(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】向上した治癒のための物品及びドレッシング、ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
A61N 2/08 20060101AFI20221202BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20221202BHJP
A61L 15/18 20060101ALI20221202BHJP
A61L 15/26 20060101ALI20221202BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20221202BHJP
A61L 15/16 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61N2/08 F
A61F13/02 310Z
A61L15/18 100
A61L15/26 100
A61K9/70 401
A61L15/16 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022515023
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 AU2020050948
(87)【国際公開番号】W WO2021046595
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2020-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086526
【氏名又は名称】コンピューター リール デザインズ ピーティーワイ リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ,ローズマリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C106
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA86
4C076BB31
4C076CC09
4C076CC19
4C076EE27A
4C076FF70
4C081AA03
4C081AA12
4C081BB03
4C081CA271
4C081DA02
4C081DC02
4C106AA01
4C106BB06
4C106CC02
4C106CC22
4C106DD01
(57)【要約】
本発明は、結合組織の向上した治癒または再生のための装置を提供する。装置は、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含む。磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒される結合組織の治癒または再生を向上させる。本発明は、この装置、物品、ドレッシング、及び使用方法の変形にも関係する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合組織の向上した治癒または再生のための装置であって、
適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる、片側磁束の磁石を有する磁気物品を含み、
前記磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項2】
前記装置はドレッシングを含み、前記ドレッシングは、
治癒または再生のための領域上もしくは領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、
前記第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる前記磁気物品を含んだ、第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、
を含み、
前記磁気物品及び作り出された磁界は、外傷内及び/または外傷周りに、分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって外傷の治癒を向上させる、請求項1に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項3】
前記第1の部分は、外傷の治癒を行ないながら好適な閉鎖状態で外傷も維持する、請求項2に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項4】
前記磁気物品は、
好適な媒体の本体と、
前記本体の中に組み込まれた、磁気手段と、
を含み、
前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、前記磁気手段及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項5】
人以外に動物に使用され、結合組織を治癒または再生させる、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項6】
前記第1の部分は、紙縫合、及びサージカルテープを含んだ外傷を閉鎖する方法を含み、前記サージカルテープは、HYPAFIX(登録商標)またはCLOZEX(登録商標)の商品名で販売される、外傷を閉鎖するための製品を含む、請求項2~5のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項7】
前記磁気物品は、直線、円形、円筒形のグループから、臨床要件に依存して様々な結合組織を治癒させるのを満足させるよう選択された、ハルバッハ配列である、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項8】
前記磁気物品は、好適な媒体の本体、及び前記本体の中に組み込まれた磁気手段を含み、前記媒体は、シリコーンなどの好適な不活性媒体である、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項9】
磁気の効果で、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子の正確な整合を促すために好適な磁界を作り出す、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項10】
磁気の効果で、外傷を治癒させるために流れ込むプロテオグリカン分子の正確な整合を促すために好適な磁界を作り出す、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項11】
磁気の効果で、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子の正確な整合を促すよう、及びプロテオグリカン分子がコラーゲン繊維に対して垂直に整合するよう好適な磁界を作り出す、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項12】
前記結合組織は、前記磁気の効果の使用で、健全な組織のような細胞外マトリクスの構成を模倣するように、健全な組織に類似した整合を用いて治癒を促される、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項13】
前記磁気物品の位置付けは、交互の磁界が下の領域に影響を及ぼすか、または治癒のための仮想スキャフォールドを作り出す、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項14】
治癒は、実質的に24~48時間未満に生じる、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項15】
本発明の使用を介した治癒の後、ごく僅かな傷跡が残るか、または傷跡は残らない、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項16】
分離した3つの層が使用され、一部は外傷または治癒させる領域に適用され、外傷を閉鎖または覆い、磁気を包含した層は前記磁気物品を包含し、接着または付着層は他の2層を囲み、治癒または再生のため所定の位置に維持する、請求項1~15のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項17】
前記磁気物品の保存可能期間は、長い保存可能期間である、請求項1~16のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項18】
向上した外傷の治癒のための物品及びドレッシングであって、前記物品は、
外傷の上または外傷周りに適用され、外傷を治癒させるための好適な閉鎖状態において外傷を維持するよう実質的に作用する、第1の部分と、
前記第1の部分によって閉鎖された外傷に作用できる磁気手段を本体に含んだ磁気物品を有する、第2の部分と、
外傷の治癒中に、前記第1の部分及び前記第2の部分を所定の位置に維持する、第3の部分と、を含み、
向上した外傷の治癒のための、前記磁気手段及び作り出された前記物品の磁界は、外傷を治癒させる分子のための仮想スキャフォールドを確立する、物品及びドレッシング。
【請求項19】
向上した結合組織の治癒または再生のためのドレッシングであって、
治癒または再生のための、結合組織の領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、
前記第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、
前記磁気物品は磁界を投射し、前記磁界は、結合組織の治癒または再生における結合組織における分子の整合のための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる、ドレッシング。
【請求項20】
向上した治癒または再生のための物品であって、
好適な媒体の本体と、
前記本体の中に組み込まれた、磁気手段と、を含み、
前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、前記磁気手段及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させ、
前記物品は、外傷のドレッシングの一部として使用され、前記磁気手段は磁界を作り出すか、または投射し、前記磁界は、外傷を治癒する分子のための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる、物品。
【請求項21】
磁気物品を使用した、結合組織の向上した治癒または再生させる方法であって、
a)治癒または再生させる領域を準備するステップと、
b)前記磁気物品を、結合組織の治癒または再生に影響を及ぼすよう作動できる位置において、関連の領域上または領域近くに位置付けるステップと、
c)前記磁気物品によって作り出された仮想スキャフォールドと一致した領域を、治癒または再生させるステップと、を含む、方法。
【請求項22】
請求項21の方法を使用する、請求項1~17のうちいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した治癒のための物品及びドレッシングに関し、詳細には仮想スキャフォールドを作り出す、向上した治癒のための物品に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷は、怪我または手術を介してなど、多くの場合に発生し、例えば結合組織の層を貫通した損傷を伴う場合がある。これらの結合組織、皮膚、靭帯、腱、軟骨、または骨、のうち1つまたは複数が損傷する場合があり、体は直ちに治癒を開始することになる。医療処置は怪我を探り、外傷が診断され、かつ洗浄される。この当初段階中、人は怪我のためにいくらかの苦痛または不快を受け得る。
【0003】
一旦外傷の性質が確定されたら、次の段階は、外傷を縫合して、治癒プロセス中に外傷の両縁部を共に保持することである。縫合前にその領域を無感覚にするために、局部麻酔が一般に使用されるが、局所麻酔の投与自体が苦痛を伴う。既に苦痛を感じているか、または怪我によっていくらか動揺している子供は、局所麻酔の使用、ならびに金属針及び糸を用いた縫合によって、さらにトラウマが与えられる。このように、これは若い患者のみではなく、処置中に子供に我慢をさせることを要求されることが多い親にとって、かつ医師にとっても、トラウマ体験である。
【0004】
縫合は、外傷が再び開く危険がなく再結合するように、皮膚の層のために十分長い期間、所定の位置に残置させる必要がある。ほとんどの外傷の縫合は、医師によって注意深く除去する前に、10~14日間所定の位置に残置させることが必要となる。この期間中、縫合はぶつけられるか、または損傷し得る。なぜなら、10~14日は怪我を注意深く防護するには長い時間であるからである。またはこの時間中に、外傷は単純に開き得る。いずれの場合においても、損傷した領域を閉じるために外傷を再縫合して、過度な傷跡を避けるべきである。しかし、再縫合は発生しないことが多い。外傷の両縁部が治癒期間中に共に保持されない場合、外傷はやはり治癒しようとするが、組織は所望の位置にならず、傷跡をもたらすことになる。このような傷跡は、外傷を再び開いて、傷跡を除去し縫合して再び治癒が可能にならない限り、通常は恒久的である。この場合、いくつかの追加の傷跡ができる可能性がある。なぜなら新たな外傷は、当初の外傷よりも大きくなるからである。
【0005】
傷跡は、たとえ良好に管理して縫合された外傷でさえ、非常にありふれたものである。傷跡は、治癒プロセス中に、損傷領域内の結合組織が健全な組織に対して別様に整合するときに発生する。結合組織は主に、コラーゲン及びプロテオグリカン分子の整合によって形成された細胞外マトリクスで構成され、このマトリクスが、結合組織に構造及び強度を与える。健全で無傷の組織において、新しいコラーゲン及びプロテオグリカン分子が、細胞外マトリクスの中に流れ、既存の分子構造と整合する。コラーゲン分子は、互いに直線的に整合し、コラーゲン原繊維を形成する。この原繊維は結合して繊維を形成し、順次互いに直線的に整合する。プロテオグリカンは、コラーゲン繊維に対して垂直に整合し、「マトリクス」を形成する。これらの分子は、分子の磁気特性のために、このように整合する。コラーゲンは、磁界に対して垂直に、反磁性的に整合し、プロテオグリカンは、磁界に対して平行に、コラーゲン繊維に対して垂直に整合する。健全な再生中に、新たなコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、これら分子の磁気特性のために、既存のマトリクスと整合する。
【0006】
しかし、結合組織が損傷したとき、細胞外マトリクスは破壊され、外傷の中に流れ込むコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、適切に整合することができない。いくらかのコラーゲン分子は、一方向に整合し、その他のコラーゲン分子は、異なる方向に整合する。いくらかのプロテオグリカンは、これらのコラーゲン塊に付着できるが、細胞外マトリクスが存在しないために、健全な組織と比較して、これらの塊は小さくて脆弱となる。経時的に治癒することになるが、外傷を治癒させるために十分な組織を補修するためには、数週間かかり得る。4000より多くのコラーゲン分子が、損傷した組織の1ミリメートルの幅に、適切に整合しなければならず、それは、結合組織における怪我の治癒が遅く、顕著な傷跡をもたらす要因である。
【0007】
本主題発明は、外傷治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すために磁界を使用する、驚くべき賢明な新しい方法を開発し、それは外傷治癒時間を、10~14日から24~48時間未満に大幅に短縮する。片側磁束の磁石(ハルバッハ配列)を含んだ本発明のデバイスの使用を通して、仮想スキャフォールドは外傷の中に投射され、それによって外傷の中に流れ込むコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、磁界内で正確に整合し、直ちに損傷の補修を開始することができる。群れ及び塊に整合する代わりに、磁界は、健全な組織の磁気特性を模倣して、最小の傷跡で迅速な治癒を促進させる。コラーゲン及びプロテオグリカンが健全な組織であるように整合するので、不整合な補修による傷跡は非常に小さいか、またはいくつかの場合では、ほとんど皆無となり得る。外傷が治癒を開始した後、患者は安心し、苦痛は減少するが、外観の悪い傷跡が長い期間の不安を生じさせる場合がある。したがって、傷跡を最小に抑えることは、本主題発明の重要な利点である。
【0008】
本主題発明は、苦痛の無い非侵襲性のデバイス及び方法であり、簡単な適用及び使用を可能にする。このデバイスは、最小の装備または訓練で、屋外または遠隔地で使用することができる。緊急事態において、本発明は、専門の医療従事者を探すことができるまでに遅延がある場合に、患者自身または居合わせている他の誰かによって、容易に適用することができる。ビデオリンクによる遠隔の健康アドバイスが増加し、これらのようなデバイスを、例えば市街地の病院またはクリニックの医療専門家からのアドバイスで、遠隔地の患者に適用することができる。
