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特表2022-551307被包化された帯電防止剤組成物およびその調製法
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  • 特表-被包化された帯電防止剤組成物およびその調製法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】被包化された帯電防止剤組成物およびその調製法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/16 20060101AFI20221201BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20221201BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20221201BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C09K3/16 102E
C08L23/00
C08K5/103
C08K3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521132
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020078243
(87)【国際公開番号】W WO2021069564
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】201911041180
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517092075
【氏名又は名称】アヴィエント スウィッツァランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カリアッパン, スブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ワグダレ, ナゲシュ アッパサヘブ
(72)【発明者】
【氏名】デコルテス, アントネッロ
(72)【発明者】
【氏名】ソーリング, ヴォルフガング ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファリス, ロッセーラ
(72)【発明者】
【氏名】シルケ, ジャヤバント ラタン
(72)【発明者】
【氏名】ヘダオ, ラーフル キショール
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002EH047
4J002FB077
4J002FD016
4J002FD107
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、被包化された帯電防止剤組成物およびその調製のための方法に関する。本開示の被包化された帯電防止剤組成物は、プラスチック製品における長時間持続性帯電防止作用を提供し、マスターバッチの中で使用される。上記被包化された帯電防止剤組成物は、シリカおよびクレイの混合物からなるキャリア、ならびに上記キャリア中に被包化された帯電防止剤を含む。本発明の別の目的は、キャリアの吸収能力に起因して、10~60%、好ましくは25~55%および最も好ましくは30~50%まで帯電防止剤のより高い負荷量を有する被包化された帯電防止剤組成物を提供することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包化された帯電防止剤組成物であって、前記組成物は、
a)シリカおよびクレイの混合物からなるキャリア;ならびに
b)前記キャリア中に被包化された少なくとも1種の帯電防止剤、
を含み、
ここで前記組成物の総重量に基づいて、前記キャリアの濃度は、40~90%、好ましくは45~75%、最も好ましくは50~70%の範囲にあり、帯電防止剤は、10~60%、好ましくは25~55%、最も好ましくは30~50%の範囲にある、組成物。
【請求項2】
前記帯電防止剤は、グリセロールエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記グリセロールエステルは、グリセロールモノステアレートである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記帯電防止剤は、ステアリン酸、パルミチン酸モノエステルとトリグリセロールの混合物、またはステアリン酸、トリグリセロールとのモノエステルおよび2,3-ジヒドロキシプロピルラウレートとのブレンドである、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記キャリアは、前記組成物の総重量に基づいて、50~90%としてクレイの濃度を有する、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記キャリアは、1:10~10:1のシリカ 対 クレイの比を有する、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記クレイは、ベントナイト、モンモリロナイト、ベイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ステベンス石、ケロライト-サポナイト、ケロライト、タルク、葉臘石、アタパルジャイト、セピオライトを含む天然クレイ;天然シリカとベントナイトとの混合物;任意の改良クレイ;ならびにこれらの任意の混合物からなる群より選択される、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記クレイは、天然ベントナイトまたはナトリウム活性化ベントナイトまたは両方を含む混合物を含む、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