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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】仙腸関節を融合するための器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61B17/92
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520866
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020054299
(87)【国際公開番号】W WO2021067956
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,913
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/851,840
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522135710
【氏名又は名称】ペインテク、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラネブ、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ガーシュ、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ガーシュ、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ポルツァー、ドウェイン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL07
4C160LL24
4C160LL26
4C160LL42
(57)【要約】
仙腸関節(3)(「SI関節」)に融合インプラント(5)を設置するための装置。装置は、作業チャネル(10)、関節ロケータ(20)、研磨デバイス(30)、および挿入デバイス(60)を備える。関節ロケータ(20)は作業チャネル(10)に挿入され、Kワイヤ(4)によって誘導される、この結合体は、SI関節(3)内を前進する。関節ロケータ(20)を除去し、SI関節(3)の内側の仙骨(1)および腸骨(2)を研磨するために研磨デバイス(30)を使用する。次いで、挿入デバイス(60)は、インプラント(5)をSI関節(3)の研磨領域に前進させる。研磨領域はインプラント(5)全体で治癒し、それによって、仙骨(1)を腸骨(2)に融合し、SI関節(3)を融合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のシステムであって、前記器具のシステムが、
作業チャネル(13)によって接続された挿入端部および作業端部を有する作業チャネル(10)であって、前記作業チャネル(13)が、位置合わせ手段をさらに有する、作業チャネル(10)と、
挿入端部の貫通先端部と、近位端部のハンドルと、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第1のキーイング手段とを有する関節ロケータと、
遠位端部の研磨ヘッドと、近位端部のスライドハンマアセンブリとを有する研磨デバイスであって、前記研磨デバイスが、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第2のキーイング手段をさらに有する、研磨デバイスと、
関節融合インプラントを解放可能に受け入れるための一対のタインを含む挿入端部を有するインプラント挿入器であって、前記インプラント挿入器が、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第3のキーイング手段をさらに有する、インプラント挿入器と
を備える、器具のシステム。
【請求項2】
前記研磨デバイスの前記スライドハンマアセンブリが、シャフトに接続された底部と、ハンマスリーブを前記底部に解放可能に接続する解放手段とを有し、解放されたハンマスリーブが、前記シャフトに沿って摺動係合するように構成される、請求項1に記載の器具のシステム。
【請求項3】
前記作業チャネル(10)が、チャネルカラーをさらに有し、前記研磨デバイスが、研磨止め具をさらに有し、前記チャネルカラーが、前記研磨止め具に当接して、前記研磨ヘッドの過度の侵入を防止する、請求項1に記載の器具のシステム。
【請求項4】
前記作業チャネル(10)が、チャネルカラーをさらに有し、前記研磨デバイスが、研磨止め具をさらに有し、前記チャネルカラーが、前記研磨止め具に当接して、前記研磨ヘッドの過度の侵入を防止する、請求項2に記載の器具のシステム。
【請求項5】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項1に記載の器具のシステム。
【請求項6】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項2に記載の器具のシステム。
【請求項7】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項3に記載の器具のシステム。
【請求項8】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項1に記載の器具のシステム。
