(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(54)【発明の名称】良性前立腺肥大症および関連する下部尿路症状の処置のための送達システムおよび装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20221202BHJP
A61F 2/86 20130101ALI20221202BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521422
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020055067
(87)【国際公開番号】W WO2021072258
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518220969
【氏名又は名称】プロデオン・メディカル・コーポレイション
【住所又は居所原語表記】116 Hougang Street 7F, Taipei, 11170 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ケネス・チー-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ザレツカ・ゲーリー・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュワラ-ラオ・コンダパブラー・ティー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA42
4C267AA47
4C267AA50
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB19
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC26
4C267GG02
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG08
4C267GG16
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267GG32
4C267HH08
(57)【要約】
尿道を塞ぐ前立腺葉組織を含む、中空の身体管腔を塞ぐ身体組織、例えば、良性前立腺肥大症(BPH)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、良性前立腺閉塞(BPO)および関連する下部尿路症状(LUTS)を含む状態、を管理および/または処置するための装置およびシステムが開示される。インプラントは、シース内に同軸に配されたプッシャーを用いてインプラントを駆動することによって配備され得るように、細長いシースの遠位部分内において拘束構成で維持される。インプラント係合要素は、配備中にインプラントの制御を維持するのを助ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するためのシステムであって、
遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、
前記細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、
前記細長いシース内に配されたプッシャーと、
前記ハンドルと結合され、前記プッシャーに連結された配備アクチュエータと、
前記非外傷性先端部に隣接して前記細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントと、
を含み、
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーと前記細長いシースとの間の相対運動が生じ、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、システム。
【請求項2】
前記細長いシースの作業長さおよびインプラント配備位置を調節するための、前記ハンドル上の前進ノブをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記配備アクチュエータは、前記プッシャーの近位端部に連結されたスライダである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記配備アクチュエータの前記操作により、前記細長いシースを後退させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーを遠位に移動させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
灌注流体を前記非外傷性先端部に導くように構成された前記細長いシース内で流体連通する前記ハンドルと結合された流体継手をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体継手は、前記配備アクチュエータと共に移動可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
インプラント係合要素に接続された前記ハンドルと結合され、配備中に前記インプラントを選択的に解放するかまたは後退させるように構成されたインプラントアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
インプラント係合要素に接続され、配備中に前記インプラントを選択的に解放するように構成されたインプラントアクチュエータをさらに含み、
前記インプラント係合要素は、前記流体継手を通して送られている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
配備中に前記インプラントの制御を維持するように構成されたインプラント係合要素をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記インプラント係合要素は、前記インプラント内に配された、予め形成された形状を含み、前記予め形成された形状は、配備時に前記インプラントの遠位移動を遅らせるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記インプラント係合要素は、前記インプラントの近位端部に連結された解放可能なテザーを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記インプラント係合要素は、前記プッシャーの遠位端部および前記インプラントの近位端部に連動特徴部を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記インプラント係合要素は、張力を加えられたときに前記インプラントを拘束する、前記インプラントの組織係合部分に形成された孔を通って送られたワイヤを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記インプラント係合要素は、張力を加えられたときに前記インプラントを拘束する、前記インプラントの組織係合部分の周りに送られたワイヤを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するための装置であって、
遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、
前記細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、
前記細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、
前記ハンドルと結合され、前記プッシャーに連結された配備アクチュエータと、
を含み、
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーと前記細長いシースとの間の相対運動が生じ、前記非外傷性先端部インプラントに隣接して前記細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントを、前記細長いシースの前記非外傷性先端部の外に駆動させる、装置。
【請求項17】
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーを遠位に移動させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記細長いシースの作業長さおよびインプラント配備場所を調節するための、前記ハンドル上の前進ノブをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
灌注流体を前記非外傷性先端部に導くように構成された前記プッシャーの内腔と流体連通する前記ハンドルと結合された流体継手をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記流体継手は、前記配備アクチュエータと共に移動可能である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記細長いシースは、2mm(6フレンチ)以下の直径を有する作業チャネル内に適合するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記ハンドルは、前記配備アクチュエータの動作を選択的に制限する配備ロックをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記ハンドルは、前記膀胱鏡の前記作業チャネルのロックと係合するために、前記細長いシースの周りに同軸に配されたコネクタをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔本開示の分野〕
本開示は、中空の身体管腔を塞ぐ身体組織、例えば尿道を塞ぐ前立腺葉組織を管理または処置するための装置およびシステムに関する。
【0002】
〔背景〕
前立腺はクルミの形をした腺で、尿が膀胱から排出される尿道を包んでおり、男性の生殖系において重要な役割を果たしている。この腺は最初は小さいが、男性の加齢と共に肥大する傾向がある。前立腺が過度に肥大すると、良性前立腺肥大症(BPH)として知られる疾患が生じる。良性前立腺肥大症(BPH)は、加齢男性に非常によくみられる、異常ではあるが非悪性(非がん性)の前立腺の成長を指す。BPHは慢性疾患であり、前立腺部尿道における尿流出路閉塞または管腔狭窄の発症と関連する。膀胱下尿道閉塞(BOO)とは、尿道への尿の流れを減少または停止させる、膀胱底部における閉塞を指し、BPHに続発することがある。性機能障害、頻尿、排尿困難、尿閉、尿漏れ、ならびに、前立腺の異常な成長が拡大し進行するにつれて悪化する尿路感染症および膀胱感染症を含む、下部尿路症状(LUTS)と総称される一連の関連する病気が、生じ得る。
【0003】
