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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】血栓除去器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571588
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2020107891
(87)【国際公開番号】W WO2021023308
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,741
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521524586
【氏名又は名称】台湾生醫材料股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN BIOMATERIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】リャオ チュン-ジェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェン-シャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェン-シ
(72)【発明者】
【氏名】ファン チュア-ズ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE30
4C160MM36
(57)【要約】
カテーテル(10)、少なくとも1つの弁(20)、およびシャフト(30)を有する血栓除去器具が提供される。カテーテル(10)は、近位端部(12)および遠位端部(11)を有するとともに長手方向軸線を定める。少なくとも1つの弁(20)は、カテーテル(10)内に位置決めされた状態で長手方向に動くことができる。シャフト(30)は、カテーテル(10)の近位端部(12)に連結され、このシャフトは、駆動機構体およびワイヤ(34)を有する。ワイヤ(34)は、一端が駆動機構体に連結されるとともに反対側の端が少なくとも1つの弁(20)に連結されている。駆動機構体は、カテーテル(10)の近位端部(12)に向かう少なくとも1つの弁(20)の突然の運動を生じさせるよう構成されている。血栓除去器具を用いることによって、血栓を被検者の身体から効率的に除去することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓除去器具であって、
近位端部および遠位端部を備えるとともに長手方向軸線を定めるカテーテルと、
前記カテーテル内に位置決めされた状態で長手方向に動くことができる少なくとも1つの弁と、
前記カテーテルの前記近位端部に連結されたシャフトとを有し、前記シャフトは、駆動機構体およびワイヤを有し、
前記ワイヤは、一端が前記駆動機構体に連結されるとともに反対側の端が前記少なくとも1つの弁に連結され、前記駆動機構体は、前記カテーテルの前記近位端部に向かう前記少なくとも1つの弁の突然の運動を生じさせるよう構成されている、血栓除去器具。
【請求項2】
前記駆動機構体は、支持ロッドおよび前記支持ロッド周りに設けられたばねを含む、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項3】
前記シャフトは、本体をさらに有し、前記ばねおよび前記支持ロッドの一部は、前記本体内に配置されている、請求項2記載の血栓除去器具。
【請求項4】
前記ばねの一端は、前記支持ロッドに連結され、前記ばねの反対側の端は、前記シャフトの前記本体に連結されている、請求項3記載の血栓除去器具。
【請求項5】
前記駆動機構体は、前記支持ロッドを保持しまたは解除する解除部材をさらに含む、請求項2記載の血栓除去器具。
【請求項6】
前記駆動機構体は、前記ワイヤに連結されるチャックをさらに含む、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項7】
前記シャフトは、前記本体内の空間を封止するOリングをさらに有する、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項8】
前記シャフトは、コネクタを介して前記カテーテルに連結されている、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項9】
互いに連続して連結されかつ前記カテーテル内に配置された複数の弁を有する、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項10】
前記弁は、前記ワイヤにより互いに連結されている、請求項9記載の血栓除去器具。
【請求項11】
前記少なくとも1つの弁は、ボールまたは伸長可能な構造体である、請求項1記載の血栓除去器具。
【請求項12】
前記伸長可能な構造体は、バルーン形または傘形のものである、請求項11記載の血栓除去器具。
【請求項13】
前記ばねの弾力性係数は、50~1000N/mである、請求項1記載の血栓除去器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者または患者の身体から血栓を効率的に除去するために用いられる血栓除去器具に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本開示内容(本発明)は、2019年8月7日に出願された米国特許仮出願第62/883,741号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を全ての目的について参照し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
