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特表2022-551168歯科修復物を製造するための歯科ブロックを機械加工する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】歯科修復物を製造するための歯科ブロックを機械加工する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/77 20170101AFI20221130BHJP
   B23C 3/00 20060101ALI20221130BHJP
   B24B 19/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A61C5/77
B23C3/00
B24B19/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521439
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2020078288
(87)【国際公開番号】W WO2021069596
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19202011.3
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バスラー、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ノバラ、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】バイス、ダニエル
【テーマコード(参考)】
3C022
3C049
4C159
【Fターム(参考)】
3C022AA01
3C022AA07
3C022AA08
3C022AA10
3C049AA03
3C049AB04
3C049AB06
3C049BB06
3C049CA04
3C049CA05
3C049CA07
3C049CB03
4C159RR15
4C159RR19
4C159SS01
4C159SS03
4C159SS04
(57)【要約】
本発明は、保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、少なくとも1つの歯科用ツール(4)を使用することによって、歯科ブロック(2)を機械加工する方法に関し、方法は、歯科ブロック(2)の残りから機械加工されていない部分(2´)を分離することなく、振幅(A)を有するオーバーレイされた横方向運動で経路(6)に沿って歯科用ツール(4)の軸(4a)を移動させるステップを含み、経路(6)は、イクエーター(5a)から、少なくとも歯科用ツール(4)の直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)の半分を加えたものに等しい量だけ離れて位置することを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、少なくとも1つの歯科用ツール(4)を使用することによって歯科ブロック(2)を機械加工するコンピュータ実現方法であって、
前記歯科ブロック(2)の残りから機械加工されていない部分(2´)を分離することなく、振幅(A)を有するオーバーレイされた横方向運動で経路(6)に沿って前記歯科用ツール(4)の軸(4a)を移動させるステップを含み、前記経路(6)は、前記イクエーター(5a)から、少なくとも前記歯科用ツール(4)の直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)の半分を加えたものに等しい量だけ離れて位置することを特徴とする、方法。
【請求項2】
保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、前記イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って前記歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、前記歯科用ツール(4)が前記イクエーター(5a)の周りを最大で1回転移動することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、前記イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って前記歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、前記歯科用ツール(4)が前記イクエーター(5a)の周りを2回転以上移動することