(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】タッチ操作式ボタンの清掃モードを起動するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20221130BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G06F3/01 560
G06F3/041 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520841
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074889
(87)【国際公開番号】W WO2021078434
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019007300.2
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】エミン・タラヤン
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA54
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC17
5E555CA12
5E555CA17
5E555CA42
5E555CB10
5E555CB12
5E555CB33
5E555CB66
5E555CC02
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
タッチ操作式ボタンの清掃モードを起動するための方法及び装置。本発明は、自動車のタッチ操作式ボタンの清掃モードを起動させるための方法に関するものであり、ボタンは、意図しない操作を回避するために、少なくとも部分的に非作動に切り替えられる。本発明によれば、ボタンの監視は、カメラにより行われる。清掃モードを起動する操作の検出は、ユーザの手によってボタン上で動かされる清掃具を認識することに基づいて行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のタッチ操作式ボタンの清掃モードを起動するための方法であって、前記ボタンは、意図しない操作を回避するために少なくとも部分的に非作動に切り替えられる(S105)、方法において、
前記ボタンは、カメラにより監視され(S100)、
前記清掃モードを起動する操作は、前記カメラにより検出され、前記起動する操作は、ユーザの手によって前記ボタン上で動かされる清掃具を含む(S103)ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記清掃モードを起動する操作は、前記ユーザの手の特徴的な動きを含む(S103)ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記清掃モードを起動する操作は、前記タッチ操作式ボタンのセンサにより、前記ユーザの手の特徴的な動きを認識することによって検出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ボタンの前記清掃モードの起動は、触覚フィードバック又は光学的フィードバックで確認される(S105)ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記清掃モードは、予め決められた走行速度範囲でのみ起動される(S104)ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
異なる走行速度範囲が、運転者及び助手席乗員のために予め決められている(S104)ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記清掃モードは、前記カメラにより、予め決められた時間の間、前記清掃具が認識されないと、及び/又は指による操作が認識されると、すぐに終了する(S107)ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ボタン(5)の清掃モードを起動する操作を認識するように設定された自動車の装置であって、
前記装置は、前記起動する操作を撮影するカメラ(3)を備え、前記起動する操作は、ユーザの手(15)によって前記ボタン(5)上で動かされる清掃具(11)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記ボタン(5)は、タッチディスプレイとして作製されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンの清掃プロセスを認識して清掃モードを起動するための方法及びそのように設定された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接触感知式ボタンを使用する機能の操作は、現代の自動車ではますます使用されている。操作するとボタンの表面には避けられない指紋が残るため、頻繁な清掃が必要になる。
【0003】
特許文献1の開示から、タッチスクリーンを備えたアセンブリが公知であり、そのアセンブリは、指又は入力手段によりタッチスクリーン上で実行される予め決められたジェスチャを認識するように作製されている。予め決められたジェスチャが検出されると、清掃モードが起動され、清掃モードでは、清掃プロセス中の誤操作を回避するために、タッチスクリーンは、非作動に切り替えられる。
【0004】
