネを備えることができる。更なる例では、付勢要素が油圧または空圧アクチュエータを備えることができる。
【0031】
ある例では、上側ガス冷却工具及び/または下側ガス冷却工具が、圧縮ガスのリザーバと接続された複数のスロットを備え、システムは、更にスロットを介するリザーバからのガス流れを制御する制御部を備える。ガス流量、ガス温度及びスロットからブランクへの距離により、到達する冷却速度及び温度を制御することができる。ある例では、システムが、更にリザーバ内の圧縮ガスの温度制御部を更に含むことができる。
【0032】
ある例では、スロットを、ブランクに対して実質的に垂直に向けることができる。
【0033】
ある例では、ガスは空気であることができ、実質的に室温であることができる。この態様により、コスト効率の良いシステムを提供できる。
【0034】
ある例では、プレス工具の上側プレス金型及び/または下側プレス金型が、冷却液または冷却空気を導く流路を備える。ある例では、ブランクの材料、及び結果として生じる部材の要求される微細構造が、高い冷却速度を要する、またはそれが望ましい場合がある。適切な高い冷却速度、または適切な低い冷却速度を提供できるように、プレス工具を温度制御することができる。ブランクのある部分と、ブランクの他の部分で冷却速度を異ならせることができる。よって、このような異なる領域で結果とし生じる微細構造を異ならせることができる。
【0035】
ある例では、上側及び/または下側プレス金型の温度が、1つの金型の稼働面の温度に基づいて制御される。プレス装置は、1つのプレス工具の稼働面に1以上の温度計を備えることができる。
【0036】
ある例では、プレス装置が機械プレスであることができる。他の例では、機械プレスがサーボ機械プレスであることができる。更なる例では、プレス装置が油圧プレスであることができる。ここに開示した方法及びシステムでは、様々な種類のプレス装置に導入することができる。機械プレス及びサーボ機械プレスは高出力を提供できる一方、装置内の付勢要素は、冷却サイクルの調整において柔軟性を許容する。
【0037】
ある例では、プレス装置は、第1後処理を行うように構成された第1後処理工具を更に備えることができる。第1後処理工具は、プレス工具より下流側に配置され、上側及び下側第1後処理工具金型を備える。上側第1後処理工具金型は上側本体に接続され、下側第1後処理工具金型は下側本体に接続される。ここでブランク搬送装置は、更にブランクをプレス装置から第1後処理工具へ搬送するように構成される。
【0038】
同じプレス装置に複数段階及び複数工程を加えることができる。ブランクの延伸の後に実施される工程を、ここでは”後処理”と称する。
【0039】
ある例では、第1後処理がブランクのトリミング及び/または切断を含み、上側及び/または下側第1後処理金型は、1以上の切断ブレードを備えることができる。
【0040】
工程中の温度を制御するため、上側及び/または下側第1後処理工具金型が1以上のヒータまたは高温の液体を導く流路を備えることができる。変形可能性を維持するため、及び切断、トリミングまたは他の機械処理を促進させるため、ブランクの最低温度を維持することが有益である。これにより、後処理工具の摩耗を削減できる。
【0041】
この効果により、ある例では、ヒータまたは高温の液体を導く流路を、第1後処理工具の金型で計測された温度に基づいて、ブランクを200℃より高い温度に維持するように構成することができる。
【0042】
ある例では、上側及び/または下側第1後処理金型が、冷却液、場合によっては冷却水を導く流路を備えることができる。ある例では、上側及び/または下側第1後処理金型の温度を、1つの金型の稼働面の温度に基づいて制御することができる。場合によっては、第1後処理工具金型の稼働面に温度計を備えることができる。
【0043】
ある例では、プレス装置は、更に第2後処理工具を備えることができ、第2後処理工具は、第1後処理工具の下流に配置される。ブランク搬送機構を、ブランクを第1後処理工具から第2後処理工具へ搬送するように構成することができ、上側第2後処理工具金型が上側本体に接続され、下側第2後処理工具金型が下側本体に接続される、
【0044】
ある例では、第2後処理工具が、トリミング及び/または孔開けを行うように構成される。
【0045】
ある例では、第2後処理工具を、校正を行うように構成できる。このような例では、第2後処理工具は、ブランクを変形させるように、上側及び下側第2後処理工具金型の間の距離を調整するように構成された調整装置を備えることができ、調整装置が、ブランクの厚みを検出するように構成されたセンサシステムに基づいて制御される。
【0046】
第2後処理工具の温度制御は、第1後処理工具の温度制御と同一または類似するようにすることができる。
【0047】
更なる実施態様において、ブランクを熱間成形する方法を提供できる。この方法は、ここで記載した任意の例によるプレス装置を提供するステップと、亜鉛コーティングされた超高張力鋼(UHSS)からなるブランクを提供するステップと、を含む。この方法は、ブランクを加熱するステップと、ブランクを冷却工具に配置するステップと、移動上側本体に固定下側本体に対する下向きプレス工程を与える間に、ブランクを冷却するステップと、を含む。そして、この方法は、更に、移動上側本体の固定下側本体に対する上向きプレス工程を行うステップと、ブランクをプレス工具に位置付けるステップと、移動上側本体の固定下側本体に対する下向き及び上向きプレス工程を行うことにより、ブランクを延伸させるステップと、を含む。
【0048】
ある例では、ブランクをUHSSのオーステナイト化温度より高い温度に加熱することができる。ブランクをAc1温度より高い温度まで加熱でき、ある例では、ブランクをAc3温度より高い温度まで加熱できる。
【0049】
ある例では、ブランクを860℃及び910℃の間の温度まで加熱することができる。
【0050】
ある例では、UHSSが、重量で0.20-0.50%C、0.75-1.5%Si及び1.50-2.50%Mnを含むことができる。好ましくは、UHSSが、重量%で0.21-0.25%C、1.05-1.33%Si及び2.06-2.34%Mnを含むことができる。より好ましくは、このような成分のUHSSを、空冷硬化させることができる。場合によっては、UHSSが、更にMn、Al、Ti、B、P、S、Nを含むことができる。
