IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツクス−プランク−ゲゼルシヤフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシヤフテン エー フアウの特許一覧

特表2022-551400移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン
<>
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図1
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図2
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図3
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図4
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図5
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図6
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図7
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図8
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図9
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図10
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図11
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図12
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図13
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図14
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図15
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図16
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図17
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図18
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図19
  • 特表-移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】移動式マイクロマシンのアセンブリ方法および移動式マイクロマシン
(51)【国際特許分類】
   B81C 3/00 20060101AFI20221202BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20221202BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221202BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20221202BHJP
   B81B 5/00 20060101ALN20221202BHJP
【FI】
B81C3/00
B33Y50/00
B33Y10/00
B33Y80/00
B81B5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517773
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2019075564
(87)【国際公開番号】W WO2021058082
(87)【国際公開日】2021-04-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512247223
【氏名又は名称】マツクス-プランク-ゲゼルシヤフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシヤフテン エー フアウ
【氏名又は名称原語表記】MAX-PLANCK-GESELLSCHAFT ZUR FOeRDERUNG DER WISSENSCHAFTEN E.V.
【住所又は居所原語表記】Hofgartenstrasse 8,80539 Muenchen, Bundesrepublik Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】イギット,バーク エム.
(72)【発明者】
【氏名】アラパン,ユヌス
(72)【発明者】
【氏名】ベカー,オヌール
(72)【発明者】
【氏名】シッティ,メティン
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081AA17
3C081BA01
3C081BA41
3C081BA51
3C081CA05
3C081CA23
3C081CA28
3C081CA31
3C081CA45
3C081DA01
3C081DA07
3C081DA10
3C081DA11
3C081DA27
3C081DA28
3C081EA41
3C081EA43
(57)【要約】
本発明は、主本体および少なくとも1つの作動要素を備える移動式マイクロマシンをアセンブリする方法に関し、方法は、移動式マイクロマシンの要素の3D形状を画定するステップであって、要素が、主本体および/または少なくとも1つの作動要素などの構成要素を備える、画定するステップと、該要素を製造するステップであって、該製造ステップが、少なくとも主本体の製造を含み、主本体が、1つ以上のエッジを備える、製造するステップと、外部電界を印加することによって該移動式マイクロマシンをアセンブリするステップであって、該外部電界が、該1つ以上のエッジにおいて電界勾配を形成し、該勾配が、主本体および少なくとも1つの作動要素が該1つ以上のエッジにおいてマイクロマシンに自己アセンブリするように、該作動要素を引き付ける、アセンブリするステップと、を含む。本発明はさらに、移動式マイクロマシンに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主本体(10)および少なくとも1つの作動要素(12)を備える移動式マイクロマシン(8)をアセンブリする方法であって、
-前記移動式マイクロマシン(8)の要素の2D形状または3D形状を画定するステップであって、前記要素が、前記主本体(10)および少なくとも1つの前記作動要素(12)などの構成要素を備える、画定するステップと、
-前記要素を製造するステップであって、前記製造するステップが、少なくとも前記主本体(10)の製造を含み、前記主本体(10)が、1つ以上のエッジ(11)を備える、製造するステップと、
-前記移動式マイクロマシン(8)を配置することができる溶液を提供するステップと、
-前記移動式マイクロマシン(8)の製造された前記主本体(10)を前記溶液内に配置するステップと、
-前記溶液中に少なくとも1つの前記作動要素(12)を提供するステップと、
-外部電界(E)を印加することによって前記移動式マイクロマシン(8)をアセンブリするステップであって、前記外部電界(E)が、1つ以上の前記エッジ(11)において電界勾配を形成し、前記電界勾配が、前記主本体(10)および少なくとも1つの前記作動要素(12)が1つ以上の前記エッジ(11)においてマイクロマシン(8)に自己アセンブリするように、前記作動要素(12)を引き付ける、アセンブリするステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記主本体(10)が、1つ以上の本体部品(16)を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記主本体(10)が、2D印刷または3D印刷を介して製造される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記主本体(10)が、少なくとも1つの前記作動要素(12)のための少なくとも1つの空洞(14)を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記空洞(14)が、1つ以上の前記エッジ(11)のそれぞれの1つ以上を形成する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記作動要素(12)が、感知要素として、および/または貨物運搬要素としてさらに構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記主本体(10)が、樹脂、特にIP-S樹脂、生体物質、または薬剤充填物質で製造されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記作動要素の形状もまた、前記移動式マイクロマシンの前記要素の3D形状を画定する前記ステップ中に画定される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記作動要素(12)が、前記要素を製造する前記ステップ中に2D印刷または3D印刷を介して製造される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記作動要素(12)が、球形、円筒形、楕円形、長方形、正方形、多角形、および三角形のうちの1つを含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記作動要素(12)が、磁性粒子を含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記作動要素(12)が、少なくとも部分的に磁性粒子でコーティングされている、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記磁性粒子が、0.01~1000μmの範囲のサイズを有する、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記外部電界(E)の電界強度が、0.01~2×10V/mの範囲にあり、好ましくは1~2×10V/mの範囲にある、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記外部電界(E)が、2枚のプレート間の交番電界を含む、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が、脱イオン水を含む、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、洗浄剤を含む、
請求項1から16のいずれか一項、任意選択的に請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、
