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  • 特表-抗生物質併用療法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】抗生物質併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/545 20060101AFI20221201BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20221201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221201BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K31/545
A61K31/438
A61K38/08
A61P43/00 121
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516163
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2020000645
(87)【国際公開番号】W WO2021048610
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,257
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/977,659
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/941,160
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/902,019
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519450178
【氏名又は名称】バイオバーシズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トレボスク, ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ケンマー, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ダーレ, グレン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロチューロ, セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ギッツィンガー, マルク
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA24
4C084BA31
4C084BA44
4C084CA59
4C084MA02
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB25
4C086CC12
4C086CC16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、被験体においてA.baumannii感染を処置するための抗生物質併用療法を提供する。上記併用療法は、リファブチンおよび第2の抗生物質(例えば、コリスチンおよびセフィデロコル)を含む。抗生物質の組み合わせは、広い範囲のA.baumannii株に対して相乗効果を示す。その相乗効果は、リファブチンおよびコリスチンに対するA.baumannii細胞の感受性を大いに増大し、株によっては、その抗生物質が単独で使用される場合と比較して、他と組み合わせにおいて使用されるそれら抗生物質のうちの1つに対する感受性において500倍超の増大を示し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体においてA.baumannii感染を処置する方法であって、前記方法は、A.baumanniiに感染した被験体に、リファブチン、ならびにコリスチンおよびセフィデロコルからなる群より選択される第2の抗生物質を提供する工程を包含する方法。
【請求項2】
前記被験体は、リファブチンに耐性であるA.baumanniiの株に感染している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体は、前記第2の抗生物質に耐性であるA.baumanniiの株に感染している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の抗生物質は、コリスチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の抗生物質は、セフィデロコルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リファブチンは、静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リファブチンは、吸入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記リファブチンおよび前記第2の抗生物質は、単一製剤中に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リファブチンおよび前記第2の抗生物質は、別個に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記A.baumanniiは、rpoB変異を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コリスチンおよびセフィデロコルからなる群より選択される第2の抗生物質を含む併用療法であって、ここで前記併用療法は、リファブチンおよび前記第2の抗生物質を、被験体においてA.baumannii感染を処置するために治療上有効な量で含む、併用療法。