血栓症は、血液またはデブリの異常な凝固によって引き起こされ、かかる異常な凝固は、血管内における血液の流れを遮断し、それにより隣接の組織の低酸素症が生じる。血栓症は、虚血性発作の主因である。血栓症の治療は、もっぱら血栓の除去に向けられている。治療の主流は、血栓溶解薬に依存しているが、その効能は、患者ごとにばらつきがあると言える。インターベンション治療は、血栓をその場で除去するもう1つのオプションである。概要を述べると、伝統的なインターベンション治療では、器具を血管中に導入して血栓を機械的に除去する。しかしながら、時々において、この器具は、血栓をばらばらにして断片の状態にする恐れがあり、大きな断片は、血管の他の場所で血栓症を引き起こす恐れがある。
【0004】
もう1つのインターベンション治療は、カテーテルを用いた陰圧による吸引の利用に関している。ごく狭い場所において、カテーテルの近位端部を吸引ポンプ(または注射器)に連結し、カテーテルの遠位端部を血管中に差し向ける。カテーテルの遠位端部が血栓の位置に達すると、ポンプを用いて陰圧を生じさせることによって血栓をカテーテル中に吸引し、それにより血栓を患者の体から除去する。しかしながら、患者の体内における血栓の位置がポンプから遠く離れている場合、長いカテーテル(すなわち、距離が長い)は、ポンプによって生じた陰圧を減少させることになる。かくして、結果として生じた陰圧は、血栓を除去するのに不十分な場合がある。通常、カテーテルの内径が大きければ大きいほど、保たれる圧力はそれだけいっそう大きくなる。しかしながら、大径のカテーテルを細い血管中に導入することができず、かくしてかかる大径カテーテルは、多くの危険を伴う位置、例えば脳血管内では役に立たない場合がある。陰圧を増大させる別の手法は、吸引力を高めることである。しかしながら、吸引ポンプまたは注射器によって生じる最大陰圧は、760mmHgなので、圧力を760mmHg超に調整しまたは増大させる上でかかる吸引ポンプまたは注射器には限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のことに照らして、当該技術分野では、血栓を患者の体から除去する良好な解決策が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、陰圧が血管内の除去されるべき血栓の近くの位置で作られる血栓除去器具を提供する。
【0007】
本発明の一観点では、カテーテル、少なくとも1つの弁、およびシャフトを有する血栓除去器具が提供される。カテーテルは、近位端部および遠位端部を備えるとともに長手方向軸線を定める。少なくとも1つの弁は、カテーテル内に位置決めされた状態で長手方向に動くことができる。シャフトは、カテーテルの近位端部に連結され、このシャフトは、駆動機構体およびワイヤを有する。ワイヤは、一端が駆動機構体に連結されるとともに反対側の端が少なくとも1つの弁に連結されている。駆動機構体は、カテーテルの近位端部に向かう少なくとも1つの弁の突然の運動を生じさせるよう構成されている。
【0008】
好ましくは、駆動機構体は、支持ロッドおよび支持ロッド周りに設けられたばねを含む。
【0009】
好ましくは、シャフトは、本体をさらに有し、ばねおよび支持ロッドの一部は、本体内に配置される。
【0010】
好ましくは、ばねの一端は、支持ロッドに連結され、ばねの反対側の端は、シャフトの本体に連結される。
【0011】
好ましくは、駆動機構体は、支持ロッドを保持しまたは解除する解除部材をさらに含む。
【0012】
好ましくは、駆動機構体は、ワイヤに連結されるチャックをさらに含む。
【0013】
好ましくは、シャフトは、本体内の空間を封止するOリングをさらに有する。
【0014】
好ましくは、シャフトは、コネクタを介してカテーテルに連結される。
【0015】
好ましくは、血栓除去器具は、互いに連続して連結されかつカテーテル内に配置された複数の弁を有する。
【0016】
好ましくは、弁は、ワイヤにより互いに連結される。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの弁は、ボールまたは伸長可能な構造体である。
【0018】
好ましくは、伸長可能な構造体は、バルーン形または傘形のものである。
【0019】
好ましくは、ばねの弾力性係数は、50~1000N/mである。
【0020】
本発明では、少なくとも以下の利点が得られる。
【0021】
1.先行技術において除去されるべき血栓から遠く離れたカテーテルの近位端部内で生じる陰圧とは対照的に、本発明に係る陰圧は、血栓の近くに位置するカテーテルの遠位端部内で作られる。
【0022】
2.本発明の血栓除去器具の作用効果は、カテーテルの長さ、および/または血栓の存在場所によって影響を受けることがないということにある。
【0023】
3.本発明の血栓除去器具は、血栓を個人から安全に除去するよう安定した陰圧を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に従って血栓を血管から除去する血栓除去器具の概略作用図である。
図2】本発明の実施形態に従って互いに連続して連結された複数の弁を示す図である。
図3】本発明の実施形態に従ってカテーテルに連結されたシャフトの略図である。
図4】本発明の実施形態に従ってシャフトのワイヤに連結されたチャックの略図である。
