(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】1つ以上の非線形力学系を人の脳活動と同期させるのに適したブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/372 20210101AFI20221202BHJP
【FI】
A61B5/372
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504528
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2019030295
(87)【国際公開番号】W WO2021019776
(87)【国際公開日】2021-02-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】ルドビコ ミナティ
(72)【発明者】
【氏名】小池 康晴
(72)【発明者】
【氏名】吉村 奈津江
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127FF02
4C127GG15
4C127KK03
4C127KK05
(57)【要約】
ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、通常障害のあるユーザが有用なアクションを行うのを支援するため、脳波等の生理的信号から目的に応じたコマンドを抽出することを目的としている。本発明は、かかるシステムにおいて精度と柔軟性を向上させるものである。記録された信号は、直接処理されるのではなく、それらの信号によって駆動される1つ又は複数の非線形力学系に供給され、物理的に実現されるか又は数値的にシミュレーションされる。コマンドは、記録された信号から直接ではなく、これらのシステムの時間的な活動から抽出される。システムの種類、パラメータ及び結合方式を洞察的に選択することによって、このアプローチは、コマンドデコーディングに関連する生理的活動の特徴を明らかにし、強めることができ、他の全てを、最先端技術に基づいて可能であるものを越えて減衰させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・人(2)に適用でき、前記人(2)の脳活動に関連する少なくとも1つの生理的信号を取得する手段(4、34)と、
・前記生理的信号を増幅する手段(5、35)と、
・前記増幅された信号をフィルタリングする手段(6、36)と、
・前記フィルタリングされた信号から、前記人(2)の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出する手段(13)と、
・前記抽出手段(13)から抽出された前記特徴の少なくとも1つの数値分類器(14)と
を有し、
前記分類器(14)が、前記抽出手段(13)から抽出された前記特徴から、想像上のアクションを含む前記人(2)の脳の状態を認識するように学習されており、
前記分類器(14)が、前記想像上のアクションからなる脳の状態を認識した際に、物理的なアクションの少なくとも1つの実行コマンドを発するのに適しているブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
さらに、
・前記フィルタリングされた信号を処理し、処理された信号(30)を前記抽出手段(13)に送るための少なくとも1つの非線形力学系(8)
を有し、
前記抽出手段(13)が、前記非線形力学系(8)によって処理された後の前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記非線形力学系(8)が、少なくとも2つの微分方程式(9)を含んでおり、
前記方程式(9)の各々が、変数の時間パターンを、前記変数及び/又は前記方程式(9)の別の式にも含まれる少なくとも別の変数の関数として規定し、前記方程式(9)の各々が前記方程式(9)の少なくとも別の式と相互依存するようにし、
前記フィルタリングされた信号が、前記方程式(9)の前記変数の少なくとも1つに対応し、
前記方程式(9)の少なくとも1つが、前記フィルタリングされた信号に対応する前記変数を第1の係数(k、k
i)で乗算して構成され、
前記方程式(9)のそれぞれが、前記フィルタリングされた信号に対応しない前記変数の少なくとも1つを、第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)で乗算して構成され、
処理され、前記抽出手段(13)に送られる前記信号(30)が、前記方程式(9)の前記変数の1つ以上に対応し、
さらに、
・前記第1の係数(k、k
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶する第1のメモリ(10)と、
・前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)の各々について、当該第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶する第2のメモリ(11)と
を有し、
前記第1の係数(k、k
i)の値及び前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値は、前記非線形力学系(8)が、前記抽出手段(13)に送られた前記信号(30)において、前記人の脳の状態を分類する目的に関連する前記特徴の1つ以上を明らかにし及び/又は強化するようにして、前記フィルタリングされた信号を処理するようになっていること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記人(2)の脳活動に関連する複数の生理的信号をそれぞれ取得する複数の前記取得手段(34)と、
・前記複数の生理的信号をそれぞれ増幅する複数の前記増幅手段(35)と、
・前記増幅された信号をそれぞれフィルタリングする複数の前記フィルタリング手段(36)と、
・前記フィルタリングされた信号をそれぞれ処理し、処理された信号を前記抽出手段(13)に送るための、複数の前記非線形力学系(8)からなる非線形力学ネットワーク(38)と
を有し、
前記抽出手段(13)が、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)が、変数の時間経過を
- 前記変数
及び/又は
- 前記非線形力学系(8)の別の方程式(9)に含まれる少なくとも1つの他の変数
及び/又は
-前記ネットワーク(38)の各線形力学系(8)が、前記ネットワーク(38)の少なくとも1つの他の非線形力学系(8)と相互依存しているようにして前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つにも含まれる少なくとも1つの他の変数
の関数として時間経過を指定する少なくとも1つの微分方程式(9)を含み、
前記フィルタリングされた信号の各々が、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の前記変数の少なくとも1つに対応し、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において
- 前記方程式(9)の少なくとも1つが、前記フィルタリングされた信号の1つに前記第1の係数(k
i)を乗算したものに対応する前記変数を備え、
- 前記方程式(9)の各々が、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つに含まれてなく、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)を乗算した前記変数の少なくとも1つを備え、
- 前記方程式(9)の少なくとも1つが、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つに含まれており、第3の係数(g
i、j)を乗算した前記変数の少なくとも1つを備え、
- 前記第1のメモリ(10)が、前記第1の係数(k
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
- 前記第2のメモリ(11)が、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれについて、当該第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
前記抽出手段(13)に送られる前記信号が、前記方程式(9)の前記変数に対応し、
さらに、
・前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれについて、当該第3の係数(g
i、j)により想定される少なくとも1つの値を記憶する第3のメモリ(39)
を有し、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)について、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値が、前記抽出手段(13)に送られた前記信号において、その人の脳の状態の分類に関連する前記特徴のうち1つ以上が明らかにされる及び/又は強化されるようにして、前記フィルタリングされた信号を前記非線形力学系(8)で処理するようになっていること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記抽出手段(13)は、
・前記非線形力学系(8)で処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
だけでなく
・前記非線形力学系(8)によって処理されていない前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されずにフィルタリングされた前記信号から、
前記特徴を抽出する手段であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
・非線形変換器(7)を有し、
前記非線形変換器(7)が、
- ダイナミクスの特定範囲を強調するように前記フィルタリングされた信号を変換し、そして
- 変換された信号(20)を前記非線形力学系(8)へ送るために設けられ、
前記非線形力学系(8)が前記非線形変換器(7)によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのに適し、
又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には
・複数の非線形変換器(37)を有し、
前記複数の非線形変換器(37)が、
- 前記信号のダイナミクスの特定範囲を強調するように、前記フィルタリングされた信号を変換し、そして
- 変換された信号を、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)に送るために設けられ、
前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)が、前記非線形変換(37)によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記抽出手段(13)が、前記特徴を
・前記非線形力学系(8)で処理された後の前記変換された信号(20)から、
又は
・前記線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記変換された信号から、
だけでなく
・前記非線形力学系(8)によって処理されていない前記変換された信号(20)から、
又は
前記線形力学系(8)が複数の場合、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)からの前記変換されたが処理されていない信号から
抽出するだけでないこと
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項6】
請求項2に記載の、又は請求項2に依存する請求項3に記載の、又は請求項2に依存する請求項4に記載の、又は請求項5に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号を入力として受信し、
・前記入力信号の各々が、受信した前記入力信号の他の各々とどの程度同期しているかを評価し、
・前記入力信号に関する第1の同期マトリクスを発生する
第1の評価手段(40)を有し、
前記抽出手段(13)が、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号から、前記第1の同期マトリクスに挿入された前記特徴を抽出する手段であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記フィルタリングされ、そして前記非線形変換器(37)が存在する場合には変換されるが、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されていない信号を入力として受信し、
・前記入力信号の各々が、受信した前記入力信号の他の各々とどの程度同期しているかを評価し、
・前記受信した入力信号に関する第2の同期マトリクスを発生する
第2の評価手段(41)を有し、
前記抽出手段(13)は、前記第1の同期マトリクスに挿入された前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号からだけでなく、前記フィルタリングされた信号や、前記非線形変換器(37)が存在する場合には変換される可能性があるが、前記第2の同期マトリクスに挿入された前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されていない信号からも、前記特徴を抽出する手段であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムであって、前記抽出手段(13)は、
・前記第1の同期マトリクスに挿入された、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号から、
及び
・前記フィルタリングされ、前記非線形変換器(37)が存在する場合には変換されたが、前記第2の同期マトリクスに挿入された前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されていない信号から
だけでなく
・非線形変換器(37)が存在するが、前記第2の同期マトリクスに挿入された前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されていない信号から、
及び/又は
・前記フィルタリングされ、そして前記非線形変換器(37)が存在する場合には前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されておらず、前記第2の評価手段(41)によって評価されていない変換された信号から
前記特徴を抽出する手段であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項9】
請求項2に記載の、又は請求項2に依存する請求項3に記載の、又は請求項2に依存する請求項4に記載の、又は請求項4が請求項2に依存する場合の請求項5に記載の、又は請求項2に依存する請求項6に記載の、又は請求項6が請求項2に依存する場合の請求項7に記載の、又は請求項6が請求項2に依存する場合の請求項8に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムであって、
前記複数の取得手段が、脳波記録用の複数の電極から成り、
さらに、前記フィルタリングされた信号から、前記電極が前記人の大脳皮質に配置された場合に取得されるであろう複数の生理的信号を再構成するのに適した少なくとも1つの空間フィルタを含むフィルタリング手段を有し、
前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)が、それぞれ、前記空間フィルタによって処理された後の前記フィルタリングされ、前記非線形変換器(37)が存在する場合には、任意に変換される信号を処理するのに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)、又は前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の少なくとも1つの非線形力学系(8)が、少なくとも3つの前記方程式(9)を含むこと
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記方程式(9)を備える前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の係数(k、k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)の値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)の値は、前記非線形力学系(8)、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記方程式(9)を備える前記ネットワーク(38)の前記非線形力学系(8)のうちの少なくとも1つが、カオス性の挙動を有するような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数(k、k
i)の値、 前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)の値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)の値は、前記非線形力学系(8)において、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の前記非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、創発現象が生じるような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数の値(k、 k
i)、前記第2の係数の値(a、b、c、a
i、b
i、c
i)、及び存在する場合には、前記第3の係数の値(g
