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▶ ベータ バイオニクス,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】血中グルコース制御システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/17 20180101AFI20221201BHJP
【FI】
G16H20/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022520425
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020054130
(87)【国際公開番号】W WO2021067856
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,970
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,017
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,143
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/987,842
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/037,472
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/042195
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/042198
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/042269
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519243732
【氏名又は名称】ベータ バイオニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハティブ,フィラース,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーノ,エドワード,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラスキン,エドワード,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リム,デビッド,チ-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロシンコ,マイケル,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
血中グルコース制御システムは、被検者に提供される治療を修正し、修正された治療が血糖制御に統計的に有意な改善をもたらすかどうかを判定するように構成される。システムは、制御パラメータの第1の値を使用して第1の治療の送達からもたらされる血糖制御情報を取得し、第1の治療に対応する第1の効果を判定する。制御パラメータは、第1の値とは異なる第2の値に設定される。システムは、制御パラメータの第2の値を使用して第2の治療の送達からもたらされる血糖制御情報を取得し、第2の治療に対応する第2の効果を判定する。システムは、比較評価を実行し、制御パラメータの第2の値が被検者の血糖制御に統計的に有意な改善をもたらすかどうかを判定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法であって、
前記血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップと、
第1の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第1の治療を前記被検者に送達させるステップであり、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御する、ステップと、
前記第1の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第1の治療データを取得するステップと、
第1の時間帯にわたる前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップであって、前記第1の効果が前記第1の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定される、ステップと、
前記制御パラメータを前記第1の値と異なる第2の値に設定するステップと、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第2の治療を送達させるステップであり、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
前記第2の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第2の治療データを取得するステップと、
第2の時間帯にわたる前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップであり、前記第2の効果が前記第2の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定される、ステップと、
前記第1の効果および前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて統計解析を実行して、比較評価を取得するステップと、
前記比較評価に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記制御パラメータが、前記血中グルコース制御システムのユーザインターフェースとのユーザインタラクションに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の値または前記第2の値に設定される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記制御パラメータがユーザによるアクションなしに前記第1の値または前記第2の値に自動的に設定される、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記制御パラメータの前記第2の値が自律的に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすと決定することに応答して、第3の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第3の治療を送達させるように前記制御パラメータの前記第2の値を選択するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御に統計的に有意な改善をもたらすかどうかを判定するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記統計的に有意な改善が、前記被検者の血糖制御における改善のしきい値レベルを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の生理学的パラメータの改善をもたらすかどうかかを判定するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記生理学的パラメータが前記グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記制御パラメータの前記第1の値と比較して血中グルコース変動の発生の低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記制御パラメータの前記第1の値と比較して低血糖症イベントの発生のリスクの低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記統計解析を実行するステップが、前記第1の治療データまたは前記第2の治療データに基づいて、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、割合、比、または確率のうちの1つまたは複数を決定するステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記統計解析を実行するステップが、前記第1の効果または前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、割合、比、または確率のうちの1つまたは複数を決定するステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、インスリン用量の投与後に前記被検者の血漿中のインスリンが特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記第1の治療期間中に前記第1の治療を送達させるステップが、複数の治療インスタンスを投与させるステップを含み、前記複数の治療インスタンスのうちの少なくとも1つが、前記第1の治療期間中に少なくとも1つの他の治療インスタンスとは異なる時間帯に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記第1の治療期間および前記第2の治療期間が同じ持続時間である、請求項1から15のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
第1の複数の治療インスタンスが前記第1の治療期間中に投与され、第2の複数の治療インスタンスが前記第2の治療期間中に投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記制御パラメータを前記第2の値に設定するステップが、前記第2の治療期間中に投与されるインスリンの注入のタイミング、投薬量サイズ、または速度のうちの1つまたは複数に対する修正をもたらす、請求項1から17のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の治療期間の前の時間帯に送達された治療、臨床値、または前記被検者の体重のうちの1つまたは複数に基づく、請求項1から18のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記制御アルゴリズムが薬物動態(PK)モデルに少なくとも部分的に基づく、請求項1から19のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記制御パラメータが前記薬物動態(PK)モデルのパラメータを含む、請求項20に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記統計解析を実行するステップが、回帰分析を実行するステップ、または自己回帰モデルを生成するステップのうちの1つまたは複数を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
治療を被検者に提供させる用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータを自律的に修正するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
前記被検者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令および治療データを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信し、
第1の治療期間中に第1の治療を前記被検者に送達させ、前記第1の治療が前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御し、
前記第1の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第1の治療データを取得し、
第1の時間帯にわたる前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定し、前記第1の効果が前記第1の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定され、
前記制御パラメータを前記第1の値とは異なる第2の値に設定し、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第2の治療を送達させ、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが前記被検者に提供される前記治療を修正し、
前記第2の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第2の治療データを取得し、
第2の時間帯にわたる前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定し、前記第2の効果が前記第2の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定され、
比較評価を取得するために、前記第1の効果および前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて統計解析を実行し、
前記比較評価に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定する、
ように構成されたハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
【請求項24】
前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすと決定することに応答して、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記制御パラメータの前記第2の値を少なくとも選択し、第3の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第3の治療を送達させるようにさらに構成されている、請求項23に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項25】
前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の少なくとも1つの生理学的パラメータの改善のしきい値レベルをもたらすかどうかを判定するステップを含む、請求項23または24に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項26】
前記制御パラメータの前記第2の値が、前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が、前記制御パラメータの前記第1の値と比較して、血中グルコース変動の発生の低減または低血糖症イベントの発生のリスクの低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項27】
前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血漿中のインスリンがインスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、請求項23から26のいずれか一項に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項28】
前記第1の治療期間の長さが、少なくとも特定の数の治療インスタンスを包含するように選択され、前記第2の治療期間の長さが、少なくとも前記特定の数の治療インスタンスを包含するように選ばれる、請求項23から27のいずれか一項に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項29】
前記統計解析を実行するステップが、回帰分析を実行するステップ、または自己回帰モデルを生成するステップのうちの1つまたは複数を含む、請求項23から28のいずれか一項に記載の自動血中グルコース制御システム。
【請求項30】
前記制御アルゴリズムが薬物動態(PK)モデルに少なくとも部分的に基づき、前記制御パラメータが前記薬物動態(PK)モデルのパラメータを含む、請求項23から29のいずれか一項に記載の自動血中グルコース制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張出願の参照による組み込み
本出願は、「BLOOD GLUCOSE CONTROL SYSTEM」と題し、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる国際出願第PCT/US2020/054025号と同じ2020年10月2日に出願されている。本出願とともに提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されるすべての出願は、37 CFR 1.57の下で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、血中グルコース制御システムなどの、被検者に治療を提供する携帯型医療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
持続的送達ポンプ駆動式薬剤注入装置は、一般に、注入部位に患者の皮膚を通して皮下投与方式で装着された送達カニューレを含む。ポンプは、リザーバから薬液を吸い上げ、カニューレを介して患者に薬液を送達する。注入装置は、典型的には、入口ポートから送達カニューレに薬剤を送出し、結果として、送達カニューレが終端する皮下組織層への送達をもたらすチャネルを含む。注入装置には、1つの薬剤を患者に送達するように構成されたものもあれば、複数の薬剤を患者に送達するように構成されたものもある。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、およびデバイスはそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、それらのうちの単一の態様が単独で、本明細書で開示されるすべての望ましい特質に関与するわけではない。本明細書で説明される主題の1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。
【0005】
本明細書に開示される特定の実施形態は、少なくともインスリン療法を被検者に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、被検者においてある期間にわたって総炭水化物療法の指標を生成するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、少なくともインスリン療法を被検者に送達するように構成された薬剤ポンプのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行することができる。本方法は、被検者のグルコースレベルを受信するステップと、グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて、被検者の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したと判定するステップと、を含むことができる。トリガイベントは、低血糖症の切迫したリスクが被検者に存在すること、または低血糖症の発現が被検者に存在すると判定することを含むことができる。本方法は、低血糖症の切迫したリスクまたは低血糖症の発現に応答するための逆調節剤の量を決定するステップをさらに含むことができる。さらに、本方法は、逆調節剤の量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定するステップを含むことができる。さらに、本方法は、複数の低血糖症リスクイベントまたは低血糖症発現を含む期間にわたって、炭水化物療法の決定された用量を追跡して、その期間にわたる総炭水化物療法の指標を生成するステップを含むことができる。本方法は、総炭水化物療法の指標を出力するステップを含むことができる。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、被検者においてある期間にわたって総炭水化物療法の指標を生成するように構成された自動血中グルコース制御システムに関する。自動血中グルコース制御システムは、薬剤を被検者に注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含むことができる。薬剤は、少な
くともインスリンを含むことができる。さらに、自動血中グルコース制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、メモリと通信し、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、被検者のグルコースレベルを受信し、グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて、被検者の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したと判定し、トリガイベントが、低血糖症の切迫したリスクが被検者に存在すること、または低血糖症の発現が被検者に存在することを含み、低血糖症の切迫したリスクまたは低血糖症の発現に応答するための逆調節剤の量を決定し、逆調節剤の量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定し、複数の低血糖症リスクイベントまたは低血糖症発現を含む期間にわたって、炭水化物療法の決定された用量を追跡して、その期間にわたる総炭水化物療法の指標を生成し、総炭水化物療法の指標を出力するように構成された、ハードウェアプロセッサと、を含むことができる。
【0007】
本開示の特定の実施形態は、自律的に決定されたインスリンの用量から導出されるインスリン療法指示を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血中グルコース制御システムに関する。自動血中グルコース制御システムは、薬剤を被検者に注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含むことができる。さらに、自動血中グルコース制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、メモリと通信し、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信し、グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて被検者の血中グルコースを制御する目的で被検者に注入されたインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して用量制御信号を生成し、自動血中グルコース制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって被検者に施されたインスリン療法を追跡し、インスリン療法を追跡することが、基礎インスリン、インスリンの補正ボーラスとして、またはインスリンの食事時間ボーラスとして被検者に送達された自律的に決定されたインスリンの用量の指標を記憶することを含み、追跡期間にわたって被験者に施されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいてインスリン療法の指標を含むバックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成し、自動血中グルコース制御システムが被検者に治療を提供していないときに、バックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つをディスプレイ上に出力して、自動血中グルコース制御システムによって決定された速度で治療を維持することを可能にするように構成されたハードウェアプロセッサと、を含む。
【0008】
本開示の追加の実施形態は、自動血中グルコース制御システムによって決定されたインスリンの自律的に決定された用量から導出されるインスリン療法命令を含むバックアップ療法プロトコルを生成するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、自動血中グルコース制御システムのハードウェアプロセッサによって実行されてもよい。本方法は、被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信するステップと、グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて被検者の血中グルコースを制御する目的で被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して用量制御信号を生成するステップと、を含むことができる。さらに、本方法は、少なくとも1日を含む追跡期間にわたって、自動血中グルコース制御システムによって被検者に施されたインスリン療法を追跡するステップを含むことができる。インスリン療法を追跡するステップは、被検者に送達されるインスリンの自律的に決定された用量の指標を記憶するステップを含むことができる。さらに、本方法は、追跡期間にわたって被検者に施されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法命令を含むバックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成するステップを含むことができ
る。加えて、本方法は、自動血中グルコース制御システムが被検者に治療を提供していないときに、バックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つをディスプレイ上に出力して、自動血中グルコース制御システムによって決定された速度で治療を維持することを可能にするステップを含むことができる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、自動血中グルコース制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するように構成された自動血中グルコース制御システムに関する。自動血中グルコース制御システムは、薬剤を被検者に注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースを含むことができる。さらに、自動血中グルコース制御システムは、特定のコンピュータ実行可能命令、記憶された制御パラメータ値、および治療ログを記憶するように構成されたメモリを含むことができる。さらに、自動血中グルコース制御システムは、メモリと通信し、特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信し、グルコースレベル信号および制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能な制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて被検者の血中グルコースを制御する目的で被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して用量制御信号を生成し、少なくとも1日を含む追跡期間にわたって制御パラメータに対するユーザ修正を追跡し、ユーザ修正を追跡することが、ユーザ修正のそれぞれが、記憶された制御パラメータ値からの制御パラメータの増加または減少を含むかどうか、およびユーザ修正のそれぞれが発生した時間を治療ログに記憶することを含み、制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成し、レポートが、記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含む、ように構成されたハードウェアプロセッサを含むことができる。
【0010】
本開示の特定の実施形態は、血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行されてもよい。さらに、本方法は、被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップを含んでもよい。さらに、本方法は、第1の治療期間中に血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップを含むことができ、第1の治療が用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される。制御パラメータは、制御アルゴリズムによって使用され、被検者におけるインスリンの蓄積を説明することができ、それによって、グルコースレベル信号によって示されるような被検者の血中グルコース変動に対する制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御することができる。さらに、本方法は、第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップを含むことができる。第1の効果を決定するステップは、グルコースレベル信号によって示されるような被検者の血中グルコースの血糖制御を分析するステップを含んでもよい。さらに、本方法は、制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップを含むことができる。自律的に生成される第2の値は、第1の値および第1の効果に基づく関数として決定されてもよい。加えて、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正するステップと、第2の治療期間中に血中グルコース制御システムよって被検者に第2の治療を送達させるステップと、を含むことができる。第2の治療は、制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達されてもよい。さらに、制御パラメータを変更することにより、被検者に提供される治療を修正することができる。
【0011】
本開示の追加の実施形態は、血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血中グルコース制御システ
ムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実行されてもよい。本方法は、第1の治療期間中に血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップを含むことができる。第1の治療は、用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達されてもよい。本方法は、第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することをさらに含むことができる。第1の効果を決定するステップは、被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップを含んでもよい。さらに、本方法は、制御パラメータのベースライン値と、被検者の血糖制御に基づいて定義された関数の出力とに少なくとも部分的に基づいて、制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップを含むことができる。グルコースレベル信号は、第1の治療期間中の被検者の血糖制御の指標を含むことができる。さらに、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正するステップと、第2の治療期間中に血中グルコース制御システムによって第2の治療を被検者に送達させるステップと、を含むことができる。第2の治療は、制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達されてもよい。制御パラメータを変更するステップは、被検者に提供される治療を修正するステップを含むことができる。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法に関する。本方法は、血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって実施することができる。本方法は、第1の治療期間中に血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップを含むことができる。第1の治療は、用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達されてもよい。本方法は、第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定することをさらに含むことができる。第1の効果を決定するステップは、被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップを含んでもよい。さらに、本方法は、制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップを含むことができる。自律的に生成された第2の値は、ベースライン値に少なくとも部分的に基づく関数として決定されてもよい。さらに、本方法は、制御パラメータを第1の値から第2の値に修正するステップを含むことができる。本方法は、第2の治療期間中に、血中グルコース制御システムによって第2の治療を被検者に送達させるステップをさらに含むことができる。第2の治療は、制御パラメータの第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達されてもよい。さらに、制御パラメータを変更するステップは、被検者に提供される治療を修正するステップを含んでもよい。本方法は、第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップと、人間によるアクションなしに第1の効果と第2の効果との比較を自律的に実行するステップとをさらに含むことができる。さらに、本方法は、第1の効果と第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、制御パラメータの第1の値または制御パラメータの第2の値の一方をアクティブ制御パラメータ値として選択するステップを含むことができる。さらに、本方法は、アクティブ制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の治療期間中に被検者に治療を提供するように血中グルコース制御システムを構成するステップを含むことができる。アクティブ制御パラメータ値の選択は、被検者に提供される治療を修正することができる。
【0013】
また、上述した各実施形態が組み合わされてもよい。例えば、単一の自動血中グルコース制御システムは、前述の実施形態のうちの1つまたは複数を実装するように構成されてもよい。
【0014】
図面全体を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用される。図面は、本明細書に記載される主題の特定の態様を示すために提供され、その範囲を限定
するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】携帯型薬剤ポンプを介して血中グルコース制御を行う例示的な血中グルコース制御システムである。
【0016】
図1B】携帯型薬剤ポンプを介して血中グルコース制御を行う血中グルコース制御システムの別の例である。
【0017】
図1C】携帯型薬剤ポンプを介して血中グルコース制御を行う血中グルコース制御システムのさらなる例である。
【0018】
図2A】例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0019】
図2B】別の例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0020】
図2C】別の例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0021】
図2D】別の例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0022】
図3】電子通信インターフェースを含む例示的なグルコース制御システムの概略図である。
【0023】
図4A】オンライン動作モードにおける例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0024】
図4B】オフライン動作モードにおける例示的な血中グルコース制御システムのブロック図である。
【0025】
図5】特定の実施形態によるグルコース制御システムのブロック図である。
【0026】
図6】様々な実施形態によるコンピュータシステムを示すブロック図である。
【0027】
図7】特定の実施形態による例示的な炭水化物療法等価性追跡プロセスのフローチャートである。
【0028】
図8】特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセスのフローチャートである。
【0029】
図9】特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正追跡プロセスのフローチャートである。
【0030】
図10】特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコルである。
【0031】
図11】特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正レポートである。
【0032】
図12】特定の実施形態による、図11の制御パラメータ修正レポートのいくつかの実施態様の一部として含まれてもよい例示的な食事選択レポートである。
【0033】
図13】特定の実施形態による例示的な自動血中グルコース制御改良プロセスのフローチャートである。
【0034】
図14A】Tmaxを65分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションである。
【0035】
図14B】Tmaxを15分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションである。
【0036】
図14C】Tmaxを130分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションである。
【0037】
図15】血中グルコース制御システムを用いた血中グルコースレベル信号(CGMトレース)の例および血糖制御に関連付けられたパラメータの一部を示す図である。
【0038】
図16】特定の実施形態による、調整関数に基づく例示的な自動血中グルコース制御改良プロセスのフローチャートである。
【0039】
図17】統計解析の一部として血中グルコース制御システムによって生成および利用され得る統計量のいくつかの例である。
【0040】
図18】特定の実施形態による例示的な自動血中グルコース制御改良プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、1つまたは複数の薬剤のための薬剤注入システム、およびそのようなシステムの構成要素(例えば、輸液ポンプ、薬剤カートリッジ、カートリッジコネクタ、ルーメンアセンブリ、注入コネクタ、注入セットなど)に関する。いくつかの実施形態は、注入システムおよびその構成要素を製造する方法に関する。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の薬剤(例えば、医薬品、ホルモンなど)を患者に注入するための前述のシステムまたは構成要素のいずれかを使用する方法に関する。例示的な説明として、注入システムは、輸液ポンプを含むことができ、輸液ポンプは、1つまたは複数の薬剤カートリッジを含むことができ、または薬剤の一体型リザーバを有することができる。注入システムは、薬剤カートリッジおよびカートリッジコネクタを含むことができるが、ポンプは含まない。注入システムは、カートリッジコネクタおよび輸液ポンプを含むことができるが、薬剤カートリッジは含まない。注入システムは、注入コネクタ、ルーメンアセンブリ、カートリッジコネクタ、輸液ポンプを含むことができるが、薬剤カートリッジまたは注入セットは含まない。血中グルコース制御システムは、注入システムと連携して動作して、少なくとも1つの血中グルコース制御剤を含む1つまたは複数の薬剤を被検者に注入することができる。本明細書の任意の実施形態において説明および/または図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、ステップ、または方法は、本明細書の任意の他の実施形態において説明および/または図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、ステップ、または方法とともに、またはそれらの代わりに使用することができる。加えて、一実施形態において説明および/または図示される任意の特徴、構造、構成要素、材料、ステップ、または方法は、別の実施形態には存在しなくてもよい。
【0042】
血中グルコース制御システムの概要
血中グルコース制御システムは、被検者の血中グルコースレベルを制御するために使用される。血中グルコース制御システムは、被検者に注入することができる1つまたは複数のグルコース制御剤のための用量制御信号を生成するように構成されたコントローラを含むことができる。グルコース制御剤には、インスリンおよびインスリン類似体などの血中
グルコースレベルを下げる傾向がある調節剤と、グルカゴンまたはデキストロースなどの血中グルコースレベルを上げる傾向がある逆調節剤と、が含まれる。2つ以上のグルコース制御剤とともに使用されるように構成された血中グルコース制御システムは、薬剤のそれぞれについて用量制御信号を生成することができる。いくつかの実施形態では、血中グルコース制御システムは、薬剤が被検者に接続された薬剤ポンプを介した投薬に利用可能でない場合であっても、薬剤の用量制御信号を生成することができる。
【0043】
グルコース制御剤は、皮下注射によって、静脈内注射によって、または別の適切な送達方法によって、被検者に送達することができる。携帯型薬剤ポンプによる血中グルコース制御治療の場合、皮下注射が最も一般的である。携帯型薬剤ポンプ100は、携帯型医療装置の一種であり、本明細書では携帯型装置、携帯型薬剤装置、可動式携帯型装置、またはAMDと呼ばれることもある。携帯型医療装置には、被検者によって担持され、被検者に治療を送達するように構成された携帯型薬剤ポンプなどが含まれる。
【0044】
いくつかの例では、携帯型医療装置(AMD)は、電気刺激装置であり、治療の送達は、電気刺激を被検者に提供することを含む。電気刺激装置の一例は、心臓ペースメーカである。心臓ペースメーカは、心筋の電気刺激を生成して、心臓のリズムを制御する。電気刺激装置の別の例は、パーキンソン病または運動障害を治療するための脳深部刺激装置である。
【0045】
図1A図1Cは、被検者に接続された携帯型薬剤ポンプを介して血中グルコース制御を行う血中グルコース制御システムの例を示す。図1Aでは、薬剤ポンプ100は、注入セット104を用いて注入部位102に接続されている。薬剤ポンプは、ポンプ制御部106aとのユーザインタラクションを介してユーザがポンプデータを閲覧し、治療設定を変更することを可能にする一体型ポンプ制御部106aを有する。グルコース・レベル・センサ110は、血中グルコース制御システムによって受信されるグルコースレベル信号を生成する。
【0046】
図1Bでは、薬剤ポンプ100は、無線データ接続を介して外部電子機器108(例えば、スマートフォンなど)と通信する。ポンプ制御部106aおよび106bのうちの少なくともいくつかは、外部電子機器108のユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作することができる。グルコース・レベル・センサ110は、無線データ接続を介して薬剤ポンプ100とも通信することができる。
【0047】
図1Cでは、薬剤ポンプ100は、別個の注入セットなしで注入部位102に挿入する一体型カニューレを含む。ポンプ制御部106bのうちの少なくともいくつかは、外部電子機器108のユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作することができる。いくつかの事例では、ポンプ制御は、直接的または間接的な電子データ接続を介して薬剤ポンプ100に接続する、例えば、クラウド・コンピューティング・サービスなどのリモートコンピューティング環境(図示せず)によって生成されるユーザインターフェース要素とのユーザインタラクションを介して操作することができる。
【0048】
グルコース制御システムは、典型的には、治療情報、グルコースレベル情報、および/またはインターフェース制御部とのユーザインタラクションを介して治療設定を変更することが可能な治療制御要素のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、ディスプレイと、1つもしくは複数のボタン、スイッチ、ダイヤル、静電容量式タッチインターフェース、またはタッチスクリーンインターフェースと、を含む電子機器を介して実装することができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部は、1つまたは複数のグルコース制御剤の皮下注射を容易にするように構成された注入セットを介して被検者の身体に繋
ぐことができる携帯型薬剤ポンプと一体化されている。特定の実施形態では、ユーザインターフェースの少なくとも一部は、スマートフォンなどの携帯型薬剤ポンプとは別個の電子機器を介して実装される。
【0049】
図2A図2Dは、グルコース制御システム200の例示的な構成を示すブロック図を示す。図2Aに示すように、グルコース制御システム200aは、電子プロセッサ204aと、プロセッサ204aによって実行可能な命令208aを記憶するメモリ210aと、を有するコントローラ202aを含むことができる。コントローラ202aおよびポンプ212は、携帯型医療装置(AMD)100に一体化することができる。AMD100は、外部電子機器との無線デジタルデータ通信のためのトランシーバ214aを含むことができる。メモリ210aに記憶された命令208aが電子プロセッサ204aによって実行されると、コントローラ202aは、被検者の時間とともに変化するグルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤のための用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部を実施することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被検者の血中グルコースを制御する投薬動作をもたらす。
【0050】
図2Bに示すように、グルコース制御システム200bは、携帯型医療装置100とは別個の電子機器108の電子プロセッサ204bによる命令208bの実行を介して少なくとも部分的に動作することができる。電子機器108は、AMD100への無線デジタルデータ接続を確立することができるトランシーバ214bを含むことができ、コントローラ202bは、メモリ210bに記憶された命令208bの実行を介して制御アルゴリズムの少なくとも一部を実施することができる。メモリ210bに記憶された命令208bが電子プロセッサ204bによって実行されると、コントローラ202bは、被検者の時間ともに変化するグルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤のための用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部を実施することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被検者の血中グルコースを制御する投薬動作をもたらす。いくつかの実施形態では、用量制御信号は、短距離無線データ接続216を介して装置トランシーバ214bからAMDトランシーバ214aに送信される。AMD100は、用量制御信号を受信し、これらの信号を投薬動作のためにポンプ212に渡す。
【0051】
図2Cに示すように、グルコース制御システム200cは、例えばクラウドサービスなどのリモートコンピュータ206と一体化された電子プロセッサ204c上での命令208cの実行を介して少なくとも部分的に動作することができる。メモリ210cに記憶された命令208cが電子プロセッサ204cによって実行されると、コントローラ202cは、被検者の時間ともに変化するグルコースレベルおよび1つまたは複数の制御パラメータに基づいて、1つまたは複数のグルコース制御剤のための用量制御信号を生成する制御アルゴリズムの少なくとも一部を実施することができる。用量制御信号は、ポンプ212に送達されると、被検者の血中グルコースを制御する投薬動作をもたらす。いくつかの実施形態では、用量制御信号は、エンドツーエンド無線データ接続218を介して、リモートコンピュータWAN接続インターフェース220cからAMD WAN接続インターフェース220aに送信される。AMD100は、用量制御信号を受信し、これらの信号を投薬動作のためにポンプ212に渡す。
