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特表2022-551090ベンチレーテッド型のディスクブレーキ用ブレーキバンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ベンチレーテッド型のディスクブレーキ用ブレーキバンド
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/12 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F16D65/12 B
F16D65/12 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520493
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 IB2020059253
(87)【国際公開番号】W WO2021064666
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】102019000017696
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ,ニノ
(72)【発明者】
【氏名】ドナーティ,パオロ
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058BA37
3J058CB12
3J058CB23
3J058CB25
3J058FA01
(57)【要約】
「ベンチレーテッド型のディスクブレーキ用ディスクのブレーキバンド」
本発明は、制動動作中に耳障りな鳴きを誘発する振動を回避することができる、通気性のあるタイプのディスクブレーキディスク(2)のブレーキバンド(1)に関する。ブレーキバンド(1)は、ブレーキバンド(1)の回転軸(X-X)近くの内径(D1)と回転軸(X-X)から遠い外径(D2)との間に延在する。回転軸は軸方向(X-X)を規定する。ブレーキバンド(1)は、軸方向(X-X)に実質的に直交する半径方向(R-R)と、前記軸方向(X-X)および前記半径方向(R-R)の両方に直交する円周方向(C-C)とを定義する。ブレーキバンド(1)は、互いに向かい合う2つのプレート(3,4)を含む。プレート(3,4)は、直接または間接的に隙間(7)に面し、かつそれを区画する内面(5,6)を含む。プレート(3,4)は、熱放散および接続要素(16、17、18、19)によって互いに結合され、接続要素とも称される。接続要素(16、17、18、19)は、プレートから反対側のプレートに向かって突出し、それによってプレート(3,4)を互いに接続するブリッジを形成する。接続要素の少なくとも1つは、内径(D1)付近から外径(D2)付近まで延びるフィン(19)である。フィン(19)は外径(D1)付近に位置するフィン外端部(20)を有する。フィン(19)のフィン外端部(20)が外周方向に沿った延長部分、つまり、外周方向幅(Lo)を有する。フィン(19)は、内径(D1)の近傍に位置するフィン内端部(21)を備える。フィン(19)のフィン内端部(21)は、内周方向に沿って所定の延長線、すなわち、内周方向からなる。前記隙間内を通る平均空気流量点を通過することによって作られる、半径方向(R-R)および周方向(C-C)からなる断面に沿って取った断面を考慮すると、前記外周方向幅(Lo)は前記内周方向幅(Li)よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチレーテッド型のディスクブレーキ用ディスク(2)のブレーキバンド(1)であって
前記ブレーキバンド(1)は、前記ブレーキバンド(1)の回転軸(X-X)に近い内径(D1)と、前記回転軸(X-X)から遠い外径(D2)との間で延び、前記回転軸は軸方向(X-X)を画定しており、
前記ブレーキバンド(1)は、前記軸方向(X-X)に実質的に直交する半径方向(R-R)と、前記軸方向(X-X)および前記半径方向(R-R)に直交する周方向(C-C)と、前記軸方向(X-X)および半径方向(R-R)に 局所的に直交する接線方向(T-T)とを定義し、
前記ブレーキバンド(1)は、2つの互いに向かい合うプレート(3,4)を含み、
前記プレート(3,4)は、直接または間接的に対向して隙間(7)を画定する内面(5,6)を有し、
前記プレート(3,4)は、放熱および接続要素(16、17、18、19)によって互いに接合され、
前記接続要素(16、17、18、19)は、前記プレートの一方から前記プレートの他方に向かって突出し、前記プレート(3,4)を互いに接続するブリッジを形成し、
前記接続要素の少なくとも1つはフィン(19)で、
前記フィン(19)は、一つの部品で、前記内径(D1)付近から前記外径(D2)付近まで延在しており、
前記フィン(19)は、前記外径(D1)の近傍に位置するフィン外側端部(20)を有し、
前記フィン(19)の前記フィン外側端部(20)は、外周方向に沿って所定の長さ、すなわち外周方向幅(Lo)を有し、
前記フィン(19)は、前記内径(D1)の近傍に位置するフィン内側端部(21)を有し、
前記フィン(19)の前記フィン内側端部(21)は、内周方向に沿った所定の延長線、すなわち内周方向幅(Li)を有して構成され
半径方向(R-R)および周方向(C-C)からなる断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面で、前記外周幅(Lo)は前記内周幅(Li)よりも大きく、
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記内径(D1)から離れるように延びるシャンク部分(28)を備え、
前記シャンク部分(28)は、2つの互いに反対側の側面(38,39)によって区画され、
前記シャンクの側面(38,39)の少なくとも1つは、実質的に前記半径方向(R-R)に沿って向けられ、
