(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】線上の電気ノイズを吸収するための装置及び当該装置を配置するための方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20221201BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H05K5/02 V
H05K9/00 L
H05K9/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521038
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020074895
(87)【国際公開番号】W WO2021069159
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019215619.3
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515278949
【氏名又は名称】ビュルト エレクトロニク アイソス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】クラウス アウプケ
【テーマコード(参考)】
4E360
5E321
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360BC03
4E360BC04
4E360BD03
4E360BD05
4E360ED03
4E360ED12
4E360ED23
4E360FA14
4E360GA34
4E360GA52
4E360GB99
5E321AA01
5E321AA05
5E321GG09
5E321GG11
(57)【要約】
本発明は、2つのハウジング部分を有するハウジングを有する、線上の電気ノイズを吸収するための装置であって、各ハウジング部分は、ノイズ吸収材料からなる要素を受け入れるように設けられており、ハウジングは、閉鎖状態において、1本以上の線のために対向する2つの端壁の各々において通路開口を有し、2つのハウジング部分における複数の要素が、ハウジングの閉鎖状態において、1本以上の線のための通路を形成し、ハウジングにおける通路開口と要素によって形成される通路は、少なくとも1本の線のための通路方向を規定し、ハウジングの閉鎖状態で2つのハウジング部分をロックするためのロック装置が設けられている、装置において、2つのハウジング部分は、2つのハウジング部分の互いに対する相対移動を行うように構成されており、相対移動の主成分は、通路方向に平行に延びており、2つのハウジング部分は、ハウジングの閉鎖状態に移されて閉鎖状態で共にロックすることができる、装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのハウジング部分(12,14;42,74;102,104)を有するハウジングを有する、線(28)上の電気ノイズを吸収するための装置(10;40;70)であって、
各前記ハウジング部分は、ノイズ吸収材料からなる要素を受け入れるように設けられており、前記ハウジングは、閉鎖状態において、1本以上の線(28)のために対向する2つの端壁の各々において通路開口を有し、前記2つのハウジング部分における複数の前記要素(16;46;76;106)が、前記ハウジングの前記閉鎖状態において、前記1本以上の線のための通路を画定し、前記ハウジングにおける前記通路開口(48)と前記要素(16;46;76;106)によって形成される前記通路は、少なくとも1本の前記線のための通路方向(30)を規定し、前記ハウジングの前記閉鎖状態で前記2つのハウジング部分をロックするためのロック装置が設けられている、装置において、
前記2つのハウジング部分は、前記2つのハウジング部分の互いに対する相対移動を行うように構成されており、前記相対移動の主成分は、前記通路方向(30)に平行に延びており、前記2つのハウジング部分は、前記ハウジングの前記閉鎖状態に移されて前記閉鎖状態で共にロックすることができる、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記2つのハウジング部分(42、44;72、74;102、104)が同一に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記2つのハウジング部分(12,14;42,44)によって前記通路方向(30)と平行に分割されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記2つのハウジング部分(72,74;102,104)によって前記通路方向(30)に対して斜めに前記ハウジングが分割されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記閉鎖状態において、前記複数の要素(106)は前記通路方向に対して斜めに分割されていることを特徴とする請求項1~4の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項6】
前記2つのハウジング部分(12,14;42,44;72,74;102,104)には、摺動ガイドが設けられていることを特徴とする請求項1~5の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項7】
前記摺動ガイドが摺動ブロックガイド(80)として形成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記摺動ガイドは、ガイド帯部(20;50a,50b,52a,52b)によってリニアガイドとして構成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ロック装置は、ラッチ突起とラッチ凹部とを有するラッチ手段を備えることを特徴とする請求項1~8の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ラッチ手段は、前記摺動ガイドとは別個に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ラッチ手段は、ばね式ラッチアーム(22;54a,54b)を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記摺動ガイド上に前記ラッチ手段が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ラッチ手段は、前記摺動ガイドにおいて少なくとも1つのラッチ凹部を有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
