(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】加工肉に使用するための組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20221202BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20221202BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20221202BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20221202BHJP
A23L 29/244 20160101ALI20221202BHJP
A23L 13/50 20160101ALI20221202BHJP
A23L 13/40 20160101ALI20221202BHJP
【FI】
A23L5/00 M
A23L11/00 Z
A23L11/00 F
A23J3/14
A23L29/262
A23L29/244
A23L13/50
A23L13/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022518835
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2020076981
(87)【国際公開番号】W WO2021058785
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/001049
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504421730
【氏名又は名称】ピュラック バイオケム ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ, ギャレット ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】クマール, サウラブ
(72)【発明者】
【氏名】ローク, トーマス
【テーマコード(参考)】
4B020
4B035
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB24
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4B042AP14
4B042AP18
4B042AP30
(57)【要約】
本発明は、加工肉に使用するための組成物であって、(a)0.2~3mmol/gの、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される炭酸塩と、(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と、(d)0~5w/w%の酸当量のグルタミン酸塩とを含み、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の組合せが、組成物に含有されている乾物の少なくとも60wt.%を構成している、組成物に関する。この組成物は、リン酸塩と同様の機能性を加工肉にもたらすことができる。本発明はまた、前述の組成物を調製するための方法、及び加工肉への組成物の適用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工肉に使用するための組成物であって、乾物基準で、
(a)0.3~4mmol/gの炭酸塩と、
(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、
(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と、
(d)0~5w/w%の酸当量のグルタミン酸塩と
を含み、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の組合せが、前記組成物に含有されている乾物の少なくとも60wt.%を構成する、組成物。
【請求項2】
前記炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭酸塩が、炭酸カリウムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物性タンパク質が、豆類タンパク質、塊茎タンパク質及びこれらの組合せから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記植物性タンパク質が、豆類タンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
乾物基準で、60w/w%以下、好ましくは20~50w/w%の、前記植物性繊維を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記植物性繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
乾物基準で、0.05~3w/w%、好ましくは0.1~2w/w%の、酸当量のグルタミン酸塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法であって、
乾物重量で少なくとも50%の炭酸塩を含有する炭酸塩供給源を用意するステップであって、前記炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、ステップと、
乾物重量で少なくとも50%のタンパク質を含有する植物性タンパク質の供給源を用意するステップと、
乾物重量で少なくとも50wt.%の植物性繊維を含有する植物性繊維の供給源を用意するステップであって、前記植物性繊維が、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される、ステップと、
前記炭酸塩、植物性タンパク質の前記供給源及び植物性繊維の前記供給源を混合するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