図5】本発明の実施形態に従ってOリングが設けられていない場合とOリングが設けられている場合のシャフトの略図である。
図6】本発明の実施形態に従ってコネクタを介してカテーテルに連結されたシャフトの略図である。
図7】本発明の実施形態に従ってカテーテルの遠位端部のところに配置された弁の略図である。
図8】本発明の実施形態に係る血栓除去器具の概略作用図である。
図9】本発明の実施形態に従って血栓を血管から除去する弁の概略作用図である。
図10】本発明の実施形態に従ってコネクタ(a)、ポンプ(b)、および注射器(c)を有する血栓除去器具の略図である。
図11】本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一ボール型式または多数ボール型式の弁の概略作用図である。
図12】本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一バルーン形または多バルーン形の弁の概略作用図である。
図13】本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一傘形または多傘形の弁の概略作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の血栓除去器具の実施例を示す以下の図1を参照されたい。図1に示されているように、血栓除去器具100は、カテーテル10、弁20、およびシャフト30を有する。
【0026】
カテーテル10は、遠位端部11および近位端部12を有する。遠位端部11は、血管50中に導入され、そして最終的には除去されるべき血栓の近くに位置決めされるようになっている(図1の部分図(a)を参照されたい)。他方、近位端部12は、血栓の除去を必要としている被検者または患者の体外に位置決めされる可能性が高い。近位端部12は、シャフト30に連結されている。オペレータ、例えば医師は、シャフト30によってカテーテル10の動きを制御することができる。
【0027】
弁20は、図1の実施例では任意形状のものであって良いが、弁20は、球形である。一実施形態では、弁20は、カテーテル10の内壁に対応した形状を有する。例えば、弁20は、球体であり、カテーテル10の内径よりも僅かに短い直径を有し、したがって、弁20は、カテーテル10内で長手方向に動くことができしかも動いている間に陰圧を生じさせることができる。別の実施形態では、血栓除去器具100は、複数の弁20を有する。例えば、複数の弁20は、図2に示されているように、ワイヤ34により互いに軸方向に連続して結合されている。他の特定の実施形態では、弁20は、伸長可能な構造、例えばバルーン形または傘形であるのが良い。これら実施形態は、一操作で多くの行為をなす上で特に望ましい。以下の段落においてこれ以上の敷衍的説明を提供する。
【0028】
図1および図3を参照されたい。シャフト30は、本体31、支持ロッド32、ばね33、およびワイヤ34を有する。ばね33は、支持ロッド32に連結された一端および本体31に連結された他端を有する。一実施形態では、ばね33の弾力性係数は、50~1000N/m、好ましくは100~600N/mである。好ましくは、装填位置および/または解除位置を表示するために支持ロッド32上にラベル表示された1本または2本の表示線32aおよび/または32bが設けられる。支持ロッド32の移動長さは、2cmから20cmまでの範囲、好ましくは5cmから15cmまでの範囲にあるのが良く、移動距離は、解除位置から装填位置までの距離を意味している。加圧されるべき支持ロッド32の端部は、この端部が装填位置から解除されたときの衝撃を減少させるために弾性材料、例えばシリコーンまたはゴムで形成されるのが良い。本体31は、オペレータがこれを保持するよう構成されており、この本体は、解除部材36を有する。支持ロッド32、ばね33および解除部材36は、弁20のための駆動機構体を形成している。解除部材36は、支持ロッド32を定位置に保持し、この支持ロッドを解除部材が押されている間に解除する。解除部材36は、トリガを行っている間の振動を減少させるために弾性材料、例えばシリコーンまたはゴムで形成されるのが良い。
【0029】
一実施形態では、支持ロッド32は、ワイヤ34に連結されるために用いられるチャック35を有する。例えば、図4は、ワイヤ34をクリップ止めすることによってチャック35がワイヤ34に連結された状態を示している。ワイヤ34およびチャック35は、任意の医用適合性材料、例えばステンレスで作られるのが良い。図5を参照すると、この図は、Oリング37が設けられたまたはOリング37が設けられていないシャフト30の実施形態を示している。実施形態A′では、シャフト30は、本体31内の空間を封止するためのOリング37をさらに有し、その結果、弁20がカテーテル10の近位端部12まで戻っている間、陰圧を効果的に生じさせて維持して吸引力を増大させることができるようになっている。Oリング37はまた、本体31内における支持ロッド32の運動の安定性を高める。
【0030】
図6を参照されたい。シャフト30は、コネクタ38をさらに有し、コネクタ38は、カテーテル10を本体31に連結している。この実施形態では、コネクタ38は、シャフト30の前に配置され、このコネクタは、これを挿通するワイヤ34を受け入れる。
【0031】
開示された血栓除去器具の操作
【0032】
患者の血栓の位置を確認した後、医師は、本発明の血栓除去器具を用いることによって血栓を除去することができる。好ましい実施形態では、本発明の血栓除去器具をイメージング技術、例えばX線および/または超音波器具と同時に用いることができる。