said at least one fin (19) comprises an outer radial portion 前
前記径方向外側部分(29)は先細りで、前記シャンク部分(28)に接続されている、ブレーキバンド(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフィン(19)は、外側径方向端部(26)を備え、
前記外側径方向端部(26)は、ベース面(27)を形成し、
前記ベース面(27)は、前記外径(D2)を定義する前記ブレーキバンド(1)の外縁に平行な直線延長部または円弧延長部を有する周方向延長部を有する、請求項1に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項3】
(a)前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記内径(D1)から離れて延びるシャンク部分(28)を備え、
前記シャンク部分(28)は、2つの互いに反対側の側面(38,39)によって区画され、
両方の前記シャンク側面(38,39)は、実質的に前記径方向(R-R)に沿って方向付けられ、
または
(b)前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記内径(D1)から離れて延びるシャンク部分(28)を備え、
前記シャンク部分(28)は、2つの互いに反対側の側面(38,39)によって区画され、
前記シャンク側面(38,39)の少なくとも1つが、少なくとも1つのシャンク直線延長部(40)を有し、
または
(c)前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記内径(D1)から離れて延びるシャンク部分(28)を含み、
前記シャンク部分(28)は、2つの互いに反対側の側面(38,39)により区画され、
前記シャンク側面(38,39)の両方が、互いに反対側のシャンク直線延長部(40、41)を有する請求項1または2に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記フィン(19)の前記径方向外側端部(20)の近くに配置された径方向外側部分(29)を有し、
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記フィン(19)の前記内側径方向端部(21)の近くに配置されたシャンク部分(28)を備え、
(a)半径方向(R-R)および周方向(C-C)からなる断面であって、前記隙間を空気流の重心を通る断面で、前記半径方向外側部分(29)から前記フィン(19)の断面端または周囲が前記シャンク部分(28)に接続され、
または
(b)前記外側径方向部分(29)は、前記外径(D2)付近を通過して前記内径(D1)に向かう先細りで、
または
(c)前記シャンク部分(28)は、前記半径方向(R-R)の全長に沿って実質的に一定の幅、すなわち円周方向の長さを有し、
または
(d)前記外側径方向部分(29)は、2つの互いに反対側の外側径方向部分側面(42,43)によって区切られ、
前記外側径方向部分側面(42,43)は、弓形で、前記シャンク部分(28)に接続される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記フィン(19)を前記プレート(3,4)の前記内面(5,6)に接続するフィンコネクタ(22)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記フィン(19)の前記径方向外側の端部(20)の近くに配置された径方向外側の部分(29)を含み、
前記少なくとも1つのフィン(19)は、前記フィン(19)の前記内側径方向端部(21)の近傍に配置されたシャンク部分(28)を備え、
前記半径方向(R-R)および前記周方向(C-C)を含む断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面で、前記半径方向外側部分(29)は、周方向(C-C)または接線方向(T-T)に延在する長方形または楕円形の形状を有し、および/または
前記シャンク部分(28)は、前記径方向(R-R)の全長に亘ってほぼ一定の周方向(C-C)の幅を有し、および/または、
前記シャンク部分(28)は、前記外側半径方向部分(29)の円周方向または接線方向の長さの実質的に半分が前記外側半径方向部分(29)に接続される、請求項1~5のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項7】
前記ブレーキバンド(1)は少なくとも一つの接続要素(16,17,18)を有し、
前記少なくとも一つの接続要素(16,17,18)は、前記プレート(3,4)を接続し、前記ブレーキバンド(1)のハンド高さよりも小さな径方向(R-R)の長さ、すなわち、前記内径(D1)と前記外径(D2)との間の半径方向距離を有し、
前記接続要素がピン(16,17,18)であり、
少なくとも1つのピン(17)は、少なくとも1つのフィン(19)に直接面して配置される、または、
前記ブレーキバンド(19)が、少なくとも2つのピン(16,17,18)を含み、
かつ
前記少なくとも2つのピン(17)が、その反対側の側面(36、37)から前記少なくとも1つのフィン(19)に直接面して配置されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項8】
前記ブレーキバンド(1)が少なくとも一つの接続要素(16,17,18)を備え、
前記少なくとも一つの接続要素(16,17,18)は、前記プレート(3,4)を接続し、前記ブレーキバンドの高さ、すなわち前記内径(D1)と前記外径(D2)との間の半径方向の距離よりも小さな径方向(R-R)の延長部を有し、
前記接続要素がピン(16,17,18)であり、
前記少なくとも1つのピンは、複数のピン(16,17,18)で、