複数の前記要素(46)の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの接近用面取り部(58)が設けられており、前記接近用面取り部(58)は、前記ハウジングの開放状態から前記閉鎖状態への相対移動中にそれぞれの前記複数の前記要素(46)の他方上で延びることを特徴とする請求項1~13の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングが閉鎖されているときに前記要素(46;76;106)を、他方の前記ハウジング部分において前記要素(46;76;106)の方向に予張力を与えるように、それぞれの前記要素(46;76;106)と割り当てられた前記ハウジング部分との間にばね装置(62)が設けられていることを特徴とする請求項1~14の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ばね装置は、板ばね(88)を備えることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1~16の少なくとも1項に記載の装置を少なくとも1本の電線上に配置する方法において、
前記方法は、前記装置の前記ハウジングの前記2つのハウジング部分を、前記2つのハウジング部分の互いに対する相対移動によって前記ハウジングの前記閉鎖状態に移すことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのハウジング部分を有するハウジングを有する、線上の電気ノイズを吸収するための装置であって、各ハウジング部分は、ノイズ吸収材料からなる要素を受け入れるように設けられており、ハウジングは、閉鎖状態において、1本以上の線のために対向する2つの端壁の各々において通路開口を有し、2つのハウジング部分における複数の要素が、ハウジングの閉鎖状態において、1本以上の線のための通路を形成し、ハウジングにおける通路開口と要素によって形成される通路は、少なくとも1本の線のための通路方向を規定し、ハウジングの閉鎖状態で2つのハウジング部分をロックするためのロック装置が設けられている、線上の電気ノイズ吸収装置に関する。本発明は、また、本発明に係る装置を少なくとも1つの電線上に配置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(欧州特許第2630648号明細書)には、2つのハウジング部分を有するハウジングを有する、線上の電気ノイズを吸収するための装置であって、各々のハウジング部分は、ノイズ吸収材料の要素を受け入れるために設けられている、装置が開示されている。2つのハウジング部分は、フィルムヒンジによって互いに接続されており、ヒンジの回りの折り畳み運動によって閉鎖されて共にロックすることができる。また、特許文献1には、2つのハウジング部分は、互いに分離しており、互いに向かって移動し、挿入された電線に垂直な直線運動によって共にロックされることが記載されている。
【0003】
特許文献2(欧州特許第2911311号明細書)には、2つのハウジング部分を有するハウジングを有する、線上の電気ノイズを吸収するための更なる装置であって、各々のハウジング部分は、ノイズ吸収材料の要素を受け入れるように設けられている、装置が記載されている。これら2つのハウジング部分は、リニアガイドによって共に接続することができ、これら2つのハウジング部分は、直線的な摺動運動によって、ハウジングの閉鎖状態に移すことができる。この直線運動は、挿入された電線に対して垂直に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2630648号明細書
【特許文献2】欧州特許第2911311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、線上の電気ノイズを吸収するための装置、及び、当該装置を電線上に配置するために必要な空間に対して配置するための方法を改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、2つのハウジング部分を有するハウジングを有する、線上の電気ノイズを吸収するための装置であって、各ハウジング部分は、ノイズ吸収材料の要素を受け入れるために設けられ、閉鎖状態において、前記ハウジングは、対向する2つの端壁のそれぞれに、1本以上の線のための通路開口を有し、前記ハウジングの閉鎖状態における前記2つのハウジング部分の要素は、1本以上の線のための通路を形成し、前記ハウジングにおける通路開口及び前記要素により形成される前記通路は、前記少なくとも1本の線のための通路方向を規定すると共に、前記ハウジングの閉鎖状態における前記2つのハウジング部分をロックするためのロック装置が設けられ、前記2つのハウジング部分は、前記2つのハウジング部分同士の相対移動を行うように構成されており、前記相対移動の主成分が前記通路方向に平行に延びており、前記2つのハウジング部分は、前記ハウジングの前記閉鎖状態に移し、前記閉鎖状態において互いにロックすることができるように構成されている、線上の電気ノイズを吸収するための装置が提供される。
【0007】
互いに対するハウジング部分の相対移動は、通路方向に平行である、すなわち、少なくとも1本の線に平行である、相対移動によって及び距離の少なくとも3分の1にわたって行われる。例えば、相対移動により、まず、ハウジングを閉鎖状態に移して2つのハウジング部分を共にロックするために、通路方向に平行な移動が、相対移動の距離の少なくとも1/3にわたって行われるまで、2つのハウジング部分の弓形の接近を提供することができる。2つのハウジング部分の移動は、例えば、まず、通路方向に対して斜めであるが直線的に行われ、次いで、相対移動の距離の少なくとも1/3にわたって通路方向に平行に行われ得る。相対移動の主成分が通路方向に平行である相対移動によって、本発明に係る装置は、2つのハウジング部分を折り畳むための空間を必要としないので、又は、通路方向に垂直な相対移動のための空間を必要としない又は僅かな空間しか必要としないので、特に制限された空間条件下で有利である。
【0008】
2つのハウジング部分は、ハウジングの閉鎖状態にされて通路方向に実質的に平行な相対移動によって同時に共にロックされるので、1本以上の線上の電気ノイズを吸収するための装置を配置するための空間が従来の装置よりも少なくて済む。この相対移動は、通路方向と平行な主成分、すなわち、通路方向と実質的に平行に延びている主成分を有する。したがって、線に対して垂直方向では、必要な空間はごく僅かである。極端な場合には、2つのハウジング部分が線上に配置され、線に平行に線上を移動できるだけの十分な空間だけが必要とされる。本発明に係る装置は、厳密には、電気ノイズを吸収するための装置が電気装置又は電子装置のハウジングの内部に配置されなければならないときに利点を提供する。また、本発明に係る装置は、当然、例えば、電子装置又は電気装置のハウジング内の電源線に、より広範な空間条件で取り付けることができる。
【0009】
2つのハウジング部分の一体化と、2つのハウジング部分の閉鎖状態でのロックとの両方が、同一の相対移動によって行われるので、本発明に係る装置は、迅速かつ問題なく、場合によっては自動化された態様で、1本以上の線上に配置することができる。相対移動は、完全に直線状とすることができる、あるいは、例えば、相対移動が及ぶ距離の少なくとも1/3にわたって直線状とすることができる。装置を1本以上の線に配置した場合に、従来の装置に比べて省空間化が、相対移動の主成分が通路方向に平行に延びる点で達成される。このように、相対移動は、通路方向に実質的に平行に延び、特に、相対移動が及ぶ距離の少なくとも1/3にわたって延びる。相対移動が及ぶ距離は、ハウジングの最初の接点からハウジングの完全に閉鎖されてロックされた状態なるまで測定される。ノイズ吸収材料の要素は、例えばフェライト材料から作られ、ハウジングは、例えばプラスチック射出成形でプラスチックから作られる。
