(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】破片、穿刺および/または切断防護を有する繊維シート材料
(51)【国際特許分類】
F41H 1/02 20060101AFI20221202BHJP
A41D 31/24 20190101ALI20221202BHJP
A41D 31/08 20190101ALI20221202BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20221202BHJP
A41D 31/14 20190101ALI20221202BHJP
【FI】
F41H1/02
A41D31/24
A41D31/08
A41D31/00 502B
A41D31/00 502C
A41D31/00 503B
A41D31/00 503E
A41D31/14
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022513906
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2020052252
(87)【国際公開番号】W WO2021043447
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/025294
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/051301
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505065467
【氏名又は名称】ブリュッヒャー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】バッゲン、ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】フォークト、サラ
(57)【要約】
【課題】 本発明の課題は、特に起爆や爆発によって放出される破片に対して高い防護性能を発揮すると同時に、防護服として使用する場合には着心地が良く、機器や製品の防護材料として使用する場合には防護対象への適応性が高い防護材料を提供するものである。
【解決手段】 本発明の繊維シート材料(シート構造体)(1)は、繊維シート材料(1)を形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)からなり、前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PENマルチフィラメントヤーン(3)からなり、前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなり、前記UHMW-PE個別フィラメントヤーン(3)は、前記UHMW-PE個別フィラメント(4)を撚り合わせることによって相互に連結され、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、軍用および/または民間用の防護服または防護具に使用するための、破片防護、穿刺防護および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えた繊維シート材料(シート構造体)(1)であって、
前記繊維シート材料(1)は、繊維シート材料(1)を形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)、特にマルチフィラメントヤーンシステムからなるかまたはそれらからなること、
前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PENマルチフィラメントヤーン(3)からなるかまたはそれらから形成されること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなるかまたはそれから形成されており、前記UHMW-PE個別フィラメントヤーン(3)は、前記UHMW-PE個別フィラメント(4)を撚る(撚り合わせる)ことによって、好ましくはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)を形成すべく相互に連結され、そして相互に組み合わせられ、そして特に一緒に撚られており、撚り合わされ、そしてねじ合わされるものであること、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有することを特徴とする繊維シート材料。
【請求項2】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも5本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に少なくとも10本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは少なくとも20本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましくは少なくとも40本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に好ましくは少なくとも60本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、非常に特に好ましくは少なくとも80本のUHMW-PE個別フィラメント(4)
からなるかまたはそれから形成されること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)が、多くても500本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に多くても400本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは多くても300本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましく多くても200本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に好ましく多くても160本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、非常に特に好ましく多くても120本のUHMW-PE個別フィラメント(4)から成るかまたはそれから形成されること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、とりわけ好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特により好ましくは90~120本のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなることを特徴とする請求項1記載のシート材料。
【請求項3】
特にDIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ少なくとも0.2dtex、特に少なくとも0.5dtex、好ましくは少なくとも0.8dtex、より好ましくは少なくとも1dtex、特に好ましくは少なくとも1.2dtex、非常に特に好ましくは少なくとも1.5dtexの線密度(繊度)を有すること;および/または、
特にDIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ、最大30dtex、特に最大10dtex、好ましくは最大5dtex、より好ましくは最大3dtex、特に好ましくは最大2.8dtex、特により好ましくは最大2.5dtexの線密度(繊度)を有すること;および/または、
特にDIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ、0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3dtex、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線形密度(繊度)を有していること;および/または、
特にDIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、互いに少なくとも実質的に同一のタイター(繊度)を有すること、特に互いからのそれぞれのタイター(繊度)の偏差が、より小さい値に対して最大10%、特に最大5%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大1%であることを特徴とする請求項1または2記載のシート材料。
【請求項4】
UHMW-PE個別フィラメント(4)はそれぞれ、少なくとも7.5μm、特に少なくとも10μm、好ましくは少なくとも12.5μm、より好ましくは少なくとも15μm、特に好ましくは少なくとも17.5μmの直径を有していること;および/または、
UHMW-PE個別フィラメント(4)はそれぞれ、最大50μm、特に最大45μm、好ましくは最大40μm、より好ましくは最大30μm、特に好ましくは最大22.5μmの直径を有していること;および/または、
UHMW-PE個別フィラメント(4)はそれぞれ、7.5μm~50μmの範囲内、特に10μm~45μmの範囲内、好ましくは12.5μm~40μmの範囲内、より好ましくは15μm~30μmの範囲内、特により好ましくは17.5μm~22.5μmの範囲内の直径を有していること;および/または、
UHMW-PE個別フィラメント(4)は、互いに少なくとも実質的に同一の直径を有すること、特に、お互いからのそれぞれの直径の偏差が、小さい方の値に対して最大で10%、特に最大で5%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で1%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項5】
UHMW-PE個別フィラメント(4)は、少なくとも実質的に全体がUHMW-PEから形成されるかまたはUHMW-PEからなること;および/または、
前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は、UHMW-PEに加えて、少なくとも実質的にさらなる含有物および/または成分、特に接着剤などを有しないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項6】
前記UHMW-PE個別フィラメント(4)が、それぞれ連続フィラメントとして形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項7】
前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は、マルチフィラメントヤーン(3)を形成するために、撚られおよび/または撚り合わされおよび/またはお互いに撚り合わされ、好ましくは撚り合わされおよび/またはお互いに撚り合わされていること;および/または、
前記マルチフィラメントヤーン(3)を形成するためのUHMW-PE個別フィラメント(4)は、マルチフィラメントヤーン(3)において、撚られおよび/または撚り合わせされおよび/または互いの間が(互いに)撚られ、好ましくは撚り合わされおよび/または、互いの間が(互いに)撚り合わされるように配置されていること;および/または、
それぞれUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それ自身の上に少なくとも実質的に撚られていないこと、および/または、それぞれのUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それ自身の上に少なくとも実質的に撚られていないことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項8】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、撚られているかおよび/または回転されること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向に撚られおよび/または回転されること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO 2061よって測定される少なくとも60T/m(ターン/メートル)、特に少なくとも65T/m、好ましくは少なくとも70T/m、より好ましくは少なくとも75T/mのヤーンおよび/またはスレッド撚りを有していること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO]2061によって測定される最大140T/m(ターン/メートル)、特に最大120T/m、好ましくは最大100T/m、より好ましくは最大90T/mのヤーンおよび/またはスレッド撚りを有していること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO2061よって測定される60T/m~140T/mの範囲内、特に65T/m~120T/mの範囲内、好ましくは70T/m~100T/mの範囲内、より好ましくは75T/m~90T/mの範囲内のヤーンおよび/またはスレッド撚りを有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項9】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2060によって測定される少なくとも155dtex、特に少なくとも160dtex、好ましくは少なくとも180dtex、より好ましくは少なくとも190dtex、特に好ましくは少なくとも195dtexのタイター(繊度、ヤーン繊度)を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2060によって測定される最大450dtex、特に最大400dtex、好ましくは最大350dtex、より好ましくは最大300dtex、特に好ましくは最大260dtexのタイター(繊度、ヤーン繊度)を有すること;おyほび/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO2060によって測定される155dtex~450dtexの範囲内、特に160dtex~400dtexの範囲内、好ましくは180dtex~350dtexの範囲内、より好ましくは190dtex~300dtexの範囲内、特に好ましくは195dtex~275dtexの範囲内、特により好ましくは195dtex~260dtexの範囲内におけるタイター(繊度、糸の細さ)を有することを特徴とする請求項1~8記載のシート材料。
【請求項10】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも30μm、特に少なくとも60μm、好ましくは少なくとも90μm、より好ましくは少なくとも120μm、特に好ましくは少なくとも125μmの直径を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、最大で750μm、特に最大で500μm、好ましくは最大で400μm、より好ましくは最大で300μm、特に好ましくは最大で200μmの直径を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、30μm~750μmの範囲内、特に60μm~500μmの範囲内、好ましくは90μm~400μmの範囲内、より好ましくは120μm~300μmの範囲内、特に好ましくは125μm~200μmの範囲内の直径を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項11】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される少なくとも50cN/tex、特に少なくとも100cN/tex、好ましくは少なくとも150cN/tex、より好ましくは少なくとも200cN/tex、特に好ましくは少なくとも300cN/texの繊度関連の最大引張強さを有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO2062によって測定される最大750cN/tex、特に最大600cN/tex、好ましくは最大500cN/tex、より好ましくは最大450cN/tex、特に好ましくは最大400cN/texの繊度関連の最大引張強さを有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される50cN/tex~750cN/texの範囲内、特に100cN/tex~600cN/texの範囲内、好ましくは150cN/tex~500cN/texの範囲内、より好ましくは200cN/tex~450cN/texの範囲内、特に好ましくは300cN/tex~400cN/texの範囲内の繊度関連の最大引張強さを有するものであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項12】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される少なくとも1%、特に少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも3%、特に好ましくは少なくとも3.25%の最大引張伸度を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される最大9%、特に最大7%、好ましくは最大5%、より好ましくは最大4%、特に好ましくは最大3.75%の最大引張伸度を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される11%~9%の範囲内、特に1.5%~7%の範囲内、好ましくは2%~5%の範囲内、より好ましくは3%~4%の範囲内、特に好ましくは3.25%~3.75%の範囲内の最大引張伸度を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項13】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、55N/tex~295N/texの範囲内、特に80N/tex~245N/texの範囲内、好ましくは110N/tex~190N/texの範囲内の弾性率を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、825kg/m
3~1,175kg/m
3の範囲内、特に850kg/m
3~1,150kg/m
3の範囲内、好ましくは900kg/m
3~1,100kg/m
3の範囲内、、より好ましくは925kg/m
3~1,000kg/m
3の範囲内、特に好ましくは975kg/m
3~995kg/m
3の範囲内の密度を有すること;および/または、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、75%~95%の範囲内、特に77.5%~92.5%の範囲内、好ましくは80%~90%の範囲内、より好ましくは82.5%~85%の範囲内の結晶化度を有することを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項14】
前記シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、織物編物の形態でありおよび/または織物編物として存在すること、特にシート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、一方で複数のステッチ(5)を有し、他方で任意でそれとは異なる少なくとも1つの結合エレメント(6)を有することを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項15】
前記シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、編物の形態でありおよび/または編物であり、特に経糸編物でありおよび/または緯糸編物の形態であり、好ましくは編物の形態であること、および/または、前記シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、好ましくは編物として、編物の形態でありおよび/または編物であり、特に緯糸編物でありおよび/または経糸編物であること;および/または、
前記シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、編物の形態であることを特徴とする請求項1~14のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項16】
特に編物の形態の前記織物編物が、フリンジ、トリコット、クロス、サテン、ベルベットおよびアトラスからなる群から選択される下地を有すること;および/または、
特に編物の形態の前記織物編物は、右/左(RL)、右/右(RR)または左/左(LL)ステッチ織り、好ましくは右/右(RR)ステッチ織りを有すること;および/または、
特に編物の形態の前記織物編物は、ジャージおよび/またはインターロック編物の形態であり、特にインターロック編物の形態であり、および/または、好ましくはジャージおよび/またはインターロック編物、好ましくはインターロック編物の形態であること;および/または、
特に編物の形態の前記織物編物が、少なくとも1つのリブ構造を有すること;および/または、
特に編物の形態の前記織物編物は、リブ状隆起、好ましくは縦リブを有すること、特にリブ状隆起、特に縦リブは、少なくとも実質的に直線的におよび/または互いに平行に延出しおよび/または配置されていることを特徴とする請求項14または15記載のシート材料。
【請求項17】
前記結合エレメント(6)は、ハンドル、フロート、緯糸、部分緯糸および立毛糸、好ましくはハンドルおよびフロートの群から選択されること;および/または、
前記結合エレメント(6)は、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)および/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)とは異なる別のおよび/またはさらなるUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3’)から形成されることを特徴とする請求項14~16のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項18】
特に織物編物の形態である前記シート材料(1)は、特にDIN EN 12 127:1997によって測定される少なくとも80g/m
2、特に少なくとも100g/m
2、好ましくは少なくとも150g/m
2、より好ましくは少なくとも200g/m
2、特に好ましくは少なくとも220g/m
2bの単位面積当たりの重量を有すること;および/または、
特に織物編物の形態である前記シート材料(1)は、特にDIN EN 12 127:1997によって測定される最大で1000g/m
2、特に最大で750g/m
2、好ましくは最大で500g/m
2、より好ましくは最大で350g/m
2、特に好ましくは最大で305g/m
2の単位面積当たりの重量を有すること;および/または、
特に織物編物の形態である前記シート材料(1)は、特にDIN EN 12 127:1997によって測定される80g/m
2~1000g/m
2の範囲内、特に100g/m
2~750g/m
2の範囲内、好ましくは150g/m
2~500g/m
2の範囲内、より好ましく200g/m
2~350g/m
2の範囲内、特に好ましく220g/m
2~305g/m
2の範囲内の単位面積当たりの重量を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項19】
特に織物編物の形態のシート材料(1)は、0.1mm~50mmの範囲内、特に0.2mm~25mmの範囲内、好ましくは0.3mm~15mmの範囲内、より好ましくは0.4mm~10mmの範囲内、特に好ましくは0.5mm~5mmの範囲内、特により好ましくは0.6mm~2.5mmの範囲内の厚さを有することを特徴とする請求項1~18のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項20】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、2~25ウェール/cmの範囲内、特に4~20ウェール/cmの範囲内、好ましくは5~17ウェール/cmの範囲内、より好ましくは6~15ウェール/cmの範囲のウェール(ウェール/cm)の数および/または密度を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、2~40ステッチ列/cmの範囲内、特に5~30ステッチ列/cmの範囲内、好ましくは8~25ステッチ列/cmの範囲内、より好ましくは10~23ステッチ列/cmの範囲内のステッチ列(ステッチ列/cm)の数および/または密度を有していることを特徴とする請求項1~19のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項21】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向および/または横方向の、互いに独立した、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して少なくとも2%、特に少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、より好ましくは少なくとも10%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
ここで、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向および/または横方向の、互いに独立した、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して最大50%、特に最大40%、好ましくは最大35%、より好ましくは最大30%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向および/または横方向の、互いに独立した、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して2%~50%の範囲内、特に5%~40%の範囲内、好ましくは7%~35%の範囲内、より好ましくは10%~30%の範囲内の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して少なくとも1%、特に少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して最大10%、特に最大7%、好ましくは最大5%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される縦方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して1%~10%の範囲内、特に1.5%~7%の範囲内、好ましくは2%~5%の範囲内の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される横方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して少なくとも5%、特に少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される横方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して最大50%、特に最大40%、好ましくは最大35%の総延伸度(総伸張度)を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN 53835-14によって測定されおよび/または特に20Nで測定される横方向の、特にシート材料(1)の未延伸状態に対して5%~50%の範囲内、特に10%~40%の範囲内、好ましくは15%~35%の範囲内の総延伸度(総伸張度)を有することを特徴とする請求項1~20のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項22】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の前記シート材料(1)は、STANAG2920によって測定される破片および/または弾道防護値V