記クレイは、10meq/100g~140meq/100gの範囲、好ましくは20~130meq/100gの範囲、特に好ましくは30~120meq/100gの範囲にあるカチオン交換能力を有する、天然ベントナイトまたはナトリウム活性化ベントナイトを含む、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記シリカは、沈降シリカである、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記沈降シリカは、親水性沈降シリカまたは疎水性沈降シリカまたは両方の混合物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記親水性シリカは、少なくとも120ml/100g、好ましくは少なくとも140ml/100g、最も好ましくは少なくとも160ml/100g 沈降シリカのDOA吸収数として決定される液体担持能力を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記親水性シリカは、4~300μm、好ましくは5~150μm、最も好ましくは5~70μmのレーザー回折によって決定される粒度 d50を有する、請求項11または請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記疎水性シリカは、2~50μm、好ましくは4~25μm、最も好ましくは5~15μmのレーザー回折によって決定される粒度 d50を有する、請求項11~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記シリカは、前記組成物の総重量に基づいて、15%~90%、好ましくは25%~85%、最も好ましくは35%~75%の量において使用される、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
被包化された帯電防止剤組成物、好ましくは前述の請求項のいずれかに記載される被包化された帯電防止剤組成物のマスターバッチを調製するための方法であって、ここで前記被包化された帯電防止剤は、便法として、マスターバッチの形態で提供され、ここで前記ポリマーは、好ましくは、それぞれ被包化された帯電防止剤が組み込まれることになるポリオレフィンである、方法。
【請求項17】
マスターバッチにおいて使用される場合の、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
ポリマーのためのマスターバッチにおいて使用される場合の、前述の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
被包化された帯電防止剤組成物を含み、ここで前記被包化された帯電防止剤は、物品の加工処理の間に、100℃~250℃の範囲の温度の加熱サイクルで保持される、請求項16に記載のマスターバッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、被包化された帯電防止剤組成物に関する。より具体的には、本発明は、被包化された帯電防止剤組成物であって、ここで上記帯電防止剤はシリカおよびクレイの混合物からなるキャリア中に被包化された組成物に関する。さらに、本発明は、マスターバッチ(MB)であって、上記マスターバッチは、プラスチック製品の静電気問題を克服するために、MBのポリマーマトリクスへと組み込まれる被包化された帯電防止剤を含むマスターバッチの生成に関する。本発明は、以前から公知の帯電防止剤の欠点を克服しようと努力する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
今日では、プラスチックは、金属にとって代わっており、選択される物質になっている。なぜならそれらは、より高い可撓性、より軽量、よりよい着色性およびより高い費用効果を有するからである(Harper C. A (1999), Amarasekera J (2005))。しかし、静電気問題は、加工処理および加工産業(transforming industry)において難題を有するプラスチック製品に主に付随する、使用中の性能に対して有害効果がある。
【0003】
帯電防止剤はしばしば、このような問題を克服するためにプラスチック製品に組み込まれる。帯電防止剤の機能は、物質表面への電子の移動に起因する静電荷の蓄積を防止することである。帯電防止剤は、表面が静電荷を蓄積する傾向を低減する(S.R. Hartshorn, S.S. Thind, in Comprehensive Heterocyclic Chemistry, 1984)。
【0004】
非イオン性タイプの帯電防止剤は、それらのコストが低いことおよびプラスチックの機械的特性に対する最小限の効果が原因で最も広い使用が見出されている。使用の容易さは、非イオン性物質の別の都合の良い局面である。それらは、マスターバッチ形態において加工処理する前に、プラスチックのバルクと混合され得るか、または必要なときに必要なだけ、完成したプラスチック物品の表面に対するコーティングとして付与され得る。しかし、上記非イオン性物質の使用は、持続時間が短く、一時的な効果を示す。従って、上述の欠点を克服しかつ長期間の帯電防止効果を拡げるために、被包化技術は、都合の良い解決策であろう。
【0005】
帯電防止剤は、イオン性、両性、および非イオン性のポイントへと分けられ得る。イオン性帯電防止剤としては、カチオン性化合物(例えば、四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、またはスルホニウム塩)、およびアニオン性化合物(通常は、スルホン酸、リン酸、およびカルボン酸のナトリウム塩)が挙げられる。非イオン性帯電防止剤としては、エステル(例えば、脂肪酸のグリセロールエステル、エトキシル化三級アミン、エトキシル化アミドおよびアルキルスルホン酸エステル)が挙げられる。多くは、FDAまたはEUで認可されている。非イオン性帯電防止剤は、ポリオレフィンにおいて主に使用される;グリセリルモノステアレートは、0.05~>1%の範囲に及ぶレベルで多くのポリプロピレン射出成形用途において使用される。負荷レベルは、樹脂の加工処理温度、他の添加剤の存在、および用途要件(例えば、透明性、印刷適性、およびFDA遵守)に依存する(Clive Maier, Teresa Calafut, in Polypropylene, 1998)。それらは、配合ステージの間に他の成分とともに組み込まれ得るか、または帯電防止コーティングとして表面に直接付与され得る。
