(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】多経路ビーム中継器を備えた走査プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20221205BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20221205BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20221205BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
G02B27/02 Z
H04N5/74 A
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500040
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020049617
(87)【国際公開番号】W WO2021071616
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ウェイチョアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィールライト, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ, マクスウェル
(72)【発明者】
【氏名】グライフ, ダニエル グエンサー
(72)【発明者】
【氏名】マケルダウニー, スコット チャールズ
【テーマコード(参考)】
2H045
2H199
5C058
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045AB13
2H045AB44
2H045AB81
2H045BA13
2H045CA82
2H045DA11
2H199CA02
2H199CA03
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA43
2H199CA46
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA73
2H199CA83
2H199CA94
2H199CA96
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA12
(57)【要約】
表示装置のための走査プロジェクタは、第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、第1の走査反射器から受光した光ビームを第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを含む。ビーム中継光学系は、凹面反射器と、走査反射器に3重通過構成で結合されたおよび偏光ビームスプリッタとを含み得る。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置のための走査プロジェクタであって、
少なくとも第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、
前記第1の走査反射器から受光した前記光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、
前記第1の走査反射器において画定された第1の瞳を前記第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、前記第2の瞳を前記走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系と
を備える、走査プロジェクタ。
【請求項2】
前記第2の走査反射器が、前記第2の平面が前記第1の平面に概ね直交するように構成される、請求項1に記載の走査プロジェクタ。
【請求項3】
前記ビーム中継光学系が、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS)と、前記第1のPBSに結合された第1の凹面反射器とを備え、前記第1のPBSが、前記光ビームを、最初の2回の通過において、前記第1の走査反射器および前記第1の凹面反射器へ順次ルーティングし、3回目の通過において前記第2の走査反射器へルーティングするための、3重通過構成で配置される、請求項1に記載の走査プロジェクタ。
【請求項4】
前記第1のPBSを通る連続する通過間で前記光ビームの偏光状態を直交偏光状態に変換するための、前記光ビームの光路に配置された波長板を備える、請求項3に記載の走査プロジェクタ。
【請求項5】
前記第1の走査反射器の上流の前記光ビームの光路に配置されたレンズを備え、任意選択として、
前記レンズが、前記出力瞳に配置された出力レンズを備える、請求項3に記載の走査プロジェクタ。
【請求項6】
前記第1のPBSが、前記光ビームを、1回目の通過において前記第1の走査反射器へ、2回目の通過において前記第1の凹面反射器へ順次方向付けるように配置され、前記ビーム中継光学系が、第2のPBSと、前記第2のPBSに結合された第2の凹面反射器とをさらに備え、前記第2のPBSが、前記第1のPBSから受光した前記光ビームを、前記第2のPBSを通る最初の2回の通過において、前記第2の走査反射器および前記第2の凹面反射器へ順次方向付け、3回目の通過において前記出力瞳へ方向付けるための、3重通過構成で配置される、請求項3に記載の走査プロジェクタ。
【請求項7】
前記ビーム中継光学系が、前記光ビームの偏光を、前記第1のPBSおよび前記第2のPBSのそれぞれを通る連続する通過間で直交偏光に変換するための、前記第1の走査反射器と前記第2の走査反射器と前記第1の凹面反射器と前記第2の凹面反射器とに近接して配置された4つの4分の1波長板(QWP)をさらに備え、任意選択として、
前記第1のPBSが、前記第1の走査反射器から反射された前記光ビームを前記第1の凹面反射器へ方向付け、前記第1の凹面反射器から反射された前記光ビームを前記第2のPBSへ方向付けるように配置される、請求項6に記載の走査プロジェクタ。
【請求項8】
前記第1のPBSの上流に配置された第1の集束レンズと、前記走査プロジェクタの前記出力瞳に配置された出力集束レンズまたは出力コリメートレンズとを備え、任意選択として、
前記第1の集束レンズが、前記第1の凹面反射器と協働して、前記第1の走査反射器と前記第2の走査反射器との間の光路内の中間位置にある焦点に前記光ビームを収束させる、請求項7に記載の走査プロジェクタ。
【請求項9】
前記第2の走査反射器に近接する第2の集束レンズを備える、請求項10に記載の走査プロジェクタ。
【請求項10】
前記第1の凹面反射器と前記第2の集束レンズが協働して、倍率を用いて前記第1の瞳を前記第2の瞳に中継し、任意選択として、
前記第2の走査反射器の面積が、前記第1の走査反射器の面積よりも大きい、請求項9に記載の走査プロジェクタ。
【請求項11】
前記第1の走査反射器および前記第2の走査反射器のそれぞれが、可傾MEMS反射器を備える、請求項2に記載の走査プロジェクタ。
【請求項12】
画像を形成するための方法であって、
第1の走査反射器に光ビームを提供することと、
第1の信号に応答して、前記第1の走査反射器を用いて少なくとも第1の平面内で前記光ビームを操作することと、
前記第1の走査反射器からの前記光ビームを第2の走査反射器に中継することと、
第2の信号に応答して、少なくとも第2の平面内で前記第2の走査反射器を用いて前記光ビームを操作することと、
前記第1の走査反射器および前記第2の走査反射器の操作角によって画定される角度で、角度依存の横方向の空間シフトを実質的に伴わずに、前記第2の走査反射器からの前記光ビームを出力瞳に中継することと
を含み、前記第1の走査反射器から前記第2の走査反射器への前記光ビームの前記中継、または前記第2の走査反射器から前記出力瞳への前記光ビームの前記中継のうちの少なくとも一方が、第1の凹面反射器、および3重通過構成の第1のPBSを使用することを含む、方法。
【請求項13】
前記第1のPBSおよび前記第1の凹面反射器を使用して、前記第1の走査反射器からの前記光ビームを前記第2の走査反射器へ方向付けることと、第2の凹面反射器に結合された第2のPBSを使用して、前記第1のPBSからの前記光ビームを前記第2の走査反射器および前記出力瞳へ順次方向付けることと、任意選択として、
前記光ビームの偏光状態を、前記第1のPBSおよび前記第2のPBSのそれぞれを通る連続した通過間で直交偏光状態に変更することとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ユーザの頭に装着するための支持構造体と、
前記支持構造体によって保持された、光ビームを提供するための光源と、
前記支持構造体によって保持された瞳拡大器と、
前記支持構造体によって保持された走査プロジェクタと
を備えるニアアイディスプレイ(NED)デバイスであって、前記走査プロジェクタが、
少なくとも第1の平面内で前記光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、
前記第1の走査反射器から受光した前記光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、
前記第1の走査反射器において画定された第1の瞳を前記第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、前記第2の瞳を前記走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系と
を備え、
前記瞳拡大器が、前記光ビームを前記ユーザの眼へ方向付けるために、前記走査プロジェクタの前記出力瞳のサイズを拡大するように構成される、ニアアイディスプレイ(NED)デバイス。
【請求項15】
前記ビーム中継光学系が、凹面反射器と、3重通過構成で配置され、前記凹面反射器に結合された偏光ビームスプリッタ(PBS)とを備える、請求項14に記載のNEDデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学スキャナに関し、詳細には、ニアアイディスプレイのための走査プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)コンテンツ、拡張現実(AR)コンテンツ、複合現実(MR)コンテンツを表示するために、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘルメットマウントディスプレイ、ニアアイディスプレイ(NED:near-eye display)などがますます使用されており、これらのコンテンツは、ごく一部の例を挙げると、エンターテインメント、教育、トレーニング、生物医学など様々な分野に活用されている。VR/AR/MRコンテンツは、体験を向上させるとともに、仮想物体とユーザによって観察される実物体とを一致させるために、3次元(3D)とすることができる。シミュレートされた環境または拡張された環境への良好な没入体験を提供するために、眼の位置および注視方向ならびに/またはユーザの向きがリアルタイムで追跡され得、表示される画像は、ユーザの頭の向きおよび注視方向に応じて動的に調整され得る。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイには、コンパクトなディスプレイデバイスが望まれる。HMDまたはNEDのディスプレイは通常、ユーザの頭に装着されるため、大きい、かさばる、不均衡である、かつ/または重いディスプレイデバイスは扱いにくく、ユーザが装着するのに不快である場合がある。
【0004】
走査プロジェクタディスプレイは、中間スクリーンも表示パネルもなしで、直接眼によって観察され得る角領域内で画像を提供する。走査プロジェクタディスプレイにはスクリーンも表示パネルもないため、ディスプレイのサイズおよび重量を低減することが可能になる。可傾MEMS反射器などのコンパクトで効率的なスキャナを使用して、NEDおよびNEDのようなディスプレイでの使用に適した小型の走査プロジェクタを提供することができる。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態において、表示装置のための走査プロジェクタであって、少なくとも第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、第1の走査反射器から受光した光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを備える、走査プロジェクタが提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、第2の走査反射器は、第2の平面が第1の平面に概ね直交するように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、ビーム中継光学系は、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS)と、第1のPBSに結合された第1の凹面反射器とを備え得、第1のPBSは、光ビームを、最初の2回の通過において、第1の走査反射器および第1の凹面反射器へ順次ルーティングし、3回目の通過において第2の走査反射器へルーティングするための、3重通過構成で配置される。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1のPBSを通る連続する通過間で光ビームの偏光状態を直交偏光状態に変換するための、光ビームの光路に配置された波長板をさらに備え得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の走査反射器の上流の光ビームの光路に配置されたレンズをさらに備え得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1のPBSは、光ビームを、1回目の通過において第1の走査反射器へ、2回目の通過において第1の凹面反射器へ順次方向付けるように配置され得、ビーム中継光学系は、第2のPBSと、第2のPBSに結合された第2の凹面反射器とをさらに備え、第2のPBSは、第1のPBSから受光した光ビームを、第2のPBSを通る最初の2回の通過において、第2の走査反射器および第2の凹面反射器へ順次方向付け、3回目の通過において出力瞳へ方向付けるための、3重通過構成で配置される。