【0051】
UHSSは、ホットスタンプ工程前、ホットスタンプ工程中及びホットスタンプ工程後での腐食に対する防御を改善するため、保護コーティングを施すことができる。このコーティングは、亜鉛コーティングまたはアルミ・シリコンコーティングであることができる。
【0052】
ある例では、冷却工具の中で、ブランクを400℃及び600℃の間の温度まで冷却することができる。亜鉛コーティングされたUHSSにおいて、延伸前にこの温度まで冷却することにより、割れが生じるのを防ぐことができる。温度範囲は、次の延伸工程で良好な成形性が維持されるような範囲である。
【0053】
アルミ・シリコンコーティングを有するUHSSブランクを用いる場合には、ホットスタンプ工程の後の亜鉛酸化層を一部または全て除去するためのショットブラストを行う必要がない。複数段階装置を用いることにより、全体的な改善が図れる。
【0054】
ある例では、この方法が、更に延伸の間にブランクを冷却するステップを含むことができる。ある例では、延伸の間にブランクを320℃及び280℃の間の温度まで冷却することができる。
【0055】
ある例では、第1後処理工具において、場合によっては第2後処理工具においても、ブランクの温度を200℃より高い温度に維持することができる。
【0056】
ある例では、ブランクをUHSSで形成でき、このUHSSが、重量%で0.15-0.25%C、最大0.5%Si、最大2.5%Mn、0.002-0.005%B及び最大0.05%Crを含む。ある例では、UHSSは、更にAl、Ti、P及びMoを含むことができる。
【0057】
ある例では、ブランクをUHSSで形成でき、このUHSSが、重量%で0.15-0.25%C、最大1%Si、最大2.5%Mn、0.002-0.005%B及び0.5-0.7%Crを含む。好ましくは、UHSS材料が、重量%で0.15-0.25%C、最大0.5%Si、最大2.5%Mn、0.002-0.005%B及び最大0.5%Crを含む。ある例では、UHSSは、更にAl、Ti、P及びMoを含むことができる。
【0058】
代替的な例では、UHSSが、重量%で0.15-0.25%C、最大0.5%Si、最大2.5%Mn,0.002-0.005%B及び最大0.5%Cr、好ましくは約0.3%Crを含む。ある例では、UHSSは、更にAl、Ti、P及びMoを含むことができる。
【0059】
前述の段落の組成を有するUHSSは、空冷硬化に対応するように構成されておらず、マルテンサイト微細構造を得るため、代わりにより高い冷却速度を要する。
【0060】
ある例では、空冷硬化されていない鋼は、22MnB5鋼であることができる。Usibor(登録商標)1500Pは、2MnB5鋼の一例である。Usibor(登録商標)の成分が、重量%で下記に要約されている(残りは、鉄(Fe)及び避けられない不純物)。
【0061】
(表1)
【0062】
熱間スタンプダイクエンチの後、Usibor(登録商標)1500Pは、例えば100MPaの耐力、1500MPaの最大抗張力をすることができる。
【0063】
Usibor(登録商標)2000は、より高い強度を有する他のボロン鋼である。熱間スタンプダイクエンチの後、Usibor(登録商標)2000は、1400MPa以上の耐力、1800MPaの最大抗張力をすることができる。Usibor(登録商標)2000の成分は、重量で最大0.37%の炭素、最大1.4%のマンガン、最大0.7%のシリコン及び最大0.005%のボロンを含むことができる。
【0064】
空気硬化されていないUHSSにおいて、ブランクの延伸の前のブランクの第1の冷却を、オーステナイト化温度より高い温度から600℃及び800℃の間の温度、場合によっては、650℃及び700℃の間の温度まで行うことができる。その結果、成形の間に、ブランクの温度を、例えば450℃及び250℃の間の温度、場合によっては、320℃及び280℃の間の温度まで下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本実施例に係る複数段階プレスシステムを模式的に示す図である。
図1A図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図1B図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図1C図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図1D図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図1E図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図1F図1に示す複数段階プレスシステムを用いてブランクの冷却及び成形方法を実施する間の一連の行程を模式的に示す図である。
図2a】複数段階プレスシステムのその他の実施例を模式的に示す図である。
図2b図2aに示す実施例の上側ガス冷却工具を模式的に示す図である。
図3A】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図3B】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図3C】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図3D】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図3E】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図3F】実施例に係るブランクの冷却及び成形方法を実施する間に起きる一連の状況を模式的に示す図である。
図4】複数段階プレスシステムの更なる実施例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本開示の限定のない実施例を、図面を参照しながら以下に説明する。図1Aは、複数段階プレスシステムの実施例を模式的に示す。装置1は、固定下側本体2と、移動上側本体3と、移動上側本体3を固定下側本体2に対して上向き及び下向きのプレス行程を与えるように構成された機構(図示せず)とを備える。