植物性タンパク質の前記供給源が、豆類タンパク質単離物、塊茎タンパク質単離物又はこれらの組合せである、請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
植物性タンパク質の前記供給源が、エンドウマメタンパク質単離物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
植物性繊維の前記供給源が、乾物重量で少なくとも50wt.%のセルロース繊維を含有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記炭酸塩供給源、植物性タンパク質の前記供給源及び植物性繊維の前記供給源と、乾物重量で少なくとも1w/w%の酸当量のグルタミン酸塩を含有するグルタミン酸塩の供給源とを混合するステップを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
グルタミン酸塩の前記供給源が、キノコ抽出物、トマト抽出物、酵母抽出物及びこれらの組合せから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
加工肉を調製する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を0.3~15%w/w乾物、好ましくは0.5~10%w/w乾物の量で肉に加えるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、加工肉に使用するための組成物であって、乾物基準で、
(a)0.2~3mmol/gの炭酸塩と、
(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、
(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と
を含む、組成物に関する。
【0002】
本発明の組成物は、加工肉においてリン酸塩又はトリポリリン酸塩の代替物として適切に使用することができる。
【0003】
本発明はさらに、組成物を調製するための方法及び加工肉の製造におけるその使用に関する。
【0004】
[発明の背景]
加工肉は、肉の味の改善及び/又は肉の貯蔵寿命の延長のために改質された肉である。加工方法には、例えば擂り潰し、塩漬け、硬化、発酵及び燻製が含まれる。加工肉製品の例は、ベーコン、ハム、ソーセージ、サラミ、コンビーフ、ビーフジャーキー、缶詰肉及び肉ベースのソースである。
【0005】
所望の特性をもつ加工肉を得るために、種々の追加成分が一般的に使用されている。追加成分の添加剤は、貯蔵寿命に微生物学的にも化学的にも寄与し、製品の食感、風味及び色に寄与し、調製方法の収率に寄与し得る。従来の添加剤には、塩、リン酸塩、安息香酸塩、ソルビン酸塩、酸、硝酸塩又は亜硝酸塩、及びカゼイン塩が含まれる。
【0006】
リン酸塩は、水結合、タンパク質機能性及び風味安定性を改善するリン酸塩の能力のために、肉製品及び家禽製品に使用するのに非常に人気のある成分である。リン酸塩は、緩衝能、保水力及び金属キレート化を含む、様々な機能を有している。リン酸塩は、色を保存する必要がある場合に酸化防止剤としても機能する。
【0007】
リン酸塩は、天然又は有機と考えられず、そのため、食肉加工業界はリン酸塩をクリーンなラベル成分に置き換えることを希望している。また、食餌性リンを大量に摂取すると、骨粗鬆症、血管の損傷及び腎臓機能障害を生じる可能性があるという徴候のために、リン酸塩の使用に関する懸念が高まっている。
【0008】
LeMasterら(Potassium carbonate improves fresh pork quality、63rd International Congress of Meat Science and Technology、13~18th August 2017、Cork、Ireland.)は、骨なしポークロインチョップに6つの強化処理のうちの1つが施された研究を実施した。チョップは、模擬小売陳列下に置かれ、色、pH、調理損失、及び柔らかさについて分析された。0.3%及び0.5%K2CO3処理は、pHを上昇させ、明度を低下させ、赤みを維持し、黄色味を低下させ、調理損失を減少させ、柔らかさを改善した。加えて、0.3%及び0.5%K2CO3はどちらも、陽性対照のリン酸塩処理と比較して豚肉の品質を維持又は改善した。
【0009】
Ozturkら(Effects of Jerusalem Artichoke Powder and Sodium Carbonate as Phosphate Replacers on the Quality Characteristics of Emulsified Chicken Meatballs、Korean J.Food Sci.An.2018 February 38(1):26~42)は、キクイモ粉末(JAP)を、単独で、又はトリポリリン酸ナトリウム(STPP)代替物として炭酸ナトリウム(SC)と組み合わせて形成した、乳化した鶏団子の品質を調査した。結果から、自然乾燥させたJAPは、水-油結合及びゲル化に関して好ましい技術的特性を示したことが示された。JAP-SC混合物を用いて配合されたエマルジョンバッターは、STPPを用いた対照試料よりも低いゼリーと脂肪の分離、高い保水力、及び高いエマルジョン安定性を示した。最終生成物では、JAP-SC混合物の取り込みにより、水分が増加し、脂質及びエネルギー値が減少し、対照と同様のpH値が保持された。加えたJAPは、b*値の増加をもたらすが、L*値は減少する。調理収率は、JAP-SCミックスと配合されたリン酸塩を含まない試料の対象と同様であった。SCと組み合わせたJAPの低又は中比率は、ほとんどの感覚パラメーターをなんとか保護したが、高レベルのJAPを含有する試料では感覚スコアが低下する傾向があった。
【0010】
米国特許出願公開第2009/0220665号は、加工肉の調製における乾燥柑橘類果実繊維及び大豆タンパク質粉の併用について記載している。
【0011】
米国特許第6,890,574号は、透明なトマト濃縮物を含む香りのよい食品及び飲料組成物のための呈味増強剤について記載している。
