(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】多段ターボ過給組立体
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20221205BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20221205BHJP
F02B 37/013 20060101ALI20221205BHJP
F02B 37/18 20060101ALI20221205BHJP
F02B 37/16 20060101ALI20221205BHJP
F02B 39/16 20060101ALI20221205BHJP
F02C 7/16 20060101ALI20221205BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20221205BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20221205BHJP
F01D 9/00 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
F02B39/00 C
F02B37/00 500B
F02B37/013
F02B39/00 B
F02B39/00 T
F02B39/00 U
F02B37/18 A
F02B37/16
F02B39/16 D
F02B39/16 C
F02B39/16 G
F02C7/16 Z
F02C7/00 E
F01D25/24 E
F01D25/24 K
F01D9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022511347
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019072093
(87)【国際公開番号】W WO2021032273
(87)【国際公開日】2021-02-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】マセイ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ストレベル アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3G005
3G202
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005EA23
3G005EA25
3G005FA41
3G005FA51
3G005GB32
3G005GB82
3G005GB92
3G202GA01
3G202GB01
(57)【要約】
多段ターボ過給組立体(100)が記載される。多段ターボ過給組立体(100)は、高圧圧縮機(114)に連結された高圧タービン(113)を含む高圧段(110)を含む。さらに、多段ターボ過給組立体(100)は、低圧圧縮機(124)に連結された低圧タービン(123)を含む低圧段(120)を含む。さらに、多段ターボ過給組立体(100)は、高圧段(110)及び低圧段(120)を取り囲むケーシング(130)を含み、ケーシング(130)は単一ユニットである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-高圧圧縮機(114)に連結された高圧タービン(113)を含む高圧段(110)と、
-低圧圧縮機(124)に連結された低圧タービン(123)を含む低圧段(120)と、
-前記高圧段(110)及び前記低圧段(120)を取り囲むケーシング(130)と、
を備え、
前記ケーシング(130)が単一ユニットであることを特徴とする、多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項2】
前記ケーシング(130)は、前記高圧タービン(113)の高圧タービン出口(112)と前記低圧タービン(123)の低圧タービン入口(121)との間に、通路(133)、特に流れが最適化された通路を備える、
請求項1に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項3】
前記ケーシング(130)は、エンジン(170)からの排気ガスを前記ケーシング(130)の内部の前記高圧タービン(113)に向かって供給するために、排気ガス入口(131)に連結するための第4フランジ(144)を備え、詳細には、前記排気ガス入口(131)は、高圧タービン入口(111)である、
請求項1又は2に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項4】
前記ケーシング(130)は、前記低圧タービン(123)からの排気ガスを前記ケーシング(130)の外側に供給するために、排気ガス出口(132)に連結するための第3フランジ(143)を備え、詳細には、前記排気ガス出口(132)は、低圧タービン出口(122)である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項5】
前記ケーシング(130)は、内側ケーシング(134)及び外側ケーシング(135)を備え、前記内側ケーシング(134)と前記外側ケーシング(135)との間には中間空間(136)が設けられており、前記中間空間(136)は、冷却剤を供給するように構成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項6】
前記ケーシング(130)は、前記中間空間(136)に冷却剤を供給するための冷却剤入口(137)と、前記中間空間(136)から冷却剤を除去するための冷却剤出口(138)とを備える、
請求項5に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項7】
前記中間空間(136)は、前記高圧段(110)及び前記低圧段(120)の周りに設けられた連続した空間である、
請求項5又は6に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項8】
前記ケーシング130は、一体成形構造、特に鋳造材料の統合された一体成形構造である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項9】
前記高圧段(110)は、前記低圧段(120)の下方に配置されている、又はその逆である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項10】