外科的手技は、前立腺組織のかなりの部分を除去することによりBPHを緩和する。いくつかの従来の外科的手技が利用可能であり、いずれも入院および何らかの形の脊椎麻酔、硬膜外麻酔、または全身麻酔を必要とする。経尿道的前立腺切除術(TURP)はBPHの主要な外科的処置であり、他の処置と比較されるゴールドスタンダードであり続けている。従来の外科的技術は、前立腺にアクセスするために外科医が行う切開の場所、および前立腺組織を除去する方法が異なる。例えば、一部の手術では、レーザーエネルギー、熱、または高周波を使用して前立腺から組織を除去する。これらには、レーザー核出術、光選択的前立腺レーザー蒸散術(photoselective vaporization)(PVP)、高周波エネルギーを用いた経尿道的針焼灼術(TUNA)、経尿道的マイクロ波温熱療法(TUMT)、および経尿道的前立腺切開術(TUIP)が含まれる。しかしながら、BPHの処置に対するこれらの従来の外科的アプローチは、侵襲性であり、非可逆性であり、数ヶ月間の一時的カテーテルの留置、感染のリスク、性機能の喪失、尿失禁、および再狭窄を含む重大な欠点を有し、前立腺における細胞の再発性肥大は、再成長して尿道開口部の狭窄の再発を引き起こし、上述したLUTS症状の再発も引き起こす。
【0004】
前立腺組織を除去すると一部のBPH症状が軽減されるが、従来の外科的アプローチによる組織除去は不可逆的であり、手術のいかなる副作用も患者を生涯苦しめたり、患者の生活の質に影響を与えたりする可能性がある。さらに、外科的アプローチは、手術自体による固有のリスク、除去された前立腺組織の再成長による再発のリスクと関連し、疾患の程度および個々の患者に必要な特定の外科的アプローチに応じて、3~6週間もの長い回復期間を必要とする場合がある。
【0005】
従来の手術の欠点が認識されているため、より侵襲性の低い治療法が開発されており、疾患の程度に応じて、生涯にわたる投薬または手術に代わるものとして患者および医師により選択され得る。これらの、より侵襲性の低い治療法は、全身麻酔下で行われる外科的手技を受ける意思がないか、またはそれを受けるのに医学的に適切でない患者に適している可能性がある。さらに、若年患者もまた、性機能を損なうことなく、侵襲性の低い可逆的な処置を希望し、後年、性機能に影響を及ぼす永続的な非可逆性処置を受けるという選択肢を残している。
【0006】
より侵襲性の低い技術には、肥大した前立腺組織を実際に除去する経尿道的方法が含まれ、これは、従来の手術よりも一般的に外傷性が少ないが、いずれも前立腺組織を破壊し、不可逆的である。前立腺組織の破壊を回避するために、尿道の直径を拡大するように設計された装置を前立腺部尿道内に植え込むことなどにより、前立腺から組織を実際に除去せずに前立腺部尿道の直径を拡大するように設計された他の治療手技が、開発されている。前立腺インプラントは、肥大した前立腺組織で狭窄した前立腺部尿道内に泌尿器科医が小さな装置を挿入する手技を伴う。このインプラントは、いったん正しい位置にくると、拡張し、組織葉を押し出すことによって尿道を開いたままにするのに役立つと共に、肥大した前立腺組織を尿道の全体的な衝突および開口(total impingement and opening of the urethra)から保護するように設計されている。理想的には、前立腺インプラントは、前立腺組織を外科的に除去する必要性を排除し、より侵襲性の低い外科的アプローチにも固有かつ伝統的である、感染、性機能障害、および失禁のリスクを低下させることが期待される。この手技はまた、インプラントが除去され得、かつ追加の外科的処置が将来実施され得るので、可逆的であるように設計され得る。
【0007】
また、医師が前立腺部尿道におけるBPHおよび閉塞の程度を検査するために使用される標準的な膀胱鏡および一般的な泌尿器科技術を使用して医院で手技を行うことができるように、インプラントおよび送達システム上の特徴部を有することが望ましい。インプラントが誤って配備された場合には、インプラントを再び位置付けることも望ましい。内視鏡または膀胱鏡を用いた撮像と併せて、泌尿器科的手技の間に結石を回収するための従来の把持器または他の補助装置を用いて、装置を保持し、装置を再び位置付けるための特徴部が、必要とされている。本開示は、これらおよび他の必要性に取り組む。
【0008】
〔概要〕
本開示は、身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するためのシステムを含む。このシステムは、遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、ハンドルと結合され、プッシャーに連結された配備アクチュエータと、非外傷性先端部に隣接して細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントと、を有し、配備アクチュエータの操作により、プッシャーと細長いシースとの間の相対運動が生じ、インプラントを細長いシースの非外傷性先端部から配備させる。
【0009】
一態様では、ハンドル上の前進ノブが、細長いシースの作業長さを調節するように構成される。
【0010】
一態様では、配備アクチュエータは、プッシャーの近位端部に連結されたスライダである。配備アクチュエータの操作により、細長いシースを後退させて、インプラントを細長いシースの非外傷性先端部から配備させることができるか、または、プッシャーを遠位に移動させて、インプラントを細長いシースの非外傷性先端部から配備させることができる。
【0011】
一態様では、流体継手が、ハンドルと結合され、灌注流体を非外傷性先端部に導くように構成されたプッシャーの内腔と流体連通している。前立腺部尿道にインプラントを配備するための処置手技の間の可視化または撮像のために、灌注流体の継続的な流れが必要である。流体継手は、配備アクチュエータと共に移動可能であってよい。
【0012】
一態様では、インプラントアクチュエータが、ハンドルと結合され、インプラント係合要素に接続されてよく、インプラントアクチュエータは、配備中に制御された方法でインプラントを選択的にまたは徐々に解放するかまたは後退させるように構成される。
【0013】
一態様では、インプラント係合要素は、配備中にインプラントの制御を維持するように構成され得る。例えば、インプラント係合要素は、インプラント内に配された、予め形成された形状であってもよく、予め形成された形状は、配備時にインプラントの遠位移動を遅らせるように構成される。あるいは、インプラント係合要素は、インプラントの近位端部に連結された解放可能なテザーであってもよい。インプラント係合要素はまた、プッシャーの遠位端部およびインプラントの近位端部に連動特徴部を含んでもよい。さらに、インプラント係合要素は、張力を加えられたときにインプラントを拘束する、インプラントの組織係合部分に形成された孔を通って送られたワイヤであってもよく、または張力を加えられたときにインプラントを拘束する、インプラントの組織係合部分の周りに送られたワイヤであってもよい。
【0014】
本開示はまた、身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するための装置を含む。この装置は、遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、ハンドルと結合され、プッシャーに連結された配備アクチュエータと、を特徴とし、配備アクチュエータの操作により、プッシャーと細長いシースとの間の相対運動が生じ、非外傷性先端部に隣接して細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントを、細長いシースの非外傷性先端部の外に配備させる。
【0015】
一態様では、配備アクチュエータの操作により、プッシャーを遠位に移動させて、インプラントを細長いシースの非外傷性先端部から配備させる。
【0016】
一態様では、ハンドル上の前進ノブが、細長いシースの作業長さを調節するように構成され得る。
【0017】
一態様では、ハンドと結合された流体継手が、プッシャーの内腔と流体連通し、灌注流体を非外傷性先端部に導くように構成され得る。前立腺部尿道にインプラントを配備するための処置手技の間の可視化または撮像のために、灌注流体の継続的な流れが必要である。流体継手は、配備アクチュエータと共に移動可能であってよい。
【0018】
一態様では、細長いシースは、2mm(6フレンチ)以下の外径を有する作業チャネル内に適合するように構成され得る。
【0019】
一態様では、ハンドルは、配備アクチュエータの動作を選択的に制限する配備ロックを有することができる。
【0020】
一態様では、ハンドルは、膀胱鏡の作業チャネルのロックと係合するために、細長いシースの周りに同軸に配されたコネクタをさらに有することができる。
【0021】
本開示はまた、身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備する方法を含む。この方法は、非外傷性遠位先端部を有する細長いシースと、非外傷性先端部に隣接して細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントと、を提供することと、膀胱鏡の作業チャネルを通して細長いシースを導入することと、遠位先端部を尿道内の標的部位に位置付けることと、配備アクチュエータを操作して、細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、細長いシースとの間の相対運動を生じさせ、細長いシースの非外傷性先端部からインプラントを配備することと、を含むことができる。
【0022】
一態様では、細長いシースの作業長さは、インプラントの配備前に調節され得る。
【0023】
一態様では、インプラントアクチュエータが操作されて、配備中にインプラントの制御を維持することができる。このような制御は、インプラントの部分的な配備またはインプラントの後退を含み得る。そのような制御はまた、インプラントを解放する前に、配備中の任意の時点で、前立腺葉を押して開口部を形成するための最適な位置付けのためのインプラントの回転および配置を含み得る。
【0024】
一態様では、インプラントアクチュエータは、シースの外へ遠位に駆動された後、インプラントを解放するように操作され得る。
【0025】
一態様では、インプラント長さは、バルーンカテーテルを用いることによって決定され得る。
【0026】
一態様では、インプラント長さは、レーザーマーカーカテーテルを用いることによって決定され得る。
【0027】
さらなる特徴および利点は、添付図面に示されるように、本開示の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。添付図面では、同様の参照符号は、一般に、図全体を通して同じ部品または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】BPHに罹患している患者に典型的な生理学的構成における膀胱の下部と前立腺部尿道とを含む男性の解剖学的構造の断面図であり、一実施形態による、前立腺部尿道内に本開示の装置およびシステムを使用して配され得、膀胱頸部開口部と精丘との間で両側が前立腺組織に係合する、インプラントの配置を示す。
【
図2A】一実施形態によるインプラントを配備するためのシステムの上面図を概略的に描いたものである。
【
図2B】一実施形態によるインプラントを配備するためのシステムの側面図を概略的に描いたものである。
【
図3】一実施形態による配備システムの断面図を概略的に描いたものである。
【
図4】一実施形態による配備システムの可動流体継手の詳細図を概略的に描いたものである。
