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特表2022-551403液体滅菌剤と共に使用される生物学的インジケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】液体滅菌剤と共に使用される生物学的インジケータ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/28 20060101AFI20221202BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61L2/28
A61L2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517826
(86)(22)【出願日】2020-09-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 IB2020058750
(87)【国際公開番号】W WO2021053627
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/903,540
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】チュオン・ダグ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ローズ・サム・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】オミドバフシュ・ナビド
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB07
4C058DD15
4C058JJ06
(57)【要約】
液状化学品除染システムにおいて使用される生物学的インジケータ(100)が開示される。生物学的インジケータは、ハウジング(102)と、ハウジングに連結されたキャップ(106)と、を含み得る。キャップは、液体チャンバと、少なくとも2つのポートと、を含み得る。ポートのうちの1つは、キャップ内の液体通路に接続することができ、液状化学品除染剤などの液体は、このポートを介して、導入され、生物学的インジケータから除去され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的インジケータであって、
長手方向軸を定め、第1のポートを有するハウジングと、
前記ハウジングに連結されたキャップであって、前記キャップは、
通気孔と、
前記ハウジングの外側に配された第1の部分と、
少なくとも部分的に前記ハウジングの内側に配された第2の部分であって、前記第2の部分は、第2のポートを含み、かつ増殖培地を収容する、液体チャンバと、前記第2のポートを覆って、前記液体チャンバの下部境界を画定するシールと、を含む、第2の部分と、
前記第1の部分を通って配された第3のポートと、
を含む、キャップと、
前記ハウジング内に配されたインサートであって、前記インサートは、前記長手方向軸に沿って配された先端部分を有する、インサートと、
を含み、
前記キャップの前記第2の部分は、前記液体チャンバの側部境界を画定する側壁を含み、前記第2のポートは、前記ハウジング内で、前記ハウジングの前記長手方向軸の周りに配されている、生物学的インジケータ。
【請求項2】
前記側壁は、丸い部分および平坦な部分を含む、請求項1に記載の生物学的インジケータ。
【請求項3】
前記キャップの前記第2の部分の前記側壁と前記ハウジングの内表面との間に配された空間を通って延びる液体通路をさらに含み、前記第3のポートは、前記液体通路へのアクセスを提供する、請求項2に記載の生物学的インジケータ。
【請求項4】
前記液体通路は、前記側壁の前記平坦な部分と並んで延びる、請求項3に記載の生物学的インジケータ。
【請求項5】
前記キャップは、戻り止めをさらに含む、請求項4に記載の生物学的インジケータ。
【請求項6】
前記戻り止めは、前記キャップの前記第1の部分内に配されている、請求項5に記載の生物学的インジケータ。
【請求項7】
前記通気孔は、前記キャップの前記第1の部分内に配されている、請求項6に記載の生物学的インジケータ。
【請求項8】
前記キャップは、摩擦嵌めを介してハウジングに連結されている、請求項7に記載の生物学的インジケータ。
【請求項9】
前記摩擦嵌めは、前記キャップの前記第1の部分の内側表面と前記ハウジングの外表面との間の接触を含む、請求項8に記載の生物学的インジケータ。
【請求項10】
前記シールは、フィルムを含む、請求項7に記載の生物学的インジケータ。
【請求項11】
前記フィルムは、ホイルを含む、請求項10に記載の生物学的インジケータ。
【請求項12】
前記先端部分は、スパイクを含む、請求項7に記載の生物学的インジケータ。
【請求項13】
前記スパイクは、分岐したスパイクを含む、請求項12に記載の生物学的インジケータ。
【請求項14】
前記分岐したスパイクは、少なくとも2つの歯を含む、請求項13に記載の生物学的インジケータ。