【0067】
固定下側本体2は、金属製の大きなブロックであることができる。この特定の例では、固定下側本体2が据置部材であることができる。ある例では、固定下側本体2に一体化された金型クッション(図示せず)を備えることができる。クッションは、ブランクホルダの力を受けて制御するように構成することができる。移動上側本体3も、金属製の個体の部材とすることができる。移動上側本体3は、ストロークサイクル(上下移動)を提供することができる。
【0068】
プレスシステムは、1分間に概略30ストロークを行うように構成することができる。よっって、各々のストロークサイクルは、約2秒であることができる。ストロークサイクルは、更なる例では異なることがあり得る。
【0069】
プレスの機構は、機械的に、油圧でまたはサーボ機構で駆動することができる。移動上側本体3の固定下側本体2に対する行程は、この機構により定められる。この特定の例では、プレスがサーボ機構プレスであることができ、よって、ストロークの間に一定のプレス力をかけることができる。サーボ機構プレスは、任意のスライドに位置において、良好な範囲のプレス力を得ることができ、よって、プレスの大きな柔軟性を実現できる。サーボ駆動プレスは、金属成形において、工程条件と生産性を改善することができる。プレスは、例えば、2000Tnのプレス力を有することができる。
【0070】
ある例では、プレスは機械式プレスであり、よって、固定下側本体2に向けてのプレス力行程は、駆動部及びヒンジシステムによることができる。従って、機械式プレスでは、単位時間においてより高いサイクルを達成できる。代替的には、油圧プレスを用いることもできる。
【0071】
予め加熱されたブランク80を冷却するように構成された冷却工具が、図1に示されている、冷却工具10は、下側ガス冷却工具12を備えることができる。この下側ガス冷却工具は、エアナイフを備えることができる。下側ガス冷却工具12は、圧縮空気が流出する、好ましくは層流パターンとなる一連の孔または連続的なスロットを含む圧縮空気プレナムを備えることができる。
【0072】
スロットまたは孔から流出する空気は、加熱されたブランク80に当たる。よって、ブランク80は冷却される。
【0073】
下側ガス冷却工具は、様々な制御機構を含むことができる。例えば、圧縮プレナムの中の気体の温度を制御することができる。その他またはそれに加えて、ブランクへ向かう空気の流れを制御する1以上のバルブを含むことができる。
【0074】
ガス冷却を用いる有利な点は、冷却プロファイル(温度対時間)を正確に制御できることである。更に、例えば、1日における製造サイクルを通じて、均一な冷却を維持するのが比較的容易である。
【0075】
例えば、冷却工具は、ピン、ブランクホルダ16及び/またはガイド装置のようなセンタリング要素を備えることができる。
【0076】
ピンまたはホルダ16は、常に、ブランク80を下側ガス冷却工具12からd1の距離だけ離間させておくことができる。
【0077】
この例では、ブランクを形成するまたは延伸するように構成されたプレス工具20が備えられ、複数段階プレスシステムに一体化されている。プレス工具20は、冷却工具10から下流側に配置されている。プレス工具20は、一対の上側金型21及び下側金型22を備える。ここでいう対とは、上側金型21が下側金型22に向けて移動するとき、両者の間に配置されたブランクが変形するように、金型が補完的な形状を有することを意味する。
【0078】
この特別な場合は、ブランク70が、次のプレスサイクルで、形成または延伸工程を行うように示される。前のサイクルのブランク70は、冷却工具10で冷却工程が実施されることは明らかである。
【0079】
上側金型21は、使用時に、熱間成形されるブランクと対向する上側稼働面23を備える。下側金型22は、使用時に、熱間成形されるブランクと対向する下側稼働面24を備える。上側稼働面23と反対側の上側金型の側部または一部は、上側本体3に接続することができ、下側稼働面22と反対側の下側金型の側部または一部は、下側本体2に接続することができる。
【0080】
一対の上側金型21及び下側金型22は溝を有することができ、水及び/または冷たい空気のような冷たい流体が、金型に備えられた溝を流れる。水が流れる溝において、水の蒸発を避けることができるように、溝を流れる水の循環速度を高くすることができる。金型の温度を制御する制御システムが、更に備えられる。
【0081】
実施例において、プレスシステム20には、ブランクを保持し、ブランクを下側金型22の上に位置付けるように構成されたブランクホルダ25が備えられている。ブランクホルダは、ブランクホルダを下側金型22から所定の距離の位置に付勢するように構成された1以上の付勢要素を備える。
【0082】
トリムする及び/または孔を開け作業を行うように構成された第1後処理工具30を備えることができる。この特定の例では、プレス装置の次のストロークにおいて、ブランク60がトリムまたは切削工程が実施される。ブランク60には、既に冷却工具10により冷却工程が実施され、プレス工具20により成形工程が実施されていることは明らかである。
【0083】
第1後処理工具30は、プレス工具20の下流側に配置される。第1後処理工具30は、上側金型32及び下側金型31を備えることができる。上側金型32は、上側稼働面33を備え、対となる下側金型32は、下側稼働面34を備えることができる。使用時には、両方の稼働面がブランク60と面する。
【0084】
上側稼働面33と反対側の上側金型32の側部を、上側本体3に取り付けることができ、下側稼働面34と反対側の下側金型31の側部を、下側本体2に取り付けることができる。金型は、稼働面上に配置された1以上のナイフまたは切断ブレード(図示せず)を備えることができる。
【0085】
第1後処理工具30は、1以上の電気ヒータ、または高温の流体を導く溝、及び金型の温度を制御するための温度センサを備えることができる。センサは熱電対であることができる。ある例では、上側及び下側金型の間に位置するブランクの温度を、使用時おいて、例えば、200℃より高く、250℃より高く、または300℃より高くといった所定の温度で、または所定の温度の近傍の温度で維持することが好ましい。
【0086】