i、j)は、前記非線形力学系、又は前記線形力学系が複数の場合には、前記ネットワークの非線形力学系のうちの前記少なくとも1つの非線形力学系が固有のダイナミクスを有するような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
・前記分類器(14)から前記コマンドを受け取り、前記物理的アクションを実行するマシン(3)と、
・前記非線形力学系(8)において、又は前記線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記第1の係数(k、k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を更新するための監視ユニット(16)と
を有すること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1)であつて、
前記想像上のアクションと前記物理的なアクションとの間の対応関係の適切な評価を前記監視ユニット(16)に伝達するために、ユーザ(2)によって操作可能なフィードバック手段(15)を有し、
前記監視ユニット(16)は、
・入力として
- 前記フィルタリングされ、そして前記非線形変換器(7)が存在する場合には、前記線形力学系(8)で処理されず変換(20)される可能性がある信号を
又は、
前記線形力学系(8)が複数の場合には
-前記フィルタリングされ、前記非線形変換器(37)が存在する場合には、変換されるが、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されてなく、また、存在する場合には、前記第2の評価手段(41)によって評価されていない信号を受け取り、
・前記非線形力学系(8)において、又は、線形力学系(8)が複数の場合には前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記ユーザ(2)から伝達された評価にしたがって、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記人(2)の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号を取得するために、前記人(2)に適用可能なさらなる取得手段(42)と、
・前記マシン(3)による前記物理的アクションの実行を検出するための、前記マシン(3)の監視手段(43)と
を有し、
前記監視ユニット(16)は、
・前記更なる生理的信号の検査から、前記想像上のアクションと前記物理的アクションとの間の対応関係を評価し、そして
・前記非線形力学系(8)において、又は前記線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を、前記監視ユニット(16)によって行われた評価に従って更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記監視ユニット(16)が、
・入力としてまた
- 前記非線形力学システム(8)によって処理された前記信号
又は
-前記線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号を
受信し、
そして、
・前記非線形力学系(8)において、又は前記線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の各々において、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合は、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を、前記非線形力学系(8)によって処理された前記信号の関数として、又は、前記線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号の関数として、更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂「ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム」又は「ブレイン・マシンインタフェースシステム」、即ち、人の脳活動に関連した生理的信号(脳波や近赤外線分光信号のような)を入力として受信し、前記信号を処理してそれら信号から他の作動デバイス(例えばロボットアーム)のための1つ以上のコマンドを抽出するのに適したシステムの分野に応用される。
【0002】
この種のシステムは、典型的には運動障害及び/又はコミュニケーション障害をもつ人々が外部と交流するのを支援するのに用いられる。特に、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、適切なデバイスと組み合わせることで、これらの人々が、さもなければ(例えば脳や脊髄の損傷のために)排除されるであろう1つ以上のアクションを実行することで、それらの運動及び/又はコミュニケーションの限界を少なくとも部分的に克服することができる。
【0003】
またこの種のシステムは、車両を運転している人の突然の眠気の始まりを検出するために、車両を運転している人の注意力と反応性のレベルを決定するためにも用いることができる。
【背景技術】
【0004】
現在のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムには、まず、脳波計の電極のような人の脳活動に関連する生理的信号を取得するのに適した1つ以上のデバイスが含まれる。脳波信号は増幅され、適切にフィルタリングされた後、適切な抽出器に送られ、生理的信号を取得した人の脳の状態の分類に関連する同じ特性から抽出するようにされる。前記特性は、例えば、ある特定の周波数帯における振幅等の単変量パラメータ及び/又は2つの信号間の同期性のような二変量パラメータで構成され得る。前述の抽出器によって抽出される特徴は、特定の「想像上の」アクション、即ち、システムの適用される人が思いついたアクションからなる脳の状態を認識するように予め訓練された数値分類器(通常はニューラルネットワーク)に入力される。分類器が前述の想像上のアクションからなる脳の状態を認識すると、前記想像上のアクションに対応した(即ち、「具体化する」)「物理的な」アクションを実行するコマンドを発生する。このコマンドは、前述の物理的アクション(情報の伝達のみでも良い)を効果的に実行するために適当な作動デバイスに送られる。
【0005】
公知のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、応答時間が相対的に長く、即ち、人は、分類器が学習して認識できるように(そして対応する物理的アクションを実行するコマンドを発生できるようにするために)、(想像上の)アクションについて長い時間考えなければならない。これに加えて、認識の精度はあまりにも低いままである。
【発明の目的】
【0006】
本発明の目的は、同種の公知のシステムより高速でそしてより正確なブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムを指し示すことにより前述の欠点を解決することにある。
【発明の概要及び効果】
【0007】
本発明の目的は、
・前記人の脳の活動に関連する少なくとも1つの生理的信号を取得するため人に適用可能な手段である。例として脳波測定用の少なくとも1つの電極又は近赤外分光法のオプトード(「NIRS」として良く知られている)を含む取得手段と、
・(前記取得手段から取得した)前記生理的信号を増幅する増幅手段と、
・(前記増幅手段からの)前記増幅した信号をフィルタリングし、好ましくはバンドパス・フィルタを備えたフィルタリング手段と、
・(前記フィルタリング手段からの)前記フィルタリングされた信号から、(生理的信号を取得された)前記人の脳の状態の分類に関連した特徴を抽出する抽出手段と、
・前記抽出手段から抽出された前記特徴の少なくとも1つの数値分類器(好ましくは、ニューラルネットワーク)と、
を有し、
前記数値分類器が、前記抽出手段から抽出された前記特徴から想像上のアクションを含む前記人の脳の状態を認識するように訓練され(即ち、前記特徴が抽出された生理的信号に関連する脳の活動における後者の存在を認識するか否かのため、前記人の脳の状態が前記想像上のアクションを含んでいるか否かを確立するために前記特徴を調べるのに適している)、
前記数値分類器が、前記想像上のアクションを含む脳の状態を認識した際に、例えば前記想像上のアクションに対応する(即ち、「具体化する」)物理的アクションの少なくとも1つの実行コマンドを発生するのに適している、
ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムにある。
【0008】
便宜上、本発明のこの説明及び以下の説明において、「想像上のアクション」という文言は、取得手段の適用された人が考えたアクションだけでなく、この人の心で実行され、そして、例えば突然の眠気として分類できる覚醒状態から睡眠状態へ突然移行するアクションも意味する。この場合、数値分類器が実行コマンドを発生する物理的なアクションは、想像上のアクションの具体的なアクションではなく、例えば当該人を起こす(覚醒状態に戻す)のに適した警報音信号を発生することである。
【0009】
本発明によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムはまた、
・前記フィルタリングされた信号を処理し、処理された信号を前記抽出手段に送る少なくとも1つの非線形力学システム
を有し、
前記抽出手段が前記非線形力学システムによって処理された後に、前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記非線形力学システムが少なくとも2つの微分方程式を備え、
前記微分方程式の各々が、変数の時間経過を、該変数及び/又は前記微分方程式の別のものに含まれる少なくとも別の変数の関数として特定して、前記微分方程式の各々が前記微分方程式の少なくとも1つと相互依存するようにされ、また、
(前記非線形力学システムによって入力として受信した)前記フィルタリングされた信号が前記微分方程式の前記変数の少なくとも1つに対応し、
前記微分方程式の少なくとも1つが、(脳の活動と非線形力学システムとの間の結合の)第1の係数を乗じた前記フィルタリングされた信号に対応した前記変数を備え、
前記微分方程式の各々が、(前記非線形力学システムの変数間の結合の)第2の係数を乗じた前記フィルタリングされた信号に対応しない前記変数の少なくとも1つを備え、
前記方程式の1つ以上の前記変数に応じて前記信号が処理され抽出手段に送られ、また、
・前記第1の係数で仮定した少なくとも1つの値を記憶する第1のメモリと、
・前記第2の係数の各々について、前記第2の係数で仮定した少なくとも1つの値を記憶する第2のメモリと、
を有し、
前記第1の係数の値及び前記第2の係数各々の値は、前記非線形力学システムが、
・好ましくは固有の力学系を有し(即ち、自発的な活動を発生し)、そして、
・前記抽出手段に送られた前記信号において、前記人の脳の状態の分類に関連した前記特徴の1つ以上を明らかにし及び/又は強めるようにして前記フィルタリングされた信号を処理する、
ことを特徴とする。
【0010】
非線形力学系は、互いに通信すると、互いに同期する傾向がある。2つの非線形力学系が互いに同期している場合、相互に関連した出力信号を発生する。脳の活動は、幾つかの点で、非線形力学系の挙動と同様であるので、発明の対象であるブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムの非線形力学系は、脳に取得手段が適用される人の脳の活動と同期する傾向があり、こうして本発明のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムの非線形力学系からの信号は、取得手段によって取得された生理的信号と相関する。
【0011】
適切にフィルタリングされ、そして増幅された生理的信号は、非線形力学系の固有の力学を克服することなく前記系の挙動に影響を与えるように十分な強さで非線形力学系に注入される。前記第1の係数の値及び前記第2の各係数の値は、抽出手段に入る非線形力学系からの出力信号が、数値分類器の作業を容易にするために、入力信号の特定の特性を区別するのを「助ける」ように選択される。
【0012】
因みに、非線形力学系には、少なくとも2つの微分方程式を含まねばならない。1つしか含まれていなければ、振動することができない、つまり、本質的なダイナミクスを持たないからである。換言すると、このシステムは自発的な活動をしないということである。
【0013】
因みに、非線形力学系は、数値的又は電子的に実現可能である。この第2のケースでは、システムの微分方程式の変数は、回路の量(即ち、電圧と電流)に対応する。
【0014】
例えば、複数のインバータリングを組み合わせることにより、非線形で無秩序な動的システムを集積回路の形で構築できることは知られている。有利には、この応用の場合、インバータリングの電流を変化させることにより、振動の動的特性を容易に制御することができ、脳波の痕跡に質的に非常に似た信号を生成することができる(L. Minati、 M. Frasca、 N. Yoshimura、 L. Ricci、 P. O?wiecimka、 Y. Koike、 K. Masu、 H. Ito、 Current-Starved Cross-Coupled CMOS Inverter Rings as Versatile Generators of Chaotic and Neural-Like Dynamics Over Multiple Frequency Decades、IEEE Access 7(2019) 54638-54657)。
【0015】
非線形力学系は十分に知られている。より正確には、外部システムによる非線形力学系の同期の概念は確立されている(例えば、S. Boccaletti、 The synchronization of chaotic systems、 Phys. Rep. 366 (2002)、 1-101)。同様に、脳波等の生理的信号の非線形性やカオス性も良く知られている。(例えば、C.J. Stam、 Nonlinear dynamical analysis of EEG and MEG: review of an emerging field、 Clin Neurophysiol. 116(205)、 2266-301)しかし、我々の知る限り、人工的な非線形力学系やネットワークを生理的信号に同期させるという概念は、特にリアルタイムでは全く新しいものであり、学術文献や特許文献にも見当たらない。
【0016】
例えば、米国特許文献 2007 0213786 A1には、脳波のリアルタイム分析に基づいて、てんかん発作を防止するための閉ループシステムが記載されている。非線形力学や同期の概念が含まれているにもかかわらず、測定された信号を人工的な非線形力学系やネットワークに同期させるという基本的な概念をまったく欠いている。それどころか、本発明の中心的な概念とは対照的に、測定された信号から線形及び非線形の特徴が明示的に抽出されている。
【0017】
同様のシステムを記載している米国特許文献2010 0198098 A1にも同様の議論が当てはまる。この場合も、非線形力学は、測定信号の特徴を測定する方法に関してのみ記載されている。測定された信号を人工的な非線形力学系又はネットワークに同期させるというアイデアには一切言及されていない。
【0018】
WO 2011 123059 A1には、脳波と想像上の動きに基づくブレイン・コンピュータ・インタフェースが記載されている。この場合も、非線形性は非線形回帰の文脈でしか言及されていない。測定された信号を人工的な非線形力学系又はネットワークに同期させるというアイデアには一切言及されていない。
【0019】
最後に、米国特許文献 2010 0292752 A1には、神経性信号を分析及び生成するためのシステム及び方法が提示されている。本発明は、信号の位相と振幅を分離し、所謂動的モードへの分解を行うという概念に基づいている。ここでも、測定された信号を人工的な非線形力学系やネットワークに同期させるという考え方には言及されていない。
【0020】
本発明の他の画期的な特徴は、以下の説明に例示され、従属請求項において参照される。
【0021】
本発明の一態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記人の脳活動に関連する複数の生理的信号をそれぞれ取得する複数の前記取得手段と、
・(それぞれ前記複数の取得手段によって取得された)前記複数の生理的信号をそれぞれ増幅する複数の前記増幅手段と、
・(それぞれ前記複数の増幅手段からの)前記増幅された信号をそれぞれフィルタリングする複数の前記フィルタリング手段と、
・それぞれ前記フィルタリングされた信号を処理し、処理された信号を前記抽出手段に送る複数の前記非線形力学系からなる非線形力学ネットワーク(即ち、前記ネットワークの各非線形力学系は、それぞれのフィルタリングされた信号を入力として受け、それを処理し、処理された信号を前記抽出手段に送るのに適している。換言すると、前記複数のフィルタリング手段の1つによってフィルタリングされた各信号は、前記ネットワークのそれぞれの非線形力学系に入力として送られる)と、
を有し、
前記抽出手段は、前記ネットワークの非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記ネットワークの各非線形力学系は、
変数の時間経過を関数として指定する少なくとも1つの微分方程式を含み、
-前記変数
及び/又は
-前記系の別の前記微分方程式に含まれる、少なくとも1つの他の変数
及び/又は
-前記ネットワークの他の非線形力学系の前記微分方程式の1つに含まれる少なくとも1つの他の変数を含み、
前記ネットワークの各線形力学系が、前記ネットワークの少なくとも1つの他の非線形力学系と相互依存するようにされ、
