(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】拡張可能なシース
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221202BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61F2/24
A61M25/00 630
A61M25/00 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573902
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020054594
(87)【国際公開番号】W WO2021071960
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤイール・エー・ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】エラン・ゴールドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー・ドヴォルスキー
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA26
4C097CC01
4C097CC04
4C097CC12
4C097CC16
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4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
本明細書では、拡張可能なシースが開示される。いくつかの実施形態では、編組層が、第1のポリマー層から径方向外方に位置決めされる。この編組層は、共に編組された複数のフィラメントを備える。第2のポリマー層が、編組層の径方向外方に位置決めされて、編組層は、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に包被される。いくつかの実施形態では、編組層が、血流透過性を有さない封止層に対して接着される。また、本明細書において開示されるデバイスを作製する方法および使用する方法も開示され、同様に本明細書において開示されるデバイスを作製する方法において使用され得るクリンプデバイスも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用デバイスを展開するための拡張可能なシースであって、
第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層の径方向外方に位置する編組層であって、共に編組された複数のフィラメントを備える編組層と、
前記編組層の径方向外方に位置する第2のポリマー層であって、前記編組層が前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に包被されるように、前記第1のポリマー層に対して接合された第2のポリマー層と
を備え、
医用デバイスが前記シースを通過するときに、前記シースの直径が前記医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する、拡張可能なシース。
【請求項2】
医用デバイスが前記シースを通過するときに、前記シースの長さが実質的に一定に留まるように前記シースの軸方向伸長に対して抵抗しつつ、前記シースの前記直径が前記医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する、請求項1に記載の拡張可能なシース。
【請求項3】
前記複数のフィラメントの一部分がエラストマーコーティングを備える、請求項1または2に記載の拡張可能なシース。
【請求項4】
前記第1のポリマー層の一部分および/または前記第2のポリマー層の一部分が、エラストマーコーティングを備える、請求項3に記載の拡張可能なシース。
【請求項5】
前記編組層は自己収縮性材料を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項6】
前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層は、前記シースが前記第1の直径にある場合に、長手方向に延在する複数の折り目を備え、前記長手方向に延在する複数の折り目は、周方向に離間された複数のリッジおよび周方向に離間された複数の溝を形成し、前記リッジおよび前記溝は、医用デバイスが前記シースを通過するとき、前記シースを径方向に拡張させ得るように平らになる、請求項1から5のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項7】
医用デバイスが前記シースを通過するとき、前記シースの長さが実質的に一定に留まる一方で前記編組層が径方向に拡張するように構成されるように、前記編組層の前記フィラメントは前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間において可動である、請求項1から6のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項8】
前記編組層の前記フィラメントは、前記シースが前記第1の直径にある場合に弾性的に座屈され、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層は、前記編組層の前記フィラメント同士の間の複数の空間にて相互に対して装着される、請求項1から7のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項9】
熱シュリンク材料から形成されており、前記第1のポリマー層、前記編組層、および前記第2のポリマー層の少なくとも長手方向部分を覆って延在する、外方カバーをさらに備え、前記外方カバーは、長手方向に延在する1つまたは複数のスリット、脆弱部分、または刻線を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項10】
前記編組層と、隣接するポリマー層との間に位置決めされた少なくとも1つの緩衝層をさらに備え、前記緩衝層は、前記編組層のフィラメントと前記隣接するポリマー層との間に作用する径方向力を放散する、請求項1から9のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項11】
前記緩衝層は、80ミクロンから1000ミクロンの厚さを有する、請求項10に記載の拡張可能なシース。
【請求項12】
前記編組層と前記第1のポリマー層との間に位置決めされた第1の緩衝層と、前記編組層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされた第2の緩衝層とをさらに備える、請求項10または11に記載の拡張可能なシース。
【請求項13】
前記緩衝層は、多孔性内部領域を備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項14】
前記緩衝層は、前記多孔性内部領域と前記隣接するポリマー層との間に位置決めされた被封止表面を備え、前記被封止表面は、前記隣接するポリマー層よりも高い融点を有し、前記緩衝層の前記多孔性内部領域よりも薄い、請求項13に記載の拡張可能なシース。
【請求項15】
前記被封止表面は、前記緩衝層に対して装着された封止層である、請求項14に記載の拡張可能なシース。
【請求項16】
前記被封止表面は、前記緩衝層の表面であり、前記被封止表面は、前記緩衝層の前記多孔性内部領域と連続しており、前記多孔性内部領域と同一の材料から形成される、請求項14または15に記載の拡張可能なシース。
【請求項17】
医用デバイスを展開するための拡張可能なシースであって、
共に編組された複数のフィラメントを備える編組層と、
前記編組層の前記フィラメントの一部分に対して接着された第1の拡張可能な封止層であって、血流に対する透過性を有さない第1の拡張可能な封止層と
を備え、
医用デバイスが前記シースを通過するときに、前記シースの直径が前記医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する、拡張可能なシース。
【請求項18】
前記編組層の前記フィラメントの一部分に対して接着された第2の拡張可能な封止層をさらに備え、前記第2の拡張可能な封止層は、前記第1の拡張可能な封止層とは逆の前記編組層の面上に位置決めされる、請求項17に記載の拡張可能なシース。
【請求項19】
前記複数のフィラメントの少なくとも一部分が封止コーティングを備える、請求項17または18に記載の拡張可能なシース。
【請求項20】
前記編組層は自己収縮性材料を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の拡張可能なシース。
【請求項21】
前記拡張可能な封止層は、前記シースの長手方向位置によって厚さが異なる、請求項20に記載の拡張可能なシース。
【請求項22】
拡張可能なシースを作製する方法であって、
マンドレル上に位置する第1のポリマー層の径方向外方に編組層を配置するステップであって、前記編組層は、共に編組された複数のフィラメントを備え、前記マンドレルは、第1の直径を有する、ステップと、
前記編組層の径方向外方に第2のポリマー層を施すステップと、
前記第1のポリマー層、前記編組層、および前記第2のポリマー層に対して熱および圧力を印加するステップであって、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層が相互に対して接合され、前記編組層を包被して拡張可能なシースを形成するようにする、ステップと、
前記拡張可能なシースを前記第1の直径よりも小さい第2の直径へと少なくとも部分的に径方向に収縮させ得るように、前記マンドレルから前記拡張可能なシースを除去するステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記複数のフィラメントの一部分に対してエラストマーコーティングを施すステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のポリマー層の一部分および/または前記第2のポリマー層の一部分に対してエラストマーコーティングを施すステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のポリマー層の径方向外方に前記編組層を配置する前記ステップの前に、前記編組層を収縮時直径へと形状固定するステップをさらに含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
熱および圧力を印加する前記ステップは、熱拡張性材料を収容する容器内に前記マンドレルを配置するステップと、前記容器内の前記熱拡張性材料を加熱するステップと、前記熱拡張性材料を介して前記マンドレルに対して100MPa以上の径方向圧力を印加するステップとをさらに含む、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
熱および圧力を印加する前記ステップは、前記第2のポリマー層の上に熱シュリンクチューブ層を施すステップと、前記熱シュリンクチューブ層に対して熱を印加するステップとをさらに含む、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記シースが前記第2の直径へと径方向に収縮することにより、前記編組層の前記フィラメントを弾性的に座屈させるステップをさらに含む、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
緩衝層の表面を封止するステップと、前記封止された表面が前記第1のポリマー層または前記第2のポリマー層に接触するように前記緩衝層を施すステップとをさらに含む、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第3の直径へと前記拡張可能なシースをクリンプするステップをさらに含み、前記第3の直径は、前記第1の直径および前記第2の直径よりも小さい、請求項22から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
予め規定された長さを有し2つ以上の層を備える遠位端部部分をさらに備える、請求項1から21のいずれか一項に記載のシース。
【請求項32】
前記遠位端部部分は、前記編組層を備える前記シースの長手方向部分を遠位方向に越えて延在する、請求項31に記載のシース。
【請求項33】
前記遠位端部部分は、内方ポリマー層および外方ポリマー層を備える、請求項31または32に記載のシース。
【請求項34】
前記遠位端部部分は、外部カバーをさらに備える、請求項31から33のいずれか一項に記載のシース。
【請求項35】
前記遠位端部部分の一部分が、前記編組層の遠位端部の一部分を備える、請求項32から34のいずれか一項に記載のシース。
【請求項36】
前記編組層の前記遠位端部の前記一部分はループを備える、請求項35に記載のシース。
【請求項37】
前記外部カバーは、前記内方ポリマー層の溶融温度未満の溶融温度を有する、請求項34から36のいずれか一項に記載のシース。
【請求項38】
前記外部カバーは、前記外方ポリマー層の溶融温度未満の溶融温度を有する、請求項34から37のいずれか一項に記載のシース。
【請求項39】
前記外部カバーは、低密度ポリエチレンを含む、請求項34から38のいずれか一項に記載のシース。
【請求項40】
前記シースの前記遠位端部部分の近位側の前記シースの一部分が、前記外部カバーを備えない、請求項34から39のいずれか一項に記載のシース。
【請求項41】
前記シースの近位端部から前記シースの前記遠位端部部分の近位側の前記シースの一部分まで延在する前記シースの一部分が、前記外部カバーを備えない、請求項34から40のいずれか一項に記載のシース。
【請求項42】
前記シースは、前記遠位端部部分と前記遠位端部の近位側の前記シースの一部分との間に少なくとも1つの装着領域を備える、請求項31から41のいずれか一項に記載のシース。
【請求項43】
前記装着領域は、周方向装着領域である、請求項42に記載のシース。
【請求項44】
前記装着領域は、複数の周方向に離間された装着領域を備える、請求項42に記載のシース。
【請求項45】
前記シースの前記遠位端部部分は、前記内方層中に存在する第1の複数の折り目を備える、請求項33から44のいずれか一項に記載のシース。
【請求項46】
前記シースの前記遠位端部部分は、前記外方層中に存在する第2の複数の折り目を備える、請求項33から45のいずれか一項に記載のシース。
【請求項47】
前記シースの前記遠位端部部分は、前記外部カバー中に存在する第3の複数の折り目を備える、請求項34から46のいずれか一項に記載のシース。
【請求項48】
前記外部カバー中に存在する前記第3の複数の折り目の中の折り目同士が、相互に対して少なくとも部分的に装着される、請求項47に記載のシース。
【請求項49】
シースの先端部を形成する方法であって、
請求項1から21のいずれか一項に記載の前記シースの遠位端部部分を第1の直径へと事前クリンプするステップであって、前記遠位端部部分は、前記編組層を備える前記シースの長手方向部分を遠位方向に越えて延在し、内方ポリマー層および外方ポリマー層を備え、前記内方ポリマー層および前記外方ポリマー層は、第1の溶融温度を呈する、ステップと、
外部カバーで前記事前クリンプされた遠位端部部分を覆うステップであって、前記外部カバーは、第2の溶融温度を呈し、前記第2の溶融温度は、前記第1の溶融温度よりも低い、ステップと、
前記外部カバーで覆われた前記事前クリンプされた遠位端部部分の少なくとも一部分を第1の温度へと加熱するステップであって、前記第1の温度は、前記第1の溶融温度以上であり、それにより前記外部カバーと前記内方ポリマー層および前記外方ポリマー層との間に少なくとも1つの装着領域を形成する、ステップと、
前記遠位端部部分の少なくとも一部分のルーメンにマンドレルを挿入し、さらに前記遠位端部部分の前記少なくとも一部分を第2の直径へとクリンプするステップと、
前記遠位端部部分の前記少なくとも一部分を第2の温度へと加熱するステップであって、前記第2の温度は、前記第2の溶融温度以上である、ステップと
を含む、方法。
【請求項50】
前記第2の温度は、前記第1の溶融温度未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の直径は、前記第1の直径よりも小さい、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
クリンプする前記ステップは、前記外部カバーに沿って複数の折り目を形成する、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記内方ポリマー層および前記外方ポリマー層は、複数の折り目を備える、請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記内方ポリマー層および前記外方ポリマー層の中の前記複数の折り目は、事前クリンプする前記ステップにて形成される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記内方ポリマー層および前記外方ポリマー層の中の前記複数の折り目は、クリンプする前記ステップにて形成される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の温度へと加熱する前記ステップは、前記外部カバー中の前記複数の折り目の少なくとも一部分同士の間の相互に対する装着部を形成する、請求項52から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記クリンプされた遠位端部部分の少なくとも一部分に対して熱シュリンク材料体を施すステップをさらに含む、請求項49から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記熱シュリンク材料体を施す前記ステップは、前記第2の温度に加熱する前記ステップの前に実施される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記熱シュリンク材料体を施す前記ステップは、前記第2の温度に加熱する前記ステップの最中に実施される、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記熱シュリンク材料体を施す前記ステップは、前記第2の温度に加熱する前記ステップの後に実施される、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記外部カバー中の前記複数の折り目の少なくとも一部分同士の間の相互に対する装着部が形成された後に、前記熱シュリンク材料体を除去するステップをさらに含む、請求項57から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記熱シュリンク材料体は、チューブまたはテープである、請求項54から61のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年10月8日に出願された米国仮特許出願第62/912,569号の利益を主張するものである。この仮特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、経カテーテル心臓弁などの人工デバイスのための拡張可能なイントロデューサシースと、その作製方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