前記複数のピン(16,17,18)は、外側ランク(23)、中間ランク(24)、内側ランク(25)の3つのランクに従って配置され、または、
前記複数のピン(16,17,18)は、外側ランク(23)、中間ランク(24)および内側ランク(25)の3つのランクに従って配置され、中間ランク(24)の少なくとも1つのピン(17)が前記フィン(19)の少なくとも1つの側面(37、38)に面しており、または、
少なくとも1つのピン(16)は、半径方向(R-R)および周方向(C-C)からなる断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面で、ドロップ状のピン(16)を定義し、
または
少なくとも1つのピン(16)は、前記内径(D1)に向かって先細りで、
または
少なくとも1つのピン(17,18)は、半径方向(R-R)および周方向(C-C)からなる断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面で、ひし形ピン(17,18)を有し、
または
前記複数のピン(16,17,18)は、外側ランク(23)、中間ランク(24)および内側ランク(25)の3つのランクに従って配置され

前記外側ランク(23)が、少なくとも1つのドロップ形状のピン(16)から構成されるか、またはドロップ形状のピン(16)のみから構成され、
前記中間ランク(24)が、少なくとも1つのひし形ピン(17)からなる、または、ひし形ピン(17)のみからなり、
前記内側ランク(25)が、少なくとも1つのひし形ピン(18)からなるか、またはひし形ピン(18)のみからなり、
または
前記複数のピン(16,17,18)は、外側ランク(23)、中間ランク(24)および内側ランク(25)の3つのランクに従って配置されており、
全てのピン(16,17,18)が、五角形に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項9】
前記ブレーキバンド(1)は、複数のフィン(19)を備えており、
前記複数のフィン(19)は、60DEGごとに1つのフィン(19)を提供する前記隙間(7)に沿って円周方向に均一に配置され、
または
前記フィン(19)は、前記隙間(7)に沿って周方向に均一に分布する6つのフィン(19)で、
または
前記フィン(19)は、前記隙間(7)内に一対のフィンとして配置され、
または
前記フィン(19)は、前記隙間(7)に沿って周方向に均一に分布するフィンの組で前記隙間(7)に配置され、
または
前記フィン(19)は、少なくとも1つのピン(17)が前記一対のフィンの前記フィン(19)の間に設けられた一対のフィンにおいて前記隙間(7)に配置され、
または
前記フィン(19)は、少なくとも1つのピン(17)が前記一対のフィンの前記フィン(19)の間に設けられた一対のフィンにおいて前記隙間(7)に配置され、少なくとも1つのピンが介在する一対のフィンは、前記隙間(7)に沿って周方向に均一に分布している、請求項1~8のいずれか1項に記載のブレーキバンド(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項によって定義されるブレーキバンド(1)と、前記ブレーキバンド(1)に関連し、車両のホイールハブに接続するように適合されたベル(33)とを備える、ディスクブレーキディスク(2)。
【請求項11】
請求項10に記載のディスクブレーキディスク2を含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキバンド、ディスクブレーキ用ベンチレーテッドディスク、特に自動車分野での用途に限定されず、前記ベンチレーテッドディスクを有する車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキにおいて、ブレーキキャリパは、一般に、軸方向(X-X)を規定する回転軸(A-A)を中心に回転するように構成されたブレーキディスクの外周縁を跨いで配置されている。ブレーキディスクにおいて、前記軸方向(X-X)に実質的に直交する半径方向(R-R)と、前記軸方向(X-X)及び前記半径方向(R-R)に直交する円周方向(C-C)と、局所的な接線方向(T-T)が定義される。接線方向(T-T)は、軸方向と半径方向の交点において、前記軸方向(X-X)と前記半径方向(R-R)に直交する。
【0003】
周知のように、ディスクブレーキ用のディスクは、ディスクを車両のハブと関連付けるように構成されたベルからなり、そこから、キャリパのブレーキパッドと協働することを意図した、ブレーキバンドと名付けられた環状の部分が延びている。ベンチレーテッド型のディスクの場合、ブレーキバンドは、向かい合い、例えばピンまたはフィンの形状の接続要素によって互いに連結された2つのプレートによって作られている。2つのプレートの外側表面は、対向するブレーキ面を規定し、内側表面は、ピン又はフィンと共に、ディスクを冷却するための通気路を形成する。この通気路は、ディスク自体の回転運動中に遠心方向に従って空気流により横切られる。
【0004】
前記ブレーキバンドは、前記パッドによって、ブレーキ面と名付けられた2つのプレートの反対側の表面に摩擦を加えることによって、車両にブレーキ作用を加えるように構成されたディスクブレーキキャリパと協働することを意図している。
【0005】
ブレーキの作動中、ブレーキキャリパのパッドとブレーキバンドのブレーキ面との間の摩擦により、廃棄を必要とする多量の熱が発生することが知られている。
【0006】
発生した熱は、実際に、例えば、ブレーキバンドの変形、ブレーキ面上の亀裂の形成、又はブレーキバンドを形成する材料の状態の局所的な変質など、いくつかの望ましくない現象を引き起こし、その結果、ブレーキバンド自体が劣化してしまう。
【0007】
特に、ブレーキ効率を高めた高性能自動車への適用では、廃棄すべきエネルギが多く、ブレーキ動作中に発生する熱を処分する前記の必要性がより一層感じられる。
【0008】