【0006】
しかし、組み込み後に、上記帯電防止剤の大部分は、表面に上昇する傾向を有し、洗い落とされてしまい、従って、これらの帯電防止剤は利用可能でない。従って、上記帯電防止効果が保持される持続時間は、ごく短い。
【0007】
CN 103709493は、ポリマー組成物を開示しているが、ポリマーは、3種の異なる低密度ポリエチレン(LDPE)ポリマーの組み合わせである;MBは、さらなる無機物質を含む。上述の成分は、高速ブレンダーへと投入されて、高速ブレンド後に十分にかつ均一に融解され、その後、排出され、冷却され、十分に硬化され、次いで、砕かれ、篩にかけられて、最終製品が得られる。この発明によって開示されるマスターバッチおよび調製方法は、プラスチック加工処理産業におけるプラスチック製品の改変に適用され得る。
【0008】
CN 104250403は、組成物を開示しているが、MBは、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)キャリアおよび帯電防止剤の他に、アンチブロッキング剤(anti-blocking agent)(好ましくは、0.1~1部ではあるが、離型剤としてのシリカ)、抗酸化剤および1もしくはこれより多くの化合物安定化剤(compound stabilizer)を含む。マスターバッチ帯電防止剤は、良好な帯電防止効果を有し、効果および良好な防塵効果を持続させる。
【0009】
CN 106633392は、組成物を開示しているが、MBは、ポリプロピレン(PP)キャリア樹脂、ポリアミド(PA)樹脂粒子、10~15部の活性酸化アルミニウム粉末、10~15% クレイおよびさらにMgCl、分散剤およびカップリング剤を含む。機能的マスターバッチは、PA樹脂粒子、活性酸化アルミニウム粉末、クレイおよび塩化マグネシウムが配合されるという利点を有し、その結果、ポリプロピレン製品は、ポリプロピレン製品の湿潤度が、化学的または物理的経路を経て水を化合することによって改善され、その間に、ポリプロピレン製品において生成される過剰な電荷が時宜を得て分散され、その結果、ポリプロピレン物質の帯電防止能力が改善される。
【0010】
CN 107556579は、組成物を開示しているが、MBは、14~20% ポリエチレン(PE)ポリマー、80~90% ベントナイトおよびさらにカーボンブラック、PEワックス、ホスフェートカップリング剤および3~5% ステアリン酸アミドを含む。この発明によって開示されるポリエチレン帯電防止剤充填マスターバッチによれば、テトラデシルピリジニウムブロミド改良ベントナイトが採用され、その改良ベントナイトとポリエチレンとの間の適合性が改善され、その結果、その調製された充填マスターバッチは、ポリエチレン中で容易に分散され、ポリエチレンの機械的特性および帯電防止剤特性が改善される。
JP 2000313875は、帯電防止剤が(A)C10-C14脂肪酸のジエタノールアミドおよび(C)モノグリセリドC10~C14脂肪酸であり;キャリア樹脂(B)は、花弁状ケイ酸カルシウム粉末であり; A/BおよびB/Cが一緒に混合されていることを開示する。
先行技術において認められ得るように、シリカおよびクレイの混合物からなるキャリアにおける帯電防止剤の被包化は、未知である。先行技術は、従って、およびその作用を改善するための帯電防止剤の構造の改変において帯電防止剤の使用に焦点を当てた。長時間持続性帯電防止剤は存在する。しかし、長時間持続性帯電防止剤の使用は、健康および安全性の観点から懸念されるようになっており、極めて高価である。従って、一時的な帯電防止剤を使用して、放出制御帯電防止活性(controlled release antistatic activity)を示し得る費用効果的な帯電防止剤を提供する必要性が存在する。これは、一時的な帯電防止剤を被包することによって達成され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中華人民共和国特許出願公開第103709493号明細書
【特許文献2】中華人民共和国特許出願公開第104250403号明細書
【特許文献3】中華人民共和国特許出願公開第106633392号明細書
【特許文献4】中華人民共和国特許出願公開第107556579号明細書
【特許文献5】特許出願公開第2000313875号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Harper C. A (1999), Amarasekera J (2005)
【非特許文献2】S.R. Hartshorn, S.S. Thind, in Comprehensive Heterocyclic Chemistry, 1984
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の目的
本発明の主な目的は、被包化された帯電防止剤組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、キャリアの吸収能力に起因して、10~60%、好ましくは25~55%および最も好ましくは30~50%まで帯電防止剤のより高い負荷量を有する被包化された帯電防止剤組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、シリカおよびクレイ混合物のキャリアが、表面への帯電防止剤のゆっくりとした放出をもたらして、長期間の帯電防止効果を達成する、帯電防止剤へのバリアとして作用する被包化された帯電防止剤組成物を提供することである。