【請求項15】
前記少なくとも2つの歯はそれぞれ、少なくとも1つのリブを含む、請求項14に記載の生物学的インジケータ。
【請求項16】
生物学的インジケータを使用する方法であって、
前記生物学的インジケータを受け取るステップであって、前記生物学的インジケータは、
長手方向軸を定め、第1のポートを有するハウジングと、
前記ハウジングに連結されたキャップであって、前記キャップは、
前記ハウジングの外側に配された第1の部分と、
少なくとも部分的に前記ハウジングの内側に配された第2の部分であって、前記第2の部分は、第2のポートを含み、かつ増殖培地を収容する、液体チャンバと、前記第2のポートを覆って、前記液体チャンバの下部境界を画定するシールと、を含む、第2の部分と、
を含む、キャップと
前記ハウジング内に配されたインサートであって、前記インサートは、前記長手方向軸に沿って配された先端部分を有する、インサートと、
を含む、ステップと、
前記生物学的インジケータを除染システムのチャンバ内に配するステップと、
前記キャップ内の第3のポートを通じて液体除染剤を前記ハウジング内に流すステップと、
前記キャップ内の前記第3のポートを通じて前記液体除染剤を前記ハウジングから除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記生物学的インジケータを前記チャンバ内に配するステップは、前記生物学的インジケータを実質的に水平な位置に位置付けるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生物学的インジケータを前記チャンバ内に配するステップは、前記第3のポートが下を向くように前記生物学的インジケータを位置付けるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的インジケータを前記チャンバから取り出すステップと、
前記キャップを前記ハウジングに対して押し下げるステップと、
前記シールに穴をあけるステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
胞子ディスクを前記増殖培地内に沈めるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、生物学的インジケータ、特に、液状化学品除染システムおよび消毒または滅菌のための処置で使用されるのに適した生物学的インジケータ、に関する。
【0002】
〔背景〕
ある特定の器具、例えば、医療器具は、対象に感染または疾患を引き起こすのを回避するために、それらが使用される医療処置と医療処置との間に、再処理、すなわち、除染されなければならない。ここに開示される主題に関連する2つの除染方法は、消毒および液状化学品滅菌を含む。いずれのタイプの処置も、内視鏡から異物を除去するステップと、内視鏡を洗浄するステップと、消毒液または液状化学品滅菌剤を内視鏡に導入するステップと、内視鏡をすすぐステップと、内視鏡を乾燥させるステップと、を含み得る。
【0003】
除染インジケータは、除染処置に供されている医療装置と並んで、またはこれに近接して配置され得る装置であり、除染インジケータは医療装置と同じ除染サイクルに供される。例えば、滅菌剤に対する既知の耐性を有する所定の量の微生物を有する生物学的インジケータ(biological indictor)が、医療装置と並んで滅菌チャンバ内に入れられて、滅菌サイクルに供され得る。滅菌処置が完了した後、生物学的インジケータ内の微生物は、微生物のうちのいずれかが生存しているかどうかを判断するために、培養され得る。
【0004】
生物学的インジケータは、しばしば、ある量の微生物と、微生物の近くに位置する脆い容器内の増殖培地の供給源と、を収容する、ハウジングを含む。滅菌処置の後、脆い容器は、破壊されて増殖培地を放出し、生存している微生物をその位置で培養することができる。インジケータは次に、高温で、典型的には約50℃~60℃で、インキュベートされ得、これにより、生存している微生物の成長(outgrowth)を促進する。
【0005】
液体増殖培地を収容する、脆い容器、例えばアンプルは、しばしばガラスから作製される。ガラスは、例えば生物学的インジケータの製造業者から医療提供者への輸送中の破損を避けるために十分に頑丈でなければならない。しかしながら、このような頑丈さは、医療関係者によって所望の時間にアンプルを破壊するのに大きな力が必要になることに対応する。したがって、一部の製造業者は、病院の職員がアンプルを破壊するのを助けるために彼らに活性化装置を提供している。
【0006】
〔開示の概要〕
液状化学品除染システムにおいて使用される生物学的インジケータが開示される。生物学的インジケータは、長手方向軸を定め、かつ第1のポートを有する、ハウジングを含み得る。キャップがハウジングに連結され得る。キャップの第1の部分は、ハウジングの外側に配され得、キャップの第2の部分は、少なくとも部分的にハウジングの内側に配され得る。キャップの第2の部分は、第2のポートを含み、かつ増殖培地を収容する、液体チャンバを含み得る。第2のポートは、ハウジング内で、ハウジングの長手方向軸の周りに配され得る。シールが、第2のポートを覆って、液体チャンバの下部境界を画定することができる。さらに、キャップの第2の部分は、丸い部分および平坦な部分を含む側壁を含み得、第2の部分の側壁は、液体チャンバの側部境界を画定する。