前記高圧段(110)は、前記多段ステージターボ過給組立体の動作中に、前記低圧段(110)の回転方向と比較して、逆の又は同じ回転方向を有するように構成されている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項11】
前記ケーシング(130)は、消音器、入口ケーシング、又は入口管を低圧圧縮機入口(125)に連結するための第1のフランジ(141)を備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項12】
前記ケーシング(130)は、入口ケーシング又は入口管、詳細には屈曲入口ケーシング又は屈曲入口管(145)を前記ケーシング(130)の高圧圧縮機入口(115)に連結するための第2のフランジ(142)を備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項13】
前記ケーシング(130)は、出口ケーシング又は出口管、詳細には屈曲出口ケーシング又は屈曲出口管(146)を低圧タービン出口(122)に連結するための第3のフランジ(143)を備える、
請求項1から12のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項14】
前記ケーシング(130)は、詳細にはインタークーラ(150)に低圧空気を供給するための低圧圧縮機出口(126)を備える、
請求項1から13のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項15】
前記ケーシング(130)は、詳細には給気冷却器(160)に高圧空気を供給するための高圧圧縮機出口(116)を備える、
請求項1から14のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項16】
前記ケーシング(130)は、給気圧力を制限するための装置を提供するための空気ウエストゲート(181、182、183、184)を備える、
請求項1から15のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項17】
前記ケーシング(130)は、給気圧力を制限するための装置を提供するための排気ガスウエストゲート(185、186、187、188)を備える、
請求項1から16のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項18】
前記ケーシング(130)は、圧縮機マップの動作点を変更するための装置を提供するためのバイパスシステム(191、192、193、194)を備える、
請求項1から17のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項19】
前記ケーシング(130)は、封じ込め安全性を保証する要素を含む、
請求項1から18のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項20】
前記ケーシング(130)は、空気及び/又は排気ガスと接触する表面を有し、前記表面は、前記ケーシングが少なくとも2つの異なる材料で構成されるような方法で処理又は設計される、
請求項1から19のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項21】
排気タービン組立体、好ましくは多段ターボ過給組立体(100)の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを取り外す方法であって、前記排気タービン組立体は、ケーシング(130)を有し、前記第1及び第2のロータブロックの各々は、それらの軸が平行に配置されかつ軸方向を規定するように、前記ケーシング(130)内に配置されており、前記方法は
-前記第1及び第2のロータブロックを剛性締結部材に取り付けるステップと
-前記第1及び第2のロータブロックが剛性締結部材に取り付けられる間に、前記第1及び第2のロータブロックを、軸方向に沿って前記ハウジングから同時に少なくとも部分的に取り外すステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記第1及び第2のロータブロックを前記剛性締結部材に取り付けるステップは、
-前記剛性締結部材を、排気タービン組立体、好ましくは多段ターボ過給組立体(100)の少なくとも前記第1のロータブロック及び第2のロータブロックと一緒に、持ち上げ装置に取り付けるステップと、
-前記剛体締結部材を、前記第1及び第2のロータブロックと一緒に剛体締結ブラケットに取り付けるステップと、
-前記剛性締結ブラケットを前記持ち上げ装置に取り付けるステップと、
を含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記排気タービン組立体は、請求項1から20のいずれかに記載の多段ターボ過給組立体(100)であり、前記第1のロータブロックは前記高圧段(110)であり、前記第2のロータブロックは前記低圧段(120)である、
請求項21又は22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、多段ターボ過給組立体に関する。具体的には、本開示の実施形態は、1又は2以上の高圧段及び1又は2以上の低圧段を有する特に軸流用に構成された多段ターボ過給組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
多段ターボ過給機は、互いに及びエンジンの給気経路に(例えば、インタークーラ及び給気冷却器を介して)相互接続された別個のユニットのターボ過給機組立体で構成されている。各タービンハウジングは、最初にエンジンの排気を高圧タービンの入口に導き、次に高圧タービンの出口を介して低圧タービンの入口に導き、最後に排気マニホールドを使って出口経路を介して環境に排出するといった、高温ガスの流れを可能にする排気配管で接続される。このタイプの構造は、エンジン設備上の大きな組立品の占有面積(組立品の設置に必要なスペース)を必要とするだけでなく、配管の振動を低減して故障モードを防止するのを目的としている複数の配管接続部、ベローズ、支持部、連結部、断熱材および構造強化ブラケットを必要とする。さらに、このような構成は、構成要素の組み立て、部品表(bill of materials)、メンテナンスなどの点でかなり複雑である。スペースが重要視される搭載型エンジン組立体では、多段ターボ過給機の全占有面積を低減する努力がなされている。また、タービンケーシング及びそれらに関連する接続配管は一般的に高温となるため、かさばる熱シールド及び断熱材を使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、上記の観点から、現状の技術の問題点を少なくとも部分的に解決する、改良された多段ターボ過給組立体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み、独立請求項1に記載の多段ターボ過給組立体が提供される。さらに、請求項21による排気タービン組立体の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを取り外す方法が提供される。さらなる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、明細書、及び添付図面から明らかになる。
