(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物および有機発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 209/86 20060101AFI20221202BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20221202BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20221202BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20221202BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221202BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
C07D209/86
C07D405/14 CSP
C07D409/14
C07D405/04
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
C09K11/06 690
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576286
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2020013665
(87)【国際公開番号】W WO2021071248
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0124521
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キム,ス-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ヨン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ゴン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB06
4C063CC76
4C063CC94
4C063DD08
4C063DD43
4C063DD76
4C063EE10
(57)【要約】
本明細書は、化学式1で表されるヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物および有機発光素子の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるヘテロ環化合物:
【化29】
前記化学式1において、
N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上含む単環もしくは多環のC2~C60のヘテロ環基であり、
LおよびL1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;または置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基であり、
Z1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または下記化学式Aで表され、
【化30】
X1は、O;S;CR11R12;またはNR13であり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R”および-NRR’からなる群より選択され、
前記R11~R13、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
cおよびdは、0~3の整数であり、
aおよびeは、0~5の整数である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-Aまたは1-Bで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化31】
【化32】
前記化学式1-Aおよび1-Bにおいて、
R1~R6、N-Het、L、L1、X1、Ar1、Ar2、a、c、dおよびeの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
Z2は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【請求項3】
前記化学式1の化学式Aは、下記化学式1-1~1-6のいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
前記化学式1-1~1-6において、
X1、R5およびdの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
【化39】
は、前記化学式1のL1と連結される位置を意味し、
R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R35およびR36は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【請求項4】
N-Hetは、下記構造式から選択されるいずれか1つである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化40】
前記構造式において、
【化41】
は、前記化学式1のLと連結される位置を意味し、
R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【請求項5】
前記R5およびR6は、水素である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項6】
前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化42】
【請求項7】
第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト物質を含み、前記ホスト物質は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は、電子ブロック層または正孔ブロック層を含み、前記電子ブロック層または正孔ブロック層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロック層、および正孔ブロック層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むものである、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記有機物層は、下記化学式2の化合物をさらに含むものである、請求項7に記載の有機発光素子:
【化43】
前記化学式2において、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
rおよびsは、0~7の整数である。
【請求項14】
前記化学式2は、下記の化合物のいずれか1つで表されるものである、請求項13に記載の有機発光素子:
【化44】
【請求項15】
請求項1に記載の前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物:
【化45】
前記化学式2において、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
rおよびsは、0~7の整数である。
【請求項16】
前記組成物中の、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1である、請求項15に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【請求項17】
基板を用意するステップと、
前記基板上に第1電極を形成するステップと、
前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、
前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、
前記有機物層を形成するステップは、請求項15に記載の有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記有機物層を形成するステップは、前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を予備混合(pre-mixed)して、熱真空蒸着方法を用いて形成するものである、請求項17に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月8日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0124521号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本明細書は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物および有機発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いというメリットがある。