上述したタイプのベンチレーテッドディスクは、特に、いわゆる通気溝の数および形状に関して、経時的に連続的な進化を遂げており、したがって、軸方向に向かい合う2つのプレートによって形成される間隙を規定している。
【0009】
前記既知の通気ディスクのうち、いわゆる「ピンディスク」は、熱廃棄性能(すなわち、冷却)の点で特に効率的であることが示されており、そのディスクにおいて通気チャネルは、2つのプレートを横方向に連結する「ピン」として定義可能な、その軸方向延長部に対して制限された又は実質的にわずかに異なる同等の径方向及び円周方向延長部を有する特定の柱連結要素によって内部に制限されている。
【0010】
例えば、通気性のある「ピンディスク」がEP 1 373 751 B1号公報から知られている。このディスクでは、ピンが幾何学的に、ディスクと同軸であり、異なる半径を有する3つの同心円状に沿って配置されて、3つの「ランク」を形成し、2つのプレートと平行な平面上で切断すると、ピンは異なる型の断面を有する(例えば中間ランクおよび外側ランクでは「菱形」断面のピン、外側ランクでは「ドロップ型」ピン)。
【0011】
「ピン」構造を有する他のベンチレーテッドディスクは、例えば、WO2004/102028号公報及びUS5,542,503号公報から知られている。
【0012】
ベンチレーテッドディスクの中では、いわゆる「フィン」または「ウィング」ディスクが知られており、このディスクでは、通気路が、流行方向に沿って細長い、例えば半径方向(R-R)に平行な方向に向けられた、または2つのプレートを横方向に接続する螺旋状の特定の接続要素によって内部に制限される。
【0013】
また、ディスクのブレーキ面に対しテーパッドによって与えられるブレーキ作用は、熱を発生させ、その結果、特に要求の厳しい性能の場合には、ディスク自体を白熱させる程度までディスクの温度を上昇させることが知られている。また,制動時にディスクが高温になるため,ディスクが変形し,パッドとブレーキ面の接触が悪くなる。さらに、パッドの摩擦材は、一種のガラス化を起こし、ディスク材によって汚染される。
【0014】
さらに、より高い温度は、ブレーキ面の中間環状部分、すなわち、それぞれのプレートの外側表面の中間環状部分に到達することが判明した。この領域は、ディスクの寿命の間に亀裂が形成されやすい。
【0015】
上記開示された欠点を回避するために、一方では、制動中および制動後にディスクが到達する温度を抑制するために制動によって発生する熱の分散効率を高める必要性が、他方では、ブレーキバンドのこれらの中間部分の機械抵抗を高める必要性が、この分野において特に感じられている。
【0016】
WO2004/102028号公報、また、WO2002/064992号公報、US7066306号公報、US7267210号公報、US2006 0243546号公報、US2004 0124047号公報、US6367599号公報、US5542503号公報及びUS4865167号公報に、解決策が開示されている。様々な観点から満足できるものの、これらの既知の解決策は、ブレーキバンドの中間環状領域における所望の機械的抵抗と、制動動作によって生じる著しい局所的な温度上昇を除去できる空気流を同じ領域で最大化する対照的な必要性との間の妥協を達成できない。
【0017】
しかしながら、上述のタイプのベンチレーテッドディスクは、それ自体、ディスクブレーキ、特に、ベンチレーテッドディスクを有するディスクブレーキに影響を与える可能性があり、上述の問題と同時に生じ、同時に解決されるべきさらなる問題に対する解決策を提供しないことは、注目に値する。この問題は、以下に簡単に説明される。
【0018】
既知のように、ブレーキの作動中、特にディスク及びブレーキバンドは、ディスク自体の様々な固有振動モードにおいて相関する様々な周波数で機械的に振動する可能性がある。そのようなディスクの振動は、例えば、そのような物体の振動周波数がディスクの固有振動周波数と一致するか又は十分に近い場合に、ブレーキキングの最中に力が加えられるディスクに機械的に結合された物体の振動によって引き起こされる共振から生じる可能性がある。
【0019】
前述の振動は、共振周波数が可聴範囲(例えば2~9kHzの間、それに続く多かれ少なかれ耳障りな鳴き声)にあるとき、特に耳障りな鳴き声の形の可聴音を引き起こすことも知られている。
【0020】
その結果、ディスクの振動周波数を励起されたもの以外の値に「シフト」する建設的な手段によって、そのような鳴き声を低減又は除去する解決策を考案する必要性が生ずる。
【0021】
前述の「ピン」構造とは異なる構造を有するディスクについて、いくつかの解決策が知られている。
【0022】
例えば、IT 1 273 754号公報は、発生する振動とそれに続くノイズを低減するために特に特定された特定の位置と質量で、2つのプレートの間の隙間に向かって、プレートの内側に突出した突起を有するブレーキバンドを開示している。
【0023】
迷惑な振動現象を低減するように適合された構造を有する他のベンチレーテッドディスクは、例えばUS 4 523 666号公報から知られている。
【0024】
Knorr-Bremse GmbHによるUS3,983,973号公報には、通気路を形成するために互いに間隔をあけて配置された一対の摩擦板を含むブレーキディスクが示されている。ブレーキパッドの制動ライニングによって、前記プレートに対して制動力が加えられることがある。2つのプレートは、複数のフローガイドリブまたはフィンによって相互に接続され、摩擦プレート間に通気路を画定している。摩擦板の互いに向かい合う面に形成された放射状の溝には、帯状の防振材が配置されている。これらのインサートは金属要素からなり、振動を減衰させ、摩擦板が作られる鉄材料、例えば鉛、青銅、銅の膨張係数よりも大きな膨張係数を有している。
【0025】
同様の解決策は、US2009035598号公報から知られている。
【0026】
振動を低減するために、スクークタイプの受動ダンパーを制動装置に結合することは、US2012111692号公報から知られている。