50が、少なくとも185m/s、特に少なくとも200m/s、好ましくは少なくとも230m/s、より好ましくは少なくとも275m/s、特に好ましくは少なくとも305m/s、特により好ましくは少なくとも320m/s、さらに好ましくは少なくとも325m/s、さらにより好ましくは少なくとも330m/sを有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の前記シート材料(1)は、STANAG2920によって測定される185m/s~900m/sの範囲内、特に200m/s~800m/sの範囲内、好ましくは230m/s~700m/sの範囲内、より好ましくは275m/s~650m/sの範囲内、特に好ましくは305m/s~600m/sの範囲内、特により好ましくは320m/s~575m/sの範囲内、さらに好ましくは325m/s~550m/sの範囲内、さらにより好ましくは330m/s~530m/sの範囲内の破片および/または弾道防護値V
50を有することを特徴とする請求項1~21のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項23】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、親水性仕上げを備え、および/または、特に少なくとも1つの親水化剤を用いて親水化が施されたものであること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、少なくとも1つの親水化剤によって処理されおよび/または親水化剤を有しおよび/または親水化剤と反応することを特徴とする請求項1~22にいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項24】
親水化および/または処理および/または仕上げおよび/または親水化剤への曝露は、(i)水分の吸収および/または移動を改善および/または増加させること、および/または、(ii)静電荷を改善および/または低減させることおよび/または特に摩擦から生じる静電荷の消散を改善および/または増加させること、および/または、(iii)積層および/または汚れの改善および/または低減、および/または、(iv)特に洗濯および/または洗濯中の汚れ除去の改善および/または増加を目的として実行されることを特徴とする請求項23記載のシート材料。
【請求項25】
前記親水化剤は、特にシート材料(1)に関して、(i)吸湿および/または水分移動の改善および/または増加、および/または、(ii)静電荷の改善および/または減少および/または特に摩擦から生じる静電荷の消散の改善および/または増加、および/または、(iii)汚れおよび/または汚染の改善および/または減少、および/または、(iv)特に洗濯および/または浄化の間における汚れの除去における改善および/または増加をもたらす親水化剤から選択されることを特徴とする請求項23または24記載のシート材料。
【請求項26】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の前記シート材料(1)は、親水化および/または処理および/または親水化剤の適用の結果として、および/または、特に親水化なしおよび/または処理なしおよび/または仕上げなしおよび/または親水化剤の適用なしの対応するシート材料と比較して、(i)改善されたおよび/または増加した水分吸収、および/または、改善されたおよび/または増加した水分移動、および/または、(ii)減少した静電気および/または特に摩擦から生じる静電気の向上した消散、および/または、(iii)特に減少した汚れおよび/または汚染、および/または、(iv)特に選択中および/または洗浄中の改善したおよび/または増加した汚れ除去を有することを特徴とする請求項23~25のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項27】
前記親水化剤は、(i)少なくとも1つの不飽和カルボン酸に基づくポリマー、特に少なくとも1つの不飽和C
3-C
6-カルボン酸に基づくポリマー、好ましくはポリアクリル酸、(ii)アクリル酸および/またはメタクリル酸のコモノマー、特にアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートとのコポリマー、(iii)特にポリマーおよび/またはアルキルフェノール誘導体、特にポリマーのアルコキシル化生成物、特にエトキシル化生成物(オキセチル化生成物)、(iv)特に、一方で親水性部分および/または領域を有し、他方で疎水性部分および/または領域を有する、好ましくは親水性ブロックと疎水性ブロックを有するブロック(コ)ポリマーの形態の変性フルオロポリマー、(v)それらの混合物またはそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項23~26のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項28】
親水化および/または処理および/または仕上げおよび/または親水化剤への曝露は、特にシート材料(1)および/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)および/またはUHMW-PE個別フィラメント(4)の表面における親水性化学基および/または親水性コーティング(フィルム)の適用および/または生成により影響を受けることを特徴とする請求項23~27のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項29】
親水化および/または処理および/または仕上げおよび/または親水化剤の適用は、完成したシート材料(1)に対して実行されたものであること特徴とする請求項23~27のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項30】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、TEGEWA試験によって測定される最大5秒、特に最大4秒、好ましくは最大3秒、より好ましくは最大2秒、特に好ましくは最大1秒の親水性を有することを特徴とする請求項1~29のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項31】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN 388(6.3項)によるおよび/またはEN ISO13997よる少なくとも1ニュートン、特に少なくとも2ニュートン、好ましくは少なくとも2.5ニュートン、より好ましくは少なくとも2.9ニュートンの耐切断性を有することを特徴とする請求項1~30のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項32】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN 388による少なくとも11ニュートン、特に少なくとも13ニュートン、好ましくは少なくとも15ニュートンの引裂強度を有することを特徴とする請求項1~31のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項33】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN ENISO12947-2によって測定されおよび/または特に12kPaで測定された少なくとも100,000サイクル、特に少なくとも125,000サイクル、好ましくは少なくとも150,000サイクルの耐磨耗性を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN ISO 12947-2によって測定されおよび/または特に12kPaで測定される最大1,000,000サイクル、特に最大800,000サイクル、好ましくは最大500,000サイクルの耐磨耗性を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN ISO 12947-2により測定されおよび/または特に12kPaで即詠される100,000ツアー~1,000,000ツアーの範囲内、特に125,000ツアー~800,000ツアーの範囲内、好ましくは150,000ツアー~500,000ツアーの範囲内の耐磨耗性を有することを特徴とする請求項1~32のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項34】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、ガス透過性、好ましくは空気透過性であること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN ISO 9237によって測定されおよび/または特に100Paで測定される少なくとも100L/m
2*s、特に少なくとも300L/m
2*s、好ましくは少なくとも500L/m
2*s、より好ましくは少なくとも800L/m
2*s、特に好ましくは少なくとも1,000L/m
2*s、特により好ましくは少なくとも1,100L/m
2*sのガス浸透性、好ましくは空気浸透性を有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にDIN EN ISO 9237によって測定されおよび/または特に100Paで測定される100L/m
2*s~5,000L/m
2*sの範囲内、特に300L/m
2*s~4,000L/m
2*sの範囲内、好ましくは500L/m
2*s~3,500L/m
2*sの範囲内、より好ましくは800L/m
2*s~3,000L/m
2*sの範囲内、特に好ましくは1,000L/m
2*s~2,500L/m
2*sの範囲内、特により好ましくは1,100L/m
2*s~2,000L/m
2*sの範囲内の気体透過性を有することを特徴とする請求項1~33のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項35】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、水蒸気に対して透過性を有するように形成されていること;
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、特にISO 11092によって測定される最大18(m
2*Pa)/W、特に最大14(m
2*Pa)/W、好ましくは最大9(m
2*Pa)/W、より好ましくは最大4(m
2*Pa)/Wの定常状態条件下での水蒸気透過抵抗Retを有すること;および/または、
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、洗浄処理後、特にシート材料(1)の未処理状態に対して、最大15%、特に最大12%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大8%の長手方向および/または横方向の互いに独立した寸法変化を有することを特徴とする請求項1~34のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項36】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、少なくとも1つの特にシート織物材料と組み合わされ及および/または一体化され、特に結合されることを特徴とする請求項1~35のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項37】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)と前記織物材料は、共通の平面に配置されおよび/または共通の平面を形成しおよび/または好ましくは閉じた平面を形成することを特徴とする請求項36記載のシート材料。
【請求項38】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)と前記織物材料は、それぞれ縁部で互いに接合されており、好ましくは縫製および/または編込み、溶接、接着等の手段によって接合されていることを特徴とする請求項37記載のシート材料。
【請求項39】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)および織物材料は、異なる平面および/または他の平面の上方にある平面および/または他の平面の最上部の平面に配置されていることを特徴とする請求項36記載のシート材料。
【請求項40】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)と織物材料は、好ましくは縫製および/または編み込みによって、溶接、接着などの手段によって、好ましくは縫製および/または編み込みによって互いに対して緩く配置されているかまたは互いに接続されていることを特徴とする請求項39記載のシート材料。
【請求項41】
前記織物材料が、ガス透過性、特に空気透過性および/または水蒸気透過性であること;および/または、
前記繊維材料が、編物、特に編物またはかぎ針編物;織物;スクリムまたは織物複合体、特に編み物または織物の形態であること;および/または、
前記織物材料は、60g/m
2~750g/m
2の範囲内、特に70g/m
2~525g/m
2の範囲内、好ましくは80g/m
2~325g/m
2の範囲内、より好ましくは90g/m
2~275g/m
2の範囲内の基礎重量を有していることを特徴とする請求項36~40のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項42】
前記織物材料は、天然材料および合成材料の群から選択される、好ましくは、綿;羊毛;麻;ポリエステル;ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;酢酸塩、特にセルロース酢酸塩;トリアセテート、特にセルローストリ酢酸塩;ポリアクル;ポリアミド;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリビニルエステル;ビスコース;ならびにこれらの混合物または組み合わせから選択される少なくとも1種類のヤーン、撚りヤーン、スレッドおよび/またはファイバーを有すること;および/または、
前記織物材料は、少なくとも実質的に成分、特にUHMW-PEをベースとするヤーンおよび/またはファイバーおよび/またはツインおよび/またはスレッドを含まないことを特徴とする請求項36~41のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項43】
前記織物材料は、耐火性および/または難燃性であるように設計されていること、および/または、前記織物材料は、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態またはその構成要素としての少なくとも1つの耐火性および/または難燃性材料からなること、特に耐火性および/または難燃性材料は、少なくとも1つのアラミド、特にメタアラミドであること、および/または、織物材料は、織物材料を基準として、1重量%~100重量%の範囲内、特に2重量%~95重量%の範囲内、好ましくは5重量%~90重量%の範囲内、より好ましくは10重量%~85重量%の範囲内の量の耐火性および/または難燃性材料を含んでいること;および/または、
前記織物材料は、帯電防止であること、および/または、前記織物材料は、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態のまたはその成分としての少なくとも1つの帯電防止材料を含んでいること;および/または、
前記織物材料は、弾性的および/または可逆的に伸長可能であるように設計されていること、特に織物材料は、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態のまたはその構成要素としての、特に合成ポリマー材料に基づく、好ましくは構成要素がポリウレタンおよびポリエチレングリコールを有するブロックコポリマーに基づく少なくとも1つの弾性的および/または可逆的に伸長可能な材料を有していること、および/または、特にさらなる織物材料は、織物材料を基準にして、1~25重量%の範囲内、特に2~20重量%の範囲内、好ましくは2~15重量%の範囲内の量の弾性的および/または可逆的に伸長可能な材料を有していることを特徴とする請求項36~42のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項44】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)および/または織物材料が、好ましくは粒状の活性炭粒子(「粒状炭素」)または球状(「球状炭素」)の形態の化学的毒物および/または化学兵器剤を吸着する吸着剤、特に活性炭に基づく材料を追加的に充填されおよび/または有すること、特に前記吸着剤は、特に不連続に、好ましくはドットの形態で塗布される接着剤によって、シート材料(1)および/または織物材料に固定されることを特徴とする請求項1~43のいいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項45】
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子の平均直径は、0.01~2mm、好ましくは0.05~1mm、より好ましくは0.1~0.5mmであること;および/または、
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子は、40~250g/m
2の範囲内、特に50~180g/m
2の範囲内、好ましくは55~130g/m
2の範囲内の量で使用されること;および/または、
前記活性炭は、特に有機ポリマーに基づく合成および/または非天然の出発物質の炭化およびその後の活性化によって取得可能であること;および/または、
前記活性炭は、有機ポリマーに基づく、特に硫化有機ポリマーに基づく、好ましくはジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づく、好ましくはスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーに基づく出発材料から、特に出発材料の炭化とその後の活性化によって得られ、特に出発材料中のジビニルベンゼンの含有量が、1重量%~20重量%の範囲内、特に1~15重量%の範囲内、好ましくは1.5重量%~12.5重量%の範囲内、より好ましくは2重量%~10重量%の範囲内であること;および/または、
特に、前記出発材料が、特にゲルタイプの特に硫化されたおよび/またはスルホン酸基を含むイオン交換樹脂であること;および/または、
前記活性炭としてポリマーベースの球状活性炭(PBSAC)が使用されおよび/または前記活性炭がポリマーベースの球状活性炭(PBSAC)であることを特徴とする請求項44記載のシート材料。
【請求項46】
前記シート材料(1)は、任意に織物材料と共に、防護製品、特に防護衣および/または防護具の構成要素でありおよび/またはそれらを形成することを特徴とする請求項1~45のいずれか1つに記載のシート材料。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか1つに記載の特に軍用および/または民間用の防護服または防護具に使用するための、破片、穿刺および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えたシート材料(シート構造)(1)であって、
前記繊維シート材料(1)は、繊維シート材料(1)を形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)、特にマルチフィラメントヤーンシステムからなるまたはそれらからなること、
前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)から構成されるかまたはそれらから形成されること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の少なくとも実質的に同一および/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなるかまたはそれから形成されること、UHMW-PE個別フィラメント(4)は、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)を形成するために、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)を撚る(撚り合わせる)手段によって、互いに接続しおよび/または互いに結合されおよび/または接合されおよび/または結合され、特に撚られ(撚り合わされ)ること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特により好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなること、および/または、UHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3dtexの範囲内、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線密度(繊度)を有すること;および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有すること特徴とするシート材料。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか1つに記載の、特に軍用および/または民間用の防護服または防護具に使用するための、破片、穿刺および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えたシート材料(シート構造)(1)であって、
繊維シート材料(1)は、繊維シート材料(1)、特にマルチフィラメントヤーンシステムを形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)を有するかまたはそれらからなること、
前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)からなるかまたはそれらから形成されること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の少なくとも実質的に同一および/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなるかまたはそれから形成されること、前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)を形成するために、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)を互いに撚る(撚り合わせる)手段によって、互いに接続しおよび/または互いに組み合わせおよび/またはお互いにまとめ、特に撚り合わせおよび/または撚られる(撚り合わせる)こと、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特により好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなること、および/または、UHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3dtexの範囲内、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線密度(繊度)を有すること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有すること、および、
前記シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、織物編物の形態、特に編物の形態および/または編物の形態、好ましくは編物の形態であり、シート材料(1)および/またはヤーンシステム(2)は、一方で多重のステッチ(5)、他方で、適切であれば、異なる少なくとも1つの結合エレメント(6)を有し、前記結合エレメント(6)は、ループ、フロート(浮き糸)、緯糸、部分緯糸および立毛糸からなる群から、好ましくはループおよびフロート(浮き糸)の群から選択されることを特徴とするシート材料。
【請求項49】
特に軍用および/または民間用の、破片、穿刺および/または切断の防護、好ましくは破片の防護を備えた防護製品、特に防護衣または防護具であって、
前記防護製品が、請求項1~48のいずれか1つに記載された少なくとも1つの繊維シート材料(1)を含むかまたはそれらからなること、および/または、
前記防護製品は、請求項1~48のいずれか1つに記載の繊維シート材料(1)を使用しておよび/または請求項1~48のいずれか1つに記載の繊維シート材料(1)を有して製造されること;および/または、
前記繊維シート材(1)は、織物編物の形態であり、好ましくは、編物の形態であること;および/または、
前記シート材料(1)は、一方で複数のメッシュ(5)からなり、他方で任意にそれとは異なる少なくとも1つの結合エレメント(6)からなり、該結合エレメント(6)は、ループ、フロート、緯糸、部分緯糸および立毛糸、好ましくはループおよびフロートからなる群から選択されることを特徴とする防護製品。
【請求項50】
特に軍用および/または民間用の、破片、穿刺および/または切断保護、好ましくは破片保護を備えた防護製品、特に防護衣または防護具であって、
素材は、少なくとも1つの繊維シート材料(1)を含むかまたはそれらからなること、
前記シート材料は、繊維シート材料(1)を形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)、特にマルチフィラメントヤーンシステムを有するかまたはそれらからなること、
