(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】CD71結合フィブロネクチンIII型ドメイン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20221130BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221130BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221130BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221130BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221130BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221130BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221130BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221130BHJP
C07K 16/42 20060101ALI20221130BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221130BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20221130BHJP
C07K 14/78 20060101ALI20221130BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20221130BHJP
A61K 51/08 20060101ALI20221130BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221130BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221130BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20221130BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221130BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20221130BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20221130BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221130BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20221130BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K16/28 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/42
C07K19/00
C12P21/02 C
C07K14/78
A61K47/64
A61K51/08 200
A61P35/00
G01N33/53 D
G01N33/574 D
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/08
A61P25/00
A61K45/00
A61K38/16
A61K38/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547663
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020055470
(87)【国際公開番号】W WO2021076546
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522149186
【氏名又は名称】アロ・バイオセラピューティクス・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・シー・アディス
(72)【発明者】
【氏名】ジャンナ・ドルジナ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・コラコウスキー
(72)【発明者】
【氏名】スワップニル・クルカルニ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジー・ナドラー
(72)【発明者】
【氏名】カリン・オニール
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ・シン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA13
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
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4C084NA14
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4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、CD71に結合することができるフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインのようなポリペプチド、それらの結合体、それらの分子をコードする単離されたヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、さらにはそれらを製造及び使用する方法に関する。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは天然に存在しない。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位においてヒトCD71に結合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、もしくは81~309、もしくはそれらの任意の組み合わせのアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド;又は配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、もしくは81~309、もしくはそれらの任意の組み合わせのアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項2】
配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうち2つを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位においてヒトCD71に結合するポリペプチド。
【請求項4】
配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149の配列を有するポリペプチドと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149の配列を含む、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項6】
ポリペプチドは、検出可能な標識、オリゴヌクレオチド、治療剤、又はそれらの任意の組み合わせに結合される、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
検出可能な標識は、放射性同位元素、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテンである、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
検出可能な標識は、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンフェニルアラニン、ドロスタチン、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素、又は放射性同位元素である、請求項6又は7に記載のポリペプチド。
【請求項9】
治療剤は、化学療法剤、薬物、抗体、増殖阻害剤、毒素、放射性同位元素、抗チューブリン剤、ポリヌクレオチド、siRNA分子もしくはそのセンスもしくはアンチセンス鎖、アンチセンス分子もしくはその鎖、RNA分子、DNA分子、DNAマイナーグルーブバインダー、DNA複製阻害剤、アルキル化剤、抗生物質、葉酸代謝拮抗薬、代謝拮抗薬、化学療法感作物質、トポイソメラーゼ阻害剤、又はビンカアルカロイドである、請求項6に記載のポリペプチド
【請求項10】
治療剤は、遺伝子発現、RNA発現もしくはレベル、チューブリン結合、DNA結合、トポイソメラーゼ阻害、DNA架橋、キレート化、スプライソソーム阻害、NAMPT阻害、又はHDAC阻害を調節することにより1つ又はそれ以上の細胞傷害性効果を誘発することができる、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項11】
ポリペプチドのN末端にメチオニンをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
ポリペプチドは、半減期延長部分にカップリングされる、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
半減期延長部分は、アルブミン結合分子、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、アルブミンバリアント、免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部である、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
アルブミン結合分子は、アルブミン又はアルブミンバリアントに結合する第二のポリペプチドである、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項15に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項17】
請求項16に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項18】
CD71に結合するポリペプチドを製造する方法であって、請求項17に記載の単離された宿主細胞を、該ポリペプチドが発現される条件下で培養すること、及び該ポリペプチドを精製することを含む、上記方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチド及び薬学的に許容しうる担体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチドに結合する抗イディオタイプ抗体。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチドを含むキット。
【請求項22】
処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、該方法は、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、もしくは81~309のような本明細書において提供されるポリペプチド、又は請求項3に記載のポリペプチドを、治療剤とともに対象に投与することを含む、上記方法。
【請求項23】
がんは脳がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、該方法は、抗ウイルス剤、免疫系調節剤、又は核酸分子と結合された、配列番号33~62もしくは81~309のような本明細書において記載されるポリペプチド、又は請求項3に記載のポリペプチドを、対象に投与することを含む、上記方法。
【請求項25】
がん疾患は神経膠芽腫である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法であって、
a) 対象から腫瘍組織のサンプルを得ること;及び
b) 腫瘍組織のサンプルを、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させ、そしてCD71とポリペプチドとの間の結合を検出することにより、腫瘍組織においてCD71が発現されているか否かを検出すること
を含む、上記方法。
【請求項27】
CD71を発現する細胞を単離する方法であって、
a) 対象からサンプルを得ること;
b) 配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドとサンプルを接触させること、及び
c) ポリペプチドに結合した細胞を単離すること
を含む、上記方法。
【請求項28】
腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法であって、
a) 配列番号33~62又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むペプチドを、検出可能な標識と結合させて結合体を形成すること;
b) 結合体を対象に投与すること;及び
c) 結合体が結合しているCD71を発現するがん細胞を可視化すること
を含む、上記方法。
【請求項29】
請求項19に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、神経学的状態及び/又は脳腫瘍を処置する方法。
【請求項30】
脳腫瘍は、非悪性脳腫瘍、良性脳腫瘍、及び悪性脳腫瘍からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
悪性脳腫瘍は、星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、又は脊髄のがん、例えば、神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、及び肉腫からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
脳腫瘍は先天性腫瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
神経学的状態は、脳卒中、糖尿病、てんかん発作、高血圧性脳症、後天性免疫不全症候群、外傷性脳損傷、多発性硬化症、パーキンソン病(PD)及びアルツハイマー病からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチドのような、CD71に結合するFN3ドメインにカップリングされた目的の薬剤と細胞を接触させることを含む、目的の薬剤をCD71陽性細胞に送達する方法。
【請求項35】
目的の薬剤は、CD71媒介相互作用を介して細胞中に内部移行される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
FN3ドメインは、CD71へのトランスフェリン結合と競合しない、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
目的の薬剤は、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素、放射性同位元素、抗チューブリン剤、ポリヌクレオチド、siRNA分子、アンチセンス分子、RNA分子、DNA分子、DNAマイナーグルーブバインダー、DNA複製阻害剤、アルキル化剤、抗生物質、葉酸代謝拮抗薬、代謝拮抗薬、化学療法感作物質、トポイソメラーゼ阻害剤、又はビンカアルカロイドである、請求項32~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
FN3ドメインは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、もしくは81~309の配列又は請求項3に記載のポリペプチドを含む、請求項34~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
細胞は筋肉細胞である、請求項34~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
細胞は、脳細胞又は血液脳関門の内側の細胞である、請求項34~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
CD71へのトランスフェリン結合と競合せず、CD71へのトランスフェリン結合を阻害もしない部位においてCD71に結合するFN3タンパク質を同定する方法であって、該方法は:
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬物の存在下で、試験FN3タンパク質とCD71を接触させること;及び
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下で、CD71に結合する試験FN3タンパク質を同定すること
を含む、上記方法。
【請求項42】
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を単離することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を配列決定することをさらに含む、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項44】
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質をコードする核酸配列を製造するか又は得ることをさらに含む、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質をコードする核酸配列から発現させることをさらに含む、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
試験FN3タンパク質は細胞において発現される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
発現された試験FN3タンパク質を単離及び/又は精製することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
請求項41~47のいずれか1項に従って同定されたFN3タンパク質。
【請求項49】
請求項48に記載のFN3タンパク質を含む医薬組成物。
【請求項50】
請求項48に記載のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項51】
請求項49のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項52】
請求項51に記載のベクターを含む宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第62/914,643号(2019年10月14日出願)及び米国仮出願第62/949,020号(2019年12月17日)に対して優先権を主張し、これらはそれぞれ参照により本明細書にその全体として援用される。
【0002】
分野
本実施形態は、分化抗原群71(CD71)に特異的に結合するフィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)、並びに該分子を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
トランスフェリン受容体1としても知られるCD71は、細胞への鉄輸送に必須な膜貫通型である。これは多くの腫瘍型で、及び血液脳関門において高度に発現され、それ故、薬物送達のための重要な標的になる。鉄負荷トランスフェリンへの結合後に、CD71は急速に形質膜陥入され、そして効率的に再循環されて細胞表面に戻される。CD71抗体薬物結合体を用いた研究は、CD71を標的化することが、薬物送達の特異性及び選択性を改善し得、そして治療指数を拡大し得るということを示唆する。さらに、抗CD71モノクローナル抗体を使用した研究は、結合親和性が、血液脳関門経細胞輸送を可能にすることにおいて重要な役割を果たし得るということを示す。CD71に対して高い親和性を有する抗体は、急速に内部移行され、そして通常の受容体輸送を変更し、その結果、再循環の代わりに、受容体は分解のためのリソソームに標的化される。対照的に、CD71に対して低い親和性を有する抗体は、受容体再循環及びより高い脳曝露を可能にする。
【0004】
標的分子に対する高い親和性及び特異性が望まれる場合、抗体又は抗体フラグメントは最も広く使用される治療タンパク質のクラスであるが、非抗体タンパク質は、このような標的にも結合するように操作され得る。これらの「代替足場」タンパク質は、それらの小さいサイズ、ジスルフィド結合を欠いていること、高い安定性、原核生物宿主において発現される能力、容易な精製に起因して伝統的な抗体に優る利点を有し、そしてこれらは薬物/毒素に容易に結合され、効率的に組織中に浸透し、そして容易に多選択性バインダーの形式にされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つのこのような代替の足場は免疫グロブリン(Ig)フォールドである。このフォールドは、抗体の可変領域、さらには数千の非抗体タンパク質において見られる。1つのこのようなIgタンパク質であるヒトフィブロネクチン由来の10番目のフィブロネクチンIII型(FN3)反復は、表面に露出したループにおいて多数の変異を許容しながら、全体のIgフォールド構造を保持し得るということが示された。したがって、必要とされるものは、CD71に特異的に結合することができるFN3ドメイン、及びがん治療のためにそのような分子を使用する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
いくつかの実施形態において、CD71タンパク質に特異的に結合するFN3ドメイン(例えば、ポリペプチド)が提供される。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは単離される。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは組み換え体である。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは天然に存在しない。
【0007】
いくつかの実施形態において、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61又は62のアミノ酸配列を含むFN3ドメインが提供される。いくつかの実施形態において、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149のアミノ酸配列を含むFN3ドメインが提供される。いくつかの実施形態において、配列番号81~309のアミノ酸配列を含むFN3ドメインが提供される。いくつかの実施形態において、FN3ドメインはCD71に結合する。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位においてヒトCD71に結合する。いくつかの実施形態において、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149のアミノ酸配列を含むFN3ドメインが提供される。いくつかの実施形態において、FN3ドメインはCD71に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、可動性リンカーのようなリンカーにより接続された1つより多くのFN3ドメインを含むポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、ドメイン間で1つ又はそれ以上のリンカーにより互いに接続された2、3、又は4つのFN3ドメインを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるFN3ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインを製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、FN3ドメインをコードするか又は発現するベクターを含む宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態において、該方法は、FN3ドメインを精製することをさらに含む。いくつかの実施形態において、FN3ドメインはCD71に特異的に結合する。
【0012】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメイン及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインに結合する抗イディオタイプ抗体が提供される。
【0014】
いくつかの実施形態において、1つ又はそれ以上のFN3ドメインを含むキットが提供される。
【0015】
