(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウスフィルム中でのシリケートの使用
(51)【国際特許分類】
A01N 59/02 20060101AFI20221130BHJP
A01N 59/06 20060101ALI20221130BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20221130BHJP
A01N 25/18 20060101ALI20221130BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A01N59/02 Z
A01N59/06 Z
A01P21/00
A01N25/18 102B
A01N25/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521036
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020078663
(87)【国際公開番号】W WO2021069756
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペレリン, モルガヌ
(72)【発明者】
【氏名】ベレキアン, ドニ
(72)【発明者】
【氏名】オーリスセルギュス, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ダランソン, ロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ル メルシェ, ティエリー
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB03
4H011BB18
4H011DA07
4H011DC05
4H011DC11
4H011DD07
(57)【要約】
本発明は、植物の花の発達を増加させるための、少なくともマトリックス及びシリケートを含むグリーンハウスフィルム中でのシリケートの使用に関する。前記発明は、植物の花の発達を増加させるための少なくともマトリックス及び前記シリケートを含むフィルム、並びに植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウス中に少なくともマトリックス及び前記シリケートを含むフィルムの使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウスフィルム中でのシリケートS1の使用であって、前記フィルムが、少なくともマトリックス及びシリケートS1を含み、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、使用。
【請求項2】
前記シリケートS1が、式(I):
aMO.a’M’O.bM’’O.b’M’’’O.cSiO
2 (I)
(式中、M及びM’’は、ストロンチウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、且つM’及びM’’’は、ユウロピウム、マンガン、プラセオジミウム、ガドリニウム、イットリウムから選択され、0.5<a≦3、0.5<b≦3、0<a’≦0.5、0<b’≦0.5及び1≦c≦2である)の化合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記シリケートS1が、式(II):
aBaO.xEuO.cMgO.yMnO.eSiO
2 (II)
(式中、0<a≦3、0<x≦0.5、0<c≦1、0<y≦0.5、0<e≦2である)の化合物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記式(II)において、0.0001≦x≦0.4及び0.0001≦y≦0.4である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記式(II)において、0.01≦x≦0.35及び0.04≦y≦0.15である、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
式(II)において、バリウム、マグネシウム及びケイ素が、ユウロピウム及びマンガン以外の元素によって置換されない、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記式(II)の化合物が、Ba
2.7Eu
0.3Mg
0.9Mn
0.1Si
2O
8である、請求項3に記載の使用。
【請求項8】
前記式(II)の化合物が、Ba
2.94Eu
0.06Mg
0.95Mn
0.05Si
2O
8である、請求項3に記載の使用。
【請求項9】
前記シリケートS1が、式(III):
Ba
3(1-x-y)Eu
3xPr
3yMg
1-zMn
zSi
2(1-3v/2)M
3vO
8 (III)
(式中、Mは、アルミニウム、ガリウム又はホウ素であり、0<x≦0.3、0<y≦0.1、0<z≦0.3、0≦v≦0.1である)の化合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記フィルム中のシリケートS1の量が、フィルムの総量に関して、0.01~10重量%、特に0.1~5重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記シリケートS1が、1μm~50μm、好ましくは2μm~10μmの径D50を有する固体粒子の形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記シリケートS1が、0.1μm~1.0μm、好ましくは0.1μm~0.5μmの径D50を有する固体粒子の形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記マトリックスが少なくとも1つのポリマーを含むか、又は前記マトリックスがポリマーである、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記マトリックスが、ポリエチレン及びコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン合成によって得られるポリエチレン、エチル-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、(コ)ポリオレフィン、ポリエチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、並びにこれらの(コ)ポリマーに基づく混合物及びコポリマーからなる群から選択されるポリマーをベースとする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
植物が、トマト、スイカ、トウガラシ、ズッキーニ、キュウリ、メロン、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー及びバラからなる群において選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
植物の花の発達を増加させるための、少なくともマトリックスと、シリケートS1とを含むフィルムであって、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、フィルム。
【請求項17】
植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウス中での少なくともマトリックスと、シリケートS1とを含むフィルムの使用であって、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、使用。
【請求項18】
植物の花の発達を増加させるための方法であって、前記花の発達が、グリーンハウスフィルムによって提供される光放射によって促進され、前記フィルムは、少なくともマトリックスと、シリケートS1とを含み、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、方法。
【請求項19】
植物の花の発達を増加させるための方法であって、前記植物が、グリーンハウスフィルムを含むグリーンハウス中にあり、前記フィルムは、少なくともマトリックスと、シリケートS1とを含み、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、方法。
【請求項20】
切断花を保存する方法であって、任意選択的に保存剤液体を含み、少なくともマトリックス及びシリケートS1を含むフィルムを少なくとも含む保存容器に、1つ以上の花の切断茎端部を挿入することを含み、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、方法。
【請求項21】
少なくともマトリックス及びシリケートS1を含むフィルムを少なくとも含む保存容器であって、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収
を示す、保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の花の発達を増加させるための、少なくともマトリックス及びシリケートを含むグリーンハウスフィルム中でのシリケートの使用に関する。前記発明は、植物の花の発達を増加させるための少なくともマトリックス及び前記シリケートを含むフィルム、並びに植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウス中に少なくともマトリックス及び前記シリケートを含むフィルムの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
花は、環境に美をもたらすため、そしてロマンス、儀式、宗教、医療の目的として、及び食品の供給源として、人間によって長く賞賛及び使用されてきた。さらに、花から抽出される天然生成物から得られる、いくつかの商業的な価値、並びに多くの使用及び応用がある。
【0003】
花の形態は非常に複雑であり、且つ特有であって、一連の別個の発達のステップ、すなわち、花成誘導、花原基の形成及び花器官の生成として考えることができる。これが生じるために起こらなければならない3つの生理的発達がある:第一に、植物は性未熟から性成熟状態へと移行しなければならない(すなわち開花への移行);第二に、植物分裂組織から花芽分裂組織又は花序への頂端分裂組織の作用の変換;そして最後に花の個々の器官の成長。後者の段階は、ABCモデルを使用してモデル化されており、それはプロセスの生物学的基礎を分子及び発達遺伝学の観点から説明するものである。各ステップを中断させる突然変異は様々な種で単離されており、遺伝的ヒエラルキーが開花プロセスを導くことを示唆した(概観に関して、Weigel and Meyerowitz,In Molecular Basis of Morphogenesis(ed.M.Bernfield).51st Annual Symposium of the Society for Developmental Biology,pp.93-107,New York,1993を参照のこと)。
【0004】
花の発達は、非常に特有であると考えられ、植物成長に関連づけられず、通常、植物の成長速度を促進するか、又は増加させるか、又は改善するものとして、或いは植物の径を増加させるか、又は増加を促進するものとして定義される。実際には、そのバイオマス量の増加の他に、花の適切な発達;すなわち、植物によって発生する花の数、それらのサイズ及び/又は品質を確実にすることも要求される。
【0005】
花の発達は、通常、農薬組成物、遺伝子組替え体又は特定の変種を使用して得られる。
【0006】