【0027】
フィンによって接続された通気性のあるブレーキバンドを示す他の解決策は、WO2006067816号公報、GB2076090号公報、US4867284号公報から知られている。
【0028】
US6131707号公報、WO2016020820号公報、WO2017153902号公報、WO2017153873号公報、EP0318687号公報、WO2011058594号公報、WO2006105131号公報、US2006219500号公報、US6145636号公報、US2010122880号公報、US6325185号公報、US4523666号公報から。US5004078号公報, Si23474号公報, GB2060796号公報, DE102013210700号公報, EP3421833号公報, wo2015092671号公報, GB2286438号公報, DE102004056645号公報, EP2192321号公報, wo2008078352号公報, US3983973号公報, DE202006017092号公報, US20090000884号公報, DE202015102580号公報、EP3084256号公報、EP2507108号公報、EP2276946号公報、EP2145119号公報、EP2100051号公報、WO200792116号公報、WO2004102028号公報、EP1433973号公報の解決策から、周方向に不均一に分布するブレーキバンド板間に接続部を設け、ブレーキ作用により励起する固有振動を低減し隙間の通風性を増加することが知られている。
【0029】
しかしながら、プレートの連結要素のこれらの分布は、制動動作のある状況において、ブレーキバンドに集中する全く不要な応力を発生させる構造的な凹凸を作り出すものである。
【0030】
したがって、特に効率的な冷却性能と、制動時の振動及び騒音を最小化する特性の両方を同時に提供し、その完全性及び持続時間を損なう可能性のあるブレーキバンドに集中的な応力を発生させないようにする新しいベンチレーテッドディスク構造に対する必要性が生じてきている。
【0031】
ベンチレーテッドディスク及びそれぞれのブレーキバンドの前述の公知例は、言及された強く望まれる全ての要件を十分に満たすことができるものではない。
【0032】
同じ出願人によるEP 2 715 179 B1号公報は、これらの問題を部分的に解決し、特に、バンド自体のプレートの平面外の振動を含むブレーキバンドの振動モードの固有振動数を低減することを目的としている。特に、この解決策は、連結要素間の間隙に突出する形状のピンを備えている。
【0033】
この既知の解決策は、多くの観点から満足できるものではあるが、問題を完全に解決するものではなく、特に、ブレーキバンドの間の隙間を区切る表面の形状を容易に作成することを可能にする解決策を見つける必要性が強調されている。
【0034】
したがって、ブレーキバンドの外縁付近の質量を増加させ、励起されると、ブレーキ性能に非常に悪影響を及ぼす、ブレーキバンドの面外タイプの固有振動モードを低減する必要性が依然として強く感じられる。
【0035】
特に、ブレーキバンドの最も厄介な固有振動モードの振幅を、特にその比周波数という意味で低減することを可能にするブレーキバンドプレートの連結要素の形状を考案する必要性が感じられる。
【0036】
したがって、本発明の基本的課題は、前述の要件を満たすような構造的および機能的特徴を有し、同時に、先行技術を参照して述べた欠点を解決し、前述の感じたニーズを満たすブレーキバンドおよびブレーキバンド用ディスクを提供することである。
【発明の概要】
【0037】
本発明の目的は、これらの振動波およびその結果として生じる鳴き声が発生する傾向が低減されたブレーキ装置を提供することである。
【0038】
この目的および他の目的および利点は、請求項1に記載のブレーキバンド、請求項10に記載のディスクブレーキディスク、および請求項11に記載の車両によって達成される。
【0039】
いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の目的である。
【0040】
この解決策の分析から、提案された解決策が、先行技術の解決策に関して、いかにはるかに優れた制動快適性を達成することを可能にするか、したがって、振動の低減、特に鳴きをもたらす振動の不在を可能にするか、が浮かび上がった。
【0041】
さらに、提案された解決策は、いくつかの実施形態においてさえ、非常に高く且つ改善されたディスク冷却効率を維持する。例えば、ブレーキバンドの隙間を通る増加した空気の流れの乱れ、プレート間に存在する成形ピンに関連するフィンの特定の形状によって決まる乱れのおかげで、効率が大幅に改善される。
【0042】
さらに、提案された解決策は、ブレーキバンドの質量を増加させ、ブレーキバンドの半径方向部分を硬くし、それによって、バンドの半径方向高さ全体にわたって延びたフィンを有するピンの分布の円対称性を壊し、特にブレーキバンドの半径方向外縁の近くの質量を増加させて、励起時にブレーキのパフォーマンスに非常に悪影響を与える、ブレーキバンドの面外タイプの固有振動モードを低減することを可能にした。
【0043】
さらに、提案された解決策により、その半径方向外側部分、とりわけディスクの外縁付近の拡大されたフィンによって、成形ピン間のより大きな質量を保証することが可能であり、それによって製造工程を簡略化することができる。
【0044】
さらに、提案された解決策により、接続要素又は形状を有するピンから空いた中空隙間の大きな環状領域を避けることが可能であり、したがって、ディスクの振動又は別のアンバランス現象を発生させるような、ブレーキバンド上の不十分な温度分布を避けることが可能である。
【0045】
さらに、提案された解決策により、通気路の閉塞又は過度の制限を回避して外縁に近い質量を増加させ、同時に、亀裂の形成及び伝播を制限するためにバンドを構造的に強化することが可能である。
【0046】