【0007】
キャップはまた、第3のポート、および、キャップの第2の部分の側壁、例えばその平坦な部分と、ハウジングの内表面との間に配された空間を通って延びる液体通路を含み得る。したがって、液状化学品除染剤などの液体は、第3のポートを介して、導入され、また生物学的インジケータから除去され得る。
【0008】
生物学的インジケータはまた、ハウジング内に配されたインサートを含み得る。インサートは、シールに穴をあけるために、長手方向軸に沿って配された、先端部分、例えばスパイクを有し得る。したがって、増殖培地を収容するアンプルは、ハウジング内に配されない。
【0009】
本明細書は、本明細書に記載される主題を具体的に指示し、明確に主張する、特許請求の範囲で締めくくられるが、この主題は、添付図面と併せて理解される、ある特定の実施例に関する以下の説明から、より良く理解されると考える。添付図面では、同様の参照符号は、同じ要素を識別している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】生物学的インジケータの正面図を描いたものである。
図2】生物学的インジケータの側面図を描いたものである。
図3】生物学的インジケータの斜視図を描いたものである。
図4】生物学的インジケータの分解組立図を描いたものである。
図5図4の線5-5に沿った生物学的インジケータのキャップの断面図を描いたものである。
【0011】
〔発明を実施するための形態〕
以下の詳細な説明は、図面を参照して読むべきであり、図面では、異なる図面における同様の要素に同じ符号が付されている。必ずしも一定の縮尺ではない図面は、選択された実施形態を描いており、本発明の範囲を制限することを意図していない。詳細な説明は、制限のつもりではなく、例として、本発明の原理を例示している。この説明は、明らかに、当業者が本発明を製造および使用することを可能にし、本発明を実施する最良の形態と現在考えられているものを含め、本発明のいくつかの実施形態、改作物、変形、代替物、および使用を説明する。
【0012】
本明細書で使用される、任意の数値または範囲のための「約」または「およそ」という用語は、構成要素の一部または集合が、本明細書に記載されるような、意図された目的のために機能するのを可能にする、適切な寸法公差を示す。さらに具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。さらに、本明細書で使用される用語「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、および「対象」は、任意のヒトまたは動物の対象を指し、システムまたは方法をヒトでの使用に制限することは意図していないが、ヒト患者での本発明の使用は、好適な実施形態である。
【0013】
市販の生物学的インジケータは、典型的には、ガス状滅菌剤、例えばエチレンオキシドおよび過酸化水素を利用する滅菌処置で使用される。このような処置はしばしば、滅菌システムの真空チャンバ内で滅菌インジケータと並んで医療装置を位置付けることを含む。真空(例えば、666.6Pa(5トル)未満)がチャンバ内で引かれた後、ガス状滅菌剤がチャンバ内に導入され得、これにより、チャンバ内の圧力が上昇し、ガス状滅菌剤が生物学的インジケータに入る。その後、ガス状滅菌剤は、真空を引くか、チャンバを通気するか、またはその両方によって、生物学的インジケータおよびチャンバから除去される。
【0014】
液状化学品除染剤を利用する除染処置での使用に適した生物学的インジケータが開示される。このような除染処置は、液状化学品消毒薬、例えばオルトフタルアルデヒドを含む溶液を利用する消毒処置、および液状化学品滅菌剤、例えば過酢酸を含む溶液を利用する滅菌処置を含み得る。したがって、オルトフタルアルデヒド溶液および過酢酸溶液は、液状化学品除染剤または除染剤溶液の例と考えることができる。除染処置中に、かつ、器具および生物学的インジケータが適切な時間にわたり液体除染剤に曝された後で、液体除染剤は、器具および生物学的インジケータから除去されなければならない。液体除染剤が生物学的インジケータから除去されなければならない、さまざまな理由がある。例えば、除去は、除染剤との皮膚接触により生じ得る、医療従事者への損傷を避けるのに役立つ。除染剤の除去はまた、除染処置が終了した後で生物学的インジケータにおける微生物の成長の正確な評価を可能にする。
【0015】
図1図4は、液体除染剤を利用する除染処置での使用に適している生物学的インジケータ100を表す。生物学的インジケータ100は、生物学的インジケータ100の長手方向軸104を定めるハウジング102と、キャップ106と、インサート108と、キャリヤ110などの微生物または活性酵素の供給源と、を含む。
【0016】