-前記アセンブリされたマイクロマシン(8)に磁界を印加して、前記印加された磁界に従って、少なくとも1つの前記作動要素(12)を事前定義された方向に移動させるステップをさらに含む、
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
2つ以上の前記作動要素(12)が提供され、前記主本体(10)が、各々の前記作動要素(12)に対する1つ以上の前記エッジ(11)を備え、それにより、各々の前記作動要素(12)が、前記作動要素(12)と関連付けられたそれぞれの1つ以上の前記エッジ(11)においてアセンブリされる、
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
各々の前記作動要素(12)に対する1つ以上の前記エッジ(11)が、前記作動要素(12)と関連付けられたそれぞれの空洞(14)を形成する、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
2つ以上の前記作動要素(12)が、空洞(14)のうちの少なくとも1つに提供されている、
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
主本体(10)および1つ以上の作動要素(12)を備える、移動式マイクロマシンであって、1つ以上の前記作動要素(12)の各々が、前記主本体(10)の1つ以上のエッジ(11)に配設されており、1つ以上の前記作動要素(12)が各々、それぞれ0.01~250μm、特に1~100μm、とりわけ5~80μmの範囲内で選択される、直径、幅、高さ、および/または長さなどのサイズを有し、前記主本体(10)が、それぞれ1~2000μmの範囲内、特に20~800μm、とりわけ50~400μmの範囲内で選択される、高さ、幅、および/または長さを有する、
移動式マイクロマシン。
【請求項23】
前記移動式マイクロマシンが、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法によって得られる、
請求項22に記載の移動式マイクロマシン。
【請求項24】
2つ以上の前記作動要素(12)が、前記主本体(10)に配設されている、
請求項22または23に記載の移動式マイクロマシン。
【請求項25】
1つ以上の前記エッジ(11)が、1つ以上の前記作動要素(12)であるそれぞれの空洞(14)を形成し、前記空洞(14)が、任意選択的に、それぞれ31~201μm、とりわけ41~81μmの範囲内で選択される、直径、幅、高さ、および/または長さなどのサイズを有する、
請求項22から24のいずれか一項に記載の移動式マイクロマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体および少なくとも1つの作動要素を備える、移動式マイクロマシンをアセンブリする方法に関する。本発明はさらに、移動式マイクロマシンに関する。
【0002】
移動式マイクロマシンは、微細な世界を探査しかつ操作するだけでなく、マイクロスケールおよびメソスケールで機能的な秩序およびアセンブリを作成するための大きい可能性を提供する。マイクロマシンは、理想的には、作動、感知、輸送、および配送などのさまざまな機能に対処する複数の部品、材料、または化学物質で構成されている。機能モードおよび性能は、これらの構成要素がマシン内でどのように編成され、相互作用するかによって決まる。
【0003】
現在のマイクロマシンは、空間的に制御された方法で機能的構成要素を方向付けてアセンブリすることが難しいため、一般にモノリシックユニットとして製造されている。モジュール式のサブユニットで作製されたマイクロマシンは、構成要素の相対的な構成を制御することにより、再構成可能かつ複数の機能、ならびにより複雑な動作モードを可能にする。
【0004】
微細な部品を特定の構造に編成することを達成するための1つの有名なアプローチは、部品間の物理的相互作用が自発的にそれらのアセンブリを推進する、自己アセンブリである。外部磁界または化学燃料によって供給されるエネルギーは、サブユニットの自己アセンブリのための物理的相互作用を同時に指示しながら、マイクロマシンの活動に動力を供給することができる。例えば、回転磁界の下で相互作用する磁性粒子は、固体表面の近くを移動することができるチェーンまたはホイールにアセンブリする。光で活性化されるマイクロスイマーは、化学物質(例えば、過酸化水素)の消費から生じる拡散泳動相互作用を介して、生体結晶および自己回転ギアにアセンブリする。
【0005】
自己アセンブリを使用して、多様な部品を備えるより複雑なモジュール式のマイクロマシンを設計するには、部品間の操作上のダイナミクス、および物理的相互作用によるアセンブリ経路の設計を理解する必要がある。物理的相互作用は、外部磁界の下での形状および材料固有の力応答を利用することにより、個々の部品にプログラミングすることができる。例としては、仮想の電気的および磁気的鋳型を備え、高性能の空間的に構造化された、複合微細構造のコロイドアセンブリが挙げられる。
【0006】
これらのアプローチはプログラム可能な構造アセンブリを実証したが、これらのアプローチを移動式マイクロマシンアセンブリに拡張することには大きい関心がある。この観点では、外部作動および自己推進粒子を使用した能動的なコロイドクラスターの方向付けられたアセンブリ経路が積極的に調査されているが、自己アセンブリマイクロマシンの設計にわたる完全にプログラム可能な制御は、依然として重要な課題である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記の課題を克服することができる、マイクロマシンおよび移動式マイクロマシンをアセンブリするための方法を提供することである。
【0008】
この目的は、独立請求項1の主題によって満たされる。
【0009】
特に、本発明による方法は、移動式マイクロマシンの要素の3D形状を画定するステップであって、要素が、主本体および/または少なくとも1つの作動要素などの構成要素を備える、画定するステップと、該要素を製造するステップであって、該製造ステップが、少なくとも主本体の製造を含み、主本体が、1つ以上のエッジを備える、製造するステップと、マイクロマシンを配置することができる溶液を提供するステップと、移動式マイクロマシンの該製造された主本体を該溶液内に配置するステップと、該溶液中に少なくとも1つの作動要素を提供するステップと、外部電界を印加することによって該移動式マイクロマシンをアセンブリするステップであって、該外部電界が、該1つ以上のエッジにおいて電界勾配を形成し、該勾配が、主本体および少なくとも1つの作動要素が該1つ以上のエッジにおいてマイクロマシンに自己アセンブリするように、該作動要素を引き付ける、アセンブリするステップと、を含む。
【0010】
言い換えれば、少なくともマイクロマシンの主本体は、設計されてから製造される。設計のステップ中、マイクロマシンの用途が考慮され、特定の用途に合わせて設計を適用させることができる。例えば、マイクロマシンは医療用ロボットとして設計することができ、血液の流れとともに血管に沿って、または、例えば、水溶液中のものを飲み込むことによって食道を通って移動することができなければならない。他の設計では、マイクロマシンを使用して家の中の配管を調査することができ、それらが家の中にある配管設備を通って移動することができるように設計する必要がある。別の設計では、マイクロマシンを使用して、インビボ細胞アッセイ、マイクロ流体システム、および生体機能チップシステムにおいて、細胞および他の媒介を、生化学的または機械的に探査および操作することができる。したがって、作動要素はまた、マイクロマシンを移動させることを除いて他の機能も含むために、感知または貨物、すなわち、例えば薬剤を運搬する要素として設計することができる。
【0011】
これに関連して、1つ以上の作動要素は、主本体に対して移動可能であり、それにより、作動要素を移動させる際に主本体を移動させることができることに留意されたい。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの作動要素も同様に設計および製造され、一方、他の実施形態では、市販の供給源からの1つ以上の作動要素が使用される。一般に、主本体は例えば、主本体の特定の設計またはアセンブリされたマイクロマシンの特定の用途に応じて、1つ以上の作動要素を備えることができる。
【0013】
マイクロマシンの設計された要素を製造した後、すべての要素が溶液中に配置され、外部電界が該要素に印加される。主本体は1つ以上のエッジを備えるため、電界は、該エッジにおいて電界勾配を形成し、これは、1つ以上の作動要素を引き付ける。これにより、さまざまな構成要素がマイクロマシンに自己アセンブリする。
【0014】
具体的には、機能的構成要素の符号化されたアセンブリの誘電泳動(DEP)力の利点は、その設計された三次元(3D)ジオメトリの変調を通じて、主本体の周りに生成される電界勾配の分布を正確に制御することによって得られる。結果として生じる作動要素との相互作用は、部位選択的かつ方向性がある。複数の磁性および自己推進アクチュエータなどの作動要素によって動力が供給される移動式マイクロマシンは、アクチュエータの空間的編成に応じてフィールドパラメータによって再構成することができる、再構成可能な移動モードを実行する。さらに、作動要素、すなわちアクチュエータと主本体との間の機械的結合強度は、自由回転から剛体回転までの範囲の回転自由度にわたって制御するDEP力によって調整することができることが示されている。形状符号化されたDEP力を介して、機能的構成要素間の方向付けられたアセンブリおよび制御された操作上のダイナミクスを設計することにより、複雑なタスクを実行する機能的なマイクロマシンおよび移動式マイクロロボットの開発のための豊富な設計空間が可能になる。
【0015】
本発明の一実施形態では、主本体は、1つ以上の本体部品を備える。このように、1つの「通常の」または1つのより大きいマイクロマシンをも形成するために、自己アセンブリできるいくつかの種類の本体部品を設計および製造することが可能であり、つまり、本体部品を主本体にアセンブリすることができ、次に、他の主本体と一緒にアセンブリして、より大きいマイクロマシンにする。つまり、主本体の精密な設計は、マイクロマシンの特定の用途、または製造の可能性にさえ依存し得る。したがって、1つ以上の本体部品を備える主本体のためのいくつかの種類の設計が可能である。
【0016】
別の実施形態によれば、主本体は、2D印刷および/または3D印刷を介して製造される。印刷プロセスは、多くの場合、かなり小さい構成要素を製造するための便利な方法である。それは、比較的安価だが、それでもやはり数マイクロメートルの範囲のサイズの構成要素を製造するのに十分に正確である。主本体は、フォトリソグラフィ、物理気相成長(スパッタリング、視射角蒸着など)、テンプレート支援電着、MEMSプロセス、コロイド合成(粒子の成長)、自己アセンブリ、DNA自己アセンブリ、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、トップダウンおよびボトムアップのマイクロ加工技術で製造することもできる。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態によれば、主本体は、少なくとも1つの作動要素のための少なくとも1つの空洞を備える。したがって、各作動要素に対して1つの空洞が提供されることが可能であるが、1つ以上の作動要素に対して1つの空洞を備える主本体もまた、実現可能である。