【
図5】一実施形態による配備システムの代替的な配備ロックの詳細図を概略的に描いたものである。
【
図6】一実施形態による、予め形成された形状を有するインプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図7A】一実施形態によるインプラント係合要素としてのテザーループの使用を概略的に描いたものである。
【
図7B】一実施形態によるインプラント係合要素としてのテザーループの使用を概略的に描いたものである。
【
図7C】一実施形態によるインプラント係合要素としてのテザーループの使用を概略的に描いたものである。
【
図8A】様々な実施形態による連動インプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図8B】様々な実施形態による連動インプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図8C】様々な実施形態による連動インプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図9A】様々な実施形態によるインプラントを拘束するインプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図9B】様々な実施形態によるインプラントを拘束するインプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図9C】様々な実施形態によるインプラントを拘束するインプラント係合要素を概略的に描いたものである。
【
図10】一実施形態によるプランジャアクチュエータを有する配備装置を概略的に描いたものである。
【
図11】一実施形態によるハンドシリンジ配備アクチュエータを概略的に描いたものである。
【
図12】一実施形態による、適切なインプラント長さを決定するためのバルーンカテーテルを概略的に描いたものである。
【
図13】一実施形態による、適切なインプラント長さを決定するためのレーザーマーカーカテーテルを概略的に描いたものである。
【
図14】インプラントアクチュエータなしで代替的な配備安全ロックおよび灌注継手を有する、一実施形態による代替的な配備システムの詳細図を概略的に描いたものである。
【
図15】インプラントアクチュエータなしで代替的な配備安全ロックおよび灌注継手を有する、一実施形態による代替的な配備システムの詳細図を概略的に描いたものである。
【0029】
〔詳細な説明〕
最初に、本開示は、具体的に例示された材料、アーキテクチャ、ルーチン、方法または構造に限定されず、したがって、変化し得ることを理解すべきである。したがって、本明細書に記載したものと類似するかまたは同等である、いくつかのこのようなオプションを、本開示の実施または実施形態において使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
【0030】
また、本明細書で使用される用語は、本開示の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことを理解すべきである。
【0031】
添付図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態の説明として意図されており、本開示を実施することができる唯一の例示的な実施形態を表すことを意図していない。この説明全体を通して使用される用語「例示的」は、「実施例、実例、または例証として役立つこと」を意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、明細書の例示的な実施形態の完全な理解を提供する目的で、特定の詳細を含む。本明細書の例示的な実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの実例において、周知の構造および装置は、本明細書に提示される例示的な実施形態の新規性を不明瞭にするのを避けるために、ブロック図の形態で示される。
【0032】
便宜上および明確にする目的のためにのみ、上部、底部、左、右、上、下、上方(over)、上方(above)、下方(below)、下方(beneath)、後方、後ろ、および前のような、方向を示す用語を、添付図面に関して使用することができる。これらおよび同様の方向を示す用語は、いかなる方法であっても開示の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が関係する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容に明確な異なる規定のない限り、複数の指示対象を含む。
【0034】
定義:用語「治療上有効な変位」または「治療上有効な後退」または「治療上有効な拡張」は、本明細書において交換可能に使用され、尿道管腔を増大させ、かつ下部尿路症状(LUTS)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、良性前立腺閉塞(BPO)を含む、良性前立腺肥大症(BPH)または合併性の疾患もしくは状態の症状を処置、改善、または予防するのに十分な、尿道の限定された領域に近接した前立腺組織の変位量を指し、前立腺組織の変位は、検出可能な治療、予防、または阻害効果を示す。この効果は、例えば、臨床状態の改善、または症状の減少もしくは共存症の欠如によって検出することができる。臨床的尺度の例には、国際前立腺症状スコア(IPSS)の低下、緩和後の膀胱内の残尿(PVR)量の減少、または最大尿流率(Qmax)の増加、または生活の質(QoL)の改善、処置後の性健康(男性用性健康調査票すなわちSHIMスコア、男性の性健康アンケートすなわちMSHQスコア)の改善などが含まれる。前立腺組織の変位の正確な距離または量は、被験者の体重、大きさ、および健康状態;肥大または罹患した前立腺状態の性質と程度、および患者内に配置するために選択したインプラントのサイズによって決まる。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「BPHの処置を必要とする」患者は、前立腺の非悪性肥大、ならびにLUTS、尿流出路閉塞症状、および前立腺部尿道の管腔狭窄を含む関連障害によって引き起こされる肥大した前立腺組織の存在または結果として生じる症状の減少から利益を得る患者である。本明細書中で使用される場合、用語「インプラント」または「エキスパンダー」または「装置」は、前立腺部尿道内に植え込まれ、BPHに関連するかまたはBPHによって引き起こされたLUTSを緩和するプロテーゼ装置を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、インプラントの構造のアーム、ストラット、または他の延長部に関する用語「組織係合」は、尿道を圧迫する器官の葉の主要部分に沿って前立腺組織に係合し、組織が尿道の開存性にさらに影響を及ぼすのを制限する、インプラントの物理的構造の長さを指す。「組織後退」とは、インプラントの構造が、圧迫されるかまたは狭窄した尿道から組織を離すのに必要な力を及ぼす能力を指す。この必要な力は、インプラントの固有の構造によって、または、特に、インプラントが肥大前立腺組織と係合して必要な組織後退力を及ぼすように設計された所定の拡張構成を有する形状記憶または超弾性材料から製造される場合、圧縮構成から拡張構成へのインプラントの拡張によって、供給され得る。これらの定義内で接触する組織係合または組織後退構造特徴部の長さは、尿道を取り囲む前立腺の長さに沿って延びる小葉内溝から離れており、2つの側葉または側葉および中葉の長さに沿った組織の長さとの接触を必要とする。
【0037】
本明細書に記載される様々な構造の配向および解剖学に関連する表現に関して、用語「近位」および「遠位」は、本明細書に記載されるインプラントを配備するために本開示の送達システムを操作している泌尿器科医などの医療専門家の観点に関連する。したがって、泌尿器科医の手によって保持される送達システムの特徴部は、「近位」端部にあり、最初は圧縮構成にある、組み立てられたシステムおよびインプラントは、送達システムの「遠位」端部に位置する。
【0038】
図1を参照すると、男性の解剖学的構造の断面図は、尿道2を取り囲む前立腺1を示す。尿道2は、正常な状態では、外尿道括約筋の随意的な筋肉制御の下で身体から排出されるべき、膀胱3に貯蔵された尿からの流体連通を提供する。正常または「真の」前立腺組織4は、尿道2を取り囲み、疾患がない場合には、尿道2の開存性に影響を及ぼさない。良性前立腺肥大症(BPH)を患っている患者では、尿道2は、肥大性組織、すなわち尿道2に向かって過剰な成長を示す前立腺組織4によって狭窄する。この過剰な非癌性細胞成長は、下部尿路症状(LUTS)および尿流出路閉塞、および尿失禁を含む、上述のBPHの症状をもたらす。
図1において、本開示の装置およびシステムを用いて送達されるインプラント5は、尿道2の開存性を回復するために、かつ膀胱3からの尿流が妨げられないように、インプラント5の長さに沿って前立腺組織4と係合して図示されている。図示のように、膀胱頸部開口部6と精丘7との間の標的部位にインプラント5を選択的に配置することは、インプラント5が周囲組織を穿刺、穿孔、または切開しないようにするための重要な特性である。インプラント5は、前立腺部尿道2内の正しい位置に留まるように設計されている。インプラント5は、インプラント5の構造材料が常に尿に曝されることから外被を形成されるかまたは別様に劣化して、合併症を引き起こし、回収がさらに困難になる可能性がある、膀胱3内には延びず、インプラント5は、外尿道括約筋の随意的な制御を妨げたり、性機能を妨げたりしない。
【0039】
本開示の技術によるインプラント5は、尿道2に近接する肥大した前立腺組織4に対して力を及ぼす複数の組織係合構造体を有する。以下に説明するように、複数の組織係合構造体の数は、2個、4個、または4個を超える組織係合延長部、例えばストラットもしくはアームとすることができる。3つの延長部の使用は、3つの延長部が前立腺の小葉内溝内にそれぞれ嵌合するように配向される場合には、回避される。したがって、インプラント5が2つの側葉と1つの中葉との間の組織接触の長さによって形成される3つの小葉内溝の外側に配向されることを確実にするために、構造体が非対称に配向される限り、任意の複数の組織係合構造体が可能である。3つの組織係合構造体を使用する実施形態は、尿道の解剖学的構造が両側葉からなり、第3葉が尿道狭窄に関与しない場合に、解剖学的構造を処置するために使用され得る。
【0040】