【請求項12】
前記被験体は、リファブチンに耐性であるA.baumanniiの株に感染している、請求項11に記載の併用療法。
【請求項13】
前記被験体は、前記第2の抗生物質に耐性であるA.baumanniiの株に感染している、請求項11に記載の併用療法。
【請求項14】
前記第2の抗生物質は、コリスチンである、請求項11に記載の併用療法。
【請求項15】
前記第2の抗生物質は、セフィデロコルである、請求項11に記載の併用療法。
【請求項16】
前記リファブチンは、静脈内投与される、請求項11に記載の併用療法。
【請求項17】
前記リファブチンは、吸入によって投与される、請求項11に記載の併用療法。
【請求項18】
前記リファブチンおよび前記第2の抗生物質は、単一製剤において提供される、請求項11に記載の併用療法。
【請求項19】
前記リファブチンおよび前記第2の抗生物質は、別個に提供される、請求項11に記載の併用療法。
【請求項20】
前記A.baumanniiは、rpoB変異を含む、請求項11に記載の併用療法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年9月18日出願の米国仮特許出願第62/902,019号、2019年9月12日出願の同第62/899,257号、2019年11月27日出願の同第62/941,160号、および2020年2月17日出願の同第62/977,659号(それらの各々の内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)に基づく利益および優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、A.baumannii感染を処置するためのリファブチン併用療法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
最近数十年間にわたる多剤耐性(MDR)または広範囲薬剤耐性(XDR)の細菌株の出現によって、細菌感染症は、ますます深刻な公衆衛生上の懸念になっている。大きな健康上の脅威となる1つの細菌種は、Acinetobacter baumanniiであり、これは、肺炎、髄膜炎、および血液、尿路、および皮膚の感染症を引きおこし得る。A.baumannii細胞は、長期間にわたって人工的な表面上で生存し得ることから、上記細菌は、病院環境において容易に伝染し得、大部分のA.baumannii感染は、院内で獲得される。例えば、中東にいる多くの軍人は、戦闘の間に受けた傷害に関して処置されている間にA.baumanniiに感染しており、細菌の多剤耐性株は、怪我をした軍人のリハビリテーションにおける重大な合併症の代表である。
【0004】
A.baumannii感染の処置は、困難である。転移性の遺伝的エレメントの使用を通じて、A.baumanniiの株は、いくつかの異なるクラスの抗生物質(アミノグリコシド、アミノシクリトール、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、およびカルバペネムが挙げられる)に対する耐性を発生させている。ポリミキシン(例えば、コリスチン)は、代表的には、それらの重大な副作用に起因して、最終手段として使用されるが、いくらかのA.baumannii株は、コリスチンに対しても耐性がある(Zubairら, 2015)。結論として、この細菌によって引きおこされる病気を処置および防止するための現行のツールは、多くの患者にとって不適切である。これらの院内病原体を処置するために、解決策を見出すかなりの努力がなされてきた。そのうちの1つは、併用療法である(Levinら, 1999; Woodら, 2003)。2種の抗生物質の組み合わせは、互いに対して異なる効果を示し、多くの場合、その効果は、相乗効果的または強化するものであるが、場合によっては、拮抗が観察される(Monteroら, 2004; Tripodiら, 2007)。リファンピシン(リファブチンのようなリファマイシン系抗生物質に属する抗生物質)は、細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼBサブユニット(rpoB)を標的とし、他の抗生物質と一緒に頻繁に使用される抗生物質である。リファンピシン(リファンピンとしても公知)は、コリスチンとともに、A.baumanniiに対して相乗効果を示したが、この組み合わせの結果は、リファンピンのMICに依存する(Giannouliら, 2012)。