前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)からなるかまたはそれらから形成されること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなるかまたはそれから形成されていること、UHMW-PE個別フィラメント(4)は、UHMW-PE個別フィラメント(4)を相互に撚る(撚り合わせる)手段によって、好ましくはUH<W-PEマルチフィラメントヤーン(3)を形成するために相互に結合されおよび/または相互に組み合わせられ、とりわけ一緒に撚られおよび/または撚り合わされていること、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有することを特徴とする請求項49に記載された防護製品。
【請求項51】
前記シート材料(1)が、請求項1~48のいずれか1つに記載されたように形成されることを特徴とする請求項50記載の防護製品。
【請求項52】
前記シート材料(1)は、領域および/または部分において、保護対象物に配置されること;および/または、
前記保護対象は、領域/または部分において、前記シート材料(1)によって形成されることを特徴とする請求項49~51のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項53】
前記シート材料(1)は、特に少なくとも部分的におよび/または領域的にまたは特に表面全体にわたって、保護対象物に単層で配置されていること;および/または、
前記シート材料(1)は、特に少なくとも部分的および/または領域においてまたは特に表面全体にわたって、保護対象物において多層に、好ましくは2層、3層、4層またはそれ以上に配置されていること、特に個々の層が、それぞれおよび/または別々のシート材料(1)によって形成されていることを特徴とする請求項49~52のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項54】
前記素材は、織物材料、特に平坦な織物材料、特に請求項36~44のいずれか1つに記載の織物材料をさらに含むこと;および/または、
前記織物材料は、編物、特に編物またはかぎ針編物;織物;スクリムまたは織物複合体、特に編物または織物の形態にあることを特徴とする請求項49~53のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項55】
前記シート材料(1)は、織物材料と組み合わされおよび/または一体化され、特に結合されることを特徴とする請求項54記載の防護製品。
【請求項56】
前記シート材料(1)および織物材料は、共通の平面内に配置されることおよび/または共通の平面を形成することおよび/または好ましくは閉鎖平面を形成すること;および/または
前記シート材料(1)および織物材料は、それぞれ縁部において、好ましくは縫製、溶接、接着などの手段により、好ましくは縫製および/または編み込み手段により、互いに接合されることを特徴とする請求項54または55記載の防護製品。
【請求項57】
前記シート材料(1)および織物材料は、異なる平面におよび/または互いの上におよび/または互いの上に配置されること;および/または、
前記シート材料(1)および繊維材料は、互いに対して緩く配置されているかまたは互いに接合されており、好ましくは縫製、溶接、接着などの手段によって、好ましくは縫製および/または編み込み手段によって、縁部で互いに接合されることを特徴とする請求項54または55記載の防護製品。
【請求項58】
前記織物材料が、ガス透過性、特に空気透過性、および/または水蒸気透過性であること;おおび/または、
前記織物材料は、編物、特に編物またはかぎ針編物;織物;スクリムまたは織物複合材料、特に編物または織物の形態であることを特徴とする請求項49~57のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項59】
前記保護物体および/またはシート材料(1)および/または繊維材料は、追加的に、吸着性の化学毒性および/または化学兵器剤を、特に活性炭に基づく、好ましくは粒状の活性炭粒子(「粒状炭素」)または球状(「球状炭素」)の形態の材料と作用させることおよび/または装備していることを特徴とする請求項49~58のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項60】
前記防護製品は、防護服、特に防護スーツ、防護ズボン、特に防護アンダーパンツまたは防護オーバーパンツ、防護シャツ、特に防護アンダーシャツまたは防護オーバーシャツ、防護ベスト、防護手袋、防護靴下、防護ヘッドギア等の形態にあること;および/または、
前記防護製品は、下着および/または外衣の形態の防護衣の形態であること;および/または、
前記防護服は、人用の衣服の形態であることを特徴とする請求項49~59のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項61】
前記シート材料(1)が、着用時に、大腿部、特に大腿部の前部、内部および/または後部、好ましくは大腿部の前部および/または内部;腰;性器;肛門および/または会陰部;下腿部、特に下腿部の前部、内部および/または後部、好ましくは下腿部の前部および/または内側;膝および/または膝下のくぼみの領域に及ぶこと;下腹部並びに膀胱および尿路;腰部並びに腎盂の領域;胴体、特に外側および/または後胴体の;上腕および/または下腕の;屈筋および/または肘の;肩の;首の;顔面領域、特に下顔面領域の;手の、特に手の甲の;および/または手首のおよび/または保護衣の着用状態で前記領域を少なくとも部分的に覆うおよび/または着用状態で前記領域に配置されていることを特徴とする請求項60記載の防護製品。
【請求項62】
前記防護製品は、防護具の形態であり、好ましくは製品を防護および/または被覆するためまたは被覆および/または裏張りするためであること、特に防護具は、平面および/または二次元構造、好ましくは大面積のまとまりの形態、特にワンピース構造、好ましくはカバー、布、シート、ブランケット、防水シート、マット等の形態であることを特徴とする請求項49~59のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項63】
前記製品は、定義された物理的範囲および/または定義された形状を有すること;および/または、
前記製品は技術的な製品であること;および/または、
前記製品は、機械的および/または電子的な製品であること;および/または、
前記製品は、民間または軍事製品、特に軍事製品、好ましくは技術的-軍事的、機械的-軍事的および/または電子的-軍事的な製品であること;および/または、
前記製品は、好ましくは軍用製品および軍用装置からなる群、好ましくは軍用製品および軍用装置からなる群から選択されること、好ましくは製品は、軍用車両、機械、武器、弾薬、予備部品、電子製品、付属品、設置物、設備、機器などからなる群から選択されること;および/または、
前記防護材料が、製品の物理的な拡張および/または形状に適合していること;および/または
前記保護材料は、人のための衣服として設計されていないことを特徴とする請求項62記載の防護製品。
【請求項64】
前記防護材料は、特に使用および/または適用の状態において、製品の外側に配置されること;および/または、
前記防護材料は、特に使用および/または適用状態において、部分的にまたは少なくとも実質的に完全に、好ましくは完全に対象物を覆うこと;および/または、
前記防護材料は、可逆的および/または非永久的(非永久的に)、好ましくは除去可能に製品に接合されることを特徴とする請求項62または63記載の防護製品。
【請求項65】
前記防護材料が、製品と一体化されていること;および/または、
前記防護材料が、製品の裏地を形成していること;および/または、
前記保護材料は、製品と一体となっていること;および/または、
前記保護材料と製品とは、一体となっていること;および/または、
前記保護材料は、特に、縫製、溶接、積層および/または接着により、対象物にしっかりとおよび/または恒久的に(永久的に)接続されること;および/または、
前記保護材料は、少なくとも実質的に表面全体にわたって製品に接着されていること;および/または、
前記保護材料が、少なくとも部分的に、特に点状、線状および/または格子状に製品に接続されていることを特徴とする請求項62または63記載の防護製品。
【請求項66】
前記防護対象が、特に、補完的および/または補足的および/または個別に適応可能な破片防護、好ましくは破片防護を形成および/または提供するための、少なくとも1つの破片防護エレメントを有することを特徴とする請求項49~65のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項67】
前記飛散防止エレメントが、少なくとも1つのシート材料(1)を有するかまたはそれらから形成されること;および/または、
前記シート材料(1)は、破片防護エレメントにおいて、特に少なくとも部分的におよび/または領域的にまたは特に表面全体にわたって、単一層において配置されること;および/または、
前記シート材料(1)は、特に少なくとも部分的および/または領域的に、または特に表面全体にわたって、破片防護エレメントにおいて、複数層、好ましくは2層、3層、4層、8層、16層およびそれ以上、好ましくは4層で配置されていること、特に個々の層が、それぞれおよび/または別々のシート材料(1)によって形成されていることを特徴とする請求項66記載の防護製品。
【請求項68】
破片防護エレメントが、保護対象物に着脱可能でありおよび/または取り外し可でありおよび/または取り外し可能に接続されること、特に破片防護エレメントが、保護対象物の受容手段、特に受容ポケットに挿入可能であることを特徴とする請求項66または67記載の防護製品。
【請求項69】
防護製品、特に防護衣および/または防護具、好ましくは軍用および/または民間領域において、破片保護、穿刺保護および/または切断保護、好ましくは破片保護を提供するためのおよび/または増加するための請求項1~48のいずれか1つに記載の少なくとも1つのシート材料(1)の使用。
【請求項70】
防護製品、特に防護衣および/または防護具、好ましくは軍用および/または民間部門において、破片保護、穿刺保護および/または切断保護、好ましくは破片保護を提供するおよび/または増大するための方法であって、請求項1~48のいずれか1つに記載の少なくとも1つのシート材料(1)が、シート材料(1)を形成するためにおよび/または製造するために使用されおよび/またはシート材料(1)に一体化されていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、特に破片、穿刺または切断に対する防護の提供に関して、特別な防護特性を有する繊維シート材料または織物防護材料の技術分野に関する。当該材料は、特に軍事または民間の分野において、個人防護の分野および軍事機器などの物体の防護の両方の分野で使用することができ、それによって、切断および穿刺武器および衝撃武器の影響に対する防護作用に加えて、作用(爆発)力または特に破片などの形態の弾道物体または発射物に対する防護作用も提供または保証される。
【0002】
このような背景に対して、本発明は、特に、軍用または民間用の防護服または防護具に使用することができ、破片、穿刺または切断防護を有する繊維シート材料(シート構造)に関するものである。
【0003】
本発明はまた、特に防護衣の形態であるまたは防護具の形態である防護製品であって、本発明による繊維シート材料からなるまたは形成される防護製品に関するものである。
【0004】
さらに、本発明は、防護衣または防護具の形態であり得るような防護製品において、破片、穿刺または切断防護を提供または増大するための本発明によるシート材料の使用にも関する。
【0005】
最後に、本発明は、当該防護製品において、破片、穿刺および/または切断防護を提供または増加させる方法にも関する。
【0006】
軍事部隊の兵士、国境警備員、警察官、保安要員など、軍事分野およびテロ警備に配置されている人は、軍事戦闘または保安任務、対テロ任務、特に軍事またはテロ警備のための任務など、その配置の過程で直接的または少なくとも潜在的に物理力または力の衝撃の危険にさらされることがよくある。このような効果は、例えば、銃器などから発射される発射物によって引き起こされるだけでなく、爆発装置の効果または爆発およびそれに伴う破片の放出[爆発装置から直接発生する一次破片に基づくものと、爆発の後続過程で放出または引き起こされる二次破片(一次破片の衝撃または爆発に伴う圧力波が他の物体に加わることによって生じ得る破片)に基づくものの両方]並びに飛散破片等の様々な物体によって及ぼされる力の結果としても引き起こされるものである。このような力の衝撃または暴力は、それによって影響を受ける人々にとってさらに大きな傷害のリスクと関連している。一般に、兵士、国境警備隊、警察官など、軍事任務に就いている者やテロ対策活動に関与している者にとって、いわゆる非従来型爆発装置(同義でIED(「即席爆発装置」)とも呼ばれる)は深刻な脅威である。このような爆発物は、戦争やテロ行為などにおいて、高い破壊力を持つ危険な道具である。
【0007】
また、このような非従来型の爆発物は、技術的な努力や予備知識がなくても製造できるという点でも問題である。また、そのような爆発物に基づいた材料と同様にそのような爆発物の大きさおよび外観は、千差万別であり、位置および同一性は、それに伴ってより困難になっている。非従来型爆発物は、その設計が単純であることが多いが、一次破片やそれに起因する二次破片の爆発的放出(一次破片の衝撃や圧力波が対応する物体等に発生・放出される)があるため、全断片放出に関しては、いわば危険で計り知れない増殖力を伴うことがある。また、非通常型爆発物の爆発は、大きな衝撃波の発生や火災・発熱を伴うため、さらに深刻な危険性がある。
【0008】
一般に、非通常型爆発装置の作動形態は、爆薬の起爆により爆発物が爆発し、それに伴って一次破片が爆発現場から高速で伝播し、それに伴う爆風波を発生させるというものである。さらに、圧力波とその結果生じる一次破片は、しばしば土、塵、砂などの(微小)粒子の形をした二次破片や、破壊された物体の破片を、発破装置の爆発場所のすぐ近くまたは間接的な周辺から続々と放出させる可能性がある。また、二次破片は、例えば、爆発によって破壊された機器、車両(車両の内装など)などに由来するものであってもよい。
【0009】
これに関連して、非通常型爆発装置の作用モードを背景に、非通常型爆発装置から始まる一次破片の放出を直接指す、いわゆる一次爆発半径と、非通常型発破装置の爆発点から始まる、爆発波および結果として生じる一次破片の結果として続く二次破片の放出に関連する二次爆発半径とを区別することが可能である。
【0010】
一次破片の爆発的放出と二次破片のいわば下流での形成または放出を含む非従来型爆発装置の特殊な作動モードの結果、上述のように非従来型爆発装置の爆発にさらされる人々にとって傷害の高いリスクが生じる。この場合、特に一次または二次破片の身体への衝突または貫通によって、あるいは存在する圧力波や火災や熱の影響によって、広範囲かつ深刻な傷害が発生することがある。これらの傷害は、死に至るか、四肢や生殖器の切断を含む深刻な外科手術を必要とするほど深刻であり、持続的な運動能力の喪失や被災者の生活の質の重大な制限を伴うことがよくある。
【0011】
また、非通常型爆発物の衝撃に伴う傷害は、人に作用する破片(一次破片および二次破片)が当該人の皮膚の上層部を貫通し、それによって体の深部に侵入することが多く、血管、神経管、内臓などの生理的に重要な体の部位または構造の破壊または損傷を伴うため、極めて問題であることが多い。また、特に断片密度が高くなった場合、汚染された二次断片が時として大量かつ高密度に(すなわち、互いの距離が小さい状態で)身体に作用し、前述のように時として身体に深く浸透し、その結果、例えば血管等への直接接触や直接作用もあるため、感染のリスクが高いことが多い。
【0012】
また、傷害の種類に関しては、一般的に爆発地点からの距離が長くなると、近地爆発から飛散する破片の飛行高度も高くなるため、距離が長くなると、身体のほぼすべての部位に大きな傷害が生じることが多いことが重要である。その結果、一般に、被災者の下肢から胴体下部にかけて負傷することが多く、爆発地点からの距離が長くなると、被災者の上肢、上半身、特に脇腹、首、顔まで負傷することがある。
【0013】
一般に、一次爆発の半径内にいる人の生存率は、放出される(一次)破片の高い速度、量、大きさにより、また高い熱、火、圧力の効果により、低くなる。一方、二次爆発の半径では衝撃エネルギーの低い二次破片が優勢になるため、爆発地点からの距離が長くなるほど生存確率は高くなる。しかし、このような二次的な破片は、様々な種類と強度の深刻な傷害を引き起こす可能性があり、この点では、小さな破片サイズでさえも、特にその大量の破片とそれに伴う高い衝撃密度の結果として問題となり、上述のように、それに伴って感染のリスクも増加する。
【0014】
さらに、軍事作戦やテロ対策・治安維持作戦に派遣されている人は、ナイフなどの切断・穿刺武器の使用によるものなど、穿刺・切断の影響によりさらに危険にさらされる。これはまた、関係者に永続的な傷害を引き起こす。
【0015】
さらに、発射物のような弾道物体、一次または二次破片のような破片、特に飛散破片などの衝撃の結果として、作戦に使用される機器の破壊の著しい危険性があり、ここで、影響を受けた機器は作用の喪失を伴って破壊または破損する可能性がある。なぜなら、破壊されたり作用しなくなったりした機器は、重要な技術的支援を失うことになり、さらにミッションの目的や目標が達成できなくなる可能性があるからである。
【0016】
したがって、例えば、緊急車両、機械、武器、弾薬、予備部品、電子物体、付属品、設備、施設、機器などのような、対応する軍事作戦または対テロリズムにおいて用いられる機器が、特にこれらがしばしば複雑で技術的に敏感な物体であるので、特に断片の放出に関連した非従来型爆発装置の影響により、損傷されるか破壊されることがその場合である。例えば、対応する一次または二次破片は、対応する物体の外皮、壁またはハウジングを貫通し、これによって、対応する物体の内部にも作用し、その下にある装置またはその下の装置への対応する損傷または破壊を伴うことがある。さらに、このような対象物は、例えば切断や刺すような武器の使用の結果として、損傷したり破壊されたりすることもある。
【0017】
上記から明らかなように、爆発または起爆によって放出される破片に対する効果的な防護および穿刺および切断の影響に対する更なる防護を提供する効果的な防護システムおよび対応する防護材料を提供することが当技術分野において非常に必要であり、それによって対応する材料は、防護すべき人および防護すべき物体または装置に関して効果的かつ個別に適応できる防護を意図し、広い応用範囲を有している。
【0018】
しかし、現状で知られている防護材料やシステムは、それ自体の防護作用、あるいは管理性、個別適応性、耐久性などの点で、このような材料に求められる高い要求を必ずしも満たしているとは言えない。
【0019】
先行技術で知られている防護材料は、時には、その材料特性の点で十分に柔軟でないことが多く、例えば防護服として使用する場合、防護されるべき構造体への個々の適応性、さらなる加工、および着用快適性が損なわれるという欠点も有している。さらに、先行技術で知られている防護材料は、弾道安定性に関して必ずしも望ましい耐久性を示すとは限らない。さらに、触覚特性は、必ずしも最適ではない。
【0020】
爆発または発射物の形態で放出される物体に対して一定の防護を確保するための防護材料を提供するためのアプローチおよび方法を有する技術の現状に関して、技術の現状は、パラ系アラミド(パラアラミド、パラアラマイドまたはポリ(p-フェニレンテレフタルアミド(PPTA)として同義語的に参照される)に基づいた繊維シート材料の形成のための材料またはヤーンを主に使用していることにも注目されるべきである。
【0021】
このようなパラ-アラミドに基づいたシステムは、一定の強度、衝撃強度、破断伸びを示すため、基本的には破片防護材料として適しているが、パラ-アラミドは紫外線や湿気に弱く、紫外線や汗・雨・洗濯水などの水分にさらされると強度が低下し、防弾性能が低下するという欠点がある。そのため、洗濯や掃除のしやすさにも限界があり、デメリットが多い。
【0022】
さらに、パラ-アラミドに基づく繊維またはヤーンは、長手方向軸に対して横方向の破断強度が低いだけであり、これは、これらの材料を対応する繊維シート材料、特に編物の形態に加工することに関して特に不利であり、ヤーンまたは繊維の破断は、曲げの場合に(例えば、ステッチの形成において)生じ得るからである。
【0023】
パラ-アラミドの前述の不利な材料特性をある程度打ち消すために、当技術分野では、パラ-アラミドに基づく材料に撥水加工を施すこと、特に湿気や紫外線による安定性の喪失という変性過程を打ち消すためにフィルムで収縮包装することが時々提供されていた。しかし、このような方法は、着用時に水分の移動が減少または防止され、材料の通気性にも悪影響を及ぼすことから、結果として得られる材料の着用快適性が損なわれるという欠点がある。
【0024】
紫外線に対する高い感度により、基礎となる材料は、特に最外層として着用されこれによって直射日光にさらされる外衣または外下着の防護形態における使用には限られた範囲でのみ適している。これに関連して、対応するUV照射を伴う太陽光の下での材料の乾燥または保管もまた問題である。
【0025】
特許文献1(DE 30 34 547 C2)は、織物アラミド繊維表面の複数の三次元形状で相互に連結された層からなる少なくとも1つの耐穿刺性表面要素を有する衣類に関するもので、表面エレメントは、着用者の体型に適合した予め選択された形状で縫合により連結されている。
【0026】
さらに、特許文献2(WO99/37969A1)ならびに同じ特許ファミリーに属する特許文献3(DE 198 02 242 A1)または特許文献4(EP 1 058 808 A1)または特許文献5(US 6,656,570 B1)は、針状の突き刺し装置に対してある程度の防護を提供するための防護服に関するものであり、この防護服は耐破損性材料でできたシート状構造の複数の層を含み、層のうちの複数がハード材料層で覆われていることを特徴とするものである。これは、層を形成するためにアラミド織物を使用することに基づいている。
【0027】
さらに、特許文献6(EP 1 229 297 A1)は、機器または物体を防護するために使用することができ、固体繊維によるカバー状の構造を有し、少なくとも1つの中空体で満たされている空洞またはチャンバを有する防護エレメントに関するものである。基礎となる繊維に関しては、アラミド繊維の使用が測定的であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】DE 30 34 547 C2
【特許文献2】WO99/37969A1
【特許文献3】DE 198 02 242 A1
【特許文献4】EP 1 058 808 A1
【特許文献5】US 6,656,570 B1
【特許文献6】EP 1 229 298 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
さらに、特に平らな材料の製造のためにヤーンの形で使用されるパラ系アラミドとは異なる他の出発材料の使用に関しては、基礎となるヤーンは、特にその剛性とスライド特性(これはテキスタイルへの加工をより困難なものする)に関して、必ずしも最適な加工特性を有していない。さらに、そのようなヤーンであっても、安定性の観点から最適化することが可能である。また、制限された柔軟性・弾力性は、防護服に使用した場合に最適な着用特性が悪くなり、装置および設備のための防護カバー等として使用される場合に材料の制限された適用性を生じるものである。
【0030】
要約すると、このように、先行技術で言及された材料またはこの点で提供された概念は、弾道力の影響に対する一定の防護作用を保証することに関して、特に一定の破片防護を提供することに関して、最適な安定特性を必ずしも有さず、これはまた、永久弾道抵抗を提供することに関しても同様であると述べることができる。さらに、先行技術で知られている材料または概念は、最適な適用特性および加工特性を必ずしも伴っておらず、それによって、特に防護衣としての使用に関しては、最適な着用特性が必ずしも存在せず、物体用の防護具としての使用に関しては、防護すべき物体への最適な適応特性が必ずしも存在しない。
【0031】
このため、特に起爆や爆発によって放出される破片に対して高い防護性能を発揮すると同時に、防護服として使用する場合には着心地が良く、機器や製品の防護材料として使用する場合には防護対象への適応性が高い特殊防護材料を提供することが強く望まれる。
【0032】
このような背景から、本発明は、防護材料の提供のための効率的な概念を提供するという課題に基づいており、それによって、上述した従来技術の欠点が少なくとも大きく回避されるか、少なくとも緩和されることになる。これに関連して、本発明の1つの特定の課題は、防護服として、また、軍用または民間用の防護装置または材料(例えば、物体または装置材料などを防護するため)として使用でき、先行技術と比較して、特に爆撃または爆発によって放出される断片に関して改善された弾道防護作用を有し、それはまた防刃および防刃特性を与えることを目的としている、防護材料を提供することである。同時に、本発明に従って提供される防護材は、高い防護作用を有すると同時に、湿気や紫外線に対する高い耐性を有することも重要である。
【0033】
これに関して、本発明の1つの課題は、特に、高い表面安定性および耐久性を有する特殊な防護材料を提供することであり、それによって、防護材料は同時に、例えば防護衣として、または機器もしくは物体等のための防護具として、基礎となる目的に関して普遍的に使用可能であるかまたは個別の適応性を有するべきである、または、それぞれの目的のために調整することが可能である。これに関して、高い防刃作用と同時に、切断や穿刺の防護性能も求められる。防護服として使用する場合は、それ相応に高い快適性が保証される必要がある。
【0034】
同様に、本発明の別の目的は、対応する防護衣または防護具への加工性が改善された対応する防護材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
したがって、上述の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、本発明は、請求項1およびこれに関するさらなる請求項(従属請求項)によって、特に軍事および/または民間部門の防護衣または防護具に使用するための、破片、穿刺および/または切断防護特性、好ましくは破片防護特性を有する繊維シート材料またはシート構造物を提案する;それぞれの場合において、本発明のこの態様のさらに有利なさらなる発展および実施形態は、繊維シート材料に関連する対応する従属請求項の主題である。
【0036】
本発明のさらなる目的は、本発明の第2の態様によれば、この態様において独立した請求項により、特に軍事および/または民間部門のための、破片、穿刺または切断防護、好ましくは破片防護を備えた、防護服の形態または防護具の形態で存在する、本発明による防護製品に関するものである;それぞれの場合において、本発明のこの態様のさらに有利なさらなる発展および実施形態は、本発明による防護製品に関する対応する従属請求項の主題となるものである。
【0037】
さらに、本発明の第3の態様によれば、この態様における使用に関して独立請求項による防護衣または防護具の形態である防護製品において、破片、穿刺または切断防護、好ましくは破片防護を提供または増大するために本発明によるシート材を使用することも本発明の目的である。
【0038】
最後に、本発明の目的は、本発明の第4の態様によれば、関連する方法の独立請求項による、特に防護衣または防護具の形態である防護製品において、破片、穿刺または切断防護、好ましくは破片防護を提供または増加させることである。