【0010】
本発明の改良した態様において、2つのハウジング部分は同一に形成される。
【0011】
相対移動の主成分が通路方向に平行に延びるような、2つのハウジング部分の互いに対する相対移動によって、2つのハウジング部分をハウジングの閉鎖状態に移して閉鎖状態で互いにロックすることができるように2つのハウジング部分を形成することによって、2つのハウジング部分を同一に形成することができる。これにより、装置のハウジングの製造には、1つの金型又は複数の同一の金型ネストのみしか必要とされないので、本発明に係る装置の大量生産が容易となる。例えば、装置のハウジングは、プラスチック射出成形によって製造される。プラスチック射出成形工具は、1つのハウジング部分に対してそれぞれ複数の同一の金型ネストを備えることができる。
【0012】
本発明の改良した態様では、ハウジングが、複数のハウジング部分によって通路方向に平行に分割される。
【0013】
このようにして、2つの比較的に平坦なハウジング部分を製造することができる。
【0014】
本発明の改良した態様では、ハウジングは、ハウジング部分によって通路方向に対して斜めに分割されている。
【0015】
このようにして、ハウジング部分の形状に起因して、2つのハウジング部分の接続時の相対移動のための端部停止部を作ることができる。2つのハウジング部分は、通路方向に対して斜めに延びる2つのハウジング部分の面が互いに当接するまで、通路方向に実質的に平行に互いに向けて移動させられる。
【0016】
本発明の改良した態様において、ハウジングの閉鎖状態では、複数の要素が通路方向に対して斜めに分割されている。
【0017】
ノイズ吸収材料の要素、例えばフェライト要素は、通路方向に対して斜めに分割することができ、従って、通路方向に対して斜めに配置された接触面を提供する。通常、装置のハウジングの閉鎖状態にあるときにノイズ吸収材料の要素は、互いに密着するように配置される。次いで、この状態は、ハウジングの閉鎖状態を同時に規定することができる。
【0018】
本発明の改良した態様において、2つのハウジング部分には摺動ガイドが設けられている。
【0019】
このようにして、2つのハウジング部分の互いに対する正しい位置決め及びハウジングの閉鎖状態におけるそれらの正しいロックが保証され得るように、相対移動を、少なくとも部分において、摺動ガイドによって規定することができる。
【0020】
本発明の改良した態様において、摺動ガイドは、摺動ブロックガイドとして形成される。
【0021】
摺動ブロックガイドは、様々な方法で構成することができ、例えば、挿入用面取り部及びラッチ手段を規定する。このようにして、相対移動中に2つのハウジング部分を互いに向かって案内する機能と、2つのハウジング部分を共にロックする機能の両方を、摺動ブロックガイドによって達成することができる。
【0022】
本発明の改良した態様において、摺動ガイドは、ガイドレールによってリニアガイドとして構成される。
【0023】
これらガイドレールにより、2つのハウジング部分をハウジングの閉鎖状態に移すために、規定された相対移動が可能となる。例えば、摺動ガイドは、第1に、移動を容易にし、第2に、2つのハウジング半分部の互いに対する正確な位置決めを可能にするための必要な許容値で、プラスチック射出成形品上でプロセス信頼性をもって設計することができる。
【0024】
本発明の改良した態様において、ロック装置は、ラッチ突起部及びラッチ凹部を有するラッチ手段を有する。
【0025】
ラッチ突起部及びラッチ凹部により、2つのハウジング部分を互いにしっかりとロックすることができる。好適には、ラッチ突起部及びラッチ凹部は、ラッチ突起部及びラッチ凹部の正確にロックされた状態が、装置の外部から、特にハウジングの外部から識別され得るように形成される。これにより、使用者が正しいロックを識別しやすくなり、自動化された組立でカメラ及び画像処理によって正しくロックされた状態を識別する役割も果たすことができ、又は、別の自動化された態様で正しくロックされた状態を識別する役割も果たすことができる。
【0026】
本発明の改良した態様において、ラッチ手段は、摺動ガイドとは別個に配置されている。
【0027】
このようにして、ラッチ手段の設計は、摺動ガイドの設計から独立しているので、摺動ガイドとラッチ手段の両方をそれぞれの機能に最適化することができる。
【0028】
本発明の改良した態様において、ラッチ手段は、ばね式ラッチアームを有する。
【0029】
ばね式ラッチアームにより、2つのハウジング半分部の互いに対する相対移動の終わりで、自動的なロックを確実に達成することができる。ラッチアームは、一方向に取り付けられたアームとして構成することができ、又は、両端に取り付けられたばね式ブラケット、特にU字形ブラケットとして構成することができる。
【0030】
本発明の改良した態様において、ラッチ手段は摺動ガイド上に配置される。
【0031】
このようにして、ラッチ手段は、コンパクトに配置することができる。
【0032】
本発明の改良した態様において、ラッチ手段は、摺動ガイド内に少なくとも1つのラッチ凹部を有する。
【0033】
他方のハウジング部分上の摺動ガイドの関連する部分上のラッチ突起部が係合し得る、摺動ガイド内のラッチ凹部によって、ハウジングの閉鎖状態における2つのハウジング部分同士の省空間で確実なロックが保証され得る。有利的には、ラッチ凹部及びラッチ凹部は、係合すると、ハウジング部分の通路方向及びその反対方向の相対移動を阻止する。
【0034】
本発明の改良した態様において、例えばフェライト要素などの複数の要素の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの接近用面取り部、言い換えれば、リードインスロープ(lead-in slope)を備え、1つの要素の接近用面取り部は、ハウジングの開放状態から閉鎖状態への相対移動の間、それぞれの他の要素上で延びている。
【0035】
ハウジングの閉鎖状態で、例えばフェライト要素などのノイズ吸収要素の良好な電気的及び磁気的特性を保証するために、例えば通常はチャネル、換言すると溝として構成されている、両要素は、ハウジングの閉鎖状態で互いに緊密かつ実質的に隙間なく保持されている。このような2つの要素の互いに対する終端位置は、2つのハウジング部分の互いに対する相対移動の間に、2つの要素が接近用面取り部によって互いに当接し、次いで相対移動の間に共に押圧される場合に、信頼性のある態様で保証される。このようにして、ハウジングの閉鎖状態では、2つの要素は、非常に密接で実質的に隙間のない状態で互いに当接しうる。
【0036】
本発明の改良した態様において、ハウジングが閉鎖されているときに他方のハウジング部分で要素の方向に要素に予圧するために、それぞれの要素と割り当てられたハウジング部分との間にばね装置が設けられる。
【0037】
少なくとも1つのばね装置によって、複数の要素は互いに予張力が与えられ、各々がチャネルとして形成された要素、例えばフェライト要素の接触面が、ハウジングの閉鎖状態で実質的に隙間なく互いに当接しうることを保証することができる。