いくつかの実施形態において、腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、対象から腫瘍組織のサンプルを得ること、並びに配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71タンパク質に結合するFN3ドメインと腫瘍組織のサンプルを接触させ、そしてCD71タンパク質とFN3ドメインとの間の結合を検出することにより、腫瘍組織においてCD71タンパク質が発現されているか否かを決定することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、CD71を発現する細胞を単離する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、対象からサンプルを得ること;配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71タンパク質に結合するFN3ドメインとサンプルを接触させ、そしてFN3ドメインに結合した細胞を単離することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71タンパク質に結合するFN3ドメインを、検出可能な標識に結合させて、結合体を形成すること;結合体を対象に投与すること;及び結合体が結合しているCD71を発現するがん細胞を可視化することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、処置を必要とする対象においてがんを処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、CD71に結合するポリペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドはCD71に結合するFN3ドメインである。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、もしくは81~309のような配列、又は治療剤に連結もしくは結合された本明細書に提供されるポリペプチドを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、神経学的状態及び/又は脳腫瘍を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、本明細書に提供されるポリペプチド又は医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、脳腫瘍は、非悪性、良性、及び悪性脳腫瘍からなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、目的の薬剤をCD71陽性細胞に送達する方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、本明細書に提供されるポリペプチドのような、CD71に結合するFN3ドメインにカップリングされた目的の薬剤と、細胞を接触させることを含む。いくつかの実施形態において、目的の薬剤は、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素、放射性同位元素、抗チューブリン剤、ポリヌクレオチド、siRNA分子、アンチセンス分子、RNA分子、DNA分子、DNAマイナーグルーブバインダー、DNA複製阻害剤、アルキル化剤、抗生物質、葉酸代謝拮抗薬、代謝拮抗薬、化学療法感作物質、トポイソメラーゼ阻害剤、又はビンカアルカロイドである。
【0021】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、CD71へのトランスフェリン結合と競合せず、CD71へのトランスフェリン結合を阻害もしない部位においてCD71に結合するFN3タンパク質である。
【0022】
いくつかの実施形態において、CD71へのトランスフェリン結合と競合せず、CD71へのトランスフェリン結合を阻害もしない部位においてCD71に結合するFN3タンパク質を同定する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
開示の詳細な説明
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明確に別のことを指示していなければ、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、2つ又はそれ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
【0024】
「フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン」(FN3ドメイン)は、フィブロネクチン、テネイシン、細胞内細胞骨格タンパク質、サイトカイン受容体及び原核生物酵素を含む、タンパク質において頻繁に存在するドメインを指す(Bork and Doolittle、Proc Nat Acad Sci USA 89:8990-8994、1992;Meinkeら、J Bacteriol 175:1910-1918、1993;Watanabeら、J Biol Chem 265:15659-15665、1990)。例となるFN3ドメインは、ヒトテネイシンCに存在する15の異なるFN3ドメイン、ヒトフィブロネクチン(FN)に存在する15の異なるFN3ドメイン、及び例えば米国特許第8,278,419号に記載されるような非天然合成FN3ドメインである。個々のFN3ドメインは、ドメイン番号及び及びタンパク質名で、例えば、テネイシンの3番目のFN3ドメイン(TN3)、又はフィブロネクチンの10番目のFN3ドメイン(FN10)と呼ばれる。
【0025】
用語「捕捉剤」は、特定の種類の細胞に結合して、他の細胞からのその細胞の単離を可能にする物質を指す。例となる捕捉剤は、磁気ビーズ、磁性流体、カプセル封入試薬、特定の細胞型に結合する分子などである。
【0026】
「サンプル」は、対象から単離された同様の流体、細胞、又は組織の収集物、さらには対象内に存在する流体、細胞、又は組織を指す。例となるサンプルは組織生検、細針吸引、外科的に切除された組織、器官培養、細胞培養及び生物学的流体、例えば血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ、尿、唾液、嚢胞液、涙、糞便、痰、分泌性組織及び器官の粘膜分泌物、膣分泌物、腹水液、胸膜、心臓周囲、腹膜、腹腔及び他の体腔の流体、気管支洗浄により集められた流体、滑液、対象もしくは生物学的供給源と接触された液体溶液、例えば、細胞又は器官順化培地を含む細胞及び器官培養培地及び洗浄液などである。
【0027】
「置換すること」又は「置換された」又は「変異すること」又は「変異した」は、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列において1つ又はそれ以上のアミノ酸又はヌクレオチドを変更、欠失、挿入して、その配列のバリアントを生成することを指す。
【0028】
「バリアント」は、参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドと、1つ又はそれ以上の改変、例えば置換、挿入又は欠失だけ異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0029】
「特異的に結合する」又は「特異的結合」は、CD71のようなその標的に、約1x10-6Mもしくはそれ以下、例えば約1x10-7Mもしくはそれ以下、約1x10-8Mもしくはそれ以下、約1x10-9Mもしくはそれ以下、約1x10-10Mもしくはそれ以下、約1x10-11Mもしくはそれ以下、約1x10-12Mもしくはそれ以下、又は約1x10-13Mもしくはそれ以下の解離定数(KD)で結合するFN3ドメインの能力を指す。あるいは、「特異的結合」は、標準的ELISAアッセイにおいてその標的(例えば、CD71)にネガティブコントロールより少なくとも5倍高く結合するFN3ドメインの能力を指す。いくつかの実施形態において、ネガティブコントロールは、CD71に結合しないFN3ドメインである。いくつかの実施形態において、CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、他の関連する抗原、例えば、Macaca Fascicularis(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytes(チンパンジー)のような他の種からの同じ所定の抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有し得る。
【0030】
「ライブラリー」はバリアントの収集を指す。ライブラリーはポリペプチド又はポリヌクレオチドのバリアントから構成され得る。
【0031】
「安定性」は、その正常な機能的活性、例えば、CD71のような所定の抗原に結合することの少なくとも1つを保持するように、生理学的条件下で折りたたまれた状態を維持する分子の能力を指す。
【0032】
「CD71」は、配列番号32又は80のアミノ酸配列を有するヒトCD71タンパク質を指す、いくつかの実施形態において、配列番号32は全長ヒトCD71タンパク質である。いくつかの実施形態において、配列番号80はヒトCD71の細胞外ドメインである。
【0033】
「Tencon」は、配列番号1に示され、そして米国特許公開第2010/0216708号に記載される配列を有する合成フィブロネクチンIII型(FN3)ドメインを指す。
【0034】
「がん細胞」又は「腫瘍細胞」は、新しい遺伝物質の取り込みを必ずしも含まない自発性又は誘導された表現型変化を有する、インビボ、エクスビボ、及び組織培養のいずれかでのがん性、前がん性又は形質転換された細胞を指す。形質転換は、形質転換ウイルスを用いた感染、及び新しいゲノム核酸の組み込み、又は外因性核酸の取り込みから生じ得るが、自然発症的に又は発がん性物質への曝露後にも生じる場合があり、それにより内因性遺伝子を変異させる。形質転換/がんは、例えば、インビトロ、インビボ、及びエクスビボでの、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣形成、増殖、悪性病変、腫瘍特異的マーカーレベル、侵襲性、ヌードマウスのような適切な動物における腫瘍増殖又は抑制などにより例示される(Freshney、Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique (第三版、1994年))。
【0035】
「ベクター」は、生物システム内で複製される能力があるか又はこのようなシステム間で移動され得るポリヌクレオチドを指す。ベクターポリヌクレオチドは、典型的には、生物システムにおけるこれらのポリヌクレオチドの複製又は維持を容易にするように機能する複製起点、ポリアデニル化シグナル又は選択マーカーのようなエレメントを含有する。このよな生物システムの例としては、細胞、ウイルス、動物、植物、及びベクターを複製することができる生物学的構成要素を利用する再構成された生物システムが挙げられ得る。ベクターを含むポリヌクレオチドは、DNAもしくはRNA分子でもこれらのハイブリッドでもよい。
【0036】
「発現ベクター」は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの翻訳を方向づけるために、生物システム又は再構成された生物システムにおいて利用され得るベクターを指す。
【0037】
「ポリヌクレオチド」は、糖-リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学により共有結合で連結されたヌクレオチドの鎖を含む合成分子を指す。cDNAは、ポリヌクレオチドの典型的な例である。
【0038】
「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合により連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を指す。約50アミノ酸未満の小さいポリペプチドは、「ペプチド」と呼ばれてもよい。
【0039】
「価数」は、分子中の、抗原に対して特異的な結合部位の特定の数の存在を指す。そのようにして、用語「一価」、「二価」、「四価」、及び「六価」は、分子中のそれぞれ1、2、4及び6つの、抗原に対して特異的な結合部位の存在を指す。
【0040】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。述べられている場合を除いて、用語「患者」又は「対象」は交換可能に使用される。
【0041】
「単離された」は、組み換え細胞のような、その分子が製造されたシステムの他の成分から実質的に分離され、かつ/又は精製された分子の均一な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド又はFN3ドメインのようなポリペプチド)、さらには少なくとも1つの精製又は単離工程にかけられたタンパク質を指す。「単離されたFN3ドメイン」は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないFN3ドメインを指し、そしてより高い純度、例えば純度80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%まで単離されたFN3ドメインを包含する。
【0042】
物質の組成物
いくつかの実施形態において、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態において、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309の配列と、少なくとも62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むタンパク質。いくつかの実施形態において、タンパク質は、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309の配列と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309の配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309と、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一である。
【0043】
本明細書において提供されるポリペプチドは、より大きなポリペプチドの一部であってよく、そしてドメインと呼ばれ得る。異なるポリペプチドにおける2つのドメイン間の相同性又は同一性は、ポリペプチド全体と対照的に類似しているドメインに基づく。例えば、ポリペプチドが、配列番号81を含むFN3ドメインを含むポリペプチドを含み、そしてそのドメインがscFV抗体に結合される場合、配列番号81に類似しているが同一ではないドメインを有する別のタンパク質は、たとえscFVが相同性を共有しなくとも、少なくとも90%同一であり得る。したがって、同一性%は、ドメインに基づき得るか又はポリペプチドの全体の長さの基づき得る。同一性%を決定する方法は、本明細書において提供されるか又は当業者に公知である。
【0044】
いくつかの実施形態において、ヒトCD71タンパク質(配列番号32又は80)に結合するか又は特異的に結合するフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインが提供される。本明細書において提供されるように、FN3ドメインはCD71タンパク質に結合し得る。また、たとえ明示的に述べられていなくても、これらのドメインはCD71タンパク質にも特異的に結合し得るということが提供される。したがって、例えば、CD71に結合するFN3ドメインは、CD71に特異的に結合するFN3ドメインタンパク質も包含するだろう。これらの分子は、例えば治療適用及び診断適用において、並びにイメージングにおいて使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるFN3ドメインをコードするポリヌクレオチド又はその相補的核酸、ベクター、宿主細胞、並びにそれらを製造及び使用する方法が提供される。
【0045】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するか又は特異的に結合する単離されたFN3ドメインが提供される。
【0046】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、リンカーにより接続された2つのFN3ドメインを含む。リンカーは可動性リンカーであり得る。リンカーは、本明細書に記載されるもののような、短いペプチド配列であり得る。例えば、リンカーはG/Sリンカーなどであり得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、当業者により実施されるように、表面プラズモン共鳴又はKinexa法により決定されて、約1x10-7M未満、例えば約1x10-8M未満、約1x10-9M未満、約1x10-10M未満、約1x10-11M未満、約1x10-12M未満、又は約1x10-13M未満の解離定数(KD)でCD71に結合し得る。特定のFN3ドメイン-抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば、容積オスモル濃度、pH)下で測定された場合、変動する場合がある。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメーター(例えば、KD、Kon、Koff)の測定は、タンパク質足場及び抗原の標準化溶液、並びに本明細書において記載される緩衝液のような標準化緩衝液を用いて行われる。
【0048】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、標準ELISAアッセイにおいてネガティブコントロールについて得られたシグナルよりも少なくとも5倍高く結合し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するか又は特異的に結合するFN3ドメインは、分子のN末端に連結されたイニシエーターのメチオニン(Met)を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合するか又は特異的に結合するFN3ドメインは、FN3ドメインのC末端に連結されたシステイン(Cys)を含む。N末端Met及び/又はC末端Cysを追加することは、半減期延長分子の発現及び/又は結合を容易にし得る。
【0050】
FN3ドメインはまた、参照によりその全体として本明細書に援用される米国特許第10,196,446号に記載されるようなシステイン置換も含有し得る。手短には、いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるポリペプチドは、米国特許第10,196,446号の配列番号6又は配列番号1に基づくFN3ドメインの残基6、8、10、11、14、15、16、20、30、34、38、40、41、45、47、48、53、54、59、60、62、64、70、88、89、90、91、及び93からなる群から選択される位置、並びに関連するFN3ドメインにおける等価な位置において少なくとも1つのシステイン置換を含み得る。いくつかの実施形態において、置換は残基6にある。いくつかの実施形態において、置換は残基8にある。いくつかの実施形態において、置換は残基10にある。いくつかの実施形態において、置換は残基11にある。いくつかの実施形態において、置換は残基14にある。いくつかの実施形態において、置換は残基15にある。いくつかの実施形態において、置換は残基16にある。いくつかの実施形態において、置換は残基20にある。いくつかの実施形態において、置換は残基30にある。いくつかの実施形態において、置換は残基34にある。いくつかの実施形態において、置換は残基38にある。いくつかの実施形態において、置換は残基40にある。いくつかの実施形態において、置換は残基41にある。いくつかの実施形態において、置換は残基45にある。いくつかの実施形態において、置換は残基47にある。いくつかの実施形態において、置換は残基48にある。いくつかの実施形態において、置換は残基53にある。いくつかの実施形態において、置換は残基54にある。いくつかの実施形態において、置換は残基59にある。いくつかの実施形態において、置換は残基60にある。いくつかの実施形態において、置換は残基62にある。いくつかの実施形態において、置換は残基64にある。いくつかの実施形態において、置換は残基70にある。いくつかの実施形態において、置換は残基88にある。いくつかの実施形態において、置換は残基89にある。いくつかの実施形態において、置換は残基90にある。いくつかの実施形態において、置換は残基91にある。いくつかの実施形態において、置換は残基93にある。
【0051】
ドメイン又はタンパク質中の位置におけるシステイン置換は、既存のアミノ酸残基をシステイン残基で置き換えることを含む。システイン改変の他の例を、例えば、米国特許出願公開第20170362301号(参照によりその全体として本明細書に援用される)に見ることができる。配列のアライメントは、例えば、NCBIウェブサイトにおいて、デフォルトパラメーターを使用するBlastPを使用して行われ得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインは、細胞中に内部移行される。いくつかの実施形態において、FN3ドメインの内部移行は、検出可能な標識又は治療剤の細胞中への送達を容易にし得る。いくつかの実施形態において、FN3ドメインの内部移行は、細胞傷害性薬剤の細胞中への送達を容易にし得る。細胞傷害性薬剤は治療剤として作用し得る。いくつかの実施形態において、FN3ドメインの内部移行は、本明細書において開示される任意の検出可能な標識、治療剤及び/又は細胞傷害性薬剤の細胞中への送達を容易にし得る。いくつかの実施形態において、細胞は腫瘍細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は肝臓細胞である。
【0053】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインは、場合により残基位置11、14、17、37、46、73、又は86(配列番号4に対応する残基ナンバリング)に置換を有する、配列番号1のTencon配列又は配列番号4のTencon 27配列の配列に基づく。