(前記複数の非線形力学系が入力として受けた)前記フィルタリングされた信号のそれぞれは、前記ネットワークの非線形力学系の前記微分方程式の前記変数の少なくとも1つに対応しており、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記微分方程式の少なくとも1つは、前記第1の係数を乗じた前記フィルタリングされた信号の1つに対応する前記変数からなり、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記フィルタリングされた信号の1つに対応していなく、且つ、前記ネットワークの他の非線形力学系の前記微分方程式の1つに含まれていなく、前記第2の係数を乗じた前記変数の少なくとも1つからなり、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記微分方程式の少なくとも1つは、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、且つ、前記ネットワークの別の非線形力学系の前記微分方程式の1つにも含まれている前記変数の少なくとも1つからなり、(前記ネットワークの非線形力学系間の相互結合の)第3の係数を乗じたものであり、
前記抽出手段に送られる前記信号は、前記線形方程式の前記変数に対応し、
前記ネットワークの各非線形力学系について、
-前記第1のメモリは、前記第1の係数により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
-前記第2のメモリは、前記第2の係数のそれぞれについて、前記第2の係数により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適し、
また、
・前記第3の係数の各々について、前記第3の係数が仮定する少なくとも1つの値を記憶するための第3のメモリ
を有し、
前記ネットワークの各非線形力学系について、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値及び前記第3の係数のそれぞれの値は、前記非線形力学系が
・好ましくは、本質的なダイナミクスを有し、
そして
・前記抽出手段に送られた前記信号において、前記人の脳の状態の分類に関連する1つ以上の前記特徴が明らかにされるか、又は強められるように、前記フィルタリングされた信号を処理する
ことを特徴とする。
【0022】
本発明のこの態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、複数の非線形力学系を備え、各非線形力学系は、有利には、前記非線形力学系の少なくとも別のものと結合されている。換言すると、非線形力学系は、相互に作用する、即ち、相互に同期するレベルを有している。この結果、非線形力学系から出てきて抽出手段に入る信号は、後者が入力信号の特定の特徴を区別するのに一層役立ち、数値分類器のタスクを容易にする。
【0023】
因みに、カップリングの強度が増すにつれ、前述の同期は、最初は位相変動のコヒーレンスの形で現れ、最終的には振幅変動のオーバラップの形でも現れる。一例として、この現象の始まりは、生体学的信号や非線形システムからくる信号において、「位相歪同期」として知られる指標を通じて特に有利な方法で定量化することができる(L. Minati、 N. Yoshimura、 M. Frasca、 S. Dro?d?、 Y. Koike、 Warped phase coherence: An empirical synchronization measure combining phase and amplitude information、 Chaos 29(2019)、 021102)。
【0024】
一例として、脳の活動から記録された信号をリアルタイムに解析することからスタートするロボットアームを制御するために、ニューラルネットワーク(多層パーセプトロン)形式の数値分類器に基づくブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムを適用することが知られている(L. Minati、 A. Nigri、 C. Rosazza、 M.G. Bruzzone、 Thoughts turned into high-level commands: Proof-of-concept study of a vision-guided robot arm driven by functional MRI (fMRI) signals、 Med Eng Phys. 34(2012)、 650-8)。
【0025】
同様に、ニューラルネットワークではなく、脳の活動からの特定の特徴の抽出に基づく一連の関係と動作ルールを含むハイブリッドコントローラからなる分類器に基づくブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムの同様の応用例が知られている(L. Minati、 N. Yoshimura、 Y. Koike、 Hybrid Control of a Vision-Guided Robot Arm by EOG、 EMG、 EEG Biosignals and Head Movement Acquired via a Consumer-Grade Wearable Device、 IEEE Access 4(2016)、 9528-9541)。
【0026】
本発明の一態様によれば、前記抽出手段は、
・前記非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた複数の信号から、だけでなく
・前記非線形力学系で処理されずにフィルタリングされた前記信号から
又は
・前記線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの非線形力学系で処理されずにフィルタリングされた前記複数の信号から
の前記特徴を抽出する手段である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・非線形変換器(例えば、シグモイド関数)を有し、
前記非線形変換器が、
-前記信号のダイナミクスの特定の間隔を明らかにし、及び/又は強化するように、前記フィルタリングされた信号を変換するため(ブレイン・コンピュータ・インタフェーシングの目的に最も関連する信号コンポーネント、例えば、ゼロ-クロスイベントを強調するように)、及び
-前記非線形変換器によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのに適している前記非線形力学系に変換された信号を送るため
に設けられ、
又は、前記線形力学系が複数の場合には、
・複数の非線形変換器(例えば、シグモイド関数)を有し、
前記複数の非線形変換器がそれぞれ
-前記フィルタリングされた信号を変換して、前記信号のダイナミクスの特定の間隔を明らかにし、及び/又は強化するように(例えば、ゼロ-クロスイベント等、ブレイン・コンピュータ・インタフェーシングの目的に最も関連する信号成分を強調するように)、及び
-変換された信号を、前記ネットワークの非線形力学系に送るため
に設けられ、
前記ネットワークの非線形力学系は、前記非線形変換器によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適している。
【0028】
本発明の別の態様によれば、前記抽出手段は、
・前記非線形力学系で処理された後の前記変換された信号から
又は
・前記線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの複数の非線形力学系によって処理された後の前記複数の変換信号から
だけでなく
・前記非線形力学系で処理されずに変換された前記信号から
又は
・前記線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの複数の非線形力学系から処理されずに変換された前記複数の信号から
の前記特徴を抽出する手段である。
【0029】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、第1の評価手段を有し、
前記第1の評価手段が、
・前記ネットワークの非線形力学系で処理された前記信号を受信するため、
・前記入力信号の各々が、受信した前記入力信号の他の各々とどの程度同期しているかを評価するため、及び
・前記入力されて受け取った信号に関する第1の同期マトリクス(より一般的には統計的相互依存関係)を発生するため
に設けられ、
前記抽出手段は、前記第1の同期マトリクスに挿入された(即ち、前記第1の評価手段によって評価された後の)前記ネットワークの非線形力学系によって処理された前記信号から前記特徴を抽出する手段である。
【0030】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、第2の評価手段を有し、
前記第2の評価手段が
・前記非線形変換器が存在するが、前記ネットワークの非線形力学系によって処理されていない場合に、前記フィルタリングされ、場合により変換された信号を入力として受信するため、
・前記入力信号の各々が、受信した前記入力信号の他の各々とどの程度同期しているかを評価するため、及び
・前記受信した入力信号に関する第2の同期マトリクスを発生するため
に設けられ、
前記抽出手段は、前記第1の同期マトリクスに挿入された前記ネットワークの非線形力学系によって処理された前記信号だけでなく、前記第2の同期マトリクスに挿入された前記ネットワークの非線形力学系によって処理されていないが、前記非線形変換器が存在する場合にはフィルタリングされ、場合により変換された前記信号からも、前記特徴を抽出する手段である。
【0031】
本発明の別の態様によれば、前記抽出手段は、
・前記第1同期マトリクスに挿入された、前記ネットワークの非線形力学系によって処理された前記信号から、及び
・前記第2同期マトリクスに挿入された前記ネットワークの非線形力学系によって処理されていないが、前記非線形変換器が存在する場合には、前記フィルタリングされ、場合により変換された信号から、
だけでなく、
・前記ネットワークの非線形力学系によって処理されたが、前記第1の評価手段によって評価されていない前記信号から、
及び/又は
・前記ネットワークの非線形力学系によって処理されず、前記第2の評価手段によって評価もされていないが、前記非線形変換器が存在する場合には、前記フィルタリングされ、場合により変換された信号から、
前記特徴を抽出する手段である。
【0032】
本発明の別の態様によれば、前記線形力学系が1つ以上である場合において、前記複数の取得手段は、脳波記録のための複数の電極を有し、
前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、前記フィルタリングされた信号から、前記電極が前記人の大脳皮質に配置された場合に取得されるであろう複数の生理的信号を再構築するのに適した少なくとも1つの空間フィルタを含む別のフィルタリング手段を有し、
前記ネットワークの非線形力学系は、前記空間フィルタで処理された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適しており、そして前記非線形変換器が存在する場合にはおそらく変換される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、前記非線形力学系、又は、前記線形力学系が1つ以上である場合の前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つは、少なくとも3つの前記微分方程式からなる。
【0034】
ところで、非線形力学系が少なくとも3つの微分方程式を含む場合は、所謂カオス的な振る舞いをする可能性がある。非線形力学系は、前記系に含まれる微分方程式に関連するパラメータが僅かに変化するだけで大幅に変化する可能性がある場合にカオス的な振る舞いをするが、出力信号はノイズとして分類される。非線形力学系がカオス的な振る舞いをする場合、その系は相転移を示すことができる、つまり、その系は非常に幅広い動作のレパートリーへの手段を有する。
【0035】
非線形力学系がカオス的な振る舞いをするという事実は知られている。したがって、これ以上の詳細を提供することにこだわるつもりはない。
【0036】
本発明の別の態様によれば、少なくとも3つの前記微分方程式からなる前記ネットワークの前記非線形力学系、又は、1つ以上の前記線形力学系において、前記線形力学系が1つ以上である場合には、前記第1の係数の値、前記第2の係数の値、及び存在する場合には前記第3の係数の値は、これらの線形力学系が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記微分方程式からなる前記非線形力学系、又は、前記1つ以上の非線形力学系がカオス的な振る舞いをするようなものである。
【0037】
非線形力学系が少なくとも3つの微分方程式を含む場合、非線形力学系がカオス的な振る舞いをするように、そのパラメータを選択することが有利な場合がある。公知のように、脳の活動は、特定の態様において、非線形力学系の挙動に似ていることに加えて、カオス的な要素を有し得る。したがって、本発明のこの態様によれば、非線形力学系又は複数の非線形力学系のネットワークと、取得手段が適用される人の脳の活動との間の同期性はさらに向上する。
【0038】
本発明の別の態様によれば、前記非線形力学系、又は、前記線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数の値、前記第2の係数の値、及び、存在する場合には前記第3の係数の値は、前記非線形力学系、又は、前記線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つにおいて、創発現象が顕在化するようなものである。
【0039】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記デジタル分類器からの前記コマンドを受信し、例えば前記想像上のアクションに対応する前記物理的アクション(前記数値分類器が学習された認識時の前記人の脳の状態で構成される)を実行するマシン、
・前記非線形力学系、又は前記線形力学系が複数の場合、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記第1の係数の値、前記第2の係数の各々の値、及び存在する場合には、前記第3の係数の各々の値を更新する監視ユニット
を有する。
【0040】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、前記想像上のアクションと(前記マシンによって実行される)前記物理的なアクションとの間の対応関係についての自身の評価を前記監視ユニットに伝達するために、ユーザ(前記獲得手段が適用される人であり得る)によって操作可能なフィードバック手段を有し、
前記監視ユニットは、
・入力として、
-前記フィルタリングされた信号であって、前記非線形変換器が存在する場合には、変換される可能性があるが、前記非線形力学系によって処理されない信号
又は、
前記線形力学系が複数の場合には、
-前記非線形変換器は存在するが、前記ネットワークの非線形力学系によって処理されず、存在する場合には前記第2の評価手段によって評価されない場合には、前記フィルタリングされ、場合により変換された信号
を受信し、
・前記非線形力学系、又は、前記線形力学系が複数の場合は、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記第1の係数の値、前記第2の係数の各々の値、及び、存在する場合は前記第3の係数の各々の値を、前記ユーザによって伝えられた評価に従って更新する
のに適している。
【0041】
本発明の別の態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記人の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号(例えば、心拍等)を取得するための、前記人に適用可能な別の取得手段と、
・前記マシンによる前記物理的アクションの実行を検出するために、前記マシンを監視する手段と
を有し、
前記監視ユニットは、
・前記更なる生理的信号の検査から、前記想像上のアクションと前記物理的アクションとの間の対応関係を評価し、
・前記非線形力学系、又は前記線形力学系が1つ以上である場合には前記ネットワークの各非線形力学系において、前記監視ユニットによって行われた評価に従って、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値、及び存在する場合には前記第3の係数のそれぞれの値を更新する
のに適している。
【0042】
監視ユニットが行う評価は間接的なものであり、ユーザ(即ち、取得手段が適用される人)による感情的な反応、特にフラストレーションの認識に基づいている。一例として、誤った操作を行った場合には、一過性の心拍の加速と皮膚コンダクタンスの増加が予想される。
【0043】
本発明の別の態様によれば、前記監視ユニットは以下のために適している。
・入力として
- 前記非線形力学系によって処理された前記信号
又は
-前記線形力学系が1つ以上である場合、前記ネットワークの非線形力学系によって処理された前記信号
を受信し、
・前記非線形力学系、又は前記線形力学系が複数の場合は、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記非線形力学系で処理された前記信号、又は前記線形力学系が複数の場合は前記ネットワークの非線形力学系で処理された前記信号の関数として、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値、及び存在する場合は前記第3の係数のそれぞれの値を更新する
のに適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のさらなる目的及び利点は、その例示的な実施形態について以下に記載した詳細な説明、及び単に非限定的な例として与えられた添付図面から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明によるブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムが適用される人が取得した脳波信号を示すグラフである。
【
図3】
図3は、
図2の信号の周波数スペクトルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、
図2の信号と前記非線形力学系との間に実質的に結合がない場合に、
図1のシステムの一部を構成する非線形力学系によって処理される