【0011】
いくつかの実施形態において、ビーム中継光学系は、光ビームの偏光を、第1のPBSおよび第2のPBSのそれぞれを通る連続する通過間で直交偏光に変換するための、第1の走査反射器と第2の走査反射器と第1の凹面反射器と第2の凹面反射器とに近接して配置された4つの4分の1波長板(QWP:quarter-wave plate)をさらに備え得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1のPBSは、第1の走査反射器から反射された光ビームを第1の凹面反射器へ方向付け、第1の凹面反射器から反射された光ビームを第2のPBSへ方向付けるように配置され得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1のPBSの上流に配置された第1の集束レンズと、走査プロジェクタの出力瞳に配置された出力集束レンズまたは出力コリメートレンズとをさらに備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の集束レンズは、第1の凹面反射器と協働して、第1の走査反射器と第2の走査反射器との間の光路内の中間位置にある焦点に光ビームを収束させ得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、第2の走査反射器に近接する第2の集束レンズをさらに備え得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の凹面反射器と第2の集束レンズが協働して、倍率を用いて第1の瞳を第2の瞳に中継し得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2の走査反射器の面積は、第1の走査反射器の面積よりも大きい場合がある。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の走査反射器および第2の走査反射器のそれぞれは、可傾MEMS反射器を備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、画像を形成するための方法であって、第1の走査反射器に光ビームを提供することと、第1の信号に応答して、第1の走査反射器を用いて少なくとも第1の平面内で光ビームを操作することと、第1の走査反射器からの光ビームを第2の走査反射器に中継することと、第2の信号に応答して、少なくとも第2の平面内で第2の走査反射器を用いて光ビームを操作することと、第1の走査反射器および第2の走査反射器の操作角によって画定される角度で、角度依存の横方向の空間シフトを実質的に伴わずに、第2の走査反射器からの光ビームを出力瞳に中継することとを含み、第1の走査反射器から第2の走査反射器への光ビームの中継、または第2の走査反射器から出力瞳への光ビームの中継のうちの少なくとも一方が、第1の凹面反射器、および3重通過構成の第1のPBSを使用することを含む、方法が存在する。
【0020】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のPBSおよび第1の凹面反射器を使用して、第1の走査反射器からの光ビームを第2の走査反射器へ方向付けることと、第2の凹面反射器に結合された第2のPBSを使用して、第1のPBSからの光ビームを第2の走査反射器および出力瞳へ順次方向付けることとをさらに含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、方法は、光ビームの偏光状態を、第1のPBSおよび第2のPBSのそれぞれを通る連続した通過間で直交偏光状態に変更することを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、ユーザの頭に装着するための支持構造体と、支持構造体によって保持された、光ビームを提供するための光源と、支持構造体によって保持された瞳拡大器と、支持構造体によって保持された走査プロジェクタとを備えるニアアイディスプレイ(NED)デバイスであって、走査プロジェクタが、少なくとも第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、第1の走査反射器から受光した光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを備え、瞳拡大器が、光ビームをユーザの眼へ方向付けるために、走査プロジェクタの出力瞳のサイズを拡大するように構成される、ニアアイディスプレイ(NED)デバイスが提供される。
【0023】
いくつかの実施形態において、ビーム中継光学系は、凹面反射器と、3重通過構成で配置され、凹面反射器に結合された偏光ビームスプリッタ(PBS)とを含み得る。
【0024】
次に、例示的な実施形態について図面と併せて説明する。同様の要素は同様の参照番号で示されているが、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】直列に結合された2つのビーム操作反射器を有する2段画像プロジェクタの概略ブロック図である。
【
図2】
図1の画像プロジェクタの、2つの走査段のそれぞれにビームルーティング光学系を備えた一実施形態の概略ブロック図である。
【
図3】
図1の画像プロジェクタを使用したニアアイディスプレイ(NED)の概略ブロック図である。
【
図4A】各走査段に可傾反射器および偏光制御ビーム中継器を備えた2段画像プロジェクタの例示的な実装形態の概略側面断面図である。
【
図4B】
図4Aの例示的な画像プロジェクタの概略正面図である。
【
図5A】概して画像プロジェクタの光学要素によるビームの集束およびコリメーションを示す、
図4Aおよび
図4Bの画像プロジェクタの概略図である。
【
図7】
図4A~
図5Aの画像プロジェクタの、可傾反射器の代替配置による一実施形態の概略図である。
【
図8】
図4Aの画像プロジェクタを使用したNEDの要素を示す概略図である。
【
図9】2つの走査反射器を使用して2D画像を形成するための方法の流れ図である。
【
図10】角度空間内で画定されたFOV内で2D画像を形成するための第1の段と、ユーザの注視方向の変化に応じて角度空間内のFOVをシフトするように動作可能な第2の段とを有する2段走査プロジェクタを含むNEDデバイスを示す概略図である。
【
図11】本開示の走査プロジェクタを使用した例示的なヘッドマウントディスプレイの等角図である。
【
図12】
図11のヘッドセットを含む仮想現実システムのブロック図である。
【
図13】本開示の実施形態による例示的な自律型ウェアラブルディスプレイシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本教示について様々な実施形態および実施例と併せて説明しているが、本教示をそのような実施形態に限定することを意図するものではない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるような様々な代替物および均等物を包含する。本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書のすべての記述は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、このような均等物には、現在知られている均等物と将来開発される均等物の両方、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発されたあらゆる要素が含まれることを意図している。
【0027】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書で使用される場合、連続した順序付けを意味するものではなく、明記されていない限り、ある要素と別の要素を区別するものである。同様に、方法ステップの連続した順序付けは、明記されていない限り、方法ステップの実行の連続した順序を意味するものではない。
【0028】
「瞳中継器」、「瞳中継システム」、「瞳中継光学系」などという用語は、第1の瞳と第2の瞳との間の1つまたは複数の光路を定義するとともに、第1の瞳に入射するビームを第1の瞳からある程度離れた位置にある第2の瞳へ伝達する光学系に関連する。本明細書で理解される瞳中継器では、第1の瞳から異なる角度で生じる光ビームは、第2の瞳で実質的に重なる。したがって、走査されたビームで動作する瞳中継器は、実質的に第2の瞳でのビーム位置の横方向のシフトなしに、第1の瞳での可変ビーム角を第2の瞳での可変ビーム角に伝達する。ここで、実質的にとは、光学系およびその構成要素における様々な不正確さに関連し得るある程度の公差を意味し、システム設計および公差に応じて、たとえば、第2の瞳での光ビームの直径の+\-10%以内、好ましくは第2の瞳での光ビームの直径の+\-5%以内を意味し得る。横方向の変位に対する公差は、ビームのエネルギープロファイルに依存し得る。たとえば、1/e2ビーム径で切り捨てられたガウスビームプロファイルは、同じ直径に沿ったビームエネルギーの平坦な「トップハット」分布よりも、瞳中継器の横方向シフトに対する許容度が高い場合がある。第1の瞳および第2の瞳は、反射器およびレンズなど、瞳中継器が使用されるシステムの光学構成要素によって画定され得る。「瞳中継器倍率」という用語は、第1の瞳から第2の瞳へのビームのサイズの増大を指す。瞳中継器は、第1の瞳を第2の瞳上に結像し得る。
【0029】
「視野」(FOV)という用語は、光学系に関連して使用される場合、システムによってサポートされるビーム伝播の角度範囲を定義し得る。FOVは、光軸またはその一部と同一平面上にある2つの直交平面における角度範囲によって定義され得る。たとえば、NEDデバイスのFOVは、垂直FOV、たとえば水平面に対して+\-20°、および水平FOV、たとえば垂直面に対して+\-30°によって定義され得る。NEDのFOVに関して、「垂直」面および「水平」面または「垂直」方向および「水平」方向は、NEDを装着して立っている人の頭に対して定義され得る。それ以外の場合、「垂直」および「水平」という用語は、本明細書では、光学系または光学デバイスが使用される環境との特定の関係または環境に対するそれらの特定の方向を意味することなく、説明されている光学系または光学デバイスの2つの直交平面に関して使用され得る。「NED」および「HMD」という用語は、本明細書では区別なく使用され得る。
【0030】
本開示の一態様は、第1の平面内で入力光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器を備える第1の走査段と、第1の走査段から受光した入力光ビームを第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器を備える第2の走査段と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを備える、2D走査プロジェクタに関する。
【0031】
本開示の一態様は、2つ以上の連続して配置された1D走査反射器または2D走査反射器を使用して光のビームを2次元で走査するためのシステムおよび方法に関する。
【0032】
本開示の一態様は、表示装置のための走査プロジェクタであって、少なくとも第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、第1の走査反射器から受光した光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを備える、走査プロジェクタを提供する。いくつかの実装形態において、第2の走査反射器は、第2の平面が第1の平面に概ね直交するように構成される。
【0033】
いくつかの実装形態において、ビーム中継光学系は、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS)と、第1のPBSに結合された第1の凹面反射器とを備え、第1のPBSは、光ビームを、最初の2回の通過において、第1の走査反射器および第1の凹面反射器へ順次ルーティングし、3回目の通過において第2の走査反射器へルーティングするための、3重通過構成で配置される。
【0034】
いくつかの実装形態において、走査プロジェクタは、第1のPBSを通る連続する通過間で光ビームの偏光状態を直交偏光状態に変換するための、光ビームの光路に配置された波長板をさらに備える。
【0035】
いくつかの実装形態において、レンズは、第1の走査反射器の上流の光ビームの光路に配置され得る。いくつかの実装形態において、レンズは、出力瞳に配置された出力レンズを備え得る。
【0036】
いくつかの実装形態において、第1のPBSは、光ビームを、1回目の通過において第1の走査反射器へ、2回目の通過において第1の凹面反射器へ順次方向付けるように配置され得る。ビーム中継光学系は、第2のPBSと、第2のPBSに結合された第2の凹面反射器とをさらに備え得る。第2のPBSは、第1のPBSから受光した光ビームを、第2のPBSを通る最初の2回の通過において、第2の走査反射器および第2の凹面反射器へ順次方向付け、3回目の通過において出力瞳へ方向付けるための、3重通過構成で配置され得る。