【0039】
本発明の以下の説明において、本発明の一態様に関してのみ、不必要な繰り返しを避ける目的で、以下に記載されるそのような実施形態、態様、利点、例などが、当然、本発明の他の態様に関しても、その明示の必要なく、準用されることは言うまでもない。
【0040】
さらに、以下の本発明の説明に関して、特定の実施形態、態様、利点、例などに関連して引用された本発明の特徴は、それらの組み合わせで開示されたものとみなされることもある。したがって、それぞれの実施形態、態様、使用例などについて示されている、個々のまたはいくつかの特徴の上位の組み合わせも、本明細書に開示されているとみなされる。
【0041】
さらに、以下の数値、数および範囲の表示において、この態様に関する数値、数および範囲の表示は、限定的に理解されるものではなく、本発明の範囲を離れることなく、個々の場合または用途との関係で、示された範囲または表示からの逸脱がなされ得ることが、当業者には理解されるものである。
【0042】
さらに、以下で言及されるすべての値またはパラメータなどは、原則として、標準化されたまたは明示された測定方法により、あるいはこの分野の当業者に周知の測定または測定方法により測定されることが適用される。特に断らない限り,基礎となる値やパラメータは、標準的な条件下(特に温度20℃,圧力1,013.25hPaまたは1.01325バール)で、測定されたものである。
【0043】
さらに、以下に列挙するすべての相対的または百分率、特に重量関連の定量データの場合、これらのデータは、合計で、-必要に応じて、特に以下に定義されるような、さらなる成分または原材料を含む場合-常に100%または100重量%の結果が得られるように、本発明に関して、当業者によって選択または結合されるべきであることに留意されたい。しかし、このことは当業者にとって自明である。
【0044】
本発明を説明する目的で、本発明による対象の以下の説明において、図中に示された参照符号にも依拠する;この点での参照符号の表示は、純粋に例示であり、本発明による対象のいかなる限定にも関連しない。
【0045】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0046】
このように、本発明の第1の態様によれば、本発明の目的は、特に防護衣または防護具、好ましくは軍事および/または民間部門に使用するための、破片防護、穿刺防護および/または切断防護を有する繊維シート材料(シート構造体)を提供することであり;
前記繊維シート材料は、繊維シート材料を形成する少なくとも1つのヤーンシステム、特にマルチフィラメントヤーンシステムを有するかまたはそれらからなるものであり、
前記ヤーンシステムは、少なくとも1本のUHMW-PEマルチフィラメントヤーンからなるかまたはそれらから形成されるものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、複数の少なくとも実質的に同一および/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメントからなるかまたはそれらから形成され、UHMW-PE個別フィラメントが、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するために、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)をお互いに撚ること(撚り合わせること)によって、お互いに接続しおよび/またはお互いに組み合わせ、特にお互いに撚りおよび/または撚り合わせる(撚る)ものであり、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものである。
【0047】
本発明に係る繊維シート材料は、特に、シート状および/または二次元の編物材料である。それによって、前記編物材料は、特に防護服の中または防護具として使用することができ、あるいは防護服または防護具を形成するために加工することができ、これは特に、軍事および/または民間分野のための防護服または防護具である。この点については、以下の説明も参照することができる。
【0048】
本発明の中心的な考え方は、特に、非常に特殊なヤーンを用いたヤーンシステムに基づいて、特別な繊維シート材料(同義的にシート構造とも呼ばれる)を形成または提供することに見られるものであり、ここで、この態様において、すなわちUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(UHMW-PE=超高分子量ポリエチレン)(同義語でマルチフィラメントヤーンとも呼ばれる)が使用され、これは定義されたタイター(同義語的に繊度またはヤーン繊度とも呼ばれる)に加えて、多様なUHMW-PE個別フィラメント(同義語的に個別フィラメントとも呼ばれる)を有するものであり、ここで、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するための個別フィラメントは、複数のUHMW-PE個別フィラメント(同義語的に個別フィラメントと呼ばれる)を有する。(UHMW-PE=超高分子量ポリエチレン)(同義語的にマルチフィラメントヤーンとも呼ばれる)ものは、定義されたタイター(同義語的に繊度またはヤーン繊度とも呼ばれる)に加えて、個別フィラメントが、多様なUHMW-PE個別フィラメント(同義語的に個別フィラメントと呼ばれる)を有し、個別フィラメントがお互いに接続されまたは結合され、または纏められ、特に寄り合わされおよび/または撚られ(同義語的に撚られると呼ばれる)、例えばUHMW-PE個別フィラメント(4)を撚ることまたは撚り合わせることによって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するものである。
【0049】
これに関連して、出願人は、本発明による特別な措置に基づいて、改善された破片防護、穿刺防護または切断防護、好ましくは改善された破片防護を有すると同時に、改善された加工特性(例えば、防護衣または防護装置への改善された加工など)および改善された適用特性(防護衣としての使用の場合の改善された着用心地など)も有する繊維シート材料が提供されることを完全に驚くべき方法で見いだした。さらに、特に、特殊なUHMW-PEマルチフィラメントヤーンが改善された曲げまたは柔軟性特性を有するので、そのような繊維シート材料の製造も改善され、これは、例えば、以下に詳細に示されるように、編物としての材料の好ましい形成に貢献するものである。特殊なマルチフィラメントヤーンの高い柔軟性または可撓性に起因して、得られる本発明による繊維シート材の柔軟性または可撓性も同時に向上し、これは、防護衣として使用する場合の着用快適性、および防護具として使用する場合の防護すべき物体または製品への適応性のための好ましい効果を同様に伴うものである。さらに、非常に特別なUHMW-PEマルチフィラメントヤーンを使用すると、特殊なマルチフィラメントヤーン自体が改善された安定特性を有するので、得られる繊維シート材料の改善された破片防護、穿刺防護または切断防護、好ましくは改善された破片防護がもたらされる。
【0050】
この理論に限定されることを望むことなく、安定性と柔軟性の両方における繊維シート材料の改善された特性、および改善された製造および加工特性は、またマルチフィラメントヤーンにおいて、例えば撚りによって結合または寄り合わされて、そのようなマルチフィラメントヤーンを形成する多様なUHMW-PE個別フィラメントに基づくその特別な形成を有するUHMW-PEマルチフィラメントヤーンに測定的に起因すると考えられる。
【0051】
本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(個別ヤーン)を形成するために、撚ること(撚り合わせること)により、結合される個別UHMW-PEフィラメントであるかまたは構成されている。
【0052】
この場合、得られるマルチフィラメントヤーンの安定性および柔軟性または柔軟性特性は、UHMW-PE個別フィラメントが、マルチフィラメントヤーン中に、いわゆる撚られまたは撚り合わせられた形態で存在することによって主に改善される。これにより、マルチフィラメントヤーンにおける個々のフィラメント全体の運動性が向上するため、マルチフィラメントヤーン自体の柔軟性が向上する。また、導入された運動エネルギーをうまく分散・発散させることができるため、安定性が向上し、さらに、撚り合わせによって個々のフィラメントが相互に補強されることにもなる。
【0053】
個々のフィラメントの撚り配置によるマルチフィラメントヤーンの改善された柔軟性はまた、下層のマルチフィラメントヤーンを本発明による繊維シート材料に加工することに関しても利点につながり、それによると、シート材料またはヤーンシステムは、好ましくは編物として形成される。この態様において、特に編物の中心エレメントを表す基礎となるステッチに関して、マルチフィラメントヤーンに関して、高い屈曲または小さい曲線半径が要求される場合があり、これは、本発明によって使用されるマルチフィラメントヤーンの高い柔軟性または柔軟性の結果として、相応に単純化または改善された方法で実現することができるのである。これに関連して、例えば、特に小さな曲率半径は、ヤーンを敷く際に実現することができ、これは高いヤーン密度またはマルチフィラメントヤーンによる繊維シート材料の高い表面被覆にもつながり、再び改善された弾道安定性を伴う。
【0054】
これに関連して、本発明によって使用されるマルチフィラメントヤーンが、比較的高いタイターまたは繊度においてさえ、先に述べた高い柔軟性または柔軟性を保持し(これは安定特性のさらなる改善につながる)、したがって比較的重いヤーンまたは比較的大きな直径を有するヤーンであっても、本発明によって得られる繊維シート材料に関して相応に良い加工特性および改善された製品特性があることも全く驚くべきことであった。
【0055】
さらに、本発明によれば、それは、特に、本発明による繊維シート材料が、破片、穿刺および/または切断、好ましくは破片に対する優れた防護を提供することに加えて、発射および/または衝撃に対する防護をさらに示すように挙動する。その結果、本発明に係る繊維シート材は、例えば、銃器等から直接発射される弾丸や鈍器による作用に対しても良好な防護作用を発揮する。
【0056】
先に示したように、本発明に関連して、UHMW-PEの形態の特殊なマルチフィラメントヤーンまたはUHMW-PEの形態の個別フィラメントが、マルチフィラメントヤーンを形成するために使用される。この関連において、出願人は、そのような特別な材料の使用が、マルチフィラメントヤーンの形態の高分子量ポリエチレンが非常に高い引張強度と共に、高い引張強度、高い破断強度または高い曲げ強度および非常に高い弾性率を有するという事実から、本発明に係る繊維シート材料を形成するために特に適していることを同様に見いだした。さらに、UHMW-PEは、水分および紫外線に対して耐性があり、これにより、本発明に係るシート材料は、高い耐水性(耐洗濯性)を有すると同時に、先に示したように、特に直射日光下においても高い防弾作用の耐久性を有することになる。さらに、UHMW-PEは、先に示したように、非常に優れた耐薬品性と優れた耐バクテリア性を発揮する。
【0057】
本発明によれば、目的に応じて、効率的な穿刺および切断防護に加えて、主に、特に、非従来型爆発装置の爆発時に一次または二次破片の形で爆発的に放出または引き起こされるような、爆発または爆発によって放出される破片に対する高いレベルの破片防護も有するシート材料が提供される。
【0058】
本発明に従って使用される「破片防護」という用語は、非常に広義に理解され、特に、起爆または爆発によって直接または間接的に放出される弾道体または発射体の貫通または侵入に対して防護作用を提供することを示す。これは、特に爆発または爆発によって直接または間接的に放出される弾道体または発射体の貫通または侵入に対する防護作用の提供を示すものであり、特に小さな粒子サイズと不規則な形状によって特徴付けられる断片の形態で、特に非従来型の爆発装置の爆発中に一次および/または二次断片の形態で爆発的に放出され、高い速度または運動エネルギーの爆撃にさらされる人を襲うものである。本発明によれば、「穿刺防止」および「切断防止」という用語は非常に広く理解され、前述の用語は、特に、刺すまたは切る武器または尖ったまたは鋭い物体の(力の)作用に対する防護作用をさらに提供することを意味する。
【0059】
さらに、本発明に関連して使用されるような同義的に「撚り」、または「ねじれ」等とも同義語的に呼ばれる用語は、非常に広く理解されるものである。より詳細には、本発明に関連して、当該用語は、本発明によって使用されるマルチフィラメントヤーンを形成するために個々のフィラメントを一緒に撚ることを示し、特に、本発明に従って使用されるマルチフィラメントヤーンは、マルチフィラメントヤーンの基礎となる個々のフィラメントに基づいて、撚糸の形態であることが好ましいようなものである。本発明によれば、用語「撚ること」または「撚られること」などは、本発明によって使用されるマルチフィラメントヤーンを形成するために、本発明によって提供される個別フィラメントの撚り合わすことまたは(お互いに関して)撚り合わされることと同義であると理解される。
【0060】
以下、本発明について、実施の形態または実施の形態の好ましい例を示す図面または図を参照しながら、より詳細に説明する。しかしながら、本発明に関して決して限定的ではない、本発明のこれらの好ましい実施形態の説明に関連して、本発明のさらなる利点、特性、側面および特徴も示される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、本発明による実施形態による繊維シート材料の構造の概略図であり、これによれば、繊維シート材料は、編物として形成されており、繊維シート材料または織物編物は、フロートの形態の結合エレメントを追加的に備えることを特徴とする、本発明による実施形態による繊維シート材料の構造を表す。
【
図1A】
図1Aは、本発明に従って使用されるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンのさらなる例示的な実施形態を示す
図1の詳細拡大図であり、これによれば、UHMW-PEマルチフィラメント-ヤーンは、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するために接合されるかまたは一緒に寄り合わされるUHMW-PE個別フィラメントから形成されている。
【
図1B】
図1Bは、本発明に従って使用されるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの再度拡大した断面であり、UHMW-PE個別フィラメントに基づくUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの例示的な形成が示されている。
【
図2】本発明による実施形態による、織物シート材の構造の更なる概略図であり、これによれば、繊維シート材は、編物として、具体的には、織物編物として形成されており、繊維シート材または織物編物は、緯糸(緯糸)の形態の結合エレメントを追加的に備えている。
【
図2A】本発明によって使用されるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンのさらなる例示的な実施形態を示す
図2の詳細拡大図であり、これによれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するために接合されるかまたは寄り合わされるUHMW-PE個別フィラメントから形成される。
【
図2B】本発明に従って使用されるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの再度拡大した断面であり、UHMW-PE個別フィラメントに基づくUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの例示的な形成が示されている。
【
図3】本発明による繊維シート材料の走査型電子顕微鏡による拡大図であり、本発明によるシート材料は、織物編物として形成されている。
【
図4】本発明に係る繊維シート材を平面視した光顕拡大図であって、繊維シート材が編物として均等に形成されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1、1A、1B,2、2A、2Bおよび3ならびに4による図表現は、またそれによって特に本発明による第1の態様を明らかにする。それによれば、すなわち、破片防護、穿刺防護および/または切断防護を有する、好ましくは破片防護を有する繊維シート材料(シート構造体)1が、好ましくは軍事および/または民間部門の防護服または防護具における使用のために特に提供され、
前記繊維シート材料1は、繊維シート材料1を形成する少なくとも1つのヤーンシステム2、特にマルチフィラメントヤーンシステムを具備するかまたはからなるものであり、
前記ヤーンシステム2は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を具備するかまたはそれらから形成され、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはそれから形成されており、UHMW-PE個別フィラメント4は、互いに接続されおよび/または互いに組み合わせられ、特に接合されおよび/または寄り合わされ、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)をお互いに撚り合わせおよび/または撚り(撚り合わせ)、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が形成されるものであり、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものである。
【0063】
以上に示したように、本発明に基づいて、使用中の人を防護するための防護服における使用と、例えば、軍事機器または軍事装置のような物を防護するための防護具における使用の両方で適用する場合、長期的に、繊維シート材料で防護する人または物に関して、切断および穿刺武器の衝撃、さらに、衝撃兵器にも適用する破片の侵入または衝撃を低減または防止する特殊な繊維シート材料が提供される。行動中の人を防護するための防護服、ならびに軍事機器または軍事装置のような物を防護するための防護装置における繊維シート材料の使用は、繊維シート材料によって防護される人または物に関して、切断および穿刺武器の効果ならびに衝撃武器にも当てはまる破片の侵入または効果を低減または防止し、これは特に、以下でさらに詳述するように、本発明によるシート材料の特殊特性によって確実とされる。
【0064】
これに関連して、本発明による繊維シート材料は、特に、下層のUHMW-PEマルチフィラメントヤーンが、特別に形成され配置された複数のUHMW-PE個別フィラメントからなるまたはそれから形成されているという事実によって特徴づけられている。これに関して、それぞれ
図1からの詳細拡大図である
図1Aおよび
図1Bまたは
図2からの詳細拡大図である
図2Aおよび
図2B、さらに、
図3および
図4も参照することができる。
【0065】
本発明によれば、それはまた、特に、そのようなものとして繊維シート材料および/またはシート材料を形成するヤーンシステムが、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーンに基づいて排他的に形成されるかまたはそれからなるように作用し、マルチフィラメントヤーンは順番にUHMW-PE個別フィラメントから形成されるかまたはそこから構成される。したがって、本発明によれば、そのような本発明による繊維シート材料および/または繊維シート材料を形成する糸系が、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーンに加えて、少なくとも実質的にそれとは異なるマルチフィラメントヤーンまたはそれとは異なるヤーンからなることが、特に提供される。特に、本発明による繊維シート材料に関しても、アラミド(パラ-アラミドまたはメタ-アラミドなど)などをベースとするヤーンから構成されないような挙動を示す。このように、材料特性をさらに向上させることができる。特に、本発明による編物材料は、特殊なUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの使用の結果として高い安定性に加えて、特に湿気および紫外線に対する高い耐性を有する。その結果、提供される防護作用は、長期にわたって保証される。
【0066】
それによって、本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、少なくとも5本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に少なくとも10本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは少なくとも20本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは少なくとも40本のUHMW-PE個別フィラメント4、より好ましくは少なくとも60本のUHMW-PE個別フィラメント4、非常に特に好ましくは少なくとも80本のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはそれから形成されていることが特に提供される。
【0067】
この態様において、本発明によれば、特に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、最大で500本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に最大で400本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは最大で300本のUHMW-PE個別フィラメント4、より好ましくは最大200本のUIHMW-PE個別フィラメント4、特により好ましくは最大160本のUHMW-PE個別フィラメント4、非常により好ましくは最大120本のUHMW-PE個別フィラメント4からなることが提供される。
【0068】
特に、それは、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント4、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント4、特により好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント4、非常に特に好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント4からなるように、本発明によって挙動する。
【0069】
特に、個々のフィラメント4の定義された数は、例えば破片の衝撃に関連するまたは作用する運動エネルギーが、より良く吸収および分配することができるために、安定性において対応する増加を有するマルチフィラメントヤーンの形成を生じる。
【0070】
さらに、マルチフィラメントヤーン3を形成するために本発明によって使用されるUHMW-PEフィラメント4のタイター(同義語として繊度ともいう)も非常に重要であり、以下の値または範囲が、結果として得られるマルチフィラメントヤーン3の一方で高い安定性と他方で高い柔軟性または屈曲性の提供に関して、特に有利なことが判明している。
【0071】
したがって、本発明によれば、特にDIN EN ISO 2060(すなわちDIN EN ISO 2060:1995-04)に従って測定されたUHMW-PE個別フィラメント4が、それぞれ少なくとも0.2dtex、特に少なくとも0.5dtex、好ましくは少なくとも0.8dtex、好ましくは少なくとも1dtex、より好ましくは少なくとも1.2dtex、非常に特に好ましくは少なくとも1.5dtexのテータ(繊度)を有することが、提供される。
【0072】
加えて、特にDIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント4が、それぞれ最大30dtex、特に最大10dtex、好ましくは最大5dtex、より好ましくは最大3dtex、特に好ましくは最大2.8dtex、非常に特に好ましくは最大2.5dtexのタイター(繊度)を有していることが本発明によれば提供されることが好ましい。
【0073】
特に、それは、DIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント4が、それぞれ0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3dtexの範囲内、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内のタイター(繊度)を有するような方法で、本発明の範囲内において挙動する。
【0074】
さらに、UHMW-PE個別フィラメント4が、互いに少なくとも実質的に同一のタイター(繊度)を有することも、本発明に関して提供される。この点で、お互いに関するそれぞれのタイター(繊度)の任意の偏差は、より小さい値に関して最大で10%、特に最大で5%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で1%であってよい。これに関連して、少なくとも互いに実質的に同一である繊度を有する個々のフィラメント4の使用は、特に均質なマルチフィラメントヤーン3の形成を生じ、これは、マルチフィラメントヤーン3、ひいては本発明による繊維シート材料1の安定性をも同様に利するものである。
【0075】
さらに、UIHMW-PE個別フィラメント4がそれぞれ少なくとも7.5μm、特に少なくとも10μm、好ましくは少なくとも12.5μm、より好ましくは少なくとも15μm、特により好ましくは少なくとも17.5μmの直径を有することが本発明に関して提供される。
【0076】
同様に、UHMW-PE個別フィラメント4がそれぞれ、最大50μm、特に最大45μm、好ましくは最大40μm、より好ましくは最大30μm、特により好ましくは最大22.5μmの直径を有することが本発明によって提供される。
【0077】
これに関連して、UHMW-PE個別フィラメント4がそれぞれ、7.5μm~50μmの範囲内、特に10μm~45μmの範囲内、好ましくは12.5μm~40μmの範囲内、より好ましくは15μm~30μmの範囲内、特に好ましくは17.5μm~22.5μmの範囲内の直径を持っていることが特に本発明によって想定される。
【0078】
本発明に関連して、UHMW-PE個別フィラメント4が互いに少なくとも実質的に同一の直径を有することが有利であることが判明している。この点に関して、それぞれの直径の互いからの任意の偏差は、小さい方の値に対して最大で10%、特に最大で5%、好ましくは最大で3%、より好ましくは最大で1%であってよい。
【0079】
本発明によれば、特に、UHMW-PE個別フィラメント4が、少なくとも実質的にUHMW-PEから形成されるか、またはそれから成ることが提供され得る。特に、本発明によれば、UHMW-PE個別フィラメント4が、UHMW-PEに加えて、少なくとも実質的に更なる含有物および/または成分、特に接着剤等を含まないような挙動を示す。
【0080】
本発明によれば、UHMW-PE個別フィラメント4がそれぞれ連続フィラメントとして形成されていると有利であることが証明されている。これは、そこから得られるマルチフィラメントヤーンの安定性、特にその最大引張強度または最大引張伸度に関しても、さらなる改善をもたらす。
