(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】エネルギー生成システムを動作させるための方法、および前記方法を含むエネルギー生成システム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/12 20060101AFI20221130BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20221130BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H02H7/12 G
H02J1/00 304H
H02M3/155 C
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520970
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020075742
(87)【国際公開番号】W WO2021069181
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019127198.3
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメリング,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ファルク,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
5G053
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G053AA02
5G053CA01
5G053EB09
5G053EC03
5G165BB08
5G165DA01
5G165EA01
5G165JA09
5G165LA02
5H730AA17
5H730AA20
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730BB84
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD16
5H730EE13
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730XX02
5H730XX14
5H730XX23
5H730XX33
5H730XX35
5H730XX41
5H730XX42
(57)【要約】
本出願は、互いに並列に接続され、それぞれの場合にDC/DCコンバータ(4.1~4.n)を介して共有DC負荷(20)に接続された複数のDCサブジェネレータ(5.1~5.n)を含むエネルギー生成システムに関する。DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の各々は、DC電源(2.1~2.n)に直列に接続された少なくとも1つのヒューズ(9.1~9.n)を介して、対応するDCサブジェネレータ(5.1~5.n)に割り当てられている特定のDC/DCコンバータ(4.1~4.n)に接続されたDC電源(2.1~2.n)を含む。本方法は、DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の障害(30)、特に短絡障害を監視するステップを含み、DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の監視が、障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)を示している場合、障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)に割り当てられていないDC/DCコンバータ(4.2~4.n)は、デフォルト値に対応する共通の合計電流I
Restで動作する。本出願は、本方法を実行するように設計および構成されたエネルギー生成システム(1)にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続され、それぞれがDC/DCコンバータ(4.1~4.n)を介して共有DC負荷(20)に接続された複数のDCサブジェネレータ(5.1~5.n)を含むエネルギー生成システム(EEA;1)を動作させるための方法において、前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の各々は、DC電源(2.1~2.n)に直列に接続された少なくとも1つのヒューズ(9.1~9.n)を介して、それぞれの前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)に割り当てられている前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)に接続されたDC電源(2.1~2.n)を含み、
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の障害(30)、特に短絡障害を監視するステップを含み、
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の監視が、障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)を示している場合、前記障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)に割り当てられていないDC/DCコンバータ(4.2~4.n)は、デフォルト値に対応する共通の合計電流I
Restで動作される、方法。
【請求項2】
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の監視において、前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)を介して流れる電流(I
1~I
n)がそれぞれの場合に検出され、前記割り当てられたDC/DCコンバータ(4.1)から前記DC負荷(20)の方向に流れる前記電流(I
1)が電流閾値I
THを下回った場合、特に前記割り当てられたDC/DCコンバータ(4.1)から前記DC負荷(20)の方向に流れる前記電流(I
1)が、その電流方向を変更した場合、障害のあるDC電源(2.1)が示される、および/または、
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の監視において、前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の電圧(U
1~U
n)がそれぞれの場合に検出され、前記DCサブジェネレータ(5.1)の前記検出された電圧U
1が電圧閾値U
THを下回った場合に、障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)が示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)の入力電流または出力電流が、前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)を介して流れる前記検出された電流(I
1~I
n)として検出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記合計電流I