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)が、前記経路(6)に沿って一定に保たれるか、または変化することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記経路(6)がトロコイド形状を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記歯科ブロック(2)を機械加工するために2つの歯科用ツール(4)が使用され、前記2つの歯科用ツール(4)の軸(4a)は、反対方向(z)に平行に整列され、保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、前記イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って前記歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、対応する経路(6)に沿って同時にまたは順次移動されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの歯科用ツール(4)の側面が、前記歯科ブロック(2)を機械加工するために使用され、前記歯科用ツール(4)の軸(4a)が、前記歯科ブロック(2)全体を通して、または前記歯科ブロック(2)の一部のみにおいて貫通されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各歯科用ツール(4)が、コーナー半径を有するまたは有さない円筒形ツール、球状ツール、円環状ツール、円錐形ツール、画定された刃先を有するフライス加工ツール、若しくは画定されていない刃先を有する研削ツール、または前述のツールのうちの1つ以上の組み合わせ形状を有するツールのうちの1つであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記歯科ブロック(2)が、セラミック、予備焼結されたセラミック、金属、予備焼結された金属、プラスチック、および/または複合材料を含む材料から作製されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータベースの歯科機械加工システム(1)に請求項1から9のいずれか一項に記載の方法ステップを実行させるためのコンピュータ読取可能コードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能記憶媒体。
【請求項12】
歯科機械加工システムであって、
歯科用ツールマシン(1)を備え、前記歯科用ツールマシン(1)は、
前記歯科ブロック(2)の対応する側を機械加工するための少なくとも1つの歯科用ツール(4)をそれぞれ移動可能に保持する1つ以上のキャリッジユニット(3)と、
少なくとも1つの歯科ブロック(2)を前記歯科用ツール(4)に対して相対的に移動可能に保持する保持ユニットとを備え、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法に従って前記キャリッジユニット(3)および前記保持ユニットの駆動を個別に制御するように適合されたコンピュータプログラムを有する制御ユニットとをさらに備えることを特徴とする、歯科機械加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科修復物を製造するための歯科ブロックを機械加工する方法に関する。本発明は、より詳細には、歯科ブロックを機械加工するための歯科機械加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科機械加工システムは、典型的にはセラミック製である歯科ブロックを機械加工するための歯科用ツールマシンを有する。歯科用ツールマシンは、一般に、歯科ブロックの対応する側を機械加工するための少なくとも1つの歯科用ツールをそれぞれ移動可能に保持する1つ以上のキャリッジユニットと、歯科用ツールに対して相対的に移動可能に歯科ブロックを保持する保持ユニットと、これらのユニットを制御する制御ユニットとを備える。一般に、CAD/CAMソフトウェアは、歯科修復物をデジタル的に構築し、対応する機械加工データを歯科用ツールマシンに提供するために使用される。CAD/CAMソフトウェアは、通常、歯科機械加工システム内のPCなどの処理ユニット上で実行される。歯科修復物の製造中、歯科ブロックは、一般に、保持スタブを用いてイクエーターに沿って完全に歯科修復物を仕上げまたは前仕上げするために、少なくとも1つの歯科用ツールを使用することによって機械加工される。その後、歯科修復物の上面および下面が仕上げまたは前仕上げされる。
【0003】