【0005】
本開示の一態様によれば、多段ターボ過給組立体が提供される。多段ターボ過給組立体は、高圧段、詳細には高圧圧縮機に連結された高圧タービンを含む少なくとも1つの高圧段を含む。加えて、多段ターボ過給組立体は、低圧段、詳細には低圧圧縮機に連結された低圧タービンを備えた少なくとも1つの低圧段を含む。さらに、多段ターボ過給組立体は、高圧段、詳細には少なくとも1つの高圧段と、低圧段、詳細には少なくとも1つの低圧段とを取り囲むケーシングを備えている。ケーシングは、単一ユニットである。
【0006】
従って、従来技術と比較して、改良された多段ターボ過給組立体が提供される。詳細には、本開示の実施形態は、有利には、異なる段のハウジングを単一ユニットに統合することによって、エンジンの専有面積の低減を可能にする。さらなる利点は、部品の数を減らすことにより、すなわち、異なるタービン段の間の相互接続を取り除くことにより、組立コストを低減できることである。さらに、本明細書に記載されるような多段ターボ過給組立体の実施形態は、有利には、異なる段のタービンを接続する排気配管を取り除くことができるように構成されている。従って、ガスフロー性能及び効率を改善することができる。さらに、多段ターボ過給組立体のケーシングを単一ユニットとして提供することは、例えば、冷却剤ジャケットを提供するための中間空間を備える二重壁ケーシングを提供することによって、連続的な冷却システムをケーシングに組み込む可能性をもたらす。従って、従来技術と比較して、本開示の実施形態は、多段ターボ過給組立体の動作中にケーシングからの熱を遮蔽するための追加の熱シールドを低減又は排除することもできる。さらに、本明細書に記載された実施形態は、エンジン給気冷却器ユニットへの給気ダクトの簡素化をもたらす。さらなる利点は、複数の構成を有するエンジンプラットフォームの要件を満たすことができるような、モジュール化の可能性である。加えて、本開示の実施形態は、有利には、クリアランスの制御、並びに、高圧段と低圧段との間、特に高圧タービンと低圧タービンとの間、及び/又は高圧圧縮機と低圧圧縮機との間の流れの制御を可能にする。
【0007】
本開示のさらなる態様によれば、排気タービン組立体の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを取り外す方法が提供される。排気タービン組立体は、ケーシングを有し、第1のロータブロック及び第2のロータブロックの各々は、それらの軸が平行に配置され、軸方向を規定するようにケーシング内に配置される。ケーシングは、単一のユニットである。この方法は、第1及び第2のロータブロックを(剛性のある)締結部材に取り付けるステップと、第1及び第2のロータブロックが締結部材に取り付けられている間に、第1及び第2のロータブロックを軸方向に沿ってハウジングから同時に少なくとも部分的に取り外す(例えば、引き出す)ステップとを含む。詳細には、排気タービン組立体の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを取り外すステップは、組み立て又は分解ステップとして理解することができる。
【0008】
従って、第1及び第2のロータブロックを同時に少なくとも部分的にハウジングから取り外すことを可能にすることによって、第1及び第2のロータブロックの制御された、さらに迅速な取り外し(又は部分的な取り外し)が可能になる。
【0009】
本発明の上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で概略的に要約した本発明の実施形態に関するより詳細な説明は、実施形態によって参照することができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関するものであり、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に記載されている実施形態による多段ターボ過給組立体の概略図である。
【
図2】本明細書に記載されている実施形態による多段ターボ過給組立体の概略側面図である。
【
図3A】本明細書に記載されている実施形態による多段ターボ過給組立体の空気入口側からの概略正面図である。
【
図3B】本明細書に記載されている実施形態による多段ターボ過給組立体の空気入口側からの概略正面図である。
【
図4】本明細書に記載されている実施形態による多段ターボ過給組立体の排気ガス入口側/出口側からの概略正面図である。
【
図5】本明細書に記載されている実施形態による空気ウエストゲートを有する多段ターボ過給組立体の概略図である。
【
図6】本明細書に記載されている実施形態による排気ガスウエストゲートを有する多段ターボ過給組立体の概略図である。
【
図7】本明細書に記載されている実施形態によるバイパスシステムを有する多段ターボ過給組立体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図に1又は2以上の例が示されている、様々な実施形態について詳細に参照する。各例は、説明のために提示されており、制限を意味するものではない。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために、何らかの他の実施形態上で又はそれと組み合わせて使用することができる。本開示は、そのような変更及び変形を含むことが意図されている。
【0012】
以下の図面の説明の中で、同じ参照番号は、同じ又は類似の構成要素を示す。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。特に明記しない限り、1つの実施形態における要素又は様態の説明は、他の実施形態における対応する要素又は様態にも適用することができる。
【0013】