【0038】
本発明の改良した態様において、前記ばね装置は、板ばねを備える。
【0039】
板ばねは、極めてコンパクトに設計できるが、それにもかかわらず、比較的に高いばね力を提供することができる。2つの要素が互いに押圧されるとき、ばねの移動はほとんど必要ではないが、大きなばね力は、2つの要素の間の実質的に隙間のない接触を保証するために有利である。これらの要件は、板ばねによって満たすことができる。適切な板ばねは、例えば、セグメント状又は同様に矩形に形成される。
【0040】
また、本発明の目的は、少なくとも1本の線上の電気ノイズを吸収する本発明の装置を配置する方法であって、前記装置の前記ハウジングの前記2つのハウジング部分は、相対移動の主成分が前記通路方向に平行に延びている、前記2つのハウジング部分の互いに対する相対移動によって、前記ハウジングの前記閉鎖状態に移され、前記閉鎖状態で共にロックされる、方法によって達成される。
【0041】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図面に関連して、特許請求の範囲及び本発明の好適な実施形態の記載から明らかになる。様々な実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、任意の態様で互いに組み合わせることができる。これは、さらなる個々の特徴を伴わない個々の特徴の組み合わせにも当てはまり、それに関連して、それらが示されるか又は記載される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、ハウジングの開放状態における本発明の第1の実施形態の図を示す。
【
図3】
図3は、ハウジングの閉鎖状態における本発明に係るさらなる装置の斜視上面及び正面図を示す。
【
図5】
図5は、
図3に示す装置の下側のハウジング部分の斜視上面図を示す。
【
図7】
図7は、
図5に示すノイズ吸収要素を含まない、
図5に示すハウジング部分の斜視背面図を示す。
【
図8】
図8は、
図3に示す装置の2つのノイズ吸収要素をハウジング部分なしで示す。
【
図9】
図9は、本発明のさらなる実施形態に係る線上の電気ノイズを吸収するための装置の斜視正面図を示す。
【
図10】
図10は、
図9に示す装置の下側のハウジング部分をフェライト要素を挿入した状態で示す。
【
図13】
図13は、さらなる実施形態に係る、線上の電気ノイズを吸収するためのさらなる装置の斜視正面図を示す。
【
図14】
図14は、
図13に示す装置の下側のハウジング部分をフェライト要素が挿入された状態で示す。
【
図19】
図19は、
図12に示す装置の下側フェライト要素を、緩和状態である割り当てられた板ばねと共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明に係る、線上の電気ノイズを吸収するための装置10を示す。装置10は、第1のハウジング部分12と第2のハウジング部分14とを有する。ノイズ吸収材料の要素、例えばフェライト要素16がハウジング部分12、14の各々に設けられており、上側のハウジング部分12のフェライト要素は
図1において見えない。フェライト要素16はチャネルとして形成されている。ハウジングの閉鎖状態、すなわち、
図1の上側のハウジング部分12が
図1の下側のハウジング部分14上に配置されたとき、2つのフェライト要素16は、1本以上の線(図示せず)のために、半径方向に閉鎖した通路を形成する。
【0044】
ハウジングの閉鎖状態では、2つのハウジング部分12、14は、また、
図1において、観察者に面する前方と、観察者とは反対に面する後方にある、それらの対向する端壁において、1本又は複数本の線(図示せず)のためのそれぞれの通路開口を形成する。
【0045】
装置10のハウジングを
図1に示す開放状態から閉鎖状態にするために、第1のハウジング部分12のガイド帯部18が第2のハウジング部分14のガイド帯部20に係合するように、第1のハウジング部分12を第2のハウジング部分14の後端壁上に配置する。次いで、第1のハウジング部分12は、通路方向30に平行に第2のハウジング部分14に対してのみ移動することができる。この通路方向は、ガイド帯部18、20に平行に、また線28に対しても平行に延びる。この線28は、
図1には示されていないが、
図2に示されており、下側フェライト要素16の中に敷設されている。第1のハウジング部分12は、
図1の第1のハウジング部分12の先端壁が
図1の第2のハウジング部分14の先端壁に位置合わせされるまで通路方向30に平行に移動させられる。これにより、ハウジングの閉鎖状態が形成され、2つのフェライト要素16は、半径方向に実質的に閉鎖されかつ軸線方向に開放した、線のための通路を形成する。そして、2つのハウジング部分12,14は、通路方向と直角な方向にも互いにしっかりと固定される。2つのハウジング部分12、14の互いに対する移動は、通路方向30及びその反対方向のみ可能である。しかしながら、ハウジングの閉鎖状態では、ガイド帯部20上の複数のばね式ラッチアーム22(そのうちの1つのみが
図1で見ることができる)は、第1のハウジング部分12のガイド帯部18上の対応する凹部(図示せず)に係合する。これにより、ハウジングが閉鎖状態にあるときに、2つのハウジング部分12、14の通路方向30及び反対方向の両方の移動を大いに防ぐ。
【0046】
再度、2つのハウジング部分12,14を互いからさせることができるために、第1のハウジング部分12には、ガイド帯部18の凹部に位置合わせされるように鍵開口24が設けられており、下側のハウジング部分14のガイド帯部20には、鍵開口26が設けられている。ハウジングの閉鎖状態では、鍵開口24、26は互いに位置合わせし、且つ、記載されているように、鍵開口24、26は、また、ガイド帯部18のラッチ凹部と位置合わせする。このように、互いに平行に配置された2つの帯状突起を有する対応する鍵部を鍵開口24、26に配置することができる。この鍵部が第2のハウジング部分14の方向に押された場合、帯状突起の前縁は、ばね式ラッチアーム22をガイド帯部18の凹部から押し出し、次いで、2つのハウジング部分12、14を通路方向30及び反対方向に互いに対して移動させることができる。
【0047】
複数のばね式ラッチアーム22の一方は、
図2の第2のハウジング部分14の側面図で見ることができる。また、いくつかのばね式ラッチアームが、ガイド帯部18、20によって画定される摺動ガイド内に設けることができ、これらのアームの設計を
図2に示されるものとは異なる設計とすることができる。例えば、ラッチアーム22は、
図2の2つの反対の方向、すなわち、左右方向への摺動を阻止するように構成することができる。例えば、ばね式ラッチアーム22は、摺動ガイド内に延びるばね式弓部(sprung bow)として構成することができる。この場合、例えば、第1のハウジング部分のガイド帯部18において対応する窪み部を作ることができ、この窪み部は、説明したように、連続する鍵開口24、26によって形成することもできる。
【0048】
本発明では、2つのハウジング部分12、14が、ハウジングを通る線の通路方向30に平行に延びる、2つのハウジング部分12、14の互いに対する相対移動によって、