【請求項9】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項2に記載の器具のシステム。
【請求項10】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項4に記載の器具のシステム。
【請求項11】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項7に記載の器具のシステム。
【請求項12】
仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のシステムであって、前記器具のシステムが、
チャネル(13)によって接続された挿入端部および作業端部を有する作業チャネル(10)であって、前記作業チャネル(10)が、位置合わせ手段をさらに有する、作業チャネル(10)と、
貫通先端部と、ハンドルと、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第1のキーイング手段とを有する関節ロケータと、
遠位端部の研磨ヘッドと、近位端部のスライドハンマアセンブリとを有する研磨デバイスであって、前記研磨デバイスが、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第2のキーイング手段をさらに有し、前記スライドハンマアセンブリが、
前記研磨デバイス上のカラーであって、前記カラーが雌ねじおよび雄ねじを有する、カラーと、
前記研磨デバイス上の前記カラーの前記雌ねじと嵌合するためのねじ山端部を有し、摺動停止端部を有するスライドハンマシャフトと、
内部ダイヤフラムと、前記カラーの前記雄ねじと嵌合するように構成されるねじ山付きコネクタとを有する中空の円筒形穴を有するハンマスリーブであって、前記内部ダイヤフラムが、前記スライドハンマシャフトの摺動経路および前記摺動停止端部のブロック経路を可能にするサイズのダイヤフラム開口部を有する、ハンマスリーブとを有する、研磨デバイスと、
関節融合インプラントを解放可能に受け入れるための一対のタインを含む挿入端部を有するインプラント挿入器であって、前記インプラント挿入器が、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第3のキーイング手段をさらに有する、インプラント挿入器と
を備える、器具のシステム。
【請求項13】
前記作業チャネル(10)が、チャネルカラーをさらに有し、前記研磨デバイスが、研磨止め具をさらに有し、前記チャネルカラーが、前記研磨止め具に当接して、前記研磨ヘッドの過度の侵入を防止する、請求項12に記載の器具のシステム。
【請求項14】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項12に記載の器具のシステム。
【請求項15】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項13に記載の器具のシステム。
【請求項16】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項12に記載の器具のシステム。
【請求項17】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項13に記載の器具のシステム。
【請求項18】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項14に記載の器具のシステム。
【請求項19】
前記作業チャネル(10)の前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネル(10)に完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項15に記載の器具のシステム。
【請求項20】
前記関節ロケータが、前記貫通先端部と前記ハンドルとの間の細長い本体と、前記細長い本体を通って前記ハンドルから前記関節ロケータの前記貫通先端部まで延在するKワイヤチャネルとを有する、請求項19に記載の器具のシステム。
【請求項21】
仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のセットであって、前記器具のセットが、
挿入端部および作業端部を有する作業チャネルであって、前記作業チャネルが、位置合わせ手段をさらに有する、作業チャネルと、
挿入端部の貫通先端部と、近位端部のハンドルと、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第1のキーイング手段とを有する関節ロケータと、
遠位端部の研磨ヘッドを有する研磨デバイスであって、前記研磨デバイスが、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第2のキーイング手段をさらに有する、研磨デバイスと、
関節融合インプラントを解放可能に受け入れるための一対のタインを含む挿入端部を有するインプラント挿入器であって、前記インプラント挿入器が、前記位置合わせ手段との嵌合係合のための第3のキーイング手段をさらに有する、インプラント挿入器と
を備える仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のセット。