図2の信号を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図4の信号の周波数スペクトルを示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図2の信号と前記非線形力学系との間に、ゼロではないが前記非線形力学系の自発的な活動を圧倒するほどではない結合がある場合に、
図1のシステムの一部を構成する非線形力学系によって処理される
図2の信号を示すグラフである。
【
図8】
図8は、
図7の信号の周波数スペクトル示すグラフである。
【
図11】
図11は、
図10のシステムの適用された人が取得した21個の脳波信号の平均同期値を要素とする2次元マトリクスを示すグラフである。
【
図12】
図12は、
図11のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素とする2次元マトリクスを示すグラフである。
【
図13】
図13は、
図10のシステムに含まれる動的非線形ネットワークの一部を構成する21個の非線形力学系によってそれぞれ処理された、
図11のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の平均同期値を要素で表した2次元マトリクスであり、前記ネットワークの前記非線形力学系間に実質的な結合がない場合のものであるグラフである。
【
図14】
図14は、
図13のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素とする2次元のアレイを示すグラフである。
【
図15】
図15は、
図11のマトリクスが平均同期値を表す21個の信号間の平均同期値を表す2次元マトリクスであり、
図10のシステムに含まれる線形力学ネットワークの一部を構成する21個の非線形力学系が、前記ネットワークの前記非線形力学系間にゼロではない結合がある場合に、それぞれ処理されるものであるグラフである。
【
図16】
図16は、
図15のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素が表している2次元アレイを示すグラフである。
【本発明の幾つかの好ましい実施形態の詳細な説明】
【0045】
本明細書の以下の説明において、ある図面には明示されていないが、他の図面にある要素を参照して示されることもある。描かれた異なる要素のスケールや比率は、必ずしも実際のものと一致しない。
【0046】
図1は、人2が考えた、あるいは人の心が行った想像上のアクションを認識し、当該想像上のアクションを認識した上で、マシン3に対して物理的なアクション(当該想像上のアクションを実現する可能性のあるもの)の実行を命令するために、人2に適用されるブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム1を示している。
【0047】
本発明の対象であるシステム1は、人2の脳活動に関連する生理的信号を取得するのに適したデバイスを含んでいる。既に「取得手段」という表現で識別されたこのデバイスは、一例として、脳波用の電極又は近赤外線分光法用のオプトードを含むことができる。脳波計用の電極4(
図1では人2の頭皮に付されている)によって生理的信号が取得されるとすると、当該信号は脳波計の信号に相当する。
【0048】
電極4によって取得された信号は、増幅器5に送られ、この増幅器は、前記信号を増幅することに加えて、デジタル・ドメインに変換することができる。このように増幅された信号は、人2の非関連活動に対応する信号の成分を減衰させるために、好ましくはバンドパス・タイプのフィルタ6に送られる。より正確には、フィルタ6は、低すぎる周波数(人2の運動のアーチファクトであるため)と、高すぎる周波数(人2の筋肉運動のアーチファクトであるため)との両方を減衰させることが好ましい。フィルタリングされた信号は、非線形変換器7(例えば、シグモイド関数)に送られ、その分布を便利良く再形成する。特に、フィルタリングされた信号は、前記信号のダイナミクスの特定範囲を強調するように変換される。つまり、想像上のアクション(例えば、ゼロクロッシングイベント)を含む大脳の状態を認識する目的で、ブレイン・コンピュータのインタフェーシングに最も関連する信号成分を強調するためである。
【0049】
このように変換された信号は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの微分方程式9からなる非線形力学系8に送られる(
図1では、例として、「d1、d2、d3」に等しい数で示されている)。各方程式9は、ある変数の時間経過を、当該変数及び/又は別の方程式9にも含まれる少なくとも別の変数の関数として明記しており、各方程式9が少なくとも別の方程式と相互依存するようになっている。(システム8が入力として受けた)変換された信号は、例えば、文字「s」で識別可能な方程式9の少なくとも1つの変数に対応する。方程式9の少なくとも1つは、前記変数「s」に、例えば文字「k」で識別可能な(人2の脳活動とシステム8との間の結合の)第1の係数を乗じたものである。方程式9の各々は、変換された信号に対応していない(つまり、「s」ではない)少なくとも1つの変数に、(方程式9の変数間、即ち、システム8の変数間の相互結合の)第2の係数を乗じたものをさらに含んでいる。第2の係数は、例えば3つであり、それぞれ文字「a」、「b」、「c」で識別可能である。
【0050】
因みに、疑念を避けるために、変換された信号「s」は、すべての方程式9と同様に、システム8の方程式9の1つ又は複数に入力することができる。これに加えて、ある方程式9は、すべての方程式9と同様に、システム8の他の方程式9の1つ又は複数と相互依存することができる。
【0051】
図1で気付くことができるように、システム1は、係数「k」により想定される少なくとも1つの値を記憶できる第1のメモリ10と、係数「a」、「b」、「c」のそれぞれについて、当該係数「a」、「b」、「c」により想定される少なくとも1つの値を記憶できる第2のメモリ11とを備えている。
【0052】
このように(システム8によって)処理された信号は、処理された信号から、人2の1つの脳の状態の分類に関連する後者の特徴を抽出するのに適した特徴抽出器13(「抽出手段」という表現で先に識別されている)に送られる。因みに、特徴抽出器13に送られる信号は、方程式9の変数の1つ又は複数に対応している。
【0053】
特徴抽出器13は、特徴抽出器13から抽出された前記特徴から、想像上のアクションを含む人2の脳の状態を認識するために予め学習された数値分類器14(好ましくはニューラルネットワークであるが、必ずしもそうでなくても良い)に入力される特徴ベクトルを生成する。換言すると、分類器14は、前記特徴が抽出された生理的信号に関連する脳の活動における後者の存在を認識するか否かを確認するために、(前記特徴に対応する)人2の脳の状態が前記想像上のアクションを含んでいるか否かを確定するために前記特徴を調べるのに適している。
【0054】
分類器14は、前記想像上のアクションを構成する脳の状態を認識すると、例えば前記想像上のアクションを「具体化」する等、物理的なアクションを実行するコマンドを発する。前記コマンドは、好ましくは、前記物理的アクションを実行するのに適したマシン3に送られる(おそらく、分類器14が学習した認識対象の人2の脳の状態で構成される想像上のアクションに対応する)。マシン3は、分類器14から前記コマンドを受け取ると、前記物理的アクションを実行する。マシン3は、例えば、ロボットアームや、メッセージを表示するスクリーン等で構成されている。
例えば、人工視覚システムの誘導により、「赤い物体をつかめ」といった単純な高レベルの命令を受け取り、実行することができるロボットアームが作られていることは知られている(L. Minati、 N. Yoshimura、 Y. Koike、 Hybrid Control of a Vision-Guided Robot Arm by EOG、 EMG、 EEG Biosignals and Head Movement Acquired via a Consumer-Grade Wearable Device、 IEEE Access 4(2016)、 9528-9541)。
【0055】
同様に、パターンジェネレータのおかげで、多重の速度や歩調で歩行できるロボットを作るための方法は知られており、因みに、非線形力学系に基づき、数値分類器の出力に基づいて設定できる変数の制御下に置かれている(L. Minati、 M. Frasca、 N. Yoshimura、 Y. Koike、 Versatile locomotion control of a hexapod robot using a hierarchical network of nonlinear oscillator circuits. IEEE Access 6(2018)、 8042-8065)。
【0056】
同様に、脳の活動によって制御可能な仮想キーボードを映像上に表示し、麻痺した被験者が言葉や文章を表現できるようにする方法も知られている(L.A.Farwell、 E.Donchin、 Talking off the top of your head: toward a mental prosthesis utilizing event-related brain potentials、 Electroencephalogr Clin Neurophysiol 70(1988)、 510-23)。
【0057】
システム8は、システム8が出力する(そして特徴抽出器13に送られる)信号が、電極4によって取得された生理的信号と相関するように、人2の脳活動と同期する傾向がある。係数 「k」の値と、係数 「a」、「b」、「c」の各値は、システム8が
・好ましくは、必ずではないが、内在的なダイナミクスを有する(即ち、自発的な活動を生成する)、
そして
・(システム8が入力として受け取った)信号「s」を、特徴抽出器13に送られる信号において、人2の脳の状態の分類に関連する前記特徴の1つ以上が明らかにされるか、又は強化されるように処理する
ようなものである。
【0058】
換言すると、係数「k」の値と、係数「a」、「b」、「c」のそれぞれの値は、システム8によって出力され、特徴抽出器13に送られた信号が、後者が入力信号の特定の特徴を区別するのを「助ける」ような仕方で選択され、分類器14のタスクを容易にする。
【0059】
例示に過ぎないが、2つの微分方程式からなる最初の既知の非線形力学系は、以下の形式を有するStuart-Landau系である。
dx(t)/dt=α・x(t)-ω・y(t)-x(t)・(x(t)2+y(t)2)
dy(t)/dt = ω・x(t)+α・y(t)-y(t)・(x(t)2+y(t)2)
ここで 「α」は分岐パラメータを表わし、「ω」は発振器の固有振動数を表わす。
【0060】
再び例を挙げると、2つの微分方程式からなる第2の既知の非線形力学系は、以下の形式を持つレスラー系である。
dx(t)/dt=-y(t)-z(t)
dy(t)/dt = x(t)+a・y(t)
dz(t)/dt = b+z(t)・(x(t)-c)
ここで 「a」はシステムのカオス性レベルを制御するパラメータであり、「b」 と 「c」 は通常、一定値に設定される。
【0061】
さらなる例として、変数「x(t)」に結合された信号「s(t)」を入力として受け取るレスラー系は、下記の形式を有する。
dx(t)/dt=-y(t)-z(t)+k・(s(t)-x(t))
dy(t)/dt = x(t)+a・y(t)
dz(t)/dt = b+z(t)・(x(t)-c)
【0062】
好ましくは、必ずではないが、システム8が少なくとも3つの微分方程式9を含む場合、係数「k」の値と、係数「a」、「b」、「c」のそれぞれの値は、システム8がカオス性の挙動を持つように選択される。
【0063】
好ましくは、必ずではないが、係数「k」の値及び係数「a」、「b」及び「c」の各値は、システム8において、例えば、周期的なダイナミクスとカオス性のダイナミクスとの間の遷移、及び、内在的なダイナミクス(外部からの刺激がない場合でも持続的な振動として理解される)の存在と不在との間の遷移、即ち、所謂「臨界点」付近で優位に観察されるような創発現象が生じるように選択される。非線形力学系の臨界点や、その内在的なダイナミクスは、実質的に公知である。したがって、ここでは詳細な説明はしない。
【0064】
好ましくは、必ずではないが、特徴抽出器13は、システム8によって処理された信号を受信することに加えて、非線形変換器7によって変換されたがシステム8によって処理されていない信号も受信する。したがって、特徴抽出器13は、システム8によって処理された後の非線形変換器7によって変換された信号からだけでなく、非線形変換器7によって変換され、システム8によって処理されていない信号からも、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに適しているのが好ましい。
【0065】
システム1は、好ましくは、必ずではないが、分類器14によって認識された想像上のアクションと、マシン3によって実行された物理的なアクションとの間の対応関係について、ユーザが自己評価を表明するために操作可能なデバイス15(例えば、マイクロスイッチ)を備える。当該ユーザは、人2に対応することができる。この場合、デバイス15は、最終的に自分が考えた想像上のアクションと、マシン3によって実行された物理的アクションとの間の対応関係について自己評価を表明するために、人2によって起動される。先に「フィードバック手段」という表現で確認したデバイス15は、人2によって表現された評価を、非線形変換器7によって変換されたがシステム8によって処理されていない信号も受信する監視ユニット16に伝達する。ユニット16は、人2によって伝達されたそのような対応関係の評価に応じて、係数「k」の値と、係数「a」、「b」、「c」のそれぞれの値を更新するのに適している。
【0066】
システム1の変形例によれば、システム1は非線形変換器7を含んでいない。この変形例によれば
・システム8は、フィルタ6によってフィルタリングされた信号を処理する。
・特徴抽出器13は、システム8によって処理された信号を入力として受け取ることに加えて、フィルタ6によってフィルタリングされたがシステム8によって処理されていない信号も受け取ることが好ましい(ただし、必ずしもそうではない)。システム1のこの変形例による特徴抽出器13は、したがって、好ましくは、システム8によって処理された後にフィルタ6によってフィルタリングされた信号からだけでなく、フィルタ6によってフィルタリングされ、システム8によって処理されていない信号からも、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに適している。
・ユニット16は、存在する場合、フィルタ6によってフィルタリングされたがシステム8によって処理されていない信号も受信する。
【0067】
システム1の変形例によれば、監視ユニット16は、システム8によって処理されたような信号も入力で受け取り、システム8によって処理されたような前述した信号の関数としても、係数「k」の値と、係数「a」、「b」、「c」それぞれの値を更新するのに適している。
【0068】
図2は、電極4を用いて人2が取得した脳波信号20の一例を示している。より正確には、
図2に示した信号は、増幅器5によって増幅され、フィルタ6によってフィルタリングされ、非線形変換器7によって変換された後にシステム8に送られた前述の信号に対応する。符号21で示された点線は、分類器14が以前に学習した認識対象となる(即ち、構成される脳状態の認識対象となる)想像上のアクションを、人2が考え始めた瞬間に対応している。
図2に示すように、信号20の軌跡は、符号21の前と後では視覚的に異なっている。符号21の前の信号20は、実際には大きな振幅の振動で特徴付けられ、比較的周期的である。符号21の後では、むしろ信号20はより不規則な時間経過を提示している。しかし、この違いは非常にわずかであり、これらの違いのもろい性質こそが、本発明の対象のようなシステムを開発する必要性をもたらすものである。
【0069】
図3は、信号20の周波数スペクトル22を示している。
【0070】
図4は、信号20の入力受信後にシステム8から特徴抽出器13に送られる信号25の第1の例の時間経過を示している。換言すると、信号25は、システム8による信号処理20の結果である。
図4の例では、パラメータ「k」はゼロに等しい。これは、この例では、人2の脳活動とシステム8との間には結合がないことを意味している。したがって、信号25は、信号20との相関関係はなく、専らシステム8の自発的な活動によるものである。
【0071】
図5は、信号25の周波数スペクトル26を示している。
【0072】
図6は、信号20と信号25の間のXYプロット27を示している。XYプロット27が、実質的に大きな長方形に対応しているのは、信号20と信号25の間には同期がないという事実の結果である。それでも、
図2と
図4のグラフを比較すると、信号25は、信号20とは相関がないものの、信号20と大部分が重なる周波数成分を持っていることがわかる。このことは、周波数スペクトル22と周波数スペクトル26を比較することで、部分的に重なっていることが確認できる。これは、システム8を構成する微分方程式9の適切な選択方法と、そのパラメータ「a」、「b」、「c」に割り当てられた値によるものである。
【0073】
因みに、
図4の例とは逆に、パラメータ「k」が無限大に傾いた場合、人2の脳活動とシステム8の間には、システム8の自発的な活動を圧倒するほどの強い結合が生じることになる。この場合、システム8から出力される信号は、信号20のレプリカとなり、前記信号間のXYプロットは、対角線に沿って非常に平坦になる(両者の間には略完全な同期があるため)。
【0074】
図7は、信号20の入力受信に続いて、システム8が特徴抽出器13に送る信号30の第2の例の時間経過を示している。
図4の信号25について述べたことと同様に、信号30は、システム8による信号20の処理の結果である。
図7の例では、パラメータ「k」は、ゼロよりも大きいが、システム8の自発的な活動を圧倒するほど大きくないように選択された。この例は、システム1の好ましい使用形態に対応している。換言すると、信号20は、システム8の挙動に影響を与えるほど十分に強くシステム8に注入されるが、しかし、その固有のダイナミクスを克服することはない。また、パラメータ「a」、「b」、「c」の値は、システム8から出る信号が、分類器14の作業を容易にするために、特徴抽出器13が信号20の特定の特徴を区別するのに役立つように、(好ましくは初期のトレーニング段階を通じて)適切に選択される。