【0054】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50のアミノ酸配列を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、又は61のアミノ酸配列を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号33のアミノ酸配列を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号38のアミノ酸配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号40のアミノ酸配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号42のアミノ酸配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号43のアミノ酸配列を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号44のアミノ酸配列を含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号45のアミノ酸配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号46のアミノ酸配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号47のアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号48のアミノ酸配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号51のアミノ酸配列を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号55のアミノ酸配列を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号56のアミノ酸配列を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号60のアミノ酸配列を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号62のアミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号82のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号83のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号84のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号86のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号87のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号88のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号89のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号90のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号92のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号93のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号94のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号95のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号96のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号97のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号98のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号99のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号100のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号101のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号102のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号104のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号105のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号106のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号107のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号108のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号109のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号110のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号111のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号112のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号113のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号114のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号115のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号116のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号117のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号118のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号119のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号120のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号121のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号122のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号123のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号124のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号125のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号126のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号127のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号128のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号129のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号130のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号131のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号132のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号133のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号134のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号136のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号137のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号138のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号139のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号140のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号141のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号142のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号143のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号144のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号145のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号146のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号147のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号148のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号149のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号150のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号151のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号152のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号153のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号154のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号155のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号156のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号157のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号158のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号159のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号160のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号161のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号162のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号163のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号164のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号165のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号166のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号167のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号168のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号169のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号170のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号171のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号172のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号173のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号174のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号175のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号176のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号177のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号178のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号179のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号180のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号181のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号182のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号183のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号184のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号185のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号186のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号187のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号188のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号189のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号190のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号191のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号192のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号193のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号194のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号195のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号196のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号197のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号198のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号199のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号200のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号201のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号202のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号203のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号204のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号205のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号206のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号207のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号208のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号209のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号210のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号211のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号212のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号213のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号214のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号215のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号216のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号217のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号218のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号219のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号220のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号221のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号222のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号223のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号224のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号225のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号226のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号227のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号228のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号229のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号230のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号231のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号232のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号233のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号234のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号235のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号236のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号237のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号238のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号239のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号240のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号241のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号242のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号243のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号244のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号245のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号246のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号247のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号248のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号249のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号250のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号251のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号252のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号253のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号254のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号255のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号256のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号257のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号258のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号259のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号260のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号261のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号262のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号263のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号264のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号265のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号266のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号267のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号268のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号269のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号270のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号271のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号272のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号273のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号274のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号275のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号276のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号277のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号278のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号279のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号280のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号281のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号282のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号283のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号284のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号285のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号286のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号287のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号288のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号289のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号290のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号291のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号292のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号293のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号294のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号295のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号296のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号297のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号298のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号299のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号300のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号301のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号302のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号303のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号304のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号305のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号306のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号307のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号308のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号309のアミノ酸配列を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位においてヒトCD71に結合する。