【0016】
本発明のなお別の局面は、MBのポリマーマトリクスへと十分に組み込まれる被包化された帯電防止剤を含むマスターバッチ(MB)を提供することである。
【0017】
本発明のなお別の局面は、被包化された帯電防止剤を含むフィルム、シート、押し出し成形または射出成形物品のような物品を提供することである。
【0018】
発明の要旨
一局面において、本発明は、被包化された帯電防止剤組成物であって、上記組成物は、
a)シリカおよびクレイの混合物からなるキャリア;ならびに
b)上記キャリア中に被包化された少なくとも1種の帯電防止剤、
を含み、ここで上記組成物の総重量に基づいて、上記キャリアの濃度は、40~90%、好ましくは45~75%、最も好ましくは50~70%の範囲にあり、帯電防止剤は、10~60%、好ましくは25~55%および最も好ましくは30~50%である組成物を提供する。
【0019】
本発明の別の局面において、帯電防止剤は、グリセロールエステルまたはエトキシル化アミンエステルまたはエトキシル化アミドまたはアルキルスルホン酸エステルである。グリセロールエステルは、グリセロールモノステアレートである。グリセロールステアレートは、ステアリン酸、パルミチン酸モノエステルとトリグリセロールの混合物(すなわち、Atmer 129)、またはステアリン酸、トリグリセロールとのモノエステルおよび2,3-ジヒドロキシプロピルラウレートのブレンド(すなわち、Grinsted PGE 308)である。エトキシル化アミンは、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-C12-18-アルキルアミンである。
【0020】
本発明の別の局面において、上記キャリアは、上記組成物の総重量に基づいて、50~90%、好ましくは60~90%および最も好ましくは75~85%としてのクレイの濃度を有する。
【0021】
本発明のさらに別の局面において、上記キャリアは、1:10~10:1、好ましくは1:5~5:1、最も好ましくは1:3~3:1のシリカ 対 クレイの比を有する。
【0022】
本発明の1つの別の局面において、クレイは、ベントナイト、モンモリロナイト、ベイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ステベンス石、ケロライト-サポナイト、ケロライト、タルク、葉臘石、アタパルジャイト、セピオライトを含む天然クレイ;天然シリカとベントナイトとの混合物;任意の改良クレイ;ならびにこれらの任意の混合物からなる群より選択される。
【0023】
本発明のさらなる局面において、上記クレイは、天然ベントナイトまたはナトリウム活性化ベントナイトまたは両方を含む混合物を含む。
【0024】
本発明のさらに別の局面において、クレイは、10meq/100g~140meq/100gの範囲にあるカチオン交換能力を有する天然ベントナイトまたはナトリウム活性化ベントナイトを含む。
【0025】
本発明の別の局面において、上記クレイは、20~130meq/100gの範囲、好ましくは30~120meq/100gの範囲にあるカチオン交換能力を有する天然ベントナイトまたはナトリウム活性化ベントナイトを含む。
【0026】
本発明の1つの別の局面において、クレイは、120m/gより大きい表面積、0.35ml/gより大きい全細孔容積およびSiOとして計算して少なくとも60重量%のケイ素含有量を有する。
【0027】
本発明のさらに別の局面において、クレイは、クレイ物質の鉱物相の定量的X線回折分析によって決定される場合、10%より大きい非晶質物質を有する。
【0028】
本発明のさらに別の局面において、上記シリカは、沈降シリカである。
【0029】
本発明のさらに別の局面において、上記沈降シリカは、親水性沈降シリカまたは疎水性沈降シリカまたは両方の混合物である。
【0030】
本発明の一局面において、上記親水性シリカは、DOA吸収数として決定される場合、少なくとも120ml/100g、好ましくは少なくとも140ml/100g、最も好ましくは少なくとも160ml/100g 沈降シリカの液体担持能力を有する。
【0031】
本発明の別の局面において、上記親水性シリカは、レーザー回折によって決定される、4~300μm、好ましくは5~150μm、最も好ましくは5~70μmの粒度 d50を有する。
【0032】
本発明のさらに別の局面において、上記疎水性シリカは、レーザー回折によって決定される、2~50μm、好ましくは4~25μm、最も好ましくは5~15μmの粒度 d50を有する。
【0033】
本発明の1つの別の局面において、シリカは、上記組成物の総重量に基づいて、15%~90%、好ましくは25%~85%、最も好ましくは35%~75%の量において使用される。
【0034】
本発明のさらに別の局面において、上記被包化された帯電防止剤組成物は、マスターバッチを生成するために使用される。
【0035】
本発明の別の局面において、本発明は、被包化された帯電防止剤組成物のマスターバッチを調製するための方法であって、ここで上記被包化された帯電防止剤は、便法として、マスターバッチの形態において提供され、ここで上記ポリマーは、好ましくは、それぞれの被包化された帯電防止剤が組み込まれることになるポリオレフィンである方法を提供する。
【0036】
本発明の1つの他の局面において、上記生成されたマスターバッチは、物品へとさらに変換され得る。
【0037】
本発明のさらに他の局面において、物品は、フィルム、シート、押し出し成形または射出成形物品であり得る。
本発明のさらに別の局面において、被包化された帯電防止剤は、物品の処理の間に、100℃~250℃の範囲の温度の加熱サイクルで保持される。