【0018】
これに関連して、少なくとも1つの空洞が、該1つ以上のエッジのそれぞれの1つ以上を形成することも可能である。これは、1つ以上のエッジが、例えば、少なくとも1つの空洞の境界において形成され得ることを意味する。このようにして、電界勾配は、少なくとも1つの作動要素を空洞内に閉じ込めるために、少なくとも1つの作動要素を該空洞内に引き付けるように形成される。
【0019】
これに関連して、作動要素は、感知要素として、および/または貨物運搬要素としてさらに構成され得ることに留意されたい。このようにして、作動要素、例えば、そのような移動式マイクロマシンのホイールはまた、例えば、磁気イメージング、X線イメージング、IR、または超音波などを使用して、移動式マイクロマシンがその使用位置で追跡されることを可能にする、例えば、貨物および/またはさらなる材料でドープされ得る。
【0020】
同様に、主本体はまた、感知要素としておよび/または貨物運搬要素としてさらに構成され得る。特に有益な設計では、主本体は、2成分材料のうちの第1の成分を運搬し得、作動要素は2成分材料のうちの第2の成分を運搬し得、次いで、主本体および作動要素のうちの少なくとも1つは、外部刺激を介して、または、例えば、標的部位において誘発された、化学反応に起因して、標的部位のいずれの環境においてそれぞれの成分を放出するように構成されている。
【0021】
別の実施形態によれば、主本体は、樹脂、特にIP-S樹脂、生体物質、または薬剤充填物質で製造されている。材料は、マイクロマシンの用途に応じて、および/または主本体の製造に使用される製造プロセスに応じて、選択することができる。複数の異なる材料が可能である。さらに、ほとんどの材料は電気的に分極可能であり、これにより、提示されたアセンブリ方法論の適用性を、合成(ポリマー、ヒドロゲル、金属、セラミック、液滴、および前述のハイブリッド)、ならびに生物学的物質(動物細胞、細菌、藻類など)に一般化する。この性能により、別々のプロセスを介して製造することができる、異なる材料組成を有するさまざまなアクチュエータ、センサ、および貨物配送ユニットを、部位固有に統合することができる。主本体は、エラストマー性ポリマーなどの軟質材料で製造することもでき、これにより主本体の変形が可能になる。
【0022】
さらに別の実施形態では、作動要素の形状もまた、マイクロマシンの要素の3D形状を画定する該ステップ中に画定される。したがって、上記のように、作動要素はまた、用途に従って、および/またはその対応する主本体の設計に従って、設計することができる。これにより、基本的にマイクロマシンのすべての構成要素を特定のタスクに応じて必要に応じて設計することができるため、方法はさらにいっそう正確かつ柔軟になる。
【0023】
これに関連して、作動要素は、該要素を製造する該ステップ中に、2D印刷および/または3D印刷を介して製造することも可能である。したがって、主本体の製造に使用されるものと同じ製造プロセスを使用して、すべての必要な構成要素を製造するための簡単かつ利用可能な方法を確実にするために、作動要素を製造することができる。これに関連して、一般に、そうする理由がある場合、主本体に使用されるものとして、作動要素に対して異なる製造プロセスを選択することも可能であることに留意されたい。作動要素は、フォトリソグラフィ、物理気相成長(スパッタリング、視射角蒸着など)、テンプレート支援電着、MEMSプロセス、コロイド合成(異なる材料の粒子の成長)、自己アセンブリ、DNA自己アセンブリなどの、トップダウンおよびボトムアップのマイクロ加工技術、ならびにそれらの組み合わせによって製造することもできる。作動要素は、細菌、微細藻類、真核細胞(精子、ヒト細胞、動物細胞、単細胞生物)、ゾウリムシ、またはボルボックスなどの、単細胞および多細胞生物とすることもできる。さらに、作動要素の本体は、作動要素の変形を可能にすることができる、硬質材料および軟質材料で作製することができる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、作動要素は、球形、円筒形、楕円形、長方形、正方形、多角形、および三角形のうちの1つを含む。したがって、球形または円筒形を選択する場合、作動要素は「ホイール」として機能することができ、これは、駆動されるとき、すなわち、例えば、それが磁界にさらされるときに回転する。マイクロマシンも溶液中などに配置されるため、主本体の設計および/またはマイクロマシンの正確な用途に応じて、作動要素の他の形状が可能である。他の形状は、駆動時に、例えば、すなわち回転磁界によって駆動されるときに泳がせることができるらせん状アクチュエータ、または主本体上にトルクを伝達するために利用できる歯車のような形状などの、所望の機能に関する作動要素に利用することができる。作動要素の形状は、軟質材料で作製されている場合は変形可能である可能性があり、または、作動要素の設計には、さまざまなリンケージおよびヒンジによって接続された部品がある。例えば、磁気コーティングを施した軟質かつ細い作動要素は、振動磁界で駆動されると、その本体を変形させることによって泳ぐことができる。
【0025】
別の実施形態では、作動要素は、磁性粒子を含む。例えば、作動要素は、磁性粒子でコーティングすることができる。別の例では、磁性粒子をコーティングする代わりに、それらを、該作動要素を製造する、すなわち、例えば、印刷する該ステップ中に作動要素に埋め込むことができるであろう。作動要素に磁性粒子を使用する場合、作動要素の動きをより良好に制御することができるようになり、したがってマイクロマシン全体の動きをより良好に制御できるようになる。したがって、磁性粒子が反応するマイクロマシンに磁界を印加することにより、作動要素、またはマイクロマシン全体さえも特定の方向に移動させることが可能である。
【0026】
これに関連して、作動要素が少なくとも部分的に磁性粒子でコーティングされている可能性もあることに留意されたい。したがって、作動要素は、2つ以上の異なる材料の磁性粒子を含むことができる。一例は、1つの材料で部分的にコーティングされている表面を備えており、残りの表面は、例えば、半々の別の材料でコーティングされている、作動要素であり得る。異なる材料は外部電界または外部磁界に対して異なる反応をするため、異なる電界または磁界を印加するときに、要素が移動する方向を制御するために、異なる材料で要素をコーティングすることが有利になり得る。これは、作動要素の動きの方向を能動的に変更することができることを意味する。
【0027】
別の実施形態では、作動要素は、誘電性側(電気絶縁性)および導電性側を含む。例えば、誘電体粒子(例えば、シリカ)を金層で部分的にコーティングすることができる。交番電界の下で、そのような作動要素はランダムな方向にそれら自体を推進することができる。このような作動要素は、提供されたエッジにおいて、所定の方向に主本体とアセンブリすることができる。そのようなアセンブリで形成されるマイクロマシンは、作動要素により主本体に加えられる力によって、それらの推進力の方向に駆動される。
【0028】
別の実施形態によれば、粒子は、0.01~1000μmの範囲のサイズを有する。このようにして、粒子は、作動要素上または作動要素内にコーティングまたは埋め込まれるのに十分に小さい。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、電界の電界強度は、0.01~2×10V/mの範囲にあり、好ましくは1~2×10V/mの範囲にある。電界強度は、電圧だけでなく電極間の距離にも依存するため、該距離は、0.1μm~100mm、特に10μm~500μmの範囲であり得ることに留意されたい。さらに、より大きいマシンの場合、より小さい電界強度が必要とされることとなり、一方、より小さいマシンの場合、より大きい電界強度が使用され得ることに留意されたい。したがって、アセンブリされたマイクロマシンのサイズに応じて、適切な電界強度を選択する必要がある。電界強度は、印加電圧を増加させることによって、電極間の距離を減少させることによって、またはその両方を行うことによって、のいずれかで増加させることができる。
【0030】
本発明の別の実施形態は、電界が2枚のプレート間の交番電界を含み、これは、電界を印加するための単純で、典型的かつかなり簡単な方法である。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、溶液は脱イオン水を含む。本体および作動要素に使用される材料に応じて、溶液はさらに他の成分を含むことができる。脱イオン水は、選択することができる最も便利な溶液のうちの1つである。また、シリコーンオイルおよびジメチルスルホキシドなどの、他の媒質を使用することもできる。
【0032】
これに関連して、別の実施形態によれば、溶液は洗浄剤を含むことに留意されたい。このような溶液の典型的な例は、市販のSIGMA ALDRICHの溶液TWEEN 20である。水に対する洗浄剤の割合の典型的な範囲は、0~5%(v/v)、好ましくは0.05~0.5%(v/v)、とりわけ0.1%(v/v)であり得る。他の洗浄剤も可能である。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、方法は、アセンブリされたマイクロマシンに磁界を印加して、印加された磁界に従って、少なくとも1つの作動要素を事前定義された方向に移動させるステップをさらに含む。これに関連して、それは、作動要素が上方に導入された磁性粒子を含む場合に役立つ可能性がある。そのような実施形態は、要素を正確な事前定義された方向に移動させることをより容易にすることができる。該磁界を印加することによってそれらを能動的に制御することができるように、完全に磁性材料で作製されている作動要素を使用することも可能である。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態によれば2つ以上の作動要素が提供され、主本体が、各作動要素に対する1つ以上のエッジを備え、それにより、各作動要素が、該作動要素と関連付けられたそれぞれの1つ以上のエッジにおいてアセンブリされる。したがって、マイクロマシンは、すべての要素がそれ独自のエッジにおいてアセンブリするため、作動要素によって組み込まれるいくつかの「ホイール」を有する「車両」の形態でアセンブリすることができる。
【0035】
各作動要素に対する該1つ以上のエッジは、該作動要素と関連付けられたそれぞれの空洞を形成し得る。したがって、マイクロマシンは、すべての要素がそれ独自の空洞においてアセンブリするため、作動要素によって組み込まれるいくつかの「ホイール」を有する「車両」の形態でアセンブリすることができる。作動要素と特定の空洞との関連は、空洞のサイズによって制御することができる。例えば、作動要素は、これらの空洞が前述の作動要素よりも小さい寸法を有する場合、主本体上の特定の空洞に付着しないこととなる。また、空洞の代わりに、突出した形状を利用して電界勾配を変更することができ、いくつかの本体部品の関連付けを制御するために使用することができる。例えば、突出した形状は、同様のサイズの作動本体の誘電体部分をはじくことができるが、金属コーティングなどの導電性材料で作製された作動本体の部分を引き付けることができる。