特に、リファンピシンおよびコリスチンの相乗効果は、A.baumannii単離物において観察され、ここで上昇したリファンピシンMICは、rpoB標的遺伝子における変異に起因した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、A.baumannii感染を処置するために、リファブチンおよび第2の抗生物質(例えば、ポリミキシン(例えば、コリスチン、ポリミキシンB、ポリミキシンBノナペプチド;MRX-8によって例示されるとおりのポリミキシンアナログ)、他のカチオン性抗微生物性ペプチド(例えば、SPR741;POL7306によって例示されるキメラペプチド模倣抗生物質;オクタペプチン環式ペプチド(octapeptin cyclic peptides))またはセフィデロコル)を含む併用療法を提供する。本発明は、リファブチンが、A.baumannii細胞の増殖を阻害する、ある特定の他の抗生物質と相乗効果的に作用するという知見に基づく。抗生物質の組み合わせは、広い範囲のA.baumannii株に対して相乗効果を示す。その相乗効果は、リファブチンおよびコリスチンに対するA.baumannii細胞の感受性を大いに増大し、株によっては、その抗生物質が単独で使用される場合と比較して、他と組み合わせにおいて使用されるそれら抗生物質のうちの1つに対する感受性において500倍超の増大を示す。さらに、および予測外なことに、リファブチンおよびコリスチンの組み合わせは、相乗効果的に作用して、それらが個々に提供される場合にそれら抗生物質の両方に耐性である株の増殖を阻害し、従って、それら株を、リファブチンおよびリファンピシンに対する上昇したMICがrpoB遺伝子における変異に起因する場合にすら、併用処置に対して感受性にする。この観察は、リファンピシンおよびコリスチンの組み合わせで観察されるものとは全く対照的であり、この場合、変異を有する株は、その組み合わせに対して耐性のままである。従って、本発明は、そうでなければ無力である状況において、抗生物質の治療上の潜在能力を解放し、重篤なA.baumannii感染の処置のために有効な療法を提供する。
【0006】
一局面において、本発明は、A.baumanniiに感染した被験体に、リファブチンおよび第2の抗生物質を提供することによって、被験体においてA.baumannii感染を処置する方法を提供する。上記第2の抗生物質は、ポリミキシン(例えば、コリスチン、ポリミキシンB。ポリミキシンBノナペプチド)またはセフィデロコルであり得る。
【0007】
上記被験体は、1種またはこれより多くの抗生物質に耐性であるA.baumanniiの株に感染している可能性がある。上記株は、アミノシクリトール、アミノグリコシド、β-ラクタム、β-ラクタマーゼインヒビター、カルバペネム、セファロスポリン、ポリミキシン、キノロン、リファマイシン、スルホンアミド、ミノサイクリン、エラバサイクリン、スルバクタム、およびテトラサイクリンのうちの1種またはこれより多くに耐性であり得る。上記株は、アミカシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、セフェピム、セフィデロコル、セフタジジム、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、コリスチン、ポリミキシンB、ドリペネム、ゲンタマイシン、イミペネム、レボフロキサシン、メロペネム、ペニシリン、ピペラシリン、リファブチン、リファンピシン、タゾバクタム、およびチゲサイクリンのうちの1種またはこれより多くに耐性であり得る。
【0008】
各抗生物質は、別個の投与経路によって投与され得る。上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、同じ得投与経路によって投与され得る。各抗生物質は、独立して、静脈内に、経口的に、非経口的に、皮下に、または吸入によって、注射によって、および/もしくは注入によって、投与され得る。
【0009】
各抗生物質は、別個に製剤において投与され得る。上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、単一製剤において投与され得る。上記抗生物質は、同じ投与レジメンに従って投与されてもよいし、2種またはこれより多くの抗生物質は、異なる投与レジメンに従って投与され得る。上記投与レジメンは、投与量、投与頻度、または投与間の間隔のうちの1またはこれより多くを含み得る。
【0010】
上記被験体は、ヒトであり得る。上記被験体は、小児(pediatric)、新生児(newborn)、乳児(neonate)、幼児、小児(child)、青年、前青年期(pre-teen)、ティーンエイジャー、成人、または高齢の被験体であり得る。上記被験体は、救命救急ケア、集中ケア、新生児集中ケア、小児集中ケア、冠状動脈ケア(coronary care)、心胸郭部ケア(cardiothoracic care)、外科手術集中ケア、集中ケア(medical intensive care)、長期集中ケア、手術室、救急車、野戦病院、または院外の現場状況にいる可能性がある。
【0011】
上記方法は、第1の2種の抗生物質(例えば、リファブチンおよびコリスチンまたはセフィデロコルのいずれか)に加えて、1種またはこれより多くの抗生物質を提供する工程を包含し得る。上記1種またはこれより多くのさらなる抗生物質は、アミノシクリトール、アミノグリコシド、β-ラクタム、β-ラクタマーゼインヒビター、カルバペネム、セファロスポリン、ポリミキシン、キノロン、リファマイシン、スルホンアミド、ミノサイクリン、エラバサイクリン、スルバクタム、およびテトラサイクリンであり得る。上記1種またはこれより多くのさらなる抗生物質は、アミカシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、セフェピム、セフィデロコル、セフタジジム、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、コリスチン、ドリペネム、ゲンタマイシン、イミペネム、レボフロキサシン、メロペネム、ペニシリン、ピペラシリン、ポリミキシンB、リファブチン、リファンピシン、タゾバクタム、およびチゲサイクリンであり得る。