【0081】
マルチフィラメントヤーン3を形成するためのUHMW-PE個別フィラメント4の配置に関して、本発明によれば、それは特に以下に示される通りであり、それによってこの点において、
図1Aおよび
図1Bまたは
図2Aおよび
図2Bによる例示的表現ならびにさらに
図3および
図4をも参照可能である。
【0082】
したがって、本発明によれば、マルチフィラメントヤーン3を形成するためのUHMW-PE個別フィラメント4が、撚られ(撚られる)および/または寄り合わされおよび/または(互いに)撚り合わされ、好ましくは寄り合わされおよび/または(互いに)撚り合わされることが特に提供される、好ましくは、(互いに)撚り合わされおよび/または撚り合わされていることが提供される。特に、本発明によれば、マルチフィラメントヤーン3を形成するためのUHMW-PE個別フィラメント4が、撚られおよび/または撚り合わされおよび/または(お互いに)撚り合わされて、好ましくは撚り合わされおよび/または(お互いに)撚り合わされたマルチフィラメントヤーン3に配置されているものである。
【0083】
一般に、本発明によれば、それぞれのUHMW-PE個別フィラメント4は、それ自体が少なくとも実質的に撚られていないこと、またはそれぞれのUHMW-PE個別フィラメント4は、それ自体が少なくとも実質的に撚られていないことが特に重要である。また、個々のフィラメントに過度な張力がかからないため、安定性と柔軟性を両立させることができる。
【0084】
UHMW-PE個別フィラメント4の特定の数、タイプおよび/または配列に基づくマルチフィラメントヤーン3の形成に関して、本発明による手段は、結果として得られるマルチフィラメントヤーン3の弾道安定性のさらなる増加を生じる。特に、定義されたフィラメントの数、定義された細さ、定義された直径、目標および目的指向の撚り合わせに基づくフィラメントの特別な配置、および/または個々のフィラメント4の均一な形成は、特に、この理論に限定することなく、衝突する運動エネルギー(例えば、破片などの衝撃によってもたらされる)を吸収して改善した程度に放散することができるので、弾道安定性を向上させることにつながる。同時に、マルチフィラメントヤーン3の高い柔軟性または可撓性が確保される。その結果、本発明に従って使用されるマルチフィラメントヤーンは、一方では高い安定性、他方では高い柔軟性という径方向の特性を1つの同じ材料で兼ね備え、このことは、先に示したように、本発明によってそれに基づくシート材料1にも反映されている。
【0085】
本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が撚り合わされおよび/または撚りがかけられていることが、特に提供される。これに関連して、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、Z方向にまたはS方向に、好ましくはZ方向に、撚りおよび/または回転されることが好ましい。
【0086】
一般に、マルチフィラメントヤーン3が、特にDIN EN ISO 2061(すなわちDIN EN ISO 2061:2015-12)によって測定されるZ方向またはS方向、好ましくはZ方向における少なくとも60T/m(ターン/メートル)特に少なくとも65T/m、好ましくは少なくとも70T/m、より好ましくは少なくとも75T/mのヤーンおよび/またはスレッド撚り、特にヤーン撚りを有することが本発明に関連して提供されることも好ましい。この点で、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO 2061によって測定される最大141T/m(1メートル当たりの撚り)、特に最大120T/m、好ましくは最大100T/m、より好ましくは最大90T/mのヤーンおよび/またはスレッド撚り、特にヤーン撚りを有することが可能である。
【0087】
したがって、本発明の範囲内では、特に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、Z方向またはS方向、好ましくはZ方向に、特にDIN EN ISO 2061によって測定された60T/m~140T/m(1メートル当たりの撚り)の範囲内、特に65T/m~120T/mの範囲内、好ましくは70T/m~100T/mの範囲内、より好ましくは75T/m~90T/mの範囲内のヤーンおよび/またはスレッド撚り、特にヤーン撚りを有するような挙動を示す。
【0088】
前述の値は、特に、マルチフィラメントヤーン3のお互いに対するまたはその全体に対する個々のフィラメント4の回転を示すものである。
【0089】
この点において、本出願人は、全く意外な方法で、マルチフィラメントヤーン3の撚りの先に示した値が、弾道安定性、ひいては弾道防護特性のさらなる最適化につながることを見出したのである。これに関連して、(撚りの結果として存在する)特別な撚りは、特に良好な安定性特性をもたらし、それは、この根拠に基づいて(この理論に限定されることを望まないが)、マルチフィラメントヤーン3内の例えば破片の衝撃によってもたらされる運動エネルギーの向上した分布が確保されるからである。さらに、このことは、柔軟性または可撓性をさらに向上させる。
【0090】
その結果として、前述の値に基づいて個々のフィラメントの撚りまたは撚り合わせを特別な調整は、結果として得られる本発明による繊維シート材1の柔軟性またはしなやかさに関してもさらなる最適化につながる。同様に、これはまた、加工特性を改善する。
【0091】
さらに、本発明によって使用されるマルチフィラメントヤーン3の繊度もまた、相応に重要である。
【0092】
したがって、本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、特にDIN EN ISO 2060(すなわちDIN EN ISO 2060:1995-04)によって測定された少なくとも155dtex、特に少なくとも160dtex、好ましくは少なくとも180dtex、より好ましくは少なくとも190dtex、特に好ましくは少なくとも195dtexのタイター(細さ、糸数)を有することが提供されることが好ましい。
【0093】
これに関連して、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、特にDIN EN ISO 2060によって測定される最大450dtex、特に最大400dtex、好ましくは最大350dtex、より好ましくは最大300dtex、特に好ましくは最大260dtexのタイター(繊度、糸数)を有することも本発明によれば提供される。
【0094】
要約すると、これによって、特にUNMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、DIN EN ISO2060によって測定された155dtex~450dtexの範囲内、特に160dtex~400dtexの範囲内、好ましくは180dtex~350dtexの範囲内、より好ましくは190dtex~300dtexの範囲内、特により好ましくは195dtex~275dtexの範囲内、さらにより好ましくは195dtex~260dtexの範囲内のタイター(繊度、ヤーン繊度)を有するような挙動を示す。
【0095】
先に示したように、マルチフィラメントヤーン3の前記(ヤーン)繊度は、特に高い弾道安定性を伴い、同時にマルチフィラメントヤーン3の高い柔軟性またはしなやかさを確保することができる。
【0096】
本発明に関連して、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、少なくとも30μm、特に少なくとも60μm、好ましくは少なくとも90μm、より好ましくは少なくとも120μm、特により好ましくは少なくとも125μmの直径を有することができる。
【0097】
これに関して、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、最大750μm、特に最大500μm、好ましくは最大400μm、より好ましくは最大3000μm、特により好ましくは最大200μmの直径を有することが好ましい。
【0098】
その結果として、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、30μm~750μmの範囲内、特に60μm~500μmの範囲内、好ましくは90μm~400μmの範囲内、より好ましくは120μm~300μmの範囲内、特に好ましくは125μm~200μmの範囲内の直径を有することが本発明によって提供される。
【0099】
一般に、マルチフィラメントヤーン3および個々のフィラメント4の直径は、例えば光学顕微鏡法または光顕微鏡法または電子顕微鏡法に基づいた当業者にとってそれ自体既知の方法によって測定されるものである。
【0100】
一般に、本発明に従って使用されるマルチフィラメントヤーン3は、以下の特性も有することを特徴とする。
【0101】
したがって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、特にDIN EN ISO 2062(すなわちDIN EN ISO 2062:2009-12)によって測定された少なくとも50cN/tex、特に少なくとも100cN/tex、好ましくは少なくとも150cN/tex、より好ましくは少なくとも200cN/tex、特により好ましくは少なくとも300cN/texの繊度関連の最大引張強度を有することが好ましい。
【0102】
この点において、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される最大750cN/tex、特に最大600cN/tex、好ましくは最大500cN/tex、より好ましくは最大450cN/tex、特により好ましくは最大400cN/texの繊度に関する最大引張強度を有することが好ましい。
【0103】
一般に、これによって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、特にDIN EN ISO 2062によって測定された50cN/tex~750cN/texの範囲内、の範囲、特に100cN/tex~600cN/texの範囲内、好ましくは150cN/tex~500cN/texの範囲内、より好ましくは200cN/tex~450cN/texの範囲内、特により好ましくは300cN/tex~400cN/texの範囲内の繊度関連の最大引張強さを有することが本発明によって提供される。
【0104】
同様に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、特にDIN EN ISO 2062(すなわちDIN EN ISO 2062:2009-12)によって測定される少なくとも1%、特に少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも3%、特により好ましくは少なくとも3.25%の最大引張伸度を有することが本発明によって提供されるものである。
【0105】
さらに、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される最大で9%、特に最大で7%、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で4%、特により好ましくは最大で3.75%の最大引張伸度を有するものである。
【0106】
これによって、本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、特にDIN EN ISO 2062によって測定される1%~9%の範囲内、特に1.5%~7%の範囲内、好ましくは2%~5%の範囲内、より好ましくは3%~4%の範囲内、特により好ましくは3.25%~3.75%の範囲内の最大引張伸度を有することが好ましい。
【0107】
さらに、本発明に関連して、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、55N/tex~295N/texの範囲内、特に80N/tex~245N/texの範囲内、好ましくは110N/tex~190N/texの範囲内の弾性率を有することが好ましい。
【0108】
特に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、825kg/m3~1,175kg/m3の範囲内、特に850kg/m3~1,150kg/m3の範囲内、好ましくは900kg/m3~1,100kg/m3の範囲内、より好ましくは925kg/m3~1,000kg/m3の範囲内、さらにより好ましくは975kg/m3~995kg/m3の範囲内の密度を有することが好ましい。
【0109】
同様に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、75%~95%の範囲内、特に77.5%~92.5%の範囲内、好ましくは80%~90%の範囲内、より好ましくは82.5%~85%の範囲内の結晶化度を有することが好ましい。結晶化度の値は、特に下地の超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を参照する。
【0110】
本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、UHMW-PEからなるエレメントに加えて、特にUHMW-PEとは異なる他のエレメントまたは構成要素、特にUHMW-PE個別フィラメントに加えて構成されていないことが特に提供される。これによって、本発明によれば、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3に基づいて100重量%の量でUHMW-PEを含むと共に、これによって特に本発明によって用いられるUHMW-PE個別フィラメント4に基づいたUHMW-PEからなるような挙動を示すものである。
【0111】
一般に、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3に関して、本発明に関して市販のものまたは市販の製品を使用することができる。特に、Dyneema(登録商標)の名称で入手可能な対応製品、例えばDyneema(登録商標)SK75(220dtex)またはDyneema(登録商標)BK75(220dtex)が使用されることが好ましい。
【0112】
シート材1またはヤーンシステム2に関して、
図1または
図2ならびに
図3および
図4に示すように、シート材1またはヤーンシステム2、特にシート材1が、織物編物の形態で形成されているか、織物編物として存在していることが、本発明によれば提供可能である。これに関連して、シート材1またはヤーンシステム2、特にシート材1は、一方で複数のメッシュ5を有し、他方で任意にそれとは異なる少なくとも1つの結合エレメント6を有することができる。
【0113】
その結果として、本発明の好ましい実施形態によれば、シート材1またはヤーンシステム2は、したがって特に織物編物の形態で、すなわち編物を形成する基本エレメントとしての複数のステッチ5を基礎として形成されている。それによって、本発明によるさらなる実施形態に関して、織物編物として存在するシート材1またはそれに関連するヤーンシステム2が、それぞれ
図1および
図2に示されるように、それとは異なる(すなわちメッシュ5とは異なる)結合エレメント6を追加的に備えていることが提供される。
【0114】
一般に、繊維シート材1または織物編物としてのヤーンシステム2の特定の設計は、全体として弾性、伸縮性、しなやかさ、および柔軟性を有するシート材が提供されるという中心的な利点と関連し、これは、防護衣として使用する場合、高いフィット精度で着用快適性を向上させ、それによって優れた着用生理特性もこの点において提供される。さらに、防護具としての本発明による支持材料1の使用に関して、編物としての特定の設計は、防護されるべき物体または製品に関して特に良好な適応をもたらす。この文脈において、編物としての形成に関連する先に述べた正の特性は、マルチフィラメントヤーン3の特定の形成、特に複数の規定された個々のフィラメント4に基づいて、さらに改善される。織物編物の形態でのシート材料1またはヤーンシステム2の構造は、また本発明によって得られるシート材料1が、材料構造を損傷することなく、例えば圧縮および折り畳むことができ、材料が緩和後に対応する方法において元の形状を回復することができるという利点を伴っている。この場合も、本発明によるシート材1の全体的な耐久性と、関連する防護レベルとが維持される。
【0115】
本発明によれば、このように、本発明によるシート材料1またはヤーンシステム2の基礎となるメッシュ構造が、特にしっかりとした(メッシュ)複合体の形成により、弾道特性をおよびこれによる本発明によって提供される防護作用をさらに支持またはさらに向上させるように、全体的な挙動を示すものである。
【0116】
これに関連して、シート材料1および/またはヤーンシステム2、特にシート材料1が、編物の形態である場合および/または編物である場合、特に経編物および/または緯編物の形態である場合、好ましくは編物の形態である場合、または、シート材1および/またはヤーンシステム2が、編物(ニット生地)の形態である場合および/または経編物(ニット生地)である場合、特に経編物および/または緯編物(ニット生地)の形態である場合、好ましくは編物である場合、本発明が有利であることが証明されている。
【0117】
本発明によれば、シート材料1またはヤーンシステム2、特にシート材料1が、編み物の形態であるかまたは編物として存在する場合、特に有利であることが判明している。
【0118】
特に、織物編物の形態では、フリンジ、トリコット、布、サテン、ベルベットおよびサテンからなる群から選択される下地を有することが好ましい。
【0119】
同様に、特に編物の形態の織物編物が、右/左(RL)、右/右(RR)または左/左(LL)ステッチ織物、好ましくは右/右(RR)ステッチ織物を有することが、本発明によって提供される。
【0120】
一般に、織物編物は、ニットジャージおよび/またはインターロック編物、特にインターロック編物の形態であり、および/または、好ましくは、ジャージおよび/またはインターロック編物、好ましくはインターロック編物の形態であることが好ましい。
【0121】
さらに、特に編物の形態の織物編物は、少なくとも1つのリブ構造を有していてもよい。特に、編物の形態の織物編物は、リブ状の隆起部、好ましくは長手方向のリブを有していることが好ましい。これに関連して、リブ状隆起部、特に長手方向のリブが、少なくとも実質的に直線的にまたは互いに平行に延びおよび/または配置されることが特に提供される。
【0122】
リブ状突起は、特に繊維シート材1の製造過程において、特殊なステッチ形成に基づき形成することができる。対応する製造工程は当業者によく知られているので、この点に関してさらなる説明は必要ない。
【0123】
本発明に関連して、特に編物の形態の織物編物は、例えば1:1リブまたは2:1シリンダーとしての針張力を有するインターロック編物として形成されるかまたはこれに基づいて製造されることがさらに提供される。
【0124】
図1および
図2にそれぞれ模式的に示すように、前記シート材料1およびヤーンシステム2の形成に関して、本発明に関連して、前記編物がループ5と異なる少なくとも1つの結合エレメント6を追加的に含むことが提供される。この点において、結合エレメント6は、ヘドル、フロート(浮き糸)、ウェフト、部分ウェフトおよび立毛糸からなる群、好ましくはヘドルおよびフロート(浮き糸)からなる群から選択されることが好ましい。この点に関して、
図1は、フロートの形態の結合エレメント6の形成を模式的に示している。さらに、
図2は、緯糸の形で結合エレメント6を形成する様子を模式的に示している。
【0125】
一般に、結合エレメント6がハンドルおよび/またはフロート(浮き糸)の形態で形成または存在することが、本発明によって提供される。特に好ましくは、結合エレメント6は、フロートの形態である。
【0126】
この点において、結合エレメント6が、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3および/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3とは別のおよび/または異なるさらなるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンから形成されることが本発明に関連して可能である。
【0127】
特殊な結合エレメント6の使用を通じて、本出願人が同様に完全に驚くべき方法で発見したように、シート材料1の機械的または弾道的安定性または完全性がさらに改善される。
【0128】
本発明によれば、特に織物編物の形態のシート材料1が、特にDIN EN ISO 12 127:1997によって測定される単位面積当たりの重量が、少なくとも80g/m2、特に少なくとも100g/m2、好ましくは少なくとも150g/m2、より好ましくは少なくとも200g/m2、特により好ましくは少なくとも220g/m2を有している場合が有利である。
【0129】
特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN EN 12 127:1997によって測定される最大で1,000g/m2、特に最大で750g/m2、好ましくは最大で500g/m2、より好ましくは最大で350g/m2、特により好ましくは最大で305g/m2の単位面積当たりの重量を有することが可能である。
【0130】
その結果として、特に織物編物の形態のシート材料1は、特にDIN EN 12 127:1997によって測定される80g/m2~1,000g/m2の範囲内、特に100g/m2~750g/m2の範囲内、好ましくは150g/m2~500g/m2の範囲内、より好ましく200g/m2~350g/m2の範囲内、特により好ましく220g/m2~305g/m2の範囲内の単位面積当たりの重量を有することが好ましい。
【0131】
上記のように単位面積当たりの重量を特別に設定または指定することにより、防護作用は、特に破片の侵入または衝撃に対してさらに最適化され、同時にシート材料の高い柔軟性またはしなやかさも確保される。これは特に防護服として使用する場合の着用快適性および防護すべき対象または防護装置として使用される場合の対象への適合性に有利である。
【0132】
本発明に関して、安定性のさらなる向上は、シート材料1が、特定の厚さを有することによっても達成される。したがって、本発明に関して、特に織物編物の形態のシート材料1が、0.1mm~50mmの範囲内、特に0.2mm~25mmの範囲内、好ましくは0.3mm~15mmの範囲内、より好ましくは0.4mm~10mmの範囲内、特により好ましくは0.5mm~5mmの範囲内、最も好ましくは0.6mm~2.5mmの範囲内の厚みを有することは、特に想定されることである。
【0133】
本発明においては、シート材料1におけるメッシュバーまたはメッシュローの比密度の設定も非常に重要である。
【0134】
したがって、本発明によれば、特に織物編物の形態のシート材料1が、2~25メッシュウェール/cmの範囲内、特に4~20メッシュウェール/cmの範囲内、好ましくは5~17メッシュウェール/cmの範囲内、より好ましくは6~15メッシュウェール/cmの範囲内のメッシュウェール数および/または密度(メッシュウェール/cm)を有している場合が有利なことが見出された。
【0135】
さらに、特に織物編物の形態のシート材料1は、2~40コース/cmの範囲内、特に5~30コース/cmの範囲内、好ましくは8~25コース/cmの範囲内、より好ましくは10~23コース/cmの範囲内のコース数および/またはコース密度(コース/cm)を有することが好ましい。
【0136】
本発明による繊維シート材料1のコースと同時にウェールに関して特別な密度を設定することにより、材料全体としての表面被覆性が、マルチフィラメントヤーン3によってさらに改善され、これは同様に弾道安定性のさらなる向上を生じるものである。
【0137】
さらに、本発明に係るシート材料1は、特に以下の特性を有することも特徴である。
【0138】
したがって、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の本発明によるシート材料1は、シート材料1の未延伸状態に関して、特にDIN 53835-14(すなわちDIN 53835-14:1992-11)によっておよび/または特に20Nによって測定される少なくとも2%、特に少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、より好ましくは少なくとも10%のお互いに独立した縦方向および/または横方向の総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0139】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、お互いに独立した縦方向および/または横方向において、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して最大50%、特に最大40%、好ましくは最大35%、より好ましくは最大30%の総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0140】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、お互いに独立した縦方向および/または横方向において、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して2%~50%の範囲内、特に5%~40%の範囲内、好ましくは7%~35%の範囲内、より好ましくは10%~30%の範囲内の総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0141】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して少なくとも1%、特に少なくとも1.5%、好ましくは少なくとも2%の縦方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0142】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される特にシート材料1の未延伸状態に対して最大10%、特に最大7%、好ましくは最大5%の縦方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0143】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して1%~10%の範囲内、特に1.5%~7%の範囲内、好ましくは2%~5%の範囲内の縦方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0144】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して少なくとも5%、特に少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%の横方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0145】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して最大50%、特に最大40%、好ましくは最大35%の横方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0146】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN 53835-14によっておよび/または特に20Nで測定される、特にシート材料1の未延伸状態に対して5%~50%の範囲内、特に10%~40%の範囲内、好ましくは15%~35%の範囲内の横方向における総延伸度(総伸張度)を有することが好ましい。