【0009】
広範に利用可能に作ることができる、外傷を処置するための非常に有用な物品を生産するための生産コストを、低く抑えたままにすることができる。この物品は、病院及び医療センターで主要生産物となることが予想されるが、患者に直接入手可能にもなり、それによって患者は緊急時に、専門の医療従事者を見つけられるまで、自身によってデバイスを外傷に適用できる。本発明の非常に有用な適用は、列挙するには多すぎる。本発明の特に有用な適用は、手術の切開部における外傷を治癒させること、または場合によっては癌病変またはホクロが除去された箇所の、切除における外傷を治癒させることである。当初の切除が癌であることが判明された場合、より大きい切除が必要とされ得る。これらの大きい外傷は、治癒に非常に長い時間がかかる場合があり、かつ顕著で外観の悪い傷跡をもたらす場合があり、それは明らかに、必要な手術の望ましくない結果である。本発明の使用を伴い、たとえ大きい外傷であっても治癒時間は劇的に減少し、残る傷跡は最小に抑えられる。それは患者にとって、非常に喜ばしい。選択を与えられたほとんどの患者は、縫合されることを選ばず、従来の方法よりも傷跡が最小に抑えられる本主題発明のデバイスを使用することを選ぶことが予想され、それはこの重要な発明の大きい長所を強く支える。
【0010】
病院または医療センターにおいて、本発明の使用は、本発明の外傷ドレッシングを迅速に適用することを可能にし、患者の不快を最小に抑え、それによって子供を含んだ患者を迅速に看護することができ、追加の苦痛またはトラウマを最小に抑える。
【0011】
外傷の迅速なドレッシング、及び苦痛がないことで、仮想スキャフォールドの適用によって外傷が適切かつ迅速に治癒されることを認識して、患者は健康センターを早期に離れることができる。
【0012】
動物の世話をする人に、外傷を処置するときに同じ困難が生じる。動物に対しては、何が起こっているかを伝える方法がない。ある動物には、外傷を処置するために落ち着かせる必要があり、老いた動物には、合併症の危険が増すために、望ましくない。例として猫の去勢手術などのための、本主題発明の使用は、外傷ドレッシングの容易な適用及び迅速な治癒を可能にし、それによってその猫は、可能な限り早期に通常活動に戻ることができる。これを、縫合してその縫合を猫自身による損傷または探りから防護し、10~14日後に獣医のところに戻って縫合を除去する必要性と、比較する。本発明の使用によって縫合をなくすことは、縫合を除去するために医療または獣医センターに再来する必要をなくし、従来の外傷治癒よりも、さらに実際上及び経済的利点がある。
【0013】
この生産物は一旦知られると広く採用されるであろうことが予想され、今後数年にわたって、いくつかの重要な生産ラインを開発する可能性がある。
【0014】
この重要な新しい発明は、開発において多くの新たな使用及び適用性を有し、人及び同様に動物に対して、非常に広い範囲の適用において、非常に有用であることが判明する可能性がある。
【0015】
以下では、人の皮膚、及び例えば膝の靭帯または腕の骨などの、より深部組織における外傷の治癒を参照して使用される、本発明の様々な非限定例を説明する。本発明は、非常に多くの適用を有する。処置される外傷が所与の例に限定されることは全く意図されず、任意の好適な外傷が、本発明の使用を介して処置され得る。さらに、与えられる例は、人の外傷処置であるが、本発明は、動物の外傷治癒にも同様に有用である。特許請求の範囲における定義以外で、人または動物に対する外傷治癒に限定することは意図しない。さらに、本発明は、外傷はないが、投射された仮想スキャフォールドの使用を介した再生における、向上した整合から利益がある皮膚処置のために有用である。したがって本発明は、外傷自体に限定するようには意図されない。
【0016】
外傷のための本発明は、アイテムの層を利用して、外傷を閉じ、片側磁束の磁石を適用し、次に磁石を所定の位置に維持する。明らかに、これらの層及びこれらが配置される方法には、多くの変形が存在する。特許請求の範囲における定義以外で、例に示されるような配置に限定することは意図されない。
【0017】
明確にするために、本明細書で言及される任意の先行技術は、オーストラリア国または他の国において、先行技術が共通の一般的な認識の一部を形成するという承認を構成しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、向上した治癒のための物品を提供することである。本発明の別の独立した目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、向上した治癒のためのドレッシングを提供することである。本発明の別の独立した目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、仮想スキャフォールドを作り出すための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、第1の態様において、結合組織の向上した治癒または再生のための装置を提供する。前記装置は、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる、磁気物品を含み、この磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内に、分子の整合のための仮想スキャフォールドを確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる。
【0020】
好ましくは、この装置はドレッシングを含む。前記ドレッシングは、治癒または再生させる領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、前記磁気物品及び作り出された磁界は、外傷内及び/または外傷周りに、分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0021】
好ましくは、第1の部分も、外傷の治癒を行ないながら、外傷を好適な閉鎖状態に維持する。
【0022】
したがって、本発明は、第2の態様において、結合組織の向上した治癒または再生のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、治癒または再生させる領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、前記磁気物品及び作り出された磁界は、外傷内及び/または外傷周りの分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0023】
したがって、本発明は、第3の態様において、向上した外傷の治癒のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、外傷の治癒を行ないながら、外傷の上または外傷周りに適用され、外傷を好適な閉鎖状態に維持するよう適合された、第1の部分と、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、外傷の組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、外傷の治癒中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、前記磁気物品は、磁界を作り出すか、または投射し、この磁界は、外傷内及び/または外傷周りの分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0024】
好ましくは、磁気物品は片側磁束の磁石を含む。好ましくは、磁気物品はハルバッハ配列である。
【0025】
治癒または再生させる皮膚は、任意の好適な領域であってよい。好ましくは、治癒される領域は、外傷、損傷した皮膚の領域、老化した皮膚、及び日焼けで損傷した皮膚、のグループから選択される。処置される外傷が存在し得るか、またはこの外傷は、損傷した皮膚と置き換えられ得る。閉鎖する外傷がない場合、ドレッシングする部分は省かれ得る。外傷全体は、健全な再生を促すことが望ましい損傷した皮膚の領域と、置き換えられ得る。損傷した皮膚は、任意の適合した方法で損傷され得る。損傷した皮膚は、老化した皮膚とし得る。損傷した皮膚は、日焼けで損傷した皮膚とし得る。損傷した皮膚は、老化し、かつ日焼けで損傷した皮膚を含み得る。
【0026】
したがって、本発明は、第4の態様において、向上した治癒または再生のための物品を提供する。前記物品は、好適な媒体の本体と、前記本体の中に組み込まれた、磁気手段と、を含み、前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、磁気手段及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる。
【0027】
したがって、本発明は、第4の態様の変形において、向上した外傷の治癒のための物品を提供する。前記物品は、好適な媒体の本体と、前記本体の中に組み込まれた、磁気手段と、を含み、物品は、外傷のドレッシングの一部として使用され、磁気手段は磁界を作り出すか、または投射し、前記磁界は、外傷の治癒分子のための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0028】
好ましくは、装置はドレッシングとし得る。装置は、下の結合組織に作用する、磁気物品の任意の好適な適用とし得る。装置は、他のアイテムの一部、または人もしくは動物に適用されるドレッシングとし得る。好ましくは、装置は結合組織を治癒または再生するために、人に使用される。好ましくは、代替の使用において、装置は結合組織を治癒または再生するために、人以外の動物のために使用される。
【0029】
装置は、結合組織を治癒または再生するために、任意の人または動物のために使用され得る。治癒は、任意の適合した損傷のためとし得る。損傷は、外傷または結合組織に対する他の損傷とし得る。治癒は、老化した皮膚の損傷の治癒とし得る。治癒は、日焼けで損傷皮膚の治癒とし得る。治癒は、傷跡のある組織の治癒とし得る。再生は、傷跡のある組織の再生とし得る。再生は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の再生とし得る。
【0030】
ドレッシングは、任意の好適なドレッシングのためのドレッシングとし得る。ドレッシングは、任意の好適な外傷のためのドレッシングとし得る。ドレッシングは、治癒または損傷した結合組織に適用するための、任意の好適なドレッシングとし得る。ドレッシングは、再生する結合組織に適用され得る。ドレッシングは、向上した外傷の治癒のための磁気物品またはデバイスを組み込んだ、標準な形態のドレッシングとし得る。ドレッシングは、外傷の治癒のために外傷を処置するよう、処置及び付着のための任意の好適な層を含み得る。ドレッシングは、包帯、ドレッシング、紙縫合、パッド、膏薬、サージカルテープ、外傷閉鎖テープなど、のグループから選択された任意のアイテムを含み得る。磁気物品は、任意の好適なドレッシング、安定化、または怪我もしくは関節のための支持、を伴って使用され得る。磁気物品は、それのみで、または必要に応じて1層または複数の層で使用され得る。
【0031】
外傷は、任意の適合した外傷とし得る。外傷は、例えば事故、怪我、または手術からのものとし得る。外傷は、任意の適合した、損傷した組織とし得る。外傷は、損傷した靭帯または腱とし得る。外傷は、骨折とし得る。外傷は、任意の原因による任意の損傷した皮膚を含み得る。外傷は、ある箇所の結合組織の様々な形態の外傷とし得る。外傷は、骨、結合組織、靭帯、皮膚、または腱のグループから任意に選択したものに対する損傷を含み得る。外傷は怪我した関節とし得る。外傷は、手術からものとし得る。
【0032】
第1の部分は、任意の好適な形態を取り得る。第1の部分は、外傷を閉鎖するよう適合される。第1の部分は、外傷を閉鎖するための自己接着性テープを含み得る。第1の部分は、紙縫合、サージカルテープ、または商品名HYPAFIX(登録商標)またはCLOZEX(登録商標)として販売される、外傷を閉鎖するための任意の1つまた複数の製品、を含む外傷を閉鎖する任意の方法を含み得る。閉鎖は、本発明のいくつかの使用において、従来の縫合とすることもできる。本発明は、外傷処置の様々な形態の一部として使用され、治癒を促進させて、傷跡を最小に抑えることによって結果を向上させることが予想される。本発明は、本発明のいくつかの使用において、皮膚に直接使用され得る。第1の層は、本発明の他の使用において、外傷を閉鎖するのではなく快適性のために含まれ得る。
【0033】
好ましくは、外傷の両側部を共に整合させ、両縁部間の距離を最小にするよう、外傷は閉鎖され、治癒の準備が整う。好ましくは、外傷は、最小の傷跡で容易に治癒できるよう閉鎖される。好ましくは、本発明の使用によって、外傷の両縁部は共に閉鎖され、最小の傷跡で治癒させるために好適である。
【0034】
磁気デバイスまたは物品は、任意の好適な磁石を含み得る。磁石は、片側磁束の磁石とし得る。磁石は、ハルバッハ配列とし得る。ハルバッハ配列は、任意の好適なハルバッハ配列とし得る。ハルバッハ配列は、直線、円形、または円筒形のグループから選択される。ハルバッハ配列の形態は、臨床的な必要性に依存して、様々な結合組織の治癒に適合するよう、変化され得る。
【0035】
好ましくは、媒体はシリコーンである。好ましくは、媒体は、磁気配列を収容するために適合した、任意の好適な不活性媒体である。好ましくは、磁気物品は、患者に適用するときのサイズに切断できるロールとして提供される。他の形態では、予め切断されたピースが提供され得る。
【0036】
磁気デバイス及び/または物品は、任意の好適な方法で配置することができる。磁気物品は、他のドレッシングなしで、単独で使用され得る。しかし、向上した外傷治癒のために、本発明のドレッシングの一部として使用すると、有用である。磁気の効果で、好ましくは、外傷の治癒のための、仮想スキャフォールドを作り出す。磁気の効果で、好ましくは、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子の正確な整合を促すために好適な、磁界を作り出す。磁気の効果で、好ましくは、外傷を治癒させるために流れ込むプロテオグリカン分子の正確な整合を促すために好適な、磁界を作り出す。最も好ましくは、磁気の効果で、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子、及びコラーゲン繊維に対して垂直に整合するプロテオグリカン分子の、正確な整合を促すために好ましくは好適な磁界を作り出す。好ましくは、結合組織は、健全な組織と類似した整合を伴い、治癒が促される。好ましくは、磁気の効果の使用は、健全な組織のような細胞外マトリクス構造を模倣する。
【0037】
好ましくは磁気物品またはデバイスの位置付けは、
図5、
図7、
図11、
図13、または
図14のいずれか1つに例示されたようなものである。磁気物品またはデバイスの位置付けは、好ましくは交互の磁界が、下の領域または外傷に影響を及ぼして、治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すものである。
【0038】
好ましくは、外傷の治癒は、数日の治癒に加速される。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に48時間未満に生じる。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に24~48時間未満に生じる。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に24時間未満に生じる。本発明のいくつかの使用において、外傷の治癒は、数時間のみでドレッシングを除去するのに十分なように生じ、先行技術に対して大幅な前進となり得る。
【0039】
好ましくは、傷跡は本発明の使用を介して最小に抑えられる。好ましくは、傷跡は、類似の外傷に対する従来処置と比較して減少される。好ましくは、本発明の使用を介して外傷が治癒した後に、僅かな傷跡のみが視認される。本発明のいくつかの使用において、本発明の使用を介して外傷が治癒された後に、非常に小さい傷跡のみが残るか、または外傷は残らない。
【0040】
一般的に、3つの層が使用され、一部は外傷に適用され、外傷を閉鎖または覆う。磁気を包含した層は、接着層または付着層を伴い、他の層を囲み、所定の位置にとどまる。これらの層の各々は、互いに一体化して作られ得る。第1及び最後の層は、本発明のいくつかの形態においては、省かれてもよい。好ましくは、分離した3つの層が使用され、一部は外傷または治癒される領域に適用され、外傷を閉鎖または覆う。磁気を包含した層は磁気物品を包含し、接着または付着層は他の2層を囲み、治癒または再生のために所定の位置にとどまる。
【0041】