ハウジング102は、細長い円筒形態を有し得、第1のポート112と、外表面114と、内表面116と、を含み得る。キャップ106は、ハウジング102に連結され得、キャップ106は第1のポート112を覆う。
【0017】
さらに図5を参照すると、キャップ106は、第1の部分118と、第2の部分120と、を含み得、これらは、その間に環状凹部140を画定している。第1のポート112を含むハウジング102の上部分は、凹部140内に配され得、キャップ106は第1のポート112を覆う。したがって、第1の部分118の内側表面142は、ハウジング102の外側表面114に接触することができ、よって、ハウジング102とキャップ106とを摩擦嵌めにより連結する。例えば、内側表面142および外側表面114はそれぞれ、内側表面142の直径が外側表面114の直径よりわずかに小さい、例えば約0.1mmおよび約2mm小さいという条件で、約10mm~15mmの直径を有することができる。例えば、内側表面142は、約12.5mmの直径を有することができ、外側表面114は、約12.6mmの直径を有することができる。
【0018】
特に、生物学的インジケータ100は、増殖培地を収容するアンプルがないが、これが、液体(例えば、除染剤、中和剤)をハウジング102に導入し、そこから除去するのを妨げることを、発明者らは発見している。したがって、発明者らは、キャップ106の第2の部分120が増殖培地124を収容する液体チャンバ122を含み得るように、生物学的インジケータ100を設計した。液体チャンバ122は、シール128によって覆われた第2のポート126を含み得、シール128は、液体チャンバ122の下部境界130を画定する。キャップ106がハウジング102に連結されると、第2の部分120は、少なくとも部分的にハウジング102の内側に配され、シール128および液体チャンバ122の下部境界130は、ハウジング102の内側に配される。第2の部分120は、液体チャンバ122の側部境界146を形成する側壁134も含み得る。側壁134は、丸い部分136と、平坦な部分138と、を含み得る。したがって、第1の部分118と第2の部分120との間の凹部140は、丸い部分136の近くよりも平坦な部分138の近くで大きい。例えば、ハウジング102の内表面116と側壁134の丸い部分136との間の距離は、およそ0.1mm~およそ0.2mmとすることができるが、ハウジング102の内表面116と側壁134の平坦な部分138との間の距離は、およそ1mm~およそ3mmとすることができる。例えば、ハウジング102の内表面116と側壁134の丸い部分136との間の距離は、およそ0.13mmとすることができるが、ハウジング102の内表面116と側壁134の平坦な部分138との間の距離は、およそ2mmとすることができる。
【0019】
キャップ106の第1の部分118は、凹部140へのアクセスを提供する第3のポート132を含み得る。したがって、キャップ106がハウジング102に連結されると、第3のポート132は、ポート112、および側壁134、好ましくは側壁134の平坦な部分138と、ハウジング102の内表面116との間に配された空間を通って延びる液体通路を介して、ハウジング102の内側へのアクセスを提供する。矢印Aが、図2において、この液体通路内に示されて、第3のポート132を通して導入された液体がハウジング102内に流れる方向を示している。
【0020】
キャップ106の第1の部分118は、戻り止め148をさらに含み得、これは、生物学的インジケータ100を除染システム内に位置付けるのに有用となり得る。すなわち、戻り止め148は、除染システムの対応する嵌合特徴部と嵌合することができ、第3のポート132は、液体、例えば除染剤または中和剤をハウジング102内に送達し、そこから引き出すのに使用され得る任意の管またはフローコネクタと嵌合されるように、最適に位置付けられる。ハウジング102内に導入される液体は、処置の後で微生物の成長の正確な評価を可能にするために、ハウジングから引き出されなければならないので、液体の除去は、第3のポート132が下を向いた状態で、生物学的インジケータ100が実質的に水平な位置にある、すなわち、重力に対して実質的に垂直であるときに容易になり得る。通気孔150もまた、キャップ106内に、好ましくは第1の部分118内に設けられ得る。通気孔150は、ハウジングに導入された任意の液体によってハウジング102の内側から空気を移動させることを可能にする。通気孔150はまた、液体が引き出されるときに空気をハウジング102に再び入れることによって、ハウジング102の内側から液体を除去するのを容易にする。
【0021】