【請求項22】
前記研磨ヘッドが、切断縁部を有する開先端部をさらに備える、請求項21に記載の器具のセット。
【請求項23】
前記作業チャネルの前記挿入端部が、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータの前記貫通先端部が、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭をさらに有し、前記関節ロケータが前記作業チャネルに完全に挿入されたとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、請求項21に記載の器具のセット。
【請求項24】
仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のセットであって、前記器具のセットが、
第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭を含む挿入端部と、カラーおよび位置合わせ手段を有する作業端部とを有する作業チャネルと、
第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭を含む貫通先端部を有する挿入端部と、前記作業チャネル上の前記カラーに当接するための止め具を有するハンドルを有する近位端部と、関節ロケータが前記作業チャネルに挿入されるとき、前記位置合わせ手段と嵌合係合するための第1のキーイング手段とを有する、関節ロケータとを備え、
前記関節ロケータが前記作業チャネルに完全に挿入されるとき、前記第1の腸骨輪郭および前記第2の腸骨輪郭ならびに前記第1の仙骨輪郭および前記第2の仙骨輪郭が嵌合位置合わせで配置される、仙腸関節に融合インプラントを設置するための器具のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1)(努力傾注分野)
【0002】
本発明は、一般に、仙腸関節融合手術の分野に関し、より詳細には、仙腸関節を融合するための独特のシステムおよび器具に関する。
【0003】
(2)(関連技術の説明)
【0004】
仙腸関節(「SI関節」)は、人間の骨盤領域の仙骨と腸骨との間の境界面に位置する。SI関節は、仙骨と腸骨との間のわずかな動きのみを可能にする強力な靭帯を含む。仙骨は脊椎の底部につながっており、各腸骨は脚の上部と股関節領域につながっている。したがって、SI関節は人間の上半身と下半身とをつなぐものである。
【0005】
SI関節の機能障害は、腰痛の一般的な問題である。実際、腰痛の25%以上は、SI関節機能障害が原因である。正常に機能しているSI関節であっても、特定の種類の脊椎手術後に痛みを伴うことになる可能性がある。例えば、腰椎融合手術の75%以上で、SI関節痛が起きている。多くの場合、SI関節痛または機能障害は、SI関節を融合することによって対処され、融合するための手術がこれまでに数多く存在している。過去のSI関節融合手術には、骨アンカ、融合デバイス、マルチコンポーネントインプラントなどの複雑なインプラントデバイスの設置が含まれる。これらの手術には、ドリルおよびドリルビットなどの複雑なデバイス、およびマルチコンポーネント拡張器、ブレース、アンカ設置デバイスが含まれる。その結果、これらのデバイスを使用した融合手術は複雑で時間がかかり、最適な結果が得られないことが多い。
【0006】
本明細書の器具のセットは、ドリル、ドリルビット、または他の回転切断器具を使用せずに、SI関節に同種移植片インプラントを設置するための合理化されたシステムおよび手術を提供することによってこれらの問題を克服しようとしている。
【0007】
SI関節融合のもう1つの合併症は、骨融合の促進には、SI関節内の皮質骨の剥皮が含まれることが多いことである。この剥皮術は、ブローチ、ラスプ、または同様の研磨デバイスを使用して行われる。これらの研磨デバイスは、しばしば剥皮工程でSI関節の内側に引っ掛かることがある。研磨デバイスが引っ掛かると、研磨デバイスを除去するのに必要な引き抜き力に対抗するために、患者に逆圧を加えることができなくなる。患者に加えられるそのような逆圧により、患者への傷害または周囲の組織への損傷を引き起こす可能性がある。過去の解決策は、別のスラップハンマまたはスライドハンマを研磨デバイスに設置して、患者または他の物体に逆圧を加える必要なしに、引き抜き力を研磨デバイスに加えることができるようにすることである。しかし、過去のスライドハンマアセンブリは、操作が煩雑であり、研磨デバイスへの設置が難しく、操作が難しい。それらにより、SI関節融合手術を実行するために必要な器具も複雑になる。
【0008】
本明細書の器具のセットは、単一の工具で研磨デバイスに統合されたスライドハンマを提供することによって、これらの問題を克服しようとしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