【0012】
別の局面において、本発明は、被験体においてA.baumannii感染を処置するために治療上有効な量において、リファブチンおよび第2の抗生物質を含む併用療法を提供する。上記第2の抗生物質は、ポリミキシン(例えば、コリスチン、ポリミキシンB、ポリミキシンBノナペプチド)またはセフィデロコルであり得る。
【0013】
上記被験体は、1種またはこれより多くの抗生物質(例えば、上記のもののうちのいずれか)に耐性であるA.baumanniiの株に感染し得る。
【0014】
各抗生物質は、別個の投与経路によって投与され得る。上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、同じ投与経路によって投与され得る。各抗生物質は、独立して、静脈内に、経口的に、非経口的に、皮下に、吸入によって、注射によって、および/もしくは注入によって、投与され得る。
【0015】
各抗生物質は、別個の製剤において投与され得る。上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、単一製剤において投与され得る。上記抗生物質は、同じ投与レジメンに従って投与され得るか、または2種またはこれより多くの抗生物質は、異なる投与レジメンに従って投与され得る。上記投与レジメンは、投与量、投与頻度、または投与間の間隔のうちの1またはこれより多くを含み得る。
【0016】
上記被験体は、ヒトまたはヒトの綱(例えば、上記のもののうちのいずれか)であり得る。
【0017】
上記併用療法は、治療上有効な量において、1種またはこれより多くのさらなる抗生物質(例えば、上記のもののうちのいずれか)を提供する工程を包含し得る。
【0018】
別の局面において、本発明は、被験体においてA.baumannii感染を処置するための1種またはこれより多くの医薬を作製するための、リファブチンおよび第2の抗生物質を含む組み合わせの使用を提供する。上記第2の抗生物質は、コリスチンまたはセフィデロコルであり得る。
【0019】
上記使用の実施形態において、上記被験体は、1種またはこれより多くの抗生物質(例えば、上記のもののうちのいずれか)に耐性であるA.baumanniiの株に感染している可能性がある。
【0020】
上記使用の実施形態において、各抗生物質は、別個の投与経路によって投与される。上記使用の実施形態において、上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くが、同じ投与経路によって投与される。上記使用の実施形態において、各抗生物質は、独立して、静脈内に、経口的に、非経口的に、皮下に、吸入によって、注射によって、および/もしくは注入によって、投与される。
【0021】
上記使用の実施形態において、各抗生物質は、別個の製剤において投与される。上記使用の実施形態において、上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、単一製剤において投与される。上記使用の実施形態において、上記抗生物質は、同じ投与スケジュールに従って投与される。上記使用の実施形態において、上記抗生物質のうちの2種またはこれより多くは、異なる投与スケジュールに従って投与される。上記投与スケジュールは、投与量、投与頻度、または投与間の間隔のうちの1またはこれより多くを含み得る。
【0022】
上記使用の実施形態において、上記被験体は、ヒトまたはヒトの綱のメンバー(例えば、上記のもののうちのいずれか)である。
【0023】
上記使用の実施形態において、上記組み合わせは、1種またはこれより多くのさらなる抗生物質(例えば、上記のもののうちのいずれか)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、リファブチンおよびコリスチンの種々の濃度で培養されたA.baumannii細胞の96ウェルプレートチェッカーボードの画像である。
図2図2は、リファブチンおよびセフィデロコルの種々の濃度で培養されたA.baumannii細胞の96ウェルプレートチェッカーボードの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本発明は、被験体においてA.baumannii感染を処置するための併用療法を提供する。上記併用療法は、リファブチンが、コリスチンおよびセフィデロコルのような抗生物質と相乗効果的に作用して、A.baumannii細胞の増殖を阻害するという知見に基づく。従って、コリスチンまたはセフィデロコルのいずれかとの組み合わせにおけるリファブチンの使用は、A.baumannii感染を処置するにあたって、それら抗生物質単独のいずれかとの使用より有効である。さらに、および予測外なことに、リファブチンおよびコリスチンの組み合わせは、A.baumannii株に対してでさえ有効であり、これは、個々に与えられた場合に上記抗生物質の両方に耐性であるが、組み合わせて与えられる場合には、処置に対して感受性になる。