インサート108は、2つの理由で設けられる。第一に、インサートは、キャリヤ110の位置をハウジング102の下部に維持するのに役立つ。第二に、インサートは、シール128を突き刺すのに使用され、これにより、増殖培地124が液体チャンバ122からハウジング102内に流れてキャリヤ110を浸す。図2で最も良く分かるように、インサート108は先端部分152を含む。先端部分152は、スパイクの形態を有することができ、これは、分岐していてよく、例えば2つ以上の歯154を含む。インサート108は、適切な材料、例えばシクロオレフィンポリマーなどのポリマーで作製され得、歯154は適切な形態、例えば、約0.2mm~約1mm、例えば約0.5mmの厚さを有し、歯154は、下向きの圧力を受けると、屈曲し得る。したがって、キャップ106が下方に押し下げられると、先端部分152は、ホイル、例えばアルミニウムホイルなどのフィルムであってよい、シール128を突き刺す。シール128と先端部分152とが最初に接触すると、歯154は、シールが穴をあけられる前に互いに向かって屈曲する。いったんシール128が穴をあけられると、歯154は、それらの元の位置に戻り、よって、シール128に作られた穴を大きくする。各歯154は、表面特徴部、例えば、リブ156をさらに含み得、これは、シール128がこれらの上を下方に移動する際にシール128の穴をさらに大きくし得る。
【0022】
本明細書に例示および説明された実施形態により、出願人は、前述した特徴を有する生物学的インジケータを使用するための方法およびその変形を考案した。まず、生物学的インジケータは、ユーザによって、例えば医療従事者によって受け取られ得る。次に、生物学的インジケータは、液状化学品除染システム内に配され得る。いくつかの変形では、生物学的インジケータは、チャンバ内で、水平な位置に位置付けられ得る。さらなる変形では、生物学的インジケータは、第3のポートが下を向くように位置付けられる。次に、液体除染剤が、キャップ内の第3のポートを介してハウジング内に流され得る。その後、液体除染剤は、キャップ内の第3のポートを介してハウジングから除去され得る。除染処置が完了した後、生物学的インジケータは、チャンバから取り出され得る。そして、キャップが、押し下げられ得、シールは、インサートの上部分がシールを通って打ち込まれることにより穴をあけられて、キャップの液体チャンバ内の増殖培地を、シールの刺し穴を通じてハウジング内に流して、キャリヤを浸す。同時に、通気孔150および第3のポート132は、ハウジング102によって遮られる。
【0023】
本明細書に記載される実施例または実施形態のいずれも、前述したものに加え、またはその代わりに、さまざまな他の特徴を含み得る。本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して考えるべきではない。本明細書中の教示が組み合わせられ得る、さまざまな適切な方法が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかなはずである。
【0024】
本明細書に含まれる主題の例示的な実施形態を図示および説明してきたが、本明細書に記載される方法およびシステムのさらなる改作物が、特許請求の範囲から逸脱せずに、適切な改変により達成され得る。さらに、前述した方法およびステップが、ある特定の順序で起こるある特定の事象を示す場合、ある特定のステップは、記載された順序で実行される必要はなく、そのステップにより実施形態が意図された目的で機能する限り、任意の順序で実行されることが意図されている。したがって、開示の趣旨の範囲内にあるか、または特許請求の範囲で見られる発明に等しい、本発明の変形が存在する範囲で、本特許はそれらの変形もカバーすることが意図される。そのようないくつかの改変は、当業者には明らかなはずである。例えば、前述した実施例、実施形態、形態、材料、寸法、比率、ステップなどは、例示的なものである。したがって、特許請求の範囲は、説明および図面に示される構造および動作の特定の詳細に制限されるべきではない。
【0025】
〔実施の態様〕
(1) 生物学的インジケータであって、
長手方向軸を定め、第1のポートを有するハウジングと、
前記ハウジングに連結されたキャップであって、前記キャップは、
前記ハウジングの外側に配された第1の部分と、
少なくとも部分的に前記ハウジングの内側に配された第2の部分であって、前記第2の部分は、第2のポートを含み、かつ増殖培地を収容する、液体チャンバと、前記第2のポートを覆って、前記液体チャンバの下部境界を画定するシールと、を含む、第2の部分と、
を含む、キャップと、
前記ハウジング内に配されたインサートであって、前記インサートは、前記長手方向軸に沿って配された先端部分を有する、インサートと、
を含む、生物学的インジケータ。
(2) 前記キャップの前記第2の部分の前記第2のポートは、前記ハウジング内で、前記ハウジングの前記長手方向軸の周りに配されている、実施態様1に記載の生物学的インジケータ。
(3) 前記キャップの前記第2の部分は、丸い部分および平坦な部分を含む側壁を含み、前記第2の部分の前記側壁は、前記液体チャンバの側部境界を画定する、実施態様1または2に記載の生物学的インジケータ。
(4) 前記キャップの前記第1の部分は、第3のポートを含む、実施態様1、2、または3に記載の生物学的インジケータ。
(5) 前記キャップの前記第2の部分の前記側壁と前記ハウジングの内表面との間に配された空間を通って延びる液体通路をさらに含む、実施態様3または4に記載の生物学的インジケータ。