【0052】
図2Dに示すように、グルコース制御システム200dは、ポンプ212による投薬動作のための用量制御信号を生成するように協働する2つ以上のコントローラ202a、202b、202cを有することができる。リモートコンピュータ206は、WAN無線データ接続218を介してWAN接続インターフェース220cを通過したデータまたは命令を、電子機器108のWAN接続インターフェース220bに送信または受信すること
ができる。電子機器108は、短距離無線データ接続216を介してトランシーバ214bを通過したデータまたは命令を、AMD100のトランシーバ214aに送信または受信することができる。いくつかの実施形態では、電子機器を省略することができ、AMD100およびリモートコンピュータ206のコントローラ202a、202cが協働して、ポンプ212に渡される用量制御信号を生成する。このような実施形態では、AMD100は、リモートコンピュータ206への直接的なエンドツーエンドの無線データ接続をサポートするために、それ自体のWAN接続インターフェース220aを有してもよい。
【0053】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、グルコース制御システム200は、1つまたは複数の電子機器から電子データを送信および受信するように構成された電子通信インターフェース(ECI)302を実装する回路を含む。ECIは、連続グルコースモニタ(CGM)などのセンサ110からグルコースレベル信号を受信するように構成されたセンサインターフェース304を含む。いくつかのCGMは、5分間隔などの固定測定間隔でグルコースレベル信号を生成する。センサ110は、被検者の血中グルコース推定値または測定値に対応するグルコースレベル信号を生成するために、被検者に動作可能に接続することができる。グルコースレベル信号は、コントローラ202によって使用され、用量制御信号を生成することができる。用量制御信号は、ポンプインターフェース306を介してポンプ212に提供することができる。いくつかの実施形態では、センサインターフェース304は、短距離無線接続308を介してセンサ110に接続する。いくつかの実施形態では、ポンプインターフェース306は、短距離無線接続310を介してポンプ212に接続する。他の実施形態では、ポンプインターフェース306は、コントローラ202、ECI306、およびポンプ212がAMD100に一体化されている場合などは、ローカル・データ・バスを介してポンプ212に接続する。
【0054】
コントローラは、基礎用量、補正用量、および/または食事用量のうちの少なくとも1つを生成する制御アルゴリズムを使用して、用量制御信号を生成するように構成することができる。これらの用量を生成するために使用することができる制御アルゴリズムの例は、米国特許出願公開第2008/0208113号、同第2013/0245547号、同第2016/0331898号、および同第2018/0220942号(本明細書では「Controller Disclosures」と呼ばれる)に開示されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす。補正用量は、調節剤または逆調節剤を含むことができ、Controller Disclosuresに開示されているものなどのモデル予測制御(MPC)アルゴリズムを使用して生成することができる。基礎用量は、調節剤を含むことができ、Controller Disclosuresに開示されるような基礎制御アルゴリズムを使用して生成することができる。食事用量は、調節剤を含むことができ、Controller Disclosuresに開示されるような食事制御アルゴリズムを使用して生成することができる。これらのコントローラの少なくともいくつかに対する追加の態様および改良が、本明細書に開示される。用量制御信号は、ECI302を介して輸液モータ306に送信することができ、またはコントローラ202aが輸液モータ306と同じハウジングに一体化されている場合には、導電体を介して輸液モータ306に送信することができる。
【0055】
図4Aに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコースレベル信号402を受信する時間帯に「オンラインモード」で動作するように構成することができる。オンラインモードでは、制御アルゴリズムは、グルコースレベル信号402の値および制御アルゴリズムの制御パラメータに基づいて規則的な補正用量を実施する用量制御信号404を生成する。ポンプ212は、コントローラ400がオンラインモードのままである間、実質的なユーザ介入なしに、少なくとも補正用量および基礎用量を被検者に送達するように構成されている。
【0056】
図4Bに示すように、コントローラ400は、コントローラがセンサ110からグルコースレベル信号402を受信しない時間帯に、少なくとも、グルコースレベル信号402が予想されるが受信されない時間帯に、「オフラインモード」で動作するように構成することができる。オフラインモードでは、制御アルゴリズムは、単離されたグルコース測定値406(例えば、グルコース試験ストリップを使用して被検者から得られた測定値など)に応答して、かつ制御アルゴリズムの制御パラメータに基づいて補正用量を実施する用量制御信号404を生成する。ポンプ212は、実質的なユーザ介入なしに基礎用量を被検者に送達するように構成され、コントローラ400がオフラインモードのままである間、単離されたグルコース測定値406に応答して補正用量を被検者に送達することができる。
【0057】
グルコース制御システムの例示的な実施態様
図5は、人間であってもよい動物被検者(被検者)512の血中グルコースレベルを調節するための自動グルコース制御システム510を示す。自動グルコース制御システム510は、薬剤注入システムの一例であり、薬剤注入システムに関して前述した実施形態のいずれかを含むことができる。
【0058】
被検者512は、1つまたは複数の送達デバイス514、例えば、カテーテルによって被検者512の皮下空間に連結された輸液ポンプからインスリンの用量を受け取ることができる。以下に記載されるように、送達デバイス514は、特定の状況下で血中グルコースレベルを制御するために、グルカゴンまたはデキストロースなどの逆調節剤または血糖上昇剤を送達することもできる。インスリンおよび逆調節剤(例えば、グルカゴン)の両方の送達のために、送達デバイス514は、インスリンおよび逆調節剤のための二重カートリッジをそれぞれ有する機械的に駆動される注入機構であってもよい。本明細書では、特にグルカゴンに言及するが、これは便宜上のものにすぎず、他の逆調節剤(例えば、デキストロース)が使用されてもよいことを理解されたい。同様に、本明細書における「インスリン」という用語は、天然のヒトまたは動物のインスリン、ならびに様々な形態のいずれかの合成インスリン(一般に「インスリン類似体」と呼ばれる)を含む、すべての形態のインスリン様物質を包含するものと理解されるべきである。
【0059】
オンラインまたは自律的な動作のために、グルコースセンサ516は、被検者512に動作可能に結合され、被検者512のグルコースレベルを継続的にサンプリングする。場合によっては、グルコースセンサ516は、連続グルコースモニタリング(CGM)センサと呼ばれることがあり、このセンサは、少なくともある時間帯に被検者512の血中グルコースレベルを連続的または周期的に測定または感知することができる。感知は、様々な仕方で達成することができ、一般に、被検者512とグルコースセンサ516との間の何らかの形態の物理的結合521を伴う。コントローラ518は、グルコースセンサ516からのグルコースレベル信号519に応じて、かつ被検者512、被検者512の親もしくは保護者、または医療提供者(例えば、臨床医もしくは医師)などのユーザによって提供され得るプログラムされた入力パラメータ(PARAMS)520に従って、送達デバイス514の動作を制御することができる。自動動作のための1つの入力パラメータは、被検者512の体重を含むことができる。場合によっては、グルコース制御システム510は、被検者512が摂取した食事または任意の他の「フィードフォワード」情報のいずれかに関する明示的な情報を受信することなく、効果的な自動制御を行うことができ、これは、コントローラ518の動作に対する適応的態様によって部分的に達成される。他の場合には、グルコース制御システム510は、被検者が摂取した、もしくは摂取する予定の食事のいずれかに関する受信情報、または他の「フィードフォワード」情報を使用して、血中グルコースの制御および/またはインスリンもしくは逆調節剤の送達を修正することができる。
【0060】
コントローラ518は、本明細書に記載される動作機能を提供する制御回路を有する電気機器である。一実施形態では、コントローラ518は、それぞれがコンピュータ命令のそれぞれのセットを含む1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行するコンピュータ命令処理回路を有するコンピュータ化されたデバイス(例えば、ハードウェアプロセッサ)として実現されてもよい。場合によっては、処理回路は、一般に、プロセッサ530に結合された、またはプロセッサと通信するメモリ540および入出力回路532とともに、1つまたは複数のプロセッサ530を含み、メモリ540は、コンピュータプログラム命令およびデータを記憶し、入出力回路532は、グルコースセンサ516および送達デバイス514などの外部デバイスへのインターフェースを提供することができる。場合によっては、入出力回路532は、ユーザインターフェースを提供することができ、あるいは1つまたは複数のプロセッサ(例えば、グルコース制御システム510、またはスマートフォン、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートウォッチなどの別個のコンピューティングシステムに含まれるコントローラ518もしくは別個のプロセッサ530)とともに動作して、ユーザ(例えば、被検者512、親もしくは保護者、または臨床医)にユーザインターフェースを提供することができる。場合によっては、入出力回路532は、タッチスクリーンおよび/またはタッチスクリーン(図示せず)を制御するように構成されたタッチスクリーンコントローラ538を含むことができる。
【0061】
場合によっては、コントローラ518は、グルコースレベル制御システム510の機能のすべてを実行することができる。このような場合、プロセッサ530は、オプションであってもよく、または省略されてもよい。他の場合には、コントローラ518は、被検者512の少なくとも自動血中グルコース制御を実行することができ、1つまたは複数の別個のプロセッサ530は、高血糖症もしくは低血糖症イベントまたはリスクイベントの発生の追跡、ユーザへのデータの出力、別のコンピューティングシステムとの通信の制御もしくは開始、グルコースレベル制御システム510へのアクセスの規制、または薬剤ポンプもしくは送達デバイス514の動作とは無関係の他の動作など、血中グルコース制御システム510(または薬剤ポンプ)の1つまたは複数の追加の動作を実行することができる。
【0062】
入出力回路532は、1つまたは複数の他のコンピューティングシステムおよび/またはユーザとの通信を制御することができる。場合によっては、入出力回路532は、ユーザインタラクションおよび/または通信を容易にするために、1つまたは複数の別個のインターフェース回路またはコントローラを含むことができる。例えば、入出力回路532は、ユーザインターフェース回路534、ネットワークインターフェース回路536、および/またはタッチスクリーンコントローラ538を含むことができる。
【0063】
ユーザインターフェース回路534は、ユーザインターフェースをユーザに出力し、および/またはユーザインターフェースを介してユーザからユーザ入力を受信することができる任意の回路またはプロセッサを含むことができる。ユーザインターフェース回路534は、ユーザインターフェースに対応するプロセッサ530から1つまたは複数の信号を受信することができる。ユーザインターフェース回路534は、ディスプレイを制御して、プロセッサ530から受信した1つまたは複数の信号に基づいてユーザインターフェースをユーザに提示することができる。さらに、ユーザインターフェース回路534は、ユーザによるユーザインターフェースとのインタラクションに対応する信号を受信し、さらなる処理のためにプロセッサ530および/またはコントローラ518に信号を提供することができる任意の回路を含むことができる。場合によっては、ユーザインターフェース回路は、タッチスクリーンインターフェースを制御することができるタッチスクリーンコントローラ538によって置き換えられてもよい。他の場合には、タッチスクリーンコントローラ538は、ユーザインターフェース回路534に追加されてもよい。
【0064】
ネットワークインターフェース回路536は、有線または無線ネットワークとの通信を可能にする任意の回路を含むことができる。ネットワークインターフェース回路536は、1つまたは複数のネットワーク・インターフェース・カードおよび/または無線機(例えば、Bluetooth無線機、Bluetooth Low Energy(BLE)無線機、4g LTE無線機、5G無線機、ND-LTE無線機など)を含むことができる。
【0065】
メモリ540は、不揮発性メモリおよび/または揮発性メモリを含むことができる。不揮発性メモリは、フラッシュメモリまたはソリッドステートメモリを含むことができる。
【0066】
制御システム510はまた、センサ516によって報告されるグルコースレベルの受信とは無関係に、または受信することなく、インスリン(および潜在的にはグルカゴンも)の送達を提供するために使用されるオフライン方式で動作することができる。例えば、センサ516が交換を必要とする場合、被検者512に適切に接続されていない場合、または欠陥がある場合、グルコース制御システム510は、センサ516からの入力なしにオフライン方式で動作することができる。したがって、全体的な動作は、グルコース信号(レベル)519が利用可能な場合に、それぞれが一連のサンプリング間隔を含むオンライン期間と、グルコース信号(レベル)519が完全にまたは断続的に利用可能でない場合に、それぞれが一連のサンプリング間隔を含むオフライン期間とに分けられてもよい。以下の説明では、これらの期間について「オンライン」および「オフライン」という用語を使用する。また、グルコースレベル信号519が使用のために利用可能な場合であっても、何らかの理由でオフライン動作がユーザにより選択される場合がある。
【0067】
ユーザ制御入力(USER CNTLs 523)は、何らかのタイプのローカルまたはリモート・ユーザ・インターフェースを介して提供されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、例えば、ボーラスの送達を命令するための制御ボタンとおそらくは小型ディスプレイとを含むことによって、従来のインスリンポンプまたは同様の装置のものと類似していてもよい。他の実施形態では、システムは、スマートフォン、スマートウォッチ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、クラウド・コンピューティング・サービス、または他のウェアラブルデバイスもしくはコンピューティングデバイスなどの、より完全な機能のユーザインターフェースを組み込むことができるリモートデバイスへの有線または無線インターフェースを有することができる。場合によっては、無線インターフェースは、パーソナル・ホーム・ネットワーク、企業ネットワークなどのローカル・エリア・ネットワークへのアクセスを提供することができる。代替として、または加えて、無線インターフェースは、ユーザに利用可能なローカルデバイス間の直接接続を提供することができる(例えば、Bluetoothまたは他の近距離通信技術を介して)。場合によっては、無線インターフェースは、限定されるものではないが、インターネットなどの広域ネットワークへのアクセスを提供することができる。例えば、無線インターフェースは、4Gまたは5Gセルラー接続を介してネットワークへのアクセスを可能にするセルラーインターフェースを含むことができる。場合によっては、セルラーインターフェースは、狭帯域LTEまたは他のモノのインターネット(IoT)インターフェースなどの低電力インターフェースであってもよい。
【0068】
オフラインモードでは、グルコースセンサ516は、存在しないか、機能していないか、または被検者512に結合されていないかであってもよい。したがって、オフラインモードでは、血中グルコース信号519が自動動作を制御するために利用可能でない場合がある。場合によっては、ユーザは、1つまたは複数の血中グルコース測定値を制御システム510に提供して、制御システム510の自動動作を容易にすることができる。これらの測定値は、特定の時間帯に提供することができる。代替として、または加えて、グルコース制御システム510は、治療履歴および/または以前の血中グルコース制御測定値の
履歴を使用して、少なくとも特定の時間帯に制御システム510の自動動作を容易にすることができる。
【0069】
本明細書における説明は、ユーザ制御入力523のソースとして「ユーザ」を参照する。本明細書で使用される「ユーザ」は、被検者512、被検者512の親または保護者、医療提供者(例えば、臨床医、医師、または被検者に医療を提供し得る他の人)、または被検者512の治療を管理するのを助ける権限を与えられ得る任意の他のユーザであってもよい。特定の実施態様では、グルコースレベル制御システム510は、継続的なグルコース制御のために被検者512によって装着される個人用デバイスである。いくつかのこのような実施態様において、ユーザおよび被検者512は、同一人物であってもよい。他の実施態様では、被検者512のケアに関与し、制御入力を提供する別の人物が存在してもよく、そのような実施態様では、その別の人物がユーザの役割を有する。
【0070】
血中グルコース制御システムのための例示的なコントローラ
図6は、特定の実施形態によるコントローラ518の例示的な構造を示す。図6に示すコントローラ518は、異なるコントローラもしくはプロセッサを有する物理構造、または1つもしくは複数の物理プロセッサによって実装される論理構造を表すことができる。換言すれば、単一のプロセッサを使用して、図6に示されるコントローラのそれぞれを実装してもよく、各コントローラをそれ自体のプロセッサによって実装してもよく、または特定のプロセッサが、コントローラ518の一部として図6に示されるコントローラのうちの必ずしもすべてではないが複数を実装してもよい。さらに、図6のコントローラは、コントローラ518の一部として示されているが、いくつかの実施態様では、コントローラのうちの1つまたは複数は、コントローラ518とは別個であってもよい。
【0071】
コントローラ518は、4つの別個のコントローラ、すなわちグルカゴン(または逆調節剤)コントローラ622、基礎インスリンコントローラ624、補正インスリンコントローラ626、およびプライミング・インスリン・コントローラ628を含むことができる。基礎インスリンコントローラ624は、公称レートコントローラ630および変調コントローラ632を含む。図示されるように、グルカゴンコントローラ622は、グルカゴン送達デバイス514-1に提供されるグルカゴン用量制御信号634を生成する。コントローラ624~628からのそれぞれの出力636~640を組み合わせて、インスリン送達デバイス514-2に提供される全体的なインスリン用量制御信号642を形成することができる。図示されるように、基礎インスリンコントローラ624からの出力信号636は、公称レートコントローラ630および変調コントローラ632のそれぞれの出力の組合せによって形成されてもよい。インスリン送達デバイス514-2は、異なるタイプおよび/または量のインスリンを送達するように調整されたデバイスを含んでもよく、正確な構成は、コントローラ624~628に知られてもよく、および/またはこれらのコントローラの制御下にあってもよい。説明を容易にするために、1つまたは複数のインスリン送達デバイス514-2の集合体は、以下では単数形でインスリン送達デバイス514-2と呼ばれる。
【0072】
図6には、グルコースレベル信号519、パラメータ520、およびユーザ入力523、ならびに一連のコントローラ間信号644を含む、様々なコントローラの入力/出力信号も示されている。コントローラ間信号644は、情報が創出または生成されるあるコントローラから別のコントローラへの情報の通信を可能にし、情報がそのコントローラの制御機能に使用され得る。
【0073】
コントローラ622~628は、オンライン/自動モードまたはオフラインモードのいずれかで動作することができる。自動モードでは、補正コントローラ626は、米国特許第7,806,854号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)
に記載されるような制御方式を使用してグルコースレベルを調節する。基礎コントローラ624およびプライミング・インスリン・コントローラ628は、国際特許出願公開第2012/058694 A2号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、適応型自動制御を実行することができる。コントローラ622~628は、一般に、用量制御信号634、642に(直接または追加の条件付けを介して)変換される出力値を生成するために、報告されたグルコース値と数学的に組み合わされる制御パラメータを含む制御方法またはアルゴリズムを使用する。例えば、米国特許第7,806,854号に記載されている制御方式は、様々な制御パラメータを組み込んだ一般化予測制御(GPC)法を含む。制御アルゴリズムは、一般に適応型であり、これは、制御パラメータが動作中に動的に調整されて、変化する動作状況および「学習」態様を反映することを意味し、それ自体の動作を監視することによって、アルゴリズムは、その動作を個々のユーザに、より具体的に合わせるように調整し、アルゴリズムの有効性を高め、ユーザに関する明示的な入力情報を追加する必要性を低減または回避する。入力パラメータ520は、制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの一部を形成することができることに留意されたい。他の制御パラメータは、アルゴリズムの仕様に従った内部パラメータであり、それらの内部制御パラメータのうちの選択されたものが、制御アルゴリズムの適応を実現するために動的に調整される。
【0074】
動作の1つの特徴は、コントローラが直近の過去の期間のオンライン動作から学習し、オフライン動作中にその学習を使用することができることである。米国特許第10,543,313号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、オフライン動作において独立してまたは一緒に使用可能な2つの方法を記載する。第1の方法は、単離されたグルコース測定値の受信時にインスリンの補正ボーラスの正しいサイズを自動的に計算し、次いで、補正ボーラスがユーザ制御入力に応答してシステムによって投与される。第2の方法は、インスリンの食事ボーラスの正しいサイズを自動的に計算し、ユーザ制御入力に応答してこれを投与する。どちらの方法も、オンライン動作の過去の期間に得られた情報を利用して、正しい値を自動的に計算し、ユーザが計算を行ったり補正係数を提供したりする必要性をなくしている。
【0075】
炭水化物療法等価性追跡
高血糖症は、血液中の糖またはグルコースのレベルが特定のレベル(例えば、180mg/dL)を超えた場合に起きる症状である。この症状は、糖尿病患者で起こり得る。高血糖症の発生を低減するのを助けるために、被検者は、自動血中グルコース制御システムを使用することができ、このシステムは、薬剤ポンプを使用して被検者にインスリンを自動的に提供することができる。投与されたインスリンは、被検者のグルコースを消費することによって、被検者の血中グルコースレベルを制御するのを助けることができる。
【0076】
低血糖症は、血液中の糖またはグルコースのレベルが特定のレベル(例えば、70mg/dL)未満である場合に起きる症状である。この症状は、意識の喪失、発作、および死を含む有害な結果となることがある。高血糖症および低血糖症をもたらす血糖のレベルは、患者ごとに異なることがある。低血糖症のリスクを低減するために、被検者は、血糖を上げるために炭水化物を摂取することがある。低血糖症イベントに関連付けられた深刻な結果のために、被検者は、通常、代謝の速い炭水化物を摂取する。これらの炭水化物は不健康であることが多いが、低血糖症イベントの発生には好ましい。例えば、炭水化物には、精製された糖を多く含むキャンディーバーが含まれることがある。
【0077】
バイホルモングルコース制御システムは、インスリンに加えて、血中グルコースレベルが低すぎる(例えば、50mg/dL未満)場合に被検者に投与することができる逆調節剤(例えば、グルカゴン)を含むことによって、低血糖症の発生のリスクを低減することができる。バイホルモングルコース制御システムを有さない被検者にとっては、炭水化物
療法の削減または炭水化物の摂取を理解して、低血糖症イベントまたは潜在的な低血糖症イベントに対処することが有用な場合があるが、これは、バイホルモングルコース制御システムに切り替えることによって達成することができる。さらに、バイホルモングルコース制御システムを有することによって得られる炭水化物療法の削減を理解することは、バイホルモングルコース制御システムを有する被検者にとって有用な場合がある。例えば、炭水化物療法の摂取量または回避量を理解することは、被検者の栄養摂取量をモニタリングする際に重要である可能性がある。摂取時の栄養をモニタリングすることは、すべての人々にとって重要であるが、糖尿病患者は、健康的に食事をすることと、高血糖症および低血糖症の両方を回避するために、血糖を確実に特定の範囲内に維持することとのバランスをとらなければならないため、糖尿病患者にとって特に重要である。
【0078】
本開示は、少なくともインスリン療法を被検者に送達するように構成された薬剤ポンプを用いて、被検者においてある時間帯にわたって総炭水化物療法の指標を生成するコンピュータ実装方法を実行することができるシステムに関する。システムは、薬剤ポンプ(例えば、送達デバイス514)を提供するために、用量制御信号を決定するためのハードウェアプロセッサ(例えば、コントローラ518)を含む自動血中グルコース制御システム(例えば、グルコースレベル制御システム510)であってもよい。場合によっては、薬剤ポンプは、インスリン療法および逆調節剤(例えば、グルカゴン)療法の両方を送達するように構成されてもよい。あるいは、システムは、血中グルコース制御システムとは別個であってもよいが、血中グルコース制御システムから血中グルコース情報を受信することができる。例えば、システムは、血中グルコース制御システムから血中グルコース情報を受信することができるパーソナル・コンピューティング・システムまたはクラウド・コンピューティング・システムであってもよい。
【0079】
システムは、被検者(例えば、被検者512)のグルコースレベルを受信または決定することができる。被検者のグルコースレベルは、被検者のグルコースレベルに対応する連続グルコースモニタリング(CGM)センサ(例えば、グルコースセンサ516)から受信した信号(例えば、グルコースレベル信号)に基づいて決定されてもよい。場合によっては、グルコースレベルは、グルコース測定キットおよび/またはグルコース紙を用いて得ることができるような、単離されたグルコース測定から決定されてもよい。
【0080】
少なくとも被検者のグルコースレベルを用いて、システムは、被検者の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したかどうかを判定することができる。トリガイベントは、特定の時間帯内にリスクしきい値を超える低血糖症イベントの発生、または低血糖症イベントの発生のリスクを示す血中グルコースレベルを含むことができる。被検者のグルコースレベルがグルコースしきい値を下回る場合、低血糖症イベントのリスクであると判定されてもよい。このグルコースしきい値は、被検者によって異なる場合があり、場合によっては、被検者または介護者(例えば、医療提供者、親、または保護者)によって指定されることがある。したがって、場合によっては、低血糖症の発生に対する被検者のリスク許容度、または被検者に存在する血中グルコースの量に対する可能な異なる選好に基づいて、異なるトリガイベントが定義されてもよい。異なる被検者は、例えば、異なる被検者による活動レベルまたは代謝の差異に起因して、血中グルコースを異なるレベルに維持すること、または維持しようとすることを好む場合がある。低血糖症イベントの発生のリスクの判断は、グルコースセンサからの低血糖症のリスクの指標または将来の時間におけるグルコースレベルの予測を受信することを含むことができる。例えば、低血糖症のリスクが切迫しているという判断は、被検者の血中グルコースレベルが次の5~15分以内に60mg/dl未満になると予想されるという判断を含むことができる。
【0081】
トリガイベントに応答して、システムは、投与する逆調節剤の量、または血中グルコース制御システムが逆調節剤を投与する能力を含む場合に投与されるであろう逆調節剤の量
を決定することができる。場合によっては、逆調節剤は、例えば、自動血中グルコース制御システムによって投与される。他の場合には、逆調節剤は投与されない。例えば、自動血中グルコース制御システムは、逆調節剤を送達することができない場合がある。別の例として、自動血中グルコース制御システムは、逆調節剤を送達することができるが、利用可能な逆調節剤の用量を有さない場合がある。
【0082】
システムは、投与された、または投与されるであろう逆調節剤の指標を用いて、炭水化物の対応する量を決定することができる。炭水化物の対応する量は、低血糖症イベントを予防するために、低血糖症イベントのリスクを低減するために、または低血糖症イベントの発生に応答して、摂取された炭水化物の量を示すことができる。代替として、または加えて、炭水化物の対応する量は、逆調節剤が利用できなかった場合に摂取されたであろう炭水化物の量を示すことができる。
【0083】
炭水化物の対応する量は、逆調節剤の量と炭水化物の量との間をマッピングすることから得ることができる。場合によっては、マッピングは、炭水化物と逆調節剤との間の測定された等価性に基づいてもよい。代替として、または加えて、低血糖症イベントが発生する可能性があると判断した場合に、逆調節剤の決定された量と、被検者が通常摂取することを示す炭水化物の量との間のマッピングであってもよい。
【0084】
マッピングは、異なる量の逆調節剤を異なる対応する量の炭水化物にマッピングするルックアップテーブルによって実施されてもよい。場合によっては、単一量の逆調節剤が、摂取される炭水化物のタイプ(例えば、単純炭水化物対複合炭水化物、または摂取されるキャンディーバーの種類など)に応じて、異なる量の炭水化物にマッピングされてもよい。あるいは、マッピングは、逆調節剤の量と炭水化物の量との間の対応関係に基づいて逆調節剤の量を炭水化物の量に変換する式に基づいてもよい。逆調節剤と炭水化物との関係の決定は、炭水化物を逆調節剤(例えば、グルカゴン、デキストロースなど)と比較する臨床検査に基づいてもよい。さらに、マッピングは、被検者の好みの炭水化物源および/または被検者の特性(例えば、体重)に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0085】
場合によっては、システムは、低血糖症イベントの数、または特定の時間帯内の低血糖症イベントの切迫したリスクを示すトリガの発生回数を追跡することができる。時間帯は、日、週、月、年、あるいは逆調節剤が利用不可能かまたは利用可能かに基づいて摂取もしくは回避される炭水化物間の関係を決定することが望ましい任意の他の時間帯であってよい。場合によっては、炭水化物療法の追跡は、時間帯の代わりに、または時間帯に加えて、低血糖症イベントまたは低血糖症リスクイベントの数に基づいてもよい。
【0086】
低血糖症イベントの各発生または低血糖症イベントの切迫したリスクを示すトリガの発生に対して、システムは、節約された炭水化物療法の推定値、または逆療法剤にアクセスすることによって節約されたであろう推定値を決定することができる。システムは、節約された総炭水化物を示す時間帯、または逆調節剤へのアクセスによって節約されたであろう時間帯についてのレポートを生成することができる。レポートは、時間帯中に必要とされる、または節約される炭水化物療法の総計または合計を含んでもよい。この時間帯は、日、週、月、年、または特定の時間以降(例えば、被検者がシステムを使用し始めてから)であってもよい。さらに、レポートは、低血糖性イベントまたは切迫した低血糖性イベントのリスクに応答する被検者によって典型的に摂取される炭水化物のタイプを示すことができる。このレポートは、被検者、医療提供者、および/または被検者の親もしくは保護者に提示することができる。医療提供者は、このレポートを使用して、被検者のケアに役立てることができる。例えば、医療提供者は、このレポートを使用して、血中グルコースレベルを所望のまたは設定値範囲内に維持するために摂取される炭水化物を考慮した、被検者のための栄養計画を生成することができる。
【0087】
レポートは、低血糖症イベントのリスクに対処するために回避される、または摂取される可能性がある炭水化物療法の範囲を含むことができる。さらに、レポートは、炭水化物療法に代わる逆調節剤の使用に基づいて、節約されたまたは摂取されなかったカロリーの量、回避された糖の量、摂取されなかった食物の量、回避された可能性のある体重増加などを含むことができる。
【0088】
炭水化物療法等価性追跡プロセス
図7は、特定の実施形態による、例示的な炭水化物療法等価性追跡プロセス700のフローチャートを提示する。プロセス700は、経時的に被検者のグルコースレベルを追跡し、低血糖症イベントのリスクがしきい値を満たした場合(例えば、低血糖症イベントのリスクが特定の確率と一致するかまたはそれを上回った場合)に、低血糖症イベントまたは発生を識別することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス700は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス700の少なくとも特定の動作は、グルコースレベル制御システム510から被検者512の血中グルコースレベルの指標および/または低血糖症イベント(もしくはしきい値を超える低血糖リスクイベントとして識別された)の指標を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス700の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、および本開示を限定するためではなく、プロセス700は、特定のシステムに関して説明される。
【0089】
プロセス700は、ブロック702で始まり、グルコースレベル制御システム510が被検者512のグルコースレベルを受信する。グルコースレベルを受信することは、被検者のグルコースレベルに対応するグルコースレベル信号を受信することを含んでもよい。グルコースレベル信号は、グルコースセンサ516(例えば、CGMセンサ)から受信されてもよい。代替として、または加えて、グルコースレベルは、タッチスクリーンコントローラ538によってタッチスクリーン上に出力することができるプロセッサ530によって生成されたユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介してグルコースレベル制御システム510にグルコースレベルを提供するユーザから受け取ってもよい。ユーザから受け取ったグルコースレベルは、グルコースセンサ516の代わりに使用することができる代替のセンサまたは測定機構(例えば、糖尿病測定ストリップ)を使用して測定されるグルコースレベルであってもよい。
【0090】
ブロック704において、グルコースレベル制御システム510は、グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて、被検者512の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したと判定する。トリガイベントは、低血糖症イベントまたは低血糖発現が被検者512に存在するかまたは発生しているという判定を含むことができる。代替として、または加えて、トリガイベントは、被検者512における低血糖症の切迫したリスク、または被検者512において特定の時間内に低血糖症イベントが発生するという切迫したリスクが存在するという判定を含むことができる。低血糖症イベント、または低血糖症イベントの発生リスクの判定は、被検者のグルコースレベルをグルコースしきい値と比較することによって判定されてもよい。代替として、または加えて、低血糖症イベント、または低血糖症イベントの発生リスクの判定は、グルコースレベルの傾向および/または変化率(例えば、減少率)をしきい値と比較することによって判定されてもよい。場合によっては、特定の血中グルコースレベルと血中グルコースレベルの傾向とを組み合わせて、低血糖症のリスクを判定することができる。例えば、グルコースレベルが低い(例えば、60mg/dLなどの特定のしきい値を下回る)が、グルコースレベルの判定された傾向が上向きである場合、低血糖症のリスクは、グルコースレベルがしきい値を上回るが、グルコースレベルの判定された傾向がしきい値に向かって下向きである場合よりも低い
場合がある。場合によっては、低血糖症イベントが発生しているかどうかを判定するために、または低血糖症が発生するしきい値を上回るリスクが存在すると判定するために使用されるしきい値は、被検者512の生理学的特性に基づいて変化することがある。生理学的特性は、患者のグループ間で関連付けられたまたは共有された生理学的特性(例えば、性別、年齢、体重)に基づいてもよく、または特定の被検者512に特有のものであってもよい。例えば、低血糖症のリスクに関連付けられたしきい値は、グルコースレベル制御システム510によって判定されるような低血糖症の以前の発生中に決定された被検者512のグルコースレベルに基づいて、または被検者512に特有の臨床データに基づいて決定されてもよい。
【0091】
ブロック704におけるトリガイベントに応答して、グルコースレベル制御システム510は、ブロック706において、逆調節剤の量を決定する。グルコースレベル制御システム510は、被検者512の血中グルコースレベル、低血糖症発生のリスクの量またはパーセンテージ(例えば、低血糖症の99%のリスクまたは確率は、低血糖症の75%のリスクまたは確率よりも多い逆調節剤用量を誘発し得る)、被検者512の生理学的特性、被検者512の血中グルコースレベルの傾向、または逆調節剤のタイプに少なくとも部分的に基づいて、逆調節剤の量を決定することができる。
【0092】
場合によっては、グルコースレベル制御システム510は、送達デバイス514-1を使用して、決定された量の逆調節剤を被検者512に送達することができる。逆調節剤は、低血糖症の切迫したリスクもしくは低血糖症の発現に応答して、および/またはグルコースレベルがしきい値グルコースレベルを満たすかもしくは下回ることに応答して、被検者512に送達されてもよい。しきい値グルコースレベルまたは逆調節剤を送達するかどうかの判定は、被検者512の生理学的特性および/または低血糖症イベントに対する被検者512のリスク許容度に基づいてもよい。本文脈において、リスク許容度は、一般に、リスクに対するユーザの主観的な性癖を指すものではないことを理解されたい。代わりに、リスク許容度は、典型的には、被検者512の血中グルコースレベルが特定のレベルにあるときに、被検者512が低血糖症イベントを有する可能性、または低血糖症の症状が起きる可能性の客観的な判定である。このリスク許容度は、特定の血中グルコースレベルでの被検者512の低血糖症の履歴もしくはその欠如に基づいて、および/または被検者512について得られた臨床データに基づいて決定され得る。
【0093】
他の場合には、グルコースレベル制御システム510は、例えば、グルコース制御システム510が逆調節剤を送達することができない可能性があるため、または逆調節剤を保持するカートリッジが空であるか、もしくはしきい値量未満の逆調節剤が残っていることがあるため、逆調節剤を被検者512に送達しないことがある。
【0094】
ブロック708において、グルコースレベル制御システム510は、逆調節剤に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定する。炭水化物療法は、低血糖症の発生を予防するか、またはそれに応答するために摂取される炭水化物を指すことができる。炭水化物は、被検者512が低血糖症の発生を予防またはそれに応答するために摂取し得る任意のタイプの炭水化物を含むことができ、典型的には速効型炭水化物を含み、これには、人体内で容易に糖に変換される糖質食品が含まれてもよい。例えば、炭水化物は、キャンディーバー、ソーダ、フルーツジュース、または多くの糖もしくは精製糖を有することができる他の食品であってもよい。
【0095】
炭水化物療法の用量を決定することは、逆調節剤と炭水化物との間のマッピングにアクセスすることを含むことができる。このマッピングは、メモリ540に記憶され、メモリ540からアクセスされてもよく、および/または別のコンピューティングデバイスからアクセスされてもよい。グルコースレベル制御システム510は、マッピングおよび逆調
節剤の量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定することができる。場合によっては、マッピングは、逆調節剤のタイプおよび/または炭水化物のタイプに基づいて変化することある。逆調節剤のタイプは、ユーザによって識別されてもよく、またはグルコースレベル制御システム510に設置もしくは挿入された薬剤カートリッジに基づいて自動的に決定されてもよい。さらに、炭水化物のタイプは、ユーザによって指定されてもよく、低血糖症の発生または発生のリスクに応答する際に被検者512によって通常摂取される炭水化物のタイプの識別情報を含んでもよい。例えば、低血糖症の発生もしくは発生のリスクに応答する際に、ユーザは、ユーザインターフェースを介して、被検者が通常キャンディーバーもしくはフルーツジュースを摂取しているかどうか、または通常摂取される炭水化物のサイズを指定することができる。
【0096】
場合によっては、逆調節剤と炭水化物との間のマッピングは、炭水化物に対する逆調節剤の臨床的な比較に基づいて生成されてもよい。代替として、または加えて、マッピングは、被検者512の生理学的特性に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0097】
マッピングは、異なる炭水化物と逆調節剤との関係を記憶することができるルックアップテーブルまたは他のデータ構造に記憶されてもよい。マッピングは、炭水化物の異なる量および/またはタイプと、逆調節剤の異なる量および/またはタイプとの間であってもよい。代替として、または加えて、マッピングは、炭水化物を逆調節剤に関連付ける式であってもよく、またはその逆であってもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510は、逆調節剤の決定された量をルックアップテーブルへのインデックスとして使用して、対応する炭水化物の量を決定することができる。あるいは、グルコース制御システム510は、決定された逆調節剤の量を式に適用して、対応する炭水化物の量を算出することができる。この式は、逆調節剤および/もしくは炭水化物のタイプ、ユーザの生理学的特性、ならびに/または臨床データに基づいて生成されてもよい。
【0098】
場合によっては、マッピングは、グルコースレベル制御システム510に基づいて変化することがある。例えば、グルコースレベル制御システム510は、グルコースレベル制御システム510(またはその薬剤ポンプ)がインスリンおよび逆調節剤療法を被検者に送達するように構成されたバイホルモンポンプである場合に、第1のマッピングを含んでもよく、グルコースレベル制御システム510が逆調節剤療法を被検者512に送達するように構成されていない場合に、第2のマッピングを含んでもよい。場合によっては、グルコースレベル制御システム510は、両方のマッピングをメモリ540に記憶してもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510は、逆調節剤が利用可能である場合に第1のマッピングを使用してもよく、逆調節剤が利用可能でない場合に第2のマッピングを使用してもよい。マッピングは、バイホルモン・グルコース・レベル制御システム510が、逆調節剤の利用可能性により低血糖症イベントの発生をより正確に制御することができ、したがって、被検者が摂取し得る炭水化物の頻度およびタイプを変更し得るという理由を含む、いくつかの理由のために変動することがある。
【0099】
ブロック710において、グルコースレベル制御システム510は、炭水化物療法の用量の指標を出力する。炭水化物療法の用量の指標を出力することは、ユーザへの提示のためにディスプレイ上に炭水化物療法の用量の指標を出力することを含むことができる。さらに、炭水化物療法の用量の指標は、被検者512のケアを管理するのを支援するために臨床医によって使用される療法データなどの、被検者512に関連付けられた他の療法データを表示または集約するために別のコンピューティングシステムに送信されてもよい。場合によっては、炭水化物療法の用量の指標は、被検者512のケアに対応するレポートに含まれてもよい。
【0100】
特定の実施形態では、プロセス700の動作は、ある時間帯にわたって実行または反復
される。例えば、ブロック702~708に関連付けられた動作は、その時間帯にわたって1回または複数回繰り返されてもよい。このような場合、決定された炭水化物療法の用量は、その時間帯について集計され、その時間帯についての総炭水化物療法を決定することができる。さらに、ブロック710は、炭水化物療法の用量が決定される個々の時間ごとの炭水化物療法の用量および/またはその時間帯の炭水化物療法の決定された用量の総計の指標を出力することを含むことができる。この時間帯は、任意の時間帯であってもよい。例えば、時間帯は、被検者512がグルコースレベル制御システム510の使用を開始してから、ユーザが逆調節剤へのアクセスを獲得したかもしくは獲得することを中止してからの、日、週、月、年、または任意の他の時間帯であってもよい。場合によっては、時間帯は、低血糖症イベントの発生、またはしきい値を満たす低血糖症のリスクの発生によって定義される。例えば、時間帯は、5、10、15、100、または任意の他の数の低血糖症イベントまたはしきい値を満たす低血糖症のリスクの発生に関連付けられた時間であってもよい。
【0101】
総炭水化物療法の指標は、例えば、グルコースレベル制御システム510、したがって被検者514に対する逆調節剤の利用可能性のために、被検者512によって摂取される炭水化物の減少に対応することができる。したがって、総炭水化物療法の指標は、逆調節剤の被検者512に対する利用可能性によって達成可能な炭水化物の減少に対応することができる。さらに、総炭水化物療法の指標は、炭水化物の代替物として被検者に提供される、または提供することができる逆調節剤の量に対応することができる。
【0102】
各被検者によって摂取される特定の炭水化物、または摂取される炭水化物の量もしくは各低血糖症イベント中に摂取される炭水化物の量は、変化することがある。例えば、被検者512は、被検者512の測定された血糖レベルが低すぎる場合、または被検者が血糖レベルが低い可能性が高いと感じた(例えば、何らかの低血糖作用を感じ始めた)場合に、特定のキャンディーバーを摂取することがある。被検者は、キャンディーバーを全部摂取する場合もあれば、一部摂取する場合もある。キャンディーバーの一部を被検者が紛失する場合がある(例えば、地面に落ちる)。他の場合には、被検者は、異なる血糖低下イベント中に、利用可能な異なるキャンディーバー、または他の精製された糖源を取ることがある。したがって、炭水化物と逆調節剤との間に客観的なマッピングが存在し得るとしても、逆調節剤の利用可能性に起因して、摂取または回避される炭水化物の量は、低血糖症イベントごとに変化することがある。したがって、回避される、または逆調節剤が利用可能な場合に回避され得る総炭水化物療法の指標は、逆調節剤の利用可能性によって潜在的に置き換えられ得る炭水化物の範囲を示すことができる。
【0103】