図3は、歯科ブロック(2)から歯科修復物(5)のイクエーター(5a)を機械加工するために従来技術から知られている一般的に使用される機械加工経路(すなわち、蛇行線)を示す。歯科ブロック(2)内の破線は、歯科修復物(5)を図示する。歯科修復物(5)は、保持スタブ(5b)を通して歯科ブロック(2)の残りに接続される。図3に図示する従来技術の機械加工方法によれば、材料は、歯科ブロック(2)の外側から始まって歯科修復物(5)まで低い横方向送り込み(典型的には0.05mm)で機械加工される。一般に、機械加工時間は、歯科ブロックサイズおよび歯科修復物サイズに依存する。C14歯科ブロックからの臼歯クラウンの機械加工時間は約10分である。
【0004】
図4は、歯科ブロック(2)から歯科修復物(5)のイクエーター(5a)を機械加工するために従来技術から知られている別の一般的に使用される機械加工経路(すなわち太線)を示す。図4に図示する従来技術の機械加工方法によれば、溝(2b)は、歯科修復物(5)から歯科ブロック(2)の残りを切り取るために、歯科修復物(5)のイクエーター(5a)の周りに機械加工される。歯科ブロック(2)の機械加工されていない部分(2´)は落下する。この代替的な従来技術の加工方法によって、加工時間を比較的短縮することができる。しかしながら、機械加工されていない部分(2´)は、機械加工中に歯科修復物(5)を損傷するリスクをもたらす。このような機械加工方法は、EP3199124B1に開示されている。
【0005】
上述した従来技術の機械加工方法は全て、患者がいる間に歯科専門家の実践において実施することができる。したがって、歯科修復物を製造するために費やされる全体的な時間は、重要な要因である。長い待ち時間は患者にとって不快であり、製造コストを増加させる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、保持スタブの有無にかかわらず、イクエーターに少なくとも完全に沿って歯科修復物を仕上げまたは前仕上げするために、少なくとも1つの歯科用ツールを使用することによって歯科ブロックを機械加工する方法を提供することである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の機械加工方法および請求項12に記載の歯科機械加工システムを通して達成される。従属請求項の主題事項は、さらなる展開に関する。
【0008】
本発明は、保持スタブの有無にかかわらず、イクエーターに少なくとも完全に沿って歯科修復物を仕上げまたは前仕上げするために、少なくとも1つの歯科用ツールを使用することによって、歯科ブロックを機械加工する方法を提供する。方法は、歯科ブロックの残りから機械加工されていない部分を分離することなく、振幅を有するオーバーレイされた横方向運動で経路に沿って、歯科用ツールの軸を移動させるステップを含み、経路は、イクエーターから、少なくとも歯科用ツールの直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅の半分を加えたものに等しい量だけ離れて位置する。
【0009】
本発明の主要な有利な効果は、機械加工時間を比較的短縮できることである。これにより、製造コストを低減することができる。本発明の別の主要な有利な効果は、歯科用ツールの寿命を延ばすことができ、したがって、歯科修復物を比較的高い品質で仕上げまたは前仕上げすることができることである。本発明の別の主要な有利な効果は、歯科修復物および/または歯科ツールを損傷するリスクが、可能な限り回避または低減されることができることである。
【0010】
本発明によれば、歯科ブロックの機械加工は、保持スタブの有無にかかわらず、イクエーターの周りで少なくとも完全に歯科修復物を仕上げまたは前仕上げするために、単一の機械加工ステップまたは複数の機械加工ステップのいずれかで実行することができる。
【0011】
本発明の実施形態によれば、歯科用ツールは、単一の機械加工ステップ中に歯科修復物のイクエーターの周りを最大で1回転移動する。回転中、オーバーレイされた横方向運動の振幅は、歯科修復物のイクエーターの周りの歯科ブロックの残り全体を機械加工するために、歯科修復物の形状およびサイズに従って経路に沿って変化し、それによって、好ましくは保持スタブを除く歯科ブロックの残りを単一の機械加工ステップで完全に除去する。それによって、歯科ブロックの残りにおけるチャネルの形成および歯科ブロックの残りからの機械加工されていない部分の分離を防止することができる。それにより、機械加工時間を大幅に短縮することができ、歯科修復物を損傷するリスクを可能な限り回避または低減することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、歯科用ツールは、複数の機械加工ステップ中に歯科修復物のイクエーターの周りを2回転以上移動される。