Restから形成される時間積分が、前記障害のあるDC電源(2.1)に割り当てられた前記DC/DCコンバータ(4.1)の過電流に敏感なコンポーネントのi2t値を下回るように前記デフォルト値が選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記合計電流I
Restから形成される時間積分が、前記ヒューズ(9.1)を溶断するために、可能であるならば、前記障害のあるDC電源(2.1)に割り当てられているDC/DCコンバータ(4.1)に直列に接続された前記ヒューズ(9.1)のi2t値を超えるようにデフォルト値が選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択されたデフォルト値での前記ヒューズ(9.1)の溶断が起こらない場合、前記障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)に割り当てられていない前記DC/DCコンバータ(4.2~4.n)は、前記合計電流I
Restを0Aの電流値に設定するために非アクティブ化され、任意選択で、前記障害のあるDCサブジェネレータ(5.1)が、DC分離デバイス(13.1)を介して前記共有DC負荷(20)から分離される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の監視中に示された障害(30)、任意選択で前記ヒューズ(9.1)の溶断の成功または失敗もまた、前記EEA(1)によって、特に前記EEA(1)の通信ユニットによって通知される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
互いに並列に接続され、それぞれDC/DCコンバータ(4.1~4.n)を介して共有DC負荷(20)に接続された複数のDCサブジェネレータ(5.1~5.n)を含むエネルギー生成システム(EEA;1)であって、前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)の各々は、DC電源(2.1~2.n)に直列に接続された少なくとも1つのヒューズ(9.1~9.n)を介して、それぞれの前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)に割り当てられている前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)に接続されたDC電源(2.1~2.n)を含む、エネルギー生成システム(EEA;1)において、
前記エネルギー生成システム(1)は、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計および構成された制御ユニット(15)をさらに含むことを特徴とする、エネルギー生成システム(EEA;1)。
【請求項9】
前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)はそれぞれ、それぞれの前記DCサブジェネレータ(5.1~5.n)に割り当てられている前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)へ少なくとも1つのヒューズを介して互いに並列に接続されている、複数のDC電源(2.1~2.n)を含む、請求項8に記載のエネルギー生成システム(1)。
【請求項10】
前記DC電源(2.1~2.n)は、光起電(PV)ストリング(3.1~3.n)および/または電池を含む、請求項8または9に記載のエネルギー生成システム(1)。
【請求項11】
前記共有DC負荷(20)は電解槽(21)を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のエネルギー生成システム(1)。
【請求項12】
前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)は、降圧コンバータを含む、および/または、前記DC/DCコンバータ(4.1~4.n)は、降圧機能用に設計および構成されている、請求項8~11のいずれか一項に記載のエネルギー生成システム(1)。
【請求項13】
前記障害のあるDC電源(2.1)に割り当てられた前記DC/DCコンバータ(4.1)の前記過電流に敏感なコンポーネントは、前記DC/DCコンバータ(4.1)の半導体スイッチ(6.1)と並列に接続されているか、または前記DC/DCコンバータ(4.1)の半導体スイッチ(6.1)、特に前記半導体スイッチ(6.1)のボディダイオードを含む、別個のフリーホイールダイオードを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のエネルギー生成システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー生成システム(EEA)を動作させるための方法に関する。本発明は、特に、EEAの障害が検出され、EEAのコンポーネントに対するその損傷効果が回避されるが、少なくとも低減される場合のEEAの動作に関する。EEAは、特に、互いに並列に接続され、それぞれの場合においてDC/DCコンバータを介して共有DC負荷に接続されて、それを供給する、複数のDCサブジェネレータを備えた再生可能EEAとすることができる。障害の場合は、特に1つ、場合によっては複数のDCサブジェネレータに障害、例えば短絡障害がある場合が存在し得る。本発明はさらに、そのような方法のために設計および構成されたEEAに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる電力からガスへの方法では、電気エネルギーは電解槽によってガス状エネルギーキャリア、特に水素に変換される。電気エネルギーは、有利には、再生可能な電気エネルギーとすることができる。このような方法では、電解槽と電解槽に供給する再生可能EEAは、AC電圧で動作する公共電力網(EVN)にまったく接続されていないか、一時的にのみ接続されているアイランドネットワークの形態で相互に接続できる。
【0003】
再生可能エネルギー源の多くは、多くの場合、本質的にDC電源として設計されている。電解槽はDC消費者として動作するため、アイランドネットワークもDCネットワークとして設計されている場合は、変換損失を回避するという点で有利である。例えば、アイランドネットワーク内のEEAは、光起電(PV)サブジェネレータとして設計された複数のDCサブジェネレータを有することができ、これらのサブジェネレータは、それぞれの場合において、DC/DCコンバータを介して、電解槽または別のDC負荷の入力に互いに並列に接続される。DCサブジェネレータの電圧は、DC/DCコンバータを介して電解槽の入力の電圧から切り離すことができる。したがって、各DCサブジェネレータは、それぞれの最大電力点(MPP)で動作できるが、それでも、すべてのDC/DCコンバータで同じ出力電圧を電解槽に供給することができる。電解槽の動作点、特にその消費電力は、DC/DCコンバータの出力電圧を介して設定できる。具体的には、より高いレベルの制御ユニットは、一方ではアイランドネットワークで生成された総電力と消費された総電力との間で常に平衡が存在し、他方ではPVサブジェネレータの再生可能エネルギーの可能な最大電力はいつでも得ることができるように、DC/DCコンバータの出力電圧を制御できる。
【0004】