そのような農薬組成物は、植物成長を促進し、収穫収量を増加させる観点から効率的でなければならない。したがって、高い植物生産性を得ることが一般に望ましい。前記生産性を改善するために、収穫生産性を増加させるための有機製品が非常に多く使用されてきたが、哺乳類、特にヒトに対するこれらの製品の長期影響に対する懸念が生じている。したがって、前記製品の長期影響に対する懸念がない状態で、製品の助けによって収穫生産性を改善することも必要とされている。適切な花の発達の増加に達するための遺伝子組替え体又は特定の変種の使用は複雑であり、そして広範囲の植物及び変種に適応することができない。
【0007】
その場合、様々な種類の植物に使用され得る単純な様式で花の発達を促進させる必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、この技術的問題及び対処されていない問題を解決することを目的とする。実際に、植物と直接接触せず、且つ放射線誘発放射効率を有する農薬組成物は、植物によって発生する花の数、それらのサイズ及び/又は品質などの花の発達において優れた結果を示すように見える。今や、天然植物ホルモンに影響を及ぼす化学薬品を使用せずに、そして前記製品の長期影響に対する懸念のない状態で、花の発達を増加させることを可能にする植物の処理を行うことが可能であるように見える。
【0009】
本発明は、花の発達を増加させる観点から非常に有効であり、且つ収穫収量の改善を導く植物の処理を提供する。さらにまた、本発明において使用される処理は、優れた物理化学特性、特に改善された貯蔵時の安定性を有する。また無機性質の粒子は、環境に対する影響がより低く、特に哺乳類、特にヒトに対する長期影響が減少する。
【0010】
バラ及び花産業は、栽培者レベルで北アメリカにおいて50億ドル~60億ドル(US)を超える価値があると推定される。この産業は、通常、切断から市場出荷まで約11~14週間のターンアラウンド時間を必要とする。本発明の技術が提供された場合、市場まで約10~20日の減少を伴って、より高品質の製品を製造する能力は、花き/園芸産業に対する有意な費用利点である。
【0011】
本発明は、植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウスフィルム中でのシリケートS1の使用に関し、上記フィルムは、少なくともマトリックス及びシリケートS1を含み、好ましくは、シリケートS1の粒子はマトリックス中に分散しており、前記シリケートS1は、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収を示す。
【0012】
本発明は、植物の花の発達を増加させるための少なくともマトリックス及び前記シリケートS1を含むフィルム、並びに植物の花の発達を増加させるためのグリーンハウス中での少なくともマトリックス及び前記シリケートS1を含むフィルムの使用にも関する。そのようなフィルム、したがって、シリケートS1は、グリーンハウス(グリーンハウス屋根、壁)の製造及び建設において有利に使用される。
【0013】
本発明のシリケートによって、フィルムは太陽又は人工放射線、好ましくはUV放射線を特に青色及び/又は赤色光へと変換することが可能であるか、或いはその代わりに太陽又は人工放射線、好ましくはUV放射線、特に太陽UV放射線を低エネルギー放射線へと変換することが可能であり、次いで、花の発達の改善を可能にするように見える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
以下の用語は、当業者によって理解されると信じられているが、以下の定義は、本明細書に開示される主題の説明を容易にするために明示される。別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語の全ては、本明細書に開示される主題が関係する当該技術の通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似であるか、又は同等であるいずれの方法、デバイス及び材料も、本明細書に開示される主題の実施又は試験において使用可能であるが、ここでは代表的な方法、デバイス及び材料が記載される。
【0015】
参照により本明細書に組み込まれる任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0016】
本明細書の全体にわたり、文脈が他に必要としない限り、「含む(comprise)」又は「含む(include)」という語又は変形形態、例えば「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」は、記載された要素若しくは方法の工程又は要素若しくは方法の工程の群を包含するが、任意の他の要素若しくは方法の工程又は要素若しくは方法の工程の群を排除するものではないことを意味すると理解される。好ましい実施形態によれば、「含む(comprise)」及び「含む(include)」という単語、及びそれらの変形形態は、「のみからなる(consist exclusively of)」を意味する。
【0017】
本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないと明確に示さない限り、複数形の態様を含む。用語「及び/又は」は、「及び」、「又は」の意味及びまた、この用語に関連する要素の他の可能な組み合わせも全て包含する。
【0018】
用語「~と~との間」は、限界点を含むと理解されるべきである。
【0019】
比、濃度、量及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で示される場合がある。このような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界点として明示的に列挙される数値を包含するだけでなく、それぞれの数値及び部分範囲が明示的に列挙されるかのようにその範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲を包含するように柔軟に解釈されるものと理解すべきである。例えば、約120℃~約150℃の温度範囲は、約120℃~約150℃の明示的に列挙された限界点を包含するだけでなく、125℃~145℃、130℃~150℃等の部分範囲、並びに例えば122.2℃、140.6℃、及び141.3℃など、小数量などの明記した範囲内の個々の量をも包含するように解釈されるべきである。
【0020】
「アリール」という用語は、単環(例えばフェニル)若しくは多環(例えばビフェニル)、又は多環縮合(縮)環(例えばナフチル又はアントラニル)を有する6~18個の炭素原子の芳香族炭素環基を指す。また、アリール基は、多環、例えばテトラリンを形成するように、芳香族でない脂肪族環又は複素環と縮合するか又は架橋されてもよい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン及びビフェニルなどの芳香族基を包含する。「アリーレン」基は、アリール基の二価類似体である。
【0021】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環内に(2つ以上の環が存在する場合)、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子を有する3~10個の炭素原子を有する芳香族環基を指す。
【0022】
「脂肪族」という用語は、1~18個の炭素原子を有する置換又は無置換の飽和アルキル鎖、1~18個の炭素原子を有する置換又は無置換のアルケニル鎖、1~18個の炭素原子を有する置換又は無置換のアルキニル鎖を指す。
【0023】
本明細書で使用される「アルキル」基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどの直鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルなどの環状アルキル基(又は「シクロアルキル」又は「脂環式」又は「炭素環式」基);イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、及びイソブチルなどの分岐鎖アルキル基;並びにアルキル置換シクロアルキル基及びシクロアルキル置換アルキル基などのアルキル置換アルキル基;を含む、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素が含まれる。「脂肪族基」という用語は、1~18個の間の炭素原子を典型的に有する、直鎖又は分岐鎖を特徴とする有機部分が含まれる。複雑な構造においては、鎖は分岐、橋かけしていてもよく、又は架橋していてもよい。脂肪族基には、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「アルケニル」又は「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖又は分岐状であり得る脂肪族炭化水素基を指す。アルケニル基の例には、これらに限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、n-ブテニル、i-ブテニル、3-メチルブト-2-エニル、n-ペンテニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル等が含まれる。用語「アルキニル」は、エチニルなどの少なくとも1つの三重炭素-炭素結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指す。
【0025】
「アリール脂肪族」という用語は、脂肪族に共有結合しているアリール基を指し、この中アリール及び脂肪族は本明細書に定義されている。
【0026】
「脂環式」という用語は、部分的に不飽和であってもよい単環式環又は多環縮合環を有する、3~20個の炭素原子の炭素環基を指し、この中のアリール及び脂肪族は本明細書で定義されている。「複素環基」という用語には、環中の炭素原子の1個以上が炭素以外の元素(例えば窒素、硫黄、又は酸素)炭素環基に類似した閉環構造が含まれる。複素環基は飽和であっても不飽和であってもよい。
【0027】
「アルコキシ」という用語は、それぞれが1~約24個の炭素原子、又は好ましくは1~約12個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖又は分枝状オキシ含有基を指す。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びtert-ブトキシが含まれる。
【0028】
本明細書で使用される有機基に関する専門用語「(Cn~Cm)」(式中、n及びmはそれぞれ整数である)は、この基が、基当たりn個の炭素原子からm個の炭素原子を含有してもよいことを示す。
【0029】
本明細書で使用される「植物」という用語は、植物界の一員を指し、限定されないが、種を含む植物寿命サイクルの全ての段階を含み、且つ全ての植物部位を含む。本発明による植物は、農業及び園芸植物、低木、木及び草であり得、以下、集合的に植物と記載されることがある。
【0030】
「バイオマス量」という用語は、植物組織、複数の植物組織、植物全体又は植物の集団の所与の時間における全質量又は重量(新鮮又は乾燥)を意味する。バイオマス量は、通常、単位面積あたりの重量として与えられる。バイオマス量の増加には、限定されないが、さやバイオマス量の増加、茎バイオマス量の増加及び根バイオマス量の増加が含まれる。
【0031】