好ましい実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび器具は、作業チャネル、関節ロケータ、研磨デバイス、およびインプラント挿入器を備える。作業チャネルは、挿入端部および作業端部、ならびにそれらの間に延在するチャネルを有する。作業チャネルは、システムの他の器具を挿入するため、およびインプラントをSI関節に送達するための作業通路を提供する。挿入端部は、SI関節の係合および挿入端部の周囲の組織の牽引を提供するための一対のアームを有する。挿入端部はさらに、第1の腸骨輪郭および第1の仙骨輪郭を有し、これらは両方とも、挿入アームと作業チャネルの本体との間の輪郭によって画定される。作業チャネルの内面は、位置合わせ手段に合わせられた嵌合器具上のリッジ、リブ、戻り止め、または他の突起を受け入れて係合するための溝、凹部、チャネル、くぼみなどを含む位置合わせ手段を有する。一実施形態では、作業チャネルは、当接して係合する関節ロケータ、研磨デバイス、またはインプラント挿入器の嵌合コンポーネントを受け入れるためのチャネルカラーをさらに有する。
【0010】
関節ロケータは挿入端部およびハンドルを有する。挿入端部は、SI関節の近くの軟組織を貫通するための貫通先端部を有する。貫通先端部の前縁部は、この貫通を促進するために、全体的または部分的に、ブレードまたはチゼルコンポーネントを有し得る。関節ロケータの挿入端部は、第2の腸骨輪郭および第2の仙骨輪郭を有する。関節ロケータの外面は、作業チャネルの位置合わせ手段と係合するためのキーイング手段を有し、キーイング手段は、位置合わせ手段と係合できる関節ロケータの外面上のリッジ、リブ、戻り止め、または他の突起を有する。
【0011】
研磨デバイスは、近位端部のハンマスリーブ、遠位端部の研磨ヘッド、および関節ロケータの関節ロケータキーイング手段と同様のキーイング手段を有する。好ましい実施形態では、研磨デバイスは、スラップハンマアセンブリ、またはスライドハンマアセンブリをさらに有する。一実施形態では、スライドハンマアセンブリは、シャフトに接続された底部、およびハンマスリーブを底部に解放可能に接続する解放手段とを有する。解放されたハンマスリーブは、シャフトに沿って摺動係合するように構成される。スライドハンマアセンブリを操作するには、ハンマスリーブを底部から係合解除し、スライドハンマアセンブリを開位置に配置する。この開位置により、ハンマスリーブをシャフトに沿って自由に摺動させることができる。ハンマスリーブの内側のダイヤフラムがシャフトの停止端部に係合するまでハンマスリーブが引っ張られ、それによって、スライドハンマの力を送達する衝撃を発生させる。
【0012】
インプラント挿入器は、ハンドルおよびインプラント挿入端部を有する。インプラント挿入端部は、インプラントをSI関節に挿入するプロセス中にインプラントを保持するための一対のタインを有する。インプラント挿入器は、関節ロケータのキーイング手段と同様の挿入器キーイング手段をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】典型的な人間の骨盤の背面図を示す。
【0014】
図2】SI関節に挿入するための同種移植片インプラントの実施形態の斜視図である。
【0015】
図3】同種移植片インプラントの一実施形態の代替図を示す。
【0016】
図4】関節融合装置における器具の実施形態を示す。
【0017】
図5】作業チャネルの実施形態および関節ロケータの実施形態を示す。
【0018】
図6】作業チャネルの一実施形態の拡大した挿入端部を示す。
【0019】
図7図6に示す実施形態の代替図を示す。
【0020】
図8図4の作業チャネルに完全に挿入された関節ロケータの実施形態の挿入端部の拡大図である。
【0021】
図9図8のデバイスの向きを反転して示す拡大図である。
【0022】
図10】作業チャネルの一実施形態の拡大した作業端部を示す。
【0023】
図11】作業チャネルに部分的に挿入された図4の関節ロケータを示す。
【0024】
図12】作業チャネルに完全に挿入された図4の関節ロケータを示す。
【0025】
図13図4の作業チャネルおよび研磨デバイスの実施形態を示す。
【0026】
図14】研磨ヘッドの実施形態の拡大図である。
【0027】
図15】研磨ヘッドの一実施形態の拡大図を示す。
【0028】
図16】分解されたスライドハンマの実施形態を有する図13の研磨デバイスを示す。
【0029】
図17】スライドハンマの接続インターフェースの実施形態の拡大図である。
【0030】
図18】スライドハンマアセンブリのダイヤフラムおよびねじ山付きコネクタの一実施形態の拡大図を示す。
【0031】
図19図4の作業チャネルに部分的に挿入された図13の研磨デバイスを示す。
【0032】
図20】スライドハンマを閉位置にして、図4の作業チャネルに完全に挿入された図13の研磨デバイスを示す。
【0033】
図21】スライドハンマを延在位置にして、図4の作業チャネルに完全に挿入された図13の研磨デバイスを示す。
【0034】
図22図4の作業チャネルおよび挿入デバイスの一実施形態を示す図である。
【0035】
図23図22の挿入デバイスの挿入端部の拡大図である。
【0036】
図24】挿入端部のタインにロードされた同種移植片インプラントの実施形態を有する図22の挿入デバイスを示す。
【0037】
図25図22の挿入デバイスおよび図4の作業チャネルに部分的に挿入された同種移植片インプラントを示す。
【0038】
図26図22の挿入デバイスおよび図4の作業チャネルに完全に挿入された同種移植片インプラントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面を参照して、仙腸関節(「SI関節」)を融合するためのシステムおよび器具を、次に、ベストモードおよび好ましい実施形態に関して説明する。本明細書に開示される実施形態は、本発明の例示のためのものであり、本発明を限定するものではない。通常の実務者であれば、過度の実験を行うことなく、以下の実施形態の多くの変形を作成することが可能であることを理解するであろう。