さらに、提案された解決策によって、熱破壊抵抗の増加を保証することが可能である。
【0047】
さらに、提案された解決策により、半径方向外側部分に成形ピン及び細長く拡大されたフィンを設け、熱交換のために利用可能な表面積をさらに増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
装置、ブレーキディスク、および車両のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照しながら、非限定的な例として、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0049】
図1図1は、本発明によるブレーキバンドを有するディスクブレーキディスクの部分断面斜視図である。
図2図2は、図1におけるブレーキバンドの間隙を通る流体の流れの媒体平面に沿って取られた断面図である。
図3図3は、図2におけるブレーキバンド部分の拡大された詳細の斜視図である。
図4図4は、本発明のさらなる実施形態によるブレーキバンドを有するディスクブレーキディスクの部分断面斜視図である。
図5図5は、図4におけるブレーキバンドの間隙を通る流体の流れの媒体平面に沿ってとられた断面図である。
図6図6は、図5におけるブレーキバンド部分の拡大された詳細斜視図である。
図7図7は、本発明のさらなる実施形態によるブレーキバンドを有するディスクブレーキディスクの部分断面斜視図である。
図8図8は、図7におけるブレーキバンドの間隙を通る流体の流れの媒体平面に沿ってとられた断面図である。
図9図9は、図8におけるブレーキバンド部の拡大された詳細斜視図である。
図10図10は、本発明のさらなる実施形態によるブレーキバンドを有するディスクブレーキディスクの部分断面斜視図である。
図11図11は、図10におけるブレーキバンドの間隙を通る流体の流れの媒体平面に沿ってとられた断面図である。
図12図12は、図11のブレーキバンド部分の拡大された詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
一般的な実施形態によれば、ベンチレーテッド型のディスクブレーキ2用のディスクのブレーキバンド1が提供される。
【0051】
前記ブレーキバンド1は、ブレーキバンド1の回転軸X-Xに近い内径D1と、前記回転軸X-Xから遠い外径D2との間で延びている。前記回転軸は、軸方向X-Xを規定する。
【0052】
前記ブレーキバンド1は、前記軸方向X-Xに実質的に直交する径方向R-Rと、前記軸方向X-X及び前記径方向R-Rの両方に直交する円周方向C-Cとを画定している。
【0053】
前記ブレーキバンド1は、互いに対向する2つのプレート3,4から構成される。
【0054】
前記プレート3,4は、直接または間接的に互いに向き合い、前記ブレーキバンド1のための換気導管を画定する隙間7を画定する内面5,6からなる。
【0055】
前記プレート3,4は、外面8,9からなる。
【0056】
前記外面8,9は、対向する平坦な周方向部分からなり、ブレーキ面10,11を形成している。すなわち、外面8,9の一部は、ブレーキキャリパに収容されたブレーキパッドと協働して、ブレーキバンド1に挟まれたときにブレーキ作用を発揮し、外面8,9のうちパッドによってブラシがかけられる部分または関係する部分は、ブレーキ面10,11を規定する。
【0057】
前記プレート3,4は、軸方向X-Xの延長線上または板厚14,15を有するプレート本体12,13から構成される。すなわち、軸方向に観察すると、各プレート3,4は、そのプレート3,4のプレート本体12の軸方向における厚みによって与えられるプレート厚み14,15を示す。
【0058】
前記プレート3,4は、プレート3,4の放熱要素または連結要素16,17,18によって互いに接合されている。
【0059】
前記連結要素16,17,18は、プレート3,4の接続ブリッジの形状で1つのプレートから反対側のプレートに向かって突出する柱および/またはリブとして形成されている。
【0060】
有利には、前記連結要素の少なくとも1つは、一体であり、前記内径D1付近から前記外径D2付近まで延びるフィン19である。
【0061】
前記フィン19は、前記外径D1付近に配置されたフィン外端部20を含む。
【0062】
前記フィン19の前記フィン外端部20は、外周方向に沿って所定の延長線、すなわち外周方向幅Loを構成する。
【0063】
前記フィン19は、前記内径D1の近傍に配置されたフィン内端部21を構成する。
【0064】
前記フィン19の前記フィン内端部21は、内周方向に沿って所定の延長線、すなわち内周方向幅Liで構成される。
【0065】
有利には、半径方向R-Rおよび周方向C-Cからなる断面に沿ってとられ、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面を考えると、そこでは前記外周方向幅Loは前記内周方向幅Liよりも大きい。
【0066】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、半径方向外側の端部26を備える。前記外側半径方向端部26は、ベース面27を形成する。前記ベース面27は、前記外径D2を規定する前記ブレーキバンド1の外縁に平行な直線延長部又は延長円弧延長部を有する周方向延長部を構成している。
【0067】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記内径D1から離れて延びるシャンク部分28を含んでいる。前記シャンク部分28は、2つの互いに反対側の側面38、39によって区切られ、前記シャンク側面38,39の少なくとも1つは、実質的に前記半径方向R-Rに沿って方向付けられている。
【0068】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記内径D1から離れて延びるシャンク部分28を備える。前記シャンク部分28は、2つの互いに反対側の側面38、39によって区切られ、両方の前記シャンク側面38,39は、実質的に前記半径方向R-Rに沿って向けられている。