【0026】
併用療法
本発明の併用療法は、相乗効果的に作用して、A.baumannii細胞の増殖を阻害する2種の抗生物質を含む。抗生物質(例えば、リファブチンおよびコリスチン)の間の相乗効果は、任意の適切な方法によって決定され得る。1つの方法は、個々におよび組み合わせにおいて各抗生物質の最小阻害濃度(MIC)を決定し、分割阻害濃度指数(Fractional Inhibitory Concentration Index)(FICI)を以下のように計算することを包含する:
【数1】
【0027】
抗生物質のペアは、以下の基準に従って、相乗効果的に作用するか、またはFICIに基づかないとして以下の基準に従って特徴づけられる: 相乗効果(FICI<0.5);中立(indifferent)(FICI>0.50かつ<4);拮抗性(FICI>4)。FICIに基づいて抗生物質の相乗効果を決定することは、例えば、Jenkins, S.G. & Schuetz, A.N. Current Concepts in Laboratory Testing to Guide Antimicrobial Therapy. Mayo Clin. Proc. 87, 290-308 (2012)(その内容は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0028】
本発明の併用療法の、上記抗生物質のうちの一方は、リファブチンである。上記併用療法は、リファブチンと相乗効果的に作用する第2の抗生物質を含む。上記第2の抗生物質は、ポリミキシン(例えば、コリスチン)、またはセファロスポリン(例えば、セフィデロコル)であり得る。コリスチンは、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(colistimethate sodium)またはコリスチン硫酸塩として提供され得る。上記併用療法は、さらなる抗生物質を含み得る。例えば、それらは、3種、4種、5種、またはこれより多くの異なる抗生物質を含み得る。各抗生物質は、独立して、アミノシクリトール、アミノグリコシド、β-ラクタム、β-ラクタマーゼインヒビター、カルバペネム、セファロスポリン、ポリミキシン、キノロン、リファマイシン、スルホンアミド、ミノサイクリン、エラバサイクリン、スルバクタム、またはテトラサイクリンであり得る。各抗生物質は、独立して、アミカシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、セフェピム、セフィデロコル、セフタジジム、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、コリスチン、ドリペネム、ゲンタマイシン、イミペネム、レボフロキサシン、メロペネム、ペニシリン、ピペラシリン、ポリミキシンB、リファブチン、リファンピシン、タゾバクタム、またはチゲサイクリンであり得る。
【0029】
リファブチンは、濃い赤紫色の粉末であり、分子式 C4662NO11、分子量 847.02および以下の構造:
【化1】
を有する。
【0030】
リファブチンは、抗微生物活性の広いスペクトラムを有する。それは、MAC、M.tuberculosis、およびM.lepraeに対して、リファンピンよりかなり活性である。それはまた、比較的耐性であるが、大部分の非典型的マイコバクテリア(M.kansasii; M.chelonaeを含む)に対して活性である。リファブチンはまた、ブドウ球菌、A群連鎖球菌、N.gonorrhoeae、N.meningitidis、H.influenzae、H.ducreyi、C.jejuni、H.pylori、C.trachomatis、T.gondiiおよびA.baumanniiに対して活性である。
【0031】
各抗生物質は、任意の適切な投与経路によって投与され得る。例えば、および限定なしに、各抗生物質は、独立して、静脈内に、経口的に、非経口的に、皮下に、吸入によって、注射によって、および/もしくは注入によって、投与され得る。
【0032】
上記併用療法における1種またはこれより多くの抗生物質は、同じ投与レジメンに従って投与され得る。1種またはこれより多くの抗生物質は、異なる投与レジメンに従って投与され得る。投与レジメンは、投与量、スケジュールもしくは投与、または両方を含み得る。投与量は、薬物の絶対量(例えば、mg)によって、または被験体に対する薬物の相対量(例えば、mg/kg)によって記載され得る。投与スケジュールは、用量間の間隔によって記載され得る。例えば、および限定なしに、用量間の間隔は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間であってもよいし、これより長いこともある。
【0033】
製剤
上記抗生物質のうちの1種またはこれより多くは、単一製剤において提供され得る。1種またはこれより多くの抗生物質は、別個の製剤において提供され得る。各製剤は、特定の投与経路による(例えば、静脈内に、経口的に、非経口的に、皮下に、吸入によって、注射によって、および/もしくは注入による)送達のために調製され得る。
【0034】
上記抗生物質は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸が挙げられるが、これらに限定されない)と、または有機酸(例えば、酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、グルクロン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、またはマロン酸が挙げられるが、これらに限定されない)とともに形成されるアミノ基の塩である薬学的に受容可能な塩(例えば、非毒性酸付加塩)として提供され得る。