【0036】
別の実施形態では、主本体は、空洞および突出エッジを備え得、高電界領域または低電界領域を形成する。一部のアクチュエータ、例えば自己推進する部分的に金でコーティングされた誘電体粒子は、印加される交番電界周波数に応じて、それらのアセンブリ位置を変更(再構成)することができる。アクチュエータは、アセンブリ部位から主本体に力を加えるため、電界周波数を変化させることにより、オンデマンドで線形運動から回転運動、またはそれらの組み合わせに移動タイプを切り替えることができる。
【0037】
別の例は、いくつかの本体部品を有する主本体を備える、より大きいマイクロマシンの構築であり、各本体部品は、各1つの作動要素に対するいくつかの空洞を備える。一部の用途では、より大きいマイクロマシンが必要になる場合がある。本発明による方法では、マイクロマシンの異なる部品を、複数の作動要素を引き付けることができるより大きいマイクロマシンに自己アセンブリさせることも可能である。したがって、マイクロマシンの設計および/またはサイズに制限はない。
【0038】
別の実施形態によれば、2つ以上の作動要素が、空洞のうちの少なくとも1つに提供される。つまり、各空洞は、主本体、ひいてはマイクロマシン全体を集合的に作動させることができるいくつかの作動要素を含む。
【0039】
さらなる態様によれば、本発明はまた、任意選択的に先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって得られる、主本体および少なくとも1つの作動要素を備える、移動式マイクロマシンであって、該少なくとも1つの作動要素が、該主本体の1つ以上のエッジに配設されており、該少なくとも1つの作動要素が、それぞれ0.01~250μm、特に1~100μm、とりわけ5~80μmの範囲内で選択される、直径、幅、高さ、および/または長さなどのサイズを有し、該主本体が、それぞれ1~2000μm、特に20~800μm、とりわけ50~400μmの範囲内で選択される、高さ、幅、および/または長さを有する、移動式マイクロマシンに関する。実際には、アセンブリを駆動するのに十分な強さの電界強度を生成できる場合、粒子のサイズに制限はない。
【0040】
2つ以上の作動要素は、主本体に配設され得る。このようにして、例えば、2、3、または4つのホイールを有する移動式マイクロマシンを利用可能にすることができる。
【0041】
該1つ以上のエッジは、該1つ以上の作動要素がアセンブリするそれぞれの空洞を形成し、該空洞は、任意選択的に、それぞれ31~201μm、とりわけ41~81μmの範囲内で選択される、直径、幅、高さ、および/または長さを有する。このようにして、1つ以上の作動要素、例えば、ホイールを、主本体における作動要素に利用可能にされたそれぞれの切り欠き内に配設することができる。
【0042】
該1つ以上のエッジは、1つ以上の作動要素が移動するそれぞれのトラックを形成することができる。このようにして、作動要素は、それらの経路が該トラックによって誘導されている間、主本体上を移動することができる。これを使用して、作動要素を水平方向および垂直方向のいずれにも移動できる。該性能は、主本体の周りのその作動要素の動きによって、溶液をポンプ輸送することができるマイクロポンプアレイを構築するための手段を提供し得る。別の実施形態では、前述の性能を使用して、細胞およびマイクロマシンを所望の方向に移動させるためのデジタル回路を構築することができる。別の実施形態では、主本体上にアセンブリされた作動要素は、機械的スイッチ、線形および回転ベアリング、ならびにクラッチとして機能することができる。
【0043】
さらに、形状指向のアセンブリ方法論は、DEPとのその類似性のために、磁気泳動、すなわち、不均一な磁界における磁化可能な粒子の動きに拡張することができる。代わりに、磁化可能な媒質(磁性流体および常磁性流体)が使用されている場合、非磁性構成要素は、磁気ホールの原理を介して相互作用し、磁気的にアセンブリすることができる。形状指向の磁気泳動アセンブリは、3D時変磁界を使用してさらに強化することができる。
【0044】
したがって、本発明による方法を用いて、異なるタイプおよびサイズのマイクロマシンを設計およびアセンブリすることが可能である。よって、アセンブリされたマイクロマシンの用途に応じて、精密な設計を選択することができる。
【0045】
本発明ならびに本発明に関する背景情報は、実施形態によって、および以下を示す図面を参照して、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】3D形状を変調する際の、誘電泳動引力部位の空間符号化を示す図である。
図2】DEP力を使用した、磁性作動要素と非磁性主本体との可逆的なアセンブリを示す図である。
図3】3Dナノプリントされた非磁性主本体への磁性作動要素の形状符号化されたアセンブリを示す図である。
図4】周波数調整可能な移動のための、自己推進作動要素を有するマイクロマシンの形状符号化された再構成可能なアセンブリを示す図である。
図5】形状符号化されたDEP相互作用を介した複数のマイクロマシンの階層的アセンブリを示す図である。
図6】作動要素の3D操作およびマイクロマシンのアセンブリを示す図である。
図7】球形粒子にかかるDEP力に対する表面プロファイルおよび印加電界振幅の影響を示す図である。
図8】異なる表面プロファイルによって誘発される球形粒子にかかるDEP力の範囲を示す図である。
図9】相対的なサイズに応じた2つの球形本体間のDEP力の大きさおよび方向を示す図である。
図10】電界下の中心粒子とサテライト粒子と間の平均距離の特性を示す図である。
図11】並進マイクロマシンおよび回転マイクロマシンにおけるマイクロ構成要素間の結合を示す図である。
図12】移動式磁性マイクロアクチュエータを用いたオンデマンドかつ可逆的なアセンブリによる、非磁性物体のピックアンドプレース操作を示す図である。
図13】ヤヌス微粒子の周波数依存移動度を示す図である。
図14】ヤヌス粒子の3D印刷された微細構造への並列かつ再構成可能なアセンブリを示す図である。
図15】高周波における、自己推進マイクロアクチュエータの3Dナノプリントされた本体への形状符号化されたアセンブリを示す図である。
図16】移動式マイクロマシンの周波数調整可能な双方向再構成を示す図である。
図17】マイクロロータの性能の定量化を示す図である。
図18】複数のマイクロマシンの階層的アセンブリを示す図である。
図19】3Dマイクロポンプアレイによるフロー生成を示す図である。
図20】実験的なセットアップを示す図である。
【0047】
以下では、最初に図1図20に示されるものの簡単な概要が与えられ、次に、本発明の異なる実施形態の詳細な説明、および本発明による方法を理解するのに役立ついくつかの背景情報が続く。
【0048】
図1(a)は、媒質よりも低い比誘電率(ε<ε)を有する負に分極された作動要素12であって、不均一な外部電界Eの下でより低い電界の大きさに向かう誘電泳動(DEP)力を受ける、作動要素12を示している。図1(b)は、2つの作動要素12が、主本体10に向かって引き付けられて、アセンブリされたマイクロマシン8を形成するように、そのジオメトリを変調することを通して主本体10の周りに生成される局所電界勾配∇Eを制御することによって、機能的構成要素の符号化されたアセンブリにDEP力をどのように利用できるかを示している。作動要素は、主本体に対して移動可能である。図1(c)および図1(e)では、主本体10の周りの電界強度Eを変化させながら、媒質よりも低い比誘電率(ε<ε)を有する固体主本体10の異なる3D表面プロファイル(フィレットまたは空洞)を見ることができる。図1(d)および図1(f)は、特徴寸法rに応じた、主本体10の表面プロファイルの周りの局所勾配∇Eの作成を示している。矢印は、最大力の点に位置するマイクロ作動要素12(直径10μm)を表す円形領域にわたって課される、電界勾配∇Eを表している。バーは、正規化された電界強度(E/Eを示している。負に分極されたより小さいアクチュエータ12は、表面プロファイルの周りの電界勾配∇Eのために、インデントに向かって(F>0)またはインデントの方から(F<0)DEP力を受ける。図1(g)および(h)は、DEP力の大きさおよび方向が、プロファイルの種類および特徴サイズ、ならびに印加電圧にどのように依存するかを示している。
【0049】
したがって、図1aおよびbは、主本体10および少なくとも1つの作動要素12を備える移動式マイクロマシン8をアセンブリする方法を、どのように行うことができるかを示している。以下で説明するように、主本体10の3D形状、および任意選択的に作動要素12の、すなわち移動式マイクロマシン8の要素の3D形状は、それらの特定の用途に従って画定される。
【0050】
それぞれの要素は、例えば、2D印刷プロセスまたは3D印刷プロセスを使用することによって、主本体10が、作動要素12を引き付けることができる1つ以上のエッジ11を備えるように製造される。エッジ11は、作動要素12が中に引き付けられるそれぞれの空洞14の一部を形成し得る。
【0051】
例えば、主本体10は、市販のプリンタを使用して、(コーティングされた)ガラス表面上に3Dナノプリントすることができる。図1に示す主本体10に関して、それは、2つの空洞14を有する本質的に長方形の主本体10を含み、これらの空洞は、それらのそれぞれの境界においてエッジ11を形成する。したがって、主本体10は一体として印刷することができ、したがって、1つだけの本体部品16を備える。他の例では、1つの単一主本体10にアセンブリされる1つ以上の本体部品16を備える、主本体10を設計および製造することも可能である。
【0052】
したがって、図1に記載された一例では、2つの空洞14を有する主本体10が選択され、設計された。本体10は、例えば市販の2光子リソグラフィシステム(Photonic Professional GT 3D printer,Nanoscribe GmbH、Eggenstein-Leopolds-hafen,Germany)を使用して、酸化インジウムスズ(ITO)コーティングガラス上にIP-Sフォトレジストからナノプリントすることができる。主本体を製造するために使用できる他の材料は、例えば、ポリマー、ヒドロゲル、金属、セラミック、および液滴である。
【0053】
別の例では、直径10μmの超常磁性ポリスチレン微粒子および埋め込まれた酸化鉄ナノ粒子(製品番号:41110、Sigma Aldrich、St Louis,MO)を磁性アクチュエータ12として使用した。ロボット本体10として、直径約60μmの非磁性ポリエチレンマイクロスフェア(製品番号:UVPMS-BG-1.00 53-63um-10g,Cospheric、Santa Barbara,CA)を使用した。
【0054】
すべての実験は、いかなる非特異的な凝集も防止するために、脱イオン(DI)水中の0.1%(v/v)Tween 20溶液(Sigma Aldrich、St Louis,MO)において実施した。
【0055】