添付の図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、被包化された帯電防止サンプルおよびGrinsted PGE 308のTGAを表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明の目的に関して、本発明は、反対であることが明示的に特定される場合を除いて、種々の代替のバリエーションおよび工程の種々の順序を想定し得ることは理解されるべきである。さらに、任意の作用実施例における以外、または別段示されない場合、例えば、本明細書中で使用される成分の量を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約(about)によって修飾されていると理解されるべきである。別段述べられなければ、本明細書および添付の特許請求の範囲で示される全てのパーセンテージは、全組成物の重量パーセンテージに言及する。
【0040】
従って、本発明を詳細に記載する前に、本発明が、具体的に例示されるプロセスパラメーター(これは、当然のことながら変動し得る)に限定されないことは理解されるべきである。本明細書で使用される用語法が、本発明の特定の実施形態を記載する目的に過ぎず、本発明の範囲を限定することはいかなる様式においても意図されないことも、理解されるべきである。
【0041】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0042】
本明細書中の重量パーセンテージ(wt%または%wt)は、別段示されなければ、組成物の総重量に基づいて計算される。
【0043】
本明細書および添付の特許請求項において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、文脈が別段明示的に規定しなければ、風崇敬への言及を含むことは注記されなければならない。
【0044】
用語「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」とは、ある特定の状況下で、ある特定の利益を与え得る本発明の実施形態に言及する。しかし、他の実施形態は、同じ状況または他の状況下で好ましいこともある。
【0045】
さらに、1またはこれより多くの好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示唆せず、他の実施形態を本発明の範囲から排除することは意図されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「含む、包含する(comprising)」、「含む、包含する、挙げられる(including)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「含む(involving)」などは、制限がない、すなわち、が挙げられるが、これらに限定されないと理解されるべきである。
【0047】
本発明の一実施形態において、帯電防止剤組成物であって、上記組成物は、
a)シリカおよびクレイの混合物からなるキャリア;ならびに
b)上記キャリア中に被包化された少なくとも1種の帯電防止剤、
を含み、ここで上記組成物の総重量に基づいて、上記キャリアの濃度は、40~90%、好ましくは45~75%、最も好ましくは50~70%の範囲にあり、帯電防止剤は、10~60%、好ましくは25~55%、最も好ましくは30~50%である組成物が提供される。
【0048】
マスターバッチ組成物は、添加剤として少なくとも1種の被包化された帯電防止剤を含み得、ここで上記マスターバッチに存在する添加剤は、最終物品または最終適用中にあるより高濃度を有する。上記マスターバッチ中の被包化された帯電防止剤の濃度は、好ましくは2~20重量%、より好ましくは5~15重量%の範囲に及ぶ(%重量は、各場合に、上記マスターバッチの総重量に基づく)。
【0049】
別の実施形態において、上記帯電防止剤は、グリセロールエステルまたはエトキシル化アミンまたはエトキシル化アミドまたはアルキルスルホン酸エステルである。上記グリセロールエステルは、グリセロールモノステアレートである。上記帯電防止剤は、ステアリン酸、パルミチン酸モノエステルとトリグリセロールとの混合物(すなわち、Atmer 129)またはステアリン酸、トリグリセロールとのモノエステルおよび2,3-ジヒドロキシプロピルラウレートのブレンド(すなわち、Grinsted PGE 308)である。上記エトキシル化アミンは、帯電防止剤として使用されるN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-C12-18-アルキルアミンである。
【0050】
Atmer 129は、代表的には、ステアリン酸、パルミチン酸モノエステルとトリグリセロールとの混合物である。大部分は、非イオン性界面活性剤が、帯電防止効果を達成するために使用される。活性物質(active)の添加は、所望の帯電防止効果をもたらすために重大な役割を果たす。しかし、その効果はなお制限されており、永久的ではない。
【0051】
Grinsted PGE 308は、帯電防止剤として作用し、優れた熱安定性を示すポリグリセロールエステル(ステアリン酸、トリグリセロールとのモノエステル、および2,3-ジヒドロキシプロピルラウレートのブレンド)である。それは、アミンおよびアミドの化学的性質が全くない。このことは、最終適用におけるポリカーボネートのストレスクラック性(stress cracking)に対する腐食効果のリスクを排除する。それは、ポリスチレン、ポリアミド、LDPE、LLDPEおよびHDPEと適合性であり、PEフィルム、PE発泡体、電子パッケージング(electronic packaging)および射出成形用途において使用され得る。
【0052】
1つの別の実施形態において、上記シリカは、沈降シリカの群から選択される。
【0053】
一実施形態において、上記沈降シリカは、親水性沈降シリカ、疎水性沈降シリカまたは両方の混合物である。沈降シリカは、代表的には、中性またはわずかにアルカリ性の条件下で、鉱酸でのケイ酸ナトリウムの沈降によって生成される。最終適用のために、沈降シリカのフィルターケークは、乾燥され、すり潰される。
【0054】
一実施形態において、上記シリカは、親水性沈降シリカである。