ブルーム又はブラッサムとして知られることもある花は、雌しべ、雄しべ、花被及び軸を典型的に有する顕花植物(被子植物(Magnoliophyta)の分類の植物、被子植物(angiosperms)とも呼ばれる)で見られる生殖構造である。花の生体機能は、通常、精子と卵子との結合のための機構を提供することによって生殖を生じることである。花は遠縁交配(集団の異なる固体からの精子及び卵子の融合)を促進し得るか、又は自家受粉(同一の花からの精子及び卵子の融合)を可能にし得る。いくつかの花は、受精せずに散布体を発生する(単為結実)。花は胞子嚢を含有して、配偶体が発達する部位である。花及びそれらの部位を説明するために、固有用語が使用される。多数の花の部位は一緒に融合し、同一輪生から開始する融合部位は合着であり、異なる輪生から開始する融合部位は沿着であり、融合していない部位は遊離である。軸上に2つ以上の花を有するものでは、花の集合的クラスタは花序と呼ばれる。いくつかの花序は、単一の花に似た形態で配列される多数の小さい花から構成される。
【0032】
「花の発達」という用語は、植物の花の発達及び成長、例えば、特に植物が開花する時間、花の産出、開花の開始及び開花時間、すなわち、例えば光顕微鏡観察によって、又は肉眼を使用して、花芽分裂組織が植物中に最初に視覚的に見つけられる時間の促進を指す。花の発達は、被子植物が分裂組織中で遺伝子発現のパターンを産生し、器官が有性生殖、花の方に配向される外観を導くプロセスでもある。
【0033】
「花芽分裂組織」という用語は、分化プロセスによって、花序分裂組織、第二花序分裂組織、花器官又は生殖器官へと発達する細胞型が発生する分裂組織を指す。分裂組織又は器官は発達時に、限定されないが、やく、おしべ、柱頭、胚珠、心皮、花びら及び萼片を含む生殖又は非生殖組織を含み得る。
【0034】
「フィルム」という用語は、フィルム又はシート、フィルムの他の特徴寸法(特に長さ、幅)と比較した時にその厚さ(平面表面間の距離)が小さい三次元固体として幾何学的構成を有する構造要素を含むという一般的な意味で使用可能である。フィルムは、面積若しくは体積を分離するために、アイテムを保持するために、バリアとして機能するために、又は印刷可能な表面として一般に使用される。
【0035】
「グリーンハウス」という用語は、本明細書中、作物の保護及び成長のために使われるシェルターのいかなる種類も包含するように、最も広義に理解されなければならない。例えば、それらは、プラスチックグリーンハウス及び大型プラスチックトンネル、ガラスグリーンハウス、大型シェルター、半促成トンネル、フラット保護シート、壁、マルチング(マルチフィルム)であり得、特に、CIPA(Congres International du Plastique dans l’Agriculture),65 rue de Prony,Parisによって発行された、Jean-Pierre Jouetによる“L’evolution de la plasticulture dans le Monde”パンフレットに記載されている。グリーンハウスは、ガーデニングキット及び発芽キットも指し得る。
【0036】
「放射」という用語は、発光性材料の励起スペクトルに適合する刺激波長下で発光性材料によって放射される光子に相当する。
【0037】
「ピーク波長」という用語は、公的に認識された意味を意味し、本明細書中、最大強度/吸収を有する放射/吸収(好ましくは放射)スペクトルの主要ピーク及び主要ピークより小さい強度/吸収を有するサイドピークを含むことができる。ピーク波長という用語は、サイドピークに関連することが可能である。ピーク波長という用語は、最大強度/吸収を有する主要ピークに関連することが可能である。
【0038】
「放射線誘発放射効率」という用語もこれに関連して理解されるべきであり、すなわち、シリケートは特定の波長範囲で放射線を吸収して、特定の効率で別の波長範囲で放射線を放射する。
【0039】
植物
本発明に含まれる植物は、単子葉植物及び双子葉植物の植物を含む、いずれの顕花植物でもある。単子葉植物の例としては、限定されないが、アスパラガス、タマネギ及びニンニクなどの野菜;メイズ、大麦、小麦、米、ソルガム、トウジンビエ、ライ麦及びオート麦などの穀類;並びに飼料草及び芝草などの草が含まれる。双子葉植物の例としては、限定されないが、野菜、飼料、及び油料作物、例えば、トマト、豆、大豆、トウガラシ、レタス、エンドウ、アルファルファ、クローバー、アブラナ属(Brassica)種(例えば、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、菜種及びラディッシュ)、ニンジン、ビート、ナス、ホウレンソウ、キュウリ、スカッシュ、メロン、カンタロープ、ヒマワリ;綿などの繊維作物;並びに花及び低木などの種々の観賞植物が含まれる。本発明のために使用される植物は、農業及び園芸産物、例えば穀物、食品、繊維などの製造のために栽培され得る。植物は穀草であってもよい。
【0040】
本発明のフィルム及び使用は、実質的にいずれの種類の植物にも適用され得る。植物は、限定されないが、以下のリストから選択され得る:
-食用作物:例えば、メイズ/コーン(トウモロコシ種(Zea mays))、ソルガム(ソルガム属(Sorghum spp.))、キビ(パニクム・ミリアセウム(Panicum miliaceum)、P.スマトレンス(P.sumatrense))、コメ(オリザ・サティバ・インディカ(Oryza sativa indica)、オリザ・サティバ・ジャポニカ(Oryza sativa japonica))、コムギ(トリティクム・サティバ(Triticum sativa))、オオムギ(ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare))、ライムギ(セカレ・セレアレ(Secale cereale))、ライコムギ(トリティクム X セカレ(Triticum X Secale))及びオーツムギ(アベナ・ファツア(Avena fatua))を含む穀類;
-葉野菜:例えば、アブラナ科(brassicaceous)植物、例えば、キャベツ、ブロッコリー、パクチョイ、ロケット;サラダグリーン、例えば、ホウレンソウ、アブラナ、バジル及びレタス;
-実結及び顕花野菜:例えば、アボカド、スイートコーン、アーティチョーク、ウリ類(cucurbits)、例えば、スカッシュ(squash)、キュウリ、メロン、スイカ、スカッシュ(squashes)、例えば、ズッキーニ、カボチャ;ナス科(solononaceous)野菜/実結、例えば、トマト、ナス及びトウガラシ;
-マメ科野菜:例えば、ラッカセイ、エンドウ、マメ、レンズマメ、ヒヨコマメ及びオクラ;
-鱗茎菜及び茎菜:例えば、アスパラガス、セロリ、ネギ属(allium)作物、例えば、ニンニク、タマネギ及びニラネギ;
-根菜及び塊茎菜:例えば、ニンジン、ビート、タケノコ、キャッサバ、ヤムイモ、ショウガ、キクイモ、パースニップ、ラディッシュ、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、カブ及びワサビ;
-糖料作物:例えば、テンサイ(ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris))及びサトウキビ(サッカラム・オフィシナルム(Saccharum officinarum));
-ノンアルコール飲料及び刺激物の製造のために生育する作物:例えば、コーヒー、ブラック、ハーブ及びグリーンティー、ココア並びにタバコ;
-果実作物:トゥルーベリー果実(例えば、キーウィ、グレープ、カランツ、グズベリー、グァバ、フェイジョア、ザクロ)、柑橘類の果実(例えばオレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ)、子房下位(epigynous)果物(例えば、バナナ、クランベリー、ブルーベリー)、集合果(ブラックベリー、ラズベリー、ボイゼンベリー)、複合果(例えば、パイナップル、イチジク)、石果作物(例えば、アプリコット、桃、サクランボ、プラム)、種果物(pip-fruit)(例えば、リンゴ、セイヨウナシ)、並びにイチゴ及びヒマワリシードなど;
-料理用及び医薬用ハーブ:例えば、ローズマリー、バジル、ゲッケイジュ、コリアンダー、ミント、イノンド、ハイペリカム(Hypericum)、ジギタリス、アロエベラ及びローズヒップ;
-スパイスを産生する作物植物:例えば、ブラックペッパー、クミン、シナモン、ナツメグ、ショウガ、クローブ、サフラン、カルダモン、メース、パプリカ、マサラ及びスターアニス;
-ナッツ及び油の製造のために生育する作物:例えば、アーモンド及びクルミ、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ココナッツ、クリ、マカダミアナッツ、ピスタチオナッツ;ピーナッツ、ペカンナッツ、ダイズ、綿、オリーブ、ヒマワリ、ゴマ、ルピン(lupin)種及びアブラナ科(brassicaeous)作物(例えば、キャノーラ/ナタネ(oilseed rape));
-ビール、ワイン及び他のアルコール飲料の製造のために生育する作物:例えば、ブドウ、ホップ;
-牧畜農業で使用される植物:例えば、マメ科植物(legumes):トリフォリウム(Trifolium)種、メディカゴ(Medicago)種及びロータス(Lotus)種;シロツメクサ(T.レペンス(T.repens));アカツメクサ(T.プラテンス(T.pratense));コーカシアンクローバー(T.アンビガム(T.ambigum));サブタレニアンクローバー(T.サブタレニウム(T.subterraneum));アルファルファ/ルツェルン(メディカゴ・サティバム(Medicago sativum));一年生メディク(annual medics);バレルメディク(barrel medic);ブラックメディク(black medic);サンフォイン(Sainfoin)(オノブリキス・ヴィシフォリア(Onobrychis viciifolia));バーズフットトレフォイル(Birdsfoot trefoil)(ロータス・コルニクラタス(Lotus corniculatus));グレーターバーズフットトレフォイル(Greater Birdsfoot trefoil)(ロータス・ぺドゥンクラタス(Lotus pedunculatus));
-飼料及びアメニティーグラス:例えば、寒地型牧草、例えば、ロリウム(Lolium)種;フェスツカ(Festuca)種;ヌカボ属(Agrostis spp.)、ペレニアルライグラス(Perennial ryegrass)(ロリウム・ペレンヌ(Lolium perenne));ハイブリッドライグラス(hybrid ryegrass)(ロリウム・ヒブリヅム(Lolium hybridum));一年生ライグラス(annual ryegrass)(ロリウム・マルチフロルム(Lolium multiflorum))、トールフェスキュ(tall fescue)(フェスツカ・アルンディナケア(Festuca arundinacea));メドウフェスキュ(meadow fescue)(フェスツカ・プラテンシス(Festuca pratensis));レッドフェスキュ(red fescue)(フェスツカ・ルブラ(Festuca rubra));フェスツカ・オビナ(Festuca ovina);フェスツロリウム(Festuloliums)(ロリウム・X・フェスツカ交配(Lolium X Festuca crosses));カモガヤ(ダクティリス・グロメラタ(Dactylis glomerata));ケンタッキーブルーグラス・ポア・プラテンシス(Poa pratensis);ポア・パルストリス(Poa palustris);ポア・ネモラリス(Poa nemoralis);ポア・トリビアリス(Poa trivialis);ポア・コンプレサ(Poa compresa);ブロムス(Bromus)種;ファラリス(フレウム(Phleum)種);アレナテルム・エラティウス(Arrhenatherum elatius);アグロピロン(Agropyron)種;アベナ・ストリゴサ(Avena strigosa);及びセタリア・イタリカ(Setaria italic);