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成される。
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0003】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
有機発光素子で使用可能な物質に要求される条件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性および熱的安定性などを満たすことができ、置換基によって有機発光素子で要求される多様な役割を果たす化学構造を有する化合物を含む有機発光素子に関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、ヘテロ環化合物、これを含む有機発光素子、有機発光素子の有機物層用組成物および有機発光素子の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上含む単環もしくは多環のC2~C60のヘテロ環基であり、
LおよびL1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;または置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基であり、
Z1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または下記化学式Aで表され、
【化2】
X1は、O;S;CR11R12;またはNR13であり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の脂肪族または芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R”および-NRR’からなる群より選択され、
前記R11~R13、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
cおよびdは、0~3の整数であり、
aおよびeは、0~5の整数である。
【0007】
また、本出願の一実施態様によれば、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0008】
さらに、本出願の一実施態様において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および下記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【化3】
前記化学式2において、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
rおよびsは、0~7の整数である。
【0009】
最後に、本出願の一実施態様において、基板を用意するステップと、前記基板上に第1電極を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、前記有機物層を形成するステップは、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物が有機発光素子の発光層材料として使用できる。例えば、前記化合物は、単独で発光材料として使用されてもよく、前記化合物は、2つの化合物が共に発光材料として使用可能であり、発光層のホスト材料として使用可能である。
【0011】
特に、化学式1の化合物は、ジベンゾフランの構造の一方のベンゼン環の3番位置にN含有環が置換され、前記ジベンゾフランの構造のうちN含有環が置換されていない他のベンゼン環に特定の置換基が置換されることで、N含有環側のLUMOの電子を非偏在化させてより一層電子安定性の構造を有し、素子に適切なエネルギー準位および熱的安定性を付与する。前記化学式1の化合物を用いて寿命および駆動安定、効率が改善された有機発光素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本出願について詳細に説明する。
本明細書において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合したことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は水素の同位元素であるので、一部の水素原子は、重水素であってもよい。
【0014】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」は、置換基としてくることのできる位置がすべて水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であり、一部の水素原子は、同位元素である重水素であってもよいし、この時、重水素の含有量は、0%~100%であってもよい。
【0015】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造に置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%など重水素を明示的に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用できる。すなわち、「置換基Xは、水素である」と表現する場合には、水素の含有量が100%、重水素の含有量が0%など重水素を排除しないもので、水素と重水素が混在している状態を意味することができる。
【0016】
本出願の一実施態様において、重水素は、水素の同位元素(isotope)の一つであり、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個とからなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であって、水素-2で表現されてもよいし、元素記号はDまたは2Hと書くこともできる。
【0017】
本出願の一実施態様において、同位元素は、原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は、同じ数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0018】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本になる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%で定義することができる。
すなわち、一例において、
【化4】
で表されるフェニル基において重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総数は5(式中のT1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中のT2)である場合、20%で表されてもよい。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%というのは、下記構造式で表されてもよい。
【化5】
【0019】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子が含まれていない、すなわち水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0020】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0021】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、さらに具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。
【0024】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0027】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、さらに具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0029】
前記フルオレニル基が置換される場合、下記の構造で表現されてもよいが、これに限定されない。
【化6】
【0030】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH2;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0033】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的には、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0036】
隣接した基が形成可能な脂肪族または芳香族炭化水素環またはヘテロ環は、1価の基でないことを除けば、前述したシクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基として例示された構造が適用可能である。