主本体10を製造するためにプリンタを使用すると、基本的にあらゆる形状を製造することができる。したがって、それぞれのエッジ11(および場合によっては空洞14)を有する主本体10の精密な設計は、事前に設計することができ、その後、非常に簡単に印刷することができる。精密な設計に応じて、主本体10全体を1つのステップで印刷することができ、または主本体10は異なる本体部品16からなることができ、これらは別々に印刷され、次に第2のステップで互いにアセンブリされる。
【0056】
作動要素12は、スパッタリングを介して製造することができるか、または費用および時間の節約になる可能性があるため、市販の供給源から単に購入することができる。
【0057】
磁性作動要素の他に、自己拡散泳動または自己電気泳動運動用の金属(Pt、Au)ヤヌス粒子、および脂質膜の有無にかかわらずガス充填気泡(音響振動駆動運動用)を作動要素として使用できる。作動要素はまた、細菌、微細藻類、真核細胞(精子、ヒト細胞、動物細胞、単細胞生物)、ゾウリムシ、またはボルボックスなどの、単細胞および多細胞生物とすることもできる。
【0058】
さらなるステップにおいて、マイクロマシン8の(印刷された)要素10、12は、溶液中、例えば、脱イオン水および洗浄剤の混合物の溶液中に配置される。例えば、脱イオン(DI)水中の0.1%Tween 20溶液(Sigma Aldrich、St Louis,MO)を含む溶液を使用して、いかなる非特異的な凝集も防止することができる。最終溶液の粘度がアクチュエータの動きに影響を及ぼし始めるまで、混合比は0~5%(v/v)の範囲とすることができる。また、Triton(登録商標)X-100、Tween(登録商標)80、MEGA 10、Nonidet(登録商標)P-40 Substituteなどの、他の非イオン性洗浄剤も同じ目的で使用できる。
【0059】
該溶液中に要素10、12を配置するステップに続いて、移動式マイクロマシン8は、外部電界Eを印加することによってアセンブリされ、該外部電界Eは、該1つ以上のエッジ11において電界勾配を形成する。次に、該勾配は、該作動要素12の引力を引き起こし、その結果、主本体10および少なくとも1つの作動要素12は、該1つ以上のエッジ11においてマイクロマシン8に自己アセンブリする。これは、電界の電界強度が0~20Vの範囲、好ましくは0~10Vの範囲にある電界Eの印加によって達成される。より大きいマイクロマシン8をアセンブリする場合は、より高い電圧が必要になり、より小さいマイクロマシン8をアセンブリする場合は、より低い電圧で十分である。
【0060】
したがって、主本体10の精密な形状を設計することにより、本体が外部電界にさらされたときに特定の電界勾配が形成される、本体を製造することができる。これらの勾配により、作動要素12がそれぞれのエッジ11(または空洞14)において自己アセンブリするため、各作動要素12をもはやそれぞれの場所に別々に配置する必要がなくなる。要素10、12がアセンブリされると、それらは1つのマイクロマシン8として互いにくっつくこととなり、例えば、作動要素が製造される材料が(それぞれの材料をコーティングまたは埋め込むことによって)反応する外部磁界を印加することによって、特定の方向に移動させることができる。
【0061】
図2(a)では、いくつかの磁性作動要素12(直径10μm)が、球形の非磁性主本体10(直径60μm)の近くで、極の周りの電界強度Eがより低い領域に向かって引き付けられ得ることが分かる(図2(b)を参照)。バーは、正規化された電界強度(E/Eを示している。図2(c)は、アセンブリされたマイクロマシン8を示しており、これは、回転磁界ωを用いてマイクロアクチュエータ12を回転させることを介して事前定義可能な方向に並進され、すなわち移動され、その電界強度および方位は、アセンブリされたマイクロマシン8の移動方向および速さを定義する。したがって、アセンブリされたマイクロマシン8の方向は、印加される磁界の方向を変更することによって操縦することができる。図2(c)のスケールバーは、50μmのサイズを示している。図2(c)の挿入図は、主本体10の周りにアセンブリされた磁性マイクロアクチュエータ12の数が、マイクロアクチュエータ12の制御された捕捉によって調整され得ることを示している。図2(d)および(e)は、非磁性本体10を用いてアセンブリされた磁性マイクロアクチュエータ12の数、および印加電圧(挿入図)が、アセンブリされたマイクロマシン8の速度を決定することを示している。図2(d)に示すスケールバーは、30μmの長さである。図2(f)では、x-y平面内に回転磁界が印加されると、アクチュエータ12が低電圧で非磁性本体10の周りを自由に回転することが分かる。電圧が増加すると、アクチュエータ12は非磁性本体10に機械的に結合し、その結果、マイクロマシン8の剛体回転が生じる。
【0062】
図3(a)および(b)は、4つの「ホイール」ポケット、すなわち空洞14を有する3D「マイクロカー」本体10が、ウェルの下側に向かって引き付けるDEP力を生成するように設計され得ることを示している。バーは、正規化された電界強度(E/Eを再び示している。図2(c)は、ホイールがDEPを使用してオンデマンドで実現されるときに、磁性マイクロアクチュエータ12のホイールポケット14内への方向付けられたアセンブリがどのように実現されるかを示している。図3(d)では、アセンブリされた「マイクロカー」(アセンブリされたマイクロマシン)8が、垂直な回転磁界によって並進され、磁界の回転軸を変更することによって操縦されることが分かる。図3(e)および(f)では、4つのフィレット14を有するマイクロロータ本体10が、磁性マイクロアクチュエータ12のドッキング部位を生じさせる、引き付けるDEP力を生成するためにどのように設計されているかが分かる。図3(g)は、マイクロロータ8のオンデマンドアセンブリが、印加された電界によって達成されることを示している。図3(h)では、マイクロロータ本体10および磁性マイクロビーズ12がDEPによって一緒に結合され、x-y平面内に水平に回転磁界が印加されると剛体回転することが示されている。これらの図に示す、すべてのスケールバーは、25μmのサイズで構成されている。
【0063】
図4(a)は、Auキャップを有するヤヌスSiO微粒子が、高周波での自己誘電泳動(sDEP)および低周波での誘導電荷電気泳動(ICEP)に基づいて能動的に移動できることを示している。移動方向は、sDEPではAuキャップに向かっており、ICEPでは逆になる。図4(b)は、ヤヌス粒子が高周波数および低周波数で、それぞれ高電界および低電界の大きさに向かってDEP力を受けることを示している。したがって、半円筒形およびフィレットされたアセンブリ部位14を有するマイクロカー本体10は、マイクロアクチュエータ12の周波数調整可能な選択的引力を生成するように設計されている(図4(c)~(e)を参照)。ヤヌス粒子は、高周波では半円筒の赤道線に向かって引き付けられ、低周波ではフィレットされた部位に向かって引き付けられる。バーは、正規化された電界強度(E/Eを示している。半円筒形部位においてアセンブリされたヤヌス粒子の推進力は、マイクロカー本体10の回転をもたらす一方、フィレットされた部位でのアセンブリは線形並進を発生させる。図4(f)および(g)は、周波数を調整し、アセンブリの空間レイアウト(25μmのスケールバー)を再編成することにより、移動モードのオンデマンド再構成が達成されることを示している。
【0064】
図5(a)~(c)は、(i)マイクロマシンユニット1および2、つまり本体部品16の自己推進ヤヌス粒子を用いてのアセンブリ、および(ii)ユニット1およびユニット2(本体部品16)の横方向のアセンブリによる、2段階の階層的なアセンブリがどのように行われるかを示している。マイクロマシンユニット16は、選択的な横方向のアセンブリ用に設計されており、大きい方のユニット2の棚の下側が、小さい方のユニット1を引き付ける、低電界Eを生成する。バーは、正規化された電界強度(E/Eを再び示している。図5(d)および(e)は、移動式マイクロマシン8の並列アセンブリがユニット16の線形運動を維持するのに対し、逆並列アセンブリは回転運動(スケールバー25μm)をもたらすことを示している。
【0065】
図6(a)および(b)は、蛇行した柱のらせん状ねじ山の根元に沿って引き付けるDEP力を生成するために、蛇行した柱がどのように設計されているかを示している。バーは、正規化された電界強度(E/Eを示している。図6(c)では、磁性マイクロアクチュエータ12が、DEP力および磁気回転によって垂直に媒介される柱を登るのを見ることができる。挿入図は、所与の時点での磁性粒子のおおよその位置および顕微鏡画像の焦点面を示している。図6(d)は、磁性粒子のサイズ選択的垂直輸送が、らせん状ねじ山のピッチを調整することによって達成されることを示している。らせん状ねじ山のピッチは、柱を登ることができる粒子サイズの上限閾値を決定する。柱の数字はマイクロメートル単位のピッチを示しており、粒子サイズは画像の上に示している。図6(e)では、一定の回転磁界下での3Dにおける連続した上下の粒子輸送が、逆の掌性の蛇行した柱で2つの層を架橋することによって達成されることが分かる。回転するマイクロアクチュエータ12は、マイクロポンプ8のアセンブリのために所望の高さまで輸送することができ(図6(f)を参照)、さらに柱10の周りの磁性アクチュエータの一定の回転は、マイクロチャネル内にフローを生成する。図6(g)は、蛇行した柱10上での異なる高さへの異なるサイズの磁性微粒子12の垂直輸送によってアセンブリされたマイクロポンプ8のアレイを用いて、3Dフローがどのように生成されるかを示している。バーおよびベクトル場は、粒子画像流速測定法(スケールバー25μm)によって測定された平均流速Vを示している。
【0066】
図7は、図1に示すように、さまざまな特徴寸法(r=0~16μm)および印加電圧(V)のフィレット表面プロファイルおよび空洞表面プロファイルによって生成された、電界勾配下の球形粒子(直径10μm)にかかるシミュレーションされたDEP力を示している。引力および反発の相互作用は、それぞれF>0およびF<0に対して発生する。
【0067】
図8(a)および(c)では、シミュレーションによって得られたように、(a)フィレット表面プロファイルおよび(c)空洞表面プロファイルを有する固体本体の周りに生成された不均一な電界(ε<ε)を見ることができる。バーは、正規化された電界強度(E/Eを再び示している。図8(b)および(d)は、球形粒子(ε<ε、直径10μm)が受けるDEP力が、さまざまな特徴寸法rに対して、本体からの距離によって変化することを示している。
【0068】
図9(a)は、球形本体(直径60μm)の周囲に生成された不均一な電界が、接触している二次球形本体にDEP力をどのように誘導するかを示している。図9(b)では、二次粒子の直径が増加するにつれて、DEP力が引力から反発まで変化することが分かる。挿入図は、粒子径が10~30μmの場合のDEP力の値を強調している。
【0069】