ある例において、一対の上側金型32及び下側金型31は溝を有することができ、水及び/または冷たい空気のような冷たい流体が、金型に備えられた溝を流れる。
【0087】
実施例において、第1後処理工具30は、ブランクを保持し、ブランクを下側金型31の上に位置付けるように構成されたブランクホルダ(図示せず)を備えることができる。ブランクホルダは、ブランクホルダを下側金型から所定の距離の位置に付勢するように構成された1以上の付勢要素を備えることができる。
【0088】
図1に示す実施例では、第2後処理工具40を備える。第2後処理工具40も、更なるトリムする及び/または孔を開け作業を行うように構成されることができる。第2後処理工具40は、第1後処理工具30から下流側に配置される。第2後処理工具40は、上側金型42及び下側金型41を備えることができる。対となる上側金型42は、上側稼働面43を備え、対となる下側金型41は、下側稼働面44を備えることができる。使用時には、両方の稼働面がブランク60と面する。稼働面は、例えば、突起領域と凹みを有するような平滑でない面となっている。
【0089】
稼働面43と反対側の上側金型42の側部を、上側本体3に接続することができ、稼働面44と反対側の下側金型41の側部を、下側本体2に接続することができる。
【0090】
金型は、稼働面上に配置された1以上のナイフまたは切断ブレードを備えることができる。ある例において、上側金型42及び下側金型41の間の距離を調整する調整装置(図示せず)を備えることができる。このようにして、使用時において、上側金型42及び下側金型41の間に位置するブランク50は、それぞれ上側及び下側金型の稼働面に沿って変形することができる。
【0091】
変形させるための上側金型42及び下側金型41の間の距離の調整(つまり、ブランクの校正)を一度行うと、熱間成形ブランクの公差が改善される。ある例では、熱間成形されるブランクは、例えば、ブランクのある部分では、他の部分より大きな厚みを有するような、最適化されていない領域を有する。つまり、厚みを最適化する必要がある。
【0092】
均一でない稼働面を配置することにより、(例えば、ブランクの半径に近い)稼働面の選択された領域における距離が、最適化されていない厚みを有する領域において、またはその近傍で調整される。つまり、ブランクに沿った一定の厚みが実現できる。
【0093】
実施例では、調整装置を、ブランクの厚みを検出するように構成されたセンサシステムに基づいて制御することができる。
【0094】
ある例において、第2後処理工具40は、ブランクを保持し、ブランクを下側金型41の上に位置付けるように構成されたブランクホルダ(図示せず)を備えることができる。ブランクホルダは、ブランクホルダを下側金型から所定の距離の位置に付勢するように構成された1以上の付勢要素を備える。
【0095】
更なる例では、工具の金型をより低い温度またはより高い温度で稼働させるように適合した他の方法をも予見することができる。
【0096】
図面では、実質的に正方形または長方形の形の金型が記載されているが、ブロックは、他の形状を有することができ、部分的に丸い形状を有することもできると理解すべきである。
【0097】
例えば、複数の産業ロボットまたはコンベアのような自動搬送装置(図示せず)を、工具や搬送システムに備えることができる。工具は、更なる冷却システム、ブランクホルダ等を備えることができる。
【0098】
全ての例において、温度を制御するための温度センサ及び制御システムを、任意の工具または搬送システムに備えることができる。工具は、更なる冷却システム、ブランクホルダ等を備えることができる。
【0099】
図1A~1Fは、実施例により、ブランクを冷却して成形する方法を実施する間に生じる、一連の行程を模式的に示す。同じ要素には、同じ参照番号が付される。
【0100】
単純化するため、プレスサイクルの参照角度が、図1A(及び更なる図面)に関連した記載に含まれる。参照角度は、上側本体の下側本体に対する概略の位置を示すために用いられる。よって、例えば、参照角度では、上側本体が下側本体に対して0度の位置にあるとき、上側本体が下側本体に対して最も高い位置にあることを示し、上側本体が下側本体に対して180度の位置にあるとき、上側本体が下側本体に対して最も低い位置(全面接触位置)にあることを示す。そして、360度の位置にあることは、上側本体が再び最も高い位置にあることを示し、工程サイクルが完了したことを示す。
【0101】
図1Aにおいて、超高張力鋼(UHSS)からなる熱間成形されるブランク80は、860~870℃の間のAc3変態点(オーステナイト変態点、以下、”Ac3点”と称する)を有することがあり得る。上記の鋼組成では、Ac3点は約867℃となる。Ms変態点(マルテンサイト開始温度、以下、”Ms点”と称する)が、380℃及び390℃の間となることがあり得る。上記の鋼組成では、Ms点が386℃である。Mf変態点(マルテンサイト終了温度、以下、”Ms点”と称する)が、270℃またはその近傍の温度となる。
【0102】
異なる鋼組成を用いることもできる。特に、EP2735620A1に記載の鋼組成が適していると考えられる。特定の参考情報が、EP2735620の表1及び段落0016-0021と、段落0067-0079の考察とに示されている。
【0103】
ブランク80を、少なくともオーステナイト化する温度に達するように加熱することができる。加熱は、例えば、炉のような加熱装置(図示せず)内で実施される。この特別な例では、ブランクを加熱する最高温度をコーティングによって定めることができる。亜鉛の溶解点(つまり蒸発温度)が910℃またはその近傍の温度であり、よって、加熱装置内でブランク80を加熱する最高温度を、概略910℃より低い温度にセットできる。Ac3温度より高いが、910℃またはその近傍の温度の亜鉛の溶解温度より低い温度まで、ブランク80を加熱することができる。よって、(上記の鋼構組成において)867℃及び910℃の間の温度、特に890℃またはその近傍の温度に、加熱を行う。加熱の時間は、概略6分であるが、例えば、ブランクの厚みによる。
【0104】
一度、ブランク80を十分な時間、所望の温度まで加熱したとき、ブランク80を冷却工具10へ搬送することができる。この搬送は、例えば、産業ロボットまたはコンベアのような自動搬送装置(図示せず)により実施できる。炉(図示せず)及び冷却工具10の間のブランクの搬送時間を、2秒及び3秒の間の時間とすることができる。