【0055】
上記親水性シリカは、SiOからなるのみであり、いかなる表面改変をも示さず、水で濡れる。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、上記親水性シリカは、レーザー回折によって決定される、少なくとも4~300μm、好ましくは少なくとも5~150μm、最も好ましくは少なくとも5~70μmの粒度 d50を有する。
【0057】
上記沈降シリカは、以下からなる群より選択される: Evonik Industries製のSipernat(登録商標) 22; Sipernat(登録商標) 22LS、Sipernat(登録商標) 22S、Sipernat(登録商標) 2200、Sipernat(登録商標) 25、Sipernat(登録商標) 33、Sipernat(登録商標) 50、Sipernat(登録商標) 50S、Sipernat(登録商標) 500LS、Sipernat(登録商標) 101M、Sipernat(登録商標) 120、Sipernat(登録商標) 160、Sipernat(登録商標) 186、Sipernat(登録商標) 218、Sipernat(登録商標) 266、Sipernat(登録商標) 268、Sipernat(登録商標) 288、Sipernat(登録商標) 298、Sipernat(登録商標) 303、Sipernat(登録商標) 306、Sipernat(登録商標) 310、Sipernat(登録商標) 320、Sipernat(登録商標) 320 DS、Sipernat(登録商標) 32s AP、Sipernat(登録商標) 32s C、Sipernat(登録商標) 340、Sipernat(登録商標) 350、Sipernat(登録商標) 360、Sipernat(登録商標) 622 S、Sipernat(登録商標) 622 LS、Sipernat(登録商標) 62s、Sipernat(登録商標) 680、Sipernat(登録商標) BG-2、Sipernat(登録商標) FPS-5、Sipernat(登録商標) FPS-1、Sipernat(登録商標) 11 PC、Sipernat(登録商標) 22 PC、Sipernat(登録商標) 2200 PC、Sipernat(登録商標) 44 MS、Sipernat(登録商標) 820A、Sipernat(登録商標) 880、Sipernat(登録商標) D 10、Sipernat(登録商標) D 13, Sipernat(登録商標) D 17、IGE Group製のIbersil(登録商標) D 100、Ibersil(登録商標) D100PまたはIbersil(登録商標) D 250、PPG製のFlo-Gard(登録商標) SC-72、Flo-Gard(登録商標) LPC。本発明の製剤の沈降シリカは、少なくとも120ml/100g、好ましくは少なくとも140ml/100g、最も好ましくは少なくとも160ml/100g 沈降シリカというDOA吸収数として決定される高い液体吸収能力によって適切に特徴づけられる。DOAは、ジ-(2-エチルヘキシル)アジペート(CAS番号 103-23-1)の略語である。その試験方法は、ISO 19246(「Rubber compounding ingredients- Silica - Oil absorption of precipitated silica」)に基づく。
【0058】
疎水性シリカは、水で濡れず、反応性のアルキルシランとの化学反応によって引きおこされる有機性の表面改変を示す。このような表面改変の存在は、種々の分析法によって証明され得る(例えば、ISO 3262-19に従う元素分析器における炭素含有量)。一実施形態において、上記沈降シリカまたは上記製剤中で使用される沈降シリカのうちの1つは、疎水性表面を有する。
【0059】
本発明の製剤のための疎水性沈降シリカは、レーザー回折(ISO 13320に基づくレーザー回折)によって決定される、少なくとも4 2~50μm、好ましくは少なくとも4~25μm、最も好ましくは少なくとも5~15μmという粒度 d50によって適切に特徴づけられる。
【0060】
一実施形態において、上記疎水性シリカは、Sipernat(登録商標) D17(d50 約10ミクロン)またはSipernat(登録商標) D 13(粒度 -d50 約10.5ミクロン)もしくはSipernat(登録商標) D10(粒度 -d50 約6.5ミクロン、自由流動性)またはSipernat(登録商標) 44 MS(粒度 -d50 約3ミクロン)もしくはSipernat(登録商標) 820 A(粒度 -d50 約7ミクロン)もしくはSipernat(登録商標) 880(粒度 -d50 約8.5ミクロン)あるいはこれらの組み合わせである。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「クレイ(clay)」とは、天然クレイおよび改良クレイの両方に言及する。改良クレイはこの文脈において、アルカリ活性化または酸活性化されている天然クレイに言及する。本明細書で使用される場合、用語「クレイ鉱物(clay mineral)」または「特殊クレイ鉱物(special clay mineral)」とは、天然クレイをいう。
【0062】
一実施形態において、本発明の組成物において使用されるクレイは、ベントナイト、モンモリロナイト、ベイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ステベンス石、ケロライト-サポナイト、ケロライト、タルク、葉臘石、アタパルジャイト、セピオライトを含む天然クレイ;天然シリカとベントナイトとの混合物;任意の改良クレイ;およびこれらの任意の混合物からなる群より選択される。
【0063】
一実施形態において、上記クレイは、ベントナイトである。
【0064】
別の実施形態において、使用される帯電防止剤は、上記組成物の総重量に基づいて、10~60%、好ましくは25~55%および最も好ましくは30~50%である。
【0065】