-暖地型牧草、例えば:ファラリス(Phalaris)種;ブラチアリア(Brachiaria)種;エラグロスティス(Eragrostis)種;パニクム(Panicum)種;バハイグラス(Bahai grass)(パスパルム・ノタツム(Paspalum notatum));ブラキポディウム(Brachypodium)種;
-バイオ燃料製造のために使用される草:例えば、スイッチグラス(Switchgrass)(パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)及びミスカンサス(Miscanthus)種;
-ファイバーフロップ(fiber frops):例えば、麻、ジュート、ココナッツ、サイザル、亜麻(リヌム属(Linum spp.))、ニュージーランドフラックス(New Zealand flax)(フォルミウム属(Phormium spp.));針葉樹及び広葉樹林種などの紙及びエンジニアリングウッド繊維製品用に収穫される植林及び天然林種;
-植林及びバイオ燃料作物で使用される木及び低木種:例えば、マツ(マツ属(Pinus)種);モミ(トガサワラ属(Pseudotsuga)種);スプルース(Spruce)(トウヒ属(Picea)種);サイプレス(Cypress)(イトスギ属(Cupressus)種);ワットル(Wattle)(アカシア(Acacia)種);ハンノキ(Alder)(ハンノキ属(Alnus)種);オーク種(カシ属(Quercus)種);アメリカスギ(Redwood)(セコイアデンドロン属(Sequoiadendron)種);ヤナギ(ヤナギ属(Salix)種);カバノキ(birch)(カバノキ属(Betula)種);スギ(ヒマラヤスギ属(Cedurus)種);トネリコ(Ash)(トネリコ属(Fraxinus)種);カラマツ(カラマツ属(Larix)種);ユーカリ属(Eucalyptus)種;タケ(タケ(Bambuseae)種)及びポプラ(ポプラ属(Populus)種);
-抽出、生物学的、物理的、又は生化学的処理によるエネルギー、バイオ燃料又は工業用製品への変換のために生育する植物:例えば、油生産植物、例えば、オイルパーム、ジャトロファ(jatropha)及び亜麻仁;
-ラテックス生産植物:例えば、パラゴムノキ(Para Rubber tree)、ヘベナ・ブラシリエンシス(Hevea brasiliensis)及びパナマゴムノ・キカスティヤエラスチカ(Panama Rubber Tree Castilla elastica);
-糖料作物(例えばビート、サトウキビ)、デンプン生産作物(例えば、C3及びC4穀類作物及び塊茎作物)、セルロース作物、例えば、森林材(例えば、マツ、ユーカリノキ(Eucalypts))、並びにグラミナセオウス(Graminaceous)及びポアセオウス(Poaceous)植物、例えば、タケ、スイッチグラス、ススキ(miscanthus)を含む、すなわち、バイオ燃料、工業用溶媒、又は化学製品、例えば、エタノール若しくはブタノール、プロパンジオール、又は他の燃料若しくは工業用材料の製造の間の化学的、物理的(例えば、熱的若しくは触媒的)、又は生化学的(例えば、酵素の前処理)、又は生物学的(例えば、微生物発酵)変換の後、バイオ燃料製造のための直接的又は間接的な原料として使用される植物;
-バイオチャーの製造の有無にかかわらず、バイオ燃料又は他の工業原料、例えば、溶媒又はプラスチックへのガスのガス化及び/又は微生物若しくは触媒変換によってエネルギー、バイオ燃料又は工業化学製造において使用される作物(例えば、バイオマス作物、例えば、球果植物、ユーカリノキ、暖地型又は広葉樹、グラミナセオウス(graminaceous)及びポアセオウス(poaceous)植物、例えば、タケ、スイッチグラス、ススキ(miscanthus)、サトウキビ、又は麻若しくは軟木、例えば、ポプラ、ヤナギ;
-バイオチャー製造において使用されるバイオマス作物;
-製薬、農業、ニュートラシューティカル(nutraceutical)及びコスメシューティカル(cosmeceutical)産業のために有用な天然産物を産生する作物:例えば、製薬前駆体若しくは化合物又はニュートラシューティカル及びコスメシューティカル化合物及び材料を産生する作物、例えば、スターアニス(シキミ酸)、ジャパニーズノットウィード(Japanese knotweed)(レスベラトロル)、キーウィフルーツ(可溶性繊維、タンパク質分解酵素);
-それらの美的又は環境特性のために生育する草花栽培、観賞植物及びアメニティー植物:例えば、花、例えば、バラ、チューリップ、キク;
-観賞植物低木、例えば、ツゲ属(Buxus)、ヘーベー属(Hebe)、ローザ属(Rosa)、ツツジ属(Rhododendron)及びキヅタ属(Hedera);
-アメニティー植物、例えば、プラタナス(Platanus)、ショワジア属(Choisya)、エスカロニア属(Escallonia)、ユーホルビア属(Euphorbi)及びスゲ属(Carex);並びに
-バイオレメディエーションのために生育する植物:ヒマワリ属(Helianthus)、アブラナ属(Brassica)、ヤナギ属(Salix)、ポプラ属(Populus)及びユーカリ属(Eucalyptus)。
【0041】
植物種には、限定されないが、コーン(トウモロコシ種(Zea mays))、アブラナ属(Brassica)種(例えば、B.ナプス(B.napus)、B.ラパ(B.rapa)、カラシナ(B.juncea))、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))、コメ(オリザ・サティバ(Oryza sativa))、ライムギ(セカレ・セレアレ(Secale cereale))、ソルガム(ソルガム・ビコロル(Sorghum bicolor)、ソルガム・ブルガレ(Sorghum vulgare))、キビ(例えば、パールミレット(pearl millet)(ペニセツム・グラウクム(Pennisetum glaucum))、プロソミレット(proso millet)(パニクム・ミリアセウム(Panicum miliaceum))、アワ(セタリア・イタリカ(Setaria italica))、シコクビエ(エレウシネ・コラカナ(Eleusine coracana)))、ヒマワリ(ヘリアンツス・アナス(Helianthus annuus))、ベニバナ(カルタムスチンクトリア(Carthamus tinctorius))、コムギ(トリーティクム・アエスティウム(Triticum aestivum))、大豆(グリシンマックス(Glycine max))、タバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))、ジャガイモ(ソラヌム・ツベロスム(Solanum tuberosum))、ピーナッツ(アラシス・ヒポガエア(Arachis hypogaea)、綿(ゴシピウム・バルバデンセ(Gossypium barbadense)、ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)、サツマイモ(イポモエア・バタタス(Ipomoea batatus))、キャッサバ(マニホト・エスクレンタ(Manihot esculenta))、コーヒー(コフィア属(Cofea spp.))、ココナツ(ココス・ヌシフェラ)(Cocos nucifera))、パイナップル(アナナス・コモサス(Ananas comosus))、柑橘属の木(シトラス属(Citrus spp.))、ココア(テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao))、チャノキ(カメリア・シネンシス(Camellia sinensis))、バナナ(バショウ属(Musa spp.))、アボカド(ペルセア・アメリカナ(Persea americana))、イチジク(フィクス・カシカ(Ficus casica))、グアバ(プシジウム・グアジャバ(Psidium guajava))、マンゴー(マンギフェラ・インディカ(Mangifera indica))、オリーブ(オレア・ユーロパエア(Olea europaea))、パパイア(カリカ・パパイア(Carica papaya))、カシュー(アナカルジウム・オクシデンタール(Anacardium occidentale))、マカダミア(マカダミア・インテグリフォリア(Macadamia integrifolia))、アーモンド(プルヌス・アミグダルス(Prunus amygdalus)、テンサイ(ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris))、サトウキビ(サッカラム属(Saccharum spp.))、トマト(ソヌラム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum))、レタス(例えば、ラクツカ・サティバ(Lactuca sativa))、インゲンマメ(ファセオルス ・ブルガリス(Phaseolus vulgaris))、ライマメ(ファセオルス・リメンシス(Phaseolus limensis))、エンドウマメ(レンリソウ属(Lathyrus spp.))、カリフラワー(ブラシカ・オレラセア(Brassica oleracea))、ブロッコリー(ブラシカ・オレラセア(Brassica oleracea))、カブ(ブラシカ・ラパ・バル・ラパ(Brassica rapa var.rapa))、ラディッシュ(ラファヌス・ラファニストルム亜種サティバス(Raphanus raphanistrum subsp. Sativus))、ホウレンソウ(スピナシア・オレアセア(Spinacia oleracea))、キャベツ(ブラシカ・オレラセア(Brassica oleracea))、アスパラガス(アスパラガス・オフィシナリス(Asparagus officinalis))、タマネギ(アリウム・セパ(Allium cepa))、ニンニク(アリウム・サティバム(Allium sativum))、コショウ(ピペラセア(Piperaceae))、例えば、パイパー・ニグラム(Piper nigrum)、パイパー・キュベバ(Piper cubeba)、パイパー・ロングム(Piper longum)、パイパー・レトロフラクツム(Piper retrofractum)、パイパー・ボルボネンス(Piper borbonense)及びパイパー・ギニーセ(Piper guineense)、セロリ(アピウム・グラベオレンス((Apium graveolens))、キュウリ属(Cucumis)、例えば、キュウリ(ククミス・サティバス(Cucumis sativus))、カンタロープ(ククミス・カンタルペンシス(Cucumis cantalupensis))及びマスクメロン(ククミス・メロ(Cucumis melo))、オーツムギ(アベナ・サティバ(Avena sativa))、オオムギ(ホルデウム・ブルガレ(Hordeum vulgare))、ウリ科の植物、例えば、スカッシュ(squash)(ククルビタ・ぺポ(Cucurbita pepo))、カボチャ(ククルビタ・マキシマ(Cucurbita maxima))及びズッキーニ(ククルビタ・ぺポ(Cucurbita pepo))、リンゴ(マルス・デメスチカ(Malus domestica))、セイヨウナシ(ナシ属(Pyrus spp.))、マルメロ(シドニア・オブロンガ(Cydonia oblonga))、プラム(プルヌス亜属プルヌス(Prunus subg.Prunus))、モモ(プルヌス・ペルシカ(Prunus persica))、サクランボ(例えば、プルヌス・アビヌム(Prunus avium)及びプルヌス・セラシス(Prunus cerasus))、ネクタリン(プルヌス・ペルシカ・バル・ヌシペルシカ(Prunus persica var.nucipersica))、アプリコット(例えば、プルヌス・アルメニアカ(Prunus armeniaca)、プルヌス・ブリガンチナ(Prunus brigantina)、プルヌス・マンドシュリカ(Prunus mandshurica)、プルヌス・ムメ(Prunus mume)、プルヌス・ツエンヘンシス(Prunus zhengheensis)及びプルヌス・シビリカ(Prunus sibirica))、イチゴ(フラガリア×アナナサ(Fragaria × ananassa))、ブドウ(ビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera))、ラズベリー(植物属キイチゴ属(Rubus))、ブラックベリー(ルブス・ウルシヌス(Rubus ursinus)、ルブス・ラシニアツス(Rubus laciniatus)、ルブス・アルグツス(Rubus argutus)、ルブス・アルメニアクス(Rubus armeniacus)、ルブス・プリカツス(Rubus plicatus)、ルブス・ウルミホリウム(Rubus ulmifolius)及びルブス・アレグヘニエンシス(Rubus allegheniensis))、ソルガム(ソルガム・ビコロル(Sorghum bicolor))、ナタネ(ブラシカ・ナプス(Brassica napus))、クローバー(シジギウム・アロマテカム(Syzygium aromaticum))、ニンジン(ダウクス・カロタ(Daucus carota)、レンズマメ(レンス・クリナリス(Lens culinaris))及びシロイヌナズナ(アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana))が含まれる。
