(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】緑内障用の方法および剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4425 20060101AFI20221202BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221202BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221202BHJP
A61K 31/7042 20060101ALI20221202BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20221202BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20221202BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221202BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221202BHJP
A61K 31/727 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20221202BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20221202BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61K31/4425
A61P27/02
A61K45/00
A61K31/7042
A61K31/7048
A61K38/12
A61K9/08
A61K9/10
A61K47/36
A61K31/727
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/24
A61K47/38
A61K47/40
A61K47/32
A61P27/06
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517878
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020024592
(87)【国際公開番号】W WO2021055013
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/052310
(32)【優先日】2019-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521118466
【氏名又は名称】アウフバウ・メディカル・イノベイションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AUFBAU MEDICAL INNOVATIONS LIMITED
(71)【出願人】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】521118477
【氏名又は名称】ジョン・ティ・ジー・ペナ
【氏名又は名称原語表記】John T. G. PENA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ペナ,ジョン ティ ジー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,ジェイムズ マリー
(72)【発明者】
【氏名】レンメル,ハーモン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,メリッサ エイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA22
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD23
4C076DD26E
4C076DD37R
4C076DD38
4C076DD43E
4C076DD46F
4C076DD49R
4C076DD63E
4C076DD67D
4C076EE06F
4C076EE09F
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4C076EE39F
4C084AA19
4C084BA24
4C084BA44
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4C084MA52
4C084MA55
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZA331
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4C086AA01
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4C086BC17
4C086EA11
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4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA33
(57)【要約】
本発明は、緑内障疾患を検出し、同定し、治療する方法および組成物に関する。さらに、本発明は、緑内障における、眼内圧に作用し、眼内流出を増大する、組成物および方法を開示する。緑内障疾患を治療し、眼内圧を低下させ、および/または眼の細胞外ベシクル複合体を減少させるための組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化セチルピリジニウム、ポリミキシンB硫酸塩、マイシン、およびヘパリンナトリウムから選択される活性剤を含む、眼科用の水性医薬組成物。
【請求項2】
マイシンは、ネオマイシン、サリノマイシン、アジスロマイシン、ラパマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、カナマイシン、ナタマイシン、リファマイシン、およびトブラマイシンから選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
活性剤は、組成物の0.01~2%w/vを含む、請求項1の組成物。
【請求項4】
活性剤は、組成物の0.01~0.2%w/vを含む、請求項1の組成物。
【請求項5】
約7.3のpHを有する、請求項1の組成物。
【請求項6】
眼に投与したとき、眼内圧を低下させる、請求項1の組成物。
【請求項7】
眼に投与したときまたは全身投与したとき、眼の細胞外ベシクル複合体を低減する、請求項1の組成物。
【請求項8】
眼に投与したときまたは全身投与したとき、緑内障または高眼圧を治療する効果がある、請求項1の組成物。
【請求項9】
さらに、可溶化剤、界面活性剤、等張化剤、および防腐剤の1以上を含む、請求項1の組成物。
【請求項10】
可溶化剤は、リン酸塩、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項11】
界面活性剤は、リン脂質、ポリグリセロールエステル、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、コポリマーエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項12】
等張化剤は、塩化ナトリウム、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、塩化カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項13】
防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、ポリクアテルニウム-1、臭化ベンゾドデシニウム、ソルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、オキシクロロ錯体、チメロサール、過ホウ酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1の組成物。
【請求項14】
医学療法に使用する、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物。
【請求項15】
ヒトまたは動物の体の治療に用いる、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物。
【請求項16】
ヒトまたは動物の体内の眼内圧を低減する、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物。
【請求項17】
ヒトまたは動物の体内の眼の細胞外小胞複合体を減少させるのに使用する、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物。
【請求項18】
必要としている対象の緑内障に関連する疾患または状態を予防、改善、または治療するための薬剤を調製または製造する際に使用する、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物。
【請求項19】
必要とする対象における緑内障疾患を治療し、眼内圧を低下させ、または眼の細胞外小胞複合体を低下させる方法であって、請求項1~13のいずれか1に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項20】
投与は注射によるものであって、眼内投与は、前房内投与、硝子体内投与、または網膜下投与であり、眼周囲投与は、結膜下注射、テノン嚢下注射、直接眼内注射、またはデポ眼周囲注射である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
投与は、静脈内投与、経口投与、動脈内投与、吸入、鼻腔内投与、腹腔内投与、腹部内投与、皮下投与、関節内投与、くも膜下腔内投与、経硬膜投与、経真皮 (transdermal)投与、粘膜下投与、舌下投与、経腸投与、非経口投与、経皮 (percutaneous)投与、関節周囲投与、または脳室内投与により実行する全身投与である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
眼の細胞外ベシクル複合体は、約300ナノメータより大きな直径を有する細胞外ベシクルの凝集体である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑内障疾患を検出し、同定し、治療する方法および組成物に関する。特に、本発明は、緑内障において、眼内圧に作用し、かつ、眼内流出を増大する組成物および方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
緑内障疾患は、視力喪失の世界的規模の主たる現金であり、推定7千万人に影響する。緑内障は、永続性視覚障害であって、それは、患者が高度な視力喪失を経験するまで無症状である。緑内障の診断は、しばしば、遅延する。
【0003】
緑内障の形態は、開放隅角緑内障または閉塞隅角緑内障として説明される。原発性開放隅角緑内障 (POAG)が最も蔓延しており、約75%のケースにあたる。狭角緑内障と、より希な形態はその他の25%である。POAGにおいて、前室角健常で開いて見え、基礎疾患がなくて上昇した眼内圧 (IOP)がある。
【0004】
POAGのリスク因子は、上昇したIOP、加齢、家族歴、アフリカ祖先、近視、および糖尿病の合併症または高血圧を包含する。緑内障の原因となる病態生理学は、房水流出に対する増進した抵抗性に関係するが、このプロセスの直接的な媒体は未知のままである。緑内障の病因はほとんど理解されておらず、その進行に寄与する因子も同定されていない。
【0005】
緑内障の徴候および症状は、網膜神経節細胞の変性、視神経乳頭に対する変化、および対応する視野喪失を伴う、視神経への損傷を包含する。IOPの上昇は、網膜神経節細胞 (RGC)死および最終的視野 (VF)喪失に関係するIOP関係視神経損傷は、POAGの病因に重要である。POAGおよび高眼圧 (OHT)の患者は、上昇したIOPを有する。高まったIOPは、OHTからPOAGへの進行の顕著なリスク因子である。高まったIOPは、多種多様の続発性緑内障における唯一共通する臨床知見である。IOPの降下は、NTGにおける進行のリスクを低下させることが示されている。動物モデルにおいて、高まったIOPは緑内障性神経損傷に先行する。一般に、上昇したIOPの病因は、低減した房水流出によるであろう。
【0006】
緑内障の医薬治療は、IOPを降下させることに向けられ、それにより、いくらかの患者における疾患進行を減速することができる。現行の治療の欠点は、有効性の欠如と薬剤の副作用を包含する。
【0007】
必要とされるものは、緑内障のための有効な方法と組成物、ならびに、IOPを降下させ、眼内流出を改善する医療機器である。
【0008】
緑内障を検出し、同定し、治療する方法、キットおよび組成物に対する喫緊の要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、緑内障疾患を検出し、同定し、治療する方法、組成物、デバイス、キットおよび試薬を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの局面において、本発明は、緑内障対象における、眼内圧を降下し、眼内流出を改善する方法および組成物を提供する。本発明の局面は、眼水中の凝集の特徴および構造の形成および存在を低減し得る。
【0011】
さらなる局面において、本開示は緑内障用の治療組成物を提供する。
【0012】
本発明の具体例は、緑内障の凝集特徴、ならびに眼内圧および眼内流出を測定し、キャラクタライズするデバイスを提供する。
【0013】
本開示のさらなる局面は、緑内障のための診断およびスクリーニング医療機器を包含する。さらなる具体例は上記を実行するためのキットおよび試薬を包含する。
【0014】
本発明の具体例は、以下を含む:
【0015】
塩化セチルピリジニウム、ポリミキシンB硫酸塩、マイシン、およびヘパリンナトリウムから選択される活性剤を含む、眼科用の水性医薬組成物。マイシンは、ネオマイシン、サリノマイシン、アジスロマイシン、ラパマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、カナマイシン、ナタマイシン、リファマイシン、およびトブラマイシンから選択することができる。活性剤は、組成物の0.01~2%w/vを含み得る。活性剤は、組成物の0.01~0.2%w/vを含むことができる。組成物は、約7.3のpHを有することができる。
【0016】
上記組成物は、眼に投与したとき、眼内圧を低下させることができる。
【0017】
上記組成物は、眼に投与したとき、眼の細胞外ベシクル複合体を低減することができる。
【0018】
上記組成物は、眼に投与したとき、緑内障を治療する効果があり得る。
【0019】
上記組成物は、さらに、可溶化剤、界面活性剤、等張化剤、および防腐剤の1以上を含み得る。可溶化剤は、リン酸塩、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択することができる。界面活性剤は、リン脂質、ポリグリセロールエステル、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、コポリマーエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリレート、およびそれらの組み合わせから選択することができる。等張化剤は、塩化ナトリウム、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、塩化カリウム、およびそれらの組み合わせから選択することができる。防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、ポリクアテルニウム-1、臭化ベンゾドデシニウム、ソルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、オキシクロロ錯体、チメロサール、過ホウ酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0020】
上記の組成物は、医学療法、ヒトもしくは動物の体の治療、ヒトもしくは動物の体における眼内圧の低下、ヒトもしくは動物の体内の眼の細胞外小胞複合体の低減、または必要としている対象の緑内障に関連する疾患または状態を予防、改善、もしくは治療するための薬剤を調製もしくは製造に使用することができる。
【0021】
本発明の具体例は、さらに、必要とする対象において、緑内障を治療し、眼内圧を低下させ、または眼の細胞外ベシクル複合体を低減するための方法を企図する。投与は、注射であってよい。眼の細胞外ベシクル複合体は、約300ナノメータより大きな直径を有する細胞外ベシクルの凝集体であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、正常眼(左)の解剖図を緑内障眼(右)と比較して示す。
【0023】
【
図2】
図2は、線維柱帯網のサンプルの電子顕微鏡写真(左)、および眼線維柱帯網内の房水流のイラスト(右)を示す。
【0024】
【
図3】
図3は、チャネル内の体組成物の流れおよび圧力を検出するデバイスの具体例の概略図を示す。前記チャネルは、眼の線維柱帯網に似た特性を有する網を含有することができる。前記チャネル網は、ぶどう膜網部分、角強膜網部分、および線維柱帯網部分を有することができる。前記チャネルはマイクロ流体チャネルであり得る。
【0025】
【
図4】
図4は、チャネル中の流体組成物の流れおよび圧力に対する種々の化合物、組成物および物質の影響を検出する一連のテストチャネルの具体例を示す。
【0026】
【
図5】
図5は、チャネル中の流体組成物の流れおよび圧力を検出するデバイスおよびシステムの具体例を示す。チャネルは、眼の線維柱帯網に似た特性を有する網を含有することができる。あるいは、前記デバイスは、流体組成物のテストサンプル用の容器を利用することができる。前記チャネルはマイクロ流体チャネルであり得る。
【0027】
【
図6】
図6は、従来の固定化技術での細胞外ベシクルの撮像は、EV接着の失敗により不十分なEV撮像を招いたことを示す。撮像は、驚くべきことに、非可逆架橋試薬を使用して向上した。(a)400万充填し、グルタルアルデヒドで、引き続きUAおよびクエン酸鉛溶液で銅グリッドに固定した、単離したウシ硝子体EVの代表的な顕微鏡写真は、低倍率(左)にて、少ないネガティブ染色されたEV(矢じり)を示し、他の写真においては、EVが見えなかった(中央および右)。ネガティブ染色されたEVは、EVの周縁を取り囲むシグナル(黒色)および中心にて低シグナル(白色または灰色)で示される。(b)概略図は、電子顕微鏡グリッド表面に適用した溶液中のEVが付着に失敗したことを示す。EVは廃液(黒色ボックス)中に存在し、発明者らは、ナノ粒子トラッキング分析 (NTA)を用いて、EVのサイズおよび個数を定量した。(c)NTAは、TEMグリッド表面に塗布したEVのサイズおよび濃度を示す。(d)NTAは、廃液中に存在したEVのサイズおよび濃度を示す。この数字は、TEMグリッド表面への接着が失敗したEVのサイズおよび個数を表す。(g)グラフ表示は、電子顕微鏡法グリッド表面(黒色バー)に適用したEVの量と、廃液に存在するEVのサイズおよび濃度(灰色バー、n=3)とを比較する。(f)EDC-グルタルアルデヒド固定、ネガティブ染色およびTEM撮像後の単離したウシ硝子体EVの代表的なTEM顕微鏡写真は、低(左)、中(中央)および高(右)倍率で、実質的により多くのEVが可視化されたことを明らかにする。(g)平均および±標準偏差のグラフ表示 (log2)は、Glut固定グリッド(n=3、生体レプリカあたり平均7像で計数、*p < 0.05)と比較して、EDC固定標本から、像あたり顕著に多くのEV(350倍)が計数されたことを示+す。(h)EDC-グルタルアルデヒド固定後の単離したウシ房水の代表的TEM顕微鏡写真は、EVの境界を取り巻く確実なネガティブ染色を示す。(i)ヒト房水由来のTEM像は、EV単離を行わず、イン・サイチュで多数のEVが存在することを示す。スケールバーは、(a)1000 nm(左)、600 nm(中央)、125 nm(右);(f)600 nm(左)、125 nm(右);(h)500 nm;および(i)1μmである。
【0028】
【
図7】
図7は、健常ヒト房水、対照、患者1号を示し、非凝集EVの拡散分布を示す。(a~c)EDC-グルタルアルデヒドで銅グリッドに固定し、引き続きUA溶液で染色した、希釈ヒト健常対照房水EV(EVは超遠心分離での単離はせず、緩衝食塩水で希釈したのみ)の代表的な顕微鏡写真。写真は、透過型電子顕微鏡法で撮り、記録した。これらの像は、多くのネガティブ染色された種々のサイズのEVを示し、多くのEVが凝集なしに独立して流体中に存在する。ひとつのEV凝集体が観察され、撮像されたサンプルの少数であった。スケールバーが写真に記されている。
【0029】
【
図8】
図8は、健常ヒト房水、対照、患者2号を示し、非凝集EVの拡散分布を示す。(a~d)EDC-グルタルアルデヒドで銅グリッドに固定し、引き続きUA溶液で染色した、希釈ヒト健常対照房水EV(EVは超遠心分離での単離はせず、緩衝食塩水での希釈のみ行った。)の代表的な顕微鏡写真。写真は、透過型電子顕微鏡法で撮り、記録した。これらの像は、多くのネガティブ染色された種々のサイズのEVを示す。多くのEVが凝集なしに独立して流体中に存在する。ひとつのEV凝集体が観察され、撮像されたサンプルの少数であった。2μmより大きなEV凝集体は観察されず、EVの大きな塊も見えなかった。スケールバーが写真に記されている。
【0030】
【
図9】
図9は、POAG房水を示し、患者1号において大きな緑内障関連EV凝集体を示す。(a~c)代表的な透過型電子顕微鏡写真は、EDC-グルタルアルデヒドで銅グリッドに固定し、引き続きUA溶液で染色した、POAG房水サンプル(EVは超遠心分離での単離はせず、緩衝食塩水で希釈したのみ)を示す。写真は、透過型電子顕微鏡法で撮り、記録した。希釈POAG標本は、流体に存在する緑内障関連EV凝集体の証拠を示す。像は、観察されたがほとんどないことを示す(a~c)。スケールバーが写真に記されている。
【0031】
【
図10】
図10は、POAG房水を示し、患者2号における大きな緑内障関連EV凝集体を示す。(a~c)EDC-グルタルアルデヒドで銅グリッドに固定し、引き続きUA溶液で染色した、第2のPOAGサンプル(EVは超遠心分離での単離はせず、緩衝食塩水で希釈したのみ)由来の代表的な透過型電子顕微鏡写真。写真は、透過型電子顕微鏡法で撮り、記録した。第2のPOAG房水標本は、かなり大きな緑内障関連EV凝集体および大きめの遊離EVの証拠を示す。スケールバーが写真に記されている。
【0032】
【
図11】
図11は、公知の緑内障治療薬、ビマトプロストが、未処理緑内障サンプルと比較して、緑内障の患者の房水におけるPOAG関連EV複合体のサイズを低減することを示す。(a~b)代表的な透過型電子顕微鏡写真は、POAGの患者から収集された、未処理のヒト房水(プラセボ、対照、緩衝食塩水)を示し、房水における細胞外マトリクスおよび緑内障関連EV複合体の証拠を示す。像は、全てのパネルで大きなコラーゲン様マトリクスを示し、これらの高電子密度構造は、数ミクロンのサイズである。(c~d)代表的な写真は、緑内障薬剤、ビマトプロストで処理したPOAG房水サンプルを示し、大きな細胞外マトリクスも緑内障関連EV凝集体の証拠も示さない。高出力撮像で、凝集していない大きめの小球体であるように見える。スケールバーが図面に記されている。