【0069】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記内径D1から離れて延びるシャンク部分28を具備する。前記シャンク部分28は、2つの互いに対向する側面38、39によって区画され、前記シャンク側面38,39の少なくとも1つは、少なくとも1つのシャンク直線ストレッチ40を含む。
【0070】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記内径D1から離れて延びるシャンク部分28を具備する。前記シャンク部分28は、2つの互いに反対側の側面38、39によって区切られ、前記シャンク側面38,39の両方は、互いに反対側のシャンク直線ストレッチ40、41を含む。
【0071】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記フィン19の前記半径方向外側の端部20の近くに配置された半径方向外側部分29を含む。前記少なくとも1つのフィン19は、前記フィン19の前記内側半径方向端部21の近傍に配置されたシャンク部分28を具備する。
【0072】
実施形態によれば、半径方向R-Rと周方向C-Cを含む平面に沿った断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面おいて、前記フィン19の断面端または外周が、前記半径方向外側部分29から前記シャンク部分28に接続されている。
【0073】
実施形態によれば、前記外側半径方向部分29は、前記外径D2付近を通過して前記内径D1に向かって先細りになっている。
【0074】
実施形態によれば、前記シャンク部分28は、半径方向R-Rに主に突出し、全長に亘ってほぼ一定の幅(すなわち、周方向の長さ)を有する。
【0075】
有利には、前記半径方向外側部分29は、先細りになって、前記シャンク部分28に接続されている。
【0076】
前記シャンク部分に接続された先細りに半径方向外側部分を設けることによって、ディスクの通気性、したがって冷却を著しく改善することが可能である。実際、先細りになった半径方向部分は、ディスクを通して冷却流体の流れを運び、ディスク自体の冷却効率を向上させる。同時に、シャンク部分への接続により、不連続性なく、ディスクの通気性ブレーキバンドの半径方向延長部全体の剛性を高めて強化するフィンを有することができ、それにより、ディスク自体の構造的及び動的性能を向上させることができる。
【0077】
実施形態によれば、前記外側径方向部分29は、2つの互いに反対側の外側径方向部分側面42、43によって区画される。前記外側径方向部分側面42、43は、弓形で、前記シャンク部分28に接続されている。
【0078】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記フィン19を前記プレート3,4の前記内面5,6に接続するフィンコネクタ22を備える。
【0079】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのフィン19は、前記フィン19の前記径方向外側の端部20の近くに配置された径方向外側部分29を含んでいる。前記少なくとも1つのフィン19は、前記フィン19の前記内側半径方向端部21の近傍に配置されたシャンク部分28を含んで構成される。
【0080】
実施形態によれば、半径方向R-Rと周方向C-Cを含む断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面において、前記半径方向外側部分29は、周方向C-C又は接線方向T-Tに長い実質的に長方形又は楕円形の形状を有する。
【0081】
実施形態によれば、前記シャンク部分28は、半径方向R-Rにおけるその延長部の大部分に亘って実質的に一定の、周方向C-Cにおける幅を構成している。
【0082】
実施形態によれば、前記シャンク部分28は、前記外側径方向部分29の周方向又は接線方向の長さの実質的に半分の位置で前記外側径方向部分29に接続されている。
【0083】
実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は少なくとも一つの連結要素16,17,18を有する。連結要素16,17,18は、前記プレート3,4を連結しており、ブレーキバンドの高さ(すなわち前記内径D1と前記外径D2との間の半径方向距離)よりも低い径方向長さを有する。連結要素はピン16,17,18と呼ばれる。
【0084】
実施形態によれば、少なくとも1つのピン17は、少なくとも1つのフィン19に直接対向して配置されている。
【0085】
実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は、少なくとも2つのピン16,17,18を有する。前記少なくとも2つのピン17は、その対向する側面36、37から、前記少なくとも1つのフィン19に直接対向して配置される。
【0086】
実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は少なくとも1つの連結要素16,17,18を有する。連結要素16,17,18は、前記プレート3,4を連結し、ブレーキバンドの高さ(すなわち前記内径D1と前記外径D2との間の半径方向距離)よりも低い半径方向R-Rの長さを有する。連結要素16,17,18は、連結要素はピン16,17,18と呼ばれる。
【0087】
実施形態によれば、前記少なくとも1つのピンは、複数のピン16,17,18である。
【0088】
実施形態によれば、前記複数のピン16,17,18は、外側ランク23、中間ランク24、及び内側ランク25の3つのランクに従って配置されている。
【0089】
実施形態によれば、前記複数のピン16,17,18は、外側ランク23、中間ランク24、内側ランク25の3つのランクに従って配置され、中間ランク24の少なくとも一つのピン17は、前記フィン19の少なくとも一つの側面37、38に面している。