好ましくは、保存可能期間は、磁気物品のための長い保存可能期間である。保存可能期間は、1、2、3、または4年のグループから選択され得る。保存可能期間は、5年とし得る。保存可能期間は、本発明のいくつかの形態において、5年よりも長くし得る。
【0042】
したがって、本発明は、向上した外傷の治癒のための物品及びドレッシングを提供する。前記物品は、外傷の上または外傷周りに適用され、外傷治癒のための好適な閉鎖状態において外傷を維持するよう実質的に作用する、第1の部分と、第1の部分によって閉鎖された外傷に作用できる磁気手段を本体に含んだ磁気物品を有する、第2の部分と、外傷の治癒中に、第1の部分及び第2の部分を所定の位置に維持する、第3の部分と、を含み、向上した外傷の治癒のための、磁気手段及び作り出された物品の磁界は、外傷を治癒させる分子のための仮想スキャフォールドを確立する。
【0043】
したがって、本発明は、向上した結合組織の治癒または再生のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、治癒または再生のための、結合組織の領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、前記磁気物品は磁界を投射し、前記磁界は、結合組織の治癒または再生において、結合組織における分子の整合のための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる。
【0044】
結合組織は、有機体の任意の細胞構造によって取り換えられ得る。有機体は、投射された磁界及び仮想スキャフォールドに対する分子整合を介して、向上した治癒または再生に影響を及ぼすことができる。
【0045】
磁気物品を使用した、結合組織の向上した治癒または再生方法であって、この方法は、
a)治癒または再生させる領域を準備するステップと、
b)磁気物品を、結合組織の治癒または再生に影響を及ぼすよう作動できる位置において、関連の領域上または領域近くに対して位置付けるステップと、
c)磁気物品によって作り出された仮想スキャフォールドと一致した領域を、治癒または再生させるステップと、を含む。
【0046】
準備ステップは、領域を洗浄することを含み得る。準備は、処置される領域を選び得る。方法は、任意の形態または変形で、本発明の物品及び/またはドレッシングを使用し得る。
【0047】
磁気物品を使用した、向上した外傷を治癒させる方法であって、この方法は、
a)治癒に好適に、外傷を準備するステップと、
b)磁気物品を、外傷の治癒に影響を及ぼすよう作動できる位置において、外傷に対して位置付けるステップと、
c)磁気物品によって作り出された仮想スキャフォールドと一致した外傷を、治癒させるステップと、を含む。
【0048】
好ましくは、磁気物品はドレッシングと共に使用される。磁気物品は、任意の形態または変形における、本発明の物品とし得る。磁気物品を含んだドレッシングは、任意の形態または変形における、本発明に従ったものとし得る。好ましくは、ドレッシングは、任意の形態または変形における、本発明のドレッシングである。好ましくは、磁気物品は、任意の形態または変形における、本発明の磁気物品である。
【0049】
様々な態様における本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示する実施形態に対して、変更が成され得ることは、当業者には明白であろう。
【0050】
次に本発明を、添付の図面を参照し、非限定の好ましい実施形態に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】ドレッシングを適用する前の、人の腕における外傷の概略斜視図である。人の他の部分は例示を簡単にするために省かれている。
【
図2】第1の好ましい実施形態による外傷ドレッシングの第1段階が適用されている、
図1の外傷の斜視図である。例示のように、外傷ドレッシングは、自己接着性の不織布シートHYPAFIX(登録商標)が、外傷を閉鎖するために適用されている。
【
図3】接着性の不織布シートのHYPAFIX(登録商標)が所定の位置にあり、外傷を閉鎖して、線によって下の外傷が示された、
図2の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図4】接着性の不織布シートHYPAFIX(登録商標)シートの上に位置付けられた、外傷ドレッシングの磁気デバイス部分の位置付けを例示し、線が下の外傷位置を示した、
図3の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図5】サージカルテープで固定された、
図4の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図6】
図2~
図5のドレッシングを用いた処置後、すなわち24時間後に除去され、最小の傷跡を伴う、閉鎖され治癒した外傷を示した、
図1の外傷の斜視図である。
【
図7】磁気デバイスの磁界の配向性を例示し、a)、b)、及びc)で明示された3つの部分が、それぞれHYPAFIX(登録商標)シート、磁気デバイス、及びサージカルテープである、
図5の外傷ドレッシングの概略断面図である。
【
図8】磁気デバイスからの磁界の方向が例示された、
図5の外傷及びドレッシングを上から見た図である(例示を簡単にするために、ほとんどのドレッシングは省かれている)。
【
図9】皮膚の正常な構造を例示した、
図1における人の皮膚の健全な領域の概略断面図である。
【
図10】
図1における人の腕の、外傷を受けた領域の概略断面図である。
【
図11】治癒される外傷における磁気デバイスの動作を示した、
図10における人の腕の外傷を受けた領域の、概略断面図である。
【
図12】
図1と類似の、別の腕の概略断面図である。この腕は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚を含み、いくつかの断絶した分子を例示し、人の残りは例示を簡単にするために省かれている。
【
図13】磁気デバイスを使用した後の、分子の再整合を例示した、
図12における腕、ならびに老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の概略断面図である。
【
図14】治癒を加速させるために怪我をした膝に使用された、本発明の第2の好ましい実施形態の概略斜視図である。
【
図15】治癒を加速させるために、骨折した前腕に使用された、本発明の第3の好ましい実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
「Schedule 3 (9) of Patent Regulations 1991」を参照し、ラベルa)、b)、及びc)、ならびにそれぞれi)、ii)、及びiii)は、本発明の理解を特に容易にするために、図面に含まれることを言及する。
【0053】
図1~
図11を参照すると、本発明の好ましい実施形態が説明され、そこでは人の腕1の一部が、皮膚12に外傷10を伴って示される(人の残りは、例示を簡単にするために省く)。外傷10の性質は、深い切り傷であり、このような外傷は通常、所望の治癒を容易にするために、縫合して閉鎖される。例示されたような外傷10は、偶発的な切り傷であるが、組織に対する多くの様々な怪我を、本発明の使用を介して治癒させることができる。本発明の使用を介して治癒された外傷は、ナイフの切り傷、刺し傷もしくは衝突による外傷などの事故からのもの、または例えば手術からのもの、とし得る。医療従事者は、外傷が深刻であってさらなる介入を必要とするか、または深刻ではなく簡単に閉鎖することができるか、を評価する。外傷の通常の閉鎖は、針及び糸を使用した縫合であろう。縫合の使用は、外傷を閉鎖するため、及び外傷が治癒するために必要な10~14日間、外傷の閉鎖を維持するためである。本発明も、必要に応じて縫合された外傷にも使用され得るが、有利には、本発明は外傷の治癒を急がせ、それによって縫合の使用を避け得る。
【0054】
本発明は、外傷を処置するために専門家による医療処置に使用することができ、または専門の医療処置を受けられない場合、彼らまたは彼女ら自身で処置し得ることが想定される。本発明の利点は、本発明の使用が、縫合よりも大幅に容易であり、誰にでも適用でき、専門の訓練を必要としないことである。「遠隔医療」の利用の増加に伴い、専門家はビデオリンクを介して診察及び助言できる場合、単純なドレッシングは有用である。なぜなら、人は適用するための段階を通して話をすることができるからである。専門家は、良好な外傷ドレッシングのために、本発明の適切な適用を、他方の端末で人に助言することができる。それは縫合のためには非常に困難であり、または不可能である。遠隔または緊急状況において、人は怪我を負い、医療処置を受けるまでに多くの時間または日数が経ち得る。この場合、助け及び助言を探すために衛星電話が使用され得る。人が本発明のドレッシング及び磁気デバイスを保持している場合、緊急時にこれを適用することができる。本発明は、これらの緊急状況のために非常に有用である。なぜなら専門の訓練の必要なく、簡単な指導で容易に使用できるが、劇的に向上した治癒結果、及び大幅に促進された治癒をもたらすからである。
【0055】
所与の例において、外傷10は、腕1の偶発的な深い切り傷であり、医師の処置のために露呈される。外傷10及び周りの皮膚12は汚れ及びゴミを洗浄され、ドレッシングの準備が整っている。洗浄の次のステップは、サージカルテープ14を用いて外傷10を閉鎖することである。入手可能な多くの自己接着性サージカルテープ、及び紙縫合製品が存在し、任意の好適な手段を使用して外傷を閉鎖することができる。例示のように、好適な長さのHYPAFIX(登録商標)の自己接着性織物テープ14が切断され、洗浄された皮膚12における外傷10の一方の側に沿って提供される。次にHYPAFIX(登録商標)のストリップ14は、外傷10をきつく閉鎖するために引き寄せられ、清潔な皮膚12のセクションで、外傷10の他の側における所定の位置に接着される。サージカルテープ14の下面16は、皮膚上への適用に好適な自己接着性を有し、それによってきつく接着し、その一方で上面18は軽い手触りである。
図2において、3つの矢印が含まれ、HYPAFIX(登録商標)のサージカルテープ14のストリップにおける使用角度を示し、外傷10を引き寄せて、
図3に示されるように、治癒のために好適な位置に外傷をきつく閉鎖する。さらに、
図3において、下の外傷の位置は、線によって示されるが、それはHYPAFIX(登録商標)ストリップ14によって覆われることになるため、視認されない。
【0056】
一旦外傷10が好適に洗浄され、HYPAFIX(登録商標)のストリップ14、または同様のもので閉鎖されると、磁気デバイス20が、
図4に示されるように適用される。外傷10の位置は、磁気デバイス20上に概略の線によってやはり例示されるが、それは実際には視認できない。
【0057】
磁気デバイス20が適用された、洗浄され閉鎖された外傷10は、次に医療専門家によって適用された別のサージカルテープ22の適用によって所定の位置に保持され、磁気デバイス20をHYPAFIX(登録商標)ストリップ14に固定して皮膚を囲み、それによってHYPAFIX(登録商標)14及び磁気デバイス20は完全に覆われ、患者が治癒する間、障害から防護される。サージカルテープ22は、ストリップ14と同じように示されるが、任意の好適なサージカルテープ、紙包帯などが、固定のために使用され得る。外傷のタイプ、及び人の他の怪我に依存して、別のテープ、ドレッシング、または包帯が、患者の快適性のためもしくは外傷10のさらなる防護のために、必要に応じて適用され得る。このように、ドレッシングは外傷10を閉鎖するために外傷10に適用され、HYPERFIX(登録商標)ストリップ14及び磁気デバイス20は、以下で説明するように、治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すために磁界を投射して、サージカルテープのストリップ22によって所定の箇所に封止かつ固定するために適用される。
【0058】
図2~
図5に示されたドレッシングは、所与の例で、初期の24時間において外傷10に適用される。それは、実験的試験が判断したものであり、外傷10の細胞外マトリクスにおける初期復元のために十分である。24時間未満の短い期間が、他の外傷のために代わりに使用され得る。初期時間を超えた、より長い時間を必要とする場合、例えば上述のステップを、新たなドレッシングを用いて、同じ磁気デバイス20を使用して、例えばさらに24時間繰り返すことができる。外傷10が治癒されて閉鎖が保たれたと想定された場合、ドレッシングを除去することができる。そのとき外傷10は、
図6のように、閉鎖され治癒した皮膚の薄い線で現れ、異質の傷跡を残さない。従来のドレッシングまたは包帯を、この段階で必要に応じて適用することができる。
【0059】
図7を詳細に参照すると、外傷の治癒中に、磁気デバイス20は注意深く位置付けられ、外傷10上の所定の位置に保持され、それによって磁界は下に横たわる組織に作用して、仮想スキャフォールドを作り出し、最小の傷跡を伴う適切かつ迅速な治癒の手助けをする。
図7は、説明を容易にするために、3つの別個の層a)、b)、及びc)を伴う、
図5の構成要素の図を例示する。層a)は、ある長さのHYPAFIX(登録商標)サージカルストリップ14として示される、外傷を閉鎖するために使用される層を示し、層b)は、磁気デバイス20を示し、層c)は、所定の位置に固定するためのサージカルテープ22を示す。軽い外傷は、防護層を用いて単純にドレッシングされ得る。または、より重い外傷は、好適なテープもしくは紙縫合を用いて閉鎖されることになる。本発明は、使用の通常の方法において、従来の縫合の使用を避けることが望ましいが、縫合された外傷にも使用され得る。閉鎖層である層a)は、外傷10の性質に依存して適用、または省くことができる。使用されるサージカルテープは、外傷の閉鎖及び磁気デバイス20の固定のための必要性に依存して、変更または省くことができる。
【0060】
層b)は磁気デバイス20であり、下の組織に作用するのに好適である。示されるように、シリコーン媒体における片側磁束の磁石であるハルバッハ配列は、磁界の特定の配置を提供する。シリコーン媒体は、患者に対して安全であり、容易に生産され、使用することができる。示されるような1.0ミリメートルの厚さは、典型的な切り傷及び外傷のための、ハルバッハ配列及びシリコーン媒体を含んだ磁気デバイス20に有用である。他の有用な厚さとして、0.5ミリメートル、2.0ミリメートル、及び使用者にとって所望の有用な他の厚さ、が挙げられる。磁界の特定の配置は、下の組織を治癒させて所望の整合に順応するのを可能にする、仮想スキャフォールドを作り出し、投射するために有用である。
【0061】
図7における矢印は、ハルバッハ配列の磁気コアにおける交互の磁界方向を例示し、特定の分子整合を促すための仮想スキャフォールドを作り出すよう位置付けられる。
【0062】
図8を詳細に参照すると、磁気デバイス20の短辺にわたって示される一連の横断線は、分離したコア及び異なる磁界を示す。これらは、ドレッシングの適用中に、外傷10に対して垂直方向に整合される。
【0063】
再び
図7を参照すると、層c)は、接着性または付着性層を示し、それは例示されるように、磁気デバイスである層b)を、層a)に付着させるために使用された、サージカルテープ22のストリップであり、ドレッシングを腕1の所定の位置にしっかりと維持し、まさに正確な位置及び整合となるよう、外傷10を囲む。サージカルテープ22の適用は、磁気デバイス20を所定の位置に保持するため、かつ外傷を全体的に囲んで防護するために入手可能なものを使用して、他の好適なテープまたはドレッシングと、置き換えることができる。パッティングまたはラッピングを含む別の防護を使用して、必要とされる場合に外傷をさらに防護することができるが、これは一般的に必要とされない。
【0064】
本発明の核心は、コラーゲン及びプロテオグリカン分子を、治癒させる組織に整合させるための機構である。損傷を受けていない組織において分子が整合する場合、治癒は迅速で傷跡は最小である。しかし、通常の構造に対して整合が異なる場合、治癒は遅く、傷跡が生じる。経時的にいくらか傷跡が消え得るとしても、ケロイドの傷跡など、深い傷跡は、通常恒久的であり、非常に外観が悪い。
【0065】
傷跡を避けるために、縫合を用いるなど、治癒のために外傷の両縁部を共に近くに保持することが望ましい。しかしこれは不十分であることが判っている。縫合した外傷はしばしば傷跡をもたらし、治癒に必要な10~14日の間に縫合が離れた場合、これは複雑になる場合がある。本発明において、磁気デバイス20の動作は、仮想スキャフォールドを治癒させる組織に提供し、分子が正確に整合して迅速に外傷10を治癒させるために必要な時間を劇的に短縮させ、そのため外傷の追加の閉鎖は必要としない。
【0066】
上記のどこかで説明したように、結合組織は、(他の分子を伴い)コラーゲン及びプロテオグリカンで作られた細胞外マトリクスを包含する。健全な組織に構造及び強度を与えるのは、このマトリクスである。同様に、外傷が治癒しようとする際に、コラーゲン及びプロテオグリカン分子は、治癒する外傷に、構造及び強度を与えるために整合しようとする。