図10(a)は、中心粒子とサテライト粒子との間の平均距離を示しており、一方図10(b)は、粒子間の平均距離が、印加された電界強度とともに減少することを示している。図10(c)では、平均距離の特徴付けのための蛍光顕微鏡画像を見ることができる。図10(d)~(f)は、導電性電極の近くの中心粒子とサテライト粒子との間に誘導された双極子相互作用を示している。例えば、中心粒子とサテライト粒子の間の双極子相互作用UDDの位置エネルギーは、z=0に導電性表面が存在することによる画像双極子の影響を含めて、式2を使用して計算される(図10(d)を参照)。(x,z)座標はサテライト粒子の位置を示しており、一方、中心粒子は(x=0,z=6)に位置決めされている。xおよびz座標は、サテライト粒子の半径(a)に正規化されている。バーは、Uに正規化された位置エネルギーの大きさを示している。図10(e)は、双極子相互作用力F=-∇UDDを示しており、ベクトル矢印がFの方向を示しており、「色」、つまり灰色がかったバーが、Fに正規化されたFの大きさを示している。z=1(電極の上部)に位置決めされたサテライト粒子に作用する双極子力は、粒子を基板および中心粒子に向けて引き付ける(図10(f)を参照)。UおよびFは、導電性基板がない状態で2つの粒子が(端から端まで)接触しているときに、θ=0°で観察される最大の相互作用に対応する。
【0070】
図11(a)~(c)は、印加された電界下での単一粒子速度の特性を示している。壁の近くを回転する粒子の速度の潤滑理論の推定値が、図11(a)に示されており、粒子速度Uは潤滑層の厚さhの減少とともに増加する。一方、図11(b)は、印加された電界下における粒子速度の実験的測定を示しており、速度は、印加されたピークツーピーク電圧Vppとともに増加している。Vppの関数としてのhの変化は、式5を用いた潤滑理論によって推定される(図11(c)を参照)。曲線は、式6を用いてモデル化された高さの変化を表している。エラーバーは、標準偏差を表している。さらに、aは粒子半径、Ωは角速度、Fは推進力、およびFは抗力を表している。図11(d)および(e)は、並進マイクロマシンの中心粒子とサテライト粒子との間の結合を示している。中心粒子(半径a)とサテライト粒子(半径a)との間の結合の概要を図11(d)に示す。粒子は、DEP相互作用により電極表面にしっかりと一緒に引き付けられ、その結果、粒子と基板との間に厚さhおよびhの薄い潤滑層が生じる。摩擦係数μの異なる値に対する実験的傾向とモデル推定値との比較を図11(e)に示す。図では、aは粒子半径、Ωは角速度、Uはアセンブリの速度、Fは推進力、Fは抗力、Lは界面荷重、およびFは界面摩擦力を表している。回転継手における中心粒子とサテライト粒子との間の結合を図11(f)および(g)に示しており、図11(f)は、非磁性中心粒子(半径a)と磁性サテライト粒子(半径a)との間の回転結合の概略を示している。低電界強度(Vpp<6V)では、サテライトは角速度Ωで中心粒子の周りを自由に移動するが、粒子はΩの6Vを超える電位では剛体として回転する。図11(g)は、さまざまな電位での2つのレジームに対するモデル推定値と実験的傾向との比較を示しているのに対して、aは粒子半径、Ωは作動角速度、およびhは潤滑層の厚さである。
【0071】
図12(a)および(b)では、直径60μmのランダムに分散した非磁性物体を見ることができ(図12(a)を参照)、それらは回転磁界を印加することにより、DEPを介して磁性マイクロアクチュエータ12(10μm)によって捕捉され、再配置されている(図12(b)を参照)。黒および灰色の矢印は、それぞれ非磁性物体およびマイクロアクチュエータ12を示している。ピックアンドプレース操作は、電界のオンデマンド制御によって達成され、したがって、非磁性物体に向けてのDEP引力がある。
【0072】
図13(a)では、ヤヌス微粒子が低周波数(f<25kHz)においては前方にSiO2キャップを有する状態で誘導電荷電気泳動(ICEP)によって自己推進し、高周波(f>25kHz)においては前方にAuキャップを有する状態で自己誘電泳動(sDEP)によって自己推進することが分かる。図13(b)は、速度はICEPおよびsDEPのレジームの両方で、印加された電界の大きさの2乗に比例することを示している。エラーバーは、標準偏差を表している。
【0073】
図14(a)および(b)では、半円筒形部位およびフィレットされた部位を有する微細構造が、マイクロアクチュエータ12の周波数調整可能な選択的引力のために、それぞれ高電界および低電界を生成するように設計されていることが分かる。白い破線の円は、ヤヌス粒子(直径8μm)のサイズを表している。「色」、つまり灰色がかったバーは、正規化された電界強度(E/Eを再び示している。図14(c)および(d)は、ヤヌス粒子がDEP力を介して、高周波数では半円筒形部位の赤道線に向かって、低周波数ではフィレットされた部位に向かって引き付けられることを示している。スケールバーは、50μmの範囲にある。さらに、図14(e)および(f)において、アセンブリされたヤヌス粒子の方位が、半円筒形部位とフィレットされた部位とで±10°の角度差を示したことが分かる。
【0074】
図15(a)は、Auキャップを有するヤヌスSiO微粒子が、電極近くのヤヌス粒子の周りの非対称の不均一な電界により、自己誘電泳動に基づいて能動的に移動することができることを示している。微粒子の導電性Auキャップは、不均一な電界下でより高い電界の大きさの方に向かってDEP力を受ける(図15(b))。2つの半円筒形ドッキングステーション14(直径10μm)を有するマイクロロケット本体10は、ヤヌスプロペラ12の選択的引力を生成するように設計されている(図15(c)および(d)を参照)。ヤヌス粒子は、DEP力を介して、電界強度の高い半円筒の赤道線に向かって引き付けられる。「色」、つまり灰色がかったバーは、正規化された電界強度(E/Eを示している。ヤヌス粒子の自己誘電泳動推進力、および方向付けられたアセンブリは、電界がオンになるとDEPを介してオンデマンドで実現されるのに対して(図15(e)を参照)、アセンブリされたマイクロロケットは能動的なヤヌス粒子によって推進される(図15(f))。図のスケールバーのサイズは、25μmである。図15(g)および(h)は、3つの半円筒形ドッキング部位14(直径10μm)を有するマイクロスピナー本体10が、ヤヌスプロペラ12の選択的引力を生成するためにどのように設計されるかを示している。最後に、図15(i)は、電界がオンにされたときに、自己誘電泳動推進力、および方向付けられたアセンブリが、DEP力を介してオンデマンドで実現されることを示している。アセンブリされたマイクロスピナーは、例えば、3つの自己推進ヤヌス粒子によって回転する(図15(j)、スケールバー40μm)。
【0075】
図16(a)および(b)では、マイクロアクチュエータ12の周波数調整可能な選択的引力を生成するように設計された、半円筒形およびフィレットされたアセンブリ部位14を有するマイクロカー本体を見ることができる。ヤヌス粒子12は、高周波では半円筒の赤道線に引き付けられ、低周波ではフィレットされた部位に引き付けられる。「色」、つまり灰色がかったバーは、正規化された電界強度(E/Eを再び示している。図16(c)および(d)は、半円筒形部位およびフィレットされた部位においてアセンブリされたヤヌス粒子の推進力が、マイクロカー本体10の双方向線形並進をもたらすことを示しており、一方、図16(e)および(f)は、4部分からなるカイラル対称性で配置された、半円筒形部位およびフィレット部位を有するロータ本体10が、マイクロアクチュエータ12の周波数調整可能な選択的引力を生成するように設計されていることを示している。ヤヌス粒子は、高周波では半円筒の赤道線に引き付けられ、低周波ではフィレットされた部位に引き付けられる。図16(g)および(h)は、半円筒形部位およびフィレットされた部位においてアセンブリされたヤヌス粒子の推進力により、ロータ本体が双方向に回転することを示している(スケールバーは25μm)。
【0076】
図17(a)および(b)は、合計8つのマイクロアクチュエータ12を用いて作動するマイクロロータ本体が、4つのマイクロアクチュエータ12(スケールバーは25μm)を用いて作動するロータと比較してより高い角速度を示したことを示しており、一方、図17(c)は、マイクロロータの角速度が電界振幅とともに増加することを示している。
【0077】
図18(a)および(b)は、移動式マイクロマシン8の逆平行アセンブリが、個々のユニット16の線形運動を回転運動に変換するのに対し、ユニット16の並列アセンブリは線形運動を維持することを示している(スケールバーは25μmである)。
【0078】
図19では、3Dフローが、蛇行した柱10上での異なる高さ(H)への、異なるサイズの磁性微粒子12の垂直輸送によってアセンブリされた、マイクロポンプ8のアレイによって生成されることが分かる。流速Vは、顕微鏡の焦点面のさまざまな高さで得られた速度場によって視覚化された、基板からの高度によって変化する。「色」、すなわち灰色がかったバーおよびベクトル場は、粒子画像流速測定法によって測定された平均流速を示している。柱のねじ山のピッチは、μm単位で、柱上部の値によって示している。スケールバーは、再び25μmのサイズで構成されている。
【0079】
最後に、図20(a)では、電界セットアップの概略を示しており、微粒子12は、2つの平面的なITOコーティングされたガラススライドの間にスペーサを挟むことによって形成された、流体チャンバ内に配置されている。AC電圧源は、チャンバ内の電界を供給する。図20(b)は、電界チャンバを収容するカスタムの5コイル磁界生成セットアップの画像を示している。
【0080】
次に、本発明の詳細な説明が、実験において、アセンブリされたマイクロマシンをアセンブリするために本発明による方法を使用することによって実施された、さまざまな実験の例によって最初に説明される。
【0081】
電界E下でのマイクロ構成要素の形状符号化アセンブリの動作原理は、分極性本体10の周りの電界Eの形状依存変調、およびマイクロマシン8アセンブリの異なる構成要素間で受ける、結果として生じるDEP力に依存する。具体的には、DEP力は、ベクトル場Eによって表される不均一電界下に配置された分極性物体10に、∇|E|の方向に沿って作用する。例えば、周囲の媒質の誘電率(ε)よりも低い絶対誘電率(ε)を持つ誘電体は負に分極され、不均一な電界下においてより低い電界の大きさに向かってDEP力を受ける(図1(a))。補足的に、分極性本体10は、その形状に応じてそれ自体の周りの電界Eを修正し、他の粒子、例えば作動要素12がDEP力として受ける局所電界勾配を生成する。したがって、本体の周りの電界勾配は、DEP相互作用を介して本体の望ましい位置において、マイクロマシン部品のアセンブリを駆動する形状によってプログラムすることができる(図1(b))。
【0082】