【0042】
さらに、限定されないが、アジサイ(マクロフィラ・ハイドレンジア(Macrophylla hydrangea))、ハイビスカス(ハイビスカスロササネンシス(Hibiscus rosasanensis)、ペチュニア(ペチュニア・ヒブリダ(Petunia hybrida))、バラ(バラ属(Rosa spp.))、アザレア(ツツジ属(Rhododendron spp.))、チューリップ(チューリップ属(Tulipa spp.))、スイセン(スイセン属(Narcissus spp.))、カーネーション(ジアンサス・カリオフィロス(Dianthus caryophyllus))、ポインセチア(ユーフォルビア・プルケリマ(Euphorbia pulcherrima))及びキク(クリサンセマム・インジクム(Chrysanthemum indicum))を含む観賞植物種;並びに限定されないが、テーダマツ(ピヌス・テーダ(Pinus taeda))、タエダマツ(ピヌス・エリオティ(Pinus elliotii))、ポンデローサマツ(ピヌス・ポンデローサ(Pinus ponderosa))、ロッジポールマツ(ピヌス・コントルタ(Pinus contorta))及びラジアータマツ(ピヌス・ラジアータ(Pinus radiata))、ダグラスファー(シュードツガ・メンジエシー(Pseudotsuga menziesii))などの針葉樹マツを含む針葉樹種;アメリカツガ(ツガ・カナデンシス(Tsuga canadensis));ベイトウヒ(ピセア・グラウカ(Picea glauca));アメリカスギ(セコイア・セムペルビレンス(Sequoia sempervirens));トゥルーファー(true fir)、例えば、シルバーファー(アビエス・アマビリス(Abies amabilis))及びバルサムファー(balsam fir)(アビエス・バルサメア(Abies balsamea));並びにスギ、例えば、ウエスタンレッドシダー(ツジャ・プリカタ(Thuja plicata))及びアラスカイエローシダー(カマエシパリス・ノトカテンシス(Chamaecyparis nootkatensis))を挙げることができる。
【0043】
好ましくは、植物は、トマト(ソヌラム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum))、スイカ(ククルビタセアエ・ラナツス(Cucurbitaceae lanatus))、コショウ、ズッキーニ、キュウリ、メロン、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー及びバラからなる群において選択される。例えば、それらはトマトである。
【0044】
特に関心の高いトマトの分類は、ロングライフ、グローブド、クラスター、スムース又はサラダトマト、チェリー及びロマトマトからなる群において選択されることが可能である。いくつかの種類の例としては、アリカンテ(Alicante)、トルヒューロ(Trujillo)、ジェニオ(Genio)、カクテル(Cocktail)、ビーフステーキ(Beefsteak)、マルマンデ(Marmande)、コンキスタ(Conquista)、クマト(Kumato)、アドレーション(Adoration)、ベターボーイ(Better Boy)、ビッグレインボー(Big Raimbow)、ブラッククリム(Black Krim)、ブランドワイン(Brandwyne)、カンパリ(Campari)、カナリオ(Canario)、トムキン(Tomkin)、アーリーガール(Early Girl)、ガーデンピーチ(Garden peach)、ハノーバー(Hanover)、ジャージーボーイ(Jersey Boy)、ジュービリー(Jubilee)、マットズワイルドチェリー(Matt’s Wild Cherry)、ミクロトム(Micro Tom)、モンテソラ(Montesora)、モルトゲージリフター(Mortgage Lifter)、プラムトマト(Plum Tomato)、ラフトマト(Raf Tomato)、デリジア(Delizia)、ローマ(Roma)、サンマルザノ(San Marzano)、サントリニ(Santorini)、スーパースウィート(Super Sweet)10、トマキオ(Tomaccio)、ピアトマト(Pear Tomato)及びイエローピア(Yellow Pear)が含まれ得る。
【0045】
シリケート
本発明によるシリケートS1は、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の吸収を示す。
【0046】
光放射スペクトルは、キセノンランプ及び2つのモノクロメーター(1つは励起波長用、もう1つは放射波長用)を備えた、Jobin Yvon HORIBA Fluoromax-4+を使用して得られ得る。励起波長は370nmで固定され、そしてスペクトルは390~750nmで記録される。
【0047】
吸収は拡散反射スペクトルから得られ得る。そのようなスペクトルは、キセノンランプ、及び同期して作業することが可能な2つのモノクロメーター(1つは励起波長用、もう1つは放射波長用)を備えた、Jobin Yvon HORIBA Fluoromax-4+分光計を使用して記録することができる。生成物に関して、波長のそれぞれの所与の値に対して、反射(Rproduct)値(強度)が得られ、それによって最終的に反射スペクトル(波長の関数でのRproduct)が得られる。BaSO4の第1の反射(Rwhite)スペクトルを280nm~500nmで記録する。BaSO4スペクトルは、100%の光反射に相当する(「白色」と称される)。黒色炭素の第2の反射(Rblack)スペクトルを280nm~500nmで記録する。黒色炭素スペクトルは、0%の光反射に相当する(「黒色」と称される)。試料反射(Rsample)スペクトルを280nm~500nmで記録する。各波長について、以下の関係が計算される:A=1-R(式中、Rは、(Rsample-Rblack)/(Rwhite-Rblack)に等しく、すなわち、A=(Rwhite-Rsample)/(Rwhite-Rblack)であり、これは、それぞれの波長における吸収を表し、且つ(波長の関数での)吸収スペクトルを提供する)。
【0048】
本発明で使用されるシリケートS1は、少なくともバリウム、マグネシウム及びケイ素を含む化合物であり得る。好ましくは、シリケートS1において、バリウム及びマグネシウムは少なくとも1つの他の要素:例えば、ユウロピウム、プラセオジミウム及び/又はマンガンによって置換されていてもよい。
【0049】
シリケートS1は、特に式(I):
aMO.a’M’O.bM’’O.b’M’’’O.cSiO2 (I)
(式中、M及びM’’は、ストロンチウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、且つM’及びM’’’は、ユウロピウム、マンガン、プラセオジミウム、ガドリニウム、イットリウムからなる群から選択され、0.5<a≦3、0.5<b≦3、0<a’≦0.5、0<b’≦0.5及び1≦c≦2である)の化合物であり得る。
【0050】
フィルムは、シリケートS1に加えて、(例えば痕跡量で、)例えばBa2SiO4などの他の種類のシリケートを含み得る。
【0051】
シリケートS1は、特に式(II):
aBaO.xEuO.cMgO.yMnO.eSiO2 (II)
(式中、(式中、0.5<a≦3、0<x≦0.5、0<c≦1、0<y≦0.5、1≦e≦2である)の化合物である。
【0052】
好ましくは、a+b+c+d+eは、90重量%~100重量%、より好ましくは95重量%~99重量%、通常、98重量%以上を構成する。
【0053】
式(II)において、好ましくは、0.0001≦x≦0.4及び0.0001≦y≦0.4、より好ましくは、0.01≦x≦0.35及び0.04≦y≦0.15である。
【0054】
式(II)の化合物において、バリウム、マグネシウム及びケイ素は、上記されるもの以外の要素によって部分的に置換されてもよい。したがって、バリウムは、約30%までであり得る割合でカルシウム及び/又はストロンチウムによって部分的に置換されていてもよく、この割合は、置換/(置換+バリウム)原子比によって表される。マグネシウムは、約30%であり得る割合で亜鉛によって部分的に置換されていてもよく、この割合も、Zn/(Zn+Mg)原子比によって表される。最後に、ケイ素は、約10%であり得る割合でゲルマニウム、アルミニウム及び/又はリンによって部分的に置換されていてもよく、この割合は、置換/(置換+ケイ素)原子比によって表される。
【0055】
ユウロピウムでドープされたケイ酸バリウムマグネシウムが青色範囲で放射するのに対して、ドーパントとしてマンガンが存在することによって、この化合物の放射を赤色範囲の方へ向かわせることが可能である。Eu/Mn比を変更することによって、本発明の添加剤の放射の測色を調整することが可能である。
【0056】
式(II)のシリケートS1において、バリウム、マグネシウム及びケイ素は、好ましくは、ユウロピウム及びマンガン以外の元素によって置換されない。
【0057】
式(II)のシリケートS1は、
-Ba2.7Eu0.3Mg0.9Mn0.1Si2O8,
-Ba2.7Eu0.3Mg0.8Mn0.2Si2O8,
-Ba2.94Eu0.06Mg0.95Mn0.05Si2O8,
-Ba2.9Eu0.1Mg0.95Mn0.05Si2O8、及び
-BaMg2Si2O7:Eu,Mn
からなる群において選択され得る。
【0058】
シリケートS1は、式(III):
Ba3(1-x-y)Eu3xPr3yMg1-zMnzSi2(1-3v/2)M3vO8 (III)
(式中、Mは、アルミニウム、ガリウム又はホウ素であり、0<x≦0.3、0<y≦0.1、0<z≦0.3、0≦v≦0.1である)の化合物にも相当し得る。
【0059】
本発明のために使用されるシリケートS1は、高温でのソリッドステート反応によって一般に調製される。
【0060】
出発材料として、必要とされる金属酸化物、又は加熱によってこれらの酸化物を形成することができる有機若しくはミネラル化合物、例えば、前記金属の炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩若しくはホウ酸塩を直接的に使用することが可能である。
【0061】