図1に示すハウジングの開放状態から閉鎖状態にすることができ、同時に、この相対移動によって、2つのハウジング部分12、14がハウジングの閉鎖状態で互いにロックされることが重要である。
図1及び
図2から明らかなように、2つのハウジング部分12、14をハウジングの閉鎖状態に移すためには、通路方向30と直角な方向では、線28上に2つのハウジング部分12、14を配置するのに十分な空間だけしか必要とされない。しかしながら、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14の上方及び下方に追加の空間は必要とされない。これにより、本発明に係る装置は、特に、例えば電気装置又は電子装置のケーシングの内部などの制約された空間条件に適している。
【0049】
図1及び
図2に示すハウジングの開放状態から始まり、2つのハウジング部分12、14は、ハウジングの閉鎖状態にすると同時にばね式ラッチアーム22によって互いにロックされるように、線28に平行に延びる通路方向30に平行に、互いに移動させるだけでよい(
図2参照)。
【0050】
通路方向30は、フェライト要素16内のチャネル状凹部と、2つのハウジング部分12、14の端壁のそれぞれのほぼ半円形の通路開口とによって規定される。ハウジングの閉鎖状態では、通路方向30は、このようにして、閉鎖された筒状の通路によって規定され、次いで、フェライト要素16によって形成され、次いで、ハウジングの端面における円形の通路開口によって形成される。一つ以上の線が、通路方向30に平行に装置10のハウジングを通して案内される。
【0051】
図3及び
図4は、本発明に係るさらなる装置40を示す。
図3は、装置40の正面から見た斜視上面図を示し、
図4は、背面から見た斜視上面図を示す。装置40は、第1のハウジング部分42及び第2のハウジング部分44を有し、これら2つのハウジング部分42、44は同一に構成される。2つのハウジング部分42、44のそれぞれにチャネル状のフェライト要素46が設けられており、(
図3及び
図4に示す)ハウジングの閉鎖状態では、フェライト要素46は、半径方向に閉鎖された、1本以上の線のための筒状の通路を形成する。装置40のハウジングの端面は、
図3及び
図4において前方及び後方にあり、各々が、1本以上の線のための通路開口48を有する。第1のハウジング部分42及び第2のハウジング部分44には、それぞれ、摺動ガイドを共に形成するガイド帯部50a,50b,52a,52bが設けられている。
図3の装置40の左側を参照すると、第1のハウジング部分42のガイド帯部50aは、第2のハウジング部分44のガイド帯部52bに係合する。
図3の装置40の右側を参照すると、第1のハウジング部分42のガイド帯部52aは、第2のハウジング部分44のガイド帯部50bに係合する。このようにして、2つのハウジング半分部42,44は、互いに同一に構成され、ガイド帯部50a,50b,52a,52bによって摺動ガイドを形成することができる。
【0052】
ばね式ラッチアーム54bは、
図3の装置40の右側で見ることができる。ばね式ラッチアーム54bは、第2のハウジング部分44と一体に形成されており、図示したハウジングの閉鎖状態では、第1のハウジング部分42上のブラケットにより形成されたラッチ凹部56aと係合する。第1のハウジング部分42には、その左側(
図3では見えない)において、更なるばね式ラッチばねアーム54aが設けられ、第2のハウジング部分44は、その左側(
図3では図示せず)において、ラッチ凹部56bを形成するブラケットが設けられている(
図4参照)。ブラケットは、L字形状やU字形状とすることができる。
【0053】
2つのハウジング部分42、44が、ハウジングの開放状態から始まって、ガイド帯部50、52が互いに係合し、次いで、2つのハウジング部分42、44が通路方向30に移動させられるように、互いに配置される場合、ラッチアーム54は、まず偏向させられ、次いで、2つのハウジング部分42、44が
図3に示すハウジングの閉鎖位置に到達すると、ブラケットによって形成されるラッチ凹部56にスナップ嵌めされる。
図4は、ガイド帯部50a、50b、52a、52bの相互接触及び挿入を容易にする、ガイド帯部50a、50b、52a、52bの始点における挿入用面取り部又は挿入用ベベルを示している。
【0054】
図5は、
図3及び
図4に示す第2のハウジング部分44を斜め上方から示す。トラフ状(trough-like)の第2のハウジング部分44に配置されたフェライト要素46を見ることができる。フェライト要素46は、一般に、チャネルとして形成されており、1本以上の電線(
図2の線28を参照)を受け入れるためのほぼ半円形の断面を有する筒状の凹部を有する。凹部の側面では、フェライト要素46は、(
図4で見られる)その前縁において、接近用面取り部58を有する。同一の接近用面取り部58が、
図4の観察者とは反対を向いている、フェライト要素46の背面に配置されている。第1のハウジング部分42(
図3参照)のフェライト要素46は同一に形成されている。2つのハウジング部分42、44が通路方向30に平行に互いに対向して移動させられるとき、第1のハウジング部分42のフェライト要素46の前側の接近用面取り部58が、第2のハウジング部分44のフェライト要素46の(
図3の後側にある)接近用面取り部58に接触するようになる。複数の接近用面取り部58は互いに対して摺動することができ、フェライト要素46はそれぞれのハウジング部分42、44の床面の方向に押圧される。これは、それぞれのハウジング部分42、44の床面とフェライト要素46との間に配置されたばね要素によって達成される。次いで、ハウジングの閉鎖状態(
図3及び
図4参照)では、2つのフェライト要素46は、互いに対して実質的に隙間がなく、線28のために半径方向に閉鎖された通路を形成する(
図2参照)。
【0055】
図5は、第2のハウジング部分44の通路開口48の側面にあるU字形ブラケット60を示す。半円形の通路開口48の左右両方において、U字形ブラケット60が配置されている。U字形ブラケット60は、それらの開放した側面(
図5では見えない)によって、第2のハウジング部分44の床面に固定されて一体的に接続されている。しかしながら、床面の上方では、(下部を介して接続されている)ブラケット60の脚部は、ブラケット60が圧力を受けて横方向に偏向することができるように自由である。従って、フェライト要素46に挿入された線は、対応する厚さで、U字形ブラケット60によって締め付けることができる。ハウジングの閉鎖状態(
図3参照)では、4つのU字形ブラケット60が各通路開口48上に配置され、次いで、これらのブラケットは、線を締め付け、従って、装置40を線上の確立された位置に保持する。
【0056】
図5において、ラッチ凹部56を形成しているブラケットは、第2のハウジング部分44の左側に見える。
図5の第2のハウジング部分44の右側では、ラッチアーム54の設計が見ることができる。2つのハウジング部分42、44が共に押し込まれるとき、前記ラッチアームは、第1のハウジング部分42のラッチ凹部56に係合し、それによって、ハウジングの閉鎖状態で2つのハウジング部分42、44を共にラッチ掛けする。
【0057】
図6は、
図5に示す第2のハウジング部分44を正面図で示す。この正面図から、フェライト要素46の上側面が第2のハウジング部分44の上限よりも僅かに上方に突出していることが明らかである。このように、