局所勾配をプログラミングするには、異なるジオメトリの周りで電界がどのように変調されるかを理解する必要がある。ここでは、垂直方向に印加された電界(z軸内)下における固体表面上の沈降部品の横方向のアセンブリ(x-y平面内)に焦点が当てられる。さらに、実験で使用された本体は、使用された溶液(脱イオン水、ε=80)よりも比誘電率が低い(ε約2~4)絶縁材料で作製されたため、より低い電界に引き付けられていた。シミュレーションでフィレットおよび空洞などの特定のプロファイルが固体本体の側面に導入されたとき、プロファイルの下で電界Eが弱まり、プロファイルの高さよりも小さい構成要素に対して引き付けるDEP力が発生した(図1c~f)。一般的な設計原理として、主本体10は溶液よりも分極性が低く、入射電界線を偏向させるため、電界の通過から遮蔽された領域、この場合はプロファイルの下で低電界が生成される。本体がより分極性である場合、電界線は本体を通り抜ける傾向があり、低電界領域と高電界領域とが場所を切り替える。これらの相互作用は、有限要素解析を使用してさらに定量化され、アセンブリされるマイクロ構成要素よりも小さい半径のフィレットプロファイルが、反発するDEP力を生成し得ることが分かった(図1(g))。これは、フィレットプロファイルの上部に高い電界の大きさが形成されるためである。比較すると、空洞プロファイルは、ほぼすべての特徴寸法のプロファイル界面において引き付けるDEP力を生成し、それは空洞内の安定したアセンブリにつながることとなる(図1(g))。印加された電界振幅を(Eの関数として)増加させることによって、加えられるDEP力は強化されるが(図1(h)、図7)、それらはプロファイルからの距離が増加するにつれて減少する(図8)。
【0083】
電界E下での移動式マイクロマシン8の制御された自己アセンブリを実証するために、最初に、大きい非磁性誘電体球形本体10(直径60μmのポリエチレン粒子)および大きい本体10の周りに組織化された複数の小さい磁性マイクロアクチュエータ12(直径10μmの超常磁性ポリスチレン粒子)を備える、単一のマイクロ車両8に焦点を当てる図2(a))。z軸に電界Eを印加すると(6Vpp、E=2.8×10V/m、pp:ピークツーピーク)、非磁性本体は局所的な電界勾配を生成し、それは、その極の周りにより小さいマイクロアクチュエータ12を引き付けた。(図2(b)、図9および図10)。DEP力により、下極の周りに自己アセンブリされた沈降磁性マイクロアクチュエータ12、および本体10の周りにアセンブリされた磁性マイクロアクチュエータ12の数は、微粒子の制御された捕捉によって調整された(図2(c))。アセンブリされた磁性マイクロアクチュエータ12は、垂直方向の回転磁界の印加時に推進ホイールとして機能し、マイクロ車両8は、磁界の方向を変更することによって操縦された(図2(c))。さらに、マイクロ車両8の速度は、マイクロアクチュエータ12の数とともに増加した(図2(d)および(e))。しかしながら、マイクロ車両8の速度は、電圧の増加とともに減少することが観察され、これはおそらく、DEP相互作用による微粒子と基板との間の機械的結合の増加によるものであった(図2(e)、図10および図11)。
【0084】
非磁性物体のピックアンドプレース操作では、磁性マイクロアクチュエータの受動的な非磁性本体との、オンデマンドかつ可逆的なアセンブリがさらに使用された(図12)。
【0085】
ランダムに分布した非磁性粒子(図12(a))は、電界Eの印加時に磁性マイクロアクチュエータ12によって捕捉され、次に回転磁界によって新しい位置に並進され、電界がオフになると最終的に解放される。(図12(b))。
【0086】
受動的本体とマイクロアクチュエータとの間の引き付けるDEP力の強さは、機械的結合を変調するために印加された電界を介してさらに調節でき、回転の自由度を制御できる。低電圧(<7Vpp、E<3.3×10V/m)では、小さい引き付けるDEP力により潤滑結合が緩くなり、それによってマイクロアクチュエータ12が極の周りを自由に移動できるようになった(図11)。したがって、水平方向の回転磁界が印加されると、アクチュエータ12と受動的本体10との間に自由回転継手が形成された(図2(f))。しかしながら、電圧が特定の閾値(>7Vpp、E>3.3×10V/m)を超えて増加すると、粒子-粒子DEP相互作用の増加により、アクチュエータ粒子12は受動的本体10に機械的にロックされた。したがって、アセンブリは、回転磁界の下で、剛体8として回転した(図2(f))。さらに、剛性結合閾値を下回ると、本体10の周りを自由に回転するマイクロアクチュエータ12の角速度が、より高い電圧とともに増加することが分かった(図2(f))。
【0087】
次に、形状符号化された物理的相互作用(図3)を有する、移動式マイクロマシン8のプログラム可能な自己アセンブリが実現された。マイクロアクチュエータ12をマイクロマシンフレーム10上の所望の位置に選択的に引き付ける電界勾配を生成するための、特定の3Dジオメトリを有するマイクロマシンフレーム10が設計された。次に、これらの3Dフレーム10は、2光子リソグラフィを使用して製造された。
【0088】
最初の設計は、私たちの生活におけるホイール付き推進力の遍在へのオマージュとしてのマイクロカーであった(これは以前の分子マシンによっても記念されていた)。4つのホイールポケット14を有するマイクロカーフレーム10は、引き付けるDEP力を生成して、磁性マイクロアクチュエータ12のアセンブリを低電界強度でこれらのポケット14に誘導するように設計された(図3(a)および(b))。マイクロアクチュエータ12のマイクロカーフレーム10とのオンデマンド自己アセンブリは、電界E(6Vpp、E=4.2×10V/m)の印加時に数秒以内に達成された(図3(c))。ポケット14内の磁性ホイールの自由回転によって可能になり、マイクロカー8は、垂直方向の回転磁界によって並進および操縦された(図3(d))。
【0089】
回転式マイクロマシン8を構築するために、アセンブリのための引き付けるDEP力を生成するためのフィレット表面プロファイルを有する4つのドッキング部位14を含むマイクロロータフレーム10(図3(e)~(f))が設計された。電界Eがオンにされたとき、磁性マイクロアクチュエータ12は、数秒以内にドッキング部位14に自己アセンブリした(図3(g))。マイクロロータフレーム10と磁性マイクロアクチュエータ12との間の剛体結合を確実にするために、電界は高い値(10Vpp、E=7.1×10V/m)に設定された。したがって、水平方向の回転磁界を印加すると、マイクロロータアセンブリ8は剛体として回転した(図3(h))。
【0090】
ここで実証される形状符号化されたアセンブリプロセスは、自己推進マイクロモータ12を動力源とする再構成可能なマイクロマシン8を構築するために、さらに利用することができる。これを実証するために、金(Au)キャップ(図4)を有する自己推進ヤヌスシリカ(SiO)微粒子12によってアセンブリすることができるマイクロマシンフレーム10を設計した。金属誘電体ヤヌス微粒子は、自己誘電泳動(sDEP)および誘導電荷電気泳動(ICEP)に基づいてそれら自身を能動的に推進することができ、これらは両方とも、粒子の周囲に生成される非対称電界に依存している。sDEPは高周波で発生し、ヤヌス粒子は金属キャップを前方に向けて移動するが、ICEPでは推進方向が逆になり、低周波で発生する(図4(a)、図13)。金属半球および誘電体半球の周波数依存の非対称分極により、ヤヌス粒子は、金属キャップを前に向けた状態で、高周波で高電界に引き付けられる。反対に、低周波数では、ヤヌス粒子はシリカ側を前に向けた状態で、低電界に引き付けられる(図4(b)、図14)。
【0091】
ヤヌス微粒子12の周波数依存の自走およびDEP応答により、再構成可能な空間的編成および運動学を有する移動式マイクロマシン8の設計が可能になる(図4図15)。したがって、それぞれ、部位固有の高電界および低電界を生成し、マイクロアクチュエータ12の周波数調整可能な選択的アセンブリを可能にする、半円筒形部位およびフィレットされた部位を有するマイクロカーフレーム10(図4(c)および(d))が設計された。ヤヌス粒子は25kHzを超える半円筒形部位においてアセンブリされ、その結果、偏った押しによりマイクロカー8が回転した。25kHz未満の周波数では、ヤヌス粒子がフィレットされた部位においてアセンブリされ、中央が押されるために、マイクロカー8の線形並進がもたらされる(図4(e))。マイクロカー8は、周波数を変化させることにより、オンデマンドで回転モードと並進モードとの間で可逆的に切り替えられた(図4(f)および(g))。アセンブリ部位の配置を変更することにより、異なる運動学的構成もプログラムされ(図16)、マイクロマシン8の速度は、アセンブリしたプロペラの数および電界強度によって制御された(図17)。また、アセンブリしたモータは、背景からの入射プロペラによって絶え間なく置き換えられていることが観察され、これは、一種の自己修復特性を実証した。
【0092】
形状符号化されたDEP相互作用を利用して、移動式マイクロマシン8間の物理的相互作用を定義することができ、階層的なマルチマシンアセンブリへの道を開くことができる。マルチスケールの階層的編成の概念を証明するために、構成するマイクロマシン間の2レベルの階層的アセンブリ(図5)が設計された。第1のレベルでは、自己推進アクチュエータ12は、2つのマイクロ構造ユニット10(ユニット1および2)とアセンブリして、直線的に並進する移動式マイクロマシン8を形成する(図5(a)(i))。第2のレベルでは、ユニット2はユニット1(図5(a)(ii))と横方向に、その棚の下側に発生する低電界(図5(b)および(c))を介してアセンブリする。平行アセンブリはユニットの線形並進を維持したが(図5(d))、一方、逆平行アセンブリは回転運動をもたらした(図5(e))。マイクロマシンアセンブリは拡張可能であり、ユニット1および2の交互のシーケンスで、3つのマシンアセンブリを形成できる(図18)。
【0093】
本明細書で紹介する設計原理は、3Dマイクロアクチュエータの操作およびマイクロマシンアセンブリに対応できる。微粒子の3Dの操作を示すために、らせん状ねじ山の根元に沿って引き付けるDEP力を生成できる蛇行した柱(図6(a)および(b))を設計した。磁性マイクロアクチュエータ12は、印加された磁界で回転されたときに、らせん状ねじ山14の根元を通って垂直方向に輸送された(図6(c))。らせん状ねじ山のピッチは、根元に沿って生成される低電界領域のサイズを制御し、これにより、表面を登る間に引き付ける接触を維持できる粒子のサイズの上限が設定される。さまざまなピッチの柱のアレイが設計され、磁性マイクロアクチュエータ12(図6(d))のサイズ選択的な垂直輸送が実証された。
【0094】
粒子を3Dで輸送する機能により、さらに、異なる高さで積み重ねられた水平層を架橋することができる。反時計回りに回転する粒子は、右回りの柱の上を上昇し、左回りの柱の上を下降し、これにより、マイクロチャネルの上面と下面との間を途切れなく移動できる(図6(e))。粒子を垂直方向に輸送する機能により、3Dマイクロマシン8を構築するための新しい戦略が可能になる。
【0095】
マイクロポンプは、磁性マイクロアクチュエータ12を、基板から所望の高さに上昇させた、柱10上の円形トラック上に輸送することによってアセンブリされた。磁性微粒子12の一定の回転は、柱10を中心とする回転流を生成し、これは、隣接する障害物の配置によって線形のポンピング流に整流された(図6(f))。さらに、柱上で異なる高度にもたらされた異なるサイズの磁性粒子によってアセンブリされたマイクロポンプのアレイを使用して、3Dフローを生成することが可能であった(図6(g)および図19)。
【0096】
以下では、上記で実施した実験のさまざまな結果について考察する。
【0097】