開示されたアセンブリの欠点は、清掃具による清掃が、予め決められたジェスチャの事前の明示的な入力を常に必要とすることである。布などの清掃具で清掃する前に、指又は専用の操作要素でジェスチャを実行する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それとは対照的に、本発明の課題は、清掃モードのより快適な起動を可能にする方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1の特徴を有する清掃モードを起動するための方法及び請求項9に記載の装置によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい有利な実施形態を規定する。
本発明によれば、ボタンは、カメラにより監視され、清掃モードを起動する操作は、ユーザの手によってボタン上で動かされる又は保持されている清掃具が認識されると検出される。ユーザの手によってボタン上で動かされる清掃具を認識すると、清掃モードが起動される。カメラは、ユーザの手が清掃具、すなわち、例えば、清掃布、スポンジ、不織布などをボタンの表面へ置いたことを撮影する。ボタンの表面上の清掃具を認識すると、清掃モードが起動されて、容量性若しくは誘導性ディスプレイ上の湿った清掃具又は布からずれた指によるボタンの誤操作を回避する。それに類似して、例えば、抵抗性ディスプレイなどの圧力感知ディスプレイの場合、誤操作が回避される。物体及び乗員のジェスチャを撮影するために、1つ以上のカメラがルーフライナに配置されている。例えば、カメラは、運転席と助手席との間の領域でルーフライナに配置されているため、特にディスプレイ上での運転者及び助手席乗員のジェスチャは、撮影可能である。関連する制御装置を含むカメラは、学習させたジェスチャ及び物体を認識するように設定されている。この目的のために、例えば、制御装置に含まれるニューラルネットワークは、ジェスチャ及び物体の認識が十分に高い確率で保証されるまで訓練される。ボタンは、それぞれ機能が割り当てられているアイコンなどの操作フィールドを含む。清掃モードが起動されると、操作フィールドは、少なくとも部分的に非作動に切り替えられる。すなわち、ボタンに割り当てられた機能は、操作フィールドへの接触によっても押圧によっても実行されない。ボタンは、例えば、タッチパッド、タッチディスプレイ、又はタッチ操作式コントロールパネルとして作製されている。ボタンは、例えば、容量性、誘導性、又は抵抗性の方式に応じて動作する。有利には、本発明による方法は、清掃モードを明示的に切り替える必要なしに、ボタン表面の清掃を可能にする。清掃具を認識することで、初期段階で既に、すなわち、拭き取りの動きによって誤ったトリガが生じる前に、清掃モードを起動することができる。特に、場合により部分的に湿っている清掃具を使用して清掃する場合、先行技術から公知の起動ジェスチャは、タッチディスプレイ上で実行することはできない。したがって、ユーザは、最初に自身の指で起動ジェスチャを実行せざるを得ず、その後に清掃具で清掃を実施できる。
【0008】
本方法の構成では、ボタンは、カメラにより監視され、清掃に特徴的なユーザの手の動きが認識されるならば、清掃モードが起動される。特徴的な動きは、例えば、清掃プロセスに固有の拭き取り又は円形の動きである。
カメラによる清掃具の認識に加えて、特徴的な動きを認識することにより、有利に清掃プロセスの認識確率が明確に高められる。認識確率がより高くなるほど、清掃モードの誤起動はより少なくなる。
【0009】
代替又は追加の実施形態では、清掃モードは、タッチ操作式ボタンにより認識される、ユーザの手によって動かされる清掃具の特徴的な動きに基づいて起動される。清掃具の動きに起因する軌跡は、ボタンのタッチセンサによって決定される。その軌跡が拭き取りプロセスの予め決められた特徴的な軌跡と一致又は類似している場合、清掃プロセスとみなすことができ、清掃モードが起動される。タッチセンサにより特徴的な動きを認識することにより、カメラによる認識に加えて、清掃プロセスの認識確率を更に高めることができる。
【0010】
本方法の更なる構成では、清掃モードの起動は、触覚フィードバック、光学的フィードバック、及び/又は音響フィードバックで確認される。触覚フィードバックは、例えば、アクチュエータによって引き起こされるボタンの振動である。光学的フィードバックは、タッチディスプレイに、例えば、拭き取りプロセスを示す画像を表示することにより、動作ステータス「清掃モード」を表示することにより行われるか、あるいは画面を暗く切り替えることもできる。
【0011】
更に好ましい実施形態では、清掃モードは、予め決められた走行速度範囲でのみ起動される。例えば、予め決められた速度範囲を上回って運転者が画面の清掃を開始した場合、清掃モードは、運転者の注意散漫を避けるために、清掃モードに移行されない。清掃具又は特徴的な動きによって清掃の意図が検出されると、警告メッセージが運転者に出力される。警告メッセージは、清掃モードが使用できないという情報及び/又は交通に集中するようにという要請を含む。有利な様式では、本方法は、注意散漫による交通への危険を低減する。
【0012】
修正実施形態では、運転者及び助手席乗員に対して、清掃モードを起動するための異なる運転速度範囲が事前に指定されている。この場合、カメラは、誰が清掃具を手に持っているのか、又は誰が清掃具をボタンの表面上へと動かしているのか、又は誰が特徴的な手の動きを実行しているのかを検出する。一実施形態では、清掃モードは、助手席乗員による操作では、車両の全速度範囲にわたって起動されるが、それに対して運転者による操作では、予め決められた速度閾値まででのみ起動される。本方法は、最大の可用性を提供するために、異なる操作者間での区別を可能にする。
【0013】
修正実施形態では、清掃モードは、カメラが清掃具を認識しないと、及び/又は指による操作が、予め決められた時間の間、認識されると、すぐに終了する。本発明による方法は、清掃モードの自動終了を提供する。