【0012】
欧州特許出願公開第1360906号は、少なくとも1種の野菜多糖類;少なくとも1種の動物ゼラチン;及び少なくとも1種のタンパク質を含む食品組成物について記載している。
【0013】
米国特許出願公開第2015/296834号は、食肉構造化タンパク質製品について記載しており、食肉構造化タンパク質製品は、(a)実質的に整列したタンパク質繊維;及び(b)少なくとも5重量%の非動物性タンパク質材料を含む。
【0014】
米国特許出願公開第2002/155201号は、(A)動物及び植物の油脂、(B)(a)ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、ポリグリセリド及びレシチンから選択される少なくとも1種の化合物と、(b)動物及び植物のタンパク質、加水分解タンパク質及び酵素分解タンパク質から選択される少なくとも1種の物質とから選択される少なくとも1種の物質、並びに(C)塩基性アミノ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の化合物を含む、加工肉用エマルジョンについて記載している。
【0015】
米国特許出願公開第2009/208612号は、乾燥成分、液体、及び一価陽イオン炭酸塩又は重炭酸塩供給源の組合せを含む肉類似製品について記載している。
【0016】
JP 2018 174731は、加熱後の加工肉製品の収量を改善する薬剤に関する。
【0017】
国際公開第2008/124576号は、構造化植物タンパク質製品及び固化剤を含む乾燥食品組成物について記載している。
【0018】
米国特許出願公開第2006/073261号は、
(A)大豆タンパク質及び大豆子葉繊維を含有する繊維材料と、
(B)(i)着色剤と、(ii)矯味矯臭剤、(iii)トリグリセリド油、(iv)食品グレードの酸若しくは酸性塩、(v)食品グレードの塩基若しくは塩基性塩、又は(vi)食品グレードのエマルジョンのうちの少なくとも1種とを含む湿潤剤と、
(C)水と
を含む大豆タンパク質含有食品について記載している。
【0019】
[発明の概要]
本発明者らは、加工肉のリン酸塩の代わりに適切に使用できる組成物を開発した。この組成物は、乾物基準で、
(a)0.2~3mmol/gの、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される炭酸塩と、
(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、
(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と、
(d)0~5w/w%の酸当量のグルタミン酸塩と
を含み、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の組合せが、組成物に含有されている乾物の少なくとも60wt.%を構成している。
【0020】
この組成物は、リン酸塩と同様の機能性を加工肉にもたらすことができ、特に調理収率の向上及びよりしっかりとした食感をもたらすことできることが判明した。
【0021】
本発明はまた、前述の組成物を調製するための方法であって、
乾物重量で少なくとも50%の炭酸塩を含有する炭酸塩供給源を用意するステップであり、前記炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、ステップと、
乾物重量で少なくとも50%のタンパク質を含有する植物性タンパク質の供給源を用意するステップと、
乾物重量で少なくとも50wt%の植物性繊維を含有する植物性繊維の供給源を用意するステップであり、前記植物性繊維が、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される、ステップと、
炭酸塩、植物性タンパク質の供給源及び植物性繊維の供給源を混合するステップと
を含む、方法に関する。
【0022】
最後に、本発明は、加工肉を調製する方法であって、前述の組成物を0.3~15%w/w乾物の量で肉に加えるステップを含む、方法を提供する。
【0023】
[発明の詳細な説明]
本発明の第1の態様は、加工肉に使用するための組成物であって、乾物基準で、
(a)0.2~3mmol/gの炭酸塩と、
(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、
(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と、
(d)0~5w/w%の酸当量のグルタミン酸塩と
を含み、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の組合せが、組成物に含有されている乾物の少なくとも60wt.%を構成している、組成物に関する。
【0024】
本明細書では、用語「炭酸塩」は、炭酸塩、例えば炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)及び重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、並びに炭酸塩の解離形態を包含する。
【0025】
本明細書では、用語「グルタミン酸塩」は、特に指示がない限り、グルタミン酸、グルタミン酸の塩、解離したグルタミン酸塩及びこれらの組合せを包含する。
【0026】
「w/w%酸当量」として表したグルタミン酸塩の濃度は、全てのグルタミン酸塩がグルタミン酸として存在していると仮定した場合のグルタミン酸塩の全濃度を意味する。
【0027】
本明細書では、用語「セルロース繊維」は、セルロースから構成された繊維を意味する。セルロースに加えて、セルロース繊維は、他の植物細胞壁多糖類、例えばヘミセルロース及びリグニンも含有していてもよい。
【0028】
本明細書では、用語「ミクロフィブリル化セルロース繊維」又は「MCF」は、特に指示がない限り、水不溶性のセルロースミクロフィブリル、より詳細には長さL及び平均直径Dを有する水不溶性のセルロースミクロフィブリルを意味し、ここで、L/D比は、少なくとも30であり、Dは、1~50nmの範囲である。これらのセルロースミクロフィブリルは、反フィブリル化処理、例えば高圧均質化の結果として細胞壁多糖類マトリックスにかみ合わない。