図1を例示的に参照して、本開示による多段ターボ過給組立体100を説明する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段ターボ過給組立体100は、高圧圧縮機114に連結された、特に機械的に連結された高圧タービン113を含む高圧段110を備える。加えて、多段ターボ過給組立体100は、低圧圧縮機124に連結された、特に機械的に連結された低圧タービン123を含む低圧段120を備える。さらに、多段ターボ過給組立体100は、高圧段110及び低圧段120を取り囲むケーシング130を含む。ケーシング130は、単一ユニットである。特に、ケーシング130は、高圧段110及び低圧段120のハウジングを一体化する。換言すると、ケーシング130は、統合された単一ユニットとすることができる。
【0014】
多段ターボ過給組立体100は、本明細書で説明したように、1又は2以上の高圧段110及び/又は1又は2以上の低圧段120を含み得ることを理解されたい。従って、本明細書に記載のケーシング130は、1又は2以上の高圧段110及び1又は2以上の低圧段120を取り囲むことができる。
【0015】
従って、従来技術と比較して改良された多段ターボ過給組立体が提供される。具体的には、本開示の実施形態は、有利には、異なる段のハウジングを単一ユニットに統合することによって、エンジンの占有面積を低減することを可能にする。さらなる利点は、部品の数を低減することによって、すなわち、異なるタービン段の間の相互接続を取り除くことによって、組立コストを低減できることである。さらに、多段ターボ過給組立体は、有利には、1又は2以上の高圧段及び1又は2以上の低圧段を接続する排気配管を取り除くことができるように構成される。従って、ガスフロー性能及び効率を向上させることができる。
【0016】
さらに、多段ターボ過給組立体のケーシングを単一ユニットとして提供することは、例えば、本明細書に記載されているように、冷却剤ジャケットを提供するための中間空間を備えた二重壁のケーシングを提供することによって、ケーシングに連続的な冷却システムを組み込む可能性を提供する。従って、従来技術と比較して、本開示の実施形態では、多段ターボ過給組立体の動作中にケーシングからの熱を遮蔽するための追加の熱シールドを低減すること又は排除することさえできる。
【0017】
加えて、本開示の多段ターボ過給組立体の実施形態は、エンジン給気冷却器ユニットへの給気ダクトの簡素化を可能にする。さらなる利点は、複数の構成を有するエンジンプラットフォームの要件を満たすことができるような、モジュール化の可能性である。さらに、本開示の実施形態は、有利には、クリアランスの制御、並びに、高圧段と低圧段との間、特に高圧タービンと低圧タービンとの間、及び/又は高圧圧縮機と低圧圧縮機との間の流れの制御を提供する。
【0018】
図1を例示的に参照すると、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、高圧タービン113の高圧タービン出口112と低圧タービン123の低圧タービン入口121との間に通路133を含む。具体的には、通路133は、流れが最適化された通路であり、すなわち、高圧タービン113の高圧タービン出口112から低圧タービン123の低圧タービン入口121への流れに関して最適化されている。従って、有利には、ガスフロー性能及び効率を改善できるように、異なる段を接続する排気配管を取り除くことができる。
【0019】
本明細書に記載されるように、低圧タービン123は、逆流型軸流低圧タービンとすることができる。典型的には、低圧タービン123は、タービンケーシング内で高圧段後の排気ガスを集め、この排気ガスを、例えば内部に取り付けられたノズルリングを用いてケーシングを介して内部に導くことができる。
【0020】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、エンジン170からの排気ガスをケーシング130内の高圧タービン113に向かって供給するための排気ガス入口131を含む。具体的には、排気ガス入口131は、
図1及び
図2に例示的に示すように、高圧タービン入口111である。
【0021】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、
図1及び
図2に例示的に示すように、低圧タービン123からの排気ガスをケーシング130の外部に供給するための排気ガス出口132を含む。具体的には、排気ガス出口132は、低圧タービン出口122である。
【0022】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、内側ケーシング134と外側ケーシング135とを含む。内側ケーシング134と外側ケーシング135との間には、中間空間136が設けられている。中間空間136は、冷却剤を供給するように構成されている。例えば、冷却剤は、水又は何らかの他の適切な冷却剤とすることができる。具体的には、中間空間136は、高圧段110及び低圧段120の周りに設けられた連続した空間とすることができる。
【0023】
典型的には、内側ケーシング134は、統合された単一ユニットである。従って、外側ケーシング135は、統合された単一ユニットとすることができる。ケーシング130に関して本明細書に記載される特徴は、内側ケーシング134及び/又は外側ケーシング135にも適用できることを理解されたい。
【0024】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、中間空間136に冷却剤を供給するための冷却剤入口137を含む。加えて、ケーシング130は、中間空間136から冷却剤を取り出すための冷却剤出口138を含む。従って、ケーシングは、統合された冷却空間と、冷却剤を供給するための1又は2以上の統合された冷却経路とを含むことができることを理解されたい。
【0025】
従って、本開示の実施形態は、有利には、内部冷却剤ジャケットをケーシングに組み込むことによって、高温ケーシングから熱シールドを排除及び低減することを可能にすることを理解されたい。従って、有利には、圧縮機、タービン、及び軸受ハウジングを積極的に冷却することができる。
【0026】
従って、ケーシング、特にタービンケーシングは、有利には、タービンを接続する内部ガス通路の主要な高温臨界領域の周りで冷却することができることを理解されたい。これにより、外壁ケーシングのスキン温度を低下させ、外部断熱材を低減することができる。冷却剤は、別の冷却システムから供給すること又はこの組立体が装着されたエンジンのインタークーラから直接供給することができる。従って、有利には、ケーシングは冷却のための追加の配管を必要としない。