【0147】
先に示したように、本発明によるシート材料は、対応する破片防護、穿刺防護および/または切断防護、好ましくは破片防護を提供することに関して優れた防護特性を発揮する。このような背景から、本発明によるシート材1は、以下に示すように、特に優れた弾道防護値を示す。
【0148】
したがって、本発明に関連して、特に織物編物の形態、好ましくは編み物の形態のシート材料1が、STANAG2920によって測定される少なくとも185m/s、特に少なくとも200m/s、好ましくは少なくとも230m/s、より好ましくは少なくとも275m/s、特により好ましくは少なくとも305m/s、非常に好ましくは少なくとも320m/s、さらに好ましくは少なくとも325m/s、最も好ましくは少なくとも330m/sの破片および/または弾道防護値V50を有するような挙動を示すものである。
【0149】
これに関連して、特に織物編物の形態、好ましくは編み物の形態のシート材料1が、STANAG2920によって測定される185m/s~900m/sの範囲内、特に200m/s~800m/sの範囲内、好ましくは230m/s~700m/sの範囲内、より好ましくは275m/s~650m/sの範囲内、特に好ましくは305m/s~600m/sの範囲内、非常に好ましくは320m/s~575m/sの範囲内、さらに好ましくは325m/s~550m/sの範囲内、最も好ましくは330m/s~530m/sの範囲内の破片および/または弾道防護値V50を有するような挙動を示すものである。
【0150】
STANAG2920によって測定される破片および/または弾道防護値V50は、特に、発射体重量0.13gまたは2グレイン(2グレインRCC)(RCC=右旋回シリンダー)を有するRCCの形態の発射体を使用した測定に言及するものである。STANAG2920によって示された弾道防護値V50は、特に温度(20±2)℃、特に相対湿度(65±4)%で、特に240g/m2のシート材料1の単位面積当たりの重量で測定される。
【0151】
これに関連して、本発明による防護服ユニットの高い防護特性は、本発明によって特定された少なくとも185m/sのsTANAG2920によるV50値によって確実にされる。この値は、シート材料1の単層設計の場合、または、これによって1つの層に関してそのような単層のシート材料1の場合に達成される。
【0152】
V50値は、特に定義された発射体および選択された(試験)材料を用いて,発射体による材料の穿孔または貫通の確率が0.5(1は最大確率に等しい)または50%となる速度(m/s)を意味する。詳細については、STANAG2920による対応する規格を参照することができる。
【0153】
したがって、本発明によれば、全体として高いレベルの弾道飛散防止が提供されるので、これに基づいて、特に非従来型の爆発物に関して(および一次および二次飛散物の両方に関して)、榴弾に対する向上した防護が提供される。
【0154】
優れた飛散防止性能により、防護服として使用した場合、非通常型爆発物の爆発に遭遇した際にも、この点での着用者の傷害のリスクを低減することができる。特に、本発明による構想に基づき、生理学的に関連する身体部位の効果的な防護、特に動脈系または静脈系に関しても防護が保証される。さらに、本発明によるシート材料1を、軍事用装備などの防護すべき対象物、物体または装置に関して防護具として使用する場合にも、相応に高い防護作用が存在する。
【0155】
本発明による好ましい実施形態によれば、本発明によるシート材料1、特に織物編物の形態で、好ましくは編物の形態で、親水性加工が施されていてもよく、親水化処理が施されていてもよい。この点に関して、少なくとも1つの親水化剤の使用が特に企図されている。
【0156】
本発明によれば、したがって、特に織物編物の形態の、好ましくは編物の形態のシート材料1が、少なくとも1つの親水化剤で処理されるか、提供されるか、または、それと作用されることが提供される。
【0157】
これに関連して、親水化および/または処理および/または仕上げおよび/または親水化剤の適用は、(i)水分の吸収および/または移動を改善および/または増加させること、および/または、(ii)静電荷を改善および/または低減させること、および/または、特に摩擦から生じる静電荷の消散を改善および/または増加させること、および/または、(iii)積み重ねおよび/または汚れの改善および低減、および/または、(iv)特に洗濯および/または洗浄中に汚れの除去の改善または増加を目的として実行されることが好ましい。
【0158】
特殊な親水性により、例えば防護服として使用する場合、着用者から発生する水分を吸収または除去しやすくなるため、着用感を向上させることができる。さらに、静電気の防止または低減は、例えば、下にある防護衣の着用者によって操作されるか、または、防護具として使用する場合にシート材料によって防護またはカバーされる電子デバイスの防護に関しても、非常に重要である。目標および目的に応じた親水化に基づいて、本発明によるシート材料1の材料特性は、これによって、さらに調整されるか、またはまた特別に調整されるか、またはそれぞれの用途または使用の前に調整されることが可能である。さらに、親水化は、より良い洗濯作用、特に高い洗濯抵抗をもたらすので、材料の弾道安定性は、特にUHMW-PEに基づく特殊なマルチフィラメントヤーン3の使用との相乗的相互作用において、より長い(要求される)期間にわたって維持することも可能である。
【0159】
一般に、親水化剤は、特にシート材料1に関して、(i)吸湿および/または水分移送を改善するおよび/または増加させる、および/または、(ii)静電荷を改善するおよび/または減少させるおよび/または特に摩擦から生じる静電荷の消滅を改善するおよび/または増加させる、および/または、(iii)汚れおよび/または汚染を改善するおよび/または除去する、および/または、(iv)特に洗濯および/または浄化中の汚れの除去を改善するおよび/または増加させる親水化剤、から選択されることが好ましい。
【0160】
本発明によれば、特に、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1が、親水化および/または処理および/または仕上げおよび/または親水化剤の適用の結果として、特に、親水化なしおよび/または処理なしおよび/または仕上げなしおよび/または親水化剤の適用なしの対応するシート材料と比較して、 (i)改善されたおよび/または増加した水分吸収および/または改善されたおよび/または増加した水分移送、および/または、(ii)特に摩擦から生じる静電気の減少および/または改善されたおよび/または増加した静電気の消失、および/または、(iii)特に減少した汚れおよび/または汚染、および/または、(iv)特に洗濯および/または浄化中の改善されたおよび/または増加した汚れ除去を提供するものである。
【0161】
特に、親水化剤は、(i)少なくとも1つの不飽和カルボン酸に基づくポリマー、特に少なくとも1つの不飽和C3-C6カルボン酸、好ましくはポリアクリル酸に基づくポリマー、(ii)アクリル酸および/またはメタクリル酸のコポリマーおよびコモノマー、特にアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレート、(iii)ポリマーおよび/またはアルキルフェノール誘導体、特にポリマーのアルコキシル化生成物、特にエトキシル化生成物(オキエチル化生成物)、(iv)特に一方で親水性部分および/または領域、他方で疎水性部分および/または領域を有し、好ましくは親水性部分および疎水性部分を有するブロック(コ)ポリマーの形態の変性フルオロポリマー、および、(v)これらの混合物または組合せからなる群から選択されることが好ましい。これに関して、当業者は、常に、特定の親水化剤を、特定の特性の形成を背景として選択し使用することが可能である。例えば、アクリル酸-n-ブチルアクリレート共重合体またはポリ-[N-メチルパーフルオロオクタニル-スルホンアミド-エチルアクリレート]の形態の親水化剤を使用することができる。
【0162】
一般に、本発明に関連して、親水化または処理または仕上げまたは親水化剤への曝露が、特にシート材料1および/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3および/またはUHMW-PE個別フィラメント4の表面に、親水性化学基および/または親水性コーティング(フィルム)を適用および/または生成することによって実行されることがその場合であることが好ましい。このため、既述の親水化剤を用いてもよい。一般に、親水化は、このように、本発明による繊維シート材料1の形態の仕上げ材料に、例えば、防護衣または防護具へのまたは防護衣または防護具のためのさらなる加工または切断の前に実行される。また、親水化剤の親水化または処理または仕上げまたは塗布は、原則として、結果として得られたそのような防護衣または防護具において実行されることも可能である。
【0163】
親水化の詳細については、ルエット、テキスタイル仕上げ辞典、第1巻、1995年、ローマン出版、デュルメン、859-862頁、キーワード「親水化」並びに「繊維のための親水性」を参照することが可能である。
【0164】
このため、本発明によるシート材料1の親水性は、目標指向型または目的指向型に調整されまたはあつらえることができる。したがって、それは、本発明に関して、特に織物編物の形態の、好ましくは編物の形態のシート材料1が、最大5秒、特に最大4秒、好ましくは最大3秒、好ましくは最大2秒、特に好ましくは最大1秒のTEGEWA試験によって測定される親水性を有するように作用する。このように、本発明によるシート材料1は、全体として親水性を有していてもよい。TEGEWA試験は、下地材料の濡れ性を測定するために用いられる;特に、手順は、対応する試験溶液が、被試験材料に滴下され、適用された滴の浸透または沈降作用を測定するものである。測定された沈降時間は、素材の濡れ性の指標となる。
【0165】
先に示したように、優れた破片防護に加えて、本発明によるシート材料1は、相応に優れた穿刺または切断防護特性も有する。したがって、本発明によれば、特に織物編物の形態のシート材料1が、少なくとも1ニュートン、特に少なくとも2ニュートン、好ましくは少なくとも2.5ニュートン、より好ましくは少なくとも2.9ニュートンの特にDIN EN 388(いわゆる DIN EN388:2019-03)(6.3項)によるおよび/またはEN ISO 13997による切断抵抗および/または刺通抵抗を有することが提供される。
【0166】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の本発明によるシート材料1は、特にDIN EN 388による少なくとも11ニュートン、特に少なくとも13ニュートン、好ましくは少なくとも15ニュートンの引張強度を有することが好ましい。
【0167】
さらに、本発明による繊維シート材料1は、下記する特長によって特徴づけられることが好ましい。
・特に、シート材料1は、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の特にDIN EN ISO 12947-2(いわゆるDIN EN ISO12947-2:2017-03)によって測定されおよび/または12kPaで測定される少なくとも100,000ツアー、特に少なくとも125,000ツアー、好ましくは少なくとも150,000ツアーの耐磨耗性を有することが好ましい。
・さらに、シート材料1は、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の特にDIN EN ISO 12947-2により測定され、および/または特に12kPaで測定される最大1,000,000サイクル、特に最大800,000サイクル、好ましくは最大500,000サイクルの耐摩耗性を有することが可能である。
・最後に、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN EN ISO 12947-2によって測定されおよび/または特に12kpaで測定される100,000ツアー~1,000,000ツアーの範囲内、特に125,000ツアー~800,000ツアーの範囲内、好ましくは150,000ツアー~500,000ツアーの範囲内の耐磨耗性を有することが可能である。
【0168】
さらに、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態の本発明によるシート材料1は、ガス透過性、好ましくは空気透過性であることが好ましい。これにより、例えば防護服として使用する場合、着心地が向上する。また、防護具として使用する場合、例えば結露等の発生を回避または低減し、防護すべき機器や対象物が不必要に過度の湿気にさらされることがないようにすることができる。
【0169】
これに関連して、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN EN ISO9237(すなわちDIN EN ISO9237:1995-12)によっておよび/または100Paによって測定される少なくとも100L/m2*s、特に少なくとも300L/m2*s、好ましくは少なくとも500L/m2*s、より好ましくは少なくとも800L/m2*s、特に好ましくは少なくとも1,000L/m2*s、特により好ましくは少なくとも1,100L/m2*sのガス透過性、好ましくは空気透過性を有することができる。
【0170】
特に、織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、特にDIN EN ISO 9237によって測定されおよび/または特100Paで測定される100L/m2*s~5,000L/m2*sの範囲内、特に300L/m2*s~4,000L/m2*sの範囲内、好ましくは500L/m2*s~3,500L/m2*sの範囲内、より好ましくは800L/m2*s~3,000L/m2*sの範囲内、特により好ましくは1,000L/m2*s~2,500L/m2*sの範囲内、非常に好ましくは1,100L/m2*s~2,000L/m2*sの範囲内のガス透過性、好ましくは空気透過性を有するものである。
【0171】
さらに、本発明によれば、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1が、水蒸気に対して透過性を有するように形成されていることが提供される。
【0172】
特に、特に織物編物の形態のシート材料1は、特にISO 11092によって測定される最大18(m2*Pa)/W、特に最大14(m2*Pa)/W、好ましく最大9(m2*Pa)/W、より好ましく最大4(m2*Pa)/Wの定常状態条件下での水蒸気透過抵抗Retを有することが好ましい。
【0173】
特に、汗を効果的に排出することで、高い快適性を実現する。
【0174】
水蒸気透過抵抗Retは、特にDIN EN ISO 31 092:1993または1994年2月の国際規格ISO 11092(「繊維-生理的影響、静止条件下での熱および水蒸気透過抵抗の測定(発汗ガード-熱板試験)」)によって測定される。
【0175】
最後に、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1は、洗濯処理後に、特にシート材料1の未処理状態に対して、最大15%、特に最大12%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大8%の互いに独立した縦方向および/または横方向の寸法変化を有することができる。
【0176】
この場合、関連する特性は、特にDIN EN ISO 5077:2008によって測定される。特に、洗濯処理は、この点に関して、DIN EN ISO 6330:2013、洗濯方法6N、洗濯機タイプA1、特に軟水および特に約20gのECE洗剤(漂白剤なし、過ホウ酸塩なし)を使用して、乾燥方法Aによって実行されることが好ましい。
【0177】
本発明に関して、特に織物編物の形態、好ましくは織物編物の形態のシート材料1が、少なくとも1つの織物材料、特にシート材料と組み合わされおよび/または一緒にされ、特に接合されていることが提供される。
【0178】
これに関して、シート状編物材料は、シート状材料1とは異なる機能特性を有していることが好ましい。例えば、平坦な編物材料は、さらなる弾性を有していてもよく、特にこれに関して、例えば、防護服への応用が考えられ、この場合、着用状態の編物材料は、例えば関節等のような高い体動に関連するような場所に配置される。
【0179】
本発明によれば、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態であるシート材料1と編物材料とが、共通の平面に配置されるか、共通の平面を形成するか、好ましくは閉じた平面を形成することが提供される。これによって、これに関連して、シート材料1は、例えば、防護服または防護具として存在することを考慮して、シート状編物材料を有する共通のベース平面またはベース面を形成することができる。
【0180】
一般に、特に織物編物の形態、好ましくは織物編物の形態のシート材料1と織物材料とは、それぞれ、縁部において、好ましくは縫製および/または編込みの手段、溶接、接着等の手段により互いに接合されることが好ましい。また、これに関して、固定または接着を有する縁側重複配置であることが好ましい。
【0181】
またこれに関連して、本発明によれば、特に、好ましい実施形態による基礎的な接続のために、例えば、ジッパーと同様にホチキス止めなども使用されないように作用する(そのような材料からの二次的な破片の形成が防止されるように)。
【0182】
本発明による更なる実施形態によれば、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1と織物材料とが、異なる平面でまたはお互いの上にまたはお互いの最上部に配置されていることも提供される。例えば、防護服の場合、シート材料1が着用状態の着用者に付随し、シート材料1の着用状態の着用者から遠ざかる側に織物材料が配置されることが提供されることが好ましい。この際、例えば、編物材料に迷彩柄やカモフラージュ柄が施されていることを提供することが好ましい。
【0183】
本実施形態によれば、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1と織物材料とが、互いに向かってまたは重ねて緩く配置されていることが提供される。しかしながら、これに対して、シート材料1と織物材料とが、好ましくは縫製および/または編込み、溶着、接着等の手段により、互いに端部において接合されていることも提供できる。
【0184】
また、本実施形態によれば、特に、ファスナーによる接続を行わないまたはホチキスなどによる接続を行わないように動作する。
【0185】
シート材料1と共に使用または採用されるそのような織物材料に関して、織物材料が、ガス透過性、特に空気透過性および/または水蒸気透過性であることが、本発明によれば提供される。
【0186】
特に、本発明によれば、織物材料が、編物、特にニットまたはかぎ針編みの織物;織物;スクリムまたは織物複合体、特に編物または織物の形態であることが提供される。
【0187】
一般に、編物材料は、60g/m2~750g/m2の範囲内、特に70g/m2~525g/m2の範囲内、好ましくは80g/m2~325g/m2の範囲内、より好ましくは90g/m2~275g/m2の範囲内の基本重量を有することができる。
【0188】
さらに、織物材料は、天然繊維および合成繊維の群から選択される少なくとも1種類のヤーン、ツインおよび/またはファイバー、好ましくは綿;羊毛;麻;ポリエステル;ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;酢酸塩、特にセルロース酢酸塩;トリアセテート、特にセルローストリ酢酸塩;ポリアクル;ポリアミド;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリビニルエステル;ビスコース;およびそれらの混合物または組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のヤーン、ツインおよび/またはファイバーを具備することが好ましい。
【0189】
さらに、本発明によれば、織物材料-特にシート材料1とは対照的に-が、UHMW-PEに基づく成分、特にヤーンおよび/またはファイバーおよび/またはツインおよび/またはスレッドを少なくとも実質的に含まないことも原則的に提供することができる。
【0190】
一般に、織物材料は、耐火性および/または難燃性を有するように形成されてもよい。
【0191】
これに関連して、織物材料は、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態のまたはその一部を形成する少なくとも1つの耐火性および/または難燃性材料を含むことが好ましい。
【0192】
これに関連して、耐火性および/または難燃性材料は、少なくとも1つのアラミド、特にメタアラミドであることが好ましい。さらに、織物材料は、織物材料を基準として、1重量%~100重量%の範囲内、特に2重量%~95重量%の範囲内、好ましくは5重量%~90重量%の範囲内、より好ましくは10重量%~85重量%の範囲内の量の耐火性および/または難燃性材料を含むことが好ましい。
【0193】
同様に、織物材料が帯電防止であることが提供されてもよい。一般に、織物材料は、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態またはその一部として、少なくとも1つの帯電防止材料を含むことが好ましい。
【0194】
さらに、前記織物材料は、弾性的および/または可逆的に伸縮するように形成され流ことが好ましい。これに関連して前記織物材料は、特にヤーンおよび/またはツウィンおよび/またはスレッドの形態でまたは構成要素として、特に合成ポリマー材料に基づく、好ましくは構成要素のポリウレタンおよびポリエチレングリコールからなるブロックコポリマーに基づく、少なくとも一つの弾性的または可逆的伸縮性材料を有することが好ましい。
【0195】
さらに、織物材料は、織物材料を基準にして、1~25重量%の範囲内、特に2~20重量%の範囲内、好ましくは2~15重量%の範囲の量で弾性的または可逆的に伸縮する材料を含むことが好ましい。
【0196】
さらに、本発明によれば、織物材料に親水性加工が施されていること、または親水化処理が施されていることも提供され得る。これに関して、適切な親水化剤が使用されてもよい。これに関連して、不必要な繰り返しを避けるために、シート材料1に提供される親水化に関する上記の説明を参照することができ、この点に関する説明は、さらなる織物材料にも適宜適用される。
【0197】
さらに、例えばLenzing(登録商標)FRのようなセルロースに基づく、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態の成分は、織物材料に使用することもでき、それによって(さらなる)防火または防炎を提供することができる。さらに、特にヤーンおよび/またはツインおよび/またはスレッドの形態の弾性または可逆的に伸縮する特性を有する材料は、例えばLycra(登録商標)などのスパンデックスに基づく材料を使用することができる。さらに、スパンデックス(登録商標)に基づく材料も使用可能である。
【0198】
本発明によれば、特に織物編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料1および/または織物材料が、化学毒物および/または化学兵器薬剤を吸着する吸着剤、特に活性炭に基づく材料、好ましくは粒状(「粒状炭素」)または球状(「球状炭素」)の形態の活性炭粒子の形態の材料で追加的に装填されまたは備えていることがさらに提供される。これに関連して、前記吸着剤は、特に不連続的に、好ましくは点状に塗布される接着剤によって、防護対象物および/または前記シート材料1および/または前記織物材料に固定されてもよい。これに基づいて、シート材料1および/または織物材料は、標的化されたまたは目的指向の方法で吸着特性を追加的に備えることができるので、本発明によるシート材料1は、これに関して、化学毒物および/または戦争兵器薬剤に関してさらなる防護機能を有することになる。
【0199】
これに関連して、吸着剤粒子、特に活性炭粒子の平均直径は、0.01~2mmm、好ましくは0.05~1mm、より好ましくは0.1~0.5mmであることが好ましい。対応する粒子径は、特にASTM D2862-97/04による方法に基づいて測定することができる。さらに、前記粒子径は、X線回折、レーザー回折等に基づくふるい分け分析に基づく測定方法を用いて測定することができる。それぞれの判定方法は、このように当業者によく知られているので、この点についてはこれ以上の説明を要しない。
【0200】
さらに、吸着剤粒子、特に活性炭粒子は、40~250g/m2の範囲内、特に50~180g/m2の範囲内、好ましくは55~130g/m2の範囲内の量で用いることができる。
【0201】
一般に、活性炭は、特に有機ポリマーに基づく合成または非天然の出発物質の炭化およびその後の活性化によって得ることができる。
【0202】
特に、活性炭は、有機ポリマーに基づく、特にスルホン化有機ポリマーに基づく、好ましくはジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づく、より好ましくはスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーに基づく出発材料から、特に出発材料の炭化とその後の活性化によって得られることが好ましい。これに関連して、出発物質中のジビニルベンゼンの含有量は、出発物質を基準として、1重量%~20重量%の範囲内、特に1重量%~15重量%の範囲内、好ましくは1.5重量%~12.5重量%の範囲内、より好ましくは2重量%~10重量%の範囲内であることが好ましい。
【0203】
さらに、出発材料は、特にスルホン化されたおよび/またはスルホン酸基を含むゲルタイプのイオン交換樹脂であることが好ましい。
【0204】
特に、本発明によれば、使用される活性炭が、ポリマー系球状活性炭(PBSAC;Polymer-based Spherical Activated Carbon)であることが提供される。このように、特に、活性炭は、ポリマー系球状活性炭(PBSAC)であることができる。
【0205】
これにより、使用される活性炭は、原則として従来技術の既知のプロセスに従って得ることができる。特に、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンに基づく球状のスルホン化有機ポリマーは、この目的のために炭化され、そして、特に先に示したように、当該活性炭を形成するために活性化される。この点に関するさらなる詳細については、例えば、公報DE 43 28 219 A1、DE 43 04 026 A1、DE 196 00 237 A1およびEP 1 918 022 A1または同じ特許ファミリーに属する並行するUS 7,737,038 B2を参照することができるが、そのそれぞれの内容は参照によりここに完全に組み込まれるものとする。