さらに別の実施形態において、上記シリカは、被包化された帯電防止剤組成物の総重量に基づいて、15%~90%、好ましくは25%~85%、最も好ましくは35%~75%の量で使用される。
【0066】
別の実施形態において、上記クレイは、被包化された帯電防止剤組成物の総重量に基づいて、50%~90%、好ましくは60%~90%、最も好ましくは75%~85%の量で使用される。
【0067】
一実施形態において、上記キャリアは、1:10~10:1、好ましくは1:5~5:1および最も好ましくは1:3~3:1のシリカ 対 クレイ比の濃度を有する。
【0068】
ベントナイト、ベイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ステベンス石、ケロライト-サポナイトのようなスメクタイトからなるクレイは、天然のCa形態においてまたはナトリウム化合物活性化形態(soda activated form)において使用される。
【0069】
別の実施形態において、天然ナトリウム型ベントナイトは、クレイとして使用される。特に好ましいクレイは、天然形態またはナトリウム化合物活性化形態またはこれらの混合物にあるモンモリロナイトである。
【0070】
一実施形態において、上記使用されるクレイは、10meq/100g~140meq/100gの範囲のカチオン交換能力を有するベントナイトである。
【0071】
一実施形態において、上記使用されるクレイは、20meq/100g~130meq/100g、好ましくは30meq/100g~120meq/100gの間の範囲のカチオン交換能力を有するベントナイトである。
【0072】
別の実施形態において、本発明は、被包化された帯電防止剤および樹脂組成物のマスターバッチを調製するための方法であって、ここで上記被包化された帯電防止剤は、便法として、マスターバッチの形態で提供され、ここで上記ポリマーは、好ましくは、それぞれ被包化された帯電防止剤が組み込まれることになるポリオレフィンである方法を提供する。
【0073】
好ましい実施形態において、ポリマーとしては、ポリエチレン(PE)からなる群より選択され、好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)、中程度密度のポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン低密度ポリエチレン(mLDPE)およびメタロセン直線状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、ポリプロピレン(PP)からなる群より選択され、好ましくはポリプロピレンホモポリマー(PPH)、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP-R)およびポリプロピレンブロックコポリマー(PP-ブロック-COPO)、PEコポリマーからなる群より選択され、好ましくはエチレン-ビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンおよびアクリル酸メチルのコポリマー(EMA)、エチレンおよびアクリル酸ブチルのコポリマー(EBA)、エチレンおよびアクリル酸エチルのコポリマー(EEA)、ならびにシクロオレフィンコポリマー(COC)、汎用ポリスチレン(GPPS)ならびにハイインパクトポリスチレン(HIPS)からなる群より選択される、ポリオレフィンおよびポリオレフィンコポリマーが挙げられる。
【0074】
マスターバッチは、慣習的な物理的混合プロセスによって調製され得る。
【0075】
固体マスターバッチMBの使用のための混合装置は、ミキサー、押し出し機、ニーダー、プレス、ミル、カレンダー、ブレンダー、射出成形機、射出およびストレッチブロー成形機(ISBM)、押し出しブロー成形機(EBM)、圧縮成形機、圧縮およびストレッチブロー成形機;より好ましくはミキサー、押し出し機、射出成形機、射出およびストレッチブロー成形機、圧縮成形機、圧縮およびストレッチブロー成形機;さらにより好ましくは、ミキサー、押し出し機、射出およびストレッチブロー成形機および押し出しブロー成形機であり得る。
【0076】
押し出し機は、上記添加剤および/またはマスターバッチを、主要ストリームポリマーに導入するための計量システムとともに装備され得る。この計量は、1もしくはこれより多くの純粋構成要素で、または1もしくはこれより多くのマスターバッチで、直接行われ得る。
【0077】
使用される計量装置のタイプは、上記純粋構成要素または上記マスターバッチが計量される形態に依存する。
【0078】
固体構成要素の場合、フィードスクリュータイプの計量デバイスが通常使用され、導入点は、主要ポリマー細粒の供給と連動した上記押し出し機の主要入り口であり得るか、または上記押し出し機に沿って位置した非加圧注入ゾーンの中にあり得る。固体マスターバッチに関して、計量デバイスは、上記マスターバッチを予め溶融し、それを加圧し、計量ポンプによって計量する、さらなる押し出し機を含むシステムであり得、計量されるマスターバッチの量は、有利には圧力なしで、主要押し出し機に沿った点において供給される。
【0079】
一実施形態において、上記被包化された帯電防止剤組成物は、粉末形態または細粒形態にあり得る。
【0080】
グリセロールエステルの帯電防止効果は、永久的ではない。帯電防止剤が、加工処理の間に表面に移動し、かつときおり揮発性になることは、十分に理解される。結果として、効果は一時的である。従って、防御遮蔽体を形成することは必要でありかつ必須である。なぜならこれは、上記活性物質を守るからである。被包化された帯電防止剤製剤を調製する特有の方法は、長期間持続する効果を補助することである。帯電防止剤の放出は、長期間利用可能である、表面への活性物質の放出制御が存在するように、無機吸収剤の組み合わせを使用して改変され得る。
【0081】