場合によっては、炭水化物療法または総炭水化物療法の指標は、炭水化物療法に起因するカロリーの指標、炭水化物の指標、糖の尺度の指標、食物の量の指標、または被検者の体重の指標のうちの1つまたは複数を含むことができる。指標は、逆調節剤の欠如に起因して何が摂取されるか、または逆調節剤の利用可能性に基づいて何が回避されるか関連付けられてもよい。例えば、カロリーの指標は、逆調節剤の存在のために摂取されなかったカロリー数であってもよい。有利なことに、炭水化物療法または回避された炭水化物療法に関する療法情報の利用可能性は、患者のケアを支援することができる。例えば、被検者は、いくつかの健康への影響があり得る精製糖の摂取を減らすことができる。さらに、医療提供者は、炭水化物情報に基づいて被検者が自分の体重を制御するのをより良く支援することができる。
【0104】
炭水化物療法の指標は、任意の提示可能な形態でユーザに提示することができる。例えば、炭水化物療法の指標は、特定の被検者512について、逆調節剤の存在によって達成される、または逆調節剤の使用によって達成され得る、経時的な炭水化物の減少を示すための表、チャート、グラフ、ヒストグラム、または他のデータ提示ツールとして提示する
ことができる。炭水化物療法データの指標は、他の要因の中でもとりわけ、ユーザの生理学特性の違い、各ユーザの糖尿病の違い、各ユーザのライフスタイルの違いに起因して、ユーザによって異なる可能性があることを理解されたい。有利には、グルコースレベル制御システム510を使用して、被検者512の炭水化物療法を追跡することによって、または逆調節剤に関連付けられた回避されるもしくは回避可能な炭水化物療法を決定することによって、被検者512の血中グルコースレベルの管理を個人化することができる。
【0105】
炭水化物療法等価性追跡の追加の実施形態
糖尿病の人々は、低血糖症を治療または予防する目的で、しばしば経口炭水化物を摂取する。このような余分な炭水化物は、不健康な結果をもたらす可能性があり、その1つである体重増加の一因となる。低血糖症の頻度、程度、および持続時間を減少させるために逆調節剤(例えば、グルカゴン)を注入するバイホルモングルコース制御システムを有することにより、低血糖症を治療または予防するために「薬として」必要な経口炭水化物の量を大幅に減少させることができる。
【0106】
本開示の特定の実施形態は、自律的グルコース制御システムによって計算されたオンライン逆調節投薬(例えばグルカゴン)の量を、逆調節投薬のおかげでユーザが必要を免れたと推定される炭水化物の量、またはユーザが逆調節剤にアクセスした場合にユーザが必要を免れたと推定される炭水化物の量に変換するための方法に関する。インスリンおよび逆調節剤/ホルモンの両方を注入するバイホルモン自律的グルコース制御システムにおいて、本方法は、低グルコースレベルを治療または予防するために送達されたオンライン逆調節投薬と、(逆調節投薬が送達されていなければ)同等の安全な制御状況を達成するために普通ならば必要とされたと推定される経口炭水化物との間のマッピングを含むことができる。逆調節剤/ホルモンの用量が送達されないが、依然としてオンラインで計算されるインスリン単独の自律的グルコース制御システムでは、本方法は、計算されたオンライン逆調節投薬と、逆調節剤が利用可能であり、その用量が実際に送達されていれば被検者が低グルコースレベルを治療または予防するために摂取する必要性を免れた可能性が高い経口炭水化物の推定量との間のマッピングを含むことができる。
【0107】
一般性を失うことなく、本明細書に開示される実施形態は、逆調節剤がグルカゴンである自律的グルコース制御システムを含む。しかしながら、他の薬剤および/または逆調節剤を利用することができる。本方法は、インスリン単独構成における実際の使用(例えば、臨床研究中)で観察されるように、計算されたオンライングルカゴン投薬を、低グルコースレベルの治療または予防のために摂取された経口炭水化物(「治療炭水化物」)に関連付けること、および逆調節剤と炭水化物との関係を、バイホルモン(インスリン-グルカゴン)構成における送達されたオンライングルカゴン用量(または他の逆調節剤)と、同様に摂取された経口炭水化物との同様の関係に関連付けることを含むことができる。
【0108】
実際の使用(例えば、臨床研究)から収集されたデータを用いて、インスリン単独構成における摂取された治療炭水化物Cioとオンラインで計算された(しかし送達されていない)グルカゴン投薬Gcとの関係は、Cio=Rio(x)*Gcの関係によって記述することができ、式中、Rio(x)は、ベクトルxに含まれるいくつかの依存関係の関数であり得る関連因子であってもよい。このような依存関係は、使用されている特定のインスリンおよび/もしくはグルカゴン(例えば、それらの臨床特性)、ならびに/またはインスリンおよび/もしくはグルカゴンに関連して制御システムによって想定される薬物動態設定を含むことができる。依存関係は、ユーザの体重およびグルコース制御システムによって使用されるグルコース目標も含むことができる。いくつかの実施形態では、CioとGとの関係において限定的な変動を示すシステム(例えば、関連付けられた依存関係において効果が限定的である、または変動が限定的または全くないことによる)に対して、Rio(x)は定数、またはRio(x)≡Rioであってもよい。
【0109】
インスリン単独構成と同様に、実際の使用データから、バイホルモン(インスリン-グルカゴン)構成で摂取された治療炭水化物Cbhとオンラインで送達されたグルカゴン投薬Gとの関係は、Cbh=Rbh(x)*Gの関係によって記述することができ、式中、Rbh(x)は、上記のRio(x)と同様に記述することができる。場合によっては、量Cio、G、Cbh、およびGは、ある使用期間(例えば、1週間)にわたって平均した1日の量を指すことができる。場合によっては、量Cio、G、Cbh、およびGは、ユーザの体重当たりの1日の平均量を指すことができ、この場合、体重への依存性はxから排除することができる。
【0110】
が計算されるが、インスリン単独システムにおいてグルカゴンが実際に送達されない場合、Gは、低グルコースレベルを治療または予防する限りにおいて、グルコースに対して効果がなく、その結果、さらなる計算されたグルカゴン投薬をもたらすことが一般に予想される(例えば、所与の状況に対してGの大きさを増加させる方向に進む)。対照的に、Gはバイホルモンシステムで送達されるため、低グルコースレベルの頻度、程度、または持続時間を予防または低減する効果を有することが予想され、その結果、グルカゴン投薬の全体的な規模を制限する(例えば、所与の状況に対してGを制限する)ことが予想される。したがって、所与の依存関係のセットに対して、2つのシステム構成間でG>Gとなることが一般に予想される。同様に、Gには低グルコースレベルに対抗する効果はないが、Gにはそのような効果があるため、2つのシステム構成を比較すると、治療炭水化物はCio>Cbhであることが予想される。
【0111】
インスリン単独システムの所与の実際の使用事例について、Gcと、計算されたオンライングルカゴン投薬が実際にGとして送達されていたとしたら、対応するCioが同じ実際のシナリオでどのようなものであったかとを理想的に関連付けることができる場合、グルカゴンが送達されるバイホルモンシステム(同じインスリンコントローラで)を代わりに使用していたとしたら、ユーザが「Cio-Cbh」少ない治療炭水化物を必要としたであろう(例えば、それ量だけ節約したであろう)という推定を予測することができる。逆に、バイホルモンシステムの所与の実際の使用事例について、Gと、送達されるオンライングルカゴン投薬が送達されず、Gとして計算されただけであったとしたら、対応するCbhが同じ実際の使用シナリオでどのようなものであったかとを理想的に関連付けることができる場合、グルカゴンが送達されなかったインスリン単独システム(同じインスリンコントローラで)を代わりに使用していたとしたら、ユーザが「Cio-Cbh」の追加の治療用炭水化物を摂取する必要性を実際に回避したであろうという推定を予測することができる。実際には、このような理想的な関係を得るために過去の実際の使用シナリオを再実行することは不可能であるため、上記の計算は理想的な状況における推定であることを理解されたい。
【0112】
実際に実施するためには、グルカゴンが送達されると想定されるバイホルモンシステムが利用可能であると仮定して、インスリン単独システムが使用される実際の使用事例を再シミュレーションすることができる。制御システムは、後続の近傍のグルカゴン用量を発行する際に、送達された用量を考慮することができるため、シミュレートされたグルカゴン投薬は、インスリン単独システムの元のGと比較して減少を示すことができる。シミュレーションにおいてグルコースプロファイルが変更されないままである場合、シミュレーションは、想定される送達グルカゴン投薬に応答して生じるグルコース変動を反映しない場合がある。次に、シミュレーションは、グルコース変動が実際に送達されているグルカゴンから恩恵を受けた場合には観察され得るであろう、Gまでのグルカゴン投薬の完全な低減を反映しない場合がある。したがって、シミュレーションで観察される低減されたグルカゴン投薬、すなわち擬似的な送達グルカゴン
【数1】
は、「本当のG」であったであろうものと比較して、ほぼ間違いなく大きさが誇張されている可能性がある。上述したように、事前の分析に基づいて、Gは、インスリン単独構成において対応する量のCioにマッピングすることができ、
【数2】
は、バイホルモン構成において対応する量
【数3】
にマッピングすることができる。したがって、シミュレーション結果は、ユーザがバイホルモンシステムを使用していたとしたら節約したであろう治療炭水化物の推定値
【数4】
に対する低減量
【数5】
をマッピングすることができる。推定値は、保守的な推定値であってもよい。実際に観察されるGの範囲に及ぶ様々な実際の使用事例にわたってシミュレーション分析を繰り返すことにより、これらの推定値と、バイホルモンシステムを使用していたとしたらユーザが摂取する必要がなかった可能性が高い治療炭水化物の(場合によっては、保守的な)推定値
【数6】
の関連付けられた範囲との間の全体的なマッピングが提供される。逆に、このマッピングは、バイホルモンシステムが使用されている場合に利用することができ、観察された投薬Gが擬似的な計算グルカゴン
【数7】
にマッピングし戻され、得られた関連付けられた差
【数8】
は、ユーザがバイホルモンシステムを使用することによって節約できた可能性が高い治療炭水化物の(場合によっては、保守的な)推定値を提供する。
【0113】
特定の実施形態は、被検者の血中グルコースレベルの自動制御のためのコントローラを備えるシステムを含む。コントローラは、経時的なグルコースレベル信号によって表されるような被検者の時間ともに変化するグルコースレベルに基づいて、インスリン用量制御信号を生成するように動作可能であってもよい。グルコースレベル信号は、被検者のグルコースレベルを継続的に感知するように動作可能なグルコースセンサによって生成することができる。インスリン用量制御信号は、送達デバイスによるインスリン用量の送達を制御することができる。さらに、コントローラは、被検者のグルコースレベルを調節するた
めのインスリン用量制御信号を生成するように規則的な頻度で動作することができる。オンライン動作中、コントローラは、関連付けられた経口炭水化物の量にマッピングされ得るグルカゴン投薬信号を生成する制御アルゴリズムを用いることができる。
【0114】
経口炭水化物は、低グルコースレベルの予防または治療に関連付けられていてもよい。さらに、グルカゴン投薬信号と経口炭水化物との間のマッピングは、臨床データの分析から導出することができる。グルカゴン投薬信号は、計算することはできるが、インスリン単独システム構成では送達されない。対照的に、グルカゴン投薬信号を計算することができ、グルカゴンをインスリン-グルカゴンシステム構成で送達することができる。インスリン単独システム構成における計算されたグルカゴン投薬は、インスリン-グルカゴンシステム構成が代わりに使用されていた場合に、グルカゴン投薬が送達されていれば節約されたと推定される経口炭水化物の量にマッピングすることができる。インスリン-グルカゴンシステム構成における送達されるグルカゴン投薬は、インスリン単独システム構成が代わりに使用されていた場合に、節約されたと推定される経口炭水化物の量にマッピングすることができる。マッピングは、使用されるインスリンおよびグルカゴンの臨床特性、ならびにインスリンおよびグルカゴンの作用および効果に関連する制御システムの設定に依存することがある。さらに、マッピングは、被検者の体重に依存してもよい。
【0115】
バックアップ療法プロトコル生成
血中グルコース制御システム(例えば、インスリンポンプまたはインスリンポンプと逆調節剤(例えば、グルカゴン)ポンプの組合せ)などの携帯型薬剤装置は、被検者に個別化された治療を提供することができる。換言すれば、携帯型薬剤装置は、被検者の生理、状態、活動などに特有の薬剤を提供することができる。さらに、一部の携帯型薬剤装置は、被検者の状態を監視して、いつ治療を提供するか、どのタイプの治療を提供するか(例えば、インスリンまたは逆調節剤療法)、および/またはどの程度の治療を提供するかを決定する。携帯型薬剤装置によって提供される治療は、進行中であってもよく、場合によっては、生命を救う場合もある。したがって、携帯型薬剤装置が中断されずに機能することが重要である。
【0116】
最善の努力にもかかわらず、携帯型薬剤装置による治療が中断されることがある。例えば、携帯型薬剤装置が破損したり、被検者が必要な使い捨て品(例えば、交換用インスリンカートリッジ、携帯型薬剤装置の部位を変更するための部位キット、交換用電池など)を使い果たしたり入手できなかったり、あるいは被検者が携帯型薬剤装置の電池の充電を忘れたり携帯型薬剤装置を充電するために電源が利用可能な場所にいなかったりすることがある。したがって、携帯型薬剤装置が利用可能でないか、または交換を必要とする場合がある。
【0117】
携帯型薬剤装置が利用可能でない場合、または交換用(一時的または永久的)携帯型薬剤装置が使用されている場合、携帯型薬剤装置からの治療設定の指標を有することが望ましい場合がある。例えば、ユーザ(例えば、被検者、医療提供者、親、または保護者)が、携帯型薬剤装置を使用して代替療法(例えば、注入療法)を提供している場合、特定の状況下でまたは特定の時間に提供する療法の量を知ることが必要な場合がある。
【0118】
場合によっては、医療提供者は、例えば、臨床検査を介して事前に決定することができる治療情報にアクセスすることができる。この治療情報は、特定の時間にまたは特定の条件下で被検者に提供する治療を決定するために使用することができる任意のタイプの情報を含むことができる。例えば、治療情報は、被検者の設定値インスリン範囲、グルコースレベルを調整するためにユーザに提供するインスリンの量、被検者のインスリンが最大濃度に達する時間、または薬剤の投薬のタイミングもしくは量に影響を与える可能性がある任意の他の情報を示すことができる。
【0119】
医療提供者に利用可能な治療情報が不十分である場合がある。例えば、被検者は、情報を必要とする時点で治療情報を得るために医療提供者に連絡をとることができない場合がある。さらに、場合によっては、例えば、携帯型薬剤装置が時間とともに療法を改良している可能性があるため、情報が古くなっている可能性がある。改良が最近行われた場合、医療提供者の古い値は、交換用の携帯型薬剤装置が元の携帯型薬剤装置の改良プロセスを繰り返すことができるまで、十分である可能性がある。他の場合には、例えば、改良が大幅であったために、または臨床検査が最後に行われてから被検者に生理的変化(例えば、体重増加もしくは体重減少、または代謝変化)があった可能性があるために、古い治療情報が不十分である場合がある。古い治療情報を使用することは、あまり効果的でない場合があり、被検者に不快感または害を与える可能性がある。
【0120】
本明細書に開示されるシステムの特定の実施形態は、バックアップ療法データを生成することができる。バックアップ療法データを用いて、被検者(またはユーザ)は、被検者の現在のデバイス装置が故障した場合に、注入療法を行うことができ、または交換用の携帯型薬剤装置を構成することができる。バックアップ療法データを使用することによって、被検者は、利用可能であったとしても期限切れである場合がある臨床データよりも、携帯型薬剤装置によって提供されていたものと一致するかまたはより密接に一致する治療ケアのレベルを維持することができる。
【0121】
システムは、自律的に決定されたインスリンの用量から導出されるインスリン療法命令を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血中グルコース制御システム(例えば、グルコースレベル制御システム510)を含むことができる。通常動作中、システムは、被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信することができる。センサは、グルコースレベルを決定することができる任意のタイプのセンサを含むことができる。例えば、センサは、連続グルコースモニタリング(CGM:Continuous Glucose Monitoring)センサであってもよい。
【0122】
決定されたグルコースレベルを使用して、システムは、制御アルゴリズムを使用して用量制御信号を自律的に決定および/または生成することができる。用量制御システムの決定および/または生成は、いかなるユーザアクションまたは血中グルコース制御信号とのインタラクションもなしに実行することができる。場合によっては、ユーザアクションまたは血中グルコース制御システムとのインタラクションがないということは、意識的なアクションを指し、被検者の生理学的特性のセンサ測定を排除し得る。制御アルゴリズムは、グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて被検者の血中グルコースを制御する目的で被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定することができる。制御アルゴリズムは、任意のタイプの制御アルゴリズムを含むことができる。
【0123】
例えば、制御アルゴリズムは、被検者の血漿中のインスリン用量の蓄積をモデル化する二指数薬物動態(PK)モデルであってもよい。自動血中グルコースシステムは、二指数PKモデルおよび被検者の1つまたは複数の血中グルコース測定値に基づいて、インスリンまたは逆調節剤の送達または投与を制御することができる。二指数PKモデルは、皮下投与されたインスリンの血液への吸収および/または血液中のグルコース減少速度をモデル化することができる。経時的な二指数PKモデルは、以下の式、すなわち、
【数9】
によって表すことができ、式中、Uは、(U)を単位とする皮下用量であり、Kは、
スケーリング定数であり、αおよびαは、時定数である。
【0124】
代替例として、制御アルゴリズムは、線形減少率に基づいて被検者のグルコースの減少またはグルコースの蓄積をモデル化する線形アルゴリズムを含むことができる。例えば、制御アルゴリズムは、インスリンの特定の用量Dが被検者に投与されるべきであることを決定することができる。次いで、制御アルゴリズムは、4時間にわたって1時間当たり0.25*Dのインスリンが血漿中に吸収されると推定することができる。同様に、制御アルゴリズムは、インスリンが血漿内の最大濃度に達すると、3時間にわたって1時間当たり0.33*Dの速度でインスリンが減少すると推定することができる。
【0125】
使用される制御アルゴリズムにかかわらず、自動血中グルコース制御システムは、特定の時間帯にわたって1回または複数回、インスリンおよび場合によっては逆調節剤を投与することができる。自動血中グルコース制御システムにインスリンを供給させる複数の理由および/またはトリガが存在してもよい。例えば、自動血中グルコース制御システムは、被検者の血漿中の安定した血中グルコースレベルを維持しようとして、定期的に基礎インスリン用量を提供することができる。別の例として、自動血中グルコース制御システムは、食事の一部として摂取されるグルコースの予想量を考慮して、食事時のインスリンのボーラスを供給することができる。食事時のボーラスは、ユーザが指定した量であってもよく、または被検者による食事サイズの指標に応じて投与されるインスリンの量であってもよい。食事サイズのこの指標は、主観的なものである可能性がある。場合によっては、特定された食事サイズに対するインスリンのボーラスの量は、固定値または一定値であってもよい。いくつかの他の場合では、特定された食事サイズに対するインスリンのボーラスの量は、自動血中グルコース制御システムが、被検者の血中グルコースを目標設定値内に維持するために被検者に投与するインスリンの量を学習または改良するにつれて、経時的に変化することがある。自動血中グルコース制御システムは、被検者(または他のユーザ)が食事サイズの主観的な特定を行ったときの予想血中グルコースレベル測定値と実際の血中グルコースレベル測定値との比較に基づいて、投与する最適なインスリンを学習または改良することができる。インスリンの基礎用量および食事時のボーラスに加えて、自動血中グルコース制御システムは、グルコースレベル信号に基づいて、被検者にインスリンの補正用量を供給することもできる。インスリンの補正用量は、モデル予測コントローラ(MPC)が、血中グルコースレベルの読み取り値に基づいて、ユーザのインスリンレベルが将来のある時間帯にしきい値を下回ると予想されると判定または推定することに応答して供給されてもよい。MPCは、グルコース濃度を基準設定値に調節することができる制御アルゴリズムを実行することができ、同時に、制御信号の積極性および局所的なインスリン蓄積の両方を最小化する。投与されたインスリンの皮下蓄積を記述する数学的定式化は、被検者のインスリンの薬物動態に関する公称時間値に基づいて導出することができる。数学的定式化は、インスリン吸収速度、ピークインスリン吸収時間、および/またはインスリン(または別の薬剤)の全体的な作用時間に関するものであってもよい。本開示の実施形態とともに使用され得るMPCコントローラの例は、2010年10月5日に発行された米国特許第7,806,854号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
自動血中グルコース制御システムは、追跡期間にわたって被検者に施されたインスリン療法を追跡することができる。追跡期間は長さは限定されず、一般に任意の時間帯であってよいが、典型的には、追跡期間は、自動血中グルコース制御システムが、特定の条件下で(例えば、特定の血中グルコースレベルが検出されたとき、または特定の食事サイズが特定されたとき)被検者に投与する薬剤(例えば、インスリン)の量を学習または改良するのに十分な少なくとも最小の時間帯である。例えば、自動血中グルコース制御システムは、最初に昼食に6単位のインスリンを投与し、夕食に10単位のインスリンを投与することができる。これらの初期値は、医療提供者および/または被検者が、例えば被検者の
臨床データに基づいて設定することができる。しかしながら、時間の経過とともに(例えば、3~5日)、自動血中グルコース制御システムは、昼食に7単位のインスリンを提供し、夕食に8単位のインスリンを提供することが、被検者の血中グルコースレベルを初期構成よりも設定値範囲の中央値により近く維持すると判断することができる。このように限定されるものではないが、一般に、インスリンの各単位は、1ミリリットルのインスリンの1/100である。
【0127】
示されるように、追跡期間は、任意の長さの時間とすることができる。例えば、追跡期間は、1日、3日、5日、7日、それらの中間、またはそれ以上とすることができる。典型的には、追跡期間は、被検者の自動血中グルコース制御システムの初期設定を学習または改良するのに十分な時間を提供するのに少なくとも十分な長さである。場合によっては、追跡期間は、1日または2日であってもよい。他の場合には、追跡期間は、特定の時間帯から現在の時間帯までであってもよい。例えば、追跡期間は、治療の開始から現時点までであってもよい。他の場合には、追跡期間は、移動またはシフトするウィンドウであってもよい。例えば、追跡期間は、最短1週間、2週間、1ヶ月、または1年であってもよい。さらに、非血中グルコースシステムについては、被検者の薬剤管理値を決定または改良するのに十分な時間量に基づいて追跡期間が異なる場合がある。場合によっては、追跡期間は、特定の長さのウィンドウであってもよい。このウィンドウは、移動ウィンドウであってもよい。例えば、ウィンドウは、過去7日間であってもよい。時間が経過するにつれて、ウィンドウは、直前の7日間を包含し続けるように移動する。
【0128】
インスリン療法を追跡することは、被検者に送達されたインスリンの自律的に決定された用量を記憶することを含むことができる。これらの自律的に決定されるインスリンの用量は、基礎インスリン用量、食事時インスリンボーラス、または補正インスリン用量のうちの1つまたは複数を含んでもよい。さらに、インスリン療法を追跡することは、使用されるインスリンのタイプを追跡することを含んでもよい。インスリンのタイプには、速効型インスリン(例えば、Lispro、Aspro、またはGlulisin)、規則的または短時間作用型インスリン(例えば、Humulin R、Novolin R、またはVelosulin R)、中間作用型インスリン(例えば、Humulin N、ノNovolin N、ReliOn)、長時間作用型インスリン(例えば、デテミル(Levemir)、およびグラルギン(Basaglar、Lantus))、または超長時間作用型インスリン(例えば、デグルデク(Tresiba)、グラルギンu-300(Toujeo))などの任意のタイプのインスリンが含まれ得る。さらに、インスリン療法を追跡することは、逆調節剤(例えば、グルカゴン)療法を追跡することを含むことができる。
【0129】
場合によっては、インスリン療法を追跡することは、ある時間帯にわたって(例えば、追跡ウィンドウにわたって)提供された平均療法を計算することを含むことができる。例えば、インスリン療法を追跡することは、各投薬間隔中の過去7日間の公称基礎用量の移動平均を決定することを含むことができる。基礎療法が5分ごとに提供されると仮定すると、移動平均は、直前の288用量(例えば、1日にわたる)または2016用量(例えば、7日にわたる)に基づいて計算されてもよい。この計算を使用して、バックアップ療法の基礎レートプロファイルを得ることができる。場合によっては、時間帯は、異なる治療率に関連付けることができる異なる時間区分に分割されてもよい。例えば、4つの基礎治療期間(例えば、午後10時~午前4時、午前4時~午前10時、午前10時~午後4時、および午後4時~午後10時)があってもよい。したがって、基礎治療期間のそれぞれについて、1日にわたって、またはいくつかの他の時間帯(例えば、7日間)にわたって、別々の移動平均を計算することができる。計算された平均を使用して、自動グルコース制御システムをプログラムするために使用することができるバックアップ基礎レートを計算することができる。さらに、基礎レートプロファイルは、注入療法に使用することが
できる長時間作用型インスリンの用量を決定するために、1日を通して用量を集計することを含むことができる。
【0130】
基礎療法と同様に、補正用量の移動平均を計算して、ポンプ療法または注入療法を介して供給するインスリンの補正ボーラスを決定することができる。代替として、または加えて、経時的な被検者の血中グルコースの測定値と組み合わせた補正用量の移動平均は、補正療法中に提供される1単位のインスリンから血中グルコースの変化率を決定するために使用されてもよい。
【0131】
食事時のボーラスは、移動平均を使用して計算することもできる。さらに、ある時間帯(例えば、食事時間の前7日間)にわたる各食事(例えば、朝食、昼食、および夕食)の用量について、別々の移動平均を計算することができる。場合によっては、移動平均のそれぞれは、異なる窓関数を使用して計算されてもよい。例えば、Hann窓またはHamming窓を用いて移動平均を計算してもよい。場合によっては、異なる食事サイズに対して異なるレベルの投薬を決定することができ、異なる食事に対して異なる用量を決定することができる。場合によっては、食事が異なると(例えば、朝食対昼食)、例えば、被検者が起床したときの被検者の血中グルコースレベルと被検者が通常通り昼食をとるときの被検者の血中グルコースレベルとの差異に起因して、または朝食と昼食で摂取される食物のタイプの違いに起因して、サイズが類似していても、投薬量が異なることがある。さらに、場合によっては、被検者の代謝の違いにより、食事時のボーラスが異なることになることがある。
【0132】
インスリン療法は、治療ログまたは任意の他のタイプのデータ構造に記憶されてもよい。さらに、インスリン療法は、自動血中グルコースシステムのメモリ内、コンパニオンデバイス上、被検者またはユーザのコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップまたはデスクトップ)上、クラウドコンピューティング環境内、または自動血中グルコース制御システムからインスリン療法情報を受信することができる任意の他の記憶システム内に記憶されてもよい。
【0133】
治療ログまたは追跡されたインスリンデータを使用して、自動血中グルコースシステム、または治療ログもしくは追跡されたインスリンデータにアクセスするコンピューティングシステムは、バックアップインスリン療法プロトコルを生成することができる。バックアップインスリン療法プロトコルは、バックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルを含んでもよい。バックアップ注入療法プロトコルは、被検者の状態を正常または所望の生理学的範囲もしくは状態内に維持するのを助けるために、1回または複数回の注入療法(例えば、手動で提供される注射)を使用して投与する1つまたは複数の量のインスリン(または他の薬剤)を含むことができる。バックアップポンプ療法プロトコルは、被検者に治療を供給するための同じタイプまたは異なるタイプの交換用薬剤ポンプのデータおよび/または命令を含むことができる。交換用薬剤ポンプは、永久的な交換または一時的な交換であってもよい。
【0134】
バックアップポンプ療法プロトコルは、バックアップ注入療法プロトコルと同じであってもよく、および/または同じタイプの情報を含んでもよい。代替として、または加えて、バックアップポンプ療法プロトコルは、バックアップ注入療法プロトコルとは異なる値を含んでいてもよい。例えば、バックアップポンプ療法プロトコルは、比較的短い刻み(例えば、5分ごと、30分ごと、1時間ごとなど)で定期的に提供する基礎療法の指標を含むことができる。インスリンポンプは、インスリンを自動的に投与することができるため、インスリンの定常的または定期的な点滴を行うことが可能である。同様の短い刻みで、手動でインスリンを投与することは、注入療法を使用する被検者にとっては現実的でない可能性がある。代わりに、ユーザは、それほど規則的には治療を施さないことがある(
例えば、約4~5時間または6~8時間ごとに1回、食事時間の前、起床後、および/または就寝前など)。したがって、ポンプおよび注入のためのバックアップ療法プロトコルが異なる可能性がある。さらに、バックアッププロトコルで使用または特定されるインスリンのタイプが異なることがある。例えば、バックアッププロトコルは、長時間作用型インスリン(例えば、インスリングラルギンなど)または中間作用型インスリン(例えば、ヒト遺伝子組換えインスリンなど)の使用を要求することがある。
【0135】
場合によっては、バックアップポンプ療法プロトコルは、被検者が使用する交換用血中グルコース制御システムのポンプ設定を手動で改良するために使用されることがある。他の場合には、交換用血中グルコース制御システムは、バックアップ療法プロトコルに基づいて自動的にそれ自体を構成することができる。例えば、ユーザは、バックアップ療法プロトコルを交換用血中グルコース制御システムに提供させ、交換用血中グルコース制御システムは、その情報を使用して自己較正を行うことができる。
【0136】
バックアッププロトコルが生成されるか、または必要とされるかにかかわらず、自動血中グルコース制御システムによって提供される治療のための治療データを収集および分析することは、被検者の状態を管理するのを助けるのに役立つことがある。例えば、治療データは、被検者が自動血中グルコース制御システムによって提供される治療に満足しているか否か、または血中グルコース制御システムが被検者のライフスタイルもしくは治療の好み(主観的またはその他)に最もよく適合するように構成されているか否かを判断するのに役立つことがある。血中グルコース制御システムが所望の治療、または所望のレートで治療を提供しているかどうかを判定する1つの仕方は、自動血中グルコース制御システムによって提供される治療に対して、被検者、または被検者の治療を管理する助けとなり得る他のユーザによって行われる修正の頻度および/または大きさを決定することである。
【0137】
本明細書に開示される自動血中グルコース制御システムは、追跡期間にわたって制御パラメータに対するユーザ修正を追跡することができる。追跡期間は、バックアッププロトコルを生成するための治療を追跡するための上述した任意の時間帯を含むことができる。さらに、制御パラメータは、治療を施すことに影響を与える可能性がある任意のタイプの制御パラメータを含むことができる。例えば、制御パラメータは、他の制御パラメータの中でもとりわけ、治療の量、送達される治療のタイミング、治療が送達される速度、または治療を送達するときもしくは治療送達するかどうかのトリガに関連する場合がある。さらに、制御パラメータは、治療の送達に直接影響を与え(例えば、薬剤を送達する時間または送達する薬剤の量を指定する)、または治療に間接的に影響を与える(例えば、治療を施すための制御アルゴリズムを修正するために使用することができる、被検者の血中グルコースまたはインスリン蓄積レートを維持するための設定値範囲を調整する)ことができる。
【0138】
ユーザ修正は、自動血中グルコース制御システムの制御パラメータまたは設定に対するあらゆる変更を含むことができる。例えば、自動血中グルコース制御システムは、ユーザが制御パラメータ(例えば、投与されたインスリンの量)を減少または増加させる各インスタンスおよび/または回数の割合もしくはパーセンテージを追跡することができる。さらに、制御パラメータの変更を追跡することは、ユーザが治療を中断する頻度、または目標血中グルコース範囲もしくは他の制御パラメータを一時的に調整する頻度を追跡することを含むことができる。加えて、制御パラメータの変更を追跡することは、ユーザがいつ制御パラメータに変更を加えたかを追跡することを含むことができる。例えば、ユーザは、一般に、夜間に制御パラメータを修正するが、昼間のパラメータは変更しないままであることがあり、またはその逆であってもよい。場合によっては、自動血中グルコース制御システムは、経時的に被検者の体重を追跡してもよい。体重は、ユーザによって提供され
てもよく、血中グルコース制御に影響を与えることがある(例えば、投与されるインスリンの量は、被検者の体重に関連することがある)。
【0139】
自動血中グルコース制御システムは、制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するレポートを生成することができる。レポートは、記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含んでもよい。さらに、レポートは、ユーザが、追跡期間にわたって自動血中グルコース制御システムの記憶された制御パラメータ値よりも高いまたは低い制御パラメータを修正した回数のパーセンテージの指標を含んでもよい。場合によっては、レポートは、インスリンの注入が追跡期間にわたって一時停止される回数、またはインスリンが被検者に送達される速度(例えば、積極性)を示す。
【0140】
このレポートを使用して、臨床医または他の医療提供者は、被検者の治療をよりよく管理するために、制御パラメータに対して修正を行うべきかどうかを判断することができる。例えば、被検者が夕方または夜間に週に4~5回血中グルコース目標レベルを上昇させていると判断された場合、臨床医は、ユーザが自動血中グルコース制御システムによって提供される治療、または治療に対する制御パラメータ設定を手動で調整する発生回数を減らすために、夕方の目標設定値を調整すべきであると判断することができる。場合によっては、被検者は、主観的理由に基づいて治療を調整されることがある。このような場合、治療レポートによって、臨床医または医療提供者が、被検者の病気を制御することに関して被検者を訓練することができてもよい。他の場合には、臨床医は、被検者が、最初に決定されたもの、または平均的な被検者とは異なる血中グルコースに対する耐性を有すると判断することがあり、それに応じて自動血中グルコース制御システムの1つまたは複数の制御パラメータを調整することができる。
【0141】
いくつかの実施態様では、自動血中グルコース制御システムは、レポートに基づいて、経時的に1つまたは複数の制御パラメータを自動的に調整することができる。例えば、自動血中グルコース制御システムが、1ヶ月間にわたって、被検者が昼間の目標グルコース範囲を30日のうち20日低く調整したと判断した場合、自動血中グルコース制御システムは、より低い設定値範囲を有するように制御パラメータを修正することができる。場合によっては、自動血中グルコース制御システムは、被検者、親もしくは保護者、または医療提供者などのユーザにその変更を伝えることができる。
【0142】
例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセス
図8は、特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコル生成プロセス800のフローチャートを提示する。プロセス800は、経時的に被検者に提供される薬剤療法(例えば、インスリン療法)を追跡し、グルコースレベル制御システム510が利用不可能になった場合に使用され得るバックアップ療法プロトコルを生成することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス800は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス800の少なくともいくつかの動作は、グルコースレベル制御システム510から被検者512に提供される薬剤療法の指標を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス800の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、また本開示を限定するためではなく、プロセス800は、特定のシステムに関して説明される。
【0143】
プロセス800は、ブロック802で始まり、グルコースレベル制御システム510が被検者512のグルコースレベルを受信する。グルコースレベルを受信することは、被検者のグルコースレベルに対応するグルコースレベル信号を受信および/または決定することを含むことができる。グルコースレベル信号は、グルコースセンサ516(例えば、CGMセンサ)から受信されてもよい。代替として、または加えて、グルコースレベルは、
タッチスクリーンコントローラ538によってタッチスクリーン上に出力することができるプロセッサ530によって生成されたユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを介してグルコースレベル制御システム510にグルコースレベルを提供するユーザから受け取ってもよい。ユーザから受け取ったグルコースレベルは、グルコースセンサ516の代わりに使用することができる代替のセンサまたは測定機構(例えば、糖尿病測定ストリップ)を使用して測定されるグルコースレベルであってもよい。
【0144】
ブロック804において、グルコースレベル制御システム510は、グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいてインスリン用量制御信号を生成する。場合によっては、インスリン用量制御信号は、薬剤(例えば、インスリン、逆調節剤、または他の薬剤)を被検者512に投与するために薬剤ポンプを制御するように構成された薬剤制御信号であってもよい。用量制御信号は、ブロック802で決定されたグルコースレベル、またはグルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて、被検者の血中グルコースを制御する目的で被検者に投与または注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して生成することができる。
【0145】
ブロック806において、グルコースレベル制御システム510は、追跡期間にわたって被検者512に施されたインスリン療法を追跡する。追跡期間は、典型的には少なくとも1日であり、それ以上であってもよい。例えば、追跡期間は、1日、2日、1週間、1ヶ月、数ヶ月、1年、前述の例の間の任意の長さの時間、またはさらに長くてもよい。場合によっては、追跡期間は、追跡が始まる時点から連続的であってもよい。例えば、追跡期間は、被検者512によるグルコースレベル制御システム510の全使用寿命を包含することができる。追跡期間が(プロセス800の異なる反復に対して修正され得る)定義された時間帯に設定される場合、プロセス800は、等しいまたは異なる長さの新しい追跡期間を使用して、要求に応じて、またはトリガイベントに応じて、周期的に繰り返されてもよい。トリガイベントには、事前に生成されたバックアップ療法プロトコルを潜在的に期限切れにすることができるあらゆるイベントが含まれてもよい。例えば、トリガイベントは、薬剤タイプの変化(例えば、異なるインスリンまたは逆調節剤の配合)、被検者512の生理学的特性の変化(例えば、体重の変化、または異なるグルコースレベルもしくは薬剤に対する感受性)、あるいは被検者512の平均活動レベルの変化を含むことができる。
【0146】
追跡期間は、グルコースレベル制御システム510が、グルコースレベル制御システム510の使用の全サイクル(例えば、起床時間および睡眠時間)からのデータに基づいてバックアッププロトコルを決定することを可能にする典型的には少なくとも1日であるが、場合によっては、追跡期間は、少なくとも最初は1日未満であってもよい。例えば、最初のバックアップ療法プロトコルは、半日の活動後に生成されてもよい。この初期バックアップ療法プロトコルは、グルコースレベル制御システム510の1日の使用(および場合によっては翌日の使用)を通してより多くのデータが利用可能になるにつれて更新されてもよい。
【0147】
場合によっては、追跡期間は、インスリン投与イベントの特定の数によって、またはそれに基づいて定義されてもよい。例えば、追跡期間は、グルコースレベル信号に基づいてインスリン用量を生成する少なくとも10回のインスタンスによって定義されてもよい。別の例として、追跡期間は、食事イベント、補正用量イベント、および/または基礎用量イベントの最小数によって定義されてもよい。例えば、追跡期間には、3回の食事、または各食事タイプが生じる3回の食事、2回の補正用量、および/または100回の基礎用量が必要となることがある。前述の用量回数は単なる例であり、追跡期間は、より多いまたはより少ない用量を含むことができることを理解されたい。さらに、追跡期間は、特定の数のインスリンの用量の時間と発生との組合せとして定義または指定することができる
【0148】
場合によっては、追跡期間は、可変であってもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510が、(例えば、一貫しない運動または食習慣に起因して)追跡期間にわたってインスリン用量療法が一貫しないまたは不規則であると判断した場合、追跡期間を延長することができる。
【0149】
インスリン療法を追跡することは、ブロック804においてグルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて生成されたインスリン用量制御信号を記憶することを含むことができる。代替として、または加えて、インスリン療法を追跡することは、インスリン(または別の薬剤)用量制御信号に対応するインスリン(または別の薬剤)の量の指標を記憶することを含むことができる。インスリン用量制御信号および/またはインスリンの量の指標は、基礎インスリン用量、インスリンの補正ボーラス、および/またはインスリンの食事時ボーラスとして被検者512に送達されるインスリン用量に対応することができる。
【0150】
インスリン用量制御信号および/またはインスリンの量の指標を記憶することは、グルコースレベル制御システム510のメモリ540内の治療ログまたは任意の他のタイプのデータ構造にインスリン用量制御信号および/またはインスリンの量の指標を記憶することを含むことができる。代替として、または加えて、グルコースレベル制御システム510は、インスリン用量制御信号および/またはインスリンの量の指標をリモートデータ記憶装置に記憶することができる。このリモートデータ記憶装置は、グルコースレベル制御システム510が通信することができるローカル・コンピューティング・システム(例えば、被検者512またはユーザのラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、または他のコンピューティングデバイス)であってもよい。グルコース制御システム510は、Bluetooth(登録商標)もしくは他の近距離通信サービスを介して、またはローカルネットワークを介して、インスリン用量制御信号データまたはインスリンの量の指標をローカル・コンピューティング・システムに提供することができる。代替として、または加えて、リモートデータ記憶装置は、グルコースレベル制御システム510が、無線エリアネットワーク、IoTベースの通信技術を使用するセルラーネットワーク、セルラー通信技術、または任意の他の通信ネットワークなどの広域ネットワークを介して通信することができるリモート・コンピューティング・システムであってもよい。場合によっては、広域ネットワークは、インターネットを含んでもよい。グルコースレベル制御システム510は、ローカルまたはリモート・コンピューティング・システムと通信することを可能にする無線通信機を含むことができる。さらに、リモート・コンピューティング・システムは、データセンタまたはクラウドコンピューティング環境のコンピューティングシステムであってもよい。
【0151】
ローカル・コンピューティング・システムであろうとリモート・コンピューティング・システムであろうと、グルコースレベル制御システム510は、コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立することができる。この通信チャネルは、暗号化されたチャネルであってもよい。さらに、通信チャネルは、グルコースレベル制御システム510とコンピューティングシステムとの間の直接的なエンドツーエンド接続であってもよい。通信チャネルが確立されると、グルコースレベル制御システム510は、インスリン用量制御信号データまたはインスリンの量の指標をコンピューティングシステムに送信することができる。
【0152】
一般に、ブロック802~806に関連する動作は、追跡期間の過程全体を通して複数回繰り返されてもよい。例えば、場合によっては、基礎インスリンに関連付けられたインスリン用量制御システムは、1日288回まで生成されてもよい。したがって、インスリ
ン療法を追跡することは、追跡期間全体にわたって被検者512に注入された複数の自律的に決定されたインスリン用量についてのインスリン用量制御信号および/またはインスリンの量の対応する指標を記憶することを含むことができる。
【0153】
一般に、逆調節剤療法は、低血糖症のリスクまたは発生がある場合に逆調節剤(例えば、グルカゴン)を投与することを含む。通常、逆調節剤は、定期的に、または毎日供給されるものではない。しかしながら、逆調節剤が被検者512に投与される量および頻度を理解することは有用であり得る。例えば、これは、医療従事者またはユーザが被検者512のケアをガイドまたは調整するのに役立つ場合がある。さらに、逆調節剤の使用を追跡することは、バイホルモンポンプで、または注入療法で使用するために、被検者512にアクセス可能であるべき最小量の逆調節剤を決定するのに役立ち得る。場合によっては、ブロック806は、追跡期間中に投与された逆調節剤を追跡することを含んでもよい。逆調節剤療法を追跡することは、ブロック802で得られたグルコースレベル信号に応答して被検者512に送達された逆調節剤の自律的に決定された用量の指標を記憶することを含むことができる。
【0154】
ブロック808において、グルコースレベル制御システム510は、追跡されたインスリン療法に少なくとも部分的に基づいてバックアップ療法プロトコルを生成する。バックアップ療法プロトコルは、追跡期間にわたって、追跡期間の異なる部分(例えば、朝食、昼食、および夕食、または起床および睡眠時間など)にわたって、あるいは特定のイベント(例えば、食事時、血中グルコースレベルがしきい値レベルを超えたときなど)に応じて、ユーザに投与されるインスリンの平均量または速度に基づいて決定されてもよい。バックアップ療法プロトコルは、バックアップ注入プロトコルおよび/またはバックアップポンプ療法プロトコルを含んでもよい。バックアップ注入プロトコルは、ユーザ(例えば、被検者512、親もしくは保護者、または被検者512の他の介護者)に、注入を介して被検者512に投与することができるインスリンの量を提供することができる。さらに、バックアップ注入療法は、インスリンが投与され得る時間を示すことができる。例えば、バックアップ注入療法は、特定の食事時間に投与されるインスリンの量を示すことができる。さらに、バックアップ注入療法は、血中グルコース測定値が、被検者512のグルコースレベルが高すぎる(例えば、所望の設定値範囲を上回る)ことを示す場合、ユーザがどのくらいのインスリンを被検者512に投与すべきかを計算することができるように、インスリンの単位が被検者512に及ぼす可能性がある効果を示すことができる。