【0206】
本発明で用いる活性炭は、一般に市販されているもの、または市販されているものを使用することができる。特に、例えば、ブリュッヒャー ゲーエムベーハー、エルクラス、ドイツから販売されている活性炭を使用することができる。
【0207】
その結果、多重防護、すなわち、一方では破片、穿刺または切断に対する防護、他方では化学毒物または戦争兵器薬剤に対する防護を備える本発明によるシート材料1が提供される。
【0208】
本発明によれば、特に、シート材料1が、任意に織物材料と共に、防護製品、特に防護衣および/または防護具の構成要素であるまたは防護製品を形成することが提供される。
【0209】
これに関連して、例えば、シート材料1が、着用状態における防護服に使用される場合には、防護服の着用者の防護されるべき領域に配置され、または、防護具に使用される場合(例えば、シート材料やそれに関連する防護具において防護されるべき対象物に配置される場合)、防護されるべき領域に配置されることが提供されることが好ましい。
【0210】
本発明の第1の態様によれば、本発明はまた、特に先に定義したように、軍用および/または民間用の防護衣または防護具に使用するための破片防護、穿刺防護および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えた繊維シート材料(シート材料)1に関したもので、
繊維シート材料1が、繊維シート材料1を形成する少なくとも1つのヤーンシステム2、特にマルチフィラメントヤーンシステムを有するかまたはそれらからなるものであり、
前記ヤーンシステム2が、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を有するかまたはそれらから形成されるものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはそれから形成されており、ここで、前記UHMW-PE個別フィラメント4は、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)をお互いに撚られること(撚り合わされること)によって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を形成するために、お互いに接続されおよび/またはお互いに結合されおよび/または一緒に纏められ、特に撚り合わせられおよび/または撚り合わされ(撚られ)るものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント4、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント4、特により好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはこれらから形成されるものであり、および/または、
前記UHMW-PE個別フィラメント4はそれぞれ、0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3detexの範囲内、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線密度(繊度)を有するものであり、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものである。
【0211】
同様に、本発明の第1の態様によれば、本発明はまた、特に先に定義したように、軍事および/または民間部門の防護衣または防護具に使用するための、破片防護、穿刺防護および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えた繊維シート材料(シート構造)1に関するものであり、
前記繊維シート材料1は、繊維シート材料1を形成する少なくとも1つのヤーンシステム2、特にマルチフィラメントヤーンシステムを有するものであるかまたはそれらからなるものであり、
前記ヤーンシステム2は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を有するかまたはそれらから形成されるものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはそれから形成されており、ここで、前記UHMW-PE個別フィラメント4は、好ましくはUHMW-PE個別フィラメント(4)をお互いに撚り合わせること(撚られること)によって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を形成するために、お互いに接続されおよび/またはお互いに結合されおよび/または一緒に纏められ、特に撚り合わせられおよび/または撚り合わされ(撚られ)るものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に10~400本のUHMW-PE個別フィラメント4、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント4、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント4、特に好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント4、特により好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはこれらから形成されるものであり、および/または、
前記UHMW-PE個別フィラメント4はそれぞれ、0.2dtex~30dtexの範囲内、特に0.5dtex~10dtexの範囲内、好ましくは0.8dtex~5dtexの範囲内、より好ましくは1dtex~3detexの範囲内、特に好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特により好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線密度(繊度)を有するものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3が、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものであり、および、
前記シート材料1および/またはヤーンシステム2は、織物編物の形態で、特に編物として、および/または編物織物として、好ましくは編物織物として形成され、
前記シート材料1および/またはヤーンシステム2は、一方で複数のステッチ5を有し、他方で任意にそれとは異なる少なくとも1つの結合エレメント6を有するものであり、
前記結合エレメント6は、ループ、フロート(浮き糸)、緯糸、部分緯糸および立毛糸からなる群から選択され、好ましくは、ループおよびフロート(浮き糸)からなる群から選択されるものである。
【0212】
本発明のさらなる目的は、本発明のさらなる態様によれば、さらに、特に軍事および/または民間部門のための、破片、穿刺および/または切断の防護、好ましくは破片の防護を備えた防護製品、特に防護衣または防護具であり、
素材は、先に定義したような少なくとも1つの繊維シート材料(1)を有するかまたはそれらからなるものであり、および/または、
前記防護製品は、先に定義したような繊維シート材料1を用いておよび/または先に定義したような繊維シート材料1を含んで製造されるものであり、および/または、
前記繊維シート材料1は、織物編物の形態であり、好ましくは、編物の形態であり、および/または、
前記シート材1は、一方で複数のメッシュ5を有し、他方で任意にそれとは異なる少なくとも1の結合エレメント6からなり、前記結合エレメント6は、ループ、フロート、緯糸、部分緯糸および立毛スレッドからなる群から選択され、好ましくはループおよびフロートから選択されるものである。
【0213】
本発明のこの態様によれば、本発明はまた、特に先に定義したように、軍事および/または民間部門のための、特に破片防護、穿刺および/または切断防護、好ましくは破片防護を備えた防護製品、特に防護衣または防護具に関するものであり、
前記製品は、少なくとも1つの繊維シート材料1を含むかまたはそれらからり、
ここで、シート材料は、繊維シート材料1を形成する少なくとも1つのヤーンシステム2、特にマルチフィラメントヤーンシステムを含むかまたはそれらからなるものであり、
前記ヤーンシステム2は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を有するかまたはそれらから形成されるものであり、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント4からなるかまたはそれから形成されており、前記UHMW-PE個別フィラメント4は、お互いに接続されおよび/またはお互いに組み合わせられおよび/または接合されおよび/または組み合わされ、特に撚り合わされおよび/または撚られ(撚られること)、これによって、好ましくはお互いにUHMW-PE個別フィラメント(4)を撚ること(撚り合わせること)によって、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3を形成するものであり、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン3は、少なくとも150dtexのタイター(繊度、糸番手)を有するものである。
【0214】
このように、本発明による防護製品に関しては、特に関連するシート材料1が上記で定義されたように形成されるように作用する。
【0215】
特に、本発明によれば、シート材料1が、領域および/またはセクションにおける防護対象物において配置されていることまたは防護対象物がシート材料1によって領域および/またはセクションに形成されていることが提供される。
【0216】
本発明によれば、特に少なくとも部分的および/または領域的にまたは特に表面全体にわたって、シート材料1が、防護製品における単一層に配置されていることが同様に提供される。この点において、シート材料1は、いわば、少なくとも部分的および/または領域的に防護製品のベース面を形成することができる。
【0217】
さらに、本発明によれば、シート材料1が、防護された製品において、特に少なくとも部分的および/または領域的に、あるいは特に表面全体にわたって、複数の層、好ましくは2層、3層、4層またはそれ以上で配置されていることも提供される。これに関して、本発明によれば、特に、個々の層が、それぞれまたは別々のシート材料1によって形成されていることが提供される。これに関連して、原則として、例えば8層や16層の配置も考慮される。このようにして、少なくとも特定の領域または部分において、防護機能を目標とする方法において増大させることができる。特に、4層の配置は、曲げ特性や柔軟性に関して優れた値を提供し、同時に防護機能を高めることができるため、有利であることが証明される。
【0218】
一般に、シート材料1の配置は、シート材料1の層の数が増加すると、それぞれの多層配置のSTANAG 2920による関連した弾道防護値V50が、単層配置と比較して相応に増加するようになっている。
【0219】
対応する層は、例えば、防護服の一体化した部分とすることができる。しかしながら、以下に説明するように、本発明による防護製品に関して、特に多層破片防護エレメントの取り外し可能または着脱可能な配置も想定される。
【0220】
さらに、本発明によれば、本発明による主題が、本発明によって示されたシート材料1に加えてまたはこれと組み合わせて、特に上記に定義されたような織物材料、特にシート材料をさらに含む場合が好ましい。
【0221】
この点に関して、シート材料1に関連して使用される織物材料に関する上記の説明も参照されるが、それによって、この点に関する説明も本発明のこの態様に準用される。
【0222】
特に、前記織物材料は、ニット織物、特に編物またはかぎ針編物;機織物;スクリム;または織物複合体、特にニットまたは織物の形態であることが好ましい。
【0223】
本発明によれば、特に、シート材1が織物材料と組み合わされるかまたは纏められること、特に結合されることが提供される。
【0224】
この点において、本発明によれば、特に、シート材料1および織物材料が、共通の平面内に配置されおよび/または共通の平面を形成しおよび/または好ましくは閉じた平面を形成することが提供される。
【0225】
特に、本発明によれば、シート材料1と織物材料とは、縁部において、好ましくは縫製、溶着、接着等の手段により、好ましくは編込みによりそれぞれ接合されていることが提供され得る。この点、本発明による実施形態によれば、例えばジッパーによってまたは例えば鋲打ちによって、接続が行われないことが提供される。
【0226】
さらに、本発明による防護対象に関して、シート材料1と織物材料とが、異なる平面でおよび/またはお互いの上に配置されていることも提供される。
【0227】
この点において、シート材料1と織物材料とが、好ましくは縫製、溶接、接着等の手段により、好ましくは縫製により、互いに緩く配置されているかまたは互いに接合されることが提供され得る。この点、本発明による一実施形態によれば、特にこれが防護製品自体からの二次的な破片の形成をさらに防止するので、接続が、例えばジッパーによって、または例えばホチキス止めによって行われないことが提供される。
【0228】
特に、織物材料は、ガス透過性、特に空気透過性および/または水蒸気透過性であることが好ましい。
【0229】
同様に、織物材料は、ニット織物、特に編物またはかぎ針編みの織物;機織物;スクリム;または織物複合体、特に編物または織物の形態であることが好ましい。
【0230】
さらに、防護対象物および/またはシート材料1および/または編物材料が、化学的毒物および/または化学兵器剤を吸着する吸着剤、特に活性炭ベースの材料、好ましくは粒状(「粒状炭素」)または球状(「球状炭素」)の活性炭粒子の形態で、追加的に装填されおよび/または備えることができ、特に吸着剤が特に不連続的に、好ましくはドット状で適用されている接着剤を用いて防護対象物および/またはシート材料1および/または繊維材料に固定されていることが提供される。
【0231】
一般に、前記防護製品は、防護服、特に防護スーツ、防護ズボン、特に防護アンダーパンツまたは防護オーバーパンツ、防護シャツ、特に防護アンダーシャツまたは防護オーバーシャツ、防護ベスト、防護手袋、防護靴下、防護ヘッドギア等の形態であることが好ましい。
【0232】
一般に、前記防護製品は、下着(アンダーウェア)および/または外衣(アウターウェア)の形態の防護衣の形態であることが好ましい。一般に、前記防護衣は、人用の衣服の形態であることが好ましい。
【0233】
これに関して、本発明によれば、特にシート材料1は、着用時に、大腿部、特に前部、内股および/または後部の領域、好ましくは前部および/または内股;腰部;生殖器、肛門および/または会陰部、下腿、特に前下腿、内側下腿および/または後下腿、好ましくは前下腿および/または内側下腿;膝および/または膝窩部;の領域にわたって、腰および/または腎臓骨盤;胴体、特に側面および/または背面の胴体;上腕および/または下腕;曲げおよび/または肘;肩;首;顔部、特に下顔面部;手、特に手の甲;および/または手首の領域を覆うように延びており、および/または、防護服の着用状態において前記領域を少なくとも部分的に覆い、および/または、着用状態において前記領域に配置されているように挙動することができる。このように、身体の特定の部位や部分を重点的に防護することができる。
【0234】
さらに、防護製品が、好ましくは、対象物を防護および/または被覆し、または覆いおよび/または裏張りするための防護具の形態であることも提供される。これに関連して、防護具は、シート状および/または二次元構造の形態、好ましくは大面積のまとまりの形態、特に一部品構造の形態、好ましくはカバー、布、シート、毛布、ターポリン、マット等の形態であることが好ましい。
【0235】
これに関連して、防護されるべき対象物に関して、対象物が定義された物理的な広がりおよび/または定義された形状を有することがその場合である。
【0236】
特に、対象物は技術的な対象物であることが好ましい。さらに、対象物は、機械的および/または電子的な対象物であってもよい。さらに、対象物は、民間用または軍事用の対象物、特に軍事用の対象物、好ましくは技術的軍事用、機械的軍事用および/または電子的軍事用の対象物であることが好ましい。
【0237】
一般に、本発明に関する製品は、軍用製品および軍用装備の群から選択されてもよく、好ましくは軍用装備および/または軍用機器の群から選択され、および/または、前記製品は、好ましくは軍用車両、機械、武器、弾薬、予備部品、電子アイテム、付属品、設置、設備、機器などの群から選択されることが好ましい。
【0238】
この点において、本発明によれば、防護材料が物体の物理的な拡張および/または形状に適合していることが特に好ましい。
【0239】
それによって、本発明によれば、本発明による防護製品が製品のための防護装置として特別な方法で形成される実施形態については、関連する防護材料および/またはそのような防護製品が人のための衣類として形成されないような挙動を示す。
【0240】
対応する防護機能を確保する観点から、防護材料が、特に使用および/または適用状態において、成形品の外側に配置されることが特に提供される。
【0241】
一般に、防護材料は、特に使用および/または適用状態において、防護すべき対象物を部分的に、または少なくとも実質的に完全に、好ましくは完全に覆うことができる。
【0242】
さらに、防護材料は、可逆的および/または非永久的に、特に非永久的に、好ましくは除去可能に、製品に結合されることが好ましい。
【0243】
本発明による更なる実施形態によれば、防護材料が製品に一体化されていることも提供される。例えば、防護材料は、製品の裏地を形成してもよい。
【0244】
また、防護材料は成形品と一体になったものでもよい。
【0245】
一般に、本発明によれば、防護材料と製品が単一のユニットを形成することもあり得る。この点に関して、防護材料が、特に縫製、溶接、積層および/または接着により、製品にしっかりとまたは恒久的に、特に恒久的に接続されていることも提供される。
【0246】
一般に、防護材料は、少なくとも実質的に完全に成形品に接着していてもよい。
【0247】
さらに、防護材料は、少なくとも部分的に、特に点状、線状および/または格子状に成形品に接続されてもよい。
【0248】
本発明によれば、特に、さらなる、特に断面的または領域的な補完的防護を確保するために、防護対象が少なくとも1つの破片防護エレメントを含み、特に補完的および/または補足的および/または個別に適応可能な破片、穿刺および/または切断防護、好ましくは破片防護を形成および/または提供することが、提供されることが好ましい。
【0249】
これに関連して、飛散防止エレメントは、少なくとも1つのシート材料1を有するかまたは形成されることが好ましい。
【0250】
一般に、シート材料1は、特に少なくとも部分的および/または領域的に、または特に表面全体にわたって、破片防護エレメントにおいて単層で配置されてもよい。さらに、シート材料1は、特に少なくとも部分的および/または領域的に、あるいは特に表面全体にわたって、破片防護エレメントにおいて複数層、好ましくは2層、3層、4層、8層、16層またはそれ以上、好ましくは4層で配置されてもよい。これに関して、個々の層は、それぞれおよび/または別々のシート材料1によって形成されてもよい。一般に、破片防護エレメントの8層または16層の実施形態も可能である。
【0251】
一般に、破片防護エレメントは、防護対象物に着脱自在または取り外し可能に接続されてもよい。これに関して、破片防護エレメントは、防護対象物の受信装置、特に受信ポケットに挿入可能であることが好ましい。一般に、本発明に関して、防護製品が装着状態にあるとき、破片防護エレメントが、それぞれの破片防護エレメントに関連する支持体の異なる本体領域または領域上にそれぞれ延在すること、または、それぞれの場合において支持体の対応領域を少なくとも部分的に覆うことも想定されることが好ましい。これに対応して、破片防護エレメントは、防護装置に関するそれらの使用に関して、防護されるべき対象物の特定の領域または部分にわたって延出することができる。
【0252】
本発明による概念に基づき、着用者または対象物に関してまたは根本的な危険の可能性に関して調整および補足することができる破片防護は、これによって、例えば、定義された身体領域または部分または防護されるべき対象物の定義された領域に関して、特に配置される特別な破片防護エレメントの可能な提供される使用によって提供されることが可能である。
【0253】
また、本発明の目的は、本発明のさらに別の態様によれば、防護製品、特に防護衣および/または防護具、好ましくは軍事および/または民間部門に、破片、穿刺および/または切断の防護を提供または増大するために、先に定義したようなシート材料1を使用することである。
【0254】
最後に、本発明は、本発明のさらに別の態様によれば、防護製品、特に防護衣および/または防護具、好ましくは軍事および/または民間部門において、破片、穿刺および/または切断防護、好ましくは破片防護を提供または増大する方法にも関連するものであり、先に定義した少なくとも1つのシート材料1が、シート材料1の形成および/または製造に使用され、および/または、前記シート材料1に一体化されているものである。
【0255】
本発明のさらなる実施形態、変形、修正、特殊性および利点は、本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書を読むことにより当業者に容易に明らかになり、実現可能である。
【0256】
以下、本発明を以下の実施形態を参照して説明するが、これらは本発明を限定するものでは決してない。
【実施例】
【0257】
A) 各種繊維シート材料の防弾効果
各種繊維シート材料について,防弾効果(弾道保持力)あるいは飛散防止効果を測定する。
【0258】
このため、シート材料の防弾効果は、STANAG2920(RCC0.13g、RCC=Right Circular Cylinder(直円柱))によって測定されたそれぞれの防弾値V50という形で測定される。V50値が高いほど、弾道防護機能、または試験された破片防護要素の保持能力が優れていることを意味する。以下に示す弾道防護値は、シート材料を単層で配置した場合、またはシート材料を単層で配置した場合のものである。
【0259】
これにより、それぞれの繊維シート材料は、編物の形態である。さらに、それぞれの繊維シート材料は、対応する数のUHMW-PE個別フィラメントを有するUHMW-PEマルチフィラメントヤーンの形態のヤーンの使用に基づくものである。
【0260】
各シート材料の詳細について:
a) まず、本発明に係る織物シート材Aについて検討する。これは、100本のUHMW-PE個別フィラメントから形成されるUHMW-PEマルチフィラメントヤーンが使用されたシート材料である。連続繊維として形成されたUHMW-PE個別フィラメントは、少なくとも互いに実質的に同一であり、少なくとも実質的にUHMW-PEのみで形成されており、それぞれ2dtexの線密度(繊度)を有している。UHMW-PE個別フィラメントは、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するために撚り合わされる。結果として得られたUHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、ヤーンまたは80T/mのフィラメント撚りによってZ方向に撚られる。また、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、タイター(繊度、糸数)が約220dtex、直径が約175μm、繊度関連の最大引張強度が約340cN/tex、約3.5%の最大引張伸度を有するものである。
【0261】
得られた本発明による繊維シート材料は、約250g/m2の単位面積当たりの重量、約1.5mmの厚さを有するものである。さらに、シート材料は、約9ウェール/cmおよび約20コース/cmのメッシュ数または密度を有する。さらに、シート材料は、縦方向および/または横方向の総伸びがそれぞれ約20%である。
【0262】
このシート材料Aは、下記表1にも示すように、防弾値V50が390m/s以上である。
【0263】
【0264】
この表は、本発明によるシート材料Aが、非常に高い防弾値V50を有していることを示している。
【0265】
b) さらに、本発明による織物シート材B1~B5を検討すると、これらは前記シート材料Aに準じて構成されているが、シート材料B1~B5の場合、以下の表2に示すように、ヤーンまたはスレッドの撚りを変化させることを条件とするものである。また、表2は、それぞれの場合において測定された防弾値V50をまとめたものである。
【0266】
【0267】
この表から、本発明によるシート材料A(約80T/m)と比較して、シート材料B1~B5についてより小さな弾道防護値V50が存在し、シート材料B2~B4では依然として全体的に高い値が得られているが、シート材料B1およびB5についてこの点に関する値が低くなっていることが分かる。
【0268】
この理論を呼び出したり制限したりすることを望むことなく、シート材料B3~B5の弾道防護値V50の低下は、ヤーンまたはスレッドの撚りが大きくなると、運動の自由度が低下し、および/または、マルチフィラメントヤーンのUHMW-PE個別フィラメントの相互作用が最適ではなく、ヤーン内の運動エネルギーの入力および特に消散または分散が最適ではなくなるという事実に貢献することが好ましい。
【0269】
c) さらに、上述したシート材料Aによって構成される本発明による繊維シート材料C1~C5を検討したが、このシート材料C1~C5の場合、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するUHMW-PE個別フィラメントの本数は、以下の表3に示すように変化させることを条件とするものである。また、表3は、それぞれの場合において測定される弾道防護値V50をまとめたものである。
【0270】
【0271】
この表は、本発明によるシート材料A(100本の個別フィラメントを有する)と比較して、シート材C1~C5について、より小さな弾道防護値V50が存在することを示している。特に、シート材C1は、弾道防護値V50が比較的小さい。さらに、弾道防護値V50の一定の減少も、特にシート材C5について明らかであり、それによって、特にシート材C5について材料の製造がより困難であることが存在し、これはシート材料C4についても弱められた形態で存在する。対照的に、シート材料C2~C5は、それぞれ依然として比較的高い弾道防護値V50を有している。
【0272】
この理論に限定されることを望まないが、シート材料C5の場合の弾道防護値V50の減少(およびシート材料C4の場合の停滞またはわずかな減少)は、おそらく、糸中のUHMW-PE個別フィラメントの数が多いかまたは増加しているために、個々のフィラメントの運動の自由度は限られており、および/または、最適な相互作用はないので、ヤーン内の運動エネルギーの入力および特に消散または分散が損なわれるか少なくともさらに最適化されないことに起因している可能性がある。さらに、同様にこの理論に限定されることを望むことなく、特にシート材料C5の場合、またシート材料C4の場合より少ない範囲であるように、シート材料を形成するためのそれぞれのマルチフィラメントヤーンの加工性の悪化は、それぞれの下にあるマルチフィラメントヤーンの時々減少する柔軟性または可撓性と関連している場合がある。
【0273】