【0105】
ある例では、冷却工具から上流側において、例えば、ピン及び/またはガイド装置のようなセンタリング装置を備えることができる。よって、ブランクは、適切に中心位置に置かれる。下側のガス冷却工具12及びブランク80の間で小さな距離を維持するピンまたはブランクホルダ16の上にブランク80を配置することができる。
【0106】
プレス上側本体3を、開放位置(0度位置)に位置付けることができる。そして、ブランク80が、ガス冷却工具11上に位置する。ある例では、ブランクをブランクホルダ上に位置付けることができる。
【0107】
上述のように、付勢装置は、例えば、機械バネやガスバネのようなバネを備えることができるが、油圧機構のような他の付勢要素を用いることも可能である。油圧機構は、受動的なまたは能動的な機構であり得る。
【0108】
図1Bでは、固定下側本体2に対して、移動上側本体1の下側プレス行程が開始される。この特定の例では、冷却は既に開始される。しかし、他の例では、冷却サイクルを連続的に行うことができ、よって、ブランク80が冷却工具に位置付けられると、すぐに冷却を開始することができる。
【0109】
(空気であることができる)加圧された冷却ガスの流れがブランクに当てられる。ガスの流れを、流量計の測定値に基づいて制御することができる。ガスの圧力は、約2気圧であることができる。例えば、ブランクの厚みの機能として、要求されるガス流れ、ガス温度及び冷却時間を変化させることができる。もし、ガス温度を低くする及び/またはガスの流れを増やすことを実現できない場合には、厚いブランクは冷却するのに時間がかかる。
【0110】
ブランクに向けてガスが流れるスロットや孔を、実質的にブランクの面に垂直に配置することができる。
【0111】
図1C、1E、1Gでは、130~180℃の間の範囲で、プレス工具において変形を開始させることができる。
【0112】
図1Dでは、最終の所望の位置(180度位置)に達した後、プレス機構により、上側本体の上向きのプレス行程が実施される。冷却サイクルの最終段階では、上側本体(つまり、上側金型)が下側本体に対して210度及び270度の間の位置となる。
【0113】
上述のように、ブランク80がプレスされる間に、冷却本体を用いて、プレス金型の中でブランクを冷却することができる。亜鉛コーティングの施された超高張力鋼(UHSS)では、プレス工具で600℃より高温となる場合、微少クラックが生じる。このように、ブランクは、プレス工具に搬送される前に、600℃未満の温度、特に500℃及び600℃の間の温度、好ましくは550℃またはその近傍の温度まで冷却され得る。
【0114】
既に述べたように、例えば、炉内での加熱で、予め890℃近くにブランク80を加熱することができる。ブランクを冷却工具100へ搬送することができる。搬送期間中に、温度を850℃及び800℃の間、または850℃及び750℃の間まで下げることができる。そして、ブランクは、約550℃の温度まで冷却される。
【0115】
ブランクを外部の冷却工具から搬送する余分な動きを避けることができるので、プレスシステムに一体化された冷却工具100を伴うことにより、ブランクを冷却するための時間を最適化できる。また、時間の節約にもなる。更に、工具の間のブランクの動きが限られるので、冷却速度を容易に制御することができる。
【0116】
図1Eでは、ブランク80は既に冷却され、よって、冷却工具10からプレス工具20へ搬送可能な状態になっている。搬送は、例えば、複数の産業用ロボットまたはコンベアのような自動搬送装置により実施される。上述のように、550℃またはその近傍の温度で、ブランクを搬送することができる。搬送時間により、成形工具に到達する前に、ブランク80を冷却することができる。
【0117】
ブランク80に上記の行程が実施されている間に、他のブランク50、60、70に、他の行程が実施することができる。ブランク70が延伸されるとともに、ブランク50及び60の後処理が実施される。
【0118】
成形の間に、成形工具の上側金型の稼働面及びブランクの稼働面の間の最後の完全な接触(つまり、延伸行程の最終段階)では、180度及び210度の間の位置となる。ブランク及びブランクホルダの間の最後の接触は、例えば、210度及び270度の間の位置となる。
【0119】
成形の間に、ブランク70の温度を300℃から200℃の間の温度まで下げることができ、特に350℃-370℃とすることができる。プレス工具は、冷却システムを備えることができる。冷却システムをコントローラで制御することができる。よって、ブランク70の温度を所望の温度まで下げて維持することができる。
【0120】
ブランク60は既に延伸され、プレス工具20から孔開けまたはトリミングのための第1後処理工具30へ搬送される。複数の産業用ロボットやコンベアのような自動搬送装置(図示せず)により、搬送を行うことができる。上述のように、ブランク60は300℃より高い温度、特に350ー370℃でプレス工具20を離れることができる。搬送時間により、ブランク60は、多少より冷却されることになり得る。ブランク100は、下側金型31上に載置され、下側金型31及び上側金型32の間に配置される。
【0121】
ブランク60は、下側金型31上に搬送または載置され、自動搬送システムは、ブランク200をプレス工具20に供給し、ブランク300を冷却工具19に供給するように稼働する。その結果、冷却工具10は、上記のように、ブランク300を冷却するため、稼働を開始できる。同時に、プレス工具20は、上記のように、ブランク300を延伸して冷却するため、稼働を開始できる。
【0122】
第1後処理工具において、最終的な所望の位置(プレスサイクルの180度位置またはその近傍)に達したとき、上側金型32は、プレス工具上側金型31及びプレス工具下側金型31の間に位置したブランク60にのみ接触する。
【0123】
プレスがブランク60に接触する間に。切断ブレードや他の切断要素を用いて孔開け工程を実施できる。孔開け工程が完了すると、トリム工程を実施できる。代替的な例として、トリム工程をはじめに行い、トリム工程が完了した後、孔開け工程を実施することもできる。トリム工程と孔開け工程を実質的に同時に行うこともできる。