ここで、DCサブジェネレータとして動作するPVサブジェネレータの1つまたは場合によっては複数に障害が発生した場合、例えば、短絡障害または二重絶縁障害が発生した場合、障害のない動作中のDCサブジェネレータは1つの障害のあるDCサブジェネレータ(または、該当する場合は、複数の障害のあるDCサブジェネレータ)にそれらの電力を供給する。通常、DCサブジェネレータは、1つまたは複数のDC電源を含む。DCサブジェネレータのDC電源は、EEAのサイズに応じて、1つまたは複数のヒューズを介してDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータに接続される。しかしながら、EEA内で疑わしい障害が発生した場合、EEAの障害のないDC電源から障害のあるDC電源へと結果として生じた電流は、障害のあるDC電源が割り当てられたDC/DCコンバータに中継して接続されているヒューズの少なくとも1つを溶断するのに十分に高くない場合がある。したがって、障害が発生した場合、障害のあるDC電源の下流のヒューズを溶断することにより、障害のあるDC電源を障害なく動作している残りのDC電源から分離するための追加の対策なしでは、生成された障害のある電流が十分でないというリスクがある。障害のある電流を表す結果として生じる電流は確実に遮断されず、電流強度と障害のある電流の持続時間によっては、EEAのさらなるコンポーネント、特に関連するDC/DCコンバータを損傷または破壊する可能性がある。
【0005】
特許文献1は、少なくとも1つの電源から複数の消費点を有する最終的な電力ネットワークに電流を補足的に供給するための方法と装置を開示している。最終的な電源ネットワークは、より高いレベルの電源に接続され、消費点は、少なくとも1つの過電流ヒューズを介してより高いレベルの電源から保護される。制御ユニットは、より高いレベルの電源から流れる電流と、電源から最終的な電力ネットワークに流れる電流を検出する。最大電流を超えた場合に電流源から流れる電流を減らすために、電流から形成される瞬間的な合計値が所定の最大電流と比較される。この方法により、最終的な電力ネットワークの過負荷状態を防ぐことができる。
【0006】
特許文献2は、AC切断手段を介して電力網に接続されているインバータと、それぞれが少なくとも1つのPVストリングを有し、DCラインを介してインバータのDC接続エリアへ接続されている、少なくとも1つのPVサブジェネレータとを備えたPVシステムを開示している。ジェネレータに近いDCセパレータ、少なくとも1つのPVストリングを短絡するための給電中のエネルギーフロー方向の下流のDC短絡スイッチ、およびエネルギーフロー方向のDC短絡スイッチの下流の逆電流保護がPVサブジェネレータに割り当てられている。さらに、AC切断手段の上流には、エネルギーフロー方向にAC短絡スイッチが配置されている。
【0007】
アーク検出装置を備えた光起電(PV)システムは、特許文献3から知られている。PVシステムでは、PVストリングは、第1の電力線、DC-DCコンバータ、および別の電力線を介して電力変換器に接続される。アーク検出装置は、DC-DCコンバータのバイパス電流経路を形成するコンデンサと、DC-DCコンバータと電力コンバータとの間の別の電力線の1つに配置された電流センサを含む。
【0008】
特許文献4は、最大電力点追従制御(MPPTコントローラ)を操作する方法を説明しており、これは、入力端子と出力端子の間で電力を伝送するように設計されており、次のステップを含む。
【0009】
MPPTコントローラの第1の動作モードでは、固定デューティサイクルでMPPTコントローラの第1のスイッチングデバイスを動作させる。
【0010】
MPPTコントローラの第2の動作モードでは、入力端子に電気的に接続されたPVデバイスから得られる電力を最大化するために、MPPTコントローラの調整スイッチングデバイスに導電状態と非導電状態を繰り返し切り替える。
【0011】
特許文献5は、電気的に直列に接続され、第1の端部および第2の端部を有する複数のPVモジュールを有するPVストリングを開示している。第1のストリング保護ユニットを備えた電力線は、第1の端部に電気的に接続され、第2のストリング保護ユニットを備えた戻り線は、第2の端部に接続されている。ストリング保護ユニットの1つは、過電流保護、アーク障害保護、逆電流保護、および地絡保護から選択された複数の保護デバイスを含む。もう一方のストリング保護ユニットは、過電流保護、アーク障害保護、逆電流保護、地絡保護、および電力線またはリターンラインと直列のリモート制御スイッチから選択される複数の保護デバイスを含む。
【0012】
複数のPVモジュールとそれらに割り当てられたDC/DCコンバータを備えたPVシステムは、出力側の中央インバータに互いに並列に接続されており、特許文献6から知られている。インバータは、DC/DCコンバータによって生成された中間回路のDCリンク電圧を正弦波AC電圧に変換する。PVモジュールは、個々のDC/DCコンバータによって電気的に切り離されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015007443A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013111869A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/210022号明細書
【特許文献4】独国特許第112012007202T5号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2016181781A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10136147A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、複数のDCサブジェネレータが互いに並列に接続されたEEAを動作させる方法を特定することであり、これにより、障害が発生した場合にEEAへの損傷が確実に回避される。目的は、具体的には、DCサブジェネレータの障害のあるDC電源を、可能であればヒューズを溶断することによって、障害のない方法で動作する残りのDC電源から分離することである。しかしながら、結果として生じる障害のある電流は、ヒューズを溶断できない場合でも、過電流に敏感なEEAのコンポーネントへの損傷が排除されるように制御する必要がある。さらに、本発明の目的は、方法を実行するのに適したEEAを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
冒頭で述べたタイプの方法では、目的は、独立請求項1の構成を備えた本発明に従って達成される。この方法の有利な実施形態は、請求項2~7に記載されている。この方法を実行するのに適したエネルギー生成システムを特定するという目的は、独立請求項8の構成を備えた本発明に従って達成される。エネルギー生成システムの有利な実施形態は、請求項9~13に示されている。
【0016】
本発明に係る方法は、互いに並列に接続され、それぞれの場合にDC/DCコンバータを介して共有DC負荷に接続された複数のDCサブジェネレータを有するエネルギー生成システム(EEA)の動作を目的としている。DCサブジェネレータの各々は、DC電源に直列に接続された少なくとも1つのヒューズを介して、それぞれのDCサブジェネレータに割り当てられているDC/DCコンバータに接続された少なくとも1つのDC電源を有する。本方法は、
DCサブジェネレータの各々の障害、特に短絡障害を監視するステップを含み、