インプラント5は、形状記憶材料、合金、バネ材料、ならびにニチノール(ニッケル-チタン合金)、ニチノール系合金、コバルトクロム合金、バネ鋼、およびバネステンレス鋼(spring stainless steels)を含む超弾性材料から製造することができる。他の既知の形状記憶材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ならびに、形状記憶および生体吸収性ポリマーおよび金属(ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそれらのコポリマー;マグネシウム合金)が挙げられる。上記材料は、外被形成、腐食および結石形成を防止するために薄膜コーティングでコーティングされてもよい。コーティングは、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素およびジルコニアのようなセラミック材料、ならびに尿に対して不活性であり、外被形成、結石形成を防止し、化学的または尿環境においてインプラントを形成する材料の劣化を防止する、他のセラミックコーティングを含むことができる。コーティングはまた、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、銀および他の抗菌コーティング、シリコーン誘導体、および当業者によって認識される他の類似材料のようなポリマーであってもよい。
【0041】
インプラント5はまた、肥大および組織増殖を減少させるために薬物溶出インプラントとして知られている方法で前立腺部尿道2に植え込んだ後で薬物を徐放させるために、インプラント5の表面に接着された治療用コーティングを含んでもよい。コーティングは、再狭窄を防止するために使用されるシロリムス、ノボリムス(novolimus)、エベロリムス、バイオリムス、ゾタロリムス、パクリタキセルおよびその他を含む、薬学的に活性な抗炎症剤および抗増殖剤を含有する。
【0042】
インプラント5はまた、BPH症状を処置するための薬物でコーティングされ得る。そのような実施形態は、平滑筋細胞を弛緩させ、身体の他の部分で循環する薬物からの副作用を被ることなく組織増殖および前立腺の大きさを減少させるように、有効性を高めるために、尿道2の罹患した前立腺領域において高い局所的に高い組織用量を使用する利点を有する。潜在的な薬物候補としては、アルフゾシン、ドキサゾシン、タムスロシン、テラゾシンおよびシロドシンのようなαアドレナリン遮断薬が挙げられる。他の薬物候補には、デュタステリドおよびフィナステリドのような5-α-レダクターゼ阻害剤、ならびに抗コリン薬が含まれる。他の薬物候補は、オキシブチニン、フェソテロジン、ダリフェナシン、酒石酸トルテロジン、トルテロジン、ソリフェナシンのような抗コリン薬である。α遮断薬+5-αレダクターゼ阻害剤またはα遮断薬+抗コリン薬を含む薬物の組み合わせを、表面上にコーティングすることもできる。さらに、フルオロキノロン系(例えばシプロフロキサシン)マクロライド系、テトラサイクリン系、およびトリメトプリムなどの抗感染薬または抗菌薬または抗生物質。
【0043】
典型的には、薬物を溶媒およびポリマーと混合して溶液とし、インプラント5の外側表面にスプレーコーティングして所望の薬物放出特性を達成する。製造プロセスは、冠動脈疾患の処置に用いられる薬物溶出ステントに用いられるものと同様である。多くの場合、コーティングは、前立腺部尿道2の尿道組織内へのより効果的な薬物放出および堆積を確実にし、尿流出中のウォッシュアウトを最小限にするために、反管腔側にあってよい。また、薬物は、薬物を充填するためにインプラント5の外側表面上のマイクロリザーバまたはマイクロデポ内に堆積され、尿道組織内に薬物を制御可能に溶出させるためにポリマーコーティングによって被覆され得る。薬物を充填するために使用される典型的なポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー;ポリウレタン;ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)またはポリ(n-ブチルメタクリレート)(PBMA);ならびに、それらの組み合わせである。他のポリマーおよび溶媒が、当業者によって使用されて、十分な薬物を充填し、インプラント表面とのコーティング完全性を維持することができる。所望の薬物充填および徐放特性を達成するために、複数層のコーティングを使用してもよい。
【0044】
本開示の技術によれば、尿道2の開存性を回復するためのインプラント5は、市販のまたは標準的な可撓性膀胱鏡と適合性があるように設計されたシステムを使用して送達される。具体的には、システムは、6~9Fすなわち2~3mmの内側内腔直径を有する可撓性膀胱鏡の作業チャネルを通って前進するように設計される。
図2Aおよび
図2Bを参照すると、送達システム10の側面図および上面図がそれぞれ示されている。インプラント5は、これらの図には示されていないが、軟質で非外傷性の遠位先端部14に隣接して細長い中空の送達チューブ、送達カテーテルまたは送達シース12内に拘束構成で保持される。カテーテルまたはシース12は、インプラント5を拘束するのに十分な強度を有すると共に、曲がりくねった解剖学的構造を進み、前立腺部尿道2への前進を補助するために可撓性および十分なトルク伝達性(torquability)も有する、薄壁のポリマーチューブから作ることができる。加えて、管状シース12またはカテーテルは、インプラント5を収容した送達システム10を標的部位に前進させるための強度、可撓性、低プロファイル、トルク伝達性、可撓性、およびプッシャビリティの所望の性能特性を達成するために、金属ワイヤコイルまたは金属ワイヤ編組で補強され得る。送達シース12、送達カテーテル、および送達カテーテルチューブという用語は、文書全体を通して交換可能に使用され得る。送達シース12はまた、遠位端部上で他と異なる壁厚または剛性を有してよく、ここで、インプラント5は拘束されて、システム(シース+インプラント)の可撓性をさらに改善する。他の実施形態では、カテーテルは、遠位端部にマーカーバンド(異なる色を有する)を有して、送達シース12と共にインプラント5の場所、および膀胱鏡の遠位端部または膀胱鏡の作業チャネルの出口点に対するカテーテルの位置を示すことができる。他の実施形態では、カテーテルの遠位先端部は、シャフト本体の硬度または剛性と比較して軟質で可撓性があり、尿道2の壁への外傷を少なくすることができる。このような軟質の非外傷性先端部距離は、長さ0.5~10mm、または、より好ましくは1~2mmであり得る。シース12の近位端部はハンドル16に接続されており、このハンドルは、撮像を可能にする生理食塩水灌注の送達のための灌注ポート18と、医師による片手での送達システム操作を可能にする、可撓性膀胱鏡上のルアーコネクタに送達システム10をロックして確実に取り付ける膀胱鏡ロックルアー20と、配備または処置手技の間の送達ハンドル/システムの回転を防止する回転ロックノブ22と、を特徴としている。例えば、ノブ22は、締め付けられると、ルアーコネクタハブ60と係合して、ルアーコネクタハブが回転するのを防ぐ、ねじを含むことができる。ハンドル16はまた、カテーテル前進ノブ24を有しており、これは、回転して、送達システム10の作業長さを変更し、様々なスコープの作業長さに対応し、送達シース12の先端部の位置を調節し、標的部位に装置を正確に位置付ける。カテーテル位置インジケータ26は、基準カテーテル位置マーカー28と共に長さ調節の視覚的フィードバックを提供する。配備安全ロック30は、押されるとインプラント5を標的部位に配備する、この実施形態におけるスライダ32などの配備アクチュエータの動きを制限することによって、インプラント5の時期尚早の配備を防止するように構成される。(この図には示されていない)以下に説明するようなインプラント5の正確な配置を補助するように構成されたインプラント係合要素46、例えば捕捉ワイヤが、インプラントアクチュエータ34に連結され、その結果、以下でさらに詳細に説明するように、配備中に操作によってインプラント5が解放される。他の実施形態では、インプラントアクチュエータ34および関連する機構を省略することができる。
【0045】
上述のように、送達システム10の遠位先端部14は、軟質で非外傷性である。遠位先端部と送達カテーテル12のシャフトとの間の色差を使用して、特定の距離の視覚的表示を提供し、標的部位、または所望の解剖学的場所から数ミリメートル離れたところでのインプラント5の配備を補助することができる。一実施形態では、先端部14における遠位5mmは、青色のシャフトと比較して白色に着色され、前立腺部尿道2内で精丘から5mmのところにインプラント5を配置するのを補助する。遠位先端部14はまた、X線透視下での配置を補助するために特殊な材料(硫酸バリウムを含有するポリマー)を使用して放射線不透過性にすることができる。遠位先端部14は、尿道壁への損傷を最小限にするためにまっすぐであるかまたは湾曲していてよい。
【0046】
細長い送達シース12は、可撓性であり、慢性状態ならびに尿路2系および生殖器系に関連する症状の診断および処置のために泌尿器科医によって一般的に使用される操縦可能な膀胱鏡に適合性がある。インプラント5をシース12内に配すると、遠位端部においてインプラントが拘束状態で保持され、インプラント5は、拡張される前に、はるかに小さい管腔を通過することができる。灌注も、シース12を通過して、カメラまたは撮像ビューに曇りおよび破片がないようにする。シース12は、前進中の潤滑性を改善するために親水性コーティングを有してもよく、またはコーティングされていなくてもよい。さらに、シース12は、異なる機能(灌注流内腔、インプラント係合要素、配備機構、光源、撮像素子およびその他)のために複数の内腔を有することができる。これは、前立腺を変位させ、かつ/または解剖学的構造に適合させ、これを操縦可能にするかまたは標的部位まで前進させるために、予め設定された形状および剛性を有することができる。
【0047】
送達システム10のさらなる詳細は、
図3の断面図に示される。特に、カテーテル前進ノブ24は、ロックねじ山を介してカテーテル前進ねじ38に連結される。ノブ24が回転すると、ねじ山は回転を線形運動に変換し、送達システム10の作業長さ、すなわちハンドル16から露出する送達カテーテル12の長さを調節する。ロックねじ山を使用することで、使用者が配備アクチュエータ、すなわちスライダ32を起動したときに、送達カテーテルまたはシース12の位置が固定され、配備運動の影響を受けないことを確実にする。ねじ38の雄ねじは、ノブ24と嵌合してシース12の作業長さを調節する。シース12の内腔内には、近位端部がスライダ32に連結されたプッシャーチューブ40が配されている。スライダ32はまた、可動流体継手42を作動させる。ロックロッド44は、配備安全ロック30との選択可能な係合を有し、係合時に可動流体継手42とカテーテル前進ねじ38との間の相対距離が維持される。さらに、スライダ32は、処置前の取扱い中に、プッシャーチューブ40を変位させて、インプラント5を時期尚早にまたは偶然に配備することを妨げられる。配備が所望される場合、ロック30を引き出すことによって、スライダ32が前進し、プッシャーチューブ40を遠位に駆動し、それによってインプラント5をシース12の遠位端部の外に押し出して、標的部位での配備を引き起こす。可動流体継手42は2つの経路を提供し、これらは、灌注ポート18、および、インプラントアクチュエータ34によって制御される、上述した捕捉ワイヤなどのインプラント係合要素46のための内腔を通した生理食塩水の灌注を可能にするために、プッシャーチューブ40と連絡して接合される。灌注流体は、灌注ポート18および内腔48を通って入り、インプラント係合要素46は、内腔50を通って送られ、その後、それらは、合流して、プッシャーチューブ40の内腔を引き続き通る。プッシャーチューブ40は、(インプラント5を押して標的部位に配備する)プッシャビリティの所望の性能特性に応じて中空または中実のチューブであり、追加の灌注を提供し、流体継手面積を増加させて、膀胱鏡検査中の撮像を強化することができる。