【0067】
図9を詳細に参照すると、従来の方法でi)、ii)、iii)でも明示した、健全な皮膚12は、表皮26、真皮28、及び皮下脂肪30の層を有する。様々なレベルの真皮28において互いに対して整合された、コラーゲン繊維34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36の健全な細胞外マトリクスを、より良好に例示するために、真皮層28の拡大図が含まれる。
【0068】
図10を詳細に参照すると、
図1の外傷10は、表皮層26及び真皮28を通って皮下脂肪層30まで貫通した切り傷が例示され、組織に空隙が形成される。さらに、真皮層28の様々なレベルにおける外傷10内の、分子の整合を例示するために、拡大図が含まれる。確認できるように、マトリクスはもはや分子として整合されず、外傷を充填及び補修するよう努める分子は、治癒を誘導する構造を持たない。プロテオグリカン分子32及び36が外傷の中に流れ込む際に、プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34と整合するよう努めるが、これらの繊維は短く、直線的に整合せず、強く健全なマトリクスを復元することは、ほとんど不可能である。健全な組織における線形繊維34は、スキャフォールドを形成するが、
図10に示されるように、これらのコラーゲン繊維34は乱れている。健全な組織において、プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34に、垂直配向で接続される。このように、線形コラーゲン繊維34は、その自然な配向において、プロテオグリカン分子32及び36に対して垂直方向に整合されるが、組織が損傷し、下の構造が損失すると、分子は互いに乱雑に整合しようとする。コラーゲン34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、それらそれぞれの磁気特性によって整合する。コラーゲンは反磁性であり、磁界に対して垂直方向に整合し、プロテオグリカンは、磁界に対して平行に、コラーゲン繊維に対して垂直に整合する。
【0069】
図11を詳細に参照すると、ドレッシングされた
図7の外傷が例示される。
図10の損傷した組織の乱れとは異なり、
図7のドレッシングの下における組織と、磁気デバイス20とは、健全な組織のように整合している。細胞外マトリクスには、仮想スキャフォールドが設けられ、繊維34を形成するコラーゲン分子及び垂直方向の分子であるプロテオグリカン32、36に、それらの整合を助けるための誘導部すなわちスキャフォールドを与える。
【0070】
流れ込み、ランダムに互いに整合しようとし、かつ外傷を充填しようとする分子の代わりに、構築された磁界スキャフォールドが存在する。磁気デバイス20のハルバッハ配列は、小さい平行の磁界を投射し、コラーゲン繊維34がプロテオグリカン分子32、36と適切に整合して、健全な細胞外マトリクスを再確立するのを可能にする。
【0071】
重要なことには、コラーゲン及びプロテオグリカンの分子、ならびに関連の分子が、外傷を治癒させようとして流れるとき(
図10にように、本発明が使用されない場合)、治癒にかかる時間は、いくらかは分子構造の欠落に起因する場合がある。したがって、新しいコラーゲン分子が、健全な皮膚のような既存の正確に整合されたコラーゲン繊維と整合する代わりに、新しいコラーゲン分子は、ランダムに整合された小さいコラーゲン繊維を形成する。空隙を充填するため、ある程度は実質的に十分に整合することになる。同様に垂直方向のプロテオグリカンは、ほとんどが不整合形態で、コラーゲン繊維に整合する。治癒は、外傷空隙が充填され、外傷が閉鎖し続けるために十分補修されるまで続く。大小の範囲における傷跡の組織は、治癒が試みられる間に作り出されることになり、広範囲に及ぶ場合がある。
【0072】
図11に示されるように、本主題発明が代わりに使用される場合、磁性スキャフォールドは、外傷に適用されると直ぐに、外傷治癒プロセスに誘導を与える。分子は、それらが望ましいように整合し、コラーゲンは一方向に整合され、プロテオグリカンは繊維に対して垂直方向に整合される。外傷に流れ込む全ての分子は、磁界の影響下で一様に整合することになり、治癒時間を短縮させ、分子の不整合からもたらされる傷跡を最小に抑える。本発明によって迅速に処置されたきれいな切り傷は、ほとんど傷跡は存在し得ない。なぜなら、皮膚が不正確に形成されるには時間が短いからである。
【0073】
本発明を使用して作り出された仮想スキャフォールドの、大きい利点は、分子の正確な再整合であり、治癒時間を最小まで減少させる。標準的な治癒において、コラーゲン繊維が治癒のために好適な構造を形成できるまで、ランダムな整合が存在する。本主題発明の使用において、磁気デバイス20の適用から、仮想スキャフォールドは、治癒する皮膚の構造を誘導し、それによって、分子が整合し損失を補修できるよう可能な限り迅速に治癒が生じる。傷跡の組織を形成するために時間は浪費されないが、代わりに外傷を治癒させるために時間が使用される。したがってこの顕著な発明は、必要な治癒が身体によって行われるため、外傷を数週間ではなく数時間で治癒させることができる。
【0074】
患者のために、本発明のドレッシングならびに層a)、b)、及びc)を用いた苦痛の無い適用は、外傷10を処置するための非侵襲性の手段である。結果は、いくつかの例において、外傷が10~14日ではなく24時間未満という非常に迅速に治癒する。なぜなら分子は不整合によって時間を浪費せず、最初から仮想スキャフォールド内で完全に整合されるためである。結果は、より迅速な外傷の治癒であり、傷跡を少なくし、縫合または縫合を除去するトラウマがない。この賢明な発明は、多数の考えられる適用及び使用を有する。
【0075】
図12及び
図13を参照すると、本発明の第2の使用が説明され、それは第1の実施形態として働くが、上述のような皮膚の外傷10の代わりに、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚に対するものである。したがって老化及び/または日焼けで損傷した皮膚は、外傷を受けていないが、細胞外マトリクスは損傷し、そのために皮膚は、損傷前より構造的にあまり健全ではない。分子の整合を向上させることによって、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の健康を改善できることが望ましい。
【0076】
図12を参照すると、特に損傷した皮膚構造が、表皮26、真皮28、及び皮下脂肪30を伴い、
図9及び
図10の皮膚層のように明示される。例示されるように、表皮26は、若い健全な皮膚と比較するとき、いくらかの老化または日焼けに関する損傷が、あまり均等ではない表面を伴って呈される。真皮層28が、構造を例示するために2つのレベルで拡大して例示され、いくらかの不整合を示す。
【0077】
コラーゲン分子34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、前の図面のように拡大した真皮28において例示される。
図12について、コラーゲン分子34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の細胞外マトリクスの崩壊を示し例示される。プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34から分離され、これらの繊維はあまり直線的に整合されていない。
【0078】
図13を詳細に参照すると、磁気デバイス20の形態で本主題発明を適用した後の、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚が示される。例示されるような磁気デバイス20は、片側磁束の磁石として、シリコーン媒体におけるハルバッハ配列が示される。本発明の、この形態において、磁気デバイスは、他のドレッシングを伴い、または伴わずに使用され得る。例えば、好適なサージカルストリップが、磁気デバイス20を患者の皮膚に、適切に固定するために使用され得る。代わりに、従来の包帯が使用され得る。任意の好適な手段が、磁気デバイスを所定の位置に維持する補助のために使用され得る。
【0079】
磁気デバイス20は、損傷した皮膚の大きい領域を覆って作用するよう、大きいサイズのものである。デバイスのサイズは、特定の用途を満足させるよう適合させることができる。本発明の磁気デバイス20の使用は、仮想スキャフォールドを、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の中に投射し、コラーゲン繊維34ならびにプロテオグリカン分子32及び36の再整合を促し、皮膚の真皮28に対して構造及び強度を若返らせ、かつ復元する。投射された仮想スキャフォールドは、真皮28の中に深く延びるのが確認できる。それは、磁気デバイス20が所定の位置にある間に、コラーゲン繊維34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36の正確な整合を促し続けることになる。経時的に、皮膚の構造及び強度は向上することになる。損傷または老化した皮膚における使用は、本発明の重要なさらなる利点である。
【0080】
図14を参照し、第1の実施形態のための説明のように働くが、膝の治療のための、本発明の第3の使用、及び第2の実施形態を説明する。同様の参照番号が第1の実施形態に使用され、ここでは脚112の膝101が表わされ、本発明による磁気ドレッシング及び下の組織の拡大図を伴う。膝101は、皮膚128上、ならびに靭帯及び腱を含む損傷した深部組織130上のドレッシング126に適用された、磁気デバイス120を伴って示される。
【0081】
本発明は、第1の実施形態のために説明したような任意の結合組織に働くよう、かつ仮想スキャフォールドを提供するよう適応され、細胞外マトリクスにおける分子の整合を促し、治癒時間及び傷跡を減少させる。第1の実施形態と同様に、膝の手術後などに、ドレッシング(サージカルテープ)126は皮膚128の近くに載置され、外傷を閉鎖する。磁気デバイス120の動作は、皮膚及び下の腱の両方に作用し、第1の実施形態のために説明したように、正確な整合で治癒を促進させる。
【0082】
磁気デバイス120はハルバッハ配列であり、それはシリコーン媒体において、第1の実施形態のための説明のように働き、ドレッシングを伴うか、または伴わずに使用できる。ドレッシング126は皮膚128に接触し、磁気デバイス120はドレッシング126の上に位置付けられる。この配置は、快適性及び膝の支持のための、他の層の上に固定された、外側の外傷ドレッシングの膝支持部138によって、脚101に所定の位置に固定され、磁気デバイス120が所定の位置にとどまるのを保証する。
【0083】
第1の実施形態のように、磁気デバイス120は仮想スキャフォールドを作り出し、結合組織の整合された治癒を誘導する。本発明は、怪我または手術でもたらされ得る、多くの種類の結合組織における損傷を治癒させるために使用され得る。いずれの場合も、磁気デバイス120によって投射された仮想スキャフォールドは、分子構造の正確な整合を促進させ、怪我の治癒に必要な時間を短縮させ、傷跡を軽減させる。深部組織の傷跡を減少させることは、非常に望ましい。なぜなら傷ついた組織は、健全で損傷の無い組織ほど強くないので、靭帯及び腱を含んだ深部組織の傷跡は、将来的に同じ組織に対する同様の損傷の可能性が増す場合があるためである。したがって、これら深部組織において軽減された傷跡は、将来的な怪我に抵抗するための、短期的かつ長期的な恩恵である。
【0084】
さらに、本主題発明の適用は、非常に有益な非侵襲性の処置を提供し、皮膚または深部組織に、最小の傷跡で迅速な治癒をもたらして、患者にとって非常に望ましい結果となる。
【0085】
図15を参照し、本発明の第4の使用及び第3の実施形態を、第1及び第2の実施形態で使用された同様の参照番号を伴って説明する。
図16において、皮膚212を伴う腕201の骨折した前腕(番号で明示せず)の修復が例示される。腕201は、骨を安定させるために、骨折支持213においてギブスがはめられて示される。処置の一部として、磁気デバイス220が、皮膚の防護的な第1の層226と、ギブスの骨折支持213の外側層と、の間に組み込まれる。磁気デバイス220は、骨の治癒を加速させるよう、磁界を骨折内に投射する。治癒は、第1の実施施形態と同じ方法で働き、仮想スキャフォールドを作り出して分子を磁気的に整合させ、健全な骨を模倣した、240で明示された修復する骨を、迅速に治癒させる。このように、骨は最小の傷跡で可能な限り迅速に治癒される。
【0086】
全ての実施形態について、本発明は、便利で使用が容易である、非侵襲性の処置、先行技術に対する大幅な前進、を提供する。保存可能期間は、5年と推定されるが、いくつかの形態では、より長い保存可能期間を有し得る。製品は、ロールとして供給され、厚紙ディスペンサにおいて、外傷のために好適なサイズに切断される。20または50ミリメートルの幅が有用となり得ることが予測される。他の形態において、好適なサイズのストリップを、使用のために直ぐに切断できる個々のピースとして与えることができる。他の形態において、好適なサイズのピースが、より大きい外傷及び標準未満の外傷を処置するために、シートから切断され得る。適用は、ドレッシングされる外傷または組織に合うように変えられる。本発明は、人及び動物に対して、多くの考えられる適用を有する。動物の外傷について、全く同じ治癒恩恵を、磁気デバイスの使用によって実現することができる。磁気デバイスは、サージカルテープと共に、または単独で使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0087】
方法で使用するための物品及び/またはドレッシングは、産業的に生産され、販売するために顧客、小売業者、または卸売業者に供給され得る。
【符号の説明】
【0088】
1 体の一部(腕)
10 外傷/外傷の位置
12 皮膚表面
14 サージカルテープ
16 14の下面
18 14の上面
20 磁気デバイス
22 サージカルテープ
26 表皮
28 真皮
30 皮下脂肪
32 プロテオグリカン
34 コラーゲン繊維
36 プロテオグリカン
38 外傷ドレッシング
101 体の一部(脚)
112 皮膚
120 磁気デバイス
126 第1の層/ドレッシング
128 皮膚
130 深部組織-靭帯
138 外傷ドレッシング
201 体の一部(腕)
212 皮膚
213 骨折支持
220 磁気デバイス
226 第1の層
228 皮膚
240 修復する骨
【手続補正書】
【提出日】2021-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した治癒のための物品及びドレッシングに関し、詳細には仮想スキャフォールドを作り出す、向上した治癒のための物品に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷は、怪我または手術を介してなど、多くの場合に発生し、例えば結合組織の層を貫通した損傷を伴う場合がある。これらの結合組織、皮膚、靭帯、腱、軟骨、または骨、のうち1つまたは複数が損傷する場合があり、体は直ちに治癒を開始することになる。医療処置は怪我を探り、外傷が診断され、かつ洗浄される。この当初段階中、人は怪我のためにいくらかの苦痛または不快を受け得る。
【0003】
一旦外傷の性質が確定されたら、一般に次の段階は、外傷を縫合して、治癒プロセス中に外傷の両縁部を共に保持することである。縫合前にその領域を無感覚にするために、しばしば局部麻酔が使用されるが、局所麻酔の投与自体が苦痛を伴う。既に苦痛を感じているか、または怪我によっていくらか動揺している子供は、局所麻酔の使用、ならびに金属針及び糸を用いた縫合によって、さらにトラウマが与えられる。このように、これは若い患者のみではなく、処置中に子供に我慢をさせることを要求されることが多い親にとって、かつ医師にとっても、トラウマ体験である。
【0004】
縫合は、外傷が再び開く危険がなく再結合するように、皮膚の層のために十分長い期間、所定の位置に残置させる必要がある。ほとんどの外傷の縫合は、医師によって注意深く除去する前に、10~14日間所定の位置に残置させることが必要となる。この期間中、縫合はぶつけられるか、または損傷し得る。なぜなら、10~14日は怪我を注意深く防護するには長い時間であるからである。またはこの時間中に、外傷は単純に開き得る。いずれの場合においても、損傷した領域を閉じるために外傷を再縫合して、過度な傷跡を避けるべきである。しかし、再縫合は発生しないことが多い。外傷の両縁部が治癒期間中に共に保持されない場合、外傷はやはり治癒しようとするが、組織は所望の位置にならず、傷跡をもたらすことになる。このような傷跡は、外傷を再び開いて、傷跡を除去し縫合して再び治癒が可能にならない限り、通常は恒久的である。この場合、いくつかの追加の傷跡ができる可能性がある。なぜなら新たな外傷は、当初の外傷よりも大きくなるからである。
【0005】