【0029】
本明細書では、用語「直径」は粒子に関して、特に指示がない限り、前記粒子の平均球相当径を意味する。同様に、特に指示がない限り、本明細書では、用語「直径」はミクロフィブリルに関して、前記ミクロフィブリルの平均直径を意味する。
【0030】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、含水量が15w/w%未満の粉末又は乾物含量が10~80w/w%の水性液である。
【0031】
組成物は、好ましくは乾物基準で0.3~2.5mmol/gの炭酸塩、より好ましくは0.4~2.2mmol/gの炭酸塩、最も好ましくは0.5~2mmol/gの炭酸塩を含有する。
【0032】
組成物が粉末の場合、炭酸塩は、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される。より好ましくは、炭酸塩は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される。最も好ましくは、炭酸塩は、炭酸カリウムである。
【0033】
組成物が粉末の場合、グルタミン酸塩は、好ましくはグルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸及びこれらの組合せから選択される。
【0034】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、乾物含量が10~80w/w%の水性液である。より好ましくは、水性液の乾物含量は、20~75w/w%、さらにより好ましくは30~70w/w%である。
【0035】
組成物が液体形態の場合、炭酸塩は、好ましくは炭酸塩(炭酸塩の解離形態で)、炭酸及びこれらの組合せから選択される。
【0036】
組成物が液体形態のとき、グルタミン酸塩は、好ましくはグルタミン酸塩(グルタミン酸塩の解離形態で)、グルタミン酸及びこれらの組合せから選択される。
【0037】
本組成物は、好ましくは、乾物基準で25~80w/w%、より好ましくは30~75w/w%の植物性タンパク質を含む。
【0038】
本組成物に含有されている植物性タンパク質は、好ましくは豆類タンパク質、塊茎タンパク質及びこれらの組合せから選択される。適切に使用できる豆類タンパク質の例には、エンドウマメ、レンズマメ、ルピナス及び/又はマメからのタンパク質が含まれる。使用できる塊茎タンパク質の例には、ジャガイモタンパク質、キャッサバタンパク質、サツマイモタンパク質及びヤマノイモタンパク質が含まれる。
【0039】
好ましくは、植物性タンパク質は、豆類タンパク質である。最も好ましくは、植物性タンパク質は、エンドウマメタンパク質である。
【0040】
本組成物は、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せから選択される植物性繊維を含有している。本発明者らは、このような植物性繊維を本組成物に包含すると、調理中の水分損失が最小限に抑えられ、スライス性(堅さ)、多汁性及び柔らかさなどの加工肉製品の品質属性が改善されることによって役立つことを発見した。本組成物は、好ましくは乾物基準で60w/w%以下、好ましくは20~50w/w%の植物性繊維を含む。
【0041】
本組成物に適用できるセルロース繊維の例には、柑橘類果実(例えばCITRI-FI(登録商標)100M40、Fiberstar、River Falls、WI、USA)及びニンジン繊維(例えばハイドロバインド(Hydrobind)(登録商標)ニンジン繊維(LP)、Wm.Bolthouse Farms Inc.、Bakersfield、CA、USA)からのミクロフィブリル化セルロースが含まれる。
【0042】
特に好ましい実施形態によれば、植物性繊維はミクロフィブリル化セルロース繊維(MFC)、イヌリン及びこれらの組合せから選択される。
【0043】
本発明によって使用されるMFCは、好ましくは果実、根、球根、塊茎、茎、種子又はこれらの組合せからの実質組織を起源とする。より好ましくは、MFCは果実を起源とする。
【0044】
MFCに適した供給源の例には、柑橘類果実、トマト果実、桃果実、カボチャ果実、キウイ果実、リンゴ果実、マンゴー果実、サトウダイコン、サトウキビ、ビートの根、カブ、パースニップ、トウモロコシ、オートムギ、コムギ、エンドウマメ、オオバコ、竹、タマネギ又はこれらの組合せが含まれる。さらにより好ましくは、MFCは、柑橘類果実、トマト果実、サトウキビ、サトウダイコン又はこれらの組合せを起源とする。好ましくは、MFCは、柑橘類果実、サトウダイコン又はこれらの組合せを起源とし、最も好ましくはMFCは、柑橘類果実を起源とする。
【0045】
本発明による組成物中のMFCは通常、セルロースに加えてヘミセルロース及びペクチンを含有する実質材料から生成される。好ましくは、本発明による組成物は、MFCと同じ供給源(複数可)からのヘミセルロース及びペクチンを含有する。より好ましくは、本発明による組成物は、0~1.3、より好ましくは0.05~1.0、最も好ましくは0.1~0.7のヘミセルロースとペクチンのMFCに対する重量比を含有する。
【0046】
MFCは、当業者に一般的に公知である方法によって前述の供給源から得ることができる。その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれている国際公開第2006/033697号は、本発明で使用するのに適した植物性繊維材料を製造するための例示的な方法を説明している。このような方法は、通常、本明細書に記載されているような特性を有するMFCを得るために、高圧均質化ステップ又は高剪断条件が適用される他のプロセスステップを伴う。
【0047】
化学薬品(例えば酸及び/又は塩基)、酵素(例えばペクチナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ又はその混合物)及び/又は熱による植物パルプの処理は、特定の植物細胞壁成分、特にペクチン及びヘミセルロースの可溶化及び抽出に影響を及ぼすことは、当業者に公知である。これは、繊維材料の特定の特性、特に水結合能力及び/又は粘性化特性を調整するために使用することができる。