【0033】
【
図12】
図12は、緑内障患者の房水の緩衝食塩水での処理は緑内障と診断された第2の対象のPOAG関連EV複合体に影響がないことを示す。(
図12)代表的な透過型電子顕微鏡写真は、POAGの患者から収集された、未処理のヒト房水(プラセボ、対照、緩衝食塩水)を示し、緑内障関連EV複合体の証拠を示す。像は、全てのパネルで大きなコラーゲン様マトリクスを示す。プラセボ処理は緑内障関連EV複合体に影響がない。スケールバーが図面に記されている。
【0034】
【
図13】
図13は、対照-処理緑内障サンプルと比べて、ビマトプロストは、緑内障と診断された第2の対象の房水におけるPOAG関連EV複合体のサイズを低減することを示す。(
図13)代表的な写真は、ビマトプロストで処理した対象2号サンプル由来のPOAG房水を示し、大きな高電子密度の緑内障関連EV凝集体の分裂を示す。前記緑内障関連EV凝集体は、(
図12に示す)対照と比較して、サイズが小さい。高出力撮像で、多くの凝集EVは観察されない。スケールバーが図面に記されている。
【0035】
【
図14】
図14は、緑内障患者の房水が、健常対照には存在しない、房水中のより電子密度の高い構造を示す。グラフ表示は未確認物質のサイズおよび個数を描写し、発明者らは、それを健常対照またはPOAG標本における「緑内障関連EV凝集体」と称した。発明者らは、健常対照またはPOAGヒト房水を取得し、前記サンプルをEDCで固定し、前記標本を透過型電子顕微鏡写真で撮像した。写真を分析し、緑内障関連EV凝集体の個数を確認して、各変数につきプロットした。単一健常対照対象から入手した房水において、データは、ほとんどのEVは緑内障関連EV凝集体を有さないことを示す。データは、POAGと診断された3人の対象が、数マイクロメートルのサイズの多数の緑内障関連EV凝集体を有することを示す。これらの凝集体は、健常対照では観察されなかった。グラフは、健常対照と比較して、POAGにおける、緑内障関連EV凝集体のサイズの実質的な差異を示す。
【0036】
【
図15】
図15は、互いに触っているEVがより少ない健常対照と比較して、凝集して、互いに接触するEVを含有する緑内障患者の房水を示す。グラフ表示は、互いに接触しているEVの個数(X軸)と、カウント頻度(全体に対するパーセント)とを描写する。発明者らは、健常対照またはPOAGのヒト房水を取得し、前記サンプルをEDCで固定し、前記標本を透過型電子顕微鏡写真で撮像した。写真を分析し、そして、各変数につき互いに接触しているEVの個数を決定した。単一健常対照対象から取得した房水において、データは、ほとんどのが遊離していて、凝集体として存在していないことを示す。データは、POAGと診断された2人の対象が、多数の他のEVに接触するEVを含有する房水を有することを示す。グラフは、健常対照と比較して、POAGにおいて互いに接触するEVの個数間に実質的な差異を示す。
【0037】
【
図16】
図16は、
図15のデータの曲線チャートを示す。緑内障患者の房水は、互いに触っているEVがより少ない健常対照と比較して、凝集して、互いに接触するEVを含有する。
【0038】
【
図17】
図17は、細胞外ベシクルが、健常対照患者から取得したヒト房水に存在し、100から200 nmの間に優勢集団を有することを示す。グラフ表示は、単一健常対照患者から取得したヒト房水におけるEV集団を描写する。EVカウント頻度を、サイズの関数で示す。発明者らは、EDC固定化で固定され、透過型電子顕微鏡法で撮像された健常対照由来のヒト房水を固定した後に、EV直径を測定し、健常対照ヒト房水を固定した。データは、健常対照ヒト房水がEVを含有することを示す。この患者については、直径100~200 nmの間のEVが大部分である。可視化された全てのEVが他のEVと接触していなかった(凝集していなかった)。
【0039】
【
図18】
図18は、POAGと診断された対象1号の房水中の細胞外ベシクルが「緑内障関連EV凝集体」内に位置することを示し、全てのEVが前記緑内障関連EV凝集体内に位置することを示す。(a)POAGと診断された対象1号から取得したヒト房水におけるEV集団のグラフ表示。発明者らは、前記房水をEDCで固定し、透過型電子顕微鏡法で撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量して、グラフ化した。発明者らにより、EVが(互いに接触するEVまたは緑内障関連EV凝集体と定義する)凝集体内部に存在することが観察された。データは、緑内障関連EV凝集体(灰色バー)内部に存在する個々のEVの個数およびサイズを、カウントされたEVの全数の関数で示す。相当数のEVは、サイズで、36 nmと300 nmとの間にあり、EVの高い数値は、100~200 nmである。対象1号の房水において、発明者らは、遊離EV(互いに接触しないEV)を観察できなかった。
【0040】
【
図19】
図19は、原発性開放隅角緑内障 (POAG)と診断されたヒト対象から取得した房水中の細胞外ベシクルは互いに接触して凝集体を形成するか、または、EVが遊離EV(非凝集)として存在したことを示す。(a~b)POAGと診断された単一対象から取得したヒト房水におけるEV集団のグラフ表示。発明者らは、前記房水をEDC固定化で固定し、透過型電子顕微鏡法で撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量化した。発明者らにより、凝集体内に存在するEV(互いに接触するEVと定義する)または遊離EV(互いに接触しないEVと定義する)が観察された。データは、互いに接触しないEV(非凝集EV)の集団を示す。相当数のEVが100~500 nmの間にあり、いくつかはそれよりも大きなサイズであった。
【0041】
【
図20】
図20は、
図19の患者の「緑内障関連EV凝集体」内に位置する、他のEVに接触するEVのサイズおよび頻度を表示するグラフを示す。相当量のEVが36 nmと300 nmとの間にあり、わずかに大きな遊離EVが観察された。
【0042】
【
図21】
図21は、POAGと診断された単一対象の房水中の細胞外ベシクルが「緑内障関連EV凝集体」内に位置し、相当の集団のEVが緑内障関連EV凝集体内に存在することを示す。(a)POAGと診断された単一対象から取得したヒト房水におけるEV集団のグラフ表示。発明者らは、EDC固定化で房水を固定し、透過型電子顕微鏡法で撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量化した。発明者らにより、凝集体内に存在するEV(互いに接触するEVと定義する)または遊離EV(互いに接触しないEVと定義する)が観察された。データは、緑内障関連EV凝集体内に存在する個々のEVの個数およびサイズ(黒色バー)または凝集していないEVの個数およびサイズ(遊離EV、白黒縞バー)を、カウントされたEVの全数の関数で示す。相当数のEVが緑内障関連EV凝集体内に位置した。前記凝集体内の相当数のEVが、サイズにおいて100~300 nmからの直径を示す。より大きなEVは、相当数のより大きなサイズ範囲の遊離EV(非凝集体EV)を示すより高い集団を有していた。
【0043】
【
図22】
図22は、2人の別々の緑内障患者中の細胞外ベシクルが「緑内障関連EV凝集体」中に位置するEVについて、同様のサイズおよび個数を示すことを示している。(a)POAGと診断された2人の対象から取得したヒト房水におけるEV集団のグラフ表示。発明者らは、各対象の房水をEDCで固定し、透過型電子顕微鏡法で、標本とともに撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量化した。発明者らにより、凝集体内に存在するEV(互いに接触するEVと定義する)が観察された。データは、対象1号(灰色バー)対象2号(黒色バー)由来の緑内障関連EV凝集体内に存在するEVのサイズおよび個数を示す。データを正規化し、両方のサンプルとも緑内障関連EV凝集体内に存在するEVについて同様の分布を有することを示す。
【0044】
【
図23】
図23は、POAGと診断されたヒト対象の房水中の細胞外ベシクルが、健常対照対象の房水と比較して、サイズおよび頻度が異なることを示す。(a)POAGと診断された対象および正常な健常対照から取得したヒト房水におけるEV集団のグラフ表示。発明者らは、各対象の房水をEDCで固定し、透過型電子顕微鏡法で、標本と共に撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量化した。発明者らにより、遊離したEV(非凝集体、互いに接触しないEVと定義する)は、健常対照と比較して、サイズおよび頻度が異なることが観察された。データは、健常対照(白色バー)または対象2号(黒色バー)からのPOAG由来の遊離EVのサイズおよび個数を示す。発明者らにより、患者2号の房水に存在する遊離EVが、健常対照と比較して、かなり大きなEVを有することが観察された。
【0045】
【
図24】
図24は、細胞外ベシクルPOAG凝集体は、サイズおよび頻度において、健常ヒト対象と同等であることを示している。(a)健常対照(遊離EV)またはPOAG対象(凝集EV)から取得したヒト対象の房水由来のEV集団のグラフ表示。発明者らは、各対象の房水をEDCで固定し、透過型電子顕微鏡法で、標本と共に撮像した。写真を分析し、EVサイズおよび個数を定量化した。発明者らにより、遊離したEV(非凝集体、互いに接触しないEVと定義する)は、2人の別々のPOAG対象の凝集体内に位置するEVと比較して、サイズおよび頻度が同等であることが観察された。データは、健常対照由来の遊離したEV(白色バー)、POAG対象1号由来の凝集したEV(灰色バー)、対象2号由来の遊離EV(ストライプバー)のサイズおよび個数を示す。
【0046】
【
図25】
図25は、剤である塩化セチルピリジニウムが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図25を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約64 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤塩化セチルピリジニウム-BVHサンプル(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しく低く、その差は持続した。この結果は、剤塩化セチルピリジニウムが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0047】
【
図26】
図26は、剤であるポリミキシンBが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図26を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約250 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ポリミキシンBサンプル(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しく低く、その差は持続した。この結果は、剤ポリミキシンBが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0048】
【
図27】
図27は、剤であるネオマイシンが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図27を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約64 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ネオマイシン(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも72%も低く、その差は持続した。この結果は、剤ネオマイシンが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0049】
【
図28】
図28は、剤である塩化ヘパリンが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図28を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約67 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤塩化ヘパリン(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも32%も低く、その差は持続した。この結果は、剤塩化ヘパリンが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0050】
【
図29】
図29は、剤であるドデシル硫酸ナトリウムが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図29を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約60 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ドデシル硫酸ナトリウム(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しき高かった。この結果は、剤ドデシル硫酸ナトリウムは、緑内障モデルにおいてIOPを低減しないネガティブ対照であることを示した。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、緑内障疾患を検出し、同定し、治療する方法、組成物、デバイス、キットおよび試薬を提供する。本発明の具体例は、ガイドとして眼内房水の超微細構造特徴、および緑内障治療用医療機器のマーカーを利用する。
【0052】
いくつかの局面において、本発明は、緑内障対象において、眼内圧を降下し、眼内流出を増大する方法および組成物を提供する。本発明の局面は、眼水中の凝集特徴および構造の形成および存在を低減し得る。
【0053】
さらなる局面において、本開示は緑内障用の治療組成物を提供する。
【0054】
本発明の具体例は、緑内障の凝集特徴、ならびに眼内圧および眼内流出を測定し、キャラクタライズするデバイスを提供する。
【0055】
本開示のさらなる局面は、緑内障用の診断およびスクリーニング医療機器を包含する。さらなる具体例は、前記を実行するキットおよび試薬を包含する。
【0056】
本発明の具体例は、ここで識別する独特かつ信頼性のある超微細構造バイオマーカーに基づく、緑内障診断を提供し得る。前記超微細構造成分は線維柱帯網をブロックし得、IOPを上昇し、長期にわたり、眼内房水流出抵抗が増加して、眼内圧を上昇させ、最終的に視力喪失をもたらす。POAGの患者の房水流体中の前記超微細構造成分は、大きなEV複合体の中に一緒に形成されたEV凝集体中に反映され得る。前記EV複合体は、数ミクロンのサイズであり得、緑内障関連EV複合体である。前記EV複合体は、緑内障患者サンプル中に存在することができ、線維柱帯網をブロックするのに十分のサイズである。
【0057】
本発明の具体例は、治療方法および生物学的方法での使用のために、この超微細構造成分のEV複合体を精製し、および/または合成するための組成物および方法を提供し得る。
【0058】
本発明の具体例は、POAGのセラピーおよび治療、ならびにPOAG房水標本を試験するための組成物および方法を提供し得る。
【0059】
いくつかの具体例において、緑内障関連EV複合体は、解離その他のルートによって低減し得る。
【0060】
追加的な具体例において、本発明の組成物および方法は、眼内圧を降下し、および/または眼内流出を増大し得る。
【0061】
本発明の具体例は、緑内障を治療する方法をさらに企図する。
【0062】
ある種の局面において、緑内障疾患は、EV複合体に作用する界面活性剤を投与することによって治療することができる。界面活性剤は、緑内障障害の少なくともひとつの症状または状態を改善し、緩和し、抑制し、軽減し、遅延し、および/または予防するために用いることができる。
【0063】
眼を閉鎖室として見ることができる(
図1、左)。IOPは、房水形成の速度および流体退出速度によって決定できる(
図1、右)。一般に、緑内障における低減された房水流出は、高まったIOPに関連し得る。房水流出は、上昇したIOPおよび緑内障性視覚損傷に関連し得る。房水は、2つの経路:線維柱帯網および、程度は低いが、ぶどう膜強膜流出を経由して眼から退出する(
図2)。
【0064】
異常房水流出は、上昇したIOPを引き起こし得る。線維柱帯網 (TM)は、流出の主たる部位であり得る。TMは、シュレム管経由で前房から退出させる一連の有窓条痕からなるフィルター様組織である。TMの主な機能は、房水を眼から退出させ、IOPを確立することにある。
【0065】
角強膜組織 (JCT)または篩状領域は、シュレム管の隣にあり、IOPの確立に関係するであろうTMの領域である。房水流出に対して最も抵抗する部位は、JCT組織であり得、それは、およそ2~20μmと測定される。JCTは、緩く配置された細胞外マトリクス (ECM)からなり、その中に、細胞が埋め込まれている。
【0066】
TMを通る房水流れの異常な規制は、上昇したIOPに関連するであろう。TMのECMは、眼内流体流出を隔離することができるバリアであり得る。
【0067】
JCT出口、その他のTM組織の穿孔よりも大きな、緑内障患者の房水中の超微細構造特徴または組成物は、TMをブロックし得る。
【0068】
房水中の超微細構造特徴または組成物は、細胞外ベシクル (EV)に基づく構造を包含し得る。EVは、タンパク質、脂質、および核酸のような生体分子のひとつの細胞からもうひとつへの移送による細胞内連絡に関連する移送ナノベシクルである。
【0069】
一般に、種々の細胞型は血液、脳脊髄液、および尿のような流体にEVを分泌する。実例は、およそ35 nmのエクソメア、約40~100 nmのエクソソーム、約100~1000 nmのより大きな微小ベシクル体、および約1~5μmのアポトーシス小体を包含する。EVは、疾患の病態生理学に関連し得る。
【0070】
本発明のいくつかの具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼内流体をキャラクタライズすることに利用される。
【0071】
さらなる具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、IOPを決定するデバイスに利用し得る。EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、IOPの降下における治療効果を決定するためにモニターし得る。EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、IOPの降下における治療効果を決定するためのバイオマーカーとしてモニターし得る。
【0072】
追加的な具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼内流出を測定するためのデバイスに利用し得る。EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼内流出の増加における治療効果を決定するためにモニターし得る。EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼内流出の増加における治療効果を決定するためのバイオマーカーとしてモニターし得る。
【0073】
さらなる具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼水内における凝集特徴、構造および粒子の形成および存在を低減させるのに利用される。
【0074】
ある種の具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、眼内状態およびパラメータを決定するためのデバイスに利用される。
【0075】
追加的な具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、対象において緑内障を同定するのに利用される。
【0076】
さらなる具体例において、EVに基づく超微細構造特徴および組成物は、緑内障用の方法、キットおよび試薬に利用される。
【0077】
いかなる特定の理論に拘泥することなく、緑内障におけるEVに基づく超微細構造特徴および組成物は、TMおよび/または他の流出をブロックする、より大きな構造を有することができる。
【0078】
ここに記載される方法および組成物で治療し得る緑内障障害、ここでは「緑内障」と称するが、それは、限定されないが、境界性所見を伴う前緑内障開放隅角、開放隅角、低リスク、解剖学的狭角原発性閉塞隅角と疑われる者、ステロイド反応陽性者、高眼圧、緑内障損傷を伴わない原発性閉塞隅角(視神経または視野の喪失を伴わないPASまたは高IOP)、特定されない開放隅角緑内障、原発性開放隅角緑内障、慢性単性緑内障、低眼圧緑内障、色素性緑内障、水晶体偽落屑を伴う嚢性緑内障、開放隅角緑内障の残遺期、特定されない原発性閉塞隅角緑内障、急性閉塞隅角緑内障発作、慢性閉塞隅角緑内障、間欠性閉塞隅角緑内障、閉塞隅角緑内障の残遺期、眼外傷続発性緑内障、眼炎症続発性緑内障、網膜血管梗塞、1型糖尿病合併症、2型糖尿病合併症、水晶体の障害、眼内レンズの障害、他の眼症状後の障害、新生物、または良性もしくは悪性新生物を包含する。薬物続発性緑内障、上昇した上強膜静脈圧を伴う緑内障、分泌過多緑内障、房水誤誘導悪性緑内障、他所に分類される疾患における緑内障、先天性緑内障、アクセンフェルト異常、牛眼症、小児の緑内障、新生児の緑内障、水眼、円錐角膜、緑内障を伴う先天性緑内障大角質、先天性緑内障における巨大眼球、緑内障を伴う巨大角膜、絶対緑内障も包含される。眼科の薬物および調剤の副作用、急性濾胞性結膜炎、炭酸脱水酵素阻害剤の副作用、ならびに眼科の薬物および調剤の投薬の副作用も包含される。
【0079】
いくつかの具体例において、本開示の組成物は、全身投与し得る。全身投与は、静脈内投与、経口投与、動脈内投与、吸入、鼻腔内投与、腹腔内投与、腹部内投与、皮下投与、関節内投与、くも膜下腔内投与、経硬膜投与、経真皮 (transdermal)投与、粘膜下投与、舌下投与、経腸投与、非経口投与、経皮 (percutaneous)投与、関節周囲投与、または脳室内投与により達成し得る。
【0080】
さらなる具体例において、本開示の組成物は、局所投与し得る。組成物は、眼組織に局所投与することができる。ここで用いるとき、用語「眼組織」は、強膜の内部、例えば、網膜、および、強膜の外側、例えば、眼窩内部の眼筋内の組織を包含する眼をいう。眼組織は、視神経、膝状体および視覚野のような、眼から区別されるが、神経的に結合する組織も包含する。眼組織への局所投与は、眼内投与により達成し得る。眼内投与は、前房内投与、硝子体内投与、または網膜下投与により実行し得る。
【0081】
追加的な具体例において、眼組織への局所投与は、眼周囲投与により達成し得る。眼周囲投与は、結膜下注射、テノン嚢下注射、直接眼内注射、またはデポ眼周囲注射により実行し得る。
【0082】