【0037】
いくつかの実装形態において、ビーム中継光学系は、光ビームの偏光を、第1のPBSおよび第2のPBSのそれぞれを通る連続する通過間で変換するための、4つの4分の1波長板(QWP)をさらに備え得、QWPは1つずつ、第1の走査反射器、第2の走査反射器、第1の凹面反射器、および第2の凹面反射器のそれぞれに近接している。
【0038】
いくつかの実装形態において、第1のPBSは、第1の走査反射器から反射された光ビームを第1の凹面反射器へ方向付け、第1の凹面反射器から反射された光ビームを第2のPBSへ方向付けるように配置され得る。いくつかの実装形態において、第1の集束レンズは、第1のPBSの上流に配置され得、出力集束レンズまたは出力コリメートレンズは、走査プロジェクタの出力瞳に配置され得る。いくつかの実装形態において、第1の集束レンズは、第1の凹面反射器と協働して、第1の走査反射器と第2の走査反射器との間の光路内の中間位置にある焦点に光ビームを収束させるように構成され得る。いくつかの実装形態において、第2の集束レンズは、第2の走査反射器に近接して配置され得る。いくつかの実装形態において、第1の凹面反射器と第2の集束レンズが協働して、倍率を用いて第1の瞳を第2の瞳に中継する。いくつかの実装形態において、第2の走査反射器の面積は、第1の走査反射器の面積よりも大きい場合がある。
【0039】
いくつかの実装形態において、第1の走査反射器および第2の走査反射器のそれぞれは、可傾MEMS反射器を備える。
【0040】
本開示の一態様は、画像を形成するための方法であって、第1の走査反射器に光ビームを提供することと、第1の画像信号に応答して、第1の走査反射器を用いて第1の平面内で光ビームを操作することと、第1の走査反射器からの光ビームを第2の走査反射器に中継することと、第1の画像信号に応答して、第2の平面内で第2の走査反射器を用いて光ビームを操作することと、第1の走査反射器および第2の走査反射器の操作角によって画定される角度で、角度依存の横方向の空間シフトを実質的に伴わずに、第2の走査反射器からの光ビームを出力瞳に中継することとを含む方法を提供する。第1の走査反射器から第2の走査反射器へまたは第2の走査反射器から出力瞳への光ビームの中継は、第1の凹面反射器、および3重通過構成の第1のPBSを使用することを含み得る。
【0041】
いくつかの実装形態において、方法は、第1のPBSおよび第1の凹面反射器を使用して、第1の走査反射器からの光ビームを第2の走査反射器へ方向付けることと、第2の凹面反射器に結合された第2のPBSを使用して、第1のPBSからの光ビームを第2の走査反射器および出力瞳へ順次方向付けることとを含み得る。
【0042】
いくつかの実装形態において、方法は、光ビームの偏光状態を、第1のPBSおよび第2のPBSのそれぞれを通る連続した通過間で直交偏光状態に変更することを含み得る。
【0043】
本開示の一態様は、ユーザの頭に装着するための支持構造体と、支持構造体によって保持された、光ビームを提供するための光源と、支持構造体によって保持された瞳拡大器と、支持構造体によって保持された走査プロジェクタとを備えるニアアイディスプレイ(NED)デバイスを提供する。走査プロジェクタは、少なくとも第1の平面内で光ビームを操作するように構成された第1の走査反射器と、第1の走査反射器から受光した光ビームを少なくとも第2の平面内で操作するように構成された第2の走査反射器と、第1の走査反射器において画定された第1の瞳を第2の走査反射器において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳に中継するように構成されたビーム中継光学系とを備え得る。瞳拡大器は、光ビームをユーザの眼へ方向付けるために、走査プロジェクタの出力瞳のサイズを拡大するように構成され得る。
【0044】
いくつかの実装形態において、ビーム中継光学系は、凹面反射器と、3重通過構成で配置され、凹面反射器に結合された偏光ビームスプリッタ(PBS)とを備える。
【0045】
いくつかの実装形態において、第1の走査反射器および第2の走査反射器のうちの一方は、2次元で光を走査して、角度空間内で画定された視野(FOV)内で2次元(2D)画像を形成するように動作可能であり得、2つの走査反射器のうちの他方は、制御信号に応答して角度空間内の2D画像をシフトするように動作可能であり得る。
【0046】
図1を参照すると、プロジェクタ100とも呼ばれる2段走査プロジェクタ100は、入力光ビーム101を受光し、入力光ビーム101を2次元(2D)で角度走査するように構成される。入力光ビームは、第1の走査段110および第2の走査段120という2つの連続するビーム走査段を使用して走査されて、出力光ビーム151が生成される。出力光ビーム151は、一般に2Dで、特定のFOVにわたって走査され得る。いくつかの実施形態において、たとえば、プロジェクタ100がディスプレイデバイスで使用されるとき、入力光ビーム101は、走査と協調して時間的に変調され得、その結果、プロジェクタ100の出力での出力光ビーム151は、角度空間内で2D画像をレンダリングし、2D画像は、観察者の眼によってまたはスクリーン上に表示するための集束レンズによって空間画像に変換され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、第1の走査段110および第2の走査段120はそれぞれ、特定の平面で角度を有して受光した光ビームを走査するように構成され得、1D走査段と呼ばれ得る。以下に説明する例示的な実施形態において、第1の走査段110は、入力光ビームを第1の平面内で操作するように構成された第1の走査反射器(SR:scanning reflector)111を含み、第2の走査段120は、第1の走査段110から受光した入力光ビームを第2の平面内で操作するように構成された第2のSR112を含む。SR111およびSR112はそれぞれ、たとえば、可傾ミラー、またはより一般的には可傾反射器(TR:tiltable reflector)を含み得る。しかしながら、入射光の制御可能な屈折および/または回折に基づくものなど、可傾反射器以外の光操作デバイスを使用する実施形態も想定され得る。以下に説明する少なくともいくつかの例示的な実施形態において、第1のSR111および第2のSR112が入力光ビームを操作する平面は、実質的に直交しており、これにより、出力光ビーム151をラスタ走査パターンで走査することが容易になる。ここで「実質的に」とは、システムの設計および公差に応じて、一定の精度、たとえば+\-1°、または+\-3°を意味する。しかしながら、2D走査パターンを作成するために、直交でも平行でもない2つの平面内で入力ビームを連続的に走査することも使用できることが理解されよう。非平行平面とは、たとえば、互いに対して少なくとも30°の角度で配向されている平面を意味し得る。たとえば、SR111もしくはSR112のいずれかによってサポートされ得るより広い角度範囲で出力走査光ビーム151を走査するために、または、粗い走査と細かい走査を別々に提供するために、SR111、SR112がそれぞれの入力ビームを同じ平面内で操作する実施形態も想定され得る。
【0048】
プロジェクタ100は、入力ビームを走査プロジェクタ100の第1のSR111から第2のSR112に、また第2のSR112から出力瞳155に中継するビーム中継光学系121、122をさらに含み得る。
図1に示す実施形態では、このビーム中継光学系は、第1のビーム中継器121および第2のビーム中継器122によって表されている。第1のビーム中継器121および第2のビーム中継器122は、図示のようにそれぞれの第1の走査段110および第2の走査段120の一部とみなされ得るが、それぞれの第1の走査段110および第2の走査段120に結合され得る、かつ/またはそれぞれの第1の走査段110および第2の走査段120と1つまたは複数の光学構成要素を共有し得る。第1のビーム中継器121は、第1のSR111から反射されたビームを第2のSR112に中継する屈折光学系および/または反射光学系を含み得、第2のビーム中継器122は、第2のSR111から反射されたビームを出力瞳に中継する屈折光学系および/または反射光学系を含み得る。1つまたは複数の例示的な実施形態を参照して以下に説明するように、第1のビーム中継器121および第2のビーム中継器122は、2重通過される第2のSR112の前のレンズなどの1つまたは複数の光学構成要素を共有し得る。第1のビーム中継器121および第2のビーム中継器122の光学系は、瞳中継器として機能し、第1のSR111において画定された第1の瞳を第2のSR112において画定された第2の瞳に中継し、第2の瞳を走査プロジェクタの出力瞳155に中継する。以下に説明するように、出力瞳155は、たとえば、出力集束レンズまたは出力コリメートレンズによって画定され得る。
【0049】
図2を参照すると、プロジェクタ100の実施形態が示されており、第1のビーム中継器121は、第1の結像光学系131および第1のルーティング光学系141を含み、第2のビーム中継器122は、第2の結像光学系132および第2のルーティング光学系142を含む。
図2に示す要素で
図1と同じ参照を有する要素については、
図2の実施形態において、
図1の実施形態での機能と同じ機能を実行するので、再度説明しない場合がある。結像光学系131および結像光学系132は、光パワーを有する1つまたは複数の屈折光学要素および/または反射光学要素を含み得る。いくつかの実施形態において、結像光学系131は、SR111の反射面またはその動作部分を、SR112の反射面上またはその動作部分上に結像するように構成され得、その結果、SR111によって走査されたビームは、SR111の走査角度の範囲について、第2のSR112のほぼ同じ領域に衝突する。いくつかの実施形態において、結像光学系132は、SR112の反射面またはその動作部分を、出力瞳155上に結像するように構成され得、その結果、出力瞳155に入射するビーム149は、第1のSR111および第2のSR112によって提供される走査角度の範囲について、そのほぼ同じ領域に衝突する。ルーティング光学系141および141は、光パワーなしであり得る1つまたは複数の光学要素を含み得るが、それらに入射するビームを所望の方向にルーティングするように構成される。第1のルーティング光学系141は、第1の結像光学系131の1つまたは複数の光学要素を介して、またはそれと連動するなどして、入力光ビームを第1のSR111から第2のSR112にルーティングし得る。第2のルーティング光学系142は、第2の結像光学系132の1つまたは複数の光学要素を介して、またはそれと連動するなどして、入力光ビームを第2のSR112から出力瞳155にルーティングし得る。いくつかの実施形態において、ルーティング光学系141および142は、入力ビームの光路を折り畳んでプロジェクタの設置面積を縮小することができ、偏光支援付き多重通過ルーティングを提供することができる。
【0050】
図3を参照すると、プロジェクタ100の実施形態を使用して画像光を生成するディスプレイデバイス300が概略的に示されている。
図3に示す要素で
図1および
図2と同じ参照番号を有する要素については、
図3の実施形態において、
図1および
図2での機能と同じ機能を実行するので、再度説明しない場合がある。図示のように、ディスプレイデバイス300は、角度的に走査された画像光をユーザの眼350に提供するNEDであり得る。単眼フレームまたは両眼フレームなどの支持構造体310は、ユーザの頭に装着するように構成され得る。支持構造体310は、光源320、プロジェクタ100、および瞳拡大器330を保持し得る。両眼の実装形態において、支持構造体310は、2つのインスタンスまたはこれらのデバイスを、ユーザの各眼350に1つずつ保持し得る。他の実施形態において、ディスプレイデバイス300は、角度走査された画像光をスクリーン上に投影するように構成され得る。いくつかの実施形態において、瞳拡大器330は、存在しないことがあるか、またはスクリーン上に空間画像を形成するように構成された対物レンズまたは適切な投影光学系で置き換えられ得る。NEDとして実装される場合、ディスプレイデバイス300は、虚像を形成するように構成され得る。フレーム310によって保持された光源320は、入力ビーム101を、同じくフレーム310によって保持されたプロジェクタ100に提供する。瞳拡大器330は、ユーザの眼350に提示するための領域において、プロジェクタ100の出力瞳155を拡大する。光源310は、画像を送信するために時間およびスペクトルで入力光を変調するように構成され得、対応するタイミングおよび色選択信号を光源320に提供する画像生成プロセッサ340に結合され得る。RGBディスプレイの場合、光源320は、たとえば、赤、緑、および青のレーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)などの赤、緑、および青の光源を含み得、これらの光は、プロセッサ340からの信号に従って別々に変調され、光学的に多重化されて、入力光ビーム101を生成する。入力光101は、たとえば、光ファイバまたはバルク光学構成要素などの適切な光導波路を使用して、または自由空間内で、光源320からプロジェクタ100に送達され得る。プロジェクタ100は、変調された入力光ビーム101を走査して、出力光151ビームを生成し、出力光151ビームは、SR111およびSR112の角度走査範囲、場合によってはプロジェクタ100のビームルーティング光学系の開口制限によって画定されるような、何らかの2D FOV内の角度空間内で2D走査される。次いで、瞳拡大器330を使用して、観察者のためにプロジェクタの出力瞳155を拡大し得る。瞳拡大器330は、たとえば、入力カプラおよび出力カプラを備えた光導波路の形態であり得、一般に、出力カプラの面積は、1つまたは複数の入力カプラの面積よりも大きい。一実施形態において、瞳拡大器330は、入力カプラとして1つまたは複数の入力格子を有し、出力カプラとして1つまたは複数の出力格子を有する、光導波路であり、格子は、プロジェクタ100のFOVを、導波路によって提供される全内部反射(TIR:total internal reflection)の角度範囲に一致させるように構成される。