血管内送達カテーテルアセンブリは、外科手術では容易にアクセス可能でない、または侵襲性の外科手術を伴わないアクセスが望ましい体内の位置に、人工弁などの人工デバイスを植え込むために使用される。例えば、人工大動脈弁、人工僧帽弁、人工三尖弁、および/または人工肺動脈弁が、低侵襲性の外科技術を利用して治療部位へ送達され得る。
【0004】
イントロデューサシースは、患者の血管(例えば大腿動脈)内へと送達装置を安全に導入するために使用され得る。一般的には、イントロデューサシースは、血管に挿入される細長スリーブと、1つまたは複数の封止弁を収容するハウジングとを有し、これらの封止弁は、送達装置が最小限の失血で血管と流体連通状態に配置されることを可能にする。かかるイントロデューサシースは、径方向拡張性を有し得る。しかし、かかるシースは、シースの本体の直径よりも大きな直径を有するデバイスが導入された場合にこのシースを拡張構成に維持するラチェット機構などの複雑な機構を有する傾向がある。また、既存の拡張可能なシースは、シースに人工デバイスを通過させることに伴う長手方向力の印加の結果として軸方向伸長する傾向を有し得る。かかる伸長により、シースの直径が対応して縮小し、それにより幅狭になったシースに人工デバイスを挿通するために必要とされる力が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0123529号
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0239142号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0153689号
【特許文献4】米国特許出願第16/378,417号
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0379067号
【特許文献6】米国特許出願公開第2016/0296730号
【特許文献7】米国特許出願公開第2018/0008407号
【特許文献8】米国特許出願第14/880,109号
【特許文献9】米国特許出願第14/880,111号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、弁および他の人工デバイスを植え込むために使用される血管内システムのための改良されたイントロデューサシースに対する必要性が、当技術分野において依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において開示される拡張可能なシースは、第1のポリマー層と、第1のポリマー層の径方向外方に位置する編組層と(この編組層は共に編組された複数のフィラメントを備える)、編組層の径方向外方に位置する第2のポリマー層とを備える。第2のポリマー層は、編組層が第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に包被されるように、第1のポリマー層に対して接合され得る。医用デバイスがシースを通過するときに、シースの直径は、医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する。
【0008】
いくつかの実施形態では、医用デバイスがシースを通過するときに、シースの長さが実質的に一定に留まるようにシースの軸方向伸長に対して抵抗しつつ、シースの直径が医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層および第2のポリマー層は、シースが第1の直径にある場合に、長手方向に延在する複数の折り目を備える。これらの長手方向に延在する折り目は、周方向に離間された複数のリッジと周方向に離間された複数の溝とを形成する。リッジおよび溝は、医用デバイスがシースを通過するとき、平らになってシースを径方向に拡張させ得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー層の一部分および/または第2のポリマー層の一部分が、エラストマーコーティングを備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、編組層のフィラメントは、医用デバイスがシースを通過するとき編組層が径方向に拡張し得るように、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間で可動である。シースの長さは、編組層が径方向に拡張するときに実質的に一定に留まり得る。いくつかの実施形態では、編組層のフィラメントは、シースが第1の直径にある場合に弾性的に座屈され、第1のポリマー層および第2のポリマー層は、編組層のフィラメント同士の間の複数の空間にて相互に対して装着される。いくつかの実施形態では、編組層は自己収縮性材料を含む。いくつかの実施形態では、複数のフィラメントの少なくとも一部分が、エラストマーコーティングを備える。
【0012】
拡張可能なシースのいくつかの実施形態は、熱シュリンク材料から形成されており、第1のポリマー層、編組層、および第2のポリマー層の少なくとも長手方向部分を覆って延在する、外方カバーを備えることが可能である。この外方カバーは、1つまたは複数の長手方向に延在するスリット、脆弱部分、または刻線を備え得る。
【0013】
拡張可能なシースのいくつかの実施形態は、編組層と、隣接するポリマー層との間に位置決めされた緩衝層を備える。この緩衝層は、編組層のフィラメントと隣接するポリマー層との間に作用する径方向力を放散する。第1の緩衝層が、編組層と第1のポリマー層との間に位置決めされ、第2の緩衝層が、編組層と第2のポリマー層との間に位置決めされ得る。これらの緩衝層は、例えば約80ミクロン~約1000ミクロンの厚さを有し得る。緩衝層のいくつかの実施形態は、多孔性内部領域を有し得る。緩衝層は、多孔性内部領域と隣接するポリマー層との間に位置決めされた被封止表面をさらに備えることが可能であり、この被封止表面は、隣接するポリマー層よりも高い融点を有する。また、被封止表面は、緩衝層の多孔性内部領域よりも薄いことが可能である。いくつかの実施形態では、被封止表面は、緩衝層に対して装着された封止層である。いくつかの実施形態では、被封止表面は、緩衝層の表面であり、この緩衝層の被封止表面は、緩衝層の多孔性内部領域と連続しており、この多孔性内部領域と同一の材料から形成される。
【0014】
拡張可能なシースの他の実施形態は、編組層(共に編組された複数のフィラメントを備える)と、編組層のフィラメントの一部分に対して接着された第1の拡張可能な封止層とを備えることが可能である。この封止層は、血流に対する透過性を有さない。医用デバイスがシースを通過するときに、シースの直径は、医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張する。いくつかの実施形態では、第2の拡張可能な封止層が、編組層のフィラメントの一部分に対して接着され得る。第2の拡張可能な封止層は、第1の拡張可能な封止層とは逆の編組層の面上に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、編組層は自己収縮性材料を含み、拡張可能な封止層は、シースの長手方向位置によって厚さが異なる。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数のフィラメントの少なくとも一部分が、封止層の一方または両方の代わりにあるいは封止層の一方または両方に加えて、封止コーティングを備える。
【0016】
さらに、本明細書では拡張可能なシースを作製する方法が開示される。拡張可能なシースを作製する一方法の一実施形態は、マンドレル(マンドレルは第1の直径を有する)上に位置する第1のポリマー層の径方向外方に編組層を配置するステップと、編組層の径方向外方に第2のポリマー層を施すステップと、第1のポリマー層、編組層、および第2のポリマー層に対して熱および圧力を印加するステップであって、第1のポリマー層および第2のポリマー層が相互に対して接合され、編組層を包被して拡張可能なシースを形成するようにする、ステップとを含む。さらに、この方法は、拡張可能なシースを第1の直径よりも小さい第2の直径へと少なくとも部分的に径方向に収縮させ得るように、マンドレルから拡張可能なシースを除去するステップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、エラストマーコーティングが、複数のフィラメントの一部分に対して施され得る。いくつかの実施形態では、エラストマーコーティングが、第1のポリマー層の一部分および/または第2のポリマー層の一部分に対して施され得る。
【0018】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態は、第1のポリマー層の径方向外方に編組層を配置するステップの前に、編組層を収縮時直径へと形状固定するステップを含み得る。
【0019】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態では、熱および圧力を印加するステップは、熱拡張性材料を収容する容器内にマンドレルを配置するステップと、容器内の熱拡張性材料を加熱するステップと、熱拡張性材料を介してマンドレルに対して100MPa以上の径方向圧力を印加するステップとをさらに含む。
【0020】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態では、熱および圧力を印加するステップは、第2のポリマー層の上に熱シュリンクチューブ層を施すステップと、熱シュリンクチューブ層に対して熱を印加するステップとをさらに含む。
【0021】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態は、シースが第2の直径へと径方向に収縮することにより、編組層のフィラメントを弾性的に座屈させるステップを含み得る。
【0022】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態は、緩衝層の表面を封止するステップと、封止された表面が第1のポリマー層または第2のポリマー層に接触するように緩衝層を施すステップとを含み得る。
【0023】
拡張可能なシースを作製する方法のいくつかの実施形態は、第3の直径へと拡張可能なシースをクリンプするステップを含むことが可能であり、この第3の直径は、第1の直径および第2の直径よりも小さい。
【0024】
また、いくつかの他の実施形態は、予め規定された長さを有し2つ以上の層を備える遠位端部部分をさらに備えるシースについて説明する。
【0025】
さらに他の実施形態では、本明細書において開示されるように、遠位端部部分は、編組層を備えるシースの長手方向部分を遠位方向に越えて延在し得る。
【0026】
さらに、本明細書では、遠位端部部分が内方ポリマー層および外方ポリマー層を備える実施形態が開示される。
【0027】
さらなる実施形態では、遠位端部部分は、外部カバーをさらに備えることが可能である。
【0028】
さらなる実施形態では、遠位端部部分の一部分が、編組層の遠位端部の一部分からなり得る。
【0029】
さらに、編組層の遠位端部の一部分がループを備える実施形態が開示される。
【0030】
本明細書において開示されるいくつかの実施形態では、外部カバーは、内方ポリマー層の溶融温度未満の溶融温度を有することが可能である。
【0031】
他の実施形態では、外部カバーは、外方ポリマー層の溶融温度未満の溶融温度を有することが可能である。
【0032】
さらなる実施形態では、外部カバーは、低密度ポリエチレンを含むことが可能である。
【0033】
さらに、本明細書では、シースの遠位端部部分の近位側のシースの一部分が外部カバーを備えない実施形態が説明される。
【0034】
本明細書において説明されるさらに他の実施形態では、シースの近位端部からシースの遠位端部部分の近位側のシースの一部分まで延在するシースの一部分が、外部カバーを備えない。
【0035】
いくつかの実施形態は、遠位端部部分と遠位端部の近位側のシースの一部分との間に少なくとも1つの装着領域を備えるシースを備える。
【0036】
さらに他の実施形態では、装着領域は、周方向装着領域である。
【0037】
一方、他の実施形態では、装着領域は、複数の周方向に離間された装着領域を備える。
【0038】
さらに、シースの遠位端部部分が内方層中に存在する第1の複数の折り目を備える実施形態が開示される。
【0039】
他の実施形態では、シースの遠位端部部分は、外方層中に存在する第2の複数の折り目を備える。
【0040】
さらなる実施形態では、シースの遠位端部部分は、外部カバー中に存在する第3の複数の折り目を備えることが可能である。
【0041】
さらに、外部カバー中に存在する第3の複数の折り目の中の折り目同士が、相互に対して少なくとも部分的に装着される実施形態が開示される。
【0042】
さらに、ある実施形態では、シースの先端部を形成する方法が開示される。かかる例示の実施形態では、この方法は、本明細書において開示されるシースの遠位端部部分を第1の直径へと事前クリンプするステップであって、この遠位端部部分が編組層を備えるシースの長手方向部分を遠位方向に越えて延在し、内方ポリマー層および外方ポリマー層を備え、これらの内方ポリマー層および外方ポリマー層が第1の溶融温度を呈する、ステップと、外部カバーで事前クリンプされた遠位端部部分を覆うステップであって、外部カバーが第2の溶融温度を呈し、第2の溶融温度が第1の溶融温度よりも低い、ステップと、外部カバーで覆われた事前クリンプされた遠位端部部分の少なくとも一部分を第1の温度へと加熱するステップであって、第1の温度が第1の溶融温度以上であり、それにより外部カバーと内方ポリマー層および外方ポリマー層との間に少なくとも1つの装着領域を形成する、ステップと、遠位端部部分の少なくとも一部分のルーメンにマンドレルを挿入し、さらにこの遠位端部部分の少なくとも一部分を第2の直径へとクリンプするステップと、遠位端部部分の少なくとも一部分を第2の温度へと加熱するステップであって、第2の温度が第2の溶融温度以上である、ステップとを含む。
【0043】
さらに、第2の温度が第1の溶融温度未満である実施形態が開示される。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の直径は、第1の直径よりも小さい。
【0045】
本明細書において開示される方法のいくつかの実施形態は、クリンプするステップが外部カバーに沿って複数の折り目を形成し得ることを含む。
【0046】
さらに他の実施形態では、内方ポリマー層および外方ポリマー層は、複数の折り目を備える。
【0047】
さらなる例示の実施形態では、内方ポリマー層および外方ポリマー層の中の複数の折り目は、事前クリンプするステップにて形成される。一方、他の例示の実施形態では、内方ポリマー層および外方ポリマー層の中の複数の折り目は、クリンプするステップにて形成される。
【0048】
さらに本明細書では、第2の温度へと加熱するステップが、外部カバー中の複数の折り目の少なくとも一部分同士の間の相互に対する装着部を形成する実施形態が開示される。
【0049】
本明細書において開示される方法のさらに他の実施形態は、クリンプされた遠位端部部分の少なくとも一部分に対して熱シュリンク材料体を施すステップを含む。
【0050】
さらなる実施形態では、熱シュリンク材料体を施すステップは、第2の温度に加熱するステップの前に実施される。一方、さらに他の実施形態では、熱シュリンク材料体を施すステップは、第2の温度に加熱するステップの最中に実施される。一方、さらなる実施形態では、熱シュリンク材料体を施すステップは、第2の温度に加熱するステップの後に実施される。
【0051】
本明細書において開示されるさらに他の実施形態は、外部カバー中の複数の折り目の少なくとも一部分同士の相互に対する装着部が形成された後に、熱シュリンク材料体を除去するステップを含む。
【0052】
さらなる実施形態では、熱シュリンク材料体は、チューブまたはテープであることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】一実施形態による人工心血管デバイスのための送達システムを示す図である。
【
図2】一実施形態による、
図1の送達システムとの組合せにおいて使用され得る拡張可能なシースを示す図である。
【
図3】
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図4】
図2の拡張可能なシースの一部分の側方立面断面図である。
【
図5A】図示を目的として外方層が除去された
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図5B】
図2のシースの編組層の一部分の拡大図である。
【
図6】人工デバイスがシースを通して前進されるときのシースの拡張を示す、
図2の拡張可能なシースの一部分の拡大図である。
【
図7】マンドレル上に配設された
図2のシースの構成層を示す拡大部分断面図である。
【
図8】拡張可能なシースの別の実施形態を示す拡大図である。
【
図9】一実施形態による拡張可能なシースを形成するために使用され得る装置の断面図である。
【
図10A】シースが径方向収縮状態にある場合に編組層のフィラメントが座屈するように構成された、編組層の別の実施形態を示す図である。
【
図10B】シースが径方向収縮状態にある場合に編組層のフィラメントが座屈するように構成された、編組層の別の実施形態を示す図である。
【
図10C】シースが径方向収縮状態にある場合に編組層のフィラメントが座屈するように構成された、編組層の別の実施形態を示す図である。
【
図10D】シースが径方向収縮状態にある場合に編組層のフィラメントが座屈するように構成された、編組層の別の実施形態を示す図である。
【