【0037】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0038】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環もしくは多環のアリール;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリール;-SiRR’R”;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環もしくは多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環もしくは多環のヘテロアリールアミンからなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味し、
前記R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0039】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式1-Aまたは1-Bで表されてもよい。
【化7】
【化8】
前記化学式1-Aおよび1-Bにおいて、
R1~R6、N-Het、L、L1、X1、Ar1、Ar2、a、c、dおよびeの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
Z2は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【0041】
特に、本出願の一実施態様において、前記化学式1-Bのように、ジベンゾフランの構造のうちN含有環が置換されていない他のベンゼン環にアリール基が置換されることで、約2.5eV以上の高いT1 energy levelを有するため、ホストからドーパントにenergy transferが容易で、アリーレン基またはヘテロアリーレン基が置換された化学式と同様に発光効率に優れた特徴を有する。
【0042】
本出願の一実施態様において、前記化学式1-Aは、下記化学式3-Aまたは4-Aで表されてもよい。
【化9】
【化10】
前記化学式3-Aおよび4-Aにおいて、N-Het、L、L1、R1~R6、X1、a、およびc~eの定義は、前記化学式1-Aにおける定義と同じである。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記化学式1-Bは、下記化学式3-Bまたは4-Bのいずれか1つで表されてもよい。
【化11】
【化12】
前記化学式3-Bおよび4-Bにおいて、N-Het、L、L1、R6、Z2、a、cおよびeの定義は、前記化学式1-Bにおける定義と同じである。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記化学式3-Aおよび3-Bの場合のように、ジベンゾフランの一方のベンゼン環の3番位置にN-Hetが置換され、他のベンゼン環の4番位置に特定の置換基を有する場合、特に他の箇所に置換された場合よりcurrent densityが良くて駆動電圧が低く、tripletエネルギーも高い特徴を有する。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記化学式4-Aおよび4-Bの場合のように、ジベンゾフランの一方のベンゼン環の3番位置にN-Hetが置換され、他のベンゼン環の1番位置に特定の置換基を有する場合、特に他の箇所に置換された場合よりTdが低くて熱安定性に優れ、有機発光素子の寿命特性に特に優れた特徴を有する。
【0046】
すなわち、本出願の一実施態様に係る化合物の場合,ジベンゾフランの3番位置にN-Hetの置換基を有し、他方のベンゼン環の特定の位置に置換基を有することにより、それぞれ優れた効果を有する特徴を有する。
【0047】
本出願の一実施態様において、R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R”および-NRR’からなる群より選択されてもよい。
【0048】
他の実施態様において、R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R”および-NRR’からなる群より選択されてもよい。
【0049】
さらに他の実施態様において、R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R”および-NRR’からなる群より選択されてもよい。
【0050】
さらに他の実施態様において、R5およびR6は、水素であってもよい。
【0051】
本出願の一実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;または置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基である。
【0052】
他の実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基である。
【0053】
さらに他の実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のC1~C20のアルキル基である。
【0054】
さらに他の実施態様において、Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;またはC1~C20のアルキル基である。
【0055】
さらに他の実施態様において、Ar1およびAr2は、水素である。
【0056】
本出願の一実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0057】
他の実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0058】
さらに他の実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40の単環もしくは多環のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0059】
さらに他の実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC10~C40の多環のアリーレン基であってもよい。
【0060】
さらに他の実施態様において、Lは、直接結合;C6~C40の単環のアリーレン基;またはC10~C40の多環のアリーレン基であってもよい。
【0061】
さらに他の実施態様において、Lは、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;またはナフチレン基であってもよい。
【0062】
さらに他の実施態様において、Lは、直接結合であってもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0064】
他の実施態様において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0065】
さらに他の実施態様において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40の単環もしくは多環のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0066】
さらに他の実施態様において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC10~C40の多環のアリーレン基であってもよい。
【0067】
さらに他の実施態様において、L1は、直接結合;C6~C40の単環のアリーレン基;またはC10~C40の多環のアリーレン基であってもよい。
【0068】
さらに他の実施態様において、L1は、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;またはナフチレン基であってもよい。
【0069】
本出願の一実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0070】
他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0071】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C40のアルキル基;C6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC6~C40の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0072】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C40の単環のアリール基;またはC10~C40の多環のアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC6~C40の単環の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0073】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;ビフェニル基;またはトリフェニレニル基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してベンゼン環を形成してもよい。
【0074】
本出願の一実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0075】