対象には、治療上有効量の前記組成物を投与することができる。治療上有効量は、治療される病気の少なくともひとつの症状または状態を改善し、緩和し、抑制し、軽減し、遅延し、および/または予防する有効量であり得る。
【0083】
ある種の具体例において、治療上有効量は、治療される眼状態を改善する有効量であり得る。用量は、種々のパラメータ、特に、治療すべき患者の状態の重篤性、年齢および体重;投与のルート;ならびに必要な投薬計画に従って、決定することができる。あらゆる特別の患者に対して、必要とされる投与のルートおよび用量を決定できるであろう。用量は、投与される前記組成物の相対的な薬効に依存して変化させることができ、通常、イン・ビトロおよびイン・ビボモデルにおいて有効であることが見いだされた半数効果濃度 (EC50)に基づき見積もられる。
【0084】
緑内障における細胞外ベシクルおよび凝集体
本発明の具体例は、生体液中のEVを検出する方法を提供する。特定の方法において、架橋剤を用いて、例えば、電子顕微鏡法でEV超構造の確実な撮像を提供し得る。さらなる方法において、グルタルアルデヒド代替架橋剤を用い得る。
【0085】
本発明の付随的な具体例は、緑内障におけるEV複合体を検出し、キャラクタライズすることを企図する。緑内障におけるEV複合体は、TMまたはJCTをブロックし、眼内房水流出経路を阻害し得る。
【0086】
ある種の局面において、緑内障におけるEVは、EV複合体中で一緒に凝集し得る。緑内障関連EV複合体は、サイズまたは直径において数ミクロンまでである。
【0087】
緑内障において、EV複合体は、疾患の超微細構造特徴であり得る。この超微細構造特徴は、緑内障をキャラクタライズするためのターゲットであり得る。EV複合体は、緑内障用の治療パラメータの検出および医療機器に用い得る。いくつかの具体例において、EV複合体は、診断、予知、および/または緑内障組成物のスクリーニングに使用し得る。EV複合体は、治療組成物、用量および投与計画を決定するためのデバイスにも使用できる。
【0088】
ここで用いるとき、用語「直径」は、細胞外ベシクル複合体のような非定型粒子の最長直線寸法をいう。球形ベシクルのような定型粒子について、用語「直径」は、中心を通り球上に端点を持つ線分という、通常の意味を有する。
【0089】
いくつかの局面において、本開示は、緑内障由来の精製EV複合体の組成物を提供する。緑内障由来の精製EV複合体は、眼内圧および眼内流出に関連し得るEV超微細構造成分における変化を分析し、検出するためのデバイスに使用し得る。本発明は、眼内閉塞および眼内流出をキャラクタライズし、測定するために使用し得る精製EV複合体を含有するデバイスを提供する。緑内障由来の精製EV複合体は、眼内EV超微細構造成分に対する治療剤のスクリーニング効果のためのデバイスに使用し得る。
【0090】
さらなる局面において、本開示は、緑内障をキャラクタライズするための合成EV複合体の組成物を提供する。緑内障をキャラクタライズするための合成EV複合体は、眼内圧および眼内流出に関連し得るEV超微細構造成分おける変化をアッセイし、検出するためのデバイスに使用し得る。本発明は、眼内閉塞および眼内流出をキャラクタライズし、測定するために使用し得る合成EV複合体を含有するデバイスを提供する。緑内障由来の合成EV複合体は、眼内EV超微細構造成分に対する治療剤のスクリーニング効果のためのデバイスに使用し得る。
【0091】
EV複合体のようなEV超微細構造成分は、細胞外ベシクルの複合体または凝集体で構成され得る。前記細胞外ベシクルの例は、エクソメア、エクソソーム、多胞体、管腔内ベシクル (ILV)、多胞エンドソーム (MVE)、オンコソーム、微小ベシクル体、アポトーシス小体、またはエンドソームもしくは原形質膜を起源とするベシクルを包含する。
【0092】
細胞外ベシクルの複合体または凝集体は、マイクロメートルの直径、または約1マイクロメートルより大きな直径を有するタンパク質-EV構造であり得る。
【0093】
細胞外ベシクル凝集体は、約360から約21,000ナノメータ (nm)のサイズを有し得る。
【0094】
例えば、エクソメアは直径約35 nmであり得、エクソソームは直径約40~100 nmであり得、微小ベシクル体は直径約100~1000 nmであり得、アポトーシス小体は直径約1~5マイクロメートルであり得る。
【0095】
細胞外ベシクルの複合体または凝集体は、10、20、30、40、50、100、200、500個以上の細胞外ベシクルを含有するであろう。
【0096】
例えば、健常対象は、遊離EVを有し、それは、直径約100~200 nmの非凝集EVであり、それは、主にエクソソーム、ならびに数マイクロメートルサイズのベシクルである。健常対象は、房水中に直径0.4~20マイクロメートルより大きなEV凝集体またはEV超微細構造特徴を有さないであろう。
【0097】
例えば、緑内障において、対象は直径0.4~20マイクロメートルより大きなEV凝集体を有することがある。健常対象は、約36~300 nmの小EV凝集体を有し、それは、主に、エクソメア、ならびにいくつかの微小ベシクル体である。緑内障対象は、低減した量の遊離EV、または、非常に数少ない残存遊離EVを有することがある。緑内障における遊離EVは、健常対象における遊離EVよりもサイズが大きい。緑内障におけるEV凝集体は、エクソメア、エクソソーム、微小ベシクル体、および/またはアポトーシス小体、ならびに他種のベシクルもしくは体のいずれかで構成されることができる。
【0098】
緑内障の凝集特徴に対するデバイス
本発明のデバイスを用いて、緑内障に対する生物学的活性剤の活性をキャラクタライズし得る。本発明のデバイスを用いて、モデルシステムまたは患者病理における眼内状態またはパラメータを検出し、または、キャラクタライズし得る。
【0099】
活性剤は、特に、緑内障おいて治療利益を提供できるであろう。いくつかの具体例において、活性剤は、眼の疾患を治療するのに有効な公知薬物であってよい。
【0100】
いくつかの局面において、本発明のデバイスにおける流体組成物は、種々の技術によって分析し得る。例えば、流体組成物は、イメージング技術によって分析し得る。
【0101】
イメージング技術の例は、電子顕微鏡法、実体顕微鏡法、広視野顕微鏡法、偏光顕微鏡法、位相差顕微鏡法、多光子顕微鏡法、微分干渉顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、レーザ走査型共焦点顕微鏡法、多光子励起顕微鏡法、X線顕微鏡法、および超音波顕微鏡法を包含する。
【0102】
イメージング技術の例は、ポジトロン断層法、コンピュータ断層撮像、および磁気共鳴撮像を包含する。
【0103】
アッセイ技術の例は、比色アッセイ、化学発光アッセイ、分光測色法、および光散乱法を包含する。
【0104】
いくつかの具体例において、本発明は、流体組成物の圧力およびフローレートを測定するデバイス(
図3)を提供し得る。前記デバイスは、第1末端に入口、第2末端に出口を有するチャネルを有することができ、前記入口および出口流体接続している。前記デバイスは、流れに抵抗を付与するためにチャネル内に留まる網組成物を有し得る。前記網組成物は、以下の部位のいずれか1以上、または全てを有することができる。ぶどう膜網、角強膜網、おおよび内皮網。
【0105】
いくつかの具体例において、網組成物は、ガラスビーズ、マイクロビーズ、磁性ビーズ、ゲル粒子、デキストラン粒子、またはポリマー粒子で構成され得る。網組成物は、ガラスファイバー、高分子ファイバー、無機ファイバー、有機ファイバー、またはメタルファイバーで構成されることもできる。
【0106】
ある種の具体例において、ぶどう膜網は約25マイクロメートルの穿孔を有していてよい。角強膜網は約2~15マイクロメートルの穿孔を有していてよい。内皮網は約1から4マイクロメートル未満の穿孔を有していてよい。
【0107】
デバイスは、流体組成物を保持する流体容器をさらに含むことができ、流体容器は、前記流体組成物を前記チャネルの入口へ導入するために、前記チャネルの入口と流体接続する。
【0108】
本開示のデバイスは、前記流体組成物を前記チャネルの入口へ導入するために、前記流体容器中の流体組成物に圧力を負荷する圧力源を有し得る。
【0109】
本発明のデバイスは、前記流体組成物のフローレートおよび圧力を前記チャネルの入口にて測定し、前記フローレートおよび圧力をプロセッサに転送するために、前記流体組成物と流体接続するフローセンサーを有し得る。
【0110】
前記デバイスからのシグナルおよびデータは、プロセッサによって受信し得る。前記プロセッサは、フローレートおよび圧力を表示し得る。機械読取可能記憶メディアのようなメモリまたはメディアは、インストラクションまたはファイルを保存し得る。機械読取可能記憶メディアは、非一時的であり得る。
【0111】
本開示のプロセッサは、汎用または専用コンピュータであり得る。プロセッサは、機械読取可能保存デバイスまたはメディアに保存されたインストラクションを実行し得る。プロセッサは、集積回路チップ、マイクロプロセッサ、コントローラー、デジタルシグナルプロセッサを包含し、そのいずれかを用いて、データを受信し、および/または、転送し、ならびに、保存されたインストラクションを実行し得る。プロセッサは、データを変換し、および/または、メモリ、メディアもしくはファイルにデータを保存することもできる。プロセッサは、本発明の方法の1以上のステップを行うことを含むであろうインストラクションを受信し、実行することができる。本発明のデバイスは、1以上の非一時的機械読取可能保存メディア、1以上のプロセッサ、1以上のメモリデバイス、および/または1以上のユーザインターフェースを包含し得る。プロセッサは、データまたは変換データを表示するための一体型ディスプレイを有することができる。
【0112】
いくつかの局面において、デバイスは、マイクロ流体チャネルを有することができる。1以上のチャネルは、マイクロ流体チップ内に配置することもできる。
【0113】
本開示のデバイスは、前記チャネル内で、または前記チャネルの入口にて、もしくは、出口から退出する、流体組成物を分析するために、1以上のディテクターを包含し得る。1以上のディテクターは、前記チャネル内で流体組成物を検出するように配置することもできる。
【0114】
本発明のデバイスは、細胞外ベシクルまたは細胞外ベシクル複合体を含有する網組成物を包含することができる。網組成物に用いるためのEV複合体は、緑内障眼水、房水、または硝子体液から精製することができる。前記眼水は、動物または臨床起源由来であってよい。網組成物に用いるためのEV複合体は、細胞外ベシクルで構成されていてよく、約360から約21,000ナノメータの直径を有していてよい。
【0115】
ある種の具体例において、網組成物に用いるためのEV複合体は、固定剤、安定化成分、またはその構造を安定かつ均質な組成物に変形し得る架橋成分を包含し得る。
【0116】
安定化成分の例は、ここに記載する固定剤、ここに記載する架橋化合物、無機溶媒、ポリペプチド、および医薬上許容される有機塩を包含する。
【0117】
塩の例は、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウム、およびカリウム塩を包含するアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩を包含するアルカリ土類金属塩、有機塩基との塩、例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン、N-メチルD-グルカミン、N-メチルD-グルカミド、t-ブチルアミンで形成されたヒドラバミンなどの有機アミン、およびアルギニンおよびリジンを包含するアミノ酸との塩を包含する。
【0118】
塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、ペル硫酸塩塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩を包含する。
【0119】
架橋された細胞外ベシクル複合体は、可逆的にまたは非可逆的に架橋し得る。
【0120】
架橋された細胞外ベシクルは、可逆的にまたは非可逆的に架橋し得る。
【0121】
いくつかの具体例において、本発明のデバイスは、IOPを降下させ、および/または眼内流出を増大することへの効果について、活性剤を同定し、または、スクリーニングするために使用し得るEV複合体網組成物を含有することができる。網組成物に使用することができるEV複合体は、ドラッグデリバリー賦形剤を包含することができる。デバイス用のEV複合体網組成物は、合成EV複合体または精製EV複合体であってよい。
【0122】
本発明のチャネルの配置の具体例を、
図4に例示する。
【0123】
【0124】
追加的な具体例において、本発明のデバイスは、テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルを測定するために用いることができる。テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルを測定することは、前記テストサンプルに対する診断マーカーを提供し得る。本発明のデバイスを用いて、対象において緑内障または前緑内障を同定し得る。
【0125】
さらなる具体例において、本発明のデバイスは、テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルに関連し得る圧力を測定するために用いることができる。チャネル中の圧力値は、テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルに直接関連し得る。
【0126】
ある種の具体例において、本発明のデバイスは、テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルに関連し得るアッセイ値を測定するために用いることができる。チャネル中の組成物のアッセイ値は、テストサンプルにおけるEV複合体の数量またはレベルに直接関連し得る。例えば、アッセイは、比色アッセイ、化学発光アッセイ、分光アッセイ、または光散乱アッセイであってよい。
【0127】
いくつかの局面において、対象からの房水サンプルが提供され、緑内障細胞外ベシクル複合体の数量について分析され得る。前記対象は、参照値を超過する数量に基づいて緑内障または前緑内障を有すると同定され得る。参照値は、健常個体の参照集団における緑内障細胞外ベシクル複合体の数量またはレベルであり得る。前記対象は、緑内障または前緑内障を有すると診断され得る。前記対象からの次なるテストサンプルを用いて、前回のテストサンプルを超過するか、または、超過しない、緑内障細胞外ベシクル複合体の数量またはレベルをモニターでき、それは、前記対象において、IOPを降下させ、および/または眼内流出を増大させることに関連し得る。
【0128】
ある種の具体例において、緑内障細胞外ベシクル複合体の数量またはレベルは、個数、サイズ、密度、モルホロジー、および前記細胞外ベシクル複合体の空間分布のうち1以上を包含することができる。
【0129】
いくつかの具体例において、参照値は、健常個体の参照集団における緑内障細胞外ベシクル複合体の数量またはレベルであり得る。前記参照値は、参照集団由来のサンプルの平均値であり得る。
【0130】
緑内障は、対象に見いだすことができ、そこでは、前記対象由来のテストサンプルは、緑内障参照値を超過する緑内障細胞外ベシクル複合体の数量またはレベルを含有する。
【0131】
ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有する細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたりゼロのものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有する細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり10個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有する細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり50個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有する細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり100個のものである。
【0132】
ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有し、360 nmより大きな細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたりゼロのものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有し、360 nmより大きな細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり10個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有し、360 nmより大きな細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり50個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、10個以上の凝集した細胞外ベシクルを含有し、360 nmより大きな細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり100個のものである。
【0133】
ある種の具体例において、緑内障参照値は、360 nmより大きい細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり10個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、360 nmより大きい細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり50個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、360 nmより大きい細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり100個のものである。ある種の具体例において、緑内障参照値は、360 nmより大きい細胞外ベシクル複合体の個数がサンプルあたり200個のものである。
【0134】
さらなる局面において、本発明のデバイスにおける網組成物は、水晶体のある動物眼の前房または部分であり、ここに、眼のTMは、前記チャネルの入口と出口との間を向いている。
【0135】
方法
POAGの患者における房水中の細胞外ベシクルは、健常対照の集団と比較することができる。緑内障のような眼科病理の対象における房水中のEV複合体超構造は、白内障以外に眼科病理のない対象のような健常対照と比較することができる。緑内障対象における房水中のEV複合体のレベルは、健常対象におけるレベルを超過し得る。
【0136】
緑内障房水中のEVの種類は、健常対象におけるものよりも大きい。いくつかの具体例において、より大きなEV構造のレベルを低減して、房水網の閉塞をなくし、かつ、房水流出を増大し得る。緑内障房水中のEV複合体は、健常対象中のあらゆるEVよりも大きい。いくつかの具体例において、EV複合体のレベルを低減して、房水網の閉塞をなくし、かつ、房水流出を増大し得る。
【0137】
ある種の具体例において、健常ヒト房水中のEVは、凝集することなく、拡散して、均等に分散し得る。健常対照房水は、非凝集で、かつ、拡散分布を有するEVを含有することができる。
【0138】
緑内障EV複合体は、健常対照に観察されるEVよりも大きく、かつ、線維柱帯網をブロックすることができる。
【0139】
いくつかの具体例において、精製EV複合体は、POAGにおける房水から取得することができる。前記精製EV複合体は、数ミクロンのサイズであってよい。前記緑内障EV複合体は、JCTの開口(1から4μm、または2から20μmまで)よりも大きく、角強膜組織を閉塞するのに十分に大きい。POAGにおけるEV複合体を用いて、線維柱帯網をブロックし、房水流出を低減することができる。ある種の具体例において、EV複合体のレベルを低減して、線維柱帯網のブロックをなくし、かつ、房水流出を増大し得る。
【0140】
例えば、EV複合体は、ビマトプロストのような活性剤を含有する組成物と接触させ得る。これらの具体例において、EV複合体のレベルを低減して、線維柱帯網のブロックをなくし、かつ、房水流出を増大し得る。
【0141】
ある種の局面において、緑内障EV複合体のレベルまたは数量は、ビマトプロストのような活性剤を投与することによって、POAG対象において低減することができる。
【0142】
さらなる具体例において、精製EV複合体は、約360 nmから21,000 nmのサイズを有し得る。精製EV複合体は、健常房水中に見いだされるあらゆる粒子よりも実質的に大きい。
【0143】
追加的な具体例において、精製EV複合体は、約360 nmから約21,000 nm、または360 nmから約10,000 nm、または360 nmから約5,000 nm、または360 nmから約3,000 nm、または360 nmから約2,000 nm、または360 nmから約1,000 nmのサイズを有し得る。
【0144】
精製EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、約5から約300個、または10から300個、または10から200個、または10から100個、または10から50個、または10から40個、または10から20個であり得る。
【0145】
精製EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、20から300個、または30から300個、または40から300個、または50から300個であり得る。
【0146】
精製EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、20から200個、または20から100個、または30から200個、または30から100個、または40から200個、または40から100個、または50から200個、または50から100個であり得る。
【0147】
いくつかの具体例において、精製EV複合体は、ぶどう膜網に対するサイズの粒子を提供し得る。ぶどう膜網に対する精製EV複合体は、約10,000 nmから約25,000 nm、または15,000 nmから25,000 nm、または20,000 nmから25,000 nmであり得る。
【0148】
さらなる具体例において、精製EV複合体は、角強膜網に対するサイズの粒子を提供し得る。角強膜網に対する精製EV複合体は、約1,000 nmから約15,000 nm、または2,000 nmから10,000 nm、または2,000 nmから5,000 nmであり得る。
【0149】
追加的な具体例において、精製EV複合体は、内皮網に対するサイズの粒子を提供し得る。内皮網に対する精製EV複合体は、約360 nmから約1,000 nm、または360 nmから2,000 nm、または260 nmから3,000 nm、または1,000 nmから3,000 nmであり得る。
【0150】
IOPの確立に関係するTMの領域は、シュレム管の隣にあり、角強膜組織 (JCT)または篩状領域と呼ばれる。
【0151】