【0155】
バックアップ注入療法プロトコルと同様に、バックアップポンプ療法プロトコルは、薬剤ポンプを介して被検者512に投与され得るインスリンの量をユーザ(例えば、被検者512、親もしくは保護者、または被検者512の他の介護者)に提供することができる。バックアップポンプ療法プロトコルを使用して、ユーザは、特定された量のインスリンを投与するように薬剤ポンプを構成することができる。バックアップポンプ療法プロトコルは、CGMセンサへのアクセスが利用できない(例えば、被検者512がCGMセンサを所有していない、または薬剤ポンプもしくはCGMセンサが故障しているなど)場合に薬剤ポンプを構成するために使用されてもよい。さらに、バックアップポンプ療法プロトコルは、交換用グルコースレベル制御システムに初期構成を提供するために有用である場合がある。
【0156】
場合によっては、バックアップ注入療法プロトコルおよびバックアップポンプ療法プロトコルは、同じであってもよい。しかしながら、少なくとも推奨される基礎療法の設定は異なることが多い。インスリンを注入療法を介して1日に数回を超えて被検者512に施すことは一般に実用的ではない。したがって、バックアップ注入療法プロトコルは、限定された基準で(例えば、1日1回または2回)投与され得る長時間作用型インスリン単位または用量を特定することができる。しかしながら、薬剤ポンプは、限定された基準(例
えば、1時間ごと、30分ごと、5分ごとなど)でインスリンをより容易に投与することができる。したがって、バックアップポンプ療法プロトコルは、時間単位ごとに1回(例えば、1時間に1回、または15分に1回、または5分に1回)、あるいは時間単位ごと(例えば、1時間ごと)に特定の速度(例えば、0.5または0.6単位)で連続的に投与され得るインスリンの基礎レートを特定することができる。さらに、バックアップポンプ療法プロトコルは、1日の異なる部分に対して異なるレートを特定することができる(例えば、被検者について、1日の半分ごとに1つの速度、1日の四分の一ごとに1つの速度、または典型的な起床時間中に1つの速度、および典型的な睡眠時間中に1つの速度など)。
【0157】
場合によっては、ブロック808において、初期バックアップ療法プロトコルを生成することができる。初期バックアップ療法プロトコルは、追加のインスリン療法データが得られるにつれて経時的に更新され得る。
【0158】
バックアップ療法プロトコルを生成することは、追跡期間にわたって1日当たり被検者512に提供される平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて、長時間作用型インスリン単位の数を決定することを含むことができる。1日当たりに提供される平均総基礎インスリンは、1日を通して被検者512の基礎インスリンレベルを維持するのを助けるように構成された長時間作用型インスリンの単回用量として、バックアップ注入療法プロトコルに含まれることがある。場合によっては、1日当たりに提供される平均総基礎インスリンは、インスリンの複数回用量(例えば、1日を通して2回または3回用量)としてバックアップ注入療法プロトコルに含まれることがある。
【0159】
代替として、または加えて、基礎インスリンは、1日を通して基礎インスリンの速度を提供するためにポンプに供給され得る投薬速度として、バックアップポンプ療法プロトコルなどのバックアップ療法プロトコルに含まれてもよい。さらに、場合によっては、追跡期間の各日が複数のサブ期間に分割されてもよい。例えば、追跡期間の各日は、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の時間帯、あるいは同じ長さまたは異なる長さに分割されてもよい。いくつかのそのような場合、バックアップ療法プロトコルを生成することは、複数のサブ期間の各サブ期間について1時間ごとの基礎レートを決定することを含むことができる。この時間ごとの基礎レートは、追跡期間の各日について対応するサブ期間を平均することによって決定されてもよい。例えば、追跡期間の各日が2つのサブ期間(例えば、正午から真夜中、および真夜中から正午)に分割される場合、追跡期間全体を通して第1のサブ期間の間に供給される基礎レートを平均化し、追跡期間全体を通して第2のサブ期間の間に供給される基礎レートを平均化して、バックアップ療法プロトコルに含めるための2つの基礎レートを決定してもよい。基礎レートは、時間レートで、または任意の他の時間帯に基づいて決定されてもよい。あるいは、基礎レートは、バックアップ療法プロトコルの一部として、特定の量(例えば、1単位)のインスリンが被検者512に投与されることが推奨される時間量に基づいて決定されてもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510が、被検者512が1.125時間ごとに1単位のインスリンを受けていると判断した場合、バックアップ療法プロトコルは、基礎レートが1.125時間ごとに1単位であることを示すことができる。代替として、または加えて、バックアップ療法プロトコルは、1時間当たり0.89単位の基礎レートを示すことができる。
【0160】
加えて、バックアップ療法プロトコルを生成することは、追跡期間にわたって1日当たりに被検者に提供される平均補正ボーラスを決定することを含んでもよい。平均補正ボーラスは、各データに、投与された補正用量の総量を加算し、追跡期間の日数で割ることによって決定することができる。平均補正ボーラスは、ユーザへのガイダンスとしてバックアップ療法プロトコルに含まれてもよい。しかしながら、一般に、補正ボーラスは、被検者の血中グルコースレベルが急上昇しているか、またはしきい値を超えたという判断に応
答して供給され、必ずしも毎日のインスリンの用量として供給されるわけではない。したがって、平均補正ボーラスは、平均的な1日の間に必要とされる可能性が高いインスリンの量をユーザが理解することを容易にするために、バックアップ療法プロトコルの一部として含まれてもよく、これは、ユーザ(例えば、被検者)が、例えば、注入療法で使用するためにどれだけのインスリンが利用可能であるかを決定するのに有用である場合がある。場合によっては、平均補正ボーラスを決定する際に、追跡期間の1つまたは複数の日または時間帯が省略されてもよく、これは、例えば、1つまたは複数の日または時間帯が外れ値であると判断されることがあるためである。外れ値は、平均インスリン必要量または消費量のより正確な理解を提供するために省かれることがある。
【0161】
いくつかの実施態様では、グルコースレベル制御システム510は、追跡期間中に被検者に補正ボーラスとして提供されるインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血中グルコースの平均変化を決定することができる。場合によっては、グルコースレベル制御システム510は、追跡期間中に適用された各補正ボーラスを、被検者512の血中グルコースレベルの変化と相関させることができる。
【0162】
バックアップ療法プロトコルを生成することは、1日当たり複数の食事時間の各食事時間について、追跡期間にわたって被検者に提供されるインスリンの平均食事時間ボーラスを決定することを含むことができる。場合によっては、平均食事時間ボーラスは、特定の食事(例えば、朝食、昼食、および夕食)について決定されてもよく、一方、他の食物摂取期間(例えば、スナックまたはティータイム)は、省略または無視されてもよい。さらに、平均食事時間ボーラスは、ユーザによって特定されるような特定の食事サイズに関連付けられてもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510は、小食および大食について、または小食、中食、および大食について、平均食事時間ボーラスを決定することができる。平均食事時間ボーラスは、グルコースレベル制御システム510が、グルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムを使用して、被検者512に投与されるべきであると決定したインスリンの量を食事時間および特定された食事サイズごとに平均することによって決定されてもよい。
【0163】
場合によっては、バックアップ療法プロトコルは、逆調節剤の投与に関連するデータを含むことがある。例えば、バックアップ療法プロトコルは、追跡期間にわたって被検者に提供される総逆調節剤および/または毎日の逆調節剤の指標を含むことができる。
【0164】
ブロック810において、グルコースレベル制御システム510は、バックアップ療法プロトコルを出力する。バックアップ療法プロトコルを出力することは、バックアップ療法プロトコルをディスプレイ上に表示して、ユーザがバックアップ療法プロトコルを実施することを可能にすることを含むことができる。代替として、または加えて、バックアップ療法プロトコルを出力することは、バックアップ療法プロトコルを表示および/または記憶のためにユーザのコンピューティングデバイスに送信することを含むことができる。場合によっては、バックアップ療法プロトコルは、グルコースレベル制御システム510に記憶されてもよく、グルコースレベル制御システム510のユーザインターフェースとのユーザインタラクションに応答してアクセスされてもよい。
【0165】
場合によっては、プロセス800は、以下に説明するプロセス900と少なくとも部分的に組み合わせることができる。したがって、場合によっては、バックアップ療法プロトコルは、被検者に注入または投与されるインスリンの用量を自律的に決定するためにグルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムによって使用される1つまたは複数の制御パラメータに対するユーザ修正の記録をさらに含むことができる。このユーザ修正の記録は、制御パラメータに対するユーザ修正のインスタンスの識別情報、ならびに/または追跡期間の各日の間および/もしくは追跡期間全体の間にユーザが制御パラメータを
修正した回数のパーセンテージを含むことができる。
【0166】
図9は、特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正追跡プロセス900のフローチャートを示す。プロセス900は、グルコースレベル制御システム510とのユーザインタラクティビティ、より具体的には、被検者512への薬剤送達の制御を助けるためにグルコースレベル制御システム510によって使用される制御パラメータをユーザが修正することの発生を追跡することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス900は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス900の少なくとも特定の動作は、グルコースレベル制御システム510に修正を送信する前に、グルコースレベル制御システム510から、および/または別個のコンピューティングシステムにおけるユーザインターフェースとのユーザインタラクションから、グルコースレベル制御システム510の制御パラメータ設定に対する変更の指標を受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス900の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、また本開示を限定するためではなく、プロセス900は特定のシステムに関して説明される。
【0167】
プロセス900は、ブロック902で始まり、グルコースレベル制御システム510が被検者512のグルコースレベルを受信する。ブロック902は、ブロック802に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0168】
ブロック904において、グルコースレベル制御システム510は、グルコースレベル信号および制御パラメータに少なくとも部分的に基づいてインスリン用量制御信号を生成する。インスリン用量制御信号は、グルコースレベル制御システム510が、被検者の血中グルコースレベルを制御するために被検者に注入または投与されるインスリンの用量を自律的に決定することを可能にする制御アルゴリズムに基づいて生成されてもよい。制御アルゴリズムは、制御パラメータに少なくとも部分的に基づいてインスリンの用量を決定することができる。制御パラメータは、制御アルゴリズムの動作もしくは出力、またはグルコースレベル制御システム510の動作に影響を与えることができ、ユーザ(例えば、被検者512または被検者512のケアに少なくとも部分的に責任を負うユーザ(例えば、親または保護者))によって修正可能な任意のパラメータを含むことができる。場合によっては、制御パラメータは、被検者512のグルコースレベルの目標設定値であってもよく、または目標設定値に対応してもよい。他の場合には、制御パラメータは、グルコースレベル制御システム510が少なくともある時間帯にわたってインスリン用量制御信号を生成するかどうかに対応してもよい。例えば、制御パラメータは、グルコースレベル制御システム510の少なくとも一部の動作が一時停止しているかまたはアクティブであるかに関連してもよい。ブロック904は、ブロック804に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0169】
ブロック906において、グルコースレベル制御システム510は、追跡期間にわたって制御パラメータに対する1つまたは複数のユーザ修正を追跡する。追跡期間は、1日、1日未満であってもよく、または1日より長くてもよい(例えば、2日、3日、1週間、1ヶ月など)。さらに、追跡期間は、プロセス800に関して前述したように、1つまたは複数の時間帯を含むことができる。ユーザは、被検者512、またはグルコースレベル制御システム510の制御パラメータを修正することを許可され得る任意の他のユーザ(例えば、親もしくは保護者、または医療提供者)であってもよい。
【0170】
ユーザは、グルコースレベル制御システム510によって生成および/または出力され得るユーザインターフェースを使用して、制御パラメータを修正することができる。代替として、または加えて、ユーザインターフェースは、グルコースレベル制御システム51
0における制御パラメータと通信し、ならびに/またはそれを修正することができるコンピューティングシステムによって生成および/もしくは出力されてもよい。例えば、コンピューティングシステムは、スマートフォン、スマートウォッチ、ラップトップ、もしくはデスクトップコンピュータ、またはグルコースレベル制御システム510を構成するために使用され得る任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが制御パラメータを修正するためにインターフェースすることができるタッチスクリーン上に出力されてもよい。ユーザは、制御パラメータ選択要素または他のユーザインターフェース要素とインタラクションして、制御パラメータを選択および/または修正することができる。場合によっては、ユーザは、グルコースレベル制御システム510によってサポートされる任意の値を有する制御パラメータを提供することができる。他の場合には、ユーザは、制御パラメータの特定の値を選択することに限定されることがあり、その値は、グルコースレベル制御システム510がサポートすることができる値よりも小さいか、または他のユーザが選択することを許可される値よりも小さいことがある。例えば、臨床医は、制御パラメータを修正するために、親よりも大きな修正範囲を認められてもよい。
【0171】
1つまたは複数のユーザ修正を追跡することは、1つまたは複数のユーザ修正を治療ログ、データベース、または他のデータ構造に記憶することを含むことができる。さらに、1つまたは複数のユーザ修正を追跡することは、ユーザ修正のそれぞれが制御パラメータの増加または減少を含むかどうかを追跡または記憶することを含むことができる。制御パラメータが増加したか減少したかの判定は、制御パラメータの値が基準値に対して増加したか減少したかに基づいて判定されてもよい。基準値は、制御パラメータの現在の値、デフォルト値、グルコースレベル制御システム510に供給される臨床値、および/またはグルコースレベル制御システム510によって決定される値を含むことができる。さらに、1つまたは複数のユーザ修正を追跡することは、制御パラメータが修正された時間および/または1つもしくは複数の条件を記憶することを含むことができる。例えば、グルコースレベル制御システム510は、時刻、1つもしくは複数の生理学的センサから決定されたおよび/またはユーザによって特定された被検者512の活動レベル、摂取されているまたは摂取されていない食事などを記憶することができる。さらに、インスリン療法を追跡することは、被検者512に送達または投与されるインスリンの自律的に決定された用量の指標を記憶することを含むことができる。
【0172】
場合によっては、追跡期間は、複数のサブ期間に分割されてもよい。サブ期間は、追跡期間内の1日の異なる部分に対応することができる。例えば、追跡期間の各日は、おおよそ昼と夜に対応して2等分されてもよく、または1日の特定の時間数に対応して3等分または4等分されてもよい。サブ期間は、長さが同じであっても同じでなくてもよい。1つまたは複数のユーザ修正を追跡することは、追跡期間のサブ期間内の制御パラメータに対する修正の発生を追跡することを含んでもよい。さらに、追跡期間内の1日のサブ期間内の修正の発生は、追跡期間内の別の日の対応するサブ期間内の修正の発生と一緒にされてもよい。換言すれば、9:00~21:00に定義されたサブ期間における制御パラメータの修正の各発生は、追跡期間の日数にわたって集計されてもよい。
【0173】
場合によっては、サブ期間ごとに制御パラメータに対して異なる基準値を決定してもよい。いくつかのそのような場合、1つまたは複数のユーザ修正を追跡することは、サブ期間の基準値に対する制御パラメータ値の修正を追跡することを含むことができる。
【0174】
ブロック908において、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成する。代替として、または加えて、レポートは、グルコースレベル制御システム510から受信したデータ(例えば、制御パラメータ値のユーザ修正の発生)に基づいて、クラウド・コンピューティング・システムまたは医療提供者
のコンピューティングシステムなどの別のコンピューティングシステムによって生成されてもよい。
【0175】
レポートは、記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含むことができる。さらに、レポートは、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の特徴の動作が一時停止もしくは中断された回数、またはグルコースレベル制御システム510の1つもしくは複数の特徴の動作が一時停止または中断された追跡期間のパーセンテージを示すことができる。さらに、レポートは、各発生について、合計で、および/または平均で、各制御パラメータに対する修正の大きさを示すことができる。場合によっては、レポートは、追跡期間にわたって基準値よりも高いまたは低いユーザ修正のパーセンテージを示すことができる。さらに、追跡期間、または追跡期間の各日がサブ期間に分割される場合、レポートは、追跡期間の各サブ期間についての制御パラメータの基準値からの増加および減少の頻度の尺度を含むことができる。場合によっては、レポートは、制御パラメータの値に対するユーザ修正の際に、またはしきい値時間帯内に行われたユーザ活動の識別情報を含むことができる。例えば、レポートは、制御パラメータ値に対するユーザ修正が行われたときに、ユーザが運動(例えば、水泳、ランニング、ダンスなど)をしていたかどうかを特定することができる。
【0176】
いくつかの実施形態では、ブロック908は、生成されたレポートをグルコースレベル制御システム510に(例えば、メモリ540に)および/または別のコンピューティングデバイスの記憶装置に記憶することを含むことができる。場合によっては、コンピューティングデバイスは、被検者512(または親もしくは保護者)のコンピューティングデバイスであってもよい。さらに、コンピューティングデバイスは、医療提供者のコンピューティングデバイスとすることができる。場合によっては、コンピューティングデバイスは、クラウド・コンピューティング・サービスのコンピューティングデバイスであってもよい。
【0177】
レポートは、有線接続(例えば、USBケーブル)によってグルコースレベル制御システム510から取得されてもよい。代替として、または加えて、レポートは、グルコースレベル制御システム510への無線接続を介して取得されてもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510は、医療提供者のコンピューティングシステムとの暗号化された接続を確立することができ、医療提供者は、グルコースレベル制御システム510からレポートを受信することができる。代替として、または加えて、グルコースレベル制御システム510は、クラウド・コンピューティング・プロバイダとの暗号化された通信チャネルを確立することができ、クラウド・コンピューティング・プロバイダは、グルコースレベル制御システム510からレポートを受信することができる。次いで、このレポートは、任意の許可されたユーザによってアクセスされ得る。
【0178】
有利には、特定の実施形態では、医療提供者は、被検者512のケアを管理するのに役立つようにレポートを使用することができる。例えば、医療提供者が、ユーザがしきい値回数を超えてまたは特定の時間帯に制御パラメータを修正していると判断した場合、医療提供者は、この情報を使用して、被検者512に提供されているケアを修正し、および/または最適なケアについて被検者512を教育することができる。例えば、治療の速度を修正する必要がある場合があり、またはインスリンの量が被検者の快適さに対して低すぎる場合がある。例えば、場合によっては、被検者512は、血中グルコースレベルに対する耐性が平均的なユーザとは異なる場合があり、ユーザが設定値の範囲を修正することにつながることがある。この情報を理解することは、医療提供者が被検者512のケアを管理する(例えば、初期設定値の範囲を調整する、または処方されるインスリンのタイプを修正する)のに役立つことができる。
【0179】
さらに、上述したように、プロセス900は、プロセス800と組み合わされてもよい。換言すれば、バックアップ療法プロトコルと、ユーザがグルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の制御パラメータに修正を加えることができる回数の記録との両方を含むレポートが生成されてもよい。他の場合には、プロセス800および900は、独立してトリガおよび/または実行されてもよい。
【0180】
バックアップ療法レポートの例
図10図12は、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数を用いて生成することができる、バックアップ療法レポートまたは一連のレポートの1つの非限定的な例を示す。換言すれば、図10図12のレポートは、グルコースレベル制御システム510によって生成された単一のレポートの一部であってもよく、または同時に生成されるか、あるいは異なるデータに基づいておよび/または異なる追跡期間にわたって生成される別個のレポートであってもよい。レポートは、自動血中グルコース制御システム510によって、または自動血中グルコース制御システムから治療データを受信することができる別のコンピューティングシステムによって生成されてもよい。さらに、図10図12は、生成される可能性のあるレポートまたは一連のレポートの1つの非限定的な例のみを表す。より多くのまたはより少ないデータを含む他のレポートを生成することが可能である。例えば、図10に示されるバックアップ注入療法プロトコルおよびバックアップポンプ療法プロトコルは、別々に生成および/またはアクセスされ得る、2つの別々のレポートに分離されてもよい。
【0181】
図10は、特定の実施形態による例示的なバックアップ療法プロトコルレポート1000を示す。異なるタイおよび/または条件下で推奨されるインスリンの量は、単位で表示されることがある。場合によっては、レポート1000は、1単位に含まれるインスリンの量および/またはインスリンのタイプを特定することができる。さらに、場合によっては、レポート1000は、ユーザがインスリンのタイプまたはインスリンの単位サイズを修正することを可能にするインタラクション型レポートであってもよい。いくつかのこのような場合、表1002は、選択されたインスリンのタイプおよび/またはインスリンの単位サイズに基づいて、特定の時間または条件下で投与するインスリンの推奨単位数を更新することができる。
【0182】
レポート1000は、バックアップ療法プロトコルを決定するために使用される追跡期間1006の長さを特定することができる。さらに、レポート1000は、追跡期間1006が発生した時間または日付範囲1008を特定することができる。有利には、追跡期間1006を知ることは、バックアップ療法プロトコルに含まれる推奨に信頼が置ける量を決定するのに役立つ場合がある。追跡期間が長いほど、推奨が正確である可能性が高くなる。追跡期間が短いと、例えば、被検者の典型的な状態または活動レベルに対して異常値である日が追跡期間により多く含まれる可能性があるため、より不正確な推奨の影響をより受けやすくなる。例えば、被検者が通常よりも多くの食事を摂取したか、または通常よりも著しく多く運動した日に生じる1日の追跡期間は、被検者の典型的なライフスタイルに適合しないバックアップ療法の推奨をもたらす可能性がある。さらに、追跡期間がいつ発生したかを知ることは、推奨がどれくらい最新であるか、およびそれらが被検者が投与すべきインスリンの量の信頼できる指標であるかどうかを判断するのに有用である場合がある。例えば、追跡期間1006の日付範囲1008が1年前のものであり、被検者が1年にわたって大幅に体重を増加または減少させた場合、バックアップ療法プロトコルは、もはや推奨される注入療法の信頼できる指標とはならない可能性がある。このような場合、ユーザは、推奨を調整し、および/またはプロセス800の新たな発生をトリガすることができる。
【0183】
表1002は、例示的なバックアップ注入療法プロトコルを示し、これは、注入療法を
用いて様々な時間にまたは様々な条件下で被検者512に投与され得る様々なインスリン用量を示すことができる。表1002は、朝食、昼食、または夕食に通常サイズの食事を摂取するときに、被検者512が注入することができるインスリンの量を特定する。通常サイズの食事とは、特定の被検者512が通常摂取するか、または医療提供者によって摂取するように助言された食事サイズを指してもよい。指定されたインスリンの単位は、ユーザが、特定された通常サイズの食事を摂取するときに、自動血中グルコース制御システム510が被検者512に平均的に提供するインスリンの量を指すことができる。場合によっては、表1002は、異なるサイズの食事に対する推奨インスリン用量をさらに含むことができる。例えば、各朝食は、軽いまたは通常より小さい朝食、通常サイズの朝食、および重いまたは通常サイズより大きい朝食に対応する3つの異なる値(例えば、5単位、6単位、および8単位)を示すことができる。
【0184】
送達されるインスリンの量は、経時的におよび/または特定の時間における患者の状態に基づいて変動し得ることを理解されたい。したがって、レポート1000の上部に示されるように、バックアップ療法プロトコルにおける推奨は、特定の時間量(例えば、図示される例では最大72時間)にわたる一時的使用のために提案されている。推奨が有効である時間量は、被検者512、収集された履歴データの量(例えば、追跡期間のサイズ)、被検者の血中グルコースレベルの毎日の変動量、またはバックアップ療法プロトコルが安全に従うことができる時間量に影響を与え得る任意の数の他の要因に基づいて変動することがある。
【0185】
表1002によって示されるように、バックアップ注入療法プロトコルは、被検者512が毎日(または1日を通して特定の時間に)投与することが推奨される長期持続型インスリンの量をさらに特定することができる。この長期持続型インスリンは、グルコースレベル制御システム510が定期的に提供し得る基礎インスリンの代わりに使用されてもよい。
【0186】
加えて、表1002は、1単位のインスリンに起因するグルコースレベルの低下を特定する。例えば、表1002に示すように、自動血中グルコース制御システム510は、1単位のインスリン(例えば、1ミリリットルのインスリンの1/100)が被検者512の血中グルコースレベルを9mg/dL低下させ得ると決定している。したがって、注入療法を実施するユーザは、被検者512の血中グルコースレベルを測定し、測定された血中グルコースレベルと所望の設定値またはしきい値グルコースレベルとの差を決定し、補正用量が保証されるという決定(例えば、血中グルコースが所望の設定値範囲外であるという決定)に応答して、この差を9で割って注入すべきインスリンの単位数を決定することができる。
【0187】
レポート1000の表1004は、バックアップポンプ療法プロトコルの例を提供する。図示されるように、バックアップポンプ療法プロトコルは、食事時間および補正係数について、バックアップ注入療法プロトコルと同じ治療情報を有することができる。しかしながら、ポンプは、定期的な基礎療法を提供することが可能である場合があるため、注入療法の長時間作用型インスリン単位は、バックアップまたは交換用ポンプが被検者にインスリンを投与すべきレートを示す基礎レートと置き換えられてもよい。図示されるように、基礎レートは、経時的に変動することがある。図示する例では、基礎レートは、1日24時間を構成する4つの異なる時間帯に供給される。しかしながら、基礎レートは、より少ない数(例えば、2つの12時間ブロック)またはより多い数(例えば、4時間ごと)の期間に分割されてもよく、各時間帯は、潜在的に、自動血中グルコース制御システムによって提供される療法履歴データに基づいて決定されるような異なる基礎レートを有する。
【0188】
場合によっては、レポート1000は、追跡期間にわたって追跡され得る追加のデータを含むことができる。この追加のデータには、被検者512のケアおよび/または自動グルコースレベル制御システム510の保守を容易にし得る任意のデータが含まれてもよい。例えば、プロセス800または900を使用して追跡され、レポートに含まれ得る追加データのいくつかの非限定的な例が、レポート1000のチャート1010に示されている。例えば、チャート1010に示すように、レポートは、追跡期間にわたる被検者512の平均血中グルコースレベルおよび/または対応する推定A1Cパーセンテージを含むことができる。さらに、レポート1000は、被検者の血中グルコースレベルが所望の設定値範囲内にある、および/または所望の設定値範囲を上回る時間の量またはパーセンテージを示すことができる。同様に、レポート1000は、被検者の血中グルコースレベルがしきい値血中グルコースレベルを下回る時間の量またはパーセンテージを示すことができる。
【0189】
さらに、レポート1000は、1日当たりの平均食事告知回数を示すことができる。チャート1010に示されるように、例示的なレポート1000が生成された被検者512は、平均して、被検者が1日3回を超える食事を摂取したことを示す、平均4.2回の食事告知を行っている。場合によっては、レポートは、告知された食事のタイプ(例えば、2回の朝食、1回の昼食、および1回の夕食)をさらに示すことができる。2回目の朝食は、被検者にとって小さな朝食とサイズがほぼ同等の大きなスナックである場合がある。したがって、被検者は、さらなる朝食の食事の告知を行った可能性がある。場合によっては、自動グルコースレベル制御システム510は、別個のスナックまたは他の食事の告知オプションをサポートすることができる。
【0190】
レポート1000は、1日当たりに被検者に投与されたインスリンの総量、および/または1日当たりに被検者に投与された逆調節剤(例えば、グルカゴン)の総量をさらに含んでもよい。加えて、レポート1000は、自動グルコースレベル制御システム510が追跡期間中にCGMセンサと接続または通信することができる時間のパーセンテージの量を示すことができ、これは、自動グルコースレベル制御システム510が追跡期間中にオンラインモードで機能する時間の量に対応することができる。
【0191】
図11は、特定の実施形態による例示的な制御パラメータ修正レポート1100を示す。前述したように、レポート1100は、例えばプロセス900を用いて生成された別個のレポートであってもよい。あるいは、レポート1100は、レポート1000内に第2のものとして含まれてもよい。
【0192】
レポート1100は、一般に、ユーザが追跡期間中に自動グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の制御パラメータを修正した回数またはパーセンテージの指標を提供することができる。さらに、レポート1000と同様に、レポート1100は、追跡期間1006が発生した時間または日付範囲1008を特定することができる。場合によっては、ユーザは、レポート1100とインタラクションして、ユーザが追跡期間のサブセットの間に1つまたは複数の制御パラメータを修正した回数のパーセンテージを決定することができる。同様に、ユーザは、追跡期間のサブセット(例えば、選択されたデータ範囲)について本明細書に記載される他のデータを閲覧するために、日付範囲をフィルタリングまたは狭めることができる。
【0193】
レポート1100は、追跡期間中の1日にわたる所望の目標設定値範囲に対する被検者の血中グルコースレベルを示すグラフ1102を含むことができる。この日は、追跡期間にわたって各日について得られた値の平均であってもよく、または特定の選択された日を示してもよい。
【0194】
さらに、レポート1100は、ユーザが特定の時間帯に血中グルコース目標を修正した回数のパーセンテージを示す表1104を含むことができる。非限定的な例の表1102において、レポート1100は、日中および夜間の2つの時間帯を示す。しかしながら、表1104は、より少ないまたはより多い時間帯を示すことができることを理解されたい。また、時間帯は、時間帯ごとの特定の時間(例えば、9:00~21:00、21:00~9:00)を示すことができる。
【0195】
図示されるように、表1104は、ユーザがグルコース目標設定値を増加または減少させた回数のパーセンテージを示すことができる。加えて、レポートは、ユーザがグルコース目標設定値を修正しなかった、またはいつも通りにした回数のパーセンテージを示すことができる。表1104に示されるこの目標設定値は、単一の目標値(例えば、110mg/dL、125mg/dL、130mg/dLなど)を指すこともでき、または目標設定値範囲(例えば、70~180mg/dL)を指すこともできる。
【0196】
さらに、レポート1100は、ユーザが追跡期間中に一時的なグルコース目標を設定した回数(一時的目標回数1106)または選択されたデータ範囲を示すことができる。レポートはまた、追跡期間中にユーザが治療を一時停止した回数(例えば、一時停止インスリン療法回数1108)および/または選択された日付範囲を示すことができる。
【0197】
被検者の血中グルコースは、被検者の体重に影響される場合がある。したがって、被検者は、自動血中グルコース制御システムに体重の最新情報を提供することができる。いくつかのそのような場合、レポートは、体重の変化、および体重パラメータがいつ修正されたかを示すことができる(例えば、体重データ1110)。場合によっては、レポート1100をフィルタリングして、体重変化の前後のデータを別々に示すことができる。体重データは、医療提供者が、例えば、体重変化が、目標グルコースレベルに対するユーザ修正の少なくとも部分的に根拠となり得たかどうかを判断するのに有用な場合がある。一般に、(例えば、血中グルコース測定値を使用する)自動グルコースレベル制御システム510は、体重変化が血中グルコース制御に及ぼし得る影響を自動的に考慮する。しかしながら、被検者512は、異なった感じ方をする可能性がある。自動グルコースレベル制御システム510のユーザの修正に関連する修正データを収集し、データを体重変化と相関させる能力は、例えば、自動グルコースレベル制御システム510の設定を調整すること、インスリン処方を変更すること、被検者512を教育すること、または被検者512のケアを改善し得る任意の他の行動によって、医療提供者が被検者512をよりよく治療するのを支援することができる。
【0198】
場合によっては、レポートは、しきい値を下回る血中グルコース目標設定への変更を省くことができる。換言すれば、統計的なノイズとなり得る小さな変化は無視されることがある。さらに、場合によっては、レポートは、いつ制御パラメータ(例えば、就寝時、夕食などの特定の食事に関して)が修正されたかを示すことができる。場合によっては、レポートは、グルコース目標設定値または他の制御パラメータに対する変化の持続時間を示すこともできる。
【0199】
図12は、特定の実施形態による、図11の制御パラメータ修正レポート1100のいくつかの実施態様の一部として含まれ得る例示的な食事選択レポート1200を示す。レポート1200は、ユーザ(例えば、被検者512)が各食事タイプを告知する1日当たりの平均回数を特定する表1202を含むことができる。典型的には、ユーザは、1日に0回または1回食事を告知する。しかしながら、場合によっては、ユーザは、例えば、特定の食事とサイズが同じような場合がある大きなスナックを考慮して、特定の食事時間を2回以上告知することがある。より小さなスナックは、しばしば、食事の告知なしに、自動グルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムによって(例えば、補正イン
スリンコントローラ626によって)処理されることがある。
【0200】
さらに、表1202は、特定のサイズの食事がユーザによって告知された、追跡期間にわたる、または追跡期間内の選択された時間帯にわたる回数を特定することができる。例えば、表102は、通常サイズの食事が告知された回数、通常サイズよりも小さい食事が告知された回数、または通常サイズよりも大きい食事が告知された回数を示すことができる。
【0201】
自動血中グルコース制御の改良
携帯型医療装置(AMD)は、例えば、被検者の健康状態(例えば、被検者の1つまたは複数の測定された生理学的指標またはパラメータに基づいて決定される)に基づいて、被検者に治療を自律的に提供する制御システムを含むことができる。いくつかの例では、制御システムは、(例えば、CGMセンサなどの1つまたは複数の被検者センサを使用して)1つまたは複数の測定された生理学的パラメータに基づいて、ならびに1つまたは複数の制御パラメータを含むことができる予測モデルに従って、各治療送達中の治療時間および/または治療の強度を決定することができる。いくつかの例では、予測モデルは、意図された生理学的効果に従って治療送達を調整するために、治療の生理学的効果を推定するために使用されてもよい。制御パラメータの値を適応的に調整して、被検者に対する治療送達の生理学的効果に影響を与える可能性のある時間変動要因および被検者特有の要因の存在下で、被検者への治療送達を最適化することが望ましい。場合によっては、AMDは、被検者の血液中の分析物のレベルを調節する携帯型薬剤装置であってもよい。このような携帯型薬剤装置の例は、被検者512の血中グルコースレベル(BGL)の制御を助けるために、被検者512にインスリンおよび/または逆調節剤(例えばグルカゴン)を自動的に提供することができる自動血中グルコース制御システム(例えばグルコースレベル制御システム510)である。一般に、制御アルゴリズムは、自動血中レベルグルコース制御システム510によって実施され、いつインスリンを送達するか、および/またはどのくらいの量のインスリンを被検者512に提供するかを決定することができる。さらに、制御アルゴリズムは、インスリンの継続的または周期的送達(例えば、基礎用量)と、被検者の血中グルコースレベルを所望の範囲内に調整するために提供され得る補正ボーラスとの両方を制御することができる。制御アルゴリズムは、被検者から自動血中グルコース測定値を取得する連続グルコースモニタリング(CGM)センサなどの被検者センサ(例えば、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータをリアルタイムで測定するセンサ)から取得された血中グルコースレベル測定値を使用することができる。さらに、場合によっては、制御アルゴリズムは、被検者512によって摂取される食事または摂取されている食事の指示に応答して、インスリンのボーラスを送達することができる。
【0202】
インスリンは、被検者512の血液中に皮下投与されてもよい。例えば、グルコース制御システムは、被検者の身体上の部位に接続された注入セットを介して薬剤(例えば、インスリン、グルカゴン)を皮下送達することができる。インスリンが提供されるときと、被検者の血漿中のインスリンの量が最大濃度などの特定の濃度レベルに達するときとの間に、しばしば薬物動態(PK)遅延と呼ばれる遅延が存在する。この時間量は、インスリンのタイプおよび/または特定の被検者の生理機能に基づいて変化することがある。例えば、速効型インスリンでは、インスリンのボーラスが、ある被検者の血漿中では最大濃度に達するのに約65分かかることがあるが、別の被検者では60分、64分、または70分かかることがある。いくつかの他のタイプのインスリンについては、被検者の血漿中で最大濃度に達するのに3~5時間かかることがある。さらに、被検者の血漿中のインスリンの量の変動と、結果として生じる被検者の血液中のグルコースレベルの変動との間に、薬力学的(PD)遅延と呼ばれる遅延が存在することがある。いくつかの例では、薬力学的(PD)遅延の値を使用して、患者の血液中のインスリンの推定された濃度に基づいてBGLを推定することができる。
【0203】
場合によっては、血中グルコース制御システムは、薬物動態(PK)モデルに基づいて予測アルゴリズムを実施して、被検者へのインスリンの皮下投与後の、被検者の血漿中のインスリンの経時的な蓄積を推定することができる。いくつかの例において、PK遅延は、被検者特有である場合があり、および/または経時的に変化し得る。したがって、これらの例では、PKモデルは、被検者特有である場合があり、および/または経時的に変化する場合がある、制御パラメータと呼ばれる1つまたは複数のパラメータを含むことができる。PK遅延および/またはPKモデルの制御パラメータに影響を与え得る要因およびパラメータの例としては、インスリンのタイプ、血中グルコースレベル(例えば、インスリン投与時の)、被検者の生理学的特性、被検者の健康状態、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータ、投与の時間、注入セットが配置される場所、投与されるインスリンの量などが挙げられ得る。生理学的特性は、人口の大部分の間で共有される特徴(例えば、体重、性別、年齢など)、ならびに被検者に固有もしくは特有であってもよい特性、または少数の人々の間で共有され得る特性(例えば、遺伝に関連する特性)を含むことができる。被検者の生理機能間の違いにより、各被検者または被検者の一部のサブセットに対して最適な血中グルコース範囲が異なることになる場合がある。さらに、生理学的な違いも、インスリンの血漿への吸収に影響を与える可能性がある。換言すれば、被検者によって生理機能が異なるため、結果としてインスリンの吸収にかかる時間が被検者によって異なることになる可能性がある。したがって、血漿中のグルコースの最大濃度は、ある被検者については速効型インスリンのボーラスの送達の65分後に生じることがあるが、別の被検者については60分後または70分後である場合がある。
【0204】
したがって、いくつかのこのような例では、血中グルコースレベル制御システム510(例えば、AMDの血中グルコース制御システム)は、BGLを所望の範囲内に維持するために、その制御アルゴリズムで用いられるPKモデルの1つまたは複数の制御パラメータを適応的に変更して、その予測値を修正する方法を実施することができる。例えば、血中グルコース制御システムは、1つまたは複数の被検者センサ(例えば、CGM)からの読み取り値および/または被検者から受け取った情報(例えば、AMDのユーザインターフェースを使用して)を使用して、1つまたは複数の制御パラメータを修正することができる。
【0205】
上で示したように、自動血中グルコースレベル制御システム510などの血中グルコースシステムは、PKモデルおよび被検者の1つまたは複数の血中グルコースレベル測定値に基づいて、インスリンまたは逆調節剤の送達または投与を制御することができる。いくつかの例では、PKモデルは、皮下投与されたインスリンの血液への吸収もしくは蓄積、および/またはインスリンの送達用量の所与の値に対する被検者の血液中のインスリンレベルの減衰率を推定または決定するために使用され得る二指数PKモデルとすることができる。いくつかの例では、二指数PKモデルによる経時的なインスリンの吸収は、以下の式によって表すことができ、すなわち、
【数10】
式中、Uは単位(U)での皮下用量であり、Kはスケーリング定数であり、αおよびαはモデルの制御パラメータとして使用することができる時定数である。いくつかの例では、皮下用量(U)が投与された時点から始まるインスリン吸収のピーク時間は、Tmaxと呼ばれることがあり、以下の式に基づいて決定することができる。
【数11】
いくつかの例では、αとαは、(例えば、α=1.5αなどの式、または任意の他の線形もしくは非線形の数学的関係によって)関連付けることができる。いくつかのこのような例では、Tmaxのみを二指数PKモデルの制御パラメータとして使用することができる。場合によっては、Tmaxは、被検者の血液中のインスリンの濃度が最大レベルに達する時間(例えば、皮下用量が投与される時間から開始する)を指してもよい。いくつかの他の例では、二指数PKモデルを使用して、被検者の血液中の逆調節剤またはホルモン(例えば、グルカゴン)の蓄積を推定または決定することができる。皮下投与されたインスリンの蓄積量の保留効果は、総面積(用量Uに起因して吸収され得るホルモン(例えば、インスリン)の総量の尺度を表すことができる
【数12】
)と、ある時点でのUの消費部分の尺度を表すことができる
【数13】
との差と見なすことができるため、式2を用いて計算することができる。
【0206】
多くの場合、血中グルコース制御システムは、被検者の血中グルコースを特定の範囲(例えば、正常範囲)内に維持するように構成されている。血中グルコースが上昇または下降すると、血中グルコース制御システムは、特定の量のインスリンまたは逆調節剤を被検者に投与して、被検者の血中グルコースレベルを所望の範囲内に戻すか、または所望の設定値に近づけることができる。上記で説明したように、薬剤が被検者の血流に吸収されるのに、ほとんど時間はかからないことがある。したがって、PKモデル(例えば、二指数PKモデル)を使用して、被検者に提供すべきインスリンまたは逆調節剤の量を決定し、被検者の血中グルコースを特定の範囲内に維持することができる。いくつかの例では、PKモデル(例えば、二指数PKモデル)は、インスリンまたは逆調節剤が投与されるにつれて、被検者のインスリンの濃度、血中グルコースレベルを経時的に予測するために使用することができる。場合によっては、PKモデルの制御パラメータ値は、臨床検査を通じて得られたデフォルト値に基づいて、および/または被検者の臨床検査に基づいて決定され得るような被検者の個別治療計画に基づいて、および/または被検者の検査に基づいて決定され得る被検者の医療提供者の評価に基づいて、医療提供者によって設定されてもよい。
【0207】
しかしながら、先に示したように、PKモデルの薬物動態学的遅延および制御パラメータは、被検者特有である場合があり、および/または様々な要因により経時的に変化する場合がある。したがって、臨床データは、1つまたは複数の検査を通して平均的な被検者に対する制御パラメータの最適値または推奨値を決定することができるが、決定されたデータは、特定の被検者に対しては最適ではない場合がある。さらに、個別治療計画は、典型的には、特定の時点の測定値に基づいている。これらの特定の時点の測定値は、治療のための良好なガイドラインを提供することができるが、被検者に対する制御パラメータの最適値は、異なる活動に起因して、生涯にわたる被検者の変化に起因して、またはその他のいくつかの理由により、1日の様々な時間で変化する可能性がある。
【0208】