他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0076】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C40のアルキル基;C6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC6~C40の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0077】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C6~C40の単環のアリール基;またはC10~C40の多環のアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC6~C40の単環の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0078】
さらに他の実施態様において、R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;ビフェニル基;またはトリフェニレニル基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してベンゼン環を形成してもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、X1は、O;S;CR11R12;またはNR13であってもよい。
【0080】
本出願の一実施態様において、X1は、Oであってもよい。
【0081】
本出願の一実施態様において、X1は、Sであってもよい。
【0082】
本出願の一実施態様において、X1は、CR11R12であってもよい。
【0083】
本出願の一実施態様において、X1は、NR13であってもよい。
【0084】
特に、X1がNR13の置換基を有する場合は、HOMOエネルギーレベルが一方に偏在化されているが、X1がO、Sなどを有する場合には、それに比べて非偏在化されていて、より一層電子安定性の構造を有し、寿命および駆動安定、効率が改善された有機発光素子を製造できる特徴を有する。
【0085】
本出願の一実施態様において、R11~R13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0086】
他の実施態様において、R11~R13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C60のアルキル基;C6~C60のアリール基;またはC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0087】
さらに他の実施態様において、R11~R13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C60のアリール基であってもよい。
【0088】
さらに他の実施態様において、R11~R13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0089】
さらに他の実施態様において、R11~R13は、フェニル基であってもよい。
【0090】
本出願の一実施態様において、R13は、フェニル基であってもよい。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記化学式1の化学式Aは、下記化学式1-1~1-6のいずれか1つで表されてもよい。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
前記化学式1-1~1-6において、
X1、R5およびdの定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
【化19】
は、前記化学式1のL1と連結される位置を意味し、
R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R35およびR36は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0092】
本出願の一実施態様において、Z1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基または前記化学式Aで表されてもよいし、具体的には、Z1は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0093】
他の実施態様において、Z1は、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0094】
さらに他の実施態様において、Z1は、置換もしくは非置換の単環もしくは多環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0095】
さらに他の実施態様において、Z1は、置換もしくは非置換の単環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0096】
さらに他の実施態様において、Z1は、置換もしくは非置換の多環のC10~C40のアリール基であってもよい。
【0097】
さらに他の実施態様において、Z1は、単環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0098】
さらに他の実施態様において、Z1は、多環のC10~C40のアリール基であってもよい。
【0099】
さらに他の実施態様において、Z1は、フェニル基;またはトリフェニレニル基であってもよい。
【0100】
本出願の一実施態様において、Z2は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0101】
他の実施態様において、Z2は、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0102】
さらに他の実施態様において、Z2は、置換もしくは非置換の単環もしくは多環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0103】
さらに他の実施態様において、Z2は、置換もしくは非置換の単環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0104】
さらに他の実施態様において、Z2は、置換もしくは非置換の多環のC10~C40のアリール基であってもよい。
【0105】
さらに他の実施態様において、Z2は、単環のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0106】
さらに他の実施態様において、Z2は、多環のC10~C40のアリール基であってもよい。
【0107】
さらに他の実施態様において、Z2は、フェニル基;またはトリフェニレニル基であってもよい。
【0108】
本出願の一実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0109】
他の実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0110】
さらに他の実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0111】
さらに他の実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40の単環もしくは多環のアリール基であってもよい。
【0112】
さらに他の実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C40の単環のアリール基;またはC10~C40の多環のアリール基であってもよい。
【0113】
さらに他の実施態様において、R31~R34は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;またはトリフェニレニル基であってもよい。
【0114】
本出願の一実施態様において、R35およびR36は、水素であってもよい。
【0115】
本出願の一実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上含む単環もしくは多環のC2~C60のヘテロ環基であってもよい。
【0116】
他の実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3個以下で含む単環もしくは多環のC2~C60のヘテロ環基であってもよい。
【0117】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3個以下で含む単環もしくは多環のC2~C60のヘテロ環基であってもよい。