【0035】
上記製剤は、投与形態、製剤において、または従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、溶媒、希釈剤、およびアジュバントを含む適切な送達デバイスもしくは移植物を介して、注射、注入、移植物(静脈内、筋肉内、皮下など)によって、または吸入によって、投与され得る。このような組成物の製剤化および調製は、薬学的製剤分野の当業者に周知である。
【0036】
非経口用途のための製剤は、単位投与形態において(例えば、単一用量アンプルおよびバイアルにおいて)、いくつかの用量を含みかつ適切な保存剤(以下を参照のこと)が添加され得るバイアルにおいて、充填済みシリンジにおいて、または充填済みIVバッグにおいて提供され得る。
【0037】
本明細書で記載される薬学的組成物は、無菌注射物に適した形態にあり得る。
【0038】
製剤は、リファブチンを含む溶液を含み得る。リファブチン溶液およびリファブチン溶液を作製する方法は、共有に係る同時係属中の米国特許出願第62/902,019号(その内容は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0039】
患者のニーズ、および臨床状態に依存して、IV投与による組成物の投与は、経口投与より好ましいこともある。なぜならそれは、全身循環への抗生物質の迅速な導入を可能にし、完全なバイオアベイラビリティーを提供し、薬理学的有効性を駆動している薬物動態パラメーターをより良好に制御することを可能にし、消化管における安定性および吸収の問題を回避するからである。
【0040】
リファブチンの代表的投与量は、リファブチンのCmaxが、>2mg/Lであるが、<50mg/Lであり、AUCが10mg*h/Lであり<200mg*h/Lである血漿レベルまたは局所レベルに達し得るものである。
【0041】
製剤は、非経口投与のために(例えば、注射または注入による)製剤化され得る。上記注射または注入は、皮下または静脈内であり得る。
【0042】
A.baumannii感染の処置
本発明の併用療法は、被験体においてA.baumannii感染を処置するために有用である。上記被験体は、ヒトであり得る。上記被験体は、小児(pediatric)、新生児(newborn)、乳児(neonate)、幼児、小児(child)、青年、前青年期(pre-teen)、ティーンエイジャー、成人、または高齢の被験体であり得る。上記被験体は、救命救急ケア、集中ケア、新生児集中ケア、小児集中ケア、冠状動脈ケア、心胸郭部ケア、外科手術集中ケア、集中ケア、長期集中ケア、手術室、救急車、野戦病院、または院外の現場状況にいる可能性がある。
【0043】
上記被験体は、抗生物質に耐性のA.baumannii感染を有し得る。例えば、および限定なしに、上記A.baumannii感染は、以下のうちの1またはこれより多くに耐性であり得る: アミノシクリトール、アミノグリコシド、β-ラクタム、β-ラクタマーゼインヒビター、カルバペネム、セファロスポリン、ポリミキシン、キノロン、リファマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、アミカシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、セフェピム、セフィデロコル、セフタジジム、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、コリスチン、ドリペネム、ゲンタマイシン、イミペネム、レボフロキサシン、メロペネム、ペニシリン、ピペラシリン、リファブチン、リファンピシン、タゾバクタム、およびチゲサイクリン。上記A.baumannii感染は、リファブチン、コリスチン、または両方に耐性であり得る。上記A.baumannii感染は、リファブチン、セフィデロコル、または両方に耐性であり得る。
【0044】
上記併用療法における抗生物質は、同維持にまたは逐次的に投与され得る。逐次的投与または交互の投与は、所定期間の間に専ら各抗生物質を提供する工程を包含し得る。逐次的投与は、上記被験体が、リファブチンを含むIV製剤および他の治療剤を含む製剤の両方が提供される重複期間を含み得る。専らの期間および重複の期間は、独立して、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間または2週間であり得る。
【実施例
【0045】
要旨
この試験の目標は、Acinetobacter baumanniiに対してリファブチンと相乗効果を発揮する標準的ケア(SoC)の抗生物質を特定することである。相乗効果を、複数のA.baumannii臨床単離物に対するチェッカーボード最小阻害剤濃度(MIC)によって評価した。リファブチン相乗効果を、LAC-4株に対して試験して、コリスチンおよびセフィデロコルで先ず同定した。株のパネルに対して試験した場合、リファブチン/セフィデロコル相乗効果は、セフィデロコルのMICにおいて>4倍減少で上記株のうちの100%で観察された。リファブチン/コリスチン相乗効果は、上記株のうちの100%において観察され、相乗効果は強く、リファブチンまたはコリスチンに対する初期の耐性レベルとは無関係であった。リファブチンの活性は、コリスチンと組み合わせた場合のリファンピシンのものより優れていた。なぜならリファンピシンとの相乗効果は、リファンピシンに対する初期の耐性レベルおよび文献中に記載されるとおりのrpoB変異の存在または非存在とは無関係だからである。予測外なことに、上記リファブチン/コリスチン組み合わせは、リファブチンに耐性の株(rpoB変異を有する単離物を含む)および/またはコリスチンに耐性の株に対して活性であった。これは、上記組み合わせが、両方の耐性を克服することを示す。