DCサブジェネレータの監視が、障害のあるDCサブジェネレータを示している場合、
障害のあるDCサブジェネレータではなく、障害のないDCサブジェネレータに割り当てられているDC/DCコンバータは、デフォルト値に対応する共通の合計電流IRestで動作する。
【0017】
DCサブジェネレータの各々は、対応するDC/DCコンバータに互いに並列に接続された1つのDC電源または複数のDC電源を有し得る。ヒューズは、それぞれの場合において、EEAの通常の動作中の電力の流れの方向に関連して、DC電源とDC/DCコンバータとの間に配置され得る。ヒューズは、1つのヒューズだけでなく、通常はDC電源とDC/DCコンバータとの間に直列接続で配置される複数のヒューズとすることができる。DC電源の1つの極だけが、1つのヒューズまたは直列に接続された複数のヒューズを介して対応するDC/DCコンバータに接続され得る。しかしながら、DC電源の2つの極の各々が、1つのヒューズまたは直列に接続された複数のヒューズを介して割り当てられたDC/DCコンバータに接続されることもまた、本発明の範囲内である。したがって、DC/DCコンバータの各々は、入力側の1つのDC電源にのみ接続され得る。あるいは、しかしながら、DC/DCコンバータのうちの1つ、いくつか、またはさらには各々が、互いに並列に接続された複数のDC電源への入力側で接続されることも可能である。特に、DC/DCコンバータの少なくとも1つが入力側で複数のDC電源に接続されている場合、DC電源の電力流は、複数のステージにおける対応するDCサブジェネレータ内においてカスケード方式で組み合わせることができる。各々の個々のステージは、個別のヒューズを有することができる。例えば、いわゆるメインストリングヒューズは、それぞれの場合に複数のいわゆるストリングヒューズを含むジェネレータボックスを保護することができる。このようにして、異なるタイプの複数のヒューズを、DC電源とDC/DCコンバータとの間に直列に接続することができる。ここで、DC電源からの距離が長くなると共に、そしてDC/DCコンバータまでの距離が短くなると共に、ヒューズの溶断閾値は、高くすることができる。
【0018】
障害についてDCサブジェネレータの各々を監視することは、DCサブジェネ3レータの電気的パラメータ、特に電流および/または電圧が時間的に連続した方法で検出されるという点で行うことができる。この場合、DCサブジェネレータ内のDC電源の各々を個別に監視する必要はない。特に、互いに並列に接続された複数のDC電源が1つのDCサブジェネレータとして共有DC/DCコンバータに接続されている場合、DC電源をグループにまとめる、または換言すれば、対応するDCサブジェネレータを監視するだけで十分である。監視中に、例えば、短絡障害の影響を受けている障害のあるDCサブジェネレータに戻り電流が流れているかどうかを検出できる。監視によって、障害のあるDC電源が直接生成されることはないが、障害のあるDC電源を含むDCサブジェネレータが生成される。
【0019】
本発明は、障害の場合、特にDC電源のうちの1つの短絡障害の場合に、障害のあるDC電源の電圧、ならびに障害のあるDC電源を含むDCサブジェネレータの電圧は、降下して、障害のないDC電源から戻り電流を発生させるという効果を利用している。降下した電圧は、入力側で、障害のあるDC電源に割り当てられたDC-DCコンバータに印加され、したがって、このDC-DCコンバータは、入力側で障害のあるDC電源または障害のあるDCサブジェネレータに接続されていない残りのDC/DCコンバータの出力側の電圧に対応する出力側の電圧をもはや提供できなくなる。これにより、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていない、つまり、入力側で障害のあるDCサブジェネレータに接続されていないそれらのDC/DCコンバータの結果として生じる合計電流IRestを、障害のあるDCサブジェネレータ、特に、障害のあるDCサブジェネレータの障害のあるDC電源にもたらす。合計電流IRestは、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられているDC/DCコンバータのフリーホイールダイオードを介して、流れて戻る、つまり、EEAの通常の動作中の電流方向の逆に流れる。
【0020】
DC電源の障害はまた、EEAに影響を与える可能性もあり、障害のあるDC電源に割り当てられているDC/DCコンバータの出力で電圧降下が発生するだけではない。代わりに、他のすべてのDC/DCコンバータの出力に電圧降下が多かれ少なかれ強く存在する可能性もある。この場合、EEAのDCバス全体で電圧が小さな電圧値に降下する。しかしながら、この場合、電圧降下は通常、障害のあるDC電源に割り当てられていない残りのDC/DCコンバータでの電圧降下よりも、障害のあるDC電源に割り当てられているDC/DCコンバータでより顕著になるので、障害のないDCサブジェネレータから障害のあるDCサブジェネレータへのすでに説明した合計電流IRestもここで発生する。
【0021】
本発明によれば、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータのみが、それらの共通の合計電流IRestがデフォルト値に対応することを目的として動作する。これは、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータを協調された方法で制御することによって実行できる。協調制御は、すべてのDC/DCコンバータに作用する制御ユニットによって行うことができる。協調制御の場合、調整されるデフォルト値は制御装置によって考慮されなければならない。制御ユニットはさらに、協調制御に関与するすべてのDC/DCコンバータの個々の電流を備え得る。しかしながら、これは絶対に必要というわけではない。むしろ、調整されるデフォルト値に加えて、制御ユニットが、協調制御に関与しているDC/DCコンバータの共通の合計電流IRestを利用できれば十分である。共通の合計電流IRestはまた、任意選択で、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられているDC/DCコンバータの方向にDC負荷から流れる一部を含み得る。協調制御中に測定および/または伝達する必要のある値が少なくなるので、協調制御は全体的に単純化でき、対応する制御ユニットはそれほど高度化されていなくてもよい。したがって、合計電流IRestに対応する障害のある電流は、制御されない方法で流れることはないが、合計電流IRestがデフォルト値に対応するように、特にその電流強度に関して制御される。デフォルト値は、EEAの、特に障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられているDC/DCコンバータ、または換言すれば、障害のあるDC電源に割り当てられているDC/DCコンバータの過電流に敏感なコンポーネントへの損傷を排除するように選択され得る。過電流に敏感なコンポーネントは、特に、対応するDC/DCコンバータのフリーホイールダイオードである可能性がある。一方では、合計電流IRestは、デフォルト値を使用して上方に制限できる。しかしながら、他方では、共通の合計電流IRestがデフォルト値に対応することを目的として、関連するDC/DCコンバータを制御することにより、合計電流IRestは同時に下方にも制限される。具体的には、デフォルト値は、DC/DCコンバータに直列に接続されたヒューズと、障害のあるDC電源、または複数のヒューズの場合はDC/DCコンバータと障害のあるDC電源に直列に接続された1つまたは複数のヒューズが、確実に溶断するように選択できる。複数のDC電源が互いに並列に接続されているDCサブジェネレータの場合、障害のあるDC電源に最も近いヒューズは、通常、一方では、DCサブジェネレータ内の他のヒューズに対して、溶断閾値が比較的低く、他方では、障害のあるDCサブジェネレータの外部で生成された合計電流IRestだけでなく、障害のあるDCサブジェネレータ内で生成された障害のある電流も通過するので、回路上の理由から有利には最初に溶断する。しかしながら、障害のあるDCサブジェネレータ内で生成される障害のある電流は、一般に、障害のあるDCサブジェネレータの外部で生成される合計電流IRestよりも大幅に低くなる。両方の電流が加算されるため、障害が発生した場合にヒューズの所望の溶断を支援する。