【0075】
図8は、信号30の周波数スペクトル31を示している。
【0076】
図9は、信号20と信号30の間のXYプロット32を示す。XYプロット32が、正の傾斜を有する直線に似た平坦化された傾斜楕円体に実質的に対応していることは、信号20と信号25との間に部分的な同期があるという事実の結果である。これに加えて、周波数スペクトルの振幅の分布は、重ねることができるが非常に異なる形状の周波数範囲で特徴付けられるヌル結合の場合と比較して、開始時の脳波信号に一層近い形状を成している。
【0077】
因みに、システム8が固有のダイナミクスを持つことが好ましいが、パラメータ「a」、「b」、「c」に割り当てられた値は、システム8が固有のダイナミクスを持たないか、固有のダイナミクスを持たないが、それに非常に近い状態であっても良い。システム8がこの最後の状態にあるとき、それは所謂臨界点に近い、即ち、外部刺激に最大限に反応する状態であると言われる。
【0078】
図10は、人の脳活動2に関連するそれぞれの生理的信号を取得するのに適した複数のデバイスを備える点で、システム1とは異なるブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム33を示している。前述の「取得手段」と呼ばれるデバイスには、例えば、それぞれ脳波測定用の電極、又は近赤外線分光法用のオプトード等が含まれ得る。生理的信号が、脳波計用のそれぞれの電極34(
図10では、人2の頭皮に適用されている)によって取得されると仮定すると、前記信号はそれぞれの脳波計信号に対応する。
図10において、電極34は、一例として、3に等しい数で示されている。
【0079】
電極34によって取得された信号の各々は、増幅器35に送られ、増幅器35は、増幅器5と同様に、当該信号を変換する以外に、デジタル・ドメインに変換することができる。こうして増幅された信号の各々は、人2の非該当の活動に対応する信号成分を減衰させるために、好ましくはバンドパス・タイプのフィルタ36に送信される。より正確には、フィルタ6と同様に、フィルタ36は、低すぎる周波数(人2の動きのアーチファクト、又はむしろ非神経性の生理的活性のアーチファクトであるため)と、高すぎる周波数(人2の人工的な筋肉運動であるため)の両方を減衰させることが好ましい。こうしてフィルタリングされた信号の各々は、非線形変換器37(例えば、シグモイド関数)に送られ、その分布を便利に再形成する。特に、システム1で生じるのと同様に、フィルタリングされた信号の各々は、当該信号のダイナミクスの特定範囲を強調するように、つまり、想像上のアクションを含む脳の状態を認識するために、ゼロクロッシング・イベント等、ブレイン・コンピュータ・インタフェーシングに最も関連する信号成分を強調するように変換される。
【0080】
こうして変換された信号は、複数の非線形力学系8(
図10では、例として、3つの電極34である、3に等しい数の「Sys1」、「Sys2」及び「Sys3」で示される)からなる非線形力学ネットワーク38に供給される。換言すると、このように変換された信号の各々は、ネットワーク38のそれぞれのシステム8(それぞれが、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの方程式9を含む)に供給される。したがって、ネットワーク38のシステム8は、非線形変換器37によって変換された信号を処理するのにそれぞれ適している。したがって、非線形変換器37の1つによって変換された各信号は、ネットワーク38のそれぞれのシステム8に入力として送られる。ネットワーク38の各システム8は、変数の時間経過を、当該変数及び/又は(システム1と同様に)当該システム8の別の方程式9に含まれる少なくとも別の変数の関数として規定する少なくとも1つの方程式9を含んでいる。これにより、ネットワーク38のシステム8の各方程式9が、当該システム8の少なくとも別の方程式9と相互依存するだけでなく、ネットワーク38の各システム8も、ネットワーク38の少なくとも別のシステム8と相互依存することになる。
【0081】
ネットワーク38のシステム8が入力として受け取った変換信号の各々は、当該システム8の方程式9の少なくとも1つの変数に対応する。i番目の変換信号の変数は、例えば、「si」で識別することができる。
【0082】
ネットワーク38の各システム8において、方程式9の少なくとも1つは、前記変数「si」に前述の「第1の係数」を乗じて構成される。より正確には、ネットワーク38のi番目のシステム8において、変数「sii」(i番目の変換信号に関連付けられた人2の脳活動とネットワーク38のi番目のシステム8との間の結合係数に対応する)に乗算された第1の係数。
【0083】
ネットワーク38の各システム8において、方程式9の各々は、さらに、変換された信号に対応しておらず(つまり、「si」ではないということ)、ネットワーク38の別のシステム8の方程式9に含まない少なくとも1つの変数に、先に述べた「第2の係数」を乗算したものを含んでいる。より正確には、ネットワーク38のi番目のシステム8では、第2の係数は例えば3つであり、それぞれ文字「ai」、「bi」e「ci」(ネットワーク8のi番目のシステム8の方程式9の変数間の相互結合係数に対応する)で識別可能である。
【0084】
ネットワーク38の各システム8において、方程式9の少なくとも1つは、変換された信号に対応してなく(つまり、「si」ではないということ)、そしてまた、ネットワーク38の別のシステム8の方程式9に含まれた少なくとも1つの変数に、(ネットワーク38のシステム8間の相互結合の)第3の係数を乗じて構成されている。より正確には、ネットワーク38のi番目のシステム8において、ネットワーク38のj番目のシステム8の変数に掛けられた係数は、例えば、「gi、j」で識別することができる。
【0085】
ネットワーク38の各システム8において、メモリ10は、係数「ki」により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、メモリ11は、係数「ai」、「bi」e「ci」の各々について、当該係数「ai」、「bi」o「ci」により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適している。
【0086】
図10に注目できるように、システム33は、係数「g
i、j」の各々について、当該係数「g
i、j」により想定される少なくとも1つの値を記憶できる第3のメモリ39も含んでいる。
【0087】
このように処理された(ネットワーク38のシステム8からの)信号は、受け取った入力信号(したがって、ネットワーク38のシステム8によって処理された信号)のそれぞれが、受け取った他の入力信号の各々とどれだけ同期しているかを評価するのに適したユニット40(
図10では、「Syn1」で示されている)に送られる。因みに、ユニット40に送られる信号は、方程式9の変数の1つ以上に対応している。
【0088】
先に「第1の評価手段」という表現で識別したユニット40は、入力で受信した信号に関する同期(又は、より一般的には統計的相互依存性)マトリクスを生成する。前記同期マトリクスは、ネットワーク38のシステム8によって処理された信号から、即ち、前記同期マトリクスに挿入された(即ち、ユニット40によって評価された後の)信号から、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに適した特徴抽出器13に送られる。
【0089】
システム1について述べたことと同様に、システム33において、特徴抽出器13は、特徴抽出器13から抽出された前記特徴から、想像上のアクションを含む人2の脳の状態を認識するために予め学習された数値分類器14に入力される特徴ベクトルを生成する。換言すると、分類器14は、人2の脳の状態(前記特徴に対応する)が前記想像上のアクションを構成するか否かを確定するために、前記特徴を調べ、前記特徴が抽出された生理的信号が関連付けられた脳活動における後者の存在を認識するか否かを決定するのに適している。分類器14は、前記想像上のアクションを構成する脳の状態を認識すると、前記想像上のアクションを「具体化」する可能性のある物理的アクションを実行するコマンドを発する。前記コマンドは、前記物理的アクションを実行するマシン3に送られることが好ましい。
【0090】
ネットワーク38のシステム8は、特徴抽出器13に送られる信号が、電極34によって取得された生理的信号と相関するように、人2の脳活動と同期する傾向がある。ネットワーク38の各システム8において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」の各値、及び係数「gi、j」の各々の値は、当該システム8が、
・好ましくは、必ずではないが、固有のダイナミクスを有するように、
及び
・(前記システム8が入力として受け取った)信号「si」を、ユニット40に(及び、ユニット40を介して特徴抽出器13に)送られる信号において、人2の脳の状態を分類する目的に関連する1つ又は複数の前記特徴が明らかにされ、及び/又は強化されて処理するように、
される。
【0091】
つまり、ネットワーク38の各システム8において、係数「kiiii」の値、及び係数「gi、j」の各値は、当該システム8から出てユニット40に送られる信号が、特徴抽出器13が入力信号の特定の特徴を区別するのを「助ける」ように選択され、分類器14のタスクを容易にするようになっている。
【0092】
単に例として、変数「x(t)」で双方向に(即ち、対称に)結合され、変数「x1(t)」及び「x2(t)」にそれぞれ結合された信号「s1(t)」及び「s2(t)」を受信する2つのレスラーシステムは、下記の形式を有する。
dx1(t)/dt = -y1(t)- z1(t)+k1・(s1(t)- x1(t))+g・(x2(t)- x1(t))
dy1(t)/dt = x1(t)+a1・y1(t)
dz1 (t)/dt = b1+ z1(t)・(x1(t)-c1)
dx2(t)/dt = -y2(t)-z2(t)+k2・(s2(t)-x2(t))+g・(x1(t)-x2(t))
dy2(t)/dt = x2(t)+a2・y2(t)
dz2(t)/dt = b2+z2(t)・(x2(t)-c2)
【0093】
好ましくは、必ずではないが、ネットワーク38のシステム8の少なくとも1つが少なくとも3つの微分方程式9からなる場合、当該システム8における係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値は、少なくとも3つの微分方程式9からなる当該システム8がカオス性の挙動を持つように選択される。
【0094】
好ましくは、必ずではないが、ネットワーク38の1つ以上のシステム8において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値は、ネットワーク38の1つ以上の前記システム8において、創発現象が生じるように選択される。
【0095】
好ましくは、必ずではないが、非線形変換器37によって変換された信号は、ネットワーク38のシステム8に送られることに加えて、受信した入力信号(非線形変換器37によって変換されたが、ネットワーク38のシステム8によって処理されていない)の各々が、入力で受信した他の信号の各々とどれだけ同期しているかを評価するのに適したユニット41(
図10では、「Syn2」で示されている)に送られる。ユニット41は、先に「第2の評価手段」と表現、識別したように、入力で受信した信号に関する第2の同期マトリクスを生成する。当該第2の同期マトリクスは、ユニット40によって生成された同期マトリクスと共に、特徴抽出器13に送られる。したがって、特徴抽出器13は、ユニット40によって生成された同期マトリクスに挿入された、ネットワーク38のシステム8によって処理された信号からだけでなく、前記第2の同期マトリクスに挿入された(即ち、ユニット41によって評価された後の)、非線形変換器37によって変換され、ネットワーク38のシステム8によって処理されていない信号からも、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに好適である。
【0096】
システム33の変形例によれば、特徴抽出器13は、ユニット40によって生成された同期マトリクスに挿入されたネットワーク38のシステム8によって処理された信号及びユニット41によって生成された同期マトリクスに挿入された非線形変換器37によって変換された信号であってネットワーク38のシステム8によって処理されていない信号だけでなく、ネットワーク38のシステム8によって処理されているが、ユニット40によって評価されていない信号、及び/又は、非線形変換器37によって変換されているが、ネットワーク38のシステム8によって処理されておらず、ユニット41によって評価されていない信号も入力として受け取る(したがって、人2の脳の状態の分類に関連する特徴をそこから抽出するのに好適である)。
【0097】
システム33の別の変形例によれば、システム33は、ユニット40及び/又はユニット41を含んでいない。この変形例によれば、特徴抽出器13は、ネットワーク38のシステム8によって処理された信号、及び好ましくは非線形変換器37によって変換され、ネットワーク38のシステム8によって処理されていない信号も入力として受け取る(したがって、好ましくは、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに適している)。
【0098】
システム33の別の変形例によれば、特徴抽出器13は、ユニット41によって評価されたか否かに関わらず、ネットワーク38のシステム8によって処理されていない入力信号を受信しない。
【0099】
システム1と同様に、システム33は、好ましくは、必ずではないが、デバイス15と、非線形変換器37によって変換されたがネットワーク38のシステム8によって処理されていない信号も受信する監視ユニット16とを備える。ユニット16は、ネットワーク38のシステム8の各々において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」の各々の値、及び係数「gi、j」の各々の値を、人2によって伝えられた対応関係(想像上のアクションと物理的なアクションとの間)の評価に応じて更新するのに適している。
【0100】
システム33の別の変形例によれば、システム33は、非線形変換器37を含まない。この変形例によれば、
・ネットワーク38のシステム8は、フィルタ36によってフィルタリングされた信号を処理する。
・特徴抽出器13は、ネットワーク38のシステム8によって処理された信号(存在する場合は、ユニット40によって任意に評価される)を入力として受け取ることに加えて、好ましくは(必ずではないが)、フィルタ36によってフィルタリングされたがネットワーク38のシステム8によって処理されていなく、存在する場合は、ユニット41によって任意に評価される信号も入力として受け取る。したがって、システム33のこの変形例による特徴抽出器13は、ネットワーク38のシステム8によって処理され、存在するならばユニット40によって評価された後にフィルタ36によってフィルタリングされた信号からだけでなく、フィルタ36によってフィルタリングされ、ネットワーク38のシステム8によって処理されず、存在するならばユニット41によって評価された信号からも、人2の脳の状態の分類に関連する特徴を抽出するのに好適である。
・ユニット16は、もし存在するならば、フィルタ36によってフィルタリングされ、ネットワーク38のシステム8によって処理されない信号も受け取る。
【0101】
人2の脳活動に関連したそれぞれの生理的信号を取得するのに適した前記デバイスが電極34(脳波用)からなるシステム33の別の変形例によれば、システム33は、フィルタ36によってフィルタリングされた信号から、電極34が人2の大脳皮質に配置された場合に取得されるであろう複数の生理的信号を再構築するのに適した少なくとも1つの空間フィルタを備える。この変形例によれば、ネットワーク38のシステム8は、前記空間フィルタによって処理された後にフィルタ36によってフィルタリングされ、非線形変換器が存在する場合には変換される可能性がある信号を処理する。
【0102】
システム33は、好ましくは、必ずではないが、デバイス15に加えて、又はデバイス15の代わりとして、人2の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号を取得するために、人2に適用可能なデバイス42(「さらなる取得手段」という表現で以前に識別されている)を含む。システム33は、好ましくは、必ずではないが、マシン3による既述の物理的アクションの実行を自律的に検出するのに適したデバイス43(「監視手段」という表現で以前に識別された)を備える。デバイス42は、一例として、人2の心拍を検出するための電極を含む。デバイス43は、例えば、コンピュータ化されたビデオカメラを含む。デバイス42及びデバイス43は両方とも、監視ユニット16と通信し、監視ユニット16が、前述のさらなる生理的信号の検査から、人2が考えた、又は人2のマインドが行った想像上のアクションと、マシン3が行った物理的アクションとの間の対応関係を評価できるようになっている。ユニット16は、ネットワーク38のシステム8の各々において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」の各々の値を、ユニット16によって行われるこの対応関係の評価の関数として更新するのに適している。
【0103】
また、システム1は、システム33のように、デバイス15に加えて、又はデバイス15の代わりに、監視ユニット16と接続されたデバイス42及びデバイス43を含むことができる。
【0104】
システム33の変形例によれば、監視ユニット16は、ネットワーク38のシステム8によって処理されたような信号も入力として受け取り、ネットワーク38のシステム8のそれぞれにおいて、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」e「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値を、ネットワーク38のシステム8によって処理されたような前述の信号の関数としても更新するのに適している。