【0027】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、一体成形構造、特に鋳造材料の統合された一体成形構造である。例えば、鋳造材料は、アルミニウム合金とすることができる。さらに、ケーシングは、鋼鋳物、ねずみ鋳鉄、又は他の適切な鋳造材料などの他の材料で作ることができることを理解されたい。一例では、本明細書に記載のケーシングは、高圧段及び低圧段の両方を収容するための単一の鋳造ケーシング、特にALFINケーシングである。
【0028】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、高圧段の回転軸と低圧段の回転軸とは互いに平行であり、軸方向を規定する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、高圧段110は、低圧段120の下方に配置される。もしくは、低圧段120が、高圧段110の下方に配置される。これに関連して、高圧段の回転軸と低圧段の回転軸は、同じ垂直面にあること又は異なる垂直面にあることが可能であることを理解されたい。換言すると、高圧段の回転軸及び低圧段の回転軸は、互いに対して横方向に変位することができる。具体的には、高圧段110の回転軸は、多段ターボ過給組立体100の上から見たときに、低圧段12の回転軸に対して横方向に変位することができ、その逆もまた同様である。
【0029】
圧縮機側では、低圧圧縮機及び高圧圧縮機の配置は、低圧タービン及び高圧タービンの配置に関連することを理解されたい。換言すると、圧縮機側では、低段圧縮機を高段圧縮機の上方に取り付けることで(タービンの配置に関連して)、より広い空気通路をケーシングに組み込むことができる。
【0030】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、高圧段110は、多段ターボ過給組立体の動作中に、低圧段120の回転方向と比較して逆の回転方向を有するように構成される。もしくは、高圧段110は、多段ターボ過給組立体の動作中に、低圧段120と同じ回転方向を有するように構成することができる。
【0031】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、消音器127、入口ケーシング、又は入口管を低圧圧縮機入口125に連結するための第1のフランジ141を含む。
【0032】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、入口ケーシング又は入口管、特に屈曲入口ケーシング又は屈曲入口管145をケーシング130の高圧圧縮機入口115に連結するための第2のフランジ142を含む。
【0033】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、出口ケーシング又は出口管、特に屈曲出口ケーシング又は屈曲出口管146を低圧タービン出口122に連結するための第3のフランジ143を含む。
【0034】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、高圧タービン入口111に、入口ケーシング又は入口管146を連結するための第4のフランジ144を含む。
【0035】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、低圧圧縮機出口126を含む。具体的には、低圧圧縮機出口126は、低圧空気をインタークーラ150に供給するように構成されている。
【0036】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、高圧圧縮機出口116を含む。具体的には、高圧圧縮機出口116は、高圧空気を給気冷却器160に供給するように構成されている。
【0037】
図5を例示的に参照して、空気ウエストゲートを有する多段ターボ過給組立体を説明する。具体的には、
図5は、可能性のある空気ウエストゲートの構成を示す概略図である。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段ターボ過給組立体のケーシングは、給気圧力を制限するための装置を提供するための空気ウエストゲートを含むことができる。具体的には、多段ターボ過給組立体のケーシングは、低圧空気ウエストゲート181、高圧空気ウエストゲート182、多段空気ウエストゲート183、及び可変空気ウエストゲート184からなる群から選択される少なくとも1つの空気ウエストゲートを含むことができる。
【0038】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、低圧空気ウエストゲート181は、
図5に例示的に示すように、低圧圧縮機出口126から低圧圧縮機入口125への空気のための流路を提供する。
【0039】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、高圧空気ウエストゲート182は、
図5に例示的に示すように、高圧圧縮機出口116から高圧圧縮機入口115への空気のための流路を提供する。
【0040】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段空気ウエストゲート183は、
図5に例示的に示すように、高圧圧縮機出口116から低圧圧縮機入口125への空気のための流路を提供する。
【0041】
本明細書に記載されている他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、可変空気ウエストゲート184は、
図5に例示的に示すように、高圧圧縮機出口116から低圧圧縮機入口125及び/又は低圧圧縮機出口126への、又は低圧圧縮機出口126から低圧圧縮機入口125への空気のための流路を提供する。具体的には、可変エアウエストゲート184は、高圧圧縮機出口116から低圧圧縮機入口125及び/又は低圧圧縮機出口126への、又は低圧圧縮機出口126から低圧圧縮機入口125への空気の流路を選択できるように制御可能に構成することができる。
【0042】
図6を例示的に参照して、排気ガスウエストゲートを有する多段ターボ過給組立体を説明する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段ターボ過給組立体のケーシングは、給気圧力を制限するための装置を提供するための排気ガスウエストゲートを含む。具体的には、多段ターボ過給組立体のケーシングは、低圧排気ガスウエストゲート185、高圧排気ガスウエストゲート186、多段排気ガスウエストゲート187、及び可変排気ガスウエストゲート188からなる群から選択される少なくとも1つの排気ガスウエストゲートを含むことができる。