EV複合体は、EVを試薬に接触させて、より大きな構造を形成することによって合成し得る。試薬は、固定剤、架橋剤、およびバッファー懸濁液を包含し得る。合成EV複合体は、互いに接触して凝集体を形成する多数のEVで構成されていてよい。
【0152】
合成EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、約5から約300個、または10から300個、または10から200個、または10から100個、または10から50個、または10から40個、または10から20個であり得る。
【0153】
合成EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、20から300個、または30から300個、または40から300個、または50から300個であり得る。
【0154】
合成EV複合体において、互いに接触しているEVの個数は、20から200個、または20から100個、または30から200個、または30から100個、または40から200個、または40から100個、または50から200個、または50から100個であり得る。
【0155】
追加的な具体例において、合成EV複合体は、約360 nmから約25,000 nm、または360 nmから21,000 nm、または360 nmから約10,000 nm、または360 nmから約5,000 nm、または360 nmから約3,000 nm、または360 nmから約2,000 nm、または360 nmから約1,000 nmのサイズを有し得る。
【0156】
いくつかの具体例において、合成EV複合体は、ぶどう膜網に対するサイズの粒子を提供し得る。ぶどう膜網に対する合成EV複合体は、約10,000 nmから約25,000 nm、または15,000 nmから25,000 nm、または20,000 nmから25,000 nmであり得る。
【0157】
さらなる具体例において、合成EV複合体は、角強膜網に対するサイズの粒子を提供し得る。角強膜網に対する合成EV複合体は、約1,000 nmから約15,000 nm、または2,000 nmから10,000 nm、または2,000 nmから5,000 nmであり得る。
【0158】
追加的な具体例において、合成EV複合体は、内皮網に対するサイズの粒子を提供し得る。内皮網に対する合成EV複合体は、約360 nmから約1,000 nm、または360 nmから2,000 nm、または260 nmから3,000 nm、または1,000 nmから3,000 nmであり得る。
【0159】
細胞外ベシクルおよびEV複合体の合成および精製
いくつかの具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲルろ過クロマトグラフィーによって精製し得る。
【0160】
ある種の具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、遠心分離、分画遠心分離、密度勾配遠心分離、または超遠心分離によって精製し得る。
【0161】
追加的な具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、沈殿試薬、例えば、高分子沈殿試薬、プロタミン、酢酸ナトリウム、または有機溶媒を用いて精製し得る。
【0162】
いくつかの具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、免疫アフィニティー捕捉技術を用いて精製し得る。
【0163】
さらなる具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、マイクロ流体デバイス、音響流体デバイス、およびマイクロ流体チップを用いて精製し得る。
【0164】
追加的な具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、順次ろ過技術を用いて精製し得る。
【0165】
さらなる具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルは、チューナブルポアセンサを用いる抵抗性パルスセンシングまたはチューナブル抵抗性パルスセンシングを用いて検出し得る。
【0166】
ある種の具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルは、電子顕微鏡法、光学顕微鏡法およびフローサイトメトリーによって検出し得る。
【0167】
追加的な具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルは、動的光散乱法および/または質量分析法によって検出し得る。
【0168】
いくつかの局面において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、まず、細胞培養からベシクルを単離することによって精製し得る。
【0169】
ある種の局面において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体は、合成し、単離し、および/または、まず、眼水のような体液からベシクルを単離することによって精製し得る。単離したベシクルは、希釈し、ろ過し、プロテアーセ阻害剤で保護し得る。
【0170】
さらなる具体例において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルおよびEV複合体の精製のステップは、固定剤に接触させることを包含する。
【0171】
いくつかの局面において、エクソソームを包含する細胞外ベシクルは、制御された生物発生およびイン・ビトロ成長細胞系統からの放出によって合成し得る。
【0172】
活性剤
活性剤の例は、小分子薬、タンパク質、核酸、多糖類、バイオ製剤、およびそれらの組合せを包含する。
【0173】
活性剤の例は、サイトカイン、成長因子、タンパク質、ペプチド、代謝拮抗剤、シグナリングモジュレータ、抗生物質、抗体、化学療法化合物、およびそれらの組合せを包含する。
【0174】
活性剤の例は、抗感染症剤、麻酔剤、抗VEGF剤、抗炎症剤、眼内圧降下剤、およびそれらの組合せを包含する。
【0175】
活性剤の例は、麻酔剤、鎮痛剤、およびそれらの組合せを包含する。
【0176】
活性剤の例は、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、およびそれらの組合せのような、細胞輸送または移動阻害剤を包含する。
【0177】
活性剤の例は、抗緑内障薬包含する。
【0178】
活性剤の例は、チモロール、ベタキソロール、アテノロール、プロスタグランジン、およびそれらの組合せのようなベータ遮断薬を包含する。
【0179】
活性剤の例は、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ラタノプロスト、ウノプロストン、およびそれらの組合せのような脂質受容体作動薬またはプロスタグランジン類似体を包含する。
【0180】
活性剤の例は、ブリモニジン、ジピベフリン、およびそれらの組合せを包含するアルファアドレナリン作動薬を包含する。
【0181】
活性剤の例は、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロフェナミド、ダイアモックス、およびそれらの組合せのような炭酸脱水酵素阻害剤を包含する。
【0182】
活性剤の例は、ニモジピンのような神経保護剤を包含する。
【0183】
活性剤の例は、ラパマイシン、グラチラマーアセタート、補体C5aR遮断薬、毛様体神経栄養因子、フェンレチニド、レオフェレーシス、およびそれらの組合せのようなドライ型AMD用の剤を包含する。
【0184】
活性剤の例は、メカミラミン;VEGF Trap-Eye、補体阻害剤POT-4のようなウェット型AMD用の剤を包含する。
【0185】
活性剤の例は、ベバシズマブ、BIBW 2992、セツキシマブ、イマチニブ、トラスツズマブ、ゲフィチニブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、スニチニブ、エルロチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パニツムマブ、バンデタニブ、E7080、およびそれらの組合せのようなキナーゼ阻害剤を包含する。
【0186】
活性剤の例は、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、およびエリスロマイシンのような抗生物質を包含する。
【0187】
活性剤の例は、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾールおよびスフファフラゾールのような抗菌剤を包含する。
【0188】
活性剤の例は、フルコナゾール、ニトロフラゾン、アムホテリシンB、およびケトコナゾールのような抗真菌剤を包含する。
【0189】
活性剤の例は、トリフルリジン、アシクロビル、ガンシクロビル、DDI、AZT、ホスカルネット、ビダラビン、トリフルオロウリジン、イドクスウリジン、リバビリン、プロテアーセ阻害剤、および抗サイトメガロウイルス剤のような抗ウイルス剤を包含する。
【0190】
活性剤の例は、メタピレリン;クロルフェニラミン、ネピラミンおよびプロフェンピリダミンのような抗アレルギー剤を包含する。
【0191】
活性剤の例は、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フロオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾンおよびトリアムシノロンのような抗炎症剤を包含する。
【0192】
活性剤の例は、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドロゾリン;縮瞳剤、ならびにムスカリン剤のような充血緩和剤を包含する。
【0193】
活性剤の例は、ピロカルピン、カルバコール、ジソプロピルフルオロホスファート、ヨウ化ホスホリン、および臭化デマカリウムのような抗コリンエステラーゼ剤を包含する。
【0194】
活性剤の例は、散瞳剤アトロピン硫酸塩、シクロペンタレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピンのようなを包含する。
【0195】
活性剤の例は、エピネフリンのような交感神経興奮剤を包含する。
【0196】
活性剤の例は、ラニビズマブ、ベバシザマブ、およびトリアムシノロンを包含する。
【0197】
活性剤の例は、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシンを包含する非ステロイド性抗炎症剤 (NSAID);およびCOX-2阻害剤のような抗炎症剤を包含する。
【0198】
活性剤の例は、シロリムスを包含する免疫抑制剤を包含する。
【0199】
活性剤の例は、テトラサイクリンのようなマトリックスメタロプロテイナーゼ (MMP)阻害剤を包含する。
【0200】
活性剤の例は、ヘパリン、アンチフィブリノゲン、フィブリノリシン、および抗凝固剤アクチバーゼのような抗凝固剤を包含する。
【0201】
活性剤の例は、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリベンクラミド、トラザミド、トルブタミド、インスリン、およびアルドースレダクターゼ阻害剤を包含する抗糖尿病剤を包含する。
【0202】
活性剤の例は、トンゾニウムのようなアミンを包含する。
【0203】
活性剤の例は、タウロコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、ベンザルコニウム、セチルピリジニウム、タウロケノデオキシコール酸、ポリドカノール、およびチロキサロールのような洗剤を包含する。
【0204】
活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムのような脂質を包含する。
【0205】
活性剤の例は、ポリミキシンBのような抗菌剤を包含する。
【0206】
活性剤の例は、トンゾニウムならびに関連する化合物トンジルアミン、メピラミンおよびピリベジルのようなアミンを包含する。
【0207】
活性剤の例は、アセクリジン、アセタゾラミド、アセチルシステイン、アシクロビル、アフリベルセプト、アルカフタジン、アルクロメタゾン、アルテプラーゼ、アンピシリン、アネコルタブ、アスコルビン酸、アトロピン、アゼラスチン、アジスロマイシン、ベフノロール、ベンダザック、ベンジルペニシリン、ベシフロキサシン、ベタメタゾン、ベタキソロール、ビブロカトール、ビマトプロスト、ブリモニジン、ブリンゾラミド、ブロムフェナク、カルバモイルコリン、カルテオロール、セルロキシム、セネゲルミン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、キモトリプシン、シンコカイン、シプロフロキサシン、クロベタゾン、クロニジン、コカイン、コルチゾン、クロモグリク酸、シクロペンタレート、シクロスポリン、システアミン、ダピプラゾール、デメカリウム、デソニド、デキサメタゾン、デクスパンテノールジブロモプロパミジン、ジクロフェナク、ジクロフェナミド、ジヒドロストレプトマイシン、ジピベフリン、ドルゾラミド、エコチオファート、エデト酸ナトリウム、エメダスチン、エフェドリン、エピナスチン、エピネフリン、エリスロマイシン、エチルモルフィン、ファムシクロビル、フルドロコルチゾン、フルオロシノロンアセトニド、フルオコルトロン、フルオレセイン、フルオロメトロン、フルルビプロフェン、ホミビルセン、ホルモコルタール、フラマイセチン、フシジン酸、ガンシクロビル、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン、グアイアズレン、グアネチジン、ヘパリン、ヘキサミジン、ホマトロピン、ヒアルロン酸、ヒドロコルチゾン、ハイプロメロース、イボパミン、イドクスウリジン、インドメタシン、イノシン、カナマイシン、ケトロラク、ケトチフェン、ラタノプロスト、レボブノロール、レボカバスチン、レボフロキサシン、リドカイン、リフィテグラスト、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロテプレドノール、メドリソン、メタゾラミド、メタスコポラミン、メチルプレドニゾロン、メチプラノロール、ミクロノミシン、モキシフロキサシン、ナンドロロン、ナファゾリン、ナタマイシン、ネドクロミル、ネオマイシン、ネオスチグミン、ネパフェナク、ネタルスジル、ネチルミシン、ニトロフラゾン、ノルフロキサシン、オクリプラスミン、オフロキサシン、オロパタジン、オキシブプロカイン、オキシメタゾリン、オキシフェンブタゾン、オキシテトラサイクリン、パラオキソン、ペガプタニブ、フェニレフリン、フィゾスチグミン、ピクロキシジン、ピロカルピン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ヨウ化カリウム、ポピドンヨウ素、プラノプロフェン、プレドニゾロン、プロカイン、プロパミジン、プロピオン酸、プロパラカイン、ラニビズマブ、レゾルシノール、リボフラビン、リファマイシン、リメキソロン、ローズベンガル遊離酸、サリチル酸、スコポラミン、シロリムス、ホウ酸ナトリウム、スパブルム酸、スルファセタミド、スルファジクラミド、スルファメチゾール、スルファフェナゾール、スフファフラゾール、シネフリン、タフルプロスト、テトラカイン、テトラサイクリン、テトリゾリン、チモロール、トブラマイシン、トラボプロスト、トリアムシノロン、トリフリジン、トロピカミド、チロスリシン、ウノプロストン、ベルテポルフィン、ビダラビン、ビタミンA、およびキシロメタゾリンのような眼剤を包含する。
【0208】
活性剤の例は、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスパルギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エトレチナート、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメスエロン、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、サルグラモスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、チオグアニン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンのような抗がん剤を包含する。
【0209】
活性剤の例は、ホルモン、ペプチド、ステロイド、核酸、糖類、脂質、糖脂質、および糖タンパク質を包含する。
【0210】
活性剤の例は、下垂体、インスリン、インスリン関連成長因子、甲状腺、および成長ホルモンのようなエンドクリンホルモンを包含する。
【0211】
活性剤の例は、ヒートショックタンパク質を包含する。
【0212】
活性剤の例は、ムラミルジペプチド、シクロスポリン、インターフェロン、インターロイキン-2、サイトカイン、タクロリムス、腫瘍壊死因子、ペントスタチン、チモペンチン、トランスフォーミング因子ベータ2、およびエリスロポエチンのような免疫応答調節剤を包含する。
【0213】
活性剤の例は、脳神経成長因子 (BNGF)、毛様体神経成長因子 (CNGF)、および血管内皮成長因子 (VEGF)を包含する。
【0214】
活性剤の例は、抗凝固剤、抗増殖剤、キノキサリン、およびカリウムチャネル遮断薬を包含する。
【0215】
活性剤の例は、メチレンブルー、ブチルヒドロキシアニソール、N-メチルヒドロキシルアミン、2-(4-メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタン、およびアプラクロニジンのようなグアニル酸シクラーゼ阻害剤を包含する。
【0216】
活性剤の例は、アラキドン酸の代謝物誘導体のようなプロスタグランジンを包含する。
【0217】
活性剤の例は、トレハロースのような糖類を包含する。
【0218】
活性成分の例は、ヒアルロン酸、ジメチコン、およびハイプロメロースを包含する粘弾性剤を包含する。
【0219】
活性成分の例は、眼科用粘液外科デバイス、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチンスルファート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシ-プロピル-メチルセルロース、ヒアルロン酸、ジメチコン、およびハイプロメロースを包含する。
【0220】
活性剤の例は、洗剤、浄化または洗浄剤、例えば、長鎖脂肪塩基または酸の塩を包含し、それらは、クレンジング、油溶解性および/または抗菌効果を有し得る。活性剤の例は、グリコケノデオキシコール酸、グリココール酸、ピーナツ油、ベンザルコニウム、セチルピリジニウム、タウロケノデオキシコール酸、ポリドカノール、チロキサロール、タウロコール酸、およびN-ドデシル-N,N-ジメチル3-アンモニオ-1-プロパンスルホナートを包含する。
【0221】
本発明の具体例は、緑内障障害を治療するための活性剤の使用をさらに企図する。いくつかの局面において、緑内障障害は、EV複合体に作用する界面活性剤を投与することによって治療することができる。有効量の界面活性剤を投与して、緑内障障害の少なくともひとつの症状または状態を、改善し、緩和し、抑制し、軽減し、遅延し、および/または予防し得る。ここで用いるとき、用語「界面活性剤」は、広く、界面活性剤、洗剤、浄化または洗浄剤、石けん、およびそれらの修飾変形物をいう。
【0222】
活性剤の例は、ルシナクタント、カルファクタント、ベラクタント、チロキサロール、ラウリル硫酸ナトリウム、トンゾニウム、ノノキシノール-9セタルコニウム、ジメチコン、ポリエチレングリコール400、シナプルチド、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルグリセロール、ラピリウム、ラウリル硫酸ナトリウム (SLS)、ポリエチレングリコール300、トロラミン、ポリソルベート80、ポロキサマー407、テトラデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ドクサート、ポラクタントアルファ、コルホスセリルパルミタート、ヒマシ油、ベンザルコニウム、N-アルキルエチルベンジルジメチルアンモニウム塩 (c12-c14)、クオタニウム-15、アンブロキソール、プマクタント、エタノールアミン、ダイズレシチン、およびコカミドプロピルベタインを包含する界面活性剤を包含する。
【0223】
活性剤の例は、ここに記載され、デリバリーもしくは代謝利用可能性について修飾できるか、またはポリエチレングリコール鎖でPEG化できるか、または付着したポリプロピレングリコール鎖を持っている剤を包含する。本開示は、上記のように、PEG化、もしくは他の鎖修飾のある、修飾修飾活性剤を包含する。
【0224】
活性剤の例は、抗体、抗体フラグメント、VEGF阻害剤、小分子、コルチコステロイド、およびそれらの組合せをを包含する。
【0225】
活性剤の例は、チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、およびそれらの組合せを包含する。
【0226】
活性剤の例は、抗体および抗体フラグメントを包含する。ここでいう用語「抗体」は、全抗体、例えば、二本重鎖および二本軽鎖、その抗体結合フラグメント、例えば、一本鎖抗体 (scFv)、シングルドメイン抗体、例えば、ナノボディまたはFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、および、その変異体、例えば、タンデムscFv、Fdフラグメント、ダイアボディ (diabodies)、トリアボディ (triabodies)を包含する。抗体フラグメントは、当業者に知られている従来技術によって得ることができ、前記フラグメントは、無傷抗体と同様に用いることができる。
【0227】
ここに開示される抗体および抗体フラグメントは、結合ドメインに関して一価、二価、または三価であり得、前記結合ドメインは、設計上、結合特異性において一重特異性、二重特異性、または三重特異性であってよい。適切な抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体混合物を包含する。前記抗体は、キメラ抗体、CDR-グラフト化抗体、ヒト化抗体または、前記したいずれかの抗原結合部位であってよい。治療抗体は、制限なく、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシ、および軟骨魚類を包含する様々な種から由来するであろう。
【0228】
いくつかの具体例において、それらの抗体または抗原結合フラグメントは、眼の疾患または状態の治療に用い得る。抗体または抗原結合フラグメントの例は、抗αvβ3インテグリン抗体および抗α4β1インテグリン抗体、抗上皮成長因子レセプター抗体、抗血管内皮成長因子 (VEGF)レセプター抗体、抗VEGF抗体、例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、抗TNFα抗体、例えば、インフリキシマブおよびアダリムマブ、抗線維芽細胞成長因子抗体、抗上皮成長因子抗体、抗CD20抗体、抗CD52抗体、抗CD11a抗体、および抗IL-2抗体のような、疾患に関連するインテグリンに結合し、かつ、その活性を優先的に遮断し、または、低減するものを包含する。
【0229】
さらなる具体例において、治療用タンパク質は抗体ミメティックであり得る。
【0230】