【0124】
ブランク60で後処理が行われている間に、ブランクを最低温度より高く維持して、ブランクの変形を確実にするため、上記の加熱装置を用いて、ブランクを加熱することができる。
【0125】
最終的な所望の位置(プレスサイクルの180度位置またはその近傍)に達したとき、上側プレス工程を提供することができる。上側金型32の稼働面及びブランク100の間の最終的な完全な接触(つまり稼働の最後)は、180度及び210度の間の位置とすることができる。ブランク及び(もし後工程工具に備えられていれば)ブランクホルダの最終的な接触は、プレスサイクルの210度及び270度の間で起きるようにできる。
【0126】
最終的に、この特定な例では、プレス装置に第2後工程工具が含まれる。更なる例では、後工程工具がない場合や、3以上の後工程工具がプレス装置に含まれる場合もあり得る。
【0127】
この例における第2後処理工具を、孔開け及び/またはトリムのために用いることができる。更に、キャリブレーション工程を実施できる。よって、ブランクの製造公差を改善することができる。この目的のため、調整装置を用いて、上側金型42及び下側金型41の間の距離を調整できる。ブランク100の厚みを検出するように構成されたセンサシステム(図示せず)に基づいて、調整装置を制御することができる。例に従うと、ブランクを上側金型42及び下側金型41でプレスできるので、ブランクの一定に厚みを維持できる。第1後処理工具と同様に、金型温度(よってブランク温度)を制御することにより、特にブランクの最低温度を確実にすることができる。
【0128】
第2後処理工具の工程が完了すると、ブランクを搬送して、室温で硬化させることができる。
【0129】
ある例では、最終部材の所望の形状により、更なる延伸や孔開け及び/またはトリムのような他の工程を行うことができる。更なる例では、後処理工程の順番を置き換えることができる(例えば、切断をはじめにしてから、キャリブレーションを行う等)。
【0130】
複数のステップのプレス装置のその他の例を、図2aに示す。この例では、冷却工具10が、上側冷却工具11及び下側冷却工具12を含む。
【0131】
特定の例では、上側ガス冷却工具11が、1以上の付勢要素を介して、移動上側本体1に接続されている。付勢要素は、移動上側本体1から離れて固定下側本体2に向かうように、上側ガス冷却工具を押す。この例では、付勢要素は、機械バネまたはガスバネのようなバネであることができるが、その他の例では、他の付勢要素を用いることができる。このような代替的な付勢要素は、例えば、冷却工具を対向する冷却工具の方に押しつける油圧機構を含むことができる。
【0132】
他の例では、下側ガス冷却工具12が、1以上の付勢要素を介して、固定下側本体2に接続されることができる。稼働原理は、上側ガス冷却工具の場合と同様である。ある例では、上側ガス冷却工具11及び下側ガス冷却工具12の両方に、付勢要素を備えることもできる。
【0133】
上側及び/または下側付勢要素を挿入することにより、ストロークサイクル(移動上側本体1の下側本体に2に対する上下移動)の間に、冷却の時間を調整して増加させることができる。冷却工具の付勢要素により、形成工具(及び下流側に配置された更なる工具)のプレス金型の接触の前に冷却を開始することができる。
【0134】
上側ガス冷却工具は、ストッパ14を備える。それらは、図2bに示されている。ストッパ14は棒状であって、移動上側本体1が下降したとき、下側ガス冷却工具12(または固定下側本体)と接触することができる。ストッパ14により、上側及び下側ガス冷却工具の間の距離を確実に維持することができる。このことは、上側ガス冷却工具11及びブランク80の間で距離を維持することを意味する。
【0135】
ストッパの大きさや形状は、冷却が行われるときのプレスサイクルの一部において、上側ガス冷却工具11からブランク80への距離(下側ガス冷却工具12及びブランク80の間の距離)が距離d1に維持されるように定めることができる。
【0136】
図2bに関し、複数のストッパ14の可能な配置例が示されている。この例では、ストッパ14は、全体的に真っ直ぐな棒状である。ストッパの先端14Aは平坦で、この例では、下側ガス冷却工具との接触面を備えることができる。前述のように、上側及び下側冷却工具の役割を逆にすることができる。棒14は、上側ガス冷却工具11の側面19に取り付けることができる。図1Bには、圧縮された冷却ガスが通過してブランクへ向けて流れる複数の直線状のスロットが示されている。
【0137】
上側付勢要素13を用いて、上側ガス冷却工具11を上側本体2に対して所定の距離に配置することができる。
【0138】
図3A-3Fには、図1A-1Fと同様の一連の工程が示されている。しかし、前の例と異なり、この例の冷却工具は、上側ガス冷却工具11及び下側ガス冷却工具12の両方を有している。
【0139】
図3Aは、プレス工程が開始される、例えばプレスサイクルの0度の位置より前の図2Aの複数のステップのプレス装置を示す。
【0140】
図3Bにおいて、プレス装置が、移動上側本体1を下側固定本体2に対して下向に動かすプレス工程を開始したところを示す。よって、上側ガス冷却工具11は、下側金型12(及び下側工具11に位置するブランク80)に向けて移動する。
【0141】
上側ガス冷却工具は、下側ガス冷却工具に向けて伸びたストッパ14を保持する。図3Bでは、ストッパ14が下側ガス冷却工具12に接したところを示す。
【0142】
図3Cで、3E、3Gは、例えば、プレスサイクルの90度及び150度の間の範囲において、ストッパ14が下側冷却工具と接触する。そしてブランク80は、上側ガス冷却工具から所定の距離に位置する。ブランクは下側ガス冷却工具に対しても、所定の距離に位置する。ブランクは、上側及び下側ガス冷却工具から等しい距離に位置することができる。ブランクから上側及び下側ガス冷却工具への距離を良好に規定すれば、制御された冷却を行うことができる。
【0143】
プレス工程が継続する間、付勢部材が圧縮されているので、上側及び下側冷却工具の間の距離と、冷却工具及びブランクの間の距離とを維持することができる。
【0144】