図3は、単一のプロジェクタ100が、その入力で単一の光源320に結合され、その出力で単一の瞳拡大器に結合されるように示しているが、両眼NEDの場合、独自の光源320と独自の瞳拡大器330とに結合された別個のプロジェクタ100がユーザの各眼に使用され得ることが理解されよう。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態による走査プロジェクタのビーム中継光学系は、第1のSRおよび第2のSRに加えて、プロジェクタの他の光学要素と協働して瞳中継を提供し得る凹面鏡などの湾曲した反射器と、偏光制御付きの多重通過ビームルーティングを実装するための少なくとも1つの偏光ビームスプリッタ(PBS)とを含み得る。いくつかの実施形態において、PBSは、入力光ビームを、最初の2回の通過において、選択されたSRおよび凹面反射器へ順次方向付け、凹面鏡またはSRから反射されたビームを、3回目の通過において第2の走査段または出力瞳のいずれかへ方向付けるための、3重通過構成で配置され得る。
【0052】
次に
図4Aおよび
図4Bを参照すると、上記で概説した2段走査プロジェクタ100の実施形態とみなされ得る例示的な走査プロジェクタ400が示されている。走査プロジェクタ400は、これ以降単にプロジェクタ400と呼ばれ得、他の特徴の中でもとりわけ、偏光支援付き多重通過ビームルーティングを実装して、2段瞳中継器をコンパクトな設置面積で提供する。
図4Aは、入力ビーム401がプロジェクタの入力瞳405へ入射する平面におけるプロジェクタ400の断面を示し、
図4Bは、入射面に直交する平面上での投影におけるプロジェクタ400を示す。以下の説明では、デカルト座標系(x,y,z)477を使用することができ、入力光ビーム401は、プロジェクタにy軸の方向で入射し、プロジェクタの2つの走査段は、概ねz軸方向に位置合せされている。以下の説明では、入力光ビーム401がプロジェクタ400を通り抜けるとき、入力光ビーム401は、入力ビーム401、ビーム401、または単に「ビーム」と呼ばれ得る。上記で概説したプロジェクタ100と同様に、入力光ビーム401は、2つの走査段を順番に透過し、プロジェクタの出力瞳455から出力ビーム403の形で出てくる。第1の走査段は第1のSR411を含み、第2の走査段は第2のSR412を含む。出力ビーム403は、SR411およびSR412で順番に走査されて画像を生成し得、画像ビーム403とも呼ばれ得る。図示の実施形態において、第1のSR411は、第1の平面内でビームを操作するように動作可能であり、第2のSR412は、第1の平面とは異なり得る第2の平面内でビームを操作するように動作可能である。図示の例において、第1の平面は、デカルト座標系477の(z,y)平面でもある図の平面であり得、第2の平面は、第1の平面に概ね直交し、座標系477の(x,y)平面として記述され得る。第1のSR411は、第1のアクチュエータ461によってx軸に平行な軸417を中心に傾斜するように制御される、可傾ミラーなどの可傾反射器(TR)であり得る。第2のSR412もまた、第2のアクチュエータ462によってz軸に平行な軸419を中心に傾斜するように制御されるTRであり得る。他の実施形態において、SR411、412の傾斜軸は、他の相対配向を有し得る。
【0053】
図示の実施形態において、プロジェクタ400のルーティング光学系は、プロジェクタ400の2つの走査段のそれぞれにPBS、すなわち、第1の走査段には偏光ルーティング面415を有する第1のPBS410を、第2の走査段には偏光ルーティング面425を有する第2のPBS420を含む。PBS410、420は、PBSキューブもしくはPBSプリズムの形態であるか、またはPBSキューブもしくはPBSプリズムを含み得るが、他のタイプの偏光子を使用して、たとえば、偏光ルーティング面415、425としてワイヤグリッド偏光子を使用して具現化されてもよい。入力瞳405は、任意選択の入力レンズ451によって画定され得る。入力レンズ451は、第1のPBS410の入力面または側面など、プロジェクタの第1の走査段の入力に配置され得る。プロジェクタのビーム中継器は、2つの湾曲した反射器、すなわちPBS410を介して第1のSR411に光学的に結合された第1の凹面反射器431と、PBS420を介してSR412に光学的に結合された第2の凹面反射器432とで形成され得る。凹面反射器431、432はそれぞれ、入射光をすべてまたは少なくとも部分的に反射するように構成された凹面鏡の形態であり得る。第1の走査段において、第1のPBS410は、入力光ビーム401を第1のSR411および第1の凹面反射器431から順次反射した後に第2の走査段へ方向付けるための3重通過構成で配置される。第2の走査段において、第2のPBS420は、第1の走査段からビームを受光するように配置される。第2のPBS420は、第1の走査段から受光したビームを、第2のSR413および第2の凹面反射板432から順次反射した後に出力瞳455へ方向付けるための3重通過構成で、第2のSR412および第2の凹面反射器432に光学的に結合される。本開示の文脈において、「ビームを方向付ける」は、方向付けを通してビームが方向を変えることなく伝播できるようにすることを含み得る。
【0054】
PBS410またはPBS420それぞれによる所望のビームルーティングを提供するために、1つまたは複数の波長板などの1つまたは複数の偏光変換器を設けて、各PBSを通る連続する通過間で、ビームを直交偏光に変換することができる。図示の実施形態において、反射器411、412、431、および432のそれぞれに近接して4分の1波長板(QWP)を設けて、それぞれの反射器への往復の途中でビームを通過させ、これにより、PBS410またはPBS420の連続する各入口においてビームの偏光を直交偏光に変更することができる。より具体的には、PBS410とSR411との間の光路内に第1のQWP441を設けることができ、PBS410と凹面反射器431との間の光路内に第2のQWP442を設けることができ、PBS420とSR412との間の光路内に第3のQWP443を設けることができ、PBS420と凹面反射器432との間の光路内に第4のQWP444を設けることができる。いくつかの実施形態において、QWP442およびQWP444は、それぞれのPBS面上に積層され得る。いくつかの実施形態において、QWP442およびQWP444は、それぞれの凹面鏡上に積層され得る。
【0055】
プロジェクタ400内のビームルーティングは、点線で示された入力ビーム401の中心光線によって図に示されている入力ビーム401の伝播を考慮することによって理解され得る。入力ビーム401は、LP1として示され得る第1の偏光状態の偏光として、入力瞳405を通ってプロジェクタの第1の段に入る。LP1に直交する偏光状態はLP2として示され得る。いくつかの実施形態において、偏光状態LP1は、第1の偏光ルーティング面415への入射に対して定義される線形p偏光に対応し得、LP2は、線形s偏光に対応する。いくつかの実施形態において、入力光ビーム401は、光源(
図4A、
図4Bには図示せず)によって、所望のLP1偏光で提供され得る。いくつかの実施形態において、プロジェクタ400の入力瞳405に任意選択の偏光子407を設けて、LP1偏光された入力ビーム401を出力することができる。入力瞳405は、PBS420の第1のもしくは入力の面または側面において画定され得る。第1のPBS410は、LP1偏光において入力瞳405をSR411に光学的に結合し、LP2偏光においてSR411を凹面反射器431に光学的に結合するように構成され得る。第2のPBS420は、LP1偏光またはLP2偏光のうちの一方においてSR412を第2の凹面反射器432に光学的に結合し、LP1偏光またはLP2偏光のうちの他方において第2の凹面反射器432を出力瞳455に光学的に結合するように構成され得る。任意選択として、PBS410の出力面または側面414と、PBS420の入力面または側面421との間に、適切に配向された半波長板(HWP:half-wave plate)などのLP1対LP2偏光変換器445を設けることができる。
【0056】
図4Aおよび
図4Bに示す実施形態において、入力光ビーム401は、入力瞳405でp偏光され、PBS410を通る1回目の通過においてSR411に向けて透過する。ビームは、ビームの偏光を円形に変えるように配向されたQWP441を通過した後、説明のために傾斜状態で示されている第1のSR411で反射される。SR411は、反射の法則に従って、x方向軸417(
図4B)を中心にSR411の第1の傾斜角θ1の2倍だけ、ビームを入力軸C1から離れるように操作する。SR411によって操作された入力ビーム401は、第1の操作済みビーム401Aと呼ばれ得る。SR411からの反射は、第1のPBS410を通る2回目の通過のために、ビームを概ね第1のPBS410へ戻るように方向付ける。ビームは、QWP441をもう一度通過することにより、s偏光(またはLP2)に変化する。
【0057】
PBS410を通る2回目の通過は、第2のQWP442を介して、現在s偏光にあるビームを第1の凹面鏡431へ方向転換させる。第1の凹面鏡431からの反射は、QWP442を通る2回目の通過を介して、ビームを概ねPBS410へ戻るように方向付け、これによりビームは再びp偏光(LP1)に変化し、PBS410がp偏光を透過する。したがって、第1のPBS410を通る3回目の通過は、ビームをPBS410の出力側または出力面414へ方向付ける。第2のPBS420の入力側421は、PBS410の出力側または出力面414に近接して位置し、出力側または出力面414からビームを受光し得る。PBS410の出力面または出力側414と、PBS420の入力面または入力側421との間に、ビームを直交偏光に変換するための半波長板445が配置され得る。
【0058】
図示の実施形態において、凹面鏡431から反射されたビームは、p偏光としてPBS410を通過し、HWP445によってs偏光に変換され、PBS420を通る1回目の通過において、偏光ルーティング面425からの反射によってSR412へ方向付けられる。ビームは、ビームの偏光を円形に変えるように配向された第3のQWP443を通過した後、第2のSR412で反射され、第2のSR412は、Z方向軸419(
図4B)を中心とする第2のSR412の傾斜角θ2に従って、ビームを操作する。第2のSR412によって操作された後、第1の操作済みビーム401Aは、画像ビーム401Bと呼ばれ得る。
【0059】
SR412からの反射は、第3のQWP443を介して、ビームを概ねPBS420へ戻るように方向付け、これにより、ビームはp偏光に変化する。PBS420を通る2回目の通過は、偏光ルーティング面425および第4のQWP444を介して、ビームを第2の凹面鏡432へ方向付ける。第2の凹面鏡432からの反射は、ビームを、概ねPBS420へ戻り再びQWP444を通過するように方向付け、これにより、ビームはs偏光に変化する。PBS420を通る3回目の通過は、偏光ルーティング面425での反射によって、s偏光画像ビーム401Bを出力レンズ453および出力瞳455へ方向転換させる。
【0060】
図5Aを参照すると、一実施形態におけるプロジェクタ400の瞳複製または瞳結像光学系の動作が示されている。プロジェクタ400を通って伝播するときの入力ビーム501が、点線で概略的に描かれており、この図において、点線はビーム「端」を示している。図示されているよりも狭い入力ビームを使用できることに留意されたい。ビーム伝播は、例として、SR411およびSR412の公称位置、すなわち傾斜していない位置について示されており、これらのSR位置において、ビームは、SR411およびSR412のそれぞれに実質的に垂直な入射を有し得、凹面反射器431および凹面反射器432での軸上入射を有し得る。ここで、実質的に垂直であるとは、一般に+\-2°以内、またはいくつかの実施形態では+\-5°以内の製造公差を考慮することを意味する。図示の実施形態において、瞳複製は焦点性であり、すなわち、入力ビーム501は、プロジェクタの入力瞳405でコリメートされないが、プロジェクタの第1の段内または段間であり得る焦点面533上のある位置で収束する。虚焦点面533が凹面反射器431の後ろに位置している実施形態も想定され得る。図示の実施形態において、PBS410の入力ファセットまたは入力側に入力集束レンズ451を設けて、公称の傾斜していない状態のSR411の光反射面に、サイズS
1を有する収束ビームを提供することができる。入力瞳405は、レンズ451の光受容面、またはその中央部分によって画定され得る。S
1は、たとえば、SR411でのビーム直径を表し得る。SR411の光反射面は、第1の瞳511を画定し、そのサイズは、SRが傾斜したときにビームをクリッピングすることを回避するために実質的にS
1/cos(θ
1max)であるか、または公差を考慮してわずかに大きい、たとえば10%大きい場合がある。ここで、θ
1maxは、プロジェクタの動作中に予想されるSR411の最大傾斜角を表し得る。いくつかの実施形態において、SR411の反射面は楕円形であり得る。
【0061】