図11】血管拡張器を有する拡張可能なシースのアセンブリの側方断面図である。
【
図12】
図11のアセンブリ実施形態の血管拡張器を示す図である。
【
図13】拡張可能なシースおよび血管拡張器を備える別のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図14】血管拡張器が拡張可能なシースから部分的に離れるように押された状態における、
図13のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図15】血管拡張器が拡張可能なシースから完全に離れるように押された状態における、
図13のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図16】血管拡張器が拡張可能なシース内に引き戻された状態における、
図13のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図17】血管拡張器が拡張可能なシース内へとさらに引き戻された状態における、
図13のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図18】血管拡張器が拡張可能なシース内へと完全に引き戻された状態における、
図13のアセンブリ実施形態の側面図である。
【
図19】拡張可能なシースおよび血管拡張器を備える別のアセンブリ実施形態の側方断面図である。
【
図20】本明細書において説明される拡張可能なシースとの組合せにおいて使用され得る血管拡張器の一実施形態を示す図である。
【
図21】本明細書において説明される拡張可能なシースとの組合せにおいて使用され得る血管拡張器の一実施形態を示す図である。
【
図22】外方カバーおよび張り出し部を有する拡張可能なシースの一実施形態の、部分断面を示すために一部が破断された側面図である。
【
図23】長手方向刻線を有する外方カバーの一例の実施形態を示す図である。
【
図24】拡張可能なシースの編組層の一実施形態の端部部分を示す図である。
【
図25A】拡張可能なシースをクリンプするためのローラベースクリンプ機構の実施形態の斜視図である。
【
図25B】
図25Aに示すクリンプ機構のディスク形状ローラおよびコネクタの側面図である。
【
図25C】
図25Aに示すクリンプ機構のディスク形状ローラおよびコネクタの上面図である。
【
図26】細長拡張可能なシースをクリンプするためのデバイスの一実施形態を示す図である。このデバイスの円で囲まれた部分が、この図の左側に挿絵として拡大されている。
【
図27】刻線を有する内方層を有する拡張可能なシースの一実施形態を示す図である。
【
図28】拡張可能なシースの編組層のさらなる実施形態を示す図である。
【
図29】さらなる拡張可能なシースの実施形態の斜視図である。
【
図30】外方熱シュリンクチューブ層が内方シース層から部分的に切り取られた状態における、
図29の実施形態の斜視図である。
【
図31】送達システムが中を通り移動される前のシース実施形態の側面図である。
【
図32】送達システムが中を通り移動されることにより熱シュリンクチューブ層が割られた、シース実施形態の側面図である。
【
図33】送達システムが中を完全に通り移動されることにより熱シュリンクチューブ層がシースの長さ部分に沿って完全に割られた、シース実施形態の側面図である。
【
図34】遠位端部部分がイントロデューサの周囲で折り畳まれた、シース実施形態の斜視図である。
【
図35】イントロデューサの周囲で折り畳まれた遠位端部部分の拡大断面図である。
【
図36】追加の拡張可能なシースの一実施形態の断面図である。
【
図39】追加の拡張可能なシースの一実施形態の側面図である。
【
図41】追加の拡張可能なシースの一実施形態の横方向断面図である。
【
図42】追加の拡張可能なシースの一実施形態の部分長手方向断面図である。
【
図43】拡張状態にある追加の拡張可能なシースの一実施形態の横方向断面図である。
【
図44】クリンププロセスの最中における
図43の拡張可能なシースの実施形態の横方向断面図である。
【
図45】拡張状態にある
図43のシースと同様のシースの一実施形態の斜視図である。
【
図46】折り畳まれ圧縮された状態にある
図43のシースと同様のシースの一実施形態の斜視図である。
【
図47】編組層の追加の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書において説明される拡張可能なイントロデューサシースは、患者の血管を通して体内の手技部位へと人工デバイスを送達するために使用され得る。このシースは、径方向における高い拡張性および収縮性を有しつつ、シースの軸方向への伸長およびしたがってルーメンの望ましくない幅狭化を限定するように構成され得る。一実施形態では、拡張可能なシースは、編組層と、1つまたは複数の比較的薄い非弾性ポリマー層と、弾性層とを備える。シースは、人工デバイスがシースを通り前進されるときに、本来の直径から拡張時直径へと弾性的に拡張することが可能であり、人工デバイスが通過すると弾性層の影響のもとで本来の直径へと復帰し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のポリマー層が、編組層に係合し、編組層の径方向拡張を可能にしつつ、他の場合であればシースの伸長および幅狭化を結果的にもたらすことになる編組層の軸方向伸長を防止するように構成され得る。
【0055】
図1は、人工心臓弁または他の人工インプラントなどの医用デバイスを患者に送達するための代表的な送達装置10を示す。この送達装置10は、例示的なものに過ぎず、本明細書において説明される拡張可能なシースの実施形態の任意のものとの組合せにおいて使用され得る。同様に、本明細書において説明されるシースは、様々な既知の送達装置の任意のものとの組合せにおいて使用され得る。図示する送達装置10は、操縦可能ガイドカテーテル14と、このガイドカテーテル14を貫通して延在するバルーンカテーテル16とを一般的に備え得る。人工心臓弁12などの人工デバイスが、バルーンカテーテル16の遠位端部上に位置決めされ得る。ガイドカテーテル14およびバルーンカテーテル16は、相互に対して長手方向に摺動することにより、患者の体内における人工心臓弁12の送達および植込み部位での位置決めを容易にするように構成され得る。ガイドカテーテル14は、ハンドル部分18と、ハンドル部分18から延在する細長ガイドチューブまたは細長ガイドシャフト20とを備える。
【0056】
人工心臓弁12は、径方向圧縮構成において患者の体内へと送達され、所望の展開部位にて径方向拡張構成へと径方向に拡張され得る。図示する実施形態では、人工心臓弁12は、バルーンカテーテル16のバルーン上において径方向圧縮構成で患者の体内へと送達され(
図1に図示するように)、次いでバルーンを膨張させることにより(または送達装置の別のタイプの拡張デバイスを作動することにより)展開部位にて径方向拡張構成へと径方向に拡張される、塑性拡張性の人工弁である。本明細書において開示されるデバイスを使用した植込みが可能である塑性拡張性心臓弁に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2012/0123529号に開示されており、この出願公開は参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、人工心臓弁12は、シースまたは送達装置の他の構成要素により径方向圧縮構成に拘束され、シースまたは送達装置の他の構成要素による解放時には径方向拡張構成へと自己拡張する、自己拡張性心臓弁であることが可能である。本明細書において開示されるデバイスを使用した植込みが可能である自己拡張性心臓弁に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2012/0239142号に開示されており、この出願公開は参照により本明細書に組み込まれる。さらに他の実施形態では、人工心臓弁12は、ヒンジまたはピボット継手により連結された複数のストラットを備え、人工弁に対して拡張力を印加する拡張機構を作動させることにより径方向圧縮構成から径方向拡張構成へと拡張可能である、機械的拡張性心臓弁であることが可能である。
【0057】
本明細書において開示されるデバイスを使用した植込みが可能である機械的拡張性心臓弁に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2018/0153689号に開示されており、この出願公開は参照により本明細書に組み込まれる。さらなる他の実施形態では、人工弁は、上述の技術の中の2つ以上を組み込むことが可能である。例えば、自己拡張性心臓弁が拡張デバイスとの組合せにおいて使用されることにより、人工心臓弁の拡張を支援することが可能である。
【0058】
図2は、一実施形態による、送達装置10および人工デバイス12を患者の体内に導入するために使用され得るアセンブリ90(イントロデューサデバイスまたはイントロデューサアセンブリとも呼ばれ得る)を示す。イントロデューサデバイス90は、デバイスの近位端部に位置するハウジング92と、ハウジング92から遠位方向に延在する拡張可能なシース100とを備え得る。ハウジング92は、デバイスのためのハンドルとして機能し得る。拡張可能なシース100は、人工心臓弁のための送達装置の通過を案内するための中央ルーメン112(
図4)を有する。一般的には、使用中に、シース100の遠位端部は、患者の皮膚を貫通して送られ、大腿動脈などの血管内に挿入される。次いで、送達装置10が、そのインプラント12と共にハウジング92およびシース100に挿通され、インプラントが送達され患者内に植え込まれるべき位置である治療部位まで患者の血管を通して前進され得る。いくつかの実施形態では、イントロデューサハウジング92は、ハウジングに挿通されるとガイドカテーテル14の外方表面の周囲にシールを形成することにより、加圧された血液の漏れを防止する止血弁を備え得る。
【0059】
代替的な実施形態では、イントロデューサデバイス90は、ハウジング92を備える必要はない。例えば、シース100は、ガイドカテーテルなどの送達装置10の構成要素の一体部分であることが可能である。例えば、シースは、ガイドカテーテルのハンドル18から延在し得る。イントロデューサデバイスおよび拡張可能なシースの追加の例は、米国特許出願第16/378,417号に見ることができる。この特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0060】
図3は、拡張可能なシース100をさらに詳細に示す。
図3を参照すると、シース100は、本来の非拡張時外径D
1を有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なシース100は、シースの長さL(
図2)の少なくとも一部分に沿って延在する複数の同軸層を備え得る。例えば、
図4を参照すると、拡張可能なシース100は、第1の層102(内方層とも呼ばれる)と、第1の層102の周囲におよび径方向外方に配設された第2の層104と、第2の層104の周囲におよび径方向外方に配設された第3の層106と、第3の層106の周囲におよび径方向外方に配設された第4の層108(外方層とも呼ばれる)とを備え得る。図示する構成では、内方層102は、中心軸114に沿って延在するシースのルーメン112を画定し得る。
【0061】
図3を参照すると、シース100が非拡張状態にある場合に、内方層102および/または外方層108は、長手方向に延在する折り目または長手方向に延在するしわを形成することが可能であり、シースの表面は、複数のリッジ126(本明細書では「折り目」とも呼ばれる)を備える。これらのリッジ126は、長手方向に延在する溝128により相互に周方向に離間され得る。シースがその本来の直径D
1を越えて拡張する場合に、リッジ126および溝128は、以下でさらに説明されるように表面が径方向に拡張し周長が増大するにつれて平らになり得るまたは解消され得る。シースがその本来の直径へと収縮して戻ると、リッジ126および溝128が再形成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、内方層102および/または外方層108は、比較的薄いポリマー材料層を備え得る。例えば、いくつかの実施形態では、内方層102の厚さは、0.01mm~0.5mm、0.02mm~0.4mm、または0.03mm~0.25mmの間であることが可能である。いくつかの実施形態では、外方層108の厚さは、0.01mm~0.5mm、0.02mm~0.4mm、または0.03mm~0.25mmの間であることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態では、内方層102および/または外方層108は、平滑性材料、低摩擦材料、および/または比較的非弾性の材料を含み得る。特定の実施形態では、内方層102および/または外方層108は、400MPa以上の弾性係数を有するポリマー材料を含み得る。材料の例としては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(例えばDyneema(登録商標)など)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれ得る。特に内方層102に関しては、かような低摩擦係数材料により、ルーメン112を通される人工デバイスの通過が容易になり得る。内方層および外方層のための他の適切な材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ナイロン、ポリエチレン、ポリエーテルブロックアミド(例えばPebax)、および/または上記のいずれかの組合せが含まれ得る。シース100のいくつかの実施形態は、内方層102の内方表面上に滑性ライナを備え得る。適切な滑性ライナの例としては、PTFE、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、およびそれらの組合せなどの、内方層102の摩擦係数をさらに低下させ得る材料が含まれる。また、滑性ライナのための適切な材料としては0.1以下の摩擦係数を望ましくは有する他の材料が含まれる。
【0064】
さらに、シース100のいくつかの実施形態は、外方層108の外方表面上に外部親水性コーティングを備え得る。かかる親水性コーティングは、患者の血管内にシース100を挿入することを容易化して、損傷の可能性を低下させ得る。適切な親水性コーティングの例としては、SurModics、Inc.、Eden Prairie、MNより入手可能であるHarmony(商標)のAdvanced Lubricity Coatingsおよび他のAdvanced Hydrophilic Coatingsが含まれる。DSM医用コーティング(Koninklijke DSM N.V、Heerlen、the Netherlandsより入手可能)、および他の親水性コーティング(例えばPTFE、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン)もまた、シース100と共に使用するのに適する。また、かかる親水性コーティングは、シースと送達システムとの間の摩擦を低減させることにより使用を容易にし安全性を改善するために内方層102の内方表面上に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ペリレンなどの疎水性コーティングが、摩擦を低減させるために外方層108の外方表面上にまたは内方層102の内方表面上において使用されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、第2の層104は、編組層であることが可能である。
図5Aおよび
図5Bは、外方層108が弾性層106を露出させるために除去されたシース100を示す。
図5Aおよび
図5Bを参照すると、編組層104は、共に編組された複数の部材またはフィラメント110(例えば金属製または合成のワイヤまたは繊維)を備え得る。編組層104は、任意の所望の個数のフィラメント110を有することが可能であり、これらのフィラメント110は、任意の適切な個数の軸に沿って配向され共に編組され得る。例えば、
図5Bを参照すると、フィラメント110は、第1の軸Aに対して平行に配向された第1のセットのフィラメント110Aと、第2の軸Bに対して平行に配向された第2のセットのフィラメント110Bとを備え得る。これらのフィラメント110Aおよび110Bは、軸Aに沿って配向されたフィラメント110Aが軸Bに沿って配向されたフィラメント110Bとの間に角度θを形成するように、二軸編組体として共に編組され得る。いくつかの実施形態では、角度θは、5°~70°、10°~60°、10°~50°、または10°~45°の間であることが可能である。図示する実施形態では、角度θは45°である。他の実施形態では、フィラメント110は、3つの軸に沿って配向され三軸編組体として編組されるか、または任意個数の軸に沿って配向され任意の適切な編組パターンで編組されることも可能である。
【0066】
編組層104は、シース100の実質的に全長Lに沿って延在し得るか、または代替的には、シースの長さの一部分のみに沿って延在し得る。特定の実施形態では、フィラメント110は、金属(例えばニチノール、ステンレス鋼等)、または炭素繊維などの任意の様々なポリマーもしくはポリマー複合材料から作製されたワイヤであることが可能である。いくつかの実施形態では、フィラメント110は、円形であり、0.01mm~0.5mm、0.03mm~0.4mm、または0.05mm~0.25mmの間の直径を有することが可能である。他の実施形態では、フィラメント110は、0.01mm×0.01mm~0.5mm×0.5mm、または0.05mm×0.05mm~0.25mm×0.25mmの間の寸法を有する平坦断面を有し得る。一実施形態では、平坦断面を有するフィラメント110は、0.1mm×0.2mmの寸法を有し得る。しかし、他の形状およびサイズもまた、いくつかの実施形態に対しては適したものとなる。編組ワイヤが使用される場合に、編組密度は様々なものが可能である。いくつかの実施形態は、10ピック/インチ~80ピック/インチの編組密度を有し、8本のワイヤ、16本のワイヤ、または最大で52本のワイヤを様々な編組パターンにて備えることが可能である。他の実施形態では、第2の層104は、チューブのレーザ切断によるもの、またはシート素材のレーザ切断、プレス加工、打ち抜き加工等と、チューブ状構成へ巻くこととによるものが可能である。また、層104は、所望に応じて織成または編成されることも可能である。
【0067】