図6は、
図5に示すフェライト要素の前側の接近用面取り部58の一部分を示す。このフェライト要素46の位置は、ハウジング部分44の床面とフェライト要素46との間に配置されたばね装置(
図6には示されていない)によって、ハウジングの開放状態で達成される。2つのハウジング部分42、44が共に押されると、次いで、フェライト要素46は、それぞれのハウジング部分42、44の床面の方向に接近用面取り部58の作用を受けて押圧され、次いで、ハウジングが閉鎖状態にあるとき(
図3及び
図4参照)に互いに実質的に隙間なく当接する。
【0058】
図7は、
図4に示す第2のハウジング部分44をフェライト要素46無しで示す。ばね装置62は、例えば、湾曲したワッシャの形態で、第2のハウジング部分44の床面上で見ることができる。このばね装置62により、フェライト要素46が第2のハウジング部分44の床面から離れて押圧されることを保証し、
図6に示す位置に位置する。既に説明したように、ハウジング部分42は第2のハウジング部分44と同様に形成されており、ばね装置62も有している。
【0059】
フェライト要素46を第2のハウジング部分44の内側の規定位置に保持するために、第2のハウジング部分44には、合計4つのばね式ブラケット64が設けられている(その内の2つのみが
図7に見られる)。ばね式ブラケット64により、フェライト要素46を通路方向30及び反対方向に滑らないように強固に保持している。本発明では、互いに向き合った2つのばね式ブラケット64の代わりに、他のばね装置又はクランプ(締め付け)装置を設けて、フェライト要素を第2のハウジング部分44内の正しい位置にしっかりと保持することができる。既に説明したように、第1のハウジング部分42は、第2のハウジング部分44と同じように形成されるので、第2のハウジング部分44に関する全ての説明及び明確化は、第1のハウジング部分42にも当てはまる。
【0060】
図8は、ハウジング無しで2つのフェライト要素46を示している。2つのフェライト要素46のそれぞれの接触面が、線のための通路の側面で互いに隙間がなく、1本以上の線のための半径方向に閉鎖された通路を形成することは明らかである。2つのフェライト要素46の接近用面取り部58は、再度、ハウジングの閉鎖状態で互いに分離されており、2つのハウジング部分42、44が共になったときのそれらの機能は、既に説明されている。
【0061】
2つのハウジング部分42、44の間と2つのフェライト要素46の間にある、装置40のハウジングの分離面が、通路方向30に平行に延びている。
【0062】
図9は、本発明に係るさらなる装置70を示す。装置70は、互いに同一に形成された2つのハウジング部分72、74を有するハウジングを有する。フェライト要素76がハウジング部分72,74の各々に配置されている。
図9に示すハウジングの閉鎖状態では、2つのフェライト要素76は、1本以上の線のための半径方向に閉鎖した通路を形成する。第1のハウジング部分72は、その端面(
図9の左手前にある)においてU字形状の凹部を備え、この凹部は、第2のハウジング部分74の端壁の頂部と共に、1本以上の線のための通路開口78を形成している。また、(
図9で観察者とは反対に面する)装置70の背面側にも、通路開口78が設けられている。
【0063】
2つのハウジング部分72、74は、それぞれ、(
図9で見える)端面に摺動ブロックガイド80を備え、この摺動ブロックに、それぞれ他方のハウジング部分72、74の摺動ブロック84が係合する。摺動ブロック84は、一方のハウジング部分72、74の側壁に接続されたアーム86上に配置される。
図9では見えないハウジング部分72,74の側面は、
図9に示す側面と同一に形成されている。
【0064】
図9において、アーム86によって第1のハウジング部分72に一体的に接続されている、第1のハウジング部分72の摺動ブロック84は、第2のハウジング部分74の摺動ブロックガイド80に係合している。同様に、第2のハウジング部分74に接続されている、ばねアーム86上の摺動ブロック(
図8には図示せず)は、第1のハウジング部分72の摺動ブロックガイド80に係合する。
【0065】
図10は、
図9に示す装置70の第2のハウジング部分74のみを示している。第2のハウジング部分74にフェライト要素76が挿入されている。
図10において、ハウジング部分74の頂部側が通路方向30に対して斜めに延び、フェライト要素76の頂部側が通路方向30に平行に延びていることは明らかである。2つのハウジング部分72、74は、通路方向30に対して実質的に平行に延びる相対移動によってハウジングの閉鎖状態に移される。通路方向30に対して斜めに配置された各々のハウジング部分72、74の頂部側は、次いで、ハウジングの閉鎖状態が達成されたときに規定された端部停止部を提供する。この相対移動の間、フェライト要素76のそれぞれの接触面は、線のためにチャネルの側面で互いに沿って摺動する。
【0066】
図10において、ハウジング部分74は、通路開口78の割り当てられた部分に隣接する2つのU字形ブラケット60を有し、このU字形ブラケット60が、挿入された線に対して締め付け効果を発揮することが明らかである。また、同一に形成された2つの摺動ブロックガイド80は、
図10において後方に位置する第2のハウジング部分74の側壁の部分に設けられており、
図10において左側に配置された摺動ブロックガイド80の始点のみが見える。これとは反対に、
図10の前側の第2のハウジング部分74の領域には、複数の摺動ブロック84が配置されており、これら摺動ブロック84は各ばねアーム86によって第2のハウジング部分74のそれぞれの側壁に接続されている。ばねアーム86は、例えば、射出成形によって第2のハウジング部分74と一体に形成され、それによって限定されたばね作用しか有しえない。ばねアーム86のばね効果は、ばねアーム86及び他のハウジング部分75が例えばプラスチック製である、材料の弾性に基づいている。本発明では、ばねアーム86は剛性があるようにも形成することができる。
【0067】
図11は、フェライト要素76無しで
図10に示す第2のハウジング部分74を示す。このようにして、第2のハウジング部分74の床面にある板ばね88が見て取れる。この板ばね88は、既に説明したように、フェライト要素76を、第1のハウジング部分72の反対側のフェライト要素の方向に第2のハウジング部分74から離す方向に押し付けるものである。
【0068】
フェライト要素76が板ばね88の作用を受けて押圧されて第2のハウジング部分74から離れすぎるのを防止し、かつ、第2のハウジング部分74がひっくり返されたときにフェライト要素76が第2のハウジング部分74から脱落するのを防止するために、第2のハウジング部分74の側壁の内側には、保持突起を形成し、かつ、フェライト要素76の横方向の長手方向溝92内で少なくとも部分的に係合することができる、ラッチ帯部90が設けられている(
図10参照)。したがって、ラッチ帯部90により、フェライト要素76が規定位置を超えて第2のハウジング部分74の床面から離れるように押圧されるのを防止する。板ばね88は、フェライト要素76をこの規定位置に保持し、フェライト要素76をラッチ帯部90の下側に押し付ける。
【0069】