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149の配列を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、分子のN末端に連結されたイニシエーターのメチオニン(Met)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号33~50のアミノ酸配列のうちの1つと、62%、63%、64% 、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号51~61又は62のアミノ酸配列のうちの1つと、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号81~309のアミノ酸配列のうちの1つと、62%、63%、64% 、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149のアミノ酸配列のうちの1つと、62%、63%、64% 、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0090】
同一性パーセントは、NCBIウェブサイトを介して利用可能なBlastPを使用してデフォルトパラメーターを使用して2つの配列を整列して決定され得る。
【0091】
本開示のCD71に結合するFN3ドメインの結合体
いくつかの実施形態において、異種分子に結合されたCD71に結合する単離されたFN3ドメインが提供される。
【0092】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインはオリゴヌクレオチドに結合される。例えば、オリゴヌクレオチドは、遺伝子又はmRNA転写物の発現を阻害するために使用され得る。オリゴヌクレオチドは、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどであり得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、ペプチドは脂質ナノ粒子に結合され、これは、例えば、細胞特異的標的化に使用され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、タンパク質は、CD71又はタンパク質分解のための別のタンパク質を標的とする結合部分に結合される。例えば、タンパク質は、PROTACS(E3ユビキチンリガーゼに対する結合部位)に結合され得、そして結果としてタンパク質をE3リガーゼに送達する。これらは、グリシン-セリンリンカーなどのようなリンカーを介して連結され得る。
【0095】
CD71に結合するFN3ドメインはまた、CD71以外の異なる標的に結合する別のFN3ドメインに結合又は連結され得る。これは、ペプチドが多選択性(例えば、二重特異性、三重特異性など)となることを可能にし、その結果、CD71及び別の、例えば、タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、CD71 FN3結合ドメインは、腫瘍細胞により発現される抗原(腫瘍抗原)に結合する別のFN3ドメインに連結される。
【0096】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、リンカーにより一緒に連結されて、二価FN3ドメインを形成し得る。リンカーは可動性リンカーであり得る。いくつかの実施形態において、リンカーはG/Sリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは1、2、3、又は4つのG/S反復を有する。G/S反復単位は、4つのグリシン、続いてセリン、例えばGGGGSである。
【0097】
いくつかの実施形態において、異種分子は、検出可能な標識又は治療剤、例えば、限定されないが細胞傷害性薬剤である。
【0098】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識に結合されたCD71に結合するFN3ドメインが提供される。検出可能な標識の非限定的な例は本明細書において提供される。
【0099】
いくつかの実施形態において、治療剤に結合されたCD71に結合するFN3ドメインが提供される。治療剤、例えば、限定されないが細胞傷害性薬剤の非限定的な例は、本明細書において提供される。
【0100】
検出可能な標識に結合されたCD71に結合するFN3ドメインは、腫瘍組織のようなサンプルでインビボ又はインビトロでCD71の発現を評価するために使用され得る。
【0101】
検出可能な標識としては、CD71に結合するFN3ドメインに結合された場合に、分光法、光化学的方法、生化学的方法、免疫化学的方法、又は他の化学的方法によりCD71を検出可能にする組成物が挙げられる。
【0102】
例となる検出可能な標識としては、限定されないが、放射性同位元素、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般的に使用されるようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン、発光分子、化学発光分子、蛍光色素、フルオロフォア、蛍光消光剤、着色分子、放射性同位元素、シンチラント(cintillants)、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、抗体又はそのフラグメント、ポリヒスチジン、Ni2+、Flagタグ、mycタグ、重金属、酵素、アルカリホスファターゼペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、電子供与体/電子受容体、アクリジニウムエステル、及び比色分析基質が挙げられる。
【0103】
検出可能な標識は、例えば検出可能な標識が放射性同位元素である場合のように、自発的にシグナルを発し得る。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、磁場、もしくは電場、又は電磁場のような外部刺激により刺激された結果としてシグナルを発する。
【0104】
例となる放射性同位元素は、γ放射、オージェ放出、β放出、アルファ放出又は陽電子放出放射性同位元素であり得る。例となる放射性同位元素としては、3H、11C、13C、15N、18F、19F、55Co、57Co、60Co、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、68Ga、72As、75Br、86Y、89Zr、90Sr、94mTc、99mTc、115In、1231、1241、125I、1311、211At、212Bi、213Bi、223Ra、226Ra、225Ac及び227Acが挙げられる。
【0105】
例となる金属原子は、20より大きい原子番号を有する金属、例えば、カルシウム原子、スカンジウム原子、チタン原子、バナジウム原子、クロム原子、マンガン原子、鉄原子、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、亜鉛原子、ガリウム原子、ゲルマニウム原子、ヒ素原子、セレン原子、臭素原子、クリプトン原子、ルビジウム原子、ストロンチウム原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、ニオブ原子、モリブデン原子、テクネチウム原子、ルテニウム原子、ロジウム原子、パラジウム原子、銀原子、カドミウム原子、インジウム原子、スズ原子、アンチモン原子、テルル原子、ヨウ素原子、キセノン原子、セシウム原子、バリウム原子、ランタン原子、ハフニウム原子、タンタル原子、タングステン原子、レニウム原子、オスミウム原子、イリジウム原子、白金原子、金原子、水銀原子、タリウム原子、鉛原子、ビスマス原子、フランシウム原子、ラジウム原子、アクチニウム原子、セリウム原子、プラセオジム原子、ネオジム原子、プロメチウム原子、サマリウム原子、ユウロピウム原子、ガドリニウム原子、テルビウム原子、ジスプロシウム原子、ホルミウム原子、エルビウム原子、ツリウム原子、イッテルビウム原子、ルテチウム原子、トリウム原子、プロトアクチニウム原子、ウラン原子、ネプツニウム原子、プルトニウム原子、アメリシウム原子、キュリウム原子、バークリウム原子、カリホルニウム原子、アインスタイニウム原子、フェルミウム原子、メンデレビウム原子、ノーベリウム原子、又はローレンシウム原子である。
【0106】
いくつかの実施形態において、金属原子は20より大きい原子番号を有するアルカリ土類金属であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、金属原子はランタニド系元素であり得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、金属原子はアクチニドであり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、金属原子は遷移金属であり得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、金属原子は卑金属であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、金属原子は金原子、ビスマス原子、タンタル原子、及びガドリニウム原子であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、金属原子は53(すなわち、ヨウ素)~83(すなわち、ビスマス)の原子番号を有する金属であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、金属原子は磁気共鳴イメージングに適した原子であり得る。
【0114】
金属原子は、+1、+2、又は+3酸化状態の形態の金属イオン、例えば、Ba2+、Bi3+、Cs+、Ca2+、Cr2+、Cr3+、Cr6+、Co2+、Co3+、Cu+、Cu2+、Cu3+、Ga3+、Gd3+、Au+、Au3+、Fe2+、Fe3+、F3+、Pb2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn7+、Hg2+、Ni2+、Ni3+、Ag+、Sr2+、Sn2+、Sn4+、及びZn2+であり得る。金属原子は、金属酸化物、例えば、酸化鉄、酸化マンガン、又は酸化ガドリニウムを含んでいてもよい。
【0115】
適切な色素としては、任意の市販されている色素、例えば、5(6)-カルボキシフルオレセイン、IRDye 680RDマレイミド又はIRDye 800CW、ルテニウムポリピリジル色素などが挙げられる。
【0116】
適切なフルオロフォアは、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、フルオレセインチオセミカルバジド、ローダミン、Texas Red、CyDye(例えば、Cy3、Cy5、Cy5.5)、Alexa Fluor(例えば、Alexa488、Alexa555、Alexa594;Alexa647)、近赤外(NIR)(700~900nm)蛍光色素、並びにカルボシアニン及びアミノスチリル色素である。
【0117】
検出可能な標識に結合されたCD71に特異的に結合するFN3ドメインは、例えば、腫瘍分布、腫瘍細胞の存在についての診断及び/又は、腫瘍の再発を評価するための造影剤として使用され得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、限定されないが、細胞傷害性薬剤のような、治療剤に結合される。
【0119】
いくつかの実施形態において、治療剤は、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらのフラグメント)、又は放射性同位元素(すなわち、ラジオコンジュゲート(radioconjugate))である。
【0120】
本明細書に開示される治療剤に結合されたCD71に結合するFN3ドメインは、CD71を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)への治療剤の標的化送達、及びそこでの細胞内蓄積において使用され得る。いずれの特定の理論に拘束されないが、この種の送達は、これらの非結合体化薬剤の全身投与が正常細胞に対して許容されないレベルの毒性を生じ得る場合に役立つ場合がある。
【0121】
いくつかの実施形態において、治療剤は、限定されないが、チューブリン結合、DNA結合、トポイソメラーゼ阻害、DNA交差連結、キレート化、スプライソソーム阻害、NAMPT阻害、及びHDAC阻害のような機序によりそれらの細胞傷害性効果及び/又は細胞分裂停止効果を誘発することができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、治療剤は、スプライソソーム阻害剤、NAMPT阻害剤、又はHDAC阻害剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は免疫系アゴニスト、例えば、TLR7,8,9、RIG-I(dsRNA)、及びSTING(CpG)アゴニストである。いくつかの実施形態において、薬剤は、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、ビンデシン、細菌毒素、例えばジフテリア毒素、ヒマ毒、ゲルダナマイシン、マイタンシノイド又はカリケアマイシンである。
【0123】
いくつかの実施形態において、治療剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、ヒマ毒A鎖、アブリンA鎖、モデッシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、又はトリコテセン類(tricothecenes)のような酵素活性毒素である。
【0124】
いくつかの実施形態において、治療剤は、放射性核種、例えば212Bi、131I、131In、90Y、又は186Reである。
【0125】
いくつかの実施形態において、治療剤は、ドラスタチン又はドロスタチン(dolostatin)ペプチドアナログ及び誘導体、アウリスタチン又はモノメチルアウリスタチンフェニルアラニンである。例となる分子は、米国特許第5,635,483号及び同第5,780,588号に開示される。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、並びに核及び細胞分裂(Woykeら(2001) Antimicrob Agents and Chemother.45(12):3580-3584)を妨害し、そして抗癌活性及び抗真菌活性を有することが示された。ドラスタチン又はアウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して(WO 02/088172)、又はFN3ドメイン中に操作されたいずれかのシステインを介してFN3ドメインに結合され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、治療剤は、例えば、アウリスタチン類、カンプトテシン、デュオカルマイシン類、エトポシド、マイタンシン及びマイタンシノイド、タキサン類、ベンゾジアゼピン類又はベンゾジアゼピン含有薬物(例えば、ピロロ[1,41-ベンゾジアゼピン類(PBD)、インドリノベンゾジアゼピン類、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン類)又はビンカアルカロイド類であり得る。
【0127】
CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、公知の方法を使用して、検出可能な標識に結合され得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、キレート剤と複合体化される。
【0129】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、CD71に結合するFN3ドメインにリンカーを介して結合される。
【0130】
検出可能な標識、治療化合物、又は細胞傷害性化合物は、公知の方法を使用して、CD71に結合するFN3ドメインに直接的又は間接的に連結され得る。適切なリンカーは当該分野で公知であり、そしてこれらとしては、例えば、補欠分子族、非フェノール性リンカー(安息香酸N-スクシンイミジルの誘導体;ドデカボラート)、大環状化合物及び非環式キレート剤の両方のキレート化部分、例えば、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10,四酢酸(DOTA)の誘導体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の誘導体、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)の誘導体、並びに1,4,8,11-テトラアザシクロドデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)の誘導体、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジポイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート類(例えば、トルエン2,6-ジイソシアナート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)及び他のキレート化部分が挙げられる。適切なペプチドリンカーは周知である。
【0131】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインは、腎クリアランスを経て血液から除去される。
【0132】
Tencon配列に基づいたライブラリーからのCD71結合FN3ドメインの単離
Tencon(配列番号1)は、ヒトテネイシン-C由来の15のFN3ドメインのコンセンサス配列から設計された、天然に存在しないフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインである(Jacobsら、Protein Engineering、Design、and Selection、25:107-117、2012;米国特許公開第2010/0216708号)。Tenconの結晶構造は、FN3ドメインに特徴的な7つのベータ-鎖を接続する6つの表面に露出したループを示し、これらのベータ鎖はA、B、C、D、E、F、及びGと呼ばれ、そしてループはAB、BC、CD、DE、EF、及びFGループと呼ばれる(Bork及びDoolittle、Proc Natl Acad Sci USA 89:8990-8992、1992;米国特許第6,673,901号)。これらのループ、又は各ループ内の選択された残基は、CD71に結合する新規な分子を選択するために使用され得るフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインのライブラリーを構築するために無作為化され得る。表1は、Tencon(配列番号1)における各ループ及びベータ鎖の位置及び配列を示す。
【0133】
したがって、Tencon配列にもとづいて設計されたライブラリーは、無作為化されたFGループ、又は無作為化されたBC及びFGループ、例えば、以下に記載されるようなライブラリーTCL1又はTCL2を有し得る。Tencon BCループは7アミノ酸長であり、したがって1、2、3、4、5、6又は7つのアミノ酸が、BCループにおいて多様化されそしてTencon配列に基づいて設計されたライブラリーにおいて無作為化され得る。Tencon FGループは7アミノ酸長であり、したがって1、2、3、4、5、6又は7つのアミノ酸が、FGループにおいて多様化されそしてTencon配列に基づいて設計されたライブラリーにおいて無作為化され得る。Tenconライブラリーにおけるループにおけるさらなる多様性は、ループにおける残基の挿入及び/又は欠失により達成され得る。例えば、FG及び/又はBCループは、1~22個のアミノ酸だけ延長され得、又は1~3個のアミノ酸だけ減少され得る。TenconにおけるFGループは7アミノ酸長であるが、抗体重鎖における対応するループは4~28残基の範囲に及ぶ。最大の多様性をもたらすために、FGループは、配列、さらには4~28残基の抗体CDR3の長さの範囲に対応する長さにおいて多様化され得る。例えば、FGループは、さらなる1、2、3、4又は5個のアミノ酸だけループを延長することにより長さがさらに多様化され得る。
【0134】
Tencon配列に基づいて設計されたライブラリーはまた、FN3ドメインの側に形成する無作為化された代替の表面を有し得、そして2つ又はそれ以上のベータ鎖、及び少なくとも1つのループを含み得る。1つのこのような代替の表面は、C及びFベータ鎖、並びにCD及びFGループ(C-CD-F-FG表面)においてアミノ酸により形成される。Tencon代替C-CD-F-FG表面に基づいたライブラリー設計は、米国特許公開第2013/0226834号に記載される。Tencon配列に基づいて設計されたライブラリーはまた、Tenconバリアント、例えば残基位置11、14、17、37、46、73、又は86(配列番号1に対応する残基ナンバリング)において置換を有するTenconバリアントに基づいて設計されたライブラリーも含み、そしてこれらのバリアントは、改善された熱安定性を示す。例となるTenconバリアントは、米国特許公開第2011/0274623号に記載され、そして配列番号1のTenconと比較した場合に置換E11R、L17A、N46V及びE86Iを有するTencon27(配列番号4)を含む。
【0135】
【0136】