【0048】
プッシャーシール52は、シース12の内径とプッシャーチューブ40の外径との間の流体漏れを防止するために、カテーテル前進ねじ38とカテーテルハブ54との間で圧縮される。同様に、カテーテルシール56は、膀胱鏡作業チャネルとシース12の外径との間の流体漏れを防止するために、ルアーコネクタ58とルアーコネクタハブ60との間で圧縮される。したがって、回転ロックノブ22がルアーコネクタハブ60に対して締め付けられると、ハンドル16は膀胱鏡に対して回転できなくなる。エキスパンダーインプラント5を配備するための他の実施形態は、プッシャーチューブが静止し、ハンドル16およびインプラント係合要素46にロックされる機構を含むように設計され得る。インプラントアクチュエータをスライドまたは移動させることにより、シース12を後退させてインプラント5を露出させ、前立腺部尿道2内にエキスパンダーインプラント5を配備することができる。
【0049】
インプラント係合要素46は、本体64Aの内部に収容されたインプラントアクチュエータシール62を介してインプラントアクチュエータ34に接続され、インプラントアクチュエータシール62およびインプラントアクチュエータ34は、灌注流体が内腔50を通って出るのを防止する。スライダ32は、上述のように可動流体継手42に接続され、その結果、インプラントの配備中に継手42がスライダ32と共に移動し、それによって、処置手技中に解剖学的ランドマークの連続的な灌注および撮像を提供する。インプラントアクチュエータ34は本体64Aから分離され、インプラント係合要素46は、インプラントが標的部位に配備された後に引き出され、インプラント5を送達システム10から取り外す。有利には、インプラントアクチュエータ34は、インプラント5の増分的で良好に制御された配備を容易にすることができ、その結果、インプラント5は時期尚早に「ぱっと開く」かまたは「前に飛び出し(spring forward)」て、不適切な構成でまたは標的部位から離れた場所に配備されることはない。拡張後もインプラント5の制御を維持することにより、時期尚早の配備または誤配置が減少する。
【0050】
可動流体継手42は、インプラント5の配備のためプッシャーチューブ40にスライダ32を連結すること、内腔48を通した灌注ポート18とプッシャーチューブ40との間の流体連通を提供すること、水を流すことによってビデオのための明瞭な可視化を維持すること、および、インプラント5の配備中にスライダ32に関連した上述の様々な構成要素の接続を可能にすること、を含む複数の機能を果たす。さらに、可動流体継手42は、ロックロッド44およびロック30と協働して、上述した機能性を提供する。可動流体継手42はまた、インプラントアクチュエータ34に連結されるインプラント係合要素46のための内腔50を提供する。ロック30が係合解除されると、可動流体継手42は、使用者がスライダ32を前進させるときに、カテーテル前進ねじ38に向かって遠位に並進運動することができる。
図4の詳細図に示すように、可動流体継手42は、ハンドル16内のレール54と嵌合する溝52によって案内される、画定された経路を有する。スライダ32を前進させると、可動流体継手42が、プッシャーチューブ40と共に遠位に並進運動して、インプラント5をシース12の遠位先端部から配備する。
【0051】
灌注ポート18は、共通のルアーロックコネクタを介した灌注の接続を可能にする。それはまた、処置部位に治療薬を送達するために使用され得る。標的部位または患者からの組織または流体の輸送を容易にするために、吸入または吸引のための内腔を提供する別のポートがあってもよい。吸引源は、例えば、重力、動力付き真空ポンプ、壁の吸引アウトレット、またはシリンジであってよい。
【0052】
プッシャーチューブ40は、シース12内の別個の可撓性部材であり、主に、送達システム10からインプラント5を放出するかまたは押すために使用され、それによって、所望の標的部位にインプラント5を配備する。適切な材料としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、他のポリマーまたはバネ材料、および、キンクすることなくインプラント5を送達システム10から配備するかまたは後退させるのに十分な強度、可撓性およびプッシャビリティを有する、ニチノール(ニッケル-チタン合金)、ニチノール系合金、コバルトクロム合金、バネ鋼、およびバネステンレス鋼を含む超弾性材料が挙げられる。プッシャーチューブ40は、ビデオカメラからの明瞭な可視化を維持するために流体洗浄を提供するために、上述したように、灌注用の内腔も提供する。プッシャーチューブ40は、シース12内に同軸に配される。
【0053】
代替的な実施形態では、安全ロック機能は、引っ張りとは対照的に、押し作動によって実施することができる。例えば、
図5は、同様の要素が同じ参照符号を有する詳細図を示す。ここで、ロックボタン56が押し下げられると、より広い孔がロックロッド44の周りで中央に配置され、可動流体継手42はスライダ32の制御下で遠位に並進運動することができる。
【0054】
別の実施形態では、完全な配備の前にインプラント5の部分的な配備を可能にする2つのプッシュ安全ロックがある。例えば、
図14および
図15は、シース12の内腔内に配されたプッシャーチューブまたはプッシャーロッドまたはプッシャーワイヤ152を示し、その近位端部はプッシャーブロック160に連結されている。スライダ32は、可動プッシャーブロック160を作動させる。配備トラック161は、配備安全ロック150および151と選択可能な係合を有し、係合時に、プッシャーブロック160とカテーテル前進ねじ38との間の相対距離が維持される。さらに、スライダ32は、手技前の取り扱いの間に、プッシャーチューブ152を時期尚早に変位させたり、誤ってインプラント5を配備したりすることが妨げられる。最初に、ロック151は、オートロック153との干渉のために押し下げることができず、ロック150は停止部158と接触している。配置が所望される場合、ロック150を押し下げると、プッシャーブロック160が前進し、プッシャーチューブ152を遠位に駆動し、ロック151が停止部159に接触し、インプラント5はシース12から部分的に配備され、インプラント5を解放して完全に配備する前にインプラント5の配向および位置を見ることができる。ロック151が停止部159と接触しているとき、ロック151は押し下げられて、プッシャーブロック160およびプッシャーチューブ152がさらに遠位に並進運動することを可能にし、それによって、インプラント5が標的部位においてシース12の遠位端部の外に完全に配備される。バネ157は、プッシャーブロック160およびプッシャーチューブ152を近位に戻し、したがって、(
図8A~
図8Cに示すような)突起64Bをシース12の拘束内に再拘束して、送達システム10の引き出し中の尿道への傷害および膀胱鏡への損傷を防止する。灌注流体は、灌注ポート154および灌注チューブ155を通って入る。可動配備トラック161は、固定された灌注チューブ155上で入れ子式にはまり込む流体通路156を提供する。灌注シール162は、配備トラック161とシールナット163との間で圧縮されて、配備トラック161の内径と灌注チューブ155の外径との間の流体漏れを防止する。送達システム10を使用するための例示的な一方法は、以下のとおりである。被験者が経直腸または経腹壁超音波を用いてBPH/LUTSについて診断されると、前立腺部尿道の長さを処置するのに十分な長さのインプラント5を収容する適切な送達システム10が選択される。さらに、前立腺部尿道2における処置の目標長さをさらに確認するために膀胱鏡検査を実施してもよい。典型的には、処置の長さは膀胱頸部から精丘までの長さとされる。インプラント5は、望ましくは、膀胱頸部6と精丘7との間に配置される。場合によっては、インプラント5を膀胱頸部6と外括約筋との間に配置することができる。まず、可撓性膀胱鏡を尿路から挿入して前立腺部尿道2に到達させ、目標とする前立腺部尿道2の処置長さを測定する。膀胱鏡先端部は、精丘7の近くに位置付けられる。適切な長さのインプラント5を有する送達システム10が選択される。カテーテルシャフトの長さは、カテーテル前進ノブ24を用いて調節される。カテーテル位置インジケータ26は、適切なカテーテル位置マーカー28と整列される。生理食塩水バッグおよびコネクタチューブは、膀胱鏡から切り離され、送達システム10の灌注ポート18に接続されて、生理食塩水の灌注を可能にする。シース12は、膀胱鏡の器具チャネルを通して導入され、ハンドル16上の膀胱鏡ロックルアー20は、これを時計回りの方向に回転させることによって、膀胱鏡のルアーコネクタにロックされる。次に、ハンドル16が、所望の位置まで回転され、回転ロックノブ22に係合してロックされる。シース12は、シース12の遠位先端部14における白色遠位マーカーが膀胱鏡の視野内に現れるまで、カテーテル前進ノブ24を用いてさらに前進される。インプラント5の配備のための標的部位が確認されると、配備安全ロック30は、これをハンドル16から垂直に引き離すことによって係合解除される。膀胱鏡を固定位置に保持しながら、ハンドル16に沿って遠位に配備スライダ32をゆっくりと前進させることによって、インプラント5を標的部位に配備させる。インプラント5は、位置を確認するために部分的に配備され、次いで後退されて、所望の場所に再位置付けおよび配備され得る。インプラント5の配向は、インプラント5が部分的に配備されるときに、送達カテーテルまたは送達シースを回転させることによって制御することができる。前立腺部尿道2の開口部は、インプラント5を完全に配備することによって確認することができるが、インプラント係合要素46から解放することでは確認できない。前立腺組織葉に対する代替的なもしくはより良いインプラント5の配向、または膀胱頸部6もしくは精丘7に対する位置が所望される場合、インプラント5はシース12内に後退され、再び位置付けられるかまたは再配向され、次いで所望の場所に配備され得る。いったんインプラント5が標的部位で配備されると、インプラント係合要素46を係合解除するためにねじを外すなどして、インプラントアクチュエータ34が操作される。捕捉ワイヤを使用するものなどのいくつかの実施形態では、これは、送達システム10をインプラント5から係合解除するために、インプラント係合要素46を最小距離(例えば6cm)後退させることに対応する。最後に、ハンドル16は、膀胱鏡ロックルアー20を自由にすることによって膀胱鏡からロック解除され、システム10は、膀胱鏡の器具チャネルから後退される。
【0055】