【0118】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3個以下で含む単環もしくは多環のC2~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0119】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3個以下で含む単環のC2~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0120】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、C1~C20のアルキル基、C6~C40のアリール基、C2~C40のヘテロアリール基、-P(=)ORR’および-SiRR’R”からなる群より選択される1以上の置換基、または前記置換基が2以上連結された置換基で置換もしくは非置換であり、Nを1個以上3個以下で含む単環のC2~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0121】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、C1~C20のアルキル基、C6~C40のアリール基、C2~C40のヘテロアリール基、-P(=)ORR’および-SiRR’R”からなる群より選択される1以上の置換基、または前記置換基が2以上連結された置換基で置換もしくは非置換の、ピリジン基;ピリミジン基;またはトリアジン基であってもよい。
【0122】
さらに他の実施態様において、N-Hetは、フェニル基で置換もしくは非置換のピリジン基;フェニル基で置換もしくは非置換のピリミジン基;またはトリフェニレニル基、ジフェニルフルオレン基、-P(=)ORR’または-SiRR’R”で置換もしくは非置換のフェニル基、ビフェニル基、ジベンゾフラン基、ジメチルフルオレン基、およびジベンゾチオフェン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のトリアジン基であってもよい。
【0123】
本出願の一実施態様において、N-Hetは、下記構造式から選択されてもよい。
【化20】
前記構造式において、
【化21】
は、前記化学式1のLと連結される位置を意味し、
R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0124】
本出願の一実施態様において、R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0125】
他の実施態様において、R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC1~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0126】
さらに他の実施態様において、R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C20のアルキル基、C6~C40のアリール基、C2~C40のヘテロアリール基、-P(=)ORR’および-SiRR’R”からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;またはC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0127】
さらに他の実施態様において、R41~R45は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基、トリフェニレニル基、ジフェニルフルオレニル基、-P(=)ORR’および-SiRR’R”からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;またはジメチルフルオレニル基であってもよい。
【0128】
本出願の一実施態様において、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0129】
他の実施態様において、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0130】
さらに他の実施態様において、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60の単環もしくは多環のアリール基であってもよい。
【0131】
さらに他の実施態様において、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40の単環のアリール基であってもよい。
【0132】
さらに他の実施態様において、R、R’およびR”は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0133】
さらに他の実施態様において、R、R’およびR”は、フェニル基であってもよい。
【0134】
本出願の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されてもよいが、これのみに限定されるものではない。
【化22】
【0135】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に使用される正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求する条件を満たす物質を合成することができる。
【0136】
さらに、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細調節可能にし、一方で、有機物間における界面での特性を向上させ、物質の用途を多様化することができる。
【0137】
また、本出願の一実施態様において、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0138】
さらに他の実施態様において、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記化学式1によるヘテロ環化合物1つを含む有機発光素子を提供する。
【0139】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0140】
本出願の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であってもよく、前記第2電極は、陰極であってもよい。
【0141】
他の実施態様において、前記第1電極は、陰極であってもよく、前記第2電極は、陽極であってもよい。
【0142】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の青色発光層のホスト物質に含まれる。
【0143】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の緑色発光層のホスト物質に含まれる。
【0144】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料で使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の赤色発光層のホスト物質に含まれる。
【0145】
本発明の有機発光素子は、前述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造できる。
【0146】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0147】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機物層を含むことができる。
【0148】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含むことができ、前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0149】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホスト物質を含み、前記ホスト物質は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0150】
もう一つの例として、前記ヘテロ環化合物を含む有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物をホストとして含み、イリジウム系ドーパントと共に使用可能である。
【0151】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子輸送層または電子注入層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0152】
他の有機発光素子において、前記有機物層は、電子ブロック層または正孔ブロック層を含み、前記電子ブロック層または正孔ブロック層は、前記ヘテロ環化合物を含むことができる。
【0153】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロック層、および正孔ブロック層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0154】
図1~3に本出願の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したわけではなく、当技術分野にて知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0155】
図1によれば、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次に積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、