(空気とすることができる)圧縮された冷却ガスの流れを、ブランクに当てることができる。前述のように、流量計の測定に基づいて、ガスの流れを制御できる。ガスの圧力は、例えば2気圧とすることができる。必要とされるガスの流量や温度は、例えば、ブランクの厚みの関数として変化することができる。もし、ガス温度を低下させらない及び/またはガス流量を増やせない場合には、厚いブランクでは冷却するのにより長い時間がかかる。上側及び下側ガス冷却工具を用いることにより、厚いブランクであっても比較的短い冷却サイクルを確実に行うことができる。
【0145】
図3Dでは、最終の所望の位置(180度の位置)に到達した後、プレス機構により、上側本体の上向きのプレス工程を提供することができる。冷却サイクルの最後を、下側本体に対して上側本体(つまり上側金型)が210度及び270度の間にあるようにすることができる。図3の状態では、まだ一部圧縮されているように見える上側付勢要素13は、初期位置または初期構成に戻るのを開始することができる。付勢要素の適切な配置により、冷却期間を成形期間より長くすることができ、冷却サイクルを、例えば0.33秒及び1秒の間の期間、続けることができる。
【0146】
図3E及び図3Fは、図2E及び図2Fに記載されたことと概ね同様である。
【0147】
ここに記載する例では、ブランクが、上側及び下側冷却工具に対して特定の所定の距離に配置されたとき、ガス冷却が開始される。他の例で明らかないように、その前にガス冷却を開始して継続することも可能である。
【0148】
図4は、複数段階プレス装置の更なる例を模式的に示す。この例では、冷却工具10は下側冷却工具を有さず、上側冷却工具11のみを有する。上側ガス冷却工具11は、上側付勢要素13とともに上側移動本体に接続することができる。
【0149】
上側ガス冷却工具は、前述のように、ストッパ14を備えることができる。前の例のように、付勢要素13及びストッパ14の組み合わせにより、冷却工具及びブランクに間の最小距離にすぐに達して、最小距離を維持することができる。よって、冷却サイクルを形成サイクルより長くすることができる。
【0150】
完全を期すため、本開示の様々な態様を、以下の数字の付いた節で開示する。
【0151】
節1:固定下側本体と、移動上側本体と、移動上側本体が固定下側本体に対して上向き及び下向きに動くプレス工程を提供するように構成された機構とを備えた、熱間成形構造部材を製造するためのプレス装置であって、
プレス装置は、
予め加熱されたブランクを冷却するように構成された冷却工具と、
ブランクを延伸するように構成された、冷却工具よりも下流側に配置されたプレス工具と、
ブランクを冷却工具からプレス工具に搬送するブランク搬送機構と
を備え、
冷却工具は、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具及び/または固定下側本体と接続された下側ガス冷却工具を有し、
プレス工具は、上側本体に接続された上側プレス金型と、下側本体に接続された下側プレス金型とを備える、プレス装置。
【0152】
節2:プレスサイクルにおいて、冷却時間が延伸時間より長いように構成された、節1に記載のプレス装置。
【0153】
節3:固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具を備える、節1または2に記載のプレス装置。
【0154】
節4:1以上の上側付勢要素とともに移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具を備え、上側付勢要素は、上側ガス冷却要素を移動上側本体から離すように付勢する、節1または2に記載のプレス装置。
【0155】
節5:冷却工具が、移動上側本体に接続された上側ガス冷却工具と、固定下側本体に接続された下側ガス冷却工具と、を備え、
上側ガス冷却要素を移動上側本体から離すように付勢する1以上の上側付勢要素とともに上側ガス冷却工具が移動上側本体に接続され、及び/または下側ガス冷却要素を固定下側本体から離すように付勢する1以上の下側付勢要素とともに下側ガス冷却工具が固定下側本体に接続された、節1または2に記載のプレス装置。
【0156】
節6:プレスサイクルの最下点において、上側ガス冷却工具がブランクに対して所定の第1の距離に位置し、下側ガス冷却工具がブランクに対して所定の第2の距離に位置する、節4または5に記載のプレス装置。
【0157】
節7:所定の第1の距離が所定の第2の距離に等しい、節6に記載のプレス装置。
【0158】
節8:冷却工具が、上側ガス冷却工具及びブランクの間の最小距離を維持するストッパを備える、節4から7の何れか1に記載のプレス装置。
【0159】
節9:ストッパが上側ガス冷却工具に備えられ、付勢要素と反対向きの力が生じるように、ストッパが下側ガス冷却工具と接する、節8に記載のプレス装置。
【0160】
節10:ストッパがロッドまたはバーである、節9に記載のプレス装置。
【0161】
節11:上側ガス冷却工具及びブランクの間の最小距離に到達したとき、冷却サイクルを開始するように構成された、節9~10の何れかに記載のプレス装置。
【0162】
節12:付勢要素が1以上のバネを備える、節4から11の何れかに記載のプレス装置。
【0163】
節13:上側ガス冷却工具及び/または下側ガス冷却工具が圧縮ガスのリザーバと接続された複数のスロットを備え、システムは、スロットを介するリザーバからのガス流れを制御する制御部を備える、節1から12の何れかに記載のプレス装置。
【0164】
節14:スロットが、ブランクに対して実質的に垂直に向いている、節13に記載のプレス装置。
【0165】
節15:ガスが室温の空気である、節14に記載のプレス装置。
【0166】
節16:リザーバ内の圧縮ガスの温度制御部を更に備える、節13から15の何れかに記載のプレス装置。
【0167】
節17:プレス工具の上側プレス金型及び/または下側プレス金型が、冷却液または冷却空気を導く流路を備える、請求項1から16の何れか1項に記載のプレス装置。
【0168】
節18:上側及び/または下側プレス金型の温度が、1つの金型の稼働面の温度に基づいて制御される、節1から16の何れか1に記載のプレス装置。
【0169】
節19:更に、1つの金型の稼働面に温度計を備える、節18に記載のプレス装置。
【0170】
節20:機械プレスである、節1から19の何れか記載のプレス装置。
【0171】