他の実施形態では、送達システム10は、市販の可撓性膀胱鏡との適合性の必要性を排除するために、光源および画像取り込み要素を組み込むように適合されてもよい。このような改変を用いて、インプラント5を標的部位に配備することには、いくつかの利点がある。第一に、尿道2内に導入される送達システム10のプロファイル(または外径)を低減することができる。より小さいプロファイルのシステムは、より可撓性があり、外傷性が少なく、疼痛を誘発しにくい。第二に、本開示の送達システム10は、既存の送達システムの作業チャネルによって課される制約なしに、より多くのインプラント5のデザイン(より大きな拘束直径に折り畳まれる)を組み込んで送達することができる。第三に、送達システム10は、再滅菌され、定期的に新しくされ、再滅菌に関連するリスクを回避する必要がある高価な膀胱鏡を使用する必要のない、使い捨て医療装置とすることができる。そのような実施形態は、ナビゲーションおよび可視化を可能にするための作動/関節運動要素、標準VGA、スマートフォンまたはタブレットディスプレイにインターフェースするためのビデオコネクタ、改善された灌注のための増大した内腔を有するカテーテルシャフト、ならびに光源および画像取り込みのためのコネクタ配線と共に、前述した態様を含み、遠位先端部は、対応して、光源と、カメラと、組み合わせられた灌注およびインプラント出口と、を含む。
【0056】
次に
図6を参照すると、インプラント5の例示的な実施形態が、インプラント係合要素46と共に示されている。図で分かるように、インプラント係合要素46は、より正確な配置を容易にするために配備中にインプラント5の解放を遅らせるように構成された、予め形成されたワイヤ60を遠位端部に含む。他の実施形態では、インプラント係合要素46は、インプラント5にねじ止めされるねじ山付きロッドまたはチューブ、あるいは配備中に制御された解放を可能にするためにインプラント5上の特徴部と連動する特徴部を有するチューブまたはロッドまたはチューブとすることができる。さらに、インプラント係合要素46は、配備中にインプラント5を一時的に拘束するように同様に機能する、編組またはモノフィラメント糸、ひも(line)、縫合糸またはワイヤであってもよい。
【0057】
本開示の技術の別の態様が
図7A~
図7Cに示され、これらは、インプラント5を配備する際の、プッシャーチューブ40とインプラント係合要素46との間の協働を示す。まず、
図7Aは、シース12の遠位端部内に配された、その拘束構成にあるインプラント5を示す。プッシャーチューブ40は、アームまたはハブなどのインプラント5の遠位特徴部に係合して、プッシャーチューブ40の遠位移動によりシース12からインプラントを放出する。インプラント係合要素46は、インプラント5の近位部分に連結されたテザーループを含む。この状態では、テザーループは実質的に緩んでいる。インプラント5が、
図7Bに示すように、プッシャーチューブ40の遠位運動によって配備されると、プッシャーチューブ40によって加えられる力に反して、インプラント係合要素46に張力が加えられて、配備の速度を制御し、インプラント5が所望の位置から離れてジャンプするのを防止し、インプラント5をその拘束構成に維持するのを助けることができる。インプラント5がその所望の場所に来たら、プッシャーチューブ40を近位に引き出すことができ、かつ/またはインプラント係合要素46を緩めることができ、インプラント5の弾性により、尿道2の開存性を維持する構成への拡張を引き起こすことができる。いったん配備されると、テザーループを切断してシステム10から取り出すことができる。
【0058】
さらに別の実施形態が
図8A~
図8Cに示され、これらは、インプラント係合要素の代替的な構成を示す。例えば、
図8Aの上面図は、インプラント5の近位ハブまたは同様の要素に形成された凹部66内で連動するキー付き突起64Bを遠位端部に有するプッシャーチューブ40を示す。インプラント5がシース12内に配されると、内径は、突起64Bをプッシャーチューブ40の長手方向軸と実質的に整列した状態に保ち、それらを凹部66内にロックして、配備中のインプラント5の抑制されない遠位運動を防止する。いったん尿道2内の所望の場所に位置付けられると、インプラント5のさらなる相対的な遠位変位により、シース12の拘束から突起64Bを自由にし、
図8Bの側面図に示されるように、それらをプッシャーチューブ40の長手方向軸から半径方向外方に広がる予め形成された構成に戻すことができ、インプラント5をプッシャーロッド40から係合解除する。あるいは、突起64Bは、
図8Cの側面図に示すように、プッシャーチューブ40の内腔を通って延びるプラーワイヤによって作動されたときに、ヒンジ68上で旋回することなどにより、任意の適切な機械的リンク装置によって制御することができ、突起64Bは、図示されているように外側、または内側のいずれかに偏向する。これらのデザインにより、突起64Bと凹部66との間の係合が構成要素を連結したままにするので、インプラント5は所望の半径方向の配向に位置付けられ、ハンドル16の回転をインプラント5に伝えることができる。上述のように、これは、インプラント5のアームを、前立腺の小葉内溝と整列しないように位置付けるのを助けることができる。突起64Bは、ニチノール、スプリングテンパーステンレス鋼、ポリマー、もしくは弾性を有する他の材料から形成することができ、または前述のように機械的リンク装置を使用することができる。さらに、突起64Bは、インプラント5の一部として形成されて、プッシャーチューブ40の凹部66内に嵌合するように構成され得る。1つ以上のキー付き突起64Bが、インプラントハブ上の凹部66とロックするようにプッシャーチューブ40上に形成されてもよい。あるいは、突起64Bをインプラント5上に形成して、プッシャーチューブ40上の凹部66とロックさせることもできる。
【0059】
本開示のさらなる特徴は、
図9A~
図9Cを参照して理解され得、これらは、配備を容易にするために拘束構成でインプラント5を拘束するのを助けるように構成されたインプラント係合要素46を使用する種々の例示的なインプラント5のデザインを示す。
図9Aの実施形態では、インプラント5の全体的な機械的特性および完全性が維持されるように、インプラントストラット72またはハブの低歪みの平坦なエリアに孔70が形成される。予め成形されたワイヤ74または糸は、張力が加えられたときにインプラント5の長手方向軸と実質的に整列されることによってストラット72に拘束構成をとらせるルート(明確にするために、1つのワイヤルートのみを示す)で孔70を通過する。ワイヤ74はまた、ワイヤ74を引っ張り、部分的に配備され、ワイヤ係合されたインプラント5を送達システム10内に再び折り畳むことによって、所望に応じて、標的部位におけるインプラント5の制御された配備および/または再位置付けを支援することができる。いったんインプラント5が標的部位において完全に拡張または配備されると、ワイヤ74は係合解除され得、送達システム10は除去され得る。必要に応じて、このワイヤ74およびスロット付きインプラント機構を使用して、拘束シース12を必要とせずにインプラント5を拘束して配備することもできる。これらのデザインの任意の適切な変形を使用して同様の結果が得られることが理解されるであろう。例えば、
図9Bは、ループ76がインプラント5のストラット72を取り囲むラッソー構成を示す。このデザインは、ストラット72に孔70を有する必要性を回避するが、ループ76に加えられる張力がインプラント5を拘束するという点で同様の機能性を提供し、インプラント5は、所望の位置が達成されると、解放されて拡張を可能にする。さらに別の例が
図9Cに示されており、これはストラット72ごとに1本のワイヤ74を使用する。各ストラット72の中間セクションは、ワイヤ74の位置付けを助けるために凹形構成を有することができる。張力がワイヤ74またはループ76に加えられると、それらは、インプラントストラット72を圧縮し、それを低プロファイル(小径)構成に拘束する(または折り畳む)。ワイヤ74またはループ76が引張状態にある間、インプラント5は圧縮されたままである。張力下では、各ワイヤ74またはループ76は、最小のギャップでインプラント5の表面に載る。ワイヤまたは糸は、特定の構成によって決定されるように、単一のワイヤまたはバンドルであってもよい。それらは、ステンレス鋼、ニチノール、またはワイヤおよびバネを作るのに使用される他の材料から作られ得る。それらはまた、縫合糸またはグラフトを作製するために使用される強力な生体適合性ポリマー材料、織物または糸から作製され得る。
【0060】
上述の実施形態に加えて、本開示の装置およびシステムに対する様々な改変が、本開示の範囲内にあることが理解されるであろう。例示を助けるため、
図10は、BPHを処置または管理するためのインプラント5の配備に関して同様の機能性を有する代替的なハンドルを概略的に示す。注目すべきことに、ハンドル80は、スライダとは対照的にプッシャーロッド40を作動させるためのプランジャ82を備えて示されている。インプラント5は、ここには示されていないが、上述の実施形態と一致する様式で、細長い送達シース12内に拘束構成で保持される。膀胱鏡ロックルアー84も同様に機能する。さらに、ハンドル80は、送達シース12の先端部の位置を調節し、標的部位に装置を正確に位置付けるために上述の技術を用いるカテーテル前進ノブ86を有する。カテーテル位置インジケータ26は、基準カテーテル位置マーカー28と関連して長さ調節の視覚的フィードバックを提供する。灌注ポート88は、手技の間、可視化のために生理食塩水を導入するための流体連通を提供するが、この実施形態では、プッシャーチューブ40の動きから分離される。上記の教示に従うインプラント係合要素46は、関連する構成要素と共に、所望に応じて使用され得る。
【0061】
さらに別の態様では、ハンドル16のスライダ32またはハンドル80のプランジャ82は、インプラント5を配備するためにプッシャーチューブ40の遠位移動を作動させるための他の適切な機構と置き換えることができる。例えば、
図11は、この機能性を提供するハンドシリンジ90を概略的に示す。この実施形態では、インプラント5は、同様に、長い可撓性チューブ(ポリマーシースまたは内腔を有する金属コイルワイヤ)の内部に拘束される。チューブの内側内腔は、拘束状態でチューブの遠位端部においてインプラント5を収容する。プッシャーチューブ40は、インプラント5と係合し、シリンジ90の中間リングに連結され、作動されると、インプラント5を押し、それによって、標的部位に配備する。この実施形態では、送達システムは、灌注内腔またはインプラント係合/係合解除要素を組み込まない。2つのポートを有するTコネクタまたは2つの内腔を有する回転式止血弁を、膀胱鏡の作業チャネルの灌注ポートに接続することができる。灌注は、Tコネクタの1つのポートまたは弁内腔に接続される。シールおよびシールキャップを有する第2のポートおよび内腔。シールキャップを緩め、弁ポートを通して送達システムを導入する。送達システムが導入されると、弁は送達システムの前進中の漏れを防ぐために軽く締め付けられる。送達システムが標的部位にくると、キャップが完全に締め付けられ、インプラント5が標的部位に配備される。配備後、弁を緩め、送達システムを後退させる。望ましくは、シリンジ90を使用する送達システムは、長いハンドルを必要とすることなく、またはインプラント5の配備中にカテーテル位置を調節するためのハンドル内の調節ノブを必要とすることなく、異なる膀胱鏡の長さに適合する。これは、市販されているすべての可撓性膀胱鏡に適合するように、最も長い長さで作られることができる。この実施形態では、灌注は、送達システムの外側表面に沿って膀胱鏡の作業チャネルを通る流体通路によって提供される。他の同様の実施形態では、インプラント係合/係合解除要素などの特徴部は、必要に応じてシリンジに組み込まれてもよい。
【0062】