微細形態の全ての出発材料の適切な濃度での密接な混合物が形成される。
【0062】
例えば水性媒体中での所望の酸化物の前駆体の溶液及び/又は酸化物のスラリーを使用して、共沈によって出発混合物を調製することは想像され得る。
【0063】
次いで、出発材料の混合物は、1時間~約100時間の期間、約500℃~1600℃の温度で、少なくとも1回加熱される。全ユウロピウムを二価型にするために、還元雰囲気、例えばアルゴン中の水素下で、少なくとも部分的に加熱を実行することが好ましい。加熱ステップの前に、BaF2、BaCl2、NH4Cl、MgF2、MgCl2、Li2B4O7、LiF、H3BO3などのフラックスを原材料混合物に添加してもよい。
【0064】
本発明において使用されるシリケートは、特に、国際公開第2004/044090号パンフレット、国際公開第2004/041963号パンフレットに記載されるように製造され得る。
【0065】
シリカ懸濁液及び出発材料、例えば硝酸塩を混合し、続いて、スプレー乾燥及び焼成、特に空気及び/又は還元雰囲気による焼成を行うことによって、本発明のシリケートを製造することも可能であり得る。そのようなシリケートは、特に国際公開第2016/001219号パンフレットに記載されるように製造され得る。
【0066】
そのようにして得られるシリケートの形態、モルフォロジー、粒径又は粒径分布に対する限定はない。これらの生成物は、適用媒体中でのそれらの相溶性又は分散性を促進するために、摩砕、微粒状化、スクリーニング及び特に有機添加剤によって表面処理されてよい。
【0067】
シリケートS1の粒子は、好ましくは、特定の時間が経っても分散が安定のままであるようなものである。
【0068】
シリケートS1は、1μm~50μm、より好ましくは、2μm~10μmの径D50を有する固体粒子、例えば結晶化粒子の形態である。シリケートS1は、0.1μm~1.0μm、好ましくは、0.1μm~0.5μmの径D50を有する固体粒子、例えば結晶化粒子の形態でもあり得る。
【0069】
D50は、統計学で使用される通常の意味を有する。D50は、分布のメジアン値に相当する。それは、粒子の50%が前記径以下であり、そして粒子の50%が前記径以上であるような粒径を表す。D50は、レーザー回折粒径分析器によって得られる(体積での)粒子の径の分布から決定される。機器Malvern Mastersizer 3000が使用され得る。
【0070】
マトリックス
本発明によると、マトリックス材料として、好ましくは、透明光硬化性ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、ガラス基材又はこれらのいずれかの組み合わせが使用可能である。このマトリックスは、天然又は非天然繊維、例えば、絹、羊毛、綿若しくは麻、又はビスコース、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル及びそのコポリマーであり得る。マトリックスは、ミネラルガラス(シリケート)又は有機ガラスでもあり得る。マトリックスは、特に熱可塑性型のポリマーに基づいてもよい。マトリックスは少なくとも1つのポリマーを含み得るか、又はマトリックスはポリマーであり得る。
【0071】
ポリマー材料として、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ブタジエンスチレンポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸スチレン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチルビニルアセテートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンテトラフルオレチレンコポリマー(ethylene tetrafluorethylen copolymer)、フェノールポリマー、メラミンポリマー、尿素ポリマー、ウレタン、エポキシ、不飽和ポリエステル、ポリアリルスルホン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルカーボネート、ポリ乳酸、フェノール樹脂、シリコーンが使用可能である。
【0072】
光硬化性ポリマーとして、好ましくは、数種類の(メタ)アクリレートが使用可能である。例えば、未置換のアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート;置換されたアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシル基、エポキシ基又はハロゲン置換アルキル(メタ)アクリレート;シクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0073】
マトリックス材料は、特に(標準方法ISO1133に従って)MFI装置を使用して、試料を5分間190℃で予熱し、使用された重量が2.16kgであった場合に決定された場合、ポリエチレンに関しては好ましくは0.1~50g/10分、より好ましくは0.1~7g/10分、そしてエチルビニルアセテートコポリマーに関しては0.7~4グラム/分の範囲のメルトフローインデックスを有し得る。
【0074】
熱硬化性ポリマーとして、好ましくは、公知の透明熱硬化性ポリマーが使用可能である。
【0075】
熱可塑性ポリマーとして、熱可塑性ポリマーの種類は特に制限されない。例えば、天然ゴム(屈折率(n)=1.52)、ポリイソプレン(n=1.52)、ポリ1,2-ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.51)、ポリブテン(n=1.51)、ポリ-2-ヘプチル-1,3-ブタジン(butadine)(n=1.50)、ポリ-2-t-ブチル-1,3-ブタジン(butadine)(n=1.51)、ポリ-1,3-ブタジン(butadine)(n=1.52)、ポリオキシエチレン(n=1.46)、ポリオキシプロピレン(n=1.45)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.45)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.46)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.46)、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリエステル、例えば、ポリビニルプロピオネート(n=1.47)、ポリウレタン(1.6へのn=1.5)、エチルセルロース(n=1.48)、ポリ塩化ビニル(n=1.54~1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.63)、ポリスルフィド(n=1.60)、フェノキシ樹脂(n=1.5~1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.47)、ポリブチルアクリレート(n=1.47)、ポリ-2-エチルヘキシルアクリレート(n=1.46)、ポリ-t-ブチルアクリレート(n=1.46)、ポリ-3-エトキシプロピルアクリレート(n=1.47)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.47)、ポリメチルアクリレート(n=1.47~1.48)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.47)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.47)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.47)、ポリ-n-プロピルメタクリレート(n=1.48)、ポリ-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.48)、ポリエチルメタクリレート(n=1.49)、ポリ-2-ニトロ-2-メチルプロピルメタクリレート(n=1.49)、ポリ-1,1-ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.49)、ポリ(メタ)アクリレート、例えばポリメチルメタクリレート(n=1.49)、又はこれらのいずれかの組み合わせが、所望の通り、好ましくは使用可能である。
【0076】
本発明のために適切である熱可塑性ポリマーの例として、ポリカーボネート、例えば、ポリ[メタンビス(4-フェニル)カーボネート]、ポリ[1,1-エーテルビス(4-フェニル)カーボネート]、ポリ[ジフェニルメタンビス(4-フェニル)カーボネート]、ポリ[1,1-シクロヘキサンビス(4-フェニル)カーボネート]及び同一系統群のポリマー;ポリアミド、例えば、ポリ(4-アミノ酪酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(6-アミノヘキサン酸)、ポリ(m-キシリレンアジパミド)、ポリ(p-キシリレンセバカミド)、ポリ(2,2,2-トリメチルヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタラミド)、ポリ(p-フェニレンテレフタラミド)及び同一系統群のポリマー;ポリエステル、例えば、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレン-1,5-ナフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)、ポリ(パラ-ヒドロキシベンゾエート)、ポリ(1,4-シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及び同一系統群のポリマー;ビニルポリマー及びそのコポリマー、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル;ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー及び同一系統群のポリマー;アクリルポリマー、ポリアクリレート及びそのコポリマー、例えば、ポリエチルアクリレート、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(n-プロピルメタクリレート)及びエチレンブチルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリル酸)、エチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、メチルスチレンメタクリレートコポリマー、エチレン-エチルアクリレートコポリマー、メタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー、ABS及び同一系統群のポリマー;ポリオレフィン、例えば、低密度ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、並びに一般に最高1%までで使用され得る1-ブテン及び1-ヘキセンなどの他の[アルファ]-オレフィンと共重合されたエチレン及びプロピレンの[アルファ]-オレフィンが記載され得る。使用される他のコモノマーは、環式オレフィン、例えば、1,4-ヘキサジエン、シクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンであり得る。コポリマーは、カルボン酸、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸でもあり得る。最後に、低密度塩素化ポリ(エチレン)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(エチレン)及びポリ(スチレン)が記載され得る。