【0046】
結論として、リファブチンは、A.baumannii株に対するセフィデロコルおよびコリスチンの抗細菌活性を改善する能力を有する。
【0047】
抗細菌剤
BV-015-3219-001-02(リファブチン(バッチ番号17008MR89D))は、Olon S.p.A.によって製造され、10g/L ストック溶液を、DMSO中に調製した。リファンピシン(Sigma R3501)およびセフィデロコル(Synnovator SYNNAAX397783)のストック溶液を、DMSO中10mg/mLで調製した。コリスチン硫酸塩(Sigma C4461)、メロペネム(Sigma M2578)、セフォタキシム(Acros 45495)、トブラマイシン(Sigma T1783)、エラバサイクリン(MedChemExpress HY-16980A)、ミノサイクリン(Sigma M9511)およびSPR741(Spero Therapeutics, FullReg P0271508-1)のストック溶液を、水中で10mg/mLで調製した。最後に、シプロフロキサシン(Sigma 17850)のストック溶液を、0.1N NaOH中、10mg/mlで調製した。ストック溶液を、-20℃で使用するまで貯蔵した。
【0048】
細菌株
この試験において使用したA.baumannii臨床単離物は、BioVersys strain collectionからのものである。上記株を、20%(v/v) グリセロールストック培養物として-80℃において貯蔵した。
【0049】
抗細菌感受性および相乗効果試験
リファブチンとSoC抗生物質との相乗効果を、ブロス微量希釈チェッカーボード法を使用して試験した。チェッカーボードを、微量ブロス希釈MIC5のために使用されるCLSIパラメーターに従って行った。CA-MHB、鉄欠乏CA-MHB(ID-CA-MHB)または10% FCSを補充したRPMI培地を、特定されるとおりに使用し、ID-CA-MHBを、CLSIガイドラインに従って調製した。リファブチンを、横座標に沿って段階希釈し、組み合わせの抗生物質を、縦座標に沿って希釈した。この設定は、漸増濃度でのリファブチンおよび別の抗生物質の組み合わせが、以下のとおりの分割阻害濃度(FIC)指数(FICI)に基づいて組み合わせの最終分類を提供することを可能にする: 相乗効果(FICI<0.5);中立(FICI>0.50かつ<4);拮抗性(FICI>4)。FICIは、以下のように計算される:
【数2】
【0050】
結論として、相乗効果は、単独で試験した抗生物質のMICと比較して、組み合わせで試験した抗生物質のMICにおいて少なくとも4倍の減少が存在する場合に定義される。
【0051】
実施例1
リファブチンは、A.baumannii株LAC-4に対して、コリスチンおよびセフィデロコルと相乗効果を発揮する。
SoC抗生物質とのリファブチン相乗効果を、A.baumannii LAC-4株に対するチェッカーボードアッセイで試験した。上記チェッカーボードを、セフィデロコルに関してCA-MHBまたはID-CA-MHBで行った。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
試験した8種のSoC抗生物質のうち、コリスチンおよびセフィデロコルのみが、リファブチンと相乗効果を示した一方で、その6種の他のものは、中立であった。
【0054】
図1は、種々の濃度のリファブチンおよびコリスチン中で培養したA.baumannii細胞の96ウェルプレートチェッカーボードの画像である。抗生物質単独のMICを決定するために使用したウェルを緑で囲み、組み合わせのMICのウェルを、青で囲み、FICIを計算するために使用したウェルを赤で囲む。
【0055】
図2は、種々の濃度のリファブチンおよびセフィデロコル中で培養したA.baumannii細胞の96ウェルプレートチェッカーボードの画像である。抗生物質単独のMICを決定するために使用したウェルを緑で囲み、組み合わせのMICのウェルを、青で囲み、FICIを計算するために使用したウェルを赤で囲む。
【0056】
実施例2
リファブチンは、試験したA.baumannii株に対してセフィデロコルのMICを>4倍減少する
A.baumanniiに対するリファブチンとセフィデロコルとの間の相乗効果をさらに試験するために、チェッカーボードを、rpoB遺伝子において変異を有する、リファブチン(およびリファンピシン)に対して上昇したMIC(>32mg/L)を有する5種の分離物を含むA.baumanniiの16種のMDR臨床単離物のパネルに対して行った。相乗効果のレベルを依り詳細に記載するために、リファブチンおよびセフィデロコルのMICは、単独および組み合わせにおいて、これらのMICと関連する倍率シフトと一緒に、表2中の各株に対して示される。予測されるように、リファブチンとの組み合わせでのセフィデロコルは、rpoB遺伝子において変異を有する分離物に対するリファブチンの効果に影響をほとんどまたは全く有しなかった。予測外なことに、リファブチンは、試験したAcinetobacter baumannii株全てに対してセフィデロコルのMICにおいて少なくとも4倍の減少を生じた。