プロジェクタ400の瞳複製光学系は、出力瞳455におけるビーム501によって照明される位置を、それぞれの動作角度範囲内で第1のSR411の傾斜角θ1および第2のSR412の傾斜角θ2に実質的に依存させないように動作する。瞳複製光学系は、実質的に出力瞳455でのビームの横方向の空間変位なしに、プロジェクタのFOV内の角度空間で走査することが可能な出力瞳455から生じる画像ビーム503を提供する。ここで、実質的にとは、システム公差を考慮することを意味し、一般に、画像ビーム503の直径の5%未満、いくつかの実施形態では、好ましくは画像ビームの直径の10%未満の横方向変位を伴う。
【0062】
図示の実施形態において、プロジェクタ400の瞳複製光学系は、入力集束レンズ451と、2つの凹面鏡431および432と、第2のSR412に配置され得る第2の集束レンズ452と、出力瞳455に配置された出力レンズ453とを含む。いくつかの実施形態において、出力瞳455は、レンズ453から離れている場合がある。第1の凹面鏡431および第2の集束レンズ452は、第1の瞳複製光学系または第1の瞳中継器と呼ばれることがあり、協働して、SR411において画定された第1の瞳511をSR412において画定された第2の瞳512上に複製または中継し、その結果、入力ビーム501は、SR411の動作範囲内の任意の傾斜角θ1で、たとえば-θ1maxから+θ1maxまで、SR412の光反射面に当たる。例として、θ1maxは、10度から40度の範囲内とすることができる。入力レンズ451は、凹面鏡431と協働して、ビーム501が凹面鏡431から反射した後に収束する焦点面533を画定し得る。レンズ452は、凹面鏡431と協働して、第1の瞳511を倍率Xで第2の瞳512上に結像するように構成され得、この場合、第2のSR412は、第1のSR411よりもX倍(線形)サイズが大きくなり得る。倍率係数Xは、SR411とSR412との間の光学距離、凹面鏡431の曲率半径、およびある程度レンズ452の光パワーに依存し、これらのパラメータのうちの1つまたは複数を変えることによって適切に調整され得る。SR411と凹面鏡431との間の光路が凹面鏡431とSR412との間の光路よりも短い場合、倍率係数Xは1より大きくなり得る。いくつかの実施形態において、凹面鏡431の光パワーは、倍率係数XでSR411からSR412を結像するように選択され得る。ビームが第1のSR411から第2のSR412に倍率を伴って中継される実施形態において、第2のSR412は、第1のSR411よりもサイズが比例して大きくなり得る。例として、第1のSR411と第2のSR412との間に瞳倍率Xを伴うプロジェクタの場合、第2の瞳512を画定するSR412の光反射面のサイズは、実質的にX・S1/cos(θ2max)、または公差を考慮してわずかに大きい、たとえば10%大きいサイズであり得る。ここで、θ2maxは、プロジェクタの動作中に予想されるSR412の最大傾斜角を表す。例として、θ2maxは、10度から40度の範囲内とすることができる。非限定的な例として、Xは、1.4+-10%に等しい場合がある。
【0063】
第2の凹面鏡432および出力レンズ453は、第2の集束レンズ452と協働して、第2の瞳512を出力瞳455上に中継し、第2の瞳中継光学系または第2の瞳中継器と呼ばれ得る。第1の瞳中継器と共有され得る第2の集束レンズ452は、第2の凹面鏡432および出力レンズ453と協働して、第2の瞳512を出力瞳455上に結像し得る。レンズ452およびレンズ453がそれぞれの瞳面に近接している実施形態では、SR412は、主に凹面鏡431の光パワーによって出力瞳455上に結像され得る。第2の瞳中継光学系は、倍率の有無にかかわらず、第2の瞳512を出力瞳455に複製または中継し得る。
【0064】
有利には、SR411およびSR412が直交配向された1Dスキャナである実施形態において、プロジェクタ400のFOVは、たとえばNEDで使用される場合の垂直次元および水平次元に対応し得る2つの直交平面内で、独立して調整され得る。画像ビーム401Bが第1のSR411および第2のSR412のうちの一方によって操作されるとき、画像ビーム401Bは、出力集束レンズ453の入力面にわたって走査し、レンズへの画像ビーム401Bの入射の位置を変えることができる。出力集束レンズ453は、この位置の変化を出力ビーム503の角度の変化に変換するように構成される。この変換については、
図5Bに概略的に示されており、
図5Bは、それぞれ点線および破線で描かれた、出力集束レンズ453に入射する画像ビーム501B1および画像ビーム502B2を示している。2つの画像ビーム501B1および画像ビーム501B2は、たとえば、SR411の2つの異なる傾斜角に対応し得、画像ビーム501B1および画像ビーム501B2が出力レンズ453に入るときに、互いに相対して空間的にシフトし得る。これらの2つの画像ビームは、レンズ453によって出力走査ビーム503aおよび出力走査ビーム503bに変換され、出力走査ビーム503aおよび出力走査ビーム503bは、一般に、それらの間で横方向のシフトなしに出力瞳455で実質的に重なり、出力瞳455から異なる角度で出現する。
【0065】
図6を参照すると、SR411およびSR412のそれぞれは、たとえば、1軸MEMSスキャナ600の形態であり得、「MEMS」は、微小電気機械システムを表す。1軸MEMSスキャナ600は、走査反射器610、たとえば鏡を含み、走査反射器610は、走査反射器610が「X」軸を中心に傾斜できるようにする1対のねじりヒンジ601によって支持される。走査反射器610が「X」軸を中心に傾斜できるようにするために、ねじりヒンジ601は、走査反射器610から固定基部622まで延在する。
図6の「X」軸は、
図4Aおよび
図4Bのデカルト座標系477のx軸またはz軸のいずれかを表し得ることに留意されたい。「X」軸を中心とする走査反射器610の傾斜を作動させる力を提供するために、走査反射器610の下にアクチュエータが配置され得る。アクチュエータは、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電アクチュエータなどであり得る。静電ミラー作動の場合、ねじりヒンジ部材上にくし形駆動装置が配置され得る。たとえば、
図6に示す実施形態において、走査反射器610をX軸を中心に傾斜させるために、反射器610の縁部の下にアクチュエータ631が配置され得る。いくつかの実施形態において、ねじりヒンジ601が走査反射器610からジンバルリング(図示せず)まで延在する2軸走査反射器を使用して、ジンバルリングおよび走査反射器610全体を「Y」軸を中心に傾斜させることができ、ジンバルリングは、ジンバルリングから固定基部322まで延在する第2の対のねじりヒンジ(図示せず)によって支持される。
【0066】
走査反射器610の傾斜角に関するフィードバック情報を提供するために、フィードバック回路641を設けることができる。フィードバック回路641は、たとえば、静電アクチュエータ631と走査反射器610との間の電気容量を測定して、傾斜角θを決定し得る。フィードバック回路641用に特別に別個の電極を設けることもできる。静電容量は、電圧測定を介して、かつ/または走査反射器610の一部からの無線周波数(RF)反射、ならびに、たとえば周波数混合器およびローパスフィルタを使用する位相検出器を介して測定され得る。いくつかの実施形態において、走査反射器610上に小さな磁石を配置することができ、たとえば基部622に固定された近くのピックアップコイルを使用して、走査反射器610の振動を拾い上げることができる。さらに、いくつかの実施形態において、走査反射器610から光信号を反射することができ、光検出器を使用して、反射されたビームを検出することができる。光検出器は、空間分解能を有しても有さなくてもよい。空間分解能検出器の場合、検出器アレイまたは象限検出器を使用することができる。たとえば、ゼロ傾斜角を横切るとき、同期パルスまたは同期信号が、走査反射器610の特定の傾斜角で生成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1のSR411および第2のSR412は、2つの異なる基部622によって支持された2つの1D MEMS可傾反射器610を使用して実装され得る。いくつかの実施形態において、第1のSR411および第2のSR412は、同じ基部622によって支持された2つのMEMS可傾反射器610を使用して実装され得る。いくつかの実施形態において、画像ビームの2Dラスタ走査パターンを実装するために、非平行な、たとえば直交する傾斜軸を有する2つの2つの可傾反射器610の各アクチュエータ631にラスタ走査信号が提供され得る。いくつかの実施形態において、速度効率およびエネルギー効率のために、1つまたは複数の可傾反射器610は、共振モードで動作され得る。共振動作モードにおいて、可傾反射器610は、その傾斜軸を中心に近共振周波数で振動し、ビームは、画像パターンに従って時間内にパルス変調される。瞳中継器を介して結合され、非平行軸を中心に振動する1D MEMSスキャナなどの1対の可傾反射器では、振動が互いに分離され、全体的な軌道予測が簡素化される。
【0068】
1D MEMSスキャナ600は、スキャナの実装形態の一例にすぎないことに留意されたい。屈折ビームスキャナおよび回折ビームスキャナを含む他の多くの実装形態が可能である。MEMSを用いて実装される場合、様々なくし形構造を使用して、電極間の静電引力の増加を実現することができる。くし形構造および/またはハニカム構造を使用して、可傾反射器610を補強することができる。可傾反射器610は、鏡面、多層誘電体反射器などを含み得る。可傾反射器610は、1D MEMSスキャナ600の中心に位置し得るか、または必要に応じて中心からオフセットされ得る。平行な傾斜軸および/または直交する傾斜軸を含む非平行な傾斜軸を有する1D MEMSのうちの2つ以上が、同じ基部622によって支持され得る。
【0069】
再び
図4A、
図4B、および
図5Aを参照すると、PBS410およびPBS420は、偏光分割キューブもしくは偏光分割プリズムの形態であるか、または偏光分割キューブもしくは偏光分割プリズムを含み得、それらの光軸のうちの1つは、
図4A、
図4Bにおけるz軸に平行であり得る共通光軸C2に沿って位置合せされており、PBS410の出力面414は、PBS420の入力面421に近接し、入力面421に平行である。偏光ルーティング面415および425は、2つのPBSの共通光軸C2に対して45度で配向され得る。PBS410およびPBS420を具現化するPBSキューブまたはPBSプリズムは、同じサイズまたは異なるサイズであり得る。
図4Aおよび
図4Bは、上記のように、SR411からSR412までの光学倍率を伴う実施形態を示し、このような実施形態において、PBS410はより小さい直径のビームをルーティングするので、PBS410の少なくとも1つの寸法は、PBS420よりも物理的に小さい場合がある。
【0070】
さらに、上記の例示的な実施形態において、第1の操作段のSR411は、プロジェクタの入力瞳405と位置合せされ、p偏光の透過において入力瞳405と結合され、一方、s偏光の反射において第1の凹面鏡431に結合される。渦および渦の曲率の中心によって画定される凹面反射器431の光軸は、一般に、PBS410を通る入力ビーム401の1回目の通過の方向に垂直であり得る。しかしながら、他の実施形態において、入力瞳451、第1のSR411、および凹面鏡431は、PBS410の出力面414に対して異なる方法で配置され得る。たとえば、一実施形態において、SR411の位置と凹面鏡431の位置とを入れ替えることができ、その場合、入力光ビーム401は、入力瞳405でs偏光され得る。別の実施形態において、入力瞳405の位置と第1の凹面反射器431の位置とを入れ替えることができ、入力光ビーム401は、1回目の通過のためにPBS410に入るとき、再びs偏光状態にある。同様に、第2の段におけるPBS420に対するSR412、出力瞳455、および第2の凹面鏡432の配置は、
図4A、
図4B、および
図5に示す例示的な実施形態とは異なり得る。
【0071】
さらに、上記の例示的な実施形態において、PBS410およびPBS420のそれぞれの偏光ルーティング面415、425は、p偏光を透過し、s偏光を反射する。しかしながら、PBS410およびPBS420の偏光ルーティング面415、425が他の直交する対の偏光状態で動作するように構成される実施形態が想定され得る。さらに、いくつかの実施形態において、PBS410およびPBS420のそれぞれの偏光ルーティング面415、425は、互いに平行ではない場合がある。
【0072】
一般に、第2のSR412および第2の凹面鏡432は、PBS420の残りの5つの「自由」面のいずれかに配置され得、第2のPBS420の偏光ルーティング面425は、SR412をある偏光状態で入力面421に結合し、SR412を直交偏光状態で第2の凹面反射器432に結合するように適切に配向される。いくつかの実施形態において、PBS410およびPBS420の偏光ルーティング面415、425は、異なる平面において傾き得る。
【0073】
図7は、第2の段の構成が、一般に、90度の反時計回りの回転で第1の段の構成を繰り返す、プロジェクタ400の例示的な実施形態400Aを示す。この例示的な構成において、SR412は、入力PBS面421の向かい側のPBS420のPBS面423に配置され、したがって、p偏光の透過においてPBS面423に結合される。この構成では、PBS410とPBS420との間のHWPは必要ない。第2の凹面鏡432は、偏光ルーティング面425によって反射された後にSR412によって操作されたs偏光画像光を受光するように、第2の凹面鏡432の光軸がPBS410およびPBS420の共通光軸C2から90度であり、かつ出力瞳455の向かい側にある状態で配置される。図示の実施形態において、入力瞳405および出力瞳455は、プロジェクタの同じ側にある。別の実施形態において、偏光ルーティング面415、425が平行であり、かつ入力瞳405および出力瞳455がプロジェクタの反対側にあるように、PBS420を、C2軸を中心に180度回転することができる。