傷跡は、たとえ良好に管理して縫合された外傷でさえ、非常にありふれたものである。傷跡は、治癒プロセス中に、損傷領域内の結合組織が健全な組織に対して別様に整合するときに発生する。結合組織は主に、コラーゲン及びプロテオグリカン分子の整合によって形成された細胞外マトリクスで構成され、このマトリクスが、結合組織に構造及び強度を与える。健全で無傷の組織において、新しいコラーゲン及びプロテオグリカン分子が、細胞外マトリクスの中に流れ、既存の分子構造と整合する。コラーゲン分子は、互いに直線的に整合し、コラーゲン原繊維を形成する。この原繊維は結合して繊維を形成し、順次互いに直線的に整合する。プロテオグリカンは、コラーゲン繊維に対して垂直に整合し、「マトリクス」を形成する。これらの分子は、分子の磁気特性のために、このように整合する。コラーゲンは、磁界に対して垂直に、反磁性的に整合し、プロテオグリカンは、磁界に対して平行に、コラーゲン繊維に対して垂直に整合する。健全な再生中に、新たなコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、これら分子の磁気特性のために、既存のマトリクスと整合する。
【0006】
しかし、結合組織が損傷したとき、細胞外マトリクスは破壊され、外傷の中に流れ込むコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、適切に整合することができない。いくらかのコラーゲン分子は、一方向に整合し、その他のコラーゲン分子は、異なる方向に整合する。いくらかのプロテオグリカンは、これらのコラーゲン塊に付着できるが、細胞外マトリクスが存在しないために、健全な組織と比較して、これらの塊は小さくて脆弱となる。経時的に治癒することになるが、外傷を治癒させるために十分な組織を補修するためには、数週間かかり得る。4000より多くのコラーゲン分子が、損傷した組織の1ミリメートルの幅に、適切に整合しなければならず、それは、結合組織における怪我の治癒が遅く、顕著な傷跡をもたらす要因である。
【0007】
本主題発明は、外傷治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すために磁界を使用する、驚くべき賢明な新しい方法を開発し、それは外傷治癒時間を、10~14日から24~48時間未満に大幅に短縮する。片側磁束の磁石(ハルバッハ配列)を含んだ本発明のデバイスの使用を通して、仮想分子スキャフォールドは外傷または治癒される領域の中に投射され、それによって外傷の中に流れ込むコラーゲン及びプロテオグリカン分子は、磁界内で正確に整合し、直ちに損傷の補修を開始することができる。群れ及び塊に整合する代わりに、作り出された複数の直交した磁界は、健全な組織の磁気特性を模倣して、最小の傷跡で迅速な治癒を促進させる。コラーゲン及びプロテオグリカンが健全な組織であるように整合するので、不整合な補修による傷跡は非常に小さいか、またはいくつかの場合では、ほとんど皆無となり得る。外傷が治癒を開始した後、患者は安心し、苦痛は減少するが、外観の悪い傷跡が長い期間の不安を生じさせる場合があり、傷跡を最小に抑えることは、本主題発明の重要な利点である。
【0008】
本主題発明は、苦痛の無い非侵襲性のデバイス及び方法であり、簡単な適用及び使用を可能にする。このデバイスは、最小の装備または訓練で、屋外または遠隔地で使用することができ、デバイスを整合させて直ちに使用を開始して、外傷は処置される。緊急事態において、本発明は、専門の医療従事者を探すことができるまでに遅延がある場合に、患者自身または居合わせている他の誰かによって、容易に適用することができる。本発明の使用を介して、例えば市街地の病院またはクリニックの医療専門家からのアドバイスを、遠隔ヘルスで容易に行なえる。
【0009】
広範に利用可能に作ることができる、外傷を処置するための非常に有用な物品を生産するための生産コストを、低く抑えたままにすることができる。この物品は、病院及び医療センターで主要生産物となることが予想されるが、患者に直接入手可能にもなり、それによって患者は緊急時に、自身によってデバイスを外傷に適用できる。本発明の非常に多くの有用な適用は、列挙するには多すぎる。本発明の特に有用な適用は、手術の切開部における外傷を治癒させること、または場合によっては癌病変またはホクロが除去された箇所の、切除における外傷を治癒させることである。当初の切除が癌であることが判明された場合、より大きい切除が必要とされ得る。これらの大きい外傷は、治癒に非常に長い時間がかかる場合があり、かつ顕著で外観の悪い傷跡をもたらす場合があり、それは明らかに、必要な手術の望ましくない結果である。本発明の使用を伴い、たとえ大きい外傷であっても治癒時間は劇的に減少し、残る傷跡は最小に抑えられる。それは患者にとって、非常に喜ばしい。選択を与えられたほとんどの患者は、縫合されることを選ばず、従来の方法よりも傷跡が最小に抑えられる本主題発明のデバイスを使用することを選ぶことが予想され、それはこの重要な発明の大きい長所を強く支える。
【0010】
病院または医療センターにおいて、本発明の使用は、本発明の外傷ドレッシングを迅速に適用することを可能にし、患者の不快を最小に抑え、それによって子供を含んだ患者を迅速に看護することができ、追加の苦痛またはトラウマを最小に抑える。
【0011】
外傷の迅速なドレッシング、及び苦痛がないことで、仮想スキャフォールドの適用によって外傷が適切かつ迅速に治癒されることを認識して、患者は健康センターを早期に離れることができる。
【0012】
動物の世話をする人に、外傷を処置するときに同じ困難が生じる。動物に対しては、何が起こっているかを伝える方法がない。ある動物には、外傷を処置するために落ち着かせる必要があり、老いた動物には、合併症の危険が増すために、望ましくない。例として猫の去勢手術などのための、本主題発明の使用は、外傷ドレッシングの容易な適用及び迅速な治癒を可能にし、それによってその猫は、可能な限り早期に通常活動に戻ることができる。これを、縫合してその縫合を猫自身による損傷または探りから防護し、10~14日後に獣医のところに戻って縫合を除去する必要性と、比較する。本発明の使用によって縫合をなくすことは、縫合を除去するために医療または獣医センターに再来する必要をなくし、従来の外傷治癒よりも、さらに実際上及び経済的利点がある。
【0013】
この生産物は一旦知られると広く採用されるであろうことが予想され、今後数年にわたって、いくつかの重要な生産ラインを開発する可能性がある。この重要な新しい発明は、開発において多くの新たな使用及び適用性を有し、人及び同様に動物に対して、非常に広い範囲の適用において、非常に有用であることが判明する可能性がある。
【0014】
以下では、人の皮膚、及び例えば膝の靭帯または腕の骨などの、より深部組織における外傷の治癒を参照して使用される、本発明の様々な非限定例を説明する。本発明は、非常に多くの適用を有する。処置される外傷が所与の例に限定されることは全く意図されず、任意の好適な外傷が、本発明の使用を介して処置され得る。さらに、与えられる例は、人の外傷処置であるが、本発明は、動物の外傷治癒にも同様に有用である。特許請求の範囲における定義以外で、人または動物に対する外傷治癒に限定することは意図しない。さらに、本発明は、外傷はないが、投射された仮想分子スキャフォールドの使用を介した再生における、向上した整合から利益がある皮膚処置のために有用である。したがって本発明は、外傷自体に限定するようには意図されない。
【0015】
外傷のための本発明は、アイテムの層を利用して、外傷を閉じ、片側磁束の磁石を適用し、次に磁石を所定の位置に維持する。明らかに、これらの層及びこれらが配置される方法には、多くの変形が存在する。特許請求の範囲における定義以外で、例に示されるような配置に限定することは意図されない。
【0016】
明確にするために、本明細書で言及される任意の先行技術は、オーストラリア国または他の国において、先行技術が共通の一般的な認識の一部を形成するという承認を構成しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、向上した治癒のための、装置の物品を提供することである。本発明の別の独立した目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、向上した治癒のための、装置のドレッシングを提供することである。本発明の別の独立した目的は、先行技術における前述の課題のうち1つまたは複数を、少なくとも改善する、仮想分子スキャフォールドを作り出すための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、第1の態様において、結合組織の向上した治癒または再生のための装置を提供する。前記装置は、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる、磁気物品を含み、この磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内に、分子の整合のための仮想スキャフォールドを確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる。
【0019】
したがって、本発明は、結合組織の向上した治癒または再生のための装置も提供する。前記装置は、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含んだ磁気物品であって、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができ、複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、磁気物品を含み、磁気物品及び作り出された複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想分子スキャフォールドとして作用する磁気構造を確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる。
【0020】
好ましくは、この装置はドレッシングを含む。前記ドレッシングは、治癒または再生させる領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、磁気物品を含んだ第2の部分であって、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含み、第1の部分上に適切に位置付けられたときに、結合組織に影響を及ぼすことができ、複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、磁気物品及び作り出された複数の直交した磁界は、外傷内及び/または外傷周りに、分子を整合させるための仮想分子スキャフォールドを確立することによって外傷の治癒を向上させる。
【0021】
好ましくは、第1の部分も、外傷の治癒を行ないながら、外傷を好適な閉鎖状態に維持する。
【0022】
したがって、本発明は、第2の態様において、結合組織の向上した治癒または再生のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、治癒または再生させる領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、磁気物品を含んだ第2の部分であって、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含み、第1の部分上に適切に位置付けられたときに、結合組織に影響を及ぼすことができ、複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、磁気物品及び作り出された複数の直交した磁界は、外傷内及び/または外傷周りに、分子を整合させるための仮想分子スキャフォールドを確立することによって外傷の治癒を向上させる。
【0023】
したがって、本発明は、第3の態様において、向上した外傷の治癒のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、外傷の治癒を行ないながら、外傷の上または外傷周りに適用され、外傷を好適な閉鎖状態に維持するよう適合された、第1の部分と、磁気物品を含んだ第2の部分であって、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含み、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、外傷の組織に影響を及ぼすことができる、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、外傷の治癒中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、磁気物品は、複数の直交した磁界を作り出すか、または投射し、この複数の直交した磁界は、外傷内及び/または外傷周りの分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0024】
したがって、本発明は、1つの変形において、結合組織の向上した治癒または再生のための装置を提供する。前記装置は、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる、片側磁束の磁石を有する磁気物品を含み、磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる。
【0025】
したがって、本発明は、1つの変形において、結合組織の向上した治癒または再生のための装置を提供する。前記装置は、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含んだ磁気物品であって、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができ、複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、磁気物品を含み、磁気物品及び作り出された複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想分子スキャフォールドとして作用する磁気構造を確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させ、治癒または再生させる領域を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子及びプロテオグリカン分子の、正確な整合を促すために好適である。
【0026】
好ましくは、磁気物品は片側磁束の磁石を含む。好ましくは、磁気物品はハルバッハ配列である。
【0027】
治癒または再生させる皮膚は、任意の好適な領域であってよい。好ましくは、治癒される領域は、外傷、損傷した皮膚の領域、老化した皮膚、及び日焼けで損傷した皮膚、のグループから選択される。処置される外傷が存在し得るか、またはこの外傷は、損傷した皮膚と置き換えられ得る。閉鎖する外傷がない場合、ドレッシングする部分は省かれ得る。外傷全体は、健全な再生を促すことが望ましい損傷した皮膚の領域と、置き換えられ得る。損傷した皮膚は、任意の適合した方法で損傷され得る。損傷した皮膚は、老化した皮膚とし得る。損傷した皮膚は、日焼けで損傷した皮膚とし得る。損傷した皮膚は、老化し、かつ日焼けで損傷した皮膚を含み得る。
【0028】
したがって、本発明は、第4の態様において、向上した治癒または再生のための物品を提供する。前記物品は、好適な媒体の本体と、本体の中に組み込まれた、磁気手段と、を含み、前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、磁気手段及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる。
【0029】
したがって、本発明は、第4の態様の変形において、向上した外傷の治癒のための物品を提供する。前記物品は、好適な媒体の本体と、本体の中に組み込まれた、磁気手段と、を含み、物品は、外傷のドレッシングの一部として使用され、磁気手段は磁界を作り出すか、または投射し、前記磁界は、外傷の治癒分子のための仮想スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる。
【0030】
好ましくは、装置はドレッシングとし得る。装置は、下の結合組織に作用する、磁気物品の任意の好適な適用とし得る。装置は、他のアイテムの一部、または人もしくは動物に適用されるドレッシングとし得る。好ましくは、装置は結合組織を治癒または再生するために、人に使用される。好ましくは、代替の使用において、装置は結合組織を治癒または再生するために、人以外の動物のために使用される。装置は、結合組織を治癒または再生するために、任意の人または動物のために使用され得る。治癒は、任意の適合した損傷のためとし得る。損傷は、外傷または結合組織に対する他の損傷とし得る。治癒は、老化した皮膚の損傷の治癒とし得る。治癒は、日焼けで損傷皮膚の治癒とし得る。治癒は、傷跡のある組織の治癒とし得る。再生は、傷跡のある組織の再生とし得る。再生は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の再生とし得る。