【0105】
図11は、21個の電極34を用いて人2がそれぞれ取得した21個の脳波信号間の平均同期値を表す要素(即ち、前記21個の脳波信号のそれぞれと、前記21個の脳波信号のうちの他の20個の脳波信号のそれぞれとの間の平均同期値を表す要素)を有する2次元アレイ45の一例を示す。より正確には、
図11のマトリクスが平均同期値を表している信号は、21個の増幅器35でそれぞれ増幅され、21個のフィルタ36でそれぞれフィルタリングされ、21個の非線形変換器37でそれぞれ変換された後に、ネットワーク38の21個のシステム8にそれぞれ送られた21個の前記信号に対応している。
【0106】
疑念を避けるために、この例によれば、システム33は、それぞれ21個の脳波信号を取得するための21個の電極34から成り、これらの信号はそれぞれ21個の増幅器35によって増幅され、21個のフィルタ36によってフィルタリングされ、21個の非線形変換器37によって変換され、ネットワーク38に属する21個の非線形力学系8に送られる。
【0107】
図12は、マトリクス45が平均同期値を表している21個の信号の間の同期差(関心のある2つの精神状態、この場合、静止状態と手の開閉を繰り返す想像上の実行を比較することによって計算される)を表現した2次元マトリクス46を示している(即ち、その要素は、前記21個の脳波信号のそれぞれと前記21個の脳波信号の他の20個のそれぞれとの間の同期差を表現している)。
【0108】
図13は、マトリクス45が平均同期値を表す21個の信号のそれぞれの入力受信後に、ネットワーク38の21個のシステム8からユニット40にそれぞれ送信される21個の信号間の平均同期値を要素が表す2次元アレイ47の例を示している。つまり、マトリクス47が平均同期値を表す21個の信号は、それぞれ、マトリクス45が平均同期値を表す21個の信号を、ネットワーク38の21個のシステム8で処理した結果である。
図13の例では、パラメータ「g
i、j」はゼロに設定されている。これは、この例では、ネットワーク38のシステム8の間には結合がないことを意味する。したがって、電極34によって取得されたすべての脳波信号は、システム8の1つによって処理され、この1つのシステム8はネットワーク38の他の20個のシステム8(他の20の脳波信号を処理する)と何らかの形で相関関係を持つことはない。
【0109】
図13の例では、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「k
i」は、ゼロよりも大きいが、システム8の自発的な活動を圧倒するほど大きくはないように選ばれた。この事実の結果として、出力信号間の同期の分布は、
図11の入力信号について観察されたものとむしろ類似している。先に述べたように、これはシステム8の好ましい使用方法に対応するものである。換言すると、ネットワーク38のシステム8に送信される信号は、それぞれ、システム8の挙動に影響を与えるのに十分な強さで当該システム8に供給されるが、しかし、システム8の固有のダイナミクスを克服することはない。さらに、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「a
i」、「b
i」e「c
i」に割り当てられた値は、システム8から出る信号が、特徴抽出器13がネットワーク38に導入された特定の特徴を区別するのに役立つように(好ましくは、初期のトレーニング段階によって)適切に選択され、分類器14によって行われる作業を容易にする。
【0110】
図14は、マトリクス47が平均同期値を表している21個の信号の間の同期差(関心のある2つの精神状態、この場合は、静止状態と手の開閉を繰り返す想像上の実行とを比較して算出)を要素が表す2次元マトリクス48を示している。
【0111】
この例では、ネットワーク38のシステム8の間には同期がないが、マトリクス45とマトリクス47との間、及びマトリクス46とマトリクス48との間には、ある種の類似性があることに気付くことができる。この類似性は、ネットワーク38のシステム8が、入力信号に個別に結合されているが、それらの間には結合されていないという事実によるものである。
【0112】
図15は、マトリクス45が平均同期値を表している21個の信号のそれぞれの入力としての受信に続いて、ネットワーク38の21個のシステム8からユニット40にそれぞれ送信された21個の信号の間の平均同期値を要素が表している2次元アレイ49の第2の例を示している。マトリクス47について述べたのと同様に、マトリクス49が平均同期値を表す21個の信号は、マトリクス45が平均同期値を表す21個の信号を、ネットワーク38の21個の各システム8が処理した結果である。
図15の例では、パラメータ「g
i、j」は、ゼロよりも大きく選択されているが、ネットワーク38のシステム8の活動がネットワーク38の他のシステム8の活動を圧倒するほど大きくはないので、ネットワーク38のシステム8の間に結合が存在する。この例は、システム33の好ましい使用形態に対応している。さらに、
図13の例で述べたのと同様に、ネットワーク38の各システム8では、パラメータ「k
i」はゼロよりも大きく、しかしシステム8の自発的な活動を圧倒するほど大きくないものが選択されている(換言すると、ネットワーク38のシステム8に送られる信号は、十分に強い方法で当該システム8に導入され、その固有のダイナミクスを圧倒することなく、後者の動作に影響を与える)。さらに、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「a
i」、「b
i」e「c
i」に割り当てられた値も適切に(好ましくは、初期のトレーニング段階を通じて)選択され、システム8から出る信号は、特徴抽出器13がネットワーク38に導入された特定の特徴を区別するのに役立ち、分類器14によって行われる作業を容易にするようにされる。この場合、システム8が互いに結合されているため、マトリクス49の平均的な同期レベルが高くなっていることに留意すべきである。これに加えて、同期分布がマトリクス45とマトリクス47とに関して著しく異なることに注目することができる。これはまさに、システム8が互いに相互に作用し、入力として個別に受信した信号を魅力的なタイプと反発的なタイプの両方の相互作用を介して結合しているためである。
【0113】
図16は、マトリクス49が平均同期値を表している21個の信号の間の同期差(関心のある2つの精神状態、この場合は静止状態と手の開閉を繰り返す想像上の実行とを比較して算出)を要素が表す2次元のマトリクス50を示している。マトリクス49に見られるように、マトリクス46及びマトリクス48に関して明らかに異なる分布を指摘しているが、これは上述の理由と同じである。因みに、この場合、2つの条件の違いは、より規則的な分布をしており、特に感覚運動大脳皮質の上に記録された信号に特に対応する幾つかの信号に焦点を合わせていることを指摘する。
【0114】
因みに、システム1について述べたことと同様に、システム33では、ネットワーク38のシステム8が固有のダイナミクスを有することが好ましいが、パラメータ「ai」、「bi」e「ci」に割り当てられた値は、ネットワーク38の1つ以上のシステム8が固有のダイナミクスを有さないか、固有のダイナミクスを有さないものの、それに非常に近い状態(つまり、所謂臨界点)となる。
【0115】
好ましい例示の実施形態について提供された説明に基づいて、以下の請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者が幾つかの変更を行うことができることは明らかである。
【符号の説明】
【0116】
1 ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム
2 人
3 マシン
4 脳波計用の電極
5 増幅器
6 フィルタ
7 非線形変換器
8 システム
9 微分方程式
10 第1のメモリ
11 第2のメモリ
13 特徴抽出器
14 数値分類器
15 フィードバック手段(マイクロスイッチ)
16 監視ユニット
20 脳波信号
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の目的は、
・人の脳の活動に関連する少なくとも1つの生理的信号を取得するため人に適用可能な手段である。例として脳波測定用の少なくとも1つの電極又は近赤外分光法のオプトード(「NIRS」として良く知られている)を含む取得手段と、
・(前記取得手段から取得した)前記生理的信号を増幅する増幅手段と、
・(前記増幅手段からの)前記増幅した信号をフィルタリングし、好ましくはバンドパス・フィルタを備えたフィルタリング手段と、
・(前記フィルタリング手段からの)前記フィルタリングされた信号から、(生理的信号を取得された)前記人の脳の状態の分類に関連した特徴を抽出する抽出手段と、
・前記抽出手段から抽出された前記特徴の少なくとも1つの数値分類器(好ましくは、ニューラルネットワーク)と、
を有し、
前記数値分類器が、前記抽出手段から抽出された前記特徴から想像上のアクションを含む前記人の脳の状態を認識するように訓練され(即ち、前記特徴が抽出された生理的信号に関連する脳の活動における後者の存在を認識するか否かのため、前記人の脳の状態が前記想像上のアクションを含んでいるか否かを確立するために前記特徴を調べるのに適している)、
前記数値分類器が、前記想像上のアクションを含む脳の状態を認識した際に、例えば前記想像上のアクションに対応する(即ち「具体化する」)物理的アクションの少なくとも1つの実行コマンドを発生するのに適している、
ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムにある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
例えば、複数のインバータリングを組み合わせることにより、非線形で無秩序な動的システムを集積回路の形で構築できることは知られている。有利には、この応用の場合、インバータリングの電流を変化させることにより、振動の動的特性を容易に制御することができ、脳波の痕跡に質的に非常に似た信号を生成することができる(L. Minati、 M. Frasca、 N. Yoshimura、 L. Ricci、 P. Oswiecimka、 Y. Koike、 K. Masu、 H. Ito、 Current-Starved Cross-Coupled CMOS Inverter Rings as Versatile Generators of Chaotic and Neural-Like Dynamics Over Multiple Frequency Decades、IEEE Access 7(2019) 54638-54657)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の一態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記人の脳活動に関連する複数の生理的信号をそれぞれ取得する複数の前記取得手段と、
・(それぞれ前記複数の取得手段によって取得された)前記複数の生理的信号をそれぞれ増幅する複数の前記増幅手段と、
・(それぞれ前記複数の増幅手段からの)前記増幅された信号をそれぞれフィルタリングする複数の前記フィルタリング手段と、
・それぞれ前記フィルタリングされた信号を処理し、処理された信号を前記抽出手段に送る複数の前記非線形力学系からなる非線形力学ネットワーク(即ち、前記ネットワークの各非線形力学系は、それぞれのフィルタリングされた信号を入力として受け、それを処理し、処理された信号を前記抽出手段に送るのに適している。換言すると、前記複数のフィルタリング手段の1つによってフィルタリングされた各信号は、前記ネットワークのそれぞれの非線形力学系に入力として送られる)と、
を有し、
前記抽出手段は、前記ネットワークの非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記ネットワークの各非線形力学系は、
変数の時間経過を関数として指定する少なくとも1つの微分方程式を含み、
-前記変数
及び/又は
-前記系の別の前記微分方程式に含まれる、少なくとも1つの他の変数
及び/又は
-前記ネットワークの他の非線形力学系の前記微分方程式の1つに含まれる少なくとも1つの他の変数を含み、
前記ネットワークの各非線形力学系が、前記ネットワークの少なくとも1つの他の非線形力学系と相互依存するようにされ、
(前記複数の非線形力学系が入力として受けた)前記フィルタリングされた信号のそれぞれは、前記ネットワークの非線形力学系の前記微分方程式の前記変数の少なくとも1つに対応しており、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記微分方程式の少なくとも1つは、前記第1の係数を乗じた前記フィルタリングされた信号の1つに対応する前記変数からなり、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記フィルタリングされた信号の1つに対応していなく、且つ、前記ネットワークの他の非線形力学系の前記微分方程式の1つに含まれていなく、前記第2の係数を乗じた前記変数の少なくとも1つからなり、
前記ネットワークの各非線形力学系において、前記微分方程式の少なくとも1つは、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、且つ、前記ネットワークの別の非線形力学系の前記微分方程式の1つにも含まれている前記変数の少なくとも1つからなり、(前記ネットワークの非線形力学系間の相互結合の)第3の係数を乗じたものであり、
前記抽出手段に送られる前記信号は、前記非線形方程式の前記変数に対応し、
前記ネットワークの各非線形力学系について、
-前記第1のメモリは、前記第1の係数により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
-前記第2のメモリは、前記第2の係数のそれぞれについて、前記第2の係数により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適し、
また、
・前記第3の係数の各々について、前記第3の係数が仮定する少なくとも1つの値を記憶するための第3のメモリ
を有し、
前記ネットワークの各非線形力学系について、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値及び前記第3の係数のそれぞれの値は、前記非線形力学系が
・好ましくは、本質的なダイナミクスを有し、
そして
・前記抽出手段に送られた前記信号において、前記人の脳の状態の分類に関連する1つ以上の前記特徴が明らかにされるか、又は強められるように、前記フィルタリングされた信号を処理する
ことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
因みに、カップリングの強度が増すにつれ、前述の同期は、最初は位相変動のコヒーレンスの形で現れ、最終的には振幅変動のオーバラップの形でも現れる。一例として、この現象の始まりは、生体学的信号や非線形システムからくる信号において、「位相歪同期」として知られる指標を通じて特に有利な方法で定量化することができる(L. Minati、 N. Yoshimura、 M. Frasca、 S. Drozdz、 Y. Koike、 Warped phase coherence: An empirical synchronization measure combining phase and amplitude information、 Chaos 29(2019)、 021102)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明の一態様によれば、前記抽出手段は、
・前記非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記非線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系で処理された後の前記フィルタリングされた複数の信号から、だけでなく
・前記非線形力学系で処理されずにフィルタリングされた前記信号から
又は
・前記非線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの非線形力学系で処理されずにフィルタリングされた前記複数の信号から
の前記特徴を抽出する手段である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の別の態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・非線形変換器(例えば、シグモイド関数)を有し、
前記非線形変換器が、
-前記信号のダイナミクスの特定の間隔を明らかにし、及び/又は強化するように、前記フィルタリングされた信号を変換するため(ブレイン・コンピュータ・インタフェーシングの目的に最も関連する信号コンポーネント、例えば、ゼロ-クロスイベントを強調するように)、及び
-前記非線形変換器によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのに適している前記非線形力学系に変換された信号を送るため
に設けられ、
又は、前記非線形力学系が複数の場合には、
・複数の非線形変換器(例えば、シグモイド関数)を有し、
前記複数の非線形変換器がそれぞれ
-前記フィルタリングされた信号を変換して、前記信号のダイナミクスの特定の間隔を明らかにし、及び/又は強化するように(例えば、ゼロ-クロスイベント等、ブレイン・コンピュータ・インタフェーシングの目的に最も関連する信号成分を強調するように)、及び
-変換された信号を、前記ネットワークの非線形力学系に送るため
に設けられ、
前記ネットワークの非線形力学系は、前記非線形変換器によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の別の態様によれば、前記抽出手段は、
・前記非線形力学系で処理された後の前記変換された信号から
又は
・前記非線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの複数の非線形力学系によって処理された後の前記複数の変換信号から
だけでなく