【0074】
図8を参照すると、以下でNED800と呼ばれるNEDデバイス800においてプロジェクタ400を使用して、ユーザの眼850に中継されてユーザのための画像を形成し得る走査画像ビーム803を生成することができる。図示の実施形態において、プロジェクタ400の出力瞳455は、導波路810の入力カプラ855内に結合され、導波路810はまた、走査画像ビームのサイズを拡大して拡大画像ビーム833を提供するように構成され得る1つまたは複数の出力カプラ820を有する。この実施形態において、導波路810は、瞳拡大器または瞳複製器として動作する。入力カプラ855は、1つまたは2つの回折格子または1つまたは2つの結合プリズムの形態であるか、またはそれらを含み得る。入力カプラ855は、プロジェクタ400の出力瞳455に一致するサイズであり得る。1つまたは複数の出力カプラ820は、たとえば、1つまたは複数の回折格子の形態であり得、いくつかの実施形態において、回折格子はホログラフ的に定義され得る。一例として、一実施形態において、g
1+g
2+g
3=0となるように、入力カプラ855は、格子ベクトルg
1を有するレリーフ格子などの回折格子の形態であるか、またはそれを含み得、出力カプラ820は、格子ベクトルg
2を有する第1の出力回折格子および格子ベクトルg
3を有する第2の出力回折格子の形態であるか、またはそれらを含み得る。このような実施形態において、拡大された出力画像ビーム833の出力角は、プロジェクタ400からの走査画像ビーム803が入力カプラ855に衝突する角度に等しく、その結果、導波路810は、プロジェクタ400の出力FOVをユーザの眼850に1対1で中継する。NED800は、電気画像信号V1およびV2をそれぞれ第1のSR411および第2のSR412に提供する画像信号生成プロセッサ860を含み得る。これらの信号は、NEDの出力ビーム803の垂直走査方向と水平走査方向に対応し得る2つの直交平面における、プロジェクタの出力ビーム803のビーム操作角を画定し得る。電気画像信号V1およびV2は、入力ビーム401の色および強度変調と同期され得、その結果、NED出力ビーム803は角度空間内に2D画像を描画し、2D画像はユーザの眼850内の空間画像に変換される。有利なことに、2つの1Dスキャナを使用して画像ビームの垂直走査および水平走査を実行すると、画素密度、走査周波数、ラスタサイズなどの特性を独立して調整することができ、近共振で動作する2軸スキャナから得られるものよりも予測可能なラスタ走査パターンが生成される。
【0075】
図9を参照すると、本開示の一実施形態による、光ビームを走査するための方法900が示されている。流れ図において、各ボックスは、上記で説明した走査プロジェクタの例示的な実施形態もしくはその1つまたは複数の要素によって実行され得るステップまたは動作を表し、一般にステップと呼ばれ得る。方法は、ステップ910において第1のSRに入力光ビームを提供することと、ステップ920において第1のSRを用いて少なくとも第1の平面内で入力光ビームを操作することと、ステップ930において第1のSRからの入力光ビームを第2のSRに中継することと、ステップ940において第2の平面内で第2のSRを用いて入力光ビームを操作することと、ステップ950において第2の走査反射器からの入力光ビームを第1の走査反射器および第2の走査反射器の傾斜角によって画定される角度で出力瞳に中継することとを含み得る。いくつかの実施形態において、ステップ930は、第1の凹面反射器に結合された第1のPBSを使用することを含み得る。いくつかの実施形態において、ステップ950は、第2の凹面反射器に結合された第2のPBSを使用することを含み得る。ステップまたは動作920は、第1の電気画像信号を第1のSRのアクチュエータに提供することを含み得、第1のSRは、第1の電気画像信号によって画定される第1の角度によって第1の平面内でビームを操作する。ステップまたは動作940は、第2の電気画像信号を第2のSRのアクチュエータに提供することを含み得、第1は、第2の電気画像信号によって画定される第2の角度によって第2の平面内でビームを操作する。ステップまたは動作950は、出力瞳における画像ビームの位置が、第1の走査反射器および第2の走査反射器のそれらの動作傾斜角範囲内の傾斜角に概ね依存しないように実行され得る。いくつかの実施形態において、第1の平面は、第2の平面に直交し得る。いくつかの実施形態において、第1の平面は、プロジェクタによって支持される2次元FOVの垂直平面に対応し得、第2の平面は、プロジェクタによって支持される2D FOVの水平平面に対応し得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、2つのSR411、412のうちの少なくとも一方は、2つの異なる、たとえば直交する平面で受光した光ビームを走査するための2D走査反射器として構成され得る。2D SRは、たとえば、2つの直交軸を中心に傾斜するように構成された2D MEMS反射器などの2D可傾反射器を用いて実装され得る。一実施形態において、第1のSR411は、角度空間内で画定されたFOV内で2D画像を形成するように動作可能な2D TRを用いて実装され得、第2のSR412は、たとえば、ユーザ関連または画像関連の信号に応答して、角度空間内でFOVをシフトするように動作可能な1D TRまたは2D TRとして実装され得る。いくつかの実施形態において、SR411およびSR412のこれらの機能を、入れ替えることができる。
【0077】
次に
図10を参照すると、NED1000は、光源1006と、画像光源1006に結合された走査プロジェクタ1030と、走査プロジェクタ1030に結合された瞳複製導波路アセンブリ1040とを含む。NED1000は、上記のNED800の一実施形態であり得る。走査プロジェクタ1030は、
図1~
図5B、
図7、および
図8の走査プロジェクタを参照して上で説明したように具現化され得る。
図10に示す実施形態において、走査プロジェクタ1030は、第1の可傾反射器1052および第2の可傾反射器1002、たとえば、1軸または2軸を中心に傾斜可能なMEMS反射器を含む。可傾反射器1052および可傾反射器1002は、上記の走査プロジェクタ400のSR411およびSR412を表し得る。コントローラ1090は、光源1006、第1の可傾反射器1052および第2の可傾反射器1002、ならびに任意選択の眼追跡器1088に動作可能に結合される。眼追跡器1088の機能は、アイボックス1084内のユーザの眼1086の位置または向きのうちの少なくとも一方を決定することであり、そこからユーザの注視方向をリアルタイムで決定することができる。
【0078】
動作に際して、コントローラ1090は、第1の可傾反射器1052および第2の可傾反射器1002を動作させて、走査プロジェクタ1030の射出瞳での光ビーム1004に、表示される画像の画素に対応するビーム角を持たせる。コントローラ1090は、可傾反射器1052、1002と協調して画像光源1006を動作させて、ユーザに表示するための角領域で画像を形成する。瞳複製導波路アセンブリ1040は、画像が、アイボックス1084内のユーザの眼1086の任意の位置でユーザの眼1086によって観察され得ることを保証する。いくつかの実施形態において、眼追跡器1088は、ユーザの注視方向を決定するように動作される。
【0079】
可傾反射器1002および可傾反射器1052がそれぞれ2D可傾反射器である実施形態では、可傾反射器1002および可傾反射器1052のうちの1つ、たとえば、第1の可傾反射器1052は、光ビーム1004を2つの非平行方向に走査して画像を角領域で形成するように動作され得、他方、すなわち第2の可傾反射器1002は、画像全体を、すなわちニアアイディスプレイ1000のFOVをユーザの注視方向にシフトするように動作され得る。コントローラ1090によってレンダリングされている画像は、適宜に更新されて、すなわち、同じ量だけ反対方向にシフトされて、FOVがシフトされたときに虚像が安定していることを確実にする。結果として生じる「フローティング」FOVの効果は、フラッシュライトがユーザの視線の方向に自動的に回転して、ユーザが現時点で見ている場所に応じて周囲の風景の様々な部分を照らすという、フラッシュライトを使用して暗い風景を見ることに類似している。FOVシフトの速度は、一般に走査速度よりも遅い眼球運動によって決定されるので、第1の可傾反射器1052をより小さく、より速くし、第2の可傾反射器1002をより大きく、より遅くすることができる。いくつかの実施形態において、第2の可傾反射器1002は、たとえば、NEDの水平軸に沿って、画像を一次元でのみシフトするように動作可能であり得る。
【0080】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムと組み合わせて実装され得る。人工現実システムは、視覚情報、音声、触覚(体性感覚)情報、加速度、バランスなどの感覚から得られる外界についての感覚情報を、ユーザに提示する前に何らかの方法で調整する。非限定的な例として、人工現実には、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/もしくは派生物が含まれ得る。人工現実コンテンツには、完全に生成されたコンテンツ、または補足された(たとえば、実世界の)コンテンツと組み合わせて生成されたコンテンツが含まれ得る。人工現実コンテンツには、映像、音声、体性または触覚的フィードバック、またはそれらの組合せが含まれ得る。このコンテンツはいずれも、視聴者に3次元効果をもたらすステレオ映像など、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するために使用される、かつ/または人工現実において他の方法で使用される(たとえば、アクティビティを実行する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMDなどのウェアラブルディスプレイ、スタンドアロンHMD、眼鏡のフォームファクタを有するニアアイディスプレイ、モバイルデバイスもしくはモバイルコンピューティングシステム、または1人以上の視聴者に人工現実コンテンツを提供できる任意の他のハードウェアプラットフォームを含む様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0081】
図11を参照すると、HMD1100は、AR/VR環境への没入の程度を高めるための、ユーザの顔を取り囲むAR/VRウェアラブルディスプレイシステムの一例である。HMD1100の機能は、物理的な実世界環境の視界を、コンピュータ生成画像を用いて拡張すること、および/または完全に仮想的な3D画像を生成することである。HMD1100は、前部本体1102と、バンド1104とを含み得る。前部本体1102は、安定性が高く快適な方法でユーザの眼の前に配置されるように構成され、バンド1104は、前部本体1102をユーザの頭に固定するように伸ばされ得る。ディスプレイシステム1180は、AR/VR画像をユーザに提示するために、前部本体1102に配置され得る。ディスプレイシステム1180は、たとえば、走査プロジェクタ1114からの走査画像ビームをユーザの眼に中継するための2つの光導波路を含み得る。前部本体1102の側面1106は、不透明または透明であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、前部本体1102は、HMD1100の加速度を追跡するためのロケータ1108および慣性測定ユニット(IMU)1110、ならびにHMD1100の位置を追跡するための位置センサ1112を含む。IMU1110は、HMD1100の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成する位置センサ1112のうちの1つまたは複数から受信した測定信号に基づいて、HMD1100の位置を示すデータを生成する電子デバイスである。位置センサ1112の例には、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、動きを検出する別の適切なタイプのセンサ、IMU1110の誤差補正に使用されるタイプのセンサ、またはそれらの何らかの組合せが含まれ得る。位置センサ1112は、IMU1110の外部、IMU1110の内部、またはそれらの何らかの組合せに配置され得る。
【0083】
ロケータ1108が、仮想現実システムの外部画像化デバイスによって追跡され、その結果、仮想現実システムは、HMD1100全体の位置および向きを追跡することができる。IMU1110および位置センサ1112によって生成された情報を、ロケータ1108を追跡することによって得られた位置および向きと比較して、HMD1100の位置および向きの追跡の正確度を高めることができる。正確な位置および向きは、ユーザが3D空間を移動および回転するときにユーザに適切な仮想風景を提示するために重要である。
【0084】
HMD1100は、HMD1100の一部または全部を取り巻く局所領域の深度情報を記述するデータを補足する深度カメラアセンブリ(DCA)1111をさらに含み得る。そのためにも、DCA1111は、レーザレーダ(LIDAR)または同様のデバイスを含み得る。深度情報をIMU1110からの情報と比較して、3D空間におけるHMD1100の位置および向きの決定の正確度を高めることができる。
【0085】