第3の層106は、弾性層であることが可能である(弾性材料層とも呼ばれる)。いくつかの実施形態では、弾性層106は、シース内を送達装置が通過することによりシースがその本来の直径を越えて拡張する場合に、下方の層102および104に対して径方向に(例えばシースの中心軸114に向かって)力を印加するように構成され得る。換言すれば、弾性層106は、弾性層106の下方のシースの層に対して包囲圧力を印加することにより、シースの拡張に対抗するように構成され得る。この径方向内方力は、送達装置がシースを通過された後に、シースを非拡張状態へと径方向に収縮して戻るのに十分なものである。
【0068】
図示する実施形態では、弾性層106は、編組層104の周囲にらせん状に巻かれたストランド、リボン、またはバンド116として構成された1つまたは複数の部材を備え得る。例えば、図示する実施形態では、弾性層106は、編組層の周囲に逆方向のらせん状に巻かれた2つの弾性バンド116Aおよび116Bを備えるが、これらの弾性層は、所望の特徴に応じて任意個数のバンドを備えてもよい。弾性バンド116Aおよび116Bは、例えばシリコーンゴム、天然ゴム、任意の様々な熱可塑性エラストマー、ポリウレタンシロキサンコポリマーなどのポリウレタン、ウレタン、可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンエラストマー等を含む、任意の様々な天然エラストマーまたは合成エラストマーなどから作製され得る。いくつかの実施形態では、弾性層は、200MPa以下の弾性係数を有するエラストマー材料を含み得る。いくつかの実施形態では、弾性層106は、200%以上の破断時伸びまたは400%以上の破断時伸びを示す材料を含み得る。また、弾性層106は、弾性材料を含むチューブ状層、メッシュ、熱シュリンクチューブ層などのシュリンク性ポリマー層等の他の形態をとることも可能である。また、弾性層106の代わりにまたはその追加として、シース100は、外方層108の周囲にエラストマー層または熱シュリンクチューブ層を備えてもよい。かかるエラストマー層の例は、米国特許出願公開第2014/0379067号、米国特許出願公開第2016/0296730号、および米国特許出願公開第2018/0008407号に開示されており、これらの出願公開は参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、弾性層106は、ポリマー層108の径方向外方に位置することも可能である。
【0069】
いくつかの実施形態では、内方層102および/または外方層108の一方または両方が、シースの拡張時にシース100の軸方向伸長に抵抗するように構成され得る。さらに具体的には、内方層102および/または外方層108の一方または両方が、人工デバイスとシースの内方表面との間の摩擦により引き起こされた長手方向力に対抗して伸張に抵抗することが可能であり、それによりシースの拡張および収縮の際にも長さLは実質的に一定に留まる。シースの長さLを参照として本明細書で使用される場合に、「実質的に一定の」という用語は、シースの長さLが1%以下、5%以下、10%以下、15%以下、または20%以下だけ増加することを意味する。一方で、
図5Bを参照すると、編組層のフィラメント110Aおよび110Bは、シースの拡張および収縮の際に角度θが変化するように、相互に対して角度方向に移動することが可能であり得る。これは、層102および108の長手方向折り目126と組み合されることにより、人工デバイスがシースを通り前進されるときに、シースのルーメン112の拡張を可能にし得る。
【0070】
例えば、いくつかの実施形態では、内方層102および外方層108は、編組層104および弾性層106が層102と層108との間に包被されるように、製造プロセス中に熱接着され得る。さらに具体的には、いくつかの実施形態では、内方層102および外方層108は、編組層104のフィラメント110同士の間の空間および/または弾性バンド116同士の間の空間を介して相互に対して接着され得る。また、層102および108は、シースの近位端部および/または遠位端部にて共に接合または接着され得る。いくつかの実施形態では、層102および108は、フィラメント110に対して装着されない。これにより、フィラメント110は、相互に対してならびに層102および108に対して角度方向に移動することが可能となり、それにより編組層104の直径およびしたがってシースの直径が増減し得る。フィラメント110Aと110Bとの間の角度θが変化すると、編組層104の長さもまた変化し得る。例えば、角度θが増大すると、編組層104は短縮し、角度θが縮小すると、編組層104は、層102および108が接合される領域により許容される程度まで伸長することが可能となる。しかし、編組層104が層102および108に対して接着されないことにより、編組層の長さがフィラメント110Aとフィラメント110Bとの間の角度θの変化を伴いながら変化しても、シースの長さLにおける著しい変化は結果的に生じない。
【0071】
図6は、人工デバイス12が矢印方向132に(例えば遠位方向に)シースを通過する際のシース100の径方向拡張を示す。人工デバイス12がシース100を通り前進されるときに、シースは、人工デバイスのサイズまたは直径に対応する第2の直径D
2へと弾性的に拡張し得る。人工デバイス12がシース100を通り前進されるときに、人工デバイスは、人工デバイスとシースの内方表面との間における摩擦接触によりシースに対して移動方向に長手方向力を印加し得る。しかし、上記のように、内方層102および/または外方層108は、シースの長さLが一定となるまたは実質的に一定となるように、軸方向伸長に抵抗し得る。これは、編組層104の伸長を、およびしたがってルーメン112の圧縮を縮小または防止し得る。
【0072】
一方で、フィラメント110Aとフィラメント110Bとの間の角度θは、シースが人工弁を収容するように第2の直径D2へと拡張すると、増大し得る。これにより、編組層104は、短縮化され得る。しかし、フィラメント110が層102または108に対して係合または接着されないことにより、角度θの増大を伴う編組層104の短縮化は、シースの全長Lに影響しない。さらに、層102および108に形成された長手方向に延在する折り目126により、層102および108は、比較的薄くおよび比較的非弾性になる代わりに、裂開を伴わずに第2の直径D2へと拡張し得る。このようにすることで、シース100は、人工デバイスがシースを通り前進されるときに、伸長および圧縮を伴うことなくその本来の直径D1から直径D1超の第2の直径D2へと弾性的に拡張し得る。したがって、人工インプラントをシースに押し通すために必要とされる力が著しく低下する。
【0073】
さらに、弾性層106により印加される径方向力により、シース100の径方向拡張が、人工デバイスによって位置を占められたシースの特定部分に対して局所化され得る。例えば、
図6を参照すると、人工デバイス12がシースを通り遠位方向に移動されるときに、人工デバイス12の近位側から直ぐのシースの部分は、弾性層106の影響の下で初期直径D
1へと径方向に収縮して戻り得る。また、層102および108は、シースの周長が縮小すると座屈して、リッジ126および溝128を再形成し得る。これにより、所与のサイズの人工デバイスを導入するために必要とされるシースのサイズの縮小が可能となる。さらに、拡張の一時的で局所的な性質により、シースが挿入される血管およびその周辺組織に対する外傷が軽減され得る。なぜならば、人工デバイスにより位置を占められるシースの部分が、シースの本来の直径を越えて拡張し、シースは、デバイスの通過後には初期直径へと収縮して戻るからである。これは、人工デバイスの導入のために伸張されなければならない組織量と、血管の所与の部分が膨張されなければならない時間量とを限定する。
【0074】
上記の利点に加えて、本明細書において説明される拡張可能なシースの実施形態は、既知のイントロデューサシースよりも驚異的に上回る性能をもたらし得る。例えば、本明細書において説明されるように構成されたシースは、シースの本来の外径の2倍、2.5倍、またはさらには3倍の大きさである直径を有する人工デバイスを送達するために使用することが可能である。例えば、一実施形態では、7.2mmの直径を有するクリンプされた人工心臓弁が、上述のように構成され3.7mmの本来外径を有するシースを通して前進されることに成功した。この人工弁がシースを通して前進されるときに、人工弁により位置を占められたシースの部分の外径は、8mmまで拡大した。換言すれば、シースの外径の2倍超の直径を有する人工デバイスをこのシースに通して前進させることが可能であり、その間にシースの外径は、216%だけ弾性的に拡大された。別の例では、4.5mm~5mmの初期外径または本来外径を有するシースが、8mm~9mmの外径まで拡張するように構成され得る。
【0075】
代替的な実施形態では、シース100は、所望の具体的特徴に応じて、層108を有さずに層102を、または層102を有さずに層108を任意に備え得る。
【0076】
図10A~
図10Dは、フィラメント110が座屈するように構成された編組層104の別の実施形態を示す。例えば、
図10Aは、完全拡張状態にある編組層に対応する構成にある編組層104のユニットセル134を示す。例えば、
図10Aに示す拡張状態は、上述の直径D
2に、および/または
図7を参照として以下でさらに説明されるようにシースがその機能的設計直径D
1へと径方向に収縮する前のシース100が初期構成にある間の編組層の直径に対応し得る。フィラメント110Aとフィラメント110Bとの間の角度θは、例えば40°であることが可能であり、ユニットセル134は、x方向に沿って長さL
xを有することが可能である(図示するデカルト座標軸に留意されたい)。
図10Bは、拡張状態にあるユニットセル134のアレイを備える編組層104の部分を示す。
【0077】
図示する実施形態では、編組層104は、上述のようにポリマー層102とポリマー層108との間に配設される。例えば、ポリマー層102および108は、シース100の端部にて相互に対して、および/またはユニットセル134により画定される開いた空間136内のフィラメント110間で接着または積層され得る。したがって、
図10Cおよび
図10Dを参照すると、シース100がその機能的直径D
1へと径方向に収縮されると、編組層104の直径は、角度θが縮小することにより縮小し得る。しかし、接合されたポリマー層102および108は、編組層104が径方向に収縮することによって伸長するのを抑制または防止し得る。これにより、フィラメント110は、
図10Cおよび
図10Dに示すように軸方向に弾性的に座屈され得る。座屈の度合いは、ユニットセル134の長さL
xが、シースの収縮直径と完全拡張直径との間で同一または実質的に同一になるようなものであることが可能である。これはすなわち、編組層104の全長が、シースの本来の直径D
1と拡張時直径D
2との間において一定または実質的に一定に留まり得ることを意味する。シースが医用デバイスの通過中にその初期直径D
1から拡張すると、フィラメント110は、座屈が解除されることにより直線化することが可能となり、シースは径方向に拡張し得る。医用デバイスがシースを通過すると、編組層104は、弾性層106により初期直径D
1へと不正されて戻り、フィラメント110は、再び弾性的に座屈し得る。
図10A~
図10Cの構成を使用する場合には、シースの本来の直径D
1よりも2倍、2.5倍、またはさらには3倍大きな直径を有する人工弁に対応することも可能になる。
【0078】
次に、拡張可能なシースの作製方法に話を進めると、
図7は、一実施形態による円筒状マンドレル118上に配設された拡張可能なシース100の層102~108を示す。いくつかの実施形態では、マンドレル118は、完成したシースの所望の本来外径D
1よりも大きい直径D
3を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、シースの外径D
1に対するマンドレルの直径D
3の比率は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、またはそれを上回るものが可能である。いくつかの実施形態では、マンドレルの直径D
3は、シースの拡張時直径D
2と同等であることが可能である。換言すれば、マンドレルの直径D
3は、人工デバイスがシースを通して前進されるときのシースの所望の拡張時直径D
2と同一または略同一であることが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、非拡張時のシースの収縮外径D
1に対する拡張時のシースの拡張時外径D
2の比率は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、またはそれを上回るものが可能である。
【0079】
図7を参照すると、拡張可能なシース100は、マンドレル118の周囲にePTFE層120を巻きまたは配置し、その後に第1のポリマー層102を設けることにより作製され得る。いくつかの実施形態では、ePTFE層は、組み立てプロセスの完了時におけるマンドレル118からのシース100の取外しを支援し得る。第1のポリマー層102は、マンドレル118の周囲に巻かれることにより施されるプレハブシートの形態であってもよく、または浸漬被覆、エレクトロスピニング等によりマンドレルに対して施されてもよい。編組層104は、第1の層102の周囲に配置され、その後に弾性層106が配置され得る。弾性層106が1つまたは複数の弾性バンド116を備える実施形態では、これらのバンド116は、編組層104の周囲にらせん状に巻かれ得る。他の実施形態では、弾性層106は、浸漬被覆、エレクトロスピニング等によるものであってもよい。次いで、外方ポリマー層108が、弾性層106の周囲に巻かれまたは施され、その後に別のePTFE層122と、1つまたは複数の熱シュリンクチューブ層または熱シュリンクテープ層124とが設けられ得る。
【0080】
特定の実施形態では、弾性バンド116は、伸張状態、張力状態、または伸長状態で編組層104に対して施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、バンド116は、本来の弛緩時の長さの2倍の長さにまで伸張された編組層104に対して施され得る。これにより、完成したシースは、マンドレルからの取外し時に弾性層の影響の下で径方向に収縮し、それにより以下で説明されるように弾性層は対応して弛緩され得る。他の実施形態では、層102および編組層104は、マンドレルから取り外すことが可能であり、弾性層106は、弛緩状態または中度伸張状態で施され、次いでこのアセンブリが、外方層108を施す前に弾性層が径方向に拡張され張力状態へと伸張されるようにマンドレル上に配置されて戻され得る。
【0081】
次いで、このアセンブリは、熱シュリンク層124が収縮し、層102~108を共に圧縮するのに十分な高温へと加熱され得る。いくつかの実施形態では、アセンブリは、ポリマー内方層102およびポリマー外方層108が軟性および粘着性になり、編組層104と弾性層106との間の開いた空間内で相互に対して接合し、編組層および弾性層を包被するように十分な高温まで加熱され得る。他の実施形態では、内方層102および外方層108は、編組層104および弾性層106の周囲におよび貫通して流れるように、リフローまたは溶融され得る。一例の実施形態では、アセンブリは、150℃にて20~30分間にわたり加熱され得る。
【0082】
加熱後に、シース100はマンドレル118から取り外され、熱シュリンクチューブ124ならびにePTFE層120および122が除去され得る。マンドレル118から取り外されると、シース100は、弾性層106の影響の下で本来の設計直径D
1へと少なくとも部分的に径方向に収縮し得る。いくつかの実施形態では、シースは、任意にクリンプ機構の支援によって設計直径へと径方向に収縮され得る。付随する周長の縮小により、
図10Cおよび
図10Dに示すように、フィラメント110は、内方層102および外方層108と共に座屈されて、長手方向に延在する折り目126を形成し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、ePTFE層120および122のそれぞれからの内方ポリマー層102および外方ポリマー層108の分離を助長するために、PTFE層が、ePTFE層120と内方層102との間におよび/または外方層108とePTFE層122との間に配設され得る。さらなる実施形態では、内方層102および外方層108の一方が、上述のように省かれてもよい。
【0084】
図8は、シースに沿って長手方向に延在し編組層104に対して装着された糸またはコード130として構成された1つまたは複数の部材を備える拡張可能なシース100の別の実施形態を示す。1本のみのコード130が
図8には図示されるが、実際には、シースは、均等な角度間隙をおいてシースの周囲部に沿って配列された2本、4本、6本等のコードを備えてもよい。これらのコード130は、編組層104の外部に対して縫合され得るが、他の構成および装着方法も可能である。編組層104に対して装着されることにより、コード130は、人工デバイスがシースを通過するときの編組層104の軸方向伸長を防止するように構成され得る。コード130は、弾性層106との組合せにおいてまたは別個に使用され得る。また、コード130は、所望の具体的な特徴に応じて内方層102および/または外方層108の一方または両方との組合せにおいて使用されてもよい。また、コード130は、編組層104の内部の上に(例えば内方層102と編組層104との間に)配設されてもよい。
【0085】
また、拡張可能なシース100は、他の方法でも作製され得る。例えば、
図9は、収容容器202と214にて概略的に図示される加熱システムとを備える装置200を示す。装置200は、2つ以上の材料層からなるデバイス(医用デバイスまたは非医療用途のデバイス)を形成するのにとりわけ適する。装置200により形成されたデバイスは、シース100などの2つ以上の同軸材料層から、またはカテーテル用のシャフトから形成され得る。代替的には、装置200により形成されたデバイスは、相互に上に積層された2つ以上の層などの2つ以上の非同軸層により形成され得る。
【0086】
収容容器202は、内部容積部またはチャンバ204を画定し得る。図示する実施形態では、容器202は、閉端部206および開端部208を備える金属チューブであり得る。容器202は、比較的高い熱膨張率を有する熱膨張性材料210で少なくとも部分的に充填され得る。特定の実施形態では、熱膨張性材料210は、2.4×10-4/℃以上の熱膨張率を有し得る。例示の熱膨張性材料としては、シリコーン材料などのエラストマーが含まれる。シリコーン材料は、5.9×10-4/℃~7.9×10-4/℃の間の熱膨張率を有することが可能である。
【0087】