回転中、オーバーレイされた横方向運動の振幅は、各機械加工ステップにおいて、歯科修復物のイクエーターの周りの歯科ブロックの残りの少なくとも一部を機械加工し、それによって、好ましくは保持スタブを除く歯科ブロックの残りを複数の機械加工ステップにおいて連続的に除去するために、歯科修復物の形状およびサイズに従って経路に沿って一定に維持されるか、または変化されてもよい。それによって、歯科ブロックの残りにおけるチャネルの形成および歯科ブロックの残りからの機械加工されていない部分の分離を防止することができる。機械加工ステップの数、すなわち回転数は、所望の機械加工時間および歯科修復物の目標形状に基づいて決定することができる。回転数は、整数または分数であってもよい。それによって、機械加工時間をさらに短縮することができ、歯科修復物を損傷するリスクを可能な限り回避または低減することができる。
【0013】
本発明によれば、歯科用ツール経路の形状は、歯科用ツール軸の中心位置の移動と歯科用ツール軸のオーバーレイされた運動の振幅とによって決定される。歯科用ツール軸の中心位置は、好ましくは、歯科修復物のイクエーターの形状または歯科ブロックの形状に従う。イクエーターに対して横方向に歯科ブロックの残りの少なくとも一部を機械加工するオーバーレイされた横方向運動の振幅は、一定に保つことができ、または経路が振動形状、好ましくはトロコイド形状を有するように変化させることができる。歯科用ツール軸の中心位置の長手方向速度は、実質的に一定であってもよく、または経路の形状を変化させるために可変であってもよい。横方向移動の横断速度はまた、実質的に一定であってもよく、または経路の形状を変化させるために可変であってもよい。
【0014】
本発明によれば、機械加工方法は、シングルスピンドル歯科用ツールマシンによって、または代替的にマルチスピンドル歯科用ツールマシンによって、好ましくはダブルスピンドル歯科用ツールマシンによって実行することができる。それによって、歯科ブロックは、少なくとも2つの異なる側面、好ましくは対向する側面から同時に機械加工されることができる。本発明の実施形態によれば、ダブルスピンドル歯科用ツールマシンは、歯科ブロックを機械加工するための少なくとも2つの歯科用ツールを有する。2つの歯科用ツールの軸は、反対方向に平行に整列され、保持スタブの有無にかかわらず、イクエーターに少なくとも完全に沿って歯科修復物を仕上げまたは事前仕上げするために、対応する経路に沿って同時にまたは順次移動される。
【0015】
本発明によれば、歯科ブロックは、イクエーターに沿って歯科用ツールの側面で機械加工されることが好ましい。歯科用ツールの長さおよび歯科ブロックのサイズは様々であってよい。本発明の実施形態において、歯科用ツールの軸は、歯科ブロック全体を貫通する。あるいは、歯科用ツールの軸は、歯科ブロックの一部のみに貫通される。歯科ブロックは、2つの異なる歯科用ツールによって2つの異なる側から順次または同時に機械加工することができる。あるいは、歯科ブロックを歯科用ツールに対して回転させることができ、したがって、同じ歯科用ツールによって他方の側からも機械加工することができる。
【0016】
本発明によれば、歯科ブロックを機械加工するのに適した様々な歯科用ツールを使用することができる。歯科用ツールは、コーナー半径を有するかまたは有さない円筒形ツール、球状ツール、円環状ツール、円錐形ツール、画定された刃先を有するフライス加工ツール、若しくは画定されていない刃先有する研削ツール、または前述のツールの1つ以上の組み合わせ形状を有するツールであってもよい。
【0017】
本発明によれば、歯科ブロックは、1つ以上の歯科修復物を製造するのに適した様々な材料から様々なサイズで製造することができる。
【0018】
歯科ブロックは、セラミック、予備焼結されたセラミック、金属、予備焼結された金属、プラスチック、または複合材料から作製されてもよい。
【0019】
本発明はまた、コンピュータベースの歯科機械加工システムに本発明の方法ステップを実行させるためのコンピュータ実行可能コードを含むCAD/CAMソフトウェアなどのコンピュータプログラムを提供する。本発明はまた、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読取可能データ記憶装置を提供する。データ記憶装置は、歯科機械加工システムの内部または外部にあってもよい。
【0020】