HMD1100は、ユーザの眼の向きおよび位置をリアルタイムで決定するための眼追跡システムをさらに含み得る。得られた眼の位置および向きによって、HMD1100は、ユーザの注視方向を決定し、それに応じてディスプレイシステム1180によって生成された画像を調整することが可能になる。一実施形態において、ユーザの視線の輻輳角、すなわち収束角度が決定される。決定された注視方向および輻輳角は、画角および眼の位置に応じて視覚的アーチファクトをリアルタイムで補正するためにも使用され得る。さらに、決定された輻輳角および注視角は、ユーザとの対話、オブジェクトの強調表示、オブジェクトの前面への移動、追加のオブジェクトまたはポインタの作成などに使用され得る。前部本体1102に組み込まれた1組の小型スピーカを含むオーディオシステムを設けることもできる。
【0086】
図12を参照すると、AR/VRシステム1150は、
図11AのHMD1100と、様々なAR/VRアプリケーション、セットアップ手順および較正手順、3D映像などを記憶する外部コンソール1190と、コンソール1190を動作するため、かつ/またはAR/VR環境と対話するための入力/出力(I/O)インターフェース1115とを含む。HMD1100は、物理ケーブルを用いてコンソール1190に「つなぎ留められ」得るか、またはBluetooth(登録商標)、Wi-Fiなどのワイヤレス通信リンクを介してコンソール1190に接続され得る。関連するI/Oインターフェース1115をそれぞれが有する複数のHMD1100が存在することがあり、各HMD1100およびI/Oインターフェース1115はコンソール1190と通信する。代替構成において、異なる構成要素および/または追加の構成要素がAR/VRシステム1150に含まれ得る。さらに、
図11および
図12に示す構成要素のうちの1つまたは複数と関連して説明する機能は、いくつかの実施形態において
図11および
図12に関連して説明した方法とは異なる方法で構成要素間で分散され得る。たとえば、コンソール1190の機能の一部または全部がHMD1100によって提供され得、逆もまた同様である。HMD1100は、このような機能性を実現することが可能な処理モジュールを備え得る。
【0087】
図11を参照して上で説明したように、HMD1100は、眼の位置および向きの追跡、注視角および収束角の決定などをするための眼追跡システム1118と、3D空間内のHMD1100の位置および向きを決定するためのIMU1110と、外部環境を補足するためのDCA1111と、HMD1100の位置を独立して決定するための位置センサ1112と、AR/VRコンテンツをユーザに表示するためのディスプレイシステム1180とを含み得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイシステム1180は、走査プロジェクタ1125を含む(
図11)。ディスプレイシステム1180は、光学系ブロック1130をさらに含み得、光学系ブロック1130の機能は、走査プロジェクタ1125によって生成された画像をユーザの眼に伝えることであり得る。光学系ブロックは、様々なレンズ、たとえば、屈折レンズ、フレネルレンズ、回折レンズ、アクティブまたはパッシブのパンチャラトナムベリー位相(PBP:Pancharatnam-Berry phase)レンズ、液体レンズ、液晶レンズなど、瞳複製導波路、格子構造、コーティングなどを含み得る。ディスプレイシステム1180は、光学系ブロック1130の一部であり得る可変焦点モジュール1135をさらに含み得る。
【0088】
I/Oインターフェース1115は、ユーザがアクション要求を送信し、コンソール1190から応答を受信することを可能にするデバイスである。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求である。たとえば、アクション要求は、画像データもしくは映像データの捕捉を開始もしくは終了するための命令、またはアプリケーション内で特定のアクションを実行するための命令であり得る。I/Oインターフェース1115には、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、またはアクション要求を受信し、アクション要求をコンソール1190に通信するための任意の他の適切なデバイスなどの1つまたは複数の入力デバイスが含まれ得る。I/Oインターフェース1115によって受信されたアクション要求は、コンソール1190に通信され、コンソール1190は、アクション要求に対応するアクションを実行する。いくつかの実施形態において、I/Oインターフェース1115は、I/Oインターフェース1115の初期位置に対するI/Oインターフェース1115の推定位置を示す較正データを捕捉するIMUを含む。いくつかの実施形態において、I/Oインターフェース1115は、コンソール1190から受信した指示に従って、触覚的フィードバックをユーザに提供し得る。たとえば、触覚的フィードバックは、アクション要求が受信されたときに提供され得るか、または、コンソール1190がアクションを実行するとき、コンソール1190が、I/Oインターフェース1115に命令を通信してI/Oインターフェース1115に触覚的フィードバックを生成させる。
【0089】
コンソール1190は、IMU1110、DCA1111、およびI/Oインターフェース1115のうちの1つまたは複数から受信した情報に従って処理するためのコンテンツを、HMD1100に提供し得る。
図12に示す例において、コンソール1190は、アプリケーションストア1155、追跡モジュール1160、および処理モジュール1165を含む。コンソール1190のいくつかの実施形態は、
図12に関連して説明するものとは異なるモジュールまたは構成要素を有し得る。同様に、以下でさらに説明する機能は、
図11および
図12に関連して説明するものとは異なる方法で、コンソール1190の構成要素間で分散され得る。
【0090】
アプリケーションストア1155は、コンソール1190によって実行するために1つまたは複数のアプリケーションを記憶し得る。アプリケーションは、プロセッサによって実行されると、ユーザに提示するためのコンテンツを生成する命令群である。アプリケーションによって生成されたコンテンツは、HMD1100またはI/Oインターフェース1115の動きを介してユーザから受信された入力に応答し得る。アプリケーションの例には、ゲームアプリケーション、プレゼンテーション、および会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、またはその他の適切なアプリケーションが含まれる。
【0091】
追跡モジュール1160は、1つまたは複数の較正パラメータを使用してAR/VRシステム1150を較正し得、1つまたは複数の較正パラメータを調整して、HMD1100またはI/Oインターフェース1115の位置特定における誤差を低減し得る。追跡モジュール1160によって実行される較正は、HMD1100内のIMU1110、および/またはI/Oインターフェース1115に含まれるIMU(存在する場合)から受信した情報も考慮する。さらに、HMD1100の追跡が失われた場合、追跡モジュール1160は、AR/VRシステム1150の一部または全部を再較正し得る。
【0092】
追跡モジュール1160は、HMD1100の動き、またはI/Oインターフェース1115、IMU1110、またはその何らかの組合せの動きを追跡し得る。たとえば、追跡モジュール1160は、HMD1100からの情報に基づいて、局所領域のマッピングにおけるHMD1100の基準点の位置を決定し得る。追跡モジュール1160はまた、IMU1110からのHMD1100の位置を示すデータを使用して、またはI/Oインターフェース1115に含まれるIMUからのI/Oインターフェース1115の位置を示すデータを使用して、HMD1100の基準点の位置またはI/Oインターフェース1115の基準点の位置をそれぞれ決定し得る。さらに、いくつかの実施形態において、追跡モジュール1160は、IMU1110からの位置またはHMD1100を示すデータの一部、およびDCA1111からの局所領域の表現を使用して、HMD1100の将来の位置を予測し得る。追跡モジュール1160は、HMD1100またはI/Oインターフェース1115の推定または予測された将来の位置を処理モジュール1165に提供する。
【0093】
処理モジュール1165は、HMD1100から受信した情報に基づいて、HMD1100の一部または全部を取り巻く領域(「局所領域」)の3Dマッピングを生成し得る。いくつかの実施形態において、処理モジュール1165は、DCA1111から受信した、深度の計算に使用される技法に関連する情報に基づいて、局所領域の3Dマッピングのための深度情報を決定する。様々な実施形態において、処理モジュール1165は、深度情報を使用して、局所領域のモデルを更新し、更新されたモデルに部分的に基づいてコンテンツを生成し得る。
【0094】
処理モジュール1165は、AR/VRシステム1150内でアプリケーションを実行し、HMD1100の位置情報、加速度情報、速度情報、予測される将来の位置、またはそれらの何らかの組合せを追跡モジュール1160から受信する。処理モジュール1165は、受信した情報に基づいて、ユーザに提示するためにHMD1100に提供するコンテンツを決定する。たとえば、受信した情報が、ユーザが左を向いたことを示す場合、処理モジュール1165は、仮想環境内で、または追加のコンテンツを用いて局所領域を拡張する環境内でユーザの動きを反映するHMD1100用コンテンツを生成する。さらに、処理モジュール1165は、I/Oインターフェース1115から受信されたアクション要求に応答して、コンソール1190上で実行されているアプリケーション内でアクションを実行し、アクションが実行されたとのフィードバックをユーザに提供する。提供されるフィードバックは、HMD1100を介した視覚的もしくは聴覚的フィードバック、またはI/Oインターフェース1115を介した触覚的フィードバックであり得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、処理モジュール1165は、眼追跡システムから受信した眼追跡情報(たとえば、ユーザの眼の向き)に基づいて、走査プロジェクタ1125を使用してユーザに提示するためにHMD1100に提供されるコンテンツの解像度を決定する。いくつかの実施形態において、処理モジュール1165はさらに、輻輳と調節の不整合を防止するため、かつ/または光学的歪みおよび収差を相殺するために、眼追跡情報を使用して、走査プロジェクタ1125によって提示される画像を調整することができる。
【0096】
図13を参照すると、例示的な電子システム1200の簡略ブロック図は、本明細書に開示する実施形態のいくつかを実施するためのウェアラブルディスプレイシステムの一例である。電子システム1200は、1つまたは複数のプロセッサ1210と、メモリ1220とを含み得る。プロセッサ1210は、本明細書に開示する動作および方法を実行するための命令を実行するように構成され得、たとえば、携帯型電子デバイス内での実装に適した汎用プロセッサまたはマイクロプロセッサであり得る。プロセッサ1210は、電子システム1200内の複数の構成要素に通信可能に結合され得る。この通信結合を実装するために、プロセッサ1210は、他の図示された構成要素とバス1240を介して通信し得る。バス1240は、電子システム1200内でデータを転送するように適合された任意のサブシステムであり得る。バス1240は、データを転送するための複数のコンピュータバスおよび追加の回路を含み得る。
【0097】
メモリ1220は、プロセッサ1210に動作可能に結合され得る。いくつかの実施形態において、メモリ1220は、短期および/または長期の記憶用に構成され得、いくつかのユニットに分割され得る。メモリ1220は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)および/もしくはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性、ならびに/または読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどの非揮発性であり得る。さらに、メモリ1220は、セキュアデジタル(SD)カードなどのリムーバブルストレージデバイスを含み得る。メモリ1220は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの記憶を、電子システム1200に提供し得る。いくつかの実施形態において、メモリ1220は、異なるハードウェアモジュールに分散され得る。命令および/またはコードのセットは、メモリ1220に記憶され得る。命令は、電子システム1200によって実行可能であり得る実行可能コードの形式をとることがあり、かつ/または、ソースコードおよび/もしくはインストール可能コードの形式をとることがあり、ソースコードおよび/もしくはインストール可能コードは、(たとえば、様々な一般的に利用可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどのいずれかを使用した)電子システム1200上でのコンパイル時および/またはインストール時に、実行可能コードの形式をとる場合がある。
【0098】