【0040】
本明細書に記載のシステムおよび器具は、人間の骨盤内でSI関節3を融合するために使用される。図1図3を参照すると、同種移植片インプラント5は、骨盤の仙骨1と腸骨2の間のSI関節3の軟組織に配置される。インプラント5は、SI関節全体の骨治癒のための基質を提供し、それによって、仙骨1と腸骨2とを融合させる。一実施形態では、インプラント5は、一般に、ノーズ6および少なくとも1対の対向する側面7を含み、それぞれが、そのような各側面7の長さに少なくとも部分的に沿って配置される溝8を有する。
【0041】
図4を参照すると、一実施形態では、システムは、作業チャネル10、関節ロケータ20、研磨デバイス30、およびインプラント挿入器60を備える。これらの器具のそれぞれは、その長さの中心線に沿った長手方向軸を有する。図5を参照すると、作業チャネル10は、システムの他の器具を挿入するための、およびインプラント5をSI関節3に送達するための作業通路を提供する管状の部材である。作業チャネル10は、以下に説明するように、SI関節3への他の器具の作業アクセスを提供するのに適したカニューレ、管腔、スリーブ、または別のデバイスである。作業チャネル10は、挿入端部11および作業端部12、ならびにそれらの間に延在するチャネル13を有する。チャネル13は、直線状または曲線状の断面を有する管または穴である。挿入端部11は、SI関節3の係合および挿入端部11の周囲の組織の牽引を提供するための一対のアーム14を有する。アーム14は、作業チャネル10の挿入端部11から突出したプローブ、プロング、または他の部材である。アーム14をSI関節3に挿入すると、以下に説明するように、作業チャネル10がSI関節3に対してその長手方向軸を中心にした回転に抵抗する、または回転を防止する。長手方向軸は、一般に、チャネル13の中心線に近接して、作業チャネル10の長さに沿って延在する。
【0042】
作業チャネル10の挿入端部11は、SI関節3内およびそれに対して、特に仙骨1および腸骨2に対して着座するように構成される。挿入端部11は、第1の腸骨輪郭15および第1の仙骨輪郭16を有し、これらは両方とも、挿入アーム14と作業チャネル10の本体との間の輪郭によって画定される。例えば、図6図9を参照すると、以下に説明するように、挿入端部11の片側は、第1の腸骨輪郭15を介して作業チャネル10に接続されたアーム14を有し、アーム14は、アーム14がSI関節3に挿入され、その中に着座したときに腸骨2に当接するように構成される。挿入端部11の他方の側は、第1の仙骨輪郭16を介して作業チャネル10に接続されたアーム14を有し、アーム14は、アーム14がSI関節3に挿入され、その中に着座したときに仙骨1に当接するように構成される。
【0043】
図5および図10を参照すると、作業チャネル10の内面は、器具を位置合わせするための手段を有し、位置合わせ手段17は、位置合わせ手段17に合わせられた嵌合器具上のリッジ、リブ、戻り止め、または他の突起を受け入れて係合するための溝、凹部、チャネル、くぼみなどを有する。一実施形態では、作業チャネル10は、以下に説明するように、当接して係合する関節ロケータ20、研磨デバイス30、またはインプラント挿入器60の嵌合コンポーネントを受け入れるためのチャネルカラー18をさらに有する。チャネルカラー18の実施形態では、カラーは、位置合わせ手段17をさらに有する。
【0044】
図5を参照すると、関節ロケータ20は、挿入端部21およびハンドル22、または作業端部を有する。挿入端部21は、SI関節3の近くの軟組織を貫通するための貫通先端部23を有する。この軟組織は、患者の皮膚の表面とSI関節3との間の、筋肉組織などの軟組織、ならびに軟骨および靭帯などのSI関節3の内側の軟組織である。貫通先端部23は、これらのタイプの軟組織を貫通するように構成される。例えば、貫通先端部23の一実施形態は、軟組織を切断するためのブレードまたはチゼルコンポーネントを有する。貫通先端部23の前縁部は、全体的または部分的に、そのようなブレードまたはチゼルコンポーネントを有し得る。
【0045】
再び図8および図9を参照すると、関節ロケータ20の挿入端部21は、第2の腸骨輪郭24および第2の仙骨輪郭25を有する。例えば、関節ロケータ20の挿入端部21の片側は、以下に説明するように、貫通先端部23がSI関節3に挿入されるときに、腸骨2に対して当接するように構成される第2の腸骨輪郭24を有する。関節ロケータ20の挿入端部21の他方の側は、貫通先端部23がSI関節3に挿入されるときに、仙骨1に対して当接するように構成される第2の仙骨輪郭25を有する。
【0046】
関節ロケータ20の外面は、作業チャネル10の位置合わせ手段17とキーイングするための手段を有し、キーイング手段27は、関節ロケータ20と作業チャネル10との間の相対回転に抵抗する、または相対回転を防止するために位置合わせ手段17と係合できる、関節ロケータ20の外面上のリッジ、リブ、戻り止め、または他の突起を有する。
【0047】
一実施形態では、図5図11、および図12を参照すると、関節ロケータ20は、Kワイヤ4を受け入れるためのチャネル26を有する。このチャネル26は、好ましくは関節ロケータ20の長手方向軸または中心線に沿って、パススルー方式でKワイヤ4を受け入れることができるカニューレ、管腔、または他の穴状の特徴部である。関節ロケータ20の一実施形態では、ハンドル22は、作業チャネル10のチャネルカラー18に当接するための止め具28をさらに有する。