Tencon及び他のFN3配列に基づくライブラリーは、アミノ酸の無作為又は規定されたセットを使用して選択された残基位置において無作為化され得る。例えば、無作為な置換を有するライブラリーにおけるバリアントは、20個の天然に存在するアミノ酸全てをコードするNNKコドンを使用して生成され得る。他の多様化スキームにおいて、アミノ酸Ala、Trp、Tyr、Lys、Thr、Asn、Lys、Ser、Arg、Asp、Glu、Gly、及びCysをコードするために、DVKコドンが使用され得る。あるいは、20のアミノ酸残基を全て生じさせ、そして同時に終止コドンの頻度を減少させるためにNNSコドンが使用され得る。多様化させようとする位置に偏ったアミノ酸分布を有するFN3ドメインのライブラリーは、例えばSlonomics(登録商標)技術(http:_//www_sloning_com)を使用して合成され得る。この技術は、数千の遺伝子合成プロセスに十分な万能ビルディングブロックとして作用する予め作成された二本鎖トリプレットのライブラリーを使用する。トリプレットライブラリーは、任意の所望のDNA分子を構築するために必要な全ての可能な配列組み合わせを表す。コドン指定は周知のIUBコードに従う。
【0137】
CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、cisディスプレイを使用して、足場タンパク質をコードするDNAフラグメントを、RepAをコードするDNAフラグメントに連結し、各タンパク質がそれをコードするDNAと安定に結合されている、インビトロ翻訳後に形成されるタンパク質-DNA複合体のプールを生成して(米国特許第7,842,476号;Odegripら、Proc Natl Acad Sci U S A 101、2806-2810、2004)、TenconライブラリーのようなFN3ライブラリーを製造し、そしてそのライブラリーを、当該分野で公知で実施例において記載されるいずれかの方法によりPSMAへの特異的結合についてアッセイすることにより単離され得る。使用することができる例となる周知の方法は、ELISA、サンドイッチイムノアッセイ、並びに競合及び非競合アッセイ(例えば、Ausubelら編、1994、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons、Inc.、New York)である。CD71に特異的に結合する同定されたFN3ドメインは、それらのCD71への結合、CD71活性の調節、内部移行、安定性、及び他の望ましい特徴についてさらに特徴づけされる。
【0138】
CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、ライブラリーを生成するためにテンプレートとしていずれかのFN3ドメインを使用し、そして示される方法を使用してCD71に特異的に結合する分子についてライブラリーをスクリーニングして生成され得る。使用され得る例のFN3ドメインは、テネイシンCの3番目のFN3ドメイン(TN3)、Fibcon、及びフィブロネクチンの10番目のFN3ドメイン(FN10)である。したがって、PCT出願WO2010/051274、WO 2011/137319、及びWO 2013/049275は、それら全体として本明細書に援用される。ライブラリーをベクター中にクローン化するため、又はライブラリーの二本鎖cDNAカセットを合成するため、インビトロでライブラリーを発現又は翻訳するために、標準的クローニング及び発現技術が使用される。例えば、リボソームディスプレイ(Hanes及びPluckthun、Proc Natl Acad Sci USA、94、4937-4942、1997)、mRNAディスプレイ(Roberts及びSzostak、Proc Natl Acad Sci USA、94、12297-12302、1997)、又は他の無細胞系(米国特許第5,643,768号)が使用され得る。FN3ドメインバリアントのライブラリーは、例えば任意の適切なバクテリオファージの表面上に提示された融合タンパク質として発現され得る。バクテリオファージの表面上に融合ポリペプチドを提示するための方法は周知である(米国特許公開第2011/0118144号;国際特許公開第WO2009/085462号;米国特許第6,969,108号;米国特許第6,172,197号;米国特許第5,223,409号;米国特許第6,582,915号;米国特許第6,472,147号)。
【0139】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインは、配列番号1のTencon配列又は配列番号4のTencon27配列に基づき、配列番号1又は配列番号4は、残基位置11、14、17、37、46、73、及び/又は86において場合により置換を有する。
【0140】
いくつかの実施形態において、FN3タンパク質又はポリペプチドは、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位においてヒトCD71に結合するものである。本明細書において使用されるように、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないCD71上の部位は、その部位でのFN3タンパク質の結合が、CD71へのトランスフェリンの結合と競合もせず、CD71へのトランスフェリンの結合を阻害もしない、CD71のエピトープ又は部分を指す。競合又は競合が無いことは、完全でも部分的でもよい。いくつかの実施形態において、結合はまた、CD71とのその相互作用を介した細胞中へのトランスフェリンの内部移行を阻害しない。
【0141】
いくつかの実施形態において、CD71へのトランスフェリン結合を競合も阻害もしない部位においてCD71に結合するFN3タンパク質を同定するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下で、CD71を試験FN3タンパク質と接触させること;及びトランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を同定することを含む。いくつかの実施形態において、該方法は、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を単離することを含む。いくつかの実施形態において、該方法は、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を配列決定することを含む。いくつかの実施形態において、該方法は、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質をコードする核酸配列を製造するか又は得ること含む。いくつかの実施形態において、該方法は、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質をコードする核酸配列から、トランスフェリン又はCD71トランスフェリン結合部位に結合する薬剤の存在下でCD71に結合する試験FN3タンパク質を発現させることを含む。いくつかの実施形態において、試験FN3タンパク質は細胞において発現される。いくつかの実施形態において、該方法は、発現された試験FN3タンパク質を単離及び/又は精製することを含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるいずれかの方法に従って同定されたFN3タンパク質が提供される。
【0143】
CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、熱安定性並びに熱フォールディング及びアンフォールディングの可逆性の改善のようなそれらの特性を改善するように改変され得る。タンパク質及び酵素の見かけの熱安定性を増加させるためにいくつかの方法が適用されており、これらとしては、高度に類似した熱に安定な配列との比較に基づく合理的設計、ジスルフィド架橋を安定化する設計、アルファ-ヘリックス傾向を増加させる変異、塩架橋の操作、タンパク質の表面電荷の変更、定向進化、及びコンセンサス配列の構成が挙げられる(Lehmann及びWyss、Curr.Opin.Biotechnol.、12、371-375、2001)。高い熱安定性は、発現されるタンパク質の収量を増加させ得、可溶性又は活性を改善し得、免疫原性を減少させ得、そして製造におけるコールドチェーンの必要を最少にし得る。Tencon(配列番号1)の熱安定性を改善するために置換され得る残基は、残基位置11、14、17、37、46、73、又は86であり、そして米国特許公開第2011/0274623号に記載される。これらの残基に対応する置換は、本明細書において開示されるFN3ドメイン含有分子に組み込まれ得る。
【0144】
タンパク質安定性及びタンパク質不安定性の尺度は、タンパク質完全性の同じか又は異なる局面として評価され得る。タンパク質は、熱、紫外線若しくは電離放射線により引き起こされる変性、液体溶液ちゅうの場合は周囲浸透圧及びpH、小さい孔径の濾過により加えられる機械的せん断力、紫外線、電離放射線、例えばガンマ線照射、化学的若しくは熱脱水、又はタンパク質構造破壊を引き起こし得る任意の他の作用若しくは力に対して感受性であるか又は「不安定」である。分子の安定性は、標準的な方法により決定され得る。例えば、分子の安定性は、熱溶融(「Tm」)温度、分子の半分が折り畳まれていない状態になる摂氏温度(℃)を、標準的な方法を使用して測定することにより決定され得る。典型的には、Tmが高いほど、その分子はより安定である。熱に加えて、化学的環境も、タンパク質が特定の3次元構造を維持する能力を変化させる。
【0145】
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインは、Tmの増加により測定して操作前の同じドメインと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%又はそれ以上増加した安定性を示し得る。
【0146】
化学的変性も同様に、様々な方法により測定され得る。化学的変性としては、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、尿素、アセトン、有機溶媒(DMF、ベンゼン、アセトニトリル)、塩(硫酸アンモニウム、臭化リチウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム);還元剤(例えば、ジチオトレイトール、ベータ-メルカプトエタノール、ジニトロチオベンゼン、及びヒドリド、例えばホウ水素化ナトリウム)、非イオン性及びイオン性界面活性剤、酸(例えば、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)、ハロゲン化酢酸)、疎水性分子(例えば、リン脂質)、並びに標的化変性剤が挙げられる。変性の程度の定量は、機能的特性、例えば、標的分子に結合する能力の喪失、又は生理化学的特性、例えば、凝集する傾向、以前は溶媒がアクセスできなかった残基の露出、又はジスルフィド結合の破壊若しくは形成に依存し得る。
【0147】
CD71に結合するFN3ドメインは、例えば、原子価を増加させ、そして結果として、標的分子結合のアビディティを増加させる手段として、又は2つ若しくはそれ以上の異なる標的分子に同時に結合する二重特異性若しくは多選択性足場を生成するための手段として、単量体、二量体、又は多量体として生成されてもよい。例えば、アミノ酸リンカー、例えばポリグリシン、グリシン及びセリン、又はアラニン及びプロリンを含有するリンカーを含めることにより、単一特性、二重特異性又は多選択性タンパク質足場を連結することにより、二量体及び多量体が生成され得る。例となるリンカーとしては、(GS)2、(配列番号63)、(GGGS)2(配列番号64)、(GGGGS)5(配列番号65)、(AP)2 (配列番号66)、(AP)5(配列番号67)、(AP)10(配列番号68)、(AP)20(配列番号69)及びA(EAAAK)5AAA(配列番号70)が挙げられる。二量体及び多量体は、NからCの方向で互いに連結され得る。ポリペプチドを接続して新規な連結された融合ポリペプチドにするための、天然に存在するペプチドリンカーに加えて人工的なペプチドリンカーの使用も文献において周知である(Hallewellら、J Biol Chem 264、5260-5268、1989;Alfthanら、Protein Eng.8、725-731、1995;Robinson&Sauer、Biochemistry 35、109-116、1996;米国特許第5,856,456号)。
【0148】
半減期延長部分
CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、例えば共通結合相互作用を介して他のサブユニットを組み込み得る。いくつかの実施形態において、CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、半減期延長部分をさらに含む。例となる半減期延長部分は、アルブミン、アルブミンバリアント、アルブミン結合タンパク質及び/又はドメイン、トランスフェリン及びそれらのフラグメント及びアナログ、並びにFc領域である。ヒトFc領域のアミノ酸配列は周知であり、そしてIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA及びIgE Fc領域を含む。いくつかの実施形態において、CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、限定されないが、本明細書に記載される半減期延長部分のいずれかのような、分子全体の半減期を延長する分子に結合する第二のFN3ドメインを組み込み得る。いくつかの実施形態において、第二のFN3ドメインは、アルブミン、アルブミンバリアント、アルブミン結合タンパク質及び/又はドメイン、並びにそれらのフラグメント及びアナログに結合する。
【0149】
抗体定常領域の全て又は一部は、CD71に結合するFN3ドメインに結合されて、抗体様特性、特にFc領域に関連するそれらの特性、例えば、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節のようなFcエフェクター機能を付与し、そしてこれらの活性の原因であるFcにおける残基を改変することによりさらに改変され得る(概説については;Strohl、Curr Opin Biotechnol.20、685-691、2009を参照のこと)。
【0150】
所望の特性のために、ポリエチレングリコール(PEG)分子、例えばPEG5000又はPEG20,000、様々な鎖長の脂肪酸及び脂肪酸エステル、例えば、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ステアリン酸エステル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレイン酸エステル、アラキドン酸エステル、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸など、ポリリジン、オクタン、炭水化物(デキストラン、セルロース、オリゴ糖類又は多糖類)のようなさらなる部分が、CD71に特異的に結合するFN3ドメイン中に組み込まれ得る。これらの部分は、タンパク質足場をコードする配列との融合を方向づけ得、そして標準的なクローニング及び発現技術により生成され得る。あるいは、周知の化学的カップリング方法を使用して、本明細書において開示される組み換え産生された分子にこれらの部分を結合し得る。
【0151】
ペグ化部分は、例えば、システイン残基を分子のC末端に組み込むか、又は分子のCD71結合面から離れた方に向いている残基位置にシステインを操作し、そしてペグ化された基を周知の方法を使用してシステインに結合することにより、CD71に結合するFN3ドメインに加えられ得る。
【0152】
さらなる部分を組み込んだCD71に特異的に結合するFN3ドメインは、いくつかの周知のアッセイにより機能性について比較され得る。例えば、Fcドメイン及び/又はFcドメインバリアントの組み込みに起因して変更された特性は、Fc受容体結合アッセイにおいて、FcγRI、FcγRII、FcγRIII若しくはFcRn受容体のような受容体の可溶性形態を使用して、又は例えばADCC若しくはCDCを測定する周知の細胞ベースのアッセイを使用して、又はインビボモデルにおいて本明細書に開示される分子の薬物動態特性を評価して、アッセイされ得る。
【0153】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞
いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチドとして、又は発現ベクターの一部として、又は線状DNA配列の一部として、CD71に特異的に結合するFN3ドメインをコードする核酸が提供され、これらとしては、インビトロ転写/翻訳のために使用される線状DNA配列、組成物又はその定方向変異原の原核生物、真核生物又は繊維状ファージ発現、分泌及び/又はディスプレイと適合性のベクターが挙げられる。しかし、特定の例となるポリヌクレオチドは本明細書に開示され、遺伝コードの縮重又は所定の発現系におけるコドン優先度を考慮して、本明細書に開示されるFN3ドメインをコードする他のポリヌクレオチドもまた本開示の範囲内である。
【0154】
いくつかの実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のアミノ酸配列を含む、CD71に特異的に結合するFN3ドメインをコードする。
【0155】
本明細書において開示されるポリヌクレオチドは、自動化ポリヌクレオチド合成機での固相ポリヌクレオチド合成のような化学合成により製造され得、そして完全な一本鎖又は二本差分子に組み立てられ得る。あるいは、本明細書において開示されるポリヌクレオチドは、PCRとその後の慣用のクローニングのような他の技術により製造され得る。所定の既知の配列のポリヌクレオチドを製造するか又は得るための技術は当該分野で周知である。
【0156】
本明細書において開示されるポリヌクレオチドは、少なくとも1つの非コード配列、例えば、プロモーター又はエンハンサー配列、イントロン、ポリアデニル化シグナル、RepA結合を促進するCis配列などを含み得る。ポリヌクレオチド配列はまた、例えば、タンパク質の精製又は検出を容易にするマーカー、又はヒスチジンタグ若しくはFAタグのようなタグ配列、シグナル配列、RepAのような融合タンパク質パートナー、Fc又はpIX若しくはpIIIのようなバクテリオファージコートタンパク質をコードする、さらなるアミノ酸をコードするさらなる配列も含み得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。このようなベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイルス発現のためのベクター、トランスポゾンベースのベクター又は本明細書において開示されるポリヌクレオチドを所定の生物若しくは遺伝的背景に任意の手段により導入するために適した任意の他のベクターであり得る。このようなベクターは、このようなベクターによりコードされるポリペプチドの発現を制御し、調節し、引き起こし、又は可能にすることができる核酸配列エレメントを含む発現ベクターであり得る。このようなエレメントは、転写エンハンサー結合部位、RNAポリメラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、及び所定の発現系においてコードされるポリペプチドの発現を促進する他の部位を含み得る。このような発現系は、当該分野で周知の細胞ベースでも無細胞系でもよい。
【0158】
いくつかの実施形態において、ベクターを含む宿主細胞が提供される。CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、場合により、当該分野で公知であるように、細胞株、混合細胞株、不死化細胞又は不死化細胞のクローン集団により製造され得る。例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、Inc.、NY、NY(1987-2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、NY (1989);Harlow及びLane、Antibodies、a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、NY (1989);Colliganら編、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、Inc.、NY (1994-2001);Colliganら、Current Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、NY、NY、(1997-2001)を参照のこと。
【0159】
発現のために選択される宿主細胞は、哺乳動物起源のものであり得、又はCOS-1、COS-7、HEK293、BHK21、CHO、BSC-1、He G2、SP2/0、HeLa、骨髄腫、リンパ腫、酵母、昆虫若しくは植物細胞、又はそれらの任意の誘導体、不死化若しくは形質転換された細胞から選択され得る。あるいは、宿主細胞は、ポリペプチドをグリコシル化することができない種又は生物、例えば、BL21、BL21(DE3)、BL21-GOLD(DE3)、XL1-Blue、JM109、HMS174、HMS174(DE3)のような原核細胞又は原核生物、及び天然の又は操作された大腸菌(E.coli)種、クレブシエラ属(Klebsiella)種、又はシュードモナス属(Pseudomonas)種株のいずれかから選択され得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、CD71に結合する単離されたFN3ドメインが発現されるような条件下で、単離された宿主細胞を培養すること、及びFN3ドメインを精製することを含む、CD71に結合する単離されたFN3ドメインを製造する方法。
【0161】
CD71に結合するFN3ドメインは、周知の方法、例えば、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈降、酸抽出、アニオン若しくはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、組み換え細胞培養物から精製され得る。
【0162】
抗イディオタイプ抗体
いくつかの実施形態において、抗イディオタイプ抗体はFN3ドメインに結合する。
【0163】
いくつかの実施形態において、FN3ドメインに結合する抗イディオタイプ抗体は、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含む。
【0164】
キット
いくつかの実施形態において、CD71に結合するFN3ドメインを含むキットが提供される。
【0165】
キットは、治療用途のため、及び診断キットとして使用され得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、キットは、CD71に結合するFN3ドメイン、及びFN3ドメインを検出するための試薬を含む。いくつかの実施形態において、キットは、二価FN3ドメインを含む。キットは、使用のための指示書;他の試薬、例えば、標識、キレート化又は他の方法のカップリングに有用な薬剤、放射線防護組成物;イメージング、診断又は治療目的のための投与のために、CD71に結合するFN3ドメインを準備するためのデバイス又は他の材料;薬学的に許容しうる担体;及び対象への投与のための他のデバイス又は材料:を含む、1つ又はそれ以上の他のエレメントを含み得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、キットは、配列番号33~50のうちの1つのアミノ酸配列を含む、CD71に結合するFN3ドメインを含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、キットは、配列番号51~61のうちの1つのアミノ酸配列を含む、CD71に結合するFN3ドメインを含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、キットは、配列番号81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含む、CD71に結合するFN3ドメインを含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、キットは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149のうちの1つのアミノ酸配列を含む、CD71に結合するFN3ドメインを含む。
【0171】
CD71結合FN3ドメインの使用
CD71に特異的に結合するFN3ドメイン又はその結合体は、ヒト疾患の症状又は細胞、組織、器官、流体、若しくは一般的に、宿主における特定の病理を、診断するため、モニタリングするため、調節するため、処置するため、緩和するため、それらの発生の予防に役立てるため、又は減少させるために使用され得る。
【0172】
いくつかの実施形態において、CD71に特異的に結合するFN3ドメイン又はその結合体はまた、対象におけるCD71陽性腫瘍組織のイメージングにおいて使用され得る。本明細書において開示される方法は、任意の分類に属する動物患者に使用され得る。このような動物の例としては、ヒト、齧歯動物、イヌ、ネコ及び家畜のような哺乳動物が挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態において、がん組織の細胞によるCD71の発現にもとづいて組織のがんを有する対象、又は組織のがんを発症する可能性がある対象を診断する方法、免疫療法の成功を予測する方法、予後の方法、及び処置方法が提供される。