いくつかの実施形態において、メモリ1220は、任意の数のアプリケーションを含み得る複数のアプリケーションモジュール1222から1224を記憶し得る。アプリケーションの例には、ゲームアプリケーション、プレゼンテーションもしくは会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の適切なアプリケーションが含まれ得る。アプリケーションは、深度感知機能および/または眼追跡機能を含み得る。アプリケーションモジュール1222から1224は、プロセッサ1210によって実行される特定の命令を含み得る。いくつかの実施形態において、特定のアプリケーションまたはアプリケーションモジュール1222から1224の一部は、他のハードウェアモジュール1280によって実行可能であり得る。特定の実施形態において、メモリ1220には、セキュアな情報へのコピーまたは他の無許可のアクセスを防止するための追加のセキュリティ制御を含み得る、セキュアなメモリがさらに含まれ得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、メモリ1220は、ロードされたオペレーティングシステム1225を含み得る。オペレーティングシステム1225は、アプリケーションモジュール1222から1224によって提供される命令の実行を開始するように、かつ/または他のハードウェアモジュール1280を管理するように動作可能であり得るとともに、1つまたは複数のワイヤレストランシーバを含み得るワイヤレス通信サブシステム1230とインターフェースする。オペレーティングシステム1225は、スレッディング、リソース管理、データストレージ制御、および他の同様の機能性を含む他の動作を、電子システム1200の構成要素間で実行するように適合され得る。
【0100】
ワイヤレス通信サブシステム1230は、たとえば、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイス、および/もしくはチップセット(たとえば、Bluetooth(登録商標)デバイス、IEEE802.11デバイス、Wi-Fiデバイス、WiMaxデバイス、セルラ通信設備など)、ならびに/または同様の通信インターフェースを含み得る。電子システム1200は、ワイヤレス通信サブシステム1230の一部として、または電子システム1200の任意の部分に結合された別個の構成要素として、ワイヤレス通信用の1つまたは複数のアンテナ1234を含み得る。所望の機能性に応じて、ワイヤレス通信サブシステム1230は、ベーストランシーバ基地局ならびに他のワイヤレスデバイスおよびアクセスポイントと通信するための別個のトランシーバを含み得、この通信は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク、(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、またはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)などの異なるデータネットワークおよび/またはネットワークタイプと通信することを含み得る。WWANは、たとえばWiMax(IEEE802.16)ネットワークであり得る。WLANは、たとえばIEEE802.11xネットワークであり得る。WPANは、たとえば、Bluetoothネットワーク、IEEE802.15x、または何らかの他のタイプのネットワークであり得る。本明細書に記載の手法は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せにも使用され得る。ワイヤレス通信サブシステム1230は、ネットワーク、他のコンピュータシステム、および/または本明細書に記載の任意の他のデバイスとデータを交換することを可能にし得る。ワイヤレス通信サブシステム1230は、アンテナ1234およびワイヤレスリンク1232を使用して、HMDデバイスの識別子、位置データ、地理的地図、ヒートマップ、写真、またはビデオなどのデータを送信または受信するための手段を含み得る。ワイヤレス通信サブシステム1230、プロセッサ1210、およびメモリ1220はともに、本明細書に開示するいくつかの機能を実行するための手段のうちの1つまたは複数の少なくとも一部を備え得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、電子システム1200は、1つまたは複数のセンサ1290を含む。センサ1290には、たとえば、画像センサ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、近接センサ、磁力計、ジャイロスコープ、慣性センサ(たとえば、加速度計とジャイロスコープとを組み合わせたモジュール)、周囲光センサ、または深度センサもしくは位置センサなど、感知出力を提供する、かつ/または感知入力を受信するように動作可能な任意の他の同様のモジュールが含まれ得る。たとえば、いくつかの実装形態において、センサ1290は、1つまたは複数の慣性測定ユニット(IMU)および/または1つまたは複数の位置センサを含み得る。IMUは、位置センサのうちの1つまたは複数から受信した測定信号に基づいて、HMDデバイスの初期位置に対するHMDデバイスの推定位置を示す較正データを生成し得る。位置センサは、HMDデバイスの動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成し得る。位置センサの例には、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、動きを検出する別の適切なタイプのセンサ、IMUの誤差補正に使用されるタイプのセンサ、またはそれらの何らかの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。位置センサは、IMUの外部、IMUの内部、またはそれらの何らかの組合せに配置され得る。少なくとも一部のセンサは、感知のために構造化光パターンを使用し得る。
【0102】
電子システム1200は、ディスプレイモジュール1260をさらに含み得る。ディスプレイモジュール1260は、ニアアイディスプレイであり得、画像、映像、および様々な命令などの情報を、電子システム1200からユーザにグラフィカルに提示し得る。このような情報は、1つまたは複数のアプリケーションモジュール1222から1224、仮想現実エンジン1226、1つまたは複数の他のハードウェアモジュール1280、それらの組合せ、またはユーザのグラフィックコンテンツを解像するための任意の他の適切な手段のうちの1つまたは複数から(たとえば、オペレーティングシステム1225によって)導出され得る。ディスプレイモジュール1260は、たとえば、上記のような2段走査プロジェクタを使用する走査ディスプレイ技術を含み得る。
【0103】
電子システム1200は、ユーザが電子システム1200にアクション要求を送信することを可能にするユーザ入力/出力モジュール1270をさらに含み得る。アクション要求は、特定のアクションを実行するための要求であり得る。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始もしくは終了するため、またはアプリケーション内で特定のアクションを実行するためのものであり得る。ユーザ入力/出力モジュール1270は、1つまたは複数の入力デバイスを含み得る。入力デバイスの例には、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロフォン、ボタン、ダイヤル、スイッチ、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、またはアクション要求を受信し、受信したアクション要求を電子システム1200に通信するための任意の他の適切なデバイスが含まれ得る。いくつかの実施形態において、ユーザ入力/出力モジュール1270は、電子システム1200から受信した命令に従って、触覚的フィードバックをユーザに提供し得る。たとえば、触覚的フィードバックは、アクション要求が受信されたとき、または実行されたときに提供され得る。
【0104】
電子システム1200は、たとえば、ユーザの眼の位置を追跡するために、ユーザの写真または映像を撮影するために使用され得るカメラ1250を含み得る。カメラ1250は、たとえば、VR、AR、またはMRアプリケーションのために、環境の写真または映像を撮影するためにも使用され得る。カメラ1250は、たとえば、数百万または数千万画素の相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)画像センサ、たとえば、シリコンセンサを含み得る。いくつかの実装形態において、カメラ1250は、3D画像を捕捉するために使用され得る2つ以上のカメラを含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、電子システム1200は、複数の他のハードウェアモジュール1280を含み得る。他のハードウェアモジュール1280のそれぞれは、電子システム1200内の物理モジュールであり得る。他のハードウェアモジュール1280のそれぞれは、構造として恒久的に構成され得るが、他のハードウェアモジュール128のいくつかは、特定の機能を実行するように一時的に構成され得るか、または一時的に有効化され得る。他のハードウェアモジュール1280の例には、たとえば、オーディオ出力および/または入力モジュール(たとえば、マイクロフォンまたはスピーカ)、近距離無線通信(NFC:near field communication)モジュール、充電式バッテリ、バッテリ管理システム、有線/無線バッテリ充電システムなどが含まれ得る。いくつかの実施形態において、他のハードウェアモジュール1280の1つまたは複数の機能は、ソフトウェア内で実装され得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、電子システム1200のメモリ1220はまた、仮想現実エンジン1226を記憶し得る。仮想現実エンジン1226は、電子システム1200内のアプリケーションの実行可能コードを含み得る。仮想現実エンジン1226は、HMDデバイスの位置情報、加速度情報、速度情報、予測される将来の位置、またはそれらの何らかの組合せを様々なセンサから受信し得る。いくつかの実施形態において、仮想現実エンジン1226によって受信された情報は、ディスプレイモジュール1260への信号を生成するために使用され得る。たとえば、受信した情報が、ユーザが左を向いたことを示す場合、仮想現実エンジン1226は、仮想環境内でユーザの動きを反映するウェアラブルディスプレイデバイス用コンテンツを生成し得る。さらに、仮想現実エンジン1226は、ユーザ入力/出力モジュール1270から受信したアクション要求に応答して、アプリケーション内でアクションを実行し、ユーザにフィードバックを提供し得る。提供されるフィードバックは、視覚的、聴覚的、または触覚的フィードバックであり得る。いくつかの実装形態において、プロセッサ1210は、仮想現実エンジン1226を実行し得る1つまたは複数のGPUを含み得る。
【0107】
上記のハードウェアおよびモジュールは、有線接続または無線接続を使用して相互に通信できる単一のデバイス上または複数のデバイス上に実装され得る。たとえば、いくつかの実装形態において、GPU、仮想現実エンジン1226などのいくつかの構成要素またはモジュール、ならびに、たとえばヘッドセット較正アプリケーションおよび/または眼追跡アプリケーションなどのアプリケーションが、ヘッドマウントディスプレイデバイスとは別のコンソール上に実装され得る。いくつかの実装形態において、1つのコンソールが、2つ以上のウェアラブルディスプレイデバイスに接続されるか、または2つ以上のウェアラブルディスプレイデバイスをサポートし得る。
【0108】
いくつかの実装形態において、異なる構成要素および/または追加の構成要素が電子システム1200に含まれ得る。同様に、1つまたは複数の構成要素の機能性は、上記の方法とは異なる方法で構成要素間で分散され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、電子システム1200は、ARシステム環境および/またはMR環境などの他のシステム環境を含むように変更され得る。
【0109】
本明細書に開示する態様に関連して記載されている様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアは、本明細書に記載の機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組合せを用いて、実装または実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成として実装され得る。代替として、いくつかのステップまたは方法は、所与の機能に固有の回路によって実行され得る。
【0110】
本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、前述の説明および添付の図面から、本明細書に記載したものに加えて他の様々な実施形態および修正形態が当業者には明らかであろう。たとえば、第1の走査段および第2の走査段のうちの少なくとも一方において、走査反射器および凹面反射器からの入力光ビームの反射の順序が変更される実施形態が想定され得る。さらに、いくつかの実施形態において、走査反射器の一方または両方は、光パワーを有するように構成され得、たとえば、瞳中継を容易にし得る凹面鏡を含み得る。したがって、このような他の実施形態および修正形態は、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本開示は、本明細書において特定の目的のための特定の環境内での特定の実装形態の文脈で記載されているが、当業者には、本開示の有用性がその文脈に限定されないこと、および本開示が任意の数の目的のために任意の数の環境内で有利に実装され得ることが認識されよう。したがって、以下に記載する特許請求の範囲は、本明細書に記載されている本開示のすべての範囲および趣旨を考慮して解釈されるべきである。
【国際調査報告】