本開示のグルコースレベル制御システム510は、グルコースレベル制御システム510を使用して被検者に提供される治療を修正するために、制御アルゴリズムの1つまたは複数の制御パラメータ、または制御アルゴリズムによって使用されるモデルを自律的および/または自動的に修正する方法またはプロセスを実施することができる。本方法は、治療を施すことを制御するハードウェアプロセッサ530および/またはコントローラ518によって実行されてもよい。本システムは、被検者の血中グルコースレベルの決定に応答して、被検者に治療(例えば、インスリン)を提供することができる。血中グルコースレベルは、被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサから得られたグルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。治療(例えば、インスリンまたは逆調節剤の量)の決定は、血中グルコースレベルおよび/または二指数モデルに少なくとも部分的に基づくことができる。さらに、治療の決定は、血中グルコース制御システムの1つまたは複数の制御パラメータの値または設定に少なくとも部分的に基づくことができる。1つまたは複数の制御パラメータは、二指数PKモデルの1つまたは複数のパラメータ、または被検者への治療の投与を制御するために使用される任意の他のモデルもしくは制御アルゴリズムであってもよく、またはそれらに相当するものであってもよい。
【0209】
上述したように、システム510は、1つまたは複数の制御パラメータの値または設定に基づいて治療を提供することができる。1つまたは複数の制御パラメータの値または設定は、医療提供者、被検者、または他のユーザによる血中グルコース制御システム510の初期設定に基づくことができる。さらに、初期設定は、被検者に特有の臨床データまたは取得されたデータに基づいてもよい。場合によっては、制御パラメータは、血中グルコース制御システムの制御アルゴリズムによって使用される時定数(例えば、二指数PKモデルにおけるTmax)であってもよい。この時定数は、制御アルゴリズムによる被検者におけるインスリンの蓄積量の計算に使用されてもよい。さらに、制御パラメータは、グルコース・レベル・センサから得られたグルコースレベル信号によって示されるような被検者の血中グルコース変動に対する制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御するために使用することができる。場合によっては、制御パラメータは、Tmax(例えば、式2によって定義される)であってもよく、またはそれに関連していてもよい。例えば、制御パラメータは、Tmaxの推定値またはTmaxの分数(例えば、0.5)であってもよい。先に説明したように、Tmaxは、インスリンの吸収のピーク時間、またはインスリン投与からインスリンの濃度が被検者の血液中の最大濃度に達するまでの時間量であってもよい。
【0210】
さらに、制御パラメータは、設定値もしくは目標血中グルコースレベル、または血中グルコース範囲と関連付けられてもよい。例えば、制御パラメータは、「残量インスリン量(insulin on board)」(例えば、被検者におけるインスリンの蓄積および/または利用のモデルによって決定される、被検者におけるインスリンの量)の推定量がしきい値を下回る時点に関連することができる。別の例として、制御パラメータは、インスリンボーラスのクリアランス時間(例えば、投与されたインスリンのボーラスが被検者によって利用される時間量の推定値)とすることができる。場合によっては、制御パラメータは、血漿中のインスリンの濃度が血漿中で最大濃度の半分に達する時間に対応するT1/2に関連することがある。場合によっては、制御パラメータは、TmaxまたはT1/2を計算するために使用することができるパラメータであってもよい。
【0211】
いくつかの例では、システム510は、供給された治療の効果(本明細書では治療効果または効果と呼ばれる)を決定することができる。例えば、治療効果は、グルコースセンサ(例えば、CGMセンサ)から受信したグルコースレベル信号によって示される、被検者の血液中の血中グルコースの血糖制御(例えば、測定期間にわたるBGLの変動または
供給された治療)を分析することによって決定されてもよい。場合によっては、制御システムは、供給された治療の効果を経時的に測定または判定することができる。いくつかのそのような場合、治療効果は、BGLの変動および/または経時的に送達される治療の量に基づいて決定されてもよい。さらに、場合によっては、システムは、いくつかの治療送達時間または事例にわたって、被検者に治療を供給し続けてもよく、いくつかの治療送達時間または事例にわたって、治療の測定または判定された効果を平均化またはその他の方法で集計することができる。いくつかの他の例では、システム510は、被検者から受け取った入力に少なくとも部分的に基づいて治療効果を決定することができる。被検者から受け取った入力には、主観的または客観的効果が含まれことがある。被検者から受け取った入力には、例えば、試験紙を使用して得られる手動血中グルコースレベル測定値が含まれることがある。入力の別の例は、ふらつき、呼吸困難、頭痛、または被検者によって特定される任意の他の客観的もしくは主観的効果を示すものであってもよい。
【0212】
提供された治療および治療の測定または決定された効果(例えば、治療に起因する血中グルコースレベルの変化)に少なくとも部分的に基づいて、制御システム510は、1つまたは複数の制御パラメータに対する修正を自律的に決定することができる。例えば、制御システムは、制御アルゴリズムによって使用されるTmax値(または制御アルゴリズムにおいて使用されるPKモデル)を修正して、例えば、被検者に提供することができるその後の治療の効果を改善することができる。したがって、制御パラメータ値の方向修正(例えば、増加または減少)は、制御パラメータの初期値または事前の値に基づいて提供された治療の測定または決定された効果に依存することがある。さらに、制御パラメータ値の方向修正は、血中グルコース治療の決定または測定された効果と、血中グルコース治療の予想される効果(例えば、PKモデルに基づいて計算される)との差に依存してもよい。いくつかの例では、制御パラメータの方向修正は、1つまたは複数の以前の治療送達中におよびその間に、提供された治療用量の量および/または被検者の測定されたBGLに基づいて決定することができる。
【0213】
いくつかの例において、被検者の薬力学的遅延は、既知の値であってもよい。これらの例では、被検者の血液中の吸収されたインスリンの量は、グルコースセンサから受信したBGLの測定値に基づいて推定することができる。いくつかのこのような例では、方向修正は、Tmaxの選択された値を有するPKモデル(例えば、二指数PKモデル)に基づく吸収されたインスリンの計算値と、グルコースセンサから受信したBGLの測定値に基づく吸収されたインスリンの推定値との差に依存し得る。
【0214】
修正された制御パラメータを用いて、システム510は、治療送達時間に被検者512に送達する治療を決定することができる。初期制御パラメータと同様に、修正された制御パラメータに基づいて、1つまたは複数の治療送達時間の間に治療を送達することができる。システムは、初期制御パラメータを用いて送達される治療に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を使用して、修正された制御パラメータに基づいて送達される治療の効果を決定することができる。
【0215】
いくつかの例では、制御システムは、制御パラメータの初期値を用いて送達された治療による測定され、決定され、またはレポートされた効果(例えば、生理学的効果)と、制御パラメータの修正された値を使用して送達された治療による効果とを比較することができる。この比較に基づいて、制御システムは、制御パラメータのどの値が被検者にとって好ましいかを決定することができる。いくつかの例では、比較は、リアルタイムで、または実質的にリアルタイムで実行されてもよい。さらに、比較は、ユーザインタラクションなしにシステム510によって実行されてもよい。比較は、比較方法を用いて、1つまたは複数の比較基準に基づいて実行されてもよい。
【0216】
比較方法は、離散的な時間で決定または測定された有限数の治療効果に基づいてもよく、またはある期間にわたる効果の連続的な時間的変動に基づいてもよい。いくつかの例では、比較方法は、制御パラメータの初期値および修正値の使用から生じる、測定または決定された効果の統計解析を伴うことがある。比較基準は、効果に基づいてもよく、またはある期間にわたる効果の時間的変動に基づいてもよい。例えば、好ましい制御パラメータ値は、被検者の血中グルコースレベルを所望の範囲内に留まらせるか、または被検者の設定値レベルにより近づける値とすることができる。したがって、システムは、その後の治療のために被検者にとっての所望の範囲または設定値により近い血中グルコースレベルを生成した値を有するように制御パラメータを設定または維持することができる。
【0217】
場合によっては、システム510は、異なる制御パラメータ値に対してプロセスを繰り返すことができ、システムが経時的に被検者に対する血中グルコース制御を改善することを可能にする。プロセスのその後の実行において、初期制御パラメータ値は、初期値でなくてもよく、決定された制御パラメータの効果に基づいて制御パラメータに対して選択された最新の値であってもよい。
【0218】
場合によっては、制御パラメータの第2の値もしくは修正された値の決定、または制御パラメータの修正は、被検者のグルコースレベルがしきい値を満たさないことに基づいてトリガされてもよい。代替として、または加えて、制御パラメータ値を修正するプロセスは、被検者の予想グルコース値と、治療を施した後の被検者の予想グルコース値との差がしきい値を超えることに基づいてトリガされてもよい。
【0219】
本明細書に記載される実施形態を使用して、制御パラメータの値は、被検者またはユーザによる血中グルコース制御システムとのインタラクションなしに自律的に修正され得る。換言すれば、血中グルコース制御システムは、被検者の血糖制御のための制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータを自動的に調整および/または改良することができる。
【0220】
前述したように、血中グルコース制御システムは、インスリン療法および逆調節剤療法の両方を被検者に提供することができる。場合によっては、血中グルコース制御システムは、インスリン療法のみを提供することができる。いくつかのそのような場合、血中グルコース制御システムは、検出された被検者の状態に基づいて被検者に投与してもよいまたは投与すべき逆調節剤の量の指標を出力することができる。
【0221】
制御パラメータによって使用されるアクティブな制御パラメータ値は、次に治療修正プロセスが発生するまでアクティブなままであってもよい。場合によっては、治療修正プロセスの実行は、制御パラメータ値を前の制御パラメータ値の決定された効果に少なくとも部分的に基づいて修正することで連続的に実行される。他の場合には、治療修正プロセスは、決定された治療効果が所望のしきい値を満たすまで(例えば、検出された血中グルコースレベルが設定値または設定値中央値のしきい値内にある場合)、実行される。場合によっては、治療修正プロセスは、設定された回数実行され、最良の結果をもたらす(例えば、所望の血中グルコースレベルに近い)制御パラメータ値が、その後の治療のためのアクティブな制御パラメータとして設定される。場合によっては、被検者の身体の異なる部位(例えば、背中、胃、脚、または腕)に治療を提供することで、血中グルコース吸収速度(異なるPK遅延に関連する)が異なる結果となる可能性がある。したがって、いくつかのこのような場合では、治療を送達するために使用される注入セットを被検者の異なる部位に移動させるたびに治療修正プロセスが行われてもよい。
【0222】
自動血中グルコース制御改良プロセスの例
図13は、特定の実施形態による例示的な自動血中グルコース制御改良プロセスのフロ
ーチャートを提示する。プロセス1300は、被検者512に施された治療に関するフィードバック(例えば、血中グルコース信号からの)に基づいて、制御アルゴリズムおよび/または制御アルゴリズムの実行に影響を与える制御パラメータを自律的および/または自動的に修正することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス1300は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス1300の少なくとも特定の動作は、グルコースレベル制御システム510から血中グルコースデータを受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス1300の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、および本開示を限定するためではなく、プロセス1300は、特定のシステムに関して説明される。
【0223】
プロセス1300は、自動的かつユーザインタラクションなしに実行されてもよい。場合によっては、ユーザは、コマンドまたはユーザインターフェースとのインタラクションを介してプロセス1300をトリガすることができる。しかしながら、プロセス1300がトリガされると、プロセス1300は自動的に実行されてもよい。さらに、プロセス1300は、連続的に、周期的に、またはトリガに応答して実行されてもよい。トリガは、時間に基づくものであってもよく、および/または被検者のグルコースレベルの測定に基づくものであってもよい。例えば、トリガは、被検者のグルコースレベルが、薬剤の投与に基づいてグルコースレベル制御アルゴリズムによって予測された予測グルコースレベルとしきい値を超えて異なるという決定に対応してもよい。さらに、トリガは、被検者512によるグルコースレベル制御システム510の起動または最初の使用に基づくものであってもよい。
【0224】
プロセス1300は、ブロック1302で始まり、グルコースレベル制御システム510が被検者512のグルコースレベルに対応するグルコースレベル信号を受信する。グルコースレベル信号は、被検者の血液中のグルコースレベルを測定することが可能なグルコースセンサから受信することができる。例えば、センサは、連続グルコースモニタリング(CGM)センサであってもよい。ブロック1302は、ブロック802または902に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0225】
ブロック1304において、グルコースレベル制御システム510は、第1の治療期間中に第1の治療を被検者512に提供する。第1の治療は、グルコースレベル信号および制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づくことができる。制御パラメータは、グルコースレベル制御システム510の動作および/またはグルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムの実行に影響を与える任意の制御パラメータを含むことができる。制御アルゴリズムは、被検者512に投与する薬剤(例えば、インスリン)の用量を決定するために使用される任意の制御アルゴリズムを含むことができる。換言すれば、コントローラ518またはプロセッサ530は、制御アルゴリズムを使用して、制御パラメータの値(例えば、ブロック1304の第1の値)に少なくとも部分的に基づいて用量制御信号を生成して、送達デバイス514にインスリンまたは他の薬剤の用量を投与させることができる。
【0226】
場合によっては、制御アルゴリズムは、PKモデル(式2)に基づいてもよい。さらに、場合によっては、制御パラメータは、式3を用いて計算することができるTmaxであってもよい。他の場合には、制御パラメータは、T1/2であってもよく、これは、血流中のインスリンの用量が、被検者512に投与された用量に起因する血液中の最大濃度の1/2に低下する時間量に関連することができる。場合によっては、制御パラメータは、被検者の血漿中のインスリンが、インスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する。さらに、場合によっては、制御パラメータは、時定数α1およびα
2のうちの1つまたは複数など、Tmaxの決定に影響を与えるパラメータであってもよい。いくつかの実施態様では、制御パラメータは、被検者512におけるインスリン(または他の薬剤)の蓄積および/または被検者512におけるインスリン(または他の薬剤)の減少率を説明および/または決定するために、制御アルゴリズムによって使用されてもよい。場合によっては、制御パラメータは、ブロック1302において受信したグルコースレベル信号によって示されるような被検者の血中グルコース変動に対する制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御するために使用されてもよい。
【0227】
いくつかの事例では、制御パラメータは、Tmaxの計算に用いることができる時定数αおよびαのうちの1つまたは複数など、制御アルゴリズムによる被検者におけるインスリンの蓄積の計算に用いられる少なくとも1つの時定数に関連することができる。場合によっては、制御パラメータは、被検者512におけるインスリン減少率に対応することができる。場合によっては、制御パラメータは、被検者512の血中グルコースレベルを維持するかまたは維持しようとするための目標設定値または目標設定値範囲に関連することができる。
【0228】
第1の治療は、被検者512へのインスリンの単回投与に対応することができる。このインスリンの単回投与は、任意の理由で投与される任意のタイプのインスリンであってよい。例えば、インスリン用量は、基礎インスリン用量、プライミング用量、食事告知に応答して供給される用量、またはインスリンの補正用量であってもよい。さらに、第1の治療は、インスリン以外の薬剤、例えば、逆調節剤(例えば、グルカゴン)であってもよい。場合によっては、第1の治療は、第1の治療期間にわたって被検者512に供給または投与される複数の薬剤(例えば、インスリンおよび/または逆調節剤)用量であってもよい。さらに、複数の薬剤用量は、1つまたは複数の基礎用量、1つまたは複数の食事告知に関連する1つまたは複数の食事用量、1つまたは複数の補正用量など、様々なタイプの薬剤用量を含むことができる。
【0229】
第1の治療期間は、単一の薬剤用量に対応する時間帯であってもよい。あるいは、第1の治療期間は、複数の薬剤用量を包含する時間帯であってもよい。さらに、第1の治療期間は、定義された時間の長さに関連する時間帯であってもよい。代替として、または加えて、第1の治療期間は、薬剤送達期間の数に基づいて定義されてもよい。換言すれば、時間帯は、(任意のタイプまたは特定のタイプの)指定された数の薬剤の用量を送達または投与するのにかかる時間量に基づいて変わってもよい。
【0230】
第1の値は、事前の治療、またはプロセス1300の事前の実行に基づいて選択されてもよい。場合によっては、第1の値は、ベースライン値に基づいて選択される。ベースライン値は、臨床データと関連付けられてもよく、またはプロセス1300の実行前のある時間帯のグルコースレベル制御システム510の初期動作に基づいて決定されてもよい。代替として、または加えて、第1の値は、被検者512の臨床データまたは特定の処方に基づいて選択されてもよい。場合によっては、第1の値は、平均的なユーザ、または被検者512と特定の生理学的データを共有する平均的なユーザの臨床データに基づいてもよい。場合によっては、第1の値は、被検者512の医療提供者の評価に基づいて決定される。さらに、第1の値は、グルコースレベル制御システム510の注入部位(例えば、背中、胃、脚など)に基づいて決定されてもよい。場合によっては、第1の値は、被検者512の人口統計または特性に基づいて選択されてもよい。例えば、第1の値は、被検者512の性別、体重、体質量、または年齢に基づいてもよい。
【0231】
ブロック1306において、グルコースレベル制御システム510は、第1の治療に少なくとも部分的に対応するかまたは起因する第1の効果を決定する。第1の効果を決定することは、被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレ
ベル信号を受信することを含んでもよい。このグルコースレベル信号は、ブロック1302で受信したグルコースレベル信号よりも新しい、後続のまたは更新されたグルコース読み取り値であってもよい。ブロック1302で受信したグルコースレベル信号は、被検者512に施す治療を決定するために使用されてもよく、ブロック1306で受信したグルコースレベル信号は、施された治療の結果を決定するために使用されてもよい。グルコースレベル信号は、連続的または周期的に受信されてもよく、施すべき治療を決定するため、および施された治療の効果を決定するための両方に使用することができることを理解されたい。
【0232】
場合によっては、第1の効果を決定することは、グルコースレベル信号によって示されるような被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することを含むことができる。被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することは、被検者512の血中グルコースレベルを経時的に追跡することを含むことができる。さらに、被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することは、被検者512の経時的な血中グルコースレベルを、制御パラメータに対して選択された値を用いて、制御アルゴリズムで用いられるPKモデルに基づいて予測されるような被検者512の経時的な予測血中グルコースと比較することを含むことができる。上述したように、いくつかの例では、経時的に測定された被検者512の血中グルコースレベルを使用して、被検者の血液中のインスリンレベルの蓄積および/または減少を計算することができる。これらの例では、被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することは、PKモデル(例えば、二指数PKモデル)および制御アルゴリズムで用いられる制御パラメータ値を用いて計算されたインスリン(または他の薬剤)の蓄積および/または減少が、測定された血中グルコースレベル(例えば、CGMセンサから得られる)に基づいて推定されたインスリン(または他の薬剤)の蓄積または減少と一致するかどうか、あるいはどの程度一致するかを決定することを含むことができる。場合によっては、第1の効果は、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータ(例えば、心拍数、体温など)を測定する1つまたは複数の被検者センサから受信した1つまたは複数の信号を分析することによって少なくとも部分的に決定されてもよい。
【0233】
さらに他の例では、第1の効果は、(例えば、AMDのユーザインターフェースを用いて)被検者から受信した入力に基づいて決定されてもよい。場合によっては、第1の効果は、第1の値または第1の効果に関して(例えば、ユーザインターフェースを用いて)被検者512によって提供される評価または入力に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。例えば、被検者512が、第1の治療期間中に、ふらつき、めまい、頭痛、吐き気、または他の不快感を覚えた場合、被検者512は、例えば、AMDのタッチスクリーンディスプレイを介して、被検者512がどのように感じているかを示すことができる。
【0234】
ブロック1308において、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータの第2の値を取得する。この第2の値は、自律的に決定されてもよい。さらに、場合によっては、第2の値は、自動的に決定されてもよい。場合によっては、第2の値は、ユーザが血中グルコース制御改良プロセス1300をトリガすることに少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかのそのような場合、制御システムは、第2の値を決定し、これを制御システム510のユーザインターフェース534を介してユーザに提示することができる。
【0235】
いくつかの他の例では、第2の値は、血中グルコース制御システム510のユーザインターフェース534から(例えば、ユーザインターフェースとのユーザインタラクションに応答して)取得することができる。いくつかの例では、第2の値は、グルコース制御システムに接続されるか、またはその他の方法でグルコース制御システムと通信するコンピューティングシステムから取得されてもよい。通信接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。さらに、無線接続は、直接接続(例えば、Bluetoothもしくは
他の近距離通信技術を介した)またはネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、セルラーネットワークなど)を介した接続であってもよい。
【0236】
第2の値は、第1の値と比較して制御パラメータの増加または減少であってもよい。第2の値は、第1の値からの特定の最大変化量に制限されてもよい。さらに、第2の値は、第1の効果に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。例えば、第1の値に対応する第1の効果により、血中グルコースが設定値範囲の上限に近くなった場合、第2の値は、血中グルコースレベルを設定値範囲の中央に近づけるように選択されてもよい。さらに、第2の値は、年齢、体重、性別、または血中グルコース管理に影響を与える可能性のある任意の他の特性など、被検者512の特性に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。いくつかの例では、第2の値は、被検者512が感じる症状を軽減する試みにおいて、被検者512によって提供される評価に基づいて決定される第1の効果に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。
【0237】
場合によっては、制御パラメータの第2の値は、制御パラメータのベースライン値および被検者の血糖制御に基づいて定義される関数の出力に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい。いくつかの例では、被検者の血糖制御は、被検者の血液中のグルコースレベルの測定値(例えば、CGMによって提供される)および/または第1の治療期間中に提供される治療の量(例えば、インスリンまたは逆調節ホルモンの用量)を含むことができる。制御パラメータのベースライン値は、ブロック1304において治療を提供するために使用される第1の値に対応してもよい。このベースライン値は、被検者の任意の変化(例えば、体重の変化、インスリンタイプ、または代謝変化など)の前に被検者についての最後の知られた最適値であってもよい。代替として、または加えて、ベースライン値は、医療提供者によって決定される値であってもよい。場合によっては、制御パラメータの第2の値は、グルコースレベル信号によって示される血糖制御に少なくとも部分的に基づく。
【0238】
場合によっては、第2の値は、TmaxまたはT1/2に対する修正であってもよい。Tmaxおよび/またはT1/2は、少なくとも部分的に、被検者512の生理学または生化学に基づき得ることを理解されたい。したがって、第1の値および第2の値の設定に対するTmaxまたはT1/2のいずれかの設定は、Tmaxおよび/またはT1/2を表すまたはそれに対応する、制御アルゴリズムまたは制御アルゴリズムが使用するPKモデルのパラメータを設定することを指すことができる。例えば、第1の値および第2の値の設定は、被検者512のTmaxおよび/またはT1/2を決定または推定するために使用され得る1つまたは複数の制御パラメータを設定することを含むことができる。しかしながら、設定値は、被検者512のTmaxおよび/またはT1/2の実際の値とは異なる場合がある。さらに、Tmaxおよび/またはT1/2は、被検者によって異なることがあるため、被検者のTmaxおよび/またはT1/2を明示的に設定または決定することが常に可能であるとは限らない。代わりに、Tmaxおよび/またはT1/2は、少なくとも部分的にTmaxおよび/またはT1/2に対応する異なる制御パラメータ値について決定された効果および/または血中グルコースレベルを比較することによって推定または決定されてもよい。プロセス1300を使用して、制御パラメータは、被検者512の実際のTmaxおよび/またはT1/2に反復的に近づくことができ、または被検者512の実際のTmaxおよび/またはT1/2のしきい値内に近づくことができる。あるいは、プロセス1300を使用して、制御パラメータ(時定数αおよびαのうちの1つまたは複数など)は、被検者512の実際のTmaxおよび/またはT1/2に対応する値に反復的に近づくことができる。
【0239】
ブロック1310において、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータ
を第2の値に変更する。制御パラメータを第2の値に変更することにより、制御アルゴリズムの動作または実行が変更される。制御アルゴリズムの実行におけるこの変化は、被検者512への治療の提供に関連付けられた1つまたは複数の要因に変化をもたらす可能性がある。例えば、制御アルゴリズムの実行における変化は、送達される薬剤の量、薬剤の送達のタイミング、薬剤の用量が被検者512に送達される速度、被検者の血中グルコースの目標設定値または目標範囲、薬剤を送達するかどうかを決定する際に用いられるしきい値(例えば、目標設定値からのしきい値の差)、または被検者512に送達される治療に影響を与える可能性がある任意の他の要因に変化をもたらすことがある。
【0240】
ブロック1312において、グルコースレベル制御システム510は、第2の治療期間中に第2の治療を被検者512に提供する。第2の治療は、ブロック1310において第2の値に更新される更新制御パラメータに少なくとも部分的に基づく。第1の治療と同様に、第2の治療は、1つまたは複数の薬剤用量を指すことができる。さらに、第2の治療期間は、特定の時間量、特定の数の薬剤用量を送達するための時間量、または特定の数の薬剤用量を指すことができる。場合によっては、ブロック1312は、ブロック1304に関して説明した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができるが、第2の治療期間にわたって制御パラメータの第2の値を使用する。いくつかの例では、第2の治療期間の持続時間は、第1の期間の持続時間と等しくてもよい。いくつかの他の例では、第2の治療期間中に送達される治療の数は、第1の第2の治療期間中に送達される治療の数と等しくてもよい。
【0241】
ブロック1314において、グルコースレベル制御システム510は、第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定する。ブロック1314は、ブロック1306に関して説明した実施形態のうち、第2の治療に関するものを1つまたは複数を含むことができる。
【0242】
ブロック1316において、グルコースレベル制御システム510は、第1の効果と第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、第1の値または第2の値の一方を選択する。第1の効果と第2の効果との比較は、ユーザによるアクションなしに自律的に実行されてもよい。グルコースレベル制御システム510は、第1の効果または第2の効果が、被検者512に対して改善されたケア(例えば、より長い時間帯にわたって所望の設定値に近い、または血中グルコース値の変動が少ない、または医療提供者が糖尿病管理の成功を評価するために使用し得る任意の他の要因)につながるかどうかに基づいて、第1の値または第2の値の一方を制御パラメータの現在の値またはアクティブな値として選択することができる。場合によっては、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータの現在の値またはアクティブな値に対する第3の値を選択する。第3の値は、第1の効果と第2の効果との比較に基づいて選択されてもよい。例えば、第1の効果が第2の効果よりも好ましいと判断された場合、第3の値は、第2の値を得るために第1の値に対して行われた変更とは反対方向の第1の値に対する変更に基づいて選択され得る。例えば、第1の効果が第2の効果よりも好ましいと判断された先行例において、第1の値が60分のTmaxに対応し、第2の値がより長い時間帯(例えば、65分または70分)のTmaxに対応するように選択された場合、第3の値は、より短い時間帯(例えば、50分または55分)のTmaxに対応するように選択されてもよい。
【0243】
第1の効果と第2の効果とを比較することは、第1の値または第2の値のどちらが、被検者512のグルコースレベルを目標設定値により近づけたかどうか、および/または被検者512のグルコースレベルをより長い時間帯にわたって目標範囲内に維持したかどうかを判定することを含むことができる。場合によっては、第1の効果と第2の効果とを比較することは、第1の値または第2の値のどちらが、被検者512のより安定した血中グルコースレベルをもたらしたか、または被検者512の血中グルコースレベルにおけるよ
り少ない変動性をもたらしたかどうかを判定することを含むことができる。場合によっては、第1の効果と第2の効果とを比較することは、第1の値または第2の値のどちらが、目標血中グルコース範囲からの被検者512の血中グルコースレベルのより多くのおよび/またはより大きな逸脱をもたらしたかどうかを判定することを含むことができる。
【0244】
第1の効果と第2の効果との比較は、ハードウェアプロセッサ530またはグルコースレベル制御システム510の処理速度を考慮して、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで実行されてもよい。したがって、場合によっては、第1の効果と第2の効果との比較は、第2の効果の判定時に行われてもよい。
【0245】
いくつかの実施形態では、第1の効果と第2の効果との比較は、第1の効果と第2の効果との統計的比較または統計解析を含むことができる。場合によっては、第1の効果と第2の効果との比較は、第2の治療が第1の治療と比較して治療(例えば、血糖制御)において統計的に有意な改善をもたらしたかどうかを判定することを含むことができる。統計的に有意な改善は、被検者または被検者の状態に依存して異なる場合がある。比較はまた、第1の治療期間と比較して第2の治療期間中にリスク因子(例えば、低血糖症)の統計的に有意な増加があったかどうかの判定を含むことができる。いくつかの実施形態では、統計的に有意な改善は、第1の効果に関連付けられた一連のデータの第1の統計解析と、第2の効果に関連付けられた第2の一連のデータに関連付けられた第2の統計解析とに基づいて決定された改善であってもよい。例えば、第1および第2の統計解析は、それぞれ第1および第2の治療期間中に測定された血中グルコースレベルの平均値および分散を計算することを含んでもよい。いくつかの例では、改善は、第1および第2の治療期間中に測定された血中グルコースレベルの平均値および分散を比較することによって決定されてもよい。いくつかの例では、改善は、第1および第2の治療期間中に測定された血中グルコースレベルの平均値および分散を1つまたは複数の基準値と比較することによって決定されてもよい。基準値は、医療提供者またはユーザによって提供される値であってもよく、グルコースレベル制御システム510のメモリ540に記憶されていてもよい。いくつかの例では、第1および第2の治療期間は、各期間中に複数の治療送達(例えば、グルコースおよび/またはグルカゴンの注入)を含むのに十分な長さであってもよい。いくつかの実施形態では、改善は、第1および第2の治療期間中に測定された血中グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて計算された他の統計量と比較することによって決定されてもよい。いくつかのこのような実施形態では、統計量は、治療(例えば、被検者の血中グルコースレベルを制御するための薬剤送達)の効果を比較するために定義された特定の統計量であってもよい。
【0246】
場合によっては、第1および/または第2は、グルコース制御システムおよび/またはコンピューティングシステム(例えば、スマートフォン、ラップトップ、パーソナルコンピュータなど)のユーザインターフェースを介してユーザ(例えば、被検者または親)に出力されてもよい。いくつかの例では、ユーザは、決定された効果を用いて、制御パラメータの値を調整することができる。
【0247】
場合によっては、被検者512の血中グルコースをより良好に管理する値をユーザ(例えば、被検者または親)に出力することができる。次いで、ユーザは、選択された制御パラメータ値に基づいてグルコースレベル制御システム510を構成することができる。代替として、または加えて、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータの値を自動的に修正することができる。場合によっては、修正を確認する機会がユーザに提供されてもよい。他の場合には、修正は、確認なしに自動的に行われてもよい。しかしながら、修正は、ユーザ(例えば、被検者または医療提供者)に提示されてもよく、および/または治療ログに記録されてもよい。
【0248】
場合によっては、比較は、グルコースレベル制御システム510と通信する別のコンピューティングシステムによって行われる。例えば、グルコースレベル制御システム510は、血中グルコース制御の効果を示す、グルコースレベル信号、グルコースレベル信号から決定されたデータ、および/または被検者から受け取った評価を、ローカル・コンピューティング・システム、スマートフォン、またはクラウドベースのコンピューティングシステムなどの別のコンピューティングシステムに送信することができる。さらに、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータ値および被検者512への薬剤の投与に関連付けられたデータをコンピューティングシステムに送信することができる。コンピューティングシステムは、被検者512の血中グルコースレベルをより良好に管理する制御パラメータの値を決定することができる。コンピューティングシステムは、選択された値を用いてグルコースレベル制御システム510を構成することができる。代替として、または加えて、選択された値は、グルコースレベル制御システム510を選択された値で構成することができるユーザに出力されてもよい。
【0249】
ブロック1318において、グルコースレベル制御システム510は、ブロック1316において選択された制御パラメータの選択値に基づいて、被検者512に治療を提供する。ブロック1318において提供される治療は、第1および第2の治療期間後のある時点にある第3の治療期間中に提供されてもよい。したがって、最初の2つの時間帯の間に、第1および第2の値は、それぞれ、被検者512のためのより良い結果または改善されたケアをもたらす値を決定するために、制御パラメータのために使用されてもよい。その後の時間帯に、被検者512にとってより良い結果をもたらした値を使用して、被検者512に対する将来のケアを提供することができる。あるいは、第1の値でも第2の値でもない新たな値を用いて、被検者512にとってより良いまたは改善されたレベルのケア(例えば、より長い時間帯にわたって所望の目標グルコースレベルに近い)を提供し得る制御パラメータの値を見出す試みにおいて、その後のケアを提供することができる。
【0250】
いくつかの例では、被検者に治療を提供することは、ある量の薬剤(例えば、インスリンまたは逆調節剤)を被検者に送達する送達デバイス514(例えば、被検者512の皮下空間にカテーテルによって結合された輸液ポンプ)への用量制御信号を生成することを含むことができ、その量は、用量信号によって決定することができる。
【0251】
選択された値に基づいて被検者512に治療を提供することは、アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて第3の治療期間中に被検者512に治療を提供するようにグルコースレベル制御システム510を構成することを含むことができる。場合によっては、アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて被検者512に治療を提供するようにグルコースレベル制御システム510を構成することで、プロセス1300を終了させることができる。他の場合には、プロセス1300を繰り返してもよい。プロセス1300を繰り返すことは、ブロック1304に関連付けられた動作を実行する際に、選択された値(例えば、プロセス1300の前の反復からの第1または第2の値)を第1の値として使用することを含むことができる。ブロック1308において生成された第2の値は、プロセス1300の前の反復中に使用されなかった新しい値であってもよい。
【0252】
プロセス1300は、第1の効果と第2の効果との差がしきい値未満の差になるまで繰り返されてもよい。代替として、または加えて、プロセス1300は、コマンドに応答して、または被検者512の血中グルコースが特定の時間量にわたって特定のしきい値を満たさないと決定することに応答して、周期的に、特定の反復回数繰り返されてもよい。
【0253】
いくつかの例では、プロセス1300は、グルコースシステム(または制御システムによって使用される制御アルゴリズム)の2つ以上の制御パラメータを修正するために使用
されてもよい。いくつかのこのような例では、プロセス1300は、ブロック1302から開始してブロック1318で終了する第1の修正期間中に第1の制御パラメータを調整し、再びブロック1302から開始してブロック1318で終了する第2の修正期間中に第2の制御パラメータを調整するために使用されてもよい。第2の修正期間は、第1の修正期間の直後であってもよく、または特定の時間だけ遅らせてもよい。いくつかの例では、制御システムは、第1のパラメータの修正に続いて第2の制御パラメータがいつ修正されるべきかを決定することができる。いくつかの例では、遅延は、グルコース信号(例えば、CGMセンサから受信される)に基づいて測定された血糖制御に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。いくつかの他の例では、遅延は、ユーザから受け取った入力に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、第2の制御パラメータの修正は、第1の制御パラメータの決定された修正に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。
【0254】
いくつかの例では、第1および第2の制御パラメータを調整した後、第3の時間帯に第3の制御パラメータを調整することができる。第3の制御パラメータの調整は、第2の制御パラメータの調整の直後に行われてもよく、または遅延して行われてもよい。遅延は、第2の制御パラメータが調整された後の被検者の血糖制御に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、グルコース制御システムは、被検者の血糖制御が1つまたは複数のしきい値条件を満たすときに、第1および第2、または第1、第2および第3の制御パラメータを順次調整するように構成されてもよい。いくつかの例では、制御パラメータが調整される時間帯の持続時間は、他のパラメータの持続時間から遅れてもよい。
【0255】
いくつかの実施形態では、プロセス1300の修正版を使用して、制御パラメータの値(例えば、最適値)を決定することができる。いくつかのこのような例では、ブロック1314において第2の効果を決定した後、制御システムは、ブロック1316およびブロック1318をスキップし、代わりに制御パラメータの第3の値を取得することができる。いくつかの例では、この第3の値は、ブロック1314において決定された第2の効果に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、この第3の値は、自律的に決定されてもよい。さらに、場合によっては、第3の値は、自動的に決定されてもよい。場合によっては、第3の値は、ユーザが血中グルコース制御改良プロセス1300をトリガすることに少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかのそのような場合、制御システムは、第3の値を決定し、これを制御システム510のユーザインターフェース534を介してユーザに提示してもよい。いくつかの例では、第3の値は、制御システム510のユーザインターフェース534を介してユーザによって提供されてもよい。いくつかの例では、第3の値を取得した後、システムは、第3の値に基づいて被検者に治療を提供することができる。プロセス1300のこの修正版は、数回繰り返されてもよい。いくつかの例では、この修正版は、最後の2つの後続の効果間の差がしきい値差未満になるまで繰り返されてもよい。代替として、または加えて、プロセス1300の修正版は、コマンドに応答して、または被検者512の血中グルコースが特定の時間の間、特定のしきい値を満たさないと決定することに応答して、特定の反復回数、周期的に繰り返されてもよい。
【0256】
説明されるように、プロセス1300は、インスリンの送達に影響を与える1つまたは複数の制御パラメータを修正するために使用されてもよい。しかしながら、プロセス1300は、そのように限定されず、逆調節剤(例えば、グルカゴン、デキストロースなど)などの他の薬剤の送達に影響を与える1つまたは複数の制御パラメータを修正するために使用されてもよい。場合によっては、プロセス1300は、送達を修正することなくインスリンおよび/または逆調節剤の送達の変更を推奨するために使用されてもよい。これは、逆調節剤をサポートしない、または逆調節剤の使用をサポートするが、逆調節剤が利用
可能でない単一ホルモン・グルコース・レベル制御システム510において、逆調節剤に関する推奨を生成するのに有利である場合がある。
【0257】
さらに、プロセス1300が複数の制御パラメータを修正するために使用される場合、制御パラメータのうちの少なくとも2つ以上は、互いに関連していてもよい。例えば、制御パラメータが時定数α1およびα2を含む場合、αとαとの間には、α1を修正するとα2が修正されるような関係が存在してもよい。例えば、αは、αの1.5倍に等しくてもよい。
【0258】
ブロック1316におけるアクティブパラメータとして設定された制御パラメータの値(例えば、第1の値または第2の値)は、特定の時間帯にわたって、またはプロセス1300が繰り返されるまで、被検者512に治療を提供するために制御アルゴリズムによって使用されてもよい。先に説明したように、場合によっては、プロセス1300は、定期的に、および/またはある時間帯にわたる血中グルコース値もしくは平均血中グルコース値などのトリガ、または被検者512にグルコースレベル制御システム510を接続するための部位変更の指示(例えば、皮下用量を提供するために使用される注入セットの場所の変更)に応答して繰り返される。
【0259】
仮定的な例
前述したように、インスリンの吸収のピーク時間は、Tmaxと呼ばれることがある。インスリンタイプが異なると、被検者の血液中への吸収が、ピークになるまでの時間や被検者によって異なる場合がある。例えば、1つの仮定的な例において、速効型インスリンリスプロおよびインスリンアスパルトに対する被検者間の総Tmaxは、約65分であると決定されてもよく、一方、例えば、ピーク吸収までの時間を短縮する配合を有する、Fiaspブランドの下で市販されているインスリンアスパルト注射のような超速効型インスリンを使用する被検者間の総Tmaxは、約40分であると決定されてもよい。65分に設定されたTmaxに対応する制御パラメータを有する自動血中グルコースレベル制御システム(グルコースレベル制御システム510など)を使用する際に、速効型インスリンを使用した場合と比較して、超速効型インスリンを使用した場合には、平均グルコースレベルまたは低血糖症の頻度に統計的に有意な改善がないことがある。この比較では、使用するインスリンのタイプを変えながら、Tmaxを一定に保持する。
【0260】
自動血中グルコースレベル制御システムの制御パラメータの値を調整して異なるTmax設定を使用する場合、仮定的な例では、超速効型インスリンを使用する際にTmaxを下げると平均グルコースが低下する。本例では、3つのコホートの被検者は、Fiaspなどの超速効型インスリンを用いた血中グルコース制御システムを使用する際に、修正されたTmax値を使用する制御アルゴリズムを採用している。第1のコホートは、治療の最初の週に65分のTmaxおよび治療のその後の週により低いTmax(例えば、50分など)で構成された血中グルコースレベル制御システムを使用する。第2のコホートは、治療の最初の週に65分のTmaxおよび治療の次の週にさらに低いTmax(例えば、40分など)で構成された血中グルコースレベル制御システムを使用する。第3のコホートは、治療の最初の週に65分のTmaxおよび治療の次の週に著しく低くいTmax(例えば、30分など)で構成された血中グルコースレベル制御システムを使用する。各コホート内およびコホート間のTmaxの変化の比較により、Tmaxが低下すると平均グルコースレベルが低下し、低血糖症に統計的に有意な増減がないことが実証された。
【0261】
Tmaxが生理学的インスリン吸収ピーク時間より短い場合、血中グルコースレベル制御システムが、ある時間帯内に複数回のインスリン用量を重ねたり、投与したりする可能性があるため、低血糖症のリスクが高まる。これは、Tmaxが実際のピークインスリン吸収時間未満に設定されている場合、血中グルコースレベル制御システムが、より低い血