ここで用いるとき、用語「抗体ミメティック」は、あらゆる有機化合物、例えば、抗体のように抗原に特異的に結合し得、約3~20 kDaである、ペプチドまたはポリペプチドを取り込む。抗体ミメティックは、抗体のCDRループに類似する露出ループにおいて、その標的抗原にアミノ酸を介して結合する足場を含むことができる。抗体ミメティックは、アドネクチン、リポカリン、クニッツドメインベースのバインダー、アビマー、ノッチン、フィノマー、アトリマー、および細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質-4 (CTLA4)ベースのバインダーを包含する。いくつかの例が、Weidleら, The Emerging Role of New Protein Scaffold-based Agents for the Treatment of Cancer, Cancer Genomics & Proteomics 10:155-168 (2013)に示されている。
【0231】
活性剤の例は、ベンズトロピン、ロピニロール、トルカポン、トリヘキシフェニジル、プロシクリジン、プラミペキソール、エンタカポン、ビペリデン、アマンタジン、セレギリン、ブロモクリプチン、レボドパ、デキセチミド、ピリベジル、ブジピン、メレボドパ、プロフェナミン、カベルゴリン、リスリド、プロガバイド、ガバペンチン、メマンチン、オルフェナドリン、3,5-ジニトロカテコール、ピマバンセリン、イフェンプロジル、オピカポン、ベンセラジド、メチキセン、アポモルフィン、ペルゴリド、ラサギリン、ロチゴチン、エチレポドパム、トロパテピン、ジヒドロエルゴクリプチン、フェングルタルイミド、マザチコール、エチベンズトロピン、ボルナプリン、エタナウチン、カルビドパ、サフィナミド、およびデクスプラミペキソールのような、パーキンソン病に用いる剤を包含する。
【0232】
活性剤の例は、エポプロステノールジノプロストン、カルボプロストトロメタミン、ジノプロストントロメタミン、ジノプロストノン、プロスタグランジンD2、プロスタレン、レイジスポンギオライドC、ウノプロストン、ゲメプロスト、リマプロスト、イロプロスト、ラタノプロスト、クロプロステノール、セペタプロスト、ビマトプロスト、フェンプロスタレン、ラタノプルステンブノド、トラボプロスト、カルボプロストトロメタミン、ジノプロストン、タフルプロスト、カバジタキセル、クロプロステノールナトリウム、ビマトプロスト、(-)-コーリーラクトン4-フェニルベンゾアートアルコール、デュタステリド、イソプロピルウノプロストン、ベラプロストナトリウム、プロスタグランジンE1、クロプロステノール、レモデュリン、トレンボロンシクロヘキシルメチルカルボナート、プロスタグランジンF2a、イロプロスト、ミソプロストール酸、ゲメプロスト、9-デオキシ-9-メチレン-16,16-ジメチルプロスタグランジンE2、エノプロスチル、オルノプロスチル、エポプロステノール、スルプロストン、イロプロスト、ロサプロストール、(+)-クロプロステノールナトリウム、カルボプロストトロメタミン、カルボプロスト、ミソプロストール、プロスタサイクリンナトリウム塩、プロスタグランジンE2、およびリマプロストのようなプロスタグランジンを包含する。
【0233】
活性剤の例は、1-アルファ、25-ジヒドロキシル-20-エピ-22-オキサ-24、26,27-トリホモビタミンD3のようなビタミンを包含する。
【0234】
活性剤の例は、ブレフェルジンA、フシジン酸、オバリシン、ナラシン、およびサリノマイシンのような抗生物質を包含する。
【0235】
活性剤の例は、ヒドロコルチゾンシピオナート、ヒドロコルチゾンバレアート、ヒドロコルチゾンブチラート、ヒドロコルチゾンプロブタート、ヒドロコルチゾンアセポナート、プレドニゾロンテブタート、トリロスタンヒドロコルチゾンアセタート、コレステリルリノレアート、メチルプレドニゾロンアセポナート、エルデカルシトールプレグネノロンアセタート、テストストロンプロピオナート、ドロスピレノンクラスコテロンノルエチステロンエナンタート、プレドニゾロンヘミスクシナート、ヒドロキシプロゲステロンカプロナート、トレンボロンアセタート、フルプロステノールアネコルタブアセタート、オレアンドリンコルチゾンアセタート、カルシポトリオールゲストデンジメチルカルバート、カルシポトリオール1-アルファ、24S-ジヒドロキシビタミンD2、エチレノジオールジアセタート、ナンドロロンデカノアート、テストストロンシピオナート、テストストロンウンデカノアート、カルベノキソロン、プロゲステロン-11-アルファ-オル-ヘミスクシナート、エプレレノン、テストストロンスクシナート、およびボルデノンウンデシレナートのようなステロイドを包含する。
【0236】
活性剤の例は、ロバスタチン、アトルバスタチンスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、およびシムバスタチンのようなスタチンを包含する。
【0237】
活性剤の例は、ペントキフィリン、アルガトロバン、およびフォン・ヴィレブランド因子ヒトのような凝集阻害剤を包含する。
【0238】
活性剤の例は、トレプロスチニルのようなプロスタサイクリンを包含する。
【0239】
活性剤の例は、カプロスピノールならびに、コレステリルリノレアート、プレグネノロンアセタート、およびP-57AS3を包含する類似化合物のようなアミロイド標的剤を包含する。
【0240】
活性剤の例は、レイジスポンギオリドAおよびソラフェンA、ならびにカンレノンのようなラクトンを包含する。
【0241】
活性剤の例は、アントロキノロールのようなベンゾキノンを包含する。
【0242】
活性剤の例は、トリプトリドPG-701のようなオキセパンを包含する。
【0243】
活性剤の例は、ジベレリンA4およびフマギリンのような脂質を包含する。
【0244】
活性剤の例は、ミチグリニドのような血中グルコース降下剤を包含する。
【0245】
活性剤の例は、グルテチミドのような中枢神経系抑制剤を包含する。
【0246】
活性剤の例は、シルデナフィル、ウデナフィル、およびバルデナフィのようなベンゼノイドを包含する。
【0247】
活性剤の例は、フシコクシンおよびトレハロースのような炭化水素を包含する。
【0248】
活性剤の例は、ビペリデン、シクリミン、プロシクリジン、およびトリヘキシフェニジルのようなコリン作動剤を包含する。
【0249】
活性剤の例は、シクロヘキサンのようなテルペンを包含する。
【0250】
本開示の分子、化合物および/または組成物は、非対称で、1以上のキラル立体中心を有する。1以上のキラル中心を含有する化合物は、「異性体」、「ジアステレオマー」、「立体異性体」、「光学異性体」、「エナンチオマー」、または「ラセミ体」と記載される物質を包含し得る。立体化学命名法の慣例、例えば、カーン、インゴルドおよびプレローグの立体異性体命名規則、ならびに、立体化学の決定および立体異性体の分離の方法は、当該分野で知られている。例えば、March’s Advanced Organic Chemistry (7th ed., 2013)を参照せよ。本開示の化合物、組成物および構造は、化合物、組成物および/または構造について存在する全ての可能性のある異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、および/または光学異性体を、それらのいかなる混合物、ラセミ体、またはラセミその他の混合物を含み、取り込むことを企図している。
【0251】
化合物は、非溶媒和および溶媒和の形態で、または、水和形態で存在し得る。本開示において、水またはエタノールのような医薬上許容される溶媒での溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であるとみなされる。化合物および塩、またはそれらの溶媒和物は、互変異性体としても存在することができ、それらは等価であるとみなされる。
【0252】
本開示の分子、化合物および/または組成物は、様々な結晶形態で見いだされ、それらを本開示に取り込まれることを企図している。
【0253】
組成物および製剤
本開示の活性剤は、小分子薬、ペプチド、抗体およびタンパク質剤を包含する、眼の疾患用の薬物および剤を包含し得る。
【0254】
活性剤の製剤は、組成物を水に溶解して、水溶液を製造し、その溶液を滅菌することによって調製することができる。
【0255】
本開示の製造は、滅菌注射可能水性または油性懸濁液の形態であり得る。懸濁液は、分散または湿潤剤を含むように配合し得る。滅菌注射可能調製物は非毒性で、医薬上許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液であり得る。
【0256】
溶媒の例は、水、注射用水、リンガー液、平衡化塩食塩水、等張塩化ナトリウム溶液、1,3-ブタンジオール、合成モノまたはジグリセリド、およびオレイン酸のような脂肪酸を包含する。
【0257】
本開示の製剤は、局所デリバリー用の眼滴剤の形態であり得る。
【0258】
眼用製剤は、局所塗布用の溶液または懸濁液であり得る。組成物は、粘稠もしくは半粘稠ゲル、またはその他の固体もしくは半固体組成物であり得る。
【0259】
眼用製剤は、直接注射によって、または、輸液ポンプの使用によって局所デリバリーし得る。
【0260】
眼用製剤は、人工涙担体を包含し得る。
【0261】
眼用製剤は、リン脂質担体を包含し得る。
【0262】
眼用製剤は、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、等張性調節賦形剤、バッファー、共溶媒、および粘度賦形剤を包含し得る。
【0263】
眼用製剤は、賦形剤を包含して、当該製剤の浸透圧を調節することができる。
【0264】
眼用製剤は、多糖類、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デキストラン、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマー、およびアクリル酸系ポリマーのような粘度賦形剤を包含し得る。
【0265】
眼用製剤は、1から400センチポイズ、または1から100センチポイズ、または2から40 cpsの粘度を有していてよい。眼用製剤は、約15、20、25、30、40、または50センチポイズの粘度を有していてよい。
【0266】
本発明の製剤用の賦形剤または担体の実例は、眼科上許容される防腐剤、増粘剤、浸透促進剤、バッファー、塩化ナトリウム、滅菌水、注射用水、およびそれらの組合わせを包含する。
【0267】
本発明の組成物の剤型は、液剤または乳剤であり得る。本発明のの組成物の剤型は、固体であり得、それは投与前に液剤に再構成できる。
【0268】
本開示の組成物は、水中油乳剤の形態でもあり得る。油相は、植物油またはミネラル油であり得る。
【0269】
乳化剤の例は、天然産出ガム、アカシアガム、トラガカントガム、ホスファチド、脂肪酸のエステル、ヘキシトール、ソルビタンモノオレアート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートを包含する。
【0270】
本発明の具体例は、従来用量レベルよりも顕著に低い用量レベルにて、活性剤の有効活性を有利に付与し得る。
【0271】
本開示の活性剤組成物の有効量は、治療する疾患の症状を改善し、または、低減するのに十分な量であり得る。
【0272】
組成物は、単回用量で投与することができ、または、反復用量での投薬計画で投与することができる。
【0273】
活性剤の適当な用量レベルは、当業者によって決定し得る。いくつかの具体例において、活性剤は、組成物中、全製剤の重量の約0.001%から約40%、または約0.01%から約20%、または約0.1%から10%の量で存在し得る。
【0274】
本開示の活性剤は、1以上の医薬上許容される担体と組み合わせ得る。担体は、流体、粘稠溶液、ゲル、または可溶化粒子を包含する様々な形態であり得る。担体の例は、医薬上許容される希釈剤、溶媒、食塩水、および種々のバッファーを包含する。
【0275】
担体、賦形剤および添加剤のいくつかの例は、U.S. Pharmacopeia National Formulary (2014); Handbook of Pharmaceutical Excipients (7th ed., 2013); Handbook of Preservatives (2004, Synapse Information Resources); Remington: The Science and Practice of Pharmacy (22nd ed. 2013); Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co. 1990)に示されている。薬物およびデリバリーのいくつかの例は、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics (13th ed. 2018, McGraw Hill, NY)に示されている。
【0276】
ある種の具体例において、活性剤は、緑内障眼水中の細胞外ベシクル複合体を低減するために、担体なしでデリバリーすることができる。
【0277】
担体の例は、パイロゲンフリー水;等張食塩水、リンガー液、エチルアルコール、およびリン酸塩バッファー溶液を包含する。
【0278】
ポリエチレングリコール (PEG)、ポリプロピレングリコール、または約0.2から約50 kDaの分子量を有するポリ(乳酸-co-グリコール酸)のようなポリマーを包含することができる。
【0279】
担体ポリマーの例は、ポリビニル酢酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸-グリコール酸)コポリマー、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、脂肪酸エステル、およびポリグリセリンを包含する。
【0280】
添加剤の例は、糖類、スクロース、マンニトール、ラクトース、L-アラビノース、D-エリスロース、D-リボース、D-キシロース、D-マンノース、D-ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオース、グリセリン、ポリエチレングリコール、N-メチルピロリドン、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコールを包含する。
【0281】
溶解促進剤の例は、シクロデキストリンを包含する。
【0282】
製剤は、ガラクトース、ラクトース、マンニトール、モノ糖類、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、二糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース、多糖類、マルトデキストリン、デキストラン、スターチ、マンニトール、またはキシリトールを包含し得る。
【0283】
眼用製剤は、ジパルミトイルエチルホスホコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、または3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロールのような脂質を包含することができる。
【0284】
眼用製剤は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-オル-セリン]、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファートのような脂質を包含することができる。
【0285】
眼用製剤は、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンのような脂質を包含することができる。
【0286】
眼用製剤は、脂肪酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、またはアラキドン酸を包含することができる。
【0287】
眼用製剤は、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルエタノールアミンのようなリン脂質を包含することができる。
【0288】
眼用製剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルスターチ、シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、ペクチン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリラクチド、ポリエチレンイミン、またはポリ-L-リジンのようなポリマーを包含することができる。
【0289】
いくつかの具体例において、眼用製剤は、pH調整賦形剤、緩衝性賦形剤、等張性賦形剤、粘性賦形剤、または湿潤性賦形剤の1以上を包含することができる。ある種の具体例において、眼用製剤は、酸性化賦形剤、防腐剤、酸化防止剤、可溶化賦形剤、保湿剤、または懸濁化賦形剤を包含することができる。
【0290】
眼用製剤は、ポリマー、ポリエチレングリコール、デキストラン、ジエチルアミノエチルデキストラン、シクロデキストリン、またはカルボキシメチルセルロースのような添加剤、希釈剤、デリバリービヒクル、または担体物質を包含することができる。
【0291】
賦形剤の例は、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、およびリン酸水素二ナトリウム無水物塩を包含する。
【0292】
製剤添加剤の例は、植物油、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油、ミネラル油、およびパラフィンを包含する。
【0293】
分散剤または湿潤剤の例は、レシチン、ポリオキシエチレンステアラート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート、およびポリエチレンソルビタンモノオレアートを包含する。
【0294】
酸化防止剤の例は、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸を包含する。
【0295】
製剤添加剤の例は、増ちょう剤、例えば、蜜蝋、パラフィン、またはセチルアルコールを包含する。
【0296】
賦形剤の例は、懸濁化賦形剤、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、またはアカシアガムを包含する。
【0297】
眼科用製剤は、ポリソルベート20、60または80、プルロニックF-68、F-84またはP-103、チロキサポール、クレモフォア、ドデシル硫酸ナトリウム、グリセロール、PEG 400、プロピレングリコール、シクロデキストリンなどの担体または共溶媒、およびそれらの組み合わせを含み得る。担体または共溶媒は、約0.01重量%から約2重量%の濃度で使用することができる。
【0298】
眼科用製剤は、ジェラン、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせなどのゲル賦形剤を含み得る。
【0299】
眼科用製剤は、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびそれらの組み合わせなどの増粘剤を含むことができる。増粘剤は、約0.01重量%から約2重量%の濃度で使用することができる。
【0300】
眼科用製剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、ベンゾドデシニウムブロミド、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、オナマー、ポリクアテルニウム-1、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸ナトリウム、フェノール、クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、ベンジルアルコール、チメロサル、ソルビン酸、塩化ベンゼトニウム、およびそれらの組み合わせなどの防腐剤を含むことができる。防腐剤は、約0.001重量%から約1.0重量%の濃度で使用することができる。
【0301】
単位剤型組成物は、滅菌できるが、防腐剤は含有しなくてもよい。
【0302】
眼用製剤は、クエン酸バッファー、酢酸バッファー、コハク酸バッファー、リンゴ酸バッファー、およびグルコン酸バッファーのようなpH調整賦形剤を包含することができる。
【0303】
眼用製剤は、pH調整のため、塩酸のような付加酸、または/および水酸化ナトリウムのような付加塩基を包含することができる。
【0304】
pH制御剤の例は、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、およびクエン酸を包含する。
【0305】
眼用製剤は、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、フタル酸、トリス、トロメタミン塩酸塩、およびリン酸塩バッファーのようなバッファーを包含することができる。
【0306】
眼用製剤は、界面活性剤を包含することができる。
【0307】
界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂質、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステロールを包含することができる。
【0308】
界面活性剤の例は、オレイン酸、ソルビタントリオレアート、および長鎖ジグリセリドを包含する。
【0309】
界面活性剤の例は、ベラクタント、ポラクタントアルファ、およびカルファクタントを包含する。
【0310】
眼用製剤は、等張化剤等張性調整賦形剤を包含することができる。
【0311】
等張性調整賦形剤、等張化賦形剤の例は、塩化ナトリウム、マンニトール、およびソルビトールを包含する
【0312】
等張性調整賦形剤の例は、糖類、ポリオール、アミノ酸、ならびに有機および無機塩を包含する。
【0313】
本発明の具体例は、試薬、医薬賦形剤、活性剤、および使用説明書のいずれかを含有するキットを包含する。
【0314】
キットは、デリバリー用医薬調製物に配合される1以上の活性剤を含有する容器または製剤を包含することができる。眼用製剤キットは複数用量形態であり得る。
【0315】
キットは、局所デリバリーおよび使用のためのディスペンサーまたはどろっピングデバイスを包含することができる。
【0316】
キットは、デリバリー用組成物の1以上の単位剤型を包含し得る。単位剤型は、無菌性を維持するために密閉し得る。
【0317】
サンプル調製および超微細構造ターゲットの検出
サンプル調製および加工を記載する。EV単離のために収集した房水または硝子体液標本は、固定することなく、即座に加工した。EVは、ウシ硝子体液または房水からか;または、下記の超遠心分離プロトコルを用いて4T1細胞から、単離した。EVは、下記の方法を用いて単離した。患者房水は、単離せず、加工することなく撮像した。
【0318】