図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次に積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0156】
図3は、有機物層が多層の場合を例示したものである。
図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0157】
前記化学式1の化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質を追加的に含むことができる。
【0158】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記有機物層は、下記化学式2のヘテロ環化合物をさらに含むことができる。
【化23】
前記化学式2において、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルケニル基;置換もしくは非置換のC2~C60のアルキニル基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基;および置換もしくは非置換のアミン基からなる群より選択され、
rおよびsは、0~7の整数である。
【0159】
前記化学式1の化合物および前記化学式2の化合物を同時に有機発光素子の有機物層に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキサイプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0160】
前記エキサイプレックス(exciplex)現象は、2つの分子間の電子交換によりdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)のLUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2つの分子間のエキサイプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これによって蛍光の内部量子効率が100%まで上昇できる。正孔輸送能力の良いdonor(p-host)と電子輸送能力の良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして使用される場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低下させることができ、それによって寿命向上に役立てることができる。
【0161】
本出願の一実施態様において、前記RcおよびRdは、水素であってもよい。
【0162】
本出願の一実施態様において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0163】
他の実施態様において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0164】
さらに他の実施態様において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基、C6~C40のアリール基、-CNおよび-SiR201R202R203からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0165】
さらに他の実施態様において、前記化学式2のRaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基、-CNまたは-SiR201R202R203で置換もしくは非置換のフェニル基;フェニル基で置換もしくは非置換のビフェニル基;ナフチル基;メチル基またはフェニル基で置換もしくは非置換のフルオレン基;スピロビフルオレン基;またはトリフェニレン基であってもよい。
【0166】
本出願の一実施態様において、前記化学式2のR201、R202、およびR203は、C6~C60のアリール基であってもよい。
【0167】
他の実施態様において、前記化学式2のR201、R202、およびR203は、C6~C40のアリール基であってもよい。
【0168】
本出願の一実施態様において、前記化学式2のR201、R202、およびR203は、フェニル基であってもよい。
【0169】
本出願の一実施態様において、前記化学式2は、下記の化合物のいずれか1つで表されてもよいが、これのみに限定されるものではない。
【化24】
【0170】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2の化合物は、前記有機物層のうち発光層に含まれてもよい。
【0171】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式2の化合物は、前記有機物層のうち発光層に含まれてもよいし、具体的には、発光層のホスト物質として使用できる。
【0172】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子の発光層のホスト物質は、前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を同時に含むことができる。
【0173】
本出願の一実施態様において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0174】
前記組成物中の、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1であってもよく、1:8~8:1であってもよく、1:5~5:1であってもよいし、1:2~2:1であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0175】
本出願の一実施態様において、基板を用意するステップと、前記基板上に第1電極を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、前記有機物層を形成するステップは、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【0176】
本出願の一実施態様において、前記有機物層を形成するステップは、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を熱真空蒸着方法を用いて形成する有機発光素子の製造方法を提供する。
【0177】
本出願の一実施態様において、前記有機物層を形成するステップは、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物2種を混合(pre-mixed)して、熱真空蒸着方法を用いて形成する有機発光素子の製造方法を提供する。
【0178】
前記予備混合(pre-mixed)は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物2種を有機物層に蒸着する前に、先に材料を混合して1つの供源に入れて混合することを意味する。
【0179】
予備混合された材料は、本出願の一実施態様に係る有機物層用組成物として言及されてもよい。
【0180】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1のヘテロ環化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野にて公知の材料に代替可能である。
【0181】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0182】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0183】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))などを使用することができる。
【0184】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用可能であり、低分子または高分子材料が使用されてもよい。
【0185】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用可能であり、低分子物質だけでなく、高分子物質が使用されてもよい。
【0186】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界にて代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0187】
発光材料としては、赤色、緑色、または青色発光材料が使用可能であり、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用可能である。この時、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0188】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系のホストを混合して使用してもよく、異なる系のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として使用することができる。
【0189】