図7のマンドレル118と同様の、および所望の組合せのシース材料層が周囲に配設されたマンドレルが、熱膨張性材料210内に挿入され得る。代替的には、マンドレル118は、チャンバ204に挿入され、チャンバの残りの容積部は、マンドレルが熱膨張性材料210により囲まれるようにこの材料210で充填され得る。マンドレル118は、例示を目的として概略的に図示される。したがって、マンドレル118は、
図7に示すような円筒状のものであることが可能である。同様に、材料210の内方表面および容器202の内方表面は、マンドレル118の形状およびシース100の最終形状に対応する円筒形状を有することが可能である。円筒状または円形のマンドレル118の配置を容易にするために、容器202は、ヒンジにより相互に連結される2つの部分を備えることが可能であり、このヒンジ連結により、これらの2つの部分は、容器内部にマンドレルを配置するための開構成とマンドレルの周囲に延在する閉構成との間で動くことが可能となる。例えば、
図9に示す容器の上方半部および下方半部が、容器の閉鎖側部(
図9における容器の左側部)に位置するヒンジにより相互に対して連結され得る。
【0088】
容器202の開端部208は、キャップ212で閉じられ得る。次いで、容器202は、加熱システム214により加熱され得る。加熱システム214の加熱により、材料210は、チャンバ204内で膨張され、マンドレル118上の材料層に対して径方向圧力を印加し得る。この熱および圧力の組合せにより、マンドレル118上の層は、相互に対して接合または接着されてシースを形成し得る。いくつかの実施形態では、装置200を使用してマンドレル118に対して100MPa以上の径方向圧力を印加することが可能である。マンドレルに対して印加される径方向圧力の量は、例えば選択される材料210のタイプ、品質、および熱膨張率、マンドレル118を囲む材料210の厚さ、材料210を加熱する温度等によって制御され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、加熱システム214は、容器202が中に配置されるオーブンであることが可能である。いくつかの実施形態では、加熱システムは容器202の周囲に位置決めされた1つまたは複数の加熱素子を備え得る。いくつかの実施形態では、容器202は、加熱システム214により制御される電気抵抗加熱素子または誘導加熱素子であることが可能である。いくつかの実施形態では、加熱素子が、熱膨張性材料210内に埋設され得る。いくつかの実施形態では、材料210は、例えば炭素繊維または金属粒子などの導電性フィラー材料を追加することなどにより加熱素子として構成され得る。
【0090】
装置200は、マンドレル118に対してその長さ方向に沿って高い可制御性で均一な径方向力を印加することと高い再現性とを含む、既知のシース製造方法を上回る複数の利点をもたらし得る。また、装置200は、熱膨張性材料210の高速かつ正確な加熱を助長し、熱シュリンクチューブおよび/または熱シュリンクテープの必要性を軽減または解消することにより、材料コストおよび労力の削減を可能にし得る。また、印加される径方向力の量は、例えば周囲の材料210のタイプまたは厚さを変更することなどにより、マンドレルの長さ方向に沿って変更され得る。いくつかの実施形態では、複数の容器202が、単一のフィクスチャ(fixture)内で処理されることが可能である、および/または複数のシースが、単一の容器202内で加工されることが可能である。また、装置200は、シャフトまたはカテーテルなどの他のデバイスを作製するためにも使用され得る。
【0091】
具体的な1つの方法では、シース100は、マンドレル118上に層102、104、106、108を配置し、熱膨張性材料210が最外層108を囲む状態において、これらの層を有するこのマンドレルを容器202の内部に配置することにより形成され得る。所望に応じて、1つまたは複数のePTFE(または同様の材料)の内方層120と、1つまたは複数のePTFE(または同様の材料)の外方層122とが、マンドレル118および材料210からの完成シースの取外しを助長するために使用され得る(
図7に図示)。次いで、このアセンブリが、加熱システム214で加熱されて、層102、108をリフローする。後の冷却後に、これらの層102、108は、相互に対して少なくとも部分的に接合された状態になり、層104、106を少なくとも部分的に包被する。
【0092】
図11は、拡張可能なシース100がプレイントロデューサまたは血管拡張器300として構成された装置を受けるように構成された、別の実施形態を示す。特定の実施形態では、イントロデューサデバイス90は、血管拡張器300を備え得る。
図12を参照すると、血管拡張器300は、シャフト部材302を備えることが可能であり、このシャフト部材302は、シャフト部材302の遠位端部部分に位置するノーズコーン304として構成されたテーパ状拡張部材を備える。血管拡張器300は、ノーズコーン304の近位端部部分308から近位方向に延在するカプセルまたは保持部材306をさらに備えることが可能であり、周方向空間310が、シャフト部材302の外部表面と保持部材306の内部表面との間に画定される。いくつかの実施形態では、保持部材306は、以下でさらに説明されるように、薄いポリマー層またはポリマーシートとして構成され得る。
【0093】
図11および
図13を参照すると、シース100の第1の端部部分または遠位端部140は、シースがノーズコーン304に係合するようにおよび/または保持部材306がシースの遠位端部部分140を越えて延在するように、空間310内に受けられ得る。使用時に、結合または組み立てられた血管拡張器300およびシース100は、切開部を経由して血管内に挿入され得る。ノーズコーン304のテーパ状のコーン形状が、血管およびアクセス部位の漸進的な拡張を支援しつつ、血管および周辺組織に対する外傷を最小限に抑え得る。このアセンブリが所望の深度まで挿入されると、
図14に示すように、血管拡張器300は、シース100が安定状態に保持された状態で、血管内へとさらに(例えば遠位方向に)前進され得る。
【0094】
図15を参照すると、血管拡張器300は、保持部材306がシース100の遠位端部部分140上から除去されるまで、シース100を通り遠位方向に前進され得る。いくつかの実施形態では、シースのらせん状に巻かれた弾性層106が、シースの遠位端部142の近位にて終端し得る。したがって、シースの遠位端部部分140が被覆されない状態になると、この遠位端部部分(熱硬化され得る)は、フレア状に開くまたは拡張することが可能となって、遠位端部142における開口部の直径を第1の直径D
1(
図13)から第2のより大きな直径D
2(
図15)へと増大させ得る。次いで、血管拡張器300は、
図16~
図18に図示するようにシース100を通して引き戻されて、シース100を血管内の定位置に残置し得る。
【0095】
血管拡張器300は、シース100に係合および保持するための様々な能動機構および/または受動機構を備えることが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、保持部材306は、シース100の遠位端部部分の周囲にて収縮され得るポリマー熱シュリンク層を備えることが可能である。
図1に示す実施形態では、保持部材は、シース100の遠位端部部分140を圧縮するように構成された弾性部材を備え得る。さらに他の実施形態では、保持部材306およびシース100は、選択された量の力の印加により保持部材306とシース100との間の接着接合部を破壊して血管拡張器の引き抜きを可能にし得るような様式で、共に接着または溶着(例えば熱接着)され得る。いくつかの実施形態では、編組層104の端部部分が、フレア状に開くまたは径方向内方または外方に拡張することにより、血管拡張器300の対応する部分に対して圧力が印加されるように熱硬化され得る。
【0096】
図19を参照すると、アセンブリは、拡張器シャフト部材302とシース100との間に配設されたシャフト312などの機械作動式保持機構を備え得る。いくつかの実施形態では、シャフト312は、シース100に対して血管拡張器300を取外し可能に結合することが可能であり、体外から作動されることが可能である(すなわち手動により作動解除され得る)。
【0097】
図20および
図21を参照すると、いくつかの実施形態では、シャフト部材302は、1つまたは複数のバルーン314を備えることが可能であり、バルーン314は、外部表面に沿って周方向に配列され、膨張されるとシース100に係合するように構成される。バルーン314は、シース100を取り外し血管拡張器を引き抜くために選択的に収縮され得る。例えば、膨張された場合には、バルーンは、カプセル306の内方表面に対してシース100の捕捉された遠位端部部分を圧迫して、血管拡張器に対してシースを定位置に保持するのを支援する。バルーンが収縮されると、血管拡張器は、シース100に対してより容易に移動され得る。
【0098】
別の実施形態では、上述のように構成された拡張可能なシースは、
図22に示す熱シュリンクチューブ層400などの収縮性ポリマー外方カバーをさらに備え得る。熱シュリンクチューブ層400は、血管拡張器300とシースの遠位端部部分140との間の平滑な移行を可能にするように構成され得る。また、熱シュリンクチューブ層400は、選択された初期の小さな外径へとシースを拘束し得る。いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層400は、シース100の長さにわたって完全に延在し、クランプ、ナット、接着剤、熱溶接、レーザ溶接、または弾性クランプなどの機械的固定手段によりシースハンドルに対して装着され得る。いくつかの実施形態では、シースは、製造中に熱シュリンクチューブ層内に圧力嵌めされる。
【0099】
いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層400は、
図22に示す遠位張り出し部408としてシースの遠位端部部分140を遠位方向に越えて延在し得る。血管拡張器が、シースルーメン112を通り張り出し部408の遠位エッジを越えて挿通され得る。張り出し部408は、拡張器の直径とシースの直径との間に平滑な移行を与えることにより拡張器およびシースの組合せ体の挿入を容易にするために、挿入される血管拡張器に対して緊密に形状合致する。血管拡張器が除去されると、張り出し部408は、シース100の一部として血管内に残る。熱シュリンクチューブ層400は、長手方向軸に沿ってシースの外径全体を収縮させるというさらなる利点をもたらす。しかし、
図42に示すシース301などのいくつかの実施形態は、熱シュリンクチューブ層401を有してもよく、この熱シュリンクチューブ層401は、シース301の遠位端部にて終端するか、またはいくつかの実施形態ではシースの遠位端部まで完全には延在しない点が理解されよう。遠位張り出し部を有さない実施形態では、この熱シュリンクチューブ層は、主に外方シュリンク層として機能し、シースを圧縮構成に維持するように構成される。かかる実施形態は、拡張器が後退されるとシースの遠位端部にフラップ状張り出し部をもたらさない。
【0100】
いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層は、送達装置10などの送達装置がシースを通して前進されることにより割れて開くように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層は、選択位置での層の割れを開始させるように構成された、
図22に示すものなどの1つまたは複数の長手方向に延在した開口、スリット、または脆弱な長尺刻線406を備え得る。送達装置10がシースを通して前進されると、熱シュリンクチューブ層400は、割れて開き続け、それによりシースは、小さな力で上述のように拡張することが可能となる。いくつかの実施形態では、シースは、熱シュリンクチューブ層が割れて開いた場合に初期の減少した直径から自動的に拡張するように、弾性層106を備える必要はない。熱シュリンクチューブ層400は、ポリエチレンまたは他の適切な材料を含み得る。
【0101】
図23は、一実施形態による、本明細書において説明される拡張可能なシースの周囲に配置され得る熱シュリンクチューブ層400を示す。いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層400は、複数の切れ目または刻線402を備えることが可能であり、これらの切れ目または刻線402は、チューブ層400に沿って軸方向に延在し、円形開口404として構成された遠位応力逃がし特徴部にて終端する。遠位応力逃がし特徴部は、例えば楕円形および/または卵形の開口などを備える、任意の他の規則的または不規則的な曲線形状部として構成されることも可能であることが予期される。また、熱シュリンクチューブ層400に沿ったおよびその周囲の様々な形状の遠位応力逃がし特徴部も予期される。送達装置10がシースを通して前進されることにより、熱シュリンクチューブ層400は刻線402に沿って割れて開くことが可能であり、遠位位置決めされた開口404は、それぞれの刻線に沿ったチューブ層のさらなる裂開または割れを抑止し得る。そのため、熱シュリンクチューブ層400は、シースの長さ部分に沿ってシースに対して装着された状態に留まる。図示する実施形態では、刻線および関連する開口404は、相互から長手方向および周方向にオフセットされる、またはスタッガ状に配置される。したがって、シースが拡張すると、刻線402は、偏菱形構造体を形成し得る。また、刻線は、シースの長手方向軸の周囲にらせん状に、またはジグザグパターンでなど、他の方向に延在することも可能である。
【0102】
他の実施形態では、熱シュリンクチューブ層の割れまたは裂開は、チューブ表面上に脆弱領域を形成するによってなど様々な他の方法で誘発されてもよく、例えば化学溶剤の塗布、切断、刻み付け、または器具もしくはレーザによる表面のアブレーションによって、および/または壁部厚さの縮小もしくはチューブ壁部中への割れ目の形成(例えばフェムト秒レーザアブレーションなどによる)によって誘発されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層は、接着剤、溶接、または任意の適切な固定手段によりシースの本体に対して装着され得る。
図29は、内方層802、編組層804、弾性層806、外方層808、および熱シュリンクチューブ層809を備えるシース実施形態の斜視図を示す。
図36を参照として以降で説明されるように、いくつかの実施形態は、エラストマー層806を備えなくてもよい。熱シュリンクチューブ層809は、割れ目811と、熱シュリンクチューブ層809に沿って延在する穿孔813とを備える。熱シュリンクチューブ層809は、接着シーム815にて外方層808に対して結合される。例えば、いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブ層809は、シーム815における溶接、熱接着、化学結合、超音波結合、および/または接着剤(例えばLDPE繊維熱接着剤などの熱接着剤を含むがそれに限定されない)使用による結合が可能である。外方層808は、シーム815におけるシースに沿って軸方向にまたはらせん状に(spiral or helical)熱シュリンクチューブ層809に対して結合され得る。
図30は、熱シュリンクチューブ層809がシースの遠位端部にて裂開した同じシースの実施形態を示す。
【0104】
図31は、送達システムが通されて移動する前の、熱シュリンクチューブ層809を有するシースを示す。
図32は、シースの斜視図を示し、熱シュリンクチューブ層809は、通過中の送達システムがシースの直径を広げることにより部分的に裂開されて開き、装着解除されている。熱シュリンクチューブ層809は、接着シーム815により保持されている。このようにしてシースに対して熱シュリンクチューブ層809を装着することにより、
図33に示すように、層が割れシースが拡張した後に、シースに対して熱シュリンクチューブ層809が装着された状態に維持するのを補助することが可能となり、この図では送達システム817は、シースを完全に通り移動し、シースの全長に沿って熱シュリンクチューブ層809を裂開させている。
【0105】
別の実施形態では、拡張可能なシースは、弾性熱塑性材料(例えばPebax)を含む遠位端部または遠位先端部分を有することが可能であり、この遠位端部または遠位先端部分は、血管拡張器300の対応部分との間に締まり嵌めまたは締めしろ形状を与えるように構成され得る。いくつかの実施形態では、シースの外方層は、シースの本体に対して遠位端部部分を溶接することを可能にするためにポリアミド(例えばナイロン)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位端部部分は、送達装置が遠位端部部分を通り前進されるときにこの遠位端部部分を割れ開かせ得るように、意図的に脆弱化された部分、刻線、スリット等を備えることが可能である。
【0106】
別の実施形態では、シース全体が、ハンドルからシースの遠位端部部分140まで長手方向に延在したエラストマー外方カバーを有することが可能であり、このエラストマー外方カバーは、任意に外方に延在して
図22に示す張り出し部408と同様の張り出し部を形成する。このエラストマー張り出し部分は、血管拡張器と緊密に形状合致するが、血管拡張器が除去されると、シースの一部として残る。送達システムが通過するときに、エラストマー張り出し部分は拡張し次いで収縮することによって、この送達システムの通過を可能にする。エラストマー張り出し部分またはエラストマー外方カバー全体が、送達装置が遠位端部部分を通り前進されるときに遠位端部部分を割れ開かせ得るように、意図的に脆弱化された部分、刻線、スリット等を備えることが可能である。
【0107】
図24は、編組フィラメント110の部分150がループ152を形成するように屈曲された編組層104の別の実施形態の端部部分(例えば遠位端部部分)を示し、これらのフィラメントは、シースに沿って逆方向に戻るようにループまたは延在する。フィラメント110は、様々なフィラメント110のループ152が編組中で相互から軸方向にオフセットされるように配置され得る。編組層104の遠位端部に向かって(図面の右へ)向かうにつれて、編組フィラメント110の本数は減少し得る。例えば、5で示されるフィラメントは、最初にループ152を形成し、その後に4、3、および2で示されるフィラメントが形成され、1のフィラメントが最遠位ループ152を形成することが可能である。したがって、編組中のフィラメント110の本数は、遠位方向に向かって減少し、これにより編組層104の径方向可撓性が上昇し得る。
【0108】