【0043】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、低圧排気ガスウエストゲート185は、低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112から低圧タービン出口122又は排気ガス出口132への排気ガスのための流路を提供する。具体的には、低圧排気ガスウエストゲート185は、
図6に例示的に示すように、高圧タービン113と低圧タービン123との間の通路133に接続することができる。
【0044】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、高圧排気ガスウエストゲート186は、高圧タービン入口111の前のエンジン170から高圧タービン出口112又は低圧タービン入口121への排気ガスのための流路を提供する。具体的には、高圧排気ガスウエストゲート186は、
図6に例示的に示すように、高圧タービン113と低圧タービン123との間の通路133に接続することができる。
【0045】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段排気ガスウエストゲート187は、
図6に例示的に示すように、高圧タービン入口111の前のエンジン170から低圧タービン出口122又は排気ガス出口132への排気ガスのための流路を提供する。
【0046】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、可変排気ガスウエストゲート188は、高圧タービン入口111の前のエンジン170から高圧タービン出口112(又は低圧タービン入口121)及び/又は低圧タービン出口122(又は排気ガス出口132)への、又は高圧タービン出口112(又は低圧タービン入口121)から低圧タービン出口122(又は排気ガス出口132)への排気ガスのための流路を提供する。具体的には、可変排気ガスウエストゲート188は、高圧タービン113と低圧タービン123との間の通路133に接続することができる。さらに、可変排気ガスウエストゲート188は、高圧タービン入口111の前のエンジン170から高圧タービン出口112(又は低圧タービン入口121)及び/又は低圧タービン出口122(又は排気ガス出口132)への、又は高圧タービン出口112(又は低圧タービン入口121)から低圧タービン出口122(又は排気ガス出口132)への排気ガスのための流路を選択できるように制御可能に構成することができる。
【0047】
図7を例示的に参照して、バイパスシステムを有する多段ターボ過給組立体を説明する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、多段ターボ過給組立体のケーシングは、圧縮機マップの動作点を変更する装置を提供するためのバイパスシステムを含む。具体的には、多段ターボ過給組立体のケーシングは、第1のバイパス191、第2のバイパス192、第3のバイパス193及び第4のバイパス194からなる群から選択される少なくとも1つのバイパスを含むことができる。
【0048】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1のバイパス191は、
図7に例示的に示すように、高圧圧縮機出口116から高圧タービン入口111への空気のための流路を提供する。
【0049】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第2のバイパス192は、高圧圧縮機出口116から低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112への空気のための流路を提供する。具体的には、第2のバイパス192は、
図7に例示的に示されるように、高圧タービン113と低圧タービン123との間の通路133に接続することができる。
【0050】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第3のバイパス193は、低圧圧縮機出口126から低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112への空気の流路を提供する。具体的には、第3のバイパス193は、
図7に例示的に示すように、高圧タービン113と低圧タービン123との間の通路133に接続することができる。
【0051】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第4のバイパス194は、高圧圧縮機出口116から高圧タービン入口111及び/又は低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112への、又は低圧圧縮機出口126から低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112への流路を提供する可変バイパスである。具体的には、第4のバイパス194は、低圧タービン入口121の前の高圧圧縮機出口116から高圧タービン入口111及び/又は高圧タービン出口112への流路、又は低圧圧縮機出口126から低圧タービン入口121の前の高圧タービン出口112への流路を選択できるように制御可能に構成することができる。
【0052】
明示的に図示されていないが、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、封じ込め安全性を保証する要素を含むことができることを理解されたい。具体的には、封じ込めの安全性は、鋳造物の内部に異なる材料を挿入することで保証することができる。もしくは、冷却経路の中に詰め物(inlays)を設けることで封じ込め安全性を保証することができる。
【0053】
さらに、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、ケーシング130は、典型的には、空気及び/又は排気ガスと接触する表面を含むことを理解されたい。この表面は、典型的には、ケーシングが少なくとも2つの異なる材料から作られるような方法で処理又は設計される。具体的には、このような表面処理は、陽極酸化処理、クロムメッキ、ニカシル塗布などのうちの少なくとも1つを施工することによって行うことができる。異なる材料の組み合わせは、例えば、複合鋳造プロセス(例えばALFINプロセス)を用いて、外部構造材料に直接連結された鋳造経路構造によって提供することができる。
【0054】