【0174】
いくつかの実施形態において、腫瘍組織においてCD71を発現しているがん細胞を検出する方法が提供され、該方法は:対象から腫瘍組織サンプルを得ること;腫瘍組織の先端(toe)サンプルを、配列番号33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に結合するFN3ドメインと接触させ、そしてCD71とFN3ドメインとの間の結合を検出することにより、腫瘍組織においてCD71が発現されているか否かを検出することを含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、CD71細胞は、CNS疾患、炎症/免疫疾患、例えば脳のMS及び感染性疾患に関与する細胞である。
【0176】
いくつかの実施形態において、組織は、CD71を発現する任意の器官又は解剖学的系の組織であり得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、CD71発現は、免疫組織化学又はELISAのような公知の方法を使用して評価され得る。
【0178】
いくつかの実施形態において、CD71を発現する細胞を単離する方法が提供され、該方法は:対象からサンプルを得ること;配列番号33~50のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に結合するFN3ドメインとサンプルを接触させ、そしてFN3ドメインに結合した細胞を単離すること、を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、CD71を発現する細胞を単離する方法が提供され、該方法は:対象からサンプルを得ること;配列番号51~61のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に結合するFN3ドメインとサンプルを接触させ、そしてFN3ドメインに結合した細胞を単離すること、を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法が提供され、該方法は:配列番号33~50のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に結合するFN3ドメインを、検出可能な標識に結合させて結合体を形成すること;結合体を対象に投与すること;及び結合体が結合したCD71発現がん細胞を可視化すること、を含む、
いくつかの実施形態において、腫瘍組織においてCD71を発現するがん細胞を検出する方法が提供され、該方法は:配列番号51~62又は81~309のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に結合するFN3ドメインを、検出可能な標識に結合させて結合体を形成すること;結合体を対象に投与すること;及び結合体が結合したCD71発現がん細胞を可視化すること、を含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、がんを有する対象を処置する方法が提供され、該方法は、CD71に結合するFN3ドメインを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、FN3ドメインは、治療剤(例えば、細胞傷害性薬剤、オリゴヌクレオチド、別の標的に結合するFN3ドメインなど)に結合される。
【0182】
いくつかの実施形態において、対象は固形腫瘍を有する。
【0183】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は黒色腫である。
【0184】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は肺がんである。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は非扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は肺腺がんである。
【0185】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は腎細胞がん(RCC)である。
【0186】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は中皮腫である。
【0187】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は上咽頭がん(NPC)である。
【0188】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は結腸直腸癌である。
【0189】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は前立腺がんである。いくつかの実施形態において、固形腫瘍は去勢抵抗性前立腺がんである。
【0190】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は胃がん(stomach cancer)である。
【0191】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は卵巣がんである。
【0192】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は胃がん(gastric cancer)である。
【0193】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は肝臓がんである。
【0194】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は膵臓がんである。
【0195】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は甲状腺がんである。
【0196】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は頭頸部扁平上皮がんである。
【0197】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は食道又は胃腸管のがんである。
【0198】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は乳がんである。
【0199】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は卵管がんである。
【0200】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は脳がんである。
【0201】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は尿道がんである。
【0202】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は泌尿生殖器がんである。
【0203】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は子宮内膜症である。
【0204】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍は子宮頸がんである。
【0205】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍はがんの転移巣である。
【0206】
いくつかの実施形態において、対象は血液悪性腫瘍を有する。
【0207】
いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、リンパ腫、骨髄腫又は白血病である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍はB細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍はバーキットリンパ腫である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍はホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は非ホジキンリンパ腫である。
【0208】
いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は骨髄異形成症候群である。
【0209】
いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は急性骨髄性白血病(AML)である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は慢性骨髄性白血病(CML)である。いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は慢性骨髄単球性白血病(CMML)である。
【0210】
いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は多発性骨髄腫(MM)である。
【0211】
いくつかの実施形態において、血液悪性腫瘍は形質細胞腫である。
【0212】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される組成物又は医薬組成物は、単独で、又は他の治療剤と組み合わせて、すなわち、同時に又は連続して投与され得る。いくつかの実施形態において、他の又はさらなる治療剤は、他の抗腫瘍剤又は治療剤である。異なる腫瘍型及び腫瘍ステージは、癌の処置に有用な様々な補助化合物の使用を必要とする場合がある。例えば、本明細書において提供される組成物は、とりわけ、タキソール、チロシンキナーゼ阻害剤、ロイコボリン、フルオロウラシル、イリノテカン、ホスファターゼ阻害剤、MEK阻害剤のような様々な化学療法剤と組み合わせて使用され得る。組成物はまた、とりわけ、抗PD-1又は抗CTLA-4のような腫瘍に対する免疫応答を調節する薬物と組み合わせて使用され得る。さらなる処置は、PD-1又はPD-L1を標的とする抗体のような、免疫系を調節する薬剤であり得る。
【0213】
いくつかの実施形態において、細胞、組織、器官、流体、又は一般に宿主において、ヒト疾患の症状又は特定の病態を、診断するか、モニタリングするか、調節するか、処置するか、軽減するか、それらの発生の予防に役立てるか、低減するために使用され得る、CD71に特異的に結合するFN3ドメイン又はその結合体はまた、血液脳関門を横切ることができる特性を示す。血液脳関門(BBB)は、大部分の高分子(例えば、DNA、RNA、及びポリペプチド)及び多くの小分子が脳に進入することを防止する。BBBは、高度に制限的な緊密な接合部を有する特殊な内皮細胞から主に構成され、結果として、大小の物質の血液から中枢神経系への通過がBBBにより制御される。多くの治療剤は所望の有効性を伴ってBBBを渡って送達されることができないので、この構造は、神経性疾患及び障害(例えば、脳がん)を有する患者の処置及び管理を困難にする。BBBの混乱を含むさらなる状態としては:脳卒中、糖尿病、てんかん発作、高血圧性脳症、後天性免疫不全症候群、外傷性脳損傷、多発性硬化症、パーキンソン病(PD)及びアルツハイマー病が挙げられる。この能力は、脳がんを処置するために特に有用であり、これらの脳がんとしては、例えば:星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、及び先天性腫瘍;又は脊髄のがん、例えば、神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、及び肉腫が挙げられる。特定の実施形態において、配列番号33~50のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に特異的に結合するFN3ドメイン又はその結合体は、例えば、治療剤又は細胞傷害性薬剤を血液脳関門を越えて送達するために有用である。特定の実施形態において、配列番号51~61のうちの1つのアミノ酸配列を含むCD71に特異的に結合するFN3ドメイン又はその結合体は、例えば、治療剤又は細胞傷害性薬剤を血液脳関門を越えて送達するために有用である。いくつかの実施形態において、このタンパク質は、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、149、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、又は81~309の配列を含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、BBBを越える治療剤の輸送を容易にすることができるポリペプチドは、配列番号146、214、104、259、134、92、302、235、237、152、238、136、197、212、296、226、261、307、115、112、278、297、96、222、95、233、217、252、194、164、168、174、190、257、303、284、85、又は149の配列を含むタンパク質である。
【0215】
「処置する」又は「処置」は、治療的処置及び予防的手段を指し、ここで目的は、がんの発生又は拡散のような望ましくない生理学的変化又は障害を防止するか又は鈍化させる(減少させる)ことである。いくつかの実施形態において、有益又は望ましい臨床結果としては、限定されないが、検出可能でも検出不可能でも、症状の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は鈍化、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的でも完全でも)が挙げられる。「処置」はまた、処置を受けない場合に予測される生存と比較して、生存を延長することを意味する場合がある。処置を必要とするものとしては、既に状態若しくは障害を有するものに加えて、状態若しくは障害を有する傾向があるもの。又は状態若しくは障害を予防しようとするものが挙げられる。
【0216】
「治療有効量」は、必要な投薬量及び期間で、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。CD71に特異的に結合するFN3ドメインの治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重のような因子によって変わり得る。有効なCD71に結合するFN3ドメインの例となる指標は、患者の改善された健康、腫瘍のサイズの減少若しくは縮小、腫瘍の停止若しくは鈍化した成長、及び/又は体内の他の位置へのがん細胞の転移がないことである。
【0217】
投与/医薬組成物
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される、検出可能な標識、治療剤又は細胞傷害性薬剤に場合により結合された、CD71に特異的に結合するFN3ドメイン、及び薬学的に許容しうる担体の医薬組成物が提供される。治療用途のために、CD71に特異的に結合するFN3ドメインは、薬学的に許容しうる担体中に、活性成分として有効量のドメイン又は分子を含有する医薬組成物として製造され得る。「担体」は、活性化合物とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水及びオイルのような液体であり得、これらとしては、石油起源、動物起源、植物起源又は合成起源のもの、例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などが挙げられる。例えば、0.4%食塩水及び0.3%グリシンが使用され得る。これらの溶液は無菌であり、そして一般的には粒状物質を含まない。これらは、従来の周知の滅菌技術(例えば、ろ過)により滅菌され得る。組成物は、生理状態に近づけるために必要に応じて薬学的に許容しうる補助物質、例えば、pH調整及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤などを含有し得る。このような医薬製剤中の本明細書において開示される分子の濃度は広く、すなわち、約0.5%未満から、通常は少なくとも約1%から、15又は20質量%ほどの多くまで変化し得、主に必要な用量、流体体積、粘性などに基づいて、選択される特定の投与形式に従って選択される。適切なビヒクル及び製剤は、他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含めて、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Troy、D.B.編、Lipincott Williams and Wilkins、Philadelphia、PA 2006、Part 5、Pharmaceutical Manufacturing 691-1092頁に記載される、特に958-989頁を参照のこと。
【0218】
本明細書に開示されるFN3ドメインの治療的使用のための投与様式は、当該分野で周知のように、宿主へ薬剤を送達する任意の適切な経路、例えば、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内又は皮下、経肺;錠剤、カプセル剤、液剤、散剤、ゲル、粒子での処方を使用する経粘膜(経口、鼻腔内、腟内、直腸)であり得;そしてシリンジ、移植されるデバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ;又は当業者により理解される他の手段に含有される。部位特異的投与は、例えば、関節内、気管支内、腹部内、嚢内、軟骨内、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸部内、胃内、肝内、心臓内、骨内(intraosteal)、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸腔内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、腟、直腸、頬側、舌下、鼻腔内、又は経皮送達により達成され得る。
【0219】
医薬組成物は、本明細書に記載される医薬組成物を入れる容器を含むキットとして供給され得る。医薬組成物は、例えば、単回用量若しくは複数用量のための注射可能液剤の形態で、又は注射前に再構成される滅菌粉末として提供され得る。あるいは、このようなキットは、医薬組成物の投与のために、乾燥粉末分散器、液体エアロゾル発生器、又は噴霧器を含み得る。このようなキットは、医薬組成物の適応症及び利用に関する書面の情報をさらに含む場合がある。
【実施例】
【0220】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態の説明に役立つ。これらの実施例は、説明の目的のみのために提供され、そして実施形態は、これらの実施例に限定されるといかなるようにも解釈されるべきではなく、むしろ本明細書において提供される教示の結果として証拠となる任意かつ全ての変形を包含すると解釈されるべきである。本質的に同様の結果を得るために変更され得又は改変され得る重要でない様々なパラメーターを、当業者は容易に理解するだろう。
【0221】
実施例1.無作為化ループを含むTenconライブラリーの構築
Tencon(配列番号1)は、ヒトテネイシン-C由来の15のFN3ドメインのコンセンサス配列から設計された、免疫グロブリン様足場のフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインである(Jacobsら、 Protein Engineering、Design、and Selection、25:107-117、2012;米国特許第8,278,419号)。Tenconの結晶構造は、7つのベータ鎖を接続する6つの表面に露出したループを示す。これらのループ、又は各ループ内の選択された残基は、特定の標的に結合する新規な分子を選択するために使用され得るフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインのライブラリーを構築するために無作為化され得る。
【0222】
Tencon:
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAEFTT (配列番号1)
様々なライブラリーが、Tencon足場及び様々な設計方針を使用して生成された。一般に、ライブラリーTCL1及びTCL2は良好なバインダーを生じた。TCL1及びTCL2ライブラリーの生成は、国際特許公開第WO/2014081944A2号に詳細に記載される。
【0223】
TCL1ライブラリーの構築
Tencon(配列番号1)のFGループのみを無作為化するように設計されたライブラリーであるTCL1を、cisディスプレイシステム(Jacobsら、 Protein Engineering、Design、and Selection、25:107-117、2012)を用いた使用のために構築した。このシステムにおいて、Tacプロモータのための配列、Tenconライブラリーコード配列、RepAコード配列、cis-エレメント、及びoriエレメントを組み込んだ一本鎖DNAを生成した。インビトロ転写/翻訳系における発現の際に、それがコードされるDNAに対してcisで結合したTencon-RepA融合タンパク質の複合体を生成した。次いで、以下に記載されるように、標的分子に結合する複合体を単離し、そしてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。
【0224】
cisディスプレイを用いた使用のためのTCL1ライブラリーの構築は、PCRを複数回連続して行い、最終の線状二本差DNA分子を半分を2つで生成することにより達成された;5’フラグメントはプロモーター及びTencon配列を含有するが、3’フラグメントはrepA遺伝子並びにcis及びoriエレメントを含有する。これら2つの半分を制限消化により組み合わせて構築物全体を生成した。TCL1ライブラリーを、TenconのFGループにのみ無作為なアミノ酸を組み込むように設計した。NNSコドンをこのライブラリーの構築において使用し、20のアミノ酸全て及び1つの終止コドンのFGループへの可能な組み込みを生じた。TCL1ライブラリーは6つの別個のサブライブラリーを含有し、各々が多様性をさらに増加させるために7~12残基の異なる無作為化FGループ長を有する。
【0225】
TCL1ライブラリー(配列番号2)
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX7-12PLSAEFTT;
ここで
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7は任意のアミノ酸であり;そして
X8、X9、X10、X11及びX12は任意のアミノ酸であるか又は欠失される。
【0226】
TCL2ライブラリーの構築
TenconのBC及びFGループの両方が無作為化されており、かつ各位置におけるアミノ酸の分布が厳密に制御されたTCL2ライブラリーを構築した。表2は、TCL2ライブラリーにおける所望のループ位置におけるアミノ酸分布を示す。設計されたアミノ酸分布は2つの目的を有していた。第一に、Tencon結晶構造の分析に基づき、かつ/又は相同性モデリングから、Tenconフォールディング及び安定性のために構造的に重要であると予測された残基にライブラリーを偏らせた。例えば、位置29の残基はTencon折り畳みの疎水性コア中に埋もれているので、位置29を疎水性アミノ酸のサブセットのみに固定した。設計の第二層は、高親和性バインダーを効率的に生じるように、アミノ酸分布を、抗体の重鎖HCDR3に優先的に見られる残基のアミノ酸分布に偏らせることを含んでいた(Birtalanら、J Mol Biol 377:1518-28、2008;Olsonら、Protein Sci 16:476-84、2007)。この目的のために、表2における「設計された分布」は、以下のような分布を指す:6%アラニン、6%アルギニン、3.9%アスパラギン、7.5%アスパラギン酸、2.5%グルタミン酸、1.5%グルタミン、15%グリシン、2.3%ヒスチジン、2.5%イソロイシン、5%ロイシン、1.5%リジン、2.5%フェニルアラニン、4%プロリン、10%セリン、4.5%スレオニン、4%トリプトファン、17.3%チロシン、及び4%バリン。この分布はメチオニン、システイン、及び終止(STOP)コドンを欠いている。
【0227】
TCL2ライブラリー(配列番号3)
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWX1X2X3X4X5X6X7X8SFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX9X10X11X12X13SX14X15LSAEFTT;ここで、
X1は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X2は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X3は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X4は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X5は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X6は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X7は、Phe、Ile、Leu、Val又はTyrであり;