【0022】
全電流IRestの電流強度は、全電流IRestに寄与するDC/DCコンバータの適切な動作により、デフォルト値に調整または設定できる。この目的のために、DC/DCコンバータを介して流れる電流は、すべてのDC/DCコンバータで検出され、より高いレベルの制御ユニットに送信され得る。より高いレベルの制御ユニットは、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータの検出された電流を合計することができ、そこから現在の合計電流IRestを計算できる。現在の合計電流IRestをデフォルト値と比較することにより、制御ユニットは、合計電流IRestがデフォルト値に対応することを目的として、関連するDC/DCコンバータを制御できる。合計値IRestがデフォルト値を超えるか、超える恐れがある場合、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータのそれぞれ1つによって、少なくとも1つの電流(I2~In)を減らすことができる。しかしながら、代わりに、合計電流IRestをデフォルト値に設定するために、DC/DCコンバータのうちのそれぞれ1つによっていくつかまたはすべての電流(I2~In)を減らすことができる。逆に、合計値IRestがデフォルト値を下回るか、下回るおそれがある場合、少なくとも1つの電流(I2~In)をDC/DCコンバータのそれぞれ1つによって増やすことができ、任意選択で、いくつかまたはすべての電流を障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータのそれぞれ1つによって増やすことができる。
【0023】
この方法の有利な一実施形態では、DCサブジェネレータの障害を監視する場合、DC/DCコンバータを介して流れる電流は、それぞれの場合においてすべてのDC/DCコンバータについて検出することができる。DCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータからDC負荷の方向に流れる電流が電流閾値ITHを下回った場合、または特にDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータからDC負荷の方向に流れる電流が、その電流方向を変える場合、障害のあるDCサブジェネレータを示すことができる。この場合、DC/DCコンバータからDC負荷の方向に流れる電流は正の電流として評価され、DC負荷の方向からDC/DCコンバータに流れる電流は負の電流として評価される。この定義によれば、DC/DCコンバータを介してDC負荷の方向に流れる負の電流は、障害のあるDCサブジェネレータが入力側で関連するDC/DCコンバータに接続されていることも示している。DC/DCコンバータを介して流れる電流を検出すると、DC/DCコンバータの入力電流または出力電流を検出できる。
【0024】
DC/DCコンバータを介して流れる電流を検出する代わりに、または累積的に、DCサブジェネレータの障害を監視するために、それぞれの場合にDCサブジェネレータの電圧を検出することも同様に可能である。この場合、DCサブジェネレータで検出された電圧が電圧閾値UTHを下回ると、障害のあるDCサブジェネレータが示される。電圧は、それぞれのDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータの入力側で有利に検出できる。しかしながら、代わりに、DC/DCコンバータの出力電圧も検出できる。有利なことに、DC/DCコンバータですでに利用可能な測定ユニットは、電圧の検出中ならびに電流の検出中に使用することができる。
【0025】
この方法の変形例の1つでは、デフォルト値は、合計値IRestから形成される時間積分が、障害のあるDC電源に割り当てられたDC/DCコンバータの、または換言すれば、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータの過電流に敏感なコンポーネントのi2t値を超えるように選択できる。これは、DC/DCコンバータ(複数可)の過電流に敏感なコンポーネントが過電流に敏感なコンポーネントとして損傷するのを防ぐ。さらに、デフォルト値は、合計値IRestから形成される時間積分が、好ましくは、障害のあるDC電源と障害のあるDC電源に割り当てられたDC/DCコンバータとの間に直列に接続されたヒューズのi2t値を超えるように有利に選択できる。このようなデフォルト値の選択は、ヒューズを溶断し、したがって障害のあるDC電源を、障害のあるDCサブジェネレータ内の残りの障害のないDC電源から、ならびに障害のあるDCサブジェネレータの外部の残りの障害のないDC電源から分離することを目的としている。
【0026】
EEA内で障害が発生した場合、このようなデフォルト値を選択した場合でも、障害のあるDC電源に直列に接続されているヒューズの溶断が発生しない状況が発生する可能性がある。これは、例えば、過電流に敏感なコンポーネントと互いに近接しているヒューズのi2t値と組み合わせたコンポーネントの許容誤差によって促進され得る。しかしながら、このような場合でも、障害のあるDCサブジェネレータは、共有DC負荷から、したがって残りの障害のないDCサブジェネレータから簡単に分離できる。具体的には、選択したデフォルト値でヒューズの溶断が発生しない場合、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられていないDC/DCコンバータを非アクティブ化して、合計電流IRestを電流値0Aに設定できる。このようにして、ゼロ電流状態がDC/DCコンバータ間で発生し、この状態では、障害のあるDC電源または障害のあるDCサブジェネレータを、電気機械式スイッチング素子を介して共有DC負荷から電気的に分離できる。このようなスイッチング素子は通常、問題のEEAにすでに存在している。しかしながら、スイッチング動作はゼロ電流状態で行われるため、スイッチング素子が絶対的アーク消火手段を備えている必要はない。したがって、これらは大幅に費用対効果の高い方法で設計できる。
【0027】
この方法の有利な一実施形態では、DCサブジェネレータの監視中に示された障害、任意選択でヒューズの溶断の成功または失敗も、EEAによって通知され得る。これは、例えば、EEAの通信ユニットによって実行できる。このようにして、EEAのオペレータは、それに応じて、障害とそれに対応して必要な修理措置をタイムリーに通知することができる。したがって、オペレータは、障害のあるDC電源またはEEAの修理を可能な限り効率的に実行するために、事前に予防策を講じることができる。