細胞外ベシクル単離および精製を記載する。本発明者らは、流体から細胞外ベシクルを単離する方法を採用した。ウシ硝子体または房水について、およそ8 mlの硝子体(または100 μLの房水)を、15 ml管に入れ、SorvallレジェンドRTスウィンギングバケット (Sorvall)内、2,000 g (2500 rpm)で4℃にて30分間遠心分離した。次いで、上清を新たな15 ml管に移した。そして、遠心ステップを繰り返した。次いで、上清を新たな管に移し、SS-34ローター(DuPont)を用いるSorvall RC-58セントリフュージ (Sorvall)内、30分間4℃にて、10,000 gで遠心分離した。次いで、上清を移し、ステップを繰り返した。前記サンプルを、スウィンギングバケットローター (SW-41, Beckman)中の超遠心管 (Beckman)に移し、100,000 gで、L7-55超遠心 (Beckman)内、4℃にて1時間遠心した。上清を新たな管に移した。ステップを繰り返した。サンプルを、50μLの滅菌トリス緩衝食塩水 (TB, pH 8)に再懸濁させ、シリコン化チューブに入れた。撮像用のサンプルは、即座に加工し、残りのサンプルは、-80℃にて凍結した。
【0319】
ナノ粒子トラッキング分析を記載する。NanoSight NS300システム (Malvern)を用いてナノ粒子トラッキング分析を実行して、溶液中で、30~800 nmの粒子をキャラクタライズした。本発明者らは、硝子体液、房水、または4T1細胞から単離した細胞外ベシクルを100μLのトリス緩衝食塩水 (TB, pH 7.0)に再懸濁させた。粒子を充填し、カメラの焦点合わせをして、各々、60秒間、5本のビデオを捉えた。ビデオを記録し、次いで、NanoSight ソフトウェア (Version 3.0)を用いて分析して、EVのサイズ分布および粒子濃度を決定した。グラフを作成した。各粒子のブラウン運動をフレーム間で追跡し、最終的に、ストークス-アインシュタイン等式を適用して、サイズの計算ができるようにした。
【0320】
電子顕微鏡法用の液体サンプルの従来のグルタルアルデヒドのみの固定化を記載する。従来のTEM固定化方法で加工したEV溶液は、「グルタルアルデヒドのみ」、または「Glutのみ」と称する。EVを取得し、上記したように、バッファー化溶液に再懸濁させた。本発明者らは、フォルムバール/カーボン-コートEMグリッド (Electron Microscopy Sciences)を取得し、その表面をポリ-L-リジン溶液 (%, Sigma Aldrich)でコートした。本発明者らは、およそ15μLのポリ-L-リジンを前記EMグリッドのフォルムバール/カーボン-コート表面に塗布し、前記サンプルを加湿チャンバー中で、15分間室温にてインキュベートした。本発明者らは、ポリ-L-リジン溶液をピペットで取り除いた。本発明者らは、前記グリッドを、10分間室温にて乾燥させた。
【0321】
次に、5μLのEV含有溶液を、ピペットでポリ-L-リジン-フォルムバール/カーボン-コートEMグリッド上に載置し、加湿チャンバー中で30分間室温にてインキュベートした。次に、EV溶液をピペットで取り除いた。前記サンプルを、0.1Mカコジルナトリウム酸バッファー中の2.5%グルタルアルデヒド、4%パラホルムアルデヒド、0.02%ピクリン酸からなる「グルタルアルデヒド固定溶液」中で固定した。本発明者らは、ピペットで15μLのグルタルアルデヒド溶液をEMグリッド上に載置し、前記サンプルを15分間室温19にてインキュベートした。その後、前記グルタルアルデヒド固定溶液をピペットで取り除いた。グリッドを15μLの二回蒸留水で5分間室温にて洗浄した。サンプルを、2回、各々、室温にて5分間洗浄した。サンプルを室温にて乾燥させ、下記するように、JEM 1400電子顕微鏡 (JEOL, USA, Inc)で観察した。EDC-ホルマリン固定標本を、下記するように、さらに加工した。
【0322】
EDC-ETT溶液調製を記載する。EDC溶液固定化の方法を、以前の報告17、18から採用した。本発明者らは、0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー溶液 (0.1 M 1-メチルイミダゾール、300 mM NaCl、12 N NaOHでpHを8.0に調製した)を調製し、その溶液を3月間まで室温にて貯蔵した。次に、本発明者らは、各実験のために、新たにEDC溶液を調製した。本発明者らは、0.96 mlの0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー溶液を計り取り、13 mgの5-(エチルチオ)-1H-テトラゾール (ETT, Sigma Aldrich, 終濃度は0.1 Mであった。)を添加した。pHを12 N NaOHで8.0に調節した。次に、本発明者らは、19.2 mgの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド (EDC) (Sigma Aldrich, 終濃度0.10 M)を添加し、次いで、12 M HClを用いてpHを8.0に再度調節した。EDC-ETT溶液は、使用するまで、氷上に置いた。
【0323】
電子顕微鏡法での液体サンプルのEDC-グルタルアルデヒド固定を記載する。全ての単離EVを、20μLのTBS (pH 8.0)に再懸濁させ、4℃に維持した。本発明者らは、フォルムバール/カーボン-コートEMグリッド(Electron Microscopy Sciences)を取得し、その表面をポリ-L-リジン溶液 (%, Sigma Aldrich)でコートした。本発明者らは、およそ15μLのポリ-L-リジンを前記EMグリッドのフォルムバール/カーボン-コート表面に塗布し、前記サンプルを加湿チャンバー中で5分間室温にてインキュベートした。本発明者らは、ポリ-L-リジン溶液をピペットで取り出し、使用する準備ができるまで、前記グリッドを加湿チャンバー中に取り置きしておいた。次に、本発明者らは、等量の新たに作成したEDC/ETT溶液と前記EV溶液とを、5μLの氷冷EDC/ETT溶液をTBS (pH 8.0)中に懸濁させた5μLの氷冷EVと共に、1.5 ml予冷シリコナイズチューブに添加することによって、合わせた。前記サンプルは、氷上で30分間インキュベートした。本発明者らは、次いで、10μLのEDC/ETT-EV溶液をフォルムバール/カーボン-コートEMグリッドの表面に塗布し、前記サンプルを30分間4℃にて加湿チャンバー中でインキュベートした。EDC試薬の架橋能を始動するために、本発明者らは、前記サンプルを、3時間50℃にてインキュベータ中の加湿チャンバーに入れた。前記サンプルを、インキュベータから取り出し、前記EDC-溶液は、ピペットを用いて取り出した。前記サンプルは、0.1Mカコジル酸ナトリウムバッファー中の2.5%グルタルアルデヒド、4%パラホルムアルデヒド、0.02%ピクリン酸を含有するグルタルアルデヒドベースの架橋溶液を用いて、二次固定化で固定し、15分間室温にてインキュベートした。前記グルタルアルデヒド溶液を、EMグリッドから気泡をピペットすることによって除去した。前記グリッドを、15μL二回蒸留水をグリッド上に載置し、5分間室温にてインキュベートすることによって、洗浄した。前記水を取り出し、2回目の洗浄を行った。最後に、前記サンプルは、ネガティブ染色するか、下記するように、DNA、RNAおよびタンパク質に対して染色した。ネガティブ染色について、前記サンプルは、連続的に、2%酢酸ウラニル、pH 7中で、および2%メチルセルロース/0.4%酢酸ウラニル、pH 4中で対比した。染色剤での染色後、前記EMグリッドは、次いで、下記するように、電子顕微鏡での撮像のために搭載した。
【0324】
透過型電子顕微鏡撮像を記載する。全てのEMグリッドは、100kVで作動するJEM 1400 電子顕微鏡 (JEOL, USA, Inc)で観察した。デジタル像は、Veleta 2K x 2K CCDカメラ (Olympus-SIS)で捉えた。電子顕微鏡像を記録し、EVのサイズおよび頻度はImageJソフトウェアを用いて分析した。
【0325】
硝子体液および眼組織の透過型電子顕微鏡法を記載する。ヒトまたはウシ硝子体組織を、上記したように取得した。サンプルを、低速遠心分離で細胞除去し、マウント全体の標本を、下記するように、HおよびE染色で試験した。硝子体について、2μLをピペットでブロック上に載置し、0.1Mカコジル酸ナトリウムバッファー中の2.5%グルタルアルデヒド、4%パラホルムアルデヒド、0.02%ピクリン酸の溶液中で固定し、60分間室温19にて、インキュベートした。標本は、各々、室温にて5分間、過剰体積のバッファー (pH 7.3)で洗浄した。サンプルを、1% OsO4-1.5% K-フェリシアニド(水性)で60分間室温20にて後固定した。サンプルを、バッファーで3回、各々5分間室温にて洗浄した。サンプルをまとめてセットして、1.5%酢酸ウラニルで60分間室温にて染色した。サンプルは、段階的エタノールシリーズにより脱水し、アセトニトリルを通して移行した。サンプルをEmbed 812樹脂 (Electron Microscopy Sciences)に浸透させ、埋め込んだ。組織切片を、Leica Ultracut T ウルトラミクロトーム (Leica Microsystems)上で、Diatomeダイアモンドナイフ (Diatome)を用いて、60~65 nmに裁断した。切片をクエン酸鉛21で対比し、100kVで操作するJEM 1400電子顕微鏡 (JEOL, USA, Inc)で観察した。デジタル像をVeleta 2K x 2K CCDカメラ (Olympus-SIS)で捉えた。電子顕微鏡像を記録し、ImageJソフトウェアを用いて、EVのサイズおよび頻度を分析した。核酸のTEM染色について、本発明者らは、5μLの遠心精製EV入りのアクリジンオレンジ染色溶液 (Exo-Red Exosome RNA Fluorescent Label, System Biosciences)を30分間25℃にてインキュベートした。臭化エチジウム (EtBr)染色EVについて、本発明者らは、5μg/mlのEtBr溶液を5μLの超遠心精製EVと、30分間25℃にて混合した。TEM上のタンパク質染色について、本発明者らは、TBS (pH 7.4)中で希釈した500μm CFSEを、5μLの超遠心精製EVと、30分間25℃にて混合した。上記全てのサンプルを、次いで、固定し、搭載し、上記のようにTEMで撮像した。
【0326】
統計分析を記載する。グラフ表示および計算は、Excel (version 2011、Microsoft)を用いて行った。全ての実験は、断り無い限り、n ≧ 3で実行した。ナノ粒子トラッキング分析について、本発明者らは、ストークス-アインシュタイン等式を用いて、粒子のサイズ、濃度および分布を計算した。統計分析は、SPSSソフトウェアを用いる独立2群のスチューデントのt-検定を用いて実行し、p値< 0.05が、有意差であると仮定した。
【0327】
健常対照房水サンプルおよびPOAG房水サンプルを撮像する方法を記載する。サンプルを表1に示す。
【0328】
【0329】
方法:
【0330】
0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー (pH 8.0)中の1 mlのEDC/ETT溶液について:
1.EDC-HCl粉末は、-20℃にてアルゴン下で保管すべきである。湿気の結露を回避するために、室温に達した、すなわち、サンプルを図り取る1時間前に冷蔵庫から取り出したビンのみを開栓した。
2.EDC/5-ETT溶液は、最大で使用1時間前に作成すべきである。
3.ピペットで、5.76 mlの0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー (pH 8.0)を15 ml管に入れ、激しくボルテックスする。
4.「G」群に見いだされた0.078 gのETTを慎重に薬さじで薬包紙に取り出す。その0.078 gを慎重に前記管に注ぎ込む。
5.pH紙およびピペットを用いて、pH 8.0であることをチェックする。
6.薬包紙を用いて、0.12 gのEDCを図り取る。慎重に、前記管に注ぎ込む。激しくボルテックスする。
7.未使用溶液を廃棄する。
8.pH紙およびピペットを用いて、pH 8.0であることをチェックする。
【0331】
ポリL-リジングリッド、EDC固定、Glut固定、UA染色
1.フォルムバール-コートグリッドを使用する。
2.それらをフォルムバール側を下にしてポリ-リジン滴に向けて置き、5~10分間放置する。
3.次いで、ポリ-L-リジンを撤収する。
4.パーチメント紙をテープまたは重りで、100mm皿に固定する。グリッドをパーチメント紙の上に載置する。
【0332】
EDC溶液のEVとの混合
1.5 mlシリコナイズチューブ内で、10μLの(冷)EVを10μLの(冷)EDC溶液と混合する。
2.冷室中で、10μLサンプル(房水)前記グリッドに塗布し、30分間放置して、乾燥させ、前記EVをグリッドの底部に沈殿させる。
3.加湿チャンバーに入れ、50℃にて少なくとも3時間インキュベートする。
【0333】
Glutでの二次固定
1.ピペットを用いて、EDC-EV溶液を前記サンプルから取り除く。
2.Glutで固定し、2~5μLのglut固定を添加し、および5分間待機する。
3.ピペットまたはレンズペーパーでGlutを除去する。
【0334】
GlutおよびEDCのリンス
1.水泡をグリッドに5分間当てる。
2.水泡をピペットで除去する。
3.5μLの酢酸ウラニルをグリッド(4滴、各滴下間で吸い取る)上に添加する。
4.グリッドを乾燥させ、グリッドボックス内に入れる。
5.染色をピペットで外す。
【0335】
TEMでの撮像。完了直後に25k(約50写真)にて、50K倍程度で、撮像する。
【0336】
ビマトプロストでPOAG房水サンプルを処理する方法、ならびにEDCでの流体の固定化、ネガティブ染色およびTEM撮像。本発明者らは、緑内障患者の房水中のEVに対するビマトプロストの効果を決定しようとした。これを行うため、本発明者らは、POAG房水サンプルをトリス緩衝食塩水(1:10 希釈)で希釈し、1:1体積のトリス緩衝食塩水(対照)またはビマトプロストのいずれかで希釈したPOAGサンプルを添加した。
【0337】
ルミガンを分注ビンから直接取得し、希釈しなかった。10μLのPOAGサンプルを10μLのTBSと混合するか、または10μLのPOAGサンプルを10μLの非希釈ルミガンと混合する。管を、次いで、サーモサイクラーPCRマシン中でインキュベートし、72時間37℃にて放置した。前記サンプルを、次いで、希釈した(1:10)。次に、本発明者らは、以下のプロトコルを用いて、電子顕微鏡法グリッド上にEDCで固定した。
【0338】
0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー (pH 8.0)中の1 mlのEDC/ETT溶液
1.EDC-HCl粉末は、-20℃にてアルゴン下で保存すべきである。湿度の結露を回避するために、室温に達した、すなわち、サンプルを図り取る1時間まえに冷蔵庫から取り出したビンのみを開封する。
2.EDC/5-ETT溶液は、最大で使用1時間前に作成すべきである。
3.ピペットで、5.76 mlの0.1 M 1-メチルイミダゾールバッファー (pH 8.0)を15 ml管に入れ、激しくボルテックスする。
4.「G」群に見いだされた0.078 gのETTを慎重に薬さじで薬包紙に取り出す。その0.078 gを慎重に前記管に注ぎ込む。
5.pH紙およびピペットを用いて、pH 8.0であることをチェックする。
6.薬包紙を用いて、0.12 gのEDCを図り取る。慎重に、前記管に注ぎ込む。激しくボルテックスする。
7.未使用溶液を廃棄する。
8.pH紙およびピペットを用いて、pH 8.0であることをチェックする。
【0339】
ポリL-リジングリッド、EDC固定、Glut固定、UA染色
1.フォルムバール-コートグリッドを使用する。
2.それらをフォルムバール側を下にしてポリ-リジン滴に向けて置き、5~10分間放置する。
3.次いで、ポリ-L-リジンを撤収する。
4.パーチメント紙をテープまたは重りで、100mm皿に固定する。グリッドをパーチメント紙の上に載置する。
【0340】
EDC溶液のEVとの混合
1.5 mlシリコナイズチューブ内で、2.5μLの(冷)EVを5μLの(冷)EDC溶液と混合する。
2.冷室中で、5μLサンプル(房水)前記グリッドに塗布し、15分間放置して、乾燥させ、前記EVをグリッドの底部に沈殿させる。
3.加湿チャンバーに入れ、50℃にて少なくとも3時間インキュベートする。
【0341】
Glutでの二次固定
1.ピペットを用いて、EDC-EV溶液を前記サンプルから取り除く。
2.Glutで固定し、2~5μLのglut固定を添加し、および5分間待機する。
3.ピペットまたはレンズペーパーでGlutを除去する。
【0342】
GlutおよびEDCのリンス
1.水泡をグリッドに5分間当てる。
2.水泡をピペットで除去する。
3.5μLの酢酸ウラニルをグリッド(1滴、滴下後に吸い取る)上に添加する。
4.グリッドを乾燥させ、グリッドボックス内に入れる。
5.染色をピペットで外す。
【0343】
サンプルをTEMで撮像した。
【0344】
本発明の付随的な具体例は以下である。
【0345】
対象における緑内障または前緑内障を同定する方法であって、上記方法は、潜在的に緑内障を有する対象由来の房水サンプルを提供すること;300ナノメータより大きい、もしくは300から3,000 nm、もしくは300から5,000 nm、もしくは300から10,000 nmの直径を有する、細胞外ベシクルの凝集体または個々の細胞外ベシクルのいずれかである、緑内障関連細胞外ベシクル複合体につき、前記サンプルを分析すること;および前記分析に基づき、緑内障または前緑内障を有する対象を同定することを含む。
【0346】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体は、エクソメア、エクソソーム、多胞体、管腔内ベシクル (ILV)、多胞エンドソーム (MVE)、オンコソーム、微小ベシクル体、アポトーシス小体、またはエンドソームもしくは原形質膜を起源とするベシクルからなる群から選択される細胞外ベシクルの複合体である。
【0347】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体は、ここの細胞外ベシクルの複合体であり、ここに、前記複合体は、360から21,000ナノメータの直径を有していてよい。
【0348】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体は、10、20、30、40個以上の細胞外ベシクルの凝集体であり得る。
【0349】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体は、50、100または200個以上の細胞外ベシクルの凝集体であり得る。
【0350】
上記方法は、分析前に、前記サンプルにおける緑内障関連細胞外ベシクルを固定することを、さらに含む。緑内障関連細胞外ベシクルを固定することは、前記サンプルを非可逆架橋剤に接触させること;および前記サンプルを非可逆架橋剤に接触させることの前後または同時に、前記サンプルをアルデヒド含有固定剤に接触させて、前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体を固定することを含む。
【0351】
前記非可逆架橋剤が、水溶性カルボジイミド、ハロゲン化シアン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、上記方法。
【0352】
前記非可逆架橋剤が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドである、上記方法。
【0353】
前記前記非可逆架橋剤が、臭化シアン、フッ化シアン、塩化シアン、およびヨウ化シアンからなる群から選択されるハロゲン化シアンである、上記方法。
【0354】
前記非可逆架橋剤に接触させること、および前記アルデヒド含有固定剤に接触させることと、独立して、およびその前後または同時に、前記サンプルをさらなる架橋剤に接触させること、をさらに含み、前記さらなる架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、トリ(エチレングリコール)ジメタクリラート、メチレンビスアクリルアミドの誘導体、N,N-メチレンビスアクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、N,N-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ホルムアルデヒドフリー架橋剤、N-(1-ヒドロキシ-2,2-ジメトキシエチル)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ホルマリン固定液、ホルマルカルシウム、ホルマル食塩水、亜鉛ホルマリン(アンバッファード)、ツェンカー固定液、ヘリー固定液、B-5固定液、ブアン液、オランド液、ジャンドル液、クラーク液、カルノア液、メタカム (methacam)、アルコールホルマリン、およびホルモル酢酸アルコールからなる群から選択される、上記方法。
【0355】
前記分析することが、固定化緑内障関連細胞外ベシクル複合体を撮像することを含む、上記方法。
【0356】
前記撮像することが、透過型電子顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、低温電子顕微鏡法、双眼実体顕微鏡法、広視野顕微鏡法、偏光顕微鏡法、位相差顕微鏡法、多光子顕微鏡法、微分干渉顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、レーザ走査型共焦点顕微鏡法、多光子励起顕微鏡法、X線顕微鏡法、超音波顕微鏡法、比色分析アッセイ、化学発光アッセイ、分光測色法、ポジトロン断層法、コンピュータ断層撮像、および磁気共鳴撮像法によって実行される、上記方法。
【0357】
前記撮像することに基づいて、前記房水サンプルにおける前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体を検出すること、をさらに含む、上記方法。
【0358】
前記同定することが、前記検出することに基づく、上記方法。
【0359】
前記同定することが、前記非可逆架橋剤および前記固定剤を含有するアルデヒドで固定した前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含有する臨床房水サンプルの標準画像を、緑内障を有する対象から、提供すること;前記対象の臨床サンプルの画像を、前記固定した緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズ、密度、モルホロジー、または空間分布に関して、前記標準画像と比較すること;および、前記比較することに基づいて、前記対象が緑内障または前緑内障を有するかを決定することを含む、上記方法。
【0360】
前記決定することに基づき、治療剤を前記対象に投与することを、さらに含む、上記方法。
【0361】
前記治療剤が、互いに接触している2以上の細胞外ベシクルを分裂することによって、緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズを低減する、上記方法。
【0362】
前記同定することが、緑内障の進行または回復をモニターすることを要件とし、非可逆架橋剤および固定剤を含有するアルデヒドで固定された緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含有する、前記対象の臨床房水サンプルの以前の画像を提供すること;非可逆架橋剤および固定剤を含有するアルデヒドで固定した前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含有する、前記対象の臨床房水サンプルの画像を、固定化した緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズ、密度、モルホロジー、または空間分布に関して、前記以前の画像と比較すること;ならびに、前記比較することに基づき、前記緑内障が、進行しているかまたは回復しているかを決定することを含む、上記方法。