別の実施形態では、拡張可能なシースの遠位端部部分は、Dyneema(登録商標)などのポリマーを含むことが可能であり、このポリマーは、血管拡張器300の直径に対してテーパ状になされ得る。破線切断部、刻線等の脆弱化部分が、割れて開くおよび/または反復可能な様式で拡張するように遠位端部部分に対して施されることが可能である。
【0109】
本明細書において説明される拡張可能なシース実施形態のクリンプは、上述のように様々な方法で実施され得る。さらなる実施形態では、シースは、より長いシースに沿って長手方向に複数回にわたり従来の短いクリンパを使用することによりクリンプされ得る。他の実施形態では、シースは、シースが熱収縮チューブ内に囲まれ加熱下で収縮する1つまたは一連の段階において、指定されたクリンプ直径へと収縮され得る。例えば、第1の熱シュリンクチューブが、シースの外方表面に対して施され、このシースが、第1の熱シュリンクチューブの収縮(熱による)によって中間直径へと圧縮され、第1の熱シュリンクチューブが、除去され、第2の熱シュリンクチューブが、シースの外方表面に対して施され、第2の熱シュリンクチューブが、熱により中間直径よりも小さな直径へと圧縮され、第2の熱シュリンクチューブが、除去されることが可能である。これは、所望のクリンプシース直径を達成するために必要に応じた回数にわたって続けられ得る。
【0110】
本明細書において説明される拡張可能なシース実施形態のクリンプは、上述のように様々な方法で実施され得る。
図25A~
図25Cに示すものなどのローラベースクリンプ機構602が、本明細書において開示されるシースなどの細長構造体をクリンプするために有利となり得る。このクリンプ機構602は、第1の端部表面604、第2の端部表面605、および第1の端部表面604と第2の端部表面605との間に延在する長手方向軸a-aを有する。複数のディスク形状ローラ606a-fが、長手方向軸a-aを中心として径方向に配置され、ディスク形状ローラ606a-fのそれぞれは、クリンプ機構602の第1の表面と第2の表面との間に少なくとも部分的に位置決めされる。6個のローラが、図示する実施形態には示されるが、ローラの個数は変更されてもよい。各ディスク形状ローラ606は、コネクタ608によってより大型のクリンプ機構に対して装着される。
図25Bでは、個別のディスク形状ローラ606およびコネクタ608の側方断面が示され、
図25Cでは、個別のディスク形状ローラ606およびコネクタ608の上面図が示される。
図25Cに示すように、個別のディスク形状ローラ606は、円形エッジ610、第1の側部表面612、第2の側部表面614、および第1の側部表面612と第2の側部表面614との間に延在する中心軸c-cを有する。複数のディスク形状ローラ606a-fは、ディスク形状ローラ606の各中心軸c-cがクリンプ機構602の中心軸a-aに対して垂直に配向されるように、クリンプ機構602の長手方向軸a-aを中心として径方向に配置される。ディスク形状ローラの円形エッジ610は、長手方向軸a-aに沿ってクリンプ機構602を軸方向に貫通して延在する通路を部分的に画定する。
【0111】
各ディスク形状ローラ606は、複数のコネクタのそれぞれの位置がクリンプ機構602の第1の端部表面に対して固定されるように、1つまたは複数の固定具619によりクリンプ機構602に対して装着されるコネクタ608によって径方向配置構成で定位置に保持される。図示する実施形態では、固定具619は、ディスク形状ローラ606の径方向外方においてクリンプ機構602の外方部分に隣接して位置決めされる。図示する実施形態では、2つの固定具619が各コネクタ608を位置決めするために使用されるが、固定具619の個数は変更されることが可能である。
図25Bおよび
図25Cに示すように、コネクタ608は、第1のアーム616および第2のアーム618を有する。第1のアーム616および第2のアーム618は、円形エッジ610の径方向外方部分からディスク形状ローラ606の中心部分までディスク形状ローラ606上に延在する。ボルト620が、第1のアーム616および第2のアーム618を貫通して、ならびにディスク形状ローラ606の中央ルーメンを貫通して延在し、この中央ルーメンは、前方表面612の中心点からディスク形状ローラ606の後方表面614の中心点まで中心軸c-cに沿って貫通する。ボルト620は、ディスク形状ローラ606が中心軸c-cを中心として回転し得るように実質的な隙間/空間を有しつつ、ルーメン内に固定されずに位置決めされる。
【0112】
使用中に、細長シースが、クリンプ機構602の第1の側部604からローラ同士の間の軸方向通路を通りクリンプ機構602の第2の側部605まで前進される。ディスク形状ローラ606の円形エッジ610からの圧力は、このディスク形状ローラ606が細長シースの外方表面に沿って転動することにより、クリンプ時直径へとシースの直径を縮小させる。
【0113】
図26は、シースなどの細長構造体のクリンプを容易にするように設計されたクリンプデバイス700の一実施形態を示す。クリンプデバイスは、細長ベース704と、細長ベース704の上方に位置決めされた細長マンドレル706と、細長ベース704に対して装着された保持機構708とを備える。保持機構708は、ベース704の上方の上昇位置にマンドレル706を支持する。保持機構は、クリンプ機構702を備える第1の端部ピース710を備える。マンドレル706は、第1の端部ピース710の狭窄ルーメン714の第1のテーパ状部分713内に入れ子にされた円錐状端部部分712を備える。マンドレル706の円錐状端部部分712は、狭窄ルーメン714内において固定されずに位置決めされ、円錐状端部部分712とルーメン714との間に十分な空間または隙間を有することにより、マンドレル706の円錐状端部部分712にわたり狭窄ルーメン714を貫通する細長シースの通過を可能にする。使用中に、円錐状端部部分712は、クリンプ中のシースの周方向座屈を回避させるのを助ける。いくつかの実施形態では、マンドレル706は、円筒状端部部分724をさらに備えることが可能であり、この円筒状端部部分724は、円錐状端部部分712から外方に延在し、マンドレル706の端部726を画定する。
【0114】
狭窄ルーメン714の第1のテーパ状部分713は、このテーパ部の最大幅側部が第1の端部ピース710の内方表面722上に位置するように、保持機構708の第2の端部ピース711に向かって開口する。図示する実施形態では、第1のテーパ状部分713は、狭窄ルーメン714の幅狭円筒状部分716に連結する幅狭端部715まで狭窄する。この実施形態では、幅狭円筒状部分716は、狭窄ルーメン714の最小幅直径部を画定する。マンドレル706の円筒状端部部分724は、狭窄ルーメン714の幅狭円筒状部分716内に固定されずに入れ子にされ、円筒状端部部分724とルーメンの幅狭円筒状部分716との間に十分な空間または隙間を有することにより、細長シースの通過を可能にし得る。幅狭円筒状部分716が細長いという特性により、シースがマンドレルの円錐状端部部分712にわたって通過した後におけるクリンプされたシースの平滑化が容易になり得る。しかし、狭窄ルーメン714の円筒状部分716のこの長さは、本発明を限定するようには意図されず、いくつかの実施形態では、クリンプ機構702は、狭窄ルーメン714の第1のテーパ状部分713だけを備えるが、依然として細長シースをクリンプする効果を有することもできる。
【0115】
図26に示す第1の端部ピース710の対向側端部には、狭窄ルーメン714の第2のテーパ状部分718が、幅狭円筒状部分716から広がり、テーパ部の最大幅側部が、第1の端部ピース710の外方表面720上に位置する。第2のテーパ状部分718の幅狭端部719は、クリンプ機構702の内部の狭窄ルーメン714の幅狭円筒状部分716に連絡する。いくつかの実施形態では、狭窄ルーメン714の第2のテーパ状部分718は存在しなくてもよい。
【0116】
保持機構708は、細長ベース704において第1の端部ピース710の対向側に位置決めされた第2の端部ピース711をさらに備える。第2の端部ピース711は、細長ベース704に対して可動であり、それにより第1の端部ピース710と第2の端部ピース711との間の距離は、調節可能であり、したがって様々なサイズのマンドレルを支持することが可能となる。いくつかの実施形態では、細長ベース704は、1つまたは複数の細長摺動トラック728を備え得る。第2の端部ピース711は、第2の端部ピース711および細長摺動トラック728の中をまたは貫通して延在するボルトなどの、しかしこれに限定されない少なくとも1つの可逆性固定具730によって摺動トラック728に対して摺動可能に係合され得る。第2の端部ピース711を移動させるために、ユーザは、可逆性固定具730を緩めまたは除去し、所望位置まで第2の端部ピース711を摺動させ、可逆性固定具730を交換または締める。
【0117】
使用時には、非クリンプ時直径にあるシースが、このクリンプされていないシースの全長の内方表面がマンドレルにより支持されるように、
図26に示すクリンプデバイス700の細長マンドレル706の上に配置され得る。次いで、クリンプされていないシースは、円錐状端部部分712の上を、クリンプ機構702の狭窄ルーメン714を通り前進される。クリンプされていないシースは、狭窄ルーメン714の内部表面からの圧力によりより小さなクリンプ時直径へとクリンプされる。いくつかの実施形態では、シースは、第1のテーパ状部分713および狭窄ルーメン714の円筒状部分716の両方を通り前進され、その後にクリンプ機構702から退出する。いくつかの実施形態では、シースは、狭窄ルーメン714の第1のテーパ状部分713、円筒状部分716、および第2のテーパ状部分718を通り前進され、その後にクリンプ機構702から退出する。
【0118】
いくつかの実施形態では、
図25Aに示すクリンプ機構602は、
図26に示すクリンプデバイス700などのより大型のクリンプデバイス内に位置決めされ得る。例えば、クリンプ機構602は、クリンプ機構702の代わりにまたはそれとの組合せにおいてクリンプデバイス700の第1の端部ピース710内に位置決めされ得る。例えば、転動クリンプ機構602が、クリンプ機構702の狭窄ルーメン714に完全に置き換わるか、または転動クリンプ機構602が、クリンプ機構702の狭窄ルーメン714の幅狭円筒状部分716内に入れ子にされることにより、第1のテーパ状部分713が複数の径方向に配置されたディスク形状ローラ606に通して拡張可能なシースを送給することが可能である。
【0119】
図34~
図35は、遠位端部部分902を備えるシース実施形態を示し、この遠位端部部分902は、シースに沿って長手方向に近位方向へと延在する外方カバーの延長部であることが可能である。
図34は、イントロデューサの周囲に折り畳まれた(クリンプされ収縮された構成にある)遠位端部部分902を示す。
図35は、イントロデューサ908の周囲に折り畳まれた(クリンプされ収縮された構成にある)遠位端部部分902の断面を示す。遠位端部部分902は、例えばシースの外方層を形成するために使用されたものと同様または同一の材料の1つまたは複数の層などから形成され得る。いくつかの実施形態では、遠位端部部分902は、別個の加工技術により追加されたもう1つの追加層を有するまたは有さない、シースの外方層の延長部を備える。この遠位端部部分は、1~8個のいずれかの材料層を備え得る(1、2、3、4、5、6、7、および8個の材料層を含む)。いくつかの実施形態では、遠位端部部分は、Dyneema(登録商標)材料の複数の層を備える。遠位端部部分902は、編組層904および弾性層906を備えるシースの長手方向部分を遠位方向に越えて延在し得る。実際に、いくつかの実施形態では、編組層904は、弾性層906を遠位方向に越えて延在してもよく、遠位端部部分902は、
図34~
図35に示すように、編組層904および弾性層906の両方を遠位方向に越えて延在してもよい。
【0120】
遠位端部部分902は、シースのさらに近位の部分よりも小さな収縮直径を有することによりテーパ状の外観を呈してもよい。これにより、イントロデューサ/拡張器とシースとの間の移行が平滑になり、それによってシースが患者内に挿入される最中に組織に対接して配置された状態にならないことが確保される。このより小さな収縮時直径は、複数の折り目(例えば1、2、3、4、5、6、7、または8個の折り目)が遠位端部部分の周囲において周方向に位置決めされた(均一にまたは不均一に離間された)結果であり得る。例えば、遠位端部部分の周方向セグメントが、遠位端部部分の隣接する外方表面と一体になされ次いで対接載置されることにより、重畳折り目が形成され得る。収縮構成では、折り目の重畳部分は、遠位端部部分902に沿って長手方向に延在する。折り目づけ方法および折り目構成の例は、米国特許出願第14/880,109号および米国特許出願第14/880,111号に記載されており、これらの各米国特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。刻み目が、代替的にまたは遠位端部部分の折り目の追加として利用されることが可能である。遠位端部部分902の刻み目と折り目の両方により、送達システムの通過時の遠位端部部分の拡張が可能となり、手順の完了時にシース内へと送達システムを引き戻すことが容易になる。いくつかの実施形態では、シースの(および/または血管拡張器の)遠位端部部分は、シースの内径(例えば8mm)から3.3mm(10F)まで縮小することが可能であり、シースおよび/または血管拡張器300がガイドワイヤ上で送られ得るようにガイドワイヤ径まで縮小し得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、遠位端部部分が追加され、シースおよびこの先端部がクリンプされ、遠位端部部分およびシースのクリンプが以下の方法によって維持され得る。上述のように、遠位端部部分902は、シースの外方層の延長部であることが可能である。また、別個の多層チューブが、先端部クリンプ加工ステップの前にシースの残りの部分に対して熱接着されることも可能である。いくつかの実施形態では、この別個の多層チューブは、シースの外方層の遠位延長部に対して熱接着されて、遠位端部部分902を形成する。先端部の装着後にシースをクリンプするために、シースは、小型のマンドレル上で加熱される。遠位端部部分902は、マンドレルの周囲において折り畳まれることにより、
図34に示す折り畳み構成を形成し得る。折り目は、先端部クリンププロセスの前に遠位端部部分902に対して、または先端部クリンププロセス中に中間点にて追加され得る。いくつかの実施形態では、この小型のマンドレルは、約2ミリメートル~約4ミリメートルの直径(約2.2ミリメートル、約2.4ミリメートル、約2.6ミリメートル、約2.8ミリメートル、約3.0ミリメートル、約3.2ミリメートル、約3.4ミリメートル、約3.6ミリメートル、約3.8ミリメートル、および約4.0ミリメートルを含む)であることが可能である。加熱温度は、使用される材料の融点よりも低いものとなる。これにより、材料はある特定の度合いまで自動的に収縮し得る。例えば、Dyneema(登録商標)材料がシース外方層および/または遠位端部部分の材料の一部として使用されるようないくつかの実施形態では、シースクリンププロセスは、3ミリメートルマンドレル上で摂氏約125度(摂氏約140度のDyneema(登録商標)の融点未満)までシースを加熱することにより開始される。これにより、シースは、約6ミリメートルの外径までクリンプされる。この時点にて、シースおよび遠位端部領域902は冷却が可能となる。次いで、熱シュリンクチューブが適用され得る。いくつかの実施形態では、熱シュリンクチューブは、遠位端部部分の材料の融点と略同一である融点を有することが可能である。熱シュリンクチューブがシースおよび遠位端部部分902にわたって延在するシースが、再び加熱されて(例えばDyneema(登録商標)の外方層および遠位端部部分を備えるシースの場合には摂氏約125度まで)、シースをさらに小さな直径へとクリンプさせる。遠位端部部分902において、より高い温度が印加されることにより(例えばDyneema(登録商標)材料の場合には摂氏約145度~摂氏約155度など)、これらの材料層を
図34に示す折り畳み構成において共に溶着させることが可能である(これらの折り目はこのプロセス中の任意の時点で追加され得る)。高温溶融ステップにより誘発形成された(induced)遠位端部部分902における接合部は、送達システムを通過させることにより破壊されるのに十分な脆弱さを依然として有するものとなる。最終ステップとして、熱シュリンクチューブが除去され、シースの形状がクリンプされた直径に留まる。
【0122】
図43は、編組層の長手方向において遠位側のある箇所における、他のシースの実施形態の遠位端部付近の横方向断面を示す。シース501は、内方ポリマー層513、外方ポリマー層517、および外方カバー561を備える。拡張可能なシースの遠位部分を圧縮する方法は、内方ポリマー層および外方ポリマー層の溶融温度TM2よりも低い溶融温度TM1を有する外部カバー層561で拡張可能なシース501の遠位部分を事前クリンプ状態にて覆うことと、カバー層561と拡張可能なシース501との間のすべての重畳エリアには及ばない少なくとも一領域をTM2以上である第1の温度へ加熱して、拡張可能なシース501のカバー層561および外方ポリマー層517の両方を溶融することにより、このカバー層561と外方ポリマー層517との間に装着領域569を形成することと、拡張可能なシース501のルーメンにマンドレルを挿入することと、拡張可能なシース501の例えば遠位部分などの少なくとも一部分をクリンプすることと、予め規定された第1の時間ウィンドウの間にわたり、少なくとも外部カバー層561の溶融温度TM1以上であり内方ポリマー層および外方ポリマー層の溶融温度TM2未満である第2の温度へ拡張可能なシース501の遠位部分を覆う外部カバー層561を加熱することとを含み得る。
【0123】
有利には、この方法は、分割ラインまたは割れ目ライン(
図29に示す穿孔813など)にて起始する裂開部が、熱シュリンクチューブ中の欠陥箇所(脆弱箇所または意図しないアパーチャ)により意図された軸方向裂開伝播方向から逸脱するリスクを回避させる。さらに、この方法により、拡張可能なシースの内方層または外方層について必要とされる温度よりも低い温度にて加熱されることにより相互に適度に装着された折り目を形成し得る材料から作製された外部カバー層を選択することが可能となる。
【0124】
内方ポリマー層513、外方ポリマー層517、および外部カバー層561のクリンプは、例えば約8.3mmの事前圧縮直径から約3mmの圧縮直径へとなされ得る。
図44は、クリンプの最中における
図43の実施形態の横方向断面を示す。折り目563は、クリンプの最中に外部層561に沿って形成される。第2の温度への加熱は、外部カバー層561を溶融して折り目563同士を相互に装着する一方で、内方ポリマー層および外方ポリマー層の同様の溶融および装着を回避させるのに十分なものである。