中グルコース濃度を最大血中グルコースレベル濃度として誤って認識する可能性があるために起こることがある。
【0262】
プロセス1300を使用して異なるTmax設定の効果を比較することによって、被検者および/または特定のタイプのインスリンに対してTmax設定を最適化することが可能である。いくつかの例では、この比較は、1つまたは複数の統計的方法に基づいてもよい。例えば、治療期間中に収集されたグルコース濃度データを使用して(例えば、CGMセンサを使用して)、制御システムは、以前の評価期間と比較して異なるTmax値を使用して、後の期間中に平均グルコースレベルに統計的有意差があるかどうかを判定することができる。Tmaxに使用される後続の値またはより新しい値が、改善された効果をもたらす場合、TmaxまたはTmaxに対応する血中グルコースレベル制御システム510の制御パラメータは、より新しい値に設定されてもよく、制御パラメータ値の変更は、統計的に有意な改善の決定時に自動的に行われてもよく、または潜在的な改善の通知を生成し、制御パラメータ値の変更が行われるべきであるという確認を受け取った後に行われてもよい。Tmaxのデフォルト値または前の値で、ある時間帯に被検者512のグルコース信号を収集した後、Tmaxの値は、初期Tmaxから有意な量だけ下げられてもよい。例えば、制御アルゴリズムは、少なくとも10分、少なくとも5分、少なくとも2分、15分以下、20分以下、30分以下のTmaxの減少を反映するように、またはこの文中の前述の値のいずれか2つの間にまたがる範囲内の変化によって(前述の値はこの範囲に含まれる)、Tmaxまたは関連付けられた時定数を自動的に変更してもよい。システムは、より高いTmaxに関連付けられた以前のデータセットと、より低いTmaxに関連付けられた現在のデータセットとの間の統計解析を実行することができる。血中グルコースレベル制御システムのコントローラが、低血糖症イベントまたはリスクイベントがほとんどまたは全く増加することなく、被検者の平均グルコースレベルに有意なまたは統計的に有意な改善(例えば、しきい値を超える改善)があると判断した場合、システムは、より低いTmax値を好ましいTmaxとして採用または推奨することができる。このプロセスは、Tmaxのさらなる減少値を使用して繰り返すことができる。場合によっては、Tmaxの各減少値は、以前の減少値よりも小さくてもよい。さらに、被検者の平均グルコースレベルに改善がないと判断された場合、および/または低血糖症もしくは低血糖症リスクイベントの増加がある場合、システムは、以前のTmaxを使用してもよく、または新しいTmaxと以前のTmaxとの間のTmaxを選択してもよい。したがって、プロセス1300を使用して、システムは、Tmaxを繰り返し修正して、被検者および/または選択されたインスリンタイプに最適な値を見出すことができる。
【0263】
さらに、1つまたは複数の制御パラメータのリアルタイム分析および最適化を行うことによって、臨床検査中に起こり得る遅延解析と比較して、被検者の糖尿病の維持をより迅速かつより正確に改善することができる。臨床検査では、被検者の生理的な変化がリアルタイムで捕捉されない場合があるため、精度が低くなる可能性がある。
【0264】
場合によっては、上述したリアルタイムプロセスおよび統計解析を用いて、1つまたは複数の被検者センサによって得られた他のタイプの生物医学的データを解析することができる(例えば、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定する)。いくつかのそのような場合、データなどの追加の生物医学的データは、スマートウォッチから(例えば、血圧、心拍数)、体重センサから、または任意の他のタイプの生物医学的センサから受信することができる。プロセス1300を適合させて追加の生物医学的データの統計解析を実行することによって、生体データの定量的客観的解析を行うことができ、これは、医療提供者が被検者をケアするために使用され得る。
【0265】
さらに、上述した比較分析の結果を使用して、被検者に追加の推奨を行うことができる。例えば、特定のタイプのインスリンの実際のTmaxが、被検者の予想よりも高いと判
断された場合、その特定のタイプのインスリンを使用している間、被検者が特定のやり方で自分の食事を修正することが推奨されてもよい。
【0266】
例示的なシミュレーション
本開示の実施形態とともに使用するように適合させることができる自動グルコースレベル制御システム510の実施形態は、2015年8月6日に公開された国際公開第2010/116524号、2015年12月5日に発行された米国特許第9,833,570号、および2017年10月5日に発行された米国特許第7,806,854号に記載されており、これらのそれぞれの開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0267】
自動グルコースレベル制御システム510は、インスリン用量を自律的に投与し、インスリンの利用率の有限性に起因するインスリン用量のオンライン蓄積(「残量インスリン(insulin on board)」)を考慮することができる。インスリン用量のインスリン吸収速度、ひいては蓄積速度は、薬物動態(PK)モデル(例えば、時定数α1およびα2のプリセット値を用いて式2によって表される二指数PKモデル)によってモデル化することができる。PKモデルに関連して臨床的に重要なのは、インスリン用量(例えば、皮下投与)が被検者の血液中に吸収されるのにかかる時間である。いくつかの例では、インスリンの血中吸収のピーク時間は、Tmaxと呼ばれる。いくつかの他の例では。いくつかの他の例では、Tmaxは、特定の用量のインスリンの送達後にインスリンの濃度がその最大値に達する時間であってもよい。いくつかのこのような例では、Tmaxは、インスリンが被検者に(例えば、注入セットを使用して皮下に)提供される時間から測定されてもよい。
【0268】
いくつかの例では、PKモデルの時定数(例えば、式2におけるαおよびα)を設定することは、モデルによって本質的に想定されるTmaxを設定することと等価であってもよく、逆に、Tmaxを設定することは、PKモデルの時定数を設定することであってもよい。時定数の値は、制御システムによるインスリンの蓄積のオンライン計算を決定するために使用され得るため、時定数の値は、結果として、所与の血中グルコースレベル変動に対する制御システムのインスリン投薬応答を制御することができる。したがって、TmaxまたはTmaxに関連付けられた時定数を変えることにより、制御システムのインスリン用量の積極性が制御される。
【0269】
特定の実施形態では、制御システムは、制御システムのPKモデルのTmax(したがって時定数)設定をオンラインで適合させる方法を実施する。この方法は、制御システムがオンラインの評価および計算を定期的に行い、Tmaxの修正の推奨を生成するか、制御システムがTmaxをオンラインで自律的に調節するによって実行することができる。いずれの場合も、計算は、ある時間帯にわたる制御システムの実行に基づくことができる。場合によっては、オンラインでのTmaxへの適合は、自律的に行われるか、または推奨として発行されるかにかかわらず、グルコースレベルの傾向、平均グルコースレベル、あるいは低グルコースレベル(低血糖症)および/または高グルコースレベル(高血糖症)発生の程度ならびに/あるいは持続時間を含む、ある時間間隔にわたる制御システムによるグルコース制御の実行に基づいてもよい。あるいは、計算は、逆調節剤の使用量、逆調節剤が利用可能であった場合に他の意図された使用量(例えば、インスリン単独システムにおいて、または逆調節剤もしくはその送達チャネルが一時的に利用できない場合)に基づくことができる。この方法は、Tmaxが変化し得る範囲の上限および/または下限(静的または動的)を課すことができる。所与の状況に対するTmaxの適合度は、例えば、制御システムによって投与されている特定のインスリンによって異なることがある。
【0270】
特定の実施形態では、記載された方法は、(入力グルコース信号を制御システムに提供
することができる)連続グルコースモニタがオンラインであるかオフラインであるかにかかわらず、適用可能であってもよい。例えば、本明細書に開示された方法は、国際公開第2015/116524号に記載されるシステムに適用することができる。さらに、記載された方法は、例えば、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月16日に公開された国際公開第2017/027459号に記載されたシステムのように、限定されるものではないが、システムによって自動的に適合されるグルコース目標を有するなど、システムが活性化されるか否かの他の態様と共存することができる。
【0271】
前述したように、皮下投与されたインスリンの血液への吸収は、式2の二指数PKモデルによって支配されることがある。PKモデルにおける時定数を設定することは、皮下投与用量におけるインスリンの蓄積量の保留効果の尺度を設定することであってもよく、これは、保留効果が、総面積(用量U0に起因する経時的な全作用の尺度を表すことができる
【数14】
)と、U0の消費された部分の尺度を表すことができる
【数15】
との差であると見なすことができるためである。血液へのインスリン用量の吸収のピーク時間Tmaxは、式3によって与えることができる。したがって、Tmaxを設定することは、所与のグルコースプロファイルに対する制御システムのオンラインインスリン投薬応答の大きさ(例えば、積極的または保守的)を直接支配することができるPKモデル時定数を設定することであってもよい。限定されるものではないが、簡単にするために、αとαが、例えば、α=1.5αの関係があると仮定する。
【0272】
二指数PKモデルを使用して、グルコースプロファイルと被検者に送達される薬剤(例えば、インスリンまたはグルカゴン)用量との関係をシミュレートすることができる。図14A図14Cは、Tmax設定またはTmaxに対応する制御パラメータの値の増減が、所与のグルコースプロファイル(例えば、24時間にわたる血中グルコースレベルの時間的変動)に対するグルコースレベル制御システム510のオンラインインスリンおよびグルカゴン投薬反応に与え得る効果を実証するシミュレーションを示す。
【0273】
図14Aは、Tmaxを65分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションを示す。グラフ1402は、24時間にわたる被検者の血中グルコースレベル(BGL)の変動を示す。範囲1404は、被検者の血中グルコースレベルに対する所望の目標設定値範囲(例えば、70~120mg/dL)を示す。さらに、範囲1406は、低血糖症または低血糖症のリスクに関連付けられた被検者のグルコースレベルの範囲(例えば、60mg/dL未満)を示す。グラフ1410Aは、グラフ1402に示される血中グルコースレベル変動に少なくとも部分的に基づいて、グラフ1402と同じ24時間の時間帯にわたって被検者に薬剤(インスリンまたはグルカゴン)を投与していることを示す。
【0274】
図14Bは、Tmaxを15分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションを示す。グラフ1410Bは、グラフ1410Aに対応するが、Tmaxが65分ではなく15分に設定されている。グラフ1410Bを1410Aと比較することによって
示されるように、Tmaxを15分に減少させると、所与のグルコースプロファイル1400を維持するために必要なインスリン投薬量が増加する可能性がある。
【0275】
図14Cは、Tmaxを130分に設定した被検者の血中グルコース制御のシミュレーションを示す。グラフ1410Cは、グラフ1410Aに対応するが、Tmaxは65分ではなく130分に設定されている。グラフ1410Cを1410Aと比較することによって示されるように、Tmaxを130分に増加させると、所与のグルコースプロファイル1400を維持するために必要なインスリン投薬量が減少する可能性がある。
【0276】
被検者のグルコースプロファイルが変化しない場合であっても、インスリン(または逆調節剤)投薬量を増減させると、被検者512のケアに影響を与える可能性がある。例えば、被検者は、被検者の糖尿病の維持に起因する症状(例えば、めまい、吐き気など)を経験する程度が異なる場合がある。有利には、グルコース制御システムの1つまたは複数の制御パラメータを自律的に最適化することにより、正常なグルコースプロファイルを維持するために必要な薬剤投与量および/または投与頻度を低減することができる。
【0277】
図14A図14Cに示すシミュレーションは、グルコース制御システムの制御パラメータを修正した場合の影響の1つの非限定的な例を示す。場合によっては、投薬量の違いにより、その後、血中グルコース変動が異なることがあり、その結果、決定されたインスリングルカゴン用量がその後変化することがある。それにもかかわらず、図14A~14Cに示されるシミュレーションは、制御パラメータとしてのTmaxと、各治療についてグルコースレベル制御システム510によって決定された薬剤用量との間の相関を実証している。さらに、これらのシミュレーションは、決定された治療用量が、以下に記載されるようにTmaxを調整するためのフィードバックとして使用され得ることを実証している。
【0278】
自動血中グルコース制御改良プロセスの例
いくつかの実施態様において、Tmaxの値は、退薬期間の血糖制御に基づいてオンラインで自動的に変化させることができる。例えば、Tmaxは、以下の式を使用して記述することができる。
【数16】
ここで、
【数17】
はTmaxのベースライン値であり、f(y,g)は、グルコース信号yの血糖制御、および/または(送達されているか否かにかかわらず)制御システムによって計算される逆調節投薬量gに基づいた、パラメータ制御調整関数(本明細書では調整関数と呼ばれる)である。f(y,g)の評価は、ある時間帯(例えば、1週間、2週間、4週間または他の時間間隔)にわたるものであってもよい。例えば、
【数18】
である。いくつかの例では、kは現在の治療期間を表すことができ、Nは、1つまたは複数の治療期間を含むことができる退薬期間を示すことができる。
【0279】
パラメータ制御調整関数f(y,g)は、退薬期間(1つまたは複数の治療期間を
含むことができる)にわたって、グルコース信号yの血糖制御において低血糖症が増加する(重篤度および/または持続期間において)または低血糖症の増加が切迫している場合に、Tmax(k)を
【数19】
に対して増加させることができ、逆に、退薬期間にわたって、グルコース信号yの血糖制御において高血糖症が増加する(重篤度および/または持続期間において)場合に、Tmax(k)を
【数20】
に対して減少させることができる。さらに、f(y,g)は、退薬期間にわたって、逆調節投薬量gの増減に対して、Tmax(k)を
【数21】
に対してそれぞれ増減させることができる。f(y,g)に対する調整Tmax(k)は、ユーザコマンドに応答して、または被検者の生理学的測定に基づいて、予定された周期的な間隔(例えば、24時間ごとに1回、3日ごとに1回、週に1回など)であってもよい離散的な時間に評価および実行することができる。代替として、または加えて、いくつかのメトリックが、現在の計算ウィンドウ(例えば、1週間、1ヶ月など)内でしきい値を満たすか、または特定の基準を満たすと、調整をオンラインで評価および実行することができる。この基準は、yにおける低血糖症が特定のしきい値に達するかもしくはそれを超える場合、またはgにおける逆調節投薬のレベルが特定のしきい値に達するかもしくはそれを超える場合を含むことができる。代替として、または加えて、調整は、現在の計算ウィンドウにおけるグルコース信号y(例えば、平均値)に関する何らかの評価が、前の計算ウィンドウ(例えば、前の週)におけるその評価と統計的に有意な差を達成した後に実行することができる。これらの説明された実施態様は、Tmax(k)がいつ調整されるか、および/または調整される大きさに関して、オンラインで数学的に決定される動的インスタンスを有することを可能にする。
【0280】
いくつかの例では、治療期間は、ユーザコマンドに基づいて、または被検者の生理学的測定に基づいて、スケジュールされた規則的または周期的な時間間隔(例えば、24時間の期間、2日間の期間、1週間の期間など)とすることができる。いくつかの他の例では、治療期間は、2つの後続の治療送達間の時間間隔として定義されてもよく、各治療期間は、治療期間の開始を示す治療送達時間に基づいて特定されてもよい。いずれの場合も、f(y,g)は、k番目の治療期間のTmaxに対する調整であってもよく、f(y,g)は、式
【数22】
に基づいて評価されてもよく、ここで、yは、n番目の治療期間に測定されたグルコース信号であり、gは、n番目の治療期間に対する逆調節ホルモンの計算された用量であり、Nは、1つまたは複数の治療期間を含むことができる退薬期間を示す。いくつかの例では、Nは、k番目の治療期間から後退した治療期間の数であってもよい。
【0281】
図15は、治療期間(t1504から開始し、t1506で終了する)にわたる血中グルコースレベル信号G(t)1502(例えば、CGMセンサから受信したCGMト
レース)の例を示しており、その治療期間中に、インスリンおよび/または逆調節剤(例えば、グルカゴン)の1つまたはいくつかの用量が、グルコース制御システム510によって決定および/または投与される。例えば、U1508単位のインスリン用量は、Gu,i1512の測定されたグルコースレベルで時間tu,i1510において提供されてもよい(ここで、iは、1からt1504とt1506との間のインスリン送達数まで変化する)。同様に、制御システムは、投与されていてもされていなくてもよいC1514単位の用量、グルカゴンが送達されていてもよいグルコースレベルGc,j 1518、およびグルカゴンが送達されていてもよい時間tc,j1516(ここで、jは、1からt1504とt1506との間のグルカゴン送達数まで変化する)を計算していてもよい。制御システムは、BGLを上限Gmax1520と下限Gmin1522によって定義された正常範囲内に維持し、設定値Gset1524に近づけるために治療を提供するように構成されてもよい。いくつかの例では、Gmax1520を上回るグルコースレベルは、高血糖症を示してもよく、Gmin1522を下回るグルコースレベルは、低血糖症と見なされてもよい。例えば、図15に示される治療期間中、高血糖症1526の2つのインスタンスと低血糖症1528の2つのインスタンスが、制御システムによって特定されてもよい。いくつかの例では、各治療期間中、制御システムは、すべての治療送達(iおよびjのすべての値)について、G(t)1502、tu,i1510、tc,j1516、U1508、およびC1514を記憶することができる。いくつかの例では、1つまたは複数の制御パラメータ(例えば、Tmax、Gset)の値は、t1504とt1506との間の治療期間中に変化しなくてもよい。
【0282】
図16は、グルコース制御システムのTmaxおよび/または他の制御パラメータを制御するために上述の修正方法を使用することができる例示的な自動血中グルコース改良プロセスのフローチャートを提示する。プロセス1600は、被検者512に施された治療に関するフィードバック(例えば、血中グルコース信号からの)に基づいて、制御アルゴリズムおよび/または制御アルゴリズムの実行に影響を与える制御パラメータを自律的および/または自動的に修正することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス1600は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス1600の少なくとも特定の動作は、グルコースレベル制御システム510から血中グルコースデータを受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス1600の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、および本開示を限定するためではなく、プロセス1600は、特定のシステムに関して説明される。
【0283】
プロセス1600は、自動的に、かつユーザインタラクションなしで実行されてもよい。場合によっては、ユーザは、コマンドまたはユーザインターフェースとのインタラクションを介してプロセス1600をトリガすることができる。しかしながら、プロセス1600がトリガされると、プロセス1600は、自動的に実行されてもよい。さらに、プロセス1600は、連続的に、周期的に、またはトリガに応答して実行されてもよい。トリガは、時間に基づくものであってもよく、および/または被検者のグルコースレベルの測定に基づくものであってもよい。例えば、トリガは、被検者のグルコースレベルが、薬剤の投与に基づいてグルコースレベル制御アルゴリズムによって予測された予測グルコースレベルとしきい値を超えて異なるという決定に対応してもよい。さらに、トリガは、被検者512によるグルコースレベル制御システム510の起動または最初の使用に基づくものであってもよい。
【0284】
プロセス1600は、ブロック1602で始まり、グルコース制御システム510の制御パラメータ(例えば、適応的に修正され得る制御パラメータ)の第1の値が選択される。例えば、制御パラメータは、グルコース制御システム510の制御アルゴリズムで使用
されるTmax値とすることができる。いくつかの例では、Tmaxは、制御アルゴリズムによって使用されるPKモデルにおける1つまたは複数のパラメータに関連していてもよい。別の例として、制御パラメータは、設定値(例えば、図15のGset1524)、または(例えば、CGMセンサを使用して測定された)被検者512の血中グルコース濃度の測定値の目標値とすることができる。
【0285】
制御パラメータの第1の値は、ベースライン値に基づいて選択されてもよい。ベースライン値は、臨床データと関連付けられていてもよく、プロセス1600の実行前のある時間帯のグルコースレベル制御システム510の動作に基づいて決定されてもよく、またはプロセス1600の以前の実行から決定されてもよい。代替として、または加えて、ベースライン値は、被検者512の臨床データまたは特定の処方に基づいて選択されてもよい。場合によっては、ベースライン値は、平均的なユーザ、または被検者512と特定の生理学的データを共有する平均的なユーザについての臨床データに基づいてもよい。場合によっては、ベースライン値は、被検者512の医療提供者の評価に基づいて決定される。さらに、ベースライン値は、グルコースレベル制御システム510の注入部位(例えば、背中、胃、脚など)に基づいて決定されてもよい。場合によっては、ベースライン値は、被検者512の人口統計値または特性に基づいて選択されてもよい。
【0286】
ブロック1604において、グルコース制御システム510は、制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて、ある時間帯にわたって被検者512に治療を提供する。さらに、治療は、その時間帯に受信した1つまたは複数のグルコース信号に少なくとも部分的に基づいて提供されてもよい。グルコース信号は、グルコースセンサ(例えば、CGM)から受信されてもよく、被検者のグルコースレベルに対応してもよい。場合によっては、時間帯は、1つまたは複数の治療期間を含んでもよい。いくつかの例では、時間帯に含まれる治療期間の数は、等しい治療期間であっても等しくない治療期間であってもよい。治療期間は、瞬時の送達またはある時間帯にわたる薬剤用量の送達を含むことができる単回の送達薬剤用量に対応する時間帯であってもよい。あるいは、治療期間は、複数の薬剤用量送達を包含する時間帯であってもよい。さらに、治療期間は、定義された時間長に関連する時間帯であってもよい。代替として、または加えて、治療期間は、いくつかの薬剤期間に基づいて定義されてもよい。換言すれば、時間帯は、(任意のタイプまたは特定のタイプの)指定された数の薬剤の用量を送達または投与するのにかかる時間量に基づいて変わってもよい。
【0287】
いくつかの例では、複数の治療の送達時間および用量は、グルコースレベル信号およびグルコース制御システム510によって使用される制御アルゴリズムの制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいてもよい。制御パラメータは、グルコースレベル制御システム510の動作および/またはグルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムの実行に影響を与える任意の制御パラメータを含むことができる。
【0288】
例えば、制御パラメータは、Tmax、T1/2、薬剤用量の送達速度、グルコースレベルの設定値、血中グルコース範囲、血中グルコースレベルのしきい値(例えば、最大値または最小値)などであってもよい。制御アルゴリズムは、被検者512に投与する薬剤(例えば、インスリン)の用量を決定するために使用される任意の制御アルゴリズムおよび/またはPKモデルを含んでもよい。換言すれば、コントローラ518またはプロセッサ530は、制御アルゴリズムを使用して、制御パラメータの値(例えば、ブロック1602で選択された第1の値)に少なくとも部分的に基づいて用量制御信号を生成して、送達デバイス514にインスリンまたは他の薬剤の用量を投与させることができる。
【0289】
時間帯にわたって提供される複数の治療の各治療は、被検者512へのインスリンの単回投与に対応してもよい。このインスリンの単回投与は、いかなる理由で投与されてもよ
いいかなるタイプのインスリンであってもよい。例えば、インスリン用量は、基礎インスリン用量、プライミング用量、食事告知に応答して供給される用量、またはインスリンの補正用量であってもよい。さらに、提供される各治療は、逆調節剤(例えばグルカゴン)などのインスリン以外の薬剤であってもよい。場合によっては、各治療送達は、治療期間にわたって被検者512に供給または投与される複数の薬剤(例えば、インスリンおよび/または逆調節剤)用量を含んでもよい。さらに、複数の薬剤用量は、1つまたは複数の基礎用量、1つまたは複数の食事告知に関連する1つまたは複数の食事用量、1つまたは複数の補正用量など、異なるタイプの薬剤用量を含むことができる。
【0290】
いくつかの例では、調整される制御パラメータの値は、時間窓の間に1つの治療期間から別の治療期間に変化することがある。例えば、制御パラメータの値は、各治療期間または治療期間のグループの開始時に所与の量だけ変化することがある。いくつかの他の例では、制御パラメータの値は、特定の数の治療後に所与の量だけ変化することがある。いくつかの例では、制御パラメータが変更される量は、時間窓内の1つまたは複数の退薬治療期間に基づいて決定されてもよい。場合によっては、ブロック1604は、プロセス1304に関して説明された実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0291】
いくつかの例では、治療期間中に、または時間帯に含まれる複数の治療期間のうちの1つまたは複数の治療期間中に、治療データが取得および/または記憶されてもよい。図15を参照すると、いくつかの例では、治療データは、グルコース信号G(t)1524、計算されたまたは実際の送達時間(tc,j1516)、および推定または送達された逆調節剤の量(C1514)を含むことができる。この治療データは、グルコースレベル制御システム510のメモリ540に記憶されてもよい。さらに、治療データは、治療期間中に投与された逆調節ホルモンの総量を含むことができる。代替として、または加えて、各治療期間に関連付けられた他のパラメータおよびデータが、メモリ540に記憶されてもよい。例えば、投与されるインスリンの総量、送達されるインスリンの量(U1508)、各治療期間中に送達されるインスリンの送達時間(tu,i1510)、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータを測定し得る他のセンサから受け取ったデータ、被検者またはユーザから(例えば、ユーザインターフェースを介して)受け取ったデータなどである。
【0292】
ブロック1606において、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータに対する制御パラメータ調整を決定する。制御パラメータ調整は、治療データに少なくとも部分的に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、調整は、調整関数を使用して決定されてもよい。例えば、調整関数は、式4に従ってTmaxを修正するための関数f(y,g)であってもよい。いくつかの例では、制御パラメータ調整は、グルコースレベル信号(例えば、G(t)1524またはCGMトレース)によって示されるような被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することによって決定されてもよい。被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することは、被検者512の血中グルコースレベルを経時的に追跡することを含むことができる。さらに、被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することは、経時的な被検者512の血中グルコースレベルを、PKモデルおよび制御アルゴリズムで使用される制御パラメータ値に基づいて推定される経時的な被検者512の予測血中グルコースと比較することを含むことができる。いくつかの例では、調整関数f(y,g)の値は、tc,j1516、C1514、およびGc,jの推定値または実際の値を少なくとも部分的に使用して算出することができる(ここで、jは、1から時間帯中に提供される逆調節の数まで変化する)。いくつかの他の例では、調整関数f(y,g)の決定は、tc,j1516、C1514、およびGc,jの推定値または実際の値に基づく統計解析を含むことができる(ここで、jは、1から時間帯中に提供される逆調節の数まで変化する)。いくつかのこのような例では、統計解析は、統計量および/または以下に説明される解析ツールに基づくことができる。
【0293】
場合によっては、制御パラメータの調整は、低血糖症1528および/または高血糖症1526イベントの数および/または各イベントの持続時間に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、制御パラメータの調整は、測定されたグルコースレベルと設定値(Gset1524)との差に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、調整は、グルコースレベルが目標範囲内(例えば、Gmax1520とGmin1522との間)に留まる時間間隔に基づいて決定されてもよい。場合によっては、調整は、被検者512について測定された血中グルコースレベルの安定性、または被検者512の血中グルコースレベルにおける変動の少なさに基づいて決定されてもよい。例えば、統計解析を実行して、1つまたは複数のしきい値率を超えるG(t)の分布変化率を決定することができる。
【0294】
場合によっては、制御パラメータの調整は、少なくとも部分的に、被検者の1つまたは複数の生理学的パラメータ(例えば、心拍数、体温など)を測定する1つまたは複数の被検者センサから受信した1つまたは複数の信号を解析することによって決定されてもよい。さらに他の例では、制御パラメータの調整は、(例えば、AMDのユーザインターフェースを用いて)被検者512から受信した評価または入力に基づいて決定されてもよい。例えば、被検者512が、1つまたは複数の治療期間中に、ふらつき、めまい、頭痛、吐き気、またはその他の不快感を覚えた場合、被検者512は、例えば、AMDのタッチスクリーンユーザインターフェースまたは他のインターフェースを介して、被検者512がどのように感じているかを示すことができる。
【0295】
調整は、ハードウェアプロセッサ530、グルコースレベル制御システム510の処理速度、または被検者がグルコースレベル制御システム510に自分の状態の評価を提供する時間を考慮して、リアルタイムで、または実質的にリアルタイムで決定することができる。場合によっては、制御パラメータの調整は、グルコースレベル制御システム510と通信するコンピューティングシステムによって決定されてもよい。例えば、グルコースレベル制御システム510は、治療データを、ローカル・コンピューティング・システム、スマートフォン、またはクラウドベースのコンピューティングシステムなどの別のコンピューティングシステムに送信することができる。さらに、グルコースレベル制御システム510は、治療データおよび制御パラメータ値に関連するデータをコンピューティングシステムに送信することができる。コンピューティングシステムは、次の時間帯の被検者512の血中グルコースレベルをより良く管理する調整を決定してもよい。
【0296】
ブロック1608において、グルコースレベル制御システム510は、ブロック1606において決定された制御パラメータ調整を用いて制御パラメータを調整する。いくつかの例では、調整は、自律的にまたは自動的に実行されてもよい。いくつかの他の例では、ブロック1606において決定された制御パラメータ調整は、ユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を介して被検者または他のユーザ(例えば、親、保護者、臨床医など)に提示することができる。いくつかのそのような場合、被検者または他のユーザは、制御パラメータ調整を確認または修正することができる場合がある。他の場合には、制御パラメータ調整の表示は、情報提供の目的で提示されてもよく、ユーザによって調整可能でなくてもよい。場合によっては、制御パラメータは、ユーザ確認(例えば、ユーザインターフェースとのユーザインタラクション)を受信した後にのみ調整されてもよい。調整がコンピューティングシステムによって決定されるいくつかの他の例では、調整値は、グルコース制御システムのユーザインターフェースまたはコンピューティングシステムのユーザインターフェースを介してユーザに提示することができる。場合によっては、ユーザは、コンピュータシステムから受信した、またはコンピュータシステムによって提示された調整値を用いて、グルコース制御システムの制御パラメータを調整することができる。
【0297】
ブロック1608における調整は、制御アルゴリズムの動作または実行に変化を引き起こすことがある。制御アルゴリズムの実行におけるこの変化は、被検者512への治療の提供に関連付けられた1つまたは複数の要因に変化をもたらす可能性がある。例えば、制御アルゴリズムの実行における変化は、送達される薬剤の量、薬剤の送達のタイミング、薬剤の用量が被検者512に送達される速度、被検者の血中グルコースの目標設定値または目標範囲、薬剤を送達するかどうかを判定する際に用いられるしきい値(例えば、目標設定値からのしきい値差)、または被検者512に送達される治療に影響を与え得る任意の他の要因の変化をもたらす可能性がある。
【0298】
場合によっては、制御パラメータの調整された値は、ユーザ(例えば、被検者または親)に出力されてもよい。次いで、ユーザは、選択された制御パラメータ値に基づいてグルコースレベル制御システム510を構成することができる。代替として、または加えて、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータの値を自動的に調整することができる。場合によっては、ユーザに調整を確認する機会が提供されてもよい。他の場合には、調整は、確認なしで自動的に行われてもよい。しかしながら、調整は、ユーザ(例えば、被検者または医療提供者)に提示されてもよく、および/または治療ログに記録されてもよい。
【0299】
ブロック1610において、グルコースレベル制御システム510は、ブロック1608において更新された更新制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて治療を提供する。制御パラメータの新しい値は、第2の時間帯の間維持されてもよい。第2の時間帯は、特定の時間量、特定の数の薬剤用量を送達するための時間量、または特定の数の薬剤用量を指すことができる。
【0300】
プロセス1600は、後続の時間帯中に繰り返されてもよい。いくつかの例では、プロセスは、周期的に(24時間ごと、2日ごと、毎週、または他の時間間隔で)繰り返されてもよい。場合によっては、時間帯は、被検者またはユーザによって提供されてもよい。さらに、このプロセスは、コマンドに応答して繰り返されてもよい。場合によっては、プロセスは、被検者512の血中グルコースレベルが特定の時間の間、1つまたは複数の基準を満たさないと決定することに応答して繰り返されてもよい。例えば、プロセスは、測定されたBGLの平均値と目標BGLとの間の統計的有意差がしきい値を超えた場合、あるいは検出された低血糖症および/または高血糖症の回数が特定の時間の間にしきい値回数を超えた場合に繰り返されてもよい。
【0301】
いくつかの例では、プロセス1600を使用して、グルコース制御システムによる治療送達に影響を与えるいくつかの制御パラメータを調整することができる。いくつかのこのような例では、プロセス1600を使用して、ある時間帯に第1の制御パラメータを調整し、第2の時間帯に第2の制御パラメータを調整することができる。第2の時間帯は、第1の時間帯の直後であってもよく、または特定の時間だけ遅れていてもよい。いくつかの実施態様では、制御システム510は、いつ制御パラメータを調整するかを決定することができる。いくつかの例では、制御パラメータ調整の期間と期間と間の遅延は、グルコース信号の血糖制御に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。場合によっては、遅延は、ユーザから受け取った入力に基づいて決定されてもよい。さらに、第2の制御パラメータの調整は、第1の制御パラメータについて決定された調整に基づいて少なくとも部分的に決定されてもよい。
【0302】
いくつかの実施形態では、第3の制御パラメータは、第3の時間帯に調整されてもよい。第3の制御パラメータの調整は、第2の制御パラメータの調整の直後に行われてもよく、または遅延して行われてもよい。遅延は、第2の制御パラメータが調整された後の被検者の血糖制御に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。場合によっては、グルコ
ース制御システムは、被検者の血糖制御が1つまたは複数のしきい値条件を満たした場合に、第1および第2、または第1、第2、および第3の制御パラメータを順次調整するように構成されてもよい。いくつかの例では、制御パラメータが調整される時間帯の持続時間は、第1および第2の制御パラメータの持続時間とは異なっていてもよい。
【0303】
上述したように、プロセス1600を使用しては、インスリンの送達に影響を与える1つまたは複数の制御パラメータを調整することができる。しかしながら、プロセス1600は、そのように限定されず、逆調節剤(例えば、グルカゴン)などの他の薬剤の送達に影響を与える1つまたは複数の制御パラメータを修正するために使用されてもよい。場合によっては、プロセス1600を使用して、送達を修正することなくインスリンおよび/または逆調節剤の送達の変更を推奨することができる。これは、逆調節剤をサポートしない、または逆調節剤の使用をサポートするが、逆調節剤が利用できない非バイホルモン・グルコース・レベル制御システム510において、逆調節剤に関する推奨を生成するのに有利となり得る。
【0304】
自動血中グルコース制御改良における統計解析の実施
上述したように、グルコース制御システム510によって使用されるPKモデルおよび/または制御アルゴリズムの1つまたは複数の制御パラメータの値(例えば、ベースライン値または最適臨床値)は、臨床研究中に被検者の複数のコホート(例えば、20、50、100、200人の被検者)から収集された治療データセット(例えば、血糖制御情報)の統計解析によって決定されてもよい。いくつかの例では、制御パラメータ(例えば、Tmax)は、各コホート内の被検者について直接測定されてもよい(例えば、手動または自動薬剤投与後の血液分析の結果に基づいて)。これらの測定値を使用して、グルコース制御システムで使用される制御パラメータ(例えば、Tmax)の最適値を決定することができる。場合によっては、被検者の血中グルコースレベル(BGL)は、同一またはほぼ同一のグルコース制御システムを使用して、所与の期間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、または他の期間)にわたって制御および記録されてもよい。各コホートの被検者は、グルコース制御システムの制御パラメータに同じ値を使用することができ、一方、異なるコホートの被検者は、同じ制御パラメータの異なる値を使用することができる。その後、所与の期間にわたって測定された治療データセット(例えば、被検者について測定および/または決定された血糖制御情報を含む)を、統計解析を用いて比較し、制御パラメータの最適値を評価することができる。例えば、Tmaxを第1の値に設定することに応じた第1のコホートの被検者の測定された血糖制御を、Tmaxを第2の値に設定することに応じた第2のコホートの被検者の測定された血糖制御と比較することができる。このような比較は、測定された血糖制御間の統計的に有意な差を明らかにすることができる様々な統計解析を含むことができる。例えば、第1および第2のコホートから得られた測定された血中グルコースレベルデータの平均値、分散および/または標準偏差は、正常な血中グルコースレベルを有する被検者(例えば、非糖尿病被検者)の第3のコホートから得ることができる参照値のセットと比較することができる。正確な結果を生成するために、このような臨床研究には、多くの場合、それぞれが多数の被検者(例えば、統計解析を可能にするのに十分な大きさ)を含むいくつかのコホートが必要であり、したがって多数の同一のグルコース制御システムが必要である。例えば、いくつかの研究において、10、20、50、または100の被検者およびグルコースシステムが必要とされ場合がある。したがって、臨床研究に基づいて1つまたは複数の制御パラメータの最適値を決定することは、費用および時間がかかる場合がある。さらに、臨床研究では、典型的には、被検者の固有の生理学的特性およびリアルタイムの生理学的変化を捕捉することができない(いくつかの大きなコホートを含む研究であっても)。
【0305】
BGLをリアルタイムで監視し、被検者に薬剤を自律的または自動的に提供する携帯型グルコース制御システムは、臨床研究で収集されたものと同様の、統計解析に十分な数の
データポイントを含むことができる治療データセットを収集および記憶することがでる。いくつかの例では、治療データは、血糖制御情報(例えば、CGMセンサから受信される)、治療の他の生理学的効果(例えば、被検者センサまたは被検者から得られる)、送達される薬剤の量およびタイプ、薬剤送達時間などを含むことができる。有利には、これらの治療データセットを使用して、グルコース制御システムの1つもしくは複数の制御パラメータの最適値、あるいはデフォルト値、ベースライン値、または臨床的に決定された初期値と比較して改善された糖尿病管理を提供するグルコース制御システムの1つもしくは複数の制御パラメータの値を決定することができる。最適値または改善された値は、臨床研究において使用され得る統計解析のタイプを含む統計解析に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、統計解析は、平均値、分散、標準偏差、様々な統計分布(例えば、以下で図17に関して説明するもの)などの1つまたは複数の統計量を計算することを含むことができる。1つまたは複数の治療期間中に収集された治療データに基づくグルコース制御システムの1つまたは複数の制御パラメータの値のオンボードおよびリアルタイム(またはほぼリアルタイム)評価により、高価で時間のかかる臨床研究の必要性がなくなり、例えば、被検者の固有の生理学的特性およびリアルタイムの生理学的変化を考慮することによって、被検者の糖尿病の維持を改善することができる。さらに、制御パラメータ値のオンボード評価は、臨床検査と比較して、より迅速かつより正確な糖尿病評価および管理を提供する。本明細書に記載される実施形態のいくつかは、グルコース制御システムのユーザインターフェースを介して制御パラメータを調整するためにユーザによって使用され得る1つまたは複数の制御パラメータの最適値を決定するために使用されてもよい。場合によっては、グルコース制御システムは、決定された光学的値を使用して、1つまたは複数の制御パラメータを自律的に調整することができる。
【0306】
グルコース制御システムによって収集される治療データは、血糖制御情報、薬剤送達時間に関する情報、提供される薬剤の用量、薬剤送達時のBGLレベル(例えば、CGMセンサから得られるグルコース信号に基づいて測定される)、被検者に対する薬剤の生理学的効果(例えば、薬剤送達後の時間帯のBGL、被検者評価など)、および被検者に提供される治療から決定され得る任意のタイプのデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、グルコース制御システムは、1つまたは複数の治療期間中に治療データを収集することができる。図15を参照すると、各治療期間(例えば、t1504で開始しt1506で終了する期間)中に収集および記憶された治療データは、CGMトレースG(t)1502、インスリンの送達用量(Ui1508)および送達時間(時間tu,i)、逆調節剤(例えば、グルカゴン)の送達または決定された用量(C1514)および送達時間(tc,i1516)などを含むことができるが、これらに限定されない。治療データは、1つまたは複数のデータセットとして、グルコース制御システムのメモリ(例えば、フラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、ハードディスク、または任意の他のタイプの不揮発性メモリ)に記憶されてもよい。各データセットは、治療データの1つまたは複数のカテゴリ、または治療データが収集された特定の治療期間と関連付けられてもよい。場合によっては、1つまたは複数の制御パラメータの値は、ある治療期間から別の治療期間に変化することがある。例えば、制御パラメータの値は、治療期間または治療期間のグループの開始時に所与の量だけ変化することがある。制御パラメータの値は、グルコースレベル制御システム510によって自動的に、またはユーザインターフェースを介してユーザによって変更されてもよい。場合によっては、制御パラメータは、特定の数の治療期間後に所与の量だけ変更されてもよい。制御パラメータが変更される量は、1つまたは複数の先行する治療期間中に収集された治療データに基づいて決定されてもよい。代替として、または加えて、制御パラメータが変更される量は、ユーザインターフェースを介してユーザによって提供されてもよい。場合によっては、1つまたは複数の治療期間の持続時間は、測定または決定されたデータセットが統計解析に十分な大きさとなるように選択される。いくつかの例では、統計解析を用いて決定された制御パラメータの最適値または改善値に関連付けられた不確実性は、解析に使用されるデータセットのサイズ
に依存する場合がある。
【0307】
いくつかの実施形態では、プロセス1300は、統計解析を用いて、制御パラメータの値(例えば、最適値)を決定することができる。例えば、ブロック1306、ブロック1314において治療効果を決定するために、またはステップ1316において異なる制御パラメータ値から生じる治療効果を比較するために、統計解析を使用することができる。いくつかのこのような例では、ブロック1308において、制御パラメータの第2の値は、第1の治療期間(ブロック1304)中に収集および/または記憶された治療データに対して実施された第1の効果および統計解析の結果に少なくとも部分的に基づいて、ユーザ(例えば、被検者または保護者)によって提供されてもよい。いくつかの例では、ステップ1316において、比較評価を得るために、第1の効果および第2の効果に少なくとも部分的に基づいて、統計解析が実行されてもよい。比較評価は、制御パラメータの値のペアまたはセットのうちの1つが、制御パラメータに使用される他の値と比較して、被検者の改善された血糖制御をもたらすかどうかを判定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ブロック1316において決定された制御パラメータの値は、グルコース制御システム510および/またはグルコース制御システムに(例えば、無線リンクを介して)接続されたコンピューティングシステム(例えば、スマートフォン、ノートブック、パーソナルコンピュータなど)のユーザインターフェースを介して、被検者、保護者または医療提供者に提供することができる。いくつかのこのような実施形態では、被検者、保護者、または医療提供者は、(例えば、ブロック1318において)次の治療期間の前にユーザインターフェースとのインタラクションによって、対応する制御パラメータの値を決定された値に変更することができる。代替として、または加えて、グルコースレベル制御システム510は、制御パラメータの値を決定された値に自動的に変更し、ブロック1318に進んでもよい。いくつかのそのような場合、ユーザは、修正を確認する機会を提供されてもよい。他の場合には、修正は、確認なしに自動的に行われてもよい。しかしながら、修正は、ユーザ(例えば、被検者または医療提供者)に提示されてもよく、および/または治療ログに記録されてもよい。