節21:サーボ機械プレスである、節1から19の何れかに記載のプレス装置。
【0172】
節22:油圧プレスである、節1から19の何れかに記載のプレス装置。
【0173】
節23:更に、第1の後処理を行う第1後処理工具を備え、第1後処理工具は、プレス工具の下流側に配置され、上側及び下側第1後処理工具金具を備え、
上側第1後処理工具金具が上側本体に接続され、下側第1後処理工具金具が下側本体に接続され、
ブランク搬送装置が、更にブランクをプレス工具から第1後処理工具へ搬送するように構成されている、節1から22の何れかに記載のプレス装置。
【0174】
節24:第1後処理がブランクをトリミング及び/または切断することを含み、上側及び/または下側後処理工具が、1以上の切断ブレードを備える、節23に記載のプレス装置。
【0175】
節25:上側及び/または下側後処理工具が、1以上のヒータまたは高温の液体を導く流路を備える、節23または24に記載のプレス装置。
【0176】
節26:ヒータまたは高温の液体を導く流路が、第1後処理工具のブランクの金型で測定された温度に基づいて、ブランクの温度を約250℃または300℃に維持するように構成された、節25に記載のプレス装置。
【0177】
節27:上側及び/または下側後処理工具金型が、冷却液、場合によっては冷却水を導く流路を備える、節23から26の何れか1項に記載のプレス装置。
【0178】
節28:上側及び/または下側後処理工具金型の温度が、1つの金型の稼働面の温度に基づいて制御される、節25から27の何れか1項に記載のプレス装置。
【0179】
節29:1つの第1後処理工具金型の稼働面に1以上の温度計を更に備える。節28に記載のプレス装置。
【0180】
節30:第2後処理工具を更に備え、第2後処理工具は、第1後処理工具の下流に配置され、ブランク搬送機構が、ブランクを第1後処理工具から第2後処理工具へ搬送するように構成され、
上側第2後処理工具金型が上側本体に接続され、下側第2後処理工具金型が下側本体に接続される、節23~29の何れかに記載のプレス装置。
【0181】
節31:第2後処理工具がトリミング及び/または孔開けをするように構成された、節30に記載のプレス装置。
【0182】
節32::第2後処理工具が、上側及び/または下側第2後処理工具金型を備え、
上側及び/または下側第2後処理工具金型が、1以上の切断ブレードを備える、節31に記載のプレス装置。
【0183】
節33:第2後処理工具が、ブランクを変形させるように、上側及び下側第2後処理工具金型の間の距離を調整するように構成された調整装置を備え、調整装置が、ブランクの厚みを検出するように構成されたセンサシステムに基づいて制御される、節30から32の何れか1に記載のプレス装置。
【0184】
節34:上側及び/または下側第1後処理工具金型の温度が、1つの金型の稼働面の温度に基づいて制御される、節30から33の何れかに記載のプレス装置。
【0185】
節35:1つの第1後処理工具金型の稼働面に1以上の温度計を更に備える、節34に記載のプレス装置。
【0186】
節36:ブランクを熱間成形する方法であって、
節1から35の何れかに記載のプレス装置を提供するステップと、
亜鉛コーティングされた超高張力鋼(UHSS)からなるブランクを提供するステップと、
ブランクを加熱するステップと、
ブランクを冷却工具に配置するステップと、
移動上側本体に固定下側本体に対する下向きプレス工程を与える間に、ブランクを冷却するステップと、
移動上側本体の固定下側本体に対する上向きプレス工程を行うステップと、
ブランクをプレス工具に位置付けるステップと、
移動上側本体の固定下側本体に対する下向き及び上向きプレス工程を行うことにより、ブランクを延伸させるステップと、
を含む、方法。
【0187】
節37:ブランクをUHSSのオーステナイト化温度より高い温度に加熱する、節36に記載の方法。
【0188】
節38:ブランクを860℃及び910℃の間の温度まで加熱する、節36または37に記載の方法。
【0189】
節39:UHSSが概略0.22%C、1.2%Si、2.2%Mnを含む、節36から38の何れかに記載の方法。
【0190】
節40:UHSSが更にMn、Al、Ti、B、P、S、Nを含む、節39に記載の方法。
【0191】
節41:ブランクが冷却工具の中で、500℃及び600℃の間の温度まで冷却される、節36から40の何れかに記載の方法。
【0192】
節42:延伸の間にブランクを冷却する、節36から41の何れかに記載の方法。
【0193】
節43:延伸の間にブランクを400℃及び300℃の間の温度まで冷却する、節42に記載の方法。
【0194】
節44:プレス装置が、切断ブレードを有する上側及び下側第1後処理工具金型を備える第1後処理工具を含み、
上側第1後処理工具金型は上側本体に接続され、下側第1後処理工具金型は下側本体に接続され、
ブランクをプレス工具から第1後処理工具に搬送することにより、ブランクの孔開け及び/またはトリミングのステップ、移動上側本体の固定下側本体に対する下向き及び上向きのプレス行程を施すステップを更に含む、節36~43の何れか1項に記載のプレス装置。
【0195】
節45:第1後処理工具に位置するブランクの温度が、200℃より高い温度、特に300℃より高い温度に維持される、節44に記載の方法。
【0196】
節46:プレス装置が、上側及び下側第2後処理工具金型を備える第1後処理工具を含み、
上側第2後処理工具金型は上側本体に接続され、下側第2後処理工具金型は下側本体に接続され、
ブランクを第1後処理工具から第2後処理工具に搬送するステップと
移動上側本体の固定下側本体に対する下向き及び上向きのプレス行程を提供するステップと、を更に含む、節44~45の何れか1項に記載の方法。
【0197】
様々な例をここに開示したが、他の代替例、変形例、使用及び/または同等なものが可能である。更に、記載された例の可能な組み合わせもカバーされる。よって、本開示の範囲は特定の例に限られるものではなく、後述の特許請求の範囲の公正な読み込みによってのみ定められる。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2a
図2b
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
【国際調査報告】