【0028】
本発明に係るエネルギー生成システムは、互いに並列に接続され、それぞれの場合にDC/DCコンバータを介して共有DC負荷に接続される複数のDCサブジェネレータを含む。DCサブジェネレータの各々は1つのDC電源を有し、これは、DC電源に直列に接続された少なくとも1つのヒューズを介して、それぞれのDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータに接続される。特徴的な構成として、エネルギー生成システムは、本発明に係る方法を実行するように設計および構成された制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、EEAの個別に設計された制御ユニットとすることができる。しかしながら、代替的または累積的に、制御ユニットが、DC/DCコンバータの1つの制御ユニット内に、またはDC/DCコンバータの複数の制御ユニット内に含まれることも可能である。換言すれば、制御ユニットは、したがって、EEAの複数のDC/DCコンバータの制御ユニットに分配することもできる。利点は、方法の結果に関連してすでに述べられている。
【0029】
EEAの有利な一実施形態では、DCサブジェネレータはそれぞれ、それぞれのDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータに少なくとも1つのヒューズを介して互いに並列に接続された複数のDC電源を有する。DC電源はまた、それぞれのDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータへの複数のヒューズの直列接続を介してそれぞれ接続することができる。この場合、直列接続のヒューズがDC電源から離れているほど、または換言すれば、直列接続のヒューズが対応するDC/DCコンバータの近くに配置されているほど、ヒューズの溶断閾値またはi2t値の値が増加する可能性がある。EEAのさらなる一実施形態では、1つまたは複数のDCサブジェネレータのDC電源は、光起電(PV)ストリングおよび/または電池を含むことができる。さらに、共有DC負荷は、特に電解槽を含むことができる。
【0030】
EEAは、DC/DCコンバータとして降圧コンバータを含み得る。具体的には、DC/DCコンバータ、EEAの複数の、または場合によってはすべてのDC/DCコンバータは、それぞれ、降圧コンバータおよび/または降圧機能を有するDC/DCコンバータを含むことができる、すなわち、入力電圧をより小さな出力電圧に変換するように設計され、構成されている。障害のあるDC電源に割り当てられたDC/DCコンバータの、または換言すれば、障害のあるDCサブジェネレータに割り当てられたDC/DCコンバータの過電流に敏感なコンポーネントは、DC/DCコンバータの半導体スイッチと並列に接続された別個のフリーホイールダイオードを含むことができる。あるいは、DC/DCコンバータの過電流に敏感なコンポーネントはまた、DC/DCコンバータの半導体スイッチ、特に半導体スイッチのボディダイオードを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、図の助けを借りて以下に示されている。以下が表示される。
【0032】
【
図1】第1の実施形態における本発明に係るEEAを示す。
【
図2】第2の実施形態における本発明に係るEEAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、第1の実施形態における本発明に係るEEA 1を示している。EEA 1は、互いに並列に接続され、それぞれの場合にDC/DCコンバータ4.1~4.nを介して、ここでは例えば電解槽21として図示される共有DC負荷20に接続された複数のDCサブジェネレータ5.1~5.nを含む。EEA 1はさらに、DC/DCコンバータ4.1~4.nを制御するための制御ユニット15を含む。制御ユニット15は、DC/DCコンバータ4.1~4.nの測定ユニットによって検出される電流および/または電圧の測定値を受信および分析するように構成される。制御ユニット15はさらに、単独で、またはDC/DCコンバータ4.1~4.nに存在する制御ユニットと組み合わせて、DC/DCコンバータ4.1~4.nのうちの個々のものを、DC/DCコンバータ4.1~4.nのうちの個々のものによって生成される共通の合計電流I
Restがデフォルト値に対応する目的で制御するように構成される。DC/DCコンバータ4.1~4.nは、例として
図1に、それぞれの場合の入力10.1~10.n、入力10.1~10.nに接続された入力容量8.1~8.n、2つの半導体スイッチ6.1~6.n、および、DC/DCコンバータ4.1~4.nの出力11.1~11.nに接続されたインダクタンス7.1~7.nを備えた降圧コンバータとして示されている。しかしながら、本発明によれば、DC/DCコンバータ4.1~4.nとして、降圧機能を備えた、すなわち、入力10.1~10.nに印加された入力電圧U
1~U
nを出力11.1~11.nに印加されるより小さな出力電圧Uaに変換することができる、任意のDC/DCコンバータを使用することも可能である。
図1に係る実施形態では、DCサブジェネレータ5.1~5.nの各々は、1つのみのDC電源2.1~2.nを含み、これは、ヒューズ9.1~9.nを介してそれが割り当てられているDC/DCコンバータ4.1~4.nの入力10.1~10.nに接続される。DC電源2.1~2.nの各々は、例として、光起電(PV)ストリング3.1~3.nとして示されている。しかしながら、1つまたは複数のDC電源2.1~2.nを電池として設計することもできる。
【0034】
EEA1の通常の動作中、PVストリング3.1~3.nとして設計されたDC電源2.1~2.nは、それぞれの最大電力点(MPP)で動作する。ここで、その電圧がそれぞれのMPPに割り当てられ、それに割り当てられたDC/DCコンバータ4.1~4.nの入力10.1~10.nに印加される、DC電源2.1~2.nの電圧U1~Unは、共有出力電圧Uaに変換される。共有DC負荷20としての電解槽21には、出力電圧Uaが供給される。これにより、可能な限り最大の再生可能電力が常にEEA 1によって変換され、DC負荷20に供給されることが保証される。
【0035】
EEA1の通常の動作中、DCサブジェネレータ5.1~5.nは、起こり得る障害30、例えば起こり得る短絡障害について監視される。監視は、DC/DCコンバータ4.1~4.nにすでに存在する測定デバイス(
図1には図示せず)が使用されるように、
図1に従って実行される。それぞれの場合において、測定デバイスを使用して、DC/DCコンバータ4.1~4.nの入力10.1~10.nに印加された電圧U
1~U
nおよび/またはDC負荷20の方向にDC/DCコンバータ4.1~4.nの出力11.1~11.nを介して流れる電流I
1~Inを検出できる。入力10.1~10.nに印加された電圧U
1~U
nのうちの1つが電圧閾値U
THを下回った場合、および/またはDC/DCコンバータ4.1~4.nの出力を介してDC負荷20の方向に流れる電流I
1~I
nのうちの1つが電流閾値I
THを下回った場合、対応するDC/DCコンバータ4.1~4.nによって制御ユニット15にこれが通知される。累積的または代替的に、より高いレベルの制御ユニット15の検出された電流I
1~I
nおよび電圧U
1~U
nの値を送信することも可能であり、それ自体が前記値を評価し、障害30の兆候を検出する。