・前記非線形力学系で処理されずに変換された前記信号から
又は
・前記非線形力学系が1つ以上である場合に、前記ネットワークの複数の非線形力学系から処理されずに変換された前記複数の信号から
の前記特徴を抽出する手段である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明の別の態様によれば、前記非線形力学系が1つ以上である場合において、前記複数の取得手段は、脳波記録のための複数の電極を有し、
前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、前記フィルタリングされた信号から、前記電極が前記人の大脳皮質に配置された場合に取得されるであろう複数の生理的信号を再構築するのに適した少なくとも1つの空間フィルタを含む別のフィルタリング手段を有し、
前記ネットワークの非線形力学系は、前記空間フィルタで処理された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適しており、そして前記非線形変換器が存在する場合にはおそらく変換される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
本発明の別の態様によれば、前記非線形力学系、又は、前記非線形力学系が1つ以上である場合の前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つは、少なくとも3つの前記微分方程式からなる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本発明の別の態様によれば、少なくとも3つの前記微分方程式からなる前記ネットワークの前記非線形力学系、又は、1つ以上の前記非線形力学系において、前記非線形力学系が1つ以上である場合には、前記第1の係数の値、前記第2の係数の値、及び存在する場合には前記第3の係数の値は、これらの非線形力学系が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記微分方程式からなる前記非線形力学系、又は、前記1つ以上の非線形力学系がカオス的な振る舞いをするようなものである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
本発明の別の態様によれば、前記非線形力学系、又は、前記非線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数の値、前記第2の係数の値、及び、存在する場合には前記第3の係数の値は、前記非線形力学系、又は、前記非線形力学系が1つ以上である場合には、前記ネットワークの非線形力学系の少なくとも1つにおいて、創発現象が顕在化するようなものである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記デジタル分類器からの前記コマンドを受信し、例えば前記想像上のアクションに対応する前記物理的アクション(前記数値分類器が学習された認識時の前記人の脳の状態で構成される)を実行するマシン、
・前記非線形力学系、又は前記非線形力学系が複数の場合、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記第1の係数の値、前記第2の係数の各々の値、及び存在する場合には、前記第3の係数の各々の値を更新する監視ユニット
を有する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明の別の態様によれば、前記ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、前記想像上のアクションと(前記マシンによって実行される)前記物理的なアクションとの間の対応関係についての自身の評価を前記監視ユニットに伝達するために、ユーザ(前記獲得手段が適用される人であり得る)によって操作可能なフィードバック手段を有し、
前記監視ユニットは、
・入力として、
-前記フィルタリングされた信号であって、前記非線形変換器が存在する場合には、変換される可能性があるが、前記非線形力学系によって処理されない信号
又は、
前記非線形力学系が複数の場合には、
-前記非線形変換器は存在するが、前記ネットワークの非線形力学系によって処理されず、存在する場合には前記第2の評価手段によって評価されない場合には、前記フィルタリングされ、場合により変換された信号
を受信し、
・前記非線形力学系、又は、前記非線形力学系が複数の場合は、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記第1の係数の値、前記第2の係数の各々の値、及び、存在する場合は前記第3の係数の各々の値を、前記ユーザによって伝えられた評価に従って更新する
のに適している。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明の別の態様によれば、ブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムは、
・前記人の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号(例えば、心拍等)を取得するための、前記人に適用可能な別の取得手段と、
・前記マシンによる前記物理的アクションの実行を検出するために、前記マシンを監視する手段と
を有し、
前記監視ユニットは、
・前記更なる生理的信号の検査から、前記想像上のアクションと前記物理的アクションとの間の対応関係を評価し、
・前記非線形力学系、又は前記非線形力学系が1つ以上である場合には前記ネットワークの各非線形力学系において、前記監視ユニットによって行われた評価に従って、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値、及び存在する場合には前記第3の係数のそれぞれの値を更新する
のに適している。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本発明の別の態様によれば、前記監視ユニットは以下のために適している。
・入力として
- 前記非線形力学系によって処理された前記信号
又は
-前記非線形力学系が1つ以上である場合、前記ネットワークの非線形力学系によって処理された前記信号
を受信し、
・前記非線形力学系、又は前記非線形力学系が複数の場合は、前記ネットワークの各非線形力学系において、前記非線形力学系で処理された前記信号、又は前記非線形力学系が複数の場合は前記ネットワークの非線形力学系で処理された前記信号の関数として、前記第1の係数の値、前記第2の係数のそれぞれの値、及び存在する場合は前記第3の係数のそれぞれの値を更新する
のに適している。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本発明のさらなる目的及び利点は、その例示的な実施形態について以下に記載した詳細な説明、及び単に非限定的な例として与えられた添付図面から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明によるブレイン・コンピュータ・インタフェースシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムが適用される人が取得した脳波信号を示すグラフである。
【
図3】
図3は、
図2の信号の周波数スペクトルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、
図2の信号と前記非線形力学系との間に実質的に結合がない場合に、
図1のシステムの一部を構成する非線形力学系によって処理される
図2の信号を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図4の信号の周波数スペクトルを示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図2の信号と前記非線形力学系との間に、ゼロではないが前記非線形力学系の自発的な活動を圧倒するほどではない結合がある場合に、
図1のシステムの一部を構成する非線形力学系によって処理される
図2の信号を示すグラフである。
【
図8】
図8は、
図7の信号の周波数スペクトル示すグラフである。
【
図11】
図11は、
図10のシステムの適用された人が取得した21個の脳波信号の平均同期値を要素とする2次元マトリクスを示すグラフである。
【
図12】
図12は、
図11のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素とする2次元マトリクスを示すグラフである。
【
図13】
図13は、
図10のシステムに含まれる動的非線形ネットワークの一部を構成する21個の非線形力学系によってそれぞれ処理された、
図11のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の平均同期値を要素で表した2次元マトリクスであり、前記ネットワークの前記非線形力学系間に実質的な結合がない場合のものであるグラフである。
【
図14】
図14は、
図13のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素とする2次元のアレイを示すグラフである。
【
図15】
図15は、
図11のマトリクスが平均同期値を表す21個の信号間の平均同期値を表す2次元マトリクスであり、
図10のシステムに含まれる
非線形力学ネットワークの一部を構成する21個の非線形力学系が、前記ネットワークの前記非線形力学系間にゼロではない結合がある場合に、それぞれ処理されるものであるグラフである。
【
図16】
図16は、
図15のマトリクスが平均同期値を表している21個の信号間の同期差を要素が表している2次元アレイを示すグラフである。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
ネットワーク38の各システム8において、方程式9の少なくとも1つは、前記変数「s
i
」に前述の「第1の係数」を乗じて構成される。より正確には、ネットワーク38のi番目のシステム8において、変数「sij
」に乗算された第1の係数は、(i番目の変換信号に関連付けられた人2の脳活動とネットワーク38のi番目のシステム8との間の結合係数に対応する)。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
ネットワーク38の各システム8において、方程式9の各々は、さらに、変換された信号に対応しておらず(つまり、「si」ではないということ)、ネットワーク38の別のシステム8の方程式9に含まない少なくとも1つの変数に、先に述べた「第2の係数」を乗算したものを含んでいる。より正確には、ネットワーク38のi番目のシステム8では、第2の係数は例えば3つであり、それぞれ文字「ai」、「bi」及び「ci」(ネットワーク38のi番目のシステム8の方程式9の変数間の相互結合係数に対応する)で識別可能である。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
ネットワーク38の各システム8において、メモリ10は、係数「ki」により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、メモリ11は、係数「ai」、「bi」及び「ci」の各々について、当該係数「ai」、「bi」又は「ci」により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適している。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
ネットワーク38のシステム8は、特徴抽出器13に送られる信号が、電極34によって取得された生理的信号と相関するように、人2の脳活動と同期する傾向がある。ネットワーク38の各システム8において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」の各値、及び係数「gi、j」の各々の値は、当該システム8が、
・好ましくは、必ずではないが、固有のダイナミクスを有するように、
及び
・(前記システム8が入力として受け取った)信号「si」を、ユニット40に(及び、ユニット40を介して特徴抽出器13に)送られる信号において、人2の脳の状態を分類する目的に関連する1つ又は複数の前記特徴が明らかにされ、及び/又は強化されて処理するように、
される。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
つまり、ネットワーク38の各システム8において、係数「k
i
」の値、及び係数「gi、j」の各値は、当該システム8から出てユニット40に送られる信号が、特徴抽出器13が入力信号の特定の特徴を区別するのを「助ける」ように選択され、分類器14のタスクを容易にするようになっている。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
好ましくは、必ずではないが、ネットワーク38のシステム8の少なくとも1つが少なくとも3つの微分方程式9からなる場合、当該システム8における係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値は、少なくとも3つの微分方程式9からなる当該システム8がカオス性の挙動を持つように選択される。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
好ましくは、必ずではないが、ネットワーク38の1つ以上のシステム8において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値は、ネットワーク38の1つ以上の前記システム8において、創発現象が生じるように選択される。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
システム1と同様に、システム33は、好ましくは、必ずではないが、デバイス15と、非線形変換器37によって変換されたがネットワーク38のシステム8によって処理されていない信号も受信する監視ユニット16とを備える。ユニット16は、ネットワーク38のシステム8の各々において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」の各々の値、及び係数「gi、j」の各々の値を、人2によって伝えられた対応関係(想像上のアクションと物理的なアクションとの間)の評価に応じて更新するのに適している。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
システム33は、好ましくは、必ずではないが、デバイス15に加えて、又はデバイス15の代わりとして、人2の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号を取得するために、人2に適用可能なデバイス42(「さらなる取得手段」という表現で以前に識別されている)を含む。システム33は、好ましくは、必ずではないが、マシン3による既述の物理的アクションの実行を自律的に検出するのに適したデバイス43(「監視手段」という表現で以前に識別された)を備える。デバイス42は、一例として、人2の心拍を検出するための電極を含む。デバイス43は、例えば、コンピュータ化されたビデオカメラを含む。デバイス42及びデバイス43は両方とも、監視ユニット16と通信し、監視ユニット16が、前述のさらなる生理的信号の検査から、人2が考えた、又は人2のマインドが行った想像上のアクションと、マシン3が行った物理的アクションとの間の対応関係を評価できるようになっている。ユニット16は、ネットワーク38のシステム8の各々において、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」の各々の値を、ユニット16によって行われるこの対応関係の評価の関数として更新するのに適している。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
システム33の変形例によれば、監視ユニット16は、ネットワーク38のシステム8によって処理されたような信号も入力として受け取り、ネットワーク38のシステム8のそれぞれにおいて、係数「ki」の値、係数「ai」、「bi」及び「ci」のそれぞれの値、及び係数「gi、j」のそれぞれの値を、ネットワーク38のシステム8によって処理されたような前述の信号の関数としても更新するのに適している。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
図13の例では、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「k
i」は、ゼロよりも大きいが、システム8の自発的な活動を圧倒するほど大きくはないように選ばれた。この事実の結果として、出力信号間の同期の分布は、
図11の入力信号について観察されたものとむしろ類似している。先に述べたように、これはシステム8の好ましい使用方法に対応するものである。換言すると、ネットワーク38のシステム8に送信される信号は、それぞれ、システム8の挙動に影響を与えるのに十分な強さで当該システム8に供給されるが、しかし、システム8の固有のダイナミクスを克服することはない。さらに、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「a
i」、「b
i」
及び「c
i」に割り当てられた値は、システム8から出る信号が、特徴抽出器13がネットワーク38に導入された特定の特徴を区別するのに役立つように(好ましくは、初期のトレーニング段階によって)適切に選択され、分類器14によって行われる作業を容易にする。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
図15は、マトリクス45が平均同期値を表している21個の信号のそれぞれの入力としての受信に続いて、ネットワーク38の21個のシステム8からユニット40にそれぞれ送信された21個の信号の間の平均同期値を要素が表している2次元アレイ49の第2の例を示している。マトリクス47について述べたのと同様に、マトリクス49が平均同期値を表す21個の信号は、マトリクス45が平均同期値を表す21個の信号を、ネットワーク38の21個の各システム8が処理した結果である。