【0057】
【表2】
【0058】
全体として、データは、リファブチンとセフィデロコルとの組み合わせが、A.baumannii感染の処置転帰を改善し得ることを示す。
【0059】
実施例3
リファブチンは、試験したA.baumannii株のうちの100%に対してコリスチンとの強い相乗効果を示す
同じ課題を、A.baumanniibに対するコリスチンとのリファブチン相乗効果に関して行った。チェッカーボードを、rpoB遺伝子において変異を有する、リファブチン(およびリファンピシン)に対して上昇したMICMIC(>32mg/L)を有する5種の分離物を含むA.baumanniiの16種のMDR臨床単離物のパネル、および5種のコリスチン耐性株(MIC>4mg/L)に対して行った。相乗効果を、コリスチンMICを試験するために承認された培地であるCA-MHB培地中で試験した。結果を表3に示す。予測外なことに、リファブチンとの組み合わせでのコリスチンは、rpoB遺伝子において変異を有する分離物に対するリファブチンの活性に顕著な影響を有した。これらの場合に、リファブチンMICにおけるシフトは、コリスチンとの組み合わせにおいて>32倍であった。
【0060】
【表3】
コリスチンとのリファブチン相乗効果は、CA-MHBにおいて試験した場合に、上記株のうちの100%において観察された。著しいことに、相乗効果は、CA-MHBにおいて例示されるように、リファブチンまたはコリスチンの元々の耐性レベルとは無関係であり、ここでコリスチンMICが、コリスチン耐性株において少なくとも16倍低減し、それらのうちの1つを除いて全てをコリスチン感受性にした。これらの結果は、リファブチンとコリスチンとの組み合わせが、A.baumannii臨床単離物におけるリファブチンおよびコリスチン両方の耐性を克服する可能性を有することを示す。
【0061】
これらの観察は、コリスチンが、リファブチンとの相乗効果を発揮するために、細胞透過剤の役割を有することを示し得る。コリスチンが、細胞透過剤の役割を果たすに過ぎないか否かを評価するために、リファブチン相乗効果を、透過性活性を保持するが、抗細菌活性を失ったコリスチン誘導体SPR741と組み合わせて試験した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
SPR741とのリファブチン相乗効果は、上記株のうちの88%において観察された。しかし、その相乗効果は、コリスチン相乗効果と比較するとそれほど顕著ではなかった。上記株の大部分に関しては、リファブチン組み合わせのMICは、0.125~2mg/Lの範囲のままである。さらに、リファブチンとの相乗効果を達成するために必要とされるSPR741濃度は、コリスチンのうちの1つより少なくとも8倍高かった。その結果は、コリスチンの固有の抗細菌活性が、リファブチンとの強い相乗効果に必要とされることを示す。
【0064】
実施例4
A.baumannii単離物に対するコリスチンとの組み合わせでのリファンピシン相乗効果の比較
比較因子として、コリスチンとのリファンピシン相乗効果を、A.baumannii株のパネルに対して決定した。結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
相乗効果は、上記株のうちの88%で観察された。リファブチンに関しては、相乗効果は、コリスチン耐性株のうちの大部分に関する相乗効果によって例証されるように、コリスチン耐性とは無関係である。しかし、リファブチンとは対照的に、および文献から予測されるように、リファンピシン/コリスチン相乗効果は、rpoB遺伝子において変異を有する分離物で低かった。これらの分離物に関して、上記リファンピシン組み合わせのMICは、高いままである(>32mg/L)。
【0067】
全体的に、コリスチンが、リファブチン、コリスチン、または両方に対して上昇したMICを有するA.baumannii株に対してリファブチン活性を改善し得る(逆もまた然り)ことが示された。しかし、リファンピシンとは異なり、rpoB遺伝子において変異を有し、別の点でも上記抗生物質に対して耐性である分離物に対するコリスチンとの組み合わせにおいてリファブチンの予測外の活性が存在した。
【0068】
参照による援用
他の文書(例えば、特許、特許出願、特許公報、学術雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ)への言及および引用は、本開示全体を通じて行われている。全てのこのような文書は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0069】
均等物
本発明の種々の改変およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書で示され、記載されるものに加えて、本明細書で引用される科学文献および特許文献への言及を含め、この文書の全内容から当業者に明らかになる。本明細書中の主題は、その種々の実施形態およびその均等物において本発明の実施に適合され得る重要な情報、例示、およびガイダンスを含む。
図1
図2
【国際調査報告】