X8は、Asp、Glu又はThrであり;
X9は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X10は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X11は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X12は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X13は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X14は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;そして
X15は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValである。
【0228】
【0229】
その後、これらのライブラリーを様々な方法で改善し、これらの方法は、野生型tenconと比較した場合に置換E11R/L17A/N46V/E86Iを組み込んだ(Tencon27;配列番号4)安定化されたTenconフレームワーク(米国特許第8,569,227号)上にライブラリーを構築すること、さらにはBC及びFGループにおける無作為化された位置の変更を含む。Tencon27は、国際特許出願第WO2013049275号に記載される。このことから、TenconのFGループのみ(ライブラリーTCL9)、又はBC及びFGループの組み合わせ(ライブラリーTCL7)を無作為化するように設計された新しいライブラリーを生成した。これらのライブラリーを、cisディスプレイシステムとの使用のために構築した(Odegripら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:2806-2810、2004)。この設計の詳細を以下に示す:
【0230】
安定化Tencon(Tencon27)(配列番号4)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAIFTT
【0231】
TCL7 (無作為化FG及びBCループ)(配列番号5)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWX1X2X3X4X5X6X7X8X9FDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX10X11X12X13X14X15X16X17X18X19SNPLSAIFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり;そして
X7、X8、X9、X17、X18及びX19は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Yであるか又は欠失されている。
【0232】
TCL9 (無作為化FGループ)(配列番号6)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGV X1X2X3X4X5X6X7X8X9 X10X11X12SNPLSAIFTT;
X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり;そして
X8、X9、X10、X11及びX12は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Yであるか又は欠失されている。
【0233】
ライブラリー構築のために、無作為化BCループ(長さ6~9の位置)又はFGループ(長さ7~12の位置)をコードするDNAフラグメントを、ライブラリーのアミノ酸分布を制御するように、そして終止コドンを除外するように、Slonomics技術(Sloning Biotechnology GmbH)を使用して合成した。BCループ又はFGループのいずれかを無作為化するDNA分子の2つの異なるセットを独立して合成し、その後、PCRを使用して組み合わせて完全ライブラリー製品を製造した。
【0234】
FGループライブラリーの構築(TCL9)
5’Tacプロモーターと、それに続くFGループ中の無作為化されたコドンを除いたTenconの完全遺伝子配列とからなる合成DNA分子のセットを製造した(配列番号26~31)。FGループ無作為化のために、システイン及びメチオニンを除いて全てのアミノ酸を等しいパーセンテージでコードした。多様化された部分の長さを、それらがFGループ中の7、8、9、10、11、又は12個のアミノ酸をコードするようにした。各長さのバリエーションのサブライブラリーを、2ugスケールで個々に合成し、次いでオリゴSloning-FOR(配列番号9)及びSloning-Rev(配列番号10)を使用したPCRにより増幅した。
【0235】
ライブラリーの3’フラグメントは、PspOMI制限部位、repA遺伝子のコード領域、並びにcis及びoriエレメントを含む、ディスプレイのためのエレメントを含有する定常DNA配列である。M13順方向及びM13逆方向プライマーを用いてテンプレートとしてプラスミド(pCR4Blunt)(Invitrogen)を使用してPCR反応を行い、このフラグメントを増幅した。得られたPCR生成物をPspOMIにより終夜消化し、そしてゲル精製した。ライブラリーDNAの5’部分を、repA遺伝子を含有する3’DNAに連結するために、5’DNA 2pmol(約540ng~560ng)を、等モル濃度(約1.25μg)の3’ repA DNAに、NotI及びPspOMI酵素並びにT4リガーゼの存在下で37℃にて終夜連結した。連結されたライブラリー生成物を、オリゴPOP2250(配列番号11)及びDigLigRev(配列番号12)を用いるPCRを12サイクル使用することにより増幅した。各サブライブラリーのために、12 PCR反応の結果として得られたDNAを合わせて、Qiagenスピンカラムにより精製した。TCL9の各サブライブラリーの収量は32~34μgの範囲に及んだ。
【0236】
FG/BCループライブラリー(TCL7)の構築
TCL7ライブラリーは、無作為化されたTencon BC及びFGループを含むライブラリーを備える。このライブラリーにおいて、6~9アミノ酸長のBCループを、7~12アミノ酸長の無作為化FGループと組合せ論的に(combinatorically)混合した。合成TenconフラグメントBC6、BC7、BC8、及びBC9(それぞれ配列番号13~16)を、タンパク質のN末端部分を、残基VXを含めて残基VXまでコードするTencon遺伝子を含むように製造し、その結果BCループは、6、7、8、又は9個のいずれかの無作為化アミノ酸で置き換えられ、これは本明細書に提供される配列において「N」の文字列により表される。これらのフラグメントを、L17A、N46V及びE83I変異(CEN5243)の発見の前に合成したが、これらの変異は、以下に記載される分子生物学工程において導入された。このフラグメントを、無作為化FGループをコードするフラグメントと組み合わせるために、以下の工程を進めた。
【0237】
第一に、Tacプロモーター及びアミノ酸A17をコードするヌクレオチドまでのTenconの5’配列をコードするDNAフラグメント(130mer-L17A、配列番号17)を、オリゴPOP2222ext(配列番号18)及びLS1114(配列番号19)を使用したPCRにより製造した。これはライブラリーにおいてL17A変異を含めるために行われた(CEN5243)。次に、無作為化BCループを含むTencon残基R18~V75をコードするDNAフラグメントを、テンプレートとしてBC6、BC7、BC8、又はBC9並びにオリゴLS1115(配列番号20)及びLS1117(配列番号21)を使用したPCRにより増幅した。このPCR工程はBsaI部位を3’末端に導入した。その後、プライマーとしてオリゴPOP2222ext及びLS1117を使用してオーバーラップPCRによりこれらのDNAフラグメントを接合した。得られた240bpのPCR生成物をプールし、そしてQiagen PCR精製キットにより精製した。精製したDNAをBsaI-HFを用いて消化し、そしてゲル精製した。
【0238】
FGループをコードするフラグメントを、オリゴヌクレオチドSDG10(配列番号22)及びSDG24(配列番号23)を用いてテンプレートとしてFG7、FG8、FG9、FG10、FG11、及びFG12を使用したPCRを使用して増幅し、BsaI制限部位並びにN46V及びE86I変異を組み入れた(CEN5243)。
【0239】
消化されたBCフラグメント及びFGフラグメントを、3ウェイライゲーションを使用して単一工程で一緒に連結した。16の可能な組み合わせにおける4つのライゲーション反応を設定し、各ライゲーション反応は、2つのBCループ長と2つのFGループ長を組み合わせた。各ライゲーションは総BCフラグメント約300ng及びFGフラグメント300ngを含有していた。次いで、これら4つのライゲーションプールを、オリゴPOP2222(配列番号24)及びSDG28 配列番号25)を使用するPCRにより増幅した。次いで、各反応生成物7.5μgをNot1を用いて消化し、そしてQiagen PCR精製カラムを用いて浄化した。このDNA 5.2μgを、等モル量のRepA DNAフラグメント(約14μg)に連結し、PspOMIを用いて消化し、そして生成物を、オリゴPOP2222を使用するPCRにより増幅した。
【0240】
実施例2:代替の結合表面を有するTenconライブラリーの生成
特定のライブラリー設計において無作為化しようとする残基の選択は、生成される相互作用表面の形状全体に影響を与える。BC、DE、及びFGループが無作為化されたライブラリーから、マルトース結合タンパク質(MBP)に結合するように選択された足場タンパク質を含有するFN3ドメインのX線結晶構造解析は、MBPの活性部位に適合する大きく湾曲した境界面を有することが示された(Koideら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 104: 6632-6637、2007)。対照的に、MBPに結合するように選択されたアンキリン反復足場タンパク質は、かなりより平坦な相互作用表面を有し、そして活性部から離れたMBPの外面に結合することが分かった(Binzら、Nat.Biotechnol.22: 575-582、2004)。これらの結果は、足場分子の結合表面の形状(湾曲 対 平坦)が、どの標的タンパク質又はそれらの標的タンパク質上の特定のエピトープが、足場により効率的に結合されることが可能であるかを決定し得るということを示唆する。タンパク質結合のためのFN3ドメインを含有するタンパク質足場の操作を中心とした公開された取り組みは、標的結合のための隣接ループの操作に依存しており、それ故、湾曲した結合表面を生じた。このアプローチは、このような足場によりアクセス可能な標的及びエピトープの数を限定するかもしれない。
【0241】
Tencon及び他のFN3ドメインは、分子の反対の面にある二組のCDR様ループを含有し、第一の組はBC、DE、及びFGループにより形成され、そして第二の組は、AB、CD、及びEFループにより形成される。二組のループはFN3構造の中心を形成するベータ鎖により隔てられている。Tenconの画像を90度回転させる場合、別の表面が視覚化され得る。このわずかにくぼんだ表面はCD及びFGループ、並びに2つの逆平行ベータ鎖であるC及びFベータ鎖により形成され、そして本明細書ではC-CD-F-FG表面と呼ばれる。C-CD-F-FG表面は、表面を形成する残基のサブセットを無作為化することにより、タンパク質足場相互作用表面のライブラリーを設計するためのテンプレートとして使用され得る。ベータ鎖は、他の全部の残基の側鎖がタンパク質の表面に露出された反復構造を有する。したがって、ライブラリーは、ベータ鎖における一部の又は全ての表面に露出した残基を無作為化することにより作製され得る。ベータ鎖における適切な残基を選択することにより、他のタンパク質との相互作用のための独特の足場表面を提供しながら、Tencon足場の固有の安定性の妥協は最小になるはずである。
【0242】
ライブラリーTCL14(配列番号7)をTencon27足場(配列番号4)に設計した。
【0243】
このライブラリーを構築するために使用した方法の十分な説明は、米国特許公開第2013/0226834号に記載される。
【0244】
TCL14ライブラリー(配列番号7):
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX1IX2YX3EX4X5X6X7GEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYX8VX9IX10GVKGGX11X12SX13PLSAIFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12及びX13は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W,Y、C又はMである。
【0245】
Tencon27においてC-CD-F-FG表面を形成する2つのベータ鎖は、無作為化され得る合計9つの表面に露出した残基を有し;C鎖:S30、L32、Q34、Q36;F鎖: E66、T68、S70、Y72、及びV74、一方でCDループは6つの潜在的な残基を有し:S38、E39、K40、V41、G42、及びE43、そしてFGループは7つの潜在的な残基を有する:K75、G76、G77、H78、R79、S80、及びN81。22個全ての残基が無作為化された場合のライブラリーのより大きな理論的サイズに起因して、選択した残基をTCL14設計に含めるために選んだ。
【0246】
Tencon中の13個の位置を無作為化のために選んだ:C鎖におけるL32、Q34及びQ36、CDループにおけるS38、E39、K40及びV41、F鎖におけるT68、S70及びY72、FGループにおけるH78、R79、及びN81。C及びF鎖において、S30及びE66は、CD及びFGループを越えてすぐのところにあり、そしてC-CD-F-FG表面の一部であるようには見えないので、無作為化されなかった。CDループについては、可動性をもたらすグリシンはループ領域において有益であり得、そしてE43は表面の接合分にあるので、G42及びE43は無作為化されなかった。FGループは、K75、G76、G77、及びS80を除外された。グリシンは上記の理由から除外されたが、結晶構造を注意深く調べることにより、S80がコアと鍵となる接触をして安定なFGループを形成することに役立っていることがわかった。K75はC-CD-F-FG表面の表面から離れた方を向いており、無作為化にはあまり魅力的な候補ではなかった。上述の残基は元のTCL14設計では無作為化されなかったが、これらは、新規な選択のため又は例えば、選択されたTCL14標的に特異的なヒットに対する親和性成熟ライブラリーのための、さらなる多様性を生じるためにその後のライブラリー設計に含まれ得る。
【0247】
TCL14の製造後に、同様の設計の3つのさらなるTenconライブラリーを製造した。これら2つのライブラリー、TCL19、TCL21及びTCL23を、TCL14と同じ位置で(上を参照のこと)無作為化したが、これらの位置に存在するアミノ酸の分布を変更した(表3)。TCL19及びTCL21は、システイン及びメチオニンだけを除外して、全ての位置において18の天然アミノ酸の等しい分布(それぞれ5.55%)を含むように設計された。TCL23は、表3に記載されるように、各無作為化位置が機能的抗体のHCDR3ループにおいて見られるアミノ酸分布に近づくように設計された(Birtalanら、J.Mol.Biol.377: 1518-1528、2008)。TCL21ライブラリーと同様に、システイン及びメチオニンを除外した。
【0248】
第三のさらなるライブラリーを、他のライブラリーの潜在的な標的結合表面を拡大するために構築した。このライブラリーTCL24において、4つのさらなるTencon位置を、ライブラリーTCL14、TCL19、TCL21、及びTCL23と比較して無作為化した。これらの位置は、D鎖からN46及びT48、並びにG鎖からS84及びI86を含む。位置46、48、84、及び86の残基の側鎖は、ベータ鎖D及びGから表面露出しており、そしてC及びF鎖の無作為化される位置と構造的に隣接しており、それ故、標的タンパク質への結合のためにアクセス可能な表面積を増加させるので、これらの残基を特に選択した。TCL24について各位置において使用されたアミノ酸分布は、表3においてTCL19及びTCL21について記載されたものと同じであった。
【0249】
TCL24ライブラリー(配列番号8)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX1IX2YX3EX4X5X6X7GEAIX8LX9VPGSERSYDLTGLKPGTEYX10VX11IX12GVKGGX13X14SX15PLX16AX17FTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16及びX17は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、Y又はWである。
【0250】
【0251】
TCL21、TCL23、及びTCL24ライブラリーの生成
TCL21ライブラリーを、アミノ酸分布を制御するためにColibraライブラリー技術(Isogenica)を使用して生成した。TCL19、TCL23、及びTCL24遺伝子フラグメントを、アミノ酸分布を制御するためにSlonomics技術(Morphosys)を使用して生成した。PCRを使用して、最初の合成の後に各ライブラリーを増幅し、続いて、ループライブラリーについて上で記載したように、CIS-ディスプレイシステム(Odegripら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:2806-2810、2004)を使用した選択において使用されるようにRepAのための遺伝子に連結した。
【0252】
実施例3: CD71に結合するフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインの選択
パニング及び生化学スクリーニング
ヒトCD71に特異的なFN3ドメインを、N末端6Hisタグを有する組み換えビオチン化CD71細胞外ドメイン(Sino Biologics)を使用してCIS-ディスプレイ(Odegripら、2004年)により選択した。インビトロでの転写及び翻訳(ITT)のために、FN3ドメインライブラリーTCL18、TCL19、TCL21、TCL23、及びTCL24からのDNA 3μgを使用し、未結合のライブラリーメンバーを洗浄により除去した。DNAを標的タンパク質から加熱により溶出し、そしてさらなるパニングの一連のラウンドのためにKODポリメラーゼを使用してPCRにより増幅した。各ラウンドの間に標的CD71の濃度を400nMから100nMに連続して低下させ、そして洗浄ストリンジェンシーを増加させることにより、高親和性バインダーを単離した。第五ラウンドのパニングからのアウトプットを、4回のさらなるオフレート(off-rate)選択にかけた。ビオチン化標的抗原濃度を、6及び7ラウンドで25nMから8及び9ラウンドで2.5nMまで減らした。
【0253】
パニングに続いて、選択されたFN3ドメインをコードする遺伝子をPCRにより増幅し、リガーゼ非依存性クローニング部位を含むように改変されたpETベクターにサブクローニングし、そして標準的分子生物学技術を使用して大腸菌(E.coli)での可溶性発現のためにBL21(DE3)(Stratagene)細胞に形質転換した。C末端ポリヒスチジンタグをコードする遺伝子配列を各FN3ドメインに加えて、精製及び検出を可能にした。
【0254】
CD71に特異的に結合するFN3ドメインについてスクリーニングするために、ストレプトアビジン被覆Maxisorpプレート(Nuncカタログ436110)を、1時間Starting Block T20 (Pierce)においてブロックし、次いでビオチン化CD71(パニングにおける抗原と同じ抗原を使用)又はネガティブコントロール(無関係のFc融合組み換えタンパク質及びヒト血清アルブミン)で1時間コーティングした。プレートをTBSTでリンスし、そして希釈した溶解物をプレートに1時間適用した。さらにリンスした後、ウェルをHRP結合抗V5タグ抗体(Abcam、ab1325)で1時間処理し、次いでPOD(Roche,11582950001)で検定した。ストレプトアビジンコントロールのシグナルより少なくとも10倍高いELISAシグナルを有するFN3ドメイン溶解物からのDNAを配列決定して、23の異なる読み取り可能なFN3ドメイン配列をラウンド9スクリーニングから単離した(表4)。
【0255】
【0256】
サイズ排除クロマトグラフィー分析
サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、抗CD71 FN3ドメインの凝集状態を決定した。精製された各FN3ドメインのアリコート(10μL)を、Superdex 75 5/150カラム(GE Healthcare)にPBS pH7.4の移動相中で流量0.3mL/分にて注入した。カラムからの溶出を、280nmでの吸光度によりモニタリングした。Tenconタンパク質を対照として各ランに含めた。Agilent ChemStationソフトウェアを使用して、溶出プロフィールを解析した。18の同定されたFN3ドメインについての選択されたSECパラメーターを表5に列挙する。
【0257】
【0258】
ハイスループット発現及び結合体化
同定されたクローンを、二連の5mL培養において24ウェルディープブロックプレートにおいて増殖させた。手短には、50μg/mLカナマイシンを添加したTB培地5mL/ウェルに、終夜培養物150μLを播種し、そして約3時間37℃にて220rpmで振盪しながら増殖させた(OD600 約1)。培養物をIPTGを用いて誘導してさらに4時間37℃、220rpmで最終濃度1mMとした。細菌ペレットを2250xgで15分間の遠心分離により回収した。0.2mg/mLのリゾチーム(Sigma)を添加した600μL/ウェル BugBuster HT(Novagen)を各ウェルに加えた;ペレットをピペットにより分離させ、次いで振盪プラットフォームで約30分間ペレットが溶解するまで激しく振盪した。プレートを2250xgで15分間回転してライセートを透明にし、そして各サンプルについて2つの600μLアリコートを合わせた。Hisタグ化FN3ドメインを、製造者の指示に従ってHisTrapプレート(GE)で精製し、続いてZeba Spin 7K脱塩プレート(Thermo Scientific)を使用して緩衝液をTBSに交換した。タンパク質濃度をNanodropにより評価した。GlyGly-VC-MMAFへの結合のために、FN3ドメイン(30μM)を150μM GlyGlyVC-MMAF(Concortis)及び1μM Sortase Aと混合して総体積200μLとした。1.5時間室温で結合を進行させ、そしてGE Healthcare製の96ウェルHis Multitrap HPプレートを製造者の指示に従って使用して再び精製した。PBSへの緩衝液交換を、Zeba脱塩プレートを使用して達成し、続いて3000xgで2分間の遠心分離とともにMultiscreen HTS GVプレート(Durapore)を使用して滅菌ろ過を行った。濃度をNanodropにより評価した。
【0259】
SK-BR3結合FN3ドメインの同定
SK-BR-3細胞を、McCoyの5a培地 + 10%ウシ胎仔血清において培養した。FN3希釈をFACS緩衝液で準備した。50,000 SK-BR-3細胞を各ウェルに加え;培地を遠心分離後に吸引し、そしてHiLyte標識FN3ドメインを含有するFACS緩衝液100μLに細胞を再懸濁した。細胞を2時間37℃、5% CO2でインキュベートした。細胞をFACS緩衝液で3回リンスし、そして最終的にFACS緩衝液100μLに再懸濁した。蛍光をIntellictyeにより検出した。細胞集団をFSC-SSCドットプロットにより同定し、続いてFL4 MFIを記録した。データを8つの非染色細胞の平均に対して正規化し、そして用量応答曲線をGraphPadを使用してフィッティングした。
【0260】
用量-応答ELISAによる選択されたクローンの結合
選択されたクローンをELISAにより分析して、結合についてのEC50値を決定した。手短には、Maxisorbプレートを、ストレプトアビジンで5μg/mlで終夜4Cにてコーティングした。次いでプレートをStartingBlock(ThermoFisher)で室温にて1時間ブロックし、次いでTBS-Tweenで洗浄した。ビオチン化CD71(2μg/ml)をストレプトアビジンプレート上に捕捉し、そして段階希釈したCentyrinsを適切なウェルに1時間室温で加えた。洗浄した後、結合したCentyrinをHRP及びPOD基質に結合された抗V5タグ抗体及び発光プレートリーダーを用いて検出した。発光値を濃度の関数としてプロットし、そしてPRISMを使用して用量応答に対してフィッティングして、結合のEC50値を決定した。