【0125】
拡張可能なシースの遠位部分を圧縮する方法は、第2の温度へ加熱する前、最中、または後に、熱シュリンクチューブ(HST)で拡張可能なシース510および外部カバー層561を覆うステップをさらに含むことが可能である。この第2の温度は、HSTを収縮させて外部カバー層561および拡張可能なシース501を圧縮状態に保持するようにさらに作用する。HSTは、カバー層561の折り目563同士が所望の圧縮状態で相互に対して十分に装着され十分な期間にわたり冷却された後に、拡張可能なシース501および外部カバー層561から除去され得る。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、HSTは、さらに熱シュリンクテープとして使用されて、外部カバー層561および拡張可能なシース501を覆った状態で巻かれ加熱されることにより外部径方向圧力を印加する。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、非熱シュリンクテープが、熱シュリンクチューブの代わりに使用され得る。
【0128】
図45は、拡張可能な編組体521を有する拡張可能なシース501の遠位部分を示す。この遠位部分は、外部カバー層561により覆われ、この外部カバー層561は、拡張可能なシース501の遠位エッジ567まで長さL1にわたり延在するのが図示される。D1は、事前圧縮状態における拡張可能なシース501の遠位直径を示す。
図46は、圧縮状態における拡張可能なシース501の遠位部分を示し、その遠位直径D2はD1よりも小さい。拡張可能なシース501の非圧縮状態から圧縮状態へと外部カバー層561を圧縮することにより、圧縮状態に達したときに直径縮小によって、結果として外部カバー層561ならびに層517および513に沿って折り目563(
図44および
図46)が形成される。折り目563同士の間の適度な装着を促進することが望ましい。本明細書において、「適度な装着」という用語は、DS構成要素を拡張可能なシース501のルーメンに通して前進させる前にこの拡張可能なシース501を圧縮状態に維持する構造的カバーを形成するのに十分な大きさでありながら、DS構成要素を拡張可能なシース501のルーメンに通して前進させることにより折り目563同士の間の装着部565が分断または分離され(
図44)、それにより拡張可能なシース501の拡張を可能にするのに十分となるような十分な低さである装着力を表す。
【0129】
外部カバー層561は、外部カバー層561中において適度な装着を伴いながら折り目563が形成されるのを促進する一方で、拡張可能なシース501のポリマー層513および517中における同様の折り目の溶融および装着を回避するために、外部カバー層561の溶融温度TM1が拡張可能なシース100のポリマー層の溶融温度TM2よりも低くなるように選択される。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、外部カバー層561は、低密度ポリエチレンである。ポリプロピレンおよび熱可塑性ポリウレタン等の、当技術において知られているような他の適切な材料が、外部カバー層561を形成するために使用されてもよい。
【0131】
図45および
図46は、
図43および
図44と同様または同一であるシースの一実施形態の斜視図を示す。外部カバー層561および拡張可能なシース501は、それらの間の周方向境界面に沿って外部カバー層561の近位端部にて第1の温度TM2へ加熱されて、周方向近位装着領域569を形成した。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、外部カバー層561は、拡張可能なシース501の外部表面(例えば外方ポリマー層)に対して例えば長手方向に配向された装着ラインに沿ってなど種々の装着領域にて装着される。いくつかの実施形態によれば、外部カバー層561は、複数の周方向に離間された装着領域により拡張可能なシース501の外部表面に対して装着される。隣接し合う装着領域間の周方向距離は、それらの間に折り目563が形成され得るように選択される。569などの装着領域により、拡張可能なシース501の圧縮状態または拡張状態のいずれかの最中に、外部カバー層561が拡張可能なシース501に対して常に装着された状態に留まることが確保される。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、外部カバー層561で覆うことは、拡張可能なシース501のクリンプ後に、外部層561がシース501の内方層513および/または外方層517の事前形成された折り目を覆うように実施される。
【0134】
いくつかの実施形態によれば、折り目563同士の間の接合は、中程度の接着強度を有する接着剤によるものである。
【0135】
本明細書において説明されるシースの実施形態は、親水性コーティングもしくは疎水性コーティングを備える様々な滑性外方コーティング、および/または表面ブルーミング添加物または表面ブルーミングコーティングを備え得る。
【0136】
図27は、チューブ状内方層502を備えるシース500の別の実施形態を示す。内方層502は、ナイロンなどの弾性熱可塑性材料から形成されてもよく、チューブ状層502が複数の長く薄いリブまたは部分506へと分割されるように、長さ方向に沿って複数の切れ目または刻線504を備え得る。送達装置10がチューブ状層502を通り前進されると、刻線504は、弾性的に拡張しまたは開き、それによりリブ506を広げ、層502の直径を増大させて送達装置の収容を可能にする。
【0137】
他の実施形態では、刻線504は、偏菱形、六角形等、またはそれらの組合せなどの様々な幾何学的形状を有する開口または切欠部として構成されることが可能である。六角形開口の場合には、これらの開口は、シースの拡張時にシースの短縮化を低減させるために比較的長い軸方向寸法を有する不規則六角形であることが可能である。
【0138】
シース500は、外方層(図示せず)をさらに備えることが可能であり、この外方層は、比較的低デュロメータ硬度の弾性熱可塑性材料(例えばPebax、ポリウレタン等)を含むことが可能であり、内方ナイロン層に対して接合され得る(例えば接着剤、または熱溶接もしくは超音波溶接等によってなどの溶接によって)。内方層502に対して外方層を装着することにより、シースの径方向への拡張および収縮の最中に内方層に対する外方層の軸方向移動が軽減され得る。また、外方層は、シースの遠位端端部を形成し得る。
【0139】
図28は、本明細書において説明されるシース実施形態の任意のものとの組合せにおいて使用され得る編組層600の別の実施形態を示す。編組層600は、編組層のフィラメント同士が共に編組された複数の編組部分602と、フィラメント同士が編組されず撚り合わされることなく軸方向に延在する、非編組部分604とを備えることが可能である。いくつかの実施形態では、編組部分602および非編組部分604は、編組層600の長さ部分に沿って交互することが可能であり、または任意の他の適切なパターンで組み込まれてもよい。編組部分602および非編組部分604に対する所与の編組層600の長さの比率は、編組層の拡張特性および短縮化特性の選択および制御を可能にし得る。
【0140】
図47は、少なくとも1つの放射線不透過性ストラットまたは放射線不透過性フィラメントを有する編組層601の一実施形態を示す。拡張可能なシース601およびその拡張可能な編組層621は、例示を目的として、X線透視撮影法で視覚化された場合のように、ポリマー層を伴わずに図示される。
図47に示すように、拡張可能な編組層621は、複数の交差ストラット623を備え、これらのストラット623は、例えば拡張可能なシース601の遠位部分に位置する遠位ループまたは遠位目穴の形態など遠位クラウン633をさらに形成し得る。
【0141】
拡張可能なシース601は、例えば腹部大動脈または大動脈分岐部に沿ってなど、標的エリアまで事前圧縮状態で前進するように構成される。この標的エリアの位置にて、臨床医は拡張可能なシース601のさらなる前進を停止し、拡張可能なシース601の拡張を助長するためにそのルーメンを介してDSを導入しなければならない。これを目的として、臨床医は、拡張可能なシースが前進する最中にこの拡張可能なシースの位置のリアルタイム表示を受け取るべきである。本発明の一態様によれば、X線透視撮影法で拡張可能なシースの位置を視覚化することを可能にするように構成された少なくとも1つの放射線不透過性マーカが、拡張可能な編組層621の少なくとも1つの領域にてまたはそれに沿って設けられる。
【0142】
一実施形態によれば、遠位クラウン633の中の少なくとも1つが、放射線不透過性マーカを備える。いくつかの実施形態によれば、遠位クラウン633は、放射線不透過性マーカとして機能するように構成された少なくとも1つの金メッキクラウン635を備える(
図47)。金メッキは単なる一例であり、クラウン635は、例えばタンタル、白金、およびイリジウム等の当技術で知られる他の放射線不透過性材料を含むことが可能であることは明白であろう。
【0143】
拡張可能なシース601が、その長さ方向に沿って配設された複数の交差ストラット623を有する拡張可能な編組層621を備えるため、この構造体は、放射線不透過性要素のより好都合な組み込みにとって有利に使用することができる。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、ストラット623は、放射線不透過性芯を有する少なくとも1つの放射線不透過性ストラット625をさらに備える。例えば、金芯を備えるドローンフィルドチューブ(DFT: drawn filled tubing)(例えばFort Wayne Metals Research Products Corpから供給されるようなものであってよい)が、放射線不透過性ストラット625としての役割を果たし得る。
図47は、複数の低不透過性ストラットまたは低不透過性フィラメント623と放射線不透過性ストラットまたは放射線不透過性フィラメント625a、625b、および625cとを備える一例の拡張可能な編組層621を示す。いくつかの例では、ストラット625aおよび625cは、単一のワイヤから作製されることが可能であり、このワイヤは、ストラット625aの経路に沿って延在し、遠位クラウン635にてループを形成し、そこからストラット625cの経路に沿って延在する。したがって、DFTワイヤなどの単一のワイヤが、放射線不透過性ストラット625aおよび625cと放射線不透過性遠位クラウン635とを形成するために使用され得る。
【0145】
DFTワイヤなどの放射線不透過性ワイヤは高コストとなる傾向があるため、拡張可能な編組層621は、それぞれが少なくとも1つの放射線不透過性ストラット625と相互に交絡された、例えばニチノールワイヤおよびPETなどのポリマーワイヤ等の形状記憶合金から作製された、複数の放射線透過性または放射線低透過性のストラット623を備えることが可能である(
図47)。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、放射線不透過性ワイヤが、外方ポリマー層617または内方ポリマー層615などのポリマー編組体内に埋設され、これらの放射線不透過性ワイヤは、低不透過性材料から作製される。
【0147】
有利には、本発明によれば、拡張可能なシース内に埋設された拡張可能な編組体は、拡張可能なシースの特定部分に沿って放射線不透過性マーカを組み込むことによりX線透視撮影法下におけるシース位置のリアルタイム視覚化を改善するために使用される。
【0148】
本発明のさらに他の態様によれば、蛍光透視法下での視認性を改善するために、遠位クラウンまたは遠位ループ633上に放射線不透過性チューブが通されることが可能であり、または遠位クラウンまたは遠位ループ633上に放射線不透過性リベットがスエージ加工されることが可能である。
【0149】
図36は、拡張可能なシース11の他の実施形態(製造プロセスの最中にマンドレル91上に位置決めされた、熱シュリンクチューブ51による圧迫下における)の長手方向断面を示す。シース11は、編組層21を備えるが、先述の実施形態で説明されたエラストマー層を有さない。シュリンク処理の最中に印加される熱は、内方ポリマー層31および外方ポリマー層41の少なくとも部分的な溶融を促進し得る。編組体のフィラメント同士がそれらの間に開口セルを画成するため、内方ポリマー層31および外方ポリマー層41が溶融してこれらのセル開口内に入り、編組層21のフィラメントを覆うと、不均一な外方表面が形成され得る。
【0150】
不均一な表面が形成されるのを軽減するために、シース圧縮の最中に径方向に作用する力を均一に拡散するように構成された緩衝ポリマー層61a、61bが、シース11の内方層31と外方層41との間に追加される。第1の緩衝層61aは、内方ポリマー層31と編組層21との間に配置され、第2の緩衝層61bは、外方ポリマー層41と編組層21との間に配置される。
【0151】
緩衝層61a、61bは、多孔性内部領域中に複数のミクロ細孔またはナノ細孔63(
図37~
図38)を有する多孔性材料を含み得る。かかる材料の1つとしては、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が挙げられるがこれに限定されない。有利には、多孔性緩衝層は、内方ポリマー層31および外方ポリマー層41に沿った不均一な表面形成を防止するのに十分な圧縮力の拡散を行うために必要とされる最小厚さh1で形成され得る。厚さh1は、緩衝層の径方向(内方表面から外方表面まで)における計測値であり、約80ミクロン~約1000ミクロンであることが可能である(例えば、約80ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約110ミクロン、約120ミクロン、約130ミクロン、約140ミクロン、約150ミクロン、約160ミクロン、約170ミクロン、約180ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、約500ミクロン、約550ミクロン、約600ミクロン、約650ミクロン、約700ミクロン、約750ミクロン、約800ミクロン、約850ミクロン、約900ミクロン、約950ミクロン、および約1000ミクロンなどを含む)。いくつかの実施形態では、厚さh1の範囲は、約110~150ミクロンである。
【0152】
しかし、緩衝層が、複数のミクロ細孔またはナノ細孔63を備える場合に(
図37~
図38)、内方ポリマー層31および外方ポリマー層41は、製造プロセスの最中の加熱時に溶融して緩衝層61a、61bの細孔内へと入る場合がある。内方ポリマー層31および外方ポリマー層41が溶融して緩衝層61の細孔63内に入るのを防止するために、第1の封止層71aが、内方ポリマー層31と第1の緩衝層61aとの間に配置され、第2の封止層71bが、外方ポリマー層41と第2の緩衝層61bとの間に配置され得る(
図36に示すように)。これらの封止層71a、71bは、ポリマー層31および41よりも高い融点を有し、流体流の通過を防止するために非多孔性材料(例えばポリテトラフルオロエチレンなど、しかしこれに限定しない)から形成されることが可能である。封止層の内方表面から外方表面までの径方向において計測される各封止層71の厚さh2(
図37)は、例えば約15~約35ミクロン(約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、および約35ミクロンを含む)など、緩衝層61よりもはるかに薄いことが可能である。
【0153】
上述の理由により有利である一方で、この緩衝および封止が追加されることにより、シース11の製造に必要となる複雑さおよび時間が増大し得る。有利には、緩衝機能および封止機能の両方を実現するように構成された単一の封止された緩衝部材を提供することにより(それぞれが1つの機能を実現するように構成された2つの別個の緩衝層および封止層を提供するのではなく)、シース製造時間が短縮され、プロセスが大幅に単純化される。本発明の一態様によれば、シースの内方ポリマー層および外方ポリマー層と中央編組層との間に配置されるように構成された単一の封止された緩衝部材が用意される。この単一の封止された緩衝部材は、緩衝層と、径方向において細孔内への漏れ/溶融を防止するように構成された封止表面とを備える。
【0154】
図37は、単一の封止された緩衝部材81'の一実施形態を示す。この緩衝部材81'は、本明細書で上述したような幅厚さh1を有する緩衝層61を備え、緩衝層61は、より薄い厚さh2を有する対応する封止層71に対して固定的に装着されて、封止表面を形成する。封止層71および緩衝層61は、例えば接着および溶接等によって相互に対して事前組立てまたは事前装着されて、共に単一の部材81'を形成する。
【0155】
図38は、幅厚さh1を有する緩衝層61を備える単一の封止された緩衝部材81の一実施形態を示す。緩衝層61は、シース11へと組み立てられた場合に内方ポリマー層31または外方ポリマー層41に対面するように構成された少なくとも1つの被封止表面65を備える。いくつかの実施形態によれば、この被封止表面65は、緩衝層61の表面を流体封止するように構成された表面処理により形成される。そのため、被封止表面65は、緩衝層61と同一の材料であることが可能である。
【0156】
本発明の別の態様によれば、および上述のように、
図36を参照すると、最小で3つの層が、軸方向伸長に対して好適な抵抗を有するシースの拡張性を維持するのに十分なものとなり得る。これは、シースに追加のエラストマー層を組み込む必要性を解消することにより実現され、それにより有利には製造コストが縮小し製造手順が単純化される。シースは、初期直径へと必ずしも戻るわけではなく、むしろエラストマー層が存在しない状況で弁の通過時に拡張時直径に留まり得る。
【0157】
図39~
図40は、
図3に示す拡張可能なシース100と同様であるがエラストマー層106を有さない拡張可能なシース101を示す。内方層103および外方層109は、拡張の最中にシース101の軸方向伸長に抵抗するように構造化および構成され得る。しかし、この提案する構成では、エラストマー層が存在しないことにより、結果としてシース101は、長手方向への弁の通過後に初期直径D
1へと必ずしも収縮せずに、弁の近位側のシース部分に沿って拡張時直径に維持される。
図39は、弁通過の近位側の部分に沿って拡張時直径D
2に留まっているシース101の概略図である。
【0158】