特許CN 104250403は、0.1~1部での離型剤およびアンチブロッキング剤の使用法を開示し、帯電防止剤の最高の負荷は、わずか35%である。本発明は、シリカおよびクレイ混合物を吸収剤として使用する利点を提供する。シリカが使用されるのみの場合、帯電防止剤のより高い負荷パーセンテージが可能である(40~60%)。しかし、上記マトリクスに捕捉される帯電防止剤および表面への帯電防止剤の放出は、シリカがキャリアとして使用される場合により迅速である。上記帯電防止剤は、フィルムまたは液体または液体の液滴として固定化される。さらに、シリカは、マクロ多孔性(macroporous)であり、キャリアからポリマーへの放出は、上記ポリマー中の活性成分の移動性および活性成分とキャリアとの相互作用に依存する。驚くべきことに、クレイのような別の無機物質との組み合わせでのシリカは、クレイのインターカレーションおよび吸着特性に起因して、制御可能な様式で活性物質を放出するという利点を有することが見出された。クレイは、それらを孔へとおよびシートの間に吸収することによって、液体のためのキャリアとして作用する。驚くべきことに、これは、活性物質の遅延した放出を提供する。
【0082】
本発明は、シリカおよびクレイ組成物上に吸収された帯電防止剤であって、ここで上記帯電防止剤はシリカおよびクレイの多孔性の親水性混合物上に十分に組み込まれた帯電防止剤を提供する。帯電防止剤を所望の温度で融解する手順は、言及されるシリカおよびクレイ混合物の、同じ温度での条件で実施しており、シリカおよびクレイ混合物の多孔性の壁への活性物質の浸透を増強する。帯電防止剤の濃度は、好ましくは10%~60%、好ましくは25%~55%、最も好ましくは30%~50%である。
【0083】
本発明はまた、上記吸収剤が、40~90%、好ましくは45~75%、最も好ましくは50~70%のパーセンテージまで変動するシリカおよびクレイの組み合わせ、または50~90%、好ましくは60~90%および最も好ましくは75~85%まで変動するクレイであり得る被包化組成物を提供する。
【0084】
本発明はまた、一時的な帯電防止および永久的な帯電防止の性能と繋がる存在しない製品カテゴリーを作り出すという利点を提供する。一時的な帯電防止性能は、1年間まで存在し、永久的な帯電防止は、7年より長く持続し、このことは、それらを高価にする。新たな製品範囲を作り出すことは、一時的な帯電防止効果と永久的な帯電防止効果との間の性能を繋げる。
【0085】
本明細書で考察される任意の用語の例を含む本明細書中のいずれかの箇所の例の使用は、例証に過ぎず、本発明の範囲および意味を、またはいかなる例示された用語をも決して限定しない。同様に、本発明は、本明細書で示される種々の実施形態に限定されない。
【実施例
【0086】
実施例
以下の実施例は、例証によって示されるに過ぎず、従って、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0087】
調製実施例 -1
以下で示される物質を使用して、活性物質としてのGrinsted PGE 308を取り囲む被包化された帯電防止剤を調製する。
【表1】
【0088】
被包化された帯電防止剤を調製するために、シリカを先ず導入し、その温度をGrinsted PGE 308の融解点より高く設定する。Grinsted PGE 308をシリカへとゆっくりと添加し、上記帯電防止剤が上記シリカ上に吸収されるようにすると、被包化された帯電防止剤の形成がもたらされる。
【0089】
調製実施例 -2
以下で示される物質を使用して、活性物質としてのAtmer 129またはGrinsted PGE 308を取り囲む被包化された帯電防止剤を調製する。
【表2】
【0090】
その使用したクレイ粉末Laundrosil DGAは、塩化アンモニウム法によって決定される、75meq/100gのカチオン交換能力を示す(EP2040562B1に記載されるとおりの方法)。
【0091】
被包化された帯電防止剤を調製するために、シリカおよびクレイを先ず導入し、その温度を、帯電防止剤の融解点より高く設定する。帯電防止剤をシリカおよびクレイへとゆっくりと添加し、上記帯電防止剤が上記シリカおよびクレイ混合物上に吸収されるようにすると、被包化された帯電防止剤の形成がもたらされる。
【0092】
図1におけるTGA結果は、Grinsted PGE 308が210℃で分解し始め、350℃におけるパーセンテージ単位の活性物質の喪失が36.24%であることを示すのに対して、Sipernat 22を使用して被包化される場合には、Grinsted PGE 308の熱安定性の改善があることが観察され(1d)、パーセンテージ単位の活性物質の喪失は、26.21%であると見出された。驚くべきことに、シリカおよびクレイ混合物を使用して被包化される場合のGrinsted PGE 308の熱安定性には、シリカ単独で被包化されたGrinsted PGE 308と比較すると、さらになお改善がある(2b、2dおよび2f)。パーセンテージ単位での活性物質の喪失は、2b、2dおよび2fに関して、それぞれ、22.76%、20.175%および23.92%であることが見出された。
【0093】
調製実施例 -3
以下に示される物質を使用して、活性物質としてのAtmer 129またはGrinsted PGE 308を取り囲む被包化された帯電防止剤を調製する。
【表3】
【0094】
被包化された帯電防止剤を調製するために、クレイを先ず導入し、その温度を帯電防止剤の融解点より高く設定し、帯電防止剤をゆっくりと添加し、それらをクレイ上に吸収されるようにすると、被包化された帯電防止剤の形成がもたらされる。
【0095】
調製実施例 -4
以下で示される物質を使用して、活性物質としてのAtmer 129またはGrinsted PGE 308を取り囲む被包化された帯電防止剤を調製する。
【表4】
【0096】
被包化された帯電防止剤を調製するために、Sipernat D 10を先ず導入し、その温度を帯電防止剤の融解点より高く設定する。帯電防止剤をゆっくりと添加し、それらがSipernat D 10上に吸収されるようにすると、被包化された帯電防止剤の形成がもたらされる。
図1
【国際調査報告】