本出願の一実施態様に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0190】
本出願の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含めた有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるのと類似の原理で作用できる。
【実施例】
【0191】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0192】
【0193】
1)化合物1-1-6の製造
4-ブロモ-2-フルオロ-1-ヨードベンゼン(4-bromo-2-fluoro-1-iodobenzene)200.0g(664.7mM)、(2-クロロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸((2-chloro-6-methoxyphenyl)boronic acid)148.7g(794.6mM)、Pd(PPh)4 38.4g(33.2mM)、K2CO3 183.7g(1329.4mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)/H2O1L/200mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とジクロロメタン(DCM)を入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製して、目的化合物1-1-6 178g(85%)を得た。
【0194】
2)化合物1-1-5の製造
化合物1-1-6 178g(564.1mM)、BBr3 107mL(1128.2mM)をDCM800mLに溶かした後、1時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:1)で精製して、目的化合物1-1-5 153.1g(90%)を得た。
【0195】
3)化合物1-1-4の製造
化合物1-1-5 153g(507.4mM)、K2CO3 140.3g(1014.8mM)をジメチルホルムアミド(DMF)800mLに溶かした後、4時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:9)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1-4 88.5g(62%)を得た。
【0196】
4)化合物1-1-3の製造
化合物1-1-4 88.5g(314.4mM)、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)159.7g(628.8mM)、PdCl2(dppf)23.0g(31.4mM)、KOAc92.6g(943.2mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)500mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:5)で精製して、目的化合物1-1-3 85.7g(83%)を得た。
【0197】
5)化合物1-1-2の製造
化合物1-1-3 85.0g(258.7mM)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)69.3g(258.7mM)、Pd(PPh)4 14.9g(12.9mM)、K2CO3 71.5g(517.4mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)/H2O1000/200mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:4)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1-2 79.7g(71%)を得た。
【0198】
6)化合物1-1-1の製造
化合物1-1-2 79.0g(182.1mM)、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)92.5g(364.2mM)、Pd(dba)2 10.5g(18.2mM)、XPhos17.4g(36.4mM)、KOAc53.6g(546.3mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)800mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:5)で精製して、目的化合物1-1-1 84.2g(88%)を得た。
【0199】
7)化合物1-1の製造
化合物1-1-1 15.0g(28.5mM)、2-ブロモジベンゾ[b,d]フラン(2-bromodibenzo[b,d]furan)7.8g(31.4mM)、Pd(PPh)4 1.6g(1.4mM)、K2CO3 7.9g(57.0mM)を1,4-dioxane/H2O200/40mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物1-1、13.2g(82%)を得た。
【0200】
前記製造例1において、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表1の中間体Aを用い、2-ブロモジベンゾ[b,d]フラン(2-bromodibenzo[b,d]furan)の代わりに下記表1の中間体Bを用いたことを除き、前記製造例1の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0201】
【0202】
【0203】
1)化合物4-1-6の製造
4-ブロモ-2-フルオロ-1-ヨードベンゼン(4-bromo-2-fluoro-1-iodobenzene)200.0g(664.7mM)、(3-クロロ-2-メトキシフェニル)ボロン酸((3-chloro-2-methoxyphenyl)boronic acid)148.7g(794.6mM)、Pd(PPh)4 38.4g(33.2mM)、K2CO3 183.7g(1329.4mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)/H2O1L/200mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:4)で精製して、目的化合物4-1-6 169g(81%)を得た。
【0204】
2)化合物4-1-5の製造
化合物4-1-6 169g(535.5mM)、BBr3 103mL(1071.0mM)をジクロロメタン(DCM)800mLに溶かした後、1時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:1)で精製して、目的化合物4-1-5 145.3g(90%)を得た。
【0205】
3)化合物4-1-4の製造
化合物4-1-5 145.3g(481.9mM)、K2CO3 133.2g(963.9mM)をDMF800mLに溶かした後、4時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:8)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物4-1-4 74.6g(57%)を得た。
【0206】
4)化合物4-1-3の製造
化合物4-1-4 74.6g(265.1mM)、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)134.6g(530.2mM)、PdCl2(dppf)19.4g(26.5mM)、KOAc78.1g(795.3mM)を1,4-dioxane500mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:5)で精製して、目的化合物4-1-3 76.7g(88%)を得た。
【0207】
5)化合物4-1-2の製造
化合物4-1-3 76.7g(233.28mM)、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)67.7g(233.28mM)、Pd(PPh)4 13.5g(11.7mM)、K2CO3 64.5g(466.6mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)/H2O800/160mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:5)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物4-1-2 70.9g(70%)を得た。
【0208】
6)化合物4-1-1の製造
化合物4-1-2 74.0g(163.3mM)、ビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)g(326.6mM)、Pd(dba)2 9.4g(16.3mM)、XPhos15.6g(32.7mM)、KOAc48.1g(489.9mM)を1,4-dioxane740mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:4)で精製して、目的化合物4-1-1 72.9g(85%)を得た。