【0031】
ドレッシングは、任意の好適なドレッシングのためのドレッシングとし得る。ドレッシングは、任意の好適な外傷のためのドレッシングとし得る。ドレッシングは、治癒または損傷した結合組織に適用するための、任意の好適なドレッシングとし得る。ドレッシングは、再生する結合組織に適用され得る。ドレッシングは、向上した外傷の治癒のための磁気物品またはデバイスを組み込んだ、標準な形態のドレッシングとし得る。ドレッシングは、外傷の治癒のために外傷を処置するよう、処置及び付着のための任意の好適な層を含み得る。ドレッシングは、包帯、ドレッシング、紙縫合、パッド、膏薬、サージカルテープ、外傷閉鎖テープなど、のグループから選択された任意のアイテムを含み得る。磁気物品は、任意の好適なドレッシング、安定化、または怪我もしくは関節のための支持、を伴って使用され得る。磁気物品は、それのみで、または必要に応じて1層または複数の層で使用され得る。
【0032】
外傷は、任意の適合した外傷とし得る。外傷は、例えば事故、怪我、または手術からのものとし得る。外傷は、任意の適合した、損傷した組織とし得る。外傷は、損傷した靭帯または腱とし得る。外傷は、骨折とし得る。外傷は、任意の原因による任意の損傷した皮膚を含み得る。外傷は、ある箇所の結合組織の様々な形態の外傷とし得る。外傷は、骨、結合組織、靭帯、皮膚、または腱のグループから任意に選択したものに対する損傷を含み得る。外傷は怪我した関節とし得る。外傷は、手術からものとし得る。
【0033】
第1の部分は、任意の好適な形態を取り得る。第1の部分は、外傷を閉鎖するよう適合される。第1の部分は、外傷を閉鎖するための自己接着性テープを含み得る。第1の部分は、紙縫合、サージカルテープ、または商品名HYPAFIX(登録商標)またはCLOZEX(登録商標)として販売される、外傷を閉鎖するための任意の1つまた複数の製品、を含む外傷を閉鎖する任意の方法を含み得る。閉鎖は、本発明のいくつかの使用において、従来の縫合とすることもできる。本発明は、外傷処置の様々な形態の一部として使用され、治癒を促進させて、傷跡を最小に抑えることによって結果を向上させることが予想される。本発明は、本発明のいくつかの使用において、皮膚に直接使用され得る。第1の層は、外傷を閉鎖するのではなく快適性のために含まれ得る。
【0034】
好ましくは、外傷の両側部を共に整合させ、両縁部間の距離を最小にするよう、外傷は閉鎖され、治癒の準備が整う。好ましくは、外傷は、最小の傷跡で容易に治癒できるよう閉鎖される。好ましくは、本発明の使用によって、外傷の両縁部は共に閉鎖され、最小の傷跡で治癒させるために好適である。
【0035】
磁気デバイスまたは物品は、任意の好適な磁石を含み得る。磁石は、片側磁束の磁石とし得る。磁石は、ハルバッハ配列とし得る。ハルバッハ配列は、任意の好適なハルバッハ配列とし得る。ハルバッハ配列は、直線、円形、または円筒形のグループから選択される。ハルバッハ配列の形態は、臨床的な必要性に依存して、様々な結合組織の治癒に適合するよう、変化され得る。
【0036】
好ましくは、媒体はシリコーンである。好ましくは、媒体は、磁気配列を収容するために適合した、任意の好適な不活性媒体である。好ましくは、磁気物品は、患者に適用するときのサイズに切断できるロールとして提供される。他の形態では、予め切断されたピースが提供され得る。
【0037】
磁気デバイス及び/または物品は、任意の好適な方法で配置することができる。磁気物品は、他のドレッシングなしで、単独で使用され得る。しかし、向上した外傷治癒のために、本発明のドレッシングの一部として使用すると、有用である。磁気の効果で、好ましくは、外傷の治癒のための、仮想スキャフォールドを作り出す。磁気の効果で、好ましくは、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子の正確な整合を促すために好適な、磁界を作り出す。磁気の効果で、好ましくは、外傷を治癒させるために流れ込むプロテオグリカン分子の正確な整合を促すために好適な、磁界を作り出す。最も好ましくは、磁気の効果で、外傷を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子、及びコラーゲン繊維に対して垂直に整合するプロテオグリカン分子の、正確な整合を促すために好ましくは好適な磁界を作り出す。好ましくは、結合組織は、健全な組織と類似した整合を伴い、治癒が促される。好ましくは、磁気の効果の使用は、健全な組織のような細胞外マトリクス構造を模倣する。
【0038】
好ましくは磁気物品またはデバイスの位置付けは、
図5、
図7、
図11、
図13、または
図14のいずれか1つに例示されたようなものである。磁気物品またはデバイスの位置付けは、好ましくは交互の磁界が、下の領域または外傷に影響を及ぼして、治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すものである。
【0039】
好ましくは、外傷の治癒は、数日の治癒に加速される。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に48時間未満に生じる。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に24~48時間未満に生じる。好ましくは、外傷の治癒は、実質的に24時間未満に生じる。本発明のいくつかの使用において、外傷の治癒は、数時間のみでドレッシングを除去するのに十分なように生じ、先行技術に対して大幅な前進となり得る。
【0040】
好ましくは、傷跡は本発明の使用を介して最小に抑えられる。好ましくは、傷跡は、類似の外傷に対する従来処置と比較して減少される。好ましくは、本発明の使用を介して外傷が治癒した後に、僅かな傷跡のみが視認される。本発明のいくつかの使用において、本発明の使用を介して外傷が治癒された後に、非常に小さい傷跡のみが残るか、または外傷は残らない。
【0041】
一般的に、3つの層が使用され、一部は外傷に適用され、外傷を閉鎖または覆う。磁気を包含した層は、接着層または付着層を伴い、他の層を囲み、所定の位置にとどまる。これらの層の各々は、互いに一体化して作られ得る。第1及び最後の層は、本発明のいくつかの形態においては、省かれてもよい。好ましくは、分離した3つの層が使用され、一部は外傷または治癒される領域に適用され、外傷を閉鎖または覆う。磁気を包含した層は磁気物品を包含し、接着または付着層は他の2層を囲み、治癒または再生のために所定の位置にとどまる。
【0042】
好ましくは、保存可能期間は、磁気物品のための長い保存可能期間である。保存可能期間は、1、2、3、または4年のグループから選択され得る。保存可能期間は、5年とし得る。保存可能期間は、本発明のいくつかの形態において、5年よりも長くし得る。
【0043】
したがって、本発明は、向上した外傷の治癒のための物品及びドレッシングを提供する。前記物品は、外傷の上または外傷周りに適用され、外傷を治癒させるための好適な閉鎖状態において外傷を維持するよう実質的に作用する、第1の部分と、第1の部分によって閉鎖された外傷に作用できる磁気手段を本体に含んだ磁気物品を有する、第2の部分と、外傷の治癒中に、第1の部分及び第2の部分を所定の位置に維持する、第3の部分と、を含み、向上した外傷の治癒のための、磁気手段及び作り出された物品の磁界は、外傷を治癒させる分子のための仮想スキャフォールドを確立する。
【0044】
したがって、本発明は、向上した結合組織の治癒または再生のためのドレッシングを提供する。前記ドレッシングは、治癒または再生のための、結合組織の領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる磁気物品を含んだ、第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、前記磁気物品は磁界を投射し、前記磁界は、結合組織の治癒または再生において、結合組織における分子の整合のための、仮想スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる。
【0045】
結合組織は、有機体の任意の細胞構造によって取り換えられ得る。有機体は、投射された磁界及び仮想スキャフォールドに対する分子整合を介して、向上した治癒または再生に影響を及ぼすことができる。
【0046】
磁気物品を使用した、結合組織の向上した治癒または再生方法であって、この方法は、
a)治癒または再生させる領域を準備するステップと、
b)磁気物品を、結合組織の治癒または再生に影響を及ぼすよう作動できる位置において、関連の領域上または領域近くに対して位置付けるステップと、
c)磁気物品によって作り出された仮想スキャフォールドと一致した領域を、治癒または再生させるステップと、を含む。
【0047】
準備ステップは、領域を洗浄することを含み得る。準備は、処置される領域を選び得る。方法は、任意の形態または変形で、本発明の物品及び/またはドレッシングを使用し得る。
【0048】
磁気物品を使用した、向上した外傷を治癒させる方法であって、この方法は、
a)治癒に好適に、外傷を準備するステップと、
b)磁気物品を、外傷の治癒に影響を及ぼすよう作動できる位置において、外傷に対して位置付けるステップと、
c)磁気物品によって作り出された仮想スキャフォールドと一致した外傷を、治癒させるステップと、を含む。
【0049】
好ましくは、磁気物品はドレッシングと共に使用される。磁気物品は、任意の形態または変形における、本発明の物品とし得る。磁気物品を含んだドレッシングは、任意の形態または変形における、本発明に従ったものとし得る。好ましくは、ドレッシングは、任意の形態または変形における、本発明のドレッシングである。好ましくは、磁気物品は、任意の形態または変形における、本発明の磁気物品である。
【0050】
様々な態様における本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示する実施形態に対して、変更が成され得ることは、当業者には明白であろう。
【0051】
次に本発明を、添付の図面を参照し、非限定の好ましい実施形態に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】ドレッシングを適用する前の、人の腕における外傷の概略斜視図である。人の他の部分は例示を簡単にするために省かれている。
【
図2】第1の好ましい実施形態による外傷ドレッシングの第1段階が適用されている、
図1の外傷の斜視図である。例示のように、外傷ドレッシングは、自己接着性の不織布シートHYPAFIX(登録商標)が、外傷を閉鎖するために適用されている。
【
図3】接着性の不織布シートのHYPAFIX(登録商標)が所定の位置にあり、外傷を閉鎖して、線によって下の外傷が示された、
図2の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図4】接着性の不織布シートHYPAFIX(登録商標)シートの上に位置付けられた、外傷ドレッシングの磁気デバイス部分の位置付けを例示し、線が下の外傷位置を示した、
図3の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図5】サージカルテープで固定された、
図4の外傷及びドレッシングの斜視図である。
【
図6】
図2~
図5のドレッシングを用いた処置後、すなわち24時間後に除去され、最小の傷跡を伴う、閉鎖され治癒した外傷を示した、
図1の外傷の斜視図である。
【
図7】磁気デバイス
によって作り出された複数の直交した磁界の配向性を例示し、a)、b)、及びc)で明示された3つの部分が、それぞれHYPAFIX(登録商標)シート、磁気デバイス、及びサージカルテープである、
図5の外傷ドレッシングの概略断面図である。
【
図8】磁気デバイスからの
磁界が例示された、
図5の外傷及びドレッシングを上から見た図である(例示を簡単にするために、ほとんどのドレッシングは省かれている)。
【
図9】皮膚の正常な構造を例示した、
図1における人の皮膚の健全な領域の概略断面図である。
【
図10】
図1における人の腕の、外傷を受けた領域の概略断面図である。
【
図11】治癒される外傷における磁気デバイスの動作を示した、
図10における人の腕の外傷を受けた領域の、概略断面図である。
【
図12】
図1と類似の、別の腕の概略断面図である。この腕は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚を含み、いくつかの断絶した分子を例示し、人の残りは例示を簡単にするために省かれている。
【
図13】
矢印で示されるように、作り出された複数の直交した磁界に応じて、磁気デバイスを使用した後の分子の再整合を例示した、
図12における腕、ならびに老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の概略断面図である。
【
図14】治癒を加速させるために、
矢印で示されるように、作り出された複数の直交した磁界に応じて、怪我をした膝に使用された、本発明の第2の好ましい実施形態の概略斜視図である。
【
図15】治癒を加速させるために、
矢印で示されるように、作り出された複数の直交した磁界に応じて、骨折した前腕に使用された、本発明の第3の好ましい実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
「Schedule 3 (9) of Patent Regulations 1991」を参照し、ラベルa)、b)、及びc)、ならびにそれぞれi)、ii)、及びiii)は、本発明の理解を特に容易にするために、図面に含まれることを言及する。
【0054】
図1~
図11を参照すると、本発明の好ましい実施形態が説明され、そこでは人の腕1の一部が、皮膚12に外傷10を伴って示される(人の残りは、例示を簡単にするために省く)。外傷10の性質は、深い切り傷であり、このような外傷は通常、所望の治癒を容易にするために、縫合して閉鎖される。例示されたような外傷10は、偶発的な切り傷であるが、組織に対する多くの様々な怪我を、本発明の使用を介して治癒させることができる。本発明の使用を介して治癒された外傷は、ナイフの切り傷、刺し傷もしくは衝突による外傷などの事故からのもの、または例えば手術からのもの、とし得る。医療従事者は、外傷が深刻であってさらなる介入を必要とするか、または深刻ではなく簡単に閉鎖することができるか、を評価する。外傷の通常の閉鎖は、針及び糸を使用した縫合であろう。縫合の使用は、外傷を閉鎖するため、及び外傷が治癒するために必要な10~14日間、外傷の閉鎖を維持するためである。本発明も、必要に応じて縫合された外傷にも使用され得るが、有利には、本発明は外傷の治癒を急がせ、それによって縫合の使用を避け得る。
【0055】
本発明は、外傷を処置するために専門家による医療処置に使用することができ、または専門の医療処置を受けられない場合、彼らまたは彼女ら自身で処置し得ることが想定される。本発明の利点は、本発明の使用が、縫合よりも大幅に容易であり、誰にでも適用でき、専門の訓練を必要としないことである。「遠隔医療」の利用の増加に伴い、専門家はビデオリンクを介して診察及び助言できる場合、単純なドレッシングは有用である。なぜなら、人は適用するための段階を通して話をすることができるからである。専門家は、良好な外傷ドレッシングのために、本発明の適切な適用を、他方の端末で人に助言することができる。それは縫合のためには非常に困難であり、または不可能である。遠隔または緊急状況において、人は怪我を負い、医療処置を受けるまでに多くの時間または日数が経ち得る。この場合、助け及び助言を探すために衛星電話が使用され得る。人が本発明のドレッシング及び磁気デバイスを保持している場合、緊急時にこれを適用することができる。本発明は、これらの緊急状況のために非常に有用である。なぜなら専門の訓練の必要なく、簡単な指導で容易に使用できるが、劇的に向上した治癒結果、及び大幅に促進された治癒をもたらすからである。
【0056】
所与の例において、外傷10は、腕1の偶発的な深い切り傷であり、医師の処置のために露呈される。外傷10及び周りの皮膚12は汚れ及びゴミを洗浄され、ドレッシングの準備が整っている。洗浄の次のステップは、サージカルテープ14を用いて外傷10を閉鎖することである。入手可能な多くの自己接着性サージカルテープ、及び紙縫合製品が存在し、任意の好適な手段を使用して外傷を閉鎖することができる。例示のように、好適な長さのHYPAFIX(登録商標)の自己接着性織物テープ14が切断され、洗浄された皮膚12における外傷10の一方の側に沿って提供される。次にHYPAFIX(登録商標)のストリップ14は、外傷10をきつく閉鎖するために引き寄せられ、清潔な皮膚12のセクションで、外傷10の他の側における所定の位置に接着される。サージカルテープ14の下面16は、皮膚上への適用に好適な自己接着性を有し、それによってきつく接着し、その一方で上面18は軽い手触りである。
図2において、3つの矢印が含まれ、HYPAFIX(登録商標)のサージカルテープ14のストリップにおける使用角度を示し、外傷10を引き寄せて、