図15の例では、パラメータ「g
i、j」は、ゼロよりも大きく選択されているが、ネットワーク38のシステム8の活動がネットワーク38の他のシステム8の活動を圧倒するほど大きくはないので、ネットワーク38のシステム8の間に結合が存在する。この例は、システム33の好ましい使用形態に対応している。さらに、
図13の例で述べたのと同様に、ネットワーク38の各システム8では、パラメータ「k
i」はゼロよりも大きく、しかしシステム8の自発的な活動を圧倒するほど大きくないものが選択されている(換言すると、ネットワーク38のシステム8に送られる信号は、十分に強い方法で当該システム8に導入され、その固有のダイナミクスを圧倒することなく、後者の動作に影響を与える)。さらに、ネットワーク38の各システム8において、パラメータ「a
i」、「b
i」
及び「c
i」に割り当てられた値も適切に(好ましくは、初期のトレーニング段階を通じて)選択され、システム8から出る信号は、特徴抽出器13がネットワーク38に導入された特定の特徴を区別するのに役立ち、分類器14によって行われる作業を容易にするようにされる。この場合、システム8が互いに結合されているため、マトリクス49の平均的な同期レベルが高くなっていることに留意すべきである。これに加えて、同期分布がマトリクス45とマトリクス47とに関して著しく異なることに注目することができる。これはまさに、システム8が互いに相互に作用し、入力として個別に受信した信号を魅力的なタイプと反発的なタイプの両方の相互作用を介して結合しているためである。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
因みに、システム1について述べたことと同様に、システム33では、ネットワーク38のシステム8が固有のダイナミクスを有することが好ましいが、パラメータ「ai」、「bi」及び「ci」に割り当てられた値は、ネットワーク38の1つ以上のシステム8が固有のダイナミクスを有さないか、固有のダイナミクスを有さないものの、それに非常に近い状態(つまり、所謂臨界点)となる。
【手続補正30】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
請求項1に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記人(2)の脳活動に関連する複数の生理的信号をそれぞれ取得する複数の前記取得手段(34)と、
・前記複数の生理的信号をそれぞれ増幅する複数の前記増幅手段(35)と、
・前記増幅された信号をそれぞれフィルタリングする複数の前記フィルタリング手段(36)と、
・前記フィルタリングされた信号をそれぞれ処理し、処理された信号を前記抽出手段(13)に送るための、複数の前記非線形力学系(8)からなる非線形力学ネットワーク(38)と
を有し、
前記抽出手段(13)が、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記フィルタリングされた信号から前記特徴を抽出する手段であり、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)が、変数の時間経過を
- 前記変数
及び/又は
- 前記非線形力学系(8)の別の方程式(9)に含まれる少なくとも1つの他の変数
及び/又は
-前記ネットワーク(38)の各
非線形力学系(8)が、前記ネットワーク(38)の少なくとも1つの他の非線形力学系(8)と相互依存しているようにして前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つにも含まれる少なくとも1つの他の変数
の関数として時間経過を指定する少なくとも1つの微分方程式(9)を含み、
前記フィルタリングされた信号の各々が、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の前記変数の少なくとも1つに対応し、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において
- 前記方程式(9)の少なくとも1つが、前記フィルタリングされた信号の1つに前記第1の係数(k
i)を乗算したものに対応する前記変数を備え、
- 前記方程式(9)の各々が、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つに含まれてなく、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)を乗算した前記変数の少なくとも1つを備え、
- 前記方程式(9)の少なくとも1つが、前記フィルタリングされた信号の1つに対応しておらず、前記ネットワーク(38)の別の非線形力学系(8)の前記方程式(9)の1つに含まれており、第3の係数(g
i、j)を乗算した前記変数の少なくとも1つを備え、
- 前記第1のメモリ(10)が、前記第1の係数(k
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
- 前記第2のメモリ(11)が、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれについて、当該第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)により想定される少なくとも1つの値を記憶するのに適しており、
前記抽出手段(13)に送られる前記信号が、前記方程式(9)の前記変数に対応し、
さらに、
・前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれについて、当該第3の係数(g
i、j)により想定される少なくとも1つの値を記憶する第3のメモリ(39)
を有し、
前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)について、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値が、前記抽出手段(13)に送られた前記信号において、その人の脳の状態の分類に関連する前記特徴のうち1つ以上が明らかにされる及び/又は強化されるようにして、前記フィルタリングされた信号を前記非線形力学系(8)で処理するようになっていること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正31】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記抽出手段(13)は、
・前記非線形力学系(8)で処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記フィルタリングされた信号から、
だけでなく
・前記非線形力学系(8)によって処理されていない前記フィルタリングされた信号から、
又は
・前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されずにフィルタリングされた前記信号から、
前記特徴を抽出する手段であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正32】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
・非線形変換器(7)を有し、
前記非線形変換器(7)が、
- ダイナミクスの特定範囲を強調するように前記フィルタリングされた信号を変換し、そして
- 変換された信号(20)を前記非線形力学系(8)へ送るために設けられ、
前記非線形力学系(8)が前記非線形変換器(7)によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのに適し、
又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には
・複数の非線形変換器(37)を有し、
前記複数の非線形変換器(37)が、
- 前記信号のダイナミクスの特定範囲を強調するように、前記フィルタリングされた信号を変換し、そして
- 変換された信号を、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)に送るために設けられ、
前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)が、前記非線形変換(37)によって変換された後の前記フィルタリングされた信号を処理するのにそれぞれ適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正33】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
請求項4に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記抽出手段(13)が、前記特徴を
・前記非線形力学系(8)で処理された後の前記変換された信号(20)から、
又は
・前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合に、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された後の前記変換された信号から、
だけでなく
・前記非線形力学系(8)によって処理されていない前記変換された信号(20)から、
又は
前記
非線形力学系(8)が複数の場合、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)からの前記変換されたが処理されていない信号から
抽出するだけでないこと
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正34】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)、又は前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の少なくとも1つの非線形力学系(8)が、少なくとも3つの前記方程式(9)を含むこと
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正35】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
請求項10に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記方程式(9)を備える前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の係数(k、k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)の値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)の値は、前記非線形力学系(8)、又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、少なくとも3つの前記方程式(9)を備える前記ネットワーク(38)の前記非線形力学系(8)のうちの少なくとも1つが、カオス性の挙動を有するような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正36】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数(k、k
i)の値、 前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)の値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)の値は、前記非線形力学系(8)において、又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の前記非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、創発現象が生じるような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正37】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記非線形力学系(8)において、又は、前記
非線形力学系(8)が1つ以上である場合には前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の少なくとも1つにおいて、前記第1の係数の値(k、 k
i)、前記第2の係数の値(a、b、c、a
i、b
i、c
i)、及び存在する場合には、前記第3の係数の値(g
i、j)は、前記非線形力学系、又は前記
非線形力学系が複数の場合には、前記ネットワークの非線形力学系のうちの前記少なくとも1つの非線形力学系が固有のダイナミクスを有するような値であること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正38】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
・前記分類器(14)から前記コマンドを受け取り、前記物理的アクションを実行するマシン(3)と、
・前記非線形力学系(8)において、又は前記
非線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記第1の係数(k、k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を更新するための監視ユニット(16)と
を有すること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正39】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項15
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項15】
請求項14に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1)であつて、
前記想像上のアクションと前記物理的なアクションとの間の対応関係の適切な評価を前記監視ユニット(16)に伝達するために、
人(2)によって操作可能なフィードバック手段(15)を有し、
前記監視ユニット(16)は、
・入力として
- 前記フィルタリングされ、そして前記非線形変換器(7)が存在する場合には、前記
非線形力学系(8)で処理されず変換(20)される可能性がある信号を
又は、
前記
非線形力学系(8)が複数の場合には
-前記フィルタリングされ、前記非線形変換器(37)が存在する場合には、変換されるが、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理されてなく、また、存在する場合には、前記第2の評価手段(41)によって評価されていない信号を受け取り、
・前記非線形力学系(8)において、又は、
非線形力学系(8)が複数の場合には前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記
人(2)から伝達された評価にしたがって、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び、存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正40】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項16】
請求項14に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(33)であって、
・前記人(2)の脳活動に直接関連しない少なくとも1つのさらなる生理的信号を取得するために、前記人(2)に適用可能なさらなる取得手段(42)と、
・前記マシン(3)による前記物理的アクションの実行を検出するための、前記マシン(3)の監視手段(43)と
を有し、
前記監視ユニット(16)は、
・前記更なる生理的信号の検査から、前記想像上のアクションと前記物理的アクションとの間の対応関係を評価し、そして
・前記非線形力学系(8)において、又は前記
非線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の各非線形力学系(8)において、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合には、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を、前記監視ユニット(16)によって行われた評価に従って更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【手続補正41】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項17
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項17】
請求項15又は16に記載のブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム(1、33)であって、
前記監視ユニット(16)が、
・入力としてまた
- 前記非線形力学システム(8)によって処理された前記信号
又は
-前記
非線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号を
受信し、
そして、
・前記非線形力学系(8)において、又は前記
非線形力学系(8)が複数の場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)の各々において、前記第1の係数(k
i)の値、前記第2の係数(a、b、c、a
i、b
i、c
i)のそれぞれの値、及び存在する場合は、前記第3の係数(g
i、j)のそれぞれの値を、前記非線形力学系(8)によって処理された前記信号の関数として、又は、前記非線形力学系(8)が1つ以上である場合には、前記ネットワーク(38)の非線形力学系(8)によって処理された前記信号の関数として、更新する
のに適していること
を特徴とするブレイン・コンピュータ・インタフェースシステム。
【国際調査報告】