BPHに関連するLUTSの処置には、前立腺部尿道に十分な長さのインプラント5を正確に配置することが必要である。尿道の長さは、しばしば腹部または経直腸超音波を用いて膀胱頸部から外括約筋まで測定される。インプラント5の正確な配置には、膀胱頸部6から精丘7までの前立腺部尿道の長さを知っていることが必要であり、これは膀胱鏡検査によってのみ測定することができる。可撓性膀胱鏡の作業チャネル内への測定ツールの導入の有無にかかわらず尿道の長さを正確に測定するための従来の測定ツールおよび装置はほとんどない。したがって、本開示は、膀胱鏡を用いて膀胱頸部6と精丘7との間の前立腺部尿道の長さを正確に測定するように構成された装置も含む。
【0063】
一例として、
図12は、膀胱鏡の作業チャネルを通して、または膀胱鏡に隣接して挿入され得る、遠位端部に高度に柔軟なバルーン102を有する、低プロファイルのカテーテル100を示す。カテーテル100の遠位端部上のバルーン102は、側部アームポート104を通じて膨張され、軽い張力が印加されて、これを膀胱頸部6に位置付け、膀胱頸部6から精丘7および外括約筋までの尿道2の長さが測定される。マーカー106は尿道2の長さを測定するのに役立つ。バルーン102を収縮させ、カテーテル100を処置手技の前に除去する。
【0064】
さらに別の例が
図13に示されており、これは、膀胱鏡の器具チャネルと適合性のある、やはり低プロファイル(または直径)の中空ポリマーチューブであるレーザーマーカーカテーテル110を示している。これは、近位端部における目盛りマーク112および半径方向に投影されるレーザー光源114を特徴とする。カテーテル110の遠位本体上の所定の長さのマーカー112を使用して、前立腺部尿道の長さを測定する。カテーテル110が膀胱鏡の器具チャネルを通して挿入され、半径方向レーザー源114が尿道内にレーザーマークを投影する。このシステムを使用して、使用者は、カテーテル110が膀胱頸部6に接近し、膀胱3に入るときに、源114によって投影されたレーザー光がちょうど(膀胱鏡の視野から)消えるまで、膀胱鏡を予め定められた解剖学的場所、例えば、精丘7にしっかりと保持し、レーザーマーカーカテーテル(24)を前進させ続ける。この目盛りマーク112をカウントすることにより、尿道2の長さが決定される。カテーテル110は、膀胱鏡の作業チャネルを通して、または膀胱鏡に隣接して挿入され得る。膀胱鏡とカテーテル110が縦列をなして導入されると、それらは両方、膀胱頸部6に配置され、膀胱鏡は、配備のための標的部位が視野内に入るまで引き戻される。再び、カテーテル110の本体上の目盛りマーク112をカウントすることにより、尿道2の長さが決定される。
【0065】
したがって、本開示は、良性前立腺肥大症に関連するか、またはそれによって引き起こされるか、またはそれに続発する尿流出路閉塞症状および下部尿路症状を管理するためのインプラントを提供および配備するための、処置の装置、システム、および方法を包含する。インプラントは、BPHの処置における課題を克服するために、いくつかの性能および動作基準を満たすように設計されている。このインプラントは、成人男性集団において遭遇し得る、可能性のある前立腺のサイズ、長さおよび組織形態の範囲に対して適応可能である。インプラントは、いったん標的部位に配置されると、尿道の流動力学および動きによる移動に抵抗するように設計される。インプラントはまた、局所麻酔下(または、表面麻酔、もしくは麻酔なし)で、可撓性内視鏡を用いた最小侵襲性手技を用いて、配置および回復を可能にするように構成される。このインプラントは、前立腺部尿道の狭窄部を押し開くのに十分な後退力を提供しながら、外被形成を防止するために最小限の質量および表面積で設計されている。インプラントは、泌尿器学的手技に使用され、ここでは、インプラントの送達、可視化、配備、および回収を可能にするために使用される、従来の可撓性膀胱鏡のような従来の画像診断および送達システムを通して圧縮構成で送達および回収されるようにサイズ決定および成形される。
【0066】
直接可視化の下、膀胱鏡を通してインプラントを配備および回収する方法には、植え込み後1か月から数年以内の回収および除去が含まれる。装置の全体的な構成は、インプラントを縮小された直径まで折り畳み、非外傷性除去のためにカテーテル、シース、膀胱鏡または内視鏡チャネルの遠位端部にインプラントを閉じ込めることによって、インプラントが収容されているカテーテルまたはシースを通した非外傷性除去を容易にする。インプラントおよび送達システムデザインの構造的プロファイルは、配置中の尿道への出血、腫脹、痙攣、または傷害を最小限にすると共に、尿機能を回復し、疼痛、性機能障害、または尿機能障害の将来のリスクを排除する。送達システムのデザインは、使用者が尿道内の解剖学的ランドマークに対して正確な場所にインプラントを配置することを可能にする可視マーキングを含む。そのような可視マーキングは、送達システム上のマーカーバンド、ノッチ、色識別、目盛り付きエッジ、直径変化を含む。装置のデザインおよび配置は、尿機能を妨げない(失禁を予防し、外括約筋の活性化時に排尿を容易にする)。デザインおよび配置の方法はまた、尿道に沿い、膀胱に向かうか、または陰茎に向かう、インプラントの移動の可能性を最小にする。
【0067】
インプラントは、インプラントの長さの実質的な部分に沿って0.5Nより大きい、または好ましくは2Nより大きい、最も好ましくは5~30Nの拡張または組織後退力を及ぼし、半径方向に向けられ、前立腺組織の肥大によって尿道に沿って内腔を収縮させる、圧縮力を打ち消す。前立腺は3つの葉を有し、非対称であるため、インプラントは、組織接触領域が前立腺の隣接する側葉および中葉によって形成される3つの溝内に配されないように、2つまたは4つ以上の組織係合領域を有することが好ましい。デザインが3つの組織係合領域を有する場合、デザインは、インプラントが小葉間溝内に配されないように、前立腺の生理機能に関して非対称であることが好ましい。その代わりに、インプラントの組織係合領域は、肥大した組織を後退させるための長さに沿って前立腺の3つの葉のそれぞれに直接係合して、尿道の流体連通能力または管腔を救い出し拡張する。マーカーバンド、ノッチ、着色、エッチング、表面仕上げ変化などの視覚的マーキングをインプラント上に配置して、尿道におけるインプラントの可視化および正確な配置または配備を容易にすることができる。
【0068】
インプラントは、4.667mm(14フレンチ)未満の外径(OD)を有する送達システム内に適合し、2mm(6フレンチ)未満の直径を有することができる。送達システムは、内視鏡または膀胱鏡の作業器具チャネルを通して最小抵抗で前進することができる。加えて、送達システムはまた、インプラントの前進および配置の間に尿道を直接可視化するために、典型的には、0.25mL/秒の最小流速で、進行流(sailing flow)または流体流のため十分な生理食塩水灌注を可能にするために、十分な自由内腔を組み込む。送達システムは、灌注源に接続するための作業ポートを有する。好ましい実施形態では、インプラントは、インプラントの非外傷性配備のための軟質の先端部を有する送達の遠位端部において、折り畳まれた構成で閉じ込められる。送達システムは、最遠位端部に軟質の先端部を有するガイドワイヤによって、およびインプラントのすぐ近位で終わるプッシャーロッドまたはプッシャーチューブによって横断され得る。
【0069】
別の実施形態では、撮像素子は、送達システムに統合される。これらの撮像素子は、Olympus、Stryker、Karl-Storzによって製造された既存のビデオディスプレイシステムと互換性がある。全体的なシステムプロファイルは26F(9ミリメートル)未満、または、より好ましくは17~12F(6ミリメートル)以下であり、インプラントの送達および配置中の疼痛をさらに最小化する。さらに、インプラントおよび撮像素子を組み込んだ統合された送達システムは、再滅菌され再使用可能な可撓性および剛性の膀胱鏡を通して挿入される実施形態と比較して、単回使用または使い捨ての医療装置であってもよい。
【0070】
本開示の方法は、良性前立腺肥大症に関連する下部尿路症状を、インプラントの植え込み、およびオプションとしてその後の回収によって処置する方法を含む。送達システムは、細長いシースの遠位端部でインプラントを圧縮構成に維持し、前立腺部尿道内において拡張構成で配備するように構成される。
【0071】
植え込みのための方法は、オプションとして、前記に開示した装置を用いるなどして、精丘から膀胱頸部までの前立腺部尿道の長さを決定するために診断的膀胱鏡検査を実施することを含み、次いで、尿道の直径を決定し、拡張構成におけるインプラントの対向する組織係合領域の直径によって測定することができる、選択されたインプラントの直径に少なくとも部分的に基づいて、適切なサイズのインプラントを選択する。あるいは、腹部超音波または経直腸超音波画像診断法を用いて尿道の長さの診断測定値を得ることもできる。膀胱頸部から外括約筋までの尿道の長さの測定も、適切なインプラントのサイズを決定するために用いられる。1つの配備方法では、臨床医は、送達システムの遠位端部において折り畳み構成に維持される予め指定されたサイズを有するインプラントを選択する。送達システム内に収容される適切なサイズのインプラントは、膀胱鏡の作業チャネルに導入される。送達システムの遠位端部は、好ましくは直接可視化の下、前進され、その結果、送達システムの遠位端部は、配備のために精丘の近位にある。インプラントの配備精度を向上させるために、上記のインプラント係合要素は、前立腺部尿道内で拡張した後にインプラントへの連続的な接続を可能にし、さらなる調節を可能にする。
【0072】
統合された装置および送達システムは、一般的な外科器具、特に他の泌尿器科的手技と共に使用される標準的な膀胱鏡を用いて達成されるので、インプラントは、特殊な設備なしで、医院の環境で、かつ外来ベースで、局所麻酔下で、泌尿器科医によって配置および回収され得る。
【0073】
本開示の方法は、膀胱頸部開口部と外尿道括約筋との間の特定の距離のところを含め、前立腺に近接した尿道内で、膀胱頸部の下に、本明細書に記載の装置を配置することを含む。この方法は、前立腺内で送達システムの遠位先端部を配向すること、および圧縮構成から拡張構成へインプラントを配備することを含む。この方法はまた、インプラントの接触領域が、前立腺の隣接する葉によって形成される3つの尖部から離れて前立腺の一部と係合し、各尖部から離れた点で前立腺組織と係合するように、装置を配向することを含む。
【0074】
したがって、本方法は、前立腺の移行(またはT)ゾーン内で、好ましくは精丘を妨害することなく、膀胱頸部に対して遠位で、尿道の長さに沿った生理学的構造のすべてに対するインプラントの正確な配置および配向で所望の構成にインプラントを配置するために、装置によって前立腺組織の一部と特異的に係合する送達システムを用いて、インプラントの植え込みおよび配向の間に、前立腺葉およびそれぞれの尖部を可視化することを含み得る。本方法はまた、特定のBPH患者の生理的状態のために選択され、サイズ決定された複数のインプラントの配備を含み、これは、本明細書および添付図面に記載されるようなインプラントの異なる実施形態の選択的配備を含む。
【0075】
本出願は、インプラントを標的場所(前立腺部尿道)に送達し、インプラントを正確に配備および配置し、送達システムを後退させる、送達システムについて記載する。したがって、送達システムは、以下を含むいくつかの特徴を有することができる:
<4.667mm(14F)未満、理想的には<2mm(6F)である拘束(低プロファイルまたは小径に圧縮された)構成で機械的インプラントを保持することができる。
前進、配備および後退中、尿道および他の解剖学的構造に対して非外傷性である。
使用中に疼痛または出血をほとんど生じない。
標的部位に到達するのに十分な長さ。
既存の、または市販されている、または標準的な可撓性膀胱鏡の長さ(40~60cm)との使用に対応している。
陰茎から膀胱まで尿道の蛇行を通り抜けるのに十分な可撓性。
前進および配備中に解剖学的特徴およびランドマーク(外括約筋、精丘、膀胱頸部、および膀胱)を可視化するスコープの能力を妨げない。
膀胱鏡の先端部での関節運動を可能にする可撓性。
撮像のために生理食塩水灌注流を提供する。
光源および画像取り込み要素との統合。
インプラントを標的場所(標的部位から+/-5mm以内;または+/-2mm以内など)に正確に位置付ける。
機械的インプラント位置を識別するための視覚的インジケータを提供する。
看護師または技術者の助けを借りずに、1人のオペレーターが手技を完了する(送達システムを前立腺部尿道まで前進させ、インプラントを植え込む)ことを可能にする。
臨床的に許容可能な、すなわち、配備に高い力を必要とする高すぎるものでなく、時期尚早な配備につながり得る低すぎるものでもない、インプラント配備力。配備力は<44.48N(10lbf)未満、理想的には<13.34N(3lbf)とする。
VGA、スマートフォン、またはタブレットなどの標準的なビデオディスプレイとの適合性。
医院で膀胱鏡検査を現在実施している泌尿器科医のワークフローとの適合性。
インプラントを拘束状態で固定/ロックし、配備前にロック解除する能力。
様々な膀胱鏡に適合するように装置の作業長さを調節する能力。
【0076】
いくつかの実施形態において、作動/関節運動要素は、インプラントを配備するためにロックを係合解除する前にロックされ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、システムは、インプラントの配備または植え込み後に(解剖学的ランドマークに対して)インプラントを再位置付け、配向、および再配向するための係合/再取り込み要素と;インプラントを送達システムから完全に分離するための係合解除機構と、をさらに含む。
【0078】
また、送達システムおよび処置ステップを、医師にとって可能な限り単純かつ容易にし、それによって、手技の時間、複雑さ、およびアシスタントの必要性を低減することが望ましい。
【0079】
上記に開示された例示的な実施形態は、単に、本開示の様々な有用性を例示することを意図しているにすぎない。本開示の機能要素および特徴部の多数の改変、変形、および組み合わせが、上記の教示に照らして可能であり、したがって、添付の特許請求の範囲内で、本開示が、特に開示された以外にも実施することができ、本開示の原理が、適切な改変によって他の出願に容易に拡張され得ることが理解される。
【0080】
すべての特許および刊行物は、個々の各刊行物が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参考のために本明細書に組み込まれる。本開示は、好ましい実施形態およびオプションの特徴部によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示された概念の改変および変更が、当業者によってなされてもよく、そのような改変および変更は、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0081】
〔実施の態様〕
(1) 身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するためのシステムであって、
遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、
前記細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、
前記細長いシース内に配されたプッシャーと、
前記ハンドルと結合され、前記プッシャーに連結された配備アクチュエータと、
前記非外傷性先端部に隣接して前記細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントと、
を含み、
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーと前記細長いシースとの間の相対運動が生じ、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、システム。
(2) 前記細長いシースの作業長さおよびインプラント配備位置を調節するための、前記ハンドル上の前進ノブをさらに含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記配備アクチュエータは、前記プッシャーの近位端部に連結されたスライダである、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記配備アクチュエータの前記操作により、前記細長いシースを後退させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーを遠位に移動させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、実施態様1に記載のシステム。
【0082】
(6) 灌注流体を前記非外傷性先端部に導くように構成された前記細長いシース内で流体連通する前記ハンドルと結合された流体継手をさらに含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記流体継手は、前記配備アクチュエータと共に移動可能である、実施態様6に記載のシステム。
(8) インプラント係合要素に接続された前記ハンドルと結合され、配備中に前記インプラントを選択的に解放するかまたは後退させるように構成されたインプラントアクチュエータをさらに含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) インプラント係合要素に接続され、配備中に前記インプラントを選択的に解放するように構成されたインプラントアクチュエータをさらに含み、
前記インプラント係合要素は、前記流体継手を通して送られている、実施態様7に記載のシステム。
(10) 配備中に前記インプラントの制御を維持するように構成されたインプラント係合要素をさらに含む、実施態様1に記載のシステム。
【0083】
(11) 前記インプラント係合要素は、前記インプラント内に配された、予め形成された形状を含み、前記予め形成された形状は、配備時に前記インプラントの遠位移動を遅らせるように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(12) 前記インプラント係合要素は、前記インプラントの近位端部に連結された解放可能なテザーを含む、実施態様8に記載のシステム。
(13) 前記インプラント係合要素は、前記プッシャーの遠位端部および前記インプラントの近位端部に連動特徴部を含む、実施態様8に記載のシステム。
(14) 前記インプラント係合要素は、張力を加えられたときに前記インプラントを拘束する、前記インプラントの組織係合部分に形成された孔を通って送られたワイヤを含む、実施態様8に記載のシステム。
(15) 前記インプラント係合要素は、張力を加えられたときに前記インプラントを拘束する、前記インプラントの組織係合部分の周りに送られたワイヤを含む、実施態様8に記載のシステム。
【0084】
(16) 身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備するための装置であって、
遠位端部に非外傷性先端部を有する、膀胱鏡の作業チャネルを通して導入されるように構成された細長いシースと、
前記細長いシースの近位端部に固定されたハンドルと、
前記細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、
前記ハンドルと結合され、前記プッシャーに連結された配備アクチュエータと、
を含み、
前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーと前記細長いシースとの間の相対運動が生じ、前記非外傷性先端部インプラントに隣接して前記細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントを、前記細長いシースの前記非外傷性先端部の外に駆動させる、装置。
(17) 前記配備アクチュエータの操作により、前記プッシャーを遠位に移動させて、前記インプラントを前記細長いシースの前記非外傷性先端部から配備させる、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記細長いシースの作業長さおよびインプラント配備場所を調節するための、前記ハンドル上の前進ノブをさらに含む、実施態様16に記載の装置。
(19) 灌注流体を前記非外傷性先端部に導くように構成された前記プッシャーの内腔と流体連通する前記ハンドルと結合された流体継手をさらに含む、実施態様16に記載の装置。
(20) 前記流体継手は、前記配備アクチュエータと共に移動可能である、実施態様19に記載の装置。
【0085】
(21) 前記細長いシースは、2mm(6フレンチ)以下の直径を有する作業チャネル内に適合するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(22) 前記ハンドルは、前記配備アクチュエータの動作を選択的に制限する配備ロックをさらに含む、実施態様16に記載の装置。
(23) 前記ハンドルは、前記膀胱鏡の前記作業チャネルのロックと係合するために、前記細長いシースの周りに同軸に配されたコネクタをさらに含む、実施態様16に記載の装置。
(24) 身体の管腔内の所望の場所にインプラントを送達し、配備する方法であって、
非外傷性遠位先端部を有する細長いシースと、前記非外傷性先端部に隣接して前記細長いシース内で拘束構成に維持されたインプラントと、を提供することと、
膀胱鏡の作業チャネルを通して前記細長いシースを導入することと、
前記遠位先端部を尿道内の標的部位に位置付けることと、
配備アクチュエータを操作して、前記細長いシース内に同軸に配されたプッシャーと、前記細長いシースとの間の相対運動を生じさせ、前記細長いシースの前記非外傷性先端部から前記インプラントを配備させることと、
を含む、方法。
(25) 前記インプラントの配備前に前記細長いシースの作業長さを調節することをさらに含む、実施態様24に記載の方法。
【0086】
(26) 配備中に前記インプラントの制御を維持するためにインプラントアクチュエータを操作することをさらに含む、実施態様24に記載の方法。
(27) 前記細長いシースの外に遠位に出た後、前記インプラントを解放するように、インプラントアクチュエータを操作することをさらに含む、実施態様24に記載の方法。
(28) バルーンカテーテルまたはレーザーマーカーカテーテルを用いることによってインプラント長さを決定することをさらに含む、実施態様24に記載の方法。
【国際調査報告】