すべてのスケールの機械およびロボットは、機械的エネルギーおよび情報を次から次へと伝達して運動および機能を生成できる、複数の構成要素の編成に依存している。分子スケールおよびマクロスケールでの対応物とは対照的に、現在のマイクロマシンは、マイクロスケールでの機能的構成要素のアセンブリにおける課題のために、モノリシックユニットとして製造され、それは、それらの再構成可能性、他のシステムとの統合、ならびに利用可能な内因性および外因性の自由度を制限する。プログラム可能な空間的編成を有するマイクロ構成要素のモジュール式の自己アセンブリにより、複雑な移動および高度な機能を有する移動式マイクロマシンの開発のための豊富な設計空間が可能になる。自己アセンブリマイクロマシンの合理的な設計に対処するために、アセンブリ情報は、形状および材料組成によって制御される物理的相互作用の形態であることができる、ビルディングブロック内に空間的に符号化される必要がある。この研究では、3D本体の周りに、異なる作動メカニズムのモータサブユニットのプログラム可能な位置および方向構成を有する、移動式マイクロマシンを構築するための方向付けられたアセンブリプロセスを紹介する。
【0098】
プログラム可能な自己アセンブリは、複雑なマイクロ/ナノスケールの構造および機械の合理的な設計におけるその有望さのために、コロイド科学およびアクティブマターにかなりの関心を呼んでいる。プログラム可能な自己アセンブリの範囲では、アセンブリ情報は、表面化学(例えば、パッチ状コロイド)、粒子形状(例えば、ロックおよびキーコロイド)、およびDNAオリガミなどのいくつかの形態で、コロイドビルディングブロックに符号化できる。これらの方法は、複雑な構造をアセンブリするための豊富かつ高度にプログラム可能な設計空間を提供するが、それらはほとんどの場合、熱力学的平衡にある静的構造に限定されている。
【0099】
エネルギー、運動、情報を処理できるコロイド状のマシンを構築するには、ビルディングブロックのアセンブリは、それらの動的な動作とともに対処する必要がある。最近、形状が広範囲の推進様式の電界下で自走式の媒介のダイナミクスを導くことができることが示され、プログラム可能な自己アセンブリとの関係が考察されたが、プログラム可能な自己アセンブリにおける電界の役割は未解決の課題として残されている。
【0100】
この研究では、この課題は、モジュール式の構造およびモータサブユニットからのマイクロマシンの形状指向アセンブリを提案することによって対処される。プログラムされたDEP相互作用が形状のみに依存するという事実は、複数の材料の複合および複雑な表面化学の修正に依存することなく、ビルディングブロックにおけるアセンブリ情報の符号化を大幅に容易にする。さらに、ほとんどの材料は、電気的に分極可能であり、これにより、提示されたアセンブリ方法論の合成および生物学的物質への適用性が一般化される。最後に、有効範囲(モータユニットの約数体の長さ)およびDEP力の大きさにより、非常に迅速かつ効率的なアセンブリが可能になり、磁性アクチュエータの制御された誘導および自己推進モータの能動的な拡散によってさらに強化されたことは、注目に値する。
【0101】
アセンブリ内のモータサブユニットの編成および相互作用が、方向付けられ(磁気操縦)かつ自律的な(自己推進)作動によって並進および回転を対象として含むマイクロマシンのダイナミクスを指示することが実証された。モータの位置および方向性の統合をプログラミングすると、より複雑なマイクロマシンの運動学が可能になる。周波数応答性のヤヌス粒子を使用すると、これらのアセンブリをその場で再構成できることが示された。さらに、本明細書で提示するアセンブリアプローチを使用すると、調整可能な結合によって、複数の構成要素間の回転自由度を制御することを介して、回転継手を開発することができた。回転継手は、特定の生物学的システムにおいて、またエネルギーの機械的伝達におけるそれらの役割のために、合成分子マシン/ナノマシン/マイクロマシンの開発にとって特に重要である。
【0102】
プログラム可能な階層を導入することで、動的なマイクロマシンアセンブリの幾何学的形態および運動学的モードの構成ランドスケープが強化する。本明細書で提示する直感的な設計アプローチは、動的システムにおいて階層的アセンブリを誘導するその性能を実証する、マルチレベルのアセンブリ経路を符号化するために利用された。形状符号化されたアセンブリ経路は3Dに拡張することができ、これは、3Dアクチュエータ操作およびマイクロマシンアセンブリ用の地理的誘導を設計する可能性を可能にした。これらの機能により、本明細書に示すように、マイクロ物体の連続輸送、並べ替え、デジタル操作、およびマイクロ流体フローの生成などのラボ・オン・チップ用途にとって実現可能な垂直空間をもたらすことができる。
【0103】
さらに、感知、貨物の充填、および作動などのさまざまな機能に対処する複数のモジュール式の構成要素を、プログラム可能かつ可逆的な方法でアセンブリに組み込むことができる。例えば、薬剤を充填した受動体は、均一な電界の生成を実行可能な、インビトロでの標的化薬剤送達、およびラボ・オン・チップ研究などの単一細胞操作用途用に、磁性マイクロアクチュエータでアセンブリすることができる。ただし、電界のない用途、例えばインビボの生物医学的用途では、マイクロ構成要素の不可逆的なアセンブリが必要になり得る。これは、製造中にマイクロ構成要素に接合部位を導入することによって(例えば、表面機能化によって)達成することができ、その後、電界下でのアセンブリプロセスが続く。次に、アセンブリされた構成要素を用途固有の環境に転送し、非電気的手段によって作動させることができる。このような不可逆的なアセンブリは、生物学的アクチュエータの空間的および方向的構成が最適な性能の重要な決定要因である、バイオハイブリッドマイクロロボットの製造に特に役立つ。本明細書で説明する方法は、形状および外部磁界を使用してマイクロスケールでプログラム可能な自己アセンブリに対処し、マイクロロボティクス、コロイド科学、医学、および自律型マイクロシステムに適用される、多機能の再構成可能なマイクロマシン、および生命に着想を得た複雑な階層的システムの開発において大きい可能性を秘めている。
【0104】
以下では、使用される材料および方法について詳しく説明する。
【0105】
誘電泳動相互作用の設計
COMSOL Multiphysics 5.2 Modeling Software(COMSOL,Inc.)を使用して、異なる3D形状の誘電体周辺の電界強度の変調を推定した。これらのシミュレーションは半定量的であり、DEP応答の電気伝導率または周波数依存性を考慮していないが、3DにおけるDEP力の分布、ならびにそれらの方向、大きさ、および符号の近似に関する適正な情報を提供する。次に、シミュレーションを使用して所望のアクチュエータと本体との接続を確立するために、誘電体表面近くの力プロファイルを調整する。シミュレーションは、溶液として脱イオン水(ε=80)を含む長方形のマイクロチャネルに配置された所与の誘電体微細構造ジオメトリ(ε=4)の静電方程式を解くことによって実施された。チャネルの上面および下面は電極としてモデル化され、均一な電位(10V、上部電極)および接地(0V、下部電極)の境界条件にさらされる。電極間の分離距離(H=50~75μm)は、マイクロ物体がない場合(E=ΔV/H)のチャネル内の均一な電界の大きさを決定する。すべてのシミュレーション図において、「カラー」バーは(E/Eによって報告された正規化された電界強度を示す。
【0106】
マイクロアクチュエータおよび誘電体の製造
磁性アクチュエータとして、直径10μmの超常磁性ポリスチレン微粒子、および埋め込まれた酸化鉄ナノ粒子(Sigma Aldrich、St Louis,MO)を使用した。速度特性評価実験では、直径約60μmの非磁性ポリエチレンマイクロスフェア(Cospheric、Santa Barbara,CA)をロボット本体として使用した。符号化されたアセンブリ実験では、誘電体は、市販の2光子リソグラフィシステム(Nanoscribe GmbH、Eggenstein-Leopolds-hafen,Germany)を使用して、酸化インジウムスズ(ITO)コーティングガラス上にIP-Sフォトレジストから3Dナノプリントされた。自己推進ヤヌス微粒子は、直径7.82μmの球状シリカ(SiO)粒子(Micro-particles GmbH、Germany)の事前乾燥した自己アセンブリ単分子膜上に、20nmの金(Au)層を、卓上型スパッタコーティングシステム(Leica EM ACE600,Leica Microsystems GmbH、Germany)を用いてスパッタリングすることによって製造された。3Dマイクロマシン実験は、4.67~33.7μmの間で変化するサイズの強磁性微粒子(Spherotech,Inc.、Lake Forest,IL)を使用して実施された。すべての実験は、いかなる非特異的な凝集も防止するために、脱イオン(DI)水中の0.1%Tween 20溶液(Sigma Aldrich、St Louis,MO)において実施した。
【0107】
実験のセットアップ
入口および出口を含む透明なITOコーティングされたガラス上部片、チャネルの形状および高さを画定する両面テープ、およびITOコーティングされたガラス底部片で構成されているマイクロチャネル(高さ50~75μm×幅6mm×長さ10mm)を使用して、電界を印加した(図20(a))。両面テープをレーザマイクロマシン加工(Epilog Laser、Scottsdale,AZ)して、所望のチャネル形状を切り出した。チャネルを囲む導電性ITOガラスは、任意波形発生器(Tektronix AFG1022,Tektronix,Inc.)を使用して交番電界を印加するための平行プレート電極として機能した。すべての実験は、4kHz~1MHzの間で行われた。
【0108】
カスタムの5コイル磁気誘導システムを使用して、実証されたマイクロアクチュエータの動きおよび作動挙動を制御する磁界を生成した(図20(b))。コイルのセットアップは、倒立光学顕微鏡(Zeiss Axio Observer A1,Carl Zeiss、Oberkochen,Germany)に配置された。このシステムは、(試料面に沿った)x方向およびy方向で最大20mT、および(面外の)z方向で最大10mTの磁界強度を確立するように設計された。各コイルは、電流コントローラ(Escon 70/10,Maxon Motor AG)によって個別に制御され、電流値は、事前に計算された磁界と電流との比率によって決定された。実験は、コイルのセットアップの中央にある作業空間において実施した。確立された磁界は、作業空間の中心から5mm以内で均一であると測定された。
【0109】
データ分析
取得した画像は、Fijiを使用して処理され、マイクロロボットおよびその位置が特定された。追跡ソフトウェアを使用して、個々のチェーンの軌道およびその速度を再構築した。すべての定量値は、平均値±平均値の標準偏差(SD)として表された。すべての実験は、少なくとも3回の独立した繰り返しに対して実施された。3Dマイクロマシンによって生成された流体フローは、粒子画像流速測定法(PIV)を使用して特徴付けられた。フローを視覚化するために、直径500nmのポリスチレントレーサ(Sigma Aldrich、St Louis,MO)をマイクロチャネル媒質に播種した。得られた画像を処理するために、DynamicStudio 6.2(Dantec Dynamics A/S、Skovlunde,Denmark)ソフトウェアの組み込み関数を使用した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】