本開示の実施形態を考慮すると、ハウジングの統合がいくつかの利点を提供することが理解される。具体的には、多段ターボ過給組立体は、1又は2以上の高圧段及び1又は2以上の低圧段の両方を収容するための単一の鋳造複合ケーシング、例えばALFINを含むことができる。一例を挙げると、1又は2以上の高圧段はケーシングの下部に配置すること、及び1又は2以上の低圧段は1又は2以上の高圧段の上方に配置することができる。このような配置により、エンジンの排気ガスへの直接的な接続が可能にある。さらに、有利には、段間の間隔は、1又は2以上の低圧段を垂直位置からクロッキング(clocking)することによって最小化される。
【0055】
さらに、異なる段のハウジング、特にタービンハウジング及び圧縮機ハウジングを、特に冷却水通路のための内部キャビティを備えた単一の構成要素に統合することにより、余分な外部配管、継手を使用することなく、及び配管屈曲に関連する効率損失なしで、高圧タービンから低圧タービンへの排気ガスの直接的な移送が可能になることを理解されたい。さらに、本明細書に記載されている実施形態は、2又は3以上の別個のタービンを、単一のケーシングによって作られた内部通路を通って導かれる排気ガスの流れを最適化するような方法で、間隔を置いて配置できるという利点を提供することを理解されたい。これは、異なるタービン段内の接続配管を取り除くことを可能にし、さらに、逆流型軸流タービンは、ガスの自然な流れに対する最小の妨害でもって、高温のガスが異なる段を流れることを可能にする。
【0056】
加えて、多段ターボ過給機用のハウジングを統合することで、全体的な設置占有面積を低減することができる改善された設計を提供することができる。より具体的には、低圧タービンが高圧タービンの上方に垂直に取り付けられる配置は、ターボ過給組立体の取り付け占有面積を全体的に低減することができる。従って、占有面積の低減は、組立体の全体的な高さの増加で相殺される。
【0057】
従って、従来技術と比較して、本明細書に記載された実施形態は、改良された多段ターボ過給組立体を提供する。本明細書に記載された実施形態による多段ターボ過給組立体は、ターボ過給機、4ストロークエンジン及び2ストロークエンジンに実装することができる。
【0058】
最後に、少なくとも排気タービン組立体の第1のロータブロック及び第2のロータブロックを取り外す方法について説明する。本方法は、本明細書に記載された多段ターボ過給組立体の高圧段及び低圧段を(少なくとも部分的に)分解する及び/又はこれにアクセスするために特に有用である。この場合、本明細書で言及される排気タービン組立体は、多段ターボ過給組立体であり、本明細書で言及される第1及び第2のロータブロックは、それぞれ、多段ターボ過給組立体の高圧段及び低圧段である。本方法は、より一般的には、2段タービン発電機組立体などの、少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを有する他の何らかの排気タービン組立体にも適用することができる。
【0059】
全体的なターボ過給組立体は、以下の特徴を有する。
-第1のロータブロック及び第2のロータブロック:ロータブロックは、それぞれのタービンホイール、シャフト、及び圧縮機ホイールを備えた(又は、タービン発電機の場合には発電機への連結部を備えた)実際のロータを備え、さらに内側軸受領域を備えることができる。また、ロータブロックは、モジュール収容要素を備えたモジュールとして提供することもでき、モジュールは、ケーシングから軸方向に一体部品で取り出されるように構成される。
-排気タービン組立体は、(共通の)ケーシングを有し、第1及び第2のロータブロックのそれぞれは、それらの軸が平行に配置され、軸方向を規定するようにケーシング内に配置される。ケーシングは、単一ユニットである。ケーシングは、一般的にタービンハウジング又はその一部の取り外し後に、一般的に各ロータブロックに関して、一方の側(例えば、圧縮機側)に軸方向の開口部を有する。次に、ロータブロックは、この軸方向の開口部を介してアクセスして取り外すことができる。
【0060】
第1及び第2のロータブロックを取り外す方法は、
-第1及び第2のロータブロックを、例えば、ねじ又はボルトによって、(剛性のある)締結部材に取り付け、それによって、第1及び第2のロータブロックを互いに締結するステップと、
-第1及び第2のロータブロックが締結部材に取り付けられている間に、第1及び第2のロータブロックを軸方向に沿ってハウジングから同時に少なくとも部分的に取り外す(例えば、引き出す)ステップと、
を含む。
【0061】
詳細には、第1及び第2のロータブロックを剛性締結部材に取り付けるステップは、剛性締結部材を、排気タービン組立体(好ましくは本明細書に記載された実施形態による多段ターボ過給組立体100)の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックと一緒に持ち上げ装置に取り付けるステップと;剛性締結部材を第1及び第2のロータブロックと一緒に剛性締結ブラケットに取り付けるステップと;剛性締結ブラケットを持ち上げ装置に取り付けるステップと;を含む。例えば、持ち上げ装置は、持ち上げのための何らかの手段(例えば、クレーン、滑車ブロックなど)、より具体的には、スリング(例えば、シェークル、ラウンドスリングなど)とすることができる。
【0062】
本方法は、2つのロータブロックに限定されず、第3のロータブロック又はさらに別のロータブロックでも使用可能である。この場合、第3の/さらなるロータブロックは、同様に締結部材に取り付けられ、第1及び第2のロータブロックと同時にハウジングから少なくとも部分的に取り外される。
【0063】
上記は実施形態を対象とするが、基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考えることができ、その範囲は以下の請求項によって決定される。
【符号の説明】
【0064】
100 多段ターボ過給組立体
110 高圧段
111 高圧タービン入口
112 高圧タービン出口
113 高圧タービン
114 高圧圧縮機
115 高圧圧縮機入口
116 高圧圧縮機出口
120 低圧段
121 低圧タービン入口
122 低圧タービン出口
123 低圧タービン
124 低圧圧縮機
125 低圧圧縮機入口
126 低圧圧縮機出口
127 消音器
130 ケーシング
131 排気ガス入口
132 排気ガス出口
133 通路
134 内側ケーシング
135 外側ケーシング
136 中間空間
137 冷却剤入口
138 冷却剤出口
141 第1のフランジ
142 第2のフランジ
143 第3のフランジ
144 第4のフランジ
145 屈曲入口管
146 屈曲出口管
150 インタークーラ
160 給気冷却器
170 エンジン
181 低圧空気ウエストゲート
182 高圧空気ウエストゲート
183 多段空気ウエストゲート
184 可変空気ウエストゲート
185 低圧排気ガスウエストゲート