d) さらに、本発明による繊維シート材料D1~D4が検討され、これらは前述のシート材料Aによって構成されているが、ただしシート材料D1~D4の場合、UHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成するUHMW-PE個別フィラメントのタイター(繊度)が、以下の表4に示すように変動される(その結果、マルチフィラメントヤーンのタイターもこれに対応して変動する)ということを条件とするものである。また、表4は、それぞれの場合において測定された弾道防護値V50をまとめたものである。
【0274】
【0275】
この表から、(それぞれの場合において2dtexの個々のフィラメントのタイターを有する)本発明によるシート材料Aと比較して、低い弾道防護値V50がシート材料D1~D4について存在することがわかる。シート材料D3およびD4は、高い弾道防護値V50を示すが、シート材料Aと比較してそれ以上の増加は見られない。さらに、特にシート材料D4に関しては、結果として得られるマルチフィラメントヤーンの柔軟性または可撓性が低下するためか、シート材料に対するマルチフィラメントの加工性が幾分悪くなることが分かる。
【0276】
e) さらに、本発明による織物シート材Eが検討されており、これはシート材料Aを基礎としている(ただし、追加の結合エレメントを有さず、フロートを有しない)が、シート材料Eはフロートの形態の特別な結合エレメントも有しているとことを条件とするものである。この場合、フロートの形態の結合エレメントは、安定特性のさらなる上昇につながる。したがって、繊維シート材料Eは、以下の表5にも示されるように、430m/sより大きい弾道防護値V50を有する。
【0277】
【0278】
したがって、この表から、本発明によるシート材料Eは、さらに改善された弾道防護値V50を有することがわかる。
【0279】
f) さらに、本発明による繊維シート材料Fが検討されており、これは、(ただし、追加の結合エレメントまたはハンドルを有しない)シート材料Aに基づくものであるが、前記シート材料Fは、ハンドルの形態の特別な結合エレメントも有していることを条件とするものである。それによって、ハンドルの形態の結合エレメントは、安定特性のさらなる強化につながる。これによって、繊維シート材料Fは、以下の表6にも示されるように、420m/sより大きい弾道防護値V50を有する。
【0280】
【0281】
この表から、本発明によるシート材料Fは、防弾防護値V50がさらに向上していることがわかる。
【0282】
g) さらに、シート材料Aに対応する本発明による織物シート材Gを検討するものであるが、ただし、シート材料Fが、親水化処理に晒されるか、または親水化加工が施されていることを条件とするものである。繊維シート材料Gの弾道防護値V50は、シート材料Aと同等かそれ以上に高いものであるが、下記表7にも示すように、395m/sよりも大きいものであることがわかある。
【0283】
【0284】
この表から、本発明によるシート材料Fは、マルチフィラメントヤーンにおけるメッシュまたは個々のフィラメントの互いに対する摺動挙動がおそらく良好なため、弾道防護値V50がさらにわずかに向上していることがわかる。
【0285】
B) 摩耗生理学的特性/洗濯特性
また、上記繊維織物A,Gについては、生理的着用特性、洗濯特性・耐洗濯性に関しても調査が実行される。
【0286】
両面材料A,Gは、DIN EN ISO 9237による高い通気性を示す。また、TEGEWA試験により、シート材料Aはポットで保存された試験液に対して1秒以下の沈降時間で親水性を示し、この点でもシート材料Gは大幅に沈降時間が短縮されていると判断することができる。このことは、長時間でも汗や水分を吸収して蒸れないこと、着用者の水分や体汗を除去できることを表しており、シート材料Gはこの点においてシート材料Aよりさらに改善されている。また、シート材料Gは、シート材料Aよりもさらに耐湿性、耐身汗性に優れており、さらにシート材料Aよりも帯電防止性が向上している。
【0287】
また、シート材料Gは、シート材料Aに比べて、耐洗濯性がさらに向上している。したがって、洗濯温度60℃の家庭用洗濯機で多数の洗濯サイクル(例えば20回の洗濯サイクル)の後、シート材料Aの材料特性にはせいぜいわずかな変化(すなわち、せいぜい最大5%の弾道防護値のわずかな減少)しかなく、シート材料Gについては、対応する数の洗濯サイクルの後に材料特性に大きな変化がない。また、乾燥時間が短いことも特徴であり、シート材料Fの場合、さらに改善される。
【0288】
全体として、上記の実施形態は、本発明によるシート材料が特に優れた防弾特性を有する一方で、高いレベルの耐性もあり、さらに、防護服に使用する場合、材料の高いレベルの着用快適性が確保されることを示している。
【符号の説明】
【0289】
1 繊維シート材料
2 ヤーンシステム
3 UHMW-PEマルチフィラメントヤーン
4 UHMW-PE個別フィラメント
5 メッシュ
6 結合エレメント
【手続補正書】
【提出日】2021-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軍用および/または民間用の破片、穿刺および/または切断防護特性を有する防護製品、特に防護衣服または防護装置であって、
前記防護製品は、少なくとも1つの繊維シート材料(1)を有するかまたはそれらからなること、
前記繊維シート材料(1)は、前記繊維シート材料(1)を形成する少なくとも1つのヤーンシステム(2)を有するかまたはそれらからなること、
前記ヤーンシステム(2)は、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)からなるかまたはそれらから形成されること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、複数の少なくとも実質的に同一のおよび/または相互に少なくとも実質的に同一のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなるかまたはそれらから形成されること、前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は撚り合わされおよび/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)を形成するための撚り合わされること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、5~500本のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなること、および、UHMW-PE個別フィラメント(4)はそれぞれ0.2dtex~30dtexの範囲内の線密度を有すること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向またはS方向に60T/m~140T/mの範囲内のヤーン撚りを有すること、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は少なくとも150dtexのタイターを有することを特徴とする防護製品。
【請求項2】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、10~400本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、好ましくは20~300本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、より好ましくは40~200本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特に好ましくは60~160本のUHMW-PE個別フィラメント(4)、特により好ましくは80~120本のUHMW-PE個別フィラメント(4)からなること;および/または、
DIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、それぞれ0.5dtex~10dtexの範囲内、特に0.8dtex~5dtexの範囲内、好ましくは1dtex~3texの範囲内、より好ましくは1.2dtex~2.8dtexの範囲内、特に好ましくは1.5dtex~2.5dtexの範囲内の線密度を有すること;および/または、
DIN EN ISO 2060によって測定されるUHMW-PE個別フィラメント(4)は、お互いに少なくとも実質的に同一のタイター(繊度)を有すること、お互いからのそれぞれのタイターの偏差は、より低い値に対して最大10%、特に最大5%、好ましくは最大3%、より好ましくは最大1%であること;おyほび/または、
前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は、少なくとも実質的に全体的に形成されるかまたはUHMW-PEからなること;および/または、
前記UHMW-PE個別フィラメント(4)は、UHMW-PEに加えて、少なくとも実質的にさらなる含有物および/または成分、特に接着剤等を有さないことを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項3】
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向においてまたはS方向において、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO 2061によって測定される少なくとも65T/mの、好ましくは少なくとも70T/mの、より好ましくは75T/mのヤーン撚りを有すること;および/または、
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向においてまたはS方向において、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO 2061によって測定される最大120T/m、好ましくは最大100T/m、より好ましくは最大90T/mのヤーン撚りを有すること;および/または、
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、Z方向においてまたはS方向において、好ましくはZ方向において、特にDIN EN ISO 2061によって測定される65T/m~120T/mの範囲内、好ましくは70T/m~100T/mの範囲内、より好ましくは75T/m~90T/mのヤーン撚りを有することを特徴とする請求項1または2記載の防護製品。
【請求項4】
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、DIN EN ISO 2060によって測定される少なくとも155dtex、特に少なくとも160dtex、好ましくは少なくとも180dtex、より好ましくは少なくとも190dtex、特に好ましくは195dtexのタイター(繊度、ヤーン繊度)を有すること;および/または、
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、DIN EN ISO 2060によって測定される最大450dtex、特に最大400dtex、好ましくは最大350dtex、より好ましくは最大300dtex、特に好ましくは260dtexのタイター(繊度、ヤーン繊度)を有すること;および/または、
UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)は、DIN EN ISO 2060によって測定される155dtex~450dtexの範囲内、特に160dtex~400dtexの範囲内、好ましくは180dtex~350dtexの範囲内、より好ましくは190dtex~300dtexの範囲内、特に好ましくは195dtex~275dtexの範囲内、特により好ましくは195dtex~260dtexの範囲内のタイター(繊度、ヤーン繊度)を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項5】
前記シート材料(1)および/または前記ヤーンシステム(2)は、繊維編物の形態でありおよび/または繊維編物として存在すること、特に前記シート材料(1)および/または前記ヤーンシステム(2)は、一方で複数のステッチ(5)および他方でそれと異なる任意に少なくとも1つの結合エレメント(6)を有すること;
特に前記結合エレメント(6)は、ハンドル、フロート、緯糸、部分緯糸および立毛糸、好ましくはハンドルおよびフロートの群から選択されること;および/または、
特に前記結合エレメント(6)は、ハンドルおよび/またはフロートでありおよび/またはそのような形態であること;および/または、
特に前記結合エレメント(6)は、UHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)および/またはUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3)と異なる別のさらなるUHMW-PEマルチフィラメントヤーン(3’)から形成されること;および/または、
前記シート材料(1)および/または前記ヤーンシステム(2)は、編物の形態、特に縦編物および/または横編物の形態であり、好ましくは編物の形態であること、および/または、
前記シート材料(1)および/または前記ヤーンシステム(2)は、編物の形態および/または編物、特に縦編物および/または横編物の形態、好ましくは編物の形態であること;および/または、
前記シート材料(1)および/または前記ヤーンシステム(2)は、編物の形態であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項6】
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、2~25メッシュスティック/cmの範囲内、特に4~20メッシュスティック/cmの範囲内、好ましくは5~17メッシュスティック/cmの範囲内、より好ましくは6~15メッシュスティック/cmの範囲内のメッシュスティック数および/または密度(メッシュスティック/cm)を有すること;および/または、
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、2~40ステッチ列/cmの範囲内、特に5~30ステッチ列/cmの範囲内、好ましくは8~25ステッチ列/cmの範囲内、より好ましくは10~23ステッチ列/cmの範囲内のステッチ列数および/または密度(ステッチ列/cm)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項7】
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、STANAG2920によって測定される少なくとも185m/s、特に少なくとも200m/s、好ましくは少なくとも230m/s、より好ましくは少なくとも275m/s、特に好ましくは少なくとも305m/s、特により好ましくは少なくとも320m/s、さらに好ましくは少なくとも325m/s、さらにより好ましくは少なくとも330m/sの破片および/または弾道防護値V
50を有すること;および/または、
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、STANAG2920によって測定される185m/s~900m/sの範囲内、特に200m/s~800m/sの範囲内、好ましく230m/s~700m/sの範囲内、より好ましくは275m/s~650m/sの範囲内、特に好ましくは305m/s~600m/sの範囲内、特により好ましくは320m/s~575m/sの範囲内、さらに好ましくは325m/s~550m/sの範囲内、さらにより好ましくは330m/s~530m/sの範囲内の破片および/または弾道防護値V
50を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項8】
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、親水性加工を有することおよび/または少なくとも1つの親水化剤を使用して親水性化に晒されたこと;および/または、
繊維編物の形態、好ましくは編物の形態のシート材料(1)は、少なくとも1つの親水化剤によって処理されることおよび/またはそれを有することおよび/またはそれと反応すること;
特に、前記親水化剤は、(i)少なくとも1つの不飽和カルボン酸に基づくポリマー、特に少なくとも1つの不飽和C
3-C
6-カルボン酸に基づくポリマー、好ましくはポリアクリル酸、(ii)アクリル酸および/またはメタクリル酸のコモノマー、特にアルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートとのコポリマー、(iii)特にポリマーおよび/またはアルキルフェノール誘導体、特にポリマーのアルコキシル化生成物、特にエトキシル化生成物(オキセチル化生成物)、(iv)特に、一方で親水性部分および/または領域を有し、他方で疎水性部分および/または領域を有する、好ましくは親水性ブロックと疎水性ブロックを有するブロック(コ)ポリマーの形態の変性フルオロポリマー、(v)それらの混合物またはそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項9】
前記素材は、さらに織物材料を有すること;
特に、前記シート材料(1)は、前記織物材料と結合されることおよび/またはまとめ上げること、特に結合されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項10】
前記シート材料(1)および前記織物材料は、共通平面に配置されることおよび/または共通平面を形成することおよび/または好ましくは閉鎖平面を形成すること;および/または、
前記シート材料(1)および前記織物材料は、縫製、溶接、接着等によって、好ましくは縫製および/または編み込みによって、それぞれその縁部でお互いに結合されることを特徴とする請求項9記載の防護製品。
【請求項11】
前記シート材料(1)および前記織物材料は、異なる平面におよび/またはそれぞれの上面に配置されること;および/または、
前記シート材料(1)および前記織物材料は、お互いに緩く配置されることまたはお互いに結合されること、好ましくは縫製、溶接、接着等によって、より好ましくは縫製および/または編み込みによって、それぞれその縁部で好ましくはお互いに結合されることを特徴とする請求項9記載の防護製品。
【請求項12】
前記織物材料は、ガス透過性、特に空気透過性および/または水蒸気透過性であること;および/または、
前記織物材料は、編物の形態であり、特に編物またはかぎ針編物;織物;スクリムまたは織物複合体、特に編物または織物の形態であること;
前記防護対象物および/または前記シート材料(1)および/または織物材料は、化学毒物および/または化学兵器薬剤を吸着する吸着剤、特に活性炭に基づく材料、好ましくは粒状(「粒状炭素」)または球状(「球状炭素」)の形態の活性炭粒子の形態の材料で追加的に装填されまたは備えていること、特に特に非連続的に、好ましくは点状に塗布される接着剤によって、防護対象物および/または前記シート材料(1)および/または前記織物材料に固定されること;および/または、
前記防護製品は、防護服、特に防護スーツ、防護ズボン、特に防護アンダーパンツ又は防護オーバーパンツ、防護シャツ、特に防護アンダーシャツまたは防護オーバーシャツ、防護ベスト、防護手袋、防護靴下、防護ヘッドギア等の形態であること;および/または、
前記防護製品は、下着および/または外衣の形態の防護衣の形態であること;および/または、
前記防護衣は、人用の衣服の形態であることを特徴とする請求項9~11のいずれか1つに記載の防護製品。
【請求項13】
好ましくは軍用及び/又は民生用の防護服の形態の防護製品において、破片、穿刺及び/又は切断の防護を提供しおよび/または増加させるための請求項1~8のいずれか1つに記載のすくなとも1つのシート材料(1)の使用。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軍用または民間用の少なくとも破片、穿刺または切断の防護特性を有する防護服や防護具の形態の防護製品において、
前記防護製品は、少なくとも1つの繊維シート材料を有すること、
前記繊維シート材料は、前記繊維シート材料を形成する少なくとも1つのヤーンシステムを有すること、
前記ヤーンシステムは、少なくとも1つのUHMW-PEマルチフィラメントヤーンからなること、
前記UIHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、少なくとも実質的に同一の複数のUHMW-PE個別フィラメントからなり、前記UHMW-PE個別フィラメントは、一緒に撚り合わされてUHMW-PEマルチフィラメントヤーンを形成すること;
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、5~500本のUHMW-PE個別フィラメントからなり、前記UHMW-PE個別フィラメントはそれぞれ0.2dtex~320dtexの範囲内の線密度を有していること、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、Z向またはS方向において、60T/m~140T/mの範囲内のヤーン撚りを有すること、および、
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、少なくとも150dtexのタイターを有することを特徴とする防護製品。
【請求項2】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、10~400本のUHMW-PE個別フィラメントからなることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項3】
前記UHMW-PEフィラメントは、それぞれ0.5dtex~10dtexの範囲内の線密度を有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項4】
前記UHMW-PE個別フィラメントは、互いに少なくとも実質的に同一のタイターを有すること、お互いからのそれぞれのタイターの偏差は、最大で10%であることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項5】
前記UHMW-PE個別フィラメントは、少なくとも実質的に全体的にUHMW-PEで形成されることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項6】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、Z方向またはS方向において、65T/m~120T/mの範囲内のヤーン撚りを有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項7】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、Z方向またはS方向において、70T/m~100T/mの範囲内のヤーン撚りを有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項8】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、Z方向またはS方向において、75T/m~90T/mの範囲内のヤーン撚りを有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項9】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、155dtex~450dtexの範囲内のタイターを有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項10】
前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンは、180dtex~350dtexの範囲内のタイター(繊度、ヤーン繊度)を有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項11】
前記シート材料または前記ヤーンシステムは、織物編物の形態であること、前記シート材料または前記ヤーンシステムは、一方で複数のステッチを有し、他方で任意にそれとは異なる少なくとも1つの結合エレメントを有すること;
前記結合エレメントは、ハンドル、フロート、緯糸、部分緯糸および立毛糸からなる群から選択されること;および、
前記結合エレメントは、ハンドルまたはフロート(浮き糸)であること、および、
前記結合エレメントは、前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンと、前記UHMW-PEマルチフィラメントヤーンとは異なる別のUHMW-PEマルチフィラメントヤーンから形成されていることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項12】
前記シート材料は、2~25メッシュスティック/cmのメッシュスティック数(メッシュスティック/cm)を有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項13】
前記シート材料は、2~40ステッチ列数/cmのステッチ列数を有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項14】
前記シート材料は、185m/s~900m/sの範囲内の飛散破片または弾道保護値V
50を有することを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項15】
前記シート材は親水加工を有することまたは少なくとも1つの親水化剤を用いて親水化が施されたこと;
前記親水化剤は、(i)少なくとも1つの不飽和カルボン酸に基づくポリマー、特に少なくとも1つの不飽和C
3-C
6-カルボン酸に基づくポリマー、(ii)アクリル酸および/またはメタクリル酸とコモノマーとのコポリマー、(iii)アルコキシル化生成物、(iv)変性フッ素樹脂、および(v)これらの混合物または組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項16】
前記保護製品は、織物材料をさらに含むこと;
前記シート材料は、織物材料と接合されることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【請求項17】
前記シート材料と前記織物材料は、共通の平面上に配置されていること;および、
前記シート材料と前記織物材料は、その端部において、縫製、溶接、接着などの手段によって、それぞれお互いに接合されることを特徴とする請求項16記載の防護製品。
【請求項18】
前記シート材料と前記織物材料は、異なる平面におよびお互いの上面に配置されていること;および
前記シート材料と前記織物材料は、互いに対して緩く配置されているかまたは互いに接合されていることを特徴とする請求項16記載の防護製品。
【請求項19】
前記織物材料は、ガス透過性であること;および
前記織物材料は、編物の形態であること;および
前記防護製品は、粒状形態または球状形態の活性炭粒子の形態の化学的有害物または化学兵器薬剤の吸着剤を付加的に備えること、前記吸着剤は、点状に適用された接着剤によって前記シート材料に固定されていることを特徴とする請求項1記載の防護製品。
【国際調査報告】