【0048】
特に適切なMFC含有材料は、以下のような供給会社から市販されている:ビタセル(Vitacel)商標/名称でJ.Rettenmaier and Sohne GMBHの供給会社から;ヘルバセル(Herbacel)商標/名称でHerbafood Ingredientsから;及びCitri-Fi商標/名称でFiberstarのような供給会社から。
【0049】
食品に含有されているMFCは通常、少なくとも80w/w%の、長さL及び平均直径Dを有するセルロースミクロフィブリルを含み、ここで、L/D比は、少なくとも10であり、Dは、3~70nmの範囲である。
【0050】
MFCのセルロースミクロフィブリルは通常、平均直径が30nm未満、より好ましくは20nm未満、最も好ましくは15nm未満である。
【0051】
MFCの平均結晶化度は通常、40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは30%未満である。
【0052】
特定の理論に拘泥するものではないが、MFCの有利な効果は、セルロースミクロフィブリルの水結合能力に少なくとも部分的に基づいていると考えられている。本発明の好ましい実施形態では、MFCは、MFC1g当たり水4~25gの範囲内、最も好ましくはMFC1g当たり水5~20gの範囲内の水結合能力を示す。
【0053】
MFCの水結合能力は、以下の手順を用いて測定することができる:MFC(乾燥粉末)2.5gを50ml遠心分離管に入れ、計量した(W1と表記)。次に、ミリ-Q水40g(W2と表記)を加えた。遠心分離管を閉じ、手で1分間撹拌した。遠心分離管を2000rpmで10分間遠心分離し、上清をデカントし、計量した(W3と表記)。MFCの水結合能力(WBC)は、以下の式:WBC=(W2-W3)/W1によって計算される。WBCは、MFC1g当たりの水のグラム数(g水/gWFC)として表される。
【0054】
本発明の代替的な実施形態では、植物性繊維はイヌリンである。イヌリンは、多くの植物に存在する天然の食物繊維材料である。チコリの根は、比較的多量のイヌリンを含有し、したがってイヌリン供給源としてしばしば使用されている。イヌリンは、果糖モノマーの多糖鎖である。これは、例えばSensus社のフルタフィット(Frutafit)の商標/名称のように、種々のグレードの純度及び種々の重合度で市販されている。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、イヌリンは、乾物で少なくとも90%のイヌリン純度を有する高純度のイヌリン製品によって提供される。より好ましい実施形態では、イヌリン製品の純度は、少なくとも95%であり、さらにより好ましいのは、少なくとも99%の純度である。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態では、イヌリンの平均重合度は、5~50モノマーであり、より好ましい実施形態では10~40、さらにより好ましい実施形態では15~35、最も好ましくは20~30モノマーである。
【0057】
最も好ましくは、本発明によって使用された植物性繊維は、ミクロフィブリル化セルロース繊維である。
【0058】
グルタミン酸塩は、「旨味」を提供する、食品の呈味増強剤として知られている。グルタミン酸塩は純粋なグルタミン酸ナトリウムの形態でしばしば加えられるが、グルタミン酸塩は、キノコ抽出物、トマト抽出物又は酵母抽出物などのグルタミン酸塩が豊富な製品の形態でも加えることができる。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、乾物基準で0.05~3w/w%、より好ましくは0.1~3w/w%の酸当量のグルタミン酸塩を含む。
【0060】
好ましい一実施形態では、グルタミン酸塩は、キノコ抽出物、トマト抽出物、酵母抽出物又はこれらの組合せによって提供されている。最も好ましくは、グルタミン酸塩は、キノコ抽出物によって提供されている。
【0061】
別の好ましい実施形態によれば、本組成物は、乾物1g当たり、20~1200μmolのカルノシン酸、カルノソール及びこれらの組合せから選択されるフェノール性ジテルペンを含有する。さらにより好ましくは、組成物は、乾物1g当たり、40~400μmolのこのフェノール性ジテルペンを含有する。
【0062】
フェノール性ジテルペンは、好ましくはマンネンロウ抽出物、セージ抽出物又はこれらの組合せによって提供される。最も好ましくは、フェノール性ジテルペンは、マンネンロウ抽出物によって提供される。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、20℃の蒸留水中に分散させて、水1L当たり100グラムの乾物をもたらすと、pHが5.0~11.0の範囲、より好ましくは6.0~8.5の範囲の水性組成物が得られる。
【0064】
本発明の組成物は、2種以上の成分を組み合わせることによって適切に生成することができる。粉末形態の組成物は、種々の成分を粉末形態で用意し、粉末調合によって組成物を調製することによって得ることができる。液体形態の組成物は、少なくとも1種の成分を液体形態で用意し、他の成分を液体に混合することによって得ることができる。このように得られた液体組成物を続いて乾燥させて、本発明による組成物を粉末形態で調製することも可能である。噴霧乾燥などの乾燥方法は、当業者に周知である。
【0065】
本発明の第2の態様は、本明細書で前述した加工肉に使用するための組成物を調製する方法であって、
乾物重量で少なくとも50%の炭酸塩を含有する炭酸塩供給源を用意するステップであり、前記炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、ステップと、
乾物重量で少なくとも50%のタンパク質を含有する植物性タンパク質の供給源を用意するステップと、
乾物重量で少なくとも50wt%の植物性繊維を含有する植物性繊維の供給源を用意するステップであり、前記植物性繊維が、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される、ステップと、