図3に示されるように、治癒のために好適な位置に外傷をきつく閉鎖する。さらに、
図3において、下の外傷の位置は、線によって示されるが、それはHYPAFIX(登録商標)ストリップ14によって覆われることになるため、視認されない。
【0057】
一旦外傷10が好適に洗浄され、HYPAFIX(登録商標)のストリップ14、または同様のもので閉鎖されると、磁気デバイス20が、
図4に示されるように適用される。外傷10の位置は、磁気デバイス20上に概略の線によってやはり例示されるが、それは実際には視認できない。
【0058】
磁気デバイス20が適用された、洗浄され閉鎖された外傷10は、次に医療専門家によって適用された別のサージカルテープ22の適用によって所定の位置に保持され、磁気デバイス20をHYPAFIX(登録商標)ストリップ14に固定して皮膚を囲み、それによってHYPAFIX(登録商標)14及び磁気デバイス20は完全に覆われ、患者が治癒する間、障害から防護される。サージカルテープ22は、ストリップ14と同じように示されるが、任意の好適なサージカルテープ、紙包帯などが、固定のために使用され得る。外傷のタイプ、及び人の他の怪我に依存して、別のテープ、ドレッシング、または包帯が、患者の快適性のためもしくは外傷10のさらなる防護のために、必要に応じて適用され得る。このように、ドレッシングは外傷10を閉鎖するために外傷10に適用され、HYPERFIX(登録商標)ストリップ14及び磁気デバイス20は、以下で説明するように、治癒のための仮想スキャフォールドを作り出すために磁界を投射して、サージカルテープのストリップ22によって所定の箇所に封止かつ固定するために適用される。
【0059】
図2~
図5に示されたドレッシングは、所与の例で、初期の24時間において外傷10に適用される。それは、実験的試験が判断したものであり、外傷10の細胞外マトリクスにおける初期復元のために十分である。24時間未満の短い期間が、他の外傷のために代わりに使用され得る。初期時間を超えた、より長い時間を必要とする場合、例えば上述のステップを、新たなドレッシングを用いて、同じ磁気デバイス20を使用して、例えばさらに24時間繰り返すことができる。外傷10が治癒されて閉鎖が保たれたと想定された場合、ドレッシングを除去することができる。そのとき外傷10は、
図6のように、閉鎖され治癒した皮膚の薄い線で現れ、異質の傷跡を残さない。従来のドレッシングまたは包帯を、この段階で必要に応じて適用することができる。
【0060】
図7を詳細に参照すると、外傷の治癒中に、磁気デバイス20は注意深く位置付けられ、外傷10上の所定の位置に保持され、それによって磁界は下に横たわる組織に作用して、仮想スキャフォールドを作り出し、最小の傷跡を伴う適切かつ迅速な治癒の手助けをする。
図7は、説明を容易にするために、3つの別個の層a)、b)、及びc)を伴う、
図5の構成要素の図を例示する。層a)は、ある長さのHYPAFIX(登録商標)サージカルストリップ14として示される、外傷を閉鎖するために使用される層を示し、層b)は、磁気デバイス20を示し、層c)は、所定の位置に固定するためのサージカルテープ22を示す。軽い外傷は、防護層を用いて単純にドレッシングされ得る。または、より重い外傷は、好適なテープもしくは紙縫合を用いて閉鎖されることになる。本発明は、使用の通常の方法において、従来の縫合の使用を避けることが望ましいが、縫合された外傷にも使用され得る。閉鎖層である層a)は、外傷10の性質に依存して適用、または省くことができる。使用されるサージカルテープは、外傷の閉鎖及び磁気デバイス20の固定のための必要性に依存して、変更または省くことができる。
【0061】
層b)は磁気デバイス20であり、下の組織に作用するのに好適である。示されるように、シリコーン媒体における片側磁束の磁石であるハルバッハ配列は、磁界の特定の配置を提供する。シリコーン媒体は、患者に対して安全であり、容易に生産され、使用することができる。示されるような1.0ミリメートルの厚さは、典型的な切り傷及び外傷のための、ハルバッハ配列及びシリコーン媒体を含んだ磁気デバイス20に有用である。他の有用な厚さとして、0.5ミリメートル、2.0ミリメートル、及び使用者にとって所望の有用な他の厚さ、が挙げられる。磁界の特定の配置は、下の組織を治癒させて所望の整合に順応するのを可能にする、仮想スキャフォールドを作り出し、投射するために有用である。
【0062】
図7における矢印は、ハルバッハ配列の磁気コアにおける交互
(直交)の磁界方向を例示し、
向上した治癒のための、特定の分子整合を促すための仮想
分子スキャフォールドを作り出すよう位置付けられる。
【0063】
図8を詳細に参照すると、磁気デバイス20の短辺にわたって示される一連の横断線は、分離したコア及び異なる磁界を示す。
磁気デバイス20におけるこれらの横断線は、ドレッシングを適用する間、外傷10に対して垂直方向に整合され、
作り出された直交した磁界方向が、外傷を治癒させる方向として適切であるように、磁気デバイス20を整合させる補助をする。
【0064】
再び
図7を参照すると、層c)は、接着性または付着性層を示し、それは例示されるように、磁気デバイスである層b)を、層a)に付着させるために使用された、サージカルテープ22のストリップであり、ドレッシングを腕1の所定の位置にしっかりと維持し、まさに正確な位置及び整合となるよう、外傷10を囲む。サージカルテープ22の適用は、磁気デバイス20を所定の位置に保持するため、かつ外傷を全体的に囲んで防護するために入手可能なものを使用して、他の好適なテープまたはドレッシングと、置き換えることができる。パッティングまたはラッピングを含む別の防護を使用して、必要とされる場合に外傷をさらに防護することができるが、これは一般的に必要とされない。
【0065】
本発明の核心は、コラーゲン及びプロテオグリカン分子を、治癒させる組織に整合させるための機構である。損傷を受けていない組織において分子が整合する場合、治癒は迅速で傷跡は最小である。しかし、通常の構造に対して整合が異なる場合、治癒は遅く、傷跡が生じる。経時的にいくらか傷跡が消え得るとしても、ケロイドの傷跡など、深い傷跡は、通常恒久的であり、非常に外観が悪い。
【0066】
傷跡を避けるために、縫合を用いるなど、治癒のために外傷の両縁部を共に近くに保持することが望ましい。しかしこれは不十分であることが判っている。縫合した外傷はしばしば傷跡をもたらし、治癒に必要な10~14日の間に縫合が離れた場合、これは複雑になる場合がある。本発明において、磁気デバイス20の動作は、仮想スキャフォールドを治癒させる組織に提供し、分子が正確に整合して迅速に外傷10を治癒させるために必要な時間を劇的に短縮させ、そのため外傷の追加の閉鎖は必要としない。
【0067】
上記のどこかで説明したように、結合組織は、(他の分子を伴い)コラーゲン及びプロテオグリカンで作られた細胞外マトリクスを包含する。健全な組織に構造及び強度を与えるのは、このマトリクスである。同様に、外傷が治癒しようとする際に、コラーゲン及びプロテオグリカン分子は、治癒する外傷に、構造及び強度を与えるために整合しようとする。デバイスによって作り出され、外傷の長さに整合された複数の直交した磁界が、向上した外傷の治癒を可能にする。コラーゲン及びプロテオグリカン分子が、作り出された仮想分子スキャフォールドによって正確に整合するよう促されるので、治癒は加速され、損傷前の健全な組織のように整合される。
【0068】
図9を詳細に参照すると、従来の方法でi)、ii)、iii)でも明示した、健全な皮膚12は、表皮26、真皮28、及び皮下脂肪30の層を有する。様々なレベルの真皮28において互いに対して整合された、コラーゲン繊維34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36の健全な細胞外マトリクスを、より良好に例示するために、真皮層28の拡大図が含まれる。
【0069】
図10を詳細に参照すると、
図1の外傷10は、表皮層26及び真皮28を通って皮下脂肪層30まで貫通した切り傷が例示され、組織に空隙が形成される。さらに、真皮層28の様々なレベルにおける外傷10内の、分子の整合を例示するために、拡大図が含まれる。確認できるように、マトリクスはもはや分子として整合されず、外傷を充填及び補修するよう努める分子は、治癒を誘導する構造を持たない。プロテオグリカン分子32及び36が外傷の中に流れ込む際に、プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34と整合するよう努めるが、これらの繊維は短く、直線的に整合せず、強く健全なマトリクスを復元することは、ほとんど不可能である。健全な組織における線形繊維34は、スキャフォールドを形成するが、
図10に示されるように、これらのコラーゲン繊維34は乱れている。健全な組織において、プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34に、垂直配向で接続される。このように、線形コラーゲン繊維34は、その自然な配向において、プロテオグリカン分子32及び36に対して垂直方向に整合されるが、組織が損傷し、下の構造が損失すると、分子は互いに乱雑に整合しようとする。コラーゲン34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、それらそれぞれの磁気特性によって整合する。コラーゲンは反磁性であり、磁界に対して垂直方向に整合し、プロテオグリカンは、磁界に対して平行に、コラーゲン繊維に対して垂直に整合する。
【0070】
図11を詳細に参照すると、ドレッシングされた
図7の外傷が例示される。
図10の損傷した組織の乱れとは異なり、
図7のドレッシングの下における組織と、磁気デバイス20とは、健全な組織のように整合している。細胞外マトリクスには、仮想スキャフォールドが設けられ、繊維34を形成するコラーゲン分子及び垂直方向の分子であるプロテオグリカン32、36に、それらの整合を助けるための誘導部すなわちスキャフォールドを与える。
流れ込み、ランダムに互いに整合しようとし、かつ外傷を充填しようとする分子の代わりに、構築された磁界スキャフォールドが存在する。磁気デバイス20のハルバッハ配列は、小さい平行の磁界を投射し、コラーゲン繊維34がプロテオグリカン分子32、36と適切に整合して、健全な細胞外マトリクスを再確立するのを可能にする。
【0071】
重要なことには、コラーゲン及びプロテオグリカンの分子、ならびに関連の分子が、外傷を治癒させようとして流れるとき(
図10にように、本発明が使用されない場合)、治癒にかかる時間は、いくらかは分子構造の欠落に起因する場合がある。したがって、新しいコラーゲン分子が、健全な皮膚のような既存の正確に整合されたコラーゲン繊維と整合する代わりに、新しいコラーゲン分子は、ランダムに整合された小さいコラーゲン繊維を形成する。空隙を充填するため、ある程度は実質的に十分に整合することになる。同様に垂直方向のプロテオグリカンは、ほとんどが不整合形態で、コラーゲン繊維に整合する。治癒は、外傷空隙が充填され、外傷が閉鎖し続けるために十分補修されるまで続く。大小の範囲における傷跡の組織は、治癒が試みられる間に作り出されることになり、広範囲に及ぶ場合がある。
【0072】
図11に示されるように、本主題発明が代わりに使用される場合、磁性スキャフォールドは、外傷に適用されると直ぐに、外傷治癒プロセスに誘導を与える。分子は、それらが望ましいように整合し、コラーゲンは一方向に整合され、プロテオグリカンは繊維に対して垂直方向に整合される。外傷に流れ込む全ての分子は、磁界の影響下で一様に整合することになり、治癒時間を短縮させ、分子の不整合からもたらされる傷跡を最小に抑える。本発明によって迅速に処置されたきれいな切り傷は、ほとんど傷跡は存在し得ない。なぜなら、皮膚が不正確に形成されるには時間が短いからである。
【0073】
本発明を使用して作り出された仮想スキャフォールドの、大きい利点は、分子の正確な再整合であり、治癒時間を最小まで減少させる。標準的な治癒において、コラーゲン繊維が治癒のために好適な構造を形成できるまで、ランダムな整合が存在する。本主題発明の使用において、磁気デバイス20の適用から、仮想スキャフォールドは、治癒する皮膚の構造を誘導し、それによって、分子が整合し損失を補修できるよう可能な限り迅速に治癒が生じる。傷跡の組織を形成するために時間は浪費されないが、代わりに外傷を治癒させるために時間が使用される。したがってこの顕著な発明は、必要な治癒が身体によって行われるため、外傷を数週間ではなく数時間で治癒させることができる。
【0074】
患者のために、本発明のドレッシングならびに層a)、b)、及びc)を用いた苦痛の無い適用は、外傷10を処置するための非侵襲性の手段である。結果は、いくつかの例において、外傷が10~14日ではなく24時間未満という非常に迅速に治癒する。なぜなら分子は不整合によって時間を浪費せず、最初から仮想スキャフォールド内で完全に整合されるためである。結果は、より迅速な外傷の治癒であり、傷跡を少なくし、縫合または縫合を除去するトラウマがない。この賢明な発明は、多数の考えられる適用及び使用を有する。
【0075】
図12及び
図13を参照すると、本発明の第2の使用が説明され、それは第1の実施形態として働くが、上述のような皮膚の外傷10の代わりに、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚に対するものである。したがって老化及び/または日焼けで損傷した皮膚は、外傷を受けていないが、細胞外マトリクスは損傷し、そのために皮膚は、損傷前より構造的にあまり健全ではない。分子の整合を向上させることによって、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の健康を改善できることが望ましい。
【0076】
図12を参照すると、特に損傷した皮膚構造が、表皮26、真皮28、及び皮下脂肪30を伴い、
図9及び
図10の皮膚層のように明示される。例示されるように、表皮26は、若い健全な皮膚と比較するとき、いくらかの老化または日焼けに関する損傷が、あまり均等ではない表面を伴って呈される。真皮層28が、構造を例示するために2つのレベルで拡大して例示され、いくらかの不整合を示す。
【0077】
コラーゲン分子34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、前の図面のように拡大した真皮28において例示される。
図12について、コラーゲン分子34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36は、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の細胞外マトリクスの崩壊を示し例示される。プロテオグリカン分子32及び36は、コラーゲン繊維34から分離され、これらの繊維はあまり直線的に整合されていない。
【0078】
図13を詳細に参照すると、磁気デバイス20の形態で本主題発明を適用した後の、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚が示される。例示されるような磁気デバイス20は、片側磁束の磁石として、シリコーン媒体におけるハルバッハ配列が示される。本発明の、この形態において、磁気デバイスは、他のドレッシングを伴い、または伴わずに使用され得る。例えば、好適なサージカルストリップが、磁気デバイス20を患者の皮膚に、適切に固定するために使用され得る。代わりに、従来の包帯が使用され得る。任意の好適な手段が、磁気デバイスを所定の位置に維持する補助のために使用され得る。
磁気デバイス20は、損傷した皮膚の大きい領域を覆って作用するよう、大きいサイズのものである。デバイスのサイズは、特定の用途を満足させるよう適合させることができる。本発明の磁気デバイス20の使用は、仮想スキャフォールドを、老化及び/または日焼けで損傷した皮膚の中に投射し、コラーゲン繊維34ならびにプロテオグリカン分子32及び36の再整合を促し、皮膚の真皮28に対して構造及び強度を若返らせ、かつ復元する。投射された仮想スキャフォールドは、真皮28の中に深く延びるのが確認できる。それは、磁気デバイス20が所定の位置にある間に、コラーゲン繊維34、ならびにプロテオグリカン分子32及び36の正確な整合を促し続けることになる。経時的に、皮膚の構造及び強度は向上することになる。損傷または老化した皮膚における使用は、本発明の重要なさらなる利点である。
【0079】
図14を参照し、第1の実施形態のための説明のように働くが、膝の治療のための、本発明の第3の使用、及び第2の実施形態を説明する。同様の参照番号が第1の実施形態に使用され、ここでは
人(図示せず)の脚112の膝101が表わされ、本発明による磁気ドレッシング及び下の組織の拡大図を伴う。膝101は、皮膚128上、ならびに靭帯及び腱を含む損傷した深部組織130上のドレッシング126に適用された、磁気デバイス120を伴って示される。