【0036】
図1は、例として、DCサブジェネレータ5.1~5.nのうちの1つ、ここではDCサブジェネレータ5.1のDC電源2.1での短絡障害の形態での障害30を示している。短絡障害のため、障害のあるDC電源2.1の電圧U
1は非常に小さい絶対値まで降下する。この場合、残りのDC/DCコンバータ4.2~4.nとは異なり、障害のあるDCサブジェネレータ5.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1、または換言すれば、障害のあるDC電源2.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1は、入力側に印加された電圧U
1を共有値U
aにもはや変換できない。代わりに、共有値U
aよりも大幅に小さい出力電圧がまた、ここでは障害のあるDC電源2.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1の出力に印加される。場合によっては、障害のあるDC電源2.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1の出力電圧だけでなく降下が発生する可能性がある。代わりに、1つの障害のあるDC電源2.1に応答して、EEA 1のDCバス全体に電圧降下が発生する、つまり、障害のあるDC電源2.1に割り当てられていないDC/DCコンバータ4.2~4.nにも電圧降下が存在する可能性もあり得る。しかしながら、障害のあるDC電源2.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1での出力電圧の降下は、他のDC/DCコンバータ4.2~4.nでの電圧の降下よりもいくらか顕著である。DC/DCコンバータ2.1の出力11.1での電圧の少なくともわずかに顕著な降下は、いずれの場合も、障害のないDC電源2.1に割り当てられたDC/DCコンバータ2.1の方向で、障害のないDCサブジェネレータ5.2~5.nに割り当てられたDC/DCコンバータ4.2~4.nのI
Rest=I
2+I
3+…+I
nに従って合計電流I
Restをもたらす。さらなる対策がなければ、合計電流I
Restは、関与するDC/DCコンバータ2.1の過電流に敏感なコンポーネントに不可逆的に損傷を与える可能性のある値をとる可能性がある。これは、特に、障害のあるDC電源2.1に直列に接続されたヒューズ9.1が、障害のある電流を遮断するために溶断しない、または時間どおりに溶断しない場合である。
【0037】
本発明によれば、障害30は、検出された電流I
1~I
nおよび/または電圧U
1~U
nに基づいて、制御ユニット15によって検出される。それに応じて、障害のないDCサブジェネレータ5.2~5.nに割り当てられたDC/DCコンバータ4.2~4.nは、それらによって生成される共通の合計電流I
RestがI
Rest=I
2+I
3+…+I
nに従ってデフォルト値をとることを目的として、制御ユニット15によって動作する。この場合、デフォルト値自体だけでなく、共有デフォルト値を達成するために個々のDC/DCコンバータ4.2~4.nによって貢献されるそれぞれの電流I
2~I
nも最初から事前に決定され得る。デフォルト値は、一方では、障害のあるDCサブジェネレータ5.1に接続されたDC/DCコンバータ4.1の過電流に敏感なコンポーネントへの損傷が排除されるように選択される。具体的には、デフォルト値は、対応するDC/DCコンバータ2.1の過電流に敏感なコンポーネントの値よりも小さくなるように選択され得る。他方、デフォルト値は、可能であれば、障害のあるDC電源2.1の下流のヒューズ9.1が確実に溶断し、したがって障害のあるDC電源2.1を残りの障害のないDC電源2.2~2.nから分離するように(高く)なるように選択される。EEA 1のDC/DCコンバータ4.1~4.nは、降圧機能用に設計および構成されたDC/DCコンバータであるため、DC/DCコンバータ4.2~4.nは、PVストリング3.1~3.nとして構成されたDC電源2.2~2.nへの照射が比較的低い場合でも、それらの出力で十分に高い合計電流I
Restを提供できる。障害のあるDC電源2.1の下流にあるヒューズ9.1が、関連するDC/DCコンバータ4.1の過電流に敏感なコンポーネントのi2t値を超える前に溶断しない場合、過電流に敏感なコンポーネントへの損傷は、合計電流I
Restが残りのDC/DCコンバータ4.2~4.nを適切に動作させることにより値を0Aに設定する点で回避される。特に、この場合、残りのDC/DCコンバータ4.2~4.nを非アクティブ化することができる。障害のあるDCサブジェネレータ5.1は、(
図2に示されているDCセパレータ13.1~13.nと同様に)
図1に示されていないDCセパレータを介して、共有DC負荷20と残りの障害のないDCサブジェネレータ5.2~5.nから、ゼロ電流状態で恒久的かつ電気的に分離できる。その後、EEA 1は、欠陥のあるDCサブジェネレータ5.1がなくても、残りの障害のないDCサブジェネレータ5.2~5.nを使用してさらに動作させることができる。切断されたDCサブジェネレータ5.1またはその障害のあるDC電源2.1は、危険を冒すことなく修復でき、その後EEA 1に再接続できる。
【0038】
図1は障害のあるDCサブジェネレータ5.1を1つだけ示しているが、この方法は、同時に存在する障害のあるDCサブジェネレータが複数ある場合にも適用できる。これは、少なくとも、障害のないDCサブジェネレータの数が障害のあるDCサブジェネレータの数を上回っている限り適用される。
【0039】
図2は、本発明に係るEEA1の第2の実施形態を示しており、これは、多くの構成において、
図1に示されるEEA 1に類似している。したがって、明確にするために、EEA1の第1の実施形態との違いのみを言及し、同一の構成に関しては
図1の説明を参照する。
【0040】
図2に示されるEEA1はまた、複数のDCサブジェネレータ5.1~5.nを有し、これらは、それぞれ、互いに並列に接続され、DC/DCコンバータ4.1~4.nを介して共有DC負荷20に接続される。しかしながら、
図1とは対照的に、
図2のDCサブジェネレータ5.1~5.nの各々は、それぞれが互いに並列に接続され、それぞれの場合においてそれぞれのDCサブジェネレータ5.1~5.nに割り当てられているDC/DCコンバータ4.1~4.nに複数のヒューズ9.1~9.nの直列接続を介して接続する、複数のDC電源2.1~2.nを含む。ここで、直列接続の各々内のヒューズ9.1~9.nのi2t値は、それに割り当てられたDC電源2.1~2.nからのヒューズ9.1~9.nの距離が増加するにつれて増加する。さらに、DCセパレータ13.1~13.nが、DCサブジェネレータ5.1~5.nの各々と、それに割り当てられたDC/DCコンバータ4.1~4.nとの間に配置され、そのDCセパレータによって、対応するDCサブジェネレータ5.1~5.nは、それに割り当てられたDC/DCコンバータ4.1~4.nから電気的に分離され得る。DCセパレータ13.1~13.nは、有利なことに、アークを消火するための手段をなくすことができ、したがって、比較的費用対効果の高い方法で設計され得る。
【0041】
また、
図2では、DCサブジェネレータ5.1~5.nの電流I
1~I
nおよび/または電圧U
1~U
nが、DC/DCコンバータ4.1~4.n(
図2には図示せず)の測定ユニットによって検出され、制御ユニット15に送信される。電流I