【0090】
実施形態によれば、少なくとも1つのピン16は、半径方向R-Rと周方向C-Cからなる断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面において、ドロップ(滴)形状を有する。
【0091】
実施形態によれば、少なくとも1つのピン16は、前記内径D1に向かって先細りである。
【0092】
実施形態によれば、少なくとも1つのピン17、18は、半径方向R-Rと周方向C-Cからなる断面であって、前記隙間を通る空気流の重心を通る断面において、従ってひし形状のピン17、18を有する。
【0093】
実施形態によれば、前記複数のピン16,17,18は、外側ランク23、中間ランク24、内側ランク25の3つのランクに従って配置されている。
【0094】
実施形態によれば、前記外側ランク23は、少なくとも1つのドロップ形状のピン16から構成されるか、またはドロップ形状のピン16のみから構成される。
【0095】
実施形態によれば、前記中間ランク24は、少なくとも1つのひし形ピン17から構成されるか、またはひし形ピン17のみから構成される。
【0096】
実施形態によれば、前記内側ランク25は、少なくとも1つのひし形ピン18で構成されるか、又はひし形ピン18のみで構成される。
【0097】
実施形態によれば、前記複数のピン16,17,18は、外側ランク23、中間ランク24、内側ランク25の3つのランクに従って配置されている。すべてのピン16,17,18は、五角形に配置されている。
【0098】
実施形態によれば、前記ブレーキバンド1は、複数のピン19を有する。
【0099】
実施形態によれば、前記複数のフィン19は、60°ごとに1つのフィン19を提供する前記隙間7に沿って、周方向に均一に配置されている。
【0100】
実施形態によれば、前記フィン19は、前記隙間7に沿って周方向に均一に分布する6つのフィン19である。
【0101】
実施形態によれば、前記フィン19は、前記隙間7に対になって配置されている。
【0102】
実施形態によれば、前記フィン19は、前記隙間7に沿って周方向に一様に分布するフィン対となって前記隙間7に配置される。
【0103】
実施形態によれば、前記フィン19は対になって前記隙間に配置されている。そこでは、少なくとも1つのピン17が、前記一対のフィン19の間に設けられている。
【0104】
実施形態によれば、前記フィン19は対になって前記隙間に配置されている。そこでは、少なくとも1つのピン17が前記対をフィン19の間に設けられ、少なくとも1つの中間ピンを有するピンの対が、隙間7に沿って周方向に一様に分布している。
【0105】
本発明はさらに、上述した実施形態のいずれか1つによって定義されるブレーキバンド1と、前記ブレーキバンド1に関連し、車両のホイールハブに接続するように構成されたベル33とを備えるディスクブレーキディスク2に関する。
【0106】
本発明は、さらに、上記で定義されたようなディスクブレーキディスク2を備える車両に関する。
【0107】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な例によって説明される。
【0108】
実施形態によれば、ブレーキバンド1は、380mmの外径D2、228mmの内径、および34mmの厚さを有する。
【0109】
二つのプレート3,4は、3つの列又はランク23,24,25に配置された列の形態の連結要素16,17,18によって互いに接続されており、これらは同心であり、前記連結要素16,17,18は、五角形の配置で配置されている。
【0110】
隙間7の全高のために延びるフィン19は、60DEGごとに存在する。
【0111】
外側ランク24において、接続要素は、ドロップ形状の隙間7を通る空気の流れ重心上で所定形状を有し、半径方向R-Rに向けられ、回転軸X-Xに向かってテーパ状に延びている。
【0112】
中間ランク25及び内側ランク23において、連結要素17,18は、菱形隙間7を通る平均流の平面上で所定形状を有する。
【0113】
各ランクは47個は連結要素16または17または18を接続する。
【0114】
フィンは、寸法L=14.35mm、L=4mm、半径方向の長さが69mmである。
【0115】
ヤング率123,700MPa、ポアソン比0.250、密度7.205kg/dmの密度を有する材料について、20~10,000Hzの周波数範囲でモード解析を行った。その結果を、関心のある値について、本出願人による欧州特許第2715179号に記載された値と比較して、以下に示す。
【0116】
【符号の説明】
【0117】
1 ブレーキバンド域
2 ディスク ブレーキディスク
3 プレート
4 プレート
5 内周面
6 内周面
7 隙間
8 外周面
9 外周面
10 ブレーキ面
11 ブレーキ面
12 板状体
13 プレート本体
14 板厚
15 板厚
16 外部ピン接続要素または外部ランク
17 中間ピン連結素子または中間ランク
18 内ピンの連結要素または内ランク
19 フィン型連結要素
20 フィン外端部
21 フィン内側端部
23 アウターピンランク
24 中間ピンランク
25内側ピンランク
26 フィン外側径方向端部
27 フィン外径側端部底面
28 フィンシャンク部分
29フィン外側径方向部
33 ベル
35 バンド外周部
36 フィンサイド
37 反対側フィン側
38 シャンク側
39 反対側シャンク
40 シャンクストレッチ
41 シャンク直角方向ストレッチ
42 半径方向外側の部分側面
43 半径方向外側の反対側
A-Aブレーキバンド又はブレーキディスクの回転軸
X-X 回転軸又は軸方向
R-R ラジアル方向
C-C接線方向
D1 内輪の直径
D2 バンド外径
Loフィン外周幅
Liフィン内周幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】