さらに、磁気デバイス120の、作り出された複数の直交した磁界が矢印として例示され、怪我の向上した治癒のための、仮想分子スキャフォールドを投射するよう作用する。本発明は、第1の実施形態のために説明したような任意の結合組織に働くよう、かつ仮想分子スキャフォールドを提供するよう適応され、細胞外マトリクスにおける分子の整合を促し、治癒時間及び傷跡を減少させる。第1の実施形態と同様に、膝の手術後などに、ドレッシング(サージカルテープ)126は皮膚128の近くに載置され、外傷を閉鎖する。磁気デバイス120の動作は、皮膚及び下の腱の両方に作用し、第1の実施形態のために説明したように、正確な整合で治癒を促進させる。
【0080】
磁気デバイス120はハルバッハ配列であり、それはシリコーン媒体において、第1の実施形態のための説明のように働き、ドレッシングを伴うか、または伴わずに使用できる。ドレッシング126は皮膚128に接触し、磁気デバイス120はドレッシング126の上に位置付けられる。この配置は、快適性及び膝の支持のための、他の層の上に固定された、外側の外傷ドレッシングの膝支持部138によって、脚101に所定の位置に固定され、磁気デバイス120が所定の位置にとどまるのを保証する。
【0081】
第1の実施形態のように、磁気デバイス120は仮想分子スキャフォールドを作り出し、結合組織の整合された治癒を誘導する。本発明は、怪我または手術でもたらされ得る、多くの種類の結合組織における損傷を治癒させるために使用され得る。いずれの場合も、磁気デバイス120によって投射された仮想スキャフォールドは、分子構造の正確な整合を促進させ、怪我の治癒に必要な時間を短縮させ、傷跡を軽減させる。深部組織の傷跡を減少させることは、非常に望ましい。なぜなら傷ついた組織は、健全で損傷の無い組織ほど強くないので、靭帯及び腱を含んだ深部組織の傷跡は、将来的に同じ組織に対する同様の損傷の可能性が増す場合があるためである。したがって、これら深部組織において軽減された傷跡は、将来的な怪我に抵抗するための、短期的かつ長期的な恩恵である。さらに、本主題発明の適用は、非常に有益な非侵襲性の処置を提供し、皮膚または深部組織に、最小の傷跡で迅速な治癒をもたらして、患者にとって非常に望ましい結果となる。
【0082】
図15を参照し、本発明の第4の使用及び第3の実施形態を、第1及び第2の実施形態で使用された同様の参照番号を伴って説明する。
図15において、皮膚212を伴う腕201の骨折した前腕(番号で明示せず)の修復が例示される。腕201は、骨を安定させるために、骨折支持213においてギブスがはめられて示される。処置の一部として、磁気デバイス220が、皮膚の防護的な第1の層226と、ギブスの骨折支持213の外側層と、の間に組み込まれる。磁気デバイス220は、骨の治癒を加速させるよう、
複数の直交した磁界を
有益な配向で骨折内に投射する。治癒は、第1の実施施形態と同じ方法で働き、仮想
分子スキャフォールドを作り出して
分子を整合させ、健全な骨を模倣した、240で明示された修復する骨を、迅速に治癒させる。このように、骨は最小の傷跡で可能な限り迅速に治癒される。
【0083】
全ての実施形態について、本発明は、便利で使用が容易である、非侵襲性の処置を提供する。それは、先行技術に対する大幅な前進であると考慮されるべきである。製品自体が、医療専門家及び個人の両方によって使用することができる重要なものである。保存可能期間は、5年と推定されるが、いくつかの形態では、より長い保存可能期間を有し得る。製品は、ロールとして供給され、厚紙ディスペンサにおいて、外傷のために好適なサイズに切断される。20または50ミリメートルの幅が有用となり得ることが予測される。他の形態において、好適なサイズのストリップを、使用のために直ぐに切断できる個々のピースとして与えることができ、サージカルテープを伴うか、または伴わずに使用する。他の形態において、好適なサイズのピースが、より大きい外傷及び標準未満の外傷を処置するために、シートから切断され得る。適用は、ドレッシングされる外傷または組織に合うように変えられる。本発明は、人及び動物に対して、最小の傷跡で、迅速な外傷の治癒のための、先行技術に対して大幅に向上した、多くの考えられる適用を有する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
方法で使用するための、装置の物品及び/またはドレッシングは、産業的に生産され、顧客に直接、または販売するために小売業者もしくは卸売業者に供給され得る。
【符号の説明】
【0085】
1 体の一部(腕)
10 外傷/外傷の位置
12 皮膚表面
14 サージカルテープ
16 14の下面
18 14の上面
20 磁気デバイス
22 サージカルテープ
26 表皮
28 真皮
30 皮下脂肪
32 プロテオグリカン
34 コラーゲン繊維
36 プロテオグリカン
38 外傷ドレッシング
101 体の一部(脚)
112 皮膚
120 磁気デバイス
126 第1の層/ドレッシング
128 皮膚
130 深部組織-靭帯
138 外傷ドレッシング
201 体の一部(腕)
212 皮膚
213 骨折支持
220 磁気デバイス
226 第1の層
228 皮膚
240 修復する骨
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合組織の向上した治癒または再生のための装置であって、
複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含んだ磁気物品であって、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができ、前記複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられた、磁気物品を含み、
前記磁気物品及び作り出された
複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想
分子スキャフォールド
として作用する磁気構造を確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項2】
前記装置はドレッシングを含み、前記ドレッシングは、
治癒または再生させる領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、
前記磁気物品を含んだ第2の部分であって、複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含み、前記第1の部分上に適切に位置付けられたときに、結合組織に影響を及ぼすことができ、前記複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、を含み、
前記磁気物品及び作り出された
複数の直交した磁界は、外傷内及び/または外傷周りに、分子を整合させるための仮想
分子スキャフォールドを確立することによって外傷の治癒を向上させる、請求項1に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項3】
前記第1の部分は、外傷の治癒を行ないながら好適な閉鎖状態で外傷も維持する、請求項2に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項4】
前記磁気物品は、
好適な媒体の本体と、
複数の直交した磁界と作り出すための、前記本体の中に組み込まれた磁気手段と、を含み、
前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、前記磁気手段及び前記作り出された
複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための仮想
分子スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項5】
人以外に動物に使用され、
動物の結合組織を治癒または再生させる、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項6】
前記第1の部分は、紙縫合、及びサージカルテープ
のグループから選択された外傷を閉鎖する方法を含み、HYPAFIX(登録商標)またはCLOZEX(登録商標)の商品名で販売される、外傷を閉鎖するための製品を含む、
請求項2または3に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項7】
前記磁気物品は、直線、円形、円筒形のグループから、臨床要件に依存して様々な結合組織を治癒させるのを満足させるよう選択された、ハルバッハ配列
の形態である、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項8】
前記磁気物品は、好適な媒体の本体、及び前記本体の中に組み込まれた磁気手段を含み、前記媒体は、シリコーンなどの好適な不活性媒体である、
請求項4に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項9】
磁気の効果で、外傷を
含む、治癒または再生させる領域を治癒させるために流れ込む、コラーゲン分子の正確な整合を促すために好適な
複数の直交した磁界を作り出す、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項10】
前記磁気の効果で、
治癒または再生させる領域を治癒させるために流れ込む、プロテオグリカン分子の正確な整合を促すために好適な
複数の直交した磁界を作り出す、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項11】
前記磁気の効果で、外傷を
含む、治癒または再生させる領域を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子の正確な整合を促すよう、及びプロテオグリカン分子がコラーゲン繊維に対して垂直に整合するよう、好適な
複数の直交した磁界を作り出す、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項12】
前記結合組織は、前記
複数の直交した磁気が、健全な組織のような細胞外マトリクスの構成を模倣するように、健全な組織に類似した整合を用いて治癒を促される、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項13】
前記磁気物品の位置付けは、
複数の直交した磁界を作り出し、結合組織内の向上した分子の整合のため、治癒中に仮想分子スキャフォールドを作り出す、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項14】
治癒は、僅か数時間内に生じる、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項15】
治癒は、実質的に24~48時間未満に生じる、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項16】
本発明の使用を介した治癒の後、ごく僅かな傷跡が残るか、または傷跡は残らない、
請求項1~15のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項17】
分離した3つの層が使用され、一部は外傷または治癒
もしくは再生させる領域に適用され、
前記領域を閉鎖または覆い、磁気を包含した層は前記磁気物品を包含し、接着または付着層は他の2層を囲み、治癒または再生のため所定の位置に維持する、
請求項1~16のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項18】
前記層の各々は、互いに一体化して作られる、請求項17に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項19】
前記磁気物品の保存可能期間は、長い保存可能期間である、
請求項1~18のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項20】
治癒または再生させる結合組織は、骨、結合組織、靭帯、皮膚、または腱のグループから選択される、請求項1~19のうちいずれか一項に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項21】
結合組織の向上した治癒または再生のための装置であって、
適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができる、片側磁束の磁石を有する磁気物品を含み、
前記磁気物品及び作り出された磁界は、治癒または再生する結合組織内で分子を整合させるための、仮想スキャフォールドを確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させる、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項22】
請求項3~20のうちいずれか一項に記載の特徴を含む、請求項21に記載の、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項23】
結合組織の向上した治癒または再生のための装置であって、
複数の直交した磁界を作り出すための片側磁束の磁石を含んだ磁気物品であって、適切に位置付けられたときに、治癒または再生させる領域の結合組織に影響を及ぼすことができ、前記複数の直交した磁界は、治癒または再生させる領域の長さに実質的にわたって位置付けられる、磁気物品を含み、
前記磁気物品及び作り出された複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織内の分子を整合させるための、仮想分子スキャフォールドとして作用する磁気構造を確立することによって、結合組織の治癒または再生を向上させ、治癒または再生させる領域を治癒させるために流れ込むコラーゲン分子及びプロテオグリカン分子の、正確な整合を促すために好適である、結合組織の向上した治癒または再生のための装置。
【請求項24】
向上した外傷の治癒のための物品及びドレッシングであって、前記物品は、
外傷の上または外傷周りに適用され、外傷を治癒させるための好適な閉鎖状態において外傷を維持するよう実質的に作用する、第1の部分と、
本体に磁気手段を含んだ磁気物品を有する第2の部分であって、前記磁気手段は、複数の直交した磁界を作り出すための、片側磁束の磁石を含み、外傷の結合組織に影響を及ぼすことができ、かつ前記第1の部分によって閉鎖された外傷に作用できる、第2の部分と、
外傷の治癒中に、前記第1及び前記第2の部分を所定の位置に維持する、第3の部分と、
を含み、
向上した外傷の治癒のための、前記磁気手段及び作り出された前記物品の
複数の直交した磁界は、外傷を治癒させる分子
であるコラーゲン、及びプロテオグリカンの
向上した整合のための仮想
分子スキャフォールドを確立する、物品及びドレッシング。
【請求項25】
向上した結合組織の治癒または再生のためのドレッシングであって、
治癒または再生のための、結合組織の領域上または領域周りに適用されるよう適合された、第1の部分と、
前記第1の部分上に適切に位置付けられたとき、結合組織に影響を及ぼすことができる
片側磁束の磁石を有する磁気物品を含んだ、第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を患者に付着させ、治癒または再生中に所定の位置に維持するための、第3の部分と、
を含み、
前記磁気物品は
複数の直交した磁界を投射し、前記
複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織における
分子の整合のための、仮想分子スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させる、ドレッシング。
【請求項26】
向上した治癒または再生のための物品であって、
好適な媒体の本体と、
前記本体に組み込まれた
片側磁束の磁石を含んだ、磁気手段と、を含み、
前記物品は、結合組織に作用するよう使用され、前記磁気手段及び作り出された
複数の直交した磁界は、治癒または再生する結合組織の分子を整合させるための仮想
分子スキャフォールドを確立することによって、治癒または再生を向上させ、
前記物品は、外傷のドレッシングの一部として使用され、前記磁気手段は
複数の直交した磁界を作り出すか、または投射し、前記
複数の直交した磁界は、外傷を治癒する分子のための仮想
分子スキャフォールドを確立することによって、外傷の治癒を向上させる、物品。
【請求項27】
請求項1に記載の磁気物品を使用した、結合組織の向上した治癒または再生方法であって、
a)治癒または再生させる領域を準備するステップと、
b)前記磁気物品を、結合組織の治癒または再生に影響を及ぼすよう作動できる位置において、関連の領域上または領域近くに位置付けるステップと、
c)前記磁気物品によって作り出された前記仮想
分子スキャフォールドと一致した領域を、治癒または再生させるステップと、を含む、方法。
【請求項28】
請求項27の方法を使用する、
請求項3~23のうちいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】