本発明はまた、シングルスピンドル歯科用ツールマシン、または好ましくはマルチスピンドル歯科用ツールマシン、より好ましくはダブルスピンドル歯科用ツールマシンを有するコンピュータベースの歯科機械加工システムを提供する。例えば、ダブルスピンドル歯科用ツールマシンは、2つのツールスピンドルを有することができ、各ツールスピンドルは、相対的に移動可能な歯科用ブランクのための運動軸結合を伴う3自由度または代替的に2自由度を有する。実施形態によれば、歯科機械加工システムは、歯科ブロックの対応する側を機械加工するための少なくとも1つの歯科用ツールをそれぞれが移動可能に保持する1つ以上のキャリッジユニットと、歯科用ツールに対して相対的に移動可能に少なくとも1つの歯科ブロックを保持する保持ユニットと、本発明の機械加工方法に従ってキャリッジユニットおよび保持ユニットの駆動を個別に制御するように適合された制御ユニットとを備えるダブルスピンドル歯科用ツールマシンを備える。各歯科用ツールの経路は、本発明の機械加工方法による歯科機械加工システム内の処理ユニットまたはPC上で実行されるCAD/CAMソフトウェアなどのコンピュータプログラムによって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下の説明では、例示的な実施形態を使用し、図面を参照することによって、本発明のさらなる態様および有利な効果をより詳細に説明する。
図1図1は、本発明の実施形態による歯科ブロックであり、破線は、図9の歯科用ツールマシンを用いて歯科ブロックから機械加工される歯科修復物を示している。
図2図2は、本発明の実施形態による方法を通して図1の歯科ブロックから機械加工される歯科修復物である。
図3図3は、歯科ブロックから歯科修復物のイクエーター(破線)を機械加工するための従来技術による機械加工経路(すなわち、蛇行線)の概略図である。
図4図4は、歯科ブロックから歯科修復物のイクエーター(破線)を機械加工するための従来技術による別の機械加工経路(すなわち、太線)の概略図である。
図5図5は、単一の機械加工ステップで歯科修復物のイクエーター(破線)に沿って歯科ブロックを機械加工するための本発明の第1の実施形態による機械加工方法の概略図であり、矢印は、歯科ツール軸のオーバーレイされた横方向運動の変化する振幅を示す。
図6図6は、2つの機械加工ステップで歯科修復物のイクエーター(破線)に沿って歯科ブロックを機械加工するための本発明の第2の実施形態による別の機械加工方法の概略図であり、第1の機械加工ステップを示す。矢印は、歯科ツール軸のオーバーレイされた横方向運動の実質的に一定の振幅を示す。
図7図7は、2つの機械加工ステップで歯科修復物のイクエーター(破線)に沿って歯科ブロックを機械加工するための本発明の第2の実施形態による別の機械加工方法の概略図であり、第1の機械加工ステップが完了した後の、歯科ブロックを示す。
図8図8は、2つの機械加工ステップで歯科修復物のイクエーター(破線)に沿って歯科ブロックを機械加工するための本発明の第2の実施形態による別の機械加工方法の概略図であり、第2の機械加工ステップを示す。矢印は、歯科ツール軸のオーバーレイされた横方向運動の実質的に一定の振幅を示す。
図9図9は、図1の歯科ブロックを機械加工するための本発明の実施形態による歯科機械加工システムの部分斜視図である。
【0022】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、例示的な実施形態の以下の説明において参照される。
1.歯科用ツールマシン
2.歯科ブロック
2´コーナー部分
2a.シャフト
2b.チャネル
3.キャリッジユニット
3a.アーム
3b.シャフト
4.歯科用ツール
4a.軸
5.歯科修復物
5a.イクエーター
5b.スタブ
6.経路
A:オーバーレイされた横方向運動の振幅
【発明を実施するための形態】
【0023】
図9は、本発明の実施形態による歯科機械加工システムの部分を図示している。歯科機械加工システムは、ダブルスピンドル歯科用ツールマシン(1)を有する。歯科用ツールマシン(1)は、歯科ブロック(2)の対応する側を機械加工するための歯科用ツール(4)をそれぞれ移動可能に保持する2つのキャリッジユニット(3)と、歯科用ツール(4)に対して相対的に移動可能に歯科ブロック(2)を保持する保持ユニット(図示せず)と、本発明の機械加工方法に従ってキャリッジユニット(3)および保持ユニットの駆動を個別に制御するように適合された制御ユニットとを有する。なお、機械加工方法については後述する。各キャリッジユニット(3)は、それぞれのシャフト(3b)に接続されたアーム(3a)を有する。各シャフト(3b)は、キャリッジユニット(3)のそれぞれの駆動機構(図示せず)によって、z軸の周りを回転し、z軸に沿って並進することができる。2つの歯科用ツール(4)の軸(4a)は、反対方向(z)に平行に整列される。各歯科用ツール(4)は、それぞれのアーム(3a)内のそれぞれのツールモータ(図示せず)に据え付け可能である。