【0363】
緑内障または前緑内障を同定することが、房水サンプルを提供する対象が、なんらかの視力喪失を経験する前に実行される、上記方法。
【0364】
緑内障を治療する能力について化合物をスクリーニングする方法であって、前記方法が、潜在的に緑内障を治療するのに有効である候補剤を提供すること;緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含有するサンプルを提供すること、ここに、前記細胞外ベシクルが、300ナノメータより大きい直径を有する、細胞外ベシクルの凝集体、または個々の細胞外ベシクルのいずれかである;前記候補剤を前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体に接触させること;および、前記接触させることに基づき、緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズを低減するのに有効な候補化合物を同定すること、を含む、上記方法。
【0365】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体が房水である、上記方法。
【0366】
緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含有する第2のサンプルをプラセボに接触させること;および前記プラセボに接触した前記サンプルの前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズ低減を、前記候補剤で達成したものと比較して、緑内障関連細胞外ベシクル複合体のサイズを低減するのに有効な候補化合物を同定することをさらに含む、上記方法。
【0367】
緑内障の検出用の試薬であって、300ナノメータ超の直径を有する、細胞外ベシクルの凝集体の細胞外ベシクル、または個々の細胞外ベシクルのいずれかである緑内障関連細胞外ベシクル複合体を含む単離サンプルを含む、上記試薬。
【0368】
前記緑内障関連細胞外ベシクル複合体が房水である、上記試薬。
【0369】
本発明の具体例は、眼科用の組成物をさらに企図する。
【0370】
いくつかの具体例において、眼科用の水性医薬組成物は、塩化セチルピリジニウム、ポリミキシンB硫酸塩、ネオマイシン硫酸塩、およびヘパリンナトリウムから選択される活性剤を含むことができる。活性剤は、組成物の0.01~2%w/vを含み得る。 いくつかの具体例において、活性剤は、組成物の0.01~0.2%w/vであり得る。
【0371】
組成物のpHは、例えば、水酸化ナトリウムおよび塩酸を使用して調整することができる。組成物は、6.8から7.9、または約7.3のpHを有し得る。
【0372】
いくつかの具体例において、組成物は、眼に投与されたときに眼内圧を低下させることができる。
【0373】
追加の具体例において、組成物は、眼に投与された場合、眼の細胞外小胞複合体を減少させることができる。
【0374】
さらなる具体例において、組成物は、眼に投与された場合、緑内障疾患を治療するために有効であり得る。
【0375】
本発明の組成物は、可溶化剤、界面活性剤、等張剤、および防腐剤のうちの1つまたは複数をさらに含み得る。
【0376】
可溶化剤の例には、リン酸塩、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0377】
リン酸の例には、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸一カリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0378】
界面活性剤の例としては、リン脂質、ポリグリセロールエステル、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、コポリマーエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチル、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0379】
等張剤の例には、塩化ナトリウム、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、塩化カリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0380】
防腐剤の例には、塩化ベンザルコニウム、ポリクアテルニウム-1、臭化ベンゾドデシニウム、ソルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、オキシクロロ錯体、チメロサール、過ホウ酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0381】
眼科用組成物の文脈において、可溶化剤はまた、緩衝剤として、または安定剤として、または増粘剤として効果を有する可能性がある。
【0382】
眼の組成物の文脈において、界面活性剤はまた、可溶化剤としての効果を有し得る。
【0383】
本発明の組成物は、活性剤および担体のみからなり得る。
【0384】
例えば、組成物は、活性剤の水溶液であり得る。
【0385】
担体の例には、水、滅菌水、注射用水、灌漑用水、リン酸緩衝液、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0386】
本発明の組成物は、医学療法に使用することができる。
【0387】
本発明の組成物は、ヒトまたは動物の体の治療に使用することができる。
【0388】
本発明の組成物は、ヒトまたは動物の体内の眼内圧を低下させるのに使用することができる。
【0389】
本発明の組成物は、ヒトまたは動物の体内の眼の細胞外小胞複合体を減少させるのに使用することができる。
【0390】
本発明の組成物は、必要としている対象の緑内障に関連する疾患または状態を予防、改善、または治療するための薬剤を調製または製造する際に使用することができる。
【0391】
本発明の具体例はまた、本開示の組成物を対象の眼に投与することによって、それを必要とする対象における緑内障疾患を治療し、眼内圧を低下させ、または眼の細胞外小胞複合体を低下させる方法を企図する。
【0392】
投与は注射によるものであり得る。
【0393】
眼の細胞外小胞複合体は、約300ナノメートルを超える直径を有する細胞外小胞の集合体でありうる。
【0394】
この記載において引用される特許、特許出願公開、および非特許文献の全ては、各々、全ての目的に対してその全体を引用して明示的に本願明細書に含まれる。
【0395】
上記の開示は、理解の明確さの目的で例示によって、詳細に説明してきたが、当業者には、ある程度の変化および修飾は、開示によって理解され、付随する特許請求の範囲内で、過度な実験することなく実施することができ、限定のない図面によって提示されることが明らかになるであろう。本発明は、そのような付随的な具体例、等価物、および修飾物の全てを包含する。本発明は、種々の例示的な成分、実施例、および特許請求された具体例の特徴、材料、要素、または限定のあらゆる組合せおよび混合を包含する。
【0396】
用語「不定冠詞 (a)」、「不定冠詞 (an)」、「定冠詞 (the)」、および本発明を説明し、特許請求の範囲で記載される同様の用語は、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0397】
実施例1
生体液における細胞外ベシクルの撮像を加速するための工場した固定化の使用
EV超構造は、ネガティブ染色と組み合わせた透過型電子顕微鏡法 (TEM)で検出し得る。しかしながら、本発明者らの研究所において、本発明者らは、この技術は、一貫性がなく、しばしば、ネガティブな結果をもたらすことを見いだした。溶液に適用した既知量のEVを調べたとき、本発明者らは、適用した多数のEVと、最終的に撮像されたごく少数のEVとの間に実質的な不一致を見いだした。しばしば、それらの結果は、一貫性がなく、技術的な再現も変化した。それゆえ、方法論的なギャップが存在し、溶液中での効率的で、一貫性があり、かつ、代表的なEV撮像を妨げる。それゆえ、本発明者らは、EV撮像プロトコルの各ステップを評価し、EVが損失されるであろうポイントを同定することを試みた。本発明者らは、従来のTEMプロトコルが、電子顕微鏡グリッド表面へのEVの不十分な結合をもたらすこと、および、ほとんどのEVが接着しないことを見いだした。より効率的にEVを付着させるため、本発明者らは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド (EDC)で架橋し、それはEVを保持し、および確実なTEM撮像を可能にする。最終的に、本発明者らは、この方法を用いて、血液(血漿);脳脊髄液;乳頭吸引液;房水、またはバッファー中で懸濁する単離EVを包含する様々な生体液においてを撮像できることを実証した。
【0398】
実施例2
液体中で懸濁するEVの従来方法での撮像は、廃液へのベシクルの大規模な損失のため、低収率である。確立されたTEMおよびネガティブ染色手順を改善するため、本発明者らは、モデルシステムとして、ウシ硝子体液(ゲル様マトリクス、眼の水晶体と網膜との間に位置する)および房水から単離したEVを用いた。まず、本発明者らは、眼の後房からの硝子体液を解剖し、前記サンプルを均質化し、超遠心分離を用いてEVを単離し、緩衝食塩水中に前記サンプルを再懸濁させた。次に、本発明者らは、ナノ粒子-トラッキング分析(NTA; 1mlあたり3.98 x 108 EV)を用いて、EVの個数およびサイズを定量した。流体中で懸濁する硝子体EVの超構造を可視化するために、本発明者らは、従来のグルタルアルデヒドベースのTEM撮像プロトコルに従った(
図6、最上段)。本発明者らは、およそ4 x 106 EVを電子顕微鏡グリッドに塗布し、酢酸ウラニル溶液でのグルタルアルデヒド固定およびネガティブ染色についての標準プロトコルに従った。本発明者らは、引き続き、TEMを用いて標本を撮像し、その結果は、ほとんどEVが存在しないこと(0.033 ± 0.182 EV 25,000x高倍率顕微鏡視野あたりに観察された、n = 3生物学的再現性、および10枚の写真を捉えた)を示し、それは、400万個のEVを充填することと一致しない、予期せぬほど低い数値である。低倍率にて、本発明者らは、間隔がまばらなEVを観察し(
図6、最上段、左)、ほとんどの写真フレームにおいて、本発明者らは、ネガティブ染色されたEVを明確に同定することができなかった(
図6、最上段、中央および右)。これらの結果は、EVが、標本加工中に破壊されたか、TEMグリッドの表面へ接着できなかったか、または、プロトコル中に損失したかのいずれかであることを示唆している。EVが硝子体標本中に存在することを確かめるために、本発明者らは、硝子体ベース、網膜に付着したゲル様マトリクスの密着部分を撮像し、前記サンプルを切片化し、およびそれをTEM用に調製した。実際に、本発明者らは、硝子体組織切片に多くのEV型高電子密度シグナル(データ示さず)を観察し、TEM用に調製したサンプルに存在していることを確認した。それゆえ、本発明者らは、電子顕微鏡グリッドの表面に塗布した数百万個のEVは放棄された溶液に廃棄され、グリッド表面に付着しなかった(
図6、第2行、左図)。廃液中に存在する顕著な量のEVがあることを決定するために、本発明者らは、および4T1乳がん細胞系統から単離されたEVの個数およびサイズを測定し、比較し、そして、緩衝食塩水に再懸濁させた。本発明者らは、4T1 EVの濃度が1mlあたり8.63 x 108粒子(1mlあたり± 4.96 x 108粒子)であることを見いだし、本発明者らは、8.63 x 106 EVをグリッド表面に塗布した(
図6、第2段、中央および表2)。次に、本発明者らは、ナノ粒子トラッキング分析 (NTA)を用いて、放棄溶液中に存在するEVの量を測定し、3回の独立した試行において、少なくとも1mlあたり8.16 x 108粒子(1mlあたり± 2.43 x 107粒子)または8.16 x 106粒子が洗浄バッファーに損失することを見いだした(
図6、第2段、右、
図6、第3段、左および表2)。これらのデータは、グリッドの表面に塗布したEVの大部分が電子顕微鏡グリッド表面への接着できず、放棄溶液中に損失することを示している(
図6、第3段、左)。それゆえ、本発明者らは、従来の固定化方法、ネガティブ染色および電子顕微鏡法を用いた液体中で懸濁するEVを撮像することは、グリッド表面への少ない架橋によって、非常に妨げられることを見いだした。
【0399】
表2は、細胞外ベシクルがほとんど電子顕微鏡グリッドに接着していないことを示している。本発明者らは、グリッド表面全体に塗布されたEVのサイズおよび濃度を決定し、この値を、廃棄したEVに存在する画分と比較した。本発明者らは、超遠心分離法を用いてEVをマウス哺乳類腫瘍細胞系統、4T1細胞媒体から単離し、測定は、NTA 2.3 build 17ソフトウェアの全ての変数について同じ設定を用いるナノ粒子トラッキング分析 (NTA)を用いて実行した。平均サイズ、モードサイズおよびTEMグリッド表面全体に塗布したEVの平均濃度、および廃棄画分中に存在するEVを示す (n = 3)。
【0400】
【0401】
実施例3
ホルマリン-EDC固定化を用いることは、EVを保持し、液体中で懸濁するEVの確実な撮像を可能にする。本発明者らは、EVは、TEMグリッドに十分に結合しないと仮定し、液体中で懸濁するEVを、熱安定性固定剤、EDC、および正荷電アミノ基側鎖とタンパク質のカルボキシル基との間に非可逆架橋を作るカルボジイミドを添加することによって、前記グリッドに恒久的に接着させることを試みた。本発明者らの仮説を検証するために、本発明者らは、400万個の単離したウシ硝子体EVおよびEDC固定化溶液を合わせ、これをポリ-l-リジン-コートフォルムバールTEMグリッドの表面に塗布し、熱(50℃)を3時間負荷することによって、前記EDC溶液を活性化した(
図6、第3段、中央)。架橋後、本発明者らは、前記EDC溶液を除去し、グルタルアルデヒド固定溶液を塗布し、前記サンプルを洗浄し、ネガティブ染色を実行した。画像は、25,000x高倍率視野あたり16.5 EV (± 16.9)、従来ネガティブ染色とTEMとの状態を一致させて、各写真枠に豊富な個数のEVを示す。しかも、本発明者らは、グルタルアルデヒドのみと比較して、EDC固定化サンプルにおいて、少なくとも357倍多くのEVを同定した(
図6、第4段、左、p < 0.05、n=3)。この技術の範囲を他の流体にまで広げるために、本発明者らはウシ房水から単離したEVを可視化し、それは、EV周縁を取り巻く高電子密度ネガティブ染色でのEVの確実な検出を示す(
図6、第4段、中央)。本発明者らは、健常な患者 (healthy patent)生来の房水流体を撮像して、EVをイン・サイチュで可視化した。本発明者らは、イン・サイチュ撮像を「単離していない溶液を撮像し、その場所で、その生体液の内容を可視化すること」と定義する。流体中のEVを可視化する方法は、EVを撮像する従来の方法とは異なる。なぜならば、本発明者らは、EVを濃縮しないからである。ここで、画像は、明確なネガティブ染色を伴う不均質集団を示す(
図6、第4段、右)。結局、本発明者らは、複数の流体中で懸濁するEVをEDCで架橋することは、実質的に向上した透過型電子顕微鏡撮像をもたらした。これらのデータは、流体中のEVを撮像するために、EDC固定化は、従来のアルデヒド固定化と比較して、観測されるEVの個数を顕著に向上する。
【0402】
実施例4
健常対照およびPOAG患者からの房水中の細胞外ベシクルの比較。前記房水は、血漿に似た透明な水様生体液であるが、98%水、ならびにアミノ酸、電解質、アスコルビン酸、グルタチオン、およびイムノグロビンを含有する。房水はEVを含有することが示された。これらの研究において、EVは、超遠心分離プロトコルを用いて単離され、それらには、いかなる緑内障関連EV凝集体も観察されなかった。本発明者らは、健常対照(白内障以外に眼科病理を持たない対象)と比較して、眼科病理(緑内障など)を持つ対象における房水のEV超構造に差異があると仮定した。本発明者らは、それは、前記房水を研究することを選んだ。それは、白内障手術の間、通常損失し、サンプルを取得することは対象にいかなる追加的なリスクをもたらさなかった。最も自然な状態の房水を観察するために、本発明者らは、超遠心分離または他のEV関連プロトコルを用いてEVを単離しなかった。本発明者らは、健常患者コホートおよびPOAGの臨床診断を受けた患者コホートから房水を収集した。本発明者らは、緑内障患者の房水中のEVが大きめで、かくして、これらの構造が房水流出をブロックするようにする。この研究を完了するために、本発明者らは、1)選択的白内障手術を受けている健常対照患者(対照コホート)または2)緑内障の診断を受けた患者(POAGコホート)から房水標本を取得した。実験計画は以下に列記する。
【0403】
実施例5
実験計画;健常および緑内障患者からを取得する。健常対照または緑内障患者から供与される房水由来のEVの房水を決定するために、本発明者らは、有望な臨床試行を実行した。白内障の診断を伴うが、他の眼の合併症もその他の全身合併症もない者である。対照コホートにおける全ての患者は、待機的外来、外来白内障手術を受けた患者であり、概して健常であった。本発明者らは、白内障手術の開始時に、房水(通常、医療廃棄物として損失する)の少量のサンプル(50から100μL)を収集した。本発明者らは、前記サンプルをEDC架橋剤で固定し、前記サンプルをネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡法を実行した。実験サンプルは、白内障に加えてPOAGを有し、かつ、以下の状態:糖尿病性網膜症または加齢性黄斑変異症のいずれも有しない者である。緑内障患者のプールは、白内障摘出および水晶体移植手術を有することになるであろう患者から選択される。選択基準には以下が含まれる:18歳以上の外来白内障手術患者で、白内障以外の眼合併症を有さないか者か、または、POAGの臨床診断書も有する者である。除外基準は、白内障以外の眼合併症を包含する。施設内審査委員会は、サンプルを収集し、それらの実験を完了するプロトコルを認証した。
【0404】
実施例6
緑内障を有するおよび有しない患者から房水サンプルの取得すること:白内障手術の間、切開は、前房に入り白内障性水晶体に達する。手術中、眼から房水が出て行き、器具を通して注入された灌漑液に置換される。本発明者らは、白内障手術の開始時に、通常は医療廃棄物として損失される房水の少量のサンプルを収集した。前記サンプルには、匿名性のための数字による実験IDコードが割り当てられ、ORからTEM撮像分析のための研究室に即座に移送された。患者は、この実験の目的のために、手術も付随的な介入も受けていないが、代わりに、治療目的の白内障手術を受ける予定された個人であった。白内障手術予定を見直して、対照またはPOAGコホートについて、上記包含および排除基準に合致する患者を認定した。実験に含む前に、各患者から、インフォームドコンセントを得た。患者は、次いで、以下の例外を除いて、標準白内障手術を受けた。白内障手術の開始時に、TBシリンジに取り付けた30ゲージの針を透明な角膜に挿入して、0.05~0.1ccの房水を吸引した。傷は自己シールした。引き続き、角膜穿刺切開は、外科医による標準白内障施術に従ってなされた。本発明者らはサンプルを収集し、氷上で前記サンプルを研究室に移送した。実験サンプルは、匿名性を確実にするために、ランダムな実験IDコードで識別した。全ての実験について、本発明者らは、超遠心分離法を用いてEVを単離せず、むしろ、イン・サイチュで、その生体液を撮像した。
【0405】
実施例7
イン・サイチュで健常対照房水の超構造を撮像することは、EVの拡散分布を示す:通常の生理学的状態におけるEVsのモルホロジーを理解するために、本発明者らは、イン・サイチュで健常患者の房水を撮像した。緑内障前実験で、EDC固定化を用いてイン・サイチュで房水中のEVを可視化したことものはない。房水の超微細構造を理解するために、本発明者らは、前記サンプルを、緩衝食塩水(注:本発明者らはEVを単離しなかった。)で1:10に希釈し、EDCで、次にグルタルアルデヒドで前記サンプルを固定し、前記標本をネガティブ染色し、TEMで撮像した。データは、健常ヒト房水が複数の対照ヒト対象から豊富な数量のEVを含有することを示した(
図7~8)。これらの実験は、健常ヒト房水中のEVが存在し、拡散的に分散し、EVの凝集の証拠はなかったことを示唆する。しかも、ほとんどのEVが他方に付着せず、比較的均一な分散であった。それゆえ、健常対照房水は、非凝集で拡散分布するEVを含有する。
【0406】
実施例8
イン・サイチュでPOAG房水の超構造を撮像することは、健常対照において観察されるよりも大きい、かなり大きな緑内障関連EV複合体を示す。本発明者らは、POAG患者は、線維柱帯網を閉塞することを担う、房水に存在する未確認物質を有すると仮定した。本発明者らは、この未確認物質はまだ記載されていないと仮定した。なぜならば、それは、現行の撮像技術を用いた検出の閾値を下回るからである。それゆえ、本発明者らは、EDC固定化、ネガティブ染色、および透過型電子顕微鏡撮像を適用して、POAG患者の房水中のEVのモルホロジーを観察した。2人の異なるPOAG患者から撮像した房水は、加工(EV単離なし)することなく、健常対照に用いたものと同一状態下、イン・サイチュで撮像した。驚くべきことに、POAG患者の房水は、大きなEV複合体中で一緒に凝集した多数群のEVを示し、それらは、数ミクロンのサイズであり、本発明者らは、「緑内障関連EV複合体」と呼んだ(
図9および
図10)。緑内障関連EV複合体は、2人の異なる患者サンプルに存在し、JCTの開口(1から4μm、または2から20μmまで)よりも大きいと測定され、それは、角強膜組織を閉塞するのに十分大きい。これらのデータは、POAG患者が、線維柱帯網を閉塞することを担い、房水流出を低減し、潜在的に視力喪失を引き起こすであろう、房水に存在する超微細構造物質を有することを示唆する。本発明者らは、緑内障関連EV複合体が緑内障の病因に寄与する未確認物質であると提案する。
【0407】
実施例9
対照と比較して、大きなEV複合体をビマトプロストで処理することは、EV複合体を分裂させる。EDC固定化方法を用いて可視化した緑内障関連EV凝集体が、本当に、POAGの可能性のある媒体であるかを決定するために、本発明者らは、公知の緑内障薬剤で治療すると緑内障関連EV凝集体のモルホロジーを変えると仮定した。それゆえ、本発明者らは、正常、高眼圧、および緑内障性眼においてIOPを降下させる眼内圧降下剤である、ビマトプロスト(ルミガン)を使うことを選択した。しかも、ビマトプロストは、マトリックスメタロプロテイナーゼの調節および細胞外マトリクスの再構築による、細胞外マトリクスの再構築によって房水の流出を促進することが知られている。ここで、本発明者らは、緑内障関連EV複合体が、ビマトプロストの添加によってサイズ低減すると仮定した。これを試験するために、本発明者らは、POAG患者の房水をビマトプロストまたは緩衝食塩水(プラセボまたは対照状態)と共に、37℃にて72時間、インキュベートし、EDC固定化、ネガティブ染色および透過型電子顕微鏡法を用いてEV超構造を撮像した(