板ばね88は、その端面の各々に、第2のハウジング部分74の床面上の対応する突起部96上に係合する、凹部94を有する。板ばね88の緩和状態(
図11に示す)では、突起部96は、板ばね88上の凹部94内に部分的にのみ係合する。次いで、ハウジングの閉鎖状態では、板ばね88が圧縮され、突起部96が凹部94内に僅かに突出する。ハウジング上の突起部96及び板ばね88上の凹部94によって、板ばね88の正確に規定された取付位置を達成することができる。突起部96及び凹部94は、例えば、板ばねが突起部96に係合し、それによって、装置70の取付中に第2のハウジング部分74内で拘束で保持されるように構成することもできる。上述したように、2つのハウジング部分72,74は、互いに同一に形成されているおり、第2のハウジング部分74に関する記載は、第1のハウジング部分72にも当てはまる。
【0070】
図12は、フェライト要素76を斜視正面図で示す。この図は、フェライト要素76の対向する側壁にある溝状凹部92を明瞭に示しており、説明したように、第2のハウジング部分74のラッチ帯部90が凹部では、フェライト要素76を第2のハウジング部分74内にしっかりと保持するために係合するが、それにもかかわらず、ハウジングの閉鎖状態を達成するために第1のハウジング部分72が第2のハウジング部分74に対して移動させられるときに板ばね88の作用に対するばねの動きを許容する。
【0071】
図13は、本発明に係るさらなる装置100を示しており、装置100は、
図9~
図12の装置70と非常に類似して構成されており、装置70との相違点のみを以下に説明する。
【0072】
装置100は、第1のハウジング部分102及び第2のハウジング部分104を有するハウジングを有する。ハウジング部分102、104は、(
図15で明らかである)ラッチ帯部110が、通路方向30に平行ではなく、通路方向30に対して斜めに配置されている点のみが、装置70のハウジング部分72、74と異なる。それ以外の点では、ハウジング部分102、104は、ハウジング部分72、74と同じように形成される。
【0073】
ラッチ帯部110の異なる配置(
図14参照)は、フェライト要素106の異なる形状(
図13参照)に適合されている。フェライト要素106は、通路方向30に対して斜めに配置された接触面を有する。このようにして、1本以上の線が挿入することができるフェライト要素106のチャネル状凹部の深さは、フェライト要素106の一方の側に向かって減少する。2つのフェライト要素106が重畳して敷設されている場合、再び、半径方向に閉鎖される、少なくとも1本の線のためのほぼ筒状の通路が形成される。フェライト要素106(
図14参照)には、その上側縁部において、通路方向30に対して斜めにも延びるそれぞれの肩部が設けられている。ラッチ帯部110は、フェライト要素106が
図14の第2のハウジング部分104から上方に移動することができないようにするために、前記肩部上に係合しうる。フェライト要素106は、第2のハウジング部分104の床面上の板ばね88によってラッチ帯部110に対して予張力が与えられる(
図15参照)。
【0074】
図16は、両方のフェライト要素106が示されている、第2のハウジング部分104を示す。この図では、2つのフェライト要素106が少なくとも1本の線のための実質的に筒状の通路を形成していることが明らかである。2つのハウジング部分102、104がハウジングの開放状態から閉鎖状態への相対移動するときに、ハウジング部分102、104の頂部側だけでなく、フェライト要素106の接触面も、相対移動の終わり及びハウジングの閉鎖状態を規定する停止面を形成する。
【0075】
図17は、
図13に示す装置100を側面図で示す。装置70及び100の摺動ブロックガイド80の形態及び機能を、
図17を参照して説明する。
【0076】
摺動ブロックガイド80の各々は、摺動ブロックガイド80の始点を同時に規定する挿入用開口110を有する。2つのハウジング部分72,74,102,104が共に押し込まれると、それぞれ他方のハウジング部分の摺動ブロック84が前記挿入用開口110内に導かれる。これに伴い、アーム86によって
図17の上側のハウジング部分102に接続された摺動ブロック84が、
図17の下側にあるハウジング部分104の側の摺動ブロックガイド80の挿入用開口110に上方から挿入される。それと同時に、アーム86によって
図17において下部にある第2のハウジング部分104側に接続された摺動ブロック84が、
図17の上部のハウジング部分102の摺動ブロックガイド80の挿入用開口110に下方から挿入される。
【0077】
その後、各摺動ブロックガイド80は、挿入用開口110に隣接して、円弧部112を有する。円弧部112は、それぞれのハウジング部分102、104の頂部側に平行に延びる直線部114に変わる。部分112、114において、摺動ブロックガイド80の高さは、摺動ブロック84の高さとほぼ等しい。このように、摺動ブロックは、部分112、114にほぼ遊びのない状態で又は僅かな遊びしかない状態で、摺動ブロックガイド80に案内される。
【0078】
部分114に隣接するさらなる部分116において、摺動ブロックガイド80は、再度、それぞれのハウジング部分104の頂部側に平行に延びるが、高さは増加する。その結果、各他方のハウジング部分の摺動ブロック84は、さらなる部分116において摺動ブロックガイド80内部で高さ方向に移動することができる。これにより、フェライト要素76、106を互いに接触するように配置し、場合によっては、それらを、ばね装置の作用に抗してそれぞれ割り当てられたハウジング部分に向かう方向に押し込むために必要となることがある。
【0079】
摺動ブロックガイド80の端部118は、部分116に追従する。この端部118において、摺動ブロックガイド80の高さは、再び、部分116に比べて著しく低下し、摺動ブロック84の高さに実質的に対応する。端部118又は部分116から端部118への移行によって、摺動ブロック84は、高さ方向に正確に位置決めされ、下側のハウジング部分74、104の側壁の凹部120の前方の領域に導かれる。この凹部120は、摺動ブロック84の形状に応じたラッチ凹部として構成されている。摺動ブロック84が端部118に入るとすぐに、摺動ブロック84は、凹部120にスナップ嵌めされ、それによって、
図17に示すように、2つのハウジング部分72、74、102、104をハウジングの閉鎖状態にしっかりと保持することができる。
【0080】
図16は、第2のハウジング部分104の側壁における通路開口としての凹部120を示す。本発明では、凹部120は、単に摺動ブロックガイド80の窪み部として形成することができる。本発明では、凹部120の代わりに、突起部を設けることも可能であり、次いで、この突起部は、例えば、摺動ブロック84内の対応する凹部にスナップ嵌めされる。
【0081】
摺動ブロックガイド80及び摺動ブロック84によって、2つのハウジング部分72,74,102,104を互いに対して相対移動させながら互いに案内することができ、その相対移動の主成分は通路方向30に平行に延び、確実に終端位置に位置させることができる。終端位置では、摺動ブロック84は凹部120に係合し、それにより、2つのハウジング部分72、74、102、104を共にハウジングの閉鎖状態で同時にロックする。