【0261】
毒素結合体を介した内部移行FN3ドメインの同定。FN3ドメインを、細胞傷害性チューブリン阻害剤モノメチルアウリスタチンF(MMAF)に、NEM結合について記載された方法を使用して酵素切断可能Val-Citリンカー又は切断不可能なPEG4リンカー(VC-MMAF)を介して結合した。システインバリアント-細胞毒結合体に曝露した後にSKBR-3細胞の生存性を測定することにより殺細胞を評価した。白色ウェル、不透明底、組織培養処理プレート(Fisher、PI15042)において3000/ウェルで10%ウシ胎仔血清(Gibco)を含むフェノールレッドRPMI培地(Gibco、11875093)50μL/ウェル中に細胞をプレーティングした。細胞を加湿した5% CO2雰囲気下で終夜37℃で付着させた。細胞を、新鮮な培地25uL及び新鮮な培地で作製された4×阻害剤25uLで処理した。細胞生存性を、72時間でCell TiterGlo(Promega)を用いたエンドポイントアッセイにより決定した。GraphPad Prism(GraphPad Software)を使用して可変勾配を用いたシグモイド用量応答についての等式にデータをフィッティングすることにより、IC50値を決定した。結果を表6に示し、そしてCD71に結合するFN3ドメインが内部移行され、そして細胞傷害性であったことを実証する。
【0262】
【0263】
二価FN3タンパク質
二価FN3タンパク質は、4反復G/Sリンカーにより接続された2つのFN3ドメインを使用して製造される。二価FN3タンパク質を、記載されたようにVC-MMAFに結合し、そしてSK-BR3細胞において細胞傷害性について評価した。二価分子についてのIC50値はより優れていることがわかった。
【0264】
トランスフェリン結合及び内部移行についての競合
FN3ドメインVCMMAF結合体を、上記の細胞傷害性アッセイを使用して、ヒトトランスフェリンとの競合についてスクリーニングした。FN3ドメインを、0.6uMホロ-ヒトトランスフェリン(T0665-100MG)の不在下又は存在下でスクリーニングした。競合物の不在下又は存在下でスクリーニングされるSK-BR3細胞に対するFN3ドメイン毒素結合体についてのIC50値を表7に示す。
【0265】
【0266】
配列番号1=元のTencon配列
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAEFTT
【0267】
配列番号2=TCL1ライブラリー
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGV(X)7-12PLSAEFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7は、任意のアミノ酸であり;そして
X8、X9、X10、X11及びX12は、任意のアミノ酸であるか又は欠失している。
【0268】
配列番号3=TCL2ライブラリー
LPAPKNLVVSEVTEDSLRLSWX1X2X3X4X5X6X7X8SFLIQYQESEKVGEAINLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX9X10X11X12X13SX14X15LSAEFTT;
ここで、
X1は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X2は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X3 Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal;
X4は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X5は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X6は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X7は、Phe、Ile、Leu、Val又はTyrであり;
X8は、Asp、Glu又はThrであり;
X9は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X10は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X11は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X12は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X13は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;
X14は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValであり;そして
X15は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr又はValである。
【0269】
配列番号4=安定化Tencon
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVKGGHRSNPLSAIFTT
【0270】
配列番号5=TCL7(FG及びBCループ)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWX1X2X3X4X5X6X7X8X9FDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGVX10X11X12X13X14X15X16X17X18X19SNPLSAIFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X10、X11、X12、X13、X14、X15及びX16は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり;そして
X7、X8、X9、X17、X18及びX19は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Yであるか又は欠失している。
【0271】
配列番号6=TCL9(FGループ)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFLIQYQESEKVGEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYTVSIYGV X1X2X3X4X5X6X7X8X9 X10X11X12SNPLSAIFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W又はYであり;そして
X8、X9、X10、X11及びX12は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、Yであるか又は欠失している。
【0272】
TCL14ライブラリー(配列番号7)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX1IX2YX3EX4X5X6X7GEAIVLTVPGSERSYDLTGLKPGTEYX8VX9IX10GVKGGX11X12SX13PLSAIFTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12及びX13は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W,Y、C又はMである。
【0273】
TCL24ライブラリー(配列番号8)
LPAPKNLVVSRVTEDSARLSWTAPDAAFDSFX1IX2YX3EX4X5X6X7GEAIX8LX9VPGSERSYDLTGLKPGTEYX10VX11IX12GVKGGX13X14SX15PLX16AX17FTT;
ここで、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16及びX17は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、Y又はWである。
【0274】
配列番号9=Sloning-FOR
GTGACACGGCGGTTAGAAC
【0275】
配列番号10=Sloning-REV
GCCTTTGGGAAGCTTCTAAG
【0276】
配列番号11=POP2250
CGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATAC
【0277】
配列番号12=DigLigRev
CATGATTACGCCAAGCTCAGAA
【0278】
配列番号13=BC9
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0279】
配列番号14=BC8
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0280】
配列番号15=BC7
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0281】
配列番号16=BC6
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTGAAGTTACCGAAGACTCTCTGCGTCTGTCTTGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNTTYGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCAACCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTCTTAGAAGCTTCCCAAAGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0282】
配列番号17=130mer-L17A
CGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTG
【0283】
配列番号18=POP222ext
CGG CGG TTA GAA CGC GGC TAC AAT TAA TAC
【0284】
配列番号19=LS1114
CCA AGA CAG ACG GGC AGA GTC TTC GGT AAC GCG AGA AAC AAC CAG GTT TTT CGG CGC CGG CAG CAT GGT AGA TCC TGT TTC
【0285】
配列番号20=LS1115
CCG AAG ACT CTG CCC GTC TGT CTT GG
【0286】
配列番号21=LS1117
CAG TGG TCT CAC GGA TTC CTG GTA CTG GAT CAG GAA AGA GTC GAA
【0287】
配列番号22=SDG10
CATGCGGTCTCTTCCGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTCCTGACCGTTCCGGGT
【0288】
配列番号23=SDG24
GGTGGTGAAGATCGCAGACAGCGGGTTAG
【0289】
配列番号24=POP2222
CGGCGGTTAGAACGCGGCTAC
【0290】
配列番号25=SDG28
AAGATCAGTTGCGGCCGCTAGACTAGAACCGCTGCCACCGCCGGTGGTGAAGATCGCAGAC
【0291】
配列番号26=FG12
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0292】
配列番号27=FG11
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0293】
配列番号28=FG10
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0294】
配列番号29=FG9
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0295】
配列番号30=FG8
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0296】
配列番号31=FG7
GTGACACGGCGGTTAGAACGCGGCTACAATTAATACATAACCCCATCCCCCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGGATCTACCATGCTGCCGGCGCCGAAAAACCTGGTTGTTTCTCGCGTTACCGAAGACTCTGCGCGTCTGTCTTGGACCGCGCCGGACGCGGCGTTCGACTCTTTCCTGATCCAGTACCAGGAATCTGAAAAAGTTGGTGAAGCGATCGTGCTGACCGTTCCGGGTTCTGAACGTTCTTACGACCTGACCGGTCTGAAACCGGGTACCGAATACACCGTTTCTATCTACGGTGTTNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTCTAACCCGCTGTCTGCGATCTTCACCACCGGCGGTCACCATCACCATCACCATGGCAGCGGTTCTAGTCTAGCGGCCGCAACTGATCTTGGC (ここでNは任意の塩基である)
【0297】
配列番号32=ヒト成熟CD71
MTKEYQDLQHLDNEESDHHQLRKGPPPPQPLLQRLCSGPRLLLLSLGLSLLLLVVVCVIGSQNSQLQEELRGLRETFSNFTASTEAQVKGLSTQGGNVGRKMKSLESQLEKQQKDLSEDHSSLLLHVKQFVSDLRSLSCQMAALQGNGSERTCCPVNWVEHERSCYWFSRSGKAWADADNYCRLEDAHLVVVTSWEEQKFVQHHIGPVNTWMGLHDQNGPWKWVDGTDYETGFKNWRPEQPDDWYGHGLGGGEDCAHFTDDGRWNDDVCQRPYRWVCETELDKASQEPPLL
【0298】
配列番号80=ヒト成熟CD71細胞外ドメイン
QNSQLQEELRGLRETFSNFTASTEAQVKGLSTQGGNVGRKMKSLESQLEKQQKDLSEDHSSLLLHVKQFVSDLRSLSCQMAALQGNGSERTCCPVNWVEHERSCYWFSRSGKAWADADNYCRLEDAHLVVVTSWEEQKFVQHHIGPVNTWMGLHDQNGPWKWVDGTDYETGFKNWRPEQPDDWYGHGLGGGEDCAHFTDDGRWNDDVCQRPYRWVCETELDKASQEPPLL
【0299】
【0300】
実施例4: CD71に結合するフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインの選択
CD71へのトランスフェリン結合を阻害しない、CD71に結合するFn3ドメインを同定するためのパニング及び生化学的スクリーニング方法。CD71に特異的に結合し、かつCD71へのトランスフェリン結合を阻害しないFN3ドメインをスクリーニングするために、ストレプトアビジン被覆Maxisorpプレート(Nuncカタログ436110)を、1時間Starting Block T20(Pierce)中でブロックし、次いでビオチン化CD71(パニングと同じ抗原を使用)又はネガティブコントロール(無関係のFc融合組み換えタンパク質及び血清アルブミン)で1時間トランスフェリンの存在下にて、又はCD71トランスフェリン結合部位に結合するFN3タンパク質の存在下でコーティングした。トランスフェリンの濃度は35μMまでである。いずれの特定の理論にも拘束されないが、トランスフェリン、又はCD71トランスフェリン結合部位に結合するFN3タンパク質を含めることは、FN3ドメインの選択を、CD71へのトランスフェリン結合と競合しないか又はCD71へのトランスフェリン結合を阻害しないものに進める。プレートをTBSTでリンスし、そして希釈したライセートを1時間プレートに適用した。さらなるリンス後に、ウェルをHRP結合抗V5タグ抗体(Abcam、ab1325)で1時間処理し、次いでPOD(Roche,11582950001)を用いて検定した。ストレプトアビジンコントロールのELISAシグナルよりも少なくとも10倍高いELISAシグナルを有するFN3ドメインライセートからのDNAを配列決定し、スクリーニングから単離されたFN3ドメイン配列が得られた。
【0301】
実施例5: CD71に結合し、かつトランスフェリンと競合しないフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインの選択
トランスフェリンと競合しないか又は最少の競合しかしないCD71結合FN3ドメインを同定するために、偏ったCISディスプレイストラテジーを設計した。手短に言えば、ヒトCD71のECDでの5ラウンドのパニングの後に回収されたアウトプットを使用する(実施例3)。1)最終溶出工程の前に、ヒトホロトランスフェリンを用いて、トランスフェリンと同じ部位で結合したCentyrinsを溶出する洗浄工程、又は2)モノクローナル抗体OKT9を用いたFN3ドメインバインダーの溶出、のいずれかを加えて、実施例3において記載されるようにオフレート選択のさらなるラウンドを行った。トランスフェリン洗浄ストラテジー及びOKT9溶出ストラテジーから回収されたFN3ドメインドメインをPCR増幅し、そして以前に記載されたように(実施例3)pETベクターにクローン化した。huCD71に特異的に結合した228のFN3ドメインを、huCD71 ECDへの結合についてELISAにより確認した(表8)。独特なバインダーのサブセットをSECにより分析し(表9)、MMAFに結合させ、そしてSKBR-3細胞+/-ホロヒトトランスフェリンにおいて細胞生存性アッセイにより内部移行について評価した(表10)。ポリペプチドは、受容体により内部移行されたことがわかった。ヒットのデータ及び配列を、以下の表において同定する。
【0302】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【表9-6】
【0303】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【0304】
【0305】
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【0306】
実施例6.CD71 FN3ドメイン-オリゴヌクレオチド結合体を使用した筋肉細胞におけるmRNAのノックダウン。FN3ドメインに特異的に操作されるシステインを介したマレイミド化学を使用して、muCD71結合FN3ドメインをsiRNAオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に結合した。システイン置換は、本明細書に示され、そして米国特許出願公開第20150104808号(参照によりその全体として本明細書に援用される)にも示されるようなものであり得る。siRNA又はASOを、標準的な化学改変を用いて改変し、そしてインビトロで標的にしたmRNAのノックダウンを可能にすることを確認した。FN3ドメイン-オリゴヌクレオチド結合体を、マウスに10mg/kgオリゴヌクレオチドペイロードまでの用量で静脈内投与した。投与後の様々な時点でマウスを屠殺した;骨格筋、心筋及び様々な他の組織を回収し、そしてRNAlaterTM(Sigma Aldrich)で必要になるまで保存した。標的遺伝子ノックダウンを、標準的qPCR ΔΔCT法並びに標的遺伝子及び対照遺伝子に特異的なプライマーを使用して評価した。標的遺伝子は、筋肉においてノックダウンされていることが分かり、そしてこのようなノックダウンは、siRNA又はASOをCD71 FN3結合ドメインに結合することにより増強される。
【0307】
実施例7.一般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Sambrook、Fritsch及びManiatis (1982年及び1989年 第2版、2001年第3版) Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Sambrook及びRussell (2001) Molecular Cloning、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Wu (1993) Recombinant DNA、Vol.217、Academic Press、San Diego、CA)に記載される。標準的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology、第1~4巻、John Wiley and Sons、Inc.New York、NYにも見られ、これは細菌細胞におけるクローニング及びDNA変異誘発(第1巻)、哺乳動物細胞及び酵母におけるクローニング(第2巻)、複合糖質及びタンパク質発現(第3巻)、及びバイオインフォマティクス(第4巻)を記載する。
【0308】
免疫沈降法、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、及び結晶化を含むタンパク質精製方法が記載される(Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science、Vol.1、John Wiley and Sons、Inc.、New York)。化学分析、化学改変、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載される(例えば、Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science、Vol.2、John Wiley and Sons、Inc.、New York;Ausubelら(2001) Current Protocols in Molecular Biology、Vol.3、John Wiley and Sons、Inc.、NY、NY、16.0.5~16.22.17頁;Sigma-Aldrich、Co.(2001) Products for Life Science Research、St.Louis、MO;45~89頁;Amersham Pharmacia Biotech (2001) BioDirectory、Piscataway、N.J.、384~391頁を参照のこと)。ポリクローナル及びモノクローナル抗体の製造、精製及び断片化が記載される(Coliganら(2001)Current Protocols in Immunology、Vol.1、John Wiley and Sons、Inc.、New York;Harlow及びLane(1999) Using Antibodies、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Harlow及びLane、前出)。リガンド/受容体相互作用を特徴づけするための標準的技術が利用可能である(例えば、Coliganら (2001) Current Protocols in Immunology、Vol.4、John Wiley、Inc.、New Yorkを参照のこと)。
【0309】
本明細書において引用される全ての参考文献は、各々個々の刊行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列又はGeneIDエントリー)、特許出願、又は特許が、参照により援用されると具体的かつ個別に示されると同じ程度まで、参照により援用される。この参照による援用の声明は、たとえこのような引用が参照による援用の専用の声明に直接隣接していなくとも、各々全ての個々の刊行物、データベースエントリー(例えば、Genbank配列又はGeneIDエントリー)、特許出願、又は特許(これらの各々は、37 C.F.R.§1.57(b)(2)に従って明確に確認される)に関連すると、37 C.F.R.§1.57(b)(1)に従って出願人らにより意図される。参照による援用の専用の声明を、それがある場合に明細書内に含めることは、参照による援用のこの一般的な声明をいかなるようにも弱めることはない。本明細書における参照の引用は、その参照が従来技術に関連するということの承認とは意図されず、これらの刊行物又は書類の内容又は日付に関するいずれの承認も構成しない。
【0310】
本実施形態は、本明細書に記載される特定の実施形態により範囲を限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されるものに加えて実施形態の様々な改変が、前述の記載から当業者に明らかとなるだろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内にあると意図される。
【0311】
前述の記載された明細書は、当業者が実施形態を実施することを可能にするために十分であるとみなされる。本明細書に示されそして記載されるものに加えて、実施形態の様々な改変は、前述の記載から当業者に明らかとなり、そして添付の特許請求の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】