【0077】
これらの熱可塑性ポリマーの中で、特に最も好ましいものは、ポリエチレン及びコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン合成によって得られるポリエチレン、エチル-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、(コ)ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン-ビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、並びにこれらの(コ)ポリマーに基づく混合物及びコポリマーである。
【0078】
組成物
本発明に関連して使用される組成物は、本発明によって使用されるマトリックス及びシリケートを少なくとも含む。シリケートS1は、マトリックス中に分散していてもよく、そして本発明のフィルムは、マトリックスと、マトリックス中のシリケートの分散した粒子とを含み得る。好ましくは、シリケートS1は、ポリマー中に分散し得、そして本発明で使用されるフィルムは、ポリマーと、ポリマー中のシリケートの分散した粒子とを含み得る。
【0079】
フィルム中のシリケートの量は、フィルムの総量に対して、特に0.01~10重量%、特に0.1重量%~5重量%、そしてより特に0.3~3重量%であり得る。好ましくは、この量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9及び2、並びにこれらの値によって得られる全ての範囲と等しい。
【0080】
組成物は、特に青色又は赤色光を放射する、1つ以上の追加的な無機蛍光性材料を任意選択的にさらに含むことが可能である。青色又は赤色光を放射する追加的な無機蛍光性材料として、例えば、Phosphor handbook(Yen,Shinoya,Yamamoto)の第2章に記載されるような、いずれの種類の公知の材料も、所望であれば使用可能である。
【0081】
組成物は、他の添加剤、例えば、安定剤、可塑剤、難燃剤、染料、光学増白剤、潤滑剤、抗ブロック剤、マッティング剤、加工剤、エラストマー又はエラストメリック組成物、例えば、アクリルコポリマー又はメタクリレート-ブタジエンスチレンコポリマー(フィルムの可撓性又は機械的強度を改善するためのもの)、接着剤、例えば、ポリアミドへの接着を可能にする無水マレイン酸とグラフト化されたポリオレフィン、材料中のシリケートのより良好な分布を可能にする分散剤、或いは多層熱可塑性フィルムの構造の調製のために必要とされる他のいずれかの添加剤、特にグリーンハウス用のフィルムを製造するために既知であり、しばしば使用されるもの、例えば、ノンドリップ(nondrip)若しくは曇り防止添加剤、又は触媒も含み得る。この一覧は本質的に限定的ではない。
【0082】
マトリックス中、特に上記のポリマーなどの種類の高分子化合物中でのシリケートの分散体を得るためのいずれの方法も、本発明によって使用される組成物及びフィルムを調製するために使用され得る。
【0083】
ポリマーへのシリケート及び任意のさらなる成分の組み込みは、粉末の形態での乾式ブレンド、又は例えば不活性溶媒、水若しくは油中での溶液、分散体若しくは懸濁液の形態での湿式混合などの既知の方法によって実行され得る。シリケート及び任意のさらなる添加剤は、例えば、成形の前若しくは後に、又はポリマー材料への溶解若しくは分散した添加剤若しくは添加剤混合物の適用によって、溶媒若しくは懸濁/分散剤のその後の蒸発の有無にかかわらず、組み込まれ得る。それらは、例えば、乾式混合物若しくは粉末として、又は溶液、又は分散体、又は懸濁液又は溶融体として、加工装置(例えば押出機、内部混合機)中に直接添加されてもよい。
【0084】
特に第1のプロセスは、溶融形態のポリマーコンパウンド中でシリケート及び他の上記添加剤を混合することと、任意選択的に、良好な分散を達成するために、例えば、二軸押出形成デバイス中で、混合物に高剪断を受けさせることとからなる。別のプロセスは、ポリマー媒体中でモノマーと分散させるために、添加剤を混合することと、次いで、重合を実行することとからなる。
【0085】
別のプロセスは、溶融形態のポリマーと、例えば、上記のプロセスの1つに従って調製されたポリマー及び分散された添加剤の濃縮ブレンド(マスターバッチ)を混合することからなる。マスターバッチ用のポリマー及びマトリックスのポリマーは、同一種類であっても、又は異なってもよい。2つのポリマーは、好ましくは、均質な混合物を形成するように相溶性である。例えば、ポリマーがエチレン-酢酸ビニルコポリマーである場合、他のポリマーは同一のエチレン-酢酸ビニルコポリマー、若しくは異なるものであり得るか、又は相溶性ポリマー、例えば、ポリエチレンであり得る。マスターバッチは、上に記載された同じ従来技術によって調製され、例えば、それは、押出機を用いて調製され得る。マスターバッチを使用する利益は、高い剪断速度を示す混合装置を使用して、粒子が十分に予備分散され得ることである。種々の添加剤(例えば、上記される架橋剤、補助剤)は、いずれか1つのポリマー中に存在し得るか、又は別々に添加され得る。
【0086】
本発明に関連する組成物を調製するためのプロセスにおいて、ポリマー(ポリマー1)及びシリケート、又はポリマー(ポリマー1)とポリマー(ポリマー2)中に予備分散されたシリケートとを含むマスターバッチは押出成形される。
【0087】
シリケートは、いずれかの形態で、高分子化合物用の合成媒体中に、又は熱可塑性ポリマー溶融体中に導入され得る。それは、例えば、固体粉末の形態で、又は水中若しくは有機分散剤中の分散体の形態で導入され得る。
【0088】
例えば撹拌によって、マトリックス中で粉末の形態でシリケート化合物を直接分散させることも、或いは液体又はペースト状媒体中で粉末濃縮物を調製し、次いでこれをマトリックスに添加することも可能である。濃縮物は、任意選択的に、極性若しくは非極性であり得、そのデカンテーションを避けるために混合物の安定化のために必要とされ得る、界面活性剤、水溶性若しくは疎水性ポリマー、又は親水性若しくは疎水性末端を含むポリマーと一緒に、水性又は溶媒媒体中で調製され得る。濃縮物の組成物中に含まれ得る添加剤に対する制限はない。
【0089】
フィルム
本発明に関連するグリーンハウスフィルムは、種々の形状、例えば、プレート、フラットシート、正方形、長方形、円形、壁、トンネル、楕円形、半円形、シェルター、保護シート及びグリーンハウスの建築材料であり得る。
【0090】
本発明によって使用されるフィルムは、少なくともマトリックスと、シリケートS1、好ましくはシリケートS1の分散粒子とを含み、前記シリケートS1は、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収を示す。
【0091】
本発明に関連するフィルムは、そのまま使用され得るか、別のフィルム若しくはガラスなどの別の基材上に付着させられ得るか、又はそれと組み合わせられ得る。この付着又はこの組み合わせは、例えば、共押出、積層及びコーティングの既知の方法によって調製され得る。多層構造は、フィルムの構成中で支配的である支持成分を構成し得る1つ以上の熱可塑性ポリマー、例えばポリエチレン若しくはポリ塩化ビニルの1つ以上の他の層へ共押出バインダーの層を介して組み合わせて、本発明に従って使用される材料の1つ以上の層から形成され得る。そのようにして得られたフィルムは、プラスチックの変換に関する既知の技術に従って、一軸又は二軸延伸され得る。シート又はプレートは、所望の形状を得るために、切断、熱形成、又はスタンプされ得る。
【0092】
フィルムは、プラズマ、ウェブコーティング又は電子ビームコーティングによって適用される上記ポリマー、又はシリコーンベースのコーティング(例えば、SiOx)、又は酸化アルミニウム、又は他のいずれかのコーティングによってコーティングされることが可能である。
【0093】
本発明に関連するフィルムは、共押出形成、押出成形コーティング、積層、蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルジョンコーティング及び/又は懸濁コーティングの1つ以上を含む、従来の、又は適切ないずれかの方法によって一緒に結合されたポリマー又は他の材料から形成された少なくとも2つの層を有する、多層フィルムでもあり得る。多層フィルムの層の少なくとも1つは、少なくともシリケートS1を含む。
【0094】
一般にフィルムは透明且つ可撓性である。
【0095】
フィルムの層厚は、50μm~1mm、好ましくは100μm~800μm、より好ましくは200μm~700μmの範囲であり得る。
【0096】
本発明に関連するフィルムは、80%以上、好ましくは85%~98%の透過率を示し得る。透過率は、例えば標準法ASTM D1003に従って、BYKからのGardner Haze-gard i(4775)Haze Meterを用いて測定され得る。
【0097】
用途
本発明は、光処理によって、成長媒体中の植物に本発明によるグリーンハウスフィルムを提供することによって、植物の花の発達を増加させる方法にも関する。本発明は、花の発達がグリーンハウスフィルムによって提供される光放射によって促進される、植物の花の発達を増加させる方法にも関する。本発明は、植物がグリーンハウスフィルムを含むグリーンハウス中にある、植物の花の発達を増加させる方法にも関する。
【0098】
フィルムは、植物を包囲する影響から保護するために、グリーンハウスのカバー(ルーフ、壁)を形成することが可能であるか、又は除草剤及び/又は殺虫剤の人工撒水又はスプレーなどの内部から発生する影響から植物若しくは植物の一部をカバーするか、若しくは保護するために、フィルムをグリーンハウスの内部に使用することができる。
【0099】
成長媒体は、植物が耕作され得る周知の耕種学的に適切な媒体である。例としては、耕種学的に適切な成分(例えば、砂、土、バーミキュライト、泥炭);寒天ゲル;及び種々の水耕法媒体、例えば、水、ガラスウール若しくはPerlite(登録商標)を含有する種々の媒体のいずれも挙げられる。水及びミネラル栄養分は、いずれの園芸又は農業操作にも必須である2つのインプットであり、そして、これらの物質の適用の管理は、収量及び品質に多大な影響を及ぼす可能性がある。植物に必要な条件を満たすために、これらの2つの物質を適用することができる、非常に多数の種類の方法がある。いくつかの実施形態において、それらを土又は無土壌基材(すなわち、コココイア、泥炭など)に適用することができ、その場合、土又は無土壌基材は水及び鉱物栄養を吸収し、これらの物質のための貯蔵所として機能する。他の実施形態において、フラッディング、ミスティング、ドリッピング、ウイッキング、又は根の直接浸水によって水及びミネラル栄養分への一定の直接接近が提供される水耕法のシステムにおいて、それらを供給することもできる。植物の根は、溶液中で、又は基材中に直接発達させることもできる。植物が基材中で水耕法によって生育する場合、それは「媒体ベースの水耕栽培」と呼ばれる。基材が高いカチオン交換容量(及びアニオン交換容量)を有する場合、及び基材がカチオン/アニオン交換容量をほとんど有さないか若しくは有さない時の媒体ベースの水耕栽培は、典型的に無土壌生産として分類される。水耕法の基材の例としては、限定されないが、ココナッツ繊維、バーミキュライト、真珠岩、膨張粘土ペレット及びロックウール(ストーンウール)が含まれる。
【0100】
光処理は、太陽光又は人工照明のいずれであっても、生育期を通して、長期の光合成の高いレートのために十分な強度及び期間を有し得る。適切な照明強度は、400~2000μモル/m2/秒、光合成有効放射(400~700nm)の範囲であり、直射日光は通常十分な照明を提供する。例えば、人工照明は、LED又はナトリウム及び/又は水銀ランプを用いて得られ得る。
【0101】
熱処理は、通常10℃~35℃以上の範囲で、最適生育のために植物に適用され得る。
【0102】