1~I
nおよび/または電圧U
1~U
nの1つが、閾値I
TH、U
THのうちの対応する1つを下回った場合、これは、対応するDCサブジェネレータ5.1~5.nの障害30を示す。
図2は、例として、上部のDCサブジェネレータ5.1における短絡障害の形態の障害30を示しており、そこには、DC電源2.1のうちの下部のものが示されている。ここでも、障害のあるDC電源2.1に割り当てられ、したがって障害のあるDCサブジェネレータ5.1に割り当てられている、または換言すれば、入力側でそれに接続されているDC/DCコンバータ4.1の入力電圧が降下する。関連するDC/DCコンバータ4.1は、その出力10.1で、他のDC/DCコンバータ4.2~4.nと同じ出力電圧U
aをもはや提供できなく、代わりに、電圧もそこで降下する。その結果、ここでは、障害のないDC/DCコンバータ5.2~5.nは、合計電流I
Restを1つの障害のあるDC/DCコンバータ5.1に供給する。
【0042】
図1に関連して既に説明した方法と同様に、障害30は、DCサブジェネレータ5.1~5.nを監視する制御ユニット15によって検出される。それに応じて、それぞれの場合に障害のないDCサブジェネレータ5.2~5.nに割り当てられた残りのDC/DCコンバータ4.2~4.nは、制御ユニット15を介して動作し、それらによって生成された合計電流I
RESTがデフォルト値をとることを目的としている。
図2でも、デフォルト値は、一方では、障害のあるDCサブジェネレータ5.1に割り当てられたDC/DCコンバータ4.1の過電流に敏感なコンポーネントが保護され、その損傷が回避されるように(低く)選択される。しかしながら、他方では、それはまた、障害のあるDC電源2.1と下流のDC/DCコンバータ4.1との間のヒューズ9.1の直列接続内に配置されたヒューズ9.1が溶断するように(高く)選択される。直列接続内のヒューズ9.1のi2t値は、障害のあるDC電源2.1からの距離が短くなるにつれて減少するため、障害のあるDC電源2.1のすぐ下流に接続されているヒューズを正確に溶断する可能性が大きい。有利なことに、このヒューズは通常、直列接続内のヒューズ9.1の中で最も費用対効果の高いものでもある。
【0043】
図3は、
図1に係るEEA1または
図2に係るEEA1を用いて実行することができるように、フローチャートの形式で本発明に係る方法の変形例を示している。第1のステップS1では、この方法は、すべての障害のないDCサブジェネレータ5.1~5.nのMPP動作から始まる。方法の最初では、例として、障害のあるDC電源2.1はなく、したがって障害のあるDCサブジェネレータ5.1はないと想定されているため、すべての障害のないDCサブジェネレータの数は、最初はEEA1の利用可能なすべてのDCサブジェネレータ5.1~5.nの数に対応する。第2のステップS2では、現在動作しているEEA 1のすべてのDCサブジェネレータ5.1~5.nは、障害30について監視される。監視は、DCサブジェネレータ5.1~5.nの任意の1つの電圧U
1~U
nおよび/またはDC/DCコンバータ4.1~4.nの出力11.1~11.nを介してDC負荷20の方向に流れる電流I
1~I
nが検出され、制御ユニット15に送信される点で行われる。第3のステップS3では、制御ユニット15は、検出された電圧U
1~U
nのうちの1つが電圧閾値U
THを下回っているかどうか、および/または検出された電流I
1~I
nのうちの1つが電流閾値値I
THを下回っているかどうかをチェックする。そうでない場合、方法は第1のステップS1に戻る。しかしながら、検出された電圧U
1~U
nのうちの1つが電圧閾値U
THを下回った場合、および/または検出された電流I1~Inのうちの1つが電流閾値I
THを下回った場合、アンダーシュート電圧U
kおよび/またはアンダーシュート電流I
k(k=1…n)を有するDCサブジェネレータ5.1~5.nは、障害のあるDC電源2.kを有する障害のあるDCサブジェネレータ5.kであることがこの方法に従って示される。この場合、この方法は、合計電流I
Restがデフォルト値をとることを目的として、障害のあるDCサブジェネレータ5.kに割り当てられていない動作中の残りのすべてのDC/DCコンバータ4.1~4.nが、制御ユニット15を介して動作する、第4のステップS4にジャンプする。これにより、合計電流I
Restは上方と下方の両方に制限される。第5のステップS5は、合計電流I
Restが障害のあるDC電源2.kの下流に接続されたヒューズ9.kを溶断できたかどうかをチェックする。これは、例えば、障害のあるDCサブジェネレータ5.kに割り当てられたDC/DCコンバータ4.kの電流I
kおよび/または電圧U
kの検出によってチェックすることができる。DC/DCコンバータ4.kの出力11.kを介してDC負荷の方向に流れる電流Ikが電流閾値I
THを下回り続けた場合、および/またはDC/DCコンバータ4.kの入力11.kに印加された電圧U
kが電圧閾値U
THを下回り続けた場合、ヒューズ9.kは溶断しなかったと見なすことができる。しかしながら、そうでない場合は、障害のあるDC電源2.kの下流に接続されているヒューズ9.kが溶断し、その結果、障害のあるDC電源2.kが共有DC負荷20から分離されたと想定される。ヒューズ9.kが溶断すると、以前は障害のあるDCサブジェネレータとして示されていたDCサブジェネレータ5.kは、障害のないDC電源2.kのみを示し、つまり、障害のないDCサブジェネレータと再び呼ぶことができ、動作を継続することができる。したがって、ヒューズ9.kが溶断されると、この方法は、すべての障害のないDCサブジェネレータが再びMPPで動作する第1のステップS1に戻る。DCサブジェネレータの数は、引き続きEEA 1のサブジェネレータの総数に対応し続ける。しかしながら、以前に障害があると識別されたDCサブジェネレータ5.kには、今では少なくとも1つのDC電源2.kが少なくなっている。しかしながら、第5のステップS5で、障害のあるDC電源2.kの下流に接続されたヒューズ9.kが溶断しなかったと結論付けられた場合、障害のあるDCサブジェネレータ5.kに割り当てられていない残りのすべてのDC/DCコンバータ4.1~4.nは、第6のステップS6で非アクティブ化され、その結果、それらの合計電流I
Restは、値0Aをとる。次に、第7のステップS7において、障害のあるDCサブジェネレータ5.kは、それに割り当てられたDCセパレータ13.kを介して、共有DC負荷20および残りの障害のないDCサブジェネレータから電気的に分離される。次に、この方法は、すべての障害のないDCサブジェネレータがそれぞれのMPPで再び動作する第1のステップS1にジャンプする。しかしながら、EEA 1は、ここでは以前に障害があると識別されたDCサブジェネレータ5.kなしで引き続き動作し、この場合、障害のないサブジェネレータの数は1つ減少している。
【符号の説明】
【0044】
1 エネルギー生成システム(EEA)
2.1~2.n DC電源
3.1~3.n 光起電(PV)ストリング
4.1~4.n DC/DCコンバータ
5.1~5.n DCサブジェネレータ
6.1~6.n 半導体スイッチ
7.1~7.n インダクタンス
8.1~8.n 入力容量
9.1~9.n ヒューズ
10.1~10.n 入力
11.1~11.n 出力
12.1~12.n ヒューズ
13.1~13.n DCセパレータ
15 制御ユニット
20 DC負荷
21 電解槽
30 障害
S1~S7 方法ステップ
【国際調査報告】