炭酸塩、植物性タンパク質の供給源及び植物性繊維の供給源を混合するステップと
を含む、方法に関する。
【0066】
好ましい実施形態では、炭酸塩供給源と植物性タンパク質の供給源のどちらも粉末の形態で提供される。好ましくは、本方法で使用される植物性繊維の供給源も粉末である。
【0067】
本方法で使用されている炭酸塩供給源は、好ましくは、乾物の重量によって計算して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%の炭酸塩を含有する。
【0068】
炭酸塩供給源は、好ましくは、乾物によって計算して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%の炭酸カリウムを含有する。
【0069】
植物性タンパク質の供給源は、好ましくは、乾物重量で、少なくとも60%のタンパク質、より好ましくは少なくとも70%のタンパク質を含有する。
【0070】
植物性タンパク質の供給源は、好ましくは豆類タンパク質単離物、塊茎タンパク質単離物又はこれらの組合せから選択される。より好ましくは、植物性タンパク質の供給源は、豆類タンパク質単離物である。最も好ましくは、植物性タンパク質の供給源は、エンドウマメタンパク質単離物である。
【0071】
一実施形態では、植物性繊維の供給源は、乾物重量で少なくとも50%のミクロフィブリル化セルロースを含有する。
【0072】
本方法で使用される植物性繊維の供給源は、好ましくは、乾物重量で少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%のセルロース繊維を含有する。
【0073】
別の実施形態によれば、植物性繊維の供給源は、乾物重量で少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%のイヌリンを含有する。
【0074】
植物性繊維の供給源のイヌリンは、好ましくは平均重合度が5~50モノマー、より好ましくは10~40モノマー、さらにより好ましくは15~35モノマー、最も好ましくは20~30モノマーである。
【0075】
別の有利な実施形態によれば、本方法は、炭酸塩供給源、植物性タンパク質の供給源及び植物性繊維の供給源と、乾物重量で少なくとも1%酸当量のグルタミン酸塩を含有するグルタミン酸塩の供給源とを混合するステップを含む。
【0076】
本方法に使用されたグルタミン酸塩の供給源は、好ましくは粉末である。
【0077】
グルタミン酸塩の供給源は、好ましくは乾物重量で少なくとも1.5%酸当量のグルタミン酸塩、より好ましくは2~30%酸当量のグルタミン酸塩を含有する。
【0078】
本方法で使用されるグルタミン酸塩の供給源は、好ましくはキノコ抽出物、トマト抽出物、酵母抽出物及びこれらの組合せから選択される。最も好ましくは、グルタミン酸塩の供給源は、キノコ抽出物である。
【0079】
別の好ましい実施形態によれば、本方法は、炭酸塩供給源、植物性タンパク質の供給源及び植物性繊維の供給源と、乾物1グラム当たり、少なくとも0.3mmolの、カルノシン酸、カルノソール及びこれらの組合せから選択されるフェノール性ジテルペンを含有するフェノール性ジテルペンの供給源とを混合するステップを含む。
【0080】
フェノール性ジテルペンの供給源は、好ましくは乾物1グラム当たり少なくとも0.4mmolのフェノール性ジテルペンを含有する。さらにより好ましくは、フェノール性ジテルペンの供給源は、乾物1グラム当たり0.5~2.7mmolのフェノール性ジテルペンを含有する。
【0081】
本発明の第3の態様は、加工肉を調製する方法であって、本発明の組成物を、0.3~15%w/w乾物、好ましくは0.5~10%w/w乾物の量で肉に加えるステップを含む、方法に関する。
【0082】
組成物は、液体又は乾燥形態で使用することができる。乾燥形態で使用される場合、組成物は、適量の水、例えば水道水で再構成してから肉に加えることができる。このために、成分は通常、均一な液体を形成するのに十分な時間撹拌され、これは分散液又は溶液であってもよい。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、肉は、全筋肉食肉(whole muscle meat)、全筋肉食肉の切り身又はスライス、挽かれた又は細かく砕かれた筋肉食肉(muscle meat)及び乳化肉からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、肉は、新鮮な(fresh)肉であり、全筋肉食肉、全筋肉食肉の切り身若しくはスライス又は挽かれた若しくは細かく砕かれた筋肉食肉の形態であってもよい。これに関して、用語「新鮮」は、動物の死骸からの切除と本発明による処理の間に肉が調理によって処理されていないことを表す。好ましい実施形態では、肉は未調理の肉である。
【0084】
好ましくは、肉は、肉牛、豚肉、子羊肉、鶏肉、及び狩猟肉から得られ、最も好ましくは肉牛、豚肉、ニワトリ及びシチメンチョウから得られる。本発明の別の実施形態では、肉は、赤肉である。
【0085】
加工肉を調製するための方法は、新鮮な肉と添加剤組成物を合わせるための、公知の及び/又は従来から使用されている任意の方法を利用することができる。例えば、肉は、本発明の組成物を新鮮な肉の全体にわたって分散させることによって、本発明の組成物で処理することができる。適した方法には、組成物を肉の中若しくは上に注入、圧送、噴霧、浸漬、液浸、又はその他の方法で分散させることが含まれる。加えて、方法は、肉を回転混合(tumbling)、混練(kneading)、もみ込み(massaging)又はその他の方法で操作して、組成物を肉の全体にわたってさらに分散させることを含み得る。いくつかの実施形態では、自動化された商業的な肉製造ステップの一部として、組成物は、圧力下で肉に注入される。適した注射器は、特定量の組成物を各肉片に送り込むように設定することができる。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、加工肉を調製するための方法は、本発明の保存組成物を含有する水性液を加えることを含み、組成物は、注入と回転混合によって加えられる。