【0048】
図13を参照すると、研磨デバイス30は、近位端部にハンマスリーブ31を有し、遠位端部に研磨ヘッド32を有する。研磨ヘッド32は、SI関節3内の皮質骨をすり減らす、研磨する、または他の方法で剥皮するために使用される、ラスプ、ブローチ、または他の研磨工具である。図14および図15に示す一実施形態では、研磨ヘッド32は、ヘッド32の対向する側にある研磨面33と、SI関節3に挿入するための開先端部34と、研磨面33の間の開側面35とを有する、略長方形の部材である。各研磨面33は、1つまたは複数のツース、バーブ、ブレード、リッジ、スロット、ブローチ、またはSI関節3の皮質骨を研磨できる他の部材もしくは特徴部を有する。開先端部34は、開先端部34の全部または一部の周りに切断縁部36を有する。
【0049】
再び図19を参照すると、研磨デバイス30は、上述の関節ロケータ20のキーイング手段27と同様のキーイング手段37をさらに有する。キーイング手段37は、各部材のそれぞれの長手方向軸の周りの研磨デバイス30と作業チャネル10との間の相対回転に抵抗する、または相対回転を防止する ために、作業チャネル10内の位置合わせ手段17と嵌合する。研磨デバイス30は、作業チャネル10のチャネルカラー18に当接するための研磨止め具38をさらに有する。一実施形態では、研磨デバイス30は、Kワイヤ4を受け入れるためのKワイヤチャネルをさらに有する。このKワイヤチャネルは、好ましくは研磨デバイス30の長手方向軸に沿って、パススルー方式でKワイヤ4を受け入れることができるカニューレ、管腔、または他の穴状の特徴部がある。
【0050】
図16図17、および図18を参照すると、研磨デバイス30は、スラップハンマアセンブリ、またはスライドハンマアセンブリ40をさらに有する。一実施形態では、スライドハンマアセンブリ40は、シャフト44に接続された底部51、およびハンマスリーブ31を底部51に解放可能に接続する解放手段とを有する。解放されたハンマスリーブ31は、シャフト44に沿って摺動係合するように構成される。解放手段は、ハンマスリーブ31を底部51に解放可能に接続するための任意の手段である。解放手段は、嵌合ねじ接続、クイックディスコネクトアタッチメント、押し下げ可能なタブ、ラッチ、クラスプ、クリップ、クランプ、または他の同等の接続構造であり得る。
【0051】
図16図17、および図18に示す一実施形態では、解放手段は、嵌合ねじ接続である。本実施形態は、研磨デバイス30上のカラー41、スライドハンマシャフト44、およびハンマスリーブ31を含む。カラー41は、雌ねじ42および雄ねじ43を有する。シャフト44は、ねじ山端部45および停止端部46を有する。ハンマスリーブ31は、ねじ山付きコネクタ48、およびダイヤフラム開口部49を有する内部ダイヤフラム47を有する中空の円筒形穴を有する(図18を参照)。ダイヤフラム開口部49は、停止端部46を除くシャフト44のすべての部分の摺動経路を可能にするサイズである。停止端部46は、ダイヤフラム開口部49を通して嵌合させるには大きすぎるサイズである。
【0052】
本実施形態のスライドハンマアセンブリ40を組み立てるために、シャフト44のねじ山端部45は、ハンマスリーブ31の内側のダイヤフラム47を通してハンマスリーブ31の穴に挿入され、ねじ山端部45は、カラー41の雌ねじ42にねじ込まれ、嵌合される。次いで、ハンマスリーブ31のねじ山付きコネクタ48は、安全な接続を促進するために、カラー41の雄ねじ43に嵌合される。停止端部46は、ねじ山付きコネクタ48の位置とは反対のダイヤフラム47の側でハンマスリーブ31の穴の内側に配置される。図20に示す本構成では、スライドハンマアセンブリ40はその閉位置にある。
【0053】
スライドハンマアセンブリ40を操作するために、ねじ山付きコネクタ48をカラー41の雄ねじ43から係合解除し、スライドハンマアセンブリ40を図21に示すその開位置に配置する。この開位置により、ハンマスリーブ31をシャフト44に沿って自由に摺動させることができる。ハンマスリーブ31の内側のダイヤフラム47がシャフト44の停止端部46に係合するまでハンマスリーブ31が引っ張られ、それによって、スライドハンマの力を送達する衝撃を発生させる。
【0054】
図22図26を参照すると、インプラント挿入器60は、ハンドル61およびインプラント挿入端部62を有する。インプラント挿入端部62は、インプラント5をSI関節3に挿入するプロセス中にインプラント5を保持するための一対のタイン63を有する。各タイン63は、ショルダ67で終端するタインシャフト66によって支持されている。タインシャフト66は、インプラント5がタイン63の間に除去可能に保持され、ショルダ67がインプラント5に当接するように柔軟性を提供する(図24を参照)。例えば、一実施形態では、対向する溝8の間のインプラント5の幅は、インプラント5がインプラント挿入端部62に着座したとき、それぞれのタイン63が溝8によってわずかに押し広げられるように、それぞれのタイン63の間の空間よりもわずかに大きい。これにより、タイン63と溝8との間にわずかな量の摩擦が生じ、それによって、インプラント5をインプラント挿入端部62に解放可能に保持する。