【0209】
7)化合物4-1の製造
化合物4-1-1 15.0g(28.5mM)、2-ブロモジベンゾ[b,d]フラン(2-bromodibenzo[b,d]furan)7.8g(31.4mM)、Pd(PPh)4 1.6g(1.4mM)、K2CO3 7.9g(57.0mM)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)/H2O200/40mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物4-1 12.9g(80%)を得た。
【0210】
前記製造例2において、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)の代わりに下記表2の中間体Aを用い、2-ブロモジベンゾ[b,d]フラン(2-bromodibenzo[b,d]furan)の代わりに下記表2の中間体Bを用いたことを除き、前記製造例2の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0211】
【0212】
【0213】
1)化合物5-3の製造
3-ブロモ-1,1’-ビフェニル3.7g(15.8mM)、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI3.0g(15.8mM)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、K3PO4 3.3g(31.6mM)を1,4-オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを入れて抽出し、有機層はMgSO4で乾燥させた後、回転蒸発器で溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して、目的化合物5-3 7.5g(85%)を得た。
【0214】
前記製造例3において、3-ブロモ-1,1’-ビフェニルの代わりに下記表3の中間体Aを用い、前記9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾールの代わりに下記表3の中間体Bを用いたことを除き、前記製造例3の製造と同様の方法で製造して、目的化合物Aを合成した。
【0215】
【0216】
前記製造例1~3および表1~3に記載の化合物以外の前記化学式1および化学式2に相当するヘテロ環化合物も、前述した製造例に記載の方法と同様に製造した。
上記で製造された化合物の合成確認資料は、下記表4および表5に記載した通りである。
【0217】
【0218】
【0219】
<実験例1>-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにインジウムチンオキシド(ITO)が薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet Ozone)処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4”-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストとして下記表6の化合物を400Å蒸着し、緑色燐光ドーパントはIr(ppy)3を発光層の蒸着厚さの7%ドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとにそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製して、OLEDの作製に使用した。
【0220】
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/m2の時の、T90を測定した。
製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表6の通りであった。
【0221】
【0222】
【0223】
<実験例2>-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにITOが薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4”-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストとして下記表7のように化学式1に記載の化合物1種と化学式2に記載の化合物1種をpre-mixedして予備混合後、1つの供源で400Å蒸着し、緑色燐光ドーパントはIr(ppy)3を発光層の蒸着厚さの7%ドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCPを60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとにそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製して、OLEDの作製に使用した。
【0224】
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/m2の時の、T90を測定した。
本発明により製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表7の通りであった。
【0225】
【0226】
前記表6の結果から分かるように、本発明の有機電界発光素子の発光層材料を用いた有機電界発光素子は、比較例7~14に比べて駆動電圧が低く、発光効率が向上しただけでなく、寿命も著しく改善されたことを確認することができた。
【0227】
ジベンゾフランの構造のうちN含有環が置換されていない他のベンゼン環にアリール基が置換された実施例11および12の場合、約2.5eV以上の高いT1 energy levelを有するため、ホストからドーパントにenergy transferが容易で、アリーレン基またはヘテロアリーレン基が置換された化学式と同様に発光効率に優れていることを確認することができた。
【0228】
特に、X1がNR13の置換基を有する場合は、HOMOエネルギーレベルが一方に偏在化されているが、X1がO、Sなどを有する場合には、それに比べて非偏在化されていて、より一層電子安定性の構造を有し、寿命および駆動安定、効率が改善された有機発光素子を製造できることを確認することができた。
【0229】
ジベンゾフランの一方のベンゼン環の3番位置にN-Hetが置換され、他のベンゼン環の4番位置に特定の置換基を有する場合、特に他の箇所に置換された場合よりcurrent densityが良くて駆動電圧が低く、tripletエネルギーも高い特徴を有することを確認することができた。ジベンゾフランの一方のベンゼン環の3番位置にN-Hetが置換され、他のベンゼン環の1番位置に特定の置換基を有する場合、特に他の箇所に置換された場合よりTdが低くて熱安定性に優れ、有機発光素子の寿命特性に特に優れた特徴を有することを確認することができた。
【0230】
また、前記表6および7の結果をみると、化学式1の化合物および化学式2の化合物を同時に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキサイプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0231】
前記エキサイプレックス(exciplex)現象は、2つの分子間の電子交換によりdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)のLUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2つの分子間のエキサイプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これによって蛍光の内部量子効率が100%まで上昇できる。正孔輸送能力の良いdonor(p-host)と電子輸送能力の良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして使用される場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を低下させることができ、それによって寿命向上に役立てることができる。本願発明では、donorの役割は前記化学式2の化合物、acceptorの役割は前記化学式1の化合物が発光層のホストとして使用された場合に、優れた素子特性を示すことを確認することができた。
【0232】
前記比較例7、8および9の化合物は、本発明の化合物と置換位置が異なっている場合であり、前記比較例10および11の化合物は、本願の化学式1のジベンゾフランの構造の2つの置換基のうち1つの置換基がない場合で、この場合、発光層で正孔と電子とのバランスが崩れて寿命が低下することを確認することができた。また、前記比較例14の化合物のようにカルバゾールのN部分がジベンゾフランに結合する場合には、正孔の移動がより速くなって寿命が低下することを確認することができた。
【符号の説明】
【0233】
100:基板
200:陽極
300:有機物層
301:正孔注入層
302:正孔輸送層
303:発光層
304:正孔阻止層
305:電子輸送層
306:電子注入層
400:陰極
【国際調査報告】