【0026】
(6) 前記キャップの前記第2の部分の前記側壁の平坦な部分と前記ハウジングの内表面との間に配された空間を通って延びる液体通路をさらに含む、実施態様3または4に記載の生物学的インジケータ。
(7) 前記キャップは、戻り止めをさらに含む、実施態様1から6のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(8) 前記戻り止めは、前記キャップの前記第1の部分内に配されている、実施態様7に記載の生物学的インジケータ。
(9) 前記キャップは、通気孔をさらに含む、実施態様1から8のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(10) 前記通気孔は、前記キャップの前記第1の部分内に配されている、実施態様9に記載の生物学的インジケータ。
【0027】
(11) アンプルが、前記ハウジング内に配されていない、実施態様1から10のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(12) 前記キャップは、摩擦嵌めを介してハウジングに連結されている、実施態様1から11のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(13) 前記摩擦嵌めは、前記キャップの前記第1の部分の内側表面と前記ハウジングの外表面との間の接触を含む、実施態様12に記載の生物学的インジケータ。
(14) 前記シールは、フィルムを含む、実施態様1から13のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(15) 前記フィルムは、ホイルを含む、実施態様14に記載の生物学的インジケータ。
【0028】
(16) 前記先端部分は、スパイクを含む、実施態様1から15のいずれかに記載の生物学的インジケータ。
(17) 前記スパイクは、分岐したスパイクを含む、実施態様16に記載の生物学的インジケータ。
(18) 前記分岐したスパイクは、少なくとも2つの歯を含む、実施態様17に記載の生物学的インジケータ。
(19) 前記少なくとも2つの歯はそれぞれ、少なくとも1つのリブを含む、実施態様18に記載の生物学的インジケータ。
(20) 生物学的インジケータを使用する方法であって、
前記生物学的インジケータを受け取るステップであって、前記生物学的インジケータは、
長手方向軸を定め、第1のポートを有するハウジングと、
前記ハウジングに連結されたキャップであって、前記キャップは、
前記ハウジングの外側に配された第1の部分と、
少なくとも部分的に前記ハウジングの内側に配された第2の部分であって、前記第2の部分は、第2のポートを含み、かつ増殖培地を収容する、液体チャンバと、前記第2のポートを覆って、前記液体チャンバの下部境界を画定するシールと、を含む、第2の部分と、
を含む、キャップと
前記ハウジング内に配されたインサートであって、前記インサートは、前記長手方向軸に沿って配された先端部分を有する、インサートと、
を含む、ステップと、
前記生物学的インジケータを除染システムのチャンバ内に配するステップと、
前記キャップ内の第3のポートを通じて液体除染剤を前記ハウジング内に流すステップと、
前記キャップ内の前記第3のポートを通じて前記液体除染剤を前記ハウジングから除去するステップと、
を含む、方法。
【0029】
(21) 前記生物学的インジケータを前記チャンバ内に配するステップは、前記生物学的インジケータを実質的に水平な位置に位置付けるステップを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記生物学的インジケータを前記チャンバ内に配するステップは、前記第3のポートが下を向くように前記生物学的インジケータを位置付けるステップを含む、実施態様20または21に記載の方法。
(23) 前記生物学的インジケータを前記チャンバから取り出すステップと、
前記キャップを前記ハウジングに対して押し下げるステップと、
前記シールに穴をあけるステップと、
をさらに含む、実施態様20、21、または22に記載の方法。
(24) 胞子ディスクを前記増殖培地内に沈めるステップをさらに含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記シールに穴をあけるステップは、前記キャップを前記ハウジングに対して押し下げながら、前記シールを通して前記インサートの前記先端部分を打ち込むことによって、実施される、実施態様23または24に記載の方法。
【0030】
(26) 前記先端部分は、スパイクを含む、実施態様21または25に記載の方法。
(27) 前記スパイクは、分岐したスパイクを含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記分岐したスパイクは、少なくとも2つの歯を含む、実施態様27に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】