【0055】
インプラント挿入器60は、関節ロケータ20のキーイング手段27と同様の挿入器キーイング手段65をさらに有する。挿入器キーイング手段65は、各部材の長手方向軸の周りのインプラント挿入器60と作業チャネル10との間の相対回転に抵抗する、または相対回転を防止する ために、作業チャネル10内の位置合わせ手段17と嵌合する。一実施形態では、インプラント挿入器60は、Kワイヤ4を受け入れるためのチャネル64をさらに有する(図23を参照)。このチャネル64は、パススルー方式でKワイヤ4を受け入れることができるカニューレ、管腔、または他の穴状の特徴部を有する。インプラント挿入器60の一実施形態では、ハンドル61は、作業チャネル10のチャネルカラー18に当接するための挿入止め具68をさらに有する。
【0056】
インプラント5を設置する方法の一実施形態では、SI関節3にインプラント5を設置する手術は、インプラント5が設置される位置で、SI関節3にKワイヤ4を挿入することによって開始される。Kワイヤ4は、好ましくは、後方アプローチから挿入される。インプラント5は、SI関節3に突出した上後腸骨棘の部分の下に設置することが好ましいが、必須ではない。1つまたは複数の代替位置もSI関節3の融合に適している。Kワイヤ4は、インプラント5が挿入される各位置で、SI関節3に挿入される。
【0057】
次いで、関節ロケータ20が作業チャネル10に完全に挿入される(図12を参照)。作業チャネル10の内側に関節ロケータ20を嵌合する際に、関節ロケータ20のキーイング手段27は、作業チャネル10の位置合わせ手段17と係合するように配向される。この係合により、作業チャネルの第1の腸骨輪郭15を、関節ロケータ20の第2の腸骨輪郭24と嵌合位置合わせで配置し、作業チャネル10の第1の仙骨輪郭16を、関節ロケータ20の第2の仙骨輪郭25と嵌合位置合わせで配置することが可能になる(図8および図9を参照)。それぞれの第1および第2の腸骨輪郭15、24は、挿入端部11がSI関節3の内側に配置されたときに腸骨2に対して配置するように構成され、それぞれの第1および第2の仙骨輪郭16、25は、挿入端部11がSI関節3の内側に配置されたときに仙骨1に対して対応して配置するように構成される。
【0058】
Kワイヤの自由端部は、結合された関節ロケータ20/作業チャネル10のKワイヤチャネル26に挿入され、この結合デバイスは、Kワイヤ4によって誘導されて、SI関節3に向かって前進する。関節ロケータ20/作業チャネル10の結合体が前進するにつれて、貫通先端部23は、SI関節3の上側および内側の軟組織を切断する。必要に応じて、結合された関節ロケータ20/作業チャネル10は、マレットからのハンドル22に対する打撃によって前進させる。マレットからの衝撃力は、ハンドル22を通して止め具28に伝達され、そこで力がチャネルカラー18および作業チャネル10に与えられる。したがって、マレットからの衝撃力は、作業チャネル挿入端部11と関節ロケータ挿入端部21との間での平衡が保たれている。
【0059】
結合された関節ロケータ20/作業チャネル10は、それぞれの第1および第2の腸骨輪郭15、24が腸骨2に当接し、それぞれの第1および第2の仙骨輪郭16、25が仙骨1に当接するまで前進する。この位置では、作業チャネル10のアーム14は、作業チャネル10、およびしたがって位置合わせ手段17の適切な位置合わせを保持するためにSI関節3の内側に配置され、それによって、手術 の後半で、研磨デバイス30とインプラント挿入器60との適切な位置合わせを保証する。いくつかの実施形態では、SI関節3へのアーム14の挿入は、関節を牽引し、したがって仙骨1と腸骨2を分離する。この牽引は、他の器具を使用する前に、SI関節3の間隔の均一な幅を確立する。したがって、本明細書に記載の器具は、仙骨1または腸骨2のサイズまたは規模に関係なく、アーム14がSI関節3の幅を一定の距離に設定するので、任意のサイズの患者で機能する。
【0060】
設置方法の代替の実施形態では、Kワイヤ4は手術から省略されている。代わりに、結合された関節ロケータ20/作業チャネル10は、患者の切開を通して前進し、この前進は、挿入端部11、21が上述のようにSI関節3に挿入されるまで、上述のように継続される。
【0061】
結合された関節ロケータ20/作業チャネル10デバイスがSI関節3に適切に着座すると、関節ロケータ20は作業チャネル10から除去される。周囲の軟組織は、作業チャネル10およびそれぞれのアーム14によって牽引または拡張されたままであり、それによって、SI関節3領域への直接アクセスが可能になる。次いで、研磨デバイス30が作業チャネル10に挿入され、キーイング手段37が位置合わせ手段17と係合して、SI関節3に対する研磨ヘッド32の適切な位置合わせを促進する。研磨ヘッド32は、研磨ヘッド32がSI関節3と接触するまで、作業チャネル10を通って前進する。研磨ヘッド32は(必要に応じてマレットを使用して)SI関節3に押し込まれ、切断縁部36は靭帯または軟骨などの軟組織を切断する。研磨止め具38は、作業チャネル10のチャネルカラー18に当接して、SI関節3への研磨ヘッド32の過度の侵入を防ぐ。
【0062】