したがって、第1のポリマー層と、第1のポリマー層の径方向外方の編組層と、編組層の径方向外方の第2のポリマー層とを備える、医用デバイスを展開するための拡張可能なシースが提供される。編組層は、共に編組された複数のフィラメントを備える。第2のポリマー層は、編組層が第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に包被されるように、第1のポリマー層に対して接合される。医用デバイスがシースに挿通されると、シースの直径は、この医用デバイスの周囲で第1の直径から第2の直径へと拡張し、一方で第1のポリマー層および第2のポリマー層は、シースの軸方向伸長に抵抗して、シースの長さは実質的に一定に留まる。しかし、いくつかの実施形態によれば、第1のポリマー層および第2のポリマー層は、軸方向伸長に対して抵抗するように必ずしも構成されない。
【0159】
本発明の他の態様によれば、拡張可能なシースはエラストマー層を備える。しかし、
図3に示すエラストマー層106とは異なり、このエラストマー層は、実質的な径方向力を印加するようには構成されない。このエラストマー層は、シースに対してコラム強度を与える役割を依然として果たし得る。編組体の接線方向(直径方向)拡張を限定することにより、エラストマー層は、編組体およびシースの軸方向における強度(カラム強度)を強化する。そのため、より高い引張強度(伸張に対する抵抗)を有するエラストマー材料を使用することにより、結果としてより高いカラム強度を有するシースが得られることになる。同様に、自由状態でより高い張力下におかれるエラストマー材料は、伸張に対する抵抗がより高いため、押されている間により高いカラム強度を有するシースをやはり結果としてもたらす。任意のらせん状に巻かれたエラストマー層のピッチは、シースのカラム強度に寄与するもう1つの変数である。カラム強度が追加されることにより、シースは、遠位方向への前進移動の最中に印加される摩擦力によって自発的には拡張せず、シース外へと送達システムが引き出された場合に座屈しないことが確保される。
【0160】
他のオプションの実施形態では、エラストマー層は、エラストマー材料(シリコーンまたはTPUなど、しかしこれらに限定されない)中での浸漬被覆により塗布され得る。浸漬被覆は、ポリマー外方層または編組層に対して適用され得る。
【0161】
したがって、第1のポリマー層と、第1のポリマー層の径方向外方の編組層と、編組層の径方向外方のエラストマー層と、編組層の径方向外方の第2のポリマー層とを備える、医用デバイスを展開するための拡張可能なシースが提供される。これらの編組層は、共に編組された複数のフィラメントを備える。エラストマー層は、軸方向へシースが移動する最中に周囲の解剖学的構造体により印加される摩擦力による自発的拡張の座屈に抵抗するのに十分なカラム強度を拡張可能なシースに対して与えるように構成される。第2のポリマー層は、編組層が第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に包被されるように、第1のポリマー層に対して接合される。医用デバイスがシースに挿通されると、シースの直径は、医用デバイスの周囲において第1の直径から第2の直径へ拡張し、任意にはその一方で第1のポリマー層および第2のポリマー層は、シースの長さが実質的に一定に留まるようにシースの軸方向伸長に抵抗する。
【0162】
本発明の一態様によれば、内方ポリマー層と、内方ポリマー層に対して接合された外方ポリマー層と、内方ポリマー層と外方ポリマー層との間に包被された編組層とを備える3層拡張可能なシースが提供される。編組層は、エラストマーコーティングを備える。
【0163】
図41は、拡張可能なシース201の横方向断面を示す。拡張可能なシース201は、内方ポリマー層203および外方ポリマー層209と、編組層205とを備える。上記で
図3を参照して説明したエラストマー層の代わりに、編組層205はエラストマーコーティング207を備える。このエラストマーコーティング207は、
図41に示すように、編組層205のフィラメントに対して直接的に施され得る。エラストマーコーティングは、エラストマー層106との組合せにおいて説明したものと同様の特性を示す合成エラストマーから作製され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、第2の外方ポリマー層209は、編組層205およびエラストマーコーティング207が第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に包被されるように、第1の内方ポリマー層203に対して接合される。さらに、編組されたフィラメントに対して直接的に施されるエラストマーコーティングは、エラストマー層106と同一の機能を果たすように構成される(すなわち、編組層および第1のポリマー層に対して径方向力を印加するように)。
【0165】
図41の実施形態は、編組層205の各フィラメントの周囲全体を覆うエラストマーコーティング207を示すが、例えば編組層の外方表面を本質的に構成する一部分などのフィラメントの一部分のみが、エラストマーコーティング207により被覆されてもよい点が理解されよう。
【0166】
代替的にはまたは追加的には、エラストマーコーティングが、シースの他の層に対して施され得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、
図40に示すものなどの編組層が、例えばニチノールなどの、しかしこれに限定されない形状記憶材料から作製された自己収縮性フレームを有することが可能である。この自己収縮性フレームは、例えば第1のポリマー層の周囲のマンドレル上に配置される前などのシースの初期圧縮直径D1と同等の自由状態直径を有するように事前設定され得る。自己収縮性フレームは、人工弁などの内方デバイスがシースのルーメンを通過する間により大きな直径D2へと拡張し、弁が通過すると初期直径D1へと自己収縮して戻り得る。いくつかの実施形態では、編組体のフィラメントは、自己収縮性フレームであり、形状記憶材料から作製される。
【0168】
別の態様によれば、拡張可能なシースが、少なくとも1つの拡張可能な封止層に対して装着された拡張可能な編組層を備え得る。いくつかの実施形態では、編組層および封止層が、拡張可能なシースの2つのみの層となる。編組層は、第1の直径に対して受動的または能動的な拡張性を有し、少なくとも1つの拡張可能な封止層は、第1の直径に対して受動的または能動的な拡張性を有する。拡張可能な封止層は、上述の実施形態のいずれと共に用いても有用となり得るものであり、特に自己収縮性フレームまたは自己収縮性フィラメントを有する編組体の場合には有利となり得る。
【0169】
編組層は、拡張可能な封止層の全長に沿って拡張可能な封止層に対して装着または接合されて、有利には、外科切開部を介して進入または退出するいずれかの最中に印加され得る摩擦力によってポリマー層が編組層から剥離するリスクを軽減し得る。少なくとも1つの封止層は、血管内におけるシースの通過を助長するためにおよび/またはシースを介して弁を搬送する送達装置の通過を助長するために、滑性を有する低摩擦材料を含むことが可能である。
【0170】
封止層は、血流に対する透過性を有さない層として定義される。この封止層は、ポリマー層、膜、コーティング、および/または例えばポリマー繊維などの繊維を備えることが可能である。いくつかの実施形態によれば、封止層は、滑性を有する低摩擦材料を含む。いくつかの実施形態によれば、封止層は、血管内におけるシースの通過を助長するために編組層に対して径方向外方に位置する。いくつかの実施形態によれば、封止層は、シース内における医用デバイスの通過を助長するために編組層に対して径方向内方に位置する。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの封止層は、受動的な拡張性および/または収縮性を有する。いくつかの実施形態では、封止層は、シースの特定の長手方向位置において他の位置よりも厚い。このようにより厚い特定位置は、自己収縮性編組層を、封止層がより薄い他の長手方向位置よりも大きな直径で開いた状態に保持し得る。
【0172】
相互に接合された2つのポリマー層の間に編組層を包被するのではなく、少なくとも1つの拡張可能な封止層に対して編組層を装着することにより、製造プロセスが単純化され、コストが削減され得る。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、編組層は、外方拡張可能な封止層および内方拡張可能な封止層の両方に対して装着されて編組層を両面から封止し得る一方で、血管に沿ったシースの通過を助長し、シース内における医用デバイスの通過を助長し得る。かかる実施形態では、編組層は、第1の封止層に対して装着されることが可能であり、一方で他の封止層もまた、第1の封止層に対して装着され得る。例えば、編組層および内方封止層のそれぞれが、外方封止層に対して装着されることが可能であり、または編組層および外方封止層のそれぞれが、内方封止層に対して装着されることが可能である。
【0174】
いくつかの実施形態によれば、編組層は、封止コーティングによりさらに被覆される。これは、編組層が単一の拡張可能な層に対してのみ装着される構成では有利となり得る。このコーティングは、編組層が、拡張可能な層により覆われない領域に沿った位置でも血流または他の周辺組織から封止された状態に留まるのを確保する。例えば、編組層が一方の側で封止層に対して装着される場合に、編組層の他方の側が封止コーティングを受け取られてもよい。いくつかの実施形態では封止コーティングは、これらの封止層の一方または両方の代わりに、またはその追加として使用され得る。
【0175】
一般的な考慮要件
本説明においては、本開示の実施形態のいくつかの態様、利点、および新規の特徴が説明される。これらの開示される方法、装置、およびシステムは、限定的なものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示は、様々な開示の実施形態のすべての新規かつ非自明の特徴および態様を、単独においてならびに相互の様々な組合せおよび下位組合せにおいて対象とするものである。これらの方法、装置、およびシステムは、いかなる特定の態様もしくは特徴に、またはそれらの組合せにも限定されず、また本開示の実施形態は、いずれの1つまたは複数の特定の利点が存在するまたは問題が解決されることも要件とはしない。
【0176】
本開示の実施形態のいくつかの動作が、便宜上の理由によりある特定の順序で説明されるが、この説明方法は、特定の順序が以降で示される具体的な表現によって必要とされない限りは順序変更を包含することを理解されたい。例えば、逐次的に説明される動作が、いくつかの例では、順序変更されてもまたは同時に実施されてもよい。さらに、簡略化のために、添付の図面は、開示される方法が他の方法との組合せにおいて利用され得る様々な様式を示さない場合がある。さらに、本説明は、本開示の方法を説明するために「提供する」または「達成する」などの用語を時として使用する。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベル抽象である。これらの用語に対応する実際の動作は、その特定の実装形態に応じて変更され得るものであり、当業者により容易に認識可能なものである。
【0177】
本願および特許請求の範囲において、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別様のことがコンテクストにより明示されない限り複数形を含む。さらに、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」および「関連付けられた」という用語は、電気的に、電磁的に、および/または物理的に(例えば機械的にまたは化学的に)結合またはリンクされたことを一般的に意味し、具体的に対照的な表現がない場合には結合または関連付けされるアイテム同士の間に中間要素が存在することを排除しない。
【0178】
本願のコンテクストにおいて、「下方の」または「上方の」という用語は、それぞれ「流入」および「流出」という用語と互換的に使用される。したがって、例えば、弁の下方端部が弁の流入端部であり、弁の上方端部が弁の流出端部である。
【0179】
本明細書において、「近位の」という用語は、ユーザにより近く植込み部位からより離れているデバイスの位置、方向、または部分を示す。本明細書において、「遠位の」という用語は、ユーザからより離れ植込み部位により近いデバイスの位置、方向、または部分を示す。したがって、例えば、あるデバイスの近位方向移動は、ユーザに向かうデバイスの移動であり、デバイスの遠位方向移動は、ユーザから離れるデバイスの移動である。「長手方向の」および「軸方向の」という用語は、別様のことが明示されない限り、近位方向および遠位方向への軸方向延在を示す。
【0180】
別様のことが示されない限り、本明細書または特許請求の範囲において使用されるような寸法、構成要素の量、分子量、パーセンテージ、温度、力、および時間等を表すあらゆる数字は、「約」という用語により修正されるものとして理解されたい。したがって、別様のことが示唆的にまたは明示的に示されない限り、提示される数値パラメータは、要求される所望の特性および/または当業者には良く知られている試験条件/方法の下での検出限度値により決定され得る近似値である。論じられる先行技術から実施形態を完全におよび明確に識別する場合に、その実施形態の番号は、「約」という用語が引用されない限りは近似値ではない。さらに、本明細書に挙げられるすべての代替形態が均等物であるわけではない。
【0181】
開示される技術の原理が適用され得る多数の可能な実施形態を鑑みて、これらの例示の実施形態は好ましい例に過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない点を理解されたい。むしろ、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲と少なくとも同一の広さである。したがって、これらの請求項の範囲および趣旨の範囲内に含まれるあらゆるものが特許請求の対象となる。
【符号の説明】
【0182】
10 送達装置
11 拡張可能なシース
12 人工心臓弁、人工デバイス、インプラント
14 操縦可能ガイドカテーテル
16 バルーンカテーテル
18 ハンドル部分
20 細長ガイドシャフト
21 編組層
31 内方ポリマー層
41 外方ポリマー層
51 熱シュリンクチューブ
61 緩衝層
61a 緩衝ポリマー層、緩衝層、第1の緩衝層
61b 緩衝ポリマー層、緩衝層、第2の緩衝層
63 ミクロ細孔、ナノ細孔
65 被封止表面
71 封止層
71a 第1の封止層
71b 第2の封止層
81 緩衝部材
90 アセンブリ、イントロデューサデバイス
91 マンドレル
92 イントロデューサハウジング
100 拡張可能なシース
101 拡張可能なシース
102 第1の層、内方層、第1のポリマー層、ポリマー内方層、ポリマー層、内方ポリマー層
103 内方層
104 第2の層、編組層
106 第3の層、弾性層、エラストマー層
108 第4の層、外方層、最外層、外方ポリマー層、ポリマー外方層、ポリマー層
109 外方層
110 部材、フィラメント、編組フィラメント
110A フィラメント
110B フィラメント
112 中央ルーメン、シースルーメン
114 中心軸
116 ストランド、リボン、バンド、弾性バンド
116A 弾性バンド
116B 弾性バンド
118 円筒状マンドレル
120 ePTFE層、内方層
122 ePTFE層、外方層
124 熱シュリンクチューブ層、熱シュリンクテープ層、熱シュリンク層
126 リッジ、折り目、
128 長手方向に延在する溝
130 コード
132 矢印方向
134 ユニットセル
136 空間
140 遠位端部部分
142 遠位端部
150 部分
152 ループ
200 装置
201 拡張可能なシース
202 収容容器
203 内方ポリマー層
204 チャンバ
205 編組層
206 閉端部
207 エラストマーコーティング
208 開端部
209 外方ポリマー層
210 熱膨張性材料
212 キャップ
214 加熱システム
300 血管拡張器
301 シース
302 シャフト部材
304 ノーズコーン
306 保持部材、カプセル
308 近位端部部分
310 周方向空間
312 シャフト
314 バルーン
400 熱シュリンクチューブ層
401 熱シュリンクチューブ層
402 刻線
404 円形開口
406 長尺刻線
408 張り出し部
500 シース
501 拡張可能なシース
502 チューブ状内方層
504 刻線
506 長く薄いリブまたは部分
510 拡張可能なシース
513 内方ポリマー層
517 外方ポリマー層
521 拡張可能な編組体
561 外方カバー、外部カバー層、外部層
563 折り目
565 装着部
567 遠位エッジ
569 装着領域
600 編組層
601 編組層、拡張可能なシース
602 ローラベースクリンプ機構、転動クリンプ機構、編組部分
604 第1の端部表面、第1の側部、非編組部分
605 第2の端部表面、第2の側部
606 ディスク形状ローラ
606a-f ディスク形状ローラ
608 コネクタ
610 円形エッジ
612 第1の側部表面、前方表面
614 第2の側部表面、後方表面
615 内方ポリマー層
616 第1のアーム
617 外方ポリマー層
618 第2のアーム
619 固定具
620 ボルト
621 拡張可能な編組層
623 交差ストラット、低不透過性フィラメント
625 放射線不透過性ストラット
625a 放射線不透過性ストラット、放射線不透過性フィラメント
625b 放射線不透過性ストラット、放射線不透過性フィラメント
625c 放射線不透過性ストラット、放射線不透過性フィラメント
633 遠位クラウン、遠位ループ
635 金メッキクラウン、遠位クラウン、放射線不透過性遠位クラウン
700 クリンプデバイス
702 クリンプ機構
704 細長ベース
706 細長マンドレル
708 保持機構
710 第1の端部ピース
711 第2の端部ピース
712 円錐状端部部分
713 第1のテーパ状部分
714 狭窄ルーメン
715 幅狭端部
716 幅狭円筒状部分
718 第2のテーパ状部分
719 幅狭端部
720 外方表面
722 内方表面
724 円筒状端部部分
726 端部
728 細長摺動トラック
730 可逆性固定具
802 内方層
804 編組層
806 弾性層、エラストマー層
808 外方層
809 熱シュリンクチューブ層
811 割れ目
813 穿孔
815 接着シーム
817 送達システム
902 遠位端部部分
904 編組層
906 弾性層
908 イントロデューサ
D1 事前圧縮状態における拡張可能なシース501の遠位直径、初期直径、初期圧縮直径
D2 遠位直径、拡張時直径
L1 長さ
TM1 外部カバー層561の溶融温度
TM2 内方ポリマー層および外方ポリマー層の溶融温度
h1 厚さ、幅厚さ
h2 厚さ
【国際調査報告】