図11~13)。ビマトプロスト処理後、本発明者らは、POAG-ビマトプロストサンプルにおける緑内障関連EV複合体の個数が、プラセボ処理したPOAGサンプルと比較して、実質的に低減したことに着目した(
図11)。緑内障と診断された第2のヒト対象において、実験を繰り返し、POAG房水をプラセボ(緩衝食塩水)と混合し、前記サンプルを37℃にて72時間インキュベートし、本発明者らは、多くの緑内障関連EV複合体を観察した(
図12)。しかしながら、ビマトプロスト用いたことを除き、同一状態下で、本発明者らは、緑内障関連EV複合体の個数に実質的な低減を観察した(
図13)。これらのデータは、POAGに対する公知の治療が、サイズを低減し、緑内障関連EV複合体のモルホロジーを変化させることを示唆し、そのことは、この複合体が、POAGの可能性のある病因媒体であるかもしれないことを示唆する。
【0408】
実施例10
緑内障患者の房水は、健常対照には存在しない、房水中のより電子密度の高い構造の房水を含有する。電子顕微鏡像は、健常対照には存在しない、POAG標本房水中の大きな高電子密度構造を示した。本発明者らは、POAG緑内障関連EV凝集体が、健常対照と比較して、大きなサイズであり、多く存在すると仮定した。それゆえ、本発明者らは、健常対照またはPOAGサンプルから電子顕微鏡法写真を取得し、緑内障関連EV凝集体の個数およびサイズを測定した。データは、POAG房水が、361 nmから20,214 nmと測定された、実質的に大きめの緑内障関連EV凝集体であることを示した(
図14)。しかも、本発明者らは、健常対照と比較して、POAGサンプルにおいて、実質的により多くの緑内障関連EV凝集体のを観察した。これらのデータは、POAG房水EVが、健常対照には存在しない大きな超微細構造複合体を含有することを示唆した(
図14)。しかも、前記緑内障関連EV凝集体は、眼の排水系、小柱網をブロックするのに十分大きかった。異常房水流出が、緑内障の主たるリスク因子である、上昇したIOPを引き起こすと仮定された。IOPの確立に関係するTMの領域は、シュレム管の隣にあり、角強膜組織 (JCT)または篩状領域と呼ばれる。房水流出に対して最も抵抗のある部位はJCTであり、およそ2~20μm (J. Ocular Biology 2013 June 1(1):3)と測定され、1から4μm以上の穿孔がある。JCTは、緩く配置された細胞外マトリクス (ECM)から構成され、その中に細胞が埋め込まれる。JCTのECMは、眼流体流出を単離することができるバリアとして関係している。それゆえ、本発明者らは、緑内障の患者の房水中のこの物質(緑内障関連EV凝集体)は、JCT出口の直径よりも物理的に大きく、房水流出を閉塞閉塞し、緑内障病因に関連するかもしれないと仮定した。
【0409】
実施例11
緑内障患者の房水は、互いに接触して、健常対照房水には存在しない「緑内障関連EV凝集体」と呼ばれるより大きな構造を形成するEVを含有する。緑内障関連EV凝集体の組成物を決定するために、本発明者らは、TEM像を分析し、これらの超構造は、互いに接触してより大きな凝集体を形成する多くのEVで構成されることを見いだした。緑内障関連EV凝集体内に見いだされたEVの個数を定量するために、本発明者らは、画像中に存在するEVの総数を計数し、各凝集体中のEVの個数を定量するか、または、他のEVと接触していないEV(遊離EV)の個数を計数した。本発明者らは、互いに接触しているEVの個数が0個(遊離EV、接触なし)、互いに接触しているEVの個数が5個未満、互いに接触しているEVの個数が5~10個、互いに接触しているEVの個数が10~50個、互いに接触しているEVの個数が50~100個、または互いに接触しているEVの個数が100~300個に分類した。データは、健常対照において、凝集体中にほとんどEVが存在せず(
図15および
図16)、ほとんどのEVが5個未満の他のEVと接触していることを示す。データは、健常対照において、ほとんどのEVが「遊離EV」であることを示唆した。興味深いことに、緑内障患者について、実質的な数量のEVが50~300個の間の他のEVと接触していた。データは、緑内障において、健常対照サンプルよりも多く、ほとんどのEVが緑内障関連EV凝集体内に見いだされること(
図15および
図16)を示唆する。これらのデータは、緑内障の患者は、ほとんどのEVが遊離している健常対照とは全く対照的に、互いに接触するEVを有することを示唆する。
【0410】
実施例12
健常対照対象の房水中の細胞外ベシクルは、「遊離EV」として存在し、ほとんどのEVが100から200 nmの間のサイズである。本発明者らは、健常対照房水中のEV集団を決定し、定量することを試みた。健常対照房水中のEVのサイズ分布を決定するために、本発明者らは、単一の健常対照患者から取得したヒト房水中のEV集団をキャラクタライズした(
図17)。本発明者らは、EDCを用いて健常対照ヒト房水を固定し、前記サンプルをネガティブ染色し、TEMで撮像した。本発明者らは、写真を分析し、EV直径を測定した。データは、この患者について、健常対照ヒト房水がEVを含有し、ほとんどのEVが、直径100~200 nmの間であることを示す(
図17)。さらに、本発明者らは、対照コホートにおけるほとんどのEVが他のEVとの接触がなかった。このデータは、健常対照房水がエクソソームおよびいくつかの微小ベシクル体を含有することを示唆する。本発明者らは、これらのサンプルにおいて、より大きなアポトーシス小体も緑内障関連EV凝集体も観察しなかった。
【0411】
実施例13
POAGと診断された対象の房水中の細胞外ベシクルは、緑内障関連EV凝集体に存在し、健常対照に見いだされる「遊離EV」と同様のサイズである。POAGの診断を有するヒト対象1号の房水中のEV集団を研究するために、本発明者らは、房水を取得し、EDCで前記サンプルを固定し、前記標本をネガティブ染色し、TEMで撮像した。本発明者らは、写真を分析し、緑内障関連EV凝集体内に位置するEVのEVサイズおよびカウント頻度を測定するか、または、本発明者らは、遊離EVを計数した。POAG標本#1において、本発明者らは、「遊離EV」を観察しなかった。本発明者らは、次いで、緑内障関連EV凝集体中に位置するEVの個数およびサイズを計数し、測定した(
図18)。データは、相当数のEVが緑内障関連EV凝集体内に位置し、36 nmと300 nmとの間のサイズと測定され、EVのピーク数は100~200 nmのサイズと測定されたことを示す(
図18)。POAGと診断された2番目のヒト対象において、本発明者らは、再び、POAG房水がいくつかの緑内障関連EV凝集体を有することを見いだした。本発明者らは凝集体内に存在するEV(互いに接触するEVと定義する)または遊離EV(互いに接触しない、
図19~20)を観察した。さらに、本発明者らは、緑内障関連EV凝集体内に位置する相当数のEVは36~300 nmのサイズであった(
図21)。次に、本発明者らは、緑内障関連EV凝集体に存在するEVの個数およびサイズを比較し、それら2つのサンプルEV集団は同様であった(
図22)。これらのデータは、POAG患者におけるEVサイズ集団は緑内障関連EV凝集体内に位置し、そのデータはサンプル間で一致することを示唆する。
【0412】
実施例14
POAGと診断されたヒト対象の房水中の遊離EVは、健常対照対象の房水と比較して、サイズおよび頻度が異なる。緑内障患者および健常対照の房水中の遊離EVに差異があることを決定するために、本発明者らは緑内障および対照状態のサイズおよびカウント頻度を比較した。本発明者らは、POAG患者と健常対照との間で、EVがサイズおよび頻度で異なることを見いだした(
図23)。これらのデータは、他のEVに接触しないEVは、健常対照と比較して、POAG患者において大きいことを示唆する。これらのデータは、遊離EVについての関係性を有するかもしれないことを示唆する。
【0413】
実施例15
緑内障関連EV凝集体内に存在するPOAG房水からの細胞外ベシクルは、サイズおよび頻度において、健常ヒト対象から取得した遊離EVと同様である。本発明者らは、緑内障関連EV凝集体に存在するEVが、サイズおよびカウント頻度において、健常対照EVと同様であると仮定した。これを試験するために、本発明者らは、POAGおよび健常対照標本からのEVのカウント頻度およびサイズを比較した。緑内障関連EV凝集体内に位置するPOAG房水由来のEVは、サイズおよび頻度において、健常ヒト対象における非凝集EVと同様である(
図24)。これらのデータは、健常対照由来のEVの正常集団は、POAG中のEVは緑内障関連EV凝集体中で捕捉されるために、機能化からブロックされるかもしれないことを示唆する。
【0414】
実施例16
緑内障の治療に使用するための活性剤は、式XIのセチルピリジニウムであり得、これは、プロドラッグ形態または薬学的に許容される塩形態で使用され得る。
【0415】
【化1】
それは、1-ヘキサデシルピリジン-1-イウムである。
【0416】
薬剤化合物の溶液は、マイクロ遠心チューブ内で化合物を秤量し、固体物質をpH7.2の1×PBS緩衝液に溶解することによって調製された。水に溶けにくい化合物の場合、エタノールまたはDMSOでストック溶液を調製し、10倍に希釈して10%エタノールまたはDMSOビヒクルで最終濃度を達成した。溶解を促進するために、化合物の溶液に熱(37℃)およびボルテックス混合を適用した。
【0417】
塩化セチルピリジニウムの濃度は43mg/mlであった。
【0418】
眼内圧(IOP)に対する化合物の効果を決定するために、化合物をマイクロ流体チップデバイスのウシ硝子体液(BVH)でテストした。
【0419】
25%ホモジナイズされたウシ硝子体液(BVH)の溶液は、100%ホモジナイズされたBVHをPBS緩衝液で希釈することによって調製した。50uLのBVHを0.5mLのPCRチューブに分注した。化合物の溶液50μLをBVHに添加し、BVHの総濃度を12.5%にした。サンプルを短時間ボルテックスした後、37℃で一晩インキュベートした。対照実験では、50μLのPBSバッファーまたは10%エタノール入りPBSまたはDMSOを含むPBSのいずれかを調製し、同じ条件で25%BVHとインキュベートした。
【0420】
テストBVH溶液をデバイスのリザーバーに導入した。流体プローブをマイクロ流体チップの入口に取り付け、PBSをソース流体として2 ul/分の流量を確立した。流体がチップの出口から出始め、2 ul/分の安定した流れが達成されたら、マイクロ流体チップ内の流量と圧力の変化を記録した。ベースラインの流量と圧力の読み取り値を5分間記録した後、7 ulのテストBVH溶液をサンプルインジェクターからチップに注入した。流量と圧力の変化の記録は、サンプル注入後さらに50分間続けた。55分後に記録を停止した。実験の全過程におけるチップ圧力の相対的変化をグラフにプロットした。
【0421】
図25は、剤である塩化セチルピリジニウムが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図25を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約64 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤塩化セチルピリジニウム-BVHサンプル(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しく低く、その差は持続した。この結果は、剤塩化セチルピリジニウムが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0422】
実施例17
緑内障の治療に使用するための活性剤は、式XXIのポリミキシンBであり得、これは、プロドラッグ形態または緑内障が許容できる塩形態で使用され得る。
【0423】
【0424】
薬剤化合物の溶液は、マイクロ遠心チューブ内で化合物を秤量し、固体物質をpH7.2の1×PBS緩衝液に溶解することによって調製された。水に溶けにくい化合物の場合、エタノールまたはDMSOでストック溶液を調製し、10倍に希釈して10%エタノールまたはDMSOビヒクルで最終濃度を達成した。溶解を促進するために、化合物の溶液に熱(37℃)およびボルテックス混合を適用した。
【0425】
ポリミキシンBの濃度は10mg/mlであった。
【0426】
眼内圧(IOP)に対する化合物の効果を決定するために、化合物をマイクロ流体チップデバイスのウシ硝子体液(BVH)でテストした。
【0427】
25%ホモジナイズされたウシ硝子体液(BVH)の溶液は、100%ホモジナイズされたBVHをPBS緩衝液で希釈することによって調製した。50uLのBVHを0.5mLのPCRチューブに分注した。化合物の溶液50μLをBVHに添加し、BVHの総濃度を12.5%にした。サンプルを短時間ボルテックスした後、37℃で一晩インキュベートした。対照実験では、50μLのPBSバッファーまたは10%エタノール入りPBSまたはDMSOを含むPBSのいずれかを調製し、同じ条件で25%BVHとインキュベートした。
【0428】
テストBVH溶液をデバイスのリザーバーに導入した。流体プローブをマイクロ流体チップの入口に取り付け、PBSをソース流体として2 ul/分の流量を確立した。流体がチップの出口から出始め、2 ul/分の安定した流れが達成されたら、マイクロ流体チップ内の流量と圧力の変化を記録した。ベースラインの流量と圧力の読み取り値を5分間記録した後、7 ulのテストBVH溶液をサンプルインジェクターからチップに注入した。流量と圧力の変化の記録は、サンプル注入後さらに50分間続けた。55分後に記録を停止した。実験の全過程におけるチップ圧力の相対的変化をグラフにプロットした。
【0429】
図26は、剤であるポリミキシンBが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図26を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約250 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ポリミキシンBサンプル(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しく低く、その差は持続した。この結果は、剤ポリミキシンBが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0430】
実施例18
緑内障の治療に使用するための活性剤は、式XIのネオマイシンであり得、これは、プロドラッグ形態または緑内障が許容できる塩形態で使用され得る。
【0431】
【0432】
薬剤化合物の溶液は、マイクロ遠心チューブ内で化合物を秤量し、固体物質をpH7.2の1×PBS緩衝液に溶解することによって調製された。水に溶けにくい化合物の場合、エタノールまたはDMSOでストック溶液を調製し、10倍に希釈して10%エタノールまたはDMSOビヒクルで最終濃度を達成した。溶解を促進するために、化合物の溶液に熱(37℃)およびボルテックス混合を適用した。
【0433】
ネオマイシンの濃度は35mg/mlであった。
【0434】
眼内圧(IOP)に対する化合物の効果を決定するために、化合物をマイクロ流体チップデバイスのウシ硝子体液(BVH)でテストした。
【0435】
25%ホモジナイズされたウシ硝子体液(BVH)の溶液は、100%ホモジナイズされたBVHをPBS緩衝液で希釈することによって調製した。50uLのBVHを0.5mLのPCRチューブに分注した。化合物の溶液50μLをBVHに添加し、BVHの総濃度を12.5%にした。サンプルを短時間ボルテックスした後、37℃で一晩インキュベートした。対照実験では、50μLのPBSバッファーまたは10%エタノール入りPBSまたはDMSOを含むPBSのいずれかを調製し、同じ条件で25%BVHとインキュベートした。
【0436】
テストBVH溶液をデバイスのリザーバーに導入した。流体プローブをマイクロ流体チップの入口に取り付け、PBSをソース流体として2 ul/分の流量を確立した。流体がチップの出口から出始め、2 ul/分の安定した流れが達成されたら、マイクロ流体チップ内の流量と圧力の変化を記録した。ベースラインの流量と圧力の読み取り値を5分間記録した後、7 ulのテストBVH溶液をサンプルインジェクターからチップに注入した。流量と圧力の変化の記録は、サンプル注入後さらに50分間続けた。55分後に記録を停止した。実験の全過程におけるチップ圧力の相対的変化をグラフにプロットした。
【0437】
図27は、剤であるネオマイシンが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図27を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約64 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ネオマイシン(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも72%も低く、その差は持続した。この結果は、剤ネオマイシンが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0438】
実施例19
緑内障の治療に使用するための活性剤は、ヘパリンであり得、これは、プロドラッグ形態または緑内障が許容できる塩形態で使用され得る。
【0439】
薬剤化合物の溶液は、マイクロ遠心チューブ内で化合物を秤量し、固体物質をpH7.2の1×PBS緩衝液に溶解することによって調製された。水に溶けにくい化合物の場合、エタノールまたはDMSOでストック溶液を調製し、10倍に希釈して10%エタノールまたはDMSOビヒクルで最終濃度を達成した。溶解を促進するために、化合物の溶液に熱(37℃)およびボルテックス混合を適用した。
【0440】
ヘパリンの濃度は10mg/mlであった。
【0441】
眼内圧(IOP)に対する化合物の効果を決定するために、化合物をマイクロ流体チップデバイスのウシ硝子体液(BVH)でテストした。
【0442】
25%ホモジナイズされたウシ硝子体液(BVH)の溶液は、100%ホモジナイズされたBVHをPBS緩衝液で希釈することによって調製した。50uLのBVHを0.5mLのPCRチューブに分注した。化合物の溶液50μLをBVHに添加し、BVHの総濃度を12.5%にした。サンプルを短時間ボルテックスした後、37℃で一晩インキュベートした。対照実験では、50μLのPBSバッファーまたは10%エタノール入りPBSまたはDMSOを含むPBSのいずれかを調製し、同じ条件で25%BVHとインキュベートした。
【0443】
テストBVH溶液をデバイスのリザーバーに導入した。流体プローブをマイクロ流体チップの入口に取り付け、PBSをソース流体として2 ul/分の流量を確立した。流体がチップの出口から出始め、2 ul/分の安定した流れが達成されたら、マイクロ流体チップ内の流量と圧力の変化を記録した。ベースラインの流量と圧力の読み取り値を5分間記録した後、7 ulのテストBVH溶液をサンプルインジェクターからチップに注入した。流量と圧力の変化の記録は、サンプル注入後さらに50分間続けた。55分後に記録を停止した。実験の全過程におけるチップ圧力の相対的変化をグラフにプロットした。
【0444】
図28は、剤である塩化ヘパリンが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図28を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約67 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤塩化ヘパリン(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも32%も低く、その差は持続した。この結果は、剤塩化ヘパリンが、緑内障モデルにおいてIOPを低減するのに、驚くべきほど有効であることを示した。
【0445】
実施例20
ドデシル硫酸ナトリウムが緑内障における眼内圧 (IOP)のネガティブ対照であった。
【0446】
溶液は、マイクロ遠心チューブ内で化合物を秤量し、固体物質をpH7.2の1×PBS緩衝液に溶解することによって調製された。水に溶けにくい化合物の場合、エタノールまたはDMSOでストック溶液を調製し、10倍に希釈して10%エタノールまたはDMSOビヒクルで最終濃度を達成した。溶解を促進するために、化合物の溶液に熱(37℃)およびボルテックス混合を適用した。
【0447】
ドデシル硫酸ナトリウムの濃度は24mg/mlであった。
【0448】
眼内圧(IOP)に対する化合物の効果を決定するために、化合物をマイクロ流体チップデバイスのウシ硝子体液(BVH)でテストした。
【0449】
25%ホモジナイズされたウシ硝子体液(BVH)の溶液は、100%ホモジナイズされたBVHをPBS緩衝液で希釈することによって調製した。50uLのBVHを0.5mLのPCRチューブに分注した。化合物の溶液50μLをBVHに添加し、BVHの総濃度を12.5%にした。サンプルを短時間ボルテックスした後、37℃で一晩インキュベートした。対照実験では、50μLのPBSバッファーまたは10%エタノール入りPBSまたはDMSOを含むPBSのいずれかを調製し、同じ条件で25%BVHとインキュベートした。
【0450】
テストBVH溶液をデバイスのリザーバーに導入した。流体プローブをマイクロ流体チップの入口に取り付け、PBSをソース流体として2 ul/分の流量を確立した。流体がチップの出口から出始め、2 ul/分の安定した流れが達成されたら、マイクロ流体チップ内の流量と圧力の変化を記録した。ベースラインの流量と圧力の読み取り値を5分間記録した後、7 ulのテストBVH溶液をサンプルインジェクターからチップに注入した。流量と圧力の変化の記録は、サンプル注入後さらに50分間続けた。55分後に記録を停止した。実験の全過程におけるチップ圧力の相対的変化をグラフにプロットした。
【0451】
図29は、剤であるドデシル硫酸ナトリウムが、対照と比較して、緑内障モデルにおける眼内圧 (IOP)を低減したことを示している。前記剤は、流れを制御し、マイクロ流体デバイスに用いて、相対IOPを測定することによって試験した。前記剤は、各々、ウシ硝子体液(BVH)中で調製し、37℃にて24時間予備インキュベーションすることによって、プラセボ(リン酸塩バッファー)と比較した。前記デバイスに注入する時点は、矢印と文字「a」で示す。
図29を参照すると、プラセボ(破線)のIOPは、プラセボサンプルの注入後大きく増大した。IOPは、約60 mmHgの最大圧まで、着実に上昇した。反対に、剤ドデシル硫酸ナトリウム(実線)の注入後、プラセボに対するものよりも著しき高かった。この結果は、剤ドデシル硫酸ナトリウムは、緑内障モデルにおいてIOPを低減しないネガティブ対照であることを示した。
【0452】
一般的に、眼内投与は、前房内投与、硝子体内投与、または網膜下投与により実行し得る。眼周囲投与は、結膜下注射、テノン嚢下注射、直接眼内注射、またはデポ眼周囲注射により実行し得る。全身投与は、静脈内投与、経口投与、動脈内投与、吸入、鼻腔内投与、腹腔内投与、腹部内投与、皮下投与、関節内投与、くも膜下腔内投与、経硬膜投与、経真皮 (transdermal)投与、粘膜下投与、舌下投与、経腸投与、非経口投与、経皮 (percutaneous)投与、関節周囲投与、または脳室内投与により達成し得る。
【0453】
眼用製剤は、眼滴剤によって、直接注射によって、または、輸液ポンプの使用によって局所デリバリーし得る。眼内投与は、前房内投与、硝子体内投与、または網膜下投与により実行し得る。
【国際調査報告】