次いで、研磨デバイス30は、研磨面33がSI関節3の内側の仙骨1および腸骨2のそれぞれの表面を研磨または剥皮するように、作業チャネル10の内外で動作する。この場合も、研磨止め具38は、チャネルカラー18に当接して、研磨ヘッド32の過度の侵入を防止する。このプロセス中に、研磨ヘッド32がSI関節3内に引っ掛かり、除去することが困難になり得る。これらの場合、スライドハンマアセンブリ40が有効であり、したがって、上述のように、スライドハンマアセンブリ40の衝撃力によって研磨ヘッド32を除去し得る。研磨ヘッド32がSI関節3に引っ掛かると、SI関節3から研磨ヘッド32を除去するのに必要な引き抜き力に対抗するために患者に逆圧を加えることができないため、スライドハンマアセンブリ40の動作は、以前のシステムに比べて多くの利点を提供する。スライドハンマアセンブリ40は、患者に逆圧を加えることなく、安全な方法で、引っ掛かった研磨ヘッド32を除去することを可能にする。
【0063】
研磨ヘッド32がSI関節3の内外で動作するとき、研磨面33は、SI関節3の内側の仙骨1および腸骨2の皮質骨を研磨する。皮質骨は出血が始まるまで研磨され、それによって、患者の皮質骨の治癒過程を促進する。この研磨度および対応する治癒は、SI関節3の融合を促進する。
【0064】
SI関節3が適切に研磨されると、研磨デバイス30が作業チャネル10から除去される。手術のこの時点で、Kワイヤ4は、作業チャネル10を通るインプラント5の適切な前進およびSI関節5へのインプラント5の適切な設置を可能にするために、作業チャネル10から除去され得る。あるいは、Kワイヤ4は、上述のように、作業チャネル10がSI関節3に適切に着座した後、いつでも作業チャネル10から除去することができる。
【0065】
同種移植片インプラント5は、各タイン63がインプラント5の側面7の嵌合溝8に着座し、ショルダ67がインプラント5に当接するように、インプラント挿入器60のタイン63に配置される。次いで、インプラント挿入器60は、キーイング手段65が位置合わせ手段17と係合して、インプラント挿入器60、したがってインプラント5の適切な配向を保証するように、作業チャネル10に挿入される。インプラント挿入器60は、作業チャネル10を通して、インプラント5をSI関節3の研磨領域に送達するために使用される。必要に応じて、インプラント挿入器60をマレットで打撃して、インプラント5をSI関節3の研磨領域に押し込み、ショルダ67が衝撃力をインプラント5に伝達する。これらの場合、挿入止め具68は、作業チャネル10のチャネルカラー18に当接して、SI関節3へのインプラント5の過度の侵入を防止する。
【0066】
インプラント5がSI関節3に完全に挿入されると、インプラント挿入器60は、SI関節3の研磨領域にインプラント5を設置したまま、作業チャネル10から除去される。ほとんどの場合、インプラント5とSI関節3の内側との間の摩擦力は、それぞれのタイン63と溝8との間の摩擦力よりも大きい。これらの場合、インプラント挿入器60の除去は、タイン63と溝8との間の摩擦力よりも大きい除去力をインプラント挿入器60に加えることによって達成される。他の場合、インプラント5とSI関節3の内側との間の摩擦力は、それぞれのタイン63と溝8との間の摩擦力よりも小さい。これらの場合、インプラント挿入器60の除去は、Kワイヤ4または同様のデバイスをKワイヤチャネル64に挿入し、Kワイヤの遠位端部がタイン63の間でインプラント5に当接するまでKワイヤ4を前進させることによって達成される。Kワイヤ4は、除去力がインプラント挿入器60に加えられるときに、SI関節3の内側の所定の位置にインプラント5を保持するために使用される。それによって、Kワイヤ4がインプラント5をその設置位置に保持するときに、タイン63が溝8から除去される。タイン63が溝8から引き抜かれると、インプラント挿入器60はインプラント5から係合解除され、インプラント挿入器60およびKワイヤ4は作業チャネル10から除去される。次いで、作業チャネル10が手術部位から除去され、手術部位は滅菌され、治癒のために閉じられる。
【0067】
研磨された皮質骨が治癒すると、骨は同種移植片インプラント5と融合し、最終的に仙骨1および腸骨2をインプラント5の位置で一緒に成長させ、それによって、SI関節3を融合させる。
【0068】
前述の実施形態のいずれかにおいて、1つまたは複数の器具は、医療グレードのプラスチック、特定の金属、または他の使い捨て材料などの使い捨て材料を有し得る。
【0069】
前述の実施形態は、単にSI関節融合器具の代表的なものであり、本発明を限定することを意味するものではない。例えば、当業者ならば、SI関節融合器具の性質を実質的に変更しない、本明細書に記載の研磨デバイス、スライドハンマデバイス、および他のデバイスのいくつかの実施形態および構成が存在することを容易に理解するであろう。別の例として、作業チャネル10がキーイング手段を有し、関節ロケータ20、ラスプデバイス30、およびインプラント挿入器60がそれぞれ、嵌合位置合わせ手段を有するように、位置合わせ手段17と、それぞれのキーイング手段27、37、67を反転させることができる。したがって、上記の特定の要素および構成要素の等価物および置換は、本明細書に記載の本発明の一部であり、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されていることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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【国際調査報告】