【0033】
図1に戻ってこれを参照されたい。医師は、開示した血栓除去器具100をシャフト30により保持して操作することができる。まず最初に、先導ワイヤ(すなわち、ガイドワイヤ、これについては図示されていない)を血栓40の付近まで血管50中に導入する。次に、カテーテル10を血栓40に隣接して位置するカテーテル10の遠位端部11まで先導ワイヤの横に並んだ状態で伸長させる。先導ワイヤをカテーテル10が定位置に位置した後に引き出し、その後、弁20を動かす。弁20は、最終的には、カテーテル10の遠位端部11のところ、基本的には、図7に示されているようにその縁のところに位置決めされる。換言すると、カテーテル10の遠位端部11が血管50内の血栓40に隣接して位置している間、弁20は、血栓40の最も近くに位置するカテーテル10の位置にある。
【0034】
次に、図1の部分図(b)を参照されたい。カテーテル10および弁20が除去されるべき血栓40に隣接した所望の位置に位置した後、医師は、解除部材36を押して支持ロッド32の位置を解除するのが良い。解除された支持ロッド32は、ばね33によって後方に押される。その結果、カテーテル10の近位端部12に向かう弁20の突然の運動が開始される。詳細には、図8図9を併せ参照されたい。図8の部分図(a)および部分図(b)に示されているように、駆動機構体支持ロッド32を押して装填状態にする。さらに図8の部分図(c)を参照されたい。解除部材36を押すと、支持ロッド32は、装填状態から解除されてばね33によって迅速に後方に動かされる。支持ロッド32が後方に動いている間、駆動機構体に連結されているワイヤ34もまた、後方に引かれ、その結果、弁20は、カテーテル10の近位端部12に向かって動くようになっている。その結果、この時点において、血栓40の近くに位置するカテーテル10の遠位端部11のところの圧力は、血管50内の血栓40の付近の圧力よりも低い。すなわち、陰圧がカテーテル10の遠位端部11のところに作られて血栓40をカテーテル10内に押し込みまたは引き込む(図9参照)。
【0035】
理論に束縛されるものではないが、概要を説明すると、弁20の突然の運動は、血栓40の隣接の位置のところに陰圧を生じさせ、それにより血栓がカテーテル10内に吸い込まれる。次に、血栓40は、血管50から動かされ、カテーテル10に沿って移され、そして最終的に患者の体外に至る。一実施形態では、シャフト30のコネクタ38の一部または全てを図10の部分図(a)~(c)に示されているように、外部ポンプ60または注射器70に連結するよう交換可能である。このようにすることによって、管類61を用いてまたは用いないで、ポンプ60または注射器70を利用することによりカテーテル10内の血栓40をカテーテル10から容易かつ迅速に運び去ることができる。別の実施形態では、血栓40がカテーテル10内に吸い込まれると、医師は、カテーテル10を血栓40と一緒に抜去するだけで良く、その結果、血栓を除去する目的が達成されるようになっている。
【0036】
図11は、本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一ボール形または多ボール形の弁の概略作用図である。この図は、ボール形の弁20および血栓40の対応の運動をさらに示している。血栓を一度に除去することができない場合、医師は、支持ロッド32、ワイヤ34、ボール形弁20、および解除部材36をリセットしてこれらを初期位置に戻し、そしてカテーテル10を患者の体から抜去することなく上述の作用を再度繰り返すのが良い。
【0037】
図12は、本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一バルーン形または多バルーン形の弁の概略作用図である。図12では、カテーテル10およびバルーン形弁20を血管内の血栓40に隣接して位置決めする(行為i)。次に、カテーテル10の近位端部12に向かうバルーン形弁20の突然の運動を開始する(行為ii)。バルーン形弁20の突然の運動は、血栓40の隣接位置のところに陰圧を生じさせ、その結果、血栓40がカテーテル10内に吸い込まれる(行為iiおよびiii)。血栓40が完全に除去されない場合または除去が必要な別の血栓が存在する場合、バルーン形弁20を血栓40中に通すよう縮めるのが良い(行為ivおよびv)。次に、縮められた弁20を次の血栓スポットに向かって動かすのが良く(行為viおよびvii)、そしてインフレートさせて上述の吸引行為を再び繰り返すのが良い(行為viii)。
【0038】
図13は、本発明の実施形態に従って血栓を除去するための単一傘形または多傘形の弁の概略作用図である。上記と同様、カテーテル10および傘形弁20を血管内の血栓40に隣接して位置決めする(行為i)。次に、傘形弁20をカテーテル10の近位端部12まで突然かつ迅速に戻して血栓40に隣接して位置するカテーテル10の遠位端部11のところに陰圧を生じさせ、それにより血栓がカテーテル10中に吸い込まれるようにする(行為iiおよびiii)。傘形弁20を繰り返し畳んだり広げたりするのが良く、その結果、血栓40を連続して除去する多数回の行為を一操作で達成できるようにする(行為iv~viii)。
【0039】
上述の内容に照らして、本発明の血栓除去器具は、操作するのが簡便でありかつ血栓を除去するための良好な効率を提供する。この血栓除去器具はまた、その効率を高めるよう従来型のかつ臨床的に用いられている血栓除去器具に代えて備え付け可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】