【0087】
水性液を肉の全体にわたって分散させた後、肉は続いて、所望の内部温度に達するまで調理し、包装及び冷蔵又は冷凍してもよい。或いは、水性液を肉の全体にわたって分散させた後、肉を包装、調理し、次いで冷蔵又は冷凍してもよい。
【0088】
加工肉を調製するための方法によって得られる加工肉は、通常、保湿性、色、食感、風味及び貯蔵寿命に関する有利な特性を有する。
【0089】
本発明は、上記の特定の実施形態を参照することにより説明されてきた。これらの実施形態は、当業者に周知の種々の修正形態及び代替形態が可能であることが認識されることになる。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記のものに加えて多くの修正を、本明細書に記載の構造及び技術に対して行なうことができる。したがって、特定の実施形態が記載されているが、これらは単なる例であり本発明の範囲に対して限定するものではない。
【0090】
さらに、本明細書及びその特許請求の範囲の適切な理解のために、動詞「含む」及びその活用型は、その言葉に続く項目が含まれるが明確に述べられていない項目が排除されないことを意味するように、非限定的な意味で使用されることを理解されたい。加えて、不定冠詞「a」又は「an」によってある要素に言及することは、1つ及び1つのみの要素があることを文脈上明確に要求しない限り、1つを超えるその要素が存在する可能性を排除しない。したがって不定冠詞「a」又は「an」は、通常「少なくとも1つの」を意味する。
【0091】
本発明の明細書で引用される全ての特許及び参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
以下の実施例は単に例示的な目的のために示され、決して本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0093】
[実施例]
加工肉に使用するための組成物は、肉製品で試験した。試験に使用した肉製品は、調理したシチメンチョウ肉バッターであった。pHに対する効果と調理収率への寄与を決定するために試験を行なった。
【0094】
肉製品を作成するのに使用した材料及び機器は、以下の通りであった:
Minipack-torre、Model MVS45X
High Barrier Casing:60mm*609.4mm
Mauting Smoking Chamber(Mauting、Valtice、Czech Republic)、蒸気調理に使用。
【0095】
肉製品を以下の手順に従って調製した:
1.シチメンチョウ胸肉を2回挽いて1/4”にした。
2.他の全ての成分をブラインに加え、5分間混合した。
3.ブラインを挽肉に加え、5分間混合した。
4.そのようにして得た肉バッターを2lbs.の部分に分けた。
5.各部分を調理袋に真空包装した。
6.包装された肉バッターを1時間静置した。
7.静置後、以下のように段階調理スケジュールを用いて製品を73.9℃まで調理した:
【0096】
【0097】
8.調理後、製品を終夜2.0℃に冷却した。
9.冷却後、製品を包装材から取り出し、軽く叩いて乾燥させ、調理収率を次のように計算した:
【0098】
【0099】
10.製品を自動デリスライサーに置き、各処理から30枚スライスを集めた。スライス収率を次のように計算した:
【0100】
【0101】
11.食感プロファイル分析を、TAXT2テクスチャーアナライザー(Texture Technologies Corp.、Scarsdale、New York、USA)を使用して行なった。直径7.62cmのプローブを用いてスライスした試料を2回圧縮することによって、食感分析を行ない、次のように定義した:
硬さ-1回目の圧縮のピーク力
弾力性-1回目の圧縮後にどれだけ製品が形状を回復するか:2回目の圧縮の下向きの動作で測定した。
粘着性-どれだけ製品が2回目の圧縮に耐えるか:2回目の圧縮の総力を1回目の圧縮の総力で割ったものとして記録した。
12.感覚分析を、8ポイント快不快尺度を用いて行なった:
8-非常に好き
1-非常に嫌い
【0102】
実施例1
乾燥粉末ブレンド(組成物1及び2)を、表1に示すレシピに基づいて調製した。
【0103】
【0104】
肉バッターを、表2に示すレシピに基づいて調製した。
【0105】
【0106】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表3にまとめた。
【0107】
【0108】
実施例2
乾燥粉末ブレンドを、表4に示すレシピに基づいて調製した。
【0109】
【0110】
肉バッターを、表5に示すレシピに基づいて調製した。
【0111】
【0112】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表6にまとめた。
【0113】
【0114】
実施例3
乾燥粉末ブレンドを、表7に示すレシピに基づいて調製した。
【0115】
【0116】
肉バッターを、表8に示すレシピに基づいて調製した。
【0117】
【0118】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表9にまとめた。
【0119】
【0120】
実施例4
乾燥粉末ブレンドを、表10に示すレシピに基づいて調製した。
【0121】
【0122】
肉バッターを、表11に示すレシピに基づいて調製した。
【0123】
【0124】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表12にまとめた。
【0125】
【0126】
実施例5
乾燥粉末ブレンドを、表13に示すレシピに基づいて調製した。
【0127】
【0128】
肉バッターを、表14に示すレシピに基づいて調製した。
【0129】
【0130】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表15にまとめた。
【0131】
【0132】
実施例6
乾燥粉末ブレンドを、表16に示すレシピに基づいて調製した。
【0133】
【0134】
肉バッターを、表17に示すレシピに基づいて調製した。