186 高圧排気ガスウエストゲート
187 多段排気ガスウェストゲート
188 可変排気ガスウエストゲート
191 第1のバイパス
192 第2のバイパス
193 第3のバイパス
194 第4バイパス
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧圧縮機(114)に結合された高圧タービン(113)を含む高圧段(110)と、
低圧圧縮機(124)に結合された低圧タービン(123)を含む低圧段(120)と、
前記高圧段(110)及び前記低圧段(120)を取り囲むケーシング(130)と、
を備え、
前記ケーシング(130)が単一ユニットである、
ことを特徴とする多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項2】
前記ケーシング(130)は、前記高圧タービン(113)の高圧タービン出口(112)と前記低圧タービン(123)の低圧タービン入口(121)との間に、通路(133)、特に流れが最適化された通路を備える、
請求項1に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項3】
前記ケーシング(130)は、
消音器、入口ケーシング、又は入口管を低圧圧縮機入口(125)に連結するための第1のフランジ(141)と、
入口ケーシング又は入口管を前記ケーシング(130)の高圧圧縮機入口(115)に連結するための第2のフランジ(142)と、
前記低圧タービン(123)からの排気ガスを前記ケーシング(130)の外部に供給するために、排気ガス出口(132)に連結するための第3のフランジ(143)と、
エンジン(170)からの排気ガスを前記ケーシング(130)の内部の前記高圧タービン(113)に向かって供給するために、排気ガス入口(131)に連結するための第4フランジ(144)と、の少なくとも一を備える、
請求項1又は2に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項4】
前記ケーシング(130)は、内側ケーシング(134)及び外側ケーシング(135)を備え、前記内側ケーシング(134)と前記外側ケーシング(135)との間には中間空間(136)が設けられ、前記中間空間(136)は、冷却剤を供給するように構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項5】
前記ケーシング(130)は、前記中間空間(136)に冷却剤を供給するための冷却剤入口(137)と、前記中間空間(136)から冷却剤を除去するための冷却剤出口(138)とを備える、
請求項4に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項6】
前記中間空間(136)は、前記高圧段(110)及び前記低圧段(120)の周りに設けられた連続した空間である、
請求項4又は5に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項7】
前記ケーシング(130)は、鋳造材料の一体化された単一成形構造である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項8】
前記高圧段(110)は、前記低圧段(120)の下方に配置されている、又はその逆である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項9】
前記高圧段(110)は、前記多段ステージターボ過給組立体の動作中に、前記低圧段(110)の回転方向に対して、逆の又は同じ回転方向を有するように構成されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項10】
前記ケーシング(130)は、
中間冷却器(150)に低圧空気を供給するための低圧圧縮機出口(126)と、
給気冷却器(160)に高圧空気を供給するための高圧圧縮機出口(116)と、
の少なくとも一方を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項11】
前記ケーシング(130)は、
給気圧力を制限するための装置を提供するための空気ウエストゲート(181、182、183、184)と、
給気圧力を制限するための装置を提供するための排気ガスウエストゲート(185、186、187、188)と、
圧縮機マップの動作点を変更するための装置を提供するためのバイパスシステム(191、192、193、194)と、
封じ込め安全性を保証する要素と、
の少なくとも一を備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項12】
前記ケーシング(130)は、空気及び排気ガスの少なくとも一方に接触する表面を有し、
前記表面は、前記ケーシングが少なくとも2つの異なる材料で構成されるような、処理及び設計の少なくとも一方が施されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)。
【請求項13】
排気タービン組立体の少なくとも第1のロータブロック及び第2のロータブロックを動かす方法であって、前記排気タービン組立体は、ケーシング(130)を有し、前記第1及び第2のロータブロックの各々は、それらの軸が平行に配置されかつ軸方向を規定するように、前記ケーシング(130)内に配置されており、前記方法は
前記第1及び第2のロータブロックを剛性締結部材に取り付けるステップと
前記第1及び第2のロータブロックが剛性締結部材に取り付けられる間に、前記第1及び第2のロータブロックを、軸方向に沿って前記ハウジングから同時に少なくとも部分的に動かすステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記第1及び第2のロータブロックを前記剛性締結部材に取り付けるステップは、
前記剛性締結部材を、排気タービン組立体の少なくとも前記第1のロータブロック及び第2のロータブロックと一緒に、持ち上げ装置に取り付けるステップと、
前記剛体締結部材を、前記第1及び第2のロータブロックと一緒に剛体締結ブラケットに取り付けるステップと、
前記剛性締結ブラケットを前記持ち上げ装置に取り付けるステップと、
を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記排気タービン組立体は請求項1から12のいずれか1項に記載の多段ターボ過給組立体(100)であり、前記第1のロータブロックは前記高圧段(110)であり、前記第2のロータブロックは前記低圧段(120)である、
請求項13又は14に記載の方法。
【国際調査報告】