上記の通り、花の発達は、特に、植物によって発生した花の数、開花した花の数、それらのサイズ及び/又は品質を含み、花の収量の改善を導くものである。
【0103】
本発明による花の発達は、未処置の植物と比較して、植物によって発生した花の数の少なくとも5%、好ましくは10%~80%、好ましくは15%~50%の増加が考えられ得る。これは、例えば、植物あたり、ロットあたり、又はm2あたりで算出され得る。花のサイズは、花の重量、長さ、面積、直径、円周又は体積を含み得る。
【0104】
好ましい実施形態において、花発生の増加は、未処置の対照植物のそれぞれの値と比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、85%、95%、100%、150%、200%の花発生の正味増加であり、これは、収穫植物あたりの花の数、収穫植物あたりの花の重量、又は収穫植物あたりの花の全収量に相当する。
【0105】
花の発生は、一般に、収穫植物あたりの花の全キログラム、収穫植物あたりの花あたりの平均キログラム、収穫植物あたりの花の全数、及び収穫植物あたりの花の平均数で表される。
【0106】
本発明は、任意選択的に保存剤液体を含み、少なくともマトリックス及びシリケートS1を含むフィルムを少なくとも含む保存容器に、1つ以上の花の切断茎端部を挿入することを含む、切断花を保存する方法にも関する。本発明は、少なくともマトリックス及びシリケートS1を含むフィルムを少なくとも含む保存容器にも関する。
【0107】
本発明は、任意選択的に保存剤液体を含み、少なくともマトリックス及びシリケートS1、好ましくはシリケートS1の分散粒子を含むフィルムを少なくとも含む保存容器に、1つ以上の花の切断茎端部を挿入することを含む、切断花を保存する方法であって、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収を示す方法にも関する。
【0108】
本発明は、少なくともマトリックス及びシリケートS1、好ましくはシリケートS1の分散粒子を含むフィルムを少なくとも含む、特に切断花を保存するための保存容器であって、前記シリケートS1が、
(a)400nm~500nm、好ましくは420nm~455nmの範囲の第1のピーク波長及び550nm~700nm、好ましくは590nm~660nmの範囲の第2のピーク波長を有する光放射、並びに
(b)440nmより高い波長において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、可能であれば5%以下の吸収を示す保存容器にも関する。
【0109】
実際に、本発明に従って使用されるフィルムは、切断端部又は根、茎/葉及び/又は花を含有することによって、切断されたか、又は根付きの花の新鮮さを保存することも可能にし得る。これによって、良好な植物及び切断花の保存が特に可能になり得、輸送、地域の卸売り及び花屋による小売ディスプレーの後、顧客は花をより長く楽しむことが可能となる。
【0110】
そのような密封可能な容器は、好ましくは包装された花の束の形状に順応する形状、例えば多くの花束の実質的に円錐形の形状を有する、本発明で使用されるフィルムを含む。密封可能な容器は、外部環境とのガス交換のためにガスが中及び/又は外に移動することを可能にする液体及び/又はガス交換ミシン目も含み得る。
【0111】
実験の部
本発明を以下の非限定的な実施例によって、さらに例証する。
【0112】
実施例1:Ba2.7Eu0.3Mg0.9Mn0.1Si2O8の合成
以下のプロセスに従って、Ba2.7Eu0.3Mg0.9Mn0.1Si2O8(P1)の粒子を合成する。
【0113】
以下の組成を有する、バリウム、マグネシウム、ユウロピウム及びマンガン硝酸塩の混合物から、水溶液を製造した。
Ba(NO3)2 113.51g
Mg(NO3)3.6H2O 37.11g
Mn(NO3)2.4H2O 4.00g
Eu(NO3)3 40.44g
【0114】
この硝酸塩混合物に水を添加して、0.27モル/lの最終カチオン濃度に到達させた。ヒュームドシリカ(比表面積:50m2/g)懸濁液も0.71モル/lのSi濃度で調製した。硝酸塩溶液とヒュームドシリカの懸濁液とを混合して、全懸濁液を得た。
【0115】
この懸濁液を、350℃の入口側温度及び140℃の出口側温度を有するフラッシュ噴霧乾燥器で乾燥させた。乾燥生成物を、空気下900℃で6時間、次いで、Ar/H2(95/5)雰囲気下1200℃で6時間焼成した。
【0116】
この粒子は5.2μmのサイズD50を有する。
【0117】
この粒子は以下を示す:
(a)438nmの第1のピーク波長及び620nmの範囲の第2のピーク波長を有する、光放射、並びに
(b)440nmより大きい波長において10%より低い吸収。
【0118】
実施例2:Ba2.94Eu0.06Mg0.95Mn0.05Si2O8の合成
以下のプロセスに従って、Ba2.94Eu0.06Mg0.95Mn0.05Si2O8(P2)の粒子を合成する。
【0119】
以下の組成を有する、バリウム、マグネシウム、ユウロピウム及びマンガン硝酸塩の混合物から、溶液を製造した。
Ba(NO3)2 124.60g
Mg(NO3)3.6H2O 39.49g
Mn(NO3)2.4H2O 2.01g
Eu(NO3)3 8.15g
【0120】
この硝酸塩混合物に水を添加して、0.27モル/lの最終カチオン濃度に到達させた。ヒュームドシリカ(比表面積:50m2/g)懸濁液も0.71モル/lのSi濃度で調製した。硝酸塩溶液とヒュームドシリカの懸濁液とを混合して、全懸濁液を得た。
【0121】
この懸濁液を、350℃の入口側温度及び140℃の出口側温度を有するフラッシュ噴霧乾燥器で乾燥させた。乾燥生成物を、空気下900℃で6時間、次いで、Ar/H2(95/5)雰囲気下1200℃で6時間焼成した。
【0122】
この粒子は5.2μmのサイズD50を有する。
【0123】
この粒子は以下を示す:
(a)438nmの第1のピーク波長及び620nmの範囲の第2のピーク波長を有する、光放射、並びに
(b)440nmより大きい波長において10%より低い吸収。
【0124】
実施例3:ポリマーフィルムの製造
本実施例は、それぞれフィルム1及びフィルム2を製造するための、ポリマーフィルム中での実施例1及び2の粒子の使用を例証する。
【0125】
90重量%のエチレン/酢酸ビニルコポリマー(DuPontから市販されているElvax(登録商標)150)及び10重量%のシリケートを含むマスターバッチMB1を、共回転二軸押出機タイプPrism 25D(直径16mm及びL/D比 25;スクリュープロファイル25.5)を使用して調製した。
【0126】
エチレン/酢酸ビニルコポリマー及びシリケートMP1のペレットを回転混合機中で10分間予備混合し、次いで、以下の条件下で押出機に導入した。
【0127】
【0128】
このようにしてマスターバッチMB1をペレットの形態で得た。
【0129】
フィルム1を得るために、402gのMB1を、7650gの純エチレン/酢酸ビニルコポリマー(最終組成物中0.5重量%のシリケート装填に相当する)と回転ブレンダー中で10分間混合し、次いで、スロットダイ(幅300mm及び厚さ450~500ミクロン)を備えた共回転二軸押出機Leistritz LMM 30/34型(直径34mm及びL/D比 25、スクリュープロファイル:脱気なしのL16)を使用して押出成形した。押出成形パラメーターを次の表に報告する。
【0130】
【0131】
1206gのMB1を、6848gの純エチレン/酢酸ビニルコポリマー(最終組成物中1.5重量%のシリケート装填に相当する)と混合することによってフィルム2を得るためことによって、類似のフィルムを調製した。
【0132】
平均で450μmの厚さが得られた。
【0133】
フィルム1は90.6%の透過率を有し、そしてフィルム2は85.7%の透過率を有した(標準法ASTM D1003に従って、BYKからのGardner Haze-gard i(4775)Haze Meterを用いて測定した)。
【0134】
得られたフィルム1は、365nmの波長で照明を受けた場合、深紅色を放射する。
【0135】
得られたフィルム2は、365nmの波長で照明を受けた場合、深紅色を放射する。
【0136】
いかなる粒子も含まないフィルム0も製造される。フィルム0は、365nmの波長で照明を受けた場合、いかなる色も放射しない。
【0137】
実施例4:農学的試験
フィルム1、2及び3を使用いたグリーンハウス中のプラスチックルーフの下でトマト作物の農学的挙動の評価を行った。
【0138】
これらの試験は、全面積20m2の特別なグリーンハウス中で実行した。このグリーンハウスを5つの異なるケージで分割し、そしてそれぞれのケージのルーフに異なるフィルムプラスチックカバーを取り付けた。このグリーンハウスは、自動化システムによって制御された冷却装置によるアクティブ環境制御システムを備えたものであり、設定点温度及び冷却活性化は26℃に設定された。トマト作物を基材中、ココナッツ繊維バッグ中で生育した。トマト作物の潅水及び施肥は、対のドリッパー線の列がそれぞれの植物に位置し、そして同一ドロッパー-ホルダーブランチ中に放出器が50cmおきに位置する点滴灌漑システムの使用によって実行した。点滴灌漑の設置は、3リットル/時間/ドリッパーの単位フローの自己補正ドリッパーを有した。この試験の間に使用される施肥潅漑システムは、プログラマー及び濃縮栄養分溶液の1つのタンクを備えた潅水ユニットによって自動的に制御された。
【0139】
冬-春トマトの収穫サイクルの間(5ヵ月間)、現場試験を展開した。苗床中での発芽から20日齢超であり、3枚の葉が完全に発達したトマト作物(ソヌラム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum)変種「トルヒューロ(Trujillo)」)をグリーンハウスに移植した。
【0140】
使用された植物密度は、1m2あたり6つの植物であった。この試験の間、トマト作物は、グリーンハウスのワイヤー構造に垂直に連結されたブラックポリプロピレンコードを使用して導かれた。トマト収穫サイクルの全期間は131日であった。
【0141】
3つの異なるプラスチックフィルムの設置は、トマト作物を移植する前に、グリーンハウス内で実行された。グリーンハウスのそれぞれのケージが異なる実験的な処理であるように、異なるプラスチックフィルムをそれぞれのケージのルーフに取り付けた。1つの実験トリートメント(ケージ)あたり、6つの植物があった。評価される実験トリートメントをグリーンハウス内に分布し、次いで、ブロックの分布が行われた。
【0142】
全ての試験期間、気温は冷却システムを使用して連続的に制御された。26℃の設定点温度を超えると、トリートメントの外側から内部へと空気を放出することによって冷却システムは活性化し、それによって、空気の入れ替え及び気温低下が可能となる。
【0143】
トマト作物の発達の間の7つの異なる時点で種々のパラメーターを測定した。
【0144】
それぞれの測定において、それぞれのトリートメントの6つのトマト植物が評価された。測定されるパラメーターは、以下の通りであった:茎の基部直径、植物の長さ、発達した葉の数、開花の数。開花の数は、連続4ヶ月間、2週おきに数えられた。花の授粉は、手動による花振動システムによって実行された。
【0145】
(4つの収穫エピソードの間の)収穫のそれぞれのエピソードにおいて収穫された収量は、それぞれの実験トリートメント中の花の数を測定することによって特徴づけられた。この特徴づけは、実験トリートメントあたり6つの植物の群のそれぞれの植物で実行された。
【0146】
以下の表1に結果を報告する。
【0147】
【0148】
本発明に従って、グリーンハウスフィルム中で特定のシリケートを使用することによって、いずれのシリケートも含まないフィルムと比較して、植物の花の発達を増加させることが可能であるように見える。
【国際調査報告】