【0135】
【0136】
調理済み製品の調理収率及びpHを決定した。結果を表18にまとめた。
【0137】
【0138】
加工肉2の酸化安定度は、加工肉1の酸化安定度よりも高かった。
【0139】
実施例7
乾燥粉末ブレンドを、表19に示すレシピに基づいて調製した。
【0140】
【0141】
肉バッターを、表20に示すレシピに基づいて調製した。
【0142】
【0143】
調理済み製品の調理収率、pH、及びスライス収率を決定した。結果を表21にまとめた。
【0144】
【0145】
調理済み製品の食感プロファイル分析を行なった。結果を表22にまとめた。
【0146】
【0147】
調理済み製品の感覚分析を行なった。結果を表23にまとめた。
【0148】
【0149】
実施例8
乾燥粉末ブレンドを、表24に示すレシピに基づいて調製した。
【0150】
【0151】
肉バッターを、表25に示すレシピに基づいて調製した。
【0152】
【0153】
調理済み製品の調理収率、pH、及びスライス収率を決定した。結果を表26にまとめた。
【0154】
TA-42ブレードを取り付けたTATX2-Plusテクスチャーアナライザー(Texture Technologies)を使用してスライス性(堅さ)を決定した。試料は、厚さ約2mmの製品のスライス1枚からなっていた。試料を冷蔵庫から取り出し、すぐに試験した。試験の前に、テクスチャーアナライザーは、TA-42ブレードを用いて高さについて、また200g及び2000gの校正分銅を用いて力について校正した。試験は、Exponent食感分析ソフトウェアを用いて行なった。スタートに戻るTAシーケンスを使用した。試験速度は4.00mm/秒であった。5.0gのトリガー力を使用してデータ取得シーケンスを開始した。
【0155】
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工肉に使用するための組成物であって、乾物基準で、
(a)0.3~4mmol/gの
、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、炭酸塩と、
(b)20~92w/w%の植物性タンパク質と、
(c)10~70w/w%の、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される植物性繊維と、
(d)0~5w/w%の酸当量のグルタミン酸塩と
を含み、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の組合せが、前記組成物に含有されている乾物の少なくとも60wt.%を構成する、組成物。
【請求項2】
前記炭酸塩が、炭酸カリウムである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記植物性タンパク質が、豆類タンパク質、塊茎タンパク質及びこれらの組合せから選択される、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物性タンパク質が、豆類タンパク質、好ましくはエンドウマメタンパク質である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
乾物基準で、60w/w%以下、好ましくは20~50w/w%の、前記植物性繊維を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記植物性繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
乾物基準で、0.05~3w/w%、好ましくは0.1~2w/w%の、酸当量のグルタミン酸塩を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法であって、
乾物重量で少なくとも50%の炭酸塩を含有する炭酸塩供給源を用意するステップであって、前記炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組合せから選択される、ステップと、
乾物重量で少なくとも50%のタンパク質を含有する植物性タンパク質の供給源を用意するステップと、
乾物重量で少なくとも50wt.%の植物性繊維を含有する植物性繊維の供給源を用意するステップであって、前記植物性繊維が、セルロース繊維、イヌリン及びこれらの組合せの群から選択される、ステップと、
前記炭酸塩、植物性タンパク質の前記供給源及び植物性繊維の前記供給源を混合するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
植物性タンパク質の前記供給源が、豆類タンパク質単離物、塊茎タンパク質単離物又はこれらの組合せである、請求項
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
植物性タンパク質の前記供給源が、エンドウマメタンパク質単離物である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
植物性繊維の前記供給源が、乾物重量で少なくとも
60wt.%のセルロース繊維を含有する、請求項
8~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記炭酸塩供給源、植物性タンパク質の前記供給源及び植物性繊維の前記供給源と、乾物重量で少なくとも1w/w%の酸当量のグルタミン酸塩を含有するグルタミン酸塩の供給源とを混合するステップを含む、請求項
8~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
グルタミン酸塩の前記供給源が、キノコ抽出物、トマト抽出物、酵母抽出物及びこれらの組合せから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
加工肉を調製する方法であって、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物を0.3~15%w/w乾物、好ましくは0.5~10%w/w乾物の量で肉に加えるステップを含む、方法。
【国際調査報告】