歯科用ツール(4)は、コーナー半径を有するまたは有さない円筒形ツール(4)、球状ツール(4)、円環状ツール(4)、円錐形ツール(4)、画定された刃先を有するフライス加工ツール(4)、若しくは画定されていない刃先を有する研削ツール(4)、または前述のツール(4)のうちの1つ以上の組み合わせ形状を有するツール(4)のうちの1つであってもよい。歯科ブロック(2)は、保持ユニットを介してシャフト(2a)に接続される。歯科ブロック(2)は、セラミック、予備焼結されたセラミック、金属、予備焼結された金属、プラスチック、または複合材料を含む材料から作製されてもよい。歯科ブロック(2)のためのシャフト(2a)は、それぞれの駆動機構(図示せず)によって、y軸の周りを回転し、y軸に沿って並進することができる。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による歯科ブロック(2)の拡大図を示している。歯科ブロック(2)は、長方形であってもよく、あるいは円形であってもよい。図1の破線は、図9の歯科用ツールマシン(1)を用いて歯科ブロック(2)から機械加工される歯科修復物(5)を示す。図2は、本発明の実施形態による機械加工方法を通して図1の歯科ブロック(2)から機械加工された歯科修復物(5)の拡大図を示す。歯科ブロック(2)を機械加工する方法では、少なくとも1つの歯科用ツール(4)を使用して、保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、イクエーター(5a)に少なくとも完全に沿って歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げする。
【0025】
本発明によれば、歯科ブロック(2)の機械加工は、保持スタブ(5b)の有無にかかわらず、イクエーター(5a)の周りで少なくとも完全に歯科修復物(5)を仕上げまたは前仕上げするために、単一の機械加工ステップまたは複数の機械加工ステップのいずれかで実行することができる。
【0026】
図5は、単一の機械加工ステップが実行される本発明の第1の実施形態による機械加工方法を図示している。図5に示されるように、振幅(A)を有するオーバーレイされた横方向運動で、歯科ブロック(2)の残りから機械加工されていない部分(2´)を分離することなく、歯科用ツール(4)の軸(4a)は経路(6)に沿って移動される。経路(6)は、歯科用ツール(4)の直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)の半分を加えたものに等しい量だけイクエーター(5a)から離れて位置する。振幅(A)は、歯科修復物(5)のイクエーター(5a)の周りの歯科ブロック(2)の残りが保持スタブ(5b)を除いて完全に除去されるように、経路(6)に沿って変化する。図2は、単一の機械加工ステップが完了した後の歯科ブロック(2)を示す。
【0027】
説明を簡単にするために、2つの加工ステップが順次実行される場合について、多段階機械加工を説明する。図6から図8は、2つの加工工程を順次実行する本発明の第2実施形態による機械加工方法を図示する。図6は、第1の機械加工ステップを示す。図6に示されるように、歯科用ツール(4)の軸(4a)は、歯科ブロック(2)の残りから機械加工されていない部分(2´)を分離することなく、振幅(A)を有するオーバーレイされた横方向運動で経路(6)に沿って移動される。経路(6)は、少なくとも、歯科用ツール(4)の直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)の半分を加えたものに等しい量だけイクエーター(5a)から離れて位置する。振幅(A)は、経路(6)に沿って実質的に一定に保たれる。図7は、第1の機械加工ステップが完了した後の歯科ブロック(2)を示す。図7に示されるように、歯科修復物(5)のイクエーター(5a)の周りの歯科ブロック(2)の残りは、歯科ブロック(2)の3つのセクションにおいてのみ完全に除去される。図8は、第2の機械加工ステップを示す。図8に示すように、歯科用ツール(4)の軸(4a)は、歯科ブロック(2)の残りの部分から機械加工されていない部分(2´)を分離することなく、振幅(A)を有する同じオーバーレイされた横方向運動で経路(6)に沿って移動される。経路(6)は、少なくとも、歯科用ツール(4)の直径の半分に、オーバーレイされた横方向運動の振幅(A)の半分を加えたものに等しい量だけイクエーター(5a)から離れて位置する。振幅(A)は、経路(6)に沿って実質的に一定に保たれる。図2は、第2の機械加工ステップが完了した後の歯科ブロック(2)を示す。図2に示されるように、第2の機械加工ステップの後、歯科修復物(5)のイクエーター(5a)の周りの歯科ブロック(2)の残りは、保持スタブ(5b)を除いて完全に除去される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】