【0308】
いくつかの例では、第1(ブロック1304)および第2(ブロック1312)の治療期間中に被検者に提供される第1および第2の治療は、複数の治療送達を含んでもよい。第1(ブロック1304)および第2(ブロック1312)治療期間中に、第1および第2の第1治療データは、制御システム510によって取得されてもよい。いくつかのそのような場合、治療データは、対応する治療期間中に受信されたグルコース信号を少なくとも含む血糖制御情報を含むことができる。第1の効果を決定することは、各期間中に提供される複数の治療中に収集された治療データの統計的特性を計算することを含むことができる。例えば、制御システム510は、測定されたBGLの平均値、平均値からの偏差、および分散を計算することができる。場合によっては、制御システム510は、平均血中グルコースレベルおよびベースラインレベルからのその偏差を定量化するために、1つまたは複数の量(例えば、統計量)を計算することができる。いくつかの実施形態では、制御システム510は、血糖制御の変動および関連付けられたリスク(例えば、低血糖症または高血糖症のリスク)を評価するために、または平均血中グルコースレベルおよびベースライン(例えば、正常)レベルからのその偏差を定量化するために、1つまたは複数の量(例えば、統計量)を決定することができる。場合によっては、第2の期間の持続時間は、第1の期間の持続時間と等しくてもよい。代替として、または加えて、各期間の持続時間は、各期間が、被検者に提供される同じ数の治療を含むように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、各期間の持続時間は、治療がその時間帯に投与される回数が、統計的に有意な評価を可能にするのに十分に多くなるように選択することができる。場合によっては、ブロック1316において、第1の効果と第2の効果との比較は、第1および第2の期間中に収集されたデータに基づいて生成された統計データの統計解析を含むことができる。
【0309】
いくつかの例では、1つまたは複数の制御パラメータの最適値に加えて、制御システムは、最適化プロセス中に計算された統計量を含むことができる制御パラメータ最適化レポートを生成することができる。さらに、レポートは、治療データおよび関連するリスク評価のグラフ表示を含むことができる。いくつかのこのような例では、このレポートは、決定された最適なパラメータ値を選択することに関連する決定を行うために、被検者または医療提供者によって使用されてもよい。さらに、制御パラメータ最適化レポートは、被検者の血糖制御を管理するための全体的な戦略を修正するために、被検者または医療提供者によって使用され得る情報を含むことができる。例えば、食事時間、被検者が摂取する食事の内容または量などを修正すること。
【0310】
図17は、治療期間中の治療データ1705、および制御システム1703の既知のパラメータを使用して、プロセス1300のブロック1306および1314において生成および利用され得る統計量のいくつかの例を示す。いくつかの実施形態では、治療期間中、ある制御パラメータの値は、ベースライン値(例えば、以前の臨床研究の結果)または以前に決定された値(例えば、異なる制御パラメータ修正および/または最適化プロセスによって)に基づいて、固定および/または選択されてもよい。図15を参照すると、図17に示す例では、Gmin1722(正常BGLの下限)、Gmax1720(正常BGLの上限)、およびGset 1724(目標BGL)は、被検者、ユーザ、医療提供者によって提供されるか、または臨床データセットに基づいてコンピューティングシステムによって決定される既知の値であると仮定されている。例えば、Gmin1722は65mg/dL~75mg/dLであってよく、Gmax1720は175mg/dL~185mg/dLであってよく、Gset1724は70mg/dL~180mg/dLであってよい。いくつかの例では、Gset1724は、前の最適化プロセス(例えば、プロセス1300)によって決定された値(例えば、最適値)であってもよい。G(t)1702(CGM曲線または測定された血糖制御)、U1708、tu,i1710、C1514およびtc,i1716は、治療期間中に収集された治療データに含まれてもよい。いくつかの例では、治療データ1705を使用して、様々なタイプの統計量を生成することができる。例えば、治療データ1705を使用して、特定の測定値または決定値の確率分布(例えば、離散的または連続的)および/または頻度分布(例えば、絶対的、相対的、または累積的)を生成することができる。例えば、グルコース濃度1726(例えば、グルコース信号が、選択された範囲内にあった治療期間の部分)、グルコース変化率1728(例えば、グルコース変化率信号が、選択された範囲内にあった治療期間の部分)、インスリン用量1730(選択された用量範囲内で提供されたインスリン用量のパーセント)、グルカゴン用量1732(選択された用量範囲内で提供されたグルカゴン用量のパーセント)、高血糖症1734(グルコース信号が、選択された範囲内の量だけGmaxを上回ったことが検出された高血糖症イベントのパーセント)、低血糖症1736(グルコース信号が、選択された範囲内の量だけGminを下回ったことが検出された低血糖症イベントのパーセント)などに関連付けられた分布などである。いくつかの例では、これらの統計分布の1つまたは複数の特徴(平均値、分散、平均からの偏差など)またはこれらの統計分布のいくつかの特徴の特定の組合せを使用して、治療の効果を決定(例えば、定量化)することができる。いくつかの例では、特定の統計データ(例えば、ヒストグラム)を生成するために考慮される治療データをフィルタリングして、特定のイベント中に収集されたデータポイントを除外することができる。例えば、食事時間中、運動中などである。いくつかの例では、これらのイベントに関連付けられた時間ビンは、ユーザインターフェースを通じてユーザによって指定されてもよい。
【0311】
いくつかの実施形態では、統計解析は、異なる制御パラメータ値の効果を比較することができる解析方法およびツールを含むことができる。本明細書に記載される実施形態の1つまたは複数とともに使用することができる解析方法およびツールのいくつかの例は、参
照によりその全体が本明細書に組み込まれる、論文「Statistical Tools to Analyze Continuous Glucose Monitor Data」(W.Clarke et al.,Diabetes Technology and Therapeutics,vol.11,S45-S54,2009)に記載されている。治療期間中に測定された複雑で大量の血糖制御情報からの情報の抽出を容易にすることができる方法およびツールの例を本明細書で論じる。場合によっては、統計解析に使用される治療データは、被検者のグルコーストレースまたはG(t)を含む。いくつかの例では、G(t)は、CGMセンサから受信したタイムスタンプ付きの一連の血糖データであってもよい(図17参照)。いくつかの例では、CGMから得られたグルコース信号は、特定のデバイスの分解能によって決まるステップ(例えば、2分ごと、5分ごと、10分ごとなどの読み取り)でG(t)を近似する離散的な時系列として血中グルコースレベルを表すことができる。いくつかの例では、治療データ(例えば、CGMセンサから受信したグルコース信号)に対して統計解析を実行して、(1)平均血中グルコースレベルおよび正常血糖制御からの偏差(正常血糖と呼ばれることもある)、(2)変動性およびリスク評価、ならびに(3)食後グルコース変動および低血糖発現などの臨床イベントに関連する評価(例えば、比較評価)を提供することができる。いくつかの実施形態では、評価は、2つの時間帯に収集された2組の治療データに基づいて行われてもよい。いくつかのこのような例では、評価は、被検者の血糖制御が第1の治療期間から第2の治療期間に改善されたかどうかを判定するために、制御システム510によって使用されてもよい。いくつかの例では、評価は、1つまたは複数の時間帯の被検者の血糖制御を評価するために医療提供者によって使用されてもよい。
【0312】
場合によっては、血中グルコース制御システムは、平均血中グルコースの3つの値、すなわち、平均値(例えば、治療期間または治療期間の一部の間に測定されたG(t)全体について計算される)、食前平均値(例えば、食後60~120分の時間窓について計算される)、および食後平均値(例えば、食前0~60分の時間窓について計算される)を決定することができる。食前および食後平均値ならびに平均値間の差の計算は、食前ボーラスタイミングおよびボーラス量の全体的有効性の指標として役立ち得る。いくつかの例では、目標または正常血糖からの偏差は、予め設定された目標限界値(例えば、Gmin=70およびGmax=180mg/dL)内で、それを下回って、またはそれを上回って費やされた時間のパーセンテージを決定することによって評価されてもよい。いくつかの例では、各範囲内の時間のパーセンテージは、連続するグルコース測定値間の線形補間を介して計算されてもよい。いくつかの他の例では、追加の範囲内の時間のパーセンテージを計算することができる。いくつかのこのような例では、極度の低血糖症および高血糖症の発生の確率も評価することができる。血中グルコースレベルの変動を定量化するために、いくつかの例では、標準偏差および分散を用いて、BGLの変動を計算することができる。場合によっては、グルコース変動と低血糖症および高血糖症のリスクとの関係に着目した場合、全体的なグルコース変動の尺度として役立ち得るリスク指数を定義することができる。いくつかの例では、個々の関数を計算して、全体的なグルコース変動を、低血糖症および高血糖症への変動に関連する2つの独立したセクションに分割し、同時に、これらの変動がもたらすリスクに関してこれらの変動の振幅を等しくすることができる。例えば、180から250mg/dLへのBGL遷移は、70から50mg/dLへの遷移よりも3倍大きいように見えるかもしれないが、リスクに換算すると、これらの変動は等しいように見えるであろう。場合によっては、BGL変化率(例えば、mg/dL/分で測定される)の分析を用いて、BGL変動の動態を分単位の時間スケールで評価することができる。換言すれば、これは、上述した「グローバル」な特性とは対照的に、システムの「局所的」な特性の評価である。いくつかの例では、局所的な特性は、値BGL、その1次導関数、または場合によっては2次導関数(加速度)によって、任意の時点の近傍で評価することができる。
【0313】
いくつかの例では、治療データの統計解析に加えて、プロセス1300のブロック1306、1314、および1316において、第1または第2の治療期間中に提供されたユーザ入力の統計解析が、治療効果を決定または比較する際に使用されてもよい。例えば、被検者が特定の症状を示した回数および時刻を使用して、治療効果を決定することができる。
【0314】
場合によっては、プロセス1300のブロック1306、1314、および1316における治療データの統計解析に加えて、1つまたは複数の被検者センサ(例えば、スマートウォッチ、体重センサなど)から受信した生物医学的または生理学的データの統計解析が、治療効果を決定または比較する際に使用されてもよい。例えば、被検者の体温、血圧、心拍数)、体重センサ、または任意の他のタイプの生物医学的センサからのものである。
【0315】
いくつかの例では、プロセス1300を修正して、統計的評価が、Tmaxのさらなる減少が低血糖症の確率を増加させることなく平均グルコースレベルを改善しないことを示すまで、一連の治療期間における各治療期間後にTmaxを減少させる(治療の積極性を高める)ことによって、Tmaxの最適値、または被検者の糖尿病の改善された維持を提供するTmaxの値を決定することができる。被検者の糖尿病の改善された維持は、平均グルコースレベルを設定値グルコースレベル範囲により近く維持すること、または平均グルコースレベルの経時的な変動を以前の制御値(例えば、Tmax)設定と比較して低減することを含んでもよい。他の測定基準を使用して、糖尿病の影響または対応するリスクを増加させることなく、低血糖症リスクイベントを減少させることまたはインスリン投与を減少させることなど、被検者の糖尿病の維持の改善を測定することができることを理解されたい。
【0316】
図18は、特定の実施形態による、例示的な自動制御パラメータ改良プロセスのフローチャートを提示する。プロセス1800は、被検者512に施された治療に関するフィードバック(例えば、血中グルコース信号からの)に基づいて、制御アルゴリズムおよび/または制御アルゴリズムの実行に影響を与える制御パラメータを自律的ならびに/あるいは自動的に修正することができる任意のシステムによって実行されてもよい。例えば、プロセス1800は、グルコースレベル制御システム510の1つまたは複数の要素によって実行されてもよい。場合によっては、プロセス1800の少なくとも特定の動作は、グルコースレベル制御システム510から血中グルコースデータを受信する別個のコンピューティングシステムによって実行されてもよい。1つまたは複数の異なるシステムがプロセス1800の1つまたは複数の動作を実行することができるが、説明を簡単にするため、および本開示を限定するためではなく、プロセス1800は、特定のシステムに関して説明される。
【0317】
プロセス1800は、自動的に、かつユーザインタラクションなしで実行されてもよい。場合によっては、ユーザは、コマンドまたはユーザインターフェースとのインタラクションを介してプロセス1800をトリガすることができる。しかしながら、プロセス1800がトリガされると、プロセス1800は自動的に実行されてもよい。さらに、プロセス1800は、連続的に、周期的に、またはトリガに応答して実行されてもよい。トリガは、時間に基づくものであってもよく、および/または被検者のグルコースレベルの測定に基づくものであってもよい。例えば、トリガは、被検者のグルコースレベルが、薬剤の投与に基づいてグルコースレベル制御アルゴリズムによって予測された予測グルコースレベルとしきい値を超えて異なるという決定に対応してもよい。さらに、トリガは、被検者512によるグルコースレベル制御システム510の起動または最初の使用に基づくものであってもよい。
【0318】
いくつかの実施形態において、グルコースレベル制御システム510は、グルコース制御システム510の1つまたは複数の制御パラメータを調整して、被検者の血糖制御を改善するためにプロセス1800を実行することができる。制御パラメータは、グルコースレベル制御システム510の動作および/またはグルコースレベル制御システム510の制御アルゴリズムの実行に影響を与える任意の制御パラメータを含むことができる。いくつかのこのような実施形態では、被検者の血糖制御を改善することに加えて、プロセス1800は、被検者の低血糖症のリスクを考慮に入れることができる。いくつかの実施形態では、プロセス1800は、プロセス1300に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0319】
プロセス1800は、ブロック1802で始まり、グルコース制御システムの制御パラメータ(例えば、最適化されるように選択されたグルコース制御システムのTmaxまたは他の制御パラメータ)の初期値が選択される。制御パラメータは、グルコース制御システム510の制御アルゴリズムPKによって使用される薬物動態(PK)モデルの制御パラメータとすることができる。いくつかの例では、制御パラメータは、インスリン用量の投与後に被検者の血漿中のインスリンが特定の濃度レベルに達するまでの時間であってもよい。場合によっては、制御パラメータの初期値は、第1の治療期間の前の時間帯に送達された治療、臨床値、または被検者の体重に基づいてもよい。
【0320】
いくつかの例では、制御パラメータの初期値は、プロセス1300のブロック1304に関して説明した実施形態のうちの1つまたは複数を使用して選択することができる。いくつかの実施形態では、制御パラメータは、被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために、グルコース制御システムの制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータであってもよい。いくつかの実施形態では、制御パラメータは、グルコース・レベル・センサ(例えば、SGMセンサ)から受信したグルコースレベル信号に基づいて、被検者の血中グルコース変動に対する制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御するために使用されてもよい。
【0321】
ブロック1804において、制御システム510は、グルコースレベル信号および制御パラメータの初期値に少なくとも部分的に基づいて第1の治療期間中に治療を提供することができる。いくつかの実施形態では、ブロック1804は、プロセス1300のブロック1304に関して前述した実施形態のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の治療データは、第1の治療の送達からもたらされる血糖制御情報を含むことができる。いくつかの例では、システムは、第1の治療期間中に生成された治療データのすべてまたは一部を制御システム510のメモリに記憶することができる。いくつかの例では、ブロック1804において提供される治療は、複数の薬剤送達を含むことができる。
【0322】
ブロック1806において、制御システム510は、ブロック1804において収集され記憶された第1の治療データの統計解析を用いて、第1の治療期間中に提供された治療の治療効果を決定することができる。いくつかの例では、統計解析は、図17を参照して上述した統計量を計算することを含んでもよい。場合によっては、統計解析は、ブロック1804において、特定の測定および/または計算されたパラメータ間の回帰分析を含むことができる。いくつかのこのような例では、回帰分析は、自己回帰モデルを決定することを含むことができる。いくつかの例では、制御システム510は、プロセス1300のブロック1306に関して説明した実施形態のうちの1つまたは複数を使用して治療効果を決定することができる。
【0323】
ブロック1808において、制御システム510は、ブロック1802において選択された初期値または最後の治療期間に使用された値と比較して、制御パラメータの値を修正
することができる。いくつかの例では、修正値は、治療をより積極的にする(例えば、有意な量だけ積極的にする)値であってもよい。例えば、制御パラメータがTmaxである場合、ブロック1808において、Tmaxの値は、以前の治療期間において使用された値(例えば、初期値または最後に修正された値)よりも少ない量(例えば、5分、10分、15分、またはそれ以上)に低減されてもよい。いくつかの例では、制御パラメータの修正された値は、ユーザインターフェースとのユーザインタラクションに応答して、血中グルコース制御システムのユーザインターフェースから受信することができる。以前の治療期間は、第1の治療期間または任意の以前の治療期間であってもよい。いくつかの例では、Tmaxの値は、有意な量(例えば、10分、15分、または他の値)だけ下げられてもよい。さらに、Tmaxが低減される量は、プロセス1800の以前の反復中の以前の低減よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、制御パラメータは、ユーザによるアクションなしに自動的に修正されてもよい。場合によっては、制御パラメータを修正することにより、被検者に投与されるインスリンの注入のタイミング、用量サイズ、または速度を変更することができる。
【0324】
ブロック1810において、制御システム510は、グルコース信号およびブロック1808から受信した制御パラメータの修正値に少なくとも部分的に基づいて、被検者に治療を提供する。いくつかの例では、(ブロック1810における)治療期間の持続時間は、1つまたは複数の以前の治療期間の持続時間と等しくてもよい。いくつかの他の実施例では、治療期間の持続時間は、1つまたは複数の以前の治療期間中に送達された治療の決定された治療効果に基づいて決定されてもよい。いくつかの例では、ブロック1810において、システムは、治療期間中に生成された治療データのすべてまたは一部を記憶することができる。いくつかの例では、ブロック1810において提供される治療は、複数の薬剤送達を含むことができる。場合によっては、治療データは、治療の送達からもたらされる血糖制御情報を含むことができる。
【0325】
ブロック1812において、制御システム510は、最後の治療期間中にブロック1810において提供された治療の治療効果を決定する。いくつかの例では、治療効果は、ブロック1810において取得され記憶された治療データに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。いくつかの例では、制御システム510は、プロセス1300のブロック1306に関して説明した実施形態のうちの1つまたは複数を使用して治療効果を決定することができる。
【0326】
ブロック1814において、制御システム510は、最後の治療期間と最後の治療期間の前の治療期間とに提供され記憶された治療の決定された治療効果に少なくとも部分的に基づいて統計解析を実行して、比較評価を得る。いくつかのこのような例では、比較評価は、決定された効果および対応する治療期間中に収集された治療データの統計解析に基づくことができる。いくつかの例では、統計解析は、治療データを使用して統計量(例えば、図17に示す分布)を生成することを含むことができる。いくつかの例では、統計解析は、上述した解析方法を含むことができる。いくつかのこのような例では、統計データの1つまたは複数の特性を使用して、治療効果を比較することができる。いくつかの例では、統計解析は、最後の2回の治療期間に取得された治療データまたは最後の2回の期間中に提供された治療の決定された効果に基づいて、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、割合、比、または確率のうちの1つまたは複数を計算することを含むことができる。
【0327】
判定ブロック1816において、制御システム510は、ブロック1814から受け取った比較評価に少なくとも部分的に基づいて、制御システム510は、最後の治療期間中に使用された制御パラメータの値が、最後の治療期間の前の治療期間と比較して被検者の血糖制御を改善したかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、制御システム510は、制御パラメータの修正された値が血糖制御の統計的に有意な改善をもた
らしたかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、制御システム510は、制御パラメータの修正された値が、被検者の生理学的パラメータの改善をもたらしたかどうかを判定することができる。これらの実施形態では、生理学的パラメータは、グルコース・レベル・センサから受信したグルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。
【0328】
制御システム510が、判定ブロック1816において、被検者の血糖制御が改善されていないと判定した場合、制御システム510は、ブロック1810に戻り、それ以上修正することなく、制御パラメータの最後に修正された値に基づいて被検者に治療を提供し続けてもよい。
【0329】
判定ブロック1816において、制御システム510が、最後の治療期間中に使用された制御パラメータの値が、最後の治療期間の前の治療期間と比較して被検者の血糖制御を改善したと判定した場合、制御システム510は判定ブロック1818に進む。場合によっては、血糖制御の改善は、システム510がブロック1818に進む前に、しきい値レベルよりも大きくなければならない。場合によっては、制御システムは、制御パラメータの修正された値が、制御パラメータの第1の値と比較して血中グルコース変動の発生の低減をもたらす場合、ブロック1818に進む。
【0330】
判定ブロック1818において、制御システム510は、低血糖症イベントの頻度および/または重症度が、最後の治療期間中に、最後の治療期間の前の治療期間と比較して増加しているかどうかを判定することができる。いくつかの例では、制御システム510が、低血糖症イベントの頻度および/または重症度が最後の治療期間中に増加した(例えば、しきい値の数または量を超えて)と判定した場合、制御システム510は、ブロック1810に戻り、それ以上修正することなく、制御パラメータの最後の修正値に基づいて被検者に治療を提供し続けてもよい。判定ブロック1818において、制御システムが、低血糖症イベントの頻度および/または重症度の変化が無視できる(例えば、しきい値の数または量を下回る)と判定した場合、制御システムは、ブロック1808に進むことができ、制御システム510は、制御パラメータの値を修正する。いくつかの例では、修正値は、より積極的な治療をもたらす値であってもよい(例えば、Tmaxの値が低減されてもよい)。いくつかのこのような例では、制御パラメータが変更される量は、1つまたは複数の以前の修正における削減量よりも小さくてもよい。
【0331】
いくつかの例では、ブロック1818において、制御システムは、低血糖症以外の1つまたは複数のイベントのリスク、または頻度および重症度を決定することができる。例えば、制御システムは、被検者の血糖制御の改善にもかかわらず、グルコース濃度の速度および大きさがしきい値を超えて増加したと判定することがある。いくつかのこのような例では、これらの追加のリスク判定を使用して、制御パラメータの最後の値を維持するかまたは修正するかを判定してもよい。
【0332】
いくつかの実施形態では、プロセス1800の修正版が、グルコース制御システムによって使用されてもよく、プロセスは、ブロック1816で停止し、制御システムは、ユーザ入力を受け取るまで、制御パラメータの最後に修正された値に基づいて治療を提供し続ける。いくつかのこのような例では、(ブロック1808で修正された)制御パラメータの最後の値、ブロック1814で実行された比較に基づいて生成された比較評価の結果(例えば、被検者の血糖制御に統計的に有意な改善が最後の制御パラメータの変化からもたらされたかどうか)は、グルコース制御システム510および/またはグルコース制御システムに(例えば、無線リンクを介して)接続されたコンピューティングシステム(例えば、スマートフォン、ノートブック、パーソナルコンピュータなど)のユーザインターフェースを介して、被検者、保護者または医療提供者に出力されてもよい。いくつかのこの
ような実施形態では、比較評価の結果に少なくとも部分的に基づいて、被検者、保護者、または医療提供者は、次の治療期間の前に、対応する制御パラメータの値(例えば、ユーザインターフェースとのインタラクション)を変更することができる。
【0333】
いくつかの例では、治療効果を判定するために(例えば、プロセス1300のブロック1306および1312、ならびにプロセス1800のブロック1806および1812において)、または治療効果を比較するために(例えば、プロセス1300のブロック1316およびプロセス1800のブロック1814において)使用される統計解析は、回帰分析を含んでもよい。いくつかの例では、回帰分析を使用して、治療期間中に計算および/または測定されたパラメータ間の関係を見出すことができる。例えば、図17を参照すると、回帰分析を使用して、治療期間中に提供される複数の治療について、Uとグルコース濃度変化率との関係を見出すことができる(例えば、t付近のG(t)を使用して)。場合によっては、1つまたは複数の回帰分析の結果を最適化プロセスで使用して、制御パラメータの値を決定することができる。
【0334】
いくつかの例では、1つまたは複数の治療期間中に捕捉および記憶された治療データは、各時間間隔が24期間内の実質的に同一の特定の開始および終了時刻に開始および終了する等しい時間間隔に分割されてもよい。いくつかのこのような例では、自己回帰モデルは、特定の開始時刻と終了時刻との間の時間間隔にわたる血糖制御について導出することができる。その後、得られた自己回帰モデルを用いて、血糖制御が以前の治療期間と比較して改善されたかどうかを判定することができる。場合によっては、得られた自己回帰モデルを用いて、後続の治療期間(自己回帰モデルが決定された期間の後の治療期間)において、1つまたは複数の制御パラメータに追加の調整を行うことができる。
【0335】
いくつかの例では、治療データの統計解析の結果を用いて、CGMセンサによって生成される精密グルコース信号を評価することができる。
【0336】
上述したように、いくつかの例では、グルコース制御システムは、最適化プロセス中に計算された統計量の一部または全部、治療データおよび関連するリスク評価の統計解析の結果ならびにグラフ表示を含むことができる制御パラメータ最適化レポートを生成することができる。いくつかのこのような例では、グルコース制御の観点からグループレベルでのCGMデータの変動を可視化するために、制御変動性グリッド分析(CVGA)が制御パラメータ最適化レポートに含まれてもよい。いくつかの例では、グラフは、例えば、平均血糖および目標値からの偏差を可視化するために、変動性およびリスク評価を可視化するために、ならびにイベントベースの臨床特性を可視化するために、独特のグラフ群を含んでもよい。いくつかの他の例では、グラフデータは、平均血糖、および目標グルコーストレースからの偏差、ならびに予め設定された目標範囲未満、目標範囲内、または目標範囲を超えて費やされた時間を表す集約グルコーストレースを表し、血糖しきい値の交差を可視化することができる。さらに他の例では、制御パラメータ最適化レポートは、変動性およびリスク評価データを表すグラフを含むことができる。例えば、本質的な分散を強調するためにリスクトレースが提示されてもよい(例えば、低血糖症および高血糖症に向かうグルコース偏差のサイズを等しくすること、大きなグルコース変動を強調すること、および変動を目標範囲内に抑制することによって)。いくつかの他の実施例では、血中グルコース変化率のヒストグラムが、例えば、グルコース遷移の広がりおよび範囲を提示するために、レポートに含まれてもよい。さらに他の例では、制御パラメータの異なる値にも関連付けられ得る異なる治療期間中のグルコース信号の安定性を可視化するために、ポアンカレプロット(Poincare’ plot)がレポートに含まれてもよい。
【0337】
例示的な実施形態
以下は、例示的な番号付けされた実施形態の複数のセットのリストである。例示的な実
施形態の以下のリストに記載される特徴は、本明細書に開示される追加の特徴と組み合わせることができる。さらに、以下のリストにおける例示的な番号付けされた実施形態の各セットは、以下のリストからの例示的な番号付けされた実施形態の1つまたは複数の追加のセットと組み合わせることができる。さらに、例示的な実施形態の以下のリストに具体的に記載されておらず、以下に列挙される実施形態と同じ特徴を含まない特徴の追加の発明的組合せが本明細書に開示される。簡潔にするために、例示的な実施形態の以下のリストは、本開示のすべての発明的態様を特定するものではない。例示的な実施形態の以下のリストは、本明細書に記載される任意の主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではない。
1.少なくともインスリン療法を被検者に送達するように構成された薬剤ポンプを使用して、ある期間にわたる総炭水化物療法の指標を生成するコンピュータ実装方法であって、
少なくともインスリン療法を前記被検者に送達するように構成された前記薬剤ポンプのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記被検者のグルコースレベルを受信するステップと、
前記グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したと判定するステップであり、前記トリガイベントが低血糖症の切迫したリスクが前記被検者に存在すること、または低血糖症の発現が前記被検者に存在することを示す、ステップと、
低血糖症の前記切迫したリスクまたは低血糖症の前記発現に応答するために逆調節剤の量を決定するステップと、
前記逆調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定するステップと、
複数の低血糖症リスクイベントまたは低血糖症発現を含む期間にわたって、炭水化物療法の決定された用量を追跡して、前記期間にわたる総炭水化物療法の前記指標を生成するステップと、
総炭水化物療法の前記指標を出力するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
2.低血糖症の前記切迫したリスクまたは低血糖症の前記発現に応答して、前記逆調節剤の前記量を前記被検者に提供するステップをさらに含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
3.前記グルコースレベルがしきい値グルコースレベルを満たすかまたは下回ることに応答して、前記逆調節剤の前記量を前記被検者に提供するステップをさらに含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
4.前記しきい値グルコースレベルが低血糖症イベントに対する前記被検者のリスク許容度に基づいて設定される、実施形態3に記載のコンピュータ実装方法。
5.総炭水化物療法の前記指標が前記被検者によって摂取された炭水化物の減少に対応する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
6.総炭水化物療法の前記指標が前記逆調節剤の利用可能性によって達成可能な炭水化物の減少に対応する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
7.総炭水化物療法の前記指標が炭水化物の代替物として前記被検者に提供される逆調節剤の量に対応する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
8.総炭水化物療法の前記指標が炭水化物の範囲の指標を含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
9.炭水化物療法の前記用量を決定するステップが、
前記逆調節剤と炭水化物との間のマッピングにアクセスするステップと、
前記マッピングおよび前記逆調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の前記用量を決定するステップと、
を含む、実施形態1のコンピュータ実装方法。
10.前記マッピングが前記炭水化物のタイプに少なくとも部分的に基づく、実施形態
9に記載のコンピュータ実装方法。
11.前記マッピングが前記逆調節剤と前記炭水化物との臨床比較に基づいて生成される、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
12.前記マッピングが前記被検者の生理学的特性に少なくとも部分的に基づく、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
13.前記マッピングが前記逆調節剤のタイプに少なくとも部分的に基づく、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
14.前記マッピングが前記逆調節剤を前記炭水化物に関連付ける式を含む、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
15.前記マッピングが、前記薬剤ポンプが前記被検者に逆調節剤療法を送達するように構成されたバイホルモンポンプを含む場合に第1のマッピングを含み、前記マッピングが、前記薬剤ポンプが前記被検者に前記逆調節剤療法を送達するように構成されていない場合に第2のマッピングを含む、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
16.総炭水化物療法の前記指標が、カロリーの指標、炭水化物の指標、糖の尺度の指標、食物の量の指標、または前記炭水化物療法に起因する前記被検者の体重の指標のうちの1つまたは複数を含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
17.前記期間が、特定の時間帯、前記複数の低血糖症リスクイベントに含まれるイベントの数、または前記複数の低血糖症発現に含まれる発現の数に対応する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
18.前記被検者におけるある期間にわたる総炭水化物療法の指標を生成するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
前記被検者に薬剤を注入するように構成された薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースであり、前記薬剤が少なくともインスリンを含む、薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者のグルコースレベルを受信し、
前記グルコースレベルに少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースレベルを上昇させるトリガイベントが発生したと判定し、前記トリガイベントが低血糖症の切迫したリスクが前記被検者に存在すること、または低血糖症の発現が前記被検者に存在することを示し、
低血糖症の前記切迫したリスクまたは低血糖症の前記発現に応答するために逆調節剤の量を決定し、
前記逆調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の用量を決定し、
複数の低血糖症リスクイベントまたは低血糖症発現を含む期間にわたって、炭水化物療法の決定された用量を追跡して、前記期間にわたる総炭水化物療法の前記指標を生成し、
総炭水化物療法の前記指標を出力する、
ように構成されたハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
19.前記ハードウェアプロセッサが、前記グルコースレベルが前記トリガイベントに対応するしきい値を満たさないことを示す、前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサから受信したグルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記薬剤ポンプを動作させて前記被検者の血中グルコースレベルを制御するように構成された、逆調節剤投薬信号の自動生成のための制御アルゴリズムを動作させるようにさらに構成されている、実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
20.前記メモリが、前記逆調節剤と前記炭水化物との間のマッピングを記憶するようにさらに構成され、前記ハードウェアプロセッサが、
前記メモリから前記マッピングにアクセスし、
前記マッピングおよび前記逆調節剤の前記量に少なくとも部分的に基づいて炭水化物療法の前記用量を決定する、ようにされに構成されている、
実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
21.前記マッピングが、前記逆調節剤を前記炭水化物に関連付けるアルゴリズムを含む、実施形態20に記載の自動血中グルコース制御システム。
22.前記期間が、特定の時間帯、前記複数の低血糖症リスクイベントに含まれるイベントの数、または前記複数の低血糖症発現に含まれる発現の数に対応する、実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
【0338】
本開示のさらなる実施形態は、以下の番号付けされた実施形態を考慮して説明することができる。
1.血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法であって、
前記血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップと、
第1の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップであり、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御する、ステップと、
前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップであり、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することを含む、ステップと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップであり、前記自律的に生成された第2の値が前記第1の値および前記第1の効果に基づく関数として決定される、ステップと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に変更するステップと、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第2の治療を前記被検者に送達させるステップであって、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
2.前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値または前記制御パラメータの前記第2の値の一方をアクティブな制御パラメータ値として選択するステップと、
前記アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の治療期間中に前記被検者に治療を提供するように前記血中グルコース制御システムを構成するステップであって、前記アクティブな制御パラメータ値の前記選択が、前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
をさらに含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
3.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御制御パラメータが、前記制御アルゴリズムによる前記被検者におけるインスリンの蓄積の計算において使用される少なくとも1つの時定数に関連する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
4.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが前記被検者におけるインスリン減少率に対応する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
5.前記第1の治療期間が、複数の治療インスタンスの前記投与に対応する時間帯を含
み、前記第1の治療が前記複数の治療インスタンスを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
6.前記制御パラメータを前記第2の値に修正するステップが、前記第2の治療期間中に投与されるインスリンのタイミング、投与量サイズ、または投与レートのうちの1つまたは複数を修正する、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
7.前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の治療期間の前の時間帯に送達された治療、臨床値、または前記被検者の体重のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づく、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
8.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血漿中のインスリンがインスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、実施形態1のコンピュータ実装方法。
9.血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法であって、
前記血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
第1の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップであり、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、ステップと、
前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップであり、前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップを含む、ステップと、
前記制御パラメータのベースライン値と前記被検者の血糖制御に基づいて定義された関数の出力とに少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップであり、前記グルコースレベル信号が前記第1の治療期間中の前記被検者の前記血糖制御の指標を含む、ステップと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に変更するステップと、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第2の治療を前記被検者に送達させるステップであり、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
10.前記ハードウェアプロセッサによって、
前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値または前記制御パラメータの前記第2の値の一方をアクティブな制御パラメータ値として選択するステップと、
前記アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の治療期間中に前記被検者に治療を提供するように前記血中グルコース制御システムを構成するステップであって、前記アクティブな制御パラメータ値の前記選択が、前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
をさらに含む、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
11.前記第1の治療が前記第1の治療期間にわたって施される複数の治療インスタンスを含む、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
12.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血液内のインスリンがインスリン用量の投与に起因する特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、実施形態9に記載のコンピュータ実装方法。
13.血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法であって、
前記血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハ
ードウェアプロセッサによって、
第1の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第1の治療を被検者に送達させるステップであり、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達される、ステップと、
前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップであり、前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップを含む、ステップと、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成するステップであり、前記自律的に生成された第2の値がベースライン値に少なくとも部分的に基づく関数として決定される、ステップと、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に変更するステップと、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第2の治療を送達させるステップであり、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップと、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較を人間によるアクションなしに自律的に実行するステップと、
前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値または前記制御パラメータの前記第2の値の一方をアクティブな制御パラメータ値として選択するステップと、
前記アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、第3の治療期間中に前記被検者に治療を提供するように前記血中グルコース制御システムを構成するステップであって、前記アクティブな制御パラメータ値の前記選択が、前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
14.前記制御パラメータの前記第2の値が前記グルコースレベル信号によって示される血糖制御に少なくとも部分的に基づく、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
15.前記ベースライン値が前記制御パラメータの前記第1の値を含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
16.前記制御パラメータの前記第1の値が前記ベースライン値に少なくとも部分的に基づいて決定される、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
17.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行するステップをさらに含み、前記比較が前記第2の効果を決定することに応答して実質的にリアルタイムで実行される、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
18.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行するステップをさらに含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が前記第1の効果と前記第2の効果との統計的比較を実行することを含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
19.前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較を実行するステップをさらに含み、前記第1の効果と前記第2の効果との前記比較が少なくとも前記第1の効果と前記第2の効果との回帰分析を実行することを含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
20.前記制御パラメータの前記第2の値が、皮下投与されたインスリンの前記被検者の血液への吸収時間と血糖制御関数との間の回帰分析の実行に基づいて選択することができ、前記血糖制御関数が前記グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づく、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
21.治療を被検者に提供させる用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータを自律的に修正するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
前記被検者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令および治療データを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信し、
第1の治療期間中に第1の治療を前記被検者に送達させ、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御し、
前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定し、前記第1の効果を決定することが、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコースの血糖制御を分析することを含み、
前記制御パラメータの第2の値を自律的に生成し、前記自律的に生成された第2の値が、前記第1の値および前記第1の効果に基づく関数として決定され、
前記制御パラメータを前記第1の値から前記第2の値に変更し、
第2の治療期間中に第2の治療を前記被検者に送達させ、前記第2の治療が、前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが、前記被検者に提供される前記治療を修正する、
ように構成された、ハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
22.前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定し、
前記第1の効果と前記第2の効果との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第1の値または前記制御パラメータの前記第2の値の一方をアクティブな制御パラメータ値として選択し、
前記アクティブな制御パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて第3の治療期間中に前記被検者に治療を提供し、前記アクティブな制御パラメータ値の前記選択が前記被検者に提供される前記治療を修正する、
ようにさらに構成されている、
実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
23.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記制御アルゴリズムによる前記被検者におけるインスリンの蓄積の計算において使用される少なくとも1つの時定数に関連する、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
24.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者におけるインスリン減少率に対応する、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
25.前記第1の治療期間が複数の治療インスタンスの投与に対応する時間帯を含み、前記第1の治療が前記複数の治療インスタンスを含む、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
26.前記制御パラメータを前記第2の値に修正することが、前記第2の治療期間中に投与されるインスリンの投与のタイミング、用量サイズ、または速度のうちの1つまたは複数を修正する、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
27.前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の治療期間の前の時間帯に送達された治療、臨床値、または前記被検者の体重のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づく、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
28.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血漿中のインスリンが、インスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
29.前記制御パラメータがTmaxまたはT1/2に対応する、実施形態21に記載の自動血中グルコース制御システム。
【0339】
本開示のさらなる実施形態は、以下の番号付けされた実施形態を考慮して説明することができる。
1.血中グルコース制御システムを使用して被検者に提供される治療を修正するコンピュータ実装方法であって、
前記血中グルコース制御システムのための用量制御信号を生成するように構成されたハードウェアプロセッサによって、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信するステップと、
第1の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって第1の治療を前記被検者に送達させるステップであり、前記第1の治療が、前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが、前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御する、ステップと、
前記第1の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第1の治療データを取得するステップと、
第1の時間帯にわたる前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定するステップであって、前記第1の効果が前記第1の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定される、ステップと、
前記制御パラメータを前記第1の値と異なる第2の値に設定するステップと、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第2の治療を送達させるステップであり、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが前記被検者に提供される前記治療を修正する、ステップと、
前記第2の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第2の治療データを取得するステップと、
第2の時間帯にわたる前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定するステップであり、前記第2の効果が前記第2の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定される、ステップと、
前記第1の効果および前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて統計解析を実行して、比較評価を取得するステップと、
前記比較評価に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
2.前記制御パラメータが、前記血中グルコース制御システムのユーザインターフェースとのユーザインタラクションに少なくとも部分的に基づいて前記第1の値または前記第2の値に設定される、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
3.前記制御パラメータが、ユーザによるアクションなしに、前記第1の値または前記第2の値に自動的に設定される、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
4.前記制御パラメータの前記第2の値が自律的に選択される、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
5.前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすと決定することに応答して、前記制御パラメータの前記第2の値を選択して第3の治療期間中に前記血中グルコ
ース制御システムによって第3の治療を前記被検者に送達させるステップをさらに含む、実施形態1のコンピュータ実装方法。
6.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御に統計的に有意な改善をもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
7.前記統計的に有意な改善が、前記被検者の血糖制御の改善のしきい値レベルを含む、実施形態6に記載のコンピュータ実装方法。
8.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の前記血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の生理学的パラメータの改善をもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
9.前記生理学的パラメータが前記グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて決定される、実施形態8に記載のコンピュータ実装方法。
10.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記制御パラメータの前記第1の値と比較して血中グルコース変動の発生の低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
11.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記制御パラメータの前記第1の値と比較して低血糖症イベントの発生のリスクの低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
12.前記統計解析を実行することが、前記第1の治療データまたは前記第2の治療データに基づいて、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、割合、比、または確率のうちの1つまたは複数を決定することを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
13.前記統計解析を実行することが、前記第1の効果または前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、割合、比、または確率のうちの1つまたは複数を決定することを含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
14.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血漿中のインスリンがインスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、実施形態1のコンピュータ実装方法。
15.前記第1の治療期間中に前記第1の治療を送達させるステップが、複数の治療インスタンスを投与させるステップを含み、前記複数の治療インスタンスのうちの少なくとも1つが、前記第1の治療期間中に、少なくとも1つの他の治療インスタンスとは異なる時間帯に投与される、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
16.前記第1の治療期間および前記第2の治療期間が同じ持続時間である、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
17.第1の複数の治療インスタンスが前記第1の治療期間中に投与され、第2の複数の治療インスタンスが前記第2の治療期間中に投与される、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
18.前記制御パラメータを前記第2の値に設定するステップが、前記第2の治療期間中に投与されるインスリンの注入のタイミング、用量サイズ、または速度のうちの1つまたは複数に修正をもたらす、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
19.前記制御パラメータの前記第1の値が、前記第1の治療期間の前の時間帯に送達された治療、臨床値、または前記被検者の体重のうちの1つまたは複数に基づく、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
20.前記制御アルゴリズムが、薬物動態(PK)モデルに少なくとも部分的に基づく、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
21.前記制御パラメータが前記薬物動態(PK)モデルのパラメータを含む、実施形態20に記載のコンピュータ実装方法。
22.前記統計解析を実行することが、回帰分析を実行することまたは自己回帰モデルを生成することのうちの1つまたは複数を含む、実施形態1に記載のコンピュータ実装方法。
23.治療を被検者に提供させる用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータを自律的に修正するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
前記被検者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令および治療データを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者に動作可能に接続されたグルコース・レベル・センサからグルコースレベル信号を受信し、
第1の治療期間中に第1の治療を前記被検者に送達させ、前記第1の治療が前記用量制御信号を生成するために制御アルゴリズムによって使用される制御パラメータの第1の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータが前記被検者におけるインスリンの蓄積を考慮するために前記制御アルゴリズムによって使用され、それによって、前記グルコースレベル信号によって示される前記被検者の血中グルコース変動に対する前記制御アルゴリズムのインスリン投薬応答を制御し、
前記第1の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第1の治療データを取得し、
第1の時間帯にわたる前記第1の治療に少なくとも部分的に対応する第1の効果を決定し、前記第1の効果が前記第1の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定され、
前記制御パラメータを前記第1の値とは異なる第2の値に設定し、
第2の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第2の治療を送達させ、前記第2の治療が前記制御パラメータの前記第2の値に少なくとも部分的に基づいて送達され、前記制御パラメータを変更することが前記被検者に提供される前記治療を修正し、
前記第2の治療の前記送達からもたらされる血糖制御情報を含む第2の治療データを取得し、
第2の時間帯にわたる前記第2の治療に少なくとも部分的に対応する第2の効果を決定し、前記第2の効果が前記第2の治療データに少なくとも部分的に基づいて決定され、
比較評価を取得するために、前記第1の効果および前記第2の効果に少なくとも部分的に基づいて統計解析を実行し、
前記比較評価に少なくとも部分的に基づいて、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定する、
ように構成されたハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
24.前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすと決定することに応答して、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記制御パラメータの前記第2の値を少なくとも選択し、第3の治療期間中に前記血中グルコース制御システムによって前記被検者に第3の治療を送達させるようにさらに構成されている、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
25.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の少なくとも1つの生理学的パラメータの改善のしきい値レベルをもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
26.前記制御パラメータの前記第2の値が前記被検者の血糖制御の前記改善をもたらすかどうかを判定するステップが、前記制御パラメータの前記第2の値が前記制御パラメータの前記第1の値と比較して血中グルコース変動の発生の低減または低血糖症イベント
の発生のリスクの低減をもたらすかどうかを判定するステップを含む、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
27.前記制御アルゴリズムによって使用される前記制御パラメータが、前記被検者の血漿中のインスリンがインスリン用量の投与後に特定の濃度レベルに達するまでの時間に対応する、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
28.前記第1の治療期間の長さが少なくとも特定の数の治療インスタンスを包含するように選択され、前記第2の治療期間の長さが少なくとも前記特定の数の治療インスタンスを包含するように選択される、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
29.前記統計解析を実行することが、回帰分析を実行することまたは自己回帰モデルを生成することのうちの1つまたは複数を含む、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
30.前記制御アルゴリズムが薬物動態(PK)モデルに少なくとも部分的に基づき、前記制御パラメータが前記薬物動態(PK)モデルのパラメータを含む、実施形態23に記載の自動血中グルコース制御システム。
【0340】
本開示のさらなる実施形態は、以下の番号付けされた実施形態を考慮して説明することができる。
1.自律的に決定されたインスリンの用量から導出されたインスリン療法指標を含むバックアップ療法プロトコルを生成するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
前記被検者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信し、
前記グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースを制御する目的で前記被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを用いて、用量制御信号を生成し、
前記自動血中グルコース制御システムによって少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記被検者に投与されたインスリン療法を追跡し、前記インスリン療法を追跡することが、基礎インスリンとして、インスリンの補正ボーラスとして、またはインスリンの食事時間ボーラスとして前記被検者に送達されたインスリンの前記自律的に決定された用量の指標を記憶することを含み、
前記追跡期間にわたって前記被検者に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法指標を含むバックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成し、
前記自動血中グルコース制御システムが前記被検者に治療を提供していないときに、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つをディスプレイ上に出力して、前記自動血中グルコース制御システムによって決定された速度で治療を維持することを可能にする、
ように構成されたハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
2.前記ハードウェアプロセッサが前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、前記被検者に送達されたインスリンの前記自律的に決定された用量の前記指標を前記メモリに少なくとも記憶するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
3.前記ハードウェアプロセッサが前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも
前記自動血中グルコース制御システムとは別個の外部コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立し、
前記被検者に送達されたインスリンの前記自律的に決定された用量の前記指標を前記外部コンピューティングシステムに送信する、
ようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
4.前記外部コンピューティングシステムがデータセンタのコンピューティングシステムであり、前記ハードウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、広域ネットワークを介して前記外部コンピューティングシステムと通信することができる無線機を少なくとも制御するようにさらに構成されている、実施形態3に記載の自動血中グルコース制御システム。
5.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たりの前記被検者に提供される平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて、長時間作用型インスリン単位の数を少なくとも決定することによって前記バックアップ注入療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
6.前記追跡期間の各日が複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが、前記複数のサブ期間の各サブ期間について1時間当たりの基礎レートを少なくとも決定することによって前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
7.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって1日当たりの前記被検者に提供される平均補正ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
8.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間にわたって前記被検者に提供される平均補正ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
9.前記ハードウェアプロセッサが、前記追跡期間中に前記被検者に補正ボーラスとして提供されるインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血中グルコースの平均変化を少なくとも決定することによって、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
10.前記ハードウェアプロセッサが、1日当たりの複数の食事時間の各食事時間について、前記追跡期間にわたって前記被検者に提供されるインスリンの平均食事時間ボーラスを少なくとも決定することによって、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルを生成するようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
11.前記ハードウェアプロセッサが前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記被検者に投与された逆調節剤療法を追跡し、前記逆調節剤療法を追跡することが、前記グルコースレベル信号に応答して前記被検者に送達された逆調節剤の自律的に決定された用量の指標を記憶することを含み、
前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つに、前記追跡期間にわたって前記被検者に提供された総逆調節剤および/または毎日の逆調節剤の指標を含める、
ようにさらに構成されている、実施形態1に記載の自動血中グルコース制御システム。
12.前記制御アルゴリズムが、前記グルコースレベル信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能な制御パラメータと、に少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースを制御する目的で前記被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するようにさらに構成され、前記ハード
ウェアプロセッサが、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡し、前記ユーザ修正を追跡することが、前記ユーザ修正のそれぞれが、記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加または減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正のそれぞれが行われた時間とを治療ログに記憶することを含み、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成し、前記レポートが、前記記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含み、前記レポートが、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つに含まれる、
ようにさらに構成されている、
実施形態1の自動血中グルコース制御システム。
13.自動血中グルコース制御システムによって決定されたインスリンの自律的に決定された用量から導出されるインスリン療法指標を含むバックアップ療法プロトコルを生成するコンピュータ実装方法であって、
前記自動血中グルコース制御システムのハードウェアプロセッサによって、
前記被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信するステップと、
前記グルコースレベル信号に少なくとも部分的に基づいて前記被検者の血中グルコースを制御する目的で前記被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、用量制御信号を生成するステップと、
少なくとも1日を含む追跡期間にわたって、前記自動血中グルコース制御システムによって前記被検者に施されたインスリン療法を追跡するステップであって、前記インスリン療法を追跡するステップが、前記被検者に送達されたインスリンの前記自律的に決定された用量の指標を記憶するステップを含む、ステップと、
前記追跡期間にわたって前記被検者に施された前記インスリン療法に少なくとも部分的に基づいて、インスリン療法指標を含むバックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つを生成するステップと、
前記自動血中グルコース制御システムが前記被検者に治療を提供していないときに、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つをディスプレイ上に出力して、前記自動血中グルコース制御システムによって決定された速度で治療を維持することを可能にするステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
14.前記インスリンの自律的に決定された用量が、基礎インスリン用量、インスリンの補正ボーラス、またはインスリンの食事時間ボーラスのうちの1つまたは複数を含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
15.前記自動血中グルコース制御システムとは別個の外部コンピューティングシステムとの通信チャネルを確立するステップと、
前記被検者に注入されたインスリンの前記自律的に決定された用量の前記指標を前記外部コンピューティングシステムに送信するステップと、
をさらに含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
16.バックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを生成するステップが、
前記追跡期間にわたって1日当たりの前記被検者に提供された平均総基礎インスリンに少なくとも部分的に基づいて長時間作用型インスリン単位の数を決定するステップ、
前記追跡期間を複数のサブ期間に分割し、前記複数のサブ期間の各サブ期間について時間ごとの基礎レートを決定するステップ、
前記追跡期間にわたって前記被検者に提供された平均補正ボーラスを決定するステップ、
前記追跡期間中に前記被検者に補正ボーラスとして提供されたインスリンの単位に少なくとも部分的に起因する血中グルコースの平均変化を決定するステップ、または
1日当たりの複数の食事時間の各食事時間について、前記追跡期間にわたって前記被検者に提供されたインスリンの平均食事時間ボーラスを決定するステップ、
のうちの1つまたは複数を含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
17.前記追跡期間にわたって前記被検者に施された逆調節剤療法を追跡するステップをさらに含み、前記逆調節剤療法を追跡するステップが、前記グルコースレベル信号に応答して前記被検者に送達された逆調節剤の自律的に決定された用量の指標を記憶するステップを含み、バックアップ注入療法プロトコルまたはバックアップポンプ療法プロトコルのうちの前記少なくとも1つを生成するステップが、前記バックアップ注入療法プロトコルまたは前記バックアップポンプ療法プロトコルのうちの少なくとも1つに、前記追跡期間にわたって前記被検者に提供された総逆調節剤および/または毎日の逆調節剤の指標を含めるステップを含む、実施形態13に記載のコンピュータ実装方法。
18.前記自動血中グルコース制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するように構成された自動血中グルコース制御システムであって、
被検者に薬剤を注入するための薬剤ポンプに動作可能に接続するように構成された薬剤送達インターフェースと、
特定のコンピュータ実行可能命令、記憶された制御パラメータ値、および治療ログを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信し、前記特定のコンピュータ実行可能命令を実行して、少なくとも、
前記被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信し、
前記グルコースレベル信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能な制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースを制御する目的で前記被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して、用量制御信号を生成し、
少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡し、前記ユーザ修正を追跡するステップが、前記ユーザ修正のそれぞれが、前記記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの増加または減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正のそれぞれが行われた時間とを前記治療ログに記憶するステップを含み、
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成し、前記レポートが前記記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含む、
ように構成されたハードウェアプロセッサと、
を備える、自動血中グルコース制御システム。
19.前記レポートが前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータ値よりも高いまたは低いユーザ修正のパーセンテージをさらに含む、実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
20.前記レポートが、インスリンの注入が前記追跡期間にわたって一時停止される回数をさらに含む、実施形態18の自動血中グルコース制御システム。
21.前記レポートが、前記記憶された制御パラメータが前記追跡期間にわたってユーザによって変更されない時間のパーセンテージをさらに含む、実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
22.前記追跡期間が複数のサブ期間に分割され、前記ハードウェアプロセッサが前記追跡期間の各サブ期間の前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するようにさらに構成され、前記レポートが前記追跡期間の各サブ期間の前記記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含む、実施形態18の自動血中グルコース制御システム。
23.前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が前記制御パラメータの第1の値と関連付けられ、前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が前記制御パラメータの第2の値と関連付けられ、前記ハードウェアプロセッサが前記第1のサブ期間の前記制御パラメータの前記第1の値に対するユーザ修正を追跡し、前記第2のサ
ブ期間の前記制御パラメータの前記第2の値に対するユーザ修正を追跡するようにさらに構成されている、実施形態22に記載の自動血中グルコース制御システム。
24.前記ハードウェアプロセッサが前記制御パラメータに対する前記ユーザ修正に関連付けられたユーザ活動を追跡するようにさらに構成され、前記制御パラメータに対するユーザ修正の前記レポートが前記制御パラメータに対するユーザ修正中に行われるユーザ活動の識別情報を含む、実施形態18に記載の自動血中グルコース制御システム。
25.被検者に薬剤を注入するように構成された自動血中グルコース制御システムのユーザによって行われた療法プロトコル修正のレポートを生成するコンピュータ実装方法であって、
前記自動血中グルコース制御システムのハードウェアプロセッサによって、
前記被検者のグルコースレベルを決定するように動作可能に構成されたセンサからグルコースレベル信号を受信するステップと、
前記グルコースレベル信号と、制御パラメータ選択インターフェース要素とのユーザインタラクションによって修正可能な制御パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、前記被検者の血中グルコースを制御する目的で前記被検者に注入されるインスリンの用量を自律的に決定するように構成された制御アルゴリズムを使用して用量制御信号を生成するステップと、
少なくとも1日を含む追跡期間にわたって前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するステップであって、前記ユーザ修正を追跡することが、前記ユーザ修正のそれぞれが、記憶された制御パラメータ値からの前記制御パラメータの値の増加または減少を含むかどうかと、前記ユーザ修正のそれぞれが行われた時間とを治療ログに記憶することを含む、ステップと
前記制御パラメータに対するユーザ修正のレポートを生成するステップであり、前記レポートが前記記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含む、ステップと、
含む、コンピュータ実装方法。
26.前記レポートが前記追跡期間にわたって前記記憶された制御パラメータ値よりも高いまたは低いユーザ修正のパーセンテージをさらに含む、実施形態25に記載のコンピュータ実装方法。
27.前記レポートが前記追跡期間にわたってインスリンの注入が一時停止された回数をさらに含む、実施形態25に記載のコンピュータ実装方法。
28.前記追跡期間が複数のサブ期間に分割され、前記追跡期間の各サブ期間の前記制御パラメータに対するユーザ修正を追跡するステップをさらに含み、前記レポートが前記追跡期間の各サブ期間の前記記憶された制御パラメータ値からの増加および減少の頻度の尺度を含む、実施形態25に記載のコンピュータ実装方法。
29.前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が前記制御パラメータの第1の値に関連付けられ、前記複数のサブ期間のうちの少なくとも第1のサブ期間が前記制御パラメータの第2の値に関連付けられ、前記第1のサブ期間の前記制御パラメータの前記第1の値に対するユーザ修正を追跡するステップと、前記第2のサブ期間の前記制御パラメータの前記第2の値に対するユーザ修正を追跡するステップとをさらに含む、実施形態28に記載のコンピュータ実装方法。
30.前記制御パラメータに対する前記ユーザ修正に関連付けられたユーザ活動を追跡するステップをさらに含み、前記制御パラメータに対するユーザ修正の前記レポートが前記制御パラメータに対するユーザ修正中に行われるユーザ活動の識別情報を含む、実施形態25に記載のコンピュータ実装方法。
【0341】
術語
必ずしもすべての目的または利点が、本明細書に記載される任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、特定の実施形態が、本明細書で教示または示唆され得る他の目的または利点を必ずしも達成
することなく、本明細書で教示される1つの利点または利点群を達成または最適化するやり方で動作するように構成されてもよいことを認識するであろう。
【0342】
本明細書に記載されたプロセスのすべては、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサを含むコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールにおいて具現化され、これを介して完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意のタイプの非一過性コンピュータ可読媒体または他のコンピュータ記憶装置に記憶されてもよい。方法の一部またはすべては、専用のコンピュータハードウェアにおいて具現化することができる。さらに、コンピューティングシステムは、自動血中グルコースシステム、携帯型薬剤システム、または携帯型医療装置を含む、それらの一部として実装される、またはそれらと通信することができる。
【0343】
本明細書に記載されるもの以外の多くの他の変形形態が、本開示から明らかになるであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書に記載されるアルゴリズムのいずれかの特定の行為、イベント、または機能は、異なる順序で実行することができ、追加、併合、または完全に省くことができる(例えば、記載された行為またはイベントのすべてがアルゴリズムの実施に必要であるとは限らない)。さらに、いくつかの実施形態では、行為またはイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、あるいは他の並列アーキテクチャ上で同時に実行することができる。さらに、異なるタスクまたはプロセスは、一緒に機能することができる異なるマシンおよび/またはコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0344】
本明細書に開示される実施形態に関して説明する様々な例示的な論理ブロックおよびモジュールは、処理ユニットもしくはプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または本明細書に記載される機能を実行するように設計されたこれらの任意の組合せなどの、マシンによって実装または実行することができる。プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、もしくはステートマシン、これらの組合せなどとすることができる。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGAまたは他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。本明細書では主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは主にアナログ構成要素を含むこともできる。コンピューティング環境は、いくつか例を挙げると、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブル・コンピューティング・デバイス、デバイスコントローラ、またはアプライアンス内の計算エンジンを含むがこれらに限定されない、任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0345】
特に「can」、「could」、「might」または「may」などの条件付き言語は、別段の記載がない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝えるために、一般的に使用される文脈内で理解される。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、あるいは1つまたは複数の実施形態が必然的に、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、
これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるかまたは実行されるべきかどうかを決定するための論理を含むことを暗示することを意図するものではない。
【0346】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という語句などの選言的言語は、特に別段の記載がない限り、項目、用語などがX、Y、もしくはZ、またはそれらの任意の組合せ(例えば、X、Y、および/またはZ)のいずれかであり得ることを提示するために一般的に使用される文脈で別段に理解される。したがって、このような選言的言語は、一般に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意味することを意図せず、またそのようなことを意味すべきではない。
【0347】
本明細書に記載されたおよび/または添付の図面に示されたフロー図における任意のプロセスの説明、要素またはブロックは、プロセスにおける特定の論理機能または要素を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を潜在的に表すものとして理解されるべきである。代替の実施態様は、当業者によって理解されるように、関与する機能に応じて、要素または機能が削除されてもよく、実質的に同時または逆の順序を含めて、図示または議論された順序とは異なる順序で実行されてもよい本明細書に記載される実施形態の範囲内に含まれる。
【0348】
別段の明記がない限り、「a」または「an」などの冠詞は、一般に、1つまたは複数の記載された項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「ように構成されたデバイス」などの語句は、1つまたは複数の列挙されたデバイスを含むことが意図されている。このような1つまたは複数の記述されたデバイスはまた、記載された記述を実行するように集合的に構成され得る。例えば、「記述A、B、およびCを実行するように構成されたプロセッサ」は、記述BおよびCを実行するように構成された第2のプロセッサと連携して動作する記述Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含むことができる。
【0349】
上述の実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができることを強調すべきであり、その要素は、他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるべきである。このような修正および変形はすべての、本明細書において本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与された契約番号DK120234の下で米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
優先権主張出願の参照による組み込み
本出願は、「BLOOD GLUCOSE CONTROL SYSTEM」と題し、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる国際出願第PCT/US2020/054025号と同じ2020年10月2日に出願されている。本出願とともに提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されるすべての出願は、37 CFR 1.57の下で、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】