【0082】
本発明では、2つのハウジング部分を相対移動の終わりでハウジングの閉鎖状態で互いにロックする別個のラッチ手段を設けることができる。図示の装置70、100の実施形態では、摺動ブロック84及び摺動ブロックガイド80は、同時にロック装置の機能を果たす。しかしながら、これは、本発明では必須ではない。
【0083】
図18は、
図13に示す装置100の第2のハウジング部分104を上方から見て示す。
図18は、板ばね88が緩和状態であることを明確に示しており、前記板ばねの互いに対向する凹部94は、第2のハウジング部分104の床面上の突起部96上の部分に係合している。
図18はまた、線を締め付けるためのU字形ブラケット60と、フェライト要素106を板ばね88の予圧に抗して保持するためのラッチ帯部110とを明確に示す。
【0084】
アーム86及びアームの端部に配置された摺動ブロック84が見える。ハウジング部分104上の複数の摺動ブロック84が、互いに対向して配置されている。また、
図18は、第2のハウジング部分104の対向する側壁における2つの摺動ブロックガイド80の挿入用開口110を示している。
【0085】
図19は、フェライト要素106(例えば
図14を参照)を示し、板ばね88はフェライト要素の下に配置される。
図18は、緩和状態である板ばね88を示す。
【0086】
図20は、
図19に示すフェライト要素106と板ばね88を、フェライト要素106を板ばね88に押し付けた状態で示す。これにより、板ばね88は圧縮状態となる。
この板ばね88の状態は、ハウジングが閉鎖状態にあるときに達成される。次いで、板ばね88は、反対側のハウジング部分における反対側のフェライト要素106の方向へのフェライト要素106の予張力を保証する。また、反対側のハウジング部分のフェライト要素106は、同一の板ばね88で予張力が与えられる。これにより、2つのフェライト要素106の間に隙間、すなわち微視的に小さな隙間のみが存在しないことが保証される。このようにして、フェライト要素106の非常に良好な電気的及び磁気的特性を達成することができ、本発明に係る装置では、線上の電気ノイズを大いに吸収することができる。
【0087】
図19及び
図20を参照して与えられる説明は、フェライト要素46、76にも適用され、その頂部側は下側に平行に延びている。ここでも、板ばね88又は他の適当なばね装置は、フェライト要素同士の予圧及びハウジングの閉鎖状態でのフェライト要素の隙間のない配置を保証する。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのハウジング部分(12,14;42,74;102,104)を有するハウジングを有する、線(28)上の電気ノイズを吸収するための装置(10;40;70)であって、
各前記ハウジング部分は、ノイズ吸収材料からなる要素を受け入れるように設けられており、前記ハウジングは、閉鎖状態において、1本以上の線(28)のために対向する2つの端壁の各々において通路開口を有し、前記2つのハウジング部分における複数の前記要素(16;46;76;106)が、前記ハウジングの前記閉鎖状態において、前記1本以上の線のための通路を画定し、前記ハウジングにおける前記通路開口(48)と前記要素(16;46;76;106)によって形成される前記通路は、少なくとも1本の前記線のための通路方向(30)を規定し、前記ハウジングの前記閉鎖状態で前記2つのハウジング部分をロックするためのロック装置が設けられて
おり、
前記2つのハウジング部分は、前記2つのハウジング部分の互いに対する相対移動を行うように構成されており、前記相対移動の主成分は、前記通路方向(30)に平行に延びており、前記2つのハウジング部分は、前記ハウジングの前記閉鎖状態に移されて前記閉鎖状態で共にロックすることができ
、
前記ハウジングは、前記2つのハウジング部分(72,74;102,104)によって前記通路方向(30)に対して斜めに前記ハウジングが分割されている、装置。
【請求項2】
前記2つのハウジング部分(42、44;72、74;102、104)が同一に形成されている
、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングの前記閉鎖状態において、前記複数の要素(106)は前記通路方向に対して斜めに分割されている
、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記2つのハウジング部分(12,14;42,44;72,74;102,104)には、摺動ガイドが設けられている
、請求項1~
3の
いずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記摺動ガイドが摺動ブロックガイド(80)として形成される
、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記摺動ガイドは、ガイド帯部(20;50a,50b,52a,52b)によってリニアガイドとして構成される
、請求項
4に記載の装置。
【請求項7】
前記ロック装置は、ラッチ突起とラッチ凹部とを有するラッチ手段を備える
、請求項1~
6の
いずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ラッチ手段は、前記摺動ガイドとは別個に配置されている
、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記ラッチ手段は、ばね式ラッチアーム(22;54a,54b)を有する
、請求項
7又は
8に記載の装置。
【請求項10】
前記摺動ガイド上に前記ラッチ手段が配置されている
、請求項
7に記載の装置。
【請求項11】
前記ラッチ手段は、前記摺動ガイドにおいて少なくとも1つのラッチ凹部を有する
、請求項1
0に記載の装置。
【請求項12】
複数の前記要素(46)の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの接近用面取り部(58)が設けられており、前記接近用面取り部(58)は、前記ハウジングの開放状態から前記閉鎖状態への相対移動中にそれぞれの前記複数の前記要素(46)の他方上で延びる
、請求項1~1
1の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ハウジングが閉鎖されているときに前記要素(46;76;106)を、他方の前記ハウジング部分において前記要素(46;76;106)の方向に予張力を与えるように、それぞれの前記要素(46;76;106)と割り当てられた前記ハウジング部分との間にばね装置(62)が設けられている
、請求項1~1
2の少なくとも一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ばね装置は、板ばね(88)を備える
、請求項1
3に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~1
4の少なくとも1項に記載の装置を少なくとも1本の電線上に配置する方法において、
前記方法は、前記装置の前記ハウジングの前記2つのハウジング部分を、前記2つのハウジング部分の互いに対する相対移動によって前記ハウジングの前記閉鎖状態に移す
、方法。
【国際調査報告】