【0014】
本発明による装置は、清掃モードを起動する操作を撮影するカメラを備え、起動する操作は、ユーザの手によってディスプレイ表面上で動かされる清掃具を含む。本発明による装置は、誤操作を防止するために、ボタンを自動的に清掃モードに切り替えることを可能にする。
【0015】
更なる利点、特徴、及び詳細は、以下の説明から、場合により図面を参照して、少なくとも1つの実施例において個々に説明される。記載された特徴及び/又は図示された特徴は、それ自体で又は任意の有意義な組み合わせで、場合により、特許請求の範囲から独立してもまた、本発明の主題を形成し、特にそれに加えて、1つ以上の個別の出願の主題にもなり得る。同一の、類似の及び/又は機能的に同一の部分には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、カメラ3によって監視される車両内部1を示す。中央コンソールには、複数の操作フィールド7を有するタッチディスプレイ5として作製されたボタンが配置されており、より明瞭にするために、操作フィールド7のうちの1つだけが参照符号を付けられている。
【0018】
車両機能は、操作フィールド7に割り当てられており、ユーザの指で触れることによって車両機能を呼び出すことができる。車両機能は、例えば、音量調節、娯楽システム、ナビゲーションシステムの起動、トランク又はドアの開放、緊急通報などに関係する。
【0019】
指で触れることにより、ディスプレイ上に指紋が残る。指紋又はその他の汚れは、好適に湿らせた布などの清掃具11を用いてユーザが清掃する必要がある。
【0020】
ユーザの手又は指によって動かされる清掃具11の、矢印で明示された特徴的な動き13は、操作フィールド7に無秩序に接触して、意図せずに機能を起動させるであろう。この種の誤操作を回避するために、タッチディスプレイ5は、カメラ3により監視される。
【0021】
カメラは、手15及び/又はとりわけ清掃具11自体の特徴的な動きを認識するように訓練されている。カメラ、すなわち、カメラ及び関連する評価ユニットの訓練は、例えば、ニューラルネットワークを使用して、先行技術から公知の方法に従って行われる。特徴的な動き11及び/又は清掃具11が認識されるとすぐに、タッチディスプレイ5は、清掃モードに切り替えられる。清掃モードでは、操作フィールド7が非作動に切り替えられ、清掃具11との接触又は清掃具11と同時に動かされる手15の指との接触の防止がもたらされる。
【0022】
更なる変形形態では、清掃プロセスの認識確率は、タッチディスプレイ5のセンサシステムにより清掃具11の動きを追加的に評価することによって高められる。清掃具11の動きによって引き起こされ、タッチディスプレイのセンサによって決定された軌跡から、清掃プロセスに特徴的な動きを推論することができる。タッチディスプレイ5によって認識された動きは、カメラ3によって認識された動き及び物体との妥当性を検証することができる。
【0023】
図2には、
図1に示した装置で実行可能な方法の変形形態のフロー図が示されている。工程S100において、例えば、車両の発進時に、カメラ3によるタッチディスプレイ5の監視が起動される。工程S103において、ユーザの手によってタッチディスプレイ5上で動かされる、すなわち、上に載せられた清掃具11、及び/又は、特徴的な動き13で動かされる清掃具11を、カメラ3が認識する。工程S104において、清掃モードの条件が満たされているかどうか、すなわち、車両が予め決められた速度範囲で走行しているかどうか、及び/又は、例えば、運転者又は助手席乗員が現在の速度範囲で清掃することを許可されているかどうかについて検証される。条件が満たされない場合、工程S103にジャンプして戻る。同時に、現在の運転状態では画面の清掃を許可できないことがユーザに出力される。条件が満たされると、工程S105において、タッチディスプレイ5は、非作動に、すなわち、清掃モードに切り替えられる。清掃モードへの切り替えは、タッチディスプレイ5上でユーザに視覚的に表示される。工程S107において、清掃モードの条件がまだ満たされているかどうかが検証される。条件がまだ満たされている場合、工程S105にジャンプして戻り、条件がもはや満たされていない場合、工程S109において、タッチディスプレイ5は、意図された操作のために再び起動される。予め決められた時間の間、清掃具若しくは清掃プロセスに特徴的な動きで動かされる清掃具が認識されなかった場合、又はカメラ3がユーザの手15の指9による、すなわち、清掃具11なしでのタッチディスプレイ5の操作を認識した場合、清掃モードの条件は、もはや満たされていない。
【0024】
本発明は、好ましい実施例によって詳細に例示され、かつ説明されたが、本発明は、開示された例によって制限されず、その他の変形形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によって誘導することができる。したがって、多数の変形形態の可能性が存在することが明らかである。例示的に言及された実施形態は、ただ単に例を示しており、この例は、いかなる場合も、例えば、本発明の保護範囲、利用可能性、又は構成を制限するものとして解釈すべきではないことも同様に明らかである。より正確に言えば、上記の説明及び図の説明は、例示的な実施形態を完全に変換することができる立場に当業者を置き、当業者は、開示された本発明の概念の知見において、多様な変更を、例えば、例示的な実施形態で言及された個々の要素の機能又は配置を考慮して、特許請求の範囲及び、例えば、明細書における更なる説明などの特許請求の範囲の適法な同等物によって定義される